緋色の策謀(作者 黒塚婁)
#吸血ロマノフ王朝
#北欧集落への襲撃
#怪僧ラスプーチン
#北欧
⊕
●緋色の悲劇
炎が上がる。
資源に乏しい村の、備蓄倉庫が燃えている。
家畜も、飼料も、村人達の嘆きを前に、よく燃えた。
されど、彼らに抗う術はない――ヴァンパイアノーブル達の暴虐に逆らえるはずがない。
「恨むならディアボロスを恨め!」
「はは、早くしないと全滅だぞ!」
凶暴な牙を剥き出しに、男達が笑い合う。
涙を静かに流す村人達を一瞥した一人が「燃やすのにも飽きたな」と呟く。
そうだな、と同意し、もう一人が近くにいた少女の首根を掴んで、宙づりにする。
「お、お姉ちゃん!」
悲痛な悲鳴が上がったが、家族に抑えられている――跳びかかっても勝ち目は無い。
憎しみと絶望に顔を歪めた人々を、どうでも良さそうに眺めながら、ブルートファング同士、話を続ける。
「どうせディアボロスは来やしないし、そろそろ誰か甚振るか?」
「ああ、ゆっくり、じっくり……殺さなければ良いだろう」
作戦はちゃんと守らないとなぁと、赤い瞳で、それらは残酷に笑い合った。
●いざ救援へ
「東ポーランド追撃戦、お見事でした!」
興奮気味に、夜嵐・真赭(閃耀・g07223)がディアボロス達を賞賛すると、こほんと咳払いする。
「機械化ドイツ帝国奪還戦に続き、多くの配下を失ったラスプーチンは、『皆さんを誘き寄せるために』北欧の集落を襲おうとしているようなのです」
真赭は眉間を人差し指でぐりぐりと押しながら、続ける。
クロノヴェーダ達は、ディアボロスを挑発しながら集落を破壊し、人々を傷つける。そして最後には皆殺し。
典型的な悪党である。
「まんまと策に乗るのは悔しいですけど、罪のない人々が苦しめられると知っていて、見過ごせませんからね。皆さんには、クロノヴェーダを追い払っていただきたいのです」
さて、此所まではいいですね、と彼女はディアボロス達をじっくり見回す。
「ということで、超特急で向かっていますけれど……恐らく、皆さんが駆けつけた時には、襲撃は始まっていると思います」
ゆえに疾く駆けつけ、村を襲うトループス級を蹴散らさねばならぬ。
ただ、と真赭は声を低くする。
「今回の場合は、先に指揮官を倒してしまうと、トループス級達は一般人の方々を殺しながら逃げてしまうようなのです」
ですから、真っ先にトループス級を全滅させることになるでしょうね、と真赭は言う。
「それから、その指揮官は、皆さんと交渉したいらしく……しかし、交渉が決裂した場合は、撤退行動を優先するようなのです」
ストレートな作戦としては、そのまま追いかけ討伐すべし、であるが。
――そのまま見逃す、という選択肢もあるということだ。
「クロノヴェーダが綺麗に撤退するなら、それはそれで任務完了といえます。でも、それが良いことなのか……残虐な振る舞いをするクロノヴェーダですし」
そこは現地に赴く皆さんにお任せします、と彼女は真剣な眼差しで告げる。
いずれにせよ、首尾良くクロノヴェーダを追い払った後は。
「破壊されてしまった村の再建を手伝ってあげてください」
きっと無残に家を焼かれたり、備蓄を破壊されたりしているでしょうから。
「彼らが生き抜けるよう、援助の程、よろしくお願いします」
言って、ぺこりと頭を下げた。
「ラスプーチンは、ディアボロスの立場を『何処かの断片の王の手下』だと勘違いしているようなのです――交渉によって、あわよくば、こちらへ鞍替えさせようと考えているようです」
勿論、とんでもない誤解ですけど、と真赭は困ったように笑い、
「指揮官はそのための使いのようです。そうはいっても、ラスプーチン自身ではありませんから、意味のある質疑応答などは不可能でしょう。ただ、敢えて敵を逃がすのでしたら、メッセージは託せるかもしれません」
それが吉と出るか凶と出るか。
そもそも、起こった暴虐を前に、それを許せるのか――。
「皆さんの選択にお任せします。けれど、彼らが人の命をなんとも思っていないのは、選んだ作戦から明らかですから!」
鉄拳制裁は間違いなく正義ですよ、と真赭は言い放ち、説明を終えるのだった。
●緋色の悲劇
炎が上がる。
資源に乏しい村の、備蓄倉庫が燃えている。
家畜も、飼料も、村人達の嘆きを前に――実によく燃えた。
日頃は白く染まる村が、今は赤々と染め上げられ、家屋から逃げ出した人々は茫然自失の有様だ。
強いショックから、一時的に失った感情を取り戻したとき、今度は強い恐怖に震えることしかできぬ。
