悪魔たちの狂宴(作者 若林貴生
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#TOKYOエゼキエル戦争  #グラシャラボラス残党軍の江戸川区侵攻戦  #江戸川区  #大淫婦バビロニア  #妖美なる黄金公爵グレモリー 

●江戸川区・荒川付近
 バビロニアを乗せて、緩々と進軍する巨大な輿。それは移動する宴会場とでも呼ぶべきものだった。
 豪華なテントにも似た輿の中には、見目麗しいアークデーモンや人間の奴隷たちが大勢乗り込んでおり、寛いだ様子で酒や料理を楽しんでいる。
「ふふ……ようやく機会が巡ってきたわね」
 バビロニアは満足げに微笑んだ。
「今こそグレモリーを滅ぼす時……そして、私が江戸川区の支配者となるのよ」
「おっしゃる通りでございます」
 1人のアークデーモンがバビロニアの前に跪き、彼女のグラスに新たな酒を注いでいく。
「江戸川区に住む者たちは、一人残らずバビロニア様の御威光にひれ伏すことでしょう」
 部下の追従に気を良くしたのか、バビロニアは愉快そうに喉を鳴らして笑った。
「あなたも励みなさい。働き次第では、特別な褒賞を出すかもしれないわよ」
 バビロニアの口元に、意味ありげな笑みが浮かぶ。
 余裕に満ちたその表情は、既に自身の勝利を確信しているかのようだった。

●新宿駅グランドターミナル
「皆さん、お疲れ様です」
 集まったディアボロスたちを前にして、桜川・多恵(人間の魔創機士・g03362)は、ぺこりと頭を下げた。
「早速ですが、お仕事の話に移りましょう。今回の目的地、『TOKYOエゼキエル戦争』の江戸川区ですが……クロノヴェーダ同士の縄張り争いが続いている地区となっています」
 多恵は慣れた手つきでスマホの画面に指を滑らせ、事件の情報に目を通す。
「その辺りの細かい話は、過去の報告書を読んでもらうとして……どうやら荒川での戦いをきっかけに、抗争中の両陣営が本格的な衝突を始めるみたいですね」
 荒川の戦いではディアボロスたちの介入によって、『悪魔の運び手グラシャラボラス』の残党が、戦力の温存に成功していた。
 その結果、勢いに乗った残党軍は、ジェネラル級のアークデーモン『大淫婦バビロニア』自らが陣頭に立ち、江戸川区の中心である江戸川区役所を目指して動き出したという。
「……ま、荒川での出来事を都合良く解釈して、気が大きくなっているんでしょう」
 多恵は呆れたように、小さな溜め息を吐いた。
 おそらくバビロニアは、ディアボロスが自身の傘下に入ったと錯覚しているのだろう。
「残党軍の実力はお察しですが、それでも弾除けになる程度の数は揃ってます。何しろ全軍を引き連れていますからね。上手く利用すれば、一気に江戸川区を奪還できるかもしれません」
 このまま江戸川区役所を制圧するとなれば、区の支配者である『妖美なる黄金公爵グレモリー』を討ち取れる可能性もある、と多恵は言った。
「当然そうなる前に、グレモリーの配下たちが出てくるでしょう。それを撃退するのが今回のお仕事です」

「さて、ここからはもう少し具体的な話をしましょう」
 多恵はディアボロスたちを一瞥し、またスマホの画面に視線を戻す。
「まずは残党軍を率いているバビロニアについて。皆さんが望むのであれば、戦う前に彼女と接触することができます。この機会に話がしたいという人は、会ってみるのもいいでしょう」
 バビロニアが居るのは、巨大なテントの中。正確にはテントのような形状の輿であり、なんと100体ものヤンキーデーモンが担いでいるらしい。その中で、他のアークデーモンや奴隷たちと酒池肉林の宴を楽しみながら、比較的のんびり進軍しているという。
「彼女は分かりやすく媚びてくる相手が好みだそうです。上手くおだてれば、こちらの思惑通りに踊ってくれるかもしれません。ただし子供はお呼びじゃないそうなので、そこだけ気を付けてくださいね」
 多恵はスマホに目を落としたまま、淡々と説明を続ける。
「そして今回戦うことになるグレモリーの配下について。これは敵の精鋭部隊ですから、確実に皆さんで倒してください。正直な話、バビロニアの配下では太刀打ちできません」
 敵部隊の内訳は、アヴァタール級のゴリアテと、その護衛である死神兵グリムダムドが十数名。アヴァタール級さえ倒せば撃退できるため、死神兵たちの妨害を掻い潜れるのであれば、ゴリアテ1体を狙い撃ちにするのもいいだろう。
「ほかにもマルコスの群れが出てきますけど、指揮官不在で統率も取れていませんし、こちらは残党軍に任せても平気でしょう。クロノヴェーダ同士の潰し合いを狙うつもりなら、ちょうどいい相手かもしれません」
 そこまで言った後、多恵は少し考え込む素振りを見せ、ややあって口を開いた。
「もちろん、逆の選択肢もあります。残党軍の消耗を抑えたい場合は、マルコスも皆さんの手で倒すといいでしょう。後々の状況がどう転ぶかは分かりませんけど、少なくともバビロニアは喜ぶと思いますよ」
 今しばらくバビロニア麾下の戦力を維持するべきか、あるいはここで削り落としておくべきなのか。現時点で答えを出すのは、少々難しい問題かもしれない。

「説明は以上です。質問があればどうぞ……と言いたいところですが、私の知っていることはもう全部喋ってしまいました。あとは皆さんにお任せします」
 多恵は眠たげな目をしたまま、改めてディアボロスたちの顔を見回した。
「考えがまとまらないのであれば、パラドクストレインの中で相談するのもいいでしょう。……では、準備ができた人から出発してください。よろしくお願いしますね」

