白の邪悪は、白き地獄に舞う(作者 塩田多弾砲
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#吸血ロマノフ王朝  #ヴァンパイアノーブルの人間狩り 

『白』
 それは、純潔・善・安らぎ・光を表す色として扱われる事が多い。
 しかし、『寒冷地』においては該当しない。この白銀の世界においては、『白』は死・破滅・悪魔の色としてのイメージが大きい。
 冷気と雪、それらがもたらすものは、死に近しいものだからだ。
『あらあら……先ほどまでの勢いはどうしたのかしらぁ? たかだかこの鎌の切っ先で、その身体を2~30ほど切り付けただけじゃあない』
 そして、冷気漂う雪景色の中、『少女』が佇んでいた。
 白肌の少女は、その肌を上気させていた。嗜虐的な行為に、性的な興奮を覚えているかのように……頬を赤らめ、悦に入った表情を浮かべていた。
 寒冷地だというのに、少女が着ているのは、防寒とは無縁そうな服。ごく普通の、この時代の女性が着ている服だが、肩と胸元が大きく開き、無駄に肌を露出させている。
 そして、その手には巨大な『鎌』が。
 農夫が使うそれではなく、死神が用いるような大鎌だった。幅広の刃は大剣または戦斧にも匹敵しうるほど肉厚で長く、禍々しい。
 大鎌を持つ彼女の目前には、馬橇……馬が引く雪国用の橇が、そしてその橇に括りつけられたいくつかの十字架があった。
 十字架にくくられているのは、人間。数名の男女が、磔にされていた。
 その全てが傷つけられ、瀕死の状態。否……すでに死んでいる。
「……お、お前などに……」
『「お前などに屈しない」とでも言いたいわけ? でもざーんねん。私に屈しないって事は、死ぬ事と同じ事なのよぉ? ほら、アナタのお仲間、全員あの世行き♪ ……って、聞いてない?』
 十字架の男は、死んだ。それを見て、少女はつまらなさそうな表情を浮かべ、
『まったく、面白くないわねー。ま、それなりに遊べたからいいけど♪ さて……』
 少女は、振り返った。
『みなさ~ん、この通り、私は時々、皆さんを「搾取」しに来まーす。ま、皆さんは「家畜」って事でOK? 素直に従えば、あなたたちは僅かな奴隷を差し出すだけで生きていける。そのかわり……逆らえば、こんな風に痛い目に遭う。簡単な事でしょ?』
 少女の視線の先には、この地に住む少数民族……怯えた様子の彼らの姿があった。
『まー、今回連行できる人間は、そんなに居なさそうだけど。じゃあ、お別れは済んだかしら? 済んだわよね? それじゃ……行くわよ、「スカーレットデス」』
『バイバ~イ』と、にこやかに笑みを浮かべつつ、橇に乗り、少女はその場から去っていった。
 それを追い、控えていた犬ぞりが走る。犬ぞりの手綱を引いているのは、血で塗れた肉塊のような、おぞましい生き物。大柄な人間の姿をしているが、その顔には目も鼻も耳も無く、ギザ歯が並ぶ口があるのみ。さらにその口は、顔だけでなく、体中あちこちに開いていた。
 犬ぞりにはロープが繋がれており、ロープには十数人の人間が繋がれていた。
 犬ぞりが速度を上げると……繋がれていた人々は、引きずられていく。
 やがて全員が、倒れ、引きずられ……少数民族たちの視界から消えた。
 彼らは助けようともせず、ただひそひそと、恐怖を囁き合うだけだった。

「……簡潔に言いますと、彼らは人間を、『搾取』しているのです」
 君たちの目前で、白い肌と髪、青色の瞳を持つ美女が説明していた。
 彼女は吸血鬼にして、スノウメイジの、イリーナ・アルスカヤ。その美しい顔を歪ませつつ、隠し切れない怒りの口調がほとばしる。
「吸血ロマノフ王朝のヴァンパイアたちには『農奴』が存在しています。悲惨な状況下で、農作業を強いられる奴隷である彼らは、使い潰され、当然ながら端から死亡していきます。なので、ヴァンパイアノーブルたちは、常に新たな農奴を求め、活動しています」
 それが行われているのは、ウラル山脈東の辺境地域。通称『シベリア』。
 この地域に敷設されている『シベリア鉄道』。ヴァンパイアノーブルたちはそれを利用してシベリア各地に赴き、その地域の少数民族を農奴として集めている、との事だ。
 そして、次に狙われると思しき少数民族の村が判明した。シベリア西のヤーグラと呼ばれる一帯に住む、ウォガル族の集落だ。
「皆さんに行っていただきたい事は、まず一つ。『説得』です」
 最初にするべきは、農奴狩りで襲撃されている、ウォガルの集落に赴いての『説得』。
 このままでは、農奴狩りされるだけであり、滅ぶしかない。ゆえに、彼らを説得し、避難してもらう。
 そのうえで、農奴狩りに来るヴァンパイアノーブルを撃退して欲しい。イリーナは、そう訴えかけた。
「ですが、ウォガル族は『よそ者』を信用しません。そのため、説得は非常に困難が伴います。ですが……『突破口』はあります」
『突破口』、それは『恩義』。
 彼らは恩義に厚く、恩人の言葉ならば耳を傾けるというのだ。
 つまりは、彼らの集落や生活圏内における事件や問題を解決する事で、言い方は悪いが彼らに『恩を売る』。そうする事でこちらの話を聞いてもらえるようにする、という事だ。
「そして、ウォガル族の集落での『事件』や『問題』を解決できたなら、その恩義からこちらの指示に従い、避難してくれることでしょう。その事件や問題に関する事も、聞き出すことができました。これらを解決した後に、説得して避難してもらえれば、ヴァンパイアノーブルへの対抗策、そして迎撃も若干容易になると思われます」
 あくまでも『若干』ですがと、強調するイリーナ。

 では、その『事件』または『問題』は何か?
 ウォガル族集落・トゥルフの目下の問題は、『食料の不足』。
 このところ、食料が取れておらず、このままではヴァンパイアノーブルの問題以前に、餓死するというのだ。
 ウォガル族に限らないが、シベリアの氷雪地帯に住む者達は、獣を狩り、川魚を獲り、それらを食べる。
 野菜や果物の類はほぼ取れない。そのため、採取するベリー類は貴重なビタミン源だ。
 そして現状。ウォガル族トルゥフ集落では、飼っていた家畜のトナカイや馬、羊などが、乳も出さず子も産まず、つい先日に全部が死んでしまった。今はその最後のトナカイの肉を干し肉にしているが、それも底が尽きそうだという。
「なので、家畜となるトナカイなどを数頭捕まえる事。そして、それとともに当座の食糧確保を手伝う事。可能なら一か月、最低2週間分、集落全員が食いつなげるほどの食料確保を、皆さんに手伝っていただきたいのです」
 皆の技量やスキルを用いれば、こちらはそう難しくはないだろう。
「『トナカイ他、獣の捕獲』、『獣や魚の狩猟』、『ベリー摘み』。行うべきはこの三つと思われます。ただ、最近大柄な熊が出没しているため、食料調達中にそれと交戦する可能性が高いとの事です」
 熊も飢えているのか、なりふり構わず襲ってくるため、手を焼いているとの事。
「ヴァンパイアノーブルも、この事を知っていて、僅かな食料と引き換えに身売りしろ、と言ってきた事もあるそうです。既に若者や子供を、農奴として差し出した集落もあるとか。なので……食糧確保をまずは行ってください」
 しかし、これを解決したら、集落の住民たちの態度も軟化し、説得に応じる可能性が若干高まる。少なくとも、恩がある人間ならば、その話に耳を傾けてくれるはず。
 幸い、皆がパラドクストレインで駆けつけてから数日……一週間ほどは、ヴァンパイアノーブルは農奴狩りには来ないはず。それまでに食料確保を行い、解決した後に『集落民の避難』の話を持ち掛け、避難させる。そうすれば、被害を少なくする事ができるはず。
「避難させた後に、まず農奴狩りとして、『スカーレットデス』の群れと、そしてヴァンパイアノーブル『『蟷螂卿』エンプーサ』との戦いになるでしょう」
『スカーレットデス』は、血濡れの人間そのものといった外観。顔はなく、口が体中にある異形で、全身の血液を刃物に変えて切り付ける他、咆哮しつつ突進し噛みつく攻撃を行う。
 そして、その群れを統べるエンプーサは、巨大な鎌を有した少女の姿をしたヴァンパイアノーブル。
「その鎌と、それを操る技術、体術、パワー、スピードが優れているのはもちろんですが、強力な魅了の力で敵を拘束し、吸血する事が可能です。加えて、有した変身能力で一瞬で様々な存在に変身し、敵を嘲笑とともに幻惑し、不意を突く事も得意です」
 背のコウモリの翼は小さいため、飛行能力はないものの、大きくジャンプしたり、木々の枝の間を素早く移動する事もできる。
「……要は、かなりの戦闘能力の持ち主、という事です」

 そして、イリーナは、
「……皆さんには、この農奴として連行されてしまう、トゥルフ集落の皆さんを助けてほしいのです」
 おそらく、最初はよそ者と排斥され、仮に助けたとしても、心を開かず、『さっさと消えろ』と言ってくるかもしれない。
 しかし、だからといって放置する事もできない。
「このように、農奴たち……奴隷を強いられているウォガル族の人たちは、ヴァンパイアノーブルにとって、ひいてはエンプーサにとっては都合がいい存在です。この農奴が得られなくなったら、ヴァンパイアノーブルにとっては大きな痛手になる事は必至でしょう」
 それから……と、イリーナは付け加えた。
「ヴァンパイアノーブルは、少数民族の情報を得るために、シベリア鉄道を利用しての『毛皮』をはじめとする、様々な交易も行っているようです。交易は基本、物々交換で行われているので、毛皮交渉人を装う場合は、少数民族が欲しがるような物品も、持ち込むと良いかもしれません」
 毛皮の他には、例えば小麦や野菜、干した果物や干し肉といった日持ちのする食料の他、ナイフのような日用品なども需要があるかもしれない。
「みなさん、難しい仕事になるかもしれませんが、もし、引き受けて下さるなら……どうか、宜しくお願いします」
 ゆっくりと、イリーナは君たちへ一礼した。

 ユーグラは、自身の住む小屋の中で、すきっ腹で焚火に当たっていた。
 家族はもう、15歳の彼女が年長者になってしまった。両親はあの女に、エンプーサに殺された。祖父も殺され、兄は立ち向かったが返り討ちに。下の兄たちは連れていかれた。
 残るは、ユーグラと、幼い弟や妹たち。
 ユーグラは、弓が得意だった。ヘラジカや熊を、父や兄と協力して仕留めた事もある。お転婆だと言われはしたが、それは別に気にしていない。
 あいつは、あの女は、また皆を攫って行った。長老の元へ年寄り連中が集まり、また色々と話合いをしている。このまま降参して搾取され続けるか、あるいは戦って死ぬか、もしくは……逃げ出すか。
 正直なところ、逃げる事はしないだろう。このトゥルフ集落の老人たちは、この地を聖なるものと捉えている。ウォガル族は、年老いた者が故郷たる聖地から逃れる事は、無礼であり恥だという思想を有しているのだ。今まで若者が説得しても、聞く耳を持たなかった。ゆえに、避難はしないだろう。
 だが、それ以上に。この集落には『食料』がない。最後のトナカイの干し肉は、そろそろ底をつく。かつては元気だった弟や妹たちも、もうぐったりして動けない。
 雪を溶かした湯から作ったハーブティーを飲むが、そのハーブも空に。薄い味付けのハーブティーは、口に含むと、ビタミン不足でできた口内の潰瘍に染みる。
 もう限界。狩りに行きたいが、今の状態では、おそらくは雪の中に倒れるか、逆に熊や雪狼に食われるだろう。
 弟や妹たちは、寝静まっている。ユーグラも、火を見つつ、そのままうとうとと眠りに入っていった。
 せめて、夢の中では、お腹いっぱい食べたい。
 そう思いつつ、ユーグラは眠りに落ちていった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
2
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【傀儡】
1
周囲に、ディアボロスのみが操作できる傀儡の糸を出現させる。この糸を操作する事で「効果LV×1体」の通常の生物の体を操ることが出来る。
【飛翔】
3
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【一刀両断】
1
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【腐食】
1
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【熱波の支配者】
2
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【冷気の支配者】
1
ディアボロスが冷気を自在に操る世界になり、「効果LV×1km半径内」の気温を、最大で「効果LV×10度」低下可能になる(解除すると気温は元に戻る)。ディアボロスが望む場合、クロノヴェーダ種族「アルタン・ウルク」の移動速度を「効果LV×10%」低下させると共に、「アルタン・ウルク」以外の生物に気温の低下による影響を及ぼさない。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【断末魔動画】
1
原型の残った死体の周囲に、死ぬ直前の「効果LV×1分」に死者が見た情景が動画として表示される世界になる。この映像はディアボロスだけに見える。
【平穏結界】
3
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【過去視の道案内】
1
移動時、目的地へ向かう影が出現しディアボロスを案内してくれる世界となる。「効果LV×1日以内」に、現在地から目的に移動した人がいなければ影は発生しない。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【植物活性】
1
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【土壌改良】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【液体錬成】
1
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【建造物分解】
2
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【操作会得】
2
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【口福の伝道者】
2
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。
【ハウスキーパー】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建物に守護霊を宿らせる。守護霊が宿った建物では、「効果LV日」の間、外部条件に関わらず快適に生活できる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【クリーニング】
1
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。
【建物復元】
2
周囲が破壊を拒む世界となり、ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の建造物が破壊されにくくなり、「効果LV日」以内に破壊された建物は家財なども含め破壊される前の状態に戻る。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。
【寒冷適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、摂氏マイナス80度までの寒さならば快適に過ごせる世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV5 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV9 / 【ガードアップ】LV6 / 【凌駕率アップ】LV1 / 【反撃アップ】LV3 / 【先行率アップ】LV2 / 【ドレイン】LV2 / 【アヴォイド】LV1 / 【ダブル】LV1 / 【ロストエナジー】LV5

●マスターより

塩田多弾砲
 こんにちは、塩田です。
 今回は、まずウォガル族の集落・トゥルフ村の人々を説得する事から始まります。
 そしてそのためには、トゥルフ村の問題、「食糧不足」を解決する必要があります。
 なのでまず、
「②少数民族の危機を救え!」にて、食料を調達して下さい。
 ウォガル族は狩猟民族かつ、家畜を飼って生活しています。狩る獲物は、羊や馬、トナカイ、ヘラジカ、熊。これらの他、ライチョウ、ハクチョウなどを狩り、その肉を食べます。川では川魚、特に鮭を獲っています。
 これらの多くは、干し肉や干し魚などにして保存します。家畜はトナカイやヘラジカ、馬や羊などを飼い、それらの乳も飲み、あるいはチーズやクリームに加工して食べます。
 植物は、雪の中に自生しているベリー類やハーブ類を中心に採取しています。
 小麦は野生のものがほとんど手に入らないため、貴重品です。なので遠方からの商人から小麦粉を購入したり、物々交換したりする事が普通です。また、同様に野菜や果物の類もほぼ取れないため、これらも貴重品です。
 これらを踏まえた上で、現地に赴き狩りをするなり捕獲するなりして、食料調達を実際に行ってください。こちらからある程度食料を持ち込む事もOKですが、ウォガル族は一方的に施される事を好まないので、やりすぎると拒否されます(よそ者ならばなおさらです)。なので可能な限り、現地調達するようにしてください。
 なお、木彫りの細工物(装飾品)や小さな像なども作っており、物々交換の品にしていますが、あまり盛んではありません。
 食料調達した後に、「①故郷を捨てて」にて、村から避難する事の説得。➁の内容いかんで、説得できる可能性が変化します。
 その後に、「③一般人を襲うトループス級」「④アヴァタール級との決戦『『蟷螂卿』エンプーサ』」と戦うことになります。
 皆様のご参加をお待ちしております。
73

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


鳩目・サンダー
食えてこそ、とはよく言ったもんだ。

まずはベリー摘みかな、ベリーは魚や獣みたいに逃げないから。
【口福の伝道者】で増殖させてまずは差し出す。

「人助けに来た、なんて綺麗事は言わねえよ。
最近この辺で人攫い共が、食いもんの無さにつけこんで荒稼ぎしてやがる。
奴らはあたしらにとっても敵でさ、アンタらが狙われると凄く困るんだ。」
「アタシらでよければ、代わりに飯を調達する。だからここいらの狩場や狩りのやり方を教えて欲しい。」

信頼してもらえるまで幾らでもベリーを摘んで増殖させて持って来る。
熊は……遭遇したらパラドクスぶつけてみるか。貴重なたんぱく源だ、見事狩れればお慰み!

アドリブ、連携歓迎します。


草薙・美珠
●目的
ウォガル族の方たちの食糧不足問題を解決するために、狩りのお手伝いをします。

●準備
ウォガル族は施しを好まない誇り高い方々とのこと。
ならば、私は放浪の旅人として村に立ち寄り、いったん村人たちに保護していただきましょう。
薄着で旅をしてきたので暖が欲しいと言えば、家に泊めてくださるかもしれません。
もちろん食事はいただきません。

●行動
一宿の恩を返すという名目で、ヴォガル族の方たちの狩りを手伝います。
【罠結界形成】で狩り場に無数の捕獲罠を設置。
食料になりそうな獲物を生け捕りにしていきます。

狩りが成功したら、獲物を村に持ち帰るだけですが……
どこに罠をしかけたか把握しきれず、自分も罠にかかるのでした。


アッシュ・シレスティアル
残留効果は全て活用
心情
このディヴィジョンに来るのは初めてだが…これは確かに厳しい環境だな。
とりあえずやる事やっていくとするか。

行動
初めての環境で普段より長期の滞在になりそうなので
【寒冷適応】で寒さによるデメリットを打ち消しながら活動する。 
自前の翼で飛べるので空から獲物になりそうな動物を探したり、
獲物を仲間が設置しているであろう罠の方に逃げるように誘導し、
食料と毛皮を少しでも多く確保するとしよう。

※アドリブ、絡み歓迎


鋤・六郎兵衛
任務、承知つかまつった。
御下命如何にしても果たすべし。

刃物を扱う中年の旅商人に扮して接触する。「七方出」の忍術でござる。
小柄と呼ばれる短刀型の手裏剣を見せよう。代価として毛皮を求める。

「景気が良くなさそうですな。どうかなさったんですかい、旦那方」
事情を聞き出し協力を申し出る。
「なぁに、お客さんが幸せならあっしらも儲かる。そいつが商売って奴ですぜ」
恩を売らない様な態度で接する。

トナカイの生息地に向かい「情報収集」「追跡」で探索。「暗殺」「忍び足」で気配を消し逃げられぬ様にするでござる。
【傀儡】にて操り、集落に連れ帰る。これを何回か繰り返す。
熊に出くわしたらパラドクスと刀で仕止め獲物とする。


セシリー・アーヴェンディル
【アドリブ/連携歓迎】
ここは生きるにも厳しい世界だな。
余所者に排他的なのも余裕がないからなのか。
しかし、拒絶されようとも私のやるべきことは変わらん。

行きずり聖職者として、しばらく寝床を借りれないか交渉しよう。
代りに狩りの護衛を務める。これでも腕が立つ方だ。
断られても勝手についていくがな。
熊が出てきたら【光の流星】で、できるだけ傷つけずに打ち取る。
毛皮も利用できるならそちらの方がいいだろう。
熊には申し訳ないが、これも生きるためだ。

村に戻ったら食事にするとして、少しは干し肉として取っておく。
口には出さないが非難する布石は打っておこう。


アンジェリーカ・リヴィンスキー
まずはシカあたりでも仕留めて持って行くわ。
えぇ、もちろん貴方達の事は風の噂で聞いた事があるから施しを受けろ、とは言わないわ。
ただウチには御覧の通り獲物を狩る力がある、だから協力させて貰えないかしら?

