リプレイ
内方・はじめ
さて……相変わらず、一番湿気た面してるのがジャンさんよね
ひとりで離れてる人を見つけたら、接近し声掛け
「その花束……渡さないの?」
「花束も言葉も、持ってるだけじゃあ……思ってるだけじゃあ、相手には伝わらないわ」
『じゃあ……どうすればいいんだよ!』
とか激昂されたら、
「前も同じやり取りしたわね……答えはもう、わかってるんでしょ?」
と言いつつ、ウィスキーの小壜をジャンさんに差し出して
「踏ん切りつかないなら……今度は一杯やって、景気つけていく?」
と後押し
でも、彼はきっと……酒の力なんて要らない
私と違って
『何だ、またあんたか』
とか思い出してくれたら、入れ替わり作戦を話して、こっそり協力して貰うようお願い
●花嫁の幼馴染
その別荘地はいつにも増して活気があった。元々は景勝地であったし、別荘もあったが、それだけのどこにでもある集落であった。だが、ドラゴンにみそめられた竜の花嫁の逗留地となり、多くの商人や旅芸人、職人達が集まり賑わいを見せた。そして、とうとう花嫁は仰々しい花嫁行列を仕立て、花嫁道具を持参してドラゴンの待つ砦へと向かう。そこで彼女は人ではなくなるのだ。
「さて……」
花嫁行列の出立を控え、特需に浮かれた人々の中を内方・はじめ(望郷の反逆者・g00276)は別荘地のはずれへと歩いていた。そうして歩くと徐々に行き交う人は減り、とうとう誰ともすれ違わなくなる。そうして敷地の端を探していると、目的の人物が目に入った。その人はまだ若い男性だった。賑やかな人々とは反して項垂れ、手にした花をじっと見下ろしている。
「その花束……渡さないの?」
はじめが声を掛けた。
「誰だ? 見かけない顔だな」
はじめはその男性がジャンという名のイザベラの幼馴染だと知っていたが、ジャンははじめを忘れている様だった。仕方がない、そういう力が働いている。はじめは落胆する様子もなくもう1歩ジャンに近寄った。
「花束も言葉も、持ってるだけじゃあ……思ってるだけじゃあ、相手には伝わらないわ」
ジャンが持っているのはありふれた、でも懐かしい白いカンパニュラの花だった。今ならあちこちで白だけ出なく色々な色の可憐な花を咲かせている。
『じゃあ……どうすればいいんだよ!』
その反応は、はじめには強い既視感がある。
「前も同じやり取りしたわね……答えはもう、わかってるんでしょ?」
はじめは服の内ポケットから銀色のスキットルを出してジャンに差し出す。
「なんだ?」
「踏ん切りがかないなら……今度は一杯やって、景気つけていく?」
蓋を開けるとプーンとアルコールの香りがした。
「酒か? 酒は要らないよ。だって……え? あんたとは前にもここで会ったことがあったか? 俺の愚痴を聞いてくれたりしなかったか?」
探るような、記憶を辿るような遠い目をするジャンをはじめは仄かに笑った見た。排斥力があってもこうして覚えてくれる人もいる。
「イザベラを助けたいのは私も同じよ。でも、私だけじゃ助けられない。協力して」
「あんたを信じる。なんでも言ってくれ」
ジャンはすぐに頷いた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
エスト・リンフィールド
旅の吟遊詩人が、選ばれし竜の花嫁に歌を捧げたい……とか言う感じで、出発前のイザベラさんに接触
歌唱を活かし御目出度そうな歌を数曲歌い、ご家族とかが満足したら、イザベラさんとふたりだけでお話して、彼女のことを歌にしたいとか言って人払い
ふたりきりになったら、
「綺麗だった。あの夏の、白い花」
あなたは、こう言った
そして、【勝利の凱歌】を乗せ歌う
風にそよぐカンパニュラ
雪のように白い花
風に踊るカンパニュラ
空のように青い花
今年も、次の年も、その次の年も
子どもだって生まれて、しわくちゃのおばあちゃんになっても
大事な人達と一緒に、青や白のカンパニュラを見よう
思い出してくれたら、入れ替わり作戦を伝えて協力をお願い
●花嫁に捧げる歌
出立前のひとときをイザベラは1人で過ごしていた。彼女の気持ちと彼女以外の者たちの気持ちはとてつもなく大きく乖離していたが、今さらそれを言って何になるだろう。彼女の運命は変わらない。あと少しすれば誰かが迎えに来る、もう準備は整いました、と言って。
「失礼します」
この別荘付きのメイドが控えめにノックをしたあと、扉を開いて一礼した。
「旅の吟遊詩人がおめでたい歌を献上したいと言っております。いかがしましょうか?」
どうでもいい、それがイザベラの本心だったがそうは言えない。
「わかりました。お通ししてください」
メイドが会釈したドアから離れると、もうそこに旅の吟遊詩人がいた。
「初めまして。エスト・リンフィールドです」
いつもよりも丁寧に、大きな声を出すよう努力しつつエスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)は無難に腰をかがめて礼をした。
メイドが扉を閉めるとエストはイザベラとふたりきりになった。朝の日差しが窓から差し込んでいるのに、まるで夜の海の中にいるように冷たく静かだ。すぐ外では人々が出立の準備をしているのに、その喧噪も聞こえてこない。
「あの、ご家族は?」
なんだかイザベラが皆に放って置かれているようで、エストは小声で聞いてみた。