●江戸川区・江戸川区役所
「バビロニアめ、厄介なことをしてくれる」
 グレモリーは小さく舌打ちした。
「荒川の件はまだいい。だがディアボロスに与するとは……どういうつもりだ、あの売女が!!」
 激しい罵声と共にグラスが叩き割られた。零れた酒が彼女の足元を濡らし、床に破片が散乱する。
「……如何いたしましょう」
 配下のアークデーモンが、おずおずと口を開く。
 グレモリーは無言のまま思案していたが、やがて大きな吐息と共に全身の力を抜いた。
「迎え撃て。江東区の残党など、所詮は烏合の衆だ。ただし、ディアボロスには用心しろ」
「はっ、直ちに」
 アークデーモンが恭しく頭を下げた。
 その足音が遠ざかるのを待ち、グレモリーは再び長い溜息を吐く。
「ディアボロスは我らにとって共通の敵ではないか。何故それが分からんのだ……」


→クリア済み選択肢の詳細を見る


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POW  爪牙

技能:斬撃/殺気/結界術 (各9LV)

鉄筋コンクリートすらも容易く裂き断つ爪と牙で攻撃します。
(元パラドクス:虚無の剣)

SPD  獣性解放

技能:グラップル/連撃/精神集中 (各9LV)

野生の本能を解放することで、一時的な言語能力の消失と引き換えに、狩猟のための直感を研ぎ澄まし自身を強化します。四足歩行での高速機動により四方八方から連続攻撃を行います。
(元パラドクス:百華閃光脚)

WIZ  狩猟・狼式

技能:連撃/ダンス/残像 (各9LV)

狼の高い持久力を活かして、執拗に敵に纏わり付き続けながら攻撃し、敵の体に少しずつ傷を刻みます。
(元パラドクス:ダンスマカブル)

特殊ルール この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。
👑11

→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
3
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【狐変身】
2
周囲が、ディアボロスが狐に変身できる世界に変わる。変身した狐は通常の狐の「効果LV倍」までの重量のものを運べるが、変身中はパラドクスは使用できない。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【クリーニング】
1
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV4 / 【ガードアップ】LV2 / 【反撃アップ】LV1 / 【先行率アップ】LV1

●マスターより

若林貴生
 こんにちは。若林貴生です。
 今回は幾つかの選択肢について注意事項があります。

 ①大淫婦バビロニアとの接触
  必ずお酒を勧められるため、参加できるのは20歳以上の方のみとなっています。
  この選択肢はシナリオクリアと無関係なので、無理に攻略する必要はありません。バビロニアとの会話に興味がない方はスルーしてください。

 ③大群のトループス級『狼の悪魔・マルコス』
  放置した場合、こちらの敵はバビロニアの配下たちが受け持つことになります。よってクロノヴェーダ同士の潰し合いを狙う場合は、この選択肢を攻略せずにシナリオをクリアしてください。
  逆にこの選択肢を攻略した場合、バビロニア配下の損耗を抑えることができます。

 また、戦場となるのは市街地ですが、特に指定が無ければ広く見通しの良い街路で戦うことになります。 
 プレイング次第では、敵を障害物の多い場所に引き込んで戦うことも可能です。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
11

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


一・百
※アドリブ連携歓迎
お酒は飲めるが普通、決して強くない方

初めまして、一百という
よろしく…

話すのが得意なわけではないので基本聞き手役
お酒を受け取れる注げる距離を保つ
バビロニアの言葉に相槌したり好感触の反応をしながら否定はしない
まずは全部聞く軽く言葉を投げかけるが答えもいらないので話題程度

俺はあまり各情勢のことは分からないが
戦える人はとても綺麗だと思う…

江戸川区を手にしたら貴方は何をするんだろうな…

注がれた酒は飲みます、一気飲みは…したくないけど必要なら
この辺りの酒は知らないので新鮮
触られるのは苦手なので一定の距離を保ちつつ必要に応じて頑張る

宴が終わったらギブアップ狐に変身してジンの背に埋もれ脱出


内方・はじめ
あら、戦の前に士気高揚の一席を設けるだなんて……なかなか、わかってらっしゃるじゃない
敵も酒も、平らげ飲み干すべきですもの

力あるものが勝つ
それは世界の必然

つまり、私達の勝利は……約束されたようなもの
そう、思われません?

等と持ち上げてみる(「『私達』に、あなたも入ってるなんて一言も言ってないけど」とは思うだけ)

