リプレイ
青龍院・桜
「ダンジョン探索ね。面白そうじゃない」
たいまつを手に、迷宮を奥へと向かうわね。
占い(過去視の道案内)で正しい道を選ぼうとするわ。
ここ最近、ダンジョンの奥に向かった竜鱗兵とかがいればいいのだけれど……
まあ、当たるも八卦、当たらぬも八卦。
もしも過去視できなかったら、自分の直感を信じて分かれ道を進んでいくわ。
道が分からない場合には度胸で突破するのが最短よね。
「それにしても、この奥にドラゴンがいるの?
この狭い通路、よく通っていけたわね。
それとも、どこかに抜け道でもあるのかしら?」
通路の行き止まりとかには注意を払いつつ、先に進んでいくわ。
隠し通路とかあるかもしれないし、ね。
直進する通路の前後に目を凝らしつつ、転移してきたディアボロスたちは、スマホなどの機器や、自前で用意したもので照明を焚いた。
青龍院・桜(元陰陽師の占い師・g03997)は、オーソドックスな松明(たいまつ)に、火をつける。
「ダンジョン探索ね。面白そうじゃない」
左手で松明を掲げつつ、右手を着物の中に差し入れる。取り出したのは、陰陽符だ。
仲間が問うと、占いだと答えた。
「まあ、当たるも八卦、当たらぬも八卦……」
符に念じると、大柄な影が、桜以外の眼にも映った。
竜鱗兵が先に探索しているのでは、と期待したら、お見事。案内役が浮かび上がったというわけだ。
影は、通路の一方へ歩いていく。
迷宮へと転移してきた時に正面だったほうだ。
ディアボロスたちは、逆方向と二手に分かれる。影を追う桜の班には、戦闘を見越した者が多く混ざった。
「この狭い通路、よくドラゴンが通っていけたわね。どこかに抜け道でもあるのかしら?」
案内役は、最短のルートを通る。
多くの曲がり角や分かれ道、ひょっとしたらあるかもしれない隠し通路や罠など、まったく意に介さずに進んでいく。
ただ、追っていけばいいだけだが、松明の照らす範囲は狭く、闇で見えない行き先は不気味だ。
唐突に、灯りの中に壁が現われ、影は消失した。
「行き止まり……謎を記した銘板だわ!」
そこには、次のように刻まれていた。
『旅の騎士が森を訪れた時、3人の女性が現れた。それぞれ、樹木の妖精、泉の妖精、そよ風の妖精と名乗った。妖精は1人につきひとつずつ、身に着けていた物を騎士に手渡し、旅の加護を祈った。騎士はベール、チョーカー、ガーターをもらって森を出る。樹木の妖精は、チョーカーしか渡すものがなかったわ、と言い、泉の妖精は、ベールは渡せなかったの、と言った。そよ風の妖精の言葉は残されていない。さて、3人の妖精の贈り物は、それぞれなんであったか?』
大成功🔵🔵🔵
効果1【過去視の道案内】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
錢鋳・虎児
「うーん…」
少年は銘板を前に悩んでいました。
文字は読めましたが、内容がサッパリ分かりません。
「カーちゃん達、わかるー?」
幻影達も分からないようで、首を振ります。
「そっかー…じゃあ、そっちのオッちゃんはー?」
隣の竜鱗兵も銘板をジッと見つめた後、首を振ります。
…おや?
幻影が気づき、少年に伝えます。
「あ、戦わなきゃダメなの?そっかー」
少年と幻影達は武器を構えます。
そして、少年は竜鱗兵に言いました。
「…で、あの板のやつって、どーゆーこと?」
陣・頼人
クロノヴェーダもダンジョン制覇を狙ってるとしたら遭遇する事もあり得るよね。
だから、僕はそいつらとの戦闘を担当する。
逃げるフリをして曲がり角を曲がったところで【罠使い】でスネアトラップを仕掛け、奴らが来たところで【念動力】で作動、足を取られたところに【デストロイスマッシュ】を叩き込む。
内方・はじめ
道中を彷徨くトループスの排除を優先
敢えて隠密行動はせず、自然に目立って敵を引き寄せ、調査中の仲間に敵が向かわないように仕向ける
目立つように光量の強いライトを片手に、ライトを振り回しながら索敵
偵察、情報収集、看破等を活かし、足跡や足音等の敵の痕跡も追ってみる
敵を見つけたらイマジナリキャノンを盛大にぶっ放して、周りの敵もこちらに来るように仕向け、迷宮通路の狭さを活かして幻影の砲兵達と一緒に通路を塞ぐ
砲撃、弾幕を活かした激しい弾幕で、弱った敵は誘導弾で確実に仕留める
敵の一撃は当たると大きい
奴をこれ以上……近づけるな!
派手にやりすぎて、近くの壁とかが落ちたりしないといいけど
壁抜き不意討ちは勘弁よ?
