リプレイ
神鳥・猛璃
「そこまでだ!」
民衆を鞭打っている『ブルートファング』に割って入るように【突撃】し、『パシエル』に避難誘導を任せる。
「自由と平和を取り戻す為、俺は貴様らに反逆する!ライズアップ!仮面ライザー『エヴェルソル』!」
『ブルートファング』の攻撃を掻い潜り、具現化した業火手甲剣『レーヴァテイン』を
肉体変異と魔力の硬質具現化による装甲装着を特撮ヒーローの変身の様に扱いポーズと名乗りで民衆を鼓舞する。
「暴喰の炎舞に飲まれるがいい!ライザースラッシュッ!!」
具現化した業火手甲剣『レーヴァテイン』を鎖鋸刃形態『クルッジ』に変化させ【解体】、【破壊】し、最後は魔骸闘法『暴喰炎舞斬』による連続【斬撃】で灼滅する。
作業を続けられなければ、待っているのは罰だけだ。
農園の畑。
その一角で、農奴が疲労に倒れ込む。するとその傍にクロノヴェーダ――ブルートファングが歩み寄っていた。
振り上げるのは鞭。力尽くで農奴を作業に戻らせようというのだろう。
――が。
「そこまでだ!」
風を裂くように声が劈いた。
塀を飛び越え、灰色の空にシルエットを見せたその主は――神鳥・猛璃(仮面ライザー『エヴェルソル』・g06703)。
業火のマフラーを煌々と耀かせ、紅蓮の光を棚引かせながら……ひらりと舞い降りてブルートファングの眼前に立ちはだかっていた。
朦朧と顔を上げた農奴へ、横顔だけを見せて。
「もう大丈夫だ。ここは任せろ」
言葉と共にオラトリオのパシエルを羽ばたかせ――安全な距離まで避難を始めさせる。
ブルートファングは猛璃を即座に邪魔者だと判断したろう、強い敵意を見せるが……猛璃は真っ直ぐに相対したまま、腕を翳して勇壮に体勢を取ってみせた。
「自由と平和を取り戻す為、俺は貴様らに反逆する!」
瞬間、意志に呼応するように焔が一層眩く滾る。
「ライズアップ! 仮面ライザー『エヴェルソル』!」
変異する肉体に力が漲り、体を纏う装甲が黒く照り輝く。掲げた手の甲から具現化されるのは……熱く揺らめく業火手甲剣『レーヴァテイン』だった。
敵も目を見開いて、鮮血のオーラで獣を象り攻撃を目論む。だが猛璃はそれを許さぬ速度で走り――レーヴァテインを鎖鋸刃形態『クルッジ』へ変化させていた。
「暴喰の炎舞に飲まれるがいい! ライザースラッシュッ!!」
撓る業火の刃が縦横無尽に奔る。
その熱と鋭さは鮮烈にして苛烈。直撃を受けたブルートファングは体を千々に切り裂かれ、悲鳴と共に霧散していった。
それは紛う事なく、氷雪の地獄に現れた希望の炎。
農奴達はその眩さに、救いが訪れたと確かに実感した事だろう。一人、また一人とその顔を希望で満たしていく。
周囲の敵は憎しみを浮かべて猛璃へと迫ってくるが……猛璃は怯まなかった。
「どれだけ来ようとも、同じ事だ!」
――魔骸闘法『暴喰炎舞斬』。
自ら敵の只中へ走りながら、レーヴァテインを二刀流にして。疾駆しながら灼熱の連続斬撃を見舞っていく。
火の粉の軌跡を描いて奔る焔は、悪の命を喰らい尽くす炎熱。その熱さと衝撃で全てを焼き払うように、ブルートファングを跡形もなく消し炭に変えていた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
アストリッド・ヴァルトシュタイン
……その名を聞いたなら、動かない訳にはいきませんね。
まずは親玉を引っ張り出すまで敵戦力を削りましょう。
素早い動きは驚異ですが、避けるまでもありません。
わたしの戦車だって結構速いんですよ。
この相手に詭道は不要。正面から捻じ伏せて我々の力を示しましょう。
農園をパラドクスで強化された戦車にて強襲し、敵集団を文字通りに蹂躙。
強化された足回りは彼らの動きにだって追いついてくれることでしょう。
敵の攻撃は装甲に任せ、戦車搭載機銃の【薙ぎ払い】で牽制しつつ真っ向より激突、或いは轢きます。それでも耐える相手には【グラップル】するかのように壁際に追い込み、逃げ場を封じた所から砲撃を加えて【破壊】してやりましょう。
風が冷たさを帯びてきた。
雪の勢いは増すばかりで、自然も慈悲を与えてはくれない。
戦いが始まる直前。人々を隷属させるその農園を……アストリッド・ヴァルトシュタイン(Löwenzahn・g04015)も雪原から見据えていた。
(……“農場主”は奥、か)
その首魁の名を心に呟く。
それを聞いたから、ここへ来ない訳にはいかなかった。
故にこそ今は――。
「親玉を引っ張り出す為に……目の前にいる敵から、ですね」
敵影は既に視界に捉えている。
農奴達の間を練り歩いているブルートファングの数は、こちらと比べて多勢だ。だが無論、それはアストリッドが怯む理由にはならず。
「――では」
鉄兜を被り直し、傍の雪を払う。
そこにアストリッドの体に比して巨大なシルエットが鎮座していた。
軽い金属音を立てながらその履帯に足を掛け、ハッチから内部へ滑り込む。ステアリングを確認すると、握ったハンドルがまるで体の延長であるかのように手に馴染んだ。
「始めましょうか」
同時、呼応するように車体が鳴動する。
蘇る鋼鉄の虎(シュタルク・ティーガー)。
それはパラドクスの加護を得て、アストリッドの意志と共に動き出す――“戦車”に他ならなかった。
瞬間、凸凹の雪原をものともせずに豪速で直進したそれは……農奴達を戒める檻を砕くように、塀も柵も破砕して農園に突入する。
轟音と共に破片が舞い、ブルートファング達がこちらに目を向ける。
すぐに敵だと判断しただろう、素早く攻撃に出ようとしてきていた。が、アストリッドはそれを避ける事はしない。
「正面から捻じ伏せて差し上げましょう」
今回の相手に詭道は不要だと判っている。
ならば力を示すだけだ、と。
まずは機銃を動かしながら連射して、薙ぎ払うように牽制。敵の動きが淀んだところへ――真っ向から突っ込んで轢き潰す。
敵が驚愕を浮かべて横合いに逃げようとしても――。
「わたしの戦車だって結構速いんですよ」
地を咬むようにその場で旋回。
地鳴りの如き震動と共に加速して、すぐに壁際へ追い込んだ。
敵はせめてもの抵抗に牙を立てるが……頑強な装甲には通じない。アストリッドは至近距離から砲撃を敢行し、爆裂する衝撃で壁ごと敵を粉砕した。
「……さて」
緒戦は圧倒。
その戦いぶりに、農奴達も救いが訪れたと理解して声を明るくしている。
見渡せば丁度、仲間達も動き出している頃。だからアストリッドも休まずに、次の敵を叩きに向かっていった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
エラ・パーカー
アドリブ、連携歓迎
寒くて、くたくたで、こんなことすごく哀しいよね
ごめんね、でももう少しだけがんばって…
力強さと勇気を伝えるこの歌で、“あなたたち”の物語を、【勝利の凱歌】の始まりを歌わせてくださいな
だんだん硬く重くなるスタンドマイクを構えてブルートファングを迎え撃つの
戦斧を扱うように、振り下ろして、薙ぎ払って…
反撃をくらっても【ガードアップ】で痛くない、痛くてもそんな素振り絶対あの人たちには見せないの
絶対かわいくない姿だけど、みんなを振り返って自信満々に満面の笑みを浮かべるの
大丈夫!怖くないよう、エラたちがあいつら倒しちゃうから!
だから…みんなもほんの少し勇気をだしてくれたら嬉しいの
エルマー・クライネルト
連携アドリブ歓迎
実りを得てもそれが彼らに与えられることはない
対価も無く、苦しめられるだけの労働に何の価値がある?胸糞悪い所業だ
真正面から対峙するとしよう
鋼糸を繰り敵の攻撃の軌道を撹乱、派手に立ち回り[ダンス]の様に爪と牙の攻撃をいなす
攻撃を受け傷ついてもそれを表に出すことはしない
言葉にするのは苦手だ。態度と戦い方で【士気高揚】を行う
距離を詰めてきた敵の懐へ逆に飛び込み、[捨て身の一撃]でパラドクス発動
幾ら心を押し込めようと苦しみと悲しみが失われることはない
これは彼らの痛み、貴様等が与えたもの
今度は貴様等が派手に苦しみ悶えるといい
支配者共にも恐れるものがあると印象付け民衆の恐怖を和らげる
テクトラム・ギベリオ
実りを収穫するのは本来喜ばしい事のはずだがこれは…。
この極寒の地で奴隷のように働き続けるというのはどんなに辛く厳しいか。
もはや一刻の猶予もない。ただちに敵を退けよう。
守護者の鞭を手に『勇気』で敵に対峙する。
飛来する獣の頭部を鞭で払い落とし、ブルートファングへ接近し一気に片付けるぞ。
貴様、先程民へ鞭をふるっていたな。忌々しいがちょうど良い。
【士気高揚】し、同じように処罰する姿を民に見せ、この過酷な状況を終わらせに来たことを戦闘で示す。
ただ突っ込むだけではなく、仲間と連携してこちらの戦力や能力が圧倒的であると安心させ希望を灯そう。
よくぞ今まで耐えてくれた。後は我々に任せてくれ。
アドリブ連携歓迎
戦いが始まる頃。
雪交じりの風を縫いながら、エルマー・クライネルト(価値の残滓・g00074)もその農園へと足を踏み入れていた。
「これは……」
呟きと共に、瞳に映すのは広大な畑だ。
寸分の狂いもなく整然と整えられた農地。そこに生る作物は力強さすら感じさせるが――。
「実りを得てもそれが彼らに与えられることはない、か」
「……ああ」
静かに声を零すのは、時を同じく農園へ踏み込んだテクトラム・ギベリオ(砂漠の少数民族・g01318)。
(実りを収穫するのは本来喜ばしい事のはずだが、これは……)
鞭打たれ、隷属下の働きを続けるだけの日々。
それはどれほどまでに辛く厳しいか。
彼らが飲んだ苦汁が如何程のものかは、想像するしかない。だがもはや一刻の猶予もない事だけは事実だから……自分達がやるべきは一つだ、と。
「ただちに、敵を退けよう」
「――うん」
応える声が、ふわりと宙から下りてくる。
それは翼で淡く風を捉え、畑の傍に降り立ったエラ・パーカー(adore song・g03253)。視界に捉えているのは、朦朧と立ち尽くしている農奴達だ。
「……寒くて、くたくたで、こんなことすごく哀しいよね」
ごめんね、と思いを言葉にしながら。
「でももう少しだけがんばって――」
この戦いで、皆の心へ希望を齎して見せるから、と。
「力強さと勇気を伝えるこの歌で、“あなたたち”の物語を――勝利の凱歌の始まりを歌わせてくださいな」
エラはそっと息を吸って、歌声を紡ぎ出した。
『――』
伝説の戦士の英雄譚を詠うその歌は、甘やかながらも力強く、そして美しく朗々と響き渡る。
希望を奮い起こす為の旋律は、凍てつく風にも負けぬように伸びやかに反響して。聴く者の心をあたたかに奮わせながら――エラ自身へもまた力を与えた。
「……行くよっ!」
真っ直ぐに走り出しながら、手に握るのはスタンドマイク。
強く歌い上げるほど、真っ直ぐに声音を届けるほどに硬く、そして重くなっていくその武器を……エラは敵の一体へ力いっぱいに振り下ろした。
強烈な手応えと共に、ブルートファングの肩口が砕けて血潮が散る。
「……っ!」
激憤を浮かべたその個体は、倒れずに鮮血の波動で雪塊を放ってくる、が――それを受けながらもエラは痛みを表に出さなかった。
弱い姿を、希望を届ける彼らに見せる訳にはいかないのだから。
(――負けない!)