協力してもらえるなら弓が使える人を数名借りるわ、そして獲物のいる場所まで移動して…パラドクスで【泥濘の地】を発動、獲物達の動きを鈍らせるわよ!
さぁ、皆!これなら狙い易いはずよ!必要な分だけ狩っちゃいなさい!

熊が現れたらウチが相手するわね、まぁ野生動物なら適当に殴ってやれば尻尾巻いて逃げるでしょう。

後はプランターと肥料や種でも持ち込んでハーブを室内で育てられるようにしてもいいかもしれないわね。


メルセデス・ヒジカタ
狩り……ですかあ
お祖父様に連れられて、魚釣りに行くことはありましたが
クロノヴェーダ以外を狩るのは初体験ですね

私は特段、狩り向けの技能はないですが、忍び足、偵察、地形の利用を活かし、川辺等を重点的に調べてみますか

おっきな足跡があれば、やっぱりクマですよね
私、一度……クマと手合わせしたかったんです
仕留めれば食料も安全も確保できますし

クマといえば……川で鮭を捕るものですよね?

足跡があれば、近くの茂み等に隠れ待ち伏せ
獲物が来たら、薙ぎ払い、フェイント、斬撃を活かし、素早く斬り伏せたり、しぶといならグラップルで懐に飛び込み足払い

ヤバいときはクイックアサルトで仕留めますが、できれば剣の業でやり合いたいもの


●ソリ遊びが好きなら、ソリ運びも好きになれ
「…………」
 じろりと、ウォガル族・トゥルフ村の老婆は、『旅人』たちへ警戒の眼差しを向けていた。
「こんにちは、私たちは旅の者ですが……訳あって暖を頂きたいのです」
 草薙・美珠(退魔巫女・g03980)が、申し出た。
「ああ。私は旅の聖職者だが、この通り迷ってしまって……。近くにあなた達の村が見えたため、神のご加護と思い、こちらに伺った次第だ。しばらく、寝床を借りられないだろうか?」
 彼女に続き、セシリー・アーヴェンディル(ルクスリア・g02681)も声をかける。
 トゥルフ村の、いちばん手近の小屋。その扉をノックして、出てきた老婆に挨拶をしたのだが、
「……断っておく。あたしらウォガル族の信じる神は、この大地におわす古き神々だけだ。よそ者の神など、信じるつもりは無い」
 セシリーへ敵意を隠しもせず、老婆はそう言い放った。
「用事があるなら、この先の赤い屋根の小屋に行きな。そこの村長に話を通すんだね」
 それ以上は聞く耳持たないとばかりに、老婆は扉を閉めた。

「……なるほど、旅で難儀しているから、泊めろ、と」
 ゴダンと名乗った村長が、焚火を挟んで床に座りつつ、
 対面に居るディアボロスたちを、じろりと見つつ言った。
 ゴダンの周りには、老人たちが睨んでいる。
「よそ者の神の使いと、黒髪の娘。それに……」
「ああ、あっしは刃物を扱う旅商人、鋤・六郎兵衛(新宿忍者・g06539)と申すものでさあ」
「アタシは、鳩目・サンダー(ハッカーインターナショナル同人絵描き・g05441)という。よろしくな」
「アッシュ・シレスティアル(蒼破拳・g01219)だ」
「メルセデス・ヒジカタ(冥腐魔道・g06800)と申します。よろしくお願いします」
 ゴダンは皆を見回し、
「……そっちの娘、その鹿はなんだ?」
 仕留めた鹿を持ち込んできた、アンジェリーカ・リヴィンスキー(吸血鬼のダークハンター・g07564)に問いかけた。
「貴方たちの事は、風の噂で聞いています。誇り高き一族だと」
 ゴダンが何かを言う前に、アンジェリーカは言葉を続けた。
「施しを受けろ、などとは言わないわ。ただ、ウチには御覧の通り、『獲物を狩る』力、もしくは技術がある。これを見せれば、その事が伝わるかと思いましてね」
 そして、
「だから、『協力』させていただけないかしら? 一宿一飯のお礼に、あなた方の力になりたい。ウチ……いえ、私も、そして皆も、そのつもりです」
「私も同じだ。宿泊の返礼として、『狩りの護衛』を努めさせてはもらえないか? 私は戦士でもある。これでも腕は立つ方だ」
 アンジェリーカに続き、セシリーも申し出る。
 彼女らに返答せず、ゴダンは、
「……刃物を使う商人、とか行ったな。お前の持つ商品とやらを、見せてみろ」
(「……用心しているでござるな。それもまた、この村では必要なのでござろう」)
 六郎兵衛は、ひそかに思った。排他的かつ無礼ではあるが、この過酷な環境ゆえ、用心深くなって当然だろう。
「これでさあ。ちょいと前を失礼……良く切れる刃物ですんで、扱いにはご注意を」
 と、『小柄』……短刀型の手裏剣を、いくつかゴダンたちの前に、床に並べた。
 その一つを、ゴダンは手に取り、じっくりとためつすがめつする。なめし革の切れっぱしで切れ味を試してみたりした後に……再び六郎兵衛へと視線を向けた。
「……悪くない。物々交換できるか?」
 少しだけ、態度が軟化したようだと、六郎兵衛は感じ取った。
「へへっ、どうも。何と交換しましょう? 毛皮とかどうです?」
 その言葉に、ゴダンは周囲の老人たちとひそひそ言葉を交わし合い、
「……いいだろう、そのナイフ三本につき、上質の毛皮一枚。それでいいか? 手持ちのを全部貰おう」
「毎度。手持ちは十本ありますんで、毛皮三枚と交換ということで。一本は、おまけしますぜ」
 物々交換の取引は、穏やかに終わりそうだ。
 ディアボロスたちは静かに、安堵の溜息をつくのだった。

●自分のものでないソリに乗るな
「ところで、景気が良くなさそうですな。どうかなさったんですかい、旦那方」
 と、六郎兵衛が問いかけた。
「……悪いが、あんたらには関係ない」
 問いかけに、ゴダンたちは再び、態度を硬化。
「……あー、物は相談だが」
 と、鳩目が切り出した。
「最近この辺で、タチの悪い人攫い共が、食いもんの無さに付け込んで荒稼ぎしてやがるんだ」
「!」
 それを聞くと、ゴダンは睨み付ける。
「……それは、鎌を持った悪魔の事か? それを退治してやる、とでも?」
「いや、人助けに来た、なんて綺麗事は言わねえよ。奴らはアタシらにとっても敵でさ、アンタらが狙われてると凄く困るんだ。つまり、これはアタシらの仕事で、アンタらに協力して欲しいってわけさ」
 そして、ゴダンに改めて向き合うと、
「どうだろう。アタシらでよければ、協力の礼として、アンタらの代わりに飯を調達する。だから、ここいらの狩猟のやり方を教えて欲しい」
「…………」
 再び、沈黙。
 ゴダンは周囲と、再びひそひそと話合い、
「……いいだろう。我らウォガルの民は、施しは受けない。だが、正当な働きには敬意とともに対価を支払う。お前たちが求めるは、『トゥルフ村に宿泊』と『悪魔を殺すための、我らの協力』。その二つか?」
 鳩目は「そうだ」と頷き、他のディアボロスたちもそれに続いた。
「求めの対価は、『トゥルフ村に糧をもたらす』。その働きを以て、我らへの代償とする。それも間違いないな?」
 ゴダンの言葉に、皆は頷いた。
「ユーグラ! 来い!」
 少女が、奥から進み出てきた。彼女はその手に、羊皮紙を持っていた。
「お前たちの名前をこの羊皮紙に書き、名前の最後にナイフで切って、親指で血を押せ」
 血判を押せ、ということらしい。
 全員、それを済ませると。
「これで、契約は為された。狩場などの細かい点は、ユーグラに聞け。それと、仕留めたその鹿は保管しておこう」
 他に聞く事は? ゴダンは、まだ警戒している口調で言い放った。

 鹿は、ゴダンの家に置かれる事に。
 そして、日も暮れて。その日はユーグラの家に泊まる事になった。
「……両親と祖父、兄たちの寝床がある。好きに使って構わない。皆、悪魔に殺され死んだからね」
 その居間……焚火の周りに座ったディアボロスたちは、『狩り』の作戦会議を始めた。
「皆さん、ここで……サーハ! トゥーバ! 覗くんじゃありません!早く寝なさい!」
 家の奥から、ユーグラの弟と妹が、物珍しそうにのぞき込んでくる。美珠とメルセデスは思わず手を振った。
「御兄妹ですか?」
「弟さんに、妹さんね。かわいいわ」
「……ええ」
 沈んだ顔で、ユーグラは美珠とメルセデスに答えた。
 そして、火を囲み。皆は、『狩り』の話し合いを開始した。

 次の日。
「それじゃあ、行って来るわね」
 アンジェリーカが、ユーグラを含めた数名の弓手とともに、出発した。
「アンジェリーカ殿は、カリブー(野生トナカイ)を狩る予定でござるな。拙者は……」
 六郎兵衛もまた、トナカイやヘラジカの生息地へと赴く予定だ。
「私は、川辺に向かって、川魚や鮭を獲りに行ってきます」と、メルセデス。
「で、俺たちは……」
 アッシュは、美珠、セシリーとともに、やはり別の方角に向かうグループに同行し、獲物を狙う予定。
「こっちの方は、野生のウサギやライチョウなどもいるそうです。アンジェリーカさんと私たちは、食料にする獲物を狩りに向かい……」
「メルセデスは川で魚を狙い、鳩目は森の中でベリーを採り、六郎兵衛は『家畜』にする獣を捕まえてくる、だな」
 美珠とセシリーは、昨日に話し合った内容をともに確認していく。
 鳩目には、同行者はいなかった。普段は老婆や子供が行うのだが……空腹で動けず、しかも近場のベリーは皆採り尽くしてしまっていた。
 それでも、たった一人だけだが……老婆・ウークが同行してくれるという。
「……動けるのが、わしだけなんでな」
 ウークは、村の一番手前の小屋に住む、あのぶっきらぼうな老婆だった。見ると、具合があまり良く無さそうだ。
「……私たちが考えているより、事態は悪化しているようですね……。急ぎましょう!」
「ああ」
 早く何かを捕まえて、持ち帰り、皆に食事を摂らせなければ。美珠とセシリーは、焦る己の気持ちを抑えつつ、雪原へと歩を進めた。

 アンジェリーカは、ユーグラ、そして弓を持った狩人3~4人とともに、カリブーの群れを追っていた。
「……くっ」
 目下アンジェリーカは、若干の空腹を覚えていた。だが、そんな甘えなど感じている暇はない。己を叱咤し、借りた弓を握りしめる。
 やがて、数時間後。
 カリブーの群れを発見した。
「……私たちが先行し、逃げ道を回り込む。反転して逃げてくるから、そこを弓で狙って。あと……」
 皆殺しにはせず、獲り過ぎないように。ユーグラはそう念を押した。
 ユーグラたちは、ゆっくりと群れの先へと回り込み……、
 狩りが開始された。弓が放たれ、カリブーたちが反転し、こちらへと向かってくる。
 アンジェリーカと肩を並べる狩人二人が、弓を構え、撃つ。
 アンジェリーカも弓で矢を放つが、
「……一頭は仕留めた、けど! このままじゃ逃げられる!」
 向かってきたカリブーたちは、大きく広がって矢をかわし、そのまま逃げてしまったのだ。
 アンジェリーカたちのいる場所から、大きく曲がると、そのまま、……森の中へと逃げ込もうとする。このままでは、全てが逃げられてしまう。
 アンジェリーカは弓を置き、白金の大剣を抜くと、
「……憤慨せし大地の咆哮!『ガイアブレイク』!」
 カリブーの群れ、ないしはその先へと向け、剣を振り下ろした。
 地面にたたきつけられた大剣の刃から、強烈な衝撃波が放たれる。それは広範囲に、雪の荒野に広がり、
 カリブーたちは、衝撃波の『場』に、もろに突っ込んだ。衝撃波はぬかるみを作り、カリブーたちはそのぬかるみに足を取られ、次々に転んでいく。立ち上がろうとしても立てない。
「さぁ、皆! これなら狙いやすいはずよ! 必要な分だけ狩っちゃいなさい!」
 急行したユーグラたち、狩人たちは、一瞬目を丸くしたが、
 すぐに矢を射かけ……カリブーを仕留めるのだった。

 雌や、子供を優先して、群れの半分のカリブーを逃がしたのち、残りを屠殺し仕留めたユーグラは、
「ありがとう、よくわからないが、あなたのその力で狩る事ができた。礼を言う」
 アンジェリーカに礼を述べていた。
 とりあえず、五頭の獲物が手に入った。持参した小さなソリに獲物を乗せ、帰路につく。
「さて……他の皆は、どうかしらね」
 寒風が吹き始めている。吹雪になりそうだと、アンジェリーカは予感していた。

●キノコと名乗ったからには、カゴに入れ
「無いわねえ……」
「……そのようだねえ」
 ベリー類は、季節的に実っていてもおかしくはなかったが。しかし、見つからなかったのだ。
「見つけても、全部は採るんじゃないよ。残しておけば、必ずまた増える。ウォガルの古き神々の教えだ」
 ウークは、愛想は悪いものの、決して罵倒や愚痴はこぼさなかった。
 とはいえ、ベリー類も含め、少しは欲しい所だ。どこかにないか……、
「……あの、ウークさん、これは?」
 ふと、森の中、木々の下生えの中に。
 キノコが多数生えている中に、鳩目は発見した。多くのベリーが生えているのを。
「これは……こんなにたくさん! ああ、大地の神々よ、感謝します」
 思わずウークは合掌し、鳩目もそれに釣られ、微笑んだ。
 見たところ、リンゴンベリー……いわゆる「コケモモ」に、ハスカップに似た黒いベリー、クロスグリ(カシス)、もしくはそれらに似た数種のベリーが、その場所には多く実っていたのだ。
 ウークはそこに近づこうとしたが……立ち止まった。
「? どうしたんで……」
 鳩目も、立ち止まる。
 強烈な獣臭、そして、血の臭いに気付いたのだ。
 二人は途端に『怖気』を感じ取った。
(「……いる! 何かが、あたしらを狙ってる?」)
「……居場所は……あっちの方か……」
 ベリーの灌木の向こう、そこは木々や下生えに囲まれ、昼なお暗くなっている。
 血の臭いと獣臭は、そちらから漂っていた。そして……、
『そいつ』が、その姿を現した!

「……見つけたぜ。あれはウサギの群れだな。あっちは……ライチョウの巣か」
 背から翼を生やし、空中に舞っていたアッシュは、獲物を発見していた。
 獲物は、ユキウサギの一群……小枝を食んでいる……に、ライチョウの巣。
 デーモンである彼は、自前の翼を用いて空を飛べる。空中からの視線は、地上からと異なり、全体を俯瞰できる。故に……、
「……美珠嬢が仕掛けている罠は、あの辺りのはず。あのウサギたちを追いこめば……引っかかってくれるだろうよ」
 とはいえ、やはり『寒い』。
『寒冷適応』で、なんとか寒さを打ち消しはしているが、それでも寒風は容赦なく、アッシュの肌を切り裂いていく。
「まあいい、仕事にかかるとしよう」
 と、降下したアッシュは。
 ウサギたちを追い立て、罠の方向へと向かわせるのだった。

「お前さんたちの友達は、妙な奴だな。空を飛べるとは」
「え、ええ」
 そう言われ、木の陰に隠れている美珠は、やはり同じく隠れている村の狩人からそんな事を言われていた。
「……草薙の大御神、結界に踏み入る者に罰を与えん事を、畏み畏み申す…」
 祝詞とともに合掌し、祈る美珠。
 じきに、自分たちの視線の先を、ウサギが素早く飛び跳ね、通っていく。ウサギたちの逃走経路からは離れているし、風下に居るから、匂いも感知されず、感づかれないはずだ。
……仕掛けた『罠』に関しても。
「……? あの嬢ちゃんも、神の使いなのか?」
 美珠の祈りに興味を引かれた村の狩人へ、セシリーは、
「ああ。彼女は、私の信ずるのとは異なる神の巫女だ」
 と、それとなくフォローしていた。
 やがて、ウサギたちが通りがかり、
「! やりました!」
『罠結界形成(トラップ・フィールド)』、形成された結果以内の罠が発動、小さな獣たちを捕えていった。
 発動した『罠』は、大規模な『雪の泥濘』。ウサギたちは、泥濘と化した雪に足を取られ、沈み込み、狩人たちが近づいても逃げられない。そのまま、何羽かのウサギが捕らえられ、トゥルフ村の狩人たちに生け捕りにされていった。
 美珠も立ち上がり、狩人を手伝うため近づこうとする。
「獲る獲物は、群れの半分でしたよね。半分を獲って、残り半分は逃がしましょう……きゃあっ!」
 が、数歩近づいた、その途端。
 美珠も罠に引っかかった。自分の『罠結界形成』で形成した罠の一つ……近くの木の、しなった枝に足を取られ、そのまま木の上に逆さまにぶら下がってしまったのだ。
(「で、でも今回は大丈夫です! 雪国ですし、ズボンはいてますから……」)
「まったく、毎度何をしてるんだ。ほら、今助ける……」
 と、セシリーが向かうが、
「「あ」」
 ズボンが脱げ、下半身に何もつけない状態になり、
 美珠は、雪の上に落ちてしまうのだった。
「きゃああっ! お尻が冷たい! ……って、いやっ!見ないで下さい!」
「……いつも通り、だな」
 ズボンを取り戻そうと、ぴょんぴょん飛ぶ美珠を見て、セシリーは呟くのだった。

「……何かあったらしいな」
 その様子を、アッシュは遠目に見ていた。彼はライチョウを仕留め、巣から卵も拝借していた。
 再び空を飛び、美珠らの方へと向かおうとしたが、
「……ん?」
 別の方向に顔を向けると、『それ』の存在を認めるのだった。

●悲しみは海ではないから、飲み干せる
「……これで、三度目……」
 カリブーを探しに、生息地へと赴いていた六郎兵衛だが、カリブーではなくヘラジカを捕まえていた。その首に引き綱をかけ、生きたまま村へと連れ帰る。
「……これは……一体、どうやって……?」
 一度に数頭のヘラジカを、まるで意志を操るかのように扱い、捕まえている。訝しく思う村人も居たが、多くは感嘆していた。
「ああ、いやいや。ちょっとした宴会芸でさ。自分も動物を扱う仕事を、昔にしたことがありやしてね。へへへ」
 愛想笑いして、六郎兵衛はその場をごまかす。
 ごまかしつつ、自身がどうやって捕まえたかを頭の中で整理していた。

 忍者である六郎兵衛は、『情報収集』したうえで、カリブーやヘラジカの群れを『追跡』していた。村人からこの地域の地図を借り、情報を聞いたうえで、単体で探索していたのだ。
 やがて、軽く吹雪が吹き始めた頃。
 ヘラジカの群れを発見した。川べりに集まり、休んでいる様子だった。
 こっそりと、忍び足で近づき。木の陰から、
「……『忍法・影縫いの術』!」
 その群れのメスと思しきヘラジカの近くへ、手裏剣を打ち込んだ。びっくりして、立ち上がろうとしたヘラジカだったが、すぐに落ち着きを。
(「……さあ、こちらに来るでござる。そちらのヘラジカも……」)
『傀儡』で、複数のヘラジカを立たせ、そして、自分の思う通りに歩かせる。
「家畜にする分は、この程度で良かろう……ん?」
 途端に、六郎兵衛は動きを止めた。
「……これは……殺気? 徐々に、近づいているでござるか?」
 途端に、『傀儡』の術中に陥っていないヘラジカたちが。危機を察したのか、いなないて、川から逃げていった。
 六郎兵衛が連れているヘラジカたちも、逃げようとしている。
「……さあ、来るでござる」
 まだ、殺気を放つ『何か』との距離は遠い様子。ならば……このヘラジカたちを早く持ち帰らねば。
 先刻以上に、警戒心をあらわにしつつ、六郎兵衛は、
 ヘラジカたちを連れて、集落へと急ぐのだった。

「……死んだ?」
 鳩目は、ウークとともに。
 現れた『それ』と、目を合わせていた。
『それ』は、傷を負い、流血したカリブーだったのだ。血の臭いと獣臭がひどく、鳩目とウークの目前に現れると、そのまま倒れ、動かなくなった。
「……この傷。間違いない、熊にやられたようだね」
 わき腹が、ざっくりと鉤爪で抉られている。おそらくはやられた後に、必死に逃げて、ここまでたどり着いたのだろう。
「……古き神々よ、どうかこの獣に安らぎを」
 ウークはカリブーに祈り、そして、
「……さ。このベリーとキノコを摘むよ」
 カゴを置き、鳩目に促した。
「はい。半分は残す、だったっけ? ……このトナカイの死体は?」
「ベリーとキノコを持って帰った後で、もう一度ここに来て持ち帰るとするさ。人手が必要だがね」
 無駄にはしない、という事か。
 だが摘みながら、鳩目は訝しんでいた。
 ……このトナカイを殺した熊は、今どこに?