錢鋳・虎児(無敵の御ガキ様・g00226)は、銘板を繰り返し読んでいるようだ。
「うーん……」
護衛に来たひとりなので、いつでも砲撃の準備は整えてある。
すなわち、幻影の砲兵を引き連れているのだが、チョーカーどころか、なにひとつ渡せるもののない、女体型だった。
「カーちゃん達、わかるー?」
幻影は答えを言わない。すると、内方・はじめ(望郷の反逆者・g00276)が女性らに割り込んで、人差し指を唇にあてた。
「しっ! 来た道のほうから、話し声が聞こえたわ」
この行き止まりになるまで、曲がり角がクランク状に続いていた。振り返っても暗闇しかないが、聞き耳をたてれば確かに会話が近づいてくる。
野太い、ガボガボいう感じで。
「……なぁ、やっぱりここ、さっきも入った通路だじぇ。見覚えあるもん」
「どこもかしこも同じなんだから、わかるもんか」
「ぜってー、鉄板貼ってるとこだって、もうやだ何回目ェ?」
挑戦中の竜鱗兵。ここまで案内してくれた影の本体だろう。
ディアボロスたちは、静かに頷きあって、銘板から離れ、角をふたつぶん戻った。
はじめが様子を伺うと、直進通路の天井を、松明のものと思われる炎が照らしているのが見えた。
すでに、陣・頼人(武装騎士ヴィクトレオン・g00838)が、床にスネアトラップを仕掛け終わり、親指を立てている。
桜から借りた松明をかかげて、はじめは直進通路に立ちふさがり、腕を振り回した。
ガボ声が、反応する。
「……あ? オレたちのほかに、挑戦してるヤツらがいたじぇ」
「やっぱ、入口に戻ってたんだよ。むこうも迷ってるのかも」
「なら、合流すっか、おおーい!」
注意をひいたところで、はじめは行き止まり方向に戻った。ドタドタと追ってくる足音がする。
トループス級『突撃竜鱗兵』たちが、角を曲がって見たものは、竜鱗兵ではない男女の一団が、通路の奥に4段になって整列しているところだった。
床に伏せ、片膝立ちになり、屈み、立っている者。幅いっぱいだ。
翼の生えた背の低いのが、質問してくる。
「なぁなぁ、オッちゃんたちー。あの板のやつって、どーゆーこと?」
「鉄板のことかァ? オレたちもイミが……」
「今だ」
頼人は、念動力で罠を作動させた。
突撃竜鱗兵の脚に、ガチャガチャと戒めがはまる。
砲を構えた、虎児とはじめの幻影は、盛大にぶっ放した。
迷宮通路の狭さを生かして、弾幕で塞いでいる。
「派手にやりすぎて、近くの壁とかが落ちたりしないといいけど」
つぶやきつつ、はじめに加減する気は毛頭ない。
床に落ちた松明の炎が、トラップを力技で引きちぎるシルエットを壁に映したが、頼人が竜骸剣でもってデストロイスマッシュを叩き込むさまがそこに重なり、竜鱗兵の影はまた、消滅することとなった。
石柱も石材も、砲弾で表面が削れたり砕けたりしている。
貫通していないところから、薄い壁などではなく、3m四方のブロックのような構造だったらしい。
全滅したトループス級にむかって、虎児はまた質問した。
「……で、あの板のやつって、どーゆーこと?」
「行き止まりに戻って、考えましょう」
はじめは松明を、桜に返した。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【隔離眼】LV2が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV2が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
青龍院・桜
「謎を記した銘板をみつけてしまったからには、謎を解いてお宝をもらわないとね」
銘板の前で悩むわ。
普通に考えれば、
樹木:チョーカー
泉:ガーター
そよ風:ベール
よね……
けれど、こんなところに眠っているお宝がそんなに簡単に手に入るかしら?
……いいえ、手に入らないはずよ!
この謎解きには、なにか教訓めいた深い意味が隠されているに違いないわ!(断言
騎士がもらったものは、ベールにチョーカーにガーター……
そうか、わかったわ!
「3人の妖精の贈り物は、旅の女性騎士にもっと女らしくなれというメッセージだったのよ!」
つまり、ここを通るためには私もベールとチョーカーとガーターで女の大人の色気をださないといけないのね!(迷言
「謎を記した銘板をみつけてしまったからには、解いてお宝をもらわないとね」
青龍院・桜(元陰陽師の占い師・g03997)は悩んだ。
(「ダンジョンの奥に眠っているお宝がそんなに簡単に手に入るかしら? ……いいえ、手に入らないはずよ!」)
普通に考えて答えは判った。
一旦はそう思ったのに、なにかの袋小路に嵌まり込む。
「この謎解きには、なにか教訓めいた深い意味が隠されているに違いないわ!」
「そうなんだ」
頼人は、敵を警戒して、あいまいな返事をした。桜は銘板を指でなぞる。
「騎士がもらったものは、ベールにチョーカーにガーター……」
虎児は、示された部分に目を凝らす。
「カーちゃん達は、どれも持ってないやー」
「わかったわ! 3人の妖精の贈り物は、旅の女性騎士にもっと女らしくなれというメッセージだったのよ!」
少年の連れている砲兵たちが、女らしくないかと言えば、そうでもない。
「つまり、迷宮の宝物を得るためには、私もベールとチョーカーとガーターで大人の色気をださないといけないのね!」
聞き耳をたてていたはじめが、たずねる。
「で、答えは?」
「樹木の妖精が渡したのはチョーカー、泉の妖精が渡したのはガーター、そよ風の妖精が渡したのは、ベール」
きらーんと銘板が輝くと、桜の掌にも光が満ちて、そこには宝玉、いわゆるオーブが握られていた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
眉立・人鳥
ダンジョン攻略だァ?RPGかよ、そんな事まで用意してんのかドラゴンってやつは
あまりにも未知数だしな、照明系の残留効果持ちが居ない時のために簡単な照明器具を用意しておくか
なるべく内部で荒事に巻き込まれたくはねェ、飛翔で浮きながら進みてぇところだな
後はそうだな、曲がり角の石柱に印なりつけつつ記憶術で出来る限りは道の把握を試みるぜ、メモなんかの持ち込みも出来るだろ
怪しい場所は注視して罠なんかがあったら看破して行けると尚いいな
ソロで突っ込めってわけでもないし仲間と連携して進めばなんとかなると思いたいねェ
雪代・シア
迷路の試練〜ダンジョン攻略〜!
