大淫魔都市ウィーンの淫魔学園

 ディアボロスの活躍で、ルーブル美術館の淫魔絵画事件は解決しました。
 しかし、芸術家淫魔の事件を根本的に解決するには、コンテスト上位者たちが淫魔に変えられている『大淫魔都市ウィーン』の『淫魔学園』に乗り込む必要があります。

 攻略旅団の探索・提案に従い『大淫魔都市ウィーン』の『淫魔学園』を目指しましょう。
 ウィーン外壁の門に飾られた『淫魔絵画』から、『淫魔学園』に潜入し、淫魔に変えられようとしている芸術家たちを救出してください。
 彼らの救出により、淫魔の勢力を削ぐことが出来るはずです。

オペラ教室からの逃走(作者 大丁
3


#断頭革命グランダルメ  #大淫魔都市ウィーンの淫魔学園  #大淫魔都市ウィーン  #獄彩のバーバラ 


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 もはや執念めいたものを感じさせる。
 今日も、城壁に寄り集まった人々が、掲げられた淫魔絵画にむかってあらん限りの芸を披露していた。
 淫魔学園への入学試験だ。
 オーストリア各地の街々で、コンテストへの入賞や評判をとった者たち。遍歴と鍛錬の終着地は城壁のむこう。大淫魔都市ウィーンである。
 壁外で生活しながら、試験会場との往復の日々。
 時には故郷での栄光を思い出すこともある。
「あー。審査員に褒められたのが、俺の絶頂期だったんかなぁ」
「諦めきれないわ。いまさら、町に帰ったってしょうがないもの」
「よし、次は私の番だ。ららら~♪」
 しかし、彼ら受験生は知らない。
 合格して絵画のなかへ導かれた芸術家たちであっても、学園での切磋琢磨が繰り返される。
 すぐにウィーンの市内に住めるわけではないのだ。

 ディアボロスたちの挑戦も続いている。
 新宿駅グランドターミナルのホームのひとつには、時空間移動の列車、パラドクストレインが到着し、車内で時先案内人の説明を受けていた。
「ごきげんよう。ファビエヌ・ラボー(サキュバスの人形遣い・g03369)ですわ」
 座席のあいだを歩きながら、黒手袋が窓枠を示す。
「芸術家淫魔たちを新たに生み出す学園がウィーンにあります。この列車は、覚醒させられそうになっている生徒を助けだす任務を帯びております」
 指の動きは、城壁の淫魔絵画を表わしているらしい。

「皆様にも、試験を受けていただいて、絵画内の淫魔学園に入学していただきますわ」
 人形遣いは、ジョスとジュリの二体を操って、窓枠の前で踊らせた。
 あるいは歌ったり、絵を描く仕草をしたり。
 ジャンルは問わない。芸術力を爆発させて、認められたものは、絵に吸い込まれる。
 窓に張り付いた人形たちは、絵画内の学園風世界に再出現した。
 という、寸劇が行われた。
「すでに取り込まれている先輩の芸術家たちと交流してくださいませ。信用を得ることができれば、『特別授業』に参加できるようになります」
 ファビエヌは以後も、人形劇を通じて、依頼の段取りを伝える。
 その動きの中には、すでに成功させた依頼報告を参考にしたものも含まれる。
「『特別授業』は、ジェネラル級淫魔『獄彩のバーバラ』が執り行います。どうやら、参加する先輩芸術家は、各地のオペラコンテストの入賞者で、今回の授業も歌劇場の舞台を使うようですわ」
 生徒たちの身体は、オペラ授業の開始とともに、トループス級淫魔『コンステラシオン・ルージュ』へと覚醒が始まってしまう。
 そして、変化の起こらないディアボロスに気がつき、変わりかけのまま襲ってくる。
 彼らを救うには、心に訴えかける言葉が必要だ。
 戦いを避けながらか、ある程度応戦しながらか。芸術家たちを説得してから撃破すれば、覚醒を阻止できる。
「ジェネラル級淫魔は、淫魔絵画への仕掛けによって、その場で倒すことはかないません。淫魔は去るので学園は崩壊をはじめます。皆様も、芸術家たちを守って劇場から逃走なさってください」
 絵画から戻った人形が、床に着地したところで、寸劇は終わった。

「淫魔学園をつぶしていけば、大淫魔都市内部に入り込むことも出来るようになるかもしれません。わたくしからの説明は以上です。イイコトになるよう、祈ってますわ」
 ファビエヌと人形たちはホームに降り、列車は出発した。