直後には反撃。至近からスタンドマイクで薙ぎ払い、一体を吹き飛ばして撃破した。
その頃には周囲の敵も複数集まってくる。
が、そこへ立ちはだかるのがエルマーだ。
「通しはしない」
強い戦意を露呈する敵とは対照に、あくまで静かな瞳のままで。鋭利なまでの細さを持つ鋼糸を手元から揺らめかせた。
ブルートファングはそれに牙を剥き、敵意を露わにする。
「我らの崇高なる営みを、悪戯に阻むか……!」
「崇高、か」
エルマーは微かにだけ目を細めた。
一瞬だけ見やったのは、広い農地だ。
「対価も無く、苦しめられるだけの労働に何の価値がある?」
胸糞悪い所業だ、と。
ここにあるのは決してそれ以上のものではないと、そう言い捨てるように――エルマーは地を軽く蹴って回転する動作を取る。
瞬間、鋼糸が曲線の軌道を描いて空中を奔り、鋭い衝撃でブルートファングの膚を抉った。
呻くブルートファングは、血飛沫を零しながらも反撃しようと前進する。が、エルマーは斜めへ踏み出しながら鋼糸を踊らせて――足を絡め取っていた。
体勢を崩しながら、それでもブルートファングは腕を伸ばしてくる、が。
「遅い」
一歩先んじるように、エルマーは更にその横合いへ。
ステップを踏み、鋼糸を縦横無尽に奔らせて。まるでダンスを舞うように鮮やかに跳びながら……ブルートファングの躰を縛り、引き倒して体力を奪った。
朽ちたその一体の横から、別の個体が噛みつきにかかってくるが……牙に掠められようとも、エルマーは苦痛を表さない。
言葉にするのは苦手だから、口で民を励ます事はしなかった。それでも退かぬその態度が、勇壮な戦いぶりが、確かに農奴達の士気を高揚させてゆく。
その視線に応えるように、エルマーは正面から再び鋼糸を奔らせ、敵の腕を絡め取って優勢を保っていった。
「そちらは平気か」
「ああ」
応えるテクトラムは別方向を見据えている。
そちらには、回り込むようにして接近を目論むブルートファングがいた。その個体は鮮血のオーラを棚引かせ、獣の頭部を象らせて射出しようとする、が。
テクトラムはそこへ自ら走っていた。
勝利するのは無論の事。その上で人々へ――勇気を示す為に。
瞬間、鞭を振り下ろしたテクトラムは……鋭い衝撃で真正面から獣の頭部を打ち落とし、そのまま相手の至近へと踏み込んでいく。
「貴様、先程民へ鞭をふるっていたな」
テクトラムは戦いの直前、確かにそれを見ていた。無辜の民を、己の目論見の為だけに痛めつけ……恐怖と苦痛で隷属させていた非道の行いを。
(忌々しいが――ちょうど良い)
暴力を振るう吸血鬼の姿は、農奴達にとって絶対的な恐怖の対象だったろう。
それを同じ行いで、覆す。
瞬間、テクトラムは相手の顔をまずは一撃、痛烈に鞭打つと……反撃も許さず鞭を撓らせ二撃目。脳天から強打を加えていた。
ブルートファングはまるで頭を垂れるように倒れ込み、弱々しい姿を晒す。
それはディアボロス達がこの過酷な状況を終わらせに来た事を示す、何よりの証。
農奴達はその景色を目の当たりにして、顔を見合わせ……状況が確かに変わりつつあるのだと実感しているようだった。
それでも新たなブルートファングが現れ、抵抗姿勢を示す。
が、波動と共に放たれる杭の雨の中でも――エラは倒れない。苦しい顔すら見せない。
(戦うエラの姿は絶対、かわいくないよね。でも……)
エラは彼らへ振り返って、自信満々に満面の笑みを浮かべてみせた。
「大丈夫! 怖くないよう、エラたちがあいつら倒しちゃうから!」
だから、みんなもほんの少し勇気をだしてくれたら嬉しい、と。
するとその言葉に応えるように……一人、また一人と彼らが声を上げ始める。助けを求め、そしてディアボロス達を応援する心からの言葉にして。
「よくぞ今まで耐えてくれた」
後は我々に任せてくれ、と。
テクトラムは彼らへ言葉をかけながら鞭を握り直す。そしてエラと共にブルートファングへ打撃を加え、霧散させていった。
その後ろから、激昂するブルートファングが突撃してくる。
が、その懐へとエルマーが飛び込んで――操り人形に呪詛を渦巻かせていた。
「これは彼らの痛み、貴様等が与えたものだ」
心を押し込めようとも、苦しみと悲しみが失われる事はない。
その全てを遣り返すように……暗色の呪いが放たれる。
「今度は貴様等が派手に苦しみ悶えるといい」
形を持った苦痛に貫かれたブルートファングは、呻き、唸り、恐怖の中で絶えてゆく。
絶対的な支配者だった者にも、恐れるものがある。その揺るぎない事実も、人々の恐怖を和らげただろう。
訪れる静寂の後に、響くのは鬨の声のような彼らの喜びだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
【士気高揚】LV2が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
レイラ・イグラーナ
新しくこの地に連れていかれる人がいないのは良いことですが、それにより更に苦しむ人がいるのであれば、その方たちを救うこともまた私たちの責任です。
いつか喜びのままに収穫を行える日のために……今はこの農場を血で染めましょう。
【飛翔】により高速で宙を舞い、自身も超常の者であると農奴とされた方々にアピールしつつ「銀の針」を投擲、【手製奉仕・飛】でブルートファングを貫きます。
ヴァンパイアノーブルたちは皆飛行能力を持っていますし、【飛翔】する私へ接近もしてくるでしょうが好都合です。爪や牙を避け、至近から針を急所へ撃ち込むことで空から撃ち落とし、撃破したことを農奴とされている方々にも一目でわかるようにします。
風を切り、雪空を滑空してゆく。
その先に現れた畑を――レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)は空中から見下ろしていた。
(あれが農園……)
新たな農奴がやってくる事はなくとも、それはこの場所の安寧を意味しない。
瞳に映る、幾人もの農奴。未だ呆然と立ち尽くすだけの者もいる彼らは――この場が解放されない限り、更に苦しんでゆく事になる。
なればこそ。
「――その方たちを救うこともまた私たちの責任ですね」
風に銀糸の髪を靡かせ、鮮やかに畑の上空へ舞い至る。
顔を上げる農奴達に、自身が超常の者であると知らしめながら……レイラはその手に鋭利な銀の針を握り込んでいた。
狙うのは、眼下に見えるブルートファング。
複数集まるその影は、既にこちらに敵意を向けているが――。
「させませんよ」
相手が攻撃に移る前にレイラは空中で加速。そのまま針を投擲し……一体の胸部を貫いてみせた。
鋭くも高速なその衝撃に、その個体は何が起きたかも分からぬまま呻いて倒れゆく。
別の個体は忿怒を露わに宙へ昇ってくるが――それもレイラには予想通り。振るわれた爪を、まるで踊るように旋回して避けると……アーチの軌道で相手の後方を取っていた。
「落とさせてもらいます」
上下逆さまになったまま――その一瞬にレイラは再び針を発射。至近からブルートファングの首を射抜いてゆく。
言葉通り、その個体は血を吐きながら……撃墜されたように地面に落ちていった。
疾く、鮮やかで、そして圧倒的な戦姿。農奴達は間違いなく、自分達を救うものが現れたと確信したろう。その目には希望の光が浮かび始めている。
無論、敵はまだ残っている。
だからレイラも油断なく――直後には体勢を直して新たな針を指へ挟み込む。
下方から迫るのは二体。挟撃するように左右から飛んで距離を詰めてくる、が。
「無駄な事ですよ」
レイラは残像を残したまま高空へ昇り、既にその二体を見下ろしていた。
一度だけ下方の農園と……そこにいる農奴達を見つめる。
彼らが送ってきた時間は、辛く苦しいものだったろうけれど。
(いつか喜びのままに収穫を行える日のために――)
今はこの農場を血で染めてみせよう、と。
レイラは風を裂くように容赦なく針を放つ。それは狙い違わずブルートファングを穿ち貫き……その命を血潮と共に散らせていった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
三苫・麻緒
前は連れて行かせないのが精一杯だった
けど、今度は連れ戻せるんだね
帰れるって話が夢じゃないんだって証明してあげないとね
強さを強調するなら、迎撃の形が一番そう見えるかな
≪連続魔法≫で球の数を思い切り増やしていくよ
初撃は≪殺気≫を振りまいてブルートファングの意識を引き付けるように派手に
二撃目以降はある程度接近を許してから破裂の衝撃でブルートファングを≪吹き飛ばし≫
心が折れるまで、動けなくなるまで、何度でもね
やり返されることがないと思っていたのなら大間違いだよ
飛んできた物体は衝撃で軌道をずらすかナイフで対応するかしたいかな
動いて躱すのはそれでも対応が難しそうなときだけ、それも最小限の動きにとどめたいね
一人、また一人と農奴達が瞳に希望を取り戻していく。
けれどまだ全てじゃない。
一人も欠ける事なく、全員に前向きな心を持ってほしいから――三苫・麻緒(ミント☆ソウル・g01206)は翼で風を撫ぜて畑の上を翔けてゆく。
視線の先は農地の奥に近い場所。
そこには未だ無傷のブルートファング達と……その傍から動けぬ農奴達がいた。
「……」
前は連れて行かせないのが精一杯だった。
けど、今度は連れ戻せる。
故郷へと帰れる事は夢じゃない。だからそれを証明する為に、麻緒はそっと手を翳す。彼らの手を取って連れ帰る前に――それを阻む敵を討つために。
「見ていてね」
瞬間、煌めくのは淡く美しい光。
ミントグリーンから幾つもの色彩に変遷したそれは……まるでシャボン玉のように無数の球となって空中に踊り出した。
一振り、二振り。
麻緒が腕を振るうと共に、それは数を増して敵を取り巻く。籠められた殺気と共にブルートファング達の膚に触れたその泡沫は――光と共に弾けて強烈な衝撃を生み出した。
「……!」
顔を歪めてよろめいた敵は、無論その殺気を無視しない。麻緒を睨み、距離を詰めようと走ってきた。
が、それこそ麻緒の狙い通り。
すらりと真っ直ぐに手を伸ばした麻緒は、球を高密度で浮遊させ……壁を作るようにして敵の突進を受け止めた。
刹那、ブルートファング達を襲うのは爆裂した球による強烈な衝撃。その数体は轟風に煽られたように大きく吹き飛ばされ地に叩きつけられた。
起き上がり、再び接近を目論む個体もいるが――麻緒は手心を加えない。更に球を振りまいては、衝撃で突き離す。
心が折れるまで、動けなくなるまで、何度でも。
自分達こそが支配者なのだと思いながら、人々を酷使してきたのだろう。その吸血鬼達の慢心を、傲慢を――全て打ち砕いてみせるように。
「やり返されることがないと思っていたのなら、大間違いだよ」
「……っ!」
よろめくブルートファングは、怒りに吼えながらオーラで掴んだ杭を放ってきた。
が、麻緒は真正面に球を浮かべ、破裂させた風圧でその軌道を逸らす。
自身は毅然と立ち位置を変える事なく。
「終わりにするよ」
四方から迫る敵へシャボンを舞わせて――鮮麗な光と共にその命を破砕した。
短いしじまの後に聞こえるのは……人々の歓喜の声。
「良かった」
呟きながら、それでも麻緒は油断を抱かない。
この場を支配する本当の敵が、まだ残っている事を知っているから。
大成功🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
神鳥・猛璃
「さて、そろそろ支配者気取りの指揮官のお出ましかな。因果応報!貴様の罪を数えろ!」
【士気高揚】し気合は十分。
『ヴァルトシュタイン中尉』の軍刀に対し業火手甲剣『レーヴァテイン』で鍔迫り合い、【斬撃】で【解体】していく。
『パシエル』には、魔導砲群『ペタルム・ロサ』の魔力光線による【制圧射撃】を命じ隙を作らせる。
「中々に手強いな。だがな。俺は自由と平和の為に貴様達のような輩を破壊すると決めたのだ!爆熱!ライザーキックッ!地獄に叩きこんでやる!」
弾幕を【ダッシュ】で掻い潜り天空へ【ジャンプ】、跳躍後、業火マフラー『ゲヘナ』がプラズマジェット化し、太陽の如く赤熱化した魔骸闘法『堕天日輪脚』を炸裂させる。
アストリッド・ヴァルトシュタイン
……ようやく会えましたね。
この傷が。貴方の刻んだ痛みが、わたしを突き動かす。
わたしが生き延びたのは、きっとこの時のため。
これ以上、貴方にそんな真似はさせない。
貴方を! わたしが此処でッ!! 止めるんだッ!!