ふふ〜ん、頑張っちゃお〜!
複雑な迷路みたいだけど、みんなで一緒なら攻略できるよね〜。
装飾もなくておんなじ様な道が続くから迷子になっちゃうんだよね。だから、シアは通った道に目印を書いて歩こうかな〜。
可愛くハートマーク描いちゃお〜。
もし行き止まりに来ちゃったら、戻る時に「この先行き止まり!」って書いておけば他の人にも分かりやすいよね〜。
レイ・シャルダン
1人だとボクっ子
人と話す時は私っ子で敬語です。
絡みやアレンジも歓迎です。
ファビエヌさんのおっぱいすご、色気やばー。
ボクも将来あんな感じになれるのかなー。
所有兵装のLynx of Boeotiaを起動して
周囲の情報を収集し、暗がり対策をして迷宮内へ。
長くなりそうだし、足が疲労しないようにフライトデバイスを起動、
ホバリングしながら低空飛行で前進していくよ。
道が分かれてなら曲がりたくなっちゃうんだよね。
ボクは左へ左へ進んでいこうかなー。
お宝でもボスでもいいぞ。
何でもこぉい。
ストロベリー・メイプルホイップ
地下迷宮かぁ。
ちょっとかび臭いのは困るけど、その分お宝がよい物だと嬉しいな!
金銀財宝ってドラゴンに相応しいし!
後なんとなく、ここのボスドラゴンさんは可愛らしい性格してるような気がする。
【閃光の吐息】で【照明】を出しながら進むよ!
バックアタックに警戒して、光球を前後に浮かせるね。
分かれ道はまずラズベリーちゃんを先行させて【情報収集】させるよ。
罠に気をつけていってらっしゃ~い!
印をつけて進んでマッピングだね。
電波はダメだと思うけど、スマホの地図作成アプリとか使えるかな?
進むときは電磁槍で怪しい床や壁に天井を突きながら【観察】しつつ進むね。
制限時間があるわけじゃないし、安全第一で進もう!
宇奈月・雅
さーて、ダンジョン探索だよ。
なんだかお宝とかあるみたいだし楽しみだよねー。コスメとかあるかな?
まあとりあえず進んでみよっか。
ほら、右手法だっけ?絶対たどり着けるとは言うけど、さすがに時間かかっちゃうからねぇ。
まずは探索範囲を広げるところから始めよっか。というわけでみやびん任せたっ。
……まあ、とりあえずマッピングから。
スマホのライトを明かりにしつつ、スマホのメモに石柱で区切られたマスごとにどう進んだかを書いてく。あとはお絵かきアプリに簡単に図を描いてもいいね。
もし軍前同じタイミングで挑戦している竜鱗兵を発見したら回避再優先。迷路で他の敵に囲まれるのは避けたいし。
……はいはい、宝は見つかったらね。
ラウム・マルファス
おぉ、いかにも迷路って感じのダンジョン。同じ景色ばっかりだと迷うよネ。小型のドローンを数機、情報収集用に換装して飛ばそう。お宝さがしもしたいカラ、行き止まりもくまなく探すヨ。
3m間隔の柱と30cm四方の床パネル、かァ。実はちょっとずつ幅が広くなってたりしないカナ?隠し通路とか隠し部屋とか、見落とさないよう、ドローンで計測しながら進もウ。ライトもドローンについてるしネ。
罠があると怖いから、ボクはフライトドローンに乗っておこウ。落とし穴なら避けれるしネ。釣り天井や壁の罠は情報収集用ドローンが先行すれば大丈夫でショ。
ちょっと天井低めだから頭打たないように気を付けなくちゃ……あてっ(頭打った)
鳴声偲・獏祓食
一番簡単なのは壁をぶち壊して一直線、
でもそれだとつまらないし、無駄な労力なんだろう。
ひとまず、行こうか梅瑪ちゃん。
松明片手にダンジョン探索
曲がり角や複数通路のある場合は通った場所に、
傷をつけて目印にしから進み、
一応罠がないか気をつけながら進む。
他のディアボロスがいるなら情報交換出来るかな。
そうえいば行き止まりに謎があるって言ってたな、
行き止まりがあるならその謎の銘板を探す。
迷宮秘宝、綺麗なものなら見てみたい。
オーブの光はすぐにおさまり、銘板も元通りになった。
けれども、鳴声偲・獏祓食(鬼人のデーモンイーター・g04666)が、松明をかざしてやると、宝玉はつややかな輝きをみせる。
「迷宮秘宝を見てみたくて参加したけど、期待どおりに綺麗なものだったな」
「ええ」
桜は頷き、オーブを懐にしまう。
謎は解けた。
ここらで、もう一方の班と落ち合いたい。
「一番簡単なのは壁をぶち壊して一直線……ではないね」
獏祓食は、ぼさぼさの髪をかきあげる。
竜鱗兵との戦闘跡から、壁面の中身が詰まっていると判明した。壁破壊という、無駄な労力を払わなくとも、スタート地点くらいまでは道順を覚えている。
秘宝ゲット班は、元の長い直線通路まで戻ったところで、仲間たちの痕跡を見つけた。
石柱の根元に印をつけて、メッセージにしてある。
メーラーデーモンに、柱や壁の低い位置に注意するよう命じる、獏祓食。
「考えることはみんないっしょ。ひとまず、この目印を辿って行こうか、梅瑪ちゃん」
ラズベリーちゃん、という名のメーラーデーモンも、ストロベリー・メイプルホイップ(ドラゴニアンのレジスタンス諜報員・g01346)に頼まれて、分かれ道の先を探査していたが、すぐにまた別の道に分岐するので判断がつかず、戻ってきてしまっていた。
道案内の影とは別の方向に進んだ班である。
宇奈月・雅(ツー・イン・ワン・g00527)は、スマホのお絵描きアプリを起動して、石柱で区切られたマス目を用意した。
「……面倒だけど、やるしかないか。とりあえずマッピングから」
マス目を頼りに、来た道を図にしていく。
