青い儚い花は咲いて散る(作者 蒼深紅
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#幻想竜域キングアーサー  #世界樹ダンジョン攻略戦(第一層)  #世界樹  #妖精郷  #フローラリア 

●木々を彩る青い花
 そこは世界樹迷宮であった。本来ならば秘匿されてしかるべき場所であったが、円卓に連なるドラゴン『炎のベディヴィア卿』の襲来により、あらわになってしまったフローラリアに出現する断片の王の居城であった。それは空を穿つかと思うほどの巨大で長大な樹であり、程なく『炎のベディヴィア卿』が再来することは明らかだった。
 迷宮に入るとそこは大きな広い空間だった。世界樹を内側から支えているのかと思うほどの大きくて先が見えないほどの木々がいくつも林立している。ツルツルの幹には幾重にも蔓草が絡まっていて、今が盛りと翡翠色の連なる花がたくさん咲いている。その最も高い場所に紫色の長い髪をツタのように体に絡ませたフローラリアがいた。
「わたくし、ディエリアナがお前達に命じます。ここはいずれ王城となる場所。たとえ、憎きドラゴンが簒奪に現れても、再び結界を紡ぎ終わるまで何人たりとも侵入を許してはなりません」
 ディエリアナの前に並んだヴァインビーストたちは静かに首を垂れ、恭順と許諾の意思を示す。しかし、1体だけ動きが鈍いモノがいた。すぐにそれはツタのような鎖に縛られ、吸収され消えてゆく。
「行きなさい。来るべき日と御方のために身を捨てて働きなさい」
 ディエリアナは号令し、ヴァインビースト達はあちこちに散っていった。

●世界樹を攻略せよ
 新宿駅グランドターミナルでウィリアム・グラス(漂泊の吟遊詩人・g03295)は新しいパラドクストレインの行き先についてディアボロス達に説明していた。
「以前に制圧した防衛拠点から見える大樹のことを知っているかな?」
 この世界ではドラゴンとフローラリアが覇権を巡って戦っている。強大な力を持つドラゴンがやや優勢なのか、とうとうフローラリアは大切な拠点である『世界樹』の結界が綻び、その存在があらわになった。
「この世界樹は下から上へと進んでいく樹木型のダンジョンだよ。ただ、色々と攻略には問題があるんだ」
 ウィリアムは指を3つ出す。
「1つはドラゴンの再来までに、という時間的制約。それから飛翔で上に向かうには距離があり過ぎて届かないという高さの制約、そして、内部にはフローラリアのクロノヴェータという敵対者がいること。あ、もちろん外から世界樹を破壊しても再生が早くて侵入できないからショートカットもできないんだ」
 面倒だよね、とウィリアムは言う。
「内部が大きなツルツルの大木とツルを這わせている翡翠色の花、多分、この花を伝っていけば上に行けると思うんだ。でもそれはヴァインビーストも同じだから、敵の攻撃には気をつけてね」
 ディアボロスであるみんななら、大丈夫だと思うけどね、と、ウィリアムは言う。

 本来、世界樹は秘匿されるべき場所であり、知恵ある植物達が守護している。この場所も翡翠色の花の植物たちの中で知恵を手に入れた者達が守護の任を担っている。しかし、花たちはディアボロスを排除すべきか迷っていた。
「本当にこれでいいのかしら?」
「花ではないし、草でもないけれど、アレは良い存在ではないの?」
「どうかしら? フローラリアよりも良い存在?」
「だって、エルフを守ったわ。守られた花もあったと聞くわ。スイレンとかね」
 守護の花達は翡翠の花を揺らしてさざめくように話しをする。
「でも、フローラリアは強いわ。ジェネラル級の『薔薇の戦士スカアハ』から武術の訓練を受けているもの」
「そうね。みんな速さ自慢で短いナイフの使い手よ」
「……そんなことより、私は私の身内の花たちの受粉を手伝って欲しいのだけど。今を逃せば種を作れないのよ」
「そうね、それも大事よね」
 花達の取り留めのない会話は終わりそうにない。それでも、こちらが手助けをすれば、意地悪せずに上へと通してくれるかもしれない。

「みんなの今までの行動が知恵ある植物たちの行動をためらわせているみたいだね。どんな行動だって一つも無駄なことはない、僕はみんなの活躍を知るたびにそう思うんだ。さぁ、これも未来か過去を変える何かになるのかもしれない。ドラゴンが来る前にできるだけ上を目指しておこうか」
 ここは新宿島だったけれど、ウィリアムはそっと上へと視線を向けた。

●迷える翡翠の花たち
 たくさんの花が大木に絡みつきながら咲いている。今を盛りと咲いているのだから、彼らにはもうあまり時間はない。
「早く受粉しないとこのまま萎れてしまうわ」
「随分無理をして咲いているものね」
 知恵を得た翡翠の花は仲間達のように大木にしがみ付いてはいないが、それほど遠くにはいけないようで、困った様子でゆらゆらしている。
「でも、邪悪な侵入者の邪魔はどうするの?」
「邪悪? 邪悪じゃなくて善良かもしれない」
「どうやって見分けるのよ」
「そうだ、そうだ。いたずらして、怒ったら邪悪?」
「一緒に大木を滑り降りてくれたら善良?」
「そりゃ、受粉だよ」
 花の1つが言った。
「受粉を手伝ってくれたら、それはきっと良い人だわ」
「賛成!」
「異議なし!」
 花達は嬉しそうにくるくると回った。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【一刀両断】
1
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【浮遊】
1
周囲が、ディアボロスが浮遊できる世界に変わる。浮遊中は手を繋いだ「効果LV×3体」までの一般人を連れ、空中を歩く程度の速度で移動できる。
【託されし願い】
2
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【エイティーン】
1
周囲が、ディアボロスが18歳から「効果LV×6+18」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【土壌改良】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV4 / 【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV5 / 【ガードアップ】LV1 / 【反撃アップ】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【グロリアス】LV1

●マスターより

蒼深紅
 マスターの蒼深紅です。今回は世界樹の入り口で上を目指すお話です。この層の高さは飛翔では到達できないほどです。何かそれ以外の方法も必要です。ツルツルの大木がたくさん生えていて、そこにはヒスイカズラに似た大きな花が巻き付いています。ここの知恵ある植物もヒスイカズラに似た花です。邪悪じゃない認定を受けると、カズラのツルを伝って上に行くことを許してもらえそうです。受粉をお手伝いすると、貢献度が高いようですが、花粉まみれになりそうです。
 敵はジェネラル級クロノヴェータ『薔薇の戦士スカアハ』の薫陶を受けた戦闘系です。敏捷でナイフ使いです。
 皆様の健闘を、素敵な決断を心よりお待ちしています。
52

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


近郷・芙江
初めてのお仕事です。緊張します。
私に何ができるのかわかりませんが、全力で働かせていただきます!

正直なところ事態はあまりよく把握してはおりませんが
生死に関わる事態にさらされている方々を放っておくべきではないでしょう。
私も誰かを喜ばせねば生きてゆかれぬ身の上、悦びに飢えて窮地に陥ったこともあります。 気持ちはわかるつもりです

気休めでもパラドクスの【活性治癒】で植物種族の方々を元気づけつつ、
彼らに指示を仰ぎながら精一杯受粉のお手伝いに走らせていただきます!