敵の動きを【観察】し【情報収集】。
常に敵との対面を移動し、援護射撃の被弾部位を最小限に距離を詰めて懐に飛び込み、【念動力】の【グラップル】で太刀筋逸らし。
動力部の【破壊】を狙いパラドクスを載せた短剣で一突きに。
機械の身体、怪物になった心。
どうにもできなくても、せめて想いだけは連れて帰る。
わたしにできるのはそれだけだ。でも、これはわたしにしかできない事。
……お父さん。もう、戦わなくていいんだ。
エラ・パーカー
連携アドリブ歓迎
中尉ってことは軍人さんなんだよね
なら民を守るのがお仕事なんじゃないのかな?
哀しみを耐えてきた人たちを思うと、屋敷でのうのうとしてるこいつに腹が立つけど…でも笑うの
ここでお前はお終いだもん
さようならの前に、お前の不幸に成り立つ幸せの歌を贈るね
ヴァルトシュタインへの怒りは【ダメージアップ】になって、貫かんとする光は強くなるの
【命中アップ】の光も合わさって希望のようにきらきらと
貫けば、あの人たちから奪ったものを返せと言わんばかりに【ドレイン】が発動するの
剣撃がきたら仕込刀で迎え撃つよう
役目のために…それはエラもなの
お前たちがだれかを傷つけるのを止めるためならためらいなんてしないもの
レイラ・イグラーナ
この農場の主とお見受けします。
私たちがここを訪れた目的は2つ。
この農場で意に反し労役に服している方々の解放、そして悪しき政府に組する者を討つこと。お覚悟願います。
敵が召喚したゾルダートの隊に対し、【飛翔】で弾幕を避けつつ周囲を旋回、火砲が追いきれなくなり、弾幕の密度が薄くなる時を待ちます。
弾幕が薄くなったなら【飛翔】のまま急速に接近、ゾルダートの隊は相手にせず、ヴァルトシュタイン中尉のみを狙い、すれ違うと同時に【手製奉仕・飛】で「銀の針」を突き立てます。
人と砲の物量で攻め、隙を作らないのがそちらの戦い方であるように、僅かな隙を作りだし、その一瞬で急所を、要人を仕留めるのが私の戦いです。
奴崎・娑婆蔵
【アストリッドをディフェンスする】
トン、トン、トンカラトン……
トン、トン、トンカラトン……(これがあっしの送る【勝利の凱歌】)
おうアストリッドのお嬢、あまり前のめりなさんなよ――ってェのも無粋か?
よござんす
思うように突っ込め、そしてカマしてやりなせえ
ケツは持ちやしょう
盾にもなりやしょう
姓は奴崎名は娑婆蔵、人呼んで『八ツ裂き娑婆蔵』――助太刀に参りやしたぜ
・妖刀『トンカラ刀』抜刀
・剣の間合いを領域と定め、そこに這入るもの全てへ時空をも歪めて「剣を当てる」
・敵の後衛からの援護射撃も――中尉の操る延びる焔の剣も!
・焔の刀身の威や射程を減じさせるべく【氷雪使い】を以って土地の風雪を適宜操り殺到させる
三苫・麻緒
そうあるのが当然、なんて思っている相手には言葉は通じないんだろうなあ
だったらこっちもこっちの事情を押し通させてもらうよ
…理解させようとする手間すら惜しくなってきちゃった
まずは【飛翔】で機動力を確保しておくよ
≪高速詠唱≫で槍を生み出すまでの時間を短縮
造った槍をどんどん≪投擲≫して畳みかけていくね
大きな一撃というより確実なダメージを重ねていきたいな
積み重ねから生まれた隙は見逃さないようにして、狙うならそのタイミングで急所に一発いれちゃいたいところ!
反撃の砲撃は小回りが利かない欠点を使用しちゃおう
【飛翔】の移動速度に物を言わせて動き回って、そもそも狙いをうまく定められない状態にしたいね
エルマー・クライネルト
アドリブ連携歓迎
ここでもゾルダートの生き残りか……気に入らんな
見回りご苦労、収穫作業なら彼等の代わりに我々が済ませておこう
今日の収穫はそこに転がっている吸血鬼とーー貴様の首だ
周囲の[地形の利用]をして身を隠して射撃を凌ぎ接近
味方と連携し散開して攻めることで攻撃目標を増やし、弾幕の分散を狙う
至近距離まで詰めたところでパラドクス発動
『敵を討つことも儘ならず、このままでは部隊の全滅は免れん
己の使命を阻害する味方など居ても邪魔だろう?
己の心に従え、邪魔者を撃て』
ゾルダート部隊へ言霊で[誘惑]して攻撃目標を誘導し、同士討ちさせて統率を乱す
ヴァルトシュタイン中尉には精神に揺さぶりをかけて動きを鈍らせる
テクトラム・ギベリオ
ヴァルトシュタイン…聞いた名だと思ったがなるほど。
征き給えアストリッド。幸運を祈る。
サーヴァントの毛玉を喚び指示を出す。
毛玉、敵の砲撃は強力だが小回りが効かん。最も小さきお前ならば凌げるはずだ。
風を使って駆け抜けろ。この空すべてがお前の戦場だ。1か所に留まらず常に動いて敵を翻弄してやれ。
必ず隙はできる。敵が見え次第温存しておいた力をすべて開放し、突風を叩き込んで敵を吹き飛ばせ。
倒しきれなくて良い…それは別の者が成し遂げてくれるだろう。
我々は仲間の一撃のために走れば良い。
…砲撃に当たって黒猫になって戻って来るなよ。
アドリブ連携歓迎
山肌から吹き下ろす風は、今なお冷たい。
それでもその中に暖かさを覚えるのは……人々の顔が明るく、希望に輝き始めていたからでもあろう。
そんな彼らが安全な距離まで離れていくのを――神鳥・猛璃(仮面ライザー『エヴェルソル』・g06703)は安堵の心で見やっていた。
「まずは、守れたか」
呟きながら、それでも気を抜きはしない。
既に、近づいてくる最後の気配を感じ取っていたから。
「……そろそろ支配者気取りの指揮官のお出ましかな」
言って猛璃が皆と共に視線を向けるのは、北側。雪が烟っていたが……そこから歩んでくる影ははっきりと見えた。
暗色の軍服。翻すマントに、下げたサーベル。
屋敷から現れたそれはクロノヴェーダ――ヴァルトシュタイン中尉。感情を窺わせぬ相貌で農地を見回していた。
そして最後に、こちらへ目を留める。
「お前達は」
「――ディアボロス」
答えたのはレイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)。
「この農場の主とお見受けします」
静かに居住まいを直し、改めて言葉を差し向けていた。
これから倒す相手へ、せめてもの礼儀を示してみせるように。
「私たちがここを訪れた目的は2つ。この農場で意に反し労役に服している方々の解放、そして悪しき政府に組する者を討つこと」
故に――お覚悟願います、と。
次には細指を針に添えて戦いの姿勢を取る。
「それがお前達の使命か」
と、対するヴァルトシュタインもサーベルを抜いていた。
そうして自分の使命こそが正しいと態度で示すように刃を翳す。応じて戦列を組み始めるのが、無数の兵士達だった。
(ここでもゾルダートの生き残りか……)
畑に混じる鉄の匂い。
エルマー・クライネルト(価値の残滓・g00074)はそれに一度だけ目を伏せる。
気に入らないと、心に呟く。
故にこそ、ここで引くつもりなどないから――農奴達への道を塞ぐように敵へ正面から相対していた。
「見回りご苦労、だがここまでだ」
収穫作業なら彼等の代わりに我々が済ませておこう、と。
戦意の証に、濃密なまでの呪詛を揺蕩わせながら。
「今日の収穫はそこに転がっている吸血鬼と――貴様の首だ」
「その通りだ。――因果応報! 貴様の罪を数えろ!」
同時、猛璃がレーヴァテインを高々と掲げていた。
燃え盛る炎は人々を守り、希望と未来を切り開く決意の表れ。
煌々と光るその焔を棚引かせながら、猛璃は奔る。ディアボロス達も地を蹴って――その戦いへと飛び込んだ。
迫るディアボロスに対し、ヴァルトシュタインは始め焦りを見せなかった。
それはゾルダートを含めれば数的有利があるからだ。
「多勢が勝つ。強者が隷属させる。それは覆らない」
故に自身の任務成功を疑わぬ声音で……ディアボロスが近づく前に砲撃を敢行しようとする。
――が。
「判ったよ」
きらりと、雪に交じって翠に煌めく粒が舞い降りた。
それは三苫・麻緒(ミント☆ソウル・g01206)が空に昇ってゆく、その軌跡の残滓。
「――言葉で言っても無駄だ相手だ、って事がね」
麻緒は光を振りまいて仲間の飛行能力を引き上げながら、自身も高度を高めていく。
そうしてヴァルトシュタインが顔を上げる頃には、高空に舞い至っていて。
「だったらこっちもこっちの事情を押し通させてもらうよ」
翼で風を掴まえて、踊るように宙で翻る。
空を撫ぜながらその手に光を灯して、顕現するのは鋭い槍だった。
見下ろせば、ヴァルトシュタインがゾルダートに命じて火器を空へ向けさせている。
そこにあるのはあくまで相手を力で屈服させられると信じる、尊大な自信。
ならばもう――理解させる手間すら惜しいから。
「手加減はしないよ」
刹那、投げ下ろす槍は豪速で雪風を裂く。
そうして雪空に虹をかけるように……七彩の軌跡を刻みながら着弾。まずは射撃を狙うゾルダートを貫いた。
ヴァルトシュタインは自身も大砲を稼働させ、反撃を目論むが――それを許す麻緒ではなく。
「痛い目に遭うのはそっちだから」
速度を上げて射線の外に出ると、再び槍を煌めかせる。
それは人々を踏み躙ってきた行いへの、美しくも鋭い鉄槌。
降り注ぐその槍は、ゾルダートを砕きながら……確かにヴァルトシュタインの体をも強く穿っていた。
敵陣の動きが鈍ったその一瞬。
エラ・パーカー(adore song・g03253)は機を逃さず、低空を翔けてヴァルトシュタインへの間合いを狭め始めていた。
無論、ヴァルトシュタインもそれを察知して……下がりながら大砲を自身の盾とする。
体をも覆い隠す巨大兵器。それを手にする振る舞いには、勝利への絶対の自信が垣間見えた。
「力を持つ強者に挑むのは、愚行だ。それをお前達は理解するだろう」
「……強者とか、力とか。そうやってあの人達を縛り付けてたんだね」
と、呟くエラは淡く瞳を伏せている。
そしてすぐに真っ直ぐを見つめた。
「中尉ってことは軍人さんなんだよね。なら、民を守るのがお仕事なんじゃないのかな?」
緩く髪が揺らめく。
それは静かな声から、思いの力が溢れているからだ。
「軍人の役目は使命を果たす事だ。その為に手段は問わぬだけの事」
ヴァルトシュタインはあくまで譲らず言ってみせる。
故にエラは言い合わず、目を閉じる。
(……)
敵のいう使命の為に、哀しみに耐えてきた人々がいる。それを思えば、自身の正当性を嘯き、屋敷でのうのうとしていたこの軍人には腹が立つけれど。
「――ここでお前はお終いだもん」
目を開けたエラは、笑ってみせた。
「さようならの前に、お前の不幸に成り立つ幸せの歌を贈るね」
そして紡ぐのは柔らかく、甘やかな歌。
『――』
美しく響き渡る旋律は、込めた祈りを光にして、抱いた怒りをその鋭さへと変える。
