世界樹に挑む――第二層と緑の番猫(作者 のずみりん)
#幻想竜域キングアーサー
#世界樹ダンジョン攻略戦(第二層)
#世界樹
#妖精郷
#フローラリア
#薔薇の戦士スカアハ
#炎のベディヴィア卿
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●薔薇の戦士の戦い
薔薇の戦士の三叉の槍が群がる竜を切り裂いていく。
翼を裂き、手足を切り飛ばし、地へと叩き落す。
「どうした? 自慢の軍団もずいぶんと手応えがなくなってきたぞ」
三叉の槍をぐるりと回し、フローラリアの戦士は着地する。
彼女の攻撃は全てが必殺。その切先はあらゆる防御を貫き、ひとたび刺されば死の呪いはドラゴンさえも死に至らしめていく。
「貴様が動けば、ベディヴィア卿。彼らもそう無駄死ににはせずすんだものを」
「いかに名だたる『薔薇の戦士』スカアハと言えど、思い上がるなよ」
一見して圧倒的に優勢。しかし投げつける茨の槍は世界樹外周に迫るドラゴン陣営、指揮を執る円卓の騎士『炎のベディヴィア卿』を捕える事は出来ない。
「猶予を与えるな、続けてかかれ!」
投げつけられた槍は配下のドラゴンを突き刺し、反撃の吐息がスカアハを襲う。倒しきれねば反撃を受けるが、クロノヴェーダたちの『逆説連鎖戦』の理ゆえ。
「っ……新手か」
「究竟竜ラモラック。我が軍団の層、その不滅の生命に勝るとも劣らぬぞ」
不覚を取ったスカアハだが、新たに並んだドラゴンの叫びへ即座に一撃。
世界樹より授かった再生の奇跡は、スカアハを粘り強く支えていた。
「ならば、試すまで」
スカアハは勝ち気に微笑むが、わかっている。
遠くない将来、戦いは炎のベディヴィア卿の勝利で終わるであろう。だがそれまで、世界樹を守るため、一等でも多くのドラゴンを切り殺す決意だった。
「安心するがいい、薔薇の戦士。傷つき倒れた時は我が直々に食らってくれる」
笑うようなベディヴィア卿の方向が世界樹外周に響く。
引き裂けた深緑の装甲は避け、口元に血を滲ませたスカアハは、それを唾液と共に吐き捨てた。
●三つ巴の世界樹
「フローラリアの拠点『世界樹』とドラゴンの戦いは激しくなるばかりだ」
シャーロット・アルシェピス(人間の撃竜騎士・g03299)は、集まったディアボロスたちに幻想竜域キングアーサーで繰り広げられる、クロノヴェーダ同士の激しい戦いをそう伝えた。
「みんなが頑張ってくれたおかげで、世界樹の第一層はボクたちディアボロスが支配できた。それに対し、ドラゴンたちはなりふり構わず世界樹の第二層を外側から攻めてきたんだ」
それは相当に強引で犠牲を問わぬ力押しだとシャーロットはいう。
何せ外から巨大な世界樹に殴り込み、大穴を開けて占拠してしまおうというのだ。
これに対しフローラリアは第二層を守護する『『薔薇の戦士』スカアハ』が迎撃。押し寄せた『炎のベディヴィア卿』の軍勢を独り食い止めている。
「スカアハはフローラリアでも屈指の実力を持つ女戦士だ。みんなの中にも世界樹の第一層で、彼女の教え子と対峙した人がいるんじゃない? あの強敵たちの師匠が彼女で、今は世界樹の加護を受けて複数のアヴァタール級ドラゴンを食い止めている」
この強敵に対し、かの円卓の騎士は数を頼んだ飽和攻撃で、世界樹の加護による再生の暇も与えず倒そうと目論んできた。
スカアハは常に複数のドラゴンを相手取って戦っている状態だが、世界樹の加護による再生を上回る勢いで攻撃は続けられている。彼女が力尽き戦死するまで、時間はあまりないだろう。
「けどスカアハが倒されるまでには、まだ時間がある。みんなにはドラゴンとスカアハが戦っている隙をつき、迷宮の第二層を内部から攻略……制圧してほしいんだ」
ディアボロスたちは世界樹ダンジョンの第一層を占拠しており、第二層から挑戦が可能だ。
「今回、みんなに攻略を進めてもらう第二層の区画は棘の園だよ。鋭い棘を生やした薔薇とか、刃のような葉を茂らせた柳とか……とにかく直接みんなを傷つけるような強靭な植物が繁茂して、体力を奪おうとしている。天井付近までうっそうと針葉樹が生い茂っているし、床は茨に隠されて天然の落とし穴がいくつもある。空を飛ぶも、地面を良くもかなり危険だから注意して」
ここで幸いなのはフローラリア側の抵抗は少ないことだ。
本来なら階層防衛に加わるはずのジェネラル級のスカアハが外周部でのドラゴンと戦うため、恐らくその辺りの統制が取れてないのだろう。
