グラシャラボラス残党軍の江戸川区侵攻戦

 ディアボロスは、江戸川区の支配者である『妖美なる黄金公爵グレモリー』と、江東区から逃れたグラシャラボラス残党軍の戦いに介入。
 グラシャラボラス残党軍の撤退を助け、残党軍との共闘関係を築こうと試みました。

 撤退が上手くいったことで、グラシャラボラス残党軍を率いるジェネラル級アークデーモン『大淫婦バビロニア』はディアボロスの協力を得られると思い込み、自ら残党軍を率い、江戸川区の中枢である『江戸川区役所』への進軍を開始しました。
 バビロニアの軍勢を利用して、江戸川区役所に攻め寄せましょう。

 この侵攻戦におけるディアボロスの行動や状況により、グレモリーやバビロニアとの決戦に至る状況は、大きく変化すると予想されます。

宴会所はこちら、区役所はあちら(作者 大丁
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#TOKYOエゼキエル戦争  #グラシャラボラス残党軍の江戸川区侵攻戦  #江戸川区  #大淫婦バビロニア  #妖美なる黄金公爵グレモリー 


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 100体のヤンキーデーモンが担いでいる輿は、30m四方くらいある巨大なグランピングテントのような形をしていた。
 それが現在のグラシャラボラス残党軍を率いている。
「はりきりなさい。私の躰を使いたいのならね。ふふふ」
 内部は宴会所になっており、ジェネラル級アークデーモン『大淫婦バビロニア』は、寝そべった姿勢で指示を出す。黒いレザー地の衣装は、重そうな胸を襟から吊り下げるだけの面積しかなく、肘をついた前腕に、左右の膨らみを触れさせていた。
 床には盆や杯が並べられて、バビロニアはてんでにつまんでは、部下を呼んで話をし、肢体を見せつけた。
 アークデーモンたちは、宴会所内のあちこちに車座になって座り、自分の番を待つ。
 この指導者は、激励もしてくれるが、賛美も要求してくるのだ。
「いいわ。あなたの活躍があれば、グレモリーを滅ぼせる。そうして私が、江戸川区の支配者になる。区の支配者こそ、わたしに相応しい地位なのよ」

 『TOKYOエゼキエル戦争』行きのパラドクストレイン。
 車内のロングシートに、案内人が寝そべっていた。
「ごきげんよう。時先案内いたします、ファビエヌ・ラボー(サキュバスの人形遣い・g03369)ですわ」
 肘を支えに上体を起こす。
「江戸川区荒川の戦いで、ディアボロスはグラシャラボラス残党軍の撤退を助ける判断をいたしました。残党軍は勢いづき、ジェネラル級アークデーモン『大淫婦バビロニア』は、全軍を率いて江戸川区の中心である江戸川区役所への侵攻を開始しています」
 床に手を伸ばすと、ホームの売店で入手したとおぼしきカップが。
「バビロニアは、ディアボロスが自分の配下になったかのように錯覚して、調子に乗っているのでしょう。こんな感じで、ね」
 予知の内容を聞けば、ファビエヌのかっこうが何を模しているのかは分かる。
「バビロニアが率いるグラシャラボラス残党軍は、そこそこの数があります。この軍勢を利用すれば、江戸川区役所の制圧……ひいては、区の支配者である『妖美なる黄金公爵グレモリー』を撃破し、江戸川区を奪還できるかもしれません」
 説明しながら、身じろぎしている。
 ロングシートと言っても座面は個別に仕切られ、まっすぐ座るのに適したようにヘコミが付けられている。
 横になったら、見た目ほどには楽ではなかろう。
「バビロニア軍の進軍に対して、グレモリー軍が迎撃に出てくるので、皆様は強力な敵を中心に撃破して、江戸川区役所に向けて進んでください。また、新小岩駅方面の偵察をする隙もつくれそうですね」

 ファビエヌは、カップの封を切らずに、口元で傾ける。
「戦いの前には、バビロニアの宴会所に招かれ、接触する機会があります。予知に出てきた、輿とテントですね。無理に出席する必要はありませんが、実際に会って、バビロニアの行動を誘導できれば、状況を有利に運べるかもしれません」
 『大淫婦』へのシミュレーションのつもりのようだ。
「ほら、なにか気の利いたイイコトをいってごらん?」
 寝そべったサキュバスが、指でクイクイと自分をさす。
 ディアボロスの何人かが、あてずっぽうで容姿を誉めた。
「ふふふ、正解。上機嫌の彼女は、賛美されるのが好みのようよ。この続きは、皆様で考えてくださいな」
 座り直したあと、立ち上がってドレスの裾をただした。
「葛飾区の新小岩駅の偵察ですが、江戸川区の境から500mはあります。葛飾区に侵入するのは、余計な挑発になってしまいますから、避けてください。『飛翔』なども、偵察が丸わかりになって、よくありません」
 話題は再び、対グレモリー軍にもどる。
「アヴァタール級アークデーモン『死魂の奏者ムルムル』と、それを護衛するトループス級『ブリードデーモン』を合わせて、グレモリー軍の精鋭部隊となっています。もし、バビロニア軍がこれと戦えば、大きな被害を受けてしまいます。皆様、ディアボロスの手で撃破をお願いいたします」
 操り人形が、カップをパスしあっている。
「大群のトループス級、『無限』のインフィニティは、バビロニア軍に任せるのも結構ですし、皆様が戦って撃破しても構いません。ただ、バビロニア軍の戦力の減りぐあいは、戦局に影響を及ぼすかもしれませんね」

 結局、真似だけで飲まずに、ファビエヌはホームに降りた。当然だが。
「バビロニアが移動中に宴会をしているのは、グレモリーとの決戦で全力を出すために力を蓄えるという意味があるようですわ。皆様のイイ対応に期待しています」

 区役所は、区役所で、『妖美なる黄金公爵グレモリー』が、堕落させた男性を侍らせていた。
 しかし、彼女は不機嫌だ。
「荒川奪還に向かった軍勢が敗北したのは百歩譲って良しとしよう」
 グラスを持つ手がワナワナと震えだす。
「だが、あのバビロニアが、ディアボロスと共に、こちらに攻め込んでくるとはどういう事だ? ありえないだろう!」
 中身の入ったままのそれが、床に叩きつけられた。
「とにかく迎撃に向かえ。江東区の残党軍など物の数では無いが、ディアボロスの力は脅威だからな」
 部下には一通り指示を出し、男たちから代わりのグラスを手渡され、ようやくグレモリーは下半身の四脚を曲げて座る。
「まったく、ディアボロスは共通の敵だというのに、バビロニアは何を考えているのか……」


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【水源】
1
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【未来予測】
1
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【神速反応】
1
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【腐食】
1
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【友達催眠】
1
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【熱波の支配者】
1
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【冷気の支配者】
1
ディアボロスが冷気を自在に操る世界になり、「効果LV×1km半径内」の気温を、「効果LV×10度」まで低下可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【断末魔動画】
1
原型の残った死体の周囲に、死ぬ直前の「効果LV×1分」に死者が見た情景が動画として表示される世界になる。この映像はディアボロスだけに見える。
【エイティーン】
1
周囲が、ディアボロスが18歳から「18+効果LV」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【スーパーGPS】
1
周囲のディアボロスが見るあらゆる「地図」に、現在位置を表示する機能が追加される。効果LVが高ければ高い程、より詳細な位置を特定できる。
【過去視の道案内】
1
移動時、目的地へ向かう影が出現しディアボロスを案内してくれる世界となる。「効果LV×1日以内」に、現在地から目的に移動した人がいなければ影は発生しない。
【活性治癒】
3
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【温熱適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、気温摂氏80度までの暑さなら快適に過ごせる世界に変わる。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【クリーニング】
1
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。
【アイテムポケット】
2
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV8 / 【ガードアップ】LV1 / 【反撃アップ】LV2 / 【アクティベイト】LV2 / 【ラストリベンジ】LV1 / 【先行率アップ】LV3 / 【ドレイン】LV5(最大) / 【ダブル】LV1 / 【ロストエナジー】LV1

●マスターより

大丁
 オープニングをお読みいただきありがとうございます。
 マスターの大丁です。

 今回は、TOKYOエゼキエル戦争にて、江戸川区役所から迎撃に出てきたグレモリー軍と戦うシナリオとなっております。

 宴会所のジェネラル級アークデーモン『大淫婦バビロニア』の招き。
 区役所から出撃してくる、『妖美なる黄金公爵グレモリー』の精鋭部隊。
 大群のトループス級『無限』のインフィニティと、バビロニア軍の戦いの行方は。
 そして、新小岩駅には、何があるのか。

 戦いに、冒険に。そして、ドキドキを。
 みなさまの素晴らしいプレイングをお待ちしております。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


ラウム・マルファス
演技は苦手だから本心だヨ
「ヤッホー、ラウムだヨ」
お酌して乾杯して一気に飲み干そウ
1瓶くらいならキツイのでも平気ヘーキ

「バビロニアって意外と美人だネ」
っと、言い回しを間違えタ
「ごめんゴメン、ボク40過ぎでね、モテる人って聞くとついバブルの頃を思い出しちゃってサ。こんな綺麗系の人だと思わなかったカラ」
「お詫びって訳じゃないけど、お酒持ってきたんダ。とっておきサ」
アイテムポケットに詰め込んだの全部あげル
「お酒と女性で堕落した人を正気に戻す方法知らナイ?バビロニアなら余裕だろうけど、面倒でショ?ボクでもできそうなら正気にして回るから、支配が楽になると思うヨ」
怒るならそのまま出てこウ
うーん、飲み足りナイ