邪悪であるか、と問われると、義しくあろうと努力しているつもりではありますが、実践できているかどうかは判りません
悦んでいただければこちらも嬉しいです


 そこはとても広くて、それよりも上が見えないほど高くて巨木がニョキニョキと真っ直ぐに林のように生えている場所だった。ツルツルの幹にはどの木にもツタが絡まり、翡翠色の花が房のようになって生えている。
「これが世界樹の内部、ですか。思ったよりもずっと静かで綺麗な場所、ですね」
 近郷・芙江(サキュバスの撃竜騎士・g07259)は声が響くのを恐れるかのように、小声で呟く。ここで自分はどうしたら良いのだろう。何をしたら花達を喜ばせることができるのだろう。労力を惜しむ気はない、ただ花の要望が今一つピンとこなくて、少しだけ動き出せずにいた。
「何をぼーっと突っ立っているのよ」
「きゃあぁ!」
 すぐ真横で声がして思わず芙江は悲鳴をあげて飛び退いた。着地と同時に身構えると、先ほどまでいた場所には巨木からツルが下がっていて、そこにブランコに腰掛けるかのように花がいた。元は翡翠色だったろう花の色は随分と褪色している。
「あら、驚かせちゃった? ごめんなさいね。あなた、ディアボロスでしょう? 私たち、ずっとあなたを待っていたのよ」
 花は細い茎のような手を広げて『肩をすくめた』ような仕草をした。
「いえ……こちらこそ、勝手にお邪魔してしまって……」
 芙江は小さく深呼吸をしてからお辞儀をした。
「私はディアボロスの近郷芙江です。こちらの皆様は何かお困りのことがあると聞いて……その、私に何ができるのかわかりませんが、全力で働かせていただきます!」
 さらに深く、芙江は頭を下げる。なんとかやる気と誠意だけは言葉と態度を駆使してしっかりと伝えたい。
「なんて、なんて、なんて素晴らしいの!!」
 ツルに座っていた花がピョーンと芙江に向かって飛んできた。そして、まだ下げ気味だった芙江の頭にちょこんと乗った。
「私たち、こんなにあちこちで花をつけているけど、実際はほとんどが同じものなの。だってここじゃ受粉ができないんですもの。新しいコが生まれないのよ」
 知性ある花は芙江の頭の上で大いに語る。
「だからお願い、このあたりの花の中に入って花粉を身体につけて、上の方の中に入ってくれないかしら?」
 距離が離れれば同じ株の花ではない可能性が高くなるから、と花は言う。
「わかりました。やってみます」
 誰かのために行動することを芙江は躊躇わない。同時にパラドクスを使って活性治癒の効果で周囲を生命力にあふれた場所にする。
「あ、近郷、こっちよ」
 花がもう少し内部に進んだ比較的細い木に絡んだ花を示した。
「ここの花はもう受粉したがっているわ。ね、ここに入ってくれる?」
 花の一つ一つは芙江の倍ぐらいの大きさがある。
「わかりました」
 花弁を左右に分けて入ると、もうそれだけで身体は薄黄色の花粉まみれになる。
「そうそう、素敵だわ。じゃあ出てきて頂戴」
「はい」
 芙江が出ると花弁が閉じて、2枚重なった花弁が芙江の背中を掬うように押し、そのまま上空へとポーンと投げ上げられた。
「ええええぇぇぇ!」
「どこかにしがみついてね。しがみついたらさっきみたいに花の中に入って欲しいの!」
 下から花の大きな声がする。
「もう少し前に言ってくださいぃぃ。心の準備がぁああああ」
 下からはすぐに芙江の身体は見えなくなり、声だけが響いている。
「そうだったわね、てへっ」
 花はもう一度肩をすくめたような仕草をした。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!

九十九・静梨
ふむ、ここをなんとか踏破せねば先が辛くなりますものね
此処は踏ん張って参りましょう

さてまずは受粉のお手伝いをこちらから申し出ましょう
イタズラ等はされても
『ふふ、お元気ですわね、良い事です』と軽く受け流しましょう
息女としてはこの程度は外交的に気にしないものですわ

受粉の花粉は雷気大槍の先端をスコップのように変形させ
そこに花粉を溜め込みましょう
花粉まみれになる程度も気にはしませんわ
難問を解決するのには大したものではありません

後は花粉を教えてもらった花まで持っていきますが
高い所に在ったりする場合はパラドクスを発動
脚力を集中強化し◆ジャンプ
すかさず腕力を元の筋肉量に戻し
花粉を振りかけましょう


 九十九・静梨(魔闘筋嬢・g01741)が世界樹に足を踏み入れた時、もうそこに他のディアボロスの姿はなかった。
「あら? 確かもう一人、わたくしよりも先行していた方がいらした筈ですけれど……」
 それは誰に向けて紡がれた言葉ではなかった。だが。
「ディアボロスがまた来てくれたのね、嬉しいわ」
 ツルに腰掛けた知恵ある花、ここの大木に絡みつくヒスイカズラに似た花たちと同じ姿をした花が静梨を歓迎するわ、と出迎えた。
「あなたがたが欲しいのは受粉のお手伝い、ですわね。それならばわたくしも手を貸すことが出来ますわ」
 知性ある花から何か言われる前に、先手をとるかのように静梨は言った。最高級のルビーにも似た瞳は優しいような、そうではないような、不思議な色を讃えている。
「まぁ! 話が早い。じゃお願いするわ」
 花は嬉しそうにくるくると周りだした。静梨は大木のツルを伝って花弁が緩んだ花を探すと、『雷気大槍』の先端をスコップのように変形させた。
「失礼しますわね」
 器用に身体を使って花弁を左右に押しながら内部に入る。そこは蜜と花粉の甘い香りが充満していた。
「花粉の近くは蜜だらけですわね。こうして柄が長い武器を変形させておいたのは正解でしたわ」
 静梨は難なく花粉をスコップ状にした武器に掬い取り、あまり落とさないように花からでる。
「それで、これはどちらに運べば良いんですの?」
 知性ある花に聞いた、その時にはもう花弁によって静梨の身体はポーンと大きく上空に飛ばされていた。
「きゃあっ」
 小さな声が静梨の唇から漏れる。しかしすぐに体勢を立て直して、下へと向かって声をあげる。
「不意打ちのイタズラなんて、お元気ですわね。でも、花粉が溢れしまったら困るのはあなたがたですわ」
「あ、それもそうね。ごめんなさい。せっかくのお客様が嬉しくて」
 それほど悪びれることなく知性ある花の声が遥か下から聞こえてくる。それを聞きながら、静梨は大木の横に伸びた枝に着地した。花粉は8割ほどがまだ残っている。
「その辺りの花はみんな準備万端よ。同じように花に入って花粉を撒いてくれるかしら?」
「わかりましたわ」
 この辺りの花は下の方の花よりも色が褪せている。より実を結ぶ猶予がないのだろう。
「わたくしにお任せくださいませ。万事滞りなくなすべきことを成してみせますわ」
 手近な花に花粉を授け、身体の筋肉を自在に使い空を舞うような跳び方で別の枝へと移る。そして脚の強化を腕に回して効率良く周囲の花へと花粉を届ける。
「……信じてよかったわ、ディアボロスを」
 知性ある花の嬉しそうに言った。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

●花の決意
 ディアボロスの前に現れた知性ある花は他の花達に言った。
「世界樹で初めての受粉が行われたわ。これで新しい種が出来る」
 暗がりから別の花が言う。
「ディアボロスには恩義が出来たよ」
「ディアボロスのお願いは聞いてあげようよ」
「もっともっと上にはフローラリアがいるって教えてあげたら?」
「フローラリアにイタズラをしてみたら?」
「ディアボロスをそっと1番上まであげちゃえば?」
「私たちのツタを伝って登れば、静かに気付かれないように上に登れるよ」
「下でお祭り騒ぎをしてみたら? 今、受粉祭りをしたい気分なんだけど」
「そうだね、ディアボロスはツタ登りもお祭りも、喜んでくれるかな?」
 暗がりからの声が途絶える。
「どうかしらねぇ?」
 知性ある花は茎みたいな腕を広げて肩をすくめるような仕草をした。
近郷・芙江
ウィリアムさんの説明によると、上に登れば目的地に近づけるのでしたね
植物種族の方々の為にもどんどん登る必要がありますし、丁度良いです

そして、枝や幹が細くなっている木のあたりにいる方々に、特に助けが必要なのですね!だんだんとコツも掴めてきました!