画面を覗きこんだラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)は、感嘆の声をあげた。
「おぉ、いかにも迷路って感じのダンジョン。同じ景色ばっかりだと迷うよネ」
フライトドローンを分かれ道に差し向ける手段も、サーヴァントと同じ結果に終わっている。
レイ・シャルダン(人間のガジェッティア・g00999)が、また班をふたつにする意見を出す。
「私は、左へ左へと進んでみましょう」
「みんなで手分けしたら、複雑な迷路でも攻略できるよね~。シアは右に行っちゃお~!」
雪代・シア(白金糸雀・g03654)は、石柱の根元にハートマークを描く。眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)も、自分の印をつくって添えた。
「ソロで突っ込めってわけでもないしな。連携して進めばなんとかなると思いたいねェ」
方針が決まると、ストロベリーは息を吸い込んだ。
竜寄りの姿のドラゴニアンだ。
「はい破壊光線! ……じゃなくて、光あれ!」
『閃光の吐息(フラッシュブレス)』を吐きだすと、人数分の光る球体にまとまり、石壁を昼間のように明るくする、『照明』となった。
通路の分岐を繰り返せば、いずれはひとりずつになるからだろう。
光球を伴って、ディアボロスたちはそれぞれの路へ踏み出す。
人鳥は、荒事に巻き込まれたくなくて、飛翔を使ってみた。
「ダンジョン攻略だァ? RPGかよ、そんな事まで用意してんのかドラゴンってやつは」
床の石畳が、いかにも怪しい。
罠が仕掛けられているように思える。
睨みを利かせながら、人鳥もメモ帳を用意して、記憶のかぎり特徴を書き込んでいった。
「うおぉッ!」
飛ぶには、ちょっと通路が狭かった。
ちょっと視線を移した拍子にバランスを崩し、光の翼の先端が、石壁に引っかかる。
「あっぶねェ……」
さいわい、落下まではしなかった。
慎重さと大胆さの配分も難しい。
ラウムは、フライトドローンに乗っていくことにした。
「3m間隔の柱と30センチ四方の床パネル、かァ。実はちょっとずつ幅が広くなってたりしないカナ? 隠し通路とか隠し部屋とか、見落とさないよう、進もウ」
やはり、罠も怖い。
他のドローン各機も、目の届く範囲で先導させている。
飛翔と違って、浮遊しているぶん、安定もしていたのだが。
「ちょ、天井低めだ、……あてっ!」
注意しようとした矢先に、頭打った。
眼鏡がズレる。
レイも、フライトドローンで床に近いところを浮遊する。
ダンジョン探索は長くなりそうなので、足が疲労しないため。
「お宝でもボスでもいいぞ。何でもこぉい」
電脳ゴーグル『Lynx of Boeotia』で情報収集する。
しかし、分散行動を提案しておきながら、いざ単独になってしまうと、寂しくもある。
取るに足らないことでも呟いていたい。
「ファビエヌさんのおっぱいすご、色気やばー。ボクも将来あんな感じになれるのかなー」
身体のラインのでるタイプの飛行服を見下ろしてみた。
独り言は、ボクっ子なのだった。
「……はいはい、宝は見つかったらね」
雅こそ、ずっと喋っている。
「……コスメってことはないでしょう。誰が使うの? ドラゴン?」
絶えず、スイッチング。切り替えているのだ。
「……右、右か。全体が見えてきたね」
お絵描きアプリが、埋まっていく。
シアは、床に跪いて何度目かのハートマークをつけた。
「可愛くかいちゃお~。この先行き止まりっと!」
ウキウキとした調子だが、確信があるのだ。
迷子を防ぐだけでなく、自分たちを導く道標が、ひとつひとつ刻まれているのだと。
だから、見渡すかぎり同じような道の続く地下にあっても、孤独ではない。
その証拠に翼の羽ばたきが聞こえてきた。
「シアさんか。この辺はもう、ぜんぶ進めねェ」
「はい。人鳥くん、みんなのところに戻ろうね~」
ハートを辿る。
ストロベリーは、電磁槍で床をつつきながら進んでいた。もちろん、罠避けだ。
「なんとなく、ここのボスドラゴンさんは可愛らしい性格してるような気がする……あら」
壁に行く手を阻まれたかと思われたが、金属製の扉がついていた。
情報によれば、このダンジョンには部屋がひとつしかない。
扉があるということは、その向こうに主であるドラゴンが住んでいるはずだ。
ディアボロスは、しだいにまた人数を増やしていた。
獏祓食たちも、石柱の記号を追って、一緒になる。銘板の謎を解き、宝物も入手していることが伝えられた。
やがて、ストロベリーの見つけたドアの前に、全員が集合した。
雅のマップをみれば、折れ曲がった道をまっすぐにし、袋小路につながる枝を刈っていけば、銘板のある行き止まりから、主のいる部屋までの一本道だったと判る。
スタート地点は、その中間に位置していた。
最初にどっちへ向かって進むかで、銘板へのエリアと部屋へのエリアに分かれる構造だったようだ。
「俺たちが遭遇した竜鱗兵たちは、銘板エリアに入り込んじまってたんだな」
戦闘の報告とともに、獏祓食は腕組みした。
桜からオーブの実物を見せられて、シアが小声で宣言する。
「迷路の試練〜。ダンジョン攻略完了〜!」
互いに頷きあい、武装を確認する。
ドラゴンと対決すべく、ディアボロスたちは金属扉を開いた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
【フライトドローン】LV2が発生!