まあ、酒の席ならば……楽しい酒にしましょ
ワインを勧められたら、最初の一杯はいただいて

でも、そのあとは自前のボトル(ウィスキー)をやらせて貰うわ
取って置きの18年ものを、ストレートでちびちびやるのがいいのよ

御所望ならば、おつぎするわ

あなた達は、グラスの向こうに……どんな未来を見ているのかしらね



「どうぞ、こちらへ。バビロニア様がお待ちです」
 美形の青年に案内されて、一・百(気まぐれな狐・g04201)と内方・はじめ(望郷の反逆者・g00276)は、バビロニアの輿に乗り込む。30m四方はあるだろう広々としたその空間は、柔らかな光と強い酒の香りに満ちていた。
「ほら、ここに座って?」
「一緒に楽しみましょう」
 女性のアークデーモンたちが、クスクス笑い声を立てながら、百たちに秋波を送る。床には柔らかな絨毯が敷き詰められ、ある者は座り、ある者は寝そべったまま、宴を楽しんでいるようだ。
 その中でもバビロニアは一際目立つ存在だった。眩しいほど白い肌。ふくよかな胸の谷間。細くくびれたウェスト。匂い立つような色気を振り撒く彼女は、漂う酒の香りも相俟って、この場に退廃的な空気を作り出している。
「話は聞いているわ」
 バビロニアは大きなクッションに身を埋めたまま、鷹揚に頷いた。
「部下たちが世話になったそうね。ふふ……グレモリーにも一泡吹かせたとか」
「初めまして、一百という。よろしく……」
 百が言葉少なに挨拶をすると、バビロニアの口元が僅かに綻ぶ。
「そんなに緊張しなくても平気よ。さあ、座ってちょうだい」
 その言葉を合図に奴隷の青年がやってきて、2人の足元にクッションを敷いた。そこへ腰を下ろすと同時に、今度はワイングラスを差し出される。
「あら、戦の前に士気高揚の一席を設けるだなんて……なかなか、わかってらっしゃるじゃない」
 口の端に笑みを浮かべつつ、はじめはグラスを受け取った。間を置かずにワインボトルを手にした青年がやってきて、各々のグラスにワインを注いでいく。
「敵も酒も、平らげ飲み干すべきですもの。……力あるものが勝つ。それは世界の必然……」
 はじめは赤く満たされたグラスを眺め、詠うように言葉を紡ぐ。
「つまり、私達の勝利は……約束されたようなもの。そう、思われません?」
「ええ、そうね」
 バビロニアが小さく頷き、グラスを掲げる。
「あなたたちの働きに期待しているわ」
(「『私達』に、あなたも入ってるなんて一言も言ってないけど」)
 心の中で呟きながら、はじめもグラスを掲げてみせた。バビロニアは、はじめの真意に気付く様子もなく、満足げにグラスを傾けている。
(「一気飲みは……しなくてもよさそうだ」)
 バビロニアの様子を窺いながら、百がワインに口を付ける。その視線に気付いた彼女は、身体を寄せて百の顔を覗き込んだ。
「お口に合うかしら」
 微笑みかけてくるバビロニアに、百が頷きを返す。飲み慣れない酒だが、高価な物なのか味は悪くなかった。
「そう。じゃあ、この機会に好きなだけ飲んでいくといいわ」
 バビロニアは楽しそうに笑った。しかし、はじめが自前のボトルを取り出すと、やや冷めた目でそれを見る。
「そちらのお嬢さんには合わなかったようね」
 僅かに険のある声だった。私の酒が飲めないのか、とでも言いたげだ。
「御所望ならば、お注ぎするわ。取って置きの18年ものよ」
 はじめがボトルを差し出すと、『取って置き』という言葉に興味をそそられたのか、バビロニアの目元から険しさが消える。
「……頂くわ」
 バビロニアが背後に視線を投げると、奴隷が新しいグラスを彼女に差し出した。そのグラスに、はじめがゆっくりとウィスキーを注いでいく。
「あなた達は、グラスの向こうに……どんな未来を見ているのかしらね」
 自分のグラスにもウィスキーを注いだはじめは、琥珀色の液体を揺らしながら、バビロニアを透かし見る。だが、彼女はクスリと笑うだけだった。
「さあ、どうかしら……ああ、これは悪くないわね」
 バビロニアは上機嫌でウィスキーグラスを傾ける。それ以上は何も言わなかった。
 はじめも特に追及はせず、グラスを口元に運ぶ。
(「さて、先の話はしたくないのか、あるいは何も考えていないのか……」)
 ちびちびとウィスキーを舐めつつ、はじめはバビロニアを見やった。はじめに代わって百が話相手を務めるも、やはり彼女が選ぶのは他愛もない話題ばかりだ。
「江戸川区を手にしたら、貴女は何をするんだろうな……」
 百も訊ねてはみたが、バビロニアは無言のままフッと笑う。そして身を乗り出してきたかと思うと、百の頬に指を這わせた。
「そんなに知りたいのなら、ベッドの中で教えてあげる。それなりの働きをしたらの話だけど」
「あはは……」
 百は仰け反りたい気持ちをどうにか抑え、愛想笑いを浮かべてやり過ごす。
「でも、まずはグレモリーを滅ぼさないと駄目よ」
 そう言ってバビロニアは、あっさりと身を引いた。本気ではなかったのだろう。
「俺はあまり各情勢のことは分からないが、戦える人はとても綺麗だと思う……」
 やや身構えながら百が言うと、バビロニアは再び笑った。
「私の戦うところが見たいの? ふふ、それならグレモリーを引き摺り出すことね」
 バビロニアは試すように百を見詰めた後、グラスに残っていた酒を一息に飲み干した。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【狐変身】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

レグル・ファングス
「バビロニアの相手は他の皆に任せよう。俺は殴り合う方が性に合ってるしな!」と敵と対峙

敵が大鎌を横に振るえば上方向に【ジャンプ】、縦に振るえば横方向に跳び退きかわしていく

「鎌は攻撃範囲も広くて殺傷力も高い…だがな、手に持って振るえば必ず対応できない死角が生まれるんだぜ。あと、振るった後の隙もデカい!」

その隙を突くようにオブシディアン・スピアで【薙ぎ払い】からのオスクロウウェーブを敵の集団に放つ

「バビロニアももしかしたら見てるかもな。もしそうなら酒も良いが喧嘩もなかなか乙なもんだと伝わったかね。」と生前の闘技場にいた頃のパフォーマンスしてしまう癖が出てしまう
※アドリブ&連携OK