パラドクスの【託されし願い】を利用して、今持っている花粉の近くにいた方々の風体を説明し、自家受粉を避けつつどんどんお手伝いしながら、先ほどのように弾き飛ばされて参りましょう!

技能の罠使いが使えるかもしれません。飛ばされる際、持っている鞭をロープとして利用し、弦や幹に傷つけないよう気を付けつつ巻き付けながら登って参ります。


九十九・静梨
ふむ、皆様喜んで頂けて良かったですわね
さて、先を急ぎたいですがお祭りをしたいというお話も無下にはしたくないですわね……
少々危険ではありますが

登るのを他の方に任せて
植物の皆様とお祭りをしておきましょう
登っている方が上の敵に気づかれないようになるべくその大木からは離れておきましょう
むしろ植物たちが何故か騒いでる、とこちらに注意を逸らしその間に戦闘可能地点まで登って貰事もできるでしょうか

祭りの内容はよくわかりませんが
筋肉が必要な準備は請け負いますし
踊りも歌も得意ですわね
お世話になったなら返すが礼儀
少しでも楽しんで貰い
そしてその楽しさを維持できるように今後の戦いへの意気を高めておきましょう


エスト・リンフィールド
この上にも、翡翠色の花の仲間は居るのかな?
居るのならば……上に上る前に、花から花粉を分けて貰おう

そうすれば、自分の花粉では受粉しにくい子が居ても大丈夫
受粉させた子から花粉を貰って、次の子に受粉させるようにすれば、強い種ができるかな?

落っこちないように、蔦を伝って上に上りながら、【土壌改良】で生育環境を整えつつ、受粉のお手伝いをしよう

もし、見回りのトループスとか居たら、側にある木のうろなんかに隠れて、うまくやり過ごしたいね

木のうろに落っこちてて、日当たりがなくて発芽できない種があったら、日当たりがいいところに植えてあげようかな

敵に見つかりそうなときに、葉っぱで隠してくれたりしたら、お礼言わないと


アルラトゥ・クリム
えーと。要するに、基本的には延々蔦を伝って登っていって。
その途中の花に受粉させてあげられたら文句無し…って感じかな?

花の方々から必要な花粉を分けて貰い、それを分別して袋に詰め
まずは蔦を伝って上を目指します
途中に花を見つけたら、その花に適合する花粉を受粉させ
作業を終えたら再び登攀、を繰り返す
飛翔は作業時に足場が足りない時や、うっかり落下した時のみ使用
移動(特に登攀)には極力使わない

…下で、お祭りを手伝ってる方も居るみたいだから
登る側はある意味、斥候みたいな物なのかも?
登攀時や受粉作業時に不意打ちを受けぬ様に
ヴァインビーストの存在や気配に常に留意して
即応出来る様に行動します

※アドリブ&絡み連携OK


●お祭りの主賓
 知性ある花達はその名の『知性』がぶっ飛ぶほどに喜んでいた。
「一体何年ぶりの受粉だと思っているの?」
「10年? 20年? いえ、もっとよね」
「そもそも、外からここに居着いて以来、初めてのことなのよ」
「もう、お祭りするしかないわ。私たちの幸運を!」
「ディアボロスの献身と貢献を末代までも語り継ぐのよ」
「もちろん、ディアボロスは参加してくれるよね、ね、九十九!」
 最初は知性を得た花は1輪程度しか姿を表さなかったのだが、興奮を抑えられなくなってしまったのか、1輪、また1輪と気がつくと増えている。
「わたくしや、わたくしと同じディアボロスの行いがこれほど喜んでいただけるとは、思っていませんでしたわ。でも、とても嬉しく思うのですわ」
 九十九・静梨(魔闘筋嬢・g01741)は柔らかな笑顔を浮かべる。ただ、内心ではここは敵地であり、早めに先に進みたいという気持ちもある。ただ、これほどまでに喜ぶ花たちの心情を思うと祭りに参加しないとも言い辛い。少しだけの沈黙と熟考。そして晴れやかな笑顔を花たちに向けた。
「大変光栄なことですもの、わたくし、謹んで祭りに参加いたしますわ」
 静梨の宣言にあちこちの花たちから歓声があがる。
「こんなに喜んでくださるなんて……少し心が痛みますわね」
 言葉の後半はつぶやくような小声になる。けれど、静梨は金色の髪をはらりと背に払って微笑んだ。
「それで、どんなお祭りを致しますの? わたくし、準備段階からお手伝いすることもやぶさかではありませんわ。この際ですから、なんなりとおっしゃいませ。きっとわたくしが全て叶えて差し上げますわ」
「まぁ! すてき!」
「さすがにディアボロスは頼りになるわ!」
 そっと自分の手を胸にあて、静梨は鷹揚に言いまたしても花たちは浮かれ、舞い上がった。

●花のお仲人役
 基本の忠実に、確実に、アルラトゥ・クリム(現代の魔法使い・g05088)はツタを伝って大木を行ったり来たりしていた。背負った袋の中には小分けにされた花粉が詰まっている。アルラトゥはまずたくさんの花を訪れ、そこで花粉を受け取った。それを彼女なりの理論と法則から分別し、それぞれ別の袋にいれている。
「じゃ、ここの花には……この花粉かな?」
 器用にツタを利用して『飛翔』は使わずに受粉を待つ花へと到着する。
「じゃ、ちょっと失礼するね」
 長くつややかな銀色の髪は今だけポニーテールのように後頭部でくくられ、動くたびにゆらゆらと左右に揺れる。アルラトゥの身体がすっかりと花の中に納まってしまっても、髪の端っこだけは花の外でゆらゆらし続けている。
「じゃ、ここの受粉は終わったよ。楽しみだね」
 後ずさりして出てきたアルラトゥは花粉の袋の口をぎゅっと締め丁寧に背のカバンに入れる。
「じゃあ、もうちょっと上に進もうかな?」
 ツタに手を伸ばした瞬間、感謝の気持ちを伝えるかのように今、受粉したばかりの花の花弁が大きく動き、そしてアルラトゥの身体はぽーんと上に跳ね上げられた。