村に火を点け、家屋を破壊して回っているのは、ヴァンパイアノーブルなのだ。
村人達が奴らの暴虐に逆らえるはずがない。
「恨むならディアボロスを恨め!」
「はは、早くしないと全滅だぞ!」
凶暴な牙を剥き出しに、男達が笑い合う。
涙を静かに流す村人達を一瞥した一人が「燃やすのにも飽きたな」と呟く。
そうだな、と同意したヴァンパイアノーブルは、近くにいた少女の首根をはっしと掴んで、宙づりにした。
「お、お姉ちゃん!」
妹らしきより幼い少女から悲痛な悲鳴が上がったが、家族が咄嗟に彼女を抑える――跳びかかっても勝ち目は無い。
無力さに唇を結ぶ、憎しみと絶望に顔を歪めた人々を、どうでも良さそうに眺めながら、ブルートファング同士、話を続ける。
「どうせディアボロスは来やしないし、そろそろ誰か甚振るか?」
「ああ、ゆっくり、じっくり……殺さなければ良いだろう」
作戦はちゃんと守らないとなぁと、赤い瞳で、それらは残酷に笑い合った。
リプレイ
秋津島・光希
※連携、アドリブOK
誘き寄せねえ…随分と舐めた真似してくれるじゃねえか
おう、乗ってやるよ
怒りが復讐者の力になるって
身を持ってわからせてやらねえとな
技能[戦闘知識、砲撃、誘導弾]
【飛翔】状態で接敵
速度を生かし一刻も早く現場へ
被害を少しでも減らさねえと
「お望み通り来てやったぞ!テメェらをブチのめしにな!」
空から声を掛け挑発
敵の注意を引きつけ
一般人から気を逸らさせるのが狙いだ
急降下して爆撃槌で殴り掛かる
…と見せかけ、急上昇
敵群の虚を衝き、パラドクス発動
隙を見せたヤツから
砲撃浴びせて消し飛ばしてやる!
敵の攻撃は可能な限り回避
当たっても深手は避けたいとこだ
復讐者がやられたら
一般人を不安にさせちまうからな
フルルズン・イスルーン
毎度思うけどキミ達やたら暇そうだよねぇ。
こっちは後の事まで考えないと行けないってのにさ!
交渉……? えー? あー、うん。
まずは命置いてけー!
交渉どころか、誘き寄せるつもりすら無いあの狼藉者は爆破だ、パック・ゴーレムくん!
んむ、まずは村人の安否確保と撃破を同時にしなきゃいけないね。
子ゴーレムくん量産!
命令1、村人の安全第一! ヨシ!
命令2、クロノヴェーダに群がって注意を引け! ヨシ!
命令3、村人から引き離した後に自爆装置発動! 爆破! ヨシ!
作業確認! ご安全に!
猫耳とヘルム付けると上手くいくらしいけどホントかな……。
おっと、ボクも動かなきゃ。
動ける人は離れてねー、危ないよー。
ノイン・クリーガー
[人物]
基本的にあまり私語をせず、淡々と作戦を遂行する兵士(連携、絡みなどは歓迎)
隠密行動、偵察などが得意な忍者タイプ。
[心境]
迫撃戦の時は多少は同情もしたが、俺がバカだった。
…こんな奴らは皆殺しだ。
[行動]
まず発煙弾をなげて煙幕を張り、村人の姿を隠す。
そして自身も煙に紛れ、完全視界で敵を捕捉しながらMk-45/Sによる【制圧射撃】を行う。
撃ったら【一撃離脱】で即座に移動して爪と牙を躱し、別の位置から再度攻撃を仕掛ける。
イロハ・アプリルシェルツ
【アドリブ&連携歓迎】
うーん、今度の伝令だけどドイツ帝国奪還戦で見掛けた面子ばかりだよね
正直な所、血の気が多いクロノヴェーダばかりだしラスプーチンは人選を間違えてると思うんだ
まぁ、やることは一緒だよね
獣の頭部で攻撃してくるなら相手の視線や風を切る音を感じとり攻撃の予兆を察知するよ
大切なのはフットワークを活用して相手の狙いを定めさせないこと
ボクシングスタイルで身体を半身にするのも被弾する面積を格段に減らせるよね
後は聖句を唱え、揺るがぬ信仰を【ヤコブの鉄拳】に顕現させたら
吸った生き血を全て吐かせるぐらいの力を籠めて
渾身のアッパーカットをお見舞いするよ
一応聞いとくけどキミ達にお祈りの時間は必要かな?
一角・實生
敵の狙い通りだとしても構わない
この状況を看過すれば俺も奴らも一緒になってしまう
交渉のことは後で考えよう、今は目の前の状況を打開しないと
グラナトゥムを空へ向かって撃つことで己の存在を敵側に知らしめながら移動して行こう
【パラドクス通信】で得た情報の交換・共有も忘れずに
住民を手にかけようとしている敵へは問答無用でパラドクスを発動
戦闘力が鈍った相手へこちらからも突撃するか銃撃して反撃の勢いを殺したい
自分より弱い者を虐げるのは楽しいかい?