 テント奥に陣取り、大淫婦バビロニアが寝そべったまま、ディアボロスを呼んだ。
 その時、宴会所にいたのは、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)だけだった。
(「声がかかっちゃったナ。演技は苦手だから、応対は本心のまんまだヨ」)
 使いのアークデーモンに先導されて、大淫婦のまえにでる。
「ヤッホー、ラウムだヨ」
 気軽な調子で、バビロニアの杯にお酌をすると、召使いに注がれた杯を掲げた。
「乾パーイ!」
 一気に飲み干す。キツそうな酒だったが、ラウムには平気だった。
「バビロニアって意外と美人だネ」
 相手が軽く杯を掲げて、口を開こうとした瞬間だった。
「意外、と……?」
 明らかに、眉の端が上がっている。
(「っと、言い回しを間違えタ」)
 ラウムは、ペラペラと言葉を継ぎ足す。
「ごめんゴメン、ボク40過ぎでね、モテる人って聞くとついバブルの頃を思い出しちゃってサ。こんな綺麗系の人だと思わなかったカラ」
 実際、それほど他意があったわけではなく、しかし話せば話すほど、なにか当てこすりのような感じになっていく。バビロニア当人よりも、召使いのアークデーモンが、火属性にチェンジしたみたいに赤くなっているから、間違いない。
「お詫びって訳じゃないけど、お酒持ってきたんダ。とっておきサ」
 アイテムポケットに詰め込んだ瓶が、ポロポロとカーペットに転がった。
 もう、そのころには、命令がなくとも、部下がラウムを引っ立てていたから。
「お酒と女性で堕落した人を正気に戻す方法知らナイ? バビロニアなら余裕だろうけど、面倒でショ? ボクでもできそうなら正気にして回るから、支配が楽になると思うヨ」
 最後のほうは、テントの入り口まで遠ざけられていたから、バビロニアの耳には届いていなかったろう。車座になった者たちは、ポカンと顛末を眺めていた。
 ラウムは、放り出される前に、自分から輿を降りる。
「うーん、飲み足りナイ」
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!

ラウム・マルファス
怒らせちゃっタ、褒めるのって難しいナ

理星と手分けして調査するヨ

全知の魔法書で地図を調べて、新小岩駅へ向かおウ

途中でカラスを探して使い魔使役すル
普通のカラスなら変な動きしなきゃ警戒とかには引っ掛からないハズ
敵が居なさそうなら区境を超えて葛飾区に入らせ、墨田区方面へ飛んでもらおウ
敵か人の多い場所を探すヨ

ボクは川沿いをお散歩しよウ
汎用ドローンを自走型の水中カメラに換装して水の中の情報収集
中川かな、葛飾区の真ん中まで繋がってそうだしネ
区境は……ボクが越えるのは流石に危ないカナ?
警報とかありそうか、観察だけしておくヨ

あとは地下から侵入できそうな経路がないか、下水道のルートを辿りつつ区役所方面に戻ろウ


天夜・理星
知り合いの友達が頑張ってるので偵察しまーす。
アタシにも手伝わせてよ、一つ二つ。

東京は新宿がアタシの生まれなんで、この地域の地理も記憶と復讐者の経験を頼りにする。
後は…そうだな。静かに自分の脚で出向く。
その際に重要なのが光学迷彩を張ること。これなら人の有無なんざ関係無いでしょ? ぶつからないように注意深く進んで、偵察すればいいんだよ。
ルートも人通りの少ないやつで。

葛飾区の手前まで進むことが出来ればベストだね、そこで止まって、ちょうどいい感じの物陰に隠れながら、新小岩駅で何が起こっているか、この一つに絞って情報収集。
やることを絞る、簡単かつ丁寧に。
隠れながら何かをするって、そういうもんでしょ?


 荒川の東を並行して歩いていた。
 ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)の右手には中川の土手がある。背の低い雑草が茂り、数十mおきに、首都高速道路の橋脚がそそり立っている。中川の水面は見えないが、フェンスに遮られた先には、対岸のコンクリート壁が覗けた。
 そこはもう、葛飾区だ。
「怒らせちゃっタ、褒めるのって難しいナ」
 ふと、『大淫婦バビロニア』の吊り上がった眉が思い出される。宴会所ではアークデーモンたちの怪訝そうな視線に囲まれたが、ひび割れたアスファルトを行くいまは、人の気配はまるでない。
 前方に、中川から荒川まで差し渡された鉄橋が見えてきた。
 『全知の魔法書』とラウムが名付けた歴史書を開き、『TOKYOエゼキエル戦争出身者』としての知識も併せて、新小岩駅を通る鉄道、総武線であると確認する。もちろん電車は走っていない。
「終点だネ。このままお散歩を続けたラ、ボクまで区境を越えてしまうヨ」
 ラウムは、手詰まりを感じる。
 カラスなどを『使い魔使役』してみたものの、越境できるほどの距離となると、視界共有もコントロールもきかなかった。
 『汎用ドローン』に水中パーツを換装させてみたが、これはラウムの『発明品』だ。葛飾区側に武器を投げ込むような危険は、控えたい。
「ンン……。あれは、理星かナ?」
 同じ道をたどって近づいてくる女性。天夜・理星(復讐の王・g02264)は、ディアボロスの仲間であるだけでなく、友達だ。
「アタシにも手伝わせてよ、一つ二つ」
 彼女は現代地球出身で、より土地勘がある。自分の脚で出向いてきたのだろう。
 新小岩駅周辺をのぞき見するポイントとしては、正解だったわけだ。理星は、『光学迷彩』を用意してきていた。
「やることを絞る、簡単かつ丁寧に、ね。ほら、ちょうどいい感じの物陰があるじゃなーい」
 土手の上を指差した。
 首都高速道路の橋脚だ。無骨な柱にふたりして潜み、迷彩効果を効かせて偵察を続ける。
 とりあえず、対岸のコンクリートに囲われた内側は、商業ビルやマンションくらいしか見当たらなかった。クロノヴェーダによる見張り台のような設備もないものの、葛飾区側から隠れて監視することは可能そうだ。
 駅周辺の上空も見張っていたが、飛行する異形の影は、ほんの時々である。
「ねぇ、ラウムさん。江戸川区役所戦に介入するつもりなら、きっと戦力を集結させてたりするでしょ?」
「ボクもそう思うヨ。今回については、葛飾区の敵の介入はなさそうだネ。区役所方面に戻ろウ」
苦戦🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

天夜・理星
自分の一番好きな酒、赤ワインを頂きます、お話させてください。

やることはお話。
まず先の無礼をお詫びしてから向こうのお話を拝聴、賛同、賞賛する。

その上でアタシたち復讐者の一部が既に向こうの手に堕ちてると思わせる。
難解さも真面目さも要らない、曇り無き瞳の純粋過ぎる笑顔でそれを言うことで説得力を持たせる。

右手の甲の紋章、エクスクロックもチラ見せだ。
世界を壊し支配し得る■■を感じ取らせ…『十分な力を自分は持っている』とそう思い込ませ調子付け、信頼を得る!

それができたら…その軍勢をインフィニティの大群と戦闘するようにお願いだ。

未来図はいつでも書き換えられる。復讐者の怒りで。
だから今は、赦しておけばいい…


 グラシャラボラス残党軍に合流するにあたって、天夜・理星(復讐の王・g02264)は友達に、『大淫婦バビロニア』の移動宴会所に寄ってくると伝えた。
 100体ヤンキーデーモンは、小柄な理星を見下ろしていたものの、すぐグランピングテントに上げてくれ、召使いの美男子が御用を聞きにくる。
「自分の一番好きな酒、赤ワインを頂きます。バビロニアさんとお話させてください」
 直接的な物言いが効いたのか、いくらも待たされずに、目通りが叶った。
「まず、先の無礼をお詫びさせてください」
「……どの無礼?」
 すでにディアボロスが何人か、やらかしたみたいだ。バビロニアはまだ怒っている感じではなく、眼を細めて興味深げに見つめてくる。
 理星はもう素直さで押していくつもりだったので、友人の名前を出した。
「ラウムという者が、『意外と美人』などと、無礼な態度をとりました」
「あー……。ヤッホーくんの上官なのね。私はなにも思ってないわよ。こっちの部下が勝手に追い出しただけ。で、実際に会ってみたら、どう?」
 ジェネラル級ともあろうものが、キラキラと期待のこもった眼差しになる。理星も曇りなき瞳を輝かせて、笑顔で言った。
「ラウムなんかの口では言い表せない、世界を支配し得るほどの魅力をもった、大変な美人でございます」
 はたして、大淫婦は笑う。
「世界か、大きく出たわね。ディアボロスは、すぐにでも私を江戸川区の支配者にしてくれそうよ」
 赤ワインのボトルを持ってこさせ、理星の杯にバビロニア自らが、注いでくれた。その後しばらくは、調子のいい感じの物言いを続けるので、拝聴する。
(「未来図はいつでも書き換えられる。復讐者の怒りで。だから今は、赦しておけばいい……」)
 途中、話を向けられ、ディアボロスのなかにグレモリーの手に墜ちている者がいると、惑わすための情報を吹き込み、救出するあいだ大群のトループスとの戦闘を受け持ってくれないか、と願い出た。
「つくづく部下の心配をする子ね」
 バビロニアは、ため息をつき、理星に疑いを抱かないかわりに、心を動かされてもいない様子だった。
「いい? 江戸川区役所はあちら。出てきた敵は倒して、前に進む。それだけでいいのよ。それだけで、私は区の支配者になれるの。ディアボロスだって、それが一番の望みなんでしょ?」
 寝そべっていたものが立ち上がり、適当に指差すクロノヴェーダの足元で、理星は賛同の返事をするよりなかった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!