 板張りの練習室で、ぴったり目の服を着た3人の男女は、浮かない様子だった。
「入学してから時間がたったが、『特別授業』とやらには、なかなか声がかからないな」
 背の高い男性が、舞踏を中断して天井を仰いだ。
 それを見て、豊かな体型の女性も、肩を落とした。
「ええ。実質的な卒業試験と噂されているわ。真にウィーンへと招かれるために必要なのだともね」
「あーあ、練習を続けているのに、なんでかな。前より下手になっちゃったのかな」
 小柄な少女は、座り込む。すると男性は、はっと息をのんだ。
「初心にかえるべきなのかもしれない。俺が町で評価されたのは、愛を囁く自作の詩だった」
「私は……声の高さと衣装だった気がするわ」
 女性は、みずからの膨らみに手をおく。少女はちょっと口を尖らせる。
「へーえ。出身地が違うと、褒められるとこも違うのね。アタシは、なんだっけ。そういえば練習につきあってくれた夫人はどうしてるかな」
 また、ぴょんと立ち上がる。
 望郷の念とともに、やる気も取り戻したようだ。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【傀儡】
2
周囲に、ディアボロスのみが操作できる傀儡の糸を出現させる。この糸を操作する事で「効果LV×1体」の通常の生物の体を操ることが出来る。
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【勝利の凱歌】
3
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【友達催眠】
1
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【モブオーラ】
1
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【液体錬成】
1
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【落下耐性】
1
周囲のディアボロスと、「効果LV×300m半径内」の通常の生物に、どんな高所から落下しても、落下時の衝撃を2mの高さから落下した程度に軽減する能力を与える。

効果2

【能力値アップ】LV2 / 【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV2 / 【ガードアップ】LV3 / 【フィニッシュ】LV2 / 【反撃アップ】LV4 / 【先行率アップ】LV1

●マスターより

大丁
 オープニングをお読みいただきありがとうございます。
 マスターの大丁です。

 今回は、断頭革命グランダルメにて、淫魔学園に潜入するシナリオとなっております。

 とあるグループが、練習室で悩みごとを打ち明けています。
 彼らは別々の街からやってきて試験に合格し、いまはオペラで協力しあっています。
 はたして、『特別授業』には参加できるのでしょうか。そして、淫魔覚醒からの救出は。

 戦いに、冒険に。そして、ドキドキを。
 みなさまの素晴らしいプレイングをお待ちしております。
60

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


白臼・早苗
オペラ……
以前に相対した高音域が好きな淫魔を思い出す所もあるけれど、それはそれ、これはこれかな
入学試験に合格する為に、今は全力を尽くそう

紺色のロングスカートのドレスを着て絵画の前で歌をアカペラで披露するよ
内容は、そうだね……、川が流れるように、人が出会いと別れを一期一会に繰り返すような歌、かな?私が知ってるウィーンは川のある都市のはずだし、それになぞらえた歌なら響く人もいるんじゃないかなって
ちょっとズルかもだけど、【勝利の凱歌】の効果も借りて、周りの人の心にも訴えていくよ


不惑・明日法 (サポート)
年齢イコール彼女イナイ歴の元ニートです。
基本的にはやる気なく、(ディアボロスになって身体能力が上がったにも関わらず)自分みたいなのにこんな事できねー的な事をぼやきます。でも一応状況を前進させる意思はあるので文句言いながらもちゃんと動きます。

基本方針は「リア充は死ね!」
クロノヴェーダは全員リア充です。そう見えなくても無理やり理屈をつけてリア充ってことにします。
女性には手を挙げないがモットーですが、クロノヴェーダに男女の区別なしなのでちゃんと攻撃はします。

戦闘では基本不惑明日砲か魔挫破緊死屠を使用。憎き敵に向け高らかに技名を叫ぼう。
公共良俗に反すると判断するなら技名叫ばないか他のパラドクスでも可。


アミリアス・ヴェルザンディ (サポート)
自身の事を「我」と呼び普段から笑みを浮かべながら、何を考えてるのか不明な怪しさ満点なマッドサイエンティスト的な気質の女性。用途不明な発明を繰り返している為、果たしてそれが本当に戦闘用なのかどうか分かりませんが、折角なので役立ててる感じです


フフフフ、戦闘やそれ以外でも我の技術を活かした味方との連携や援護、補助するとしよう。
丁度、使いたい発明品(内容はアドリブ可能)もあることだし、何ならパラドクスを絡めてもいいさ。
おっと、注意しておきたいのは、我は本気の近接戦は苦手なのでね…あぁ、でも、もし、やるとするなら動けなくしたところを暗器工具『トーメンター』で改造手術する時とかは…