どんな気持ちなのかその身で味わってみるといい
その後は放心して座り込んでいたり、家に縋ろうとする村人を安全な場所へ誘導しながら仲間の援護に向かおう
今は生きてこそだ、行こう
●鉄槌
雪原の風景の中――吐息が白く溶けていく。
「誘き寄せねえ……随分と舐めた真似してくれるじゃねえか」
口調に滲むは明確な怒り。秋津島・光希(Dragonfly・g01409)は鋭い目つきで、黒い煙を睨んだ。辺りには焦げた臭いが漂う。濃い血の臭いは、飼われていた犬の流したものか。襲撃者に挑んだ勇敢な番犬たちは、寒空に無残な死骸をさらしていた。
まんまと誘き寄せられる構図にはなるが、一角・實生(深潭鷲・g00995)は、重い溜息を吐いた。
「敵の狙い通りだとしても構わない――この状況を看過すれば俺も奴らも一緒になってしまう」
此所で、止めねば、と。意思を宿した翠の眼差しが、すっと細められた。
「交渉のことは後で考えよう、今は目の前の状況を打開しないと」
「おう、乗ってやるよ。怒りが復讐者の力になるって、身を持ってわからせてやらねえとな」
口の端を持ち上げ、光希が不敵に笑う。
交渉ね……、と少女はぽつりと呟く。
「正直な所、血の気が多いクロノヴェーダばかりだしラスプーチンは人選を間違えてると思うんだ」
イロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)は肩を竦めた。
光希の言葉のように――ディアボロスの本質を見誤っているがゆえに、クロノヴェーダの権威――解りやすい力を見せつけているのだろう。
「まぁ、やることは一緒だよね」
彼女の言葉に、ディアボロス達はそれぞれに頷き、光希は蜻蛉の翼を広げ、空へと躍る――。
實生は愛銃を天に向け、号砲を放つ。
まだやや距離はあるが、それでブルートファングどもが此方に気付けばいい。
その間に空を駆け抜けた光希が、其れ等の頭上をとり――眉間に皺寄せ、爆撃槌を手に一喝する。
「お望み通り来てやったぞ! テメェらをブチのめしにな!」
「……!」
ブルートファングは驚きに息を呑んだ。本当にディアボロスが来た――という事実に、心から驚いたようだ。
そんな反応は知ったことじゃねぇと。光希は急下降して攻め込む。大きく腕を捻り、槌を叩きつけんとする彼に、敵どもは目をぎらつかせ、身構えた。
ハッ、と彼の口元が歪んだ事を、其れ等は気付いただろうか――間合い寸前で急上昇した光希の腰の、二丁一対の重機関砲が冷ややかに見下ろしていた。
「消し飛ばしてやる!」
吼えるが刹那、轟音と、地を揺らす砲撃が敵を穿つ――。
「ぐッ!」
仲間の赤い飛沫を躱しながら、別のブルートファングが素早く横へと駆け抜けていく。
その進路に、ころりと掌大の球体が転がってきた。それは動きを止めるや、一気に煙を吐き出す。
「なんだ、煙……?」
「こんなものがどうした!」
一体のブルートファングが、発煙弾を蹴り飛ばす。視野を狭めるだけの煙を、其れ等は怖れぬ。だが、それは確かに、放ったものの目的を、果たした。
「迫撃戦の時は多少は同情もしたが、俺がバカだった――」
ガスマスクの下、ノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)の囁きは、誰にも届くまい。
「……こんな奴らは皆殺しだ」
腰撓めに構えたサブマシンガンが、静かに唸る。
煙幕の中、棒立ちの敵を、まとめ掃射する――ブルートファングの視点からすれば、突如と肉が爆ぜ、痛みに襲われる。
「クソッ!」
口汚く罵りながら、銃撃の方角からノイン目掛けて跳び込んで来た事は、素直に感心する。
(「だが、それがどうした」)
何のための煙幕か、ノインはさっと銃を下ろすと素早く身を隠す。爪が己の影を掻こうが、身を掻こうが、彼は声ひとつあげぬ。
何より、仲間が既に囲んでいる。
「毎度思うけどキミ達やたら暇そうだよねぇ。こっちは後の事まで考えないと行けないってのにさ! えー? あー、うん。まずは命置いてけー!」
進路に仁王立ちしたフルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)は、きりっとした表情で敵を睨む。
「交渉どころか、誘き寄せるつもりすら無いあの狼藉者は爆破だ、パック・ゴーレムくん!」
告げるや、フルルズンのすぐ傍に、大きなゴーレムがぬっと身を起こした。
その腹がぱかっと割れて、そのゴーレムを縮小したようなミニチュアゴーレムが次々と飛び出す――。
ゴーレム達へ、彼女は指さし、指示を送る。
「命令1、村人の安全第一! ヨシ!」
村人を庇うようにずらりと並び、
「命令2、クロノヴェーダに群がって注意を引け! ヨシ!」
ブルートファングを囲むように距離を詰めていく。
「命令3、村人から引き離した後に自爆装置発動! 爆破! ヨシ!」
最後に、フルルズンが敵を指さした時、断続的な爆発が続く。命令通り、ゴーレムが自爆を開始したらしい。
「作業確認! ご安全に! 猫耳とヘルム付けると上手くいくらしいけどホントかな……」
敵の悲鳴を背後に首を傾げた後、彼女はきょろきょろと周囲を見渡す。