ラウム・マルファス
うわぁ、キモイし汚イ
早く仕留めてしまおウ

まずは遠くから敵の動きや戦場を観察
もし一般人を襲おうとしているなら身を挺して庇うヨ
一般人に被害が無さそうなら、カラス型ドローンを早業で放電タイプに換装して飛ばそウ

「好きなようにはさせないサ」
挑発して注意を引き付け、カラス型ドローンで死角から電撃を放ツ
触手の拘束はイバラの冠で牽制しつつ、人がいない建物を障害物にしてやり過ごそウ
捕まっちゃった場合は自分ごと放電して拘束を抜けるヨ
周囲の粘液が邪魔そうだから、凝固剤(薬品)を撒いて固めておこウ

エジプトの東の方ってもしかしてこんなのばっかりいるのカナ
考えると滅入りそうだケド今は目の前の敵に集中だネ


リーフ・フローレス
『夢魔魅了』で敵を【誘惑】して
隙をついて攻撃する【計略】

抜群のスタイルを強調した
露出度の高い【挑発】的な、踊り子姿。
ぷるんとした、はちきれそうな豊満な胸
きゅっと引き締まった腰のくびれ
ぷりっとした形の良い尻
すらりとした美しい脚。

「うわぁー、きもちわるーい!」
成熟した体つきと対照的な
かわいらしい声と、舌っ足らずな話し方。
敵の見た目に怯え。

「きゃぁっ!?やだぁ、なにこれぇ……」
粘性の液体で、べとべとに。
ふらふらで、もう抵抗できない【演技】

「いやぁ、だめぇ!?……なんちゃってー!」
敵が油断し、孕ませるため
触手を近づけたら
触手の敏感そうな部分を思いっきり
美しい脚で蹴って攻撃。

会話は、ひらがなカタカナのみ


天夜・理星
あれ以上はもう意味ねえな…
さっさと前に行くしかないか。

…でも、あの先にいるアヴァタールって…

ああ、風花さんのお姉さんか。
何にしろやるしかないわけだ、【ヨアケ】のみんなで。

…エクスクロック。
宝の持ち腐れにする気はないんで、
向こうが捕縛してくるなら、その触手を早業の手首スナップによるパラドクスで強打、破壊してでもそれを脱する。
みんなの連携に合わせて、速攻で壊して吹き飛ばしてやるよ…!!
…その結果何が起きても止まるのは無しだ。
それが利用するってこと。

……クッソ、やっぱ削れますね存在が……
でも、友達の邪魔はさせない。
文字通り前には進めるからね。

ダメージアップも手伝って、
道をでっかく開けてやるよ…!!


御門・風花
【ヨアケ】で参加。
連携やアドリブ歓迎します。

ムルムル……わたしが幼い頃に死んだ姉に似た少女。
いえ、今はやるべきことをしましょう。

目の前に立ち塞がるデーモン達を無表情に見据え、肩で威嚇する琥珀に
「厄介な相手のようですね……行きますよ『琥珀』」
パラドクスを発動。炎の闘気を纏うと同時に金髪赤眼の姿に変化。変化前と打って変わって憤怒と嫌悪感を露に。
「その汚らわしい姿、焼き尽くしてあげる」
両手の五指に炎の《呪詛》を宿したオーラの刃『灼熱の鉤爪』を展開。
敵の触手を陽炎で回避したり、灼熱の鉤爪で焼き払いながら接敵。その勢いのまま両断し、切断面から炎の《呪詛》で汚染し消し炭にしていきます。
「次はあなたの番よ」


アオイ・ダイアログ
【ヨアケ】から!

これはまたアナログタイプなアレな連中が出てきましたねぇ
しかしこうして見ると触手とかめっちゃキモイあ、ムリ近寄らないで下さい

後方で矢を次々射掛けますよ
敵が纏まってる所や仲間を攻撃しようとしてる敵に当てて痺れさせてサポートします
なんならそのまま黒焦げで死んで下さい

あれには絶対捕まりたくないんで近寄ってきたら引き射ちです
狙われたら【パラドクス通信】使ってでもヘルプ出します

うーん、皆さん勇ましいですね
このくらいの敵なら何とかなりますか
まぁとりあえず……乙女の敵は完膚なきまでに滅んでて下さい!


黒城・廉也
【ヨアケ】で参加

御門さんの為に道を切り開かなきゃいけないッスね
でも、まずはこいつをどうにかしないと
……俺、そういう攻撃って嫌いなんですよね。生理的に
仲間に手を出したら殺すだけじゃ済まないですよ?

内心イライラだけど戦闘では心を冷静に……今までの戦闘知識で敵の攻撃を察知するように気を配り味方が被弾しそうな時には早業で引き寄せてディフェンスを。魔力を流したローブがあれば多少軽減できるし、鋼魔鉄線を魔力を流し網目状の盾にすれば打撃だってどうにかなるッス
もちろん俺自身もできる限り被弾は避け同様の防御手段で身を護る

全力魔法に浄化の力を込めて、その白いのごと纏めて消し去るつもりで弾丸を敵に…


アイネリス・レナリィ
アドリブ絡み歓迎
【ヨアケ】

全く、趣味の悪い……
お前たちをのさばらせておく訳にはいかないわね。
早々に消えてもらうわ。

こちらも前に出ます
【念動力】で触手の軌道を逸らし攻撃を回避しつつ
【地形の利用】と【ダッシュ】を駆使、触手を掻い潜り接近
《振り払う焦熱》、その迸る熱と鋼の鋭さで
触手を回避と同時に【両断】
そのまま本体へ詰め寄り叩き斬ってしまいましょう

味方の攻撃に乗じて【不意打ち】出来そうな相手は確実に仕留めます

タイミングを見計らい人鳥さんの援護へ
このふざけた連中を吹き飛ばす

いつでもどうぞ。
私も加減のつもりはありません。
一切葬ってしまいましょう。


眉立・人鳥
アドリブ絡み歓迎
【ヨアケ】で行く

こいつは……
またしょうもねえのが出てきたもんだな
こっちにゃいたいけな少女が多いんだ、教育によくねェ
悪いがさっさと消えて貰うぜ

前に出る、敵を引きつけるように動くぞ
バイビークで牽制射撃しながら、無理矢理俺に目を向けさせようか
アイネも前なら尚更だぜ
打撃は念動力を活用しつつ、出来るだけ受け流す試み
味方に敵の弾が流れそうな時はWhite Flipperedと天魔のオーラで自身を守りつつ、強引にでもディフェンスに入ろう

なるべく多く引きつけた所で、パラドクス発動
出力を上げた災禍で一気にまとめて吹き飛ばす!
アイネ!全開で行くッ!!力ぁ貸してくれッ!!


セフィー・ステラ
※アドリブ・連携歓迎

江戸川区制圧のために少しでも協力できるようにボクもアンとがんばるよ!

何だか気味が悪い敵だね…それに力強そう…
怖いけど戦わなきゃ!
コメットアローで遠距離から攻撃していこうかな。

ひゃあっ!?何か撒き散らしてきたよ!?
(少しかかっちゃった?)
ネバネバしてて気持ち悪いよぅ…
と、とにかく早く対処しなきゃもっと多くのがきて飲み込まれちゃうよ!

洪水が来る前に【演奏】して、パラドクスを発動するよ♪
洪水の方はフェンリルで凍らせることで、直撃を避けれるルートを確保するよ!そして、不死鳥の方で敵を攻撃していくよ!

ボクでもみんなの役に立ててるかな?


百鬼・運命
アドリブ絡み歓迎

【ヨアケ】で参加

さて天夜さんの増援で駆け付けたはいいが…ものすごく教育に悪い敵だな。

というかダメだろこれ…テンション下がる敵は割と多いけど、これは上位になるな

とりあえずああいう触手系の敵なら冷気には弱いだろう。女性陣を前線に出すわけにはいかないし、水陸両用の気密式動力甲冑とクェイクパックを召喚してアイシクルスフィア入りのミサイルを発射しながら前衛を務めよう。