*:連携等、アドリブ可能


 陽の傾きが大きくなってきた。
 このまま黄昏時を迎えては、今日も合格者をだせずに入学試験が終わることになる。
 沈黙する淫魔絵画を見上げて、芸術家たちは焦りだした。カンバスの前に割り込んでシチューの湯気をたて、踊りの最中に不協和音を奏でる。
 互いの妨害も厭わない。
「フフフフ……」
 アミリアス・ヴェルザンディ(【自称】天才科学者・g01902)は、白衣の袖を口元にあてて笑った。
「いつ見ても、人間同士のギスギスした関係には興味深いものがある」
「ほ、ほんと……。リ、リア充淫魔の開くコンテストに出向いたけども、踊らされる一般人ときたら、ね」
 肩をすくめ、眉根を寄せる、不惑・明日法(放送禁止・g02378)。
「私のつくったスーパー分厚いお菓子でぶっちぎり! アヴァタール級も口説き落として……」
「ほらほら、明日法さんは、お話まで盛らないのよ。いまは、合格に全力を尽くそう?」
 白臼・早苗(深潭のアムネジェ・g00188)は、しかし、街のコンテストに思い出すところもあった。
「たしか、あの時もオペラだったな」
 高音域が好きな淫魔だった。
 それはそれ、これはこれ。アミリアスが指摘したように、一般人たちは足の引っ張り合いで、かえって勝利が遠のいている。
 もちろん、自分たちディアボロスも含めて、入学の権利を奪い合う関係にあるのだが、同じこの場所に集った縁もあるのではないか。
「人は、出会いと別れを一期一会に繰り返す。それは、まるで……」
 ドナウ川の青さに、夕焼けのさす風景が浮かんできた。
 早苗が心をまかせると、その唇から自然と歌が紡がれる。アカペラのまま、絵画に向かって進みゆく。紺色のロングスカートのドレスも、イメージにぴったりだった。
 周囲では、芸術家たちの起こす喧騒がとぎれない。
 調子の出てきた仲間のサポートに、天才アミリアスはホロパソコンのキーボードを叩いた。
「丁度、使いたい発明品もあることだし、明日法。君はオタ芸は得意かい?」
「はぁッ? それと非リア充とを混同しないでもらおうか! ……何をすればいいの?」
 ペンライトにしか見えないアイテムが、サブアームから渡された。
 歌の雰囲気にあわせて、ふたりでゆっくりと振りながら、芸術家たちのカオスを整理する。
「あ~あ~♪」
 時には、通りすぎた街々を顧みることもあるだろう。
 時には、未来の知人に想い馳せることもあるだろう。
 いつのまにか、受験生たちは、早苗の歌に聞き惚れていた。
「う……、うう……」
 明日法は加えて、ホロパソコンの光にネットの友を思い出し、いつか彼女イナイ歴の途切れる日がくるだろうかと涙ぐんで、情けない表情をつくった。
「そこの者たちは合格だヨ! 今日は以上!」
 通知はあっけなく、ディアボロスはひとつのユニット扱いになって、淫魔絵画への転送がはじまる。
 残された人々は消沈することなく、挑戦する勇気を得ていた。早苗の置き土産だ。
「フフフフ。明日から本気だす、いいじゃないか」
 アミリアスは、また白衣の袖を口元にやった。その姿も、学園へと消える。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

カドレクス・フェニカルス (サポート)
幻想竜域キングアーサー出身、"対竜魔術師"カドレクス・フェニカルス。参戦する。

己の興味と知識欲に忠実、内実はともかく行動自体は実利主義。
気に入らなくても有効なら舌打ちしつつも協調は惜しまない。
自己の魔術に対する天才性を微塵も疑っておらずどこまでも自信家、貶せば逆鱗。あとドラゴンはころす。
意志と行動、知性を尊び停滞と無思考を貶す。気に食わぬ者であれば敵も味方も皮肉を飛ばすことに躊躇はない。逆も然り。
深慮遠謀も剛力無双も等しく相手取り討ち果たす。それが出来るが故のウィザードである。

各パラドクス何れにも"屠竜式"と呼ぶ絶殺の形態を持つ。
それは撃竜の為の切り札であり、己の所業を忘れぬ為の楔でもある。


アンジェリー・ビーティリィ (サポート)
「悪いクロノヴェーダはやっつけちゃおう!」

インセクティアの航空突撃兵×撃竜騎士、6歳の女です。
普段の口調は「幼稚でボーイッシュ(ボク、~くん、~ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」、覚醒時は「ちょっとだけ大人?(僕、あなた、~さん、だね♪、だよ!、だよね☆、なのかな?)」です。

パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します(重傷or死亡NG)。他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


白臼・早苗
特別授業、……きっと内実は芸術じゃなくて、バーバラに気に入られるかどうかで誘われるかどうかが決まっていそう
だったら、特別授業への参加資格を得れれば、接触の隙を見せてくれるかな……?