「バビロニアの相手は他の皆に任せよう。俺は殴り合う方が性に合ってるしな!」
 レグル・ファングス(死せる喧嘩屋・g03807)はニヤリと笑って、懐のオブシディアン・スピアに手を伸ばした。それを一振りすると、縮められていた柄が一瞬で長柄に戻る。
 スピアを構えたレグルは、勢いよく敵群の前に躍り出て、その赤い穂先をグリムダムドに向けた。
 レグルの姿を認めた死神兵たちも、警戒したかのように足を止める。そして鈴生りの髑髏を大鎌へと変化させた。
「さあ、始めようぜ!」
 一気に距離を詰めるレグルに対し、グリムダムドたちは大鎌を手に待ち受ける。レグルの突進に合わせて、その刃先がゆらりと揺れた。
(「来るか!?」)
 そう思った瞬間、レグルは大きく跳躍した。
 ほぼ同時に死神の大鎌が一閃し、刃先がレグルの足を掠める。
「チッ!」
 小さく舌打ちしつつも、レグルはそのまま敵の頭上を飛び越えた。
「鎌は攻撃範囲も広くて殺傷力も高い……だがな!」
 レグルは間髪を入れずに横へ跳び、グリムダムドの死角に回り込む。敵の目にはレグルの姿が消えたかのように映っただろう。
「手に持って振るえば、必ず対応できない死角が生まれるんだぜ。あと、振るった後の隙もデカい!」
 敵がこちらを見失ったその一瞬、レグルはオブシディアン・スピアを横薙ぎに振るった。真っ赤な刃から漆黒の斬撃波が走り、それを受けた死神の身体がぐらりと傾げる。
 しかしグリムダムドたちは、倒れることなく踏み止まった。反撃とばかりに死神の刃が閃いて、レグルの腕を斜めに切り裂く。
「へっ、やるじゃねぇか! そうこなくっちゃな!」
 レグルは不敵な笑みを浮かべ、敵の懐へと飛び込んだ。振り下ろされた大鎌を躱しつつ槍で受け、怪我の影響など微塵も感じさせずに勢いよく打ち払う。
 そしてグリムダムドの足がよろけた隙に、レグルは大きく飛び退って間合いを取った。
「バビロニアももしかしたら見てるかもな。もしそうなら、酒も良いが喧嘩もなかなか乙なもんだと伝わったかね」
 レグルは裂かれた包帯を軽く巻き直し、ちらりとバビロニアの輿を振り返る。
 それはレグルが闘技場にいた頃の癖であり、この戦いに余裕を残している証拠でもあった。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【クリーニング】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!

メルキディア・セデクリエル
アドリブ・連携大歓迎

お酒付き合いは流石に慣れてないからこっちの方で動くとしましょう。

相手はグリムダムド……私の中の天使が何度かやりあった記憶があるから、その戦い方は分かっている。
フリューゲルソーサーで狙うのは翼の髑髏。暗滅の髑髏鎌を構成する力を削りながら相手を切り裂いていく。

相手は命を刈る事に存在意義を見出す。だからこそ確実に仕留めないとね。
反撃で仕掛けてきたら左手にイオスラッガーをもって大鎌をいなし、右手に新しく開発した槍閃機オクスタンクロイツで刺し貫いて動きを封じる。その隙で飛ばしてあるソーサーでとどめを刺す方向でいくわ。


天音・梓
一時的な共闘ではありますが、ディアボロスとクロノヴェーダの混合軍ですか
相容れない者たちで一時的に共闘する様は濁流のようですね

どうやら今から戦う敵のグリムタイドも水を操るようですが、この濁流とどちらが勢いがあるか試してみましょうか

今回の戦いは勢い任せ、多少強引でもスピードが命です
翼に【風使い】で追い風を受けながら【エアライド】で空を蹴って敵の攻撃を躱しながら接近します
躱し切れないなら大鎌で≪威刈≫を放ち攻撃と自分との間の空間を【両断】し無理やりダメージを抑えて肉薄します

大鎌と水を操るのは私も同じです
武器のリーチと取り回し方を【観察】し計算ながら接近して天使の大鎌を振り回し敵を刈り取りましょう



 『大淫婦バビロニア』が率いる江東区の残党と、江戸川区を支配する『妖美なる黄金公爵グレモリー』の軍勢。さらにディアボロスが加わって激突する様子を、天音・梓(雨兆す・g03821)は歩道橋の上から見下ろしていた。
「ディアボロスとクロノヴェーダの混合軍、ですか」
 一時的な関係に過ぎないものの、相容れないはずの者たちが混ざり合い、勢いによって敵軍を打ち崩していく。その様子は、まるで濁流のようだと梓は思った。
「さて……」
 敵味方が入り乱れる中、梓は自身が倒すべき相手――河水を操るという死神兵グリムダムド――を求めて目を凝らした。
 しばらくすると緑色の瞳に、乱戦の中を移動する死神兵たちが映り込む。
「この濁流とどちらの勢いが強いか、試してみましょうか」
 敵を視界に捉えた梓は、歩道橋の手摺りを飛び越えて、濁流のような戦場に身を躍らせた。


 乱戦状態が続く中で、メルキディア・セデクリエル(閃機術士のエンジェリアン・g03132)は数体のグリムダムドと対峙していた。死神たちは髑髏から創り出した大鎌を構え、じりじりと近付いてくる。
 その包囲から抜け出そうと、メルキディアは大きく後ろに跳んだ。同時に羽ばたかせた翼が烈風を巻き起こし、舞い落ちた羽根が光の輪に変化する。
「翼の煌めきが蒙きを啓らむ……フリューゲルソーサーッ!」
 一斉に放たれた光輪が、追い縋るグリムダムドたちに向かって弧を描く。そして敵の翼を切り裂き、鈴生りの髑髏を削ぎ落とした挙句、そのまま相手の全身をも引き裂いた。
 だが他のグリムダムドはそれに構わず、倒れた仲間を踏み越えてこちらに向かってくる。
「来なさい!」
 メルキディアは左右の手に異なる閃機を握り締め、迫り来る死神の前に立ち塞がった。
 その頭上目掛けてグリムダムドが大鎌を振り下ろす。
 それを左手のイオスラッガーで受けたメルキディアは、ずしりとした手応えを感じつつ、素早く身を捻って受け流した。
「このッ!」
 勢い余って倒れ込んだ敵の背中に、メルキディアが右手のオクスタンクロイツを突き入れた。鋭い穂先がグリムダムドの身体を刺し貫き、そのまま地面に縫い付ける。
 だが相手はダメージを受けた様子もなく、拘束から抜け出そうと足掻き、槍の柄を掴んだその時。
 メルキディアの放っていた光輪が反転し、ブーメランのような軌道を描く。そして身動きの取れない死神の首を、あっさりと刎ね飛ばした。
「……ふぅ」
 メルキディアは一息ついて、軽く額の汗を拭う。しかし休む間もなく、別の死神兵たちがやってきた。
「命を刈る事に存在意義を見出す死神たち……ここで確実に仕留めないとね」
 新たに現れたグリムダムドたちを見据えたまま、メルキディアは絶命した死神からゆっくりと槍を引き抜いた。