「準備に忙しくしているのでしょう。さぁ、それよりも歌ってください、旅の吟遊詩人さん」
棒読みのセリフめいた言葉をイザベラは言う。こうしてずっと皆に望まれる竜の花嫁を演じていたのだろうか。エストは不意に涙が浮かんでくるのを感じた。心底、イザベラが不憫でどうにかしてあげたくてたまらなかった。
「……綺麗だった。あの夏の、白い花」
あの日、あなたは、こう言った。私を覚えていなくても、この言葉は覚えているのではないだろうか。そして、『勝利の凱歌』を乗せ歌う。
風にそよぐカンパニュラ
雪のように白い花
風に踊るカンパニュラ
空のように青い花
「待って。止まって」
イザベラはエストの歌を細くて白い腕をあげて制止した。
「この声、聞いたことがあるわ。この楽器の音色も知っているわ。どうしてかしら? なんで忘れていたのかしら? 私……」
イザベラは泣いていた。綺麗な水晶のような涙が双眸からこぼれ、頬を伝い顎からぽたりとドレスに落ちる。
「もし私を思い出してくれたなら、私の事を信じてくれるなら、お願いしたいことがあります」
エストはそっとイザベラに近寄った。
大成功🔵🔵🔵
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
ラウム・マルファス
念のため、小鳥型ドローンを花嫁の馬車に飛ばそウ。もし慌ててそうならスピーカーで落ち着くように伝えるとしテ。
ホントは盗賊を名乗るのが良いんだろうケド、ボク演技とか嘘は下手なんだよネ。
早業でカラス型ドローンに爆薬を搭載。顔だけ隠して、魔導ナイフを手に持って、フライトドローンに乗って襲撃するヨ。何者か聞かれたら、「悪魔だヨ。奪いに来たヨ。よろしくネ」って答えておこウ。これならホントだから多分大丈夫。
魔導ナイフで牽制しつつ、敵の動きを観察。隙が出来たらカラス型ドローンを突撃させて、爆破攻撃するヨ。馬車や一般人を巻き込まないように気を付けよウ。連携が得意な相手みたいだし、無理せずじっくり攻めようカナ。
内方・はじめ
相手は花嫁行列
急げば先回りできそうね
森の木々で周囲が見えづらい場所で、【光学迷彩】を使い待ち伏せ
勿論、待ち伏せのことはジャンさん、イザベラさんには話しておくわ
可能なら行列の配置等、事前の情報交換も
馬車を守る竜鱗兵が来たら、忍び足を活かし無形の反逆者で敵を攻撃
先行・後続の一般人にもわかる位に暴れて、一般人達が逃げるように仕向けましょ
敵が空中戦を仕掛けてきたら、木々の枝に隠れたりして、敵の優位を少しでも崩すように
こうも木々が邪魔なら……勢い位は鈍るわよね
仲間が攻撃したら、その隙に木陰や荷車の陰に隠れて、隙をみて無形の反逆者で再攻撃
一撃離脱、撹乱を活かし敵群を翻弄し、事が済んだら入れ替わり作戦の準備
ヴァイスハイト・エーレンフリート
★アドリブ、連携歓迎
記憶がない……それよりも今は騎士団を倒さないといけませんね
「遅れてしまいましたが、イザベラさんを守るために戦いましょう」
近接は『十文字槍』で遠距離は狙撃銃、【天気予測】と【風使い】で風を読み、相手の動きを見ます
攻撃は【暗殺】の要領で【残像】を残しつつ回避します
空であろうとも、防御をしようとも魔法には関係ないでしょう
パラドクスを使います
「魔術を受け止めれるのであっても」
その防具を【魔術知識】と【結界術】で弱点を見抜き【貫通撃】で敵ごと貫きます
「火球も全部、貫いて差し上げましょう」
「次はもっと良いドレスを仕立てさせて下さい。イザベラさんと」
あの彼とお揃いの衣装を作りたいですね
エスト・リンフィールド
イザベラさんに入れ替わり作戦の段取りを話したら、【パラドクス通信】で仲間と情報交換しつつ敵を待ち伏せ
敵が来て戦闘が始まったら、【浮遊】を使って、音を立てずに敵の死角に移動して、敵に号令出してる指揮官っぽい奴を狙って、アースシェイカーで文字通り……揺さぶってみよう
敵の突きは、ダンスのステップを活かし、左右に動く等して回避を試みる
なるべく敵から距離を取って、敵の動きを見つつ、情報収集、看破を活かし妙な動きがないか警戒
妙な動きがあれば、仲間に声掛けして、仲間と可能な限り連携して対処
竜鱗兵を倒したら、【勝利の凱歌】でイザベラさんを元気付けながら、一般人の護衛が戻ってくる前に、速やかに入れ替わり作戦だね
●大きな樹の下
「やっぱりこの大きな樹の下が正解だったネ」
ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)は小鳥型ドローンからの情報を皆に伝える。
「もうちょっとで馬車が見えてくるヨ」
「ありがとう。リアルタイムの情報は助かるわ」
内方・はじめ(望郷の反逆者・g00276)もちょっとした低木の影からそっと動き出す。別荘地を出たのは花嫁行列よりも遅くなったが、身軽で移動速度の速いはじめの方がこの場所に余裕を持って先に到着していた。
「……あの、イザベラさんにはこの状況はお話し、しています」
パラドクス通信でも歌う時以外のエスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)の話し方は少しぎこちなく、小さな声だ。
「でも、こちらの指示に従って馬車から脱出するし、身を隠してくれます」