「!?」
 川で釣り糸を垂らしていたメルセデスは、そう遠くない場所からの『いななき』を聞いていた。
 既に、鮭を数尾釣り上げて、びくの中に入れている。
「……あれは、カリブーの『いななき』? なぜ、いなないたのでしょう……」
 その答えは、すぐに分かった。
 遠目から、森の中から『それ』が……『熊』が姿を現したのだ。
「……ここからは、距離が遠いですが……間違いありません! あの熊……」
 血潮で汚れている。おそらくは、獲物を狙うも逃げられたのだろう。そのために気が立っている。
 ゆえに、魚を狙いここに来たら……、
 あとは言わずもがな。熊は咆哮すると、メルセデスへと突進してくる。
 その熊は、異常だった。大きさが普通ではない。四足の状態でも、体高が2mを超えている。普通の狩人、普通の人間なら、パニクっても当然だが、
「……したかったんです! 『熊との手合わせ』!」
 メルセデスもまた、普通ではなかった。竿を放り、打刀を抜くと……、
 その剣先を、獣へと向けた。
「……いざ、尋常に勝負!」
 突進してきた熊は、直立する。その咆哮は雪の平原に響き渡り、まさしく白い雪原の悪魔にして魔獣。
 熊の爪が空を切り、メルセデスへと襲い掛かるが……、
「はーっ!」
 その爪を、頬に通りすがるのを感じ取りつつ、刀を切り上げた。
 熊の口から、再び咆哮が。切断された熊の右前足が宙を舞い、河原に転がった。
「……え? がはあっ!」
 だが、熊もただ片腕を失っただけではない。そのままその巨体を肉弾と化し、
 右肩から体当たりを放ったのだ。メルセデスは態勢を整えようとしたが、間に合わず、
 河川の中に転がり、冷たい水の中に叩き付けられた。
(「……さすがは、熊! やりますね!」)
 全身の打撲と、川の水からの冷気、それらの『痛み』が、かえってメルセデスの思考を冴えさせる。
 熊はすぐ近くに接近。川の流れの中でしっかりと立ち、メルセデスは、
「……はーっ!」
 正眼に構えた刀剣を、熊へと打ち込んだ。
 刃が、熊の右肩に食い込む。が……、
「! しまった!」
 刀が抜けない。
 熊の意図を、メルセデスは察した。こいつは、『肩にあえて刃を食いこませ、止めようとしていた』のだ、と。
 熊は残った左腕を振りかぶり、その鋭い爪をメルセデスに振り下ろした。
「くっ!……」
 そのまま刀から手を離したメルセデスは、後方へと下がって爪をかわす。だが、頬に小さなひっかき傷を付けられたと悟った。
 こうなったら、クイックアサルトで仕留めるか。そう思ったその時。
「『光の流星(スーテラ・ルーメン)』!」
 十字聖剣ルクスリアからの、聖気の光が放たれ、
 熊へ直撃していた。
「大丈夫か!?」
 セシリーが、メルセデスへと駆け寄ってくる。
 熊はそれでも、なんとか直立していたが、
 そのまま後ろざまに倒れ、ひくひくと痙攣しつつ……動かなくなった。
「……助かったわ、ありがとう」
「アッシュが、空から熊らしきものを発見してな。そのうちの一つを確認するため、こっちに向かったら……出くわしたわけだ」
 剣で熊の心臓へ止めを刺しつつ……、セシリーは言った。
「頬に、ひっかき傷があるが、大丈夫か?」
「いえ。それより……まだまだ未熟だと思い知らされたわ。もしも本当にヤバい時には、『クイックアサルト』で仕留めるつもりでしたけど……って、今なんて言いました?」
「頬に、ひっかき傷があると……やっぱり痛むか?」
「じゃなくて、『そのうち一つ』って言ってましたよね? 別のがあるんですか?」

●村中から糸を一本ずつ集めれば、赤ん坊にシャツがやれる
「さあ、こっちだ! 来い!」
 低空飛行するアッシュを、雪原の熊……先刻に見つけた、もう一頭の熊が、四足になって追う。
(「熊ってのは、かなり速く走れると聞いたことがあるが。確かに速いな」)
 実際のところ、熊は速かった。馬の走行速度と同程度の速さで、空中を進むアッシュを追っている。
「美珠嬢、頼むぜ……!」
 そして、アッシュの視線の先には。
 木の陰に隠れている美珠の姿があった。
 アッシュは、木々が生える地点に辿り着くと、そのまま上空へと高度を上げる。
 熊はアッシュを目で追い、立ち上がった。
 が、すぐに新たな獲物を発見したとばかりに、美珠の方へと向かっていった。
 それを見つめ、怯えたような表情を浮かべる美珠。
 だが、熊が数歩接近した、その時。
 周囲の大木が、いきなり熊へと倒れ掛かった。
「……うまく行きました! 『罠結界形成』の効果、残ってて良かったです……」
 が、すぐに熊は大木をはねのける。
「え……きゃあっ!」
 しかし、熊はそれ以上動かなかった。
「……間に合ったでござるな」
 六郎兵衛が、そこに駆けつけていたのだ。熊の足下には、手裏剣が刺さっている。
「『忍法・影縫いの術』、そして……」
 切り捨て御免。そう呟きつつ、動きを止められた熊の首筋に、刀を深く切りつけ、
 六郎兵衛は熊の命そのものを、切り捨てた。
「……やりました、さすがです!」
 倒れる熊を見て、美珠は喜び、木の陰から出てきたが、
「……その……早く下を履くでござる」
 六郎兵衛は、すぐにそっぽを向いた。
「え? きゃああっ! 忘れてました!」
 彼女は、ズボンが脱げたままだったのだ。
 アッシュが、罠に引っかかったままのズボンを回収し、
「……ほら、美珠嬢。早く履くといい」
 木の陰に再び戻った美珠へ、それを差し出すのだった。

「……村長、彼らは自らの力を以て、これらの糧を手に入れた。そして、村の掟を守り、獣の群れの半分を逃がした」
「……見つけたベリーにキノコも、摘む時に半分を残していた。我らの掟に従い、我らに糧をもたらした」
 ゴダンの小屋、その中で。
 ユーグラ、ウーク老婆、そして狩りに参加した者達の言葉に、ゴダンは耳を傾けていた。
「……熊を二頭、倒したのも事実か?」
「事実だ。河の方は雄で、もう一頭は雌、互いに連れ合いだったらしい。雄の方は、腕を片方切り落としたが、肉や毛皮にするのには問題ない」
 ゴダンは、獲物を見つめた。
 仕留めたカリブー数頭に、ウサギにライチョウ。鮭もまた、丸々太ったものが20尾近く。
 ベリー類……いわゆるハスカップに、リンゴンベリー、カシスが、それぞれカゴにいっぱい。
 キノコもまた、食用のマセリョーナクキノコだけでなく、薬草となるチャーガキノコも採取していた。それとともに、僅かだがハーブも
 そして、生きたヘラジカにカリブーも十数頭。雌と雄、子供もおり、雌は乳を良く出す。食肉のみならず、それぞれの乳も飲めそうだ。家畜として、頭数も十分。
 少なくとも一月以上は、村人たちを飢えさせずに済む。
「……良いだろう。旅の者たちよ、掟と、結んだ約束に従い、お前達を『友』と認めよう。ウォガル族トゥルフ村の村長、ゴダンの名において、感謝の意を」
 そう言うと彼らは、ディアボロスたちの前に飲み物の椀を差し出した。
 中に入っているのは、先刻のヘラジカから絞った乳を温め、塩と香辛料、ハーブで味付けしたもの。
「飲みなさい、精が付く」
 皆は、それを口にした。最初は面食らった者もいたが……慣れると、そう悪くはない味だった。
「……ウーク婆さん、女衆を呼んでくれ。今日は宴を開くとな。久々に料理を作ってくれ。ユーグラ、宴の後でいい。干し肉と干し鮭作りを始めなさい」
 アンジェリーカの鹿肉も、用いられるようだ。
(「……どうやら、第一歩は成功、のようだわねえ」)
 鳩目はやれやれと、安堵のため息をついた。
 だが……問題は此処からだ。友人として受け入れてくれたが、ここからどうやって、村の皆を……避難するようにゴダン村長たちを説得するか。
 出来なかったら、村人を守りつつ戦わねばならない。
 ゴダンは頑固で、掟を守り厳しく律する事が必要だと考えているようだ。ウーク婆さんも同じ考えらしい。
(「……あの子たちの事も、考えないとね」)
(「もしも、子供でも『ここから動きたくない』とか言い出したら、どうしましょう?」)
 メルセデスと美珠も、悩み始める。
 だが、今は少し休もう。休んだ後で、今後の事を考えよう。
 ディアボロスたちはヘラジカ乳のホットミルクを飲み干し、体を温めるのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
【寒冷適応】LV1が発生!
【傀儡】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV2が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!

鳩目・サンダー
ひとまずはパラドクス通信の確保かな、ということで量志通神拳を使用。

ウーク婆さんの信頼は……篤くは無いがそれなりに得られた、と思う。
「最初に言った通り、質の悪い人攫い共が此処を狙ってる。アタシらの本当の目的は、奴らを叩き潰すことだ。」

「助けてやるなんて言わない。人質にならないでくれって話なんだ。
アンタらが『悪魔』と言う通りあいつらは強い。
本腰を入れて攻め込まれたらアタシら含めタダじゃ済まねえ。」

悪魔共を押し返す算段はあるが、ここが戦場になるのまでは避けられない。

友の名に懸けて、『悪魔』は一匹残らずぶち殺す。だから、今だけはこの場所を任せてはくれないか。

アドリブ、連携歓迎します。


アッシュ・シレスティアル
後の戦闘で使えるであろう【光学迷彩】を用意しつつ。

『悪魔を殺すための協力』を確約してもらえているからそこに絡めて…

以前と同様に家畜、遊び道具として搾取する予定で集落に来たがもぬけの殻で何の成果も得られないとなったら相手の子供っぽい性格的に冷静さを欠くと思うんだ。

「ほら、家畜と侮りなめ腐ってた相手にまんまと逃げられたってなったら面子丸潰れだしな?」

冷静さを欠いた相手ってのはこっちも幾分か戦いやすくなるわけだ。

なのであなた方には相手から冷静さを奪うため、俺達が万全に戦うため、そしてあなた方が自身の身を守るためにも敵に知られてしまったこの集落を出て欲しいんだ。

…こんな感じか?

※アドリブ、絡み歓迎


アンジェリーカ・リヴィンスキー
それじゃぁ協力してほしい事があるのだけど…この集落を捨てて他の場所に逃げてくれないかしら?
ウチらは実は貴方達が言う悪魔共に抵抗している存在なんだけど、アイツらって凄惨な状況を作り出すほど力が増すみたいなのよね。

相手も最初こそ余裕な態度でウチらを倒してからゆっくり人狩りをすればいいとか考えるかもしれないけど…追い込まれたら死に物狂いで貴方達を殺そうとしてくる可能性は高いわ。
そういう相手を止め切るのは難しいだろうし、それで力を増されるとウチらでも勝てる可能性は低くなるわ、だからウチらを助けると思って協力してくれると助かるのだけど…。

もちろん、いずれは安心してこの集落に戻れるようウチらも尽力するわ。


セシリー・アーヴェンディル
【アドリブ/連携歓迎】
城砦都市の時は愛着であったから聞く耳を持ってくれた。
しかし信仰とは精神的なよりどころ、悪く言えば無条件な依存だ。
それを否定されるのは人生の否定に等しい。
無理に説得では逆に意固地になりかねん。まずは話を聞いてみるか。

あなた方はここを聖地としてるそうだな。
どのような由来があるのだろうか?
ところで、この村は老人と子供ばかりに見える。
働き盛りは人攫いにやられてしまったか?
次はユーグラ達の番ではないかと、心配だろう。
村長としてはどうするか考えているのだろうか?


草薙・美珠
●目的
ウォガル族の人たちを戦いに巻き込むわけにはいきません。
吸血鬼が来る前に、ウォガル族の人たちには村から避難していただきましょう。

●説得
ここは嘘を言っても仕方ありません。
正直に、私たちが吸血鬼と戦うこと。そのためにウォガル族の方々には村から避難して欲しいことを告げましょう。

もし頑固に村から離れないと言うようでしたら、このまま村に住み続けても吸血鬼にまた襲われる危険があると説得します。

●避難先
避難先の目処もなく村から離れてはくれないかもしれません。
そこで、二頭の熊が巣にしていたであろう洞窟か何かに移住していただけないか提案します。
もちろん、熊の巣は探して、危険がないか確認しておきます。


メルセデス・ヒジカタ
ここは、素直に事実を話すのが得策ですかね
……この集落を、残忍で陰湿な吸血鬼が狙っています

目的は、あなた達を奴隷とすること
そうなれば、抵抗しても殺される

抵抗しなくても……命尽きるまで、搾取される
結局は、吸血鬼に命を奪われる

このまま、この地に留まっていれば、結末はそうなるでしょう
ですが、私達は……そうなることを望みません

あなた方もそうでしょうが……友の窮地は、放って置けませんからね

ですので、吸血鬼に知られている……この地から離れていただけないでしょうか
例えば、狩人達が大掛かりな狩りの途中に野営する、比較的見張らしもいい水場がある場所や廃村とかあれば、滞在先としては理想的かも

必要なら【士気高揚】使用


●馬を哀れんだ狼が、尻尾とタテガミだけ食べ残してやった
『余裕』は、思ったよりも重要な要素である。
 食料がある事で、村に『余裕』が生まれた。そこから……村は『話合い』を受けてくれた。
 そして今、ディアボロスたちは。ゴダン村長たちと焚火を挟み、今後の事を語り合っていた。
「……『信仰』とは。厄介だ」
 話合いの際に、
「ゴダン殿。この地の由来を、教えてくれないだろうか?」
 セシリー・アーヴェンディル(ルクスリア・g02681)が、問うた。
「……この地に住み続ける、その由来か? 良かろう、語ってやろう」

 かつて、ウォガル族は神々とともに、豊かな大地に生きていた。
 しかし、次第にウォガル族は自然への感謝の心を忘れ、更には神々にも弓を引いた。
 怒った神々は、大地から熱を奪い、寒冷の地に。
 神々は言った。
 欲と傲慢が、汝らを堕落させた。故に、己を厳しく律する罰を与える。汝らは厳しき雪と氷の大地の中、様々な困難をその身に受けつつ生きよ。そして、その命を全うすることで、神々の住まう天国に行くことが出来る。然らざれば地獄に落ちる。
 かくして、ウォガル族は村をこの地に作り、この地に住み続ける事となった……。

「…………」
 つまりは、『厳しい環境で生活する事』自体が信仰なのだと、セシリーは理解した。
 吸血鬼に襲われている事もその一環。故に……『逃げる』という安易な方法を良しとしないのだろう。
「……己の村での問題は、己で解決する。それが……我が一族の掟」
 ゴダンの言葉に、
「……だが、最初に『約束』はしてもらえている。その事は、覚えているだろうか?」
 アッシュ・シレスティアル(蒼破拳・g01219)、そして、
「ええ。単刀直入意に言えば、『この集落を捨てて、他の場所に逃げてくれないかしら?』」
 アンジェリーカ・リヴィンスキー(吸血鬼のダークハンター・g07564)が、切り出した。
 が、ゴダンは大きくため息をついた。
「……もちろん覚えている。食料についても感謝している。だがその代わりに『約束だから信仰を曲げ、この地を捨てろ』と言いたいわけか?」
「待て、それは違う!」
 セシリーはそれを否定するが、
「……村長さん。ならば、こちらの話を聞いてください」
 メルセデス・ヒジカタ(冥腐魔道・g06800)と、
「そうです! これだけは信じて下さい。私たちは……あなた方に『嘘』は言いません」
 草薙・美珠(退魔巫女・g03980)が、身を乗り出した。

●食欲は、食事の時に沸く
「この村から、避難しろ、か」
 台所。ウーク老婆は摘んできたベリー類を鍋に入れ、ジャムを作っていた。
 鳩目・サンダー(ハッカーインターナショナル同人絵描き・g05441)は、その様子を後ろから見守る。
「……あんたらには恩がある。それに嬢ちゃん、あたしはあんたを気に入ってるよ。しかし、だからと言って『助けてやるから土地から出ていけ』というのに従う理由にはならん」
「……だったら、アタシからも少し言わせてくれ。ウーク婆さん。そのジャムを作りながらでいい」
 老婆の背中を見つつ、彼女の心を繋げんと、心の中で言うべき事、伝えるべき事を整理する。
 そして、『量志通神拳』……強き想いの拳を放つ時のように、自分も心を落ち着かせる。
 落ち着かせ、彼女は……語り出した。
「……まずは……最初に言った事を覚えているかな。『質の悪い、人攫い共がここを狙っている』と。アタシらの本当の目的は、奴らを叩き潰す事だ」
「…………」
 ウークは無言のまま、鍋のジャムを木匙でかき回す。
「……そして、奴らは卑怯で卑劣だ。アンタらもおそらく、身をもって知っていると思う」
 ジャムの匂いの中、ウークは木匙でひとすくいし、味見をすると、
「……で? あんたらはそいつらから、あたしらを『助けてやる』と?」
 静かに、そう問いかけた。