豊かな体型の女性とは多分私と方向性が合うだろうから、接触してみようかな
ちょっとズルいけど【友達催眠】を重ねて、一緒に練習する仲になってしまおう
高音域の斉唱なら、私と一緒に合わせる事が今までにない良い刺激になってくれるはず
一緒に衣装の事も語らいつつ親睦を深められれば、彼女のスランプ脱出にもきっと役に立つよね


 入学してすぐ、白臼・早苗(深潭のアムネジェ・g00188)たちは、予知にあった練習室を探り当てることができた。
 ソプラノのアリアが廊下まで聞こえている。
 独唱のあとに続けて早苗は、自分も高音域を響かせながら部屋への扉を開いた。
 案の定、板張りの室内では豊かな体型の女性が仲間の前で歌っており、入ってきたディアボロスたちに目を丸くした。
(「止めないで、そのまま」)
 と、早苗は身振りで伝える。こっそり、『友達催眠』も潜ませて。
 ふたつのパートは一緒になり、斉唱に転じた。
 歌いきると、双方のグループから拍手が送られる。女性は何かが吹っ切れた様子だ。
「高音に納得できたのは久しぶり! あなたが引っ張ってくれたおかげよ」
「私のほうこそ、ありがとね。……特別授業を目指して練習を?」
 彼女らが打ち解けるにつれて、芸術家たちもみな、ディアボロスを受け入れた。
 聞けば、いま取り組んでいるのはオペラの一曲で、女王が勇者に悪の大蛇討伐を命じる、という場面らしい。
「大蛇……だと?」
 丸眼鏡の奥からのぞく、鋭い眼光。カドレクス・フェニカルス(ベドグレインの魔人・g03110)の知識欲が跳ね上がる。
「俺は、対竜魔術師だ。その悪しき蛇とやらも、我が仇敵の眷属と言えよう。ドラゴンはころす」
 自信たっぷりで拳を握るしぐさに、背の高い男性は惹かれたようだ。
「いい。とてもいい詩だ。なんだか、俺まで勝てる気がしてきた」
 勝利の凱歌の二段重ねである。
「女王さまかぁ。ボクは女帝の経験ならあるよ。参考になるかな」
 アンジェリー・ビーティリィ(インセクティアの航空突撃兵・g00570)が胸をはると、小柄な少女のほうが口をあけた。
「体型は申し分ないけど、男の子みたいな喋りかたね。かわいい」
 役作りの面でもアンジェリーに興味を持つ。
「ねーえ、アタシの練習にも付き合ってよ。勇者に道案内する少年役なんだ」
 床に転がっていた半ズボンを手に取ってみせてくる。
 こうして練習室での交流が始まり、3日が過ぎた。カドレクスはディアボロスの仲間に首尾をたずねる。
「バーバラの特別授業とやらには参加できそうか」
「ボク、練習は上手くなったよ。ゲイジュツセイは、どうだろう?」
「アンジェリーの心配はもっともだけど。きっと内実は、バーバラに気に入られるかどうかで誘いが決まるんじゃないかな」
 早苗は、ソプラノの女性との相談で決めた衣装、うんと開いた自身の胸元を見下ろした。
 予想は的中し、歌劇場を使った特別授業へと誘われる。
 舞台のあるフロアは、楽屋や演出装置を備えた地上階よりも、数段高い。裏手であっても、柱一本たりとて装飾の豪華さに抜かりがなく、並んで通路を歩きながらアンジェリーは、満足した。
「ボクの宮殿を思い出すよ」
 構造もよく把握しておく。
「逃げ出すときには、落下耐性が役にたつかもだし、早苗が言ってたように、オペラ教室の舞台上は、バーバラにとっての後宮、ハーレムみたいなもんだね」
 男女が誘われているが、誰も彼もどこか耽美さを感じさせる。
「よく来たネ。さぁ、芸術を爆発させてヨ!」
 絵の具まみれの作業着をひるがえし、ジェネラル級淫魔が出迎えた。
 一般人の役者たち。長身の男性も豊かな体型の女性も、半ズボンの少女までもが、くるくると回りながら、『獄彩のバーバラ』に引き寄せられていく。
 その過程で、着衣の丈は短くなり、襟ぐりはますます広がった。
 『コンステラシオン・ルージュ』への変異が始まっている。
 ディアボロスたちも、次の行動を開始した。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【勝利の凱歌】がLV2になった!
【落下耐性】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!