イザベラもここに至って、隠していた本心を少しずつ露わにする様になってきているようだ。そこへヴァイスハイト・エーレンフリート(死を恐れぬ魔術師・g00112)が音もなく姿を現した。彼が振り返ると、一本道の奥から馬車の屋根が見え始める。
「遅れてしまいましたが、イザベラさんを守るために戦いましょう」
光の見えない月、始まりの月の銘を持つ槍を手に戦闘の準備に入る。基本的には真正面から戦うスタイルではないので、スッと気配が消えてゆく。
「それじゃあ、元気にカッコよくのんびり粛々と戦うヨ」
ラウムが立ち上がり、カラス型のドローン達と共に馬車へと向かって走り出す。
「あ、そうだったネ」
走りながら、顔の下半分を布で隠してフライト型のドローンに飛び乗り魔導ナイフを手にすれば、立派な低空版の空賊だ。
「私たちも行きましょう」
いやでも目立つ空賊スタイルのラウムが陽動となり、はじめやヴァイスハイトはラウムから距離を取って花嫁行列の背後へと回り込む。
「護衛の中にはジャンも混じっているわ。イザベラはジャンに任せるつもりよ」
「わかりました」
はじめとヴァイスハイトはパラドクス通信で会話しつつ、もう馬車の背後の右と左に展開している。
「わ、私は……えっと」
エストは3方向から散開して花嫁行列に向かうラウム、はじめ、ヴァイスハイトを見る。それ以外の方向があるとすれば、それは……空だ。
「私も、出ます」
身体はふわりと浮き上がり、そのまま空を歩くようにエストは俯瞰の視界を確保したまま戦場へと迫った。
●襲撃作戦
最初に異変に気がついたのは聖ティラミサ騎士団の前方を歩くドラゴンだった。白い装備に覆われた腕を挙げ、隊列の停止を指示する。
「止まれ。何者かが来る」
薄桃色の鱗、全てが白の揃いの装備をつけたドラゴン達は今回のような花嫁の護送は慣れている。
「また無駄な足掻きか?」
「名誉なお役目を授かったというのに、無知蒙昧が」
これまでにもごく稀に、花嫁の縁者が奪還に来ることがあった。そうこうしている間に接近するのは乗り物に乗って飛ぶ人と、数機の飛行する小さな物体だとわかる。
「散開しろ! これはここの者ではない! 敵襲だ!」
1番前にいたドラゴンが馬車のある方へと下がりつつ、同じ聖ティラミサ騎士団の者達に叫ぶ。
「なんだって!」
「敵って誰だ」
「なんで、どうしてだ!」
すぐに戦闘態勢となった聖ティラミサ騎士団のドラゴンとは違い、同じく馬車を守護する名目で行列に参加していた別荘地の男達はパニックに陥る。
「俺は、逃げるぞ!」
早速1人が行列を離れ、元来た道へと走り出した。
「逃げるのではない!」
「捨ておけ、それより来るぞ」
逃亡者を捕まえようとしたドラゴンがいたが、それを指揮官らしいドラゴンが制した。
「止まれ、何者だ!」
それはラウムへと向けて放たれた言葉だった。
「悪魔だヨ。奪いに来たヨ。よろしくネ」
甚だ言葉足らずであり、最低限の情報しか盛り込まれていない。しかし、ラウムは敵の誰何に応じるのはこれで十分だ判断した。嘘ではないので、言っても良心の呵責に苛まれることもない。
「ふざけるな!」
「倒せ!」
この場にいた聖ティラミサ騎士団のほぼ全員がラウムのいる前方へと移動し、前に出た。
「換装完了。さァ、行っておいデ」
ラウムはのんびりとした口調でカラス型のドローンたちに攻撃開始の指示を与える。爆薬を積んだカラス達が次々と空から急降下し、ドラゴン達に爆薬を投下する。
「きゃああ」
「ひやぁぁ」
カラス型ドローンが運んだのは通常の爆薬ではない、パラドクスとしての爆薬だ。避ける動作もしなかったドラゴン達はバタバタと倒れてゆく。
「させるか、守れ」
「第2陣、前に出て攻撃だ」
指揮官の声に倒れたドラゴンの前で別のドラゴンが盾を構え、さらに別のドラゴンがラウムの乗るフライトドローンを攻撃した。
「わぁああ」
バランスを崩したラウムがコロンとドローンから転がり落ちた。
「立てますか?」
反撃に出たドラゴンと転がったラウムの間にいつの間にかヴァイスハイトがいた。手になじむ漆黒の十文字槍の切っ先を敵へと向けて構えている。
「どこから来た?」
「構わぬ。どちらも殺せ!」
ドラゴンは躊躇なく剣をヴァイスハイトへと振り下ろした。
「そちらの攻撃を待つ義理はありませんよ」
槍を地面に突き立て、魔導書を開く。
「答えよ、雷帝。放たれよ、青き雷の槍を!」
展開した魔方陣へと巨大な雷の槍が一直線に放たれた。雷撃の範囲内に居た手負いのドラゴン2体が死に、ヴァイスハイトに攻撃を仕掛けたドラゴンも電撃に焼かれ、倒れ込んだ。
「仲間の代わりに仇を討つ!」
盾を構えていたドラゴンが飛んだ。失速し、墜落するかのようにしてヴァイスハイトに体当たりをする。ヴァイスハイトは横に飛んで直撃を回避するが、盾の端が足に当たる。
前方で戦闘が始まると、馬車に近くにいたお飾りのような別荘地の護衛達は浮足立った。
「俺達は馬車を守ればいいんだよな」
仲間に尋ねる声は震えている。
「冗談じゃない。ここにいたら命なんてないぞ」
「敵はドラゴンでもかなわないんだ。逃げるしかない!」
馬車を守るはずの男たちは一目散に逃げてゆく。残ったのはただ1人……それはジャンだった。ジャンは馬車に駆け寄り扉を開ける。
「イザベラ、行こう」
