エアーズロック前哨戦

 ディアボロスは、ジェネラル級フローラリア『薔薇の戦士スカアハ』と共に、遂に、ドラゴンの拠点へと迫りました。
 ドラゴンが妖精郷攻略の拠点としているのは、最終人類史におけるオーストラリアにある世界第2の一枚岩『エアーズロック』です。
 ドラゴンに改造され、要塞化されたエアーズロックには円卓の騎士『究竟竜ラモラック』を始めとした強力なドラゴンの軍勢が集結しています。

 ドラゴンに対抗するため、スカアハはエアーズロック攻略の橋頭保として、世界樹の力の一端を利用した『樹木砦』の建設を行うようです。
 樹木砦は、フローラリアがよく用いる植物拠点の一種ですが、今回の『樹木砦』は、フローラリアを強化できる特別製です。

 逆に言うと、この『樹木砦』が完成しなければ、ドラゴン拠点の攻略でフローラリアは役に立ちません。
 勿論、ドラゴンが樹木砦の建設を放置するとも考えられません。
 スカアハとフローラリアが樹木砦を完成させるまで、襲い来るドラゴンの軍勢から護衛する必要があるでしょう。
 樹木砦が完成すれば、後続の増援部隊と合流したフローラリア軍がドラゴンの軍勢を牽制してくれるので、ディアボロスによるエアーズロック内の突入作戦が可能になると想定されています。

樹木砦を守れ!~エアーズロック突入への道程~(作者 ハル
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●天然の要塞エアーズロック
 一望する事さえ叶わない巨大な一枚岩――エアーズロック。
 赤茶色の砂漠が支配する不毛の地に鎮座するその大岩の内部には、縦横無尽に横穴が掘られ、通された穴からは数え切れぬ程のドラゴンが飛び出してきていた。
「この要塞であれば、究竟竜ラモラック卿も満足してくれるであろうな」
 飛び出してきた無数の竜の中でも、一際巨体のドラゴンが言った。
 そのドラゴンが外気を浴びると、全身の刃が光を反射する。
 岩の中の通路はその巨体であっても問題とせず、仮に問題があったとしてもその刃が切り裂くだろう。
「気を緩めるなよ。恐らく交戦の時は近い!」
「ハッ! その時は、即座に焼き尽くしてみせましょうぞ!」
 刃のドラゴンの檄に、配下の蒼炎のジャッカーの大集団が激しく炎を撒き散らして宙を舞う。
 刃のドラゴンは改めてエアーズロックを見下ろし、その堅牢さに満足げに頷くのであった。

●概要
「遂に、妖精郷におけるドラゴンの拠点が判明した事を、ここで皆様にご報告させて頂きますわ!」
 集ったディアボロス達の顔を見渡し、カトリーヌ・ルロワ(自称元貴族のレジスタンス諜報員・g03291)が恭しく一礼する。
「判明したドラゴンの拠点は、『世界第2の一枚岩で、地球の中心とも言われる、オーストラリアのエアーズロック』ですの。驚きですわよね」
 カトリーヌは続けて、エアーズロックの周囲には草一本生えていない事。
 そして多数のドラゴンが飛翔している事を説明する。
「要するに、容易に接近する事は困難、という訳ですわ。ドラゴンの拠点と考えると、当然ではありますが」
 判明したドラゴン拠点に対抗しようと、ジェネラル級フローラリア『薔薇の戦士スカアハ』が動いている。
「どうやらスカアハは、対抗手段として、世界樹の強い加護を持つ『樹木砦』を建造しようとしているみたいですわね。この樹木砦が完成し、フローラリアの増援部隊が到着すれば、外部のドラゴンの軍勢をフローラリアに任せる事も可能となるでしょう。そしてワタシ達ディアボロスは、その間にエアーズロック拠点に突入する……。簡単ではありませんが、樹木砦が完成すれば、そいういった方策をとるのも不可能ではなくなりますの」
 ただし、それらは全て樹木砦が無事に使用できる程に成長すればという前提に基づくもの。
「樹木砦が砦としての力を発揮できるようになるには、相応の時間が必要になるそうですわ。樹木砦を完成させまいと、当然ドラゴンも襲撃してくるでしょう。ワタシ達はそんなドラゴンを迎撃し、樹木砦を守る必要がありますわね」
 ドラゴンの襲撃があれば、当然フローラリア達も迎撃に動くだろう。しかし、フローラリア達だけでは防ぎきれないのは周知の事実と言ってもいい。
「ワタシ達の助力が必要でしょうね。ドラゴン拠点攻略の為、フローラリアの拠点建設を守り、襲い来るドラゴンを撃退致しましょう!」