「……『嘘』をつかない?」
 ゴダンは、メルセデスへ視線を向けた。
「ええ。こちらの知っている事、そして『お願いしたい事』を、包み隠さずお伝えします。……すでにご存じの通り、あなた達が『悪魔』と呼ぶ、残忍で陰湿な吸血鬼。彼女が、この集落を狙っています」
 後ろの老人たち、そして近くに控えているユーグラは、それを聞き……動揺した様子を見せた。
「目的は、あなた達を『奴隷』とする事。既に何人も連れ去られているように、使い潰し、死んだら改めて『狩り』に来る。奴らには、話し合いも、駆け引きも、何一つ通用しません」
 ユーグラが、明らかに狼狽している。下の兄妹を巻き込みたくないのだろう。
「戦って、抵抗したら確実に殺される。抵抗しなくても……命尽きるまで搾取される。結局は、吸血鬼に命を奪われる事になります」
 メルセデスに続き、
「私たちは、そのような吸血鬼と戦い、倒す事が目的です。そのために村の方々には、村から避難して頂きたいのです」
 美珠が言葉を継ぐ。
「…………もし、避難せずにいたら?」
「……吸血鬼にまた襲われます」
 ゴダンの表情が、より渋いそれに。
「……なぜ、お前さんたちは、奴らと戦う?」
 今度は、アンジェリーカが答える。
「……ウチらは、実は貴方達が言う『悪魔』共に抵抗している存在なのよ。あなたたちがこの土地と、集落を守りたいと思っているように、ウチらも守りたいものがある。だから戦ってる」
 アンジェリーカの返答を聞き、ユーグラが今度は質問した。
「……あの……」
 今度は、ユーグラが質問した。
「……奴らを、倒せるのですか? 確実に倒せる『算段』、あるのですか?」
「……そうね、アイツらは……」
 と、アンジェリーカは思い出した。確かこのユーグラは、家族のほとんどを、あいつらに殺されたという事を。
「アイツらって、凄惨な状況を作り出すほど力が増すみたいなのよね。それは間違いない。だからこそ……」
「……やつらから、冷静さを奪い、倒そうと思う」
 アッシュが、ユーグラへ告げた。

●猫が居なければ、鼠の好き放題
「……どうなんだい? あたしらを『助けてやる』んだろう?」
 振り向き、そう訊ねるウーク老婆へ、鳩目は、
「……いいや、助けてやる、なんて言わない。『人質にならないでくれ』って話なんだ」
 目をそらさず、自分なりに誠意を込めつつ答えた。
「…………」
 ウークに見られつつ、鳩目は言葉を続けた。
「アンタらのプライドを傷つけるつもりも、下に見るつもりもない。ただ、アンタらが『悪魔』という通り、あいつらは『強い』。理不尽なくらいにな。そして……」
 息を呑み、一息ついて、
「……本腰を入れて攻め込まれたら、アタシら含めて、タダじゃ済まねえ」
 静かに告げた。
「『算段』はある。奴ら悪魔どもを押し返す『算段』はな。だが、ここが戦場になるのまでは、避けられない」
 ぐつぐつという、ジャムが煮える音が響く。
「……友の名に懸けて、『悪魔』は一匹残らずぶち殺す。だから……今だけは、この場所を任せてはくれないか?」
(「……ったく、単なる同人絵描きのアタシにゃ……リアルで『説得』なんぞ、ちょいとばかしきっついぜ。けど……」)
 それでも、自分なりに正直に、己の気持ちを込めた。
 どう答えてくれるか? 老婆からの返答を、鳩目は待った。

「冷静さを奪うってのは、どういう事だ?」
 アンジェリーカとアッシュの言葉に、逆に興味を惹かれたのか。
 ユーグラだけでなく、ゴダンも疑問を口にした。
「……例えばの話だが。奴ら……ここを襲った『悪魔』が、以前と同様に『家畜』及び『遊び道具』として、村の皆を搾取しようと集落に来たとする。しかし、その集落がもぬけの殻で、何の成果も得られず、無駄足に終わったとしたら?」
 アッシュの質問に、
「……怒る、だろうな」
 ゴダンは、そう答えた。
「そうだ。相手の『悪魔』。奴の称する『遊び』というのは、相手よりも強大な力を用いて、一方的に好き勝手する事に他ならない。だが、『遊び』が出来ないとなると……子供っぽい性格的に、『冷静さを欠く』と思うんだ」
 この依頼を受けた時から、アッシュは敵の吸血鬼少女を分析し、予測を立てていた。
 そんなアッシュの言葉に、
「……確かにな。やつは……力はある、技術もある。だが……子供だ。それは間違いない」
 頷くゴダン。
「ああ。それにその手の子供は、相手を『家畜』と侮り、舐めくさって油断するものだ。そんな相手に対し、まんまと逃げられた、もしくは一杯食わされたとなると、面子丸つぶれだしな? 感情を揺さぶられると、冷静さもまた崩れやすくなる……こっちも幾分か、戦いやすくなるわけだ」
 訴えかけるアッシュに、目を閉じ、ゴダンは更に頷いた。
「……そっちのお嬢さんも、同じ考えか?」
 目を開くと、今度はアンジェリーカに問うゴダン。
「ええ。相手はおそらく、最初こそ余裕な態度で、ウチらを倒してからゆっくり人狩りすればいい……とか考えるかもしれない。けど……その分、追い込まれたら、死に物狂いで貴方達を殺そうとしてくる可能性は高いわ」
 そして、そうなったら……と、言葉を続ける彼女。
「そうなったら、相手を止め切るのは難しいだろうし、それで力を増されると、ウチらでも勝てる可能性は低くなるわ。だからウチらを助けると思って、協力してくれると助かるのだけど……」
「……先刻に、『この集落を捨てて、他の場所に逃げてくれないか』と言ったのも、そのためか?」
 その質問には、アッシュが返答した。
「そうだ。なのであなた方には、『三つの理由』から、敵に知られてしまったこの集落を出て欲しいんだ」
「三つ、だと?」
 理由を、セシリーが述べる。
「ああ。一つ……『相手から冷静さを奪うため』」
 続き、美珠が
「一つ、『私達が万全に戦うため』」
 三つ目を、メルセデスが、
「そして、一つ『あなた方が自身の身を守るため』」
 最後に、アンジェリーカが補足した。
「もちろん、いずれは安心してこの集落に戻れるようウチらも尽力するわ」
 伝えるべき事は、伝えた。
 後は、ゴダンたち、村人たちの判断。
 ディアボロスたちは、彼らからの返答を待った。

●贈られた馬の歯にケチをつけるな
「……あたしは、この台所で、半生を生きてきた」
 しばらくして、ウーク老婆が呟き始めた。
「……カリブーや鮭を料理し、亡き夫や子供たちに、振舞ったものだ」
 その口調は、どこか寂し気なものに。
「……この台所、貧乏くさいだろう? だが、あたしの人生そのもので……大事な場所だ」
「…………」
 その姿は、新宿にも、かつての日本にも多く居た、ごく普通の老婆のそれと変わらない。
「……ジャムが焦げるな……のう、お嬢ちゃん」
 再び、火を調節し、ジャムをかき混ぜるウーク。
「……『この場所を任せてくれ』と言ったね。いいだろう、任せた。ただ……これだけは心に留めておいてくれ。取るに足らんものだが……ここはあたしらにとって、大切な場所だという事を」
「……もちろんだよ。忘れない」
(「……肝に、銘じないとな」)
 その事を、鳩目は深くかみしめていた。

「……避難先を、決めねばならないな」
 後方に控えていた老人たちと、ひそひそと相談をして、しばらくしてから。
 ゴダンは、そんな事を言い始めた。
「? 何を……」
「なあ、異国の神の使いよ。お前さん、この村の人間をどう思う?」
 そして、セシリーに話を振る。
「え? ……その、老人と子供ばかりに見えるが……」
「そうだ。働き盛り、成人たちは、皆……あいつらにやられてしまった。子供の数は、それなりに居るが……どうやらわしらがすべき事は、お前さんたちに従う事のようだな」
 そして、頭を下げた。
「今回に限っては、神々も『他者に頼った』と、お怒りにはならんだろう」
 ゴダンのその言葉。それは、ディアボロスたちの指示に従うという意思表示に他ならない。
「ありがとう。……俺たちも、全力を尽くす」
「ええ。決して、あなた達の期待を裏切らないわ」
 アッシュとアンジェリーカもまた、安堵した表情とともに請け合った。

 こうして、避難が決定。しかし、
「ただ、そうなると……避難先をどうするかが問題ですね」
 メルセデスの言う通り、一時的に避難するためには、村人全員がどこかに避難する必要がある。が、問題はその『どこか』があるのかどうか。
「あのっ、二頭の熊が巣にしていたであろう、洞窟か何かに移住してみては? 洞窟でしたら、吹雪いても大丈夫だと思います」
 美珠の提案に、ゴダンはかぶりを振った。
「いや……この近隣には、洞窟は無い。この周辺の熊は、大抵が木の洞や、地面を掘り進めた穴を巣穴にしている。多数の人間が入り込めるほどの巣穴や洞窟は……残念ながら、近場には無いな」
「では、野営地は? 狩人たちの、大掛かりな狩りの途中に野営するような、見晴らしも良く、水場もあるような場所はありませんか?」
 メルセデスの提案には、
「……夏場に、用いている場所ならある。あそこはここからそう離れていない……あの悪魔どもも知らないはずだ。奥まった場所にあるため、わしらのような周辺地域に詳しい者でなければ、偶然に発見するのも難しいだろう」
 と、程よい返答が。しかし、
「……だが、今は冬場。そしてあの辺は、冬季の今頃にはひどい吹雪で……寒さで熊も死ぬ場所。愚か者以外、冬場には近づかん」
「駄目か……」
 天を仰いだアッシュだが、
「……だが、道具を整えればなんとかなるだろう。食料もあるしな」
 ゴダンの言葉に、反応した。
「でも、吹雪で危険なのでは……」
 アンジェリーカが心配するが、
「いや、三日~四日程度なら、テントでしのげる。心配するな」
 そう答えた。そして、
「……お前さんたちが悪魔と戦うなら、わしらも戦わねばならん。一蓮托生だ」
「…………」
 ディアボロスたちは、その言葉の意味を、心で感じ取っていた。
 ウォガル族トゥルフ村の者たちは、覚悟を決めたのだ。戦いの覚悟を。
「……わかった。俺たちも覚悟を決める」
 アッシュはそう答えた。皆も、それに続く。
「頼むぞ。わしらの命、お前さんたちに預けた」
 アッシュたちディアボロスの言葉に、覚悟を決めた表情で、ゴダンは頷き、改めて頭を下げた。

 次の日。
 避難が開始。トゥルフ村のウォガル族の者たちは、野営地へ向けて出発した。
 数日で、野営地に到着する。その予定日は、エンプーサとトループス級が、この村に襲撃すると思しき日。敵を迎え撃つには、ちょうどいい。
「……風、吹いてきたな」
 セシリーは迷ったが、やがて……祈った。
「……神よ、トゥルフ村の者たちに、どうかご加護を」
 美珠もまた、
「草薙大神よ。どうか、ユーグラさんと、弟のサーハくん、妹のトゥーバちゃん、その他村人たちが全員、戻って来られますように……聞し召せと、畏み畏み申す……」
 と、草薙大神へと祈る。なぜかサーハには、妙な親近感を覚えたが。
「お婆さん。必ず、アタシが村を守ってみせる」
 ゴダンやユーグラとともに、ウークも野営地へ向かっていった。それを見送った鳩目も、自身に誓うかの様に……呟いていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【ダブル】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV2になった!

アッシュ・シレスティアル
残留効果は全て活用
心情
何とかいい感じに説得できたな。
これで女ヴァンパイアの吸血まであと少し…まだニヤける時じゃねぇ、耐えるんだ俺…!

戦闘
「まずは挨拶代わりの一発だ!」
本命に備えてブーステッドフィストを装備し、【光学迷彩】で身を隠しつつ様子を伺い、タイミングを見て1番近い敵を狙い攻撃を仕掛ける。
「このまま囲んで叩くぞ!」
以降は集落のものが傷つかないように自身の翼で滞空して上から全体の位置を把握しつつ、一体一体確実に数を減らしていく。
「そんな刃で傷付けられるとでも思ったか?」
相手からの攻撃は避けずに籠手で受けてすぐに双翼魔弾で反撃する。

※アドリブ、絡み歓迎


鳩目・サンダー
コトの前に台所を掃除するつもりだが……まああの婆さんだ、片付けて出て行ってるだろうね。

それより、村長から一蓮托生って言葉を引き出したんだって?やったじゃねえの!
これで心置きなく仕事が出来る!

可能な限り戦場は外で。任された台所だけは荒らされる訳にいかねえ。

「【ハウスキーパー】!居るんなら出てこい!たまには役に立てよこンのハズレエフェクト!!」
ウーク姐に恥ずかしいとこ見せられないんだよ。今回ばかりは仕事してくれ!


【パラドクス通信】でこまめに全体の状況を把握しつつ、仲間全体で包囲するように動いて殲滅する。報連相は此方の貴重な強みだ。
先手先手に動いて、好きにはさせない。

アドリブ、連携大歓迎


アンジェリーカ・リヴィンスキー
さて、それじゃぁ始めましょうか。
ウチらディアボロスの本業を!

まずは足元の雪を払いあげるようにして雪の煙幕を作るわ!
その後囮として剣を放り投げて、それに釣られた相手の横っ面に直接アースクエイクを叩き込んでやるわ!
剣に釣られる相手が居なかったとしても武器を捨てたと油断して突っ込んでくる奴が居たらやっぱり顔面に直接アースクエイクを叩き込んでやるわ!
何せこっちは雪の煙幕の中でも完全視界で相手の行動は丸見えだしね!

敵の攻撃、斬撃部分は何とか耐えるけど…吸血の方は先日仕留めた獲物から血抜きした時に出た血を袋に詰めた物を服の下に仕込んでおくわ!
自分の血の代わりにそっちを吸わせる事で回避を試みる寸法って訳よ!


草薙・美珠
●目的
ヴォガル族の皆さんのためにも、村を襲う吸血鬼の妖魔を撃退してみせます!
村人たちが帰ってこられるように、妖魔を滅します!

●戦闘
身体中についた口で噛みついてくる妖魔ですか。
あの毒々しい体液、噛まれてしまったらどんな霊障を受けるかわかりません。
噛まれて意識を失うということは、精神に悪影響を受ける可能性もあります。
噛まれないように気をつけて戦わないといけませんね。

ここは【封魔の鎖】による聖なる鎖で妖魔の動きを封じましょう。
神様の霊力が宿った鎖は、下級妖魔程度では脱出不能です。

相手の動きを封じたところで、草薙剣の聖なる一撃で消滅させてあげます。
退魔の一撃、受けてください!

って、鎖の制御がっ!?


セシリー・アーヴェンディル
【アドリブ/連携歓迎】
彼らが避難を受け入れてくれて助かった。
ならば一刻でも早く帰ってこれるよう、私達も奮闘せねば。
ここは彼等と信ずる神の住まう土地だ。
故にそれを蹂躙する貴様等には、それこそ罰が与えられるだろう。

【光の障壁】で敵の攻撃を一身に受け止めよう。
さらに複数の障壁で囲って行動を阻害する。
今回は特に建物などに被害を出すわけにはいかん。
貴様等が好きに暴れられると思うなよ?
そして強固な障壁はあらゆるものを切り裂く刃にもなる。
敵がまとまったところで、水平に障壁を作り出して胴を切断してやろう。


メルセデス・ヒジカタ
村の人達は避難してくれました
ですが……長引くと厳しい環境のようです

早く敵を殲滅し、少しでも避難が短く済むようにしたいですね

忍び足、偵察を活かし、【光学迷彩】で建物の陰等に隠れ、敵の位置や数を確認
情報は【パラドクス通信】で仲間と共有します

敵が射程に入ったら、秘儀・矢追流で1体ずつ確実に斬り伏せましょう
敵の攻撃は、光使いを活かし、太陽光や月光を刀に反射させ目晦まししたり、フェイントで左右に回避するとみせて、屈んでみたりと回避

手加減できる状況でも相手でもないので、建物等への被害は無視
敵を倒し状況が落ち着いたら、速やかに【建物復元】で破壊前の状態に戻しますね

今日中に復元すれば、避難前の状態にできますね


ダキア・マウゼル (サポート)
(バレンタイン仕様)
甘党であるダキアは、お菓子作りに悪戦苦闘する。が、料理経験が皆無のためチョコは謎の爆発を起こし、ケーキは破裂し、クッキーは炎上する(そういうギャグで構いません)。そして完成したお菓子は見た目はともかくなぜか美味で一人満足する……多分。マスターに委細お任せします(サポートなのて)。
「お菓子作りは戦闘と同じ……段取りが八割よ!(手元が狂う)」
「チョコを送る相手ならここにいるわ!(自分をドヤ顔で指さしながら)」
「うん……おいしい。見た目に目をつむるなら」


白王・シギトロ (サポート)
『くすくす、お願いしますね。』
 人間の無双武人×鬼狩人、女の子です。
 普段の口調は「妖しげな感じ(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 嘘をつく時は「真面目な口調(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
少し相手を戸惑わせる様な飄々とした感じで話し
不敵な微笑みを浮かべたり妖艶な印象を与えるが本人は真面目。
刀を得意武器にしている。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


狛玉・タマ子 (サポート)
まずタマの口調はちと風変りゆえ、煩わしく思われるじゃろう。
時代に拘りは有らぬが概ね古風にゃ言回しに加え、稀に言葉が猫語のような『にゃ、にゃあ、にゃん』なぞに変換される場合があるのじゃ。ただし語感の善し悪しを重んじるがゆえにあまり多用してはおらぬ。

良くも悪くも場を愉しまんとする趣ゆえに真面目さが乏しいのも然り。それは己が思う妖怪たる在り方を意識する処に寄るものであるのじゃ。さりとて復讐者の務めを無碍にあしらうつもりはにゃいのでな。情勢を見定め相応しき働きを披露してくれようぞ。正に猫の手も貸してやると諺のままよ。はて、にゃにか間違いを申したかのう? 呵呵呵ッ


ライラ・バルターグ (サポート)
『時間に干渉する秘術、お見せします』
 人間の時間神官×風塵魔術師、9歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、~様、です、ます、でしょう、でしょうか?)」、敵には「敬称なし(私、呼び捨て、です、ます、でしょう、でしょうか?)」です。

 パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ユーク・エメラブリント (サポート)
『んーと、それならボクは、こっちを担当しますね。任せてください♪』
甘いものとキラキラしたものには目がない、サイボーグ少女。
油断すると、いつもの口調に。
明るく元気で、甘いものは別腹。
お祭りなどの楽しそうなイベントも好きで、わいわいと盛り上がります。

戦いの際は、状況に応じて、メタリックプロミネンスやフリージングミサイルを使います。
冒険や日常で、ルナティックシンフォニーを補助的に使います。
どちらかというと、後方で皆さんの補助をすることが多いです。

『一緒に頑張りましょうね!』
『甘いものは別腹だよ♪』

また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


セド・ファジュル (サポート)
『陽光が、我らの胸に射すまで』
 私/貴殿/ですます、でしょう、でしょうか?
後方援護を得意とし、前線では鞭を使った攻撃を行う。相手の動きを鈍らせることが出来れば幸いです。
パラドクスは指定したものをどれでも使用。多少の怪我は構いません、全ては取り戻すため。

他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。


エルフリーデ・ヴァッセルマン (サポート)
『敵さん、もう勝った気? よし、教育してやるわぁ』
 サイボーグの航空突撃兵の女です。
 普段の口調は「アンニュイ(私、あなた、~さん、ねぇ、ねぇん、でしょお、なのぉ?)」です。
敵の上空から急降下突撃して、機関砲を乱射したり航空爆弾をばら撒く戦法を好みます。

 パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。また、任務達成のためなら汚れ役、エッチな役割も臆せず行います。どんとこい。
 あとはおまかせ。どんどんサポートに参加させてほしいです。よろしくおねがいします!