今度こそ、ジャンの手はイザベラへと差し伸べられた。そして返事も待たずにぎゅっと手を握り、引き寄せる。
「ジャン、私のために……」
イザベラは目にいっぱい涙を貯めている。
「材料が逃げるぞ!」
「逃がすな!」
前方に出ていたドラゴンの1体が振り返って、イザベラとジャンの方へと戻りかける。もはや花嫁などという欺瞞の名さえ使わない。
「それ、困ります」
ドラゴンの上空から声が響く。戦場を上から見ていたエストが一番早く状況を把握できた。すぐにパラドクス通信で皆に伝え、自分もイザベラとジャンの元に急行する。
「何? 誰が? どこに?」
姿の見えない敵にドラゴンは立ち止まり、左右を見る。それだけで十分だった。
「大地に眠る聖霊よ。今こそ目覚め……我が敵を奈落の底に呑み込み給え!」
馬車へと戻ろうとしていたドラゴン達の足元で、大地は大きく揺れ動いた。地面には亀裂が走り、3体のドラゴンが足を挟まれ動けなくなる。
「それで我らを封じたつもりか!」
3体のドラゴンは上空のエストめがけて火球を放つ。それぞれが少しずつ効果範囲をずらし、上空の広範囲を炎で埋め尽くした。
「わああぁっ! あつっあつっ!」
必死で空を駆けるが服やホワホワの髪の端が焦げてしまう。
「さあ、かくれんぼの時間よ。見つけることができるかしら?」
魔力で空間に干渉し、はじめの姿は周囲に溶ける。だから、攻撃は必ず死角からのクリティカルヒットとなる。地面から脱出したばかりのドラゴンは至近距離からの榴弾砲で背中から腹まで貫通し、血と臓物を撒き散らして地面に倒れた。
「負傷兵を中へ。無傷の兵は外周を固めよ!」
再びドラゴンの中から声が上がり、劣勢を立て直そうと動きだす。
「あの敵です! 狙います」
エストは一番大きくてわずかに装備が立派そうに見えるドラゴンを見つけた。その敵めがけて力を使う。
「大地に眠る聖霊よ。今ふたたび目覚め……給え!」
狙った指揮官らしき敵と、その左右にいた敵をも巻き込み、揺れた大地が地割れを起こしドラゴンの半身を飲みこんだ。すぐに火球を放ってエストへと迎撃するが、すぐには地割れから脱出できない。
「くっ、これでは戦況がわからない」
「そんな心配は必要ないわよ」
指揮官らしきドラゴンの耳元ではじめの声がした。
「何?」
振り返るとそこには誰もいない。ただ、ドラゴンの腹には大きな穴が開いていた。はじめの榴弾砲がすでに放たれ、ドラゴンを穿っていたのだ。
「ばか、な」
しかし、もう反撃する力はない。
「再び、答えよ、雷帝」
ヴァイスハイトが魔導書を開く。その苛烈な攻撃を間近で見たドラゴンが必死に動く。
「守れ!」
「させるものか」
瀕死の仲間を守ろうとするのか、ともに地面にめりこんでいたドラゴンが自分にではなく、指揮官へと盾をかざす。
「放たれよ、青き雷の槍を! ここに!」
天空からプラズマを放つ一条の光が降臨した。悲鳴すらなく、ドラゴン達は黒焦げとなって地面に倒れた。
「こっちも頑張ったヨ」
ふよふよとフライトドローンに乗り直したラウムが近寄ってきた。護衛役の聖ティラミア騎士団は全滅していた。
「あとは偽の花嫁に馬車に乗ってもらって……逃げた護衛役は戻ってくるカナ?」
ラウムは首を傾げる。
「戻ってきませんね。探しに行くわけにもいかないし、まずは花嫁を交代しましょうか」
小さな声でエストがつぶやく。
「ジャンさん、これからはあなたがイザベラさんを守るのよ」
「お、おぅ!」
はじめが言うとジャンは少し照れたようにイザベラの肩を引き寄せた。
「次はもっと良いドレスを仕立てさせて下さい。イザベラさん。彼とお揃いの衣装を作りますよ」
ヴァイスハイトが小声でいうと、イザベラはびっくりするくらい目を見開いて赤くなった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【パラドクス通信】がLV2になった!
【浮遊】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【アヴォイド】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
ラウム・マルファス
誰も行かないならボク馬車の中にいるヨ
囮として何か演技が必要ってわけでもなさそうだしネ
護衛もいなくなっちゃったし、馬に使い魔使役してドラゴンの所まで連れて行ってもらおウ
流石に無人はおかしいから、汎用ドローンを人型に換装して御者台においておク
ハリボテだけどネ
場所をパラドクス通信で共有しつつ、ドラゴンの居場所前で一旦停止
巻き込んだら可哀そうだから馬はイザベラたちの所に戻って貰ウ
後はみんなが来るまで時間稼ぎだネ
光学迷彩で隠れて、御者ドローンのスピーカーから声を出そウ
『ヤッホー、ラウムだヨ。遊びに来たヨ。よろしくネ』
意識の逸れた一瞬で馬車から出てフライトドローン召喚
大量に浮かべて撹乱するヨ
早く来テー
シャーリー・ラフォルス
★アドリブ、連携歓迎
ここは、わたくしがお嫁姿にならねれば!
え、とドレスに~はっ!
独身の乙女が着たら、結婚出来ないなんてジンクス知らないでございます
「とりあえず、この足や腕が見えぬ様に、と(ごそごそ」
顔はヴェールで隠して、髪型もそれらしいのに変えましょう
(まるで、身分差の恋愛……ぐへへ)
ドローン一体借りて隠し撮りしたいでございますね!