ミィナ・セレイユ (サポート)
戦闘依頼の場合、遠距離サポート中心に立ち回るなぁん。
遠距離攻撃での敵の牽制、一般人や負傷した友軍の為の撤退支援を行うよ。

説得系の依頼の場合、説得の邪魔が入らない様に露払い。
攻撃しない方がいい場合もあると思うから、
その時は他参加者に危険が及ばない、危険に晒さない様に、
敵対行動はなるべく避けるなぁん。

■露払い/撤退支援時
「ここの敵はボクが抑えておくなぁん」

■敵の牽制時
「お邪魔はダメなぁん」


白臼・早苗
あまり時間が無さそう……、でも、バーバラと接触するチャンスは限られてる……
ここは賭けに打って出るしかないか……

他の人達がバーバラに引き寄せられるよりも先に、私が割り込んでバーバラに接近するよ
バーバラに接近しているみんなは【傀儡】でなんとか時間を稼ごうか

今知りたいのはバーバラが何故淫魔勢力を増やそうとしているのか
何か戦力増強を必要とする自体が起きているのかを確かめたい
「一目見た時からお力になりたいと思っていました」
「ぜひとも私をあなたの右腕にしてください」
のように、配下に加わりたいような素振りを見せて、目的聞き出せないか試そう
本当に、僅かなチャンスだろうけど、やってみる価値はあるはず……!


サティニフィア・ネイバーライト (サポート)
スゴ腕情報屋のサッちゃんだ
得意は情報収集、復旧活動、その他クロノヴェーダとやり合わない選択肢全般!
不得意は戦闘全般だ
とは言え、皆が力を合わせればヤツラにだって太刀打ち出来るって証明してくれた
これからはちゃんと戦いでも役立たねぇとな
つまりナンデモやるぜ、って事だ!

情報収集は演技したり聞き込みしたり、おだてて口滑らせてもらったり
必要とあらば道化演じんのも先導役に何のも苦じゃねぇな
必要な事なんだから

戦闘じゃナイフ使ったり銃使ったり、翼の魔力を直接ぶつけたり、弱点探して狙ったり、メーラーデーモンと連携したりだな
派手な立ち回りはまだ得意じゃねぇが周りと力合わせて立ち向かうぜ

やれることを全力でやるだけさ!


「フィンク、引き留めておくなぁん」
 下手(しもて)の舞台袖からミィナ・セレイユ(夢蛍・g07038)が『照明』を焚いた。
 スフィンクスに命じ、広げた翼から光を放たせる。舞台装置のものよりも、はるかに明るい。灯油と日光の違いは歴然だ。
 上手(かみて)の淫魔に引き寄せられていた生徒たちは、舞台の中央あたりで歩みを止めた。
 その場で回っている。
 獄彩のバーバラはポカンとしたあと、上機嫌になった。
 「誰がそんな機材を持ってたの? 美しさが引き立ってる。それはそれでいいネ」
 男女にかかわらず、紅い扇情的な衣装に変わっていく姿を、頷きながら眺めている。ジェネラル級が認めたことで、ミィナは一般人の足止めに成功した。
 そして、眩しさは別のものを隠す役にもたつ。
 白臼・早苗(深潭のアムネジェ・g00188)は、光が生み出す影をたどり、トループスの成りかけを追い越して、淫魔のそばへと達した。
「あまり時間が無さそう。でも、バーバラと接触するチャンスは限られてる。ここは賭けに打って出るしかないか……!」
 敵の前にパッと飛び出し、ターンをきめてから頭を垂れた。
「一目見た時からお力になりたいと思っていました」
 胸の大きさと、用意した衣装の露出度は、淫魔の配下にふさわしいもののはずだ。
 谷間を強調しながら、グイグイと寄った。
「ぜひとも私をあなたの右腕にしてください。『目標』を果たすのに十分な、戦力増強を担ってみせます」
「陛下の戦にキミごときが?」
 白ビキニの淫魔は、目線はちゃっかり早苗の膨らみに落としながら、蔑んだ口調で言い放った。
「ちゃんと変異してないじゃん。単位すらあげられないヨ!」
 取り入れば、もっと情報を引っ張れるかとわずかばかりの期待もあった。それに、淫魔絵画内では撃破ができず、いつも去られてばかりなのも、赦せない。
 バーバラは、舞台中央をグイと指差す。
「あの子たちのほうが役にたちそうだから……アレ?」
 いつの間にか、変異していない者たちが、なにやら接触を図っている。
 ミィナとフィンクの照明が、生徒たちを直接照らしていて、サティニフィア・ネイバーライト(スゴ腕情報屋・g00008)が、アンジェリーと共に、半ズボンの少女に語りかけていた。
 淫魔から話を聞こうとしても埒が明かないと悟ったものの、バーバラの相手をしていたぶん、今度は自分が陽動になったと、早苗は安堵した。
 敵の仕掛けを破るには、皆のところに持ちかえって相談でもしなければならなさそうだ。いま、この舞台上でがんばってる味方は、芸術家たちの説得に集中している。
「あんた、勇者の道案内なんだろ。そのカッコはなんだい、役を間違えてんじゃねぇの?」
 サティニフィアは、わざとガラの悪いよそおいをした。
 いや、下町っ子なのは確かだけど。
 スゴ腕情報屋というのも伊達ではなく、芸術家たちの悩みやポリシーも、この3日間でよく調べてあった。
「ほら、ここにいるアンジェリーから習ったろ? 『ボク』って言ってみようぜ」
「ボク……はっ、アタシどうしたんだっけ。うーわ、オッパイがデカくなってるぅ」
 意識を取り戻した少女だが、身体の自由はきかない。
 笛型の武器で、ディアボロスたちを攻撃してきた。けれども、説得の通じた相手なら、撃破で覚醒を止められる。
 舞台の上は、言葉と技とが入り乱れた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【照明】LV1が発生!
【傀儡】LV1が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV2が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!