●対ドラゴン迎撃
「ドラゴン軍の拠点近くですからね。指揮官は強力でしょうし、トループス級ドラゴンの軍勢の物量も生半可なものではないでしょう。激戦が予想されますわ」
 ディアボロス達には、なんとか軍勢の攻撃を凌ぎ切ってもらいたい。
「いずれ訪れる逆襲の機会のためにも、ね。ちなみに、トループス級ドラゴンの軍勢は、『蒼炎のジャッカー』のようですわね。炎を武器に、皆様との戦力差など無視して、後先考えずに襲い掛かってくるでしょう」
 そして、指揮官は『鎌斬卿・ズィフェルス』が担っているようだ。
「こちらも火力に自信のあるタイプのドラゴンですわね。『蒼炎のジャッカー』と比較すれば、相応の知能も有しているようですわ」
 とにかく、ディアボロスと相対した『蒼炎のジャッカー』は、それこそ湯水の如く襲い掛かってくるだろう。
「前衛の『蒼炎のジャッカー』を撃退し、その背後のいる『鎌斬卿・ズィフェルス』を仕留めれば、きっと樹木砦が完成するまでの時間を稼ぐ事ができるはずですわ」

「スカアハ嬢の行動や言動にも多少は慣れてきましたが、それにしても樹木砦をドラゴンの目の前で育て始めるとは思いませんでしたわね」
 対ドラゴン戦において必要なのも理解できるが、さすがに悠長すぎるのではないか? カトリーヌは小声で言って、「はぁ」と嘆息する。
「ですが、無事完成すればワタシ達にとっても有益である事は間違いありません。今は細かい所には目を瞑り、やれる事をやりましょう!」

●大群襲来
 見上げれば、空が紅に染まっていた。
 その紅は、高速で移動している。
 他でもない、ディアボロス達が守らなければならない樹木砦へ向けて――。

「燃えろ、燃えろ燃えろ燃えろ!」
「塵一つ残してはおかぬ!」
「紅蓮に沈め!」

 空を覆い尽くす程の紅は、殺意を剥き出しにして哄笑する。
 それでようやく、その紅がドラゴン――蒼炎のジャッカーである事に気付き、樹木砦にエネルギーを注ぎ込んでいたフローラリア達の総身に怖気が走る。
 やがて紅の軍勢は、膨大な熱量を伴なって、すぐ傍へと迫ってくるのであった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【悲劇感知】
1
「効果LV×1時間」以内に悲劇が発生する場合、発生する場所に、ディアボロスだけに聞こえる悲劇の内容を示唆する悲しみの歌が流れるようになる。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【エイティーン】
1
周囲が、ディアボロスが18歳から「効果LV×6+18」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【無鍵空間】
1
周囲が、ディアボロスが鍵やパスワードなどを「60÷効果LV」分をかければ自由に解除できる世界に変わる。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【防衛ライン】
1
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。

効果2

【能力値アップ】LV3 / 【ダメージアップ】LV2 / 【ガードアップ】LV1 / 【反撃アップ】LV1 / 【リザレクション】LV1 / 【ダブル】LV1 / 【ロストエナジー】LV2

●マスターより

ハル
 お世話になっております、ハルです。
 今回は、スカアハ達が樹木砦を完成させるまでの時間を稼ぐための、純戦闘シナリオになっております。

 ①樹木砦建設中のスカアハと会話する
 攻め寄せるドラゴンの軍勢を迎撃する前に、スカアハと会話する事が可能です。
 スカアハに何か尋ねたい点、お願いなどがあれば、ここで!
 複数プレイングをかけて頂けた場合、最もよい判定結果の1プレイングを採用する形になります。ご了承ください。
 
 ②大群のトループス級『蒼炎のジャッカー』
 フローラリアを護衛しつつ、撃破してください。

 樹木砦は、スカアハが持ってきたクロノ・オブジェクトです。
 強い世界樹の加護を持つ『樹木砦の種』を地面に埋め、フローラリアがエネルギーを注ぎ込む事で、強力な砦に成長するという植物型クロノ・オブジェクトとなっています。
 戦闘中も迎撃に出たフローラリア以外はエネルギーを注いでいるので、トループス級を撃破しつつ、守りにも意識を割いて頂ければ!
 フローラリアも迎撃に出ていますが、ほとんど戦力にはなりません。
 オープニングの最後の章を参考にプレイングをかけて頂ければ!

 ③アヴァタール級との決戦『鎌斬卿・ズィフェルス』
 撃破してください。
 蒼炎のジャッカーを飛び越えて当選択肢③の『鎌斬卿・ズィフェルス』に襲撃をかける事も可能ですが、その場合は『蒼炎のジャッカー』が支援として登場し、大乱戦となる可能性があります。

 皆様、興味を惹かれた選択肢に、工夫をこらしたプレイングを頂ければと願っております!
43

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


ハインツ・ゼーベック
連携・アドリブ可

【地形の利用】【撹乱】【塹壕掘り】を利用して砦の建築に助言しつつ、お願いしよう。
「我々としては情報が欲しくてね」
何がほしいとは言わない。さすがに何も知らないでは舐められる。
「なので、タイミングはそちらに任せよう。――君たちの断片の王と対話がしたい」
「ああ、暗殺などはしないよ。こちらから会談を申し込んでおいて暗殺など、我々もそこまで恥知らずではない」
晴明の言っていたことが全て真実だとは思えないが、嘘と断じる材料すらない。今は少しでも情報を得たい。
「ジェネラル級でも通る願いではないだろうが、頼む」