ミサイルの冷凍効果でいろいろ問題ありそうな体液と触手を凍結。体液を出せば氷漬けになって動けなくなる状況を作って敵の危ない攻撃を封じて行こうか

しかし戦闘が終わったら【クリーニング】が必須だろうなあ…


 『大淫婦バビロニア』の宴会所、テントを載せた輿から降りてきた天夜・理星(復讐の王・g02264)は、グラシャラボラス残党軍のなかに間借りして配置されている仲間と合流した。
 『ヨアケの星』をはじめとした旅団でのお馴染みや、時空間列車の同乗者らが集っている。
「あれ以上はもう意味ねえな。さっさと前に行くしかないか……」
 理星が、接見での様子をもらすと、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)は口元をゆるめて礼を言った。
「怒らせちゃったフォローを、ありがト」
 ディアボロスが受け持ったルートは、元のバス道に沿っていて、車線は全部で四つだが、両サイドの歩道も広く、建っているのはマンションなどの住居だ。
 区役所まで見通すことはできないものの、会敵し戦闘をするには十分な道幅だと、ラウムは観ていた。すると、クダギツネの一体が足を止めた。
 御門・風花(静謐の凶鳥/ミセリコルデ・g01985)の『琥珀』だ。左前方を睨みだす。
「厄介な相手のようですね……」
 サーヴァントに注意をうながしつつ、風花は落ちついた雰囲気で片手を掲げ、進軍停止の合図を出す。
 旧バス道に染み出してきた敵群は、トループス級『ブリードデーモン』。
 巨躯かつ肥満体の悪魔で、全身から触手を生やしている。その後ろ、電柱の真ん中くらいの高さから姿を現したのは、鷲の上半身に獅子の下半身を持ったグリフォンと、それに騎乗する黒髪の女の子だ。
「あれって……。ああ、風花さんのお姉さんか」
 理星がアヴァタール級アークデーモンの来歴に気づく。
 黒城・廉也(後輩サキュバス・g02175)は、からっぽの両手を胸の前まで持ち上げて構えた。
「じゃあ、御門さんの為に道を切り開かなきゃいけないッスね」
 長身のサキュバスからは、グリフォンの士官よりも、触手の群れのほうがよく見渡せる。
 大人に混じったセフィー・ステラ(星の魔力をもつエルフの小さき演奏家・g06416)は、背伸びしてやっと、件の電柱を見上げられた。
「風花さんの……一族なの?」
「ムルムル、わたしが幼い頃に死んだ姉に……『似た少女』です」
 あくまで風花は冷静だ。
 今は、やるべきことをする。『死魂の奏者ムルムル』を護衛するアークデーモンは、情報にあったグレモリー軍の精鋭部隊のはずだ。これを残党軍に向かわせてはならない。
 触手の先端は、それぞれがヒクついて、戦う前からびゅるびゅると白い液体を先走らせていた。
「こいつは……」
 眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)は、なにか言いかけて絶句し、魔力の糸を手に這わせてから再び口を開いた。
「またしょうもねえのが出てきたもんだな。こっちにゃいたいけな少女が多いんだ、教育によくねェ」
 年長者の早口に、リーフ・フローレス(ハラペコ夢魔姫・g03695)は舌っ足らずな甘えた声で賛同した。
「うわぁー、そーですよぅ。きもちわるーい」
 成熟した体つきと対照的に。アオイ・ダイアログ(響き合う言霊の繰り手・g02687)も、助けを乞うてくる。
「めっちゃキモイ! あ、ムリ、近寄らせないで下さい!」
 女性たちの様子に人鳥が、自分だけ前に出て、敵をひきつけてやるかのようなそぶりをしたものだから、アイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)が、待ったをかけた。
「セフィーはともかく、いたいけな少女は言い過ぎでは?」
「あ……」
 なにか気に障ったか、と赤茶の瞳をいい人に向けると。
「こちらも前に出ます」
 アイネリスは変わらぬ表情で言い分を通してくる。
「ああ、頼んだぜェ!」
 むしろ機嫌がいいくらいだ、と人鳥には思えた。
「眉立さんよ。そのとおり、教育に悪い敵ではあるな、ものすごく」
 百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)が、ガジェットウェポンを装着したところだ。
「というかダメだろあれ……テンション下がる敵は割と多いけど、これは上位になるな」
 水陸両用の気密式動力甲冑の重厚さが、忌避感すら表しているよう。その手元を、自身も装備換装中のラウムが覗き込んで言った。
「ドローンの装備形態の狙いは、凍結効果かナ?」
「さすが、マルファスさん。とりあえずああいう触手系の敵なら冷気には弱いだろうってな。そっちのドローンは、電撃型に?」
 外見は、カラスだ。
「敵がキモイし汚いからネ。早く仕留めてしまいたいのサ」
「同感だ。天夜さんの増援で駆け付けたはいいが、戦闘が終わったら『クリーニング』が必須だろうなあ……」
 敵の精鋭に対して、ディアボロスは通りを塞ぐように展開した。クダギツネの琥珀も、ひとりぶんの陣地を与えられ、肩をいからせ威嚇している。
「行きますよ、『琥珀』」
 風花が、『炎獣解放(フレイムイグニッション)』を発動する。
 サーヴァントと意識を同調し、炎の闘気を纏うと、緑色だった頭髪と瞳は、金髪赤眼に変化していく。
「その汚らわしい姿、焼き尽くしてあげる」
 雰囲気も変わり、憤怒と嫌悪感が露になった。振り上げた両手の五指に、炎の呪詛を宿したオーラの刃、『灼熱の鉤爪』を展開し、あとは触手うごめく群れの中に突っ込む。
 先に陣形だけ指示しておいたのは、もうこうなっては後ろの残党軍のことなんか構っちゃいられないからだ。
 刈り取られた触手が何本も宙をすっとび、切断面から炎の呪詛に燃え、道路に落ちるまえに消し炭となっていく。
 炎獣解放の風花に、途切れず攻め続けさせるためには。
 理星は、右手の甲にある紋章を見た。
「トループス級に、友達の邪魔はさせない」
 『e-XC/Lock(エクスクロック)』、黒い時計盤を模したそれは、針を合わせることができる。
「エクス……トゥエルブ!」
 12時に合わせることで、空間改変が起こり、いたるところ、かつ、なにもないところに亀裂が入り始める。
 戦場全体の空気が動き出した。
 密閉された動力甲冑のなかの運命の頬にさえ、それは感じられたのだ。
「天夜さんが、力を使ったのか?! なんとかってヤツ!」
「『■■』ダ。世界を壊しかねない強大ナ」
 ラウムは、カラス型ドローンを、空気に乗せてみた。ディアボロスに対しては有効に働き、クロノヴェーダは疎外する。
「発音うまいなマルファスさん。というか、大丈夫なのかよ、天夜さんは?!」
「いや、毎秒ごとに理星の存在が……」
「……クッソ、やっぱ削れますね。けど、宝の持ち腐れにする気はないんで。止まるのも無し。文字通り前には進めるからね」
 風が戦場に吹き荒れている。
 運命は装甲の内側で逡巡したが、ラウムの言葉と行動に後押しされた。
「理星を引き留めるくらいなら、ボクらも協力すればいいのサ。汚い敵は早く仕留めようって言ってたよネ」
 カラスは『スタン・ドローン』仕様。
 強力な電撃を放つ。それが、大気組成に影響を及ぼし、戦場に吹く風をさらに増した。
「ビリビリするヨ。運命は……」
「わかってる。俺のも頼りにしてくれ。『クェイクパックmod3』起動」
 万能大型ドローン砂漠陸戦装備形態『クェイクパック』を利用した火器一斉射による制圧戦術。
 装備火器から発射されるミサイルには、アイシクルスフィアを封じた特殊弾頭が込められている。
「敵ごと氷漬けにする範囲攻撃を行う。……だけじゃなくって、着弾地点に極所的な吹雪を起こすんだ」
 冷気まじりが合わさり、風力はまた上昇した。これで、トループス級相手なら、ディアボロスの多くが先手をとれる。
 もちろん、カラス型ドローンは太った悪魔をしびれさせ、冷凍ミサイルは、いろいろ問題ありそうな触手や体液を凍結させてまわった。
 江戸川区制圧のため、幼いセフィーは防衛ラインで踏みとどまる。
「少しでも協力できるように、ボクもアンとがんばるよ!」
 レインボーハーモニーは、魔術的な力を発揮する楽器。音や操る属性によって七色に変わるとされるが。
「何だか気味が悪い敵だね……それに力強そう……」
 奏者の感情を反映してか、いまは恐怖による陰りが見えている。
 ブリードデーモンのなかに、『クラウディジェルフラッド』の液体をあえて出さずに溜め込む戦術をとってきているヤツらがいた。
 洪水のように押し寄せるには、決壊が必要なのだ。
「ひゃあっ!? 何か撒き散らしてくるよ!?」
 その貯水量を超える瞬間に、風をかたどった魔法陣が出現し、防壁となった。
「あ……れ……?」
 オラトリオを抱きかかえたセフィーの前に、廉也が割り込んだ。身長差があるので、すぐに判らなかったのだ。
「……俺、そういう攻撃って嫌いなんですよね、生理的に。仲間に手を出したら殺すだけじゃ済まないって言いませんでしたか?」
 魔法陣だけでなく、廉也の身体が風を纏っていた。
 強化されたエクストゥエルブが、間に合わないはずのセフィー救出をかなえたのだ。
「我が元に集うは万象を為す地水火風、内に揺蕩う光闇の心魂。終焉を導く弾丸となりすべてを穿て」
 詠唱により、6属性の魔法陣が重なっていく。
 からっぽの両手を銃のように組んで突き出す。『終の弾丸(ディマイズ・バレット)』が打ち出され、液体を溜め込んでいたブリードデーモンたちをまとめて貫通していった。
 そして、宣言どおり死だけでは済まず、こと切れる寸前まで生命力を吸い取られる。すなわち、白濁液は奴らの体内で黄色く劣化して苦しめた。
「廉也さん、ありがとぉ~」
「俺だけの力じゃないッスよ。みんなの助けッス」
 弾丸を打ち込んだ敵が、けいれんしながらも動いている。セフィーは、アンジェリカといっしょに抱えたままだった楽器を持ち直した。
「みんなの……。みんなの役に立てるかな、ボクでも!」
 ほんのわずか、青年は親しみ深い笑顔で振り返る。その瞬間から、レインボーハーモニーは虹に輝く。
「『氷と炎の幻想曲(フェンリル・フェニックスシンフォニー)』♪」
 不死鳥が大きくはばたいて、太った悪魔たちに向かっていき、とどめを刺した。
 黄色く噴き出して、破裂する。
「これはまたアナログタイプなアレな連中でしたねぇ」
 アオイはかわらず、触手には絶対に捕まりたくはない。
「まぁとりあえず……乙女の敵は完膚なきまでに滅んでて下さい!」
 『SV:迅雷の一矢(シュートボイス・ジンライノイッシ)』を、放つ。言霊は命中すると解放され、電撃を放つのだ。
「おやまぁ、上手く組み合わさったものですねぇ」
 射たアオイ本人が驚いたのだが、矢の電撃も反応したのか、空間にまた変異が起こり、時の流れが急加速を始めた。
 加えて言霊は、敵の触手から生命力を奪いとってくれる。
「電流、雷、電光稲妻落雷雷鳴感電痺れろ! それじゃあ、いっけー!」
 通常ならばかなわぬが、触手の悪魔から下がって射ては、また射るという。
「わははー。射ち放題だよ、リーフさん! ……あら?」
 アークデーモンに対して、あれほどいっしょに嫌がっていたはずなのに、サキュバスのようじょ21歳は、ふらふらしながら電柱のほうへと引き寄せられていく。
「うーん、勇ましいですね」
 アオイには、リーフの動きが演技だとすぐに判った。敵は騙せているのかもしれないが。
「きゃぁっ!? やだぁ、なにこれぇ……」
 ぷるんとした、はちきれそうな豊満な胸に、粘液がかかる。
 ぷりっとした形の良い尻はもう、べとべとに。
 すらりとした美しい脚は、凶悪なる洪水に負けて、いまにも折れそうだ。
「いやぁ、だめぇ!? ……なんちゃってー!」
 『夢魔魅了(サキュバスチャーム)』により、すっかり演技にはまってしまっていたアークデーモンは、触手の敏感そうな部分を蹴りまわされて、声も出せないショックを受けていた。
 一体につき、何本もあるから、痛みも何倍である。
 「そ、そいつは……」
 人鳥が今度も、絶句していた。
「全く、趣味の悪い……」
 アイネリスの呟きを、耳のすぐ後ろに聴いて、人鳥はあえてそっぽを向いた。
「お前たちをのさばらせておく訳にはいかないわね。早々に消えてもらうわ」
 『振り払う焦熱(フリハラウショウネツ)』が、敵を斬り続けていたのだった。リーフや人鳥に何か言いたかったわけではない。
 一振りごとに剣刃を生成し直すほどの高熱を帯びて、灼き斬る。
「弾けて、燃えろ」
 戦闘開始時から前に出て、人鳥とふたり、左側の歩道のトループスは片付きつつある。中央の敵も、まもなく仲間が始末するだろう。
「アイネ! 全開で行くッ!! 力ぁ貸してくれッ!!」
 人鳥が改めて、その名を叫んだ。
「いつでもどうぞ。私も加減のつもりはありません。一切葬ってしまいましょう」
 歩道の敵を、全部ひきつけたところで、人鳥は両の手から強化魔力糸を放った。
 力自慢だったはずの、ブリードデーモンたちは、肉体も精神も糸に封じられる。
「打ち上げ準備完了ってな、んじゃ華麗にヨロシク!」
「『降り籠める災禍・業裂(フリコメルサイカ・ゴウレツ)』!」
 アイネリスが槍と剣とを大量に召喚した。
 拘束されたトループスは、全周囲から刺し穿たれ、最後は爆発する。
 電柱のすぐそばも、爆槍と爆剣はかすめ、アヴァタール級を乗せたグリフォンは、一度だけ鳴いた。
 『死魂の奏者ムルムル』は、御するとトループス級の全滅した路上を見渡す。そして、眼が合った。
 風花は、赤い瞳のまま告げる。
「次は、あなたの番よ」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【操作会得】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【アイテムポケット】がLV2になった!
【温熱適応】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
【熱波の支配者】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
【スーパーGPS】LV1が発生!
【冷気の支配者】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV3が発生!
【アクティベイト】LV2が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【ドレイン】がLV2になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!