「攻略期限はあまり余裕がない。けど、こちらからスカアハに加勢してやる事で時間を稼ぐこともできるはずだ。第二階層を攻略すれば彼女は再生の加護を失うけど、十分に時間を稼げればスカアハはドラゴンの手を逃れて第三階層に撤退するだろうね」
あるいは自分たちが第二層を占拠する事でドラゴンを遠ざける……と、考える事もできる。
「外部で戦闘中のスカアハに代わり、第二層の攻略区画は『怪猫キャスパリーグ』という猫に似た獣タイプのフローラリアが番人……番犬、いや番猫かな? ヴァインビーストを指揮して待ち構えているみたいだ」
『怪猫キャスパリーグ』と呼ばれたクロノヴェーダは意思疎通から困難そうだが、人間の指示は理解できているらしい。うまく説得できれば、第二層は戦わずやり過ごすこともできるだろう。
「ただ……説得するにしてもある程度は戦って力を見せる必要はあるし、ただ言うだけでは信じてもらえないかもしてない。うまくメリットを話し、気をひきつけるのが大事だろうね」
今回、ドラゴン陣営も炎のペディヴィア卿、究竟竜ラモラックという、2体のジェネラル級を送り込んできているらしい。
この情報によれば、状況は極めて厳しい事になるだろう。
「ドラゴンもフローラリアも最終的にはボクたちの敵だ。けど、スカアハを援護して決戦の時を遠ざけてやるのは、ドラゴンとの戦いを考えると有用かもしれない」
ここからは競争だ。複雑そうな顔をぱっと切り替え、シャーロットは仲間たちを激励する。
「制圧と迎撃、頼んだよ」
●遠吠えが獣たちを呼ぶ
「ニァアアアアォォォウゥゥゥゥ!」
唸り声をあげる緑の獣に、ヴァインビーストが足早にかけていく。
植物が形どった巨大猫、怪猫キャスパリーグはヴァインビーストたちにとって正にボス猫であった。
『急げ』
『外はドラゴン、内はディアボロスが迫っている』
人間の耳では理解困難な遠吠えだが、意味は大体そんなところだろう。
有毒植物の牙爪を研ぎ澄まし、番猫は主の帰りを信じ、戦いへと備えていた。
リプレイ
ナイナ・ヴィラネスティズム
WIZ
同選択肢の味方との連携可
「あなたが倒されるのはこちらとしても都合が悪いのですから今だけは手を貸して差し上げますの。有り難く思いなさい」
孤軍奮闘するスカアハに上から目線で釘を刺しつつ、魔銃の銃撃とマジックグレネードの投擲爆破で相対するドラゴン達を牽制、スカアハに向けられた攻撃をこちらへ誘導するように立ち回り(時間稼ぎ、臨機応変)
アイスクラフトの氷壁をスカアハの周りに盾代わりとして配置
ドラゴンが寄らばその攻撃を見切りつつヴィラネスト・ダイアモンドブレイクで反撃
ドラゴンへの攻撃時にもスカアハから攻撃される可能性ももちろん視野に入れておき常時警戒、その場合は回避重視で反撃は行わない
白石・明日香
更に時間を稼がないとね!
枝から落ちないように精神集中して残像で攪乱しながらダッシュで接近してドラゴンの群れの只中に突入!
ブレスとか爪攻撃の挙動を見切って躱しスカアハを攻撃している個体で近い奴から片端に早業呪詛、捨て身の一撃で解体してあげる!
後はスカアハを庇いながら可能な限り踏みとどまって抗戦を継続しようか!
貴方に少しでも粘ってもらわないとワタシ達も困るからね。利害の一致と言う奴
エスト・リンフィールド
フローラリアもドラゴンも……仲良く潰しあえばいい
だけど、早々にスカアハにダウンされるのは困る
だから……スカアハを狙うドラゴン目掛け、トラップヴァインで応戦
時間稼ぎを活かして、スカアハが立て直すくらいの時間を確保
ついでに、【土壌改良】の力で世界樹に栄養が行くようにしたら……傷んだ世界樹の治りも良くならないかな?
世界樹の傷んだ場所から、ドラゴンの手勢が侵入してもいけないしね
なぜ助けるか問われたら……お前を倒すのは、私達ディアボロスだから
ドラゴン如きに、お前の首を奪われたら……犠牲になった仲間達が浮かばれない
わかったら……精々、ここで死なないようにしといて
とでも応えておこう
頃合い見て世界樹攻略に移行
コンスタンツ・トパロウル
薔薇の戦士とは勇ましいねえ
いつもなら、「お疲れさん」とでも言って立ち去りたいところだけど
こちらも都合があってね
介入させて貰おう
罠使い、地形の利用、爆破を活かし、【トラップ生成】でスカアハの周囲に煙幕の罠を仕掛け、ドラゴンが襲来したタイミングで起爆
ドラゴンが煙幕で混乱した隙を衝き、鎖の罠でドラゴンの翼や手足を拘束し、竜滅戦技を叩き込む
あたしは、どっちかって言うと……こいつら(ドラゴン)専門なんでね
何者かだって?
通りすがりの生き残りさ
あたしのお手伝いはここまでだ
あとは……ひとりで出来るだろ?