【照明】LV1が発生!
【エイティーン】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV2が発生!
【先行率アップ】がLV3になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV2が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
ストロベリー・メイプルホイップ
ついに最後の難関!
て、なんか声と何か叩き付ける音が聞こえる?
まさかSM?鞭と言葉責め?
ドラゴンさんまさか変態趣味を!?
ここは私にませて!
(扉をそっと開けて覗き込み耳を澄まし)
あ、なーんだ、がっかり。
まぁ退屈そうにしてるのもドラゴンにしてはギャップがあって可愛らしいけど。
よしじゃぁ選手入場!
へいドラゴン!貞操を奪いに来たぜ!
じゃなくて、倒しにきたよ!
残留効果2の【能力値アップ】【命中アップ】【ダメージアップ】【先行率アップ】を適用するね。
【誘惑の吐息】を【風使い】で相手にまとわりつかせて【現の夢】にして、【誘惑】と【精神攻撃】するよ!
ついでに質問!
なんで暇そうにしてまで竜鱗兵の特訓してるの?
陣・頼人
ダンジョンの奥にはドラゴンがつきもの、っていうのは昔からの伝統だよね。
【飛翔】の残留効果で飛行しながらエリギュラス相手に空中戦を挑む。
とはいえ、棘鞭飛竜の二つ名を持つ以上空は奴のホームだろう。
けど、僕には仲間がいる。
【戦闘知識】と【罠使い】を組み合わせ、【デストロイスマッシュ】の【砲撃】と【誘導弾】で奴の動きを制して仲間達の方へと追いやり、みんなの攻撃を集中させられるようにする。
ゲームだったらドラゴン退治の報酬がもらえるところだけど、今の僕達にとっては「元の歴史を取り戻す事」が報酬だからね。
それに一歩近づけただけでも上出来かな。
青龍院・桜
「せっかくここまで来たのだから、迷宮の主には挨拶しておかないといけないわね」
それにお宝もいただいたわけだから、お礼をしていくわ。
ちょっと手荒いお礼だけど、ね。
「占いに使えそうなオーブをどうもありがとう。
これが――お礼よ!」
【照明】で周囲を照らし出したら、手に持ったたいまつは投げ捨てるわ。
オーブを掲げて【攻性式神結界】を張り、竜を結界に閉じ込めつつ式神による攻撃よ。
「くっ、その触手……結界を貫いてくるとは、やるじゃない」
今動いたら、結界の維持ができないわ。
残像を残す速度で振るわれる触手をかわすことなく【活性治癒】しながら耐えていくけれど……
服は直せないから着物がボロボロになってしまうわ。
ラウム・マルファス
さて残るはダンジョンボスってやつだネ。エリギュラスと逢うのは2度目カナ、まぁ別個体だから、同じ戦法が通じるとは限らなし、油断しないようにしないとネ。あの機動力は怖いカラ、早々に封じておきたいナ。
空中にフライトドローンを展開。ライトで照らして広域の視界を確保しよウ。
飛竜返しが来れば跳ね飛ばされるかもしれないが、当れば多少なりと動きは鈍るハズ。前はフライトドローンで棘の雨も防げたからネ。多少の耐久力は期待できるだろウ。急降下した瞬間を狙ってPD発動。悪魔の羽から伸ばしたナノマシンで拘束しよウ。動きが止まったら魔導ナイフを投げて羽や触手を切り裂くヨ。
雪代・シア
来るか~来ないか~…き~た~よ~。
迷路の試練、棘鞭飛竜エリギュラス!あなたを倒したら完全クリアなんだよね~。と言う訳で~…行きま~す!
【飛翔】で地上戦と空襲戦を切り替えながら、踊るような戦いを。
【海に輝く導きの歌(アトラクトライト)】で攻撃と共に【ガードアップ】を重ねがけ。
ドラゴンさんトゲトゲ沢山で攻撃痛そうだけど、これでみんなちょっとは戦いやすくなるかな~。
みんなを鼓舞する気持ちも込めつつ、歌います!