●対話
「これが樹木砦かな?」
 救援機動力でスカアハ達の陣地に訪れたハインツ・ゼーベック(好奇心は猫を殺す・g00405)が、作業中のスカアハの背に問いかけた。
「正確には、現段階ではその種、だがな」
 どうやらスカアハは、声をかけられる前からハインツの気配を察していたらしい。その返答に、淀みは感じられない。
「砦の建設……いや成長か。に関して助言をしたいが、どうだろう」
「例の『近代戦』とやらか。反映できるか保証はできぬが、聞くだけ聞いておこう」
 ハインツは、フローラリア達が樹木砦の種にエネルギーを注ぐ姿を横目に見ながら助言する。
 彼らフローラリアの頬には、冷や汗が流れていた。当然だろう。そう遠くない位置から、ドラゴン共が放つ殺意の籠った絶叫が響き渡っているのだから。
 交戦の時は近い。
「……ふむ。なるほど、な?」
 だが、助言を聞くスカアハの表情は真剣そのものであったが、口から出てくるのは生返事ばかり。
(「スカアハが私の助言を理解してくれたかは一先ず置いておこう。それよりも、そろそろ――」)
 ドラゴンの咆哮を耳にしたハインツは、本題に入るべきだと話題を転換する。
「我々としては情報が欲しくてね」
「ほぅ。して、その情報とは?」
「……」
 問われ、ハインツは様々な事を知っている風な顔を浮かべ、あえて暫しの間を作った。
「タイミングはそちらに任せよう。――君たちの断片の王と対話がしたい」
「対話、か」
「ああ、暗殺などはしないよ。こちらから会談を申し込んでおいて暗殺など、我々もそこまで恥知らずではない」
 スカアハが、暫し考え込む。
 仮に対話に至れなくとも、断片の王に重要な用があるのだとスカアハが錯覚してくれれば、それも良し。
「ジェネラル級でも容易に通る願いではないだろうが――」
「――ドラゴン共を蹂躙した後、世界樹が元に戻って安全になれば、そういった事も可能になるだろう」
 しかしスカアハは、存外あっさりとハインツの願いを聞き入れた。
 その表情に、危機感といったものはあまり感じられない。
「易々と受けてしまってもいいのかい?」
「特段問題はないだろう。暗殺など、しないのであろう?」
「無論だ」
「ならば、全てが元に戻れば、会談等も不可能な事ではないだろうな」
(「全てが元に、か」)
 ハインツは、スカアハが口にしたその一点に靄を感じつつも、
「では、その時は頼む」
 平静を一切崩さぬままそう告げ、紅に染まり始めた空を見上げた。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【防衛ライン】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!

シル・ウィンディア
まぁ、相変わらずの大軍だことで…。
後ろに通すわけにはいかないから、がんばらないとねっ!

飛翔の効果で上空に舞い上がって、空中戦機動で動いていくよ。
飛ぶのが得意なのは、あなた達だけじゃないんだからねっ!!
そのまま、高速詠唱で隙を減らした、天翔残影砲を残そうを生み出しつつ使用していくよ。

攻撃後、こちらに敵の視線を集められたら、少し前進してさらに気を惹くように動いていくよ。
敵攻撃は、光の翼での防御(ガードアップ)でダメージを減らしていくね。

後ろには通さないよ!
ここを通りたかったら、わたしをどうにかすることだね。
ま、簡単に通すわけはないんだけどねっ!!


アンゼリカ・レンブラント
数頼みとは本当にだらしないドラゴン共だね

飛翔の効果を受けダッシュ、
竜に迫りパラドクスの光剣の斬撃!
貫通撃となるよう剣を振り切り、
撃破に至らない時は反撃をしっかり障壁で凌いで一撃離脱、
すかさず次の目標に斬りつけていくね

空を翔け前衛で戦うけど、
敵に囲まれ一斉に攻撃を浴びないよう注意
共に戦う仲間と攻撃を合わせ、支援を受けられる位置取りを保ち
1体1体確実に切り伏せていくさ!
後ろには抜かせないよ!私達がいる

時にフェイントも駆使した撹乱をメインに、
仲間の必殺の攻撃の呼び水となるよ
敵の隙を見れば私がめいっぱい強打と臨機応変に!

消耗の多い個体へ呼吸を十分に整えた
《飛翔光剣斬》で両断だーっ!
さぁ、次は大物かな?


霧宮・悠希
・SPD

──狩りの時間だ。

このディヴィジョンに来るのも久しぶりだ。……今はフローラリア達との共闘、になるのだろうか。
樹木砦の防衛にフローラリア達の護衛。両方ともやらなきゃいけないのは大変だけど、要するに。

やられる前にやればいい。
【復讐者の狩り】を見せてやる。

前線でドラゴンの大群を迎え撃つ。
「狩人」で対空射撃。機関砲で弾幕を張るとともにミサイルを連射。牽制や誘い込みだけでは済まさない、当たればそのまま砕いて墜とすつもりだが……、
向かってくる、望むところ。
「執行人」を構える。敵が距離を詰め、こちらを薙ぎ払う……その直前に、こちらから飛び込む。
跳躍。身体ごとぶつける勢いで、貫いてブチ抜いてやる……!