●熟練度、ミツバチ級
 近郷・芙江(サキュバスの撃竜騎士・g07259)もアルラトゥとはずいぶんと離れた大木を上へ上へと進んでいた。
「ウィリアムさんのお話しでも上に登れば目的地に近づく、ということでしたし、受粉を待つ花の方々のためにも丁度良いです」
 芙江は受粉の仕方も、その後の花弁を利用した移動方法もすっかりコツを掴んでいた。作業は短時間で終わるようになっていたし、自分の姿勢や立ち位置で行きたい方向に向かって跳べるようになってきている。
「次は、あの辺りに跳びたいですのですから、もう少し左に寄って……はい、きっとこの角度です」
 芙江は花弁の間際に立って押し出されるのを待つ。すぐに翡翠色の花弁が背中を優しく力強く押し、そして芙江の身体はぽーんと左斜め上へと向かって跳んでいった。空中で器用に身体の姿勢を変え、縄を投げて行きたい場所の少し上を狙って大木へと放つ。縄はつるつるの幹に絡まり、螺旋を描くようにして芙江は大木にとりついた。これも何度も試行錯誤して会得したこの場所ならではの効率の良い移動方法だ。
「お待たせしました。では、僭越ながら私が受粉の大役を務めます」
 少し色の褪せた翡翠色の花弁の花に一礼すると、芙江はもはや慣れた手つきで花の中へと潜り込む。すぐに受粉を終えて外に出るとなにやら下の方から音がする。
「……なんでしょう? 下から賑やかな音が聞こえてきますね」
 縄を掴んだまま下を覗く。そのあまりの高さにびっくりする。一心不乱に受粉をしてきた結果、もう最上部に近いところまで登りつめていた。音はするけれど、下を覗いても何も見えない。
「気になりますけれど、でも今は受粉のお仕事の方が差し迫っていて大切ですよね」
 芙江は今受粉したばかりの花をそっと撫でる。同意を示すように花は緩やかに揺れている。
「大丈夫です。私はまだまだ働けます。だから安心してくださ……」
 言葉の途中でもお構いなしに花弁が動き、芙江はぽーんと跳ばされた。

●下はお祭り、上は……
 大木が密集していないぽっかりと広い場所に知性ある花たちが集まっていた。
「さぁさぁ、ディアボロスは集まって!」
「初めてのお祭りだよ!」
 基本的に会場設営は静梨が枯れて落ちていた大木の枝を拾い集めて席を作り、中央には大きめの枝を積んでいる。
「本当はここにテーブルを置きたかったのですけれど、資材があるようでないのですわ」
 何から何までお任せされているらしい静梨はため息をつく。
「いいの、いいの。中心がわかればいいの」
「中心?」
「それがないと、輪になって踊りにくいのよ」
 どうやらこのお祭りは輪になって踊るものらしい。
「あの、忙しそうだけど、私、受粉のお手伝いをしてきて、いいかな?」
 なんとなくお祭り関連の仕事を押し付けてしまうようで、エスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)はそっと右手を挙げて言いにくそうに静梨にお伺いをたてる。
「ええ、ここはわたくしに任せて行ってらっしゃいませ。でもあなたは吟遊詩人なのでしょう? お祭りが始まったのなら是非、歌舞音曲で盛り上げて欲しいものですわ」
 静梨はにっこりと微笑む。
「それはいい!」
「まさに適材適所だよ」
「いと高き方の絶妙なる配剤だね」
 花たちは賛成の意を述べる。
「わ、わかりました」
 もうすっかり盛りあがっている花たちの様子に気後れしつつ、とにかくエストはその場を大きく離れる。
「この上にも、翡翠色の花の仲間は居るのかな? 居るのならば……上に上る前に、花から花粉を分けて貰おう」
 その声が聞こえたのか、上から綺麗な声が降ってきた。
「あなたも下から花粉集め? それが効率的だよね。私がこの辺の花粉は集めちゃったから、もっと東から集めてくれる?」
 エストが見上げると、印象的な銀色の長い髪の少女が大木の半ばにツタを使ってよじ登っていた。
「アルラトゥさんですか?」
 エストは同じパラドクストレインに乗車していたディアボロスの名を呼ぶ。
「そうだよ、エストさん。やっぱり考えることはおんなじだよね」
 アルラトゥは小さく手を振り、また大木を昇ってゆく。
「受粉させた子から花粉を貰って、次の子に受粉させるようにすれば、強い種ができるかな? あ、その前にここの土を良くした方がいいのかな?」
 エストは地面の土を少しだけすくい取る。乾いて硬く、痩せた土地だ。
「受粉はアルラトゥさんもいるし、芙江さんもいる。そうだね、私はまず土を良くしないとだよね」
 エストはこの場所の土を植物の生育に適したものに変化させ、それから花粉を集めうえへ、上へと昇っていった。
「さぁ、お祭りを始めるわよ!」
 知性ある花の1輪が声を張り、地上では花たちのダンスが始まった。

●最上部にて
「これは……」
 翡翠の花に跳ばされた芙江と下から登ってきたエストは奇しくも隣り合った大木の陰にいた。二人とも身を潜めているのはごく近くにヴァインビーストたちがいるからだ。ヴァインビーストたちは更に上部を守るように、周囲を警戒し見張っている。
「この木はうろがあるから、大丈夫」
 このままじっとしていれば見つからずにやり過ごしてしまえそうだ、とエストは思う。それに、こんな場所にも何かの種がこぼれている。そっと拾ってポケットにしまった。あとでどこか日当たりの良い場所に移してあげたら芽吹くだろうか。
「ヴァインビーストたちは移動しないみたいですね」
 小さな声で芙江が言う。
「戦って道を開けてもらうしか、なさそうですね」
 エストも小声で言う。受粉を待つ花はもうこの高さにはない。心置きなく戦うことが出来そうだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【託されし願い】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!
【グロリアス】LV1が発生!

峰谷・恵
「ドラゴンも遠からずここに来るだろうし、早く片付けていかないとね」

可能な限り連携を取る。アドリブOK。
敵集団に駆け寄って炸裂気功撃を叩き込み、ダメージを与えながら撹乱して味方が攻撃を仕掛け易い状況を作る。
敵の反撃は後方に飛び退きから飛翔で距離を取って回避。避けきれないガスは吸い込まないよう魔闘気で防ぐ。
炸裂気功撃を叩き込んだ後は飛翔でフロア内を飛び回り注意を引き付けながらLUSTビームマシンガンの掃射で敵を牽制し連携を取りにくくさせる。機会があれば再度炸裂気功撃を叩き込む。ガス以外の避けきれない攻撃はLUSTオーラシールドで防ぐ。

「どんなに焦っても今できるのは目の前の敵を片付けていくことだけ」


 世界樹の内部に入った峰谷・恵(フェロモン強化実験体サキュバス・g01103)はすぐに気配を感じた。真正面では知性ある花たちが念願の受粉が叶い、次代の誕生を祝して早々に祭りを開催している。花たちは憂いを感じることなく、くるくると自分も回転し積み上げた木々の周りを回っている。恵が訪れたことにも気が付かないし、はるか上空での不穏な空気も感じ取っている様子はない。しかし、恵は割れた黒曜石の断面のような曇りなき瞳を上へと向ける。
「ドラゴンも遠からずここに来るだろうし、早く片付けていかないとね」
 ツタを伝っていけばツルツルの大木でも難なく登っていける。サキュバスらしい官能的な肢体は今、健康的なロッククライミング風の動きで体重を感じさせない身軽さを発揮し上へと進む。
「あなたは受粉をしてくれないの?」
「上には何もないわよ」
 大木にからまるツタにちょこんと座った知性ある花たちが恵に声をかける。
「悪いけど、急いでいるんだよ」
「えー、せっかくディアボロスが来てくれたのにぃ」
「ボクの好みは強いコなんだ。ごめんね」
 人でも花でも生命力の強い方がいい。命の輝きは美しく恵の心を魅了する、いつだって、誰だって。
「でも、クロノヴェーダは別だけどね、ほら見えてきた」
 視覚に捉えた、それはもう攻撃に移って良いに等しい。手近な大木の幹を思うまま蹴って、軽の身体は空中に飛び出した。そのまま密集する敵の真っ只中に飛び込んでゆく。
「破ァッ!!!」
 サキュバスとしての恵のフェロモンをたっぷりと含んだ闘気の塊をヴァインビーストたちに叩きつける。闘気は敵の中央で炸裂し分裂して跳ね回り、至近距離にいたヴァインビーストたち3体の身体を破壊してゆく。残骸がボロボロと地面へと落ちてゆく。
「グガわぁぁぁ!」
 大ダメージを負った3体のヴァインビーストたちの咆哮が響く。大きくひらいた口から放たれる毒の霧が恵へと向かって放たれた。しかしその反撃は想定済みだ。大木の枝を使って身体をしなやかに反転させると恵は大きく敵は飛び退く。それでも微かに届く毒には息を殺し闘気で防ぐ。ヴァインビーストと違って大ダメージを受けていない恵の姿に敵のヘイトがさらに高まる。
「どんなに焦っても今できるのは目の前の敵を片付けていくことだけ」
 ならば全ての敵を叩くだけだ。手にした武器を構え、恵は不敵な笑みを浮かべた。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【通信障害】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!