瞬間、離れた輝きは希望の如くきらきらと煌めいて――砲撃を粉砕しながら、ヴァルトシュタインまで届いてその腹部へ突き立った。
そして人々から奪われたものを、返せと言わんばかりに……生命力までもを奪ってゆく。
「今のうちだよ」
「ああ」
直後、エラの声に応えて奔るのがエルマー、そしてテクトラム・ギベリオ(砂漠の少数民族・g01318)。
ヴァルトシュタインが動けぬ間もゾルダート達が砲口を向けようとしてくるが……エラとも共に散開して前進する事で、狙いを定めさせず距離を詰めていた。
無論、近づくほどに弾幕は厚くなる。
だが自身に狙いが向く直前――エルマーは斜め方向の地面へ。雪が積もって遮蔽となっている場所へ滑り事で弾丸を凌いでいた。
(まずは防げたか)
それでも射撃の雨が雪塊も砕いてくるが……一瞬の間隙さえあれば良い。その頃には別の遮蔽に隠れていたテクトラムが――スフィンクスの毛玉を喚び出していた。
柔らかな毛並みですり寄る毛玉に、テクトラムは視線を下ろす。
「毛玉、もうすぐ相手の砲撃が来るだろうが……あれは強力でも小回りが効かん。最も小さきお前ならば凌げるはずだ」
そして前方を視線で示して。
「風を使って駆け抜けろ。この空すべてがお前の戦場だ」
するとその言葉と瞳に、毛玉も尾を振って答えてみせる。
そこにあるのは確かな信頼。直後には、毛玉はふわりと空に踊り出して……そのまま風に乗って加速し始めていた。
(頼むぞ)
テクトラムのその思いに、毛玉は前へ進む事で成果を示す。期待通り、まずは敵の弾幕にも捉えられずに距離を稼いだ。
その内にゾルダートが毛玉の存在に気づき、ヴァルトシュタインもまた大砲を向けてくる。
が、その膨大な火力が集中する直前に……毛玉は円を描くように大きく旋回。弾丸と砲撃からすんでで逃れていた。
そのまま毛玉が敵を翻弄していく、その隙にエルマーがゾルダート達の至近に迫っている。
数体が遅れて砲口を向けてこようした、が。
既にエルマーの呟く言霊に、深い呪詛が乗っていた。
『敵を討つことも儘ならず、このままでは部隊の全滅は免れん』
故に――己の使命を阻害する味方など居ても邪魔だろう、と。
『己の心に従え、邪魔者を撃て』
伝う声音は、機械の体にも染み込むように響き渡って砲口を味方同士に向かわせる。直後にはゾルダート同士の撃ち合いが始まり、統率が大きく乱れた。
自然、ヴァルトシュタインの守りも薄くなる。
そこへ反響するのがエラの歌声。
『――』
朗々と耳朶を打つその響きと共に、降り注ぐ幾条もの輝きが――ヴァルトシュタインの腕、肩、腹を鋭く貫いていった。
「……仕方がない」
よろけたヴァルトシュタインは、一時的に攻勢を緩めた。
そして残るゾルダートに守りを固めさせ……横方向へと走り始める。
山を背にした位置から、開けた場所への迂回を狙ったのだ。が――それに先んじて動き出す姿があった。
アストリッド・ヴァルトシュタイン(Löwenzahn・g04015)。まるで予見していたように、敵を阻む位置へ走り出している。
テクトラムは一瞬遅れてそれに気づき……並んで視線を向けた。
「敵の動きが読めたのか」
「推測は出来ます。同じ軍人ですから。それに――」
アストリッドはそれ以上は言わない。
テクトラムは静かにアストリッドの視線を追って、一度目を伏せた。
(ヴァルトシュタイン……聞いた名だと思ったが、なるほど)
後はテクトラムも多くは口にしない。
「征き給えアストリッド」
支援はさせてもらう、と、毛玉を一度手元へ呼び戻して。
「幸運を祈る」
「……」
アストリッドはそれに目礼を返し、後は前を向いた。
今のゾルダートの数なら切り込める。それでも砲弾は飛来するが――アストリッドは退かず、念力を込めた短剣だけで射撃を逸らしてひた走った。
ヴァルトシュタインの顔がこちらへ向く。
それまでの時間が、酷く長かったような気がした。
「……ようやく会えましたね」
「お前は――」
ヴァルトシュタインは小さく言いながらも、即座に刃を構える。
何かを感じ取ったのかも知れない。そうじゃないのかも知れない。少なくとも――直後にはもう、果たすべき使命が全てに優先されたようだった。
こちらは彼にとって敵の一人でしかない。
それはアストリッドにも判っていた。
けれど、止まらない。
至近に入るとヴァルトシュタインが刃を翳す。アストリッドはそれを掻い潜るように短剣を突き出した。
その一突きは確かに胸部に命中する。けれど――ヴァルトシュタインが身を捻った事で僅かに中心から逸れていた。
「……!」
直後には、衝撃に耐えきったヴァルトシュタインが軍刀を振り下ろしてくる。
斬られる、と思った。
が、その刹那、刃が甲高い音に弾かれる。
「――」
ヴァルトシュタインは事態を把握出来ず、僅かに止まる。
現れたのは、まるで時空の裂け目から飛来したような斬撃だった。
――トン、トン、トンカラトン……。
――トン、トン、トンカラトン……。
夕闇に響くかのような唄が聞こえる。
それにヴァルトシュタインがはっとした直後、今度は直上から振ってきた斬閃が、ヴァルトシュタインの腕元を斬り抉ってひしゃげさせていた。
同時に降りてきた影が、アストリッドの前へと着地する。
握る刃に、膚を隠す包帯。
それは羽織を雪風に淡く靡かせる――奴崎・娑婆蔵(月下の剣鬼・g01933)の姿だった。
「大隊長どの……!」
「おうアストリッドのお嬢、あまり前のめりなさんなよ――ってェのも無粋か?」
一度だけ視線を向けてから……娑婆蔵は敵へ目線を戻してそう口にする。
それはアストリッドにとって退けぬ戦いなのだろうと判るから。
故に――よござんす、と。
娑婆蔵は啖呵を切ってみせた。
「ならば今一度、思うように突っ込み――そしてカマしてやりなせえ」
――ケツは持ちやしょう。
――盾にもなりやしょう。
娑婆蔵は一度納めていた妖刀“トンカラ刀”をすらりと抜いて、瞳を周囲に巡らせる。
「姓は奴崎名は娑婆蔵、人呼んで『八ツ裂き娑婆蔵』――助太刀に参りやしたぜ」
見据える八方から、既にゾルダートが砲口を向けつつあった。
娑婆蔵はそれが火を吹いてくるより先に……素早く刃を奔らせている。
――トン、トン、トンカラトン……。
口遊む一節を、無二の凱歌にして。
瞬間、間合いを己の領域となして、斬撃が縦横無尽に空間を滑る。弾丸をいなし、機械の体を切り裂いて……ひと呼吸の後には道が切り開かれていた。
送られた視線に、アストリッドは頷いて奔る。
何度だって挑んでみせる、と。瞳は真っ直ぐヴァルトシュタインに向いていた。
(この傷が――)
――貴方の刻んだ痛みが、わたしを突き動かす。
自分が生き延びたのは、きっとこの時のため。
「だから……これ以上、貴方にそんな真似はさせない。貴方を! わたしが此処でッ!! 止めるんだッ!!」
そうして彼の剣を躱し――今度は確かな一突きを加えていた。
衝撃に、ヴァルトシュタインは後方へ突き飛ばされる。
急所――動力部は未だ破壊されず、転げながらもすぐに立ち上がった、が。
そこへ跳躍して舞い降りてくるのが……猛璃だ。
「機械兵を盾にする事も叶わんぞ」
レーヴァテインを構える猛璃の言葉通り、そこは既にゾルダート達から離れた位置。
向き合う両者は、一対一の様相だった。
ヴァルトシュタインもそれを理解しながら……それでも勝利の確信は変わらぬように、軍刀を握り直している。
「……ならば切り捨てるまでだ」
瞬間、その刀身が赤々と赤熱化した。
正面からこちらを打ち破るつもりだろう。故にこそ――猛璃もまたレーヴァテインを煌々と燃え盛らせる。
焔の熱さと輝きで、負けるつもりは無いから。
「――やってみろ!」
士気は高揚している。気合は十二分に発露している。刹那、走り出す猛璃は……一瞬で至近に迫って刃を振り下ろした。
ヴァルトシュタインもそれを受け、二人は鍔迫り合う。
軍刀の熱が焔を灼こうとする。それを感じる程、猛璃もレーヴァテインの業火を強めてその熱を焼き払ってみせた。
「……」
するとヴァルトシュタインは不利を察したろう、合流してくるゾルダートに射撃をさせようとする。
が、そこへ光が煌めく。
こちらもパシエルが上方から魔力光線を放ち、ゾルダートを退けていた。
衝撃の余波はヴァルトシュタインにも及び、一瞬の隙が生まれる。
そこへ猛璃は踏み込んでいた。
「この反逆の心――簡単に折れると思うな!」
同時、連閃。
紅の残滓を瞬かせながら、放つ斬撃は神速にして苛烈。幾重もの傷を刻み、体を抉り……その攻撃で確かにヴァルトシュタインの命を削り取っていった。
重なる負傷に、ヴァルトシュタインは足元を覚束なくさせる。
だが、その頃には残るゾルダートが追いついてきてもいた。数は数体にまで減っていたが……守りに徹すればそれは厚い鉄の壁となる。
弾幕も未だ衰えない、が――レイラはそこへ躊躇わずに飛翔していた。
(あれも、当たれば只では済まないのでしょうね)
思いながら、それでも速度を落とさずむしろ加速して。向こうの狙いがこちらに向く直前、曲線を描くように周囲に回って弾丸を回避していく。
ゾルダート達も火砲を動かし、追いすがるように射撃を続けてきた。
だがレイラは時に上方へ跳ね、時に降下して。
「当たりはしませんよ」
まるで風に紛れるようにすべらかに、そして鮮やかな身のこなしで砲撃の雨を縫ってゆく。
その内に、レイラの速度が砲撃を置き去りにし始めた。仲間の支援もあれば、敵もレイラにだけ注力してはいられない。
そうして一瞬、大きな弾幕の隙間が生まれた。
それを逃すレイラではなく――直後には錐揉みの体勢を取りながら急速に高度を下げ、捻った軌道で隊の中央へ接近していた。
ゾルダート達を相手にはしない。
狙いはヴァルトシュタインただ一人。
それに気づいたヴァルトシュタインは、砲撃で撃墜してこようとするが――レイラの速度が僅かに勝った。
物量で攻め、隙を作らないのが彼らの戦いであるように。
「僅かな隙を作りだし――その一瞬で急所を、要人を仕留めるのが私の戦いです」
すれ違うと同時にレイラは銀の針を振り抜く。
豪速でヴァルトシュタインを襲ったそれは……違わずその胸部に突き立っていた。
火花を零しながら、ヴァルトシュタインは膝をつく。
「戦力差を、破るか。馬鹿な――」
声音は近づく敗北の足音を感じたかのようでもあった。
だが、戦いを捨てようとはしない。それは恐怖や迷いを跳ね除けたというよりも……初めからもう、人間らしい感情など消え失せていた結果のようで。
次には残るゾルダートを全て攻めに向かわせてきた――が。
ディアボロス達もまた怯まない。テクトラムの傍らから飛び立った毛玉が、弾幕を躱しながら回り込んでいた。