じゃあ、こっちは本命の世界樹に行かせてもらうとしようか
部下のみんなに言っておきなよ
ここからは……競争だとね
●戦士スカアハ
「押されてる、みたいだね」
「ふん……今なら仇を討てるやもしれんな?」
複雑な心中を吐露したエスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)の皮肉を『『薔薇の戦士』スカアハ』は否定せず、血のにじむ唇を釣り上げた。
当然だろう。エストたちエルフはフローラリアにとって同族を増やすための家畜であり、ディアボロスに至っては対ドラゴンの弾薬扱いまでもあった。
「お前を倒すのは、私達ディアボロスだから。ドラゴン如きに、お前の首を奪われたら……犠牲になった仲間達が浮かばれない」
フローラリアもドラゴンも仲良く潰しあえばいいと思う。
だが今ここで彼女に倒れられては、次に戦うのはディアボロスだ。世界樹攻略中の今は、そうなられては困ると、エストは内心に歯噛みする。
「ご苦労な事だが、今は助かると言っておこう」
「わかったら……精々、ここで死なないようにしといて」
視線も合わせず背中合わせに構える二人。同時、迫るドラゴンに白煙が炸裂し、世界樹外周は冷気と煙幕に包み込まれていた。
「お疲れさん。あたしは、どっちかって言うとこいつら専門なんでね。勝手に介入させて貰う」
「今だけは手を貸して差し上げますの。有り難く思いなさい!」
金色の髪をなびかせ、二人の騎士が世界樹を駆ける。
ナイナ・ヴィラネスティズム(凱閃令嬢・g00383)の声に冷気がシンと鋭さを増す。
「氷魔巨成! 漂う冷気から作りし金剛石の芸術!」
ナイナの声に妖精の魔力が唱和する。
コンスタンツ・トパロウル(生き残りの撃竜騎士・g05674)の『トラップ生成』が遮った視界の向こう、ドラゴンよりも上空から振り下ろされたのは『ヴィラネスト・ダイアモンドブレイク』の氷塊だった。
「グごぁッ!?」
「使えるものは何だって利用するだけさ。さあ、滅びを受け入れるがいいっ!」
撃墜されていくドラゴンを蹴り飛んでの『竜滅戦技』。スカアハが手傷を与えたドラゴンを、コンスタンツの『聖天竜の牙』が両断する。
「ふン……」
「あら、思ったより元気そうですこと。けれど、まだあなたの手番ではなくてよ?」
対抗意識を燃やしたのか、槍を手に身を起こすスカアハを目線で牽制し、ナイナは『魔銃【SR45型・エレンスゲ】』を掃射。
「オガッ!」
「ブギィ!?」
豆鉄砲何するものぞと押し寄せる竜たちだが、すかさずの『アイスクラフト』が世界樹の枝々を結び、蜘蛛の巣のように壁を作る。
屈強なドラゴンたちは激突したくらいでくたばる事もないが、突進する勢いは殺され、隙ができる。
「今のうち、更に時間を稼がないとね!」
そこにすかさず撃ち込まれる『光の槍』は第三の騎士、白石・明日香(体亡き者・g02194)の『早業』。
投げつけては本来の使い方ではないが、今は数と時間が肝心。
「世界樹を【土壌改良】したら傷んだ世界樹の治りも良くならないかな?」
「試したことはないが、エルフらしい考え方だ」
『トラップヴァイン』を蚊帳のように張り巡らせたエストの提案に、スカアハは褒めるとも嘲笑うともなく淡々と言った。
実際、巨大な世界樹に一人の『土壌改良』がどれほど効いたかはわからないが、薔薇の戦士を伝う体液はすっかりと乾き、四肢は力強く立ち上がった。
「往くのかしら?」
「礼は言わん。だが最期の時はまた伸びたようだ」
お前たちの目論見通りだと槍を担いだスカアハを、明日香は勿論と見送る。
「貴方に少しでも粘ってもらわないとワタシ達も困るからね。利害の一致と言う奴」
「つまり今ここだけというわけだ」
ドラゴンを撃退し、戻った時はどうなるか……それはお互いわかっている。
だが差し迫る竜の顎に飲まれる未来よりかは、幾分か前向きな楽しみには違いない。
「部下のみんなに言っておきなよ、ここからは競争だとね!」
去り際、後は一人で十分だろうと呼びかけるコンスタンツたちへ、薔薇の戦士は振り向かず、しかし空いた逆手を二度振った。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【アイスクラフト】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
宇佐美・アリス
地獄にこんな所なかったかしら?
毒まみれも嫌だけど、これはまた・・・
他の人とも協力して進みましょう
引っかかりそうな髪は編み上げて、[オーラ操作]で身体の周囲にオーラを張り巡らせれば少しはマシかしら?