アルラトゥ・クリム
さーて。予め積んだ残留効果で、足場の心配無し!
思いっきり行かせて貰うよ!

飛翔して敵群を睥睨できる位置にポジショニング
コネクトでサウンドユニットと『Once Again』を召喚装着し
魔力とソウルをサウンドに乗せ、全力で叩き付ける!
「さあ、ショータイムだ!花さん達の祝祭記念に、私の歌を聴け!」
(IS:NEW FRONTIER(Fire Bomber))

サウンドと情報ウィルスで敵の生命力と思考能力を蚕食しつつ
敵の反撃は、サウンドを構成する音波を物理衝撃波に変換して
自身を中心とした同心円状に放出し、迫る蔦を撃ち払う
「残念だけどこれ位じゃ、私の歌とディアボロスは止められないよ!」

アドリブ&絡み連携OK


近郷・芙江
「ずっとあそこに留まってるみたいですね・・排除せざるを得ませんか」

ディアボロスとしては初戦闘です。先輩方に迷惑をかけないようにしなければ。


そして敵を下に叩き落としたりしては後続の方や植物種族の方に当たるかもしれない。注意せねば。

「参る!!」
手に持つ得物は六角鉄棒、まずタックルでぶつかって壁に叩きつけ、以降壁面ちかくの足場の広い場所を選んで戦うように意識して戦闘を行う。



現状この件に関わっているディアボロスの中で最も経験が浅いのは本件が初仕事である私のはず。
ここで被害を受けて一番戦力に影響がないのも恐らく私だ。

可能な限り味方と連携を取って経験不足を補い、積極的にディフェンスを行う。


エスト・リンフィールド
まだ敵は……私達に気付いてなさそう
お祭りを邪魔させるわけにもいかないし、この辺には花もなさそうだから、思いきってトループスの相手をできるね

敵がこちらに気づく前に、アースシェイカーで攻撃し敵を足止め
敵がお祭りに気付いて、邪魔しに行ったりしないように、大声で挑発しながら仲間が合流するまで時間稼ぎだ

仲間が合流したら、一気に畳み掛けていきたいね

足場がよくないなら、【浮遊】で動き回ろう
敵の攻撃は、ガスの範囲外に退避してやり過ごしたいから、天候予測で風向きを読んで、風上に移動
間に合わないならば、【飛翔】して空中に逃げたり、【エアライド】で緊急回避

うまく敵を倒したら、この辺でも【土壌改良】
花が増えるといいね


 極近い場所にヴァインビーストたちがいる。しかし、敵はこちらがいることも気がついていないし、位置関係も把握していない。これは先制攻撃をする千載一遇の好機ではないか、と、エスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)は思った。思ったからにはすぐに動くしかない。ただ、隣の大木の影にいる近郷・芙江(サキュバスの撃竜騎士・g07259)がどう動くかはわからない。
「ずっとあそこに留まってるみたいですね……排除せざるを得ませんか」
 芙江がとても緊張しているのがわかる。若葉のようなミントグリーンの瞳は不安そうにゆらめいている。エストは小さく息を吸い、そして吐いた。芙江よりも深く濃いエメラルド色の瞳がキラキラと輝く。
「この辺には咲いている花もないし、お祭りの邪魔にもならないし。思いっきり一気に叩こうよ」
 エストの気負うことのない自然体の様子が芙江には安心できる感じだった。ディアボロスとして先輩になるエストの判断は間違っていない、と信頼できる。
「わかりました。私も戦います」
「じゃあ行くね」
 芙江の言葉が終わるか終わらないないか、そのタイミングでエストは大木の影から出てヴァインビーストたちのなかへと飛び出した。早口で詠唱を紡いでゆく。
「大地に眠る聖霊よ。今こそ目覚め……我が敵を奈落の底に呑み込み給え!」
 木々を足場にしていたヴァインビーストたちの周囲の木々が大きく揺れた。地震でも起こったかのように激しくしなる大木に翻弄され、身動きの取れない敵は周囲のしなる枝に叩かれ、弾き飛ばされ、飛ばされた先でもまた叩かれる。やや動きの鈍かったヴァインビーストがピンボールのような状態になり、ボコボコになって身体の一部がボロボロ千切れて落ちてゆく。深傷を負ったヴァインビースト3体が大きく口を開き、エストへと獣の咆哮をあげる。植物性の毒ガスが噴き出して、3方向からエストを包み込んだ。いや、間一髪、枝をしならせて跳び上がりもっと上の枝へと退避する。
「わかっていても、これなのね」
 エストの白い足が紫色の変色している。ディアボロスの反射神経でも毒ガスを極僅かに受けている。
「参る!!」
 いつの間に回り込んでいたのか、芙江はエストがいる方とは真逆からヴァインビースト達のいる枝へ突進した。手にしているのは自分自身のように両手に馴染む六角鉄棒。それを構えたまま1番近い敵に体当たりをする。全く芙江に気がついていなかった2体のヴァインビーストは硬い大木の幹に叩きつけられた。そのままずるずるとずり落ちてゆく。反撃はない。
「思いっきりのいい行動、からの攻撃! そういうの嫌いじゃないよ」
 芙江とエストのいる場所よりももっと上から声がする。声を出すことに慣れている鍛えられた喉からの力強い声だ。でもエストのような吟遊詩人の声ではない。見上げたエストの視界にキラキラとした赤のグラデーションが鮮やかな翼が見える。
「さあ、ショータイムだ! 花さん達の祝祭記念に、私の歌を聴け!」
 高い枝を蹴って飛び出したアルラトゥ・クリム(現代の魔法使い・g05088)がグングン近くなる。右の甲には魔紋が浮かび、サウンドシステムは換装されている。
『あ〜〜!』
 アルラトゥの声、演奏され重なりあう音の合成、そこには密かにウィルスが仕込まれている。誰にも気づかれることなくウィルスは敵の身体へと侵食し、内側から思考力も戦闘力も奪ってゆく。アルラトゥの真下にいたヴァインビースト2体の動きが明らかに鈍った。枝の上にへたり込んでしまう。
「良く効いたみたいだね」
 しかし、ヴァインビーストたちは僅かに顔だけをあげ、身体を保持できないほどのツタを上へと放ってきた。そのツタがアルラトゥの身体を縛める。
「え?」
 命と引き換えのようにして自分を構成するツタを使い、アルラトゥを縛りあげたのだ。
「えええ!」
 振り解こうと身体を捻っても、暴れても解けない。
「任せてください」
 芙江はすぐ近くにまで落ちてきたアルラトゥに絡むツタを六角鉄棒を使って器用に剥がす。少し剥がせばアルラトゥの腕に自由が戻ってくる。
「ありがとう。もう大丈夫」
 枝に着地したアルラトゥはガシガシとツタを引き剥がした。あちこちに深い擦り傷ができているが、気にした様子はない。
「あの、痛くないですか?」
 アルラトゥの白い決めの細かい肌のあちこちに血が滲み、あるいは傷が開いて真っ赤な口を開けている。痛くない筈はないのに、アルラトゥは首を横に振った。
「大丈夫。それよりもまだショータイムは続いているよ。こんな敵、サクサクって倒しちゃおうよ!」
 アルラトゥのピジョンブラッドの瞳とインペリアルトパーズの瞳が妖しく輝く。それは芙江の目から見ても引き寄せられるほどに美しい。
「ごめんね、そっちに敵が飛んじゃった!」
 エストの声が響く。アルラトゥと芙江が振り向くと、アースシェイカーに荒れ狂う木々の枝に弾かれたヴァインビーストが、身体を形作るパーツを撒き散らしながら後ろ向きにやってくる。アルラトゥが右、芙江が左に飛びのくと、たった今まで二人がいた枝にヴァインビーストが激突し、枝が折れて落下した。
「あと半分ぐらい、なので……2人も力を貸して、やっぱり1人では、大変だし」
 エストの声は半分ぐらいから聞き取りにくくなる。ディアボロス同士でも仲間でも、指示やお願いを伝えるのはエストにとっては苦手な部類の行動だ。
「わかりました」
 すかさず動いたのは芙江だった。ずっと戦い続けているエストを横から迫るヴァインビーストへと向かって枝を蹴った。傷ついたアルラトゥよりも動きは速い。
「させません
 六角鉄棒から繰り出す渾身の一撃がエストへと向かっていたヴァインビーストの横腹を穿つ。1体、そしてもう1体と串刺しにして、そのまま振り回して遠くへ飛ばす。ドラゴンをも屠る強烈な一撃はヴァインビースト2体をあっさりと貫いてゆく。しかし、まだその2体はうごめいている。崩れかけた身体を反転させて芙江と顔を向ける。咆哮を放とうと口を大きく開け……けれど、咆哮は放たれない。身体の内部に侵入したアルラトゥのウィルスがとうとうヴァインビーストを掌握していた。何も出来ないまま、ヴァインビーストの身体が崩壊してゆく。
「残念だけどこれ位じゃ、私の歌とディアボロスは止められないよ!」
 かすれた血の赤に染まったアルラトゥはニヤっと不敵に笑い、もうその眼は次なる敵を探していた。
 エスト、芙江、アルラトゥの活躍により、ヴァインビーストたちは屠られ、さらなる高みへと向かうために障害は完全に取り除かれた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
【浮遊】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV3になった!