ディアボロスが村人達を庇うように戦っている事で、今のところ犠牲は出ていない。だが、まだ充分安全な距離をとれているとは言えない。
「動ける人は離れてねー、危ないよー」
そう声を掛けたフルルズンに、
「くそ、舐めやがって!」
苛立ちを隠さず、ブルートファングは鮮血の如きオーラを獣の頭部に変えて放出する。
「つくづく……ノーブルと言いながら、高貴さの欠片も感じないよね」
力を放って無防備なそれの前に、イロハが踏み込んでくる。軽やかなフットワーク、深く沈んだ躰は加速の前触れ、長い銀髪躍らせ、敵の懐深くまで跳ぶ。
「聖なるかな。慈しみ深く力ある、三つにいまして一つなる、三位一体の神を礼拝します。」
拳を胸の前でコンパクトに構えた彼女は、聖句を唱えながら、敵の胸にすり寄るほどに迫り、拳を振り上げた――。
風をしゃっと斬る音と、骨を撃つ音。
下からの突き上げを腹に叩き込む。そこに哀れみも容赦も存在しない。
「一応聞いとくけどキミ達にお祈りの時間は必要かな?」
見上げる金の瞳は不敵に細められていた。
果たして怒濤と攻め込むディアボロス達の勢いに、数を減らしたブルートファングは戦く。
「ええい、頭を使えっ!」
「此奴らを盾にしろ」
逆転の可能性を求め、村人へと容赦の無い爪を伸ばそうとする。それはある種正しく、ある種、致命的なミスであると知っての蛮行かは、解らぬ。
ただ、遅きに失したのは間違いない。
既に敵の包囲を固めたディアボロスが見逃すはずもない――。
「溟い汀に漂うのは――ちからの残滓だ」
五感を研ぎ澄ませ、實生は何処かに存在する、思念を掬う――感情の残滓、怒り、苦しみ、嘆き……それらを呪詛に変え、彼は撃ち出す。
刹那、白色のいかづち状の光が、ブルートファングどもを縛りつける。
「ぐゥ、ガッ!」
瞬間的な痛みに目をかっと見開いたかと思うと、継続する痺れに膝を突く。
すぐには引かぬ痛みに悶える敵へ、侮蔑の眼差しを實生は向けて、問う。
「自分より弱い者を虐げるのは楽しいかい? どんな気持ちなのかその身で味わってみるといい」
動けぬブルートファングのこめかみを撃ち抜いたのは、ノインの無慈悲な弾丸だ。
元の形状をも残さず粉砕された仲間の姿に、憤怒の牙を剥いた瞬間、光希の打ち込んだ砲撃で爆ぜた。
フルルズンのゴーレムに半身を吹き飛ばされた一体は、絶対に逃れられぬ領域の中で、イロハに追いつかれて顎を粉砕された。鮮血のオーラは形を作っては空で掻き消え、碌にディアボロスに届かない。
まさしく怒りの猛攻――
ブルートファングの恐ろしさを目の当たりに、腰を抜かしたまま涙を流していた少女に、そっと近づいた實生は表情を和らげて、「きみ、」と声を掛ける。
務め、怯えさせぬように、優しく囁く。
「今は生きてこそだ、行こう」
虚脱していた少女は、ぎこちなく振り返って――ゆっくりと頷いた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
【建物復元】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
●慨嘆のエリーゼ
「――なんということだ」
慨嘆のエリーゼは、その光景を見て、そう呟いた。
(「ラスプーチン様のお考えは解らぬ……しかし、ディアボロスは来た」)
本当に彼らが駆けつけるかどうかすら、麾下と同じく、半信半疑であったエリーゼは、思案するように機械の頬に指を当てた。
――しかも、その戦い振りはどうだ。
縁もゆかりも無い村人を救うため、怒りを顕わに麾下を殺し尽くした。
(「巧くゆくはずがない……」)
なれど、彼女は命じられた。ディアボロスを傘下に収めるため、下れ、と告げねばならぬ。
「御意に……」
虚空に告げ、前に進む。彼女に、他に選択は無い。ゆえに、ディアボロス達へ向け、告げる。
「ディアボロスども、ラスプーチン様の麾下に下れ――」
これは勧告だ。彼女にとって、返答は不要。
残る任務はただひとつ――生還し、彼らの有り様を、伝えねばならぬ。
ノイン・クリーガー
[対話]
「下れとな?まぁ気持ちはわからんでもない。
こんな弱兵しかいないのではそう言いたくもなる。
あの生臭坊主も多少は賢い選択ができるようだ。条件次第ではこちらもやぶさかでない」
「しかしタダでとはいかん。
俺達の腕は安くないんだ。
それ相応に扱われないとなぁ。
…わかるよな?」
「詳しい話がしたければノルウェーにラスプーチン本人をよこせ。
そこが我らのディヴィジョンから最も近い」
「我が王には内密にする。
人数は最低限にしろ、目立つことはするなよ
一角・實生
彼女を見た瞬間、頭の中で何かがちらついたような……何だろう
同じ国の出だからか
欠けた記憶の中に似たような誰かがいたからか
――切り替えよう
これからは対話に専念だ
俺も基本他の断片の王に仕えている体を装うよ
その方が有利に事を運べそうだからね
淡々と喋っていく
非常に簡潔でわかりやすい言伝だが
俺達がそちらに下った場合の利点が全く分からない
逆に人のいのちを軽んじる先の行動
不信感を持つということ位分かるだろう
そんなにそちらの陣営は切羽詰まっているのかい?