 梓は勢いよく空中を蹴り付け、大きく跳躍した。そのままクロノヴェーダたちの頭上を飛び越え、あるいは掻い潜りながら戦場を突っ切っていく。
「……なるほど」
 ふと敵が向かう先に目をやった梓は、そこにメルキディアの姿を見付けた。どうやらグリムダムドたちは彼女を狙っているらしく、こちらに気付く様子はない。
 その隙を衝いて、梓は死神の列に切り込んだ。気付いた敵がこちらを振り向くと同時、天使の大鎌を一閃して相手の腕を斬り飛ばす。
 グリムダムドは慌てて飛翔し、梓から距離を取った。そして、その足元から黒い水がゴポゴポと音を立てて溢れ出す。
「水を操るとは聞いていましたが……」
 梓は警戒して足を止め、距離を保ったまま待ち構えた。
 そこへ一気に噴き上がった大量の水が、波を打って襲い掛かってくる。その様子は、まるで意思を持った生き物のようだった。おそらく避けたとしても、即座に追いかけてくるだろう。
「ここは行き止まりです」
 大鎌を構えた梓は素早く眼前を一閃し、自分自身と襲い来る水流との狭間にある空間そのものを両断した。
 その直後、巨大な水流がうねり、津波のように迫ってくる。しかし梓が空間を切り裂いた位置に到達した途端、目に見えて水流の速度が鈍った。さらには横へと逸れて、明後日の方向に流れていく。
「終わりにしましょう」
 梓は再び宙を蹴って間合いを詰め、一瞬でグリムダムドに肉薄する。そして相手が反応するよりも早く、大鎌を横薙ぎに振るい、死神の胴を両断した。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV2が発生!

内方・はじめ
じゃあ、パッと見は仲良くして……共通の敵を倒さないとね
勿論、思うだけよ?

こうやって戦えば……バビロニア軍は、こちらを友軍だと思ってくれそうだし
マルコスの群れは、バビロニア軍に任せても良さそうだし、少し削ってやって恩を売っても良さそう

空中戦、弾幕、誘導弾、撹乱、残像、時間稼ぎ、挑発を活かし、【飛翔】し、周囲の建造物や、その残骸等の間を飛び回って撹乱し、仲間集結まで時間稼ぎ

何なら、逃げるフリして、仲間のところまで敵を誘い込んでもいいわね
【パラドクス通信】で仲間と交信し、誘いましょ

隙あらば、一撃離脱も活かし双翼魔弾で敵を攻撃
敵の反撃は、建造物や残骸、廃棄された車両等を盾にし逃げ回り、とことん嫌がらせ



 内方・はじめ(望郷の反逆者・g00276)は通信機を口元に寄せたまま、風を切って飛翔する。
 その背後には、髑髏の翼を広げたグリムダムドたちが迫っていた。
「……ええ、それじゃ手筈通りに。準備が出来たら連絡してちょうだい」 
 二言三言の短いやり取りを済ませた後、はじめはちらりと背後の敵を振り返る。
 この追跡行は敵を仲間のもとへ誘い込み、殲滅することを目的とした時間稼ぎだった。そのためにはしばらくの間、死神たちの目をこちらに引き付けておかねばならない。
「さあ、大人しくついてきなさい」
 そう呟いたはじめは、風に乱れた黒髪を掻き上げ、再び前に向き直った。そのまま高度を下げて、周囲の建物に紛れ込む。
 そしてグリムダムドたちを引き連れたまま、ビルやマンションの隙間を縫うように飛び続けた。
 時折後方を確認するが、敵はぴったりと張り付いて離れる気配がない。はじめ1人を追い続けるのは非効率にも思えるが ディアボロスを警戒しろというグレモリーの命令に従っているのだろう。
(「こちらにとっては、むしろ都合が良いけどね」)
 そのまましばらく敵を引っ張り回していると、通信機を通してメルキディアの声が届いた。
『配置に就いたわ。こっちは何時でもいいわよ』
「分かったわ」
 それだけ答えると、はじめは急ぎ合流地点へと向かう。
 そして追い縋る死神兵たちを連れ、目的の路地に差し掛かった時だった。身を隠していたメルキディアに梓、そしてレグルが姿を現し、瞬く間に敵を打ち倒していく。
 だがその猛攻から逃れようと、2体のグリムダムドが上空に舞い上がった。
「逃がさないわよ」
 はじめの周囲に、無数の魔力弾が浮かび上がる。
 それは激しい弾雨となってグリムダムドに降り注いだ。敵を撃ち落とした後も勢いは衰えず、さらに大きく弧を描いて、もう1体の死神兵を追尾する。
 それを振り切ろうと、グリムダムドが空中を逃げ惑う。しかし複数の魔力弾は、それぞれ異なる軌道を描いて敵を追い詰め、その全身を穿ち貫いた。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!