ガンドラ・ブラッディア
堅牢な要塞に対し、勝ち筋を得る為の、必要リスクと、捉えよう。
敵も困るからこそ、こうして向かって来ている。
ならば我輩に、迷う理由なし。

戦覇横掃を、発動。飛翔の残留効果を借り、飛び回りながら呪槍を振るい、ジャッカーを複数薙ぎ払い、叩き落とす。
敵の勢いを削ぎ、此方は士気を上げ、確実に数も減らしていくのだ。
我輩の翼も、飾りでない事を、この空中戦で証明しよう。

厄介な炎も、槍を振るっての迎撃、或いは回避を考えた動きをしつつ、最低限の減衰を。
貴重な自然を、燃やしてくれるな。天から落ちろ、地に伏せよ。
その炎の熱、我輩らの想いの熱に、届くに能わず。


●迎撃
「まぁ、相変わらずの大軍だことで……」
 大空を覆い尽くすほどの紅の軍勢に、シル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)は呆れたように肩を竦めていた。
「そう言うな、シル。ここは、発想を逆転させるとしよう。現状を勝ち筋を得る為の、必要リスク。そう捉えるべきだろう。あの竜共も、砦が完成すると困るからこそ、こうして向かって来ている」
 ゆえ、今はディアボロスが受けに回っているが、切迫感に駆られているのはドラゴン勢力も同じであると、ガンドラ・ブラッディア(黒矛・g03101)が告げる。
「なるほどね。あの砦には、やっぱり大群を動かすだけの価値があるのかもって事か」
 アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)は【飛翔】して軍勢――蒼炎のジャッカーを視界に収めつつ、足元で樹木砦の種にエネルギーを注ぐフローラリア達の様子を窺う。
「まだまだ時間はかかりそうだね」
 フローラリア達も全力で事を成しているが、やはり樹木砦は一朝一夕で出来上がるものではないらしい。
 ならば、
「──狩りの時間だ」
 霧宮・悠希(小さき復讐者・g02383)は、中性的な相貌に宿る瞳に折れない心を築く。
「何にせよ、やられる前にやればいい。そういう事だろう?」
 構える悠希の姿が、蒼炎のジャッカーの軍勢へと真っ向からぶつかった。

「燃えろ、蒼炎に焼き尽くしてやっ――」
「数頼みとは本当にだらしないドラゴン共だね!」
 悪意に塗れた怒号を上げて急速接近してくる蒼炎のジャッカー。その軍勢の先頭に立つ個体を相手に、アンゼリカの光の大型剣が振り下ろされる。
「裁きの光よ、空を翔ける翼と共に剣となり、全てを斬り裂けぇっ!」
 そして、瞬く間に一刀の元に斬り伏せた。
「次っ! 後ろには抜かせないよ、絶対に!」
 無様に地に堕ちていくジャッカーをアンゼリカは一顧だにせず、背中の1対の光の翼で高速移動。次の目標の背後に回る。
「はいはーい、あなた達は空を支配しているつもりなんだろうけどさ。飛ぶのが得意なのはあなた達だけじゃないんだからねっ!!」
 アンゼリカと入れ替わる様に、シルがジャッカーの目を引き付けて舞う。
「っ、ディアボロス如きが、ちょこまかと……!」
「そのちょこまかとした動きについてこられなくて残念ね。機動力が足りないんじゃないかな?」
 さらには、残像を生み出しつつシルが、光の精霊の力を展開させる。タメが短く、隙の少ない魔力砲撃が、4体の蒼炎のジャッカーを一斉に撃ち抜いた。
「グッ、ォォッ!」
 とはいえ、撃ち抜かれた蒼炎のジャッカーも、やられっぱなしで黙っているような性質ではない。
 口から吐き出された炎が刃と化し、シルを襲う。
 しかし、その炎の刃はシルに直撃する事は無く――。
「魔力砲撃か。いい射撃だったな。そのぶち当てる相手がクロノヴェーダなら、なおさらそう思う」
 それよりも先に、ジャッカーは復讐者の狩人によって、憐れな獲物とされていた。
「――逃がさない」
 大型の複合兵器……狩人から一斉に撒き散らされた弾幕が、ジャッカーの巨体を穿つ。
 大量の弾幕に押され、逃げ惑うジャッカー。
「言っただろ、逃がさないって。……そうだ、向かって来いよ」
 それは、牽制や誘い込みにあらず。
「小僧がぁ! 吹き飛ばしてやる!」
 しかし、たまらず発射元に向かって尻尾を振り乱して反撃してくるジャッカーを、悠希は「望むところ」だと言いたげに口元を歪めて応戦。跳躍し、零距離で狩っていく。
「お、お、おおお、おのれぇェェェエエエ!!」
 次々と、群がる蠅を叩き落すが如くジャッカーを撃破するディアボロス。だがジャッカーに後退の二文字はない。ただただ愚直に突っ込んでくるのみだ。
「その勢い、我輩の手で削がせてもらおうか」
 殺到するジャッカーを、飛行するガンドラが振るう呪槍が迎え撃つ。
「この背の先には守らなければならない存在がいる。例えそれがフローラリアだとしても、共に戦うと決まった以上、我輩も応えよう。少なくとも、今はな」
 戦場の覇者の如き勢いで薙ぎ払われる呪槍が、ジャッカー2体を軽々と弾き飛ばした。
「それにな、我輩の翼も飾りではない。仲間にだって遅れは取らぬ。ましてや――」
 トループス級のドラゴンに負ける道理などない! 
 竜たる気迫を持ってガンドラは、ジャッカーを屠り、味方を鼓舞した。