誕生日プレゼントは麗しきメイド長の写真集に決まりでございますね!
(ご主人様達の枕に忍ばせなければなりませんわ)
とりあえず、営業スマイル&無言を貫くのでございます
偽者とバレて、敵に囲まれたらパラドクスで素早く、蹴散らしつつ離脱するのでござきいます!
あぁ、鐘の音が(幻聴
「誰も行かないならボク馬車の中にいるヨ」
本来の花嫁であるイザベラはジャンと一緒に安全になるまで身を隠してもらっている。本来の護衛、というか護送役である聖ティラミア騎士団は全滅しているし、人間の護衛は逃げてしまった。
「囮として何か演技が必要ってわけでもなさそうだしネ」
ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)はいつも通りの、のんびりとした口調で言う。ようするに、馬車が砦にまで到着すればいいのだ。護衛もいなければ御者もいないけれど、汎用ドローンを換装すれば恰好だけはどうにかなる。
「ハリボテだけどネ」
そこまでラウムが覚悟を決めた後、シャーリー・ラフォルス(軍人メイド長・g05277)がラウムの前で身をかがめ、頭を地面に着くすれすれまで低く下げた。
「エ?」
その姿勢にラウムはびっくりして目を見開く。
「未婚の身ではありますが、どうか婚礼の衣装をまとい、偽りの花嫁となる大役をエーレンフリート家のメイド長、シャーリーにお譲りくださいませ」
顔をあげたシャーリーの顔は期待と不安と憧憬と希望に満ち溢れている。
「いいのカナ? 大切な花嫁姿は本当の時にとっとくんじゃないノ?」
「独身の乙女が着たら、結婚出来ないなんてジンクス知らないでございます」
「じゃ、いいヨ」
強い強い、強すぎるシャーリーの決意にラウムはあっさり引き下がった。
「ありがとうございます。この御恩は……」
「いいヨ、それより馬車で着替えてネ」
ラウムは馬車から出て、シャーリーが馬車に乗り込む。
「じゃあボクが御者になろうかナ。ちょうど人間の方が自然に見えるって思ってたところだったしネ」
本物の馬はジャンの方へと走らせ、花嫁行列に足りない人員をドローンで補充する。その頃、馬車の中ではシャーリーが悪戦苦闘を繰り広げていた。
「とりあえず、この足や腕が見えぬ様に、と。髪も整えて、その上からヴェールを留めて……」
ごそごそと外からは音だけが聞こえてくる。
「もう出発していいカナ?」
頃合いをみて、ラウムは声を掛ける。
「支度は完了しております。出来ればドローンをお借りしてわたくしの晴れ姿を撮影しておきたいぐらいでございます」
シャーリーはちょっと平常心ではないようだった。
「……しゅっぱつだヨ」
ポッカポッカとドローンの馬の蹄が響き、そして馬車は何のトラブルもなく砦へと到着した。ほぼ無人の砦には見張りもなく、案内人もいない。そのまま敷地の中へと進み、砦の前庭で停止した。空からは馬車の目前にドラゴンが舞い降りる。赤と白の奇怪な姿をした異質なドラゴンだ。
「遠路はるばる、ようこそ、我が花嫁よぉ~」
ゲラゲラと笑いながらドラゴンが言う。
「ヤッホー、ラウムだヨ。遊びに来たヨ。よろしくネ」
御者台から降りたラウムは素早くドラゴンからは良く見えない側に回って馬車の扉を開ける。
「ラウムだとぉ?」
その隙に馬車から婚礼の白いヴェールとドレス姿のシャーリーが降り立った。
「お待たせいたしました。わたくしが竜の花嫁です」
シャーリーが上品に礼をするのと、ラウムが召喚したフライトドローンが一斉に浮かび上がるのは、ほぼ同時だった。
「に、偽物じゃないですかぁああああ!」
ドラゴンの絶叫が砦に響いた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【使い魔使役】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV2になった!
白水・蛍
アドリブ/連携○
使える効果は全て使用。
ドラゴンの絶叫と共に扉を蹴破って飛び込みます。
「ご無事ですか、姫!」
そしてそのままパラドクス発動します。
――火と氷、それを操る者の名を。火蜥蜴(サラマンダー)!
スパーライトと一緒に魔力の花弁の弾丸を相手にぶつけます。
相手の弾丸にもぶつけます。
相手にぶつかればその身を燃やし、凍らせ、その動きを止めます。
そして、動きを止めたら、そこに一撃、大きな弾丸をぶつけてその身を砕いて見せましょう!
●相剋
ドラゴンはドラゴンなりに、理想の花嫁を脳裏に描き、期待して待機していたのだろうか。清楚かつ自己犠牲を厭わぬ清廉なる心根と哀愁を道化卿と呼ばれるドラゴン、ダゴネットは愛していた。にもかかわらず、にもかかわらずだ。馬車から降りてきたのか涙にくれる乙女ではなく、生気と情熱、そしてなんだかよくわからない高揚感でノリノリの花嫁だった。人間の基準ではとても美しい喜びに溢れた花嫁であったが、それはダゴネットの嗜好ではなかった。
「どこだ! 可哀想で儚く脆い、朝露の様な人間の女は! 私の花嫁は!」
ダゴネットの魂の叫びと共に砦に飛び込んでくる人影があった。
「ご無事ですか、姫!」
白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)はくるりと一回転して体制を立て直すと、すぐにパラドクスを発動する。――火と氷、それを操る者の名は、火蜥蜴(サラマンダー)!