一・百
※アドリブ連携歓迎

死神は仲間の活躍で足りそう…
マルコスはバビロニアに動いてもらうとして…
俺はあのうるさそうな頭を取りに行くか…

耳先だけ金の漆黒狐に変身し戦場を身を潜めながら駆け背後に回り込む

正面の進攻に気を取られてるから回り込むのは容易いだろう
死角より飛び出し、変身を解くと同時に紅玉姫を抜きパラドクスで攻撃

せいぜい、お望み通りグレモリーを引き摺り出せるよう動いてやるさ…

反対側よりジンのキューコン(狼程の九尾の銀狐)も攻撃を仕掛け
狙いを絞りにくいように妖気の刃を散らし翻弄する
歌は不快そうに耳を垂れて塞ぐ

あの顔で歌うとは思わなかったな…
『歌詞適当! あいつ、歌詞サボりよったで!』
キューが突っ込み


レグル・ファングス
「ゴリアテ…喧嘩の相手として不足はねぇな。よし、ぶちのめしてやるか!」

まずはデュアルデッドを持ち、敵の攻撃をこちらも【連撃】で迎え撃つ。敵に接近していき、ちょうど敵の真正面に来た時に挑発

「おい、今ハンマーを振り下ろしたら俺を斬れるぞ。お前みたいなのろまができるかは知らねぇがな。」

おそらく敵はレグルより身長があるためがあるため、レグルを潰すためハンマーを縦に振り下ろすと予想し、攻撃を横方向へ【ジャンプ】で回避。そして、ハンマーを振り下ろした後の隙を狙い、敵の顔面にデュアルデッドでDaemon・tenebrisを決める

「手足を闇雲に振り回して勝てるのはガキ同士の喧嘩だけだぞ。」

※アドリブ&連携OK


メルキディア・セデクリエル
アドリブ・連携大歓迎

なかなかの脳筋っぷりな見た目ね。
確かゴリアテの伝承と言えば、ソロモン王の父ダビデが投石で倒したって話だったわね。
ならばそれに肖ってみましょうか。

ただし、投げるのは石じゃなくてトマホークだけどね!

レグルさん達の攻撃の合間を突いてジェストと一緒に援護攻撃。
私がイオスラッガーで斬りつけながら、ジェストが本命の擲斬殺法・鉞颪を繰り出してもらおう。

反撃のハンマーはベイルマウアーを構え、うまく受け流しつつ飛んで衝撃を和らげる。
道具も使いようってね。

あとはバビロニアの軍勢に半分期待ってとこかな。


内方・はじめ
うっわー……なんか、ホラー映画とかに出てきそうな造形ねえ
でも、ホラー映画観ながら一人焼肉いける私に隙はなかった

空中戦、弾幕、誘導弾、撹乱、残像、時間稼ぎ、挑発を活かし、【飛翔】して、瓦礫や建物等の間を飛び回って撹乱し、仲間集結まで時間稼ぎ

隙あらば、砲撃、一撃離脱も活かし報復の魔弾で敵を攻撃
敵の反撃は、瓦礫や建物の廃墟を盾にする等し逃げ回り、とことん嫌がらせ

あんなハンマーに当たったら、痛いじゃ済まないわよ

必要なら【パラドクス通信】で互いの状況を情報交換し、連携のタイミング合わせ等に活かしたいわね

次はチェーンソーでも用意したらどうかしら?

さあ、惨劇の犠牲者達の無念、恐怖、怨嗟をその身で味わいなさい



(「マルコスはバビロニアに動いてもらうとして……」)
 狐に変身した一・百(気まぐれな狐・g04201)は、辺りの気配を探るかのように、金色の耳をピンと立てた。
 主戦場である大通りでは、既にマルコスの一部がバビロニアの配下たちと戦闘に入っているようだ。しかしそれよりも目立つのが、通りの真ん中で雄叫びを上げているゴリアテと、その頭上を飛び回り、盛んに牽制を仕掛けている内方・はじめ(望郷の反逆者・g00276)の姿だった。
(「俺はあのうるさそうな頭を取りに行くか……」)
 はじめがゴリアテを足止めしている隙に、百は植込みの陰や塀の裏、ビルとビルの隙間などを駆け抜けていく。そして、やや大回りにゴリアテの後方へと回り込んだ。
(「せいぜい、お望み通りグレモリーを引き摺り出せるよう動いてやるさ……」)
 今のところゴリアテの意識は、はじめに注がれているらしく、こちらに気付いた様子はない。その背中に向かって、百は少しずつ距離を詰めていった。


「うっわー……なんか、ホラー映画とかに出てきそうな造形ねえ」
 はじめは空を旋回しつつ、如何にも野蛮人といった風貌のゴリアテを見下ろしていた。
 その身体は並外れて大きく、人間と比べて頭一つどころか二つ三つは抜けている。左右の手には巨大な剣と無骨なハンマーが握られており、顔には人の生皮を剥がして作ったかのような気味の悪いマスクを被っていた。
「さて、それじゃ一つ嫌がらせといきましょうか」
 はじめは一気に加速して急降下する。
 上空の気配に気付いたか、ゴリアテが空を見上げた。
「……なんだぁ?」
 訝しげにこちらを睨むゴリアテ。
 その顔面を狙いを定め、はじめは続けざまに銃弾を撃ち込んだ。しかしゴリアテは巨大剣を盾代わりに、いともあっさりと銃弾の雨を払い除ける。
「うおおおおぉぉ!!」
 ゴリアテが怒りの形相でスレッジハンマーを振るった。赤黒い血に塗れた鉄塊が、唸りを上げて迫る。
「くっ!」
 はじめは急旋回し、紙一重でその一撃を躱した。それでも突風のような衝撃が全身を襲い、思わず眉根を寄せる。
「あんなハンマーに当たったら、痛いじゃ済まないわよ」
 はじめは一旦上空に避難して、ゴリアテから距離を取った。そこから手近なビルの陰に入り、建物の陰から陰へと移動しながら、散発的な銃撃を浴びせかけていく。
 必ずしも当てる必要はなかった。ゴリアテの注意を引き付けることができれば、それでいいのだ。
「ぬう……どこだ、どこにいった!? 出てこい!!」
 ゴリアテの大きな目玉がギョロギョロと動き回り、はじめの姿を探し求める。
 だが、時間稼ぎを目的としているはじめにとって、それはむしろ好都合というものだった。