素性も分からぬ、ただ要求だけを伝える相手に鞍替えする気はないよ
俺達を高く評価し必要としているなら、彼も言っている通りそれに見合うだけの行動で納得させてくれないか
●要求
ヴァンパイアノーブルどもを退けたディアボロス達へ、慨嘆のエリーゼは斯く告げた。
「ディアボロスども、ラスプーチン様の麾下に下れ――」
軍服に身を包み、ゾルダートと改造された機械の身体をもつ女は、声に感情を乗せぬ。なれど、内心を取り繕っているのは明らかだ。ディアボロスの怒りを目の当たりにしたのだから。
だが、そんな彼女を見るなり――、一角・實生(深潭鷲・g00995)の脳裏に、何かが過り――消えていった。
(「……何だ?」)
實生は、その正体を掴めず、密かに眉を潜めた。思い返そうにも、記憶の断片は散り散りで、先程のフラッシュバックは起こらなかった。
(「同じ国の出だからか……欠けた記憶の中に似たような誰かがいたからか――」)
何となく、印象の似た誰かを知っているような気がする。
しかし、今は。それに向き合っている状況では無い。目の前にいるのは、一介のアヴァタール級クロノヴェーダであり。自分はディアボロスだ。
(「――切り替えよう」)
ひとたび、翠瞳を瞑目し、彼はエリーゼを見つめる。
「下れとな?」
彼女の言葉に先に反応したのは、ノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)であった。寡黙に戦闘に徹していた時とは異なり、姿を見せ、肩を竦めた。
「――まぁ気持ちはわからんでもない。こんな弱兵しかいないのではそう言いたくもなる」
同情的でもあるが、揶揄を含んでいるのは間違いない――。
ノインは、エリーゼの反応を見るが、あちらは黙ったままだが、引き続き、話を聞く気はあるようだ。彼は余裕をもって、言葉を続ける。
「あの生臭坊主も多少は賢い選択ができるようだ。条件次第ではこちらもやぶさかでない」
「条件だと?」
エリーゼは左の眉を僅かに上げた。
「タダでとはいかん。俺達の腕は安くないんだ。それ相応に扱われないとなぁ……わかるよな?」
その言葉に、「王を裏切れというのだろう?」と、實生も神妙に頷く。
「非常に簡潔でわかりやすい言伝だが、俺達がそちらに下った場合の利点が全く分からない」
淡淡と言葉を紡ぎながら、エリーゼの反応を窺う。
どうやら答えあぐねているという面もあろうが、彼女は二人の言葉や態度を、観察しているようである。此方があちらを探るよう、あちらも、此方の情報を言動から多少は見極めようとする――それは当然のことである。
「逆に人のいのちを軽んじる先の行動、不信感を持つということ位分かるだろう――そんなにそちらの陣営は切羽詰まっているのかい?」
「いのちを軽んじる? ……奇妙な事をいう――が、ディアボロスならば、致し方なしか」
その問いに、エリーゼは嘲笑めいたものを浮かべたが、すぐに消す。
それで、と眼差しだけで、先を促された。
少々気に障る態度だが、實生は口を開く――。
「ただ要求だけを伝える相手に鞍替えする気はないよ」
「詳しい話がしたければノルウェーにラスプーチン本人をよこせ。そこが我らのディヴィジョンから最も近い」
要求については、ノインが引き継いだ。
何を言い出すのだと言いたげな視線を向けてきたエリーゼに、彼は平然と告げる。
「我が王には内密にする。人数は最低限にしろ、目立つことはするなよ」
当たり前の要求だ、という強い口調で言い切ると、ノインは口を閉ざす。ガスマスクの下で、その表情は見えぬのだが、全身から放たれる雰囲気が、以上だ、と告げていた。
實生は同意するように頷いて、エリーゼをじっと見つめた。
「俺達を高く評価し必要としているなら、彼も言っている通りそれに見合うだけの行動で納得させてくれないか」
クロノヴェーダは、冷え冷えとした視線でディアボロス達を一瞥すると、溜息のような感想を漏らした。
「まったく貴様らは噂以上に傲慢不遜だな。そんな要望が通ると思うのか? ――まあ、いずれにせよ、判断するのは私ではない……ただ、報告は正確にすると約束しよう。私が出来る判断は、それだけだ」
そう告げるや、彼女は、素早く踵を返した――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!