鳴声偲・獏祓食
ダンジョンRPGでボスをスルーというのはないだろう。
てなわけで、一応来た。
【飛翔】で距離を詰め
鬼変神で飛んできた棘を【破壊】するついでに相手を攻撃。
逆に変化させた腕で防ぐぐらいしかないから、
回避できるものは避けるかな。
まあ、周りの動きがすごいからな、
ありがたく便乗、利用させてもらおうか。
眉立・人鳥
楽しいアトラクションって事で終われば良かったんだけどな
待望の到達者が復讐者ってのは、何だか悪いがドラゴンはしばくぜ
使える効果は全部使っていく。この部屋の構造次第だが、あいつ飛べんのか?
ダンジョンと同じだった場合の事を考えると……ここはコンパクトに味方と連携して行くとするぜ
仲間の攻撃が上側が多いなら、狙うのは脚だな……上に意識を割かれてる間に、脆そうな部分を看破して、怪力無双付きの魔骸連刃を叩き込んでいきてェ、バランスを崩せば更なる攻撃チャンスに繋がるはずだ。
棘の雨はフライトドローン間に装備の魔力糸を紡いで盾にするぜ、桜ちゃんの着物に被害が出たら勘弁な!
内方・はじめ
ドラゴンねえ……こうも、仕事の度に見てると、ありがたみが失せるものね
まあ、でかくてもギャラは同じだし
【照明】で視界を確保し、広さが十分ならこちらも【飛翔】で飛行しつつ応戦
敵の攻撃を掻い潜りつつ、一撃離脱で報復の魔弾を叩き込む
攻撃の際は、砲撃、誘導弾、弾幕を活かして、敵の動きを牽制しつつ確実に当てるように
それにしても、厄介な刺触手ね
一張羅のコートが台無しになったらどうするのよ?
キャットスーツまでやられたら……たまらないわ
私はお色気担当じゃないんだから
「いいの?こんなところでゆっくりしてて……オーブは仲間が持っていったわよ?」
等と揺さぶりを掛け、動揺したら隙を逃さず痛撃を
さあ、特訓の時間は終わりよ
錢鋳・虎児
「うおー!どらごんだ!すげー!かっけー!はじめてみたー!!」
少年はドラゴンを見て、キラキラと目を輝かせています。
「あ、そーだそーだ。俺、前から気になってたんだよなー。
りゅーこあいうー?だっけ?ともかく、ドラゴンと虎って同じくらいに
強いんだろ?でも俺、やっぱり虎の方が強いと思うんだよなー。
まぁ俺、本物の虎見た事ないけどよー!でも虎の方が強そうじゃん!
…だからよ!今から、虎代表としてドラゴンブッ倒すけど、いいよな!」
そう言って翼を広げると飛翔し、空中から武器を構えて戦い始めます。
上から攻撃すれば降り注ぐ棘にも対抗できるかもしれませんが…?
扉のむこうにそびえたつものを見た。
「来るか~来ないか~……き~た~よ~?」
雪代・シア(白金糸雀・g03654)は、戸口を抜けたあと、視線を高い位置までもっていく。
爬虫類めいた顔が、来室した者たちを見下ろしていた。
「待ってまし……。いや、ゲフンゲフン!」
横を向いて咳払いする爬虫類。
その間に、錢鋳・虎児(無敵の御ガキ様・g00226)が、素っ頓狂な声をあげる。
「うおー! どらごんだ! すげー! かっけー! はじめてみたー!!」
「……いかにも、我はこのダンジョンの主、『棘鞭飛竜エリギュラス』。迷路の試練を越えてきたおまえたちを迎える者である。この竜域の門はそもそも……」
いったん仕切り直した竜は、厳かな口調になった。
その語りを、ロングコートのポッケに手をつっこんだままで、内方・はじめ(望郷の反逆者・g00276)は聞いている。
「ドラゴンねえ……こうも、仕事の度に見てると、ありがたみが失せるものね。まあ、でかくてもギャラは同じだし」
話す内容も、時先案内人からすでに聞いていたものと代わり映えしない。
陣・頼人(武装騎士ヴィクトレオン・g00838)は、注意深く、話者と目を合わせている。
「ダンジョンの奥にはドラゴンがつきもの、っていうのは昔からの伝統だよね」
「だな! RPGでボスをスルーというのはないだろう?」
鳴声偲・獏祓食(鬼人のデーモンイーター・g04666)が、眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)の肩を叩くと、『TOKYO』出身の青年はそれをすくめてみせた。
「RPGの真似事でも、楽しいアトラクションって事で終われば良かったんだけどな」
「りゅーこあいうー? だっけ?」
今度は、虎児が仲間たちに問いかけた。
「あいうー?」
ストロベリー・メイプルホイップ(ドラゴニアンのレジスタンス諜報員・g01346)は、思い出せない。
別に記憶喪失とか関係なしに。青龍院・桜(元陰陽師の占い師・g03997)のほうを見たら、手に持っていた松明を投げ捨てたところだった。
『照明』が不要なほど、部屋には何らかの光源がある。
「ドラゴンと虎って同じくらいに強いんだろ? でも俺、やっぱり虎の方が強いと思うんだよなー」
腕組みする少年と、お構いなしに語り続けるダンジョンの管理者。
そして、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)は、眼鏡をかけ直して、目を凝らした。
ドラゴンの部屋も、ダンジョン内と同じ材質、同じ工法で組み上がっているようだ。