 沢山の大木、その高くそびえる先端は不自然に絡み合い、人が出入りできるほど目の粗い織物のようになって土台となり、更に丈の低い草が生い茂り、かりそめの草原となっていた。どこからともなく吹く風に海原のようにうねり、なびく。そのど真ん中で薄紫色の長い髪をなびかせたディエリアナがいた。手にも足元にも沢山のナイフが転がっている。さびついた物もあれば、そこそこ新しいものもある。
「ヴァインビーストたちが倒された? わたくしが日課の鍛錬をしている間に? 許せませんわ。弱いヴァインビーストも、このような狼藉も」
 ディエリアナは静かに深く怒っているようであった。
峰谷・恵
「日課の訓練中?それは失礼」(日々鍛えるのは大事なことと思っているので他意なく失礼だったとは思っている)

可能な限り他のディアボロスとタイミングを合わせ連携を取る。アドリブOK。
先んじてあえて正面から竜骸剣でのパラドクスで斬りかかって敵に対処を迫り、味方が攻撃を当て易い状況を作る。
敵の反撃は、敵はパラドクスにナイフ攻撃を混ぜてくると読んで敵に向けてLUSTオーラシールドを構えてナイフを警戒しながら飛び退きから飛翔でまとわりついてくる葉を振り切り回避。避けきれない葉は魔闘気でを一瞬放出して払い除け、LUSTオーラシールドを避けて飛んできたナイフ攻撃は竜骸剣か闘気をのせたLUSTクンフーブーツで弾く


アルラトゥ・クリム
魔力抑制機構、完全解放。
さあ、ショータイムだ!皆、一気に攻め上がるよ!

白銀の聖衣を纏い(ネメシス解放)ブレードガンを銃形態にして
発射形式を弾丸状からビーム状の放出モードへ
火炎使いで放出魔力に炎属性を与え、火炎放射器の様相で
必要なら仲間の分も含め、舞う葉を焼き払う!

敵の葉に対処しつつ、周囲に数多くの魔力誘導弾を生成して
ブレードガンの火炎を抜けて来た葉を撃ち払いつつ機会を伺い
敵の注意が逸れたり隙を見せたら
手元に残った魔力誘導弾を、只一点に一斉に撃ち放つ!
「フィナーレだ!全弾、纏めて持ってけ!」

此奴を倒したら、改めてお祭りに参加しても良いかもね
この世界、ギターってあったっけ?

アドリブ&絡み連携OK


エスト・リンフィールド
自分はお稽古ばっかで、大事な見張りを手下に押し付けてたくせに、手下のミスを全部……手下のせいにするんだ
それって、物語の悪党のテンプレートだよね

その手入れのなってないナイフ……接ぎ木用?
接ぎ木用なら、そいつであなたの腕を落として……頭の天辺にでも接いでみようか

等と植物知識、情報収集、看破、挑発を活かし敵を挑発して、仲間が仕掛ける隙を作ろう

敵の攻撃で魅了されたら、下手に長引かせないように……ソードハープを太股に突き立て、激痛で正気に戻るよう試みる
正気に戻っても、しばらく演技で魅了されたふりして、敵の警戒が緩んだその一瞬をついて……伝承目録で攻撃

敵を倒せたら【土壌改良】
この辺まで、花が増えるといいね


近郷・芙江
鍛錬をよく好み、誘惑、ダンスを得意とし、自信にあふれ、悩殺光線を放つ。
短剣の技を使うようだ。自分も短剣は携帯しているが、戦闘で使うとしたら目くらましに投擲する程度だ。

まるで自分の上位互換を見ているような心持がする。
私の自信のないサキュバスミストなどは歯牙にもかけられまい。下手な搦手は簡単に見破られそうだ。

とはいえこちらも一人でかかっている訳ではない。
「一戦ご指南賜りたい!!」
今日までの鍛錬と行いの義しさを信じて、真正面からかかるよりあるまい。

六角鉄棒を握り直し、穿信撃で打ち込む。


防御はなるべく鉄棒で受け流し、動力甲冑で受けきる。
可能な限り味方と連携を取って経験不足を補って戦う。


九十九・静梨
残るは貴女ですわね
かなりの手練のようですがこの筋肉にてここを突破致しますわ!

かなりの素早さにナイフ
タイプとしては苦手な部類の相手になりますわね
更には舞による錯乱…!
ですが惑わされはしませんわ!
【託されし願い】で植物の人らと共に祝った祭を思い出し
錯乱への抵抗判定の成功を引き上げて打破しますわ
彼らの平穏を守る為にも受粉もさせないこの支配を破壊しますわ!

パラドクスを発動
ハンマー『爆鋼』を巨大化し筋力で素早く◆薙ぎ払い
近付けさせずにナイフを使わせないようにしますわ
そして巨大ハンマーを全力で叩きつけますわ
回避できたとしても逃がしません
◆強打した場所から周囲に伝わり地面ごと敵を巻き込み◆粉砕しますわ!