『……砲撃に当たって黒猫になって戻って来るなよ』
決して倒しきれなくて良い。
それは別の者が成し遂げくれるから、と。
伝えられていたそのテクトラムの言葉に、最後まで応えてみせるように……毛玉は温存した力を開放し、突風を敵陣へ叩きつけた。
爆発的な力を生み出すそれが、ゾルダートを一掃してヴァルトシュタインの体をも大きく軋ませていく。
それでもヴァルトシュタインは倒れないが……。
「中々に手強いな。だがな――」
と、声と共に天空へと高く跳んでいるのが猛璃。
「俺は自由と平和の為に貴様達のような輩を破壊すると決めたのだ!」
その決意が業火マフラー“ゲヘナ”を熱く滾らせ、プラズマジェットと化す。瞬間、太陽の如く赤熱化したそれが莫大な推進力を生んで。
「爆熱! ライザーキックッ! 地獄に叩きこんでやる!」
放つ一撃は魔骸闘法『堕天日輪脚』。雪原へクレーターを刻みながら、その飛び蹴りでヴァルトシュタインを地へと叩きつけていた。
「……!」
ヴァルトシュタインは体の一部を歪めながら倒れ込む。
それでも刃を支えに立ち上がり、切り込んでくるが――相対したエラが、仕込み刀でその一閃を弾いていた。
「役目のために、って言ってたよね。それは、エラもなの」
――お前たちがだれかを傷つけるのを止めるためなら、ためらいなんてしないから、と。
続くエラの剣撃がヴァルトシュタインの腹部を切り裂くと……エルマーもまた言霊に呪いを込めて呟いていた。
『そうだ、貴様の役目などに意義はない。全ての存在が、貴様の敗北を望んでいるのだ』
その揺さぶりが、確かに一瞬動きを止めさせる。
ヴァルトシュタインはすぐにそれを振り払うが――その頃にはもう、レイラが斜め上方。振り上げた銀の針を投げ下ろしていた。
より深く刺さったそれは、体を貫通させて……破砕音と共に、ヴァルトシュタインの脈動を奪い始める。
「次の攻撃を」
「うん!」
応える麻緒も、翼で雪空を滑り下りてゆく。
ヴァルトシュタインが倒れ込みながら砲台に縋るけれど、放たれたその射撃も螺旋を描くように回避して。
麻緒はそのまま、次の砲弾が来る前に……ミントグリーンの輝きを伴う魔力の槍を投擲し、ヴァルトシュタインの体を貫いた。
倒れるヴァルトシュタインは、それでも這い上がって軍刀に手を掴み、焔の刀身を伸ばそうとする――が。
その炎熱が渦巻く氷雪に飲まれて冷やされてゆく。
娑婆蔵が、振るった斬撃で風を操って……焔の刃の力を奪い去っていたのだ。
「さあ、お嬢」
後は十二分に己の筋を、と。
言葉に背を押され、アストリッドは走り出す。
ヴァルトシュタインは命が潰えゆく中、欠けた刃を突き出す。アストリッドはそれに掠められながらも――零距離に入った。
「……」
機械の身体、怪物になった心。
――どうにもできなくても、せめて想いだけは連れて帰る。
自分に出来るのはそれだけだけれど。
(でも、これはわたしにしかできない事――)
だから今度こそ、動力部の中心に短剣を突き刺して、破壊した。
「……お父さん。もう、戦わなくていいんだ」
ヴァルトシュタインの体から力が抜け、崩折れる。
アストリッドは抱きとめながら……その鼓動が止まった事を確かめていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【落下耐性】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
【避難勧告】LV1が発生!
【修復加速】LV1が発生!
【腐食】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV6になった!
【凌駕率アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
レイラ・イグラーナ
皆様、お疲れさまでした。
はい、もうこの場に皆様が故郷に帰ることを妨げる者はいません。
ですが、皆様のしばらくのお食事は必要ですし……
この場で最後の収穫をいたしましょう。
私もお手伝いいたします。
便利な道具などは所持していませんし、
農奴とされた方と一緒に、手作業で収穫を進めます。
不慣れなものですから不手際などあるかもしれませんが、僅かでも皆様のお役に立てるのでしたら。
農作業に慣れた方々の指示を受けつつ、お手伝いいたします。
この国の人間として、皆様と苦楽を分かち合えることが私の喜びです。
「皆様、お疲れさまでした」
仄かな静けさが訪れた後。
レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)が仲間と共に、人々へも振り返ってそう口にすると……彼らは顔を見合わせ、少しずつ喜びを声にする。
そしてその内に大きな歓声を上げていた。
「もう、俺たちを虐げる者はいないのか。俺たちは……帰る事が出来るのか」
「はい。もうこの場に皆様が故郷に帰ることを妨げる者はいません」
未だ半信半疑の者へ、レイラがそう告げると――皆は安堵に目を閉じて。時に涙を伝わせ、時に力が抜けて座り込む。
ただ、と、レイラは農地を見回していた。
「皆様のしばらくのお食事は必要ですし……この場で最後の収穫をいたしましょう」
私もお手伝いいたしますと、進み出ると……それに彼らはまた立ち上がって。元気を取り戻したように頷き、畑に入り始めていた。
レイラもそこへついて行く。
手伝うとは言っても、便利な道具の類は所持していない。彼らと共に畑に分け入って……手作業で力を貸す形だ。
「収穫にはこちらを使用するのですね」
と、受け取ったのはクワだ。
爪の先がフォークのように分かれていて、土を掘りつつ、中から掻き出すようにしてじゃがいもを収穫する道具だ。
成程、と頷いてレイラは重さや使い方を確認する。
「不慣れですから、不手際などあるかもしれませんが――」
「そんな。手伝ってくれるだけで大助かりだ」
彼らはそう言って微笑む。
だからレイラもまた、少しでも皆の役に立てるようにと……早速手を動かした。
今までの彼らの労働は、無為なものだったろう。
でも今は、自分達が食べる分を、動いただけ手に入れる事が出来る。それは彼らにとっても全く違った充実感を生んでいるようだった。
「あなた達のおかげだ。本当に……ありがとう」
「いいえ」
彼らの言葉にレイラは小さく首を振った。
自分の方こそ、と。
「この国の人間として、皆様と苦楽を分かち合えることが私の喜びです」
だからひと手間ひと手間を丁寧に、大事にするように……クワを動かしてはじゃがいもを穫っていく。
彼らの笑顔があるから、感じる疲労感も心地良い。
一つの畑が終わると、レイラは少しだけ息をつき、人々の体力も確認しながら。
「では、隣の畑へ」
言葉に頷く彼らと共に――また次の収穫へと歩んでいった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【おいしくなあれ】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
アストリッド・ヴァルトシュタイン
お父さん。本来の貴方があんな事を望んでしていた訳がないのです。
けれども……いえ、だからこそケジメをつけましょう。
この力はもう、誰かを傷付けるためのものではないのです。
ここからはわたしが正しい道筋を歩いていきます。
……さて。
気持ちは切り替えていかなければ。
大地を【観察】し地脈の流れを見極めるべく【情報収集】。
これと見た場所で拾い上げた軍刀を大地に突き刺す。
パラドクス《希望の熾火》によって地脈へと流れ込む力。
破壊の力は豊穣を齎す再生の力に転じ、出来上がる【地形を利用】すれば人々が故郷へ戻る旅路を支える糧となってくれる筈。出立までに少しでも多くの作物を収穫しましょう。わたしも勿論お手伝いしますよ。
壊れてしまった機械のように、その体は崩れてゆく。
「お父さん……」
アストリッド・ヴァルトシュタイン(Löwenzahn・g04015)はヴァルトシュタイン中尉の亡骸を――その手元から欠片が全て零れ落ちるまで抱きしめていた。
そして膝をついて、その残骸を見つめる。
(本来の貴方があんな事を望んでしていた訳がないのです)
溢れる思いは、アストリッドの偽らざる気持ちだ。
けれど……いえ、と首を振る。
――だからこそケジメをつけましょう。
この力はもう、誰かを傷付けるためのものではないのだから。
「ここからはわたしが正しい道筋を歩いていきます」
それは自分と、そして彼への誓い。
農地の片隅。アストリッドはその灰色の雪原に残骸を埋めて、せめてもの弔いにする。そうして暫くその小山を眺めた後――背を向けて歩き出した。
ここからまた新しい日々へ進んでゆく。
その道を自分の心で拓いてゆくように。
「……さて」
視線を巡らすと、広大な農地が瞳に映る。
戦いは終わった。けれどまだ彼らには助けが必要だ。
だからそれきり気持ちを切り替えて……アストリッドは一巡りして大地の地脈を読み取った。
そしてその流れを司る一点を捉えると――軍刀を翳して地へと突き刺す。
瞬間、刀身から熱が奔り地脈に流れ込んだ。
生き生きとした活力となって注がれるそれは――“希望の熾火(レストグルート)”による耀き。
破壊の力を豊穣を齎す再生の力へと転じる事で……大地を隆起させ、土壌を柔らかに変えて。実る恵みに一層の栄養を行き渡らせていった。
人々は目を輝かせている。
「これは……!」
「収穫がしやすくなるでしょう。作物の栄養状態も良くなるはずです」
これが彼らの旅路を支える糧となる。
彼らが勢い込んで畑へ入っていくと、アストリッドも勿論そこへ加わって。
「わたしもお手伝いしますよ」
言って道具を手にして、じゃがいもを丁寧に収穫してゆく。
農奴だった者達の人数は少なくない。だから出立までに少しでも多くの量を揃える為に……穫っては積み、作物の山を築いていく。
「……」
見回せば、人々は笑顔に希望を満たしている。
それこそが、自分達の力で為せた事だった。
(正しい道筋、か――)
未来はどうなるか判らない。
時空を越えて戦う自分達にも、先を見通す事までは出来ないのだから。
けれど、だからこそ……歩む先を自分自身で見据えたい。アストリッドはよし、と一つ気合を入れて――更に収穫に精を出していった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【土壌改良】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!