【コウモリ変身】を使ってコウモリになって進むわね
コウモリの通れない幅の場所は人に戻って、【浮遊】で浮きつつ【アイスクラフト】で足場を作ったり、必要なら剣で切り開いて、シールドで防ぎながら進むわ
軽い切り傷は【活性治癒】でなんとかなるにしても、慎重に進むわよ
敵はコウモリになって、上空に退避してやり過ごすわ
後から来る人のために、時折、口紅とかでで目印を残しておきましょう
エスト・リンフィールド
針葉樹のトゲや、茨のトゲでトゲトゲっぽいね
じゃあ……【浮遊】の力で浮いて、地面のトゲを避けられるようにしよう
そうすれば、ある程度は頭上や周囲のトゲトゲ回避に専念できるかも
植物知識、情報収集を活かし、周囲の植物の特徴や分布状況を確認し、なるべく危険な植物が少ない場所や、あまり繁ってない場所を探して移動
途中で敵の気配がしたり、姿が見えたら、茂みの陰に隠れたりしてやり過ごそう
周囲の様子なんかも確認して、応戦や説得に活かせそうな要素があれば、覚えておいて攻略に活かしたいね
もし、長引く戦いで世界樹内が荒れてるならば、【土壌改良】とかで環境を改善して、長期戦に耐えられるようにしたり……できるかもしれないし
●針山の迷宮の秘密
「毒まみれも嫌だけど、これはまた……」
「針葉樹のトゲや、茨のトゲでトゲトゲ……っぽいね」
まるで地獄の針山のよう、という宇佐美・アリス(兎に非ず・g01948)のたとえはエスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)には今一つ伝わらなかったようだが、凄まじい光景の場所らしいとはよくわかる。
上も、下も、前後左右も棘だらけ。少しでも動けば肌も服も引っかけてくる緑の刃。
どうやらかのフローラリアたちの本拠地は、薔薇の戦士に再生の守護を与えても衰えることなく壮健そのもの、ディアボロスたちの癒しを頼るまでもないらしい。
「それはそれで問題なんだけど……あっ、痛っ」
「これは迂闊に動けないわ……エストも髪、編んだ方がいいわね。ちょっと待ってて」
ひっかかけたエストの髪を丁寧にほどいたアリスは、彼女の髪を丁寧に編み上げ、『アイスクラフト』の防壁と『浮遊』で足場を守る。
後はこれで出口まで進めればいいのだが。
「あ、ちょっと待って。何か来る」
「ここで屈むの……?」
残念だが慎重な歩みはすぐにも遮られた。
エストの警告に思い切って身をかがめるアリスの前、身を裂く棘の向こうを歩いていくのは、そろそろ見慣れてきたフローラリアの尖兵『ヴァインビースト』の姿。
警戒していたこともあって身を隠すのは十分間に合ったが、問題はヴァインビーストたちが通り過ぎた後だ。
「うー……軽い切り傷は『活性治癒』がなんとかしてくれるからいいけど」
「私の服もダメ……すごい硬さだよ、これ」
顔をしかめたアリスの『バニーアーマー』のタイツには伝線が走り、堅牢な自然素材を用いたエストの『エルフィンクロス』すら、そこかしこにほつれが見える。
今すぐ防具として性能を損ねるほどでないにしろ、これはなかなかに問題だ。
「ヴァインビーストは平気そうなのになぁ」
「……それじゃない?」
だが衣服を整えるアリスのボヤキに、エストの知識はある一つの事に気付いた。
「アリス、小さくなれない?」
「小さくって……あぁ」
一度は首を傾げたアリスだが、すぐに気付いた。
彼女が指す腰の高さに目をやれば、そこはぽっかりと茨の空隙が生まれている。
「ここの番人も獣型だそうだし……きっと背の高い、人間やドラゴンを引っかける罠なんだ」
「そういう事ね。なら私たちもなっちゃいましょう」
頷くアリスは『Last kiss』でつつ、と目印の線を引くと、桃色の風が吹き上がらせる。
哨戒のヴァインビーストたちが驚き振り向くが、時すでに遅し。
『コウモリ変身』した二人は高さに注意しつつ、低空飛行で迷宮を飛び抜けていった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【コウモリ変身】LV1が発生!
【浮遊】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV2になった!
宇佐美・アリス
何度も戦ってるのに、地味に強くなってるのが、イヤらしいのよね
青い『Last kiss』で氷の力を強くしてっと(口紅を塗ると合わせてバニースーツも青系に)
他の人との連携を心がけて動くわね
【浮遊】や【飛翔】を使用して、足元の草に極力触れないようにするわ
【トラップ生成】でスネアを仕掛けて躓かせたり、【アイスクラフト】で3面を囲ったりして、動きを阻害
その隙を狙って、煌めく吐息で、冷たいオーラポイものを吹きかけるわ
普通は、スネアなんて子供のいたずらで大したことないけど、ここって転んだらかなり痛そうね?
攻撃は【飛翔】で上空に退避したり、[斬撃]で払ったり、[オーラ操作]で強化したシールドで防いでいくわ
コンスタンツ・トパロウル
さて……番犬のみなさんのお出ましかな
じゃあ、【泥濘の地】に敵を引き込んで、こちらは【浮遊】し応戦だ
こうも障害物があるならば、こちらの動きも制約されるけど……それは敵も同じ
撹乱、罠使い、地形の利用、爆破を活かし、【トラップ生成】で敵の進行ルート上に、落とし穴や括り罠を仕掛け足止めしたり、敵の足元に煙幕弾を仕掛け、煙幕と飛散する泥濘で敵の視覚を奪い、隙を逃さず泥濘戦陣で敵を攻撃
もちろん、煙幕弾は仲間を巻き込まない位置・状況で起爆
敵の毒ガスは、【アイスクラフト】で壁代わりに氷を生成しやり過ごす
警戒し向かって来ない奴には、挑発を活かし、「大人しいワンちゃんはお座りでもしてな」等と挑発し、罠に誘い込もう
エスト・リンフィールド
トゲトゲの森での戦闘……トゲトゲの袋小路とかに追い込まれたら、大変だね
【使い魔使役】で、小鳥さんや蝶々さんを使役して、周囲の様子を教えて貰おう
隠れてる敵が居たら、教えてくれると嬉しいな
使い魔からの情報や、植物知識、情報収集、看破で得た情報は仲間にも伝達
仲間と自身が、敵に追い込まれないように
合間に【アイスクラフト】で氷をバリケード代わりに生成し、その陰から高速詠唱、氷雪使いを活かしたアイスエイジブリザードで敵を攻撃
こいつらは……かつての仲間の、なれの果て
だからこそ……こんな惨めな姿から、早く解放しないと
敵の攻撃は、氷塊や周囲のトゲトゲを盾にして回避
鞭みたいな攻撃なら、トゲに絡んでやりづらいだろ?