イロハ・アプリルシェルツ
【アドリブ&連携歓迎】
うーん、殴り飛ばさないと伝言もしてくれない
分からず屋ではなかったみたいだから見逃すのもやむを得ないかな。
イロハ達が本当に引き摺り出したい大物はラスプーチンだしね。
さて、気持ちを切り替えて酷い事になってる集落を何とかしないとだね。
苦難にさらされし者を救うこともイロハのお役目でもあるしね。
先ず最初に住む場所を再建しないと話にならないだろうから
破壊された建物をこの場に宿っている【建物復元】で順番に修復して行くとして
効果範囲外の場合は【建造物分解】で資材に変換した上でもう一度作り直そうか。
使ってなかった建物分の資材はむしろ燃料用として活用するのも良さそうだしね。
秋津島・光希
※連携、アドリブOK
…行ったか
敵さんの上司がどう判断するかはさておき
まずは目の前のことからどうにかしねえとな
村人に声をかけて
無事を確認してから『情報収集』
焼かれちまった備蓄倉庫や家の位置を把握するぞ
襲撃からそう時間は経ってねえ
【建物復元】で備蓄や家財ごと元に戻せるはずだ
見ていてくれ
流石に命は無理だが…物資なら取り戻してやれるから
パラドクス発動
沙羅、頼む
復元したら、村人に中を確認してもらう
足りないモンはねえか?
よし、次行くぞ
村中を効率よく巡って修復を続ける
できるだけ速く、だ
物理的に寒いだけじゃねえ
皆、襲撃で肝が冷える想いをしたはずだ
せめて、いつも通りに過ごせる環境くらいは
整えてやりてえからな
ロキシア・グロスビーク
雑魚は一掃、指揮官は撤退済み。
村人は無事、家畜と飼料、建物は被害アリと。
(情報を記した巻物をぴちりと畳んで)
おっけーおっけー、それじゃあ行動開始だ。
【土壌改良】・【建物復元】の手が足りないなら手伝うよ
【幸運】で無事な種や苗も探そうか
村人さんとも交渉しよう
…保存食を作りたいんです。
あなたがたの家畜を用立ててよろしいでしょうか。
成否は置いといて、支援物資で【料理】
ペミカン中心に保存食を。現地のお料理も作り【口福の伝道者】
ペミカンが気になるかい?油を沢山使うんだ。
それがながーく保つ料理になる。
悲しいけれど。今はこれで兎に角耐え凌いで。
後は僕らが何とかするから。
…さ、みんなご飯にしようか。召し上がれ。
一角・實生
癪だけれど、彼女が正しく上に伝えることを祈るばかりだね
備蓄倉庫は重要な施設
現地にこの集落で顔が利く者がいそうだ
農作地の場所とそこに植える種を分けて貰えないか尋ねてみる
併せて集落の復興に役立ちそうな建造物を聞き【建物復元】の効果を使う
なるべく多くの土壌が豊かになる位置で【土壌改良】【植物活性】を使おう
人々に協力を仰ぎ共に畑に種を植えて行くよ
あの襲われていた少女にも協力をお願いしたい
自分が植えた種が芽吹き育つさまは、己の生を実感できると思うから
花の種はあるかな
あればそれを植えて欲しいんだ
燃えてしまったいのちへの慰めにもなる
辛い記憶だけで終わらせない
得たものもあったのだと――そう人々が思えるように
ノイン・クリーガー
何が傲岸不遜だ。
自分のことだろうがそれは。
…そんなことより俺は忙しいんだ、畑仕事が。
[行動]
腹が減っては戦もできぬと言うしな、まずは住人にジャーマンカレーを配る。
「大変だったな。
これより村の再建を行う。
これでも食って元気を出せ」
それが終わったら【土壌改良】を発動しさせて畑を耕し、農作物を植える。
ディアボロスが去った後も、良い畑であり続けるだろう。
フルルズン・イスルーン
むずかしーお話は終わったかな?
こういうのは頼れる人に任せると相場が決まっているのだ。
ボク? 見た目通りだよ! 年相応の働き? 知らない言葉だねぇ。
じゃ、色々と直そうかイート・ゴーレムくん。
建物復元が効かない物品は【修復加速】で賄うよー。こっちに回してねー。
もしかしたら農耕具とか狩猟具が足りないかも? そこらは発明や拠点構築を早業あたりで賄って繕おうね。
んむ、ご飯を食べて満腹になった人は居るかな?
ハイ今しがた作った木こり斧。腹ごなしに男手は働くが良い。あ、子供は釣り具か採取籠のほうが良いかな?
ボクはそんなに優しくないからね。手助けはしてやれるけど、日々の生活は君たちが営むものさ。
日常よただいま!