 大木の枝が寄り集まってできた仮初の平地、そこがディエリアナの棲む場所であった。ここより下に行く用はなく、ここより上に行く資格はない。昨日と同じ今日をただただ日課通りに進めてゆく。しかし、それも今日で終わる。終わらせる者がこの場所に到達したのだから。
「誰ですか? わたくしの許しも得ずに面会しようなど、無礼の極みではありませんんか」
 細い眉を寄せて不快なのだと表情に出すアヴァタール級『ディエリアナ』と対峙しても峰谷・恵(フェロモン強化実験体サキュバス・g01103)の態度からは怯えも恐怖も感じられない。
「日課の訓練中だったのかな? そんな大事な時間に大事な部下を殲滅させちゃて、それは失礼」
 それは恵の本心でだった。嫌味でもなんでもない。ただ、ディエリアナの表情が怒りに変わったところを見ると言われた方は他意などないとは思わなかったようだ。
「わたくしを愚弄する者を、わたくしは許しません!」
 怒りが強すぎたのか、すでに手にナイフを持っていたディエリアナはさらに長い刃渡りのナイフを求めて身をかがめる。それは恵には大きな好機だった。
「視えた……そこぉっ!!」
 恵はぐっと足に力を入れ、敵へと向かって飛び出した。サキュバスとして新しい生を受け、それまでには感じなかったサキュバスとしての魅了の力と闘気を全て渾然一体として集中させる。その混沌としたエネルギーは敏捷性を強く高める。一陣の疾風と化した恵は一瞬で敵の間合いに入り、竜骸剣を無造作に見えるほどの所作でふるった。
「ああああぁぁ!」
 嬌声のような悲鳴がディエリアナの唇から漏れ、腹辺りが大きく切り裂かれる。
「不意打ちだけど、悪く思わないで……え?」
 いつの間にか無数の木の葉が恵の身体にまとわりつき、じわじわとした痛みと身体の自由が奪われている。
「優しく包んで差し上げますわ。そのまま抗わなければ、優しく殺して差し上げてよ」
「それはごめんだよ」
 木の葉の戒めを破った恵が退くのと、ディエリアナのナイフが身体は掠めるのはほんの僅かな時間差だった。
「ナイフ攻撃、してくると思ったよ。練習したもんね」
 笑って、余裕を見せながら恵が回避する。
「小癪なのです」
「ボクばっかり気にしてていいのかな?」
 ディエリアナから間合いを取った恵とスイッチするかのように、別のディアボロスの影がディエリアナに忍び寄る。
「一戦、ご指南賜りたい!」
 前に出たのは近郷・芙江(サキュバスの撃竜騎士・g07259)だった。敵ながら、眼の前にいるディエリアナの姿には圧倒されるものがあった。鍛錬をよく好み、誘惑、ダンスを得意とし、自信にあふれ、悩殺光線を放ち短剣の技を使う。芙江の思う『自分の上位互換』のような存在にすら見える。ならば、クロノヴェーダだとしても直接戦って、得るものは確かにある。そう信じてナイフではなく自分の愛用の武器、六角鉄棒を握り直し、気合も入れ直して突撃する。
「真正面から? 芸のないこと」
 嘲笑のようなディエリアナの声も芙江の動きを止めるものではない。
「拠って立つ義しさがあるから……」
 戦う理由はある。ここは露わになったとはいえ、本来は秘匿されるべきフローラリアの断片の王の玉座がある場所だ。いずれドラゴン族もこの時代を制するために攻めてくる。その前に、ディアロボスの手で制圧する必要がある。だから、芙江は前に出て、敵を倒すための一撃を繰り出せる。
「私はやれる!!」
 大木さえ破壊するような強烈な一撃がディエリアナに命中する。恵によってつけられた裂傷の上からの攻撃にドッと赤くはない体液がどろりと外に溢れ出る。
「なんですって!」
 芙江を侮っていたのか、ろくに身構えることもしていなかったディエリアナはその攻撃に驚きを隠せない。
「お前など、死にまで優しく包んで差し上げますわ。覚悟なさい!」
 恵のときと同じように木の葉が芙江を包み込む。しかし、その効果はあっけないほど弱く、木の葉もすぐに落ちてゆく。
「かなりの手練れと推察しましたけれど、わたくしの思い過ごし、誤認だったようですわね。ごめんあそばせ」
 芙江と対峙していたディエリアナの背後から上品な口調で挑発するのは九十九・静梨(魔闘筋嬢・g01741)とエスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)だ。恵や芙江の戦いを見るまでは苦手な敵だと思っていたけれど、そんな意識を払拭してくれるほど二人の戦いは鮮烈に静梨に映る。
「自分は好き勝手にお稽古ばっかして、大事な見張りを手下に押し付けてたくせに、手下のミスを全部……手下のせいにするんだ。それって、物語の小悪党のテンプレートだよね」
 それほど大きな声でもなく、しかし確実に通る絶妙な声音でエストは言う。表情は『とっても呆れてますよ』と、言葉なんてなくてもわかるほど、はっきりと示している。
「わたくし、早くあなたと戦いたくて仕方がないのですわ。このわたくしの鍛え上げた筋肉がそうなさいと訴えかけてくるのですわ」
 言うなりハンマー『爆鋼』を巨大化し、しなやかで力強い筋肉を存分に生かして強大な力をハンマーに送る。
「ちょっと待って。待って!」
 早くも攻撃態勢に移行する静梨よりももっと早く、エストがごくわずかな動作だけで攻撃に移る。静梨の様な屈強な筋力はなくても、風や水のように滑らかに自然体で間合いを詰める。
「その手入れのなってないナイフ……接ぎ木用? 接ぎ木用なら、そいつであなたの腕を落として……頭の天辺にでも接いでみようか」
 挑発する語彙には苦労しない。湧き出るように頭に浮かぶ煽り文句をぼそぼそと言いながら、古い書物を紐解いた。
「これは……遠い、遠い時代のお話。そして、その奇跡は今……繰り返される!」
 エルフに伝わる古い知識を開示する。伝承に残る英雄の英霊が具現化され、その手に携えられた聖なる剣がエストよりも更に敵へ進撃し、痛烈な一撃を浴びせかけた。
「ああっ」
 手入れをしていないナイフでその攻撃を受け止めようとしたディエリアナからは完全に静梨がノーマークとなっている。
「今ですよ~」
 すぐに静梨が枝の大地を蹴って跳ぶ。
「九十九家家訓! 『武器は大きくあるべし!』巨大になりし武器を支える筋力を持って、全てを破壊しますわ!』
 力は身体中の筋肉から湧き上がる。それもこれも日頃の訓練の賜物だ。筋肉は裏切らない。誠意あるトレーニングには必ず相応の力をもって応えてくれる。今、静梨の身体から流れるエネルギーは巨大化した武器をさらに変形させ、その威力を最も生かす速度と角度でディエリアナへと叩きつけた。
「まぁ! あなた方はなんて無作法なんですの?!」
 恵や芙江がつけた傷とは反対方向の肩から腰にかけて傷が深く刻まれ、ディエリアナは剛腕を振るう静梨と囮の様な動きを見せたエストを激しく罵る。
「クロノヴェーダに教えを乞うような作法は覚える気もありませんわ!」
 笑止! とばかりに静梨はまだ幼さの残る綺麗な顔に嘲笑を籠めた笑みを浮かべる。
「私も静梨さんに完全に同意しますから」
 エストもクスクスと口元を隠して笑う。
「生意気な!」
 怒りの混じるディエリアナの舞いはウィンクを飛ばしても、それほど静梨の心を蝕むことはない。
「惑わされはしませんわ」
 この地に幽閉されているに等しい知性ある花たちの想い、それは共に祭りを過ごした静梨にはわかる。彼らの生存への、次代へと生を繋げていきたい思いを叶えるためにも、そう思えば心はもっともっと強くなる。
「この支配を破壊しますわ!」
 ディエリアナの舞はごく小さな痛みしか静梨に残さない。その背後でエストはフラフラと足がもつれてしゃがみ込む。
「さあ、ショータイムはこれからだ! 皆、一気に攻め上がるよ!」
 大木の絡み合う枝で出来た大地を突き破って出現したアルラトゥ・クリム(現代の魔法使い・g05088)が言う。その姿は先ほどまでとは全く違うネメシスモードだ。白銀の聖衣をまとい、ブレードガンを銃形態にしている。一瞬もかけずに構える動作、そして火炎放射器の様にしてディエリアナの周囲を焼き払った。舞い散る枝葉も燃え尽きる。
「全弾、纏めて持ってけーっ!」
 即座に精製し展開した複数の魔力誘導弾を、ディエリアナへと連続して叩き込む。少しの狂いもなく正確に撃ちこまれた魔力弾は着弾と同時に炎を生む。
「ぎゃあああ!」
 燃え上がるディエリアナから絶叫がほとばしった。紙の様に長い髪もドレスの裾も手足も燃え上がる。強烈な炎が敵の心と身体を同時に撃つ。それでもディエリアナは燃えながらダンスをするかのようにくるくると舞って木の葉を呼んだ。
「許しませんわ。死ぬまで優しく包んで差し上げますわ」
 再び三度、呼び寄せられた無数の葉が白金色の聖衣をまとったアルラトゥの身体を包み、無理やり身体の自由を奪う。
「わたくしのナイフを浴びるがいいのですわ!」
 ディエリアナは燃えながら無数のナイフを狙いも定めずに投げつけた。
「そんな攻撃をするんじゃないかってわかっていたよ」
 間近に迫ったナイフを器用に足で蹴り飛ばし、恵が再び『LUSTSLASH!』を放つ。
「今度も視えた……そこぉっ!!」
 濃密なフェロモンと魅了がこもった竜骸剣の攻撃、そこへ芙江が六角鉄棒を振り下ろす。
「拠って立つ義しさがあるから、何度だって私はやれる!!「
 今なら、仲間たちの攻撃を受けたディエリアナの防御の隙がわかる。どんなに強い敵だとしても、傷を負った腕の近く……横から鋭く武器を水平に振りぬいた。破壊されたディエリアナの右肩が耐えきれずに千切れて燃えた。
「ここ! このタイミング」
 倒れ込んでいたはずのエストが回り込む。芙江が破壊したのとは逆の肩を狙って英知の本を開いた。足には自ら傷をつけて魅了を脱したときの傷があるが、エストは力強く立っている。
「古き英雄の魂よ、奇跡は今……ふたたび繰り返される!」
「な、ナイフを……」
 燃えながら倒れ、それでもディエリアナは足元にある沢山のナイフへと手を伸ばす。しかし、あと少しと迫ったところでナイフは大きな風に吹き上げられて中空へと舞い上がった。
「ナイフは使わせませんわ」
 巨大な得物を振り回し、空気の流れ強引に変えた静梨がノーブルな笑みを浮かべる。一瞬で状況を察知したディエリアナが身をひるがえした。
「そして逃がすことも致しません。あなたの全てを破壊しますわ」
 その行動さえも静梨の予測通りだった。強靭でしなやかで強烈な筋力でなければ扱えない巨大ハンマーがディエリアナの背を打ち付け、かりそめの地面に叩き付ける。強烈な反動で転がった先には白銀の聖衣姿のアルラトゥがいた。先ほど、ディエリアナを攻撃した場所から微動だにしていない。アルラトゥの攻撃から続くディアボロス達の連携が、最後にまたディエリアナをアルラトゥの前へと連れてきたのだ。
「フィナーレだ! 全弾、纏めて持ってけ!」
 構えたブレードガンからありったけの魔力誘導弾を撃ち尽くす。炎が炎を呼び、赤、橙、黄、緑、青に揺らめく炎がディエリアナから立ち上る。小さな一片さえ残さずにディエリアナは燃えて、消えた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【エイティーン】LV1が発生!
【書物解読】LV1が発生!
【託されし願い】がLV2になった!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV2が発生!
【能力値アップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】がLV5になった!