パネルサイズの統一は、ここに来るまでに確認されている。柱と柱の距離も3mごとと信用するなら、床面積は15m四方。
石柱は、通路の天井までの高さのところに梁が渡してある。3段で6m強といったところか。
それらのデータから割り出せば、エリギュラスの体長は10mくらいだ。
山のように大きく感じたが、竜の頭部が小さいせいかもしれない。
「さて、戦法としては……」
「虎代表としてドラゴンブッ倒すけど、いいよな!」
デーモンの翼をひろげて虎児が、竜を越える高さに飛び上がった。
「ちょ、天井低めなんだって、……あてっ!」
ラウムの制止は間に合わない。自分が頭打ったかのように手をあてる。
図体いっぱいに部屋に入っていたドラゴンの、頭上をとるのは難しかった。
「いててー!」
「ぬおっ?!」
なんと、エリギュラスも、反射的に翼を羽ばたかせたのだ。
トゲの混じった暴風が吹き荒れる。人鳥は、腕をかざしながら叫んだ。
「この部屋の構造で、あいつ飛べんのか?!」
やはり狭かった。
棘鞭飛竜エリギュラスは、ソーンスコールを起こす代償に、翼の先端を石壁にぶつけている。人鳥が、ダンジョンの通路でやったみたいに。
虎児といえば、たんこぶつくって落下しながらも、ミサイルランチャーを作動させた。
「イタタ。まぁ俺、本物の虎見た事ないけどよー! でも虎の方が強そうじゃん!」
双翼魔弾ならば、狭い空間でも縫うように誘導できるのだ。
射手は石畳に落下したが、ミサイルは命中。
バランスを崩した飛竜もしかし、後ろ脚の爪は床から離れている。
曲がりなりにも離陸していた。
はじめは、ロングコートの前をバタつかせたまま、アームキャノンを担いだ。
「広さが十分でないわ!」
頷き、魔力糸を繰り出しながら、人鳥が応じた。
「コンパクトに連携して行くとするぜ!」
「うん! 空中戦を挑む……のはやめておくよ」
頼人も、誘導弾主体のVロックアームズに換装する。
桜は、結界の呪符を懐から取り出す。
「私も挨拶を聞いているあいだ、こんな空間によくドラゴンが入っていられるって思ってたわ。こちらからも、お礼させてもらうから」
「シアもね~。踊りは、床でがんばろっかな~」
「周りの動きがすごいなぁ。俺も、ありがたく便乗させてもらおうか」
獏祓食は、鬼人の腕に力を込めて、敵の真下にまで詰めよった。
棘鞭飛竜エリギュラスは、急降下攻撃に転じようとする。
ラウムが、デーモンの翼からナノマシンを飛ばし、黒の束縛に追い込む。
「ハーイ、縛るから動かないでネ? どのみち飛竜返しには距離が足りないでしょウ?」
「ぐう、おまえたちは、一体……?」
空中で動きを止めた隙に、ストロベリーがその鼻先に飛びついた。
「へいドラゴン! 貞操を奪いに来たぜ!」
「なんだと?」
息を口移しでぷしゅう。ストロベリーは言い直した。
「……じゃなくて、倒しにきたよ!」
「なんだとう?!」
同じこと2回言って、2度驚いている。
だが、鼻先に焦点が合うと、飛竜はニヤリと口元を歪ませた。
「ならば、たいくつしのぎに、おまえたちの相手をしてやろう」
決まりゼリフを言っているのではなく、本気だ。ストロベリーの『誘惑の吐息(リビードブレス)』が効いて、エリギュラスは欲求を吐露している。
トゲの鞭がぴしぴしと、ドラゴニアンの豊満な身体を打った。
「どーだぁ? ぶらさげてるデカイものを揺らしつくしてヤル」
「まさか、本当に鞭と言葉責め?! 最初がっかりしたけど、急に期待通りに♪」
飛竜のミラージュウィップは、翼と一体となった腕の先から繰り出される。
幻の鞭が幾重にもなって責めてくるのだ。
シアはその攻撃に、色白な肌を差し出した。
「みんなを鼓舞する気持ちも込めつつ、歌います! 『海に輝く導きの歌(アトラクトライト)』!」
詩は、人を導く道標となる。
踊りの振り付けがそれに沿い、鞭の幻影をかわす。いや、肌に食い込んではいるのだが、跳ね返す強固さも持っていた。
「ドラゴンさんトゲトゲ沢山で攻撃痛そうだけど、これでみんなちょっとは戦いやすくなるかな~」
石畳にステップを踏んで、くるりとターン。
歌と踊りが、ガードアップを重ねる。
「なぜだぁ、我の棘鞭が効かぬゥ?」
桜の『攻性式神結界』が発動する。
「占いに使えそうなオーブをどうもありがとう。これが――お礼よ!」
主の部屋より、もっと狭い空間に封じた。結界内では放たれた式神が、エリギュラスのトゲをむしり取っている。
「くっ、その触手……結界を貫いてくるとは、やるじゃない」
弱点は術の維持のために動けないことだ。
幻の鞭は、お返しとばかりに、桜の着物の生地をむしり取った。
そして、鞭のトゲはすぐに再生し、またスコールとなって降り注ぐ。
「一張羅のコートが台無しになったらどうするのよ?」
はじめは、風雨をしのいできた外套がボロボロになるのを、厄介そうに見た。
切り刻まれたスキマから、中に着ているキャットスーツがのぞく。
「……たまらないわ。私はお色気担当じゃないんだから」
ちら、と桜の様子を伺うと、帯が千切れてピンチに陥っている。
仲間が裸にされるのも心配だが、あの着物の懐には迷宮の秘宝がしまわれているのだ。