●圧倒、そして
「口ほどにもない。その炎の熱、我輩らの想いの熱に、届くに能わず」
 ジャッカーが両の手の玉から反撃に放つ炎弾をガンドラが最小限の挙動で回避する。
 動きで攪乱し、隙をついてアンゼリカが光の大型剣でジャッカーを両断。
「フローラリアさん達の様子はどうだっ?!」
 そうしながら、集中を切らさぬ様に問うた。アンゼリカ達は、ジャッカーを自分達が定めたラインを超えての侵入を許してはいないはずだが、油断はできない。
「大丈夫、後ろには通してないよっ! ……ま、簡単に通すわけはないんだけどねっ!!」
 シルはフローラリアの状況を確認し、前衛が撃ち漏らしたジャッカーを魔力砲撃の連射で一気に仕留めた。
「樹木砦の防衛にフローラリア達の護衛と、やらなきゃいけない事が山積みだったが、ようやく視界にドラゴン以外の存在も映るようになってきたな」
 悠希から見て、フローラリアがエネルギーを注ぐ樹木砦の種も、少しづつではあるが変化を示していた。まだ小規模であるが、砦という名に相応しい姿へ成長の兆しを見せているのだ。
「そうだな。そして、トループス級の背後に控える指揮官の存在を感じる」
 ガンドラが、呪槍で2体のジャッカーを蹂躙する。
 粗方のジャッカーを撃破した事で、彼女の青い瞳はジャッカーとは一線を画す強者の姿を映し出していた。
「さぁ、次は大物かな?」
 アンゼリカは、強大な気配を察して上空を見上げるフローラリアの迎撃部隊に力強い頷きを返すと、接近してくる刃のドラゴン――『鎌斬卿・ズィフェルス』に向き直るのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV2が発生!
【操作会得】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV2が発生!

ユダス・イグノティウス
【飛翔】と【空中戦】と【一撃離脱】により、空中を高速で滑空しながら相手の攻撃を回避しつつこちらの攻撃を叩き込む。
【高速詠唱】と【全力魔法】により、二つの刃を連結し巨大な剣槍とし、魔法で強化。
【戦闘知識】と【薙ぎ払い】と【斬撃】により、回避が難しい攻撃はこちらの武器で薙ぎ払い食い止める。

遅れてすまない。ここから先の我が働きをもって、償いとしよう。

我が名、モルドレッダ。
竜を屠るもの。
鎌斬卿ズィフェルス。
その力、簒奪する。


その刃で、さぞ多くの戦功を立てたのだろう。
故に、今度はお前が。
竜殺しの刃に、倒れる時だ。

アドリブや絡み歓迎。


ガンドラ・ブラッディア
お出ましか。後ろでふんぞり返る、それだけの輩では、ないらしい。
不足無し。我輩らは、目的を押し通す為、お前を此処で倒す。
行くぞ……!

一撃一撃が、まともに受けるのは、危険だな。
呪眼竜圧、発動。
飛翔の効果で、飛び回りつつも、奴を視界に入れ続け、圧し潰す。状況に応じ、圧力を一瞬解除し、力を空回りさせ、攪乱する手も、用意しておこう。
鈍った動きの、隙を逃すことなく、そのまま呪槍にて、攻撃を加える。一撃離脱は、無論基本だ。
或いは、攻撃を防ぎ、躱していく。少なくとも、致命傷は避け、反撃にも繋げる。