大崎・朔太郎
さて、今度は役者さんを助けに来ましたよ。
アイドルだって縁起の勉強はしてますからね。

オペラという事なら「役割に合わせた武器、なら君の武器は何?歌や踊り、演技と努力、情熱と魂」と【ダンス】と【歌唱】しながら近づく事で相手の役者魂を揺さぶりますかね。

それに引っ張られて近寄ってきたら攻撃は多少は受ける覚悟で「演技に尻尾や角は邪魔ですよね?」と囁き、「僕の愛しき人よ、大事な人よ、元の姿に戻り給え、その為ならば神に僕達の愛をお見せしましょう」と【演技】しながら高らかに宣言して【恋人演技】。

皆の役者としての気持ちを取り戻す為、一生懸命演技をする事で共鳴して戻ってくれれば。その為に本気の恋をしましょうか。


沢間・ミライ (サポート)
 戦闘、交渉、探索……歴史奪還のために、ミライも頑張ります。

 作戦を成功させるのは大変ですが、ミライにも出来る事を精一杯するだけです。

 時先案内人のアドバイスをしっかり思い出して作戦に臨みますね。
「そうですっ! 〇〇さんは確か……」

 事件解決に必要そうなものは新宿島で買ってきました。パラドクストレインに持ち込める程度の手荷物の範囲でですけど。
「これを使って解決です」

 ミライには普通のことしか出来ませんが、その普通のことが事件解決の糸口になることもあるはずです。

 みなさんのサポートもお任せください。
 連携がスムーズにいくよう、パラドクスでサポートしますね
「ミライも続けていきます!」

 


白臼・早苗
時間を稼いでもらった分、皆を救うためには全力を尽くさなきゃ

バーバラに「私を選ばなかったことを後悔させるね」と冗談交じりに言った後、変異しかけの人たちに相対するよ

共に練習したオペラのワンシーンを【扇がれる鸚鵡の鏡】で演じながら戦おう
あなたが望まれた衣装はそんなものじゃないでしょ?
本当に演じたかったのは、そんな事じゃないよね!
元の演目に戻るように、皆の心に訴え続けよう


ソラス・マルファス (サポート)
「おぅ、任せとけ」「やられてたまるかよ!」「てめぇ、ふざけるなよ!!」

よぉ、困ってんのかい?俺で良ければ手伝うぜ
力仕事なら任せてくんな
こう見えて手先も器用でね
一般的な料理もできるぜ、復興や救出でも役立てることはあるだろうさ

痛ましい事件が続くからよ、被害者には可能な限り寄り添ってやりてぇ
そういうときは士気高揚も役立つかもな
微力だが、背中を押してやることくらいはできるさ

戦闘は呪詛を纏った大剣での薙ぎ払いがメインだ
搦め手はどうも苦手だがね
空中の敵を仕込みワイヤーで引きずり落とすぐれぇのことはできるぜ

あぁ、色恋沙汰は勘弁だ
エゼキエルで亡くしてるとはいえ、妻子が居るんでね

あとは任せた
よろしく頼むぜ!