「ゴリアテ……喧嘩の相手として不足はねぇな。よし、ぶちのめしてやるか!」
 レグル・ファングス(死せる喧嘩屋・g03807)はデュアルデッドを抜き放ち、ゴリアテとの距離を詰める。
 はじめに気を取られていたゴリアテだったが、レグルの接近に気付くと素早く振り向いて身構えた。
 それに構わず、更にレグルが踏み込む。するとゴリアテは、巨大剣とハンマーを交互に振り回し、襲い掛かってきた。
「死ねえッ!!」
「手足を闇雲に振り回して勝てるのはガキ同士の喧嘩だけだぞ」
 レグルは身を沈め、飛び退き、あるいは剣で打ち払い、その連撃を躱していく。
「ちょこまかと逃げやがって……」
 ゴリアテが悔しそうに歯噛みした。
 そして、やたらと得物を振り回すだけでは通じないと悟ったのだろう。足を止めてハンマーを構え直し、タイミングを計るかのようにレグルを睨み付ける。
(「どうにかして隙を作らねぇとな」)
 レグルとしても、このまま膠着状態を作るわけにはいかなかった。
 じりじりと間合いを詰めながらゴリアテを見上げ、からかうようにニヤリと笑う。
「おい、今ハンマーを振り下ろしたら俺を潰せるぞ。お前みたいなのろまができるかは知らねぇがな」
 レグルは口の端に笑みを浮かべたまま、自分の頭をトントンと軽く叩いてみせる。
「ほら、ここだ……よく狙えよ?」
 見え透いた挑発ではあるが、ゴリアテは顔を大きく歪ませて怒りを露わにした。
「舐めやがってえぇぇ!!」
 怒声と共にゴリアテがハンマーを振り上げる。
 それが振り下ろされる寸前、レグルは大きく横に跳んだ。空を切ったハンマーがアスファルトの路面に突き刺さり、破片や砕石を撒き散らす。
「逃がすかあっ!」
 横に抜けたレグルを追って、ゴリアテが再びハンマーを振り上げようとした時だった。
 その僅かな隙を衝いて肉薄したレグルは、白銀の刃を閃かせ、ゴリアテの顔面に深々とVの字を刻み付ける。


「ぐ、お、おぉ……」
 切り裂かれた顔を片手で押さえ、ゴリアテがよたよたと後退る。
 そこへレグルと入れ替わるようにして、メルキディア・セデクリエル(閃機術士のエンジェリアン・g03132)が斬り掛かった。低い姿勢から距離を詰め、イオスラッガーでゴリアテの足を横薙ぎに払う。
「あ、うぐ……」
 ゴリアテが堪らずに体勢を崩し、片膝をついた。
「ジェスト、今よ!」
 メルキディアの叫びに応じ、ミニドラゴンのジェストが、鞭のように尻尾を振るう。そして尻尾から迸るオーラを戦斧に変え、ゴリアテを狙って渾身の力で投げ付けた。
「こんなもの!」
 飛来する戦斧を叩き落とそうと、ゴリアテが巨大剣を翳して待ち構える。
 だが、その戦斧は直前で3つに分裂し、冷気を帯びた刃がゴリアテの全身を抉った。
「があっ!」
 ゴリアテが苦痛の声を洩らす。
「よくも、やってくれたな!」
 怒りと屈辱に肩を震わせ、ゴリアテは傷だらけのままジェスト目掛けて突っ込んだ。
 しかしベイルマウアーを構えたメルキディアが、両者の間に割って入る。
「やらせないわよ!」
「どけえっ!!」
 立ち塞がったメルキディアに構わず、ゴリアテがハンマーを叩き付けた。
 それをベイルマウアーで受けた瞬間、メルキディアは大盾の角度を斜めに変えて衝撃を逃がす。更に自分から後ろへ跳んで、威力を殺すことも忘れない。
「道具も使いようってね」
 多少腕が痺れたものの、メルキディアにダメージは無かった。
 とはいえ、何度もできるかは分からない。ほんの少しタイミングがずれれば、今度こそ大怪我をするだろう。
「ええい、しぶとい奴め!」
 メルキディアを弾き飛ばしたつもりになっていたゴリアテは、無傷で立っている彼女を見て地団駄を踏む。そして一層の怒りを込め、メルキディアに向かって突進した。


 はじめはマンションの屋上から、大通りの様子を窺っていた。
 頭に血が上っているのか、ゴリアテはレグルとメルキディアを相手取り、単調な攻撃を繰り返している。既にはじめのことは頭から抜け落ちているのだろう。
「……頃合いね」
 はじめはアームキャノンを構え、ゴリアテに狙いを定める。
 人々を畏怖によって縛り付けるアークデーモンならば、おそらくこれまでに幾度も人を殺めたことだろう。周囲に溢れるそれらの記憶が寄り集い、黒い砲弾となってエヴァンゲーリウムMk-XIIIに装填される。
「さあ、惨劇の犠牲者達の無念、恐怖、怨嗟をその身で味わいなさい」
 射るような視線と共に、アームキャノンが火を噴いた。漆黒の砲弾はゴリアテを真っ直ぐに貫き、その胸板に風穴を開ける。
「がああああぁっ!!」
 ゴリアテが絶叫した。それでもなお踏み止まったゴリアテは、はじめに向かってハンマーを投げ付ける。
 だがそれを予期していたはじめは、撃つと同時に後ろへ下がっていた。渾身の力が込められたであろうハンマーは、コンクリートの外壁を砕きつつも、寸前まではじめの居た空間を虚しく通過する。