どうした。鈍っているぞ、その刃。そんなもので、砦の草刈りが、出来ると思うな。



「お出ましか。後ろでふんぞり返る、それだけの輩では、ないらしい」
 ガンドラ・ブラッディア(黒矛・g03101)は、ディアボロス達の間合いに入りつつある鎌斬卿・ズィフェルスを睨め付けた。
「ディアボロスは大言壮語を好むようだ。もしや我が配下共を殺した程度で、いい気になっているのではあるまいな……?」
 対する鎌斬卿は、全身に備える必殺の刃の標的をガンドラに定める。
 竜であるガンドラにも、確かにその刃の脅威は感じ取る事ができた。
「不足無し。我輩らは、目的を押し通す為、お前を此処で倒す。行くぞ……!」
 が、彼女に一切の躊躇はない。不器用なガンドラにできる事は多くはない。まして、相手がクロノヴェーダとなれば、刃を交える以外に道はなし。
(「とはいえ、あの刃。考えも無しに正面から受けに回るのは――」)
 危険であり、愚策。
「竦め。その咎を、圧し潰す」
 そう判断したガンドラは、鎌斬卿と合わせていた視線に、竜としての力と呪いを込める。
「グッ?!」
 途端、鎌斬卿の挙動に僅かな歪みが生じた。
「……貴様」
「どうした、何か起こったか?」
 ガンドラは先ほどから、何らかの異常をきたした鎌斬卿から視界を外さない。鎌斬卿もその視線に何かがあるのだと察して素早く周囲を飛行するが、逃れられない様子。
(「仕掛けるなら、今……!」)
 鎌斬卿が行動を起こす前に、ガンドラの呪槍が鎌斬卿を圧する。
「チッ!」
 舌打ちをする鎌斬卿を尻目に、ガンドラは悠然とその場を一旦離脱。
(「だがな、我輩の本当の狙いは、これで終わりではないぞ?」)
 そう、ガンドラの二つ目の狙いは、鎌斬卿の頭上から訪れた。
「遅れてすまない。ここから先の我が働きをもって、償いとしよう」
 その者の名は――。
「我が名、モルドレッダ。竜を屠るもの。鎌斬卿ズィフェルス。その力、簒奪する」
「上か!」
「いかにも」
 モルドレッダを名乗る騎士システム――ユダス・イグノティウス(code:ダブルクロス・g03967)は、鎌斬卿を相手に空中戦を仕掛け、上をとっていた。高度を利用して滑空したユダスは、その勢いのまま、竜をも屠る一撃を鎌斬卿に叩き込む。
(「堅い、か」)
 しかし、鎌斬卿はアヴァタール級であり、配下のように容易に致命傷を負わせる事は困難。
 また、逆に。
「その程度か!」
 ただでさえ大柄で頑強な全身の筋肉をさらに膨らませ、その筋力を十全に込めた大ぶりな刃の一太刀が、ガンドラとユダスを襲う。
「……っ」
「なるほど。その刃で、さぞ多くの戦功を立てたのだろうな」
 ガンドラの肢体が斬り裂かれ、ユダスは盾とした武器の上から全身鎧の一部を両断されていた。
「ガンドラよ、手を貸して欲しい」
「分かっている。――呪眼竜圧、発動」
 鎌斬卿が強固であるなら、その強固さを上回れる程、何度でもパラドクスで攻撃を加えてやればいい。
「ヌッ! 小癪な者共が!」
 ガンドラの呪眼で再度制約を課された鎌斬卿に向け、ユダスは竜骸剣を連結し、大槍剣を成す。さらに、彼が口ずさむ【高速詠唱】と【全力魔法】により、エンチャント。
「今度はお前が。竜殺しの刃に、倒れる時だ」
 振るわれた大槍剣による屠竜撃は、鎌斬卿の外殻の一部を破損。身に纏う刃を数本破壊した。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!

ハインツ・ゼーベック
連携・アドリブ可

「さて、条件付き・口約束といえども乗ってもらったからには働かないとな」

「私が前に出なければならんのが不便ではあるがね」
攻撃準備破砕射撃の前段階として砲撃部隊等を呼び出して展開。その後、ズィフェルスを挑発。

「来たまえカマキリ君、それともこの枯れ枝一つ刈り取れんか?」

相手の突進に合わせてパラドクス発動。確率的に相手が死ぬというだけの弾丸を集中させる射撃だ。いかにドラゴンとはいえ屠れぬものではない。
とはいえ逆説連鎖戦。反撃は召喚した兵士の一人を影武者にし、サーヴァントの肉盾、電磁シールドでなんとか防ぐぞ。



 ガンドラ・ブラッディアとユダス・イグノティウスによって鎌斬卿・ズィフェルスへと痛打が加えられるのを確認し、学者然と戦況を伺うハインツ・ゼーベック(好奇心は猫を殺す・g00405)は「見事」と仲間を賞賛した。
「とはいえ、条件付き・口約束といえども、スカアハに乗ってもらったからには私も働かないとな」
 スカアハが求める条件を満たせるかと言えば、怪しい所ではある。
「しかし、手札はいつくあっても困る事はない。まぁ、その第一歩として、私が前に出なければならんのが不便ではあるがね」
 と、タイミングを同じくして、ディアボロスの仲間に向いていた鎌斬卿の敵意が、ハインツに移る。
「我の前で高みの見物を気取るなど、到底許せるものではないぞ!」
「そんなつもりはないのだがね。私には、私の戦い方というのがあるのだよ」
 ハインツが、飾り紐のついた黒い指揮杖を掲げる。
「このようにね」
 すると途端、ハインツが思い描いていた計画通り、砲撃部隊等が戦場に展開される。
「来たまえカマキリ君、それともこの枯れ枝一つ刈り取れんか?」
「カマ――!? ク、フハハッ、よくぞ言った! 殺してくれるわぁ!」
 挑発に、激昂する鎌斬卿。
 激昂の元凶たるハインツは、穏やかな微笑をもって鎌斬卿を迎え入れた。
 攻撃準備破砕射撃というパラドクスを添えて。
 向かってくる鎌斬卿に、準備された機関銃、砲撃による弾幕が殺到する。
「グヌヌッ……! グガァッッ1」
「いかにドラゴンといえど、無傷ではいられまい」
 やがて砲撃が一段落し、煙幕粉塵が晴れたそこには、少なくない傷を負った鎌斬卿の姿。
 しかし、鎌斬卿の宿す殺意は、蓄積されるダメージとは裏腹に増幅するばかり。
「斬り刻んでやろうッッ!!」
 鎌斬卿が、四肢や翼の刃を総動員し、ハインツを解体するべく襲い掛かる。
「そうくるであろう事は予想できていた。フュースリー、準備はできているかな?」
 鎌斬卿の時空を歪めての反撃を、ハインツはメーラーデーモンのフュースリーが盾に構える電磁槍や、電磁バリア装置を駆使してやり過ごす。
「ふむ。どうやら君は、正真正銘のカマキリ君だったようだね」
「こ、このぉぉッ! ディアボロス風情が……!」
 被害を最小限に抑えて見せたハインツは、悔しがり、また驚愕を露わにする鎌斬卿を煽る様に告げるのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【悲劇感知】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!