 背景を描いた幕が波打つ。風に乗って飛翔するソラス・マルファス(呪詛大剣・g00968)だ。大剣をふりかぶり、着地と同時に淫魔の成り損ないを両断した。
「全員を無事に逃がしてやらねぇとな。そら、一人目だぜ」
「あ、ありがとー!」
 『コンステラシオン・ルージュ』の姿から戻った少女は、礼を言ったものの、動揺は隠せない。
 自分で触って、胸のサイズを確認している。
 ソラスは、先ほどの斬撃の重さが嘘みたいに軽やかな手つきで、小さな肩を下手(しもて)へと押し出した。
「あんたの出番まで、もうちょい待っててくれ」
「うん! ……みんなをお願い!」
 半ズボンは、舞台袖に引っ込む。
 上手(かみて)ではそれを、『獄彩のバーバラ』が惜しそうに唇を噛んで見ていた。白臼・早苗(深潭のアムネジェ・g00188)はわざとその視界に割り込み、冗談めかして宣言する。
「私を選ばなかったことを後悔させるね」
「なんだって?! キミは……」
 ようやく、バーバラが関心を寄せた時には、早苗の姿形は、変異中のトループス級に混じり、舞台中央まで遠のいていた。
 ここで釣られて追わなかったのは、さすがジェネラル級が持つ審美眼である。
 もう、逃げる構図を描いているのだ。
 大崎・朔太郎(若返りサキュバスアイドル・g04652)ら、ディアボロスたちも、役者たちを助けることに注力していた。
「アイドルだって演技の勉強はしてますからね。オペラなら……」
 手近な『コンステラシオン・ルージュ』に伝える。ダンスと歌唱で。
「君の武器は何? 役者としての情熱と魂のありかは?」
「いい。詩が……」
 キャミソールドレスを纏った華奢な身体が、悩ましげに反り返った。
 その腰を支えて朔太郎は、そらんじた。
「僕の大事な人よ。神に僕達の愛をお見せしましょう」
 『恋人演技(ファンサービス)』を発動させ、本気の恋に挑む。
 芸術家たちを説得するには、やはり創造性が必要なのか。まごついて、キョロキョロする沢間・ミライ(time conductor・g03184)だ。
 学園内でも、入学試験と同じようなことを繰り返さないといけないなんて。
「そうですっ! ファビエヌさんは確か……」
 イイコトになるよう祈っている、と言った。
 ならば、ミライにとってのイイコトを思い描き、祈ったなら。
「……」
 目を閉じ、空を飛ぶ自分をイメージする。『創造の翼(クリエイトウイング)』、背に羽根が造形された。
「ミライにもできました! みなさん、本当にやりたかったコトを取り戻してくださいっ!」
 滑車や照明器具の吊ってある高さまで上昇すると、トループスたちに言葉を広める。
「鳥……、鳥売りの道化役」
「囚われの王女は」
 皆が口々に芝居を語り始めた。正気になった者を確認すると、ソラスが大剣を振るう。
「トドメは任せとけ! ミライ、もうひと吹きしてやる。舞い上がれ、『谷風(タニカゼ)』!」
 創造の翼は、心に響いたが、淫魔と化した身体は紅色の風を放ってくる。
 早苗は、『紅の淫夢』を見させられ、淫らな振付の舞を踊る。
「私たちが演じたかったのは、違うよね。ソプラノの女王の、アリアはもっと透き通った声だった」
 共に練習したワンシーンを、自由の利かない肉体と精神で演じようとする。
「答えは、あなたの中にあるよ……。扇がれる『鸚鵡の鏡(オウムノカガミ)』!」
 もう、ほとんど変異が完了していたが、相手があの豊かな体型の女性であると早苗には判っていた。
 精神のパラドクスが押し返す。
 ふたつのパートは再びぴったりと一緒になり、淫魔のドレスは剥がれ落ちる。
 朔太郎の恋も成就した。
「大事な人よ、元の姿に戻り給え」
 細くなっていた腰にずっしくとした厚みを感じ、抱いた腕の中で朔太郎と同じくらいの背丈まで大きくなった。
「いい。とてもいい詩だった。諸君らの魂を感じた……」
 長身の男性は身を起こそうとしてふらつく。芸術家たちのなかで、変異が最も長かったからかもしれない。
「よく、がんばりましたね」
 サキュバスのアイドルは、またしっかりと抱きとめた。
 ふたりの愛は、役の上でのことだったが、顔は近い。
 学園の支配者は望まぬフィナーレに負け惜しみを言った。
「見込み違いだったヨ。キミらまとめて、退学ッ!」
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【傀儡】がLV2になった!
【飛翔】LV2が発生!
【液体錬成】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【フィニッシュ】がLV2になった!