「我が音に応えて来たれ。これ即ち応じて追尾せん魔力の砲撃! 氷火の華の咲くが如く凍り付け!燃えあがれ!」
蛍の放つ音には魔力が加わり、それが散って舞い飛ぶ花びらのように千々に分かれる。それは乱流の中どこへともわからず飛ぶ。そして吹雪の様に全ての花の弾丸をダゴネットへと吹き付けた。
「ゲェええ!」
悠長に偽の花嫁を嘆いていたダゴネットは予想していなかった強襲と、その威力に下卑た悲鳴をあげる。しかし、頑強なドラゴンは目に残忍な光を宿らせ蛍を見た。
「此奴も好みの花嫁とは違う招かれざる客人だ。ならば、これにて幕引きでございまァす!」
砦の天空から降る巨大な光弾が地上スレスレで分裂して、光の雨となって降り注ぎ爆発する。馬車は大破し地面もボコボコになる。
「全弾かわす、とは参りませんでしたか。ですが……」
ダゴネットの放った光弾から繰り出される爆発は、しなやかに動き続ける蛍の足に無数の火傷を負わせた。しかし、真っ赤になった足でも蛍の動きは止まらない。逆に先程の花のような攻撃を受けたダゴネットの方が動きは鈍い。
成功🔵🔵🔴
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
桐生・巧
アドリブ連携歓迎
使える効果2はすべて使用
乱入失礼!横槍上等!
今度のリア充は何やら爆破が得意と見たであります!
しかし爆破であればこちらも負けられないのであります!
そして爆破されるのは貴様の方であります!
いざ覚悟!リア充は死ねぇぇぇぇぇい!
設置された光弾を魔改造エアガンの【弾幕】で撃ち落としつつ、フライトドローンで呼び出したドローンの上を乗り継いだり浮遊で移動したりして敵を【攪乱】するであります!
そして隙を突き敵へ【突撃】し、渾身の「リア充爆散キック」で敵を【爆破】するであります!
リア充は爆発しろぉぉぉぉぉ!
蛍の攻撃で動きが鈍くなったダゴネットへと桐生・巧(リア充スレイヤー・g04803)が肉薄した。この砦に巣食うドラゴンは爆破が得意だとドラゴンの攻撃を見てわかった。いや、もしかしたら爆破が好きなのかもしれない。爆破が好きで、好きで、たまらないのかもしれない。
「わかるのであります!」
爆破は美しい。爆破に至るまでの過程も美しい。爆発しているその現象も、四散してゆく様も美しい。だが、これを理解しているのは自分の方だという自負が巧にはある。これは負けられない戦いなのだ、と、思う。そして……。
「そして爆破されるのは貴様の方であります! いざ覚悟! リア充は死ねぇぇぇぇぇい!」
「よくわかりませんが、その全てを否定しまぁぁああすゥ!」
ダゴネットが身構える。その場にいた誰にも、ダゴネットだけではなく同じパラドクストレインに乗ってこの時間に来たディアボロス達にも理解されないだろうが、それでもいい。巧は我が道がイバラの道であることは知っている。
「リア充は爆発しろぉぉぉぉぉ!」
天高く飛び上がる巧をダゴネットのドラゴンにしては細めの尾が追尾する。しかし、まだ動きに精彩がない。
「甘いのであります!」
巧はダゴネットの尾に軽く着地し、さらに高く跳躍した。そして砦を照らす太陽を逆光にシルエットの端をきらりと輝かせ、ダゴネットの背中へ強烈な蹴りを喰らわせた。
「タネも仕掛けもございませェーん!」
ダゴネットは空中に仕掛けた光弾で接近した巧に応戦する。
「想定内であります!」
魔改造したエアガンの弾幕で光を潰してゆく。
「がっ!」
その中には透明の攻撃もあり、背中や左肩に被弾してしまう。
「まだ、まだ『リア充爆散キック』は使えるのであります。クロノヴェーダは爆発しろぉぉぉぉぉ!」
再び、巧が空高く舞う。
成功🔵🔵🔴
効果1【落下耐性】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
ラウム・マルファス
カラス型ドローンに早業で爆薬搭載。ボクも爆破は得意だヨ。光学迷彩使って隠れつつ、敵味方の動きを観察し隙をついてドローンを突撃させよウ。
「花嫁衣装着て自分のもとに来た人を、いきなり偽物呼ばわりはどうかと思うヨ」
挑発して注意をこちらに引き付け撹乱するヨ。隠れてるところから急に出てくるとビックリするよネ。
降ってくる光球はフライトドローンを傘にして可能な限り防ぐヨ。隙間を抜けてきたのはイバラの冠を飛ばして迎撃、それでも防げないのはナノマシンを盾にして少しでも威力を弱めよウ。
エスト・リンフィールド
やーい、騙された
お前らにこれ以上……くれてやるものはない
さあ、奪われるものの苦しみを……味わわせてやる
お前の、命でね
まずは、歌唱を活かし【勝利の凱歌】を乗せた歌で、城内に居る一般人の使用人達に、この場から逃げるよう後押し
もし、望まず従わされてる人が居て、人質にされたり攻撃の巻き添えになったらいけないから
待避が済んだら、伝承知識を活かした伝承目録でドラゴンを攻撃
花嫁を拐う悪いドラゴンは、正義の騎士に倒されてハッピーエンドになって、みんな笑顔になるんだ
お前の手品なんかじゃあ、誰も笑顔にできやしない!
そうだね
そろそろ幕引きだね
そう……お前の命と、竜の花嫁という……ふざけた道化芝居の、幕引きだ!