●茨の園の成れの果て
空気を裂く蔦の鞭へ、エスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)たちが素早く反応できたのは、『使い魔使役』した鳥たちのお陰だった。
「チュイッ!」
「来たね」
警告のさえずりに高度を落とすや『コウモリ変身』を解除。
宇佐美・アリス(兎に非ず・g01948)は茨のトンネルに身を投げる。
肌と繊維を裂くイヤな感触が再び伝わるが、パラドクスが使えないままクロノヴェーダとは戦えない。
「何度も戦ってるのに、地味に強くなってるのがイヤらしいのよね……!」
「学習……成長、してるのかもね。こいつらは……かつての仲間の、なれの果てだから」
犬あるいは猫ともつかぬ緑の蔦の怪物。ヴァインビーストと呼ばれるフローラリアの尖兵がエルフたちの変異した成れの果てだとエストは知っている。
「こんな惨めな姿から、早く解放しないと」
そして二度と戻れぬともわかっているから、『翠玉の杖』を突き付けるのだ。
「まずはこちらの足場を固めましょうか。トラップは?」
「仕込みは上々。追い込んでくよ!」
戦端を走るエストの『アイスエイジブリザード』に、『Last kiss(青)』を唇に這わせたアリスが青く染まる『バニーアーマー』も眩しく、『煌く吐息』を吹き付ける。
そのわきをコンスタンツ・トパロウル(生き残りの撃竜騎士・g05674)は目くばせを一つして飛んだ。
「と……鞭みたいな攻撃、トゲに絡んでやりづらいだろ?」
「けど大した力だ、長くはもたないね……!」
反撃の蔦縛りに対して展開した『アイスクラフト』の氷壁が絡めとられる。
力任せに攻寄るヴァインビーストにエストの氷壁はすぐにもひび割れ砕かれていくが、既にコンスタンツの仕込みは終わっていた。
「大人しいワンちゃんはお座りでもしてな!」
「ィビィィィー!」
挑発と共に炸裂する煙幕。
白く染まる視界に反撃の『デッドリーハウリング』の毒煙をばらまき、ヴァインビーストたちが飛び出してくるが、そこは既に『トラップ生成』の地雷原。
突破した瞬間、ずぶりと足元が沈む。
「ギッ!?」
「ようこそ、地獄の一丁目……いや、あんたたちに言うことじゃなかったな」
生み出した『泥濘戦陣』へと『風哭きの槍』を突き込みながら、コンスタンツはふとエストの顔に声をかけ直す。
人の顔色をうかがうタチではないが、その元となったものに思いを馳せぬほど彼女も非情なわけではない。
「わるいが垂らす蜘蛛の糸は持ち合わせがない……さっさと逝って、また帰ってきな」
静かな眉間への一撃。力尽きたヴァインビーストが沈んでいくのをコンスタンツは見送り、次の脅威へと向きを変えた。
「ガスはもう大丈夫ね……つっ、もうまたっ」
その上空、吹き下ろすアリスの吐息が冷たく輝き、泥沼ごとにヴァインビーストたちを凍り付かせていく。
出口であろう通路は上も下も茨だらけ、ほつれる衣装は心情抜きでもさっさと切り抜けたいところだ。
「さっさと抜けさせてもらうわよ」
「グギッ」
横薙ぎに走る『フェアリーソード+3』、アリスの剣は茨ごとにヴァインビーストの一体をまた切り伏せていった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【飛翔】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV4になった!
白石・明日香
さっさとやりますか!
効果2は全て使用。
【飛翔】で低空飛行しながら残像で撹乱してダッシュで接近!泥濘の地】で足止めし【アイスクラフト】で氷の壁を作りブレスを躱して間合いに入り込んで範囲攻撃できる様に武器改造して早業、呪詛、捨て身の一撃でまとめて解体してあげる!