シル・ウィンディア
ここの本命が来たかぁ~。
まぁ、ここから後ろには通すつもりはないからね。
それに…
あなたは、ここでおわりだから、あとのことは考えなくていいよ?
失敗して怒られるとかね。

飛翔の効果で上昇してから空中戦機動っ!
敵の周りを飛び回りつつ、足を止めずにパラドクス砲撃で攻撃。

敵の攻撃は回避を試みつつ、完全回避は出来ないから、光の翼での防御(ガードアップ)を行って、致命箇所を防ぎつつ反撃もしっかり行うよ。

攻撃を仕掛けつつ、敵がふらついてきたら…
高速詠唱で隙を減らしてからの
全力魔法での七芒星精霊収束砲!

新しい力、新しい魔法…。
試し撃ちさせてもらうからね。
…わたしの限界突破の一撃、さぁ、もっていけーーっ!!


霧宮・悠希
・WIZ

大群を撃破したところで作戦は大詰め、相対するはドラゴンの大物。
残留効果も駆使しながら仕掛けるとする。特に機動力を高める『飛翔』、クロノヴェーダの侵攻を邪魔する『防衛ライン』辺りは有効だろうか?

何も無しに真っ向からぶつかるのは、流石に力負けするかもしれない。
だからこそ。衝動で、念動力で、その他の異能で、……祈りと狂気で、現実を塗り潰す。【オーバーライト】……!

「認めない。僕は、お前を、認めない……!」

クロノヴェーダの存在を、力を否定する。その巨体も全身の刃も、見掛け倒しに過ぎないものだと改変してやる。
力を削いだところで「狩人」を向け、機関砲とミサイルランチャーの一斉射撃。──消し飛べッ!


アンゼリカ・レンブラント
さぁ来い大物!
ここから後ろには通さない、
仕留めさせてもらうよ!

飛翔し近接戦を挑んでパラドクスの光剣で斬る!
反撃も身を包む障壁でしっかり凌ぎ、
一撃離脱して隙を伺い再度斬りこんでいくよ

仲間のここまで与えたダメージは軽くないはず、
それを抉るように貫き、
遠距離攻撃の仲間の援護を受けられる位置取りを守り
確実に消耗させていくともっ!

ただの数頼みではなく、1人ではない、心強い友がいることが
私たちの何よりの強ささ
勇気全開!けしてあとにひかず戦っていくよ

敵の消耗が見えてきたら、仲間の必殺の砲撃に合わせ
呼吸を整え最大まで力をためた《光剣収束斬》で両断を狙うよ!
私たちはドラゴン達には決して負けない、これで決着だっ!