カマル・サディーク (サポート)
ぼ、ボクは主に【観察】技能を活かした状況の整理、【過去視の道案内】での目的地移動、戦闘の序盤、露払いや小手調べ、引き立て役、場の繋ぎなどで使ってほしいぞ。と、トドメは誰か仲間に任せた。

補足動作:観察やイプエルの訓戒のときは左目の包帯を外して、左目で対象をじーっと見るぞ(左目は右目と同じ色だぞ)

戦闘ではあえて敵の攻撃を一度受けて、イプエルの訓戒で敵の攻撃を再現するぞ。
敵はどんな攻撃をしてくるのか、自分のコピー攻撃が回避されたのなら敵はどうやって避けたのか。
後に続く仲間達に少しでも情報を与えられたら、それはボクにとって成功なんだ。
わかったことがあれば仲間達に(可能ならパラドクス通信で)伝えるぞ。


七原・吹雪 (サポート)
『大丈夫。きっと、なんとかなるよ。』
人間の時間神官×スフィンクス、11歳の男です。
普段の口調は「のんびりほわほわ(俺、呼び捨て、だね、だよ、だよね、なのかな? )」、時々「ちょっとカッコつけ(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」です。
「大丈夫」「なんとかなる」が口癖です。

パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


榊・紫苑 (サポート)
口調 穏やか(僕、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)
敵には:敵意(僕、呼び捨て、だ、だね、だろう、だよね?)

戦闘には積極的に参加します
使用パラドクスは、単体敵の場合は威力の高いもの、複数敵の場合は対象が2体以上のものを優先します

他のディアボロスとの協力や、彼らの支援行動は積極的に行います

有用な作戦でも犠牲が大きいものは実行しません
公序良俗に反する行動はとりません

物腰柔らか、礼儀正しく戦闘時も大きく豹変したりはしませんが、敵に対する砕けた口調は敵意の表れです
親友を失っているため、特定の人物が家族、友人、恋人等大切な人物を失うような事件であれば特に人命救助に必死になります


天絹・蠱白 (サポート)
セリフは平仮名とカタカナのみ
漢字の固有名はカタカナで呼び、同い年には○○ちゃん。~24歳には○○おにいちゃん。~59は○○おじちゃん。60~は○○おじいちゃんと呼称 ※男性例
「~ですの」を多用

オラトリオのシルクちゃんに依存

蛾の容姿にコンプレックスがある

大人達の慰めの嘘だった「いいこにしていたらきっと病気は治る」がディアボロス化で叶ったので「いいこにしていたら願いが叶う」=「歴史改竄でいなくなった両親が帰ってくる」をモチベに頑張る

◆戦闘
白蛾彗星
白蛾結界で鱗粉を滞留させ、白蛾扇で煽ぎ揮う事で自在に操作

蔓糸双縛陣
天絹の羽衣と時紡ぎの絹糸を駆使

天衣無縫の羽化
スタイル抜群の艶やかな姿に
衣装を自在に変化


エトワール・ローデット (サポート)
『お仕事頑張る』
口ではそういいつつもこの後のご飯のことしか考えていない。彼女は早く依頼を終わらせて食事に行くことしか考えていないのである。あわよくば今対峙しているモノを食してお腹を満たせないもとかと思案して……『そんな恐れ多いこと考えてないよぉ!(お腹が鳴る)』

 パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他のディアボロスに迷惑をかける行為はするつもりはありません。また、依頼の成功のためであれば公序良俗に反する行動はしちゃう可能性があります。ただし悪いと思ってるのでなるべくしませんが実行することに抵抗はありません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ラウム・マルファス
フライトドローンに乗って戦場を観察。あんまり目立たないよう建物の影を飛んでいくヨ。
大群同士だから、無理に介入しなくても正面衝突しそうだネ。どっちも避ける気は無さそうだシ。
聞いた感じバビロニアは余裕っぽいケド、元々残党軍なのは事実ダ。危なそうなら、手助けしようカナ。