神鳥・猛璃
「この闘いに勝っただけで人々が救われる訳じゃない。世の中そこまで単純ではないからな。」
肉体変異と魔力によって具現化した装甲を解き(闘い以外ではこの姿は適さない為)、収穫を手伝う。
「パシエル、収穫する農作物のあたりに(植物が育つように調整した)魔力光線を試しに当てて貰えるか?上手くいけば収穫量が増えるかもしれない。」
土地を見渡し(【地形の利用】【植物知識】)、見当をつける。
魔導奥義『無限光斉射』の応用で出力と特性を調整し【植物活性】化で、収穫量が増えないか試みる。
「力仕事は任せてくれ。作業も捗るだろうからな。それに食べ物に飢えるというのは苦しいものだ。」
収穫した農作物は蒸気機関車に積んでいく。
収穫作業が始まり、農地は俄に賑わいの様相だ。
人々の顔には笑顔が戻り、交わされる言葉にも生気が宿る。
その様子を神鳥・猛璃(仮面ライザー『エヴェルソル』・g06703)は短い時間、見つめていた。
「……良かったな」
呟きながら、それでも諸手で喜ぶだけの事はしない。
(この闘いに勝っただけで人々が救われる訳じゃない)
世の中は、そこまで単純ではない。それを猛璃は誰よりも判っていた。
今日助かった彼らにしても、真の平和はまだ先の事。何より未だ故郷は遠く……目の前には飢えも差し迫っている。
生半可な収穫量でも、長期の食を支えるのは難しいだろう。
だから猛璃は――装甲を解くと隣へと目を向けていた。
「パシエル、収穫する農作物のあたりに魔力光線を試しに当てて貰えるか?」
上手くいけば収穫量が増えるかもしれない、と。
伝えた言葉に、パシエルはそっと頷いて腕を翳し……魔導砲を浮遊させて眩い煌めきを生み出していた。
それは浄化の作用と共に、植物へ豊かな生命力を与えるように調整したエネルギーの塊。
瞬間、光の雨となって注いだその輝きが――美しく明滅しながら畑へ強い生命力を齎していた。
するとそれは確かな効果を与えたようで。
「……ふむ、悪くないな」
猛璃が見下ろすと、僅かながら作物に変化が現れるのが見えた。
元々早まっていた成長が、与えられたエネルギーによって更に高速化して……目に見える程の速度で生き生きと育っていくのだ。
人々はその光景に驚きを浮かべている。
「何と……!」
「これで作物の出来も、良いものになるだろう」
元々、じゃがいもを始めとするそれらの栄養状態は良いとはいえなかった。だが猛璃と仲間の齎した力が、その状況も変え始めている。
大ぶりに実っていく芋も少なくない。
勿論、それは相応に穫るのも大変になるけれど。
「力仕事は任せてくれ」
猛璃は自ら進んでその収穫に乗り出していた。
「食べ物に飢えるというのは苦しいものだ――」
だからこそ、彼らには少しでも多くの実りを手にして故郷に戻ってもらいたい。思いと共に、作物を掘っては運び出していく。
積む場所は、農地に面した位置に停まる蒸気機関車だ。
その貨物車両に芋を乗せていくと……帰郷が現実的になった事を実感したのだろう、人々の目には涙も浮かんでいる。
「さあ、あと少しだ」
猛璃は彼らに言ってまた畑に戻る。
そうして明るい声で応える人々と共に……最後まで収穫作業を手伝っていった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【植物活性】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
テクトラム・ギベリオ
激闘だったな。よくやった毛玉、我がサーヴァントよ。
約束通り黒猫には…いや、少し汚れたか?
あぁ疲れたな。しばし眠れ。あとは私がやろう。
恐れるものは何もなくなった。故郷へ帰ろう、とその前に食料調達だ。
【怪力無双】で収穫の手伝いを行う。確かじゃがいもだったか。
道具を借りて一気に掘り起こそう。
大切な食料を傷つけてはならんから、地中深くに道具を突き立てて土ごとさらう。
土と芋を分ける作業は農民たちに任せる。沢山掘り起こすので、あと少しだけ手伝ってくれ。
収穫した食料も怪力無双ですべて運びだす。
持ち込むのは食料だけで大丈夫なのか?今なら何でも運べるぞ。
アドリブ連携歓迎
エラ・パーカー
連携アドリブ歓迎
エラはこう見えて案外力持ちなのでいっぱい収穫するよう!
あっ、その前に!
ケガしてる人、おてて上げてー
気休め程度かもだけど、【活性治癒】で手当てするよう
よし!それじゃあがんばりますかー!
…あの、エラ畑仕事したことなくて…教えてもらってもいいかな…?
エラは観賞用の奴隷だったから傷がつくようなことさせてもらえなかったから…うう、足でまといな気がするのー…
でもでもっ、教えてもらったことは一生懸命するの!
えっと、これは収穫しても大丈夫かな?…えっ、ダメ?!
じゃあこっち…!
苦笑いされちゃうような感じかもだけど、その分たくさん動くよう!
コレどこに運ぶのう?エラに任せてー!
「激闘だったな。よくやった毛玉、我がサーヴァントよ」
烈しい戦いの後では、雪風も穏やかなものに感じられる。
その中でふわふわと腕元に戻ってきた毛玉を――テクトラム・ギベリオ(砂漠の少数民族・g01318)はそっと受け止めていた。
「約束通り黒猫には……いや、少し汚れたか?」
その毛並みを優しく撫でると……そこには少しの戦いの跡が残っている。
だからテクトラムは頷いて。
「あぁ疲れたな。しばし眠れ。あとは私がやろう」
毛玉が一時的に姿を薄めていくのを確認してから、歩み出す。
もう恐れるものはなくなった。故に農奴だった人々へ帰りを促そうとする、と。
「――その前に食料調達だな」
「うん!」
朗らかに頷くのはエラ・パーカー(adore song・g03253)。早速、人々と共に作業を始めようとするけれど――こちらもあっと気づいて。
「その前に! ケガしてる人、おてて上げてー」
人々の中にはこの過酷な環境で傷を負っている者もいる。
だからそんな人々へ……手当をしながら周囲に溢れた生命力を注ぎ込み、まずは健常な状態へと治してあげた。
苦痛が消え去り、満足に体が動くようになった事に彼らが喜びを上げると……エラは笑みを返してから。
「よし! それじゃあがんばりますかー!」
改めて畑へ共に入ってゆく。
けれど、作業を始める皆を見回すと……少しだけおずおずと口を開いた。
「あの、エラ畑仕事したことなくて……教えてもらってもいいかな……?」
エラは嘗て、奴隷だった。
だからある意味では彼らとは共通する部分もあるけれど――“観賞用”の身であり、傷がつくような事はさせられてはこなかったから、肉体労働の経験には乏しいのだ。
或いは足手まといになるかも知れないけれど、と。
「でもでもっ、教えてもらったことは一生懸命するの!」
エラがギュッと自身の拳を握って言うと……それには勿論彼らも頷いて。爪先の分かれたクワを渡してくれた。
「これで、じゃがいもを掘り出すんです」
「――なるほど。ほぼ手作業になるな」
テクトラムもまたそれを受け取って眺める。大きなものではないが、大量の作物を収穫するとなれば力も必要になりそうだ。
けれど――
「掘り起こすのは任せてくれ。一気にやろう」
テクトラムはクワを翳すと、力を込めて振り下ろし……地中深くにまで爪の先を突き立てていた。
そのまま勢いを殺さず、大きくすくい上げて――土ごと周囲の作物を浚ってみせる。
これで傷をつけずに大量収穫が出来る。一気に数十の芋が転がり出て、人々はおぉ、と声を上げていた。
「これならさほど時間もかかるまい」
「エラも頑張る! いっぱい収穫するよう!」
ぐっと気合を入れるエラもまた、細身の体躯に比して力には自信がある。だから同じようにクワを突き立てて……大波のように土ごと芋を掘り出した。
そうして二人で進めていくと、畑の一つが短時間で終了する。
畑の端には野菜も生っているから、エラはそれも収穫しつつ。
「えっと、これは収穫しても大丈夫かな? ……えっ、ダメ!?」
と、雑草を採ってしまいそうになると、慌てて手を止めて。慣れない作業でも一生懸命に続けて、沢山体を動かして――次の畑も綺麗に収穫を終えていく。
見れば土とじゃがいもが山と積まれていた。
「土と芋を分ける作業は、任せても良いだろうか。運ぶのはこちらで行うから」
テクトラムが言うと、人々はそれに喜んで頷く。
そうして彼らが選り分けた作物が大量に積み上がっていくと……テクトラムも次の畑を終えたところでそちらへ。
「さて、一度運ぶか」
「エラにも任せてー! コレどこに運ぶのう?」
エラもそこへぱたぱたと駆け寄っていくと、人々は山岳に沿った敷地の端を指す。
そこに蒸気機関車があって――テクトラムはなるほどと頷く。
「これで運び出していたんだな。大きな貨物車両がある」
「じゃあ、そこにどんどん積んでいくね!」
と、エラがその体躯からは考えられぬ力で一気に大量の芋を持ち上げると……テクトラムもまた怪力を発揮して運搬。早々に作物の山を移動させた。
「持ち込むのは食料だけで大丈夫なのか? 今なら何でも運べるぞ」
戻ったテクトラムが言うと、人々は顔を見合わせる。
元々着の身着のままで連れてこられた者達だ。だから家財などは持ち合わせていなかったけれど……それでも収穫に使ったクワなどは持ち帰りたいという事だった。
「では、作業を終えたらそれも積もう」
「うん、まだまだ頑張るよう!」
エラも言って、再び畑に戻る。
人々もまた頷いて自身の作業を続ける。その顔も明るいものだから――テクトラムも仄かに表情を和らげてから、再び収穫へと向かった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【活性治癒】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!