最終結果:成功

完成日2022年05月24日

世界樹ダンジョン攻略戦(第一層)

 妖精郷を焼き尽くそうとするジェネラル級ドラゴン『炎のベディヴィア卿』の暴挙を、ディアボロスは阻止できました。
 しかし、既に焼き払われてしまった妖精郷の森が元に戻る事は無く、フローラリアの力は大きく削がれたようです。

 この影響は、ディアボロスが攻略したフローラリア防衛要塞群を越えた先にも現れました。
 なんと、ディアボロスの目の前で防衛群を越えた先の空間が揺らぎ、隠されていた『世界樹』が姿を現したのです。
 数kmもの高さを誇り、ダンジョンを内包した本来の歴史にありえない巨大樹木。
 これこそが、フローラリアの中枢にして『断片の王』の居城のようです。
『世界樹』を攻略すれば、フローラリアとの決戦に挑めるかもしれません。

 ですが、姿を現した『世界樹』は数kmの高さで、ドラゴン側の拠点からも容易に確認できます。
 そのため『炎のベディヴィア卿』は態勢を整え次第、全軍を率いて世界樹に向かってくる事が予測されます。

※特別ルール1

 この事件の攻略期限は『炎のベディヴィア卿』が襲来するまでの時間を示しています。
 攻略期限となった場合、この事件は終了し、世界樹を巡ってディアボロス、フローラリア、ドラゴン勢力による三つ巴の戦いが開始されます。
 三つ巴の戦いは、この事件の成功シナリオの数だけ、必要成功数が減少します。
 状況によっては、フローラリアの中枢をドラゴンに先に制圧されてしまう可能性も出て来ます。警戒が必要でしょう。

※特別ルール2

 このシナリオタイプは、攻略旅団の「期限延長」提案の対象になりません。


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#幻想竜域キングアーサー
🔒
#世界樹ダンジョン攻略戦(第一層)
🔒
#世界樹
🔒
#妖精郷
🔒
#フローラリア


30




選択肢『迷える迷いの森の植物達』のルール

 迷いの森の植物達は、支配者であるフローラリアから、邪悪な侵入者を惑わせて世界樹の攻略を邪魔せよと命じられています。
 しかし、迷いの森の植物達は、ディアボロスが邪悪と判断できず、邪魔をするかどうか迷っているようです。
 迷いの森の植物達は、他の場所の植物達と地下茎で繋がっており、これまで、ディアボロスがエルフや知恵ある植物達に良くしてくれた事を覚えているようなのです。

 彼らと話をして、ディアボロスが邪悪な侵入者では無いと理解してもらう事で、世界樹の探索を進めることが出来ます。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【🔑】この選択肢の🔵が👑に達しない限り、マスターは他の選択肢のリプレイを執筆できない。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『世界樹迷宮の不思議な冒険』のルール

 世界樹の内部は、様々な不思議な植物や仕掛けがあり、探索は一筋縄ではいきません。
 様々な工夫を凝らして、世界樹の中の不思議な仕掛けを突破して、探索を進めていきましょう。
 詳しい内容は、オープニングやリプレイを確認してください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾施設を警備するトループス級『ヴァインビースト』のルール

 施設の警備を行っているトループス級クロノヴェーダ(👾)と戦闘を行います。
 撃破する事で、施設での行動を行いやすくなります。
 撃破せずに行動する場合は、行いたい行動の選択肢を選びつつ、👾への対策などを同時に行う必要があるでしょう。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『ディエリアナ』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「氷々水雨・緋七子」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。