白臼・早苗
皆の夢を弄ぶこの絵画の仕組みを攻略したかったけど、また逃げられちゃうか……
けれど、今いる人たちの命には代えられない
逃げるバーバラを睨みつけつつも、とっとと脱出の為に動き始めるよ

【完全視界】を利用すれば脱出経路は定められるかな
バーバラがこの絵画を放棄した以上【建造物分解】で最短経路を作る事も出来そう
後は【落下耐性】で人が落ちるような事故に備えれば完璧かな

いつかはみんなも、本物のウィーンで才能を発揮してくれるといいな


大崎・朔太郎
さて、少数精鋭で一気に行きましたがこのまま全生還エンドに駆け抜けていきましょう。

と言っても人手は少ないので【勝利の凱歌】を歌いながら誘導する事で生徒達皆が助け合って逃げて貰いましょうか。さあ、このまま学園と運命を共にしたらダメですよ。皆で行きましょう。更に【友達催眠】で話を聞きやすくして声掛けしたり、怪我人は【フライトドローン】で運んでもらいますかね。

まあ学園じゃなくてもこんだけ人が居るなら劇団とかもやってけそうですけどね、ここじゃなくても。その芽生えた勇気と希望で次にやるべき事が見つかりますように。


 舞台が、幕が、客席が振動し始める。
「また逃げられちゃうか……」
 白臼・早苗(深潭のアムネジェ・g00188)は、もはや慣れたふうで周囲を見渡した。今いる場所は、見た目は劇場だが、淫魔学園の中心部にある校舎の一種だ。
 生徒たちは、元の姿に戻ったとはいえ、舞台そでに固まって震えている。入ってきた側の壁はもう、瓦礫がつみかさなって通れそうにない。
 歴史の重みがあるようなデザインだったから、あの大げさな柱が崩れて塞いでしまったのだろう。
「本物じゃなくてただの絵なのにね」
 その淫魔絵画が、皆の夢を弄んでいる。早苗はまた唇を噛んだ。今度こそ、バーバラ不滅の仕組みを攻略したかった。
 悔しがるのは塵が降ってくる僅かのあいだのこと。
 バルコニー型に張り出した客席が崩落してくる。開いた大穴のその先に、別の校舎の壁面が見えて、早苗は脱出経路に定めた。
 なにより、今いる人たちの命には代えられない。
 抜け穴に向ける視線を横っちょから捉えただけで、大崎・朔太郎(若返りサキュバスアイドル・g04652)は、仲間の意図を察した。眉根をさげて笑顔で声をかける。
「さて、少数精鋭で一気に行きましたが、このまま全生還エンドに駆け抜けていきましょう」
 危機的状況においても、あえて軽くふるまうほうが人を勇気づけられることもある。
 アイドルを務めているならなおさら。
「このまま学園と運命を共にしたらダメですよ。皆で行きましょう!」
 すでに、『勝利の凱歌』は複数が積み上がっている。男性も女性も少女も、それから授業の直前にクラスメイトになった芸術家たちも、互いに支えあって立ち上がった。
「僕等が集まって、生まれた『Braves(ブレーブス)』♪」
 朔太郎の歌声に、生徒たちは導かれる。確かに、歩いて渡るには勇気が必要そうな道。
「バーバラがこの絵画を放棄した以上、主がいないなら好きにさせてもらうよ」
 落下したバルコニーが、早苗によって石材となり、いびつな坂をつくっている。もちろん、外につながる大穴に登れるようにだ。
「いまは進んでいくしかない。朔太郎さん、みんなをお願い」
「さあ、怖がらないで♪」
 オペラを演じるのに、身体能力を高めてきた人たちが、ひとたび行動に出られたなら、建物の一階や二階くらいは乗り越えていける。
 大穴をくぐって、崩壊する淫魔学園から、全員が逃げおおせた。
 ディアボロスたちは、城壁外での無用な混乱を避けるため、練習室メンバーからそっと離れる。
「いつかはみんなも、本物のウィーンで才能を発揮してくれるといいな」
 物陰から、早苗がつぶやきかけると、朔太郎はまた笑って言った。
「ええ。みなさんに芽生えた勇気と希望で次にやるべき事が見つかりますように。ほらまあ、あれだけ人がいるなら劇団とかやってけそうじゃありませんか?」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】LV1が発生!
【勝利の凱歌】がLV3になった!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV3になった!

最終結果:成功

完成日2022年06月19日