 百が飛び出したのは、その時だった。
 一直線にゴリアテとの距離を詰め、変身を解くと同時に紅玉姫の鞘を払う。
「紅玉姫、俺と共に……散れ、永久の眠りへ……」
 その名が示す通り、紅玉のように赤い刃を手に、百は彼我の距離を一瞬で縮めた。そして間髪を容れず、ゴリアテの背中を横薙ぎに斬り付ける。
「ぐあっ!?」
 斬撃を受けてようやく百に気付いたのか、ゴリアテが慌てて振り向いた。
 そこに返す刀で二度目の斬撃を浴びせると、紅玉姫の刀身が妖しく煌き、その輝きを増していく。
「うおぉぉっ!」
 巨大剣を振りかざし、ゴリアテが吼える。
 しかしそれが振り下ろされるよりも早く、ゴリアテの背後から銀色の毛並みを持つ九尾の狐――百の契約しているジンのキューコン――が飛び掛かった。
「邪魔だあっ!」
 ゴリアテはキューコンを蹴り飛ばし、文字通り一蹴する。
 だが、その仕返しとばかりに百が斬撃を重ね、ゴリアテの巨躯を切り刻んだ。その度に刀身から紅の妖気が零れ、花弁のようにはらはらと舞い落ちる。
 それは一つ一つが鋭い刃となって宙を舞い、再びゴリアテに襲い掛かった。
「この程度、でえぇっ!」
 ゴリアテは全身に裂傷を負いながら巨大剣を振り回す。
 それに対し、百は大きく飛び退って間合いを切った。するとゴリアテも、百を追って花吹雪の中に突っ込んでくる。
 元から考えて戦うタイプには見えなかったが、事ここに至ってその猪ぶりは更に酷くなっているようだ。
「ごおおぉぉっ、があぁっ! おおぅ、うええぇっ!」
 満身創痍のゴリアテは、己の力を使い果たそうとするかのように、声を絞り出し暴れ回る。何事か歌っているようにも聞こえるが、最早まるで言葉になっていなかった。
 それは歌声というよりも、音程の狂った叫び声でしかなく、キューコンは不快そうに耳を垂れて塞ぐ。
「うああぁぁっ!!」
 猛然と突っ込んでくるゴリアテだったが、花弁の刃が行く手を遮り、その前進を阻んだ。
(「来るか……?」)
 百は無言のまま紅玉姫を構え、ゴリアテを待ち受けた。
 しかし花吹雪の刃に曝されてゴリアテの足は次第に鈍り、巨大剣を振り上げていた腕もだらりと垂れ下がる。そして力尽きたゴリアテの巨体が、地響きを立てて百の前に倒れ込んだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【狐変身】がLV2になった!
【建造物分解】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
【飛翔】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2022年08月02日

グラシャラボラス残党軍の江戸川区侵攻戦

 ディアボロスは、江戸川区の支配者である『妖美なる黄金公爵グレモリー』と、江東区から逃れたグラシャラボラス残党軍の戦いに介入。
 グラシャラボラス残党軍の撤退を助け、残党軍との共闘関係を築こうと試みました。

 撤退が上手くいったことで、グラシャラボラス残党軍を率いるジェネラル級アークデーモン『大淫婦バビロニア』はディアボロスの協力を得られると思い込み、自ら残党軍を率い、江戸川区の中枢である『江戸川区役所』への進軍を開始しました。
 バビロニアの軍勢を利用して、江戸川区役所に攻め寄せましょう。

 この侵攻戦におけるディアボロスの行動や状況により、グレモリーやバビロニアとの決戦に至る状況は、大きく変化すると予想されます。

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 🔒公式タグは編集できません。

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#TOKYOエゼキエル戦争
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#グラシャラボラス残党軍の江戸川区侵攻戦
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#江戸川区
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#大淫婦バビロニア
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#妖美なる黄金公爵グレモリー


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選択肢『大淫婦バビロニアとの接触』のルール

※注意
 この選択肢は20歳未満のディアボロスのプレイングは採用されません。ご注意ください。

 グラシャラボラス残党軍を率いるジェネラル級アークデーモン『大淫婦バビロニア』との接触を図ります。
『大淫婦バビロニア』は、100体ものヤンキーデーモンが担ぐ巨大な輿に乗って、優雅に進軍していますが、江戸川区との戦いでディアボロスが部下達の撤退を支援していたことの挨拶に来れば快く歓迎して輿の上に招いてくれます。
 輿の中では、大淫婦バビロニア自らディアボロスに酒を勧めてくれます。
 酒を飲まないことには話が進みませんが、歓待を受けたり、会話をすることが出来るでしょう。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『🔵が👑に達すると、敵の大規模な作戦に影響を及ぼす。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾護衛するトループス級『死神兵グリムダムド』のルール

 事件の首魁であるクロノヴェーダ(👿)を護衛するトループス級クロノヴェーダ(👾)と戦闘を行います。
 👾を撃破する前に👿と戦闘を行う場合は、👾が護衛指揮官を支援してくるので、対策を考える必要があるでしょう。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾大群のトループス級『狼の悪魔・マルコス』のルール

 事件の首魁であるクロノヴェーダ(👿)配下のトループス級クロノヴェーダ(👾)の大群と戦闘を行います。
 敵の数が多いので、撃退するには時間が掛かるかもしれません。
 👾を撃破する前に👿と戦闘を行う場合は、👾が護衛指揮官を支援してくるので、対策を考える行う必要があるでしょう  詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『脳筋デーモン・ゴリアテ』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「飛鳥・遊里」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。