【ドレイン】がLV2になった!
三苫・麻緒
ここで倒さなくちゃいけない相手はこれで全員倒した
あとは農民たちを帰してあげる…前に、当面の食糧確保だったね
育てた作物はおいしく食べなくちゃもったいない!
農作業はあっても家庭菜園レベルだし、このディヴィジョンの農具のことなんて正直さっぱり!
だから、農具の使い方に関しては【操作会得】の効果でさくっとサポートしてもらっちゃおう!
細かい手順やじゃがいもを運ぶべき場所なんかは農民の人に聞くのが一番確実だよね
慣れた人のやり方に合わせるのが一番早くて確実なはず
でも消耗しているだろうから、体力仕事は積極的に受け持っていっちゃうよ!
元気に故郷に帰るための体力まで取られちゃったら意味ないからねー
風の吹き抜ける雪原と、その中の農地。
その景色を三苫・麻緒(ミント☆ソウル・g01206)は一度だけ見渡していた。
「……」
そこにもう脅威はなく、残るのは平穏の時間だ。
無事にその結末を迎えられた事に、少しの安堵を覚えながら……それでも麻緒はすぐに歩み出している。
「後は、食糧確保だね」
見れば、仲間達も周囲の畑に入り始めている。だから麻緒もまた作業をする人々へ助力する事を惜しまないつもりだった。
これまでは、収穫も得られぬ空虚な労働だったけれど。
「育てた作物は――おいしく食べなくちゃもったいないからね!」
自分達の実りを、自分達の手に出来る喜び。
人々の顔に宿るその笑顔を、麻緒は支えてあげたいと思うから……早速農具を手にとってみる。
尤も、農作業には明るくない。あっても家庭菜園のレベルだし……このディヴィジョンで使われる農具にも詳しくは無かった。
けれど、それも覚えてしまえば良い話。
「こうやって、と――」
周りを見ながら、そのクワに似た道具で土を掻き出し――傷つけぬようにじゃがいもを掘り出す。それを数度繰り返すだけで、麻緒はすぐに動作を体得していた。
「ん、いい感じかな」
それから分からない部分は人々に聞いて、教えてもらいながら。着実に収穫を積み上げ、そこにじゃがいもの小山を作っていた。
農民達はその壮観な眺めに、驚きと喜びを浮かべている。
「ありがとうございます……!」
「ひとまずは、このくらいで良さそうかな。運ぶ場所は――」
と、それも尋ねると彼らは山に沿った敷地の端を案内する。
そこに伸びる線路に、蒸気機関車が停まっていて……大きな貨物車輌が繋がっていた。
「これで運び出してたんだね。任せて」
作物の量は多く、移動させるだけでも重労働だ。
だから麻緒は率先して運搬も買って出て……彼らには力を使わせない。
これから、故郷に向かうのだ。元気に帰還するその体力まで取られてしまったら意味がないから、と。
その気遣いに彼らは深い感謝を浮かべて、自分達に出来る作業を続けてゆく。
そうして実りを手にする彼らが、何より嬉しそうだから。
(うん、良かった)
麻緒は心に呟く。
彼らはその恵みを得る権利がある。それと共に故郷へと帰る権利がある。
ありうべきその未来を、自分達の力で守れる事が嬉しくて――。
「よしっ」
麻緒もまた気合を入れて、収穫を続けていった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【操作会得】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV5になった!
エルマー・クライネルト
脅威は去った。後は彼等故郷へ帰すのみ
先ずはこの地で出来ることは全て終わらせてしまおう
この畑で使っている農具を見せて貰い壊れているものがあれば【修復加速】を使用しながら修繕を行う
使える道具は多い方が効率が良いだろう、と自分も一つ借りて畑へ赴く
作業の様子を確認しつつ手の回っていない畑へ向かい効率よく進める
疲弊しているであろう農奴達へは簡単な作業を頼み、力仕事は率先して行おう
……作物の出来はあまり良くないように窺える
土地は広大だが短期間で何度も収穫していては土地も痩せよう
オラトリオを呼び出し、作業の横で【植物活性】を発動
僅かな栄養で大きく育てて良いものを収穫する
ジャガイモは美味いに限るからな
人々の喜びの声が聞こえる。その笑顔が垣間見える。
(脅威は去った、か)
エルマー・クライネルト(価値の残滓・g00074)は彼らを見やって、改めてその実感を心に抱く。
ならば後は彼らを故郷へ帰すのみ。
故にこそ……この地で出来ることは全て終わらせてしまおう、と。
歩み出すのは畑ではなくその近く、彼らが使う農具の積まれている場所だった。
爪先の分かれたクワで、掘り出すようにじゃがいもを収穫する道具だ。エルマーはそれらを見やると人々へ尋ねる。
「壊れているものは、あるか?」
「ええ、幾つも」
彼らは頷いて幾つかを示す。休みなく作業させられていれば、道具もまた破損しているものは多かった。
「成程」
エルマーは呟くと、祝福を込めた糸を奔らせる。それによって裂け目や折れ目、その全てを無かったものとするように――素早く修繕してみせていた。
人々はまるで奇跡を目にしたように驚く。
「おぉ……!」
「使える道具は多い方が効率が良いだろう」
エルマーは言いながら、自身もそれを一つ借りて……それから農作業へと赴いた。
既に仲間も収穫を始めており、多くの畑をカバー出来ている。それでも敷地の端の幾つかはまだ手つかずで……エルマーはその一つへ入った。
試しにクワで掘り出すと、芋と土の重みが腕と体にかかるようで。
「収穫はこちらでするから、穫ったものの土を払ってくれるか」
と、容易な作業を人々へ頼み……力仕事は自身が一手に引き受ける事にする。
だけでなく――オラトリオのフルーフを喚び出して。
「さあ、与えてやってくれ」
告げると、そっと頷いたフルーフはふわりと高くへ翔び、手を差し出した。
瞬間、光で出来たチトニアの花が咲き、畑へと無数に舞い降りて。煌めく寿ぎを与えて――僅かな栄養でも作物が大きく育つようにした。
「ジャガイモは美味いに限るからな」
呟くエルマーはその様子を見届け、豊かに実ったものから収穫。
人々が土を払うと、それを運搬し……蒸気機関車の貨物車輌へと運び入れた。
仲間もまた、沢山の作物を運んできており――量は十二分だろう。
「これで暫くは、飢えまい」
エルマーの言葉に、彼らは感慨を見せる。
無論、これで終わりではない。ようやくここから帰郷に向かえるのだ。
「では、行くとしよう」
安全ではあるが、決して短い旅ではない。
その旅の供になる機関車を、エルマーは見やっていた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【植物活性】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
エラ・パーカー
連携アドリブ歓迎
お野菜積んだ機関車に乗ってあとは出発するだけだね
運転はしたことないからほかのみんなにお任せするの
エラは旅路が楽しくなるようにお歌を歌うよう♪
最初に歌った英雄の歌
今度はそれをアップテンポに!
あなたたちががんばってくれたから掴みとれた“勝利の凱歌”
みんなもご一緒に歌おう?
リズムなんて知らなくていいの!
お歌は楽しかったらいいんだよう♪
調子っぱずれなお声も、やたらお上手な手拍子も
全部すてきな音楽だもん!
お邪魔じゃなかったら運転席のほうまで行って巻き込んだりして…
にぎやかな一時をすごして、やがて見えてくるのは彼らの故郷
あっ、見て!もうすぐみんなのお家に着くよう♪
レイラ・イグラーナ
それでは、参りましょうか。
蒸気機関車に乗り、農奴とされていた方々の故郷へと向かいます。
もう一つだけ……私たちから彼らへ可能なことがございます。
食事は生きる糧。それは必要な栄養を摂るというだけでなく、美味しい物は日々の活力につながるということ。ならば、私のプライドなど……! それはそれとして、見つからないようにこっそりとやりましょう。
(見つかっても恥ずかしがるだけなので見つかっても大丈夫です)
シベリアへの旅の途中の料理を担当し、料理、および彼らが故郷で食べる作物に【美味しくなる魔法】で【おいしくなあれ】を使用。美味しい食事がとれるようにします。
エルマー・クライネルト
後は帰るだけだな、もう気を張ることもない。皆お疲れ様だ
全員が乗り込んだことを確認した後続いて乗車する
では操縦は任されよう。なに、ドイツ帝国にいた頃は車の運転に憧れたこともあったものだ(運転したことがあるとは言っていない)
操縦室に入り辺りを一瞥、成程分からん
……と、とりあえず設備を確認しよう
【クリーニング】で機材を掃除すれば何がどれなのか少しは分かるだろうか
後は【操作会得】を使い操縦をサポートして貰おう。残留効果に感謝だ
操縦に慣れてきた頃に一息つくとと向こうから何やら楽しそうな音が
…彼等に笑顔が戻っているのをみると、少しは救われた気持ちになる
丁度退屈し始めていたところだし大いに騒いでくれればいい
三苫・麻緒
どこかの誰か曰く、遠足は帰るまでが遠足なんだとか
それに当てはめるのなら、帰還の完了をしっかり見届けないといけないね!
大量のジャガイモをお土産に鉄道を動かして帰るだけなんだよね
鉄道…どうやって動くんだろう?
純粋に興味があるし、動かす人も必要だろうから【操作会得】で動かし方を把握しちゃおう
何かで読んだ、あのムキムキマッチョがスコップで石炭を放り込むあれかな?