モリオン・スモーキー
アドリブ/連携歓迎
……とりあえずこの目の前の敵を倒せばいいですね。
植物、獣。即ち、寒さや熱さに弱いでしょうか。
敵に<ダッシュ>で近づきます。それまでの攻撃は<残像>で回避、もしくは宝石の魔力を使用し、魔力障壁で攻撃を防ぎます。
近づいたら【氷の宝石・氷刃雪華】使用。
氷の魔力の斬撃を飛ばし、相手を凍らせてその動きを鈍らせましょう。
鈍らせたところに攻撃を叩きこんでその体、切断いたしましょう。
「聞いたよりだいぶ数がいますが……とりあえずこの目の前の敵を倒せばいいですね」
「スカアハが頑張ってる間に撤退が進んだのかしらね。ともあれ、さっさとやりますか!」
モリオン・スモーキー(存在奪われし魔術発明家・g05961)が素早く『魔法再現型試作ガジェットタイプブレード』を振るって茨を落とすなか、白石・明日香(体亡き者・g02194)は言うが早いがに突っ込んでいく。
「残留効果は十分効いてる、それじゃあ……つぅっ」
突き立てていた哀悼の刃を引き抜くや、『血の盟約』のままに『哀悼の刃』の刃を大きくる古い、そして引き切る。
鎌という武器は元々収穫用の農具から派生したというが、低く構えるフローラリア……ヴァインビーストたちを茨もろともに刈り取っていくにはうってつけだ。
「ギイィィィィ!」
切り裂かれたヴァインビーストたちは筆舌しがたい悲鳴をあげて毒ガスを吹き出すが、その足を止めた所を氷の刃が貫いていく。
「氷の宝石、解放。我が魔力は刃となる。軌跡は凍り、華となりて散る」
モリオンの逆手で『魔法再現型試作ガジェットタイプダガー』の柄で『青黄玉』が輝き、顕現するは『氷の宝石・氷刃雪華』。
直撃したヴァインビーストが凍結のちに粉砕。さらに華の如く飛び散った霧氷は足元の泥濘を巻き込み、凍り付かせて動きを封じる。
未だに残る茨と縛りの蔦が手足に細かな傷を生んでいくが、『魔法再現型試作ガジェットタイプスーツ』の防御なら、まだ綻び以上の影響はないはずだ。
「植物、獣。即ち、寒さや熱さに弱い……予想通りですね」
「そのまま、まとめて解体してあげる!」
モリオンが鈍らせたヴァインビーストの群れに明日香は『哀悼の刃』の柄を抜いた。
一見して杖にも見える、禍々しさと神々しさが同居した魔鎌だが、それは二つをあわせたがゆえ。
「ギュキュイッ!?」
鎌の握りを切り離した弧を描く『哀悼の刃』はそのまま、逆刃の魔晶剣へと変化。
驚きと恐れの声をあげるヴァインビーストを舞い踊るように切り裂いて地へと返していく。
「よしっ、これで最後?」
「えぇ、ですが……」
動くもの全てが倒れ、なお油断なく残心を構える明日香。
モリオンもまた警戒を緩めぬまま、その戦場の先へ現れた影へと指を向けた。
「怪猫、だっけ。見事なまでに猫ね」
「えぇ、ですが……確かにフローラリアです」
モリオンは怪訝そうな明日香に頷きつつ『怪猫キャスパリーグ』と、それを構成する緑を指さした。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【断末魔動画】LV1が発生!
【寒冷適応】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV3になった!
【命中アップ】LV1が発生!
宇佐美・アリス
キャスパリーグってアーサー王のお話の猫よね?
ケルト系のスカアハの配下ってちょっと違和感あるけど、意外と大雑把?
兎も角、倒さなくて良いなら出来るだけ友好的に進めたいけど、動物なら弱肉強食、ちょっと分かってもらいましょうか?
狡いかもしれないけど、皆と連携を心掛けるわ
地面は【トラップ生成】でスネアや落とし穴、【泥濘の地】等で足場を悪くして、こっちは【飛翔】で空中から攻撃ね
[オーラ操作]で武具と身体を覆って、気功法で思いっきり[斬撃]
多少の毒は[呪詛][毒使い]に【活性治癒】で軽減させながらヒット&ウェイ
私達は先に進みたいだけ、御主人様に会いたければここを通してね
ナイナ・ヴィラネスティズム
WIZ
同選択肢の味方との連携可
ネメシスモード発動!
使える効果2は全て使用
「まあ!随分と大きくて可愛らしい猫さんですこと・・・この瞬間でしかお目にかかれないのが残念ですの」
戦場内にマタタビの煙を発するガス地雷をトラップ生成
敵の伸ばす蔦は妖精刀で切り払いつつ対応
緊急回避を要する場合はマジックグレネードを投擲して蔦に絡まれる前に爆破
攻め時にはガス地雷を作動させて隙を作り、クリティカルロックオンで敵の弱点を両目と定めて妖精刀で刺突、戦意喪失による戦闘不能を狙う
殺すかどうかは多数決による味方の判断を優先する
スカアハをお待ちなのでしょう?
見逃すのは今だけですからそのままゴロついていなさいな
エスト・リンフィールド
まるで……植木を剪定して作った猫みたい
でも、こいつもフローラリア
【使い魔使役】で、使役してた鳥さんに周辺の地形等を教えてもらったら、戦いに巻き込まないように使い魔使役解除
正直、フローラリアは早く倒して……化け物にされた仲間の魂を、解放したい
だけど、ドラゴンの力を削げるなら……この化け猫を見逃してもいい
まずは、【勝利の凱歌】で仲間を鼓舞し、レジェンダリースマイトで敵を攻撃
敵の攻撃は、【アイスクラフト】で氷塊を生成し蔓を防ぐ
合間に、大声、時間稼ぎを活かし、
「お前の飼い主は、外でドラゴンと手下に襲われて、孤軍奮闘してる
飼い主の力になるため、退くのなら追わない
退かないなら……ここで犬死にだ」
等と声掛け
白石・明日香
残留効果2はすべて使用。
ヌこだぁぁ!・・さて、ケリをつけましょうか!