最上・奨 (サポート)
気さくなお兄さん
誰にでも明るく声を掛け、手助けを惜しまない
同行者と状況次第で前衛後衛使い分ける
基本的には他の仲間のフォローに回る事を好む

口調は今どきの若者
チャラい様だが本人は真面目で正義漢
敵に対して挑発じみた台詞を吐く事も多々
味方には気を配り、檄を飛ばしたり心配して声を掛けたり
それなりに知識も教養もあるので考察や解説役も可能

パラドクスは指定した物をどれでも使用
多少の怪我は厭わず積極的に行動
戦いは無茶をするが、一般人相手には慎重を期す


天河・星良 (サポート)
困った人を放っておけない心優しい少女です。
刻逆までは普通の学生だったので戦い慣れておらず、敵に立ち向かうのが怖いですが、彼女なりに勇敢に戦います。
サモンデバイス(宇宙柄のスマホ)を両手で握りしめて、契約召喚をします。
他のパラドクスの描写はお任せします。
パラドクスは指定した物をどれでも使用します。
アドリブ、他参加者様との絡み歓迎です。
日常では、綺麗なものや可愛いもの、スイーツが好きで、スマホでそれらの写真を撮って楽しみます。


斎藤・多喜 (サポート)
人間のカースブレイド×ガジェッティア、15歳の男です。
左の中指に着けている指輪は斉藤さんちに伝わる呪いの品で、力をくれる代わりに命削られたり常時猫の姿と藤花の景色が見えてます。

パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


白臼・早苗 (サポート)
基本的に行動はお任せするよ

普段はどっちかというと無口だけど、依頼によっては人と話す事は平気だし、目立つことも大丈夫かな
気配を隠したり、或いは逆に気を引く行動を取って、臨機応変に情報収集はやってくね

戦闘では隠し針がメイン武器かな
投げたり、直接手に持って刺したり、パラドクスによっては特殊な効果が付いてるのもある
一応、別で拳銃と刃物くらいは隠し持っているけど、あくまで保険だね


シェスト・ツリュクベコメン (サポート)
俺は居場所を取り戻すためなら、どんな冷酷な事でもする。

戦闘では元軍人の戦闘知識で自分が有利に立ち回れるように動き、主にアサシネイトキリングでの暗殺で手早く終わらせる。
敵に見つかっている状態ならばメタリックプロミネンス、集団戦ではアナイアレイションで一掃する。
敵の攻撃は看破し避けるか忍耐力で耐える。
多少の負傷はいとわない。
仲間との連携も積極的に行おう。

戦闘以外では情報収集も得意だ。
食べ物の選り好みはしない。酒は適度に嗜む。
ボケは基本的に無視するが、話が進まなければ鉄拳制裁はするかもしれん。

クロノヴェーダに妻と娘を奪われたが、今でもあいつらを愛している。
他の女に興味はない。

好きなように使ってくれ。


那月・理穏 (サポート)
サキュバスの少女
普段の口調は「たおやかに(私、あなた、~さん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」

記憶の多くを喪っており、残っている記憶も実感が持てず曖昧。
感性はほぼ一般人。争いごとが苦手で臆病で穏やかで優しい性格。
サキュバスだけど貞操観念は強い。清純派でお淑やか。
戦闘も得意じゃないけど、がんばる。

 パラドクスは指定した物を、武器や技能は持っているものをどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


●赤い鮮血が、白き大地を染める
 先刻まで吹雪いていたが、現在はそれが止まり、ひとときの平穏が訪れていた。
 曇りがちの空も、雲間が切れて光が差し込んでいる。しかし……、これから訪れるであろう戦いの事を考えると、これは嵐の前の静けさ、動乱の前の静けさ、そんな風に思えてならない。
 そんな事を考えつつ、鳩目・サンダー(ハッカーインターナショナル同人絵描き・g05441)は、ウーク老婆が居た『台所』を掃除しようとしていた。
 が、
「……やーれやれ、あの婆さんの事だから、片付けしてるとは思ってたけど、案の定だな」
 既にそこは、小奇麗にされていた。
 台所の湯沸かし用の火は、消えている。現在、居間の暖を取る焚火以外は付いていなかった。
「……まあ、いい。あの婆さんに、台所のきれいさをキープしたままで、返さなきゃね」
 トループスとアヴァタール倒した後でだけど。
 同人誌の資料用に、少しばかり写真でも撮っとこうかな。内装の材質に、質感に、経年による変化。そこまでリアリティを追求する事も無いだろうけど、資料はあり過ぎて困るわけでもないしな。
「鳩目さん、どうしました?」
 と、メルセデス・ヒジカタ(冥腐魔道・g06800)が彼女を呼びに来た。
「……え? あー、はいはい。今行きますよ、っと」
 そろそろ、外の見張りとの交代時間。シュラフを羽織り、外に出る。
「……あのー、交代に……」
「……ふっ……」
「……もしもーし?」
「……? 鳩目嬢か。何か?」
「いや、アッシュ・シレスティアル(蒼破拳・g01219)さん。そろそろ見張りの交代の時間なんで……あの、何か嬉しそうだったっすけど」
「……いや、何でもない」
 そう言うと、アッシュは鳩目と交代した。
 そこにあるのは、即席で作った小さな小屋。小屋と言っても、風雪を遮り、中で小さな焚火が焚ける程度の、本当に小さなもの。
 ディアボロスらは外の見張りを行うにあたり、そこに入っていたのだった。
 鳩目は、アッシュと入れ違いに、そこに入り込む。小さな焚火の火は、若干消えかかっていた。
(「……なーんか、『もうじきお目当ての本が買える』と、即売会前日で楽しみにしてるかのようだったけど」)
 ま、こちらには関係ない。それより、ちゃんと見張って、敵を見つけなきゃあね。

「……まだだ。まだニヤける時じゃない……耐えるんだ、俺……」
 と、アッシュは自身に言い聞かせつつ、居間へ。
「どうしました?」
 と、家の中で焚火に当たっていた草薙・美珠(退魔巫女・g03980)と、
「外は寒かったようだな、火に当たるといい」
 セシリー・アーヴェンディル(ルクスリア・g02681)に、迎えられた。
「丁度、身体の温まるハーブティーを淹れたけど、飲む?」
 と、アンジェリーカ・リヴィンスキー(吸血鬼のダークハンター・g07564)が、小さな木製のカップを差し出す。
「ありがとう。少しもらおうか」
 アッシュはそれを手に取り、湯気の立つハーブティーの香りを嗅いで口にする。
 やや苦みがある味だが、悪くはない。ハーブのせいか、飲んだ後に胃から、身体の奥から、温かくなってくるのを感じる。
「……今のところ、異常は無し。集落の皆を避難させて、今日で三日目か。ユーグラやゴダンたちが言うには、今日くらいにそろそろ『奴ら』がやってくる頃だと聞いていたが……」
 まだ、来ない。慌てすぎたか。
 もちろん、早めに避難させてそれに越したことはないが、避難先も決して平穏ではない。移動の際に持って行けた食料は四日分、ぎりぎり節約しても五日分。加えて……居場所を悟られないように、可能な限り火を起こす事もしないと言っていた。
「ユーグラさん、それに……ゴダンさん……」
「? 美珠、どうした? 顔が赤いが」
「……な、何でもありません! セシリーさん! ええと、場合によっては、こちらから食料を運ばなければならないと考えてて……」
 美珠が心配そうに、顔を曇らせる。敵の方が、こちらの事を見越していたとは思えないが……。
「……また、吹雪いてきたな。ともかく……」
 これ以上来ない場合、こちらの『見込み違い』という可能性も、視野に入れる必要がある。
 セシリーがそう言おうとした、その時。
「……敵らしき影を発見!」
 鳩目からの『パラドクス通信』が入った。
 その途端、結構呑気してた全員の精神に、『走った』。
 電流のような、稲光のような、『戦いの意志の光』が。
 既に外は、陽が落ちつつあり……夕日の赤色が、白い雪原を染めつつある。
「……この、空の色……」
 茜色ではなく、赤の色。すなわち、血の色……残酷なる者たちが大好きであろう色だと、メルセデスは予感していた。
 空は再び、雲が覆い始めた。その重苦しい鉛色は、これから始まるだろう地獄にふさわしい、陰鬱さを醸し出していた。

●血濡れの怪物が、暗闇から迫る
 最初に見えたのは、『赤色』の人影。
 それが、数十体。吹雪の中に見え隠れしていた。
 吹雪が徐々にひどくなり、それとともに『赤の人影』もまた増えて、トゥルフ村へと徐々に、徐々に近づいてくる。
 その赤色の群れ、先頭の集団が、いきなり四つん這いになり駆け出した。
 駆けだすとともに、そいつらは咆哮する。耳障りで、かつ……おぞましい声。血に飢えた野獣以外の何物でもないその声は、どこか狼の遠吠えに似ていたが……実際にはどんな動物にも似ていなかった。
 先頭の集団が、徐々に村へと迫る。が、いきなり右へと舵を切ると……そのまま、回り込んだ。
 後続の集団は、その逆で……左側に反れる。
「……どうやら奴ら、左右に分かれて、村を挟み撃ちするようだな」
 アッシュが上空から、その様子を目視し、パラドクス通信にて伝えてきた。だが……このまま空中にとどまるのは難しい。
 ……吹雪が、更にひどくなっている。まだかろうじて大丈夫だが、徐々に風が強くなり、雪が巻き上がりつつある。
 すぐに下降し、近くの木の枝にとまった。そのまま『光学迷彩』で目くらましする。
「こちら、メルセデス。村の右側から攻め込む群れ、確認できる限りでは20体! ……いや、もっといます!」
 同じく『光学迷彩』で建物の陰に隠れたメルセデスが、パラドクス通信で連絡。
「……二手に分かれて、対処するしかないか」
「行きましょう!」
 セシリーが呟き、美珠は立ち上がる。有能な戦士は、予想外の状況が発生しても、それを即座に理解し、対処する能力を有する。
 そして、この場に居るディアボロスたち全員は、それを心得ていた。

 村の『右側』。
 血濡れの、ぬらぬらした赤い皮膚のそれら……『スカーレットデス』は、
 思ったよりも素早く走り、その口を大きく開いていた。顔には目も、鼻もない。
 徐々に接近するその怪物たちの前に、アッシュが躍り出た。
「まずは……挨拶代わりの一発だ!」
『ブーステッドフィスト』、破壊特化のガントレットを装着したアッシュの拳が、スカーレットデスの顔面にぶち当たった。
 ぐしゃり……という、小気味よい音とともに、怪物の顔面が潰れ、のけぞる。
 途端に、周囲のスカーレットデス共が立ち止まる。
「冥土の土産代わりに……!」
 続き、闘気を溜めつつ、物陰より踏み込んだメルセデスが、
「……我が秘儀、その身で味わいなさい!」
 無銘の打刀の剣撃を放った。
 刃とともに振り下ろされた闘気は、遠く離れた敵を、スカーレットデスを捕え、そのまま切り捨てる。それはまるで、『斬撃』そのものが、弓から放たれた矢を追うかのよう。
『秘儀・矢追流』。その必殺の一閃は、スカーレットデスの一体を斬り捨て、もう一体の首をも切り落とし、地獄へと送り込んでいた。
「やるな、メルセデス嬢! このまま囲んで叩くぞ!」
 しかし、スカーレットデスの数体は、アッシュを警戒して後方へと飛びのき、
 両腕から『血』を、『血の刃』を伸ばした。それは鞭のように、槍のように、アッシュに襲い掛かる。
「……ちっ!」
 なんとかぎりぎりかわすものの、皮膚の表面を引っかかれ、切り裂かれ、アッシュの身体から鮮血がほとばしる。
 更に、スカーレットデス数体の放つ『アームブレード』は、メルセデスにも切りかかる。
「……鬱陶しいですねっ!」
 しかし、その鬱陶しさは、危険とともにあった。メルセデスはそれを切り払うも、辛うじて敵から防御するので精一杯。
『押されている』。ならば……やらねば!
「……『エコーチェンバー』」
 それとともに、周囲の『音』が、変化した。その場に居るスカーレットデスどもの動きが、警戒するかのように止まったのだ。
『……!?』
 周囲を包んだ『何か』に気付いたのか、スカーレットデスの数体は、周囲を見回し。
 その先に、鳩目を見つけた。すかさず自身の身体から触手を、『アームブレード』を伸ばし、攻撃するが……、
 鳩目はそれを見て、叫んだ。
「……『ハウスキーパー』! 居るんなら出てこい! たまには役に立てよ、この外れエフェクト!」
 それに発奮されたのか。怪物たちを包んだ『何か』は、
 怪物たちの『攻撃』を、『反射』させた。スカーレットデスが贈ろうとした『死』は、逆に自身へと『贈られた』。
 その三体の血濡れの怪物は、自身の首を、顔を、己の触手の刃により切り刻まれ、事切れる。
「いいぞ、鳩目嬢!」
「助かったわ! こっちも負けられない!」
 アッシュとメルセデスは、それに後押しされ……、更なる攻撃を。
「さあ、地獄への帰り方を知らないなら、俺が教えてやる!」
 悪魔の翼で飛翔したアッシュは、魔力の弾丸を発射する。悪魔から放たれた『双翼魔弾』が、悪魔どもを貫き、地獄へと追い返した。
「……はっ!」
 大地に踏み込み、更なる刃の一撃を放つは、メルセデス。
 己の振るう刀の刃が振るわれるたびに、血濡れのスカーレットデスから、どす黒い鮮血がほとばしる。
 だが、一体を切り裂いたその刹那。
 一体が、鮮血色のオーラをまとい、跳躍し、メルセデスへととびかかった。
『スカーレットスター』。その攻撃はまるで、赤い流星のよう。頭部だけでなく、その全身から口を生やし……噛みつかんと牙をむきだした。
「……!」
 勝負は一瞬。後ずさるか、左右によけるか、あるいはこちらもジャンプするか。
 いや、どの方向に逃げても、あの触手の攻撃に当たる。ならば……ッ!
 後ずさって距離を取る……、
 と見せかけて、このまま突撃!
 スカーレットデスの触手と牙が、メルセデスに迫ったが、
「……のどちらでもなく! 足下に『屈む』!」
 メルセデスは思い出していた。以前に同人誌のネタ用に読んだ、古い漫画を。
 それは、空手使いが各国の強豪と戦いあうというもの。その中のあるエピソード、地下プロレスの王者レスラーとの戦いにて。普通なら攻撃を受けてバランスを崩すと、倒れまいとするもの。主人公はそれを狙ってカウンターで攻撃しようとしたが、件のレスラーは寝そべって回避したのだ。
 同様に、屈んだメルセデスに攻撃をかわされ、彼女の真後ろの地面に激突したスカーレットデスは、
「はーっ!」
 振り向きざまに、彼女に振るわれた剣により、切り捨てられた。
「……数は、減ったわね。けど!」
「……まだ、かなりいるな」
「……ちょっと、マジっすか」
 しかし、メルセデスとアッシュ、そして鳩目により、その数を減らしたスカーレットデスたちだが。
 まだ、『右側』からの敵は、多かった。敵は、数で勝負するらしい。
 その事を知ってか知らずか、スカーレットデスたちは、
 にやり……と、笑みを浮かべ、そして……、
 総攻撃を仕掛けてきた!

●どす黒い殺意を、白く塗り替える
 村の『左側』。
「阻め! 『光の障壁(カストルム・ルーメン)』ッ! ……くっ、これは……!」
 村の反対側、メルセデス、アッシュ、鳩目とは、村を挟んだ対角線上の位置では、セシリーのパラドクスにより発生させた光輝く壁が、スカーレットデスを受け止めていた。
 スカーレットデスどもの『デッドリースクリーム』……全身に開いた口で絶叫しつつ体当たりする攻撃は、聖なる光の壁により阻まれている。
 しかし、それは『一時しのぎ』に過ぎなかった。この防ぐ相手が通常の存在、数日前に仲間と戦った熊が相手ならば、充分に防ぎ切れたに違いない。
 だが、スカーレットデスは違う。そのパワー、残虐性、そして、異常性は、熊とは比較にならないほどのものだったのだ。
 それでも、相手が一体、もしくは少数ならば、なんとかなったかもしれない。セシリーは一つだけではなく、複数の『光の障壁』を張っていたが……血濡れの怪物は、数十体が攻めてきたのだ。
 それも、目に見える範囲で『数十体』。その後ろ、吹雪で雪によりよく見えないが……後続がさらに居る事は確実。
「……貴様ら、好きに暴れられると思うなよ!」
 改めて、『光の障壁』を『水平に』作り出した。まとまった敵の群れを、一気に切断してやる。
 しかし、それはすぐに見極められた。それどころかその水平の障壁に乗り、数十体が跳躍する始末。
「……だめだ、防ぎきれない! 来るぞ!」
 障壁を飛び越え、十匹ほどが迫る。
 が、次の瞬間、
「……ふんっ!」
 アンジェリーカが、足元の雪を払い上げ、雪による煙幕を張った。
 その雪の中へ、剣を、巨大な『白金の大剣』を投げつける。まともに受けたスカーレットデスの一匹が、両断されて果てた。
 怪物どもは、それに戸惑ったが、すぐに体勢を立て直し、
 投げつけてきた方向へと突撃した。絶叫とともに、雪の幕へと体当たりする。
 怪物の一体が放つ『デッドリースクリーム』の体当たりが、目的となるアンジェリーカに直撃した、
 と思われた、その時に。
「……歯を、くいしばりなさい!」
『その顔面にアースクエイク』、アンジェリーカは強烈な拳の一撃を、怪物の顔へ、口以外が無く、ぬらぬらした皮膚の顔へと叩き込んだ。
 おぞましい感触と、頭部をぶち抜いた小気味良さを感じつつ、スカーレットデスの一体が、またしても地獄へと召された。
 視界が効かない中、右往左往しているスカーレットデスへ、
「さあ、来なさい! 好きなところに拳骨を叩き込んであげるわ!」
 返答を待たず、拳を更に叩き込む。二匹目、三匹目のスカーレットデスが、拳の前に沈黙し続けた。
「草薙大神よ、諸々の禍事、罪穢れを封じる鎖で束縛せんと、畏み畏み申す! 草薙流退魔術『封魔の鎖(チェイン・バインド)』!」
 その近くでは、神への祈祷にて召喚した『鎖』を以て、スカーレットデスを封じる美珠がいた。猛り狂いつつ、『鎖』は怪物どもを締め付け、動きを封じた。
「……草薙剣よ!」
 神剣の鞘を払い、切り付ける美珠。その刃により、怪物の数匹は斬首の刑に処されたが、
「……って、きゃあああっ!?」
 この『鎖』は、制御が難しかった。暴走した鎖はのたうち回る蛇のように、美珠の身体にも容赦なく巻きつき、締め付ける。
 片足を高く差し上げた状態で、鎖は美珠の手足を固定してしまった。
「って、見ないで下さいっ!」
「……ああもう! なにやってんの美珠! ……きゃああっ!」
 アンジェリーカも、一瞬の隙を突かれた。完全視界で雪の煙幕内は見通していたが、後方からの一撃に不意を突かれてしまったのだ。
 スカーレットデスが放った、アームブレードの触手。その刃による斬撃が彼女を切り裂き、触手が彼女をがんじがらめにすると……、
 噴き出したその血を、吸い取り始めた。
「美珠! アンジェリーカ! ……くっ……だめだっ……」
 セシリーが駆け寄ろうとしたが、その時。
『光の障壁』を抜けた一体のスカーレットデスが、空中からセシリーに体当たりをかましたのだ。
「ぐはっ! し、しまった……がはっ! げほっ!」
 飛び掛かられ、強烈なパワーの殴打、そして体中にできた口からの噛みつきが、セシリーを襲う。
「せ、セシリーさん! 今助け……いやああっ! 見ないで下さい!」
 文字通り、自縄自縛に陥っている美珠は、助けどころか自身も動けない。アームブレードの触手がいやらしく美珠に巻きつき、その身体の表面で蠢く。
「や、やめて……ああっ!」
 片足を高く掲げた状態、いわゆる『I字開脚』のポーズを取らされ、美珠の下半身を覆うズボンが切り裂かれた。上半身も触手先端の刃が切り裂き、彼女の露出が徐々に増えていく。
 羞恥と同時に、
「……痛っ!」
 露わになった美珠の皮膚を、スカーレットデスは切り裂き始めた。
 そして、アンジェリーカも、セシリーも、美珠を助けられず、自分もまた助け出せない。そのような状況に陥ってしまっていた。