シャーリー・ラフォルス
ご主人様(g00112)とぐふふ……
★アドリブ、連携歓迎
★残留効果フル活用
「まぁ!淑女が来たのになんて言い方でしょうか!」
花嫁には間違いないのに否定された事に怒るのでございます
「これほどに麗しい花嫁は滅多にいないでこざいます!花嫁(メイド)修業もしており、子供の頃は神童と呼ばれた程の才女でございますのよ!」
【時間稼ぎ】しつつ他の方の動きに合わせて【臨機応変】に動きましょう
「ほれほれ、こんな花嫁を見たことはございませんでしょう?」
わたくしが花嫁だと主張します!
攻撃は
【地形の利用】しつつパラドクスのイヌ達で受け止める
榴弾砲で【制圧射撃】しつつ追い詰めます
「未来の旦那様に捧ぐ砲♥️撃」
投げキッス♥️
ヴァイスハイト・エーレンフリート
シャーリー(g00112)??
★アドリブ連携歓迎
★残留効果フル使用
何故かいるメイド長を2度見
(黙っていれば……美しい淑女なのですが)
嘆息
神童じゃなくて野性的でしょ?
花嫁修業なんかせずに、貴女は体を鍛えたり訓練ばかりでしたよね!?
鍛えられた体は誰が見ても、違うとしか言わないですよね!?
【暗殺】の要領で隠れつつ、シャーリーにツッコミ入れる
(光……ならば、こちらも光の精霊で対向車です)
【魔術知識】で【高速詠唱】をしてパラドクスを使います
【光使い】で呼び出した精霊に光弾を弾き返して、より道化師の様に踊って貰いましょう
剣を【投擲】し【残像】で惑わしつつ【貫通撃】で貫きます
さぁ、約束を果たしに行きましょう
内方・はじめ
これはまた……目がチカチカしそうなカラーリングねえ
まあ、大きくて目立つ方が、的としてはやりやすいけど
【飛翔】し空中戦、弾幕、誘導弾、残像を活かし、天井のシャンデリアや燭台、天幕等の天井の障害物を盾にしたり、間を飛び回り敵を撹乱
隙をみて、背後等から報復の魔弾を叩き込む
敵の反撃は、一撃離脱、残像、風使いを活かし、残像を囮にし距離をとったり、風使いで敵の攻撃の爆風を、敵の方に飛ばし目晦まし等しつつ、回避を試みる
その格好じゃあ、花婿って言うより……披露宴の賑やかしの芸人みたいよ
白黒のモノトーンなら、まだ花婿らしいけど
さあ、惨劇の犠牲者達の無念、恐怖、怨嗟をその身で味わいなさい
事が済んだら再入れ替わり
●爆破には爆破で
「ボクも爆破は得意だヨ」
素早くカラス型ドローンに爆薬を搭載させたラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)はニッコリと笑ってダゴネットに言う。あいにくダゴネットは巧との爆破対決に忙しくてラウムの方には視線もよこさない。
「先に向かってていいヨ」
ラウムはカラス型ドローン達を先に大きく迂回させてダゴネットへと向かうよう指示すると、一生懸命大きく息を吸い、それから大声を出した。
「花嫁衣装着て自分のもとに来た人を、いきなり偽物呼ばわりはどうかと思うヨ」
それは今もまだ可憐な花嫁衣装を着ているシャーリー・ラフォルス(軍人メイド長・g05277)を応援する貴重なご意見だった。
「まぁ! その通りです! 淑女が来たのになんて言い方でしょうか!」
イザベラの身代わりになったシャーリーはラウムの言葉を聞いて、我が意を得たとばかりに声を張る。
「これほどに麗しい花嫁は滅多にいないでこざいます! 花嫁(メイド)修業もしており、子供の頃は神童と呼ばれた程の才女でございますのよ!」
簡単な経歴も織り込みつつ、深く怒っていることをさりげなくアピールする。
「え?」
シャーリーが身命を賭して仕える主、ヴァイスハイト・エーレンフリート(死を恐れぬ魔術師・g00112)は1度だけでは納得できず、もう一度シャーリーを見た。確かにシャーリーは美しい容姿をしている。ただし黙っていれば……の注釈がつく。子供の頃は神童と呼ばれるよりは野生的と称されていたし、花嫁修行が肉体的な鍛錬ならばこの国の淑女は皆、最前線で武器を持って防衛任務にあたれることだろう。
「色々、違うとしか言えないですよね!?」
事態が許すのならば、シャーリーの側に駆け寄り、思いっきり面と向かってツッコミを入れたいところだが、今はドラゴンとの戦闘中であり、ヴァイスハイトは気配を絶って移動中だ。
(「この戦いが終わったら……」)
声に出して言ったら死亡フラグになってしまいそうで、頭の中だけでセリフを思い浮かべ、ヴァイスハイトはダゴネットの背後に回り込む。
「やーい、騙された。お前らにこれ以上……くれてやるものはない」
エスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)はわざとダゴネットが怒る様にと言葉を選ぶ。もちろん、これは策によるものだが、100%策略かと言われたらそうではない。エルフ達は長い年月、そうとは知らずにフローラリアに搾取され続けてきた。だが、ドラゴンとてエルフなど敵の養分ぐらいにしか思っていない。敵を利するぐらいならエルフを殺すことに躊躇はない。だから、エルフ達は奪われ続けてきた。
「さあ、今度こそ、奪われるものの苦しみを……味わわせてやる。お前の、命でね」
エストは歌う。
「なんですかぁああ? ただの歌なんて歌っても、痛くも痒くもないですよぉおおおお?」
エストの歌に気づいたけれど、その意味を理解しないダゴネットはわざと小馬鹿にしたような、大袈裟なジェスチャーをする。大きく広げて手のひらを上にした、その右手を漆黒の砲弾が撃ち抜いた。