カラス型ドローンに早業で爆薬を搭載。挑発するように上空を旋回させる。ヤンキーデーモンが劣勢の場所があれば、急降下させて爆破攻撃しよウ。

鳥はフライトドローンを大量召喚しておけば近づけないカナ?虫はある程度爆破に巻き込んで倒して、残りは殺虫剤をバラまいて対応しよウ。

あんまり深追いしないように、適当なところで切り上げて帰るヨ。


 精鋭のブリードデーモンを片付けたところで、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)は、フライトドローンに飛び乗った。仲間のひとりに声をかける。
「ねぇ、運命。ボクは大群のトループス級の動向が気になル。理星たちのことは任せていいかナ?」
 文字通り、彼女は体を張っていた。運命は了解し、互いのガジェットを掲げて、反対方向に分かれる。
 勘のようなものだったが、パラドクス通信にカマル・サディーク(人間の王墓守護者・g03220)から、残党軍のアークデーモンが攻撃されたと連絡が入り、的中していたとラウムは苦笑する。
 数ブロック戻ったところの沿道のマンション。
 各階のベランダから、一斉に黒い影がぬっと顔を出したのだった。
 カマルは、左目の包帯を外して、影の大群をじーっと見る。『妖美なる黄金公爵グレモリー』が江戸川区役所から繰り出してきた、トループス級アークデーモン『無限』のインフィニティに間違いない。
 だが、初見の印象とは違うようだ。
「カマルだぞ。グレモリー軍は奇襲をかけたつもりだったろうが、住居に隠れた意味はほとんど無かったな」
 続報を流す。
 両軍は、マンションのベランダとふもとで野次を飛ばし合っており、インフィニティは鳥類や昆虫を召喚しては、地上にけしかけていた。
 せっかく見ることができたので、カマルは『イプエルの訓戒』で鳥の召喚を再現し、最上階のインフィニティを喰らいに行かせる。
 近くで展開していたディアボロスたちの中から、数人が集まりつつあった。七原・吹雪(人間の時間神官・g06066)は、スフィンクスの『真白』を連れた男の子だ。
 建物の屋上を越えて飛翔してきた。
「大丈夫。きっと、なんとかなるよ」
 ここまで来ると、偵察だけともいかない。最上階のアークデーモンたちは、合体をはじめ、フェンスを破って吹雪たちに襲いかかる。
「真白、頼んだよ」
 スフィンクスは応じて、一直線に合体デーモンに突撃した。
 巨大化でふくれていたものの、インフィニティの黒い霧のような姿は曖昧なままだ。真白が貫通すると、四散してしまった。
「大丈夫だって」
 霧の一部が、吹雪にまとわりついたので、真白は宙がえりして戻ってくる。
 主人が言ったとおり、そこには味方の青年が援護にはいっていた。
 榊・紫苑(死がすべてを奪うまで・g06397)は、灰色の髪をなびかせ、刃を構える。再度、集合しようとする黒霧に『魔骸連刃』がひらめいて、合わさるさきから解体していく。
「榊紫苑です。僕はこの戦場に最後まで付き合おうと思いますが、どうしますか?」
 青年は、勇猛な戦いぶりを見せたあとで、少年に礼儀正しく自己紹介した。
「俺は吹雪だよ。こいつは真白。えっと、どうしよっかな」
 通信を受けて、ちょっと顔を出しただけ、と言い、眼下の残党軍が元気なのがわかったので、結局のところ吹雪は退散することに決めた。
 地上からの攻撃で、マンションの設備が破壊されていく。
 窓ガラスが割られ、空調の室外機がへこみ、鉢植えが落下した。紫苑は外から、各部屋を慎重に見て回る。刃を振るいながらだ。
 そこへ、デーモンのデーモンイーターがいっしょになった。
「あなたなにか、探してるのぉ?」
「建物に、一般人の区民が残っていないか調べています」
 紫苑の返事に、たずねたエトワール・ローデット(契約者・g02251)は、なぜか顔を赤くした。
「頑張るのねぇ」
「救える命は、救いたいですから。……また、『無限』が、インパクトを使ってくるようです」
 身構えた紫苑に、エトワールは次の棟へ行けと手を振る。
「私もお仕事頑張るから」
 悪魔の翼を広げた。『双翼魔弾』を放つ。
 魔力の弾丸は、勝手に敵を追跡してくれる。青年は、その間に礼を言って離れていった。
 聴かれる心配がなくなったからではないだろうが、エトワールのお腹が鳴る。
「お部屋に、おいしそうな食べ物でも見つけたのかと思っちゃったよぉ」
 魔力弾が、無限大合体を捉えて破裂する。
 しかし、半身になったインフィニティが、殴りかかってきた。
「げんこつを食べられたら、お腹ふくれるのになぁ!」
 エトワールはゴチながら、羽ばたきを強くする。ふいに、体が軽くなった気がして、アークデーモンの反撃は軽く避けることができた。
 しかも、さっきまで腹ペコだったのに、少し満たされた感じがある。
 魔力弾を通じて、敵の生命力を奪ったのだ。
「ラウムさんじゃない。ずっと先にいるのかと思ってたわよぉ」
 建物の陰になるような位置に浮かぶ、フライトドローン。その上に顔見知りを見つけた。手には、放電するカラス型ドローンを止まらせている。
「やア。聞いた感じバビロニアは余裕っぽかったんだケド、元々残党なのは事実ダ。危なそうなら、手助けしようかなってネ」
 顔見知りと言えば、真っ赤になって興奮しているアークデーモンが、地上で戦っていた。怪我もかまわずに。
 宴会所のテントで会った気がする。
 助ける義理はないし、残党軍の全体で言えば、劣勢に追い込まれているわけでもない。
「あんまり深追いしないように、適当なところで切り上げて帰るヨ……」
 フライトドローンを旋回させようとしたところで、小さなインセクティアが、敵の召喚した昆虫の集団に対抗しているのが目に入った。
「あの子の話は、聞いたことがあるナ」
 直接の知り合いではないが、運命たちと繋がっていたはずだ。天絹・蠱白(時紡ぎの蚕・g02455)は、蛾の容姿にコンプレックスを持っているらしい、と。
「きらりんきらきら、まほうのこなよ。コハクのおねがいかなえますの」
 白い鱗粉が収束していく。
 魔法の槍となって、昆虫の群れに打ち出された。粉がキラキラと尾を引いて彗星のように美しい。
 召喚虫の集まりは、穴をいくつも開けられて、力を失っている。『無限数サーヴァント』を使った本体たちにも、鱗粉のダメージが伝わって、ベランダの手すりから落っこちるものまでいた。
 つかみどころのない悪魔なのに、しぐさが妙に人間的なときがある。
 自分たちの行軍が通りすぎるあいだ、ベランダの柵に身をかがめて隠れていたのだろうかと想像すると、ラウムの顔には悪そうな笑みが浮かんでくるのだった。
「……残りの始末をつけておきましょうカ」
 エトワールが、おやと思っている僅かな時間で、ラウムの早業はカラスに殺虫剤ユニットを換装させていた。
「薬災運ぶ自律機構ダ。さァ、行っておいデ』
 虫たちは、ドローンから噴霧されたそれで、ボトボトと落下し、無限のはずのインフィニティも同じ運命をたどった。
 赤顔のアークデーモンも含めて、残党軍はこの戦闘での勝利に雄たけびをあげている。
「ラウムおじちゃん? コハクですの」
 蠱白が声をかけてきた。むこうも、誰か共通の知り合いから、話を聞いているらしい。
「よろしくネ」
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【過去視の道案内】LV1が発生!
【飛翔】LV2が発生!
【活性治癒】がLV3になった!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
【反撃アップ】がLV2になった!
【ドレイン】がLV4になった!
【命中アップ】LV1が発生!

天夜・理星
本当にあいつら、クロノヴェーダ同士で同士討ち始めてくれるのかな?
まあアタシは友達の手伝いするけどね。
【ヨアケ】のみんなと一緒に。

…タイム、ラプス。

ネメシスモードを起動。
まあ両の瞳に紅いサークルが出来て、歴史の外から来る激痛が頭を襲う、それだけなんですけどね。
だから常に左手で頭を押さえながら痛みに耐えて戦う。

こんなの…風花さんの苦しみに比べたらずっと小さいよ。

で、そのグリフォンは吠えるだけが取り柄? そんなわけないよね。
熱波の支配者で向こうの判断力を鈍らせ…
向こうが突撃してくる瞬間、パラドクスで時間をずらし、すれ違う。
そしていつもよりすごく強い時空の歪みの修正に、巻き込む。

ほら、今だよ風花さん。


御門・風花
【ヨアケ】で参加します。

琥珀と同調している為、普段とは違い感情的な声色で敵を睨みます。
「あなたの正体について尋ねても、きっと無駄でしょうね」
だから、今は
「先に進むために、私たちの全力であなた達を倒す」

咆哮するグリフォンの突進に合わせ、手を突き出してパラドクスを発動。
「来なさい、レーヴァテイン」
召喚した炎の魔剣で少女の三叉槍を受け止めます。
「あなたを乗り越えて、私自身の手で答えにたどり着いてみせる」
ムルムルに対する、複雑な激情を示すように燃え上がる炎を纏い、真正面から切りあいます。
「それが、私の覚悟よ」
いまのわたしには頼りになる仲間がいる。臆することは、ない。
「ありがとう……これで、終わらせる」


黒城・廉也
【ヨアケ】で参加
アドリブ連携歓迎

……うん、気を取り直してラストッスね。さぁ、気張っていきましょうか。

水源を亡霊騎士の軍勢やムルムルの足元に生成、そのまま吹き上げる水を凍らせ氷王の献花を発動させるッス

連続魔法水源で足を取らせ、敵の進路を防ぐように連続魔法で氷柱を出現させて敵の動きを阻害しつつ、最後には水に閉じ込めたまま凍らせる感じで

人鳥が強襲かけるつもりらしいし3つや4つ程敵に繋がる氷の筋道とかも用意しとくッス

パラドクスの応用で逆に味方が攻撃されそうなときは氷柱を味方の盾のように出現させて被弾をなるべく減らすように出来たらベストッスね

パラドクス通信で連携には常に気を配る


アイネリス・レナリィ
アドリブ絡み歓迎
【ヨアケ】

……いよいよ大詰めですね。
最後まできっちり、援護させていただきます。

好き放題に飛び回られるのは厄介ですね
こちらも【空中戦】を挑むとしましょう
地上での立ち回りは味方に任せ
【飛翔】し敵の頭上を取ります
【連続魔法】で無数に生成した槍刃を降り注がせ【制圧射撃】で行動を制限
味方の攻撃に合わせ氷柱やドローンの隙間を埋めるように撃ち込み
あらゆる方向から攻め立て追い詰めていきましょう
敵の攻撃は剣刃で防ぎ、あるいは振り抜いて相殺しやり過ごします

動きが鈍った所を狙い《解き放つ応報》を発動
全速力での飛翔、その勢いを乗せ
練り上げた黒鉄の大剣を叩き込む
外したとしても目眩しにはなるでしょう


アオイ・ダイアログ
【ヨアケ】から🎵
アドリブ歓迎

まぁあの汚いのは忘れるとして
いよいよですね
友人としてバッチリ支援させてもらいますよ🎵

さて、ここはFPSスタイルで行きますよ!
パッとシューター衣装に変えてスタンバイです

咆哮は耳を塞いで凌ぎます!
結局これが一番確実なんです!
突進してくるならクイックドロウのようにスティンガーを構えてグリフォンをヘッショ!
大まかな位置予測が出来ればエイム補正で当たるはず!
撃ったら速攻横っ飛びですが

【パラドクス通信】での連携で支援射撃にヘッショしてもいいですね🎵

どんな相手だろうと撃ち貫くのみ!
風花さん、トドメを!