●緋色の死の群れを、虹色の英雄たちが倒す
 村の、『右側』。
 アッシュはスカーレットデスのアームブレードに切り付けられ、空中でバランスを崩したところ。
「……ちっ! しまった!」
 数体のスカーレットスターによる攻撃を同時に受け、回避しきれなかった。そのまま地面に叩き付けられ、転がされる。
「ちっ……くしょおおおおっ!」
 鳩目も、スカーレットデスから直接殴りつけられ、蹴りを入れられ、そして、
 組み付かれて地面に叩き付けられた。一対一のタイマン勝負ならともかく、一対五でどうやって勝てばいいのか。
 スカーレットデスの顔は、口以外には何もなく、目も鼻も無い。故に『表情』は分からないが……、
(「こ、こいつら……遊んでやがる……」)
 鳩目は思った。もしもこいつらに表情を浮かべられたなら、間違いなく今は、下卑た嘲笑を浮かべてるに違いないと。
 両手足を一体ずつに押さえつけられ、残る一体には背中から踏みつけられ、触手を首に巻き付けられている。ぬらぬらした触手の感触は、気持ち悪いとしか言いようがない。
 鳩目は、隣のメルセデスの様子を見せつけられていた。十体のスカーレットデスに囲まれ、一体ずつ、死角からアームブレードにより切り付けていたのだ。それはまさしく集団いじめのように、一人を多数で囲い込み、見えない方から攻撃を仕掛ける……という、卑劣極まりない行為に他ならない。
「くっ……ああっ! こ、このっ……」
 それでも、メルセデスはなんとか剣でそれを防ぎ、一部は切り捨てもした。だが、その全てを防ぎ切れてはいない。足首を切りつけられ、膝を付き、腕を切り付けられ、苦痛に顔を歪ませる。
(「なんでだよ……なんでこんなくそったれどもに、負けなきゃならないんだよ!」)
 くそっ、くそっ、くそっ、理不尽リョナ系の二次創作は読みも描きもしたが……現実に存在しちゃだめだろうが!
 鳩目が意識を失う寸前、
「……え?」
 銃撃音とともに、鳩目を締め付けていたスカーレットデス、およびそのアームブレードの触手が、吹き飛んだ。
「遅れてすまない。そのまま伏せていろ」
 いつの間にか接近していた、シェスト・ツリュクベコメン(サイボーグの殲滅機兵・g03339)が、鳩目を抑えていたスカーレットデスに弾丸を叩きこんだのだ。
 怪物たちは鳩目から離れると、新たに現れた彼へ、シェストへと襲い掛かったが、
「……ふんっ!」
 彼は自身の胸部、そこに内蔵した動力炉から……高熱の火炎を放った。赤い怪物を、炎が更に赤く染め上げ、そのまま焼き尽くす。
「『メタリックプロミネンス』、この炎で地獄に戻るがいい!」
 吹雪の冷気も、その火炎の熱を冷ませない。
 そして、
「メルセデス殿、貴殿を助太刀します。伏せて下さい」
 囲まれていたメルセデスに、その言葉がかけられた。
 それにすぐに従った彼女は、
「……『サンドストーム』。この砂とともに……朽ち果てるがいい」
 セド・ファジュル(人間の風塵魔術師・g03577)、浅黒い肌を持つ凛々しき青年が、砂嵐を起こしている様子を見た。
 砂嵐はスカーレットデスどもを包み込み、身動きする事すらも許さない。そいつらのぬめった体表面が、砂で覆われ、乾き、
『削り取られていく』のを見て取った。
「ありがとう! 助かったわ!」
 それでも、なんとか砂嵐から逃れて逃げようとする個体もいたが、
「良くもやってくれたわね……たっぷり利子付けてお返ししてあげる!」
 逃がさない。『秘儀・矢追流』を放ち、そいつらの頭部や胴体を両断し、メルセデスは歪んだ笑みを浮かべるのだった。
「みんな、来てくれたのか!」
 大木に追い詰められたアッシュには、
「はい、大丈夫でしょうか? 今、お助けします」
 ライラ・バルターグ(人間の時間神官・g03371)、金色の瞳と、茶色の肌を持つ美少女と、
「くすくす……さあ、最初に切り刻まれたいのは、誰かしら?」
 白王・シギトロ(白き妖星・g03771)、名刀『妖星』を手にした少女が、妖しき笑みを浮かべ、スカーレットデスどもの前に立ちはだかっていた。
 二人の少女、そちらの方が倒しやすそうだと、スカーレットデスどもは向かっていくが、
「……くすくす……さぁ、この一撃で……」
 そいつらの雑な動きを見切ったシギトロは、
「……仕留めて、あげるわよ」
 一歩で、懐に潜り込み、
 続く一歩で、刀の鞘を払い、一刀のもとに、スカーレットデスの一体を斬り捨てた。
 これぞ、『妖星剣』。シギトロの赤き瞳が、愉悦を得たかのように妖しく輝いた。
 躊躇する残りのスカーレットデスどもは、今度は複数が一気に襲い掛かる。が、
「時間に干渉する秘術、お見せします」
 ライラはそいつらに対し。シギトロがたった今放った、『妖星剣』を『再現』し、放った。たちまちのうちに、数体が両断されて果てる。
 残った数体は、面食らった様子を見せたが、それでも懲りずに突撃してくる。が、
「……『リピートベイン』、お前たちの攻撃、『再現』します」
 先刻に放った、スカーレットデスの攻撃、スカーレットスターが、彼ら自身へと放たれたのだ。
 自らの歪んだ攻撃を自らに受け、その場に居たスカーレットデスどもは、全てが引導を渡され、地獄へ落とされたのだった。
「待たせてすまんな。左右に別れた奴らとは別の一群が、村に入りそうになってたのを発見してな」
 シェストと、
「ですが、彼らは全て、私達が片付けました」
 セドが、アッシュと鳩目、メルセデスを介抱する。
「くすくす……まだまだ、いるみたいね……」
 シギトロは、切り足りないとばかりに、残りのスカーレットデスへと目を向ける。
「ええ。行きましょう……敵はまだいます」
 ライラもまた、立ち上がる。
「待って。村の左側からも、敵は攻めていたわ。そちらの方は……」
 だが、メルセデスが問うが、
「大丈夫だ。そっちにも味方が向かっている」
 シェストが力強く、請け合った。

●緋色の邪悪な色彩を、白き光で覆い尽くせ
 村の『左側』。
「もう……だめだ……!」
 数度、水平に障壁を放つが、スカーレットデスどもはそれを悠々と回避してしまっていた。
 そして。障壁として立てていた『光の障壁』を飛び越え、怪物どもがどっと押し寄せてきた。
 こうなったら、剣で端から切り捨ててやる……。そう思った瞬間、
「……っと、悪い悪い、遅れたぜ!」
 疲れ切ったセシリーの側に、軽い口調の若者が駆けつけた。
「ちょいと野暮用があってな! あとは……任せろ!」
 最上・奨(止奏の羽・g03230)は、印を結び、
「天網恢恢疎にして漏らさず! ブサイクな怪物も同様なり! ……破ッ!」
 その場に、結界を張った。その結界は、多くのスカーレットデスどもを包み込んでいる。
「『攻性式神結界』! さあ愛しの式神ちゃん、中に居るキモイ怪物くんたちを、情け容赦なく可愛がってやんな!」
 結界内に式神が放たれ、大暴れし始めた。逃げられないスカーレットデスどもが、たちまちのうちに血祭りにあげられていく。
「……助かった。礼を言う」
 疲労困憊のセシリーに、
「なーに、こっちこそ遅れて悪かった。このスカ公どもの別動隊が来るのを感知してな、そいつらの始末にちっとばかし時間がかかっちまった。そいつらは全部片づけたから、あとはこいつらだけだ。とっとと掃除、終わらせようぜ」
 そう言って、奨はにやりと、不敵に微笑んだ。

「……えーいっ!」
 いきなり、へたくそな射撃が。
「え? きゃあっ」
 それは、偶然美珠の鎖に当たって、彼女の足を解放。そして、美珠を弄び傷つけていたスカーレットデスの脳天に当たり、痛みの悲鳴を上げさせた。
「あ、当たりました?」
 その射撃は、巨乳で清楚な、美少女……那月・理穏(サキュバスの時間神官・g04542)がはなった『射撃』。
 すかさず、スカーレットデスが数体、美珠という玩具を取り上げられたことに立腹した様子を見せつつ……理穏へと向かっていった。
「美珠さん、大丈夫ですか……って、こっち来る? ひゃああっ」
 思わずその場から逃走する理穏だが、
「に、逃げて下さいっ……え?」
 美珠は見た。理穏に変わって現れた彼女を、ユーク・エメラブリント(サイボーグのガジェッティア・g03498)の姿を。
「えへへっ、あとはボクにおまかせ! 皆さん、ちょっと耳塞いでおいてくださいね……!」
 と、すうっと息を吸い込み、
「……アアアァァァーーー!!!」
 絶唱が、ユークの口から、喉から、ほとばしった。
(「……くうっ! み、耳をふさいでも……響きます!」)
 美珠はすぐに耳をふさぐも、ユークの『ルナティックシンフォニー』の声のすさまじさは、防ぎ切れていなかった。
 だが、スカーレットデスどもは、その音の攻撃をもろに食らっていた。耳が無いのに、のたうち回っている。
「……もう、耳栓取って大丈夫でしょうか? ええと、ええと……『復讐の刃』!」
 スマホ片手に現れたのは、天河・星良(人間のデジタルサマナー・g03248)。彼女はスマホを掲げ、
『人類史に実在した武器』をその場に顕現し、スカーレットデスの群れへと投擲した。
「……ええと、大丈夫ですか、美珠さん?」
 美珠を攻撃していた怪物たちは、どうやら倒せた様子。
「だ、大丈夫です。星良さん、ユークさん、それに……理穏さん。ありがとうございました、助かりました!」
「ええ、助けられて何より……」と、そこで理穏は言葉を止めた。
「? 理穏さん、どうかしました?」
「……えーと、ボクが言ってもいいのかな。あの、美珠さん。そのー、服が、ね?」ユークもまた、美珠から視線を外す。
「服?」
 言われて、美珠は自身を見下ろす。
「……その、服がぼろぼろに切り裂かれちゃってます……」
 星良が、赤面しつつ指摘。
「え? あ……」
 ようやく、気付いた。先刻に鎖に拘束され、その際に怪物に服を切り裂かれ……、
「……だ、大事なところ、丸見えですよ……」
 同じく赤面しつつ、理穏も指摘。
「……きゃああっ! み、見ないで下さいっ!」
 この場に居るのは同性だけとはいえ、恥ずかしいことこの上ない。恥じらう美珠だったが、そこにスカーレットデスの生き残り数体が接近。
 当然、美珠はその姿のまま、戦いを先行するしかなかった。

●緋色が、雪の白の前にひれ伏す時
「……申し訳ないけど、もう勝負はついたね」
(「!?」)
 血を吸われながら、
 否、『吸わせ』ながら、アンジェリーカは見た。
 スカーレットデスどもへと『何か』を放つ、彼女の姿を。
 途端に、緋色の怪物どもがのたうち回った。アンジェリーカはそれを見て、直感で理解した。
「……毒針ね!」
「……(こくり)」
『仇なす毒蜂の尾(アダナスドクバチノオ)』。それを放ったのは、銀髪と色白の肌を持つ、大きな胸の美少女、白臼・早苗(深潭のアムネジェ・g00188)。
 だがそれでも、スカーレットデスは死なない。動きは鈍り、苦し気に見えるが、そいつの獰猛さはいささかも薄れていない。
「……ふむ、まだ死なぬとは、鬱陶しい化け物どもにゃな。アンジェリーカ殿、後はこの、狛玉・タマ子(世田谷の怪・g04655)にまかせるにゃ!」
 と、ネコミミのの少女が進み出る。
 毒に侵されたスカーレットデスが、そのまま飛び掛かろうとするが、
「ふにゃーーっ!!」
 その口から噴き出した火が、怪物を火だるまにした。
「『火焰猫風術(ホーイェンニャンプーイーシュー)』! 寒かろうから暖めてやったにゃ! ほれ、お主も、お主もにゃ!」
 周囲のスカーレットデスたちへ、火炎を吹き付け、火だるまを増やしていく。
「……おおっと、まだ動けるのかにゃ!」
 だが、最後の一体が、よろよろと立ち上がった。炎で焼かれてもまだ動ける。
「……やる?」
 早苗が針を構えたが、
「心配無用! こやつらの料理、タマに最後までお任せにゃ!」
 タマ子は空中に跳躍し、肉球エフェクトをまとった連続蹴りを放った。
「にゃにゃにゃにゃっ、にゃーー!! 『超猫蹴(スゴイキックニャン)』!」
 最後のひと蹴りが止めとなり、
「出前迅速! お味バツグン! お代の支払いはタマへの勝利でお頼み申すにゃ!」
 スカーレットデスは音を立てて倒れ、動きを止めた。
「……助かったわ、見事ね」
 アンジェリーカが、タマ子へ近づく。
「へっへっへー、それほどでもあるにゃ……って、酷く流血してるけど、大丈夫なのかにゃ?」
「……血を、吸われてたみたいだけど……」
 早苗もまた、心配そうにアンジェリーカを伺い見る。
「大丈夫。斬撃は実際に受けて怪我したけど、吸血の方は……」
 アンジェリーカは、二人へと服の下に仕込んでおいた『それ』……血が入った革袋を見せた。
「前にここで、狩りをした時。獲物から血抜きした血を溜めておいたものよ。やつが吸っていたのはこの血で、ウチ自身の血はそんなに吸われてないわ」
 それでも、ダメージは結構もらったけどねと、アンジェリーカは微笑んだ。
 だが、そこへ。
『……あーっと、聞こえますか?』
 鳩目から、パラドクス通信の連絡が。
『悪いニュースです。スカーレットデスの残りが、総攻撃を仕掛けてきました!』
「まだ……残ってたの! 良いわ、こうなったら端から倒してやろうじゃない!」
『待ってください。もう一つ、良いニュースは……そいつらを迎撃する仲間が、既に出撃してて……』
 おそらく、もうじき終わりますよ。鳩目はそう告げた。

「……『フリージングミサイル』、発射!」
 斎藤・多喜(■■■・g01848)は、雪原上に展開したスカーレットデスの群れと、臆することなく対峙していた。
 対峙しつつ、ガジェッティアである彼は、己の武器……ガジェットウェポンから放つ、冷気を封じたミサイルを発射。怪物たちを次々に凍らせ、粉砕していく。
 スカーレットデスたちには、知性も、理性も、思考力も無い。だが、その本能めいたところで、焦りと、焦燥、そして『自分たちが狩られる恐怖』を感じていた。
「……スカーレットデスちゃん、君らは悪い事を、したんだよな? 悪は『罪』、そして……『罪』には『罰』があるものだ。今から君らは……それを受けるんだ」
 多喜の言葉が、形になったかのように、
 空中から、断罪者二人が急降下してきた。
「……ったく、急な出撃だったから、お菓子作りを少しだけ失敗しちゃったじゃない」
 ダキア・マウゼル(木兎姫・g03435)、色黒の肌と琥珀の髪色の航空突撃兵が、空中から緋色の怪物たちへ襲い掛かる。
爆撃槌『ルールシュタール』の打撃が、スカーレットデス自身を殺す『死』をもたらし、雪原を『血』と『死』に染めていった。
「あらあら。敵さん、まだ負けた事を認めない気? よし、教育してやるわぁ」
 エルフリーデ・ヴァッセルマン(コールサイン『アドラーアイン』・g00556)、ダキアと対照的に、乳白色の肌と、金髪を持つ航空突撃兵もまた、空中からスカーレットデスの群れを掃討。
 装備されたアームキャノンが火を噴くたび、数体の怪物たちが吹き飛び、死に至らしめられる。
「……止め、くらいなさい!『メタリックプロミネンス』!」
 そして、最後の一群に対し、最後に放たれたのは。サイボーグでもあるエルフリーデ自身の、動力炉からの火炎。
『空中』という、届かないテリトリーからの攻撃。反撃など、できようもなく。
 スカーレットデスの群れは、一匹の生き残りを出す事無く、その全てが地獄へと送り届けられた。
 その醜い屍を隠そうとするかのように、吹雪が強くなり。
 雪が、怪物の死体の上に吹き付け、積もり始めていった。

●最終決戦・前夜
 再び、ウークの家の室内。
「ウーク姐の台所は……よし、傷も無し、破損も無し。と」
 鳩目は、ウークの家の屋内を調べていた。任された台所だけは、荒らさせるわけにはいかない。
「みんな、ちょうどいいタイミングで駆けつけてくれてありがとう。改めて礼を言う。正直俺たちだけだったら、あの数のスカーレットデスは倒し切れなかったかもしれない」
 居間にて焚火に当たり、アッシュが感謝を口にする。
「まあ、倒せたのは僥倖。だけど……」
 アンジェリーカは、不安げな表情を浮かべた。この後に控えている『彼女』……鎌を持つ吸血鬼の少女『エンプーサ』は、スカーレットデス以上の力を持つことは間違いない。
「集団ではなく、単体なのが、不幸中の幸いってところかしら。それでも……」
 今回の戦いのすさまじさからして、楽々勝てる相手とは到底思えない。メルセデスが不安げな表情で、ハーブティーを口にする。
「ああ。おそらくは簡単に倒せないだろうな。むしろ……簡単にこちらが倒されるだけの実力を持っているかもしれん。用心に、用心を重ねるに越したことはない」
 疲れ切ったセシリーもまた、ハーブティーを含み、温まる。
「そうですね! ダゴンさん、ユーグラさん、村のみなさんのために……最後も戦って、勝たないと!」
 美珠が、自分自身へ、そして仲間たちへ語り掛けるかのように言い放ち……、
 ハーブティーを一口飲み、近くに置かれていた焼き菓子に手を伸ばした。
「……あの、この真っ黒なこれは?」
「私が焼いたクッキー。ちょっと黒く焦がしたけど、味は悪くないと思うわよ」
 と、なぜか得意気なダキア。
「ちなみにこっちはケーキ、それにチョコレート菓子ね」
 ささ、皆でどうぞと勧めるダキア。
「……ケーキ、破裂したっぽい形だけど」
「……チョコは、爆発した後の破片みたいにゃ?」
 エルフリーデとタマ子が、さりげなく下がる。
「……まあ、形はともかく、ボク的に味は結構イケるかも」
 と、恐る恐るユークが口にする。
「……まあ、それはともかくだ。エンプーサに対してはどう対処すべきだろうか?」
 シェストの重々しい言葉に、浮かれた空気がすぐに変化した。
「敵はおそらく、単体とはいえ……俺たち全員と戦っても勝てるほどの能力を持ってるだろうな。それだけ……強力と思っていいかと」
 多喜と、
「そうだな。卑怯かもしれないが、こっちも数人がかりで挑むべきだろう。が……多すぎると、かえって不利になるかもな」
 奨が、不安げに呟く。
「それに、こちらが優位に立ったら、相手が逃げる可能性もある。それに対しても考えておいた方が良いでしょうね」
 セドと、
「ええ。戦いに勝ったとしても、私達が逃がしてしまったら……その時点で私たちの負けです。逃がす事無く、エンプーサを確実に倒す。……結構、大変かもしれません」
 ライラも、神妙な顔で述べる。
「……あ、あの……」
「え、ええと……」
 星良と理穏は、何か力づけようと、気の利いた言葉をひねり出そうとしたが、その試みは失敗。
「……そうだな、確かに大変だ。だが……」
 しばらくの沈黙ののち、セシリーが口を開いた。
「だが、逆に考えればこういう事だろう? 『強力であっても、対戦する』『逃がさないように、注意する』とな」
「ええ。こっちにはこれだけ人数がいます。ならば、なんとかなりますよ!」
 と、美珠が続く。
「ええ、そうね。少なくとも……敵の逃げ道を封じる事は、注意しておくべきね」
 メルセデスの言葉に、皆が頷いた。
「……くすくす、さて、敵さんはいつ来るのかしら」
 楽しみだとばかりに、微笑むシギトロ。
「…………」
 早苗もまた、無言のまま。隠し針を手にして見つめていた。

 外では、吹雪が吹き荒れ、嵐の様相に。
 そして、その嵐の中。
 スカーレットデスの死体を目前にして、佇む『少女』の姿があった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【飛翔】LV3が発生!
【ハウスキーパー】LV2が発生!
【建造物分解】LV2が発生!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【平穏結界】LV2が発生!
【建物復元】LV1が発生!
【口福の伝道者】がLV2になった!
【過去視の道案内】LV1が発生!
【熱波の支配者】LV2が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
【冷気の支配者】LV1が発生!
【士気高揚】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!
【能力値アップ】がLV5になった!
【ロストエナジー】LV5が発生!
【ガードアップ】がLV5になった!
【アヴォイド】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV2になった!