「ぎゃああ!」
右手を抱えて転げ回るダゴネットを漆黒の砲弾を放った内方・はじめ(望郷の反逆者・g00276)が見下ろしていた。
「これはまた……目がチカチカしそうなカラーリングねえ。まあ、大きくて目立つ方が、的としてはやりやすいけど」
その言葉通り、地上ではなく浮遊した状態から放ったはじめの攻撃はダゴネットの背後から狙ったにもかかわらず、綺麗に右手を吹き飛ばしている。
「さァさァ、お立ち合い! 上手くでき……」
ジャグリングする光はダゴネットの手から溢れ落ち、はじめへの反撃とはならない。
「出来るわけねーだろ、痛てぇええんだからヨォおおお!」
道化らしかったダゴネットの口調が崩れる。
「さァ、行っておいデ」
ラウムの言葉がトリガーとなったのか、次々とカラス型のドローン達があらぬ方向からダゴネットへと急降下を敢行する。
「なんだ?」
はじめが思った『目がチカチカしそうなカラーリング』のダゴネットにスレスレまで接近すると、爆弾を投下し離脱する。
「ゲェ、ゲェ!」
これでもかと思うほど連続で爆弾が投下さえ、爆発が起こる。ダゴネットが吐きそうな動きをして悶え苦しむ。他にはもう何も出来ず、反撃の挙動もない。
「あれ? 反撃ないノ?」
フライトドローンを防空頭巾の様にして身構えていたラウムは、ちらっと顔を上げてダゴネットを見る。
「辛そうだネ」
「ほれほれ、こんな花嫁を見たことはございませんでしょう?」
どこか他人事めいたラウムのセリフと、未だに花嫁推しのシャーリーの言葉は殺伐したはずの戦場がのほほんとした新宿島のお茶の間か、正統な英国のアフタヌーンティーをいただく社交の場に変わってしまいそうになる。しかし……。
「さぁ、アナタを地獄へと誘いましょう。餓えた狗は、どんな獲物でも喰らうのでございます」
シャーリーの言葉に喚ばれた『バーゲスト』たちがダゴネットへと襲いかかった。全てを喰らい尽くす狗達のアギトがドラゴンに牙を立てる。
「これにて幕引きでございまァす!」
狗達を振り解きながら、ダゴネットが巨大な光弾を落下させ、分裂した光がシャーリーへと集約する。
(光……ならば、こちらも光の精霊で対向するまでです)
シャーリーを信じているから、ヴァイスハイトは救援には行かない。ダゴネットの死角から攻撃を行う。
「逃がしはしません。さぁ、精霊達よ、その力を思う存分に使って下さい」
魔力で編み上げられた強力な結界にダゴネットを一時的に封じ込め、光の精霊をそこに放つ。
「テメェ! ゆるさねぇぞぉ!」
光の精霊に焼かれたダゴネットが口汚くヴァイスハイトを罵り、再び巨大な光を振り下ろす。しかし、連発したからか発動に不備があったのか、光の弾丸はヴァイスハイトを損なわない。
「花嫁を拐う悪いドラゴンは、正義の騎士に倒されてハッピーエンドになって、みんな笑顔になるんだ。お前の手品なんかじゃあ、誰も笑顔にできやしない!」
「ふざけるな。おい、使用人ども!」
ダゴネットの荒い言葉に反応する者は誰もいない。すでに砦には1人の使用人も残っていはいなかった。エストの歌に励まされ、全員が砦の外へと退避している。だから、どんなに戦闘が激化しても、巻き込まれる人はいない。
「おい。嘘だろ。おい!」
何度も使用人を呼ぶダゴネットをエストは憐憫の目で見つめる。
「そうだね。そろそろ幕引きだね。これは……遠い、遠い時代のお話。そして、その奇跡は今……繰り返される!」
遠い遠い昔から一族に代々伝わる伝承、物語の中で生きる英雄の英霊が具現化される。弱きを助け強大な敵へと英雄は伝説の剣を構えて振り下ろした。痛烈な一撃はダゴネットの胸に深く強く刺しこまれる。
「これにて幕引きでござい……!」
「そう……お前の命と、竜の花嫁という……ふざけた道化芝居の、幕引きだ!」
ダゴネットの光弾はもはや降る気配はない。
「その格好じゃあ、花婿って言うより……披露宴の賑やかしの芸人みたいよ」
はじめが冷たく言っても、もうダゴネットは軽口を言う余裕がない。
「さあ、惨劇の犠牲者達の無念、恐怖、怨嗟をその身で味わいなさい。喰らい……滅ぼせ!」
この砦で今まで行われてきた惨劇の犠牲者達、その記憶が漆黒の砲弾となってダゴネットの頭部を貫通した。脳漿か何かを撒き散らしながらダゴネットが地面にに倒れる。
「ゴッ、ゴフッ」
傷口を侵食されながらもダゴネットはまだ生きていた。乱反射する光の弾が幾重にもバウンドしてはじめへと襲いかかり、打ち据える。
「くっ、しぶといわね。流石にドラゴン?」
はじめは回避しながらダゴネットから遠ざかるしかない。
「もういいヨ」
再びラウムのカラスたちが爆薬を運び、そして華々しい爆発の中でダゴネットは倒れていった。
その後、ディアボロス達と入れ違いにイザベラとジャンはこの砦にやってきた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】がLV2になった!
【書物解読】LV1が発生!
【ハウスキーパー】LV2が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【ダブル】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV4になった!
【反撃アップ】LV1が発生!