いずれ本物に叩き込んであげるといいですよ
その時はまたお手伝いしますから🎵


眉立・人鳥
アドリブ絡み歓迎
【ヨアケ】で行く

いよいよご対面だ、仲間の一人として出来る事をしようじゃねえの

パラドクス通信は繋いでおくぜ
グリフォンの強襲は天魔のオーラで障壁を作りつつ、バイビークでいなしたい所だが……最悪仲間を頼らせて貰うとしますかね

なるほど、大した機動力だな
こっちに飛翔がねえのはちとキツいか
だが……!

廉也のパラドクスで生まれた氷を利用する
バイビークをサーフボード代わりにして滑り込み
ムルムルに急速接近、そのまま一気に喰らい付くッ!
噛み砕いてやりてえ所だが、無理なら体勢だけでも崩させて貰うぜ

そのまま連撃、殴るなり蹴り飛ばすなりして味方に繋ごう
いいコントロールしてたら褒めてくれい


百鬼・運命
【ヨアケ】で参加

さてと、【飛翔】がないけど、かえって好都合かな?

まず【フライトドローン】を使用して敵を取り囲むように戦場に無数のドローンを生み出し、これらのドローンに【トラップ生成】で罠を仕込む。命令を下せるのは一体だけだけど、戦場に生み出せるドローンの数に制限はないはずだ。撃墜されたら追加で機雷ドローンを呼び出していこう

ドローンに近接信管の機雷を仕込むことで此方の上空に機雷網を形成。更にドローン同士の間に視認困難なレベルなワイヤーを張り巡らしておき、強引に突破しようとすれば絡まり、機雷を持ったドローンがぶつかってくるように細工

これでまずは敵の機動性を封じて、味方が攻撃しやすいようにしよう。


セフィー・ステラ
廉也さんありがとう!助かったよ!

さっきの気持ちが悪い敵と比べてさらに強そうな感じがするね…
(それと、風花さんと何か因縁がある敵なのかな?)

相手も召喚するなら、こっちも【演奏】で英雄を召喚して戦うよ!
さらに、召喚した後余裕があれば、コメットアローで【誘導弾】を放って相手の動きを鈍らせるよ。

皆の力になれるようにアンも一緒にがんばろうね♪
そして、風花さんが思いっきり戦えるようにボクも協力できたらいいな。


天絹・蠱白
セリフは平仮名とカタカナのみ
「~ですの」を多用

大人達の慰めの嘘だった「いいこにしていたらきっと病気は治る」がディアボロス化で叶ったので「いいこにしていたら願いが叶う」=「歴史改竄でいなくなった両親が帰ってくる」をモチベに頑張る

◆戦闘
緊張や恐怖心を抑えるため、しばしシルクちゃんに抱き着き…
覚悟を決めたら白蛾結界を展開

【未来予測】で敵の動きを見ながら、シルクちゃんと呼吸を合わせ、時紡ぎの絹糸や天絹の羽衣を駆使して蔓糸双縛陣を繰り出す

基本サポートに徹し、強い仲間が攻撃しやすい射線に誘導したり逃げ道を塞ぐようなタイミングや方向から攻撃する等、戦術を工夫

シルクちゃん、いまですの!