【飛翔】で低空飛行しながら残像で攪乱しダッシュで接近。精神集中して敵の噛みつきを見切って躱し、躱しきれないのは【活性治癒】で回復しながら強引に間合いに入り込み早業呪詛、捨て身の一撃で纏めて解体してあげる!
こちらの実力は分かったでしょ?で、此処からは相談なんだけどこの場は引いてくれない?スカアハはワタシ達が手伝ってあげたからしばらくは持ちこたえるでしょう。けど単独の貴方はこのままでは無駄死にしてしまう。それならいっそ上層まで引いて生き延びた貴方の主と共に私達とドラゴンを纏めて迎え撃った方が勝ち目が上がると思うのだけどどう?
コンスタンツ・トパロウル
こいつもフローラリアかい?
みたところ、素早そうな相手だし……【泥濘の地】に誘い込み、機動力を削いでやろう
更に、撹乱、罠使い、地形の利用、爆破を活かし、【トラップ生成】で敵の進行ルート上に、落とし穴や括り罠を仕掛け足止めしたり、敵の足元に煙幕弾を仕掛け、煙幕と飛散する泥濘で敵の視覚を奪い、隙を逃さず泥濘戦陣で敵を攻撃
もちろん、煙幕弾は仲間を巻き込まない位置・状況で起爆
敵が焦ってるようなら、
「お前はもう、あたし達の術中だ
やりあうなら、全力で相手するが……お前の助勢があれば、スカアハの力でドラゴンを追い返せるかもね
どうする?
退くなら……ここでは討たない
廃業した身だが、騎士として約束しよう」
と声掛け
アーデルハイト・ベールケ
(サポート)
『航空支援が必要なの? なら、お姉さんに任せなさい!』
サイボーグの航空突撃兵×オラトリオ『エーリカ』
口調はステシ参照。
主従共に飄々とした性格で好奇心旺盛。興味のある物事には躊躇なく首を突っ込む。
戦闘においては専ら空中戦を好み、【飛翔】の残留効果がある場合は積極的に活用。エーリカとのロッテを活かした連携戦術を行う。
基本的には一撃離脱を重視し、射撃・白兵戦共にそつなくこなす。
情報収集、仲間への航空支援、保護対象を確保しての離脱など、戦闘以外の行動も柔軟に実行する。
また地上戦が出来ない訳ではないのでその辺はご自由に。
公序良俗に反する行いはNG。全年齢ゲームとしての良識を持った取り扱いを求める。
●その猫、獰猛にして凶悪につき
「フローラリア、かい?」
「状況、そして体組織から見ても間違いありません」
のそりと身を揺らす緑の獣に、コンスタンツ・トパロウル(生き残りの撃竜騎士・g05674)はオウム返しに呟き、モリオンは再びに断言する。
「ヴウウウウゥゥゥ……」
「お、怒らせちゃったかな?」
これもまたエルフの同報から生まれたフローラリアなのだろうか? 強烈な違和感と怖れを覚えながらも、エスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)はソードハープを抜き放つ。
見れば見るほど、『怪猫』とはよくいった者だ。その姿は猫そのもので、まるで植木を剪定して作ったアートのよう。しかしてその全長は人より巨大で、見るほど感覚が狂いそうになる。
「キャスパリーグってアーサー王のお話の猫よね? ケルト系のフローラリアでスカアハの配下ってちょっと違和感あるけど……」
「でもどちらも同じウェールズの神話……ドラゴンたちはフローラリアからダンジョンや様々な力を奪っているし、円卓の騎士の歴史も元はフローラリアたちの物だったのかもね?」
トラップを生成する宇佐美・アリス(兎に非ず・g01948)の呟きに考察する白石・明日香(体亡き者・g02194)。
そして攻撃は突然に始まった。
「シャァッ!」
「散れっ!」
『泥濘戦陣』を一飛びする緑の影、コンスタンツの警告と同時、深緑の牙の『噛みつき』は『レザープロテクター』が下の柔肌までざっくりと食い込んでいた。
「ぐ、ぐぅっ!? なに……コイツ!」
慌ててアリスが『気功法』と共に『フェアリーソード+3』でこじり剥がしにかかるが、まるで動かない。
「航空支援が必要そうね? お姉さんに任せなさい!」
ならばと上空からアーデルハイト・ベールケ(サイボーグの航空突撃兵・g03315)がオラトリオ『エーリカ』と共に『MG08重機関銃』を振るって『単葉戦闘機の懲罰』を仕掛けるが即座に、離脱。
茨の向こうの脅威を理解したとばかり、その身を隠し、隙を伺う姿。
「ちょ、ちょっと本当にあのキャスパリーグなの!? たしかアーサー王が死にかけたって……あぐぅっ!?」
気付いた時、今度はアリスが『バニーアーマー』の柔らかい脇腹を食い破られる番だった。
『気功法』で抑え込みつつ、『フェアリーソード+3』を突き立ててこじり剥がそうとするアリスだが、キャスパリーグはまるで動かない。その膂力たるや、伝説において食らいついた鎧盾を決して離さなかった逸話に恥じぬ執念深さだ!