パンドラ・クロゥフィボーグ
「人を傷つけて…支配して…。ちっともハッピーじゃないわね。貴族としてあまりにも下劣。アタイが裁いてあげるわ!」

自身も元お姫さまであるため、ノブリスオブリージュを示そうとする

「アンタの能力…いえ、"血"の記録、いただくわよ」

愛斧〈イブリーシュテル=バルディッシュ〉を振り回して、とにかくエンプーサの出血を狙う

【ダッシュ】【エアライド】で高速で動き回り、付け狙い続ける

僅かでも出血したら【吸血】し、パラドクス発動

「其は、緋月の姫が許す紅の略奪。クロゥフィ=アグラブリェーニェ!」

能力と由来をコピー、巨大な異形のカマキリへ変身しトドメ

「己の力で刻まれながら、懺悔なさい!」

※アドリブ連携お任せします


アッシュ・シレスティアル
残留効果は全て活用
心情
危うく本命に出会う前にやらかすところだったぜ…。
美少女の吸血うけずに退場なんざ御免だぜ。

戦闘
「お目当ての家畜はいないし、配下は全滅…随分とまぁ無様だな。」
一言挑発混ぜつつ、両腕のブーステッドフィストに戦術端末から放出させた電撃を纏わせ、地面すれすれの高度で飛翔による加速をかけて肉薄する。
「まずは一発受け取っていけよ!」
以降は仲間と足並み揃えつつ、隙があれば距離を詰めてパラドクスを打ち込む。

にしてもちゃんと着てる割にはピンポイントでへそや胸元が出てるあたり、よくわかってやがるぜ…
な、なんだよ!?別に見とれてたりなんかしてねぇって!

※アドリブ、絡み歓迎


シル・ウィンディア
後は、この人だけだね。
ここに住んでいる人達の為にも…。
しっかり片付けないとねっ!

マントをなびかせて、上空に舞い上がってから空中戦機動を開始!
世界樹の翼type.Cからの誘導弾を、敵の周りに撃ち込んで視界を邪魔するように弾幕+雪煙、もしくは土煙で若干の嫌がらせ。

こちらには完全視界があるから、それくらいじゃ阻害されないしね。
誘導弾は、当てないようにして…
ところどころ、パラドクスの砲撃を当てて牽制だけじゃないところも見せていくよ。

牽制と攻撃を繰り返しつつ、集中攻撃が始まったら、高速詠唱を開始。
全力魔法で、今まで以上の六芒星精霊収束砲を撃つよっ!
…これが、わたしの全部だ
遠慮せず、もっていけーーっ!!


鳩目・サンダー
ネメシスモード発動。手加減する理由もねえしな。

相手は一体、「どこから来るかどれだけ来るか分からない」トループスの連中よりその点ではマシ、と考えよう。
【寒冷適応】もあるし、寒さは問題ない。【完全視界】で吹雪の中でも敵は見える。
そして……外のクロノヴェーダの死体を見てそれでも単騎で攻めかかる奴が逃げを選択するとは思えん。地の利は此方にあり。包囲して叩き潰す。
あたしが使うのはリアライズペイント。
勝利も退却も許さねえ。お前は死ぬ。これからここで。
腕が折れようと、脚がなくなろうと、首が切り取られたとしても、お前には何も与えない。
無為に死ね。そうする準備をしてきた!

アドリブ、連携歓迎します。


草薙・美珠
●目的
吸血鬼の親玉を撃破し、村を救ってみせます!

●心情
敵は強力な吸血鬼。
ですが、妖魔を退治するのが退魔師の使命です。

私たちを信じて村から避難してくれたヴォガル族の皆さんのためにも、
敵を倒して皆さんを村に迎え入れましょう。

●戦闘
吸血鬼は変化の術が得意と聞きます。
小動物などに化けて奇襲してこないか、警戒しておきましょう。
また、大鎌の攻撃には要注意です。

【溶解結界】で攻撃しますが……
相手の瞳を見た瞬間に、頭がぼーっとしてしまいます。
そのまま服を破かれて血を吸われてしまい……

って、このままではいけません!

退魔障壁と八尺瓊勾玉の破邪の力で魅了の妖術を防ぎつつ、
八咫鏡と草薙剣の聖なる力で攻撃です!


アンジェリーカ・リヴィンスキー
まさかあそこまでの人海戦術で来るとはね、おかげで沢山血を吸われちゃったじゃない!(まぁ対策してたからウチはほとんど吸われてないけど)
代わりにアンタの血を絞り出させて貰うわよ!

相手が誰かを吸血しようとするならその時隙が出来るはずよね、悪いけど利用させて貰おうかしら。

まずは飛翔を用いて剣で近接戦を挑むわ、いくら残留効果で能力が底上げされているとは力量差で吹っ飛ばされると思うけど、これは作戦の内。

倒された振りをして隙を伺い、相手が隙を見せたら背後から吸血槍を突き刺せてパラドクスで攻撃よ!
可能ならそのまま張り付けるかのように敵ごと地面に槍を突き刺して動きを止めて、味方の大技の為を隙を作ってみるわ!


セシリー・アーヴェンディル
【アドリブ/連携歓迎】
放埒な搾取を繰り返していたようだが、その代償を支払う時が来た。
蟷螂卿といったか。ならば、その名のとおりただ祈っていることだ。

敵の退路を断つように【光の障壁】で障壁を展開し、逃走を妨害しよう。
先ほどは上手く使われたが、今度は仲間に足場として利用してもらおう。
敵は姿を変えて不意を打つようだが、この村にもう家畜はなく、いても私達が捕らえてきたもの。
必ずや違和感を【看破】してみせよう。

戦いの痕跡は【建物復元】は消しておこう。
彼等も寒い思いをしている。早く迎えに行ってやろう。
あとは平穏な暮らしが戻ってくるのを願うばかりだ。


メルセデス・ヒジカタ
あらあら
胸囲の脅威度では……当方の方が優位みたいですね?

その高慢ちきなお顔が、苦痛に歪むと思うと……ゾクゾクしますわ

【光学迷彩】で身を隠しつつ、忍び足、地形の利用、暗殺を活かし、建物等の陰に潜んで、【パラドクス通信】で敵の動きを仲間と情報交換

敵が仲間と交戦してる隙を狙い、背後や側面から秘儀・矢追流を叩き込み追い込みましょう
敵が大鎌を振り回し迫って来たら、足元の雪を蹴り上げ目眩まし

その隙に、鎌の柄を掴み敵の勢いを利用し……グラップルを活かし投げ飛ばしてみる
効かないのは想定済み
動けない隙に、秘儀・矢追流を叩き込み……どんどん追い込め

さあ、いい声でお鳴きなさい

事が済んだら【建物復元】で建物を修復して


●白の邪悪が、白き地獄に再び来たる
 スカーレットデス……あのぬらぬらした皮膚の、おぞましき怪物ども。
 それらは全て片付き、ディアボロスたちも一息を入れていた、その時。
「……なんだ、これ?」
 外で見張りに立っていた、鳩目・サンダー(ハッカーインターナショナル同人絵描き・g05441)は、
「蝶? なんだ、ただの虫か……」
 目前を舞っていた『それ』を、気にも留めずに受け流した。
「……なわけねえっ! ここは寒冷地! 『虫』がでるわけねえだろうが!」
 と、思わず後ずさり、『それ』に警戒する。
『それ』は、一見したら赤い翅を持つ『蝶』、または『蛾』に見えたが……、よく見たら、小さな赤色の『コウモリ』のようにも見えた。目は無く、豚のような鼻と、大き目の牙を有している。
 鳩目を嘲るように、彼女の目前でひらりひらりと舞ったそいつは、
 雪の降る中を舞っていき、そのまま消えた。

「コウモリのような『虫』だと?」
 居間の中で、待機していた仲間たち……他のディアボロスたちへと、鳩目はすぐに報告する。
「奴の尖兵か何かだろうか? ならば、いよいよ現れたか?」
 アッシュ・シレスティアル(蒼破拳・g01219)が、外へと目を向けつつ言う。
「こんな寒い中に『虫』なんて、普通じゃないですね!」
 草薙・美珠(退魔巫女・g03980)に、
「ああ、まったくだ!」
 アンジェリーカ・リヴィンスキー(吸血鬼のダークハンター・g07564)が、いきり立つ。
 ディアボロス全員で、外に出ると。
「……何か……聞こえるな」
 セシリー・アーヴェンディル(ルクスリア・g02681)の耳が、その旋律を捉えた。
「……ええ、私も聞こえました。これは……聖歌……じゃないですね。それっぽく聞こえますが」
 メルセデス・ヒジカタ(冥腐魔道・g06800)も、聞こえた『それ』……その旋律に関し口にする。
 やがて、
「……アタイにも聞こえた! はん、カッコつけてるわね。嫌いになれるタイプだわ」
 パンドラ・クロゥフィボーグ(血の神たる少女・g07201)と、
「……あまり、じっくり聞かない方が良いかもしれません。敵の性格の悪さからして、この『声』や『歌』にも何かを仕掛けている可能性もあります!」
 シル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)の耳にも、『その旋律』は届いた。
 やがて、旋律……何者かの『歌声』は止まり、
『……あーあ、面白くないわねー。遊びに来たら、玩具が全部片づけられてました……って、一番気に食わないパターンよ。そう思うでしょ?』
 わざとその姿を見せつけるように、
 蝙蝠卿『エンプーサ』が、その姿を現した。

『エンプーサ』は、美少女だった。
 見たところ、十代の少女。それも、普通に女子学生の中に混じっていてもおかしくない、ごく普通の外観。その顔も、ごく普通の少女のそれ。幼げだが整った顔立ちは……男性はもちろん、女性ですらも心奪われ、恋に落とすような『魅力』に溢れている。
 ……危険と隣り合わせの、後ろ暗い『魅力』に。
 身に付けているのは、肩と胸元を大きく開けた服に、太腿も露わな丈のスカート。手に握っているのは、巨大な鎌。
 露出が多い服は、娼婦のように艶めかしく、同時に……聖女のような清らかな魅力も醸している。
 そしてそれは、彼女の『異常』さをも強く表していた。吹雪のこの天候で、気温も氷点下。そんな環境下でこのような格好をしているのに、寒さなど全く感じていない様子。
 現にその白い肌には、凍傷めいたものは全く見当たらない。おそらく近くで見れば、鳥肌すらも立っていないだろう。むしろ、寒さを無視して上気しているようにも見えた。
『……私の作詞・作曲で「皆殺しの歌」ってのを作ってる最中だったけど、うまくいかなくてねえ。だからトゥルフ村の皆さんを虐殺したら、良いのが思いつくかなって思ったんだけど……あら?』
 既に目前に、アッシュが攻め込んでいた。
「お目当ての家畜はいないし、配下は全滅! 随分とまぁ『無様』だな!」
 まるで瞬間移動したかのように、地上を滑るように高速移動し肉薄したアッシュは、
「まずは一発受け取っていけよ!『電撃拳(エレクトリックブロー)』!」
 両腕に装着した『ブーステッドフィスト』……戦術端末からの電撃をまとわせた拳骨を、エンプーサへと打ち込んだ。
 ……と、思った。
『あら、積極的♪ でも残念、女の子にがっつくスケベ男子は……』
 ひらり……と、彼女は幻のように舞い、アッシュの一撃を軽くかわして、背後に回り、
『……大抵が、ザコなのよぉ♪』
 ひらり……と、身体を優雅に回転させ、軽く埃を払う様に、その手でアッシュの背中を払った。
「!……がはあっ!」
 途端に、強力な打撃がアッシュを襲い、地面に叩き付けられる。
 長い距離を転がされ、雪上にその痕跡を刻み付けられ、アッシュはようやくその勢いを止めた。
『だぁれが無様、ですってぇ? どこぞのザコキャラくんの方が無様じゃない♪ くすくす、ざぁこ♪ ざぁこ♪』
 小憎らしく舌を出し、嘲る『エンプーサ』。その仕草すら、かわいらしく見える。
(「……ってえ……ヘビー級ボクサーのストレートパンチを食らった気分だ……」)
 アッシュは衝撃から立ち直り、立ち上がるのに時間を必要とした。3秒もかかったのだ。
(「……にしても、ピンポイントでへそや胸元が出てるあたり、よくわかってやがるぜ……」)
 と、『エンプーサ』を凝視するアッシュ。
『あらぁ? 私に見とれるなんて、ザコくんはつくづくドスケベでドMのようねぇ♪』
「な、なんだよ!?別に……!」
 見とれてたりなんかしてねぇって!……という言葉を、アッシュは無理やり飲み込んだ。
『さぁて、他の殺され予定なザコキャラの皆さんは……あら?』
 この場に居るディアボロスたちは、アッシュとのやりとりをただ見ているだけではない。その間に動き、配置についていた。
(「……『地の利』は、完全に此方にあり! 敵も、『単騎』で来ることはわかっている! 分身や分裂のような攻撃を繰り出すとしても……それでも、集団戦にはならないはず!」)
 しかし、鳩目は不安だった。なんでこいつは、目前の彼女は……、
(「……囲まれてるのに、なんで余裕ぶっこいてる?」)
 その事は、仲間のディアボロスたちも同様らしい。全員、用心深く、『エンプーサ』を睨みつけていた。

●白き地獄を、黒き絶望が染め上げる
『エンプーサ』は、大鎌を片手でくるり……と振り回すと、自信たっぷりな口調で問いかけた。
『ふふっ。一つ教えてあげる。さっきここに、この『バタフライバット』が来たの、見たかしら?』
 と、『エンプーサ』の指先に、何かが止まっているのが見えた。
「……さっきの『蝶』?」
 それは、鳩目が見た『蝶』に他ならない。
『この蝶コウモリは、この私の鎌……「J・M」こと「ジャギュレイト・マンティス(喉斬り蟷螂)」の能力で、あのスカーレットデスの死体から作ったものでねえ。この子達、目は見えないけど、鼻がすごーく良いのよ。……んで、さっきトゥルフ村の家々に向かわせて、村人たちの「臭い」を覚えさせたわ』
「……まさか!」
 メルセデスが、その言葉の意味を悟った。
『そ♪ 今は臭いをたどらせて、その先に向かわせてるってわけ♪ 村人が居ないって事は、どうせ守ろうとか考えて、あんたらがどっかに避難させたんでしょ? 場所を聞いても教えてくれそうにないから……自分で探しちゃいましたー♪』
 くすくす……と、笑う『エンプーサ』。
『すでに「バタフライバット」は千匹ほど作って、その全部が向かってるわ。おそらく、あと2~30分程度で到着するでしょうよ。そうなると……村人全員、この子達に血を吸われてミイラになれるわー。……あ、今から助けに向かっても、間に合わないから。そこんとこヨロシク♪』
「……てめえっ!」
 鳩目は激昂し、
「なんて事を! 教えなさい! そのコウモリを止める方法を!」
 美珠は詰め寄った。
『止めたい? なら、私を殺して、この鎌「J・M」を破壊する事ね。そうすれば、「バタフライバット」は全てが即座に消滅するわ。もっとも……そう簡単にはいかないけ・ど・ね♪』
 艶めかしく、ぺろり……と舌なめずりする『エンプーサ』。
「……さあ、前置きはこれくらいにして……楽しいパーティ、始めましょう?」
 嗜虐的な笑みとともに、彼女は指先の『バタフライバット』を握りつぶし、
 鎌を振りかぶると、切り付けてきた!