●それから
離脱と駆け出すクロノヴェーダの背を見やり、
「何が傲岸不遜だ。自分のことだろうがそれは。……そんなことより俺は忙しいんだ、畑仕事が」
ノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)が悪態を吐く。声は届いたかもしれないが、慨嘆のエリーゼが振り返る気配はなかった。
「……行ったか」
じとりとそちらを睨み、秋津島・光希(Dragonfly・g01409)が呟く。
この破壊された村を見るに、どうにも暗澹と淀む感情は、消せぬ。
「うーん、殴り飛ばさないと伝言もしてくれない分からず屋ではなかったみたいだから見逃すのもやむを得ないかな」
金の瞳をやや伏せて、イロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)は軽く頭を振る。
「イロハ達が本当に引き摺り出したい大物はラスプーチンだしね」
「癪だけれど、彼女が正しく上に伝えることを祈るばかりだね」
彼女の言葉に、一角・實生(深潭鷲・g00995)はそっと息を吐いた。伝令として役に立たぬなら、一体たりとも逃さず倒す事を選んだだろう。
さりとて、これが引き摺り出せる一手に繋がったかどうかわからぬが、打てる手は打ったと考えるしかない。
こればっかりは仕方ねぇ、と光希は割り切るように告げる。
「敵さんの上司がどう判断するかはさておき、まずは目の前のことからどうにかしねえとな」
「むずかしーお話は終わったかな?」
一区切り、フルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)が、朗らかな笑顔で首を傾げた。
こういうのは頼れる人に任せると相場が決まっているのだという信条を胸に、復興とかそういう作業なら任せろーという意気込みで、早速ゴーレムを召喚する。
「"食べて 結合し 完成"――じゃ、色々と直そうかイート・ゴーレムくん」
ざっ、ざっ、と歩き出したゴーレムとフルルズンを見送りながら、
「雑魚は一掃、指揮官は撤退済み。村人は無事、家畜と飼料、建物は被害アリと――おっけーおっけー、それじゃあ行動開始だ」
ロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)は、まだ状況を掴めていない村人に声を掛ける。
「あの……保存食を作りたいんです」
保存食。という言葉に、村人は首を傾ぐ。そんな資源は失われてしまったのではないか、といった表情だ。
ロキシアは穏やかな表情で、被害が出ているのは、知っていますと断った。
「あなたがたの家畜を用立ててよろしいでしょうか」
「ああ、構わないが……」
どんな返事を貰おうと、ロキシアは持ち込んだ素材で何とかするつもりはあった。ただ、量を確保しようとすれば――パラドクスで増やせるとはいえ――現地で仕入れられる方がいい。
ありがとうございます、と礼を告げるや、彼はさっと黒衣の裾を翻し、調理に向かう。
入れ替わりにやってきたノインが、何処からともなく取り出したジャーマンカレーを村人達へ手渡し、彼らを励ます。
「大変だったな。これより村の再建を行う。これでも食って元気を出せ」
そして、彼自身は、さっさと畑の方へと向かってしまう――ノインは既に『畑仕事』という自分の任務と向き合っている。その様は迷いもなく、颯爽としたものであった。
●復興
「先ず最初に住む場所を再建しないと話にならないね」
これくらいなら簡単かな――破壊された家屋を眺め、イロハは囁く。人々のために土に汚れることも、宜なるかな。
「苦難にさらされし者を救うこともイロハのお役目でもあるしね」
とはいえ、実際、資材を抱えたり打ったりをするわけではない。フルルズンと区画を分け合い、パラドクスの力を借りて建物を先日の状態へと戻していく。
この村の家屋は木造なり石造なり、比較的簡単な構造ゆえ、やむを得ず分解させてもらった家屋から出る素材も扱い易い。
「まったく、即座に駆けつけられたからよかったもの――」
クロノヴェーダによる容赦の無い破壊の結果を間に、イロハは瞳の奥に剣呑な色を浮かべたが、直ぐに消した。
「あ、これ、余ってるかなあ?」
ひょいと塀の向こうから顔を出したフルルズンの問い掛けに「ええ」と彼女は頷いた。
「もしかしたら農耕具とか狩猟具が足りないかも? ってねー」
途端、ゴーレムの口に、えいやっと資材を投じる姿に、呆気にとられ――それが道具を吐き出すまでを、まじまじと眺めるのだった。
動き出したディアボロス達を前に、村人達も漸く状況が掴めてきた。
安全なのは戦闘終盤において確信していたが、自分達も復興のために働かねば、という意識を抱くまでは時間が掛かったのだ。
しかし、彼らの復興作業というのは、村人達が考えている動きとは随分違い、手を出したものかどうか悩んでいたのだが――不意に、声をかけられる。
「なあ、焼かれた備蓄倉庫ってのはどの辺りだ?」
光希の問い掛けに、年かさの男が立ち上がると、おずおずと案内してくれた。
見事焼け落ちた倉庫を目の当たりに――解っていながら、ショックを隠せぬ村人の表情を見て、あー、と光希は頭を掻いた。だよなあ、と。
解っているからこそ、すぐに戻してやりたい、という気持ちもある。
(「襲撃からそう時間は経ってねえし、元に戻せるはずだ」)
瞬きひとつ、ずいと一歩前に出、彼は腕を伸ばす。
「見ていてくれ。流石に命は無理だが……物資なら取り戻してやれるから――沙羅、頼む」
その手に乗せた砂時計から、白砂がふわりと躍り――倉庫だった残骸が、砂嵐で包まれる。