「フウウゥゥゥゥゥ!」
「痛い痛いいたたた!? はーなーしーてー!」
かの怪猫はアーサー王の伝説において、王の鎖鎧を三百と裂き、その毛皮はエクスカリバーすら貫けなかったといい、この名を簒奪したフローラリアも同様だ。。
切ろうが、殴ろうが、まるで動じない。さすがにアヴァタール級に伝説の怪猫ほどの力はないにしろ『活性治癒』がなければアリスの体はどうなっていた事か。
低空飛行で飛びついた明日香はアリスが抑える隙に『血の盟約』に濡らした『彼岸・此岸』を振るって引き剥がそうとするが、背筋に寒い物を感じていた。
「まあ! 随分と大きくて可愛らしい猫さんですこと」
流れを変えたのは、ともすれば能天気に響いたナイナ・ヴィラネスティズム(凱閃令嬢・g00383)の声。
「でも……この瞬間でしかお目にかかれないのが残念ですの」
「あぁ。そうねっ!」
すらりと『妖精刀【カノー】』を引き抜いたナイナが突き込むと同時、目くばせにアリスは力を振り絞る。
ほんの少しでいい、彼女が『トラップ生成』したところまで体をずらす事ができれば……。
「ふにゃぁ!? にゃぉぁ……」
成功した。
カチリと音がなり、吹き出す煙は微かに甘く香ばしい匂い。
「これ……まさかマタタビ?!」
「えぇ。アーサー王も搦め手は試されていませんでしたでしょう?」
その手があったか、と言う顔のコンスタンツに片目を瞑ると、容赦ない『クリティカルロックオン』の刺突がキャスパリーグを貫く。
「ブギイィ!?」
「よし……いまっ」
さすがの怪猫もたまらじと飛び退くが、そこに待ち構えていたのはエストのソードハープだ。
「この辺なら、引っかかるものもない……化け物にされたエルフたちの魂、解放させる」
歌うような調べに乗った『レジェンダリースマイト』がキャスパリーグの尾を尻ごとに切り裂くが、油断禁物。
「ンビャャアァァァァ!」
「な、なにこれ
……!?」
だが残った片目を剥き出しに叫ぶ声に、両断した緑が呼応する。
エストを丸呑みにせんと迫るが、落ち葉がうねり、尻尾を構成する蔦が絡まってくる。『アイスクラフト』で作成した防壁が勢いをわずかなりと削いでくれたが、それでも危機一髪には変わりない。
「う、うわ……っ」
「お前はそのまま、地獄に沈んでろ!」
飲み込まれる。迫る緑に身をよじったエストを助けたのは、『泥濘戦陣』から身を起こしたコンスタンツの『風哭きの槍』の渾身の一刺し。
「よし、今なら……!」
業物の槍をぐいぐいこじれば葉が落ちる。
穂先や先の刃に引き裂かれた肉体の葉は枯葉のように黒ずみ、もう動く気配はない。
「わかりにくかったけど、ちゃんとダメージは入ってたってことかな……ねぇ、まだやるの?」
今ならあるいは話せるかもしれない。
私達は先に進みたいだけ、そう言い含めたアリスにキャスパリーグはすぐにも反応しない。
「お前の飼い主は、外でドラゴンと手下に襲われて、孤軍奮闘してる。飼い主の力になるため、退くのなら追わない……退かないなら猫だろうが何だろうが、ここで犬死にだ」
複雑な胸中を隠し、エストは呼びかける。
マタタビの残り香によろめきながらも、かのクロノヴェーダの目線は狩人のそれだ。
「スカアハはワタシ達が手伝ってあげたからしばらくは持ちこたえるはず。だから、この場は引いてくれない?」
「お前はもう、あたし達の術中だ。やりあうなら、全力で相手するが……お前の助勢があれば、スカアハの力でドラゴンを追い返せるかもね?」
だが明日香、そしてコンスタンツの再三の呼びかけ、手を伸ばそうとすると変化は起きた。
「あっ」
なでてみようかと伸ばしたアリスの手は宙を切った。
「あら。嫌われてしまいましたのね」
「ど、どうかな……猫は、なれあいを嫌うから」
どこか残念そうなアリスとナイナに、エストはそう言ってキャスパリーグの消えた地面を改めて見る。
そこにいた怪猫の姿は今や茨の園の彼方、新たな階層の樹上にあった。
「勝った、といっていいのやら……手の早い事ね」
「私たちは第二層を抜けましたもの。どうあれそれは勝利でなくて?」
ツインテールを引っかきぼやくコンスタンツ。
だがそれをやんわりと励ますナイナに彼女は、そうかもねとふんわり笑い返す。
一目散に飛び去るキャスパリーグの姿は、もう二人の視界を消えていた。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【エイティーン】LV1が発生!
【修復加速】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
【断末魔動画】がLV2になった!
【泥濘の地】がLV2になった!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV6になった!
【ガードアップ】がLV2になった!
【ドレイン】がLV4になった!
【ダメージアップ】LV1が発生!