 ハインツ・ゼーベックに名を揶揄され、憤怒を見せる鎌斬卿・ズィフェルス。
 しかしその間も鎌斬卿の懐へ、飛翔したディアボロス達は踏み込んでいた。
(「挑発のおかげか、鎌斬卿がフローラリアたちのとこへ奇襲をかける気配はないみたいだね。でも、あたまは悪くないって聞いているし、油断はできない……!」)
 最終的に鎌斬卿を仕留める事に成功しても、樹木砦を守り切れなければ今回の作戦は失敗したようなもの。鎌斬卿の視線を追うシル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)は、そういった諸々を思案しながら口を開く。
「そんなに怒る必要はないと思うな。どうせあなたは、ここで終わりだから。……あぁ、あとのことも考えなくていいよ? 失敗を怒られるとかね」
「どいつもこいつも、聞くに堪えんわ……!」
 鎌斬卿の敗北を前提としたシルの言に、鎌斬卿は今にも狂乱しそうな気配を漂わせる。
 シルはクロノヴェーダにだけは言われたくはないと、高度を上げて縦横無尽に飛び回りながら、七芒星精霊収束砲を放つ。
「空中戦機動力もトループス級とは比べ物にはならないね、知ってたけど!」
 ――が、鎌斬卿が即座に全躯の刃で斬り返し、シルの眉根を苦痛で歪めさせた。
(「ドラゴンの大物らしい気配に反撃。その点は認めるしかないな。仲間が言ってたように、真っ向からぶつかってたら、流石に力負けするかもしれない」)
 霧宮・悠希(小さき復讐者・g02383)は、ならばと、ありとあらゆる計略を検討。
「さぁ、仕留めさせてもらうよ! シルさんは、その間に体勢を立て直して!」
 と、その時。アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)が構築した身の丈以上の巨大な光の剣が、鎌斬卿へと豪快に振り下ろされる。
「火力には一家言あるんだろうけど、それは私も同じ! 喰らえ、ドラゴンっ! うぉおおおおーー!」
「グォッ!??」
 光剣が叩きつけられた瞬間、アンゼリカの鍛え上げられた肢体が躍動する。綺麗に割れた腹筋が、彼女の努力の程を言葉以上に物語っていた。
 やがて、ズルリと。
 鎌斬卿の外殻から、光剣が飲み込まれていく感触がアンゼリカの掌に伝わる。
 だが、頑強であるはずの肉体が斬り裂かれようとしていると察した鎌斬卿の反応も早い。
「我に接近戦を挑んだ事、後悔するがよい!」
「ぐっ、あっ?!」
 勇気をもって、逆にアンゼリカの間合いの内に巨体の一部を滑り込ませた鎌斬卿が、鋭い爪の一太刀を振るう。障壁と鎧を物ともせず、アンゼリカの肌が斬り裂かれた。
 宙を舞う鮮血を見て、口元を歪めて牙を剥き出しにする鎌斬卿。
「――認めない。僕は、お前を、認めない……!」
 だが、歪んだ表情は、すぐに不快さによって覆い隠される。
 鎌斬卿が振り向くと、そこには悠希の姿。
「力が及ばないなら……。念動力で、その他の異能で、……祈りと狂気で、現実を塗り潰す。【オーバーライト】……!」
 悠希が呟く文言は、クロノヴェーダを否定するそれ。彼が行使するオーバーライトは、様々な現実を改変する。
 それは例えば――。
「お前が見掛け倒しに過ぎない……! 堅固でも無ければ素早くもない……!」
「……ッ、き、キ、貴様……ッ!」
 全てとはいかずとも、僅かながらに改変された悠希の世界。
「──消し飛べッ!」
 『狩人』から放たれた一斉射撃が、鈍い鎌斬卿の視界を埋め尽くす。
「今……~~ッ」
 仲間へ追撃のチャンスであると伝えようとした悠希。しかし彼の小柄な肉体は、次の瞬間には鎌斬卿が決死の形相で放った尻尾の刃達によって斬り刻まれる。
 だがディアボロスにとって、クロノヴェーダが見せた隙は明々白々であり、充分すぎた。
「消耗が見えてきたな!」
「うん、これまで戦ったみんなのおかげでもあるね! そして新しい力、新しい魔法……。試し撃ちさせてもらうからね」
 ──六芒星に集いし世界を司る6人の精霊達よ、過去と未来を繋ぎし時よ…。集いて虹の輝きとなり、すべてを撃ち抜きし光となれっ!!
 高速詠唱するシルによって、6属性の属性エネルギーが束ねられる。やがてそこに時の力まで上乗せされた新しい増幅魔法は、展開された四対の魔力翼の輝きに支えられ、鎌斬卿の肉体の一部を根こそぎ攫っていった。
「認めないって言ってるだろう……!」
 さらには悠希のオーバーライトが、鎌斬卿の現実を書き換え、思う様な行動を許さない。
「ただの数頼みではなく、1人ではない、心強い友がいることが私たちの何よりの強さ。勇気全開!」
 アンゼリカの金の瞳には今や、鎌斬卿の全てが晒されていた。
 ディアボロス達を見上げる鎌斬卿が「……アァ」と、死を覚悟するような深い息を溢す。
「私たちはドラゴン達には決して負けない、これで決着だっ!」
 巨大な光の剣が、鎌斬卿の首筋に一閃。
 飛行する鎌斬卿の肉体からボトリと、地上に向けて命と共にそれは零れ落ちるのであった。


「よし、これで一件落着──とはいかないんだよね?」
 アンゼリカが、樹木砦にエネルギーを注ぐフローラリア達の姿を眺める。
 砦は形になりつつあるが、もう少々の時間が必要のようだ。
「ここまで守り抜いたんだ。樹木砦が完成する最後まで付き合うさ」
 悠希が言った。
「ドラゴンの襲撃は第二陣、三陣とあるだろうが、迎撃するのみ、だな」
 完成までは、そう長い道のりという訳でもないだろう。
「だねっ……! 本番はむしろ、樹木砦が完成したあとなんだし」
 シルは樹木砦を見上げ、究竟竜ラモラック卿を始めとした強大な竜が集い始めているというエアーズロックを思うのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【無鍵空間】LV1が発生!
【エイティーン】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV3になった!
【リザレクション】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2022年09月15日