ここは とおせんぼですの


 言霊を込めた矢を射掛け、グレモリー軍精鋭の屍を累々と築いたアオイ・ダイアログ(響き合う言霊の繰り手・g02687)は、片耳タイプのインカムに手を当てる。
「まぁ、あの汚いのは忘れるとして。友人としてバッチリ支援させてもらいますよ♪」
 返事は、すぐにきた。まずは、眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)からだ。
「いよいよご対面だ。俺も出来ることをしようじゃねえの。パラドクス通信は繋いだままにしておくぜ」
「……大詰めですね。最後まできっちり、援護させていただきます」
 続いて、アイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)。ふたりは、アオイよりもずっと前方の戦場にいた。
 見上げた先には、精鋭部隊の指揮官、アヴァタール級アークデーモン『死魂の奏者ムルムル』と、彼女の騎乗するグリフォン。そして、対峙する仲間の姿が。
「あなたの正体について尋ねても、きっと無駄でしょうね」
 御門・風花(静謐の凶鳥/ミセリコルデ・g01985)は、語気を強めた。
 クダギツネ『琥珀』と同調し、赤くなったままの眼で、クロノヴェーダを睨む。敵はやはり、風花の問いには答えず、ワシのクチバシに咆哮させると、空中を突進してきた。
 紳士の正装に、三叉槍を携えて。
 風花は、手を突きだして呼ぶ。
「だから今は……来なさい、レーヴァテイン」
 召喚した炎の魔剣が、槍の穂先を受け止めた。嵐のただなかに放りだされたような衝撃に、同調中の金髪が乱れる。
 ムルムルも、半笑いを浮かべていた顔をややしかめ、押し気味の相打ちだったにもかかわらず、いったんグリフォンに高度を上げさせる。
 金髪赤眼のディアボロスは落下をこらえきり、姉の面影を持つアヴァタール級に追いすがる。
「先に進むために、私たちの全力であなたを倒す」
 しかし、死魂の奏者ムルムルは、空に逃れたと見せかけて、自らの配下を召喚していた。
 亡霊騎士の軍勢。ある意味、トループスたちよりも、本命であろう。
 アスファルト道路に転がっていたブリードデーモンの骸を消滅させるようにして、剣に槍にと武装したファントムレギオンが、バス道いっぱいに浮上してきた。
 黒城・廉也(後輩サキュバス・g02175)は、銃のかたちに組んでいた両手をほどく。
「殺すだけじゃ済まないって、化けて出ろって意味じゃないッスよ」
「さっきの気持ちが悪い敵と比べてさらに強そうな感じがするね……」
 セフィー・ステラ(星の魔力をもつエルフの小さき演奏家・g06416)は、オラトリオの『アンジェリカ』を抱きしめるが、もう怖がったり、弱気になったりはしていない。
 自分たちは力になれると、廉也が認めてくれたから。
 敵と風花に何か因縁があるとも聞き、今度は彼女の助けになることを願っていた。廉也は、また振り返って笑顔を見せてくれる。
「……うん、気を取り直してラストッスね。さぁ、気張っていきましょうか」
 会話の後半は、通信にものせた。
 亡霊騎士たちは、地上戦力だけでなく、骨の鳥に乗ることで、建物の間を飛翔し始めている。百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)は、グリフォンの動きを追うつもりだったので、飛び交う亡霊はうとましい。
「数に制限はないはずだ」
 フライトドローンのひとつに乗り、操作できずにただ浮いている多数に『トラッピング』、異空間にストックしておいた様々な罠を設置する土台になってもらう。
「もっと生み出していこう。……『セット』!」
 着々と作業を重ねるが、運命にはもうひとつ、気にかかることが。
 天夜・理星(復讐の王・g02264)の現在の状態である。
 時間経過とともに、存在が削れていくという話だった。ドローンから探してみたところ、それ以上の事態を発見した。
「あれは……天夜さんのネメシス形態、か?」
 歩道からガードレールに寄りかかり、左手で頭を押さえている。周囲の時間流がおかしな方向に流れていき、亡霊騎士たちもその範囲には入れない。
「……タイム、ラプス」
 つぶやきと共に、外から見た変化は収まった。
 ただ、グリフォンと風花の空中戦を捉えようと顔を巡らせたとき、光が漏れた。理星の両の瞳に、紅いサークルが出来ていたのだ。
 運命の通信もオンになっていたので、皆が把握した。皆が覚悟を受け入れた。
 アオイは、エクシードボイス・インカムに入力する。これは、他のボイスウェポンに、言霊を伝える機能を持つ。
「私も、パッと変えてスタンバイしますか。ここは、FPSスタイルで行きますよ!」
 服は、ビジュアルレイヤーになっている。ワールドカスタマイザーによって実体化しているそれは、アオイの声によってデータ変換され、シューター衣装へと早変わりした。
 ビルの屋上に陣取り、バレットボイス・スティンガー・ライフルを据える。
 獲物は、グリフォンに絞った。地上では、亡霊騎士たちがうごめいている。やがて街路に響きわたる、セフィーの奏でる調べ。
「相手も召喚するなら、こっちも英雄を召喚して戦うよ!」
 やさしく始まった管楽は、徐々に勇ましさを増す。魔楽器一本が七色に変わりゆくと、弦と打の音も加わってシンフォニーを構成していく。
「アンも一緒にがんばろうね♪」
 抱きついていたオラトリオが、セフィーの傍らにふわりと浮かび上がった。指揮棒をふるように両手を広げると、幻影の英雄がいっせいに、亡霊の軍勢へと挑んでいく。
 甲冑と甲冑がぶつかり合う中で、英雄たちの雄たけびが上がった。
 魔剣レーヴァテインに共振がおこり、切れ味が鋭くなる。
 両軍の拮抗を見て、廉也は詠唱した。
「我が氷王に捧ぐは清浄なる祈り、悪しき者へ氷華と共に安らかな眠りを」
 亡霊の足元から、水が吹き出す。
 濡れた路面に踏ん張りのきかなくなった騎士を、英雄が押しやって、吹上げの中に巻き込ませた。
「ステラさん、いいッスね。そのまま水を凍らせて閉じ込めてやるッス」
「うん!」
 幻影は力を尽くすと消滅する。騎士たちは、噴水に持ち上げられたような恰好をめいめいにさらして氷結し、まさに『氷王の献花(グレイシア・ブルーム)』を飾ることとなった。
 亡霊の持つ、復讐の意志と共に。
 今度こそ、地上の敵は片付いたようだが、氷柱を避けた骨の鳥が飛んでいる。まだ、トラップを載せたドローンの邪魔になっていた。運命は、動力甲冑の兜を開放して、丸眼鏡をかけ直す。
「制御できないのは不便だなあ。もっと増やすか……おや?」
 後方から、蛾のインセクティアが、オラトリオに抱っこされてやってくる。
「サダメおにいちゃん! コハクですの」
 数ブロック手前で、グラシャラボラス残党軍とともに『インフィニティ』の大群を相手していた天絹・蠱白(時紡ぎの蚕・g02455)ら、ディアボロスの一部が合流してきたのだ。
「天絹さん、いいこだね」
 運命に褒められて、蠱白は漆黒の眼を細めたが、相手している敵の不気味な姿を知って、少なからず緊張したようだ。
 しばし、オラトリオの『シルクちゃん』に抱き着き……。
「コハクが、とおせんぼですの」
 おしゃまな7歳なりに覚悟を決めた。
 翅から鱗粉を流し、骨鳥の空域に白蛾結界を展開する。時紡ぎの絹糸は、極限まで細く透明、かつ頑丈に強化されている。魔力で糸を生み出すと、結界内の亡霊の未来を見極めた。
「シルクちゃん、いまですの! くるりんぐるぐる……」
 オラトリオが繰り出すのは、植物の蔓だ。空中で騎乗する敵は、剣をぬいて刈り取ろうとするが、その隙に不可視の絹糸に絡めとられた。
「ばんしそうばくじんですの!」
 『蔓糸双縛陣』は、亡霊騎士を一定の高度から下へと留める。トラップ載せドローンの群れは、ゆっくりとだが敵群の網を抜けて、より高く昇っていく。
「視認困難なレベルのワイヤー状……そうか、天絹さん。もういっかい、絹糸の力を貸してくれないかな?」
「おまかせですの! くるりんぐるぐる……」
 ドローンの間に差し渡し、繋がったひとつのトラップと成した。
 いまやグリフォンは高速飛翔し、風花の加勢にいったアイネリスを、鋭利な爪とクチバシでもって翻弄している。ドローン群はその進路に侵入した。
 アヴァタール級の少女は、浮遊する障害物を軽く避けたつもりだったが、見落とした繋がりにワシの翼を引っかけてしまった。次々と寄ってくる機械には、近接信管の火薬が。
 運命はまた、丸眼鏡をかけ直す。
 連続する爆発音とともに、機械の破片とワシの羽根が、路地に降ってきた。
 アイネリスからは距離をおき、グリフォンはパワーとスピードを貯めている。手傷を負わせることはできたが、糸で封じるまではいかなかった。
 それを見た人鳥は、魔力糸から『バイビーク』、嘴のついた特異な形状の武器に持ち変える。
「なるほど、またあの機動力を取り戻すつもりだな」
 空にいる敵を観察していると、視界に入ってくるものがある。廉也のパラドクスで生まれた氷柱だ。
 表面には霜がはり、閉じ込められた亡霊騎士たちの姿がうっすらと確認できる。騎士は積み重なって、噴水のかたちのまま高く伸びていた。その先には、手負いのグリフォンが。
「……最悪仲間を頼らせて貰うとしますかね」
 バイビークをサーフボード代わりにして滑り込む。
 踏み切り時に、埋まっている頭を踏んずけたが、うまく氷柱を駆け上って、人鳥の身体は宙に舞った。
「噛み砕いてやりてえ所だが、無理なら体勢だけでも崩させて貰うぜ」
 嘴付きの細長い武器の上に立って、あとはただ勢い任せだ。
 ムルムルに急速接近し、そのまま一気に騎乗怪物の腹に喰らい付いた。
 パワーを貯める中途で突き上げられ、暴れるように羽ばたくグリフォン。人鳥はバイビークから怪物の上まで跳び乗ってやろうとしたが、無茶のツケを払わさられた。
 もがいたグリフォンの爪が、ジャンプで伸びあがった腹を引っかいたのだ。
「ぐふぉ! ……だがよッ!」
 落下しながらも、怪物の腹に刺さったままの武器をみて、人鳥は笑う。もう機動力は発揮できまい。
 あるいは、散る血のぶんの復讐を、さきに増幅できたのかもしれなかった。
 視界のすみに、また何かが映る。
 全速力で飛んでくるアイネリスだ。
「解き放つ……応報!」
 身の丈の数倍を超える巨大な剣刃が、腰だめに構えた柄から後方に向かって生成されていく。
 ここまでは、好き放題に飛び回られるのを、無数の槍刃を降らせることで御しようとしてきた。運命のドローン機雷、蠱白の絹糸、そしてセフィーと廉也が建てた氷柱に、そこから跳躍した人鳥。グリフォンランページは、鈍っている。
「崩れて、滅しろ」
 速度を落とさず、念動力で黒鉄の剣を大上段に持ち上げ、叩き込んだ。
 爆炎が右の翼に燃え移り、ムルムルは三叉槍をかざして熱を避ける。叫び声らしきものも初めてあげた。
 獣はもっとクチバシを開いて、咆哮する。
 獅子と猛禽のものが混ざったそれは、大気を激しく振動させ、戦場全体を覆う。
 グリフォンの動きを止めても、この振動で当方まで動けなくなれば、攻撃を命中させるのは難しい。
 地上のディアボロスたちが対抗手段を講じるあいだ、屋上にいたアオイは、片耳インカムの空いているほうの耳を手で塞いだ。
「結局これが一番確実なんです!」
 エクシードボイスという特別製なのもあったろう。もとより、声の力なら専門だ。
 バレットボイス・スティンガーには、貫通力を増すのに十分な声が蓄積されている。あとは狙いだが。
「大まかな位置予測が出来ればエイムアシストで当たるはず!」
 期待通り、デバイス補助がきいたものの、ターゲットマークが示したのは、屋上めがけて突撃するワシの顔だった。
 つまり、アオイに向かってくる。
「どんな相手だろうと撃ち貫くのみ! ブルズアイギャンビット!」
 一発が、ワシの左目を射た。
 ムルムルの構えた槍は、ぶれない。アオイは陣地を捨てて即行横っ飛び。
 視界のかたほうを潰されたグリフォンは、屋上を素通りしたあと、ムルムルに操られて旋回し、再びバス道の上空にもどってくる。
 ビルの陰から飛び出した瞬間、宙に貼りついた。
 直下には、理星がガードレールに右手をつき、左手で頭を押さえて立っていた。瞳の紅いサークルが、らんらんと輝いて。
 歴史の外から来る激痛が頭を襲う。
「こんなの……風花さんの苦しみに比べたらずっと小さいよ」
 ネメシス状態にはいったぶん、時空の歪みへの修正が強まっている。
 理星が通った個所に起こる時間の遅れが、縦方向にも伸びていて、グリフォンのクチバシは、大きく開いたまま停止していた。
「ほら、今だよ風花さん……」
 そのか細くなった声を、アオイはインカムを通じて拾い、自分も同様に叫んだ。
「風花さん、トドメを!」
 パラドクス通信に、ディアボロスたちの声が次々と届く。
「御門さん、戦うッスよ」
「フウカおねえちゃん!」
「御門さん……」
「思いっきり戦って、風花さん」
 そして、アイネリスの操るドローンに救い出されていた人鳥が、顔を上げる。
「いいコントロールしてただろ。褒めてくれい……」
「ええ。ビークはまだ噛みついたままです。あとは風花さんが決着をつけてくれるでしょう」
 集められた信頼と声が、ハウリングに縫い留められていた風花を開放した。
「ありがとう……これで、終わらせる」
 破滅の炎剣レーヴァテインは限界を突破して、使い手の身体にも炎を纏わせる。
 時間流のズレを修正した『死魂の奏者ムルムル』は、グリフォンを乗り捨てて三叉槍を振るってきた。
 空中で一合、両者は真正面から互いを斬り合う。
「あなたを乗り越えて、私自身の手で答えにたどり着いてみせる」
「がはッ、こた……え?」
 アークデーモンは、同族の核を組み込まれた魔動機械の長剣に、溶断されていた。
「私の覚悟よ」
 槍から受けた傷も、また深い。
 風花はこらえきれずにバランスを失って、路地に落ちていった。髪も瞳も、緑に戻っていく。
 いっぽうで、自由を取り戻したディアボロスたちは、ドローンを集結させて、彼女を受け止める。
 ビルの屋上フェンスにしがみついたままだったアオイから、また通信が入った。
「いずれ本物に叩き込んであげるといいですよ。その時はまたお手伝いしますから」
 風花は頷き、理星の瞳ももとに戻ると、『大淫婦バビロニア』のテントが追いついてきたのが、見えたのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【神速反応】LV1が発生!
【腐食】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【エイティーン】LV1が発生!
【断末魔動画】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV8になった!
【ラストリベンジ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ドレイン】がLV5(最大)になった!
【ガードアップ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2022年08月10日