刹那、焼け落ちたはずの備蓄倉庫は元の姿を取り戻す。元々の傷も、元々の古ぼけた姿も元通りだ。
中を改めてくれ、という彼の要請に従って、男が覗き込むと、驚きの声をあげた。光希の言葉を信じていないわけではなかったが、本当に元に戻っているとなれば、腰が抜けるほどの驚きだろう。ただし、建物だけ、ではあるのだが。
「足りないモンはねえか? よし、次行くぞ」
「あ、ああ――」
戸惑った儘ではあるが、先程に比べると顔色も足取りも断然違う。
それを横目に、気付かれぬよう、光希は安堵を吐く。
(「物理的に寒いだけじゃねえ――皆、襲撃で肝が冷える想いをしたはずだ」)
「せめて、いつも通りに過ごせる環境くらいは、整えてやりてえからな」
急いで直そう、足早に彼は残る倉庫を回る――住宅に着いては、フルルズンとイロハが直してくれている。これもきっと、絶望に陥った人々へ、嬉しい驚きとなるだろうと確信しながら。
火をおこし、削いだ肉にしっかりと火を通しながら、すり鉢に何やら混ぜ合わせこねているロキシアの元へ、小さな足音が近づいてきた。
「何作ってるのー?」
覗き込みながら問いかけてくる子供達に、ロキシアはペミカンだよ、笑って答える。
「気になるかい? 油を沢山使うんだ。それがながーく保つ料理になる」
干し肉や、ドライフルーツを油で混ぜながら。不思議な球体を、子供達は目を丸くして眺める。
「悲しいけれど。今はこれで兎に角耐え凌いで。後は僕らが何とかするから」
こね上げられた見慣れぬ保存食をパラドクスで更に、ずらりと並べて、ロキシアは微笑する。
「……さ、みんなご飯にしようか。召し上がれ」
●これから
カレーに保存食にと、村人達が胃も満たされ、落ち着きを取り戻した頃。
腰に手を当て、フルルズンが彼らの様子を窺いながら、告げた。
「んむ、ご飯を食べて満腹になった人は居るかな? ハイ今しがた作った木こり斧。腹ごなしに男手は働くが良い。あ、子供は釣り具か採取籠のほうが良いかな?」
そして、有言実行、道具をせっせと配り出す。
「ボクはそんなに優しくないからね。手助けはしてやれるけど、日々の生活は君たちが営むものさ」
突き放すようではあるが、ディアボロスは帰還してしまう――そして、今、此所で交わした会話も。手ずからの復興も、排斥力の影響を避けられぬ。
後は皆で頑張って貰わねばならぬのだ。
活を入れられたのもあってか、先に活力を取り戻したのは、やはり男性陣で。ディアボロス達が集めた資材の前に続々と集まってくる。
彼らの前に、説法するでもなく――イロハが、復元できたもの、できなかったものを淡淡と説明していく。
「この資材は、燃料用として活用するのが良いと思うんだよね」
そして、結果余ったとも言える木材の用途をイロハは提案すると、村人達は顔を突き合わせて相談を始める――。
「なんなら、倉庫に運ぶ手伝いもするぜ」
しっかり元通りにしておいたからな、と光希がニッと笑って見せた。信じられぬ、という表情を浮かべた人々に、本当だよ、家も殆ど元通りなんだから――と喜びの声があがる。
もう大丈夫だよね、思いながら、フルルズンはにっこり笑って、両手を広げる。
「日常よただいま!」
その一言に、確かに笑顔が広がった――。
黙々と畑を耕すノインは、パラドクスの力で土壌改良を施す。黒々と彫り起こされた柔らかな土と、真っ直ぐ並ぶ畝を前に、彼は己の仕事に、ひとつ頷く。
「――ディアボロスが去った後も、良い畑であり続けるだろう」
後は、植えるものだが、と目を細める。
畑に膝を折り、土に向き合うのは、實生と、数人の村人だった。實生は村から預かってきた種や、火を逃れた苗を集めて、畝の周囲に置いていく。
植える作業は、あとは手分けしてやればいいからだ。
「きみ、」
實生はある少女に声をかけた。ヴァンパイアノーブルに首根を掴まれた、あの少女だ。
「良ければ、一緒に植えてみないかい?」
恐らくこの村一番の恐怖に襲われたであろう少女は――暗い表情をしていたが、健気に農作業についてきた。きっと解っているのだろう、辛くとも働かねば、生きていけぬ、と。
だが、實生は、そんな風に追い詰められた儘では辛いだろうと、穏やかな表情で語りかける。
「花の種はあるかな――それを植えて欲しいんだ」
自分が植えた種が芽吹き育つさまは、己の生を実感できると思うから――、ひとりごとのように囁く。
「燃えてしまったいのちへの慰めにもなる」
人々は助かったけれど、犬や、家畜。そして傷ついた心は、此所に在る。
(「辛い記憶だけで終わらせない……得たものもあったのだと――そう人々が思えるように」)
草花は枯れて、また芽吹く。再生の象徴だ。
實生の微笑みにつられるように、少女は、こくりと深く頷くと――掌に載せて貰った種をぎゅっと握りしめ、土に向かった。
そう、すべては、これから――なのだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【建造物分解】がLV2になった!
【建物復元】がLV2になった!
【口福の伝道者】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
【土壌改良】がLV2になった!
【修復加速】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【ガードアップ】がLV3になった!
【ドレイン】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV4になった!