もしそうなら【怪力無双】を使って力作業を頑張るね
力作業は引き続き率先してっていうのもあるけど、ほんのちょっぴり憧れ的なものがあるんだー
…正確には仕事道具のスコップで敵を張り飛ばす方にだけどもね
違うようでも人手が必要なものなら手伝うよ
山岳沿いから伸びる線路は、雪原の遥か彼方にまで続いている。
白妙の地平線。
その先にある人々の故郷を遠くに望むようにしてから――エルマー・クライネルト(価値の残滓・g00074)は改めて振り返っていた。
「皆、いるな?」
その言葉に、人々は元気な声で肯定を返す。
農奴だった者達は皆、作業を終えてひとところに集まっていた。
年齢を重ねた者も、まだ子供といえる者も……一人も欠ける事なく、帰還の途につける事に期待を見せている。
「よし。後は帰るだけだ、もう気を張ることもない。皆、お疲れ様だ」
エルマーが言えば、歓声にも似た喜びの声を上げる――そんな彼らを、三苫・麻緒(ミント☆ソウル・g01206)は早速案内し始めた。
「それじゃ、機関車に乗って!」
遠足は帰るまでが遠足。
いつか聞き及んだその言葉に当てはめるなら……皆の帰還を最後まで見届けないといけないと思うから。
言葉に従って人々が乗り込んで行くと、麻緒もそれに続いて。
「さ、皆も!」
「ええ。参りましょう」
頷いて、レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)も車輌の入口にそっと飛び乗ってゆく。
「作物の方も問題ありませんね」
「うん。お芋もお野菜も大丈夫だよ」
と、応えるのはエラ・パーカー(adore song・g03253)。貨物車両に山と積まれた作物を確認してきていた。
最後にエルマーが、外に残った人がいない事を確かめてから搭乗して。
「では行こうか」
「うん。出発だね!」
エラも元気に頷いて――車輌の中を歩み出した。
まずは機関車を動かす必要がある。
だから麻緒は興味津々に、運転室へと入っていた。
「鉄道……どうやって動くんだろう?」
「任せてくれ。なに、ドイツ帝国にいた頃は車の運転に憧れたこともあったものだ――」
と、続いて入ったのはエルマー。
言いつつも、実際に運転した事はない――なので暫し、きょろきょろと室内へ視線を巡らせてから。
「成程分からん。……と、とりあえず設備を確認しよう」
呟きつつ、機器を一つ一つ見てみる事にした。
すると皆が残した残留効果の甲斐もあり――それらの機械に残った思念が伝わってくる。
「ふむ、皆に感謝だな。つまりは石炭を熱すればいいわけだ」
「沸騰した水が蒸気になって……弁が動いて車輪の動力になるんだね」
麻緒も計器に触れながら、都度仕組みを把握していく。
圧力計を見つつ速度を確認して……必要に応じてブレーキを調整するのだ。
「作りはシンプルだねー」
「これなら二人でも問題はないか」
「うん。こっちもイメージしてた通り。ムキムキマッチョがスコップで石炭を放り込むあれだね」
と、麻緒が覗くのは火室。
ショベルと石炭があり、力仕事にはなりそうだが……麻緒は軽く腕まくりして。
「頑張るね」
「では、交代でやっていこう」
そうして早速、石炭をくべて熱し――蒸気でシリンダーを動かし始める。
計器を見て問題ないと確認すると……麻緒は汽笛を鳴らした。
「出発進行!」
高らかな音が、雪空に響く。
するとゆっくりと、けれど確かに機関車が動き出し……線路の上を緩やかな振動と共に進み始めていた。
「動き出しましたね」
客車にて、レイラが窓を見ると、エラも頷いて外を眺めていた。
「すごいね……!」
雪景色が後方に流れ始め、農地が遠ざかる。一面の銀世界は、こうして見るととても美しいものだ。
人々も安堵と喜びに、明るい声を交わしている。一秒一秒、自分達の故郷が近づく事に心が踊ってもいるようだ。
勿論、旅路はこれから長い。
だからエラは、そんな時間が楽しくなるようにと――軽やかにメロディを歌い上げ始めていた。
『――』
最初に歌った、英雄譚を唄う旋律。
それをよりアップテンポに紡ぐ事で、旋律はより踊るように、舞うように、心を沸き立たせるものとなって――人々を自然に笑顔にさせてゆく。
彼らは知らず、リズムに乗るように体を揺らす。
それに笑顔を返し、エラは一層明朗な歌声を上げていった。
――これは、あなたたちががんばってくれたから掴みとれた“勝利の凱歌”。
その思いを、詩に、抑揚に、声音に込めて皆を楽しませるように。
エラは彼らの帰途の時間を色鮮やかに彩り始めていた。
そうしてエラの歌を人々が楽しみ始めると……レイラは暫しそれを見守ってから、自分は客車をそっと抜け出していた。
「……こちらですね」
と、向かうのは貨物車両。
そこに積んであるじゃがいもと野菜を、今一度見つめる。
人々が平穏を手に入れた事で、こちらがすべき仕事は済んだ。けれど……レイラはもう一つだけ、彼らへとしてあげられる事があると思っていた。
それが、料理だ。
(食事は生きる糧ですから――)
必要な栄養を摂る、というだけの事ではない。
美味しい物は活力に繋がり、日々の暮らしを幸せにしてくれる。ならばそれを……今この時から彼らへと提供してあげられたら、と考えたのだ。
何より、自分にはそれが出来るから。
「ええ、そうです。私のプライドなど……!」
持てる力で美味しいものを用意する為に……レイラは合わせた指先でハートの形を作った。
「美味しくなあれ♪ 萌え萌えキュン♪」
すると煌めく光の粒が舞い降りて、作物に作用する。
これで間違いなく、じゃがいもも野菜も美味しくなったはずだった。
「……」
勿論、レイラは恥ずかしかった、けれど……誰にも見られていないので問題なし。
後は必要な分を調理台のある車輌に移して、サラダにフライドポテト、マッシュポテトを作っていく。
「ひとまずは、これで――」
立ち昇る良い香り。
完成した品を盛り付けて、レイラは皿を運び出した。
ショベルを石炭の山に刺し、掬い出した分で火室の温度を上げる。
そうして火の勢いを調節してシリンダーの動きを制御し、列車の速度を保ってゆく――麻緒はそんな作業を続けていた。
「そっちの方は問題ないかな?」
「ああ」
応えるエルマーは計器を見て、数値に問題が無い事を確認する。
それからブレーキ弁も調節して、不要な速度が出ないようにして……麻緒と適宜交代。それを繰り返して安定した走行を実現していた。
段々とこつも掴めて、機器や火室を固定した状態で置いておけるようになると――エルマーは振り返る。
「休憩するか」
「うん」
頷く麻緒は窓から外を眺めてみた。
吹き抜ける雪風が、今は頬に涼しい。
少し瞳を細めてから見回すと……雄大な雪原がどこまでも続いているのが見えた。
「だいぶ進んできたね」
機関車は快適な速度で線路の上を走っている。
旅路は順調で、既にかなりの距離を走破してきていた。
それでもまだ、人々の故郷は先だけれど。
「でも、ちゃんと近づいてるね」
少しずつ雪景色が穏やかになっているような気がする。実感と共に、麻緒はそう思った。
エルマーも頷いている、と……ふと、客車の方から楽しげな声が響いて来た。
そちらに目をやると――エラが顔を見せていた。
「みんなもご一緒にどう?」
エラの歌を皆で楽しんでいたのだと聞いて……二人も頷いて、一度そちらに向かってみる。
すると、そこにいた人々はエラの歌の続きを待っているかのように期待の表情を浮かべていた。
だからエラも今一度、唄う。
『――』
力強さを残しながらも朗らかに。
小気味好いリズムを刻む歌声は、何度だって人々の楽しい気持ちを呼び起こして……一節一節が響くたびに彼らの笑顔を一層明るくしていく。
「……」
それに彼らが嬉しそうで、楽しそうで。
その様子を目にしたエルマーは少しは救われた気持ちになった。
丁度退屈し始めていたところでもある。だから大いに騒いでくれたら良い、と。
「良かったな」
「うん。そうだね」
麻緒もまた頷いている、と……そんな二人と人々へエラは笑みかける。
「歌おう? ご一緒に!」
そうして誘うような旋律で、皆の笑顔だけでなく歌声までもを引き出していく。
自信のなさそうな者もいたけれど、エラは構わないと首を振って。
「リズムなんて知らなくていいの! お歌は楽しかったらいいんだよう♪」
調子っぱずれな声だって、やたら上手な手拍子だって。全てが等しく素敵な音楽なのだから……何も遠慮はいらないのだと。
するとその一人もまた歌に加わり、時に舞い踊るようにして輪に加わってゆく。
その様子に麻緒も微笑みを零す。
人々が最後に楽しい思い出を帰る事が出来るなら、それが何よりだと思うから。自分もまた手拍子を打って、皆と共にその時間を楽しんだ。
と、いい香りがしてそちらに視線をやると……丁度奥からレイラがやってくる。
麻緒はわぁ、と声を零した。
「料理、作ったんだね」
「ええ」
応えるレイラは台を引いていて、そこに作ったものを乗せていた。
香ばしく揚げたポテトや、綺麗に盛り付けたサラダ。それは食べる前から五感を刺激するようで……人々の視線を釘付けだ。
「十分な量を用意致しましたので、どうぞ」
レイラがそう言うと早速、皆が歓声にも似た声を上げて食事を始める。
長らくまともな食事もしていなかった彼らにとって、その美味は無二のもの。その温かさにも幸福を感じるように、皆が喜びを表していた。
人々はその作物の世話にあたっていたからこそ、感心の様子だ。
「これほど美味しいものを用意して貰えるなんて、驚きです」
「作物の状態はかなり良くなっていましたから」
自分の方でも美味しくなるように処理を致しましたので、と。レイラは一応そう付け加えもする。
その具体的な方法こそ明かさなかったけれど……皆が料理に満足してくれたようで、その事には満足の心持ちでもあった。
そうして機関車は線路を走り続ける。
その先に――やがて見えてくるのは彼らの故郷。
家々が並び、素朴ながらも何より安心を感じるであろう景色だ。
「あっ、見て! もうすぐみんなのお家に着くよう♪」
エラが窓から指すと、人々も身を乗り出さんばかりにそれを確認して笑顔を浮かべる。
汽笛の音と共に、機関車の速度も緩くなり始めて――エルマーと麻緒が客車に姿を見せていた。
「このままゆっくり減速するぞ」
「もう少しだけ待ってね」
そんな二人に人々は頷いて……それから深い感謝を伝える。
ようやく訪れる安寧の時。
白雪の中でもそれは優しく温かなものだから。
到着した後、彼らは別れを惜しむように――こちらの姿が見えなくなるまでずっと、手を振り続けてくれていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【勝利の凱歌】がLV2になった!
【おいしくなあれ】がLV2になった!
【士気高揚】がLV3になった!
【操作会得】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!
【リザレクション】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV8になった!
【能力値アップ】がLV6になった!