(「速い! ……けど!」)
 マントをなびかせつつ、シルは上空へと舞い上がった。そのまま、
「誘導弾発射! 奴の周りに撃ち込んで!」
 上空から「世界樹の翼『ユグドラシル・ウィング』」の魔力銃モード「type.C」を用い、誘導弾を発射する。
 目論見通り、視界を奪う弾幕と雪煙が舞った。有している完全視界の力で、そいつが戸惑ったのは見て取ったが……、
「……!」
『エンプーサ』は、鎌を、『J・M』を投擲してきたのだ。それは回転しつつ、不可解かつ不条理な軌道を描いて空中のシルへと迫り、
「!? ああああっ!」
 よけきれない彼女を、空中で打ち据えた。鎌の刃部分でなく、柄の部分で打ち据えられ、シル自身も地面に叩き付けられたのだ。
 そして、『エンプーサ』は、
 雪煙の中、パンドラと素手で戦っていた。
「……人を傷つけて、支配して! ちっともハッピーじゃないわね!」
『ふうん、だから?』
「貴族としてあまりにも下劣! アタイが裁いてあげるわ!」
 この『イブリーシュテル=バルディッシュ』でね! パンドラが身の丈以上の三日月斧を振るい、切り付ける。
 だが、それを小憎らしくかわすと、
『おお、怖い怖い。……ねえ、あなたも吸血鬼でしょ? なら一緒に……』
 この場に居る餌どもの血を、一緒に吸わない? 
「!?」
 パンドラの顔の、至近距離。口づけできそうな距離まで『エンプーサ』は迫ると、
 心そそる口調で、そう誘った。
「……アタイに近づくな!」
 パンドラはすぐに斧を振り回し、『エンプーサ』を引き離す。
「……隙あり!」
 斧を打ち込もうとしたが、
『ええ、貴女がね』
 パンドラの背後に、『エンプーサ』の鎌が迫っていた。
「! ぐっ……はあ!」
 かろうじて直撃はかわしたが、それでも背中をざっくりと切られてしまうパンドラ。思わずその痛みに、うめき声をあげてしまった。
「パンドラさん!」
「パンドラ!」
 セシリーと美珠は、倒れた仲間に声をかけ、
「この野郎……!」
「こいつ……」
 鳩目とアッシュは、攻撃を仕掛けようとしても、手が出せなかった。
「……思ったより、やる奴のようですね」
「……けど、やらせない!」
 メルセデスにアンジェリーカは、なんとか勝機を見出さんとしていた。
『……さあさあ、どうしました? 早く私を殺して、鎌を破壊しないと、避難先でトゥルフ村の皆が死んじゃいますよぉ?』
 そんなディアボロスたちの焦燥を見透かすかのように、『エンプーサ』は、
『……あ、私が強すぎて無理でしたか! まあ、激ヨワな皆さんでも、もっと楽しませてくれますよね? これで終わりは、流石にみじめですから♪』
 心底楽し気とばかりに、哄笑した。まさにそれは、人外の、悪魔の笑いだった。

●黒き野望に、紅蓮の怒りが燃え上がる
(「落ち着いて、ウチ! 奴は煽って、心乱そうとしてる! 煽られずに……隙が出来るまで待つ!」)
 アンジェリーカは、『白金の大剣』を構えつつ、『エンプーサ』を、不快な美少女吸血鬼を見据えていた。
『持久戦』はできない。時間をかけすぎると、避難してる村の皆に、あの『虫』が襲い掛かる……と言っていた。
 おそらく、それも『焦らせる』ための敵の策の一つ。
 現在、アッシュと鳩目が攻撃するも、『エンプーサ』は視線を合わせる事も無く、軽くいなし、逆に攻撃してダメージを食らわせてくる。
「勝利も、退却も、許さねえ! お前はここで死ぬ!」
『あらそう? とてもそうは見えないけど?』
「黙れ!」
 腕が折れようとも、脚が無くなろうとも、首が切り取られたとしても……、
「お前には何も与えない! 無為に死ね、そうする準備をしてきた!」
『リアライズペイント』
 鳩目が空中に、様々な魑魅魍魎めいた『敵』を描き、それを実体化させ、『エンプーサ』へと放っていく。
 それはまさに、『実体を得た悪夢』。全方向から、様々な有象無象が襲い掛かるが、
 しかし、『エンプーサ』にはかすり傷ひとつ付けられないでいた。
 隙を見て、アッシュも殴り掛かる。が、結果は同じ。
「くっ……標準が……合わない!」
 シルもまた、援護しようと『世界樹の翼』type.Cの誘導弾を放つが、
 雪を巻き上げるだけで、ダメージを負わせられない。
「だめです! 動きが速すぎて……結界での攻撃が……!」
 美珠もまた、自身の攻撃が放てていない。
『……あーあ、まさかここまで弱いとは、正直腹が立ってきたわ。スカーレットデスを全滅させたから、期待してたのに……マジ、ムカつく』
『エンプーサ』の声が、若干低くなった。いよいよ、本気を出して殺しに来るという事か。
 アッシュが組み付かんとするが、指一本で弾かれる。
「……どうする? このままじゃ……本当に全滅だ」
 セシリーが、アンジェリーカに囁く。
「……奴が、少しでも『出血』し、それを『吸血』できたら……少しは勝機が見いだせるんだが……」
 パンドラが呟き、
「私も……奴が仲間の『誰か』を吸血しようとするなら、その時にできる『隙』に、攻撃できるかもしれない……」
 アンジェリーカも、また呟く。
「それに……奴は『視覚』以外も鋭いわ。光学迷彩で後ろから不意を突こうとしたけど、私の事に気付いているみたいだった」
 メルセデスも、苦々しさとともに吐き捨てる。実際、『光学迷彩』で姿を消し、『秘儀・矢追流』を叩き込もうとしたが、
『エンプーサ』は、それらを軽くかわしたのだ。それどころか、大鎌『J・M』を投げつけてもきた。
 セシリーは、目を閉じ、決意したように目を開いた。
「……やるしか、ないか。私が『光の障壁』を展開し、奴の逃げ道をふさぐ。それから、『光の障壁』を横にしたものも展開するから、それを足場に利用してくれ。それと……」
 誰かが囮になって、奴を油断させれば何とかなるかもしれん。
 そこまで言った途端、
「……妖魔の姿が消えました!」
 美珠の言う通り、かの美少女吸血鬼の姿が、
 消えていた。

 大鎌も見えない。
 足跡も無い。
 だが、何かが向かっていった痕跡が、村の中へと続いている。
「……奴は……どこだ!?」
 ディアボロスたちは、背中合わせに円陣を組み、
 周囲に視線を向けた。
「……くそっ、あいつ……顔に似合わず、凶悪だ……」
 アッシュは、今にも倒れそうなくらいに消耗していた。
「……ああ、まったくだ。くそっ、後で好きなキャラ同士のカップリングイラスト、死ぬほど描いてやらあ」
 鳩目は自分の発言で緊張感を和らげんとしたが、その試みは失敗。
「みんな、静かに…………!」
 セシリーは耳をそばだてた。敵は今、自分が有利と思っている。ならば逃走する事無く、一人ずつなぶり殺しにするつもりだろう。
 どこかから攻撃をしてくるはず。どこから……?
「……上です!」
 シルが見上げると、回転する鎌がディアボロスの円陣の中心に、巨大な回転丸鋸のように襲い掛かってきた。
「よけろっ!」
 全員が、散開する。雪の中を転がり、あるいは空へと飛び、なんとか回避。
 ディアボロスたちは村の建物や木の陰などに隠れ、『エンプーサ』と大鎌『J・M』の襲撃に備えた。

 美珠は、村の中央部、広場へとたどり着くと、
「……そこです! 見付けました!」
『なっ……しまった!』
 そこで、発見した。
『メタモルフォーゼアサルト』により、白い子犬に変身した『エンプーサ』を。
「草薙大神よ、諸々の禍事、罪穢れを溶かさんと、畏み畏み申す!『草薙流退魔術・溶解結界(メルティング・フィールド)』!」
 犬の居る空間を中心に、敵を溶かす結界を張る美珠。美珠自身の服とともに、元の姿に戻った『エンプーサ』も、その服が溶け始めた。
『と、溶けるッ!……なーんてね』
 が、
「さあ、そのまま溶けて……溶けて……え?」
 敵を見据えていた美珠は、彼女の瞳に見られて、
 そのまま……体中の力が抜けた。
 闘志でみなぎっていたのに、彼女の、『エンプーサ』の瞳を見た瞬間、
 なぜか、頭がぼーっとなった。
 こんなのだめ、戦いの最中なのに、何を……、
 いや、別にいいじゃない。あの瞳、とてもきれい。まるで、心の中まで見透かされてるみたいで……、
 むしろ、自分の方が、溶けそう……、なんだか、すごく……、
 すごく……気持ちいい……、今まで、色んな人に抱かれ、絶頂させられたけど……それと同じくらいに、ううん、それ以上に、気持ち、いい……、
「あ、ああ……」
『くっくっく、おばかねえ。ほら……とっとと脱いで、裸になりなさい。そして……』
「あっ! あっ、あああっ!」
 立ったまま、自身の『溶解結界』で溶けかけた服をはぎ取られ、全裸にされた美珠は、
「あっ! ああっ……うぁっ……あひっ!」
 催眠状態で、体中を撫でまわされ、舐め回され、
 そして……、その首筋に噛みつかれた。
 激痛が走るが、同時に……快感が美珠の身体を貫く。美珠の瞳は焦点を失い、浮かべるのは呆けたような恍惚の表情。
『……ああ、美味しい血……清楚に見えて、実はどうしようもない淫乱ね、あなた……愛玩奴隷を兼ねた血袋として、飼ってあげても良くてよ……』
 『エンプーサ』の提案に、即座に肯定したくなった美珠だが、
「……って、このままではいけません!」
 辛うじて身に付けていた、退魔障壁と八尺瓊勾玉の力。そして、自身のなけなしの理性を総動員して、美珠はなんとか己を取り戻し、そして……、
「美珠、下がって!」
『え?』
 美珠が下がると同時に、『エンプーサ』の背中を、アンジェリーカの『吸血槍』が貫いた。

●黄金の勝利、白き大地に降臨す
『がはっ! な……な……』
 槍の刺突の痛みより、『攻撃を受けた』事に信じられない様子の『エンプーサ』は、その身体からどす黒い血潮を吹きださせた。
「痛い? これから……もっと痛くなるわ! さぁ、絞り出してあげる……お前のその血を!」
 そのまま、『エンプーサ』の身体の槍が高速で回転し始めた。
「『ブラッディスクィーズ』! そのままくたばるがいい!」
『が、があああああああっ!』
 小気味よい悲鳴とともに、邪悪な吸血鬼の身体から大量の血が噴き出す。
 通常なら、このまま身体を抉られ、血が噴き出て、そのまま死ぬのみ。が、
『エンプーサ』は、通常ではなかった。
 服を美珠に溶かされ、ほぼ裸になっていた『エンプーサ』は、そのまま強引に槍を握って回転を止め、
 そのまま、無理やり引き抜いた。
『……この、ビチグソがぁぁぁっ!』
 そして、回転しつつ舞っていた『J・M』を掴むと、憤怒の形相で切りかかる。だが、
「……どうした、余裕が無くなったじゃないか!」
 セシリーの『光の障壁』が、その鎌の斬撃を防ぎ、
「……破っ!」
『光学迷彩』で身を隠していたメルセデスが、『エンプーサ』の背後に現れ、刀を振り下ろす。
 刃から放たれた『秘儀・矢追流』の直撃が、敵吸血鬼の背中に叩き込まれた。
『ぎゃあああっ! て、てめえっ!』
「ふふふ……その高慢ちきなお顔が、苦痛に歪む様……実際に見ると、想像以上にぞくぞくしましたわ!」
 そのメルセデスに、鎌を投げつける『エンプーサ』。だが彼女は、セシリーが横に展開した『光の障壁』を踏み台代わりにして跳躍し、その攻撃を易々とかわす。
『逃がしてたまるかあぁぁッ! こんボゲくそ女どもぉぉぉっ!』
 怒り心頭の『エンプーサ』。だが、その前に立ちはだかったのは、
「……アンタの能力……いえ、『血』の記録、いただくわよ」
 パンドラが、そこに立っていた。
 その手は、先刻に『ブラッディスクィーズ』で飛び散った、『エンプーサ』自身の血で濡れていた。
「……赤き血潮よ、我が求めに応えよ! この血に刻まれし記憶と姿、我が身と腕を以てここに顕現せん!」
 それを『吸血』し、
「……闇より濃い、血淵より出でし! 其は、緋月の姫が許す紅の略奪! 『クロゥフィ=アグラブリェーニェ』!」
 血より『解析』し、得た『情報』より……有効的反撃手段として、パンドラは己が身を『変身』させた。
 それは、巨大な異形のカマキリ。まさしく、『蝙蝠卿』の二つ名を持つ『エンプーサ』にふさわしい、おぞましくも醜い邪悪の権化だった。
『な、なんだァ! これはあああっ!?』
「己の力で刻まれながら、懺悔なさい!」
 パンドラの変身したカマキリの鎌と、『エンプーサ』の大鎌とが、交差する。
 跳躍し、『J・M』で切り付ける『エンプーサ』だったが、パンドラのカマキリはそれを鎌で受け止め、鎌で反撃した。
『ぎゃああっ!』
『エンプーサ』の片腕が、切断された。だがその状態でも、『J・M』を投げつけ、
 そのまま彼女は、逃走を図った。
「逃がさないと、言ったはずだ!」
 だが、その逃走経路は。セシリーの『光の障壁』により塞がれた。
 そして、
「闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ、暁と宵を告げる光と闇よ……」
 その上空で、シル・ウィンディアが。
 狙いを定め、呪文の高速詠唱を終えていた。その背中に展開するは、天使のような二対の青白い魔力翼。その前方に広がるは、光り輝く六芒星。
「……六芒星に集いて、全てを撃ち抜きし力となれっ!『六芒星精霊収束砲(ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト)』!」
 六芒星から、超高出力の魔力砲撃が放たれた。その光は容赦なく、『エンプーサ』へと直撃し……、
「……これが、わたしの全部だ! 遠慮せず、もっていけーーっ!!」
『ぎゃあああああああああっ!』
 断末魔の悲鳴とともに、邪悪な吸血鬼の少女を、完全に消滅させた。
「……へっ、自分がとどめさせなかったのが残念だが……お前には何も与えない。無為に死ね! そうする準備を、あたしたちはしてきたんだ!」
『エンプーサ』の消滅に、満足を覚えた鳩目だが、
「おっと……後始末も、きっちり終わらせる!」
 回転しつつ、逃れようとする大鎌『ジャギュレイト・マンティス』自体に『リアライズペイント』を放ち、その回転を止めた。
「俺も協力させてもらうぜ! 今度こそ、決める!」
 アッシュが再び『電撃拳(エレクトリックブロー)』を放ち、
 鎌は粉々に砕け、破片が雪とともに散らばった。

『ジャギュレイト・マンティス』が砕けたのと同時刻に、
 遠く離れた、トゥルフ村の皆が避難している、夏場の狩りの野営地にて。
 吹雪とともに迫りつつあった『バタフライバット』の群れが、ゴダンの、ユーグラの、村人たちの目前で、全てが消滅した。
「……あの人たちが、やったの?」
 ユーグラは、静かに呟いた。そして、
 その頬に、涙が流れるのを感じていた。

●そして、白き邪悪、白き地獄より消滅する
「……こんだけの事をしてくれたってのに……これくらいしか、できないとはね」
「いや……十分すぎるほどの報酬だよ」
 ウークは、守られた自身の台所から、
 小袋を、鳩目へと渡していた。
「そいつは……わしのとっときの香辛料だ。肉でも、魚でも、スープでも、そいつを振りかけるだけで抜群に旨くなる。使っとくれ……」
「ありがとう、大事に使わせてもらうよ」
「礼を言うのは、こっちだよ。あの悪魔を倒してくれただけでなく、台所も……守ってくれてな。……ありがとう、嬢ちゃん」
 ウークは微笑んでいた。その微笑みは、鳩目の心を満たすに十分なものだった。

『スカーレットデス』、及び『エンプーサ』、退治せり。その連絡を受けて、トゥルフ村に戻ったウォガル族の皆は、
 その証拠として、あの大鎌の欠片を見せられた。
「そうか、あの赤いコウモリの大群は……。危ない所だったようだな……」
 ゴダンは、そして村の老人たちは、
 そろってディアボロスたちの前に座り、その頭を深々と下げた。
「……感謝する。我らが血は、そなたらの一部になった。我らはそなたらの家族で兄弟、今後は、親しき者として、死するまで親愛の絆を結ぶ事をここに誓う」
 そして、それにつづき。
 コケモモやクロスグリから作られた酒、カリブーの肉の丸焼きにシチュー、ウサギ肉の煮込み、鮭の串焼き、その他色々なごちそうが運ばれてきた。
「さあ、新たな家族たちよ! せめてもの礼! 我らのささやかな馳走と鮭で、腹を満たしてくれ!」
 ゴダンが宴を宣言し、ディアボロスたちはその相伴に預かる事に。
「……飲めや歌え、ふふっ、来た時とは大違いだな」
 セシリーはコケモモ酒を飲み干し、微笑んだ。
「ああ。……カリブーの肉って、なかなかうまいものだな」
 アッシュは肉に齧りつき、咀嚼する。
「このトナカイ、ウチが狩ったやつ? 道理でいい味してるわけだ!」
 アンジェリーカも、肉に噛みつき咀嚼する。ちょっとばかり臭いに癖はあるが、慣れれば気にならない。
「あら、これは熊の肉? うん、なかなかいけます!」
 メルセデスが口に運ぶは、彼女自身が対決した熊の肉のシチュー。煮込んであくを取った後、香辛料で味付けしている。歯ごたえがあり、獣臭さも強めだが、やはり慣れれば気にならない。むしろ、その獣臭さが癖になり、もっと食べたくなる。
「ウーク姐さんのジャム、いけますね。作り方、教えてもらっていいですか?」
 鳩目も、ウークの作ったジャムを口に含み、ハーブティーを飲んでいた。いわゆるロシアンティーと同じような飲み方だが、甘さといい、風味といい、絶品だった。
「ユーグラさん、これからは……もう何も心配はいりませんよ。安心して、生活して下さいね。……このキノコと鮭のスープ煮、おいしいです!」
 美珠が、ユーグラが作ったというスープを飲む。彼女は『エンプーサ』に血を吸われた際に裸にされたせいで、身体が冷え切ってしまっていたのだ。
「ええ。本当に……あなたも、あなたの仲間にも感謝です。……サーハ? どうしたの? ……ふふっ、弟ったら、あなたの事が気になってるみたいね。まだ子供のくせに、ませているんだから……」
 ユーグラが、微笑んだ。それを見た美珠は、ようやく年相応の女子の顔を、普通の家庭の姉の顔を見れたと思った。
「サーハくん、お姉さんの言う事、ちゃんと聞くんですよ? ……トゥーバちゃんも、ね?」
 ユーグラの弟と妹に、微笑む美珠。二人は恥ずかしそうにうつむくが、その顔には、以前と異なる『生命力』がみなぎっていた。
 美珠はそれとともに、なぜかゴダンからも熱い視線を向けられていたり。
「……皆、とってもハッピーそうね。この顔を見られて……何よりだわ」
 パンドラは、トナカイの焼いた肉をほおばり、
「うんっ。……ここに住んでる人たち、助けられて良かった」
 シルも、香辛料で味付けした、ヘラジカのホットミルクを飲む。
 彼らも、広大な歴史の中では、些末な存在でしかない。この戦いもまた、些末な出来事でしかない。
 だが、虐げられていた彼らを助け、感謝の言葉を貰った。それが重要。
 そしてディアボロスたちも、その事を思い起こし、満足を覚える程度の贅沢は許されるだろう。些末と言えども、彼らも歴史を形作る、重要なピースの一つなのだから。
 帰還するまでの、短い時間。
 ディアボロスたちは、ささやかな宴を楽しみ、料理で口を悦ばせ、満足を感じていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【書物解読】LV1が発生!
【操作会得】がLV2になった!
【クリーニング】LV1が発生!
【液体錬成】LV1が発生!
【腐食】LV1が発生!
【断末魔動画】LV1が発生!
【平穏結界】がLV3になった!
【建物復元】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【先行率アップ】がLV2になった!
【ドレイン】LV2が発生!
【反撃アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV9になった!
【ガードアップ】がLV6になった!

最終結果:成功

完成日2022年07月18日

ヴァンパイアノーブルの人間狩り

 吸血ロマノフ王朝における、ウラル山脈の東側は、シベリアと呼ばれており、その多くは未開の地となっています。
 吸血ロマノフ王朝が支配しているのは、シベリア鉄道の沿線のみで、それ以外の地域は、ヴァンパイアノーブルの支配から外れた、少数民族などが隠れ住んでいます。

 ヴァンパイアノーブル達は、農奴とするために、この少数民族の集落を探し出し、狩りたて連行する蛮行を繰り返しています。

 襲撃される少数民族と接触し、彼らを避難させつつ、農奴狩りのヴァンパイアノーブルを迎え撃ってください。


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#吸血ロマノフ王朝
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#ヴァンパイアノーブルの人間狩り


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選択肢『故郷を捨てて』のルール

 クロノヴェーダの襲撃により町が滅びるなどの状況で、人々に故郷を捨てて逃げ出すように説得します。
 この決断を受け入れてもらえなければ、一般人に相応の死傷者が出てしまいますが、故郷を捨てる事に強い抵抗を示す人も多いため、説得は難しいかもしれません。
 決断をしてもらう内容や、交渉相手などは、オープニングやリプレイで確認してください。
 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『少数民族の危機を救え!』のルール

 様々な理由で危機に陥っている少数民族の人達の救出を行います。
 この危機は、クロノヴェーダの陰謀などではありません。
 彼らの危機をうまく解決すれば、少数民族の信用を得る事ができます。
 どのような危機にあるかは、オープニングやリプレイで確認してください。
 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾一般人を襲うトループス級『スカーレットデス』のルール

 周囲の一般人を襲撃するトループス級クロノヴェーダ(👾)と戦闘を行います。
 放置すると村や町を破壊したり一般人を虐殺してしまうので、被害が拡大する恐れがあるでしょう。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『『蟷螂卿』エンプーサ』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「夢幻・天魔」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。