すると、はじめの脳裏に、策が浮かんだ。
「いいの? こんなところでゆっくりしてて? ……オーブは仲間が持っていったわよ?」
揺さぶりをかける。
「オーブ? 何のことだ?」
想定と違うが隙はできた。はじめはアームキャノンから、『報復の魔弾』をありったけ撃ち込む。
仰け反ったエリギュラスは、激昂する。
「てゆーか、おまえらいったい誰なんだァ?!」
結界内でも無理して羽ばたいて、トゲを出す。
頼人は、念動力による誘導を加えて、デストロイスマッシュの乗ったミサイルをVロックアームズから繰り出した。
「棘鞭飛竜の二つ名を持つ以上、空は奴のホームだろう。けど、僕には仲間がいる」
エリギュラスは、図体に比べて狭い空間でありながら、飛ぶことに固執している。
どの技をとっても、飛行が攻撃の起点になっているのも理由だろう。仲間の分析があれば、こちらは幅の広い戦術がとれるのだ。
ミサイルの爆発を嫌がったエリギュラス。
高度を落とした先には、獏祓食が待ち構えていた。
鬼神変で、腕をさらに巨大化させている。その怪力でもって、自分では移動できない桜を抱えて、結界ごと動いていたのだ。
「便乗だ。ありがたくな」
ソーンスコールは、桜が防いでくれる。
獏祓食の拳は、式神によって伝達される。
「スルーはなし、てなわけだ」
竜のどてっぱらを殴れた感触があった。
そのかわり、なにか布の裂ける音がした。
桜はオーブを落とさないよう、手に握り込む。はじめは、エリギュラスが宝玉に反応しないのを見て取った。
「ダンジョンの管理者としての役割しかないのね。迷路の道順だけに関わっていたのかしら」
殴られた腹をよじる竜に、はじめはまたカマをかけてみる。
「さあ、配下を特訓する時間は終わりよ!」
「そんなぁ!」
飛竜は、絶望的な顔になった。
「待ってんだけどさぁ~。いつになっても、迷路の試練を越えてくるヤツが来ないんだよう。制覇を褒めたり、探索の証を与えたりしたいのにぃ~」
情けない声に、人鳥はため息をつく。
「待望の到達者が復讐者ってのは、何だか悪いが……」
すでに、魔力糸がフライトドローンの間に張り巡らされていた。
結界の代わりに、ドラゴンを拘束する狙いだ。
「桜ちゃん、勘弁な!」
有効範囲を交代する際に、糸が着物を引っかけたことを詫びた。
頼人が、応援の砲撃を続けている。
「僕たち迷宮を突破してきたからね」
「褒めるだけなら、俺たちにしてくれてもいいぜ?」
人鳥は、エリギュラスの正面に立った。かつて喰らったクロノヴェーダの肉体部分から生成した鋭利な刃を構えている。飛んでくるトゲは魔力糸に絡めとって。
「そ、そうか! ……よくぞ、我のもとまで来たな。褒めてやろう、ククク」
ダンジョンの主はニュアンスの違うことを言ったが、これも本気だ。
「魔骸連刃ァ!」
飛竜の胸元から腹まで、かっさばいた。
「ドラゴンブッ倒したー……あれ?」
勝ち誇る虎代表の襟首をつかんで、はじめはデーモンの翼を開く。
キャットスーツの一部がトゲに引っかかったままだが、気にはしていられない。
他のディアボロスたちも壁際に退避する。
べったりと床に這おうとする飛竜に、潰されないためにだ。
牙が折れ、血を吐く口から、エリギュラスは声を絞りだす。
「ヒントがあるのを……忘れていた……樹木の妖精は、チョーカーしか着ていな……」
がくり、と力を失う鼻先。それを見下ろし、ストロベリーはつぶやく。
「暇そうにしてまで竜鱗兵の特訓してるのが、生きがいだったのねぇ」
鼻先まで頼人が、胴体を越えて飛んでくる。
「ゲームだったらドラゴン退治の報酬がもらえるところだけど……」
いっしょに翼部分を見渡すシア。
「頼人君は、探索の証とやらも、欲しかったの~?」
主の亡骸だけしか、部屋にはもう残っていない。
「いや、オーブも手に入ったし、今の僕達にとっては『元の歴史を取り戻す事』が報酬だからね。それに一歩近づけただけでも上出来かな」
シアと桜に微笑みかけた。
フライトドローンを回収しながら、ラウムが伝える。
「どうやら、ラキ山火口への転移が始まるみたいですね」
「梅瑪ちゃん、帰ろう。みんなも、すごかったな」
獏祓食は、メーラーデーモンと仲間に声をかけて集合させ、迷宮を後にする。
棘鞭飛竜エリギュラスの図体の下敷きになった、桜の着物とはじめのスーツも現場に残ってた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【現の夢】LV1が発生!
【建造物分解】がLV2になった!
【ハウスキーパー】LV1が発生!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【勝利の凱歌】がLV2になった!
【怪力無双】がLV2になった!
【活性治癒】がLV2になった!
【飛翔】がLV3になった!
効果2【ロストエナジー】LV2が発生!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV4になった!
【ガードアップ】がLV3になった!
【ドレイン】がLV2になった!
【反撃アップ】がLV2になった!