リプレイ
ノイン・クリーガー
[人物]
基本的に私語をせず、淡々と作戦を遂行する兵士(連携、絡みなどは歓迎)
隠密行動、偵察などを得意とする忍者タイプ。
[心境]
聞いているだけで吐き気がするような話だ。
これは現実なのか…?
[行動]
・冬季迷彩服を着用し、城からの視線を避けられる【地形の利用】と【光学迷彩】で身を隠しながら【忍び足】で氷壁まで接近し、軍用シャベルで氷に穴を空けて領地に潜入する。
・潜入に成功したら住人に何かあったのか尋ね、多少なりとも慰めよう。
「……たとえどんな選択をしても、ここの人々に罪はないはずだ」
そして夫婦の居所を尋ね、そこに向かう。
ジズ・ユルドゥルム
この改竄世界史には、初めて訪れるが…
…厳しい土地だな
この気候と、心を苛む辛苦に曝されて、人々の心は凍えきっているのだろう。
…暖めてやりたいな。少しでも。
雪景色に紛れやすくなるよう、白い防寒具を身に付ける。
獣神王朝の熱と光に慣れた身に、この寒さは堪えるな。しかし、何もせずとも吹雪が身を隠してくれるのは好都合だ。
仲間が壁の脆い箇所を発見したならば、サンドストームを刺突状に打ち込み、人1人屈んで通れる程度の範囲を「粉砕」しよう。
中に入った後は、一人でいる村人を見繕い情報収集。一人であれば、告げ口を心配する必要もあるまい。
外から救援に来た者と名乗り、村で起きていることと、領主の城への入り方を尋ねる。
エルマー・クライネルト
仮プレ
母親に子の命を選ばせるなど……悪趣味なクロノヴェーダのやりそうなことだ
非道が罷り通ると驕り高ぶった貴族には相応の報いを与えてやるとしよう
氷壁の周囲を[観察]し比較的脆い箇所を探す
味方にも情報を共有して壁に穴を開ける
一人でやるのは骨が折れそう故、こう言う作業は協力して行いたいものだ
潜入成功後は人が多い場所へ向かう
酒場などがあればいいが無ければ集会所へ
外から来た者だと名乗り[情報収集]を行う
集落の人々が暗い顔をしているのは寒さのせいだけではないだろう
良ければ話を聞かせて欲しい。少しでも貴方方の気を晴らしたいのだよ
【士気高揚】を使い説得
最近特に困っている人はいないかと夫婦の情報を探っておく
奉利・聖
…よし、状況は大体把握しました
僕も力を尽くし、彼らの窮地を救う為に全霊で臨みましょう
差し当たってまずは氷をどうにかして、侵入しなくては
なに…良い方法なら、ありますよ
──『朽気功』
振れたものはすべからく朽ちて、跡形もなくなっていく
強引にぶち破るのも趣がありますが、静かにやった方がいいでしょうし
ここは秘密裏にやらせてもらいましょうか
侵入出来たならまずは、周囲状況の確認です
困っている人が居たら手を貸すのが最優先
大丈夫そうなら一人に接触して声を掛けましょう
助けに来ました
今はまだ事を荒立てないで
今どうなっているか状況確認をお願いします
大丈夫、我々は絶望を覆す為に此処にいる
どうか、信じて
相原・相真
親に子供を差し出させる…。外道ですね、まさしく
あの城の連中必ずぶっ飛ばして、集落の皆さんを救いましょう
「諦めが救い」なんて、もう思わなくていいように
雪中行軍用のコートなど着て現地へ
まずは侵入から
氷壁を観察し、城から気付かれづらそうな位置を選び侵入します
[発明]で用意したバーナーなど使い氷壁を融かして侵入するつもりですが、
他の皆さんの方が手早く済ませられるようならお願いしましょう
村に侵入したら村人に接触
俺たちがこの村を救うために来た事を伝え、
例のご夫婦が住んでいる場所について尋ねます
あと見知らぬ人間ですし騒がれるかもしれないので、
【平穏結界】を使って敵に騒ぎを気づかれないようにしておきましょう
膝下にまで積もる新雪をかき分けながら、ディアボロスは豪雪地帯を進む。
吹雪は視界すらも遮り集落までの進路を惑わせる。ありとあらゆる目印に雪化粧が施される環境下では、定期的な方角の確認が命綱であった。
「この改竄世界史には、初めて訪れるが……」
ふうっ、と白い息を吐き出したジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)が何度目かの安全確認のため、周囲に目を配る。
一面の銀世界は美しくもあるが、それ以上に生命を危険に晒す。ほんの少し道を外れただけで地面を踏み外し、崖や湖にあわや転落となりかねない。クロノヴェーダとはまた違った脅威がそこにあった。
「思っていた以上に、厳しい土地なのだな」
過酷な環境に耐えうるため、ジズは白を基調とした防寒具を用意していた。
備えは万全ながらも、獣神王朝エジプトを故郷にもつジズにとって身を斬り裂くような寒さは想像以上であり、自然と身体が震えた。
「この気候と、心を苛む辛苦に曝されて、人々の心は凍えきっているのだろう」
「だからと言ってこの環境では、集落を離れることは難しいでしょうね」
ジズの呟きに、相原・相真(人間のガジェッティア・g01549)が相槌を打つ。
十分な装備があれば、一時的には寒さを凌げる。それは自分の身で証明できる。
だが、辺境に位置する集落までの道中は長い。体力のある大人ならまだしも、子どもや老人が耐えられる道のりでは無かった。
「子どもを差し出してでも、残された家族を守るために……」
淡々とした語り口の中にわずかな熱がこもる。
相真も、家族を失った。日常を奪われた。集落に住む人々の苦しみが過去を思い起こさせ、胸を締め付ける。
「諦めが救いだなんて、もう思わなくていいように。そのためにも」
強い感情に突き動かされた相真が先頭を進む。
エルマー・クライネルト(価値の残滓・g00074)は歩みを速め、先を行く相真の横に並んだ。
「母親に子の命を選ばせるなど……悪趣味なクロノヴェーダのやりそうなことだ」
ふいに発せられた言葉に、相真は足を止めてエルマーを見やる。隊列から飛び出した二人は寒風吹きすさぶ中で、無言のまま視線を合わせた。
縁もゆかりも無い、赤の他人を思って発露する怒り。それは以前のエルマーにとっては最も縁遠い感情だった。
「非道が罷り通ると驕り高ぶった貴族には、相応の報いを与えてやるとしよう」
視線を逸らしたエルマーが再び歩きはじめる。ディアボロスとして過ごした日々は、為政者の横暴に対する義憤を芽生えさせていた。
ギュッギュっと雪を踏みしめながら進んでいると、視界の先に突如として巨大な壁が現れた。近づいてみればそれは何層にも固められた雪のようであり、部外者の侵入を阻むように横に大きく広がっている。
「これが目標の氷壁と見て間違いないだろう」
それまで黙々と皆の後に続いていたノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)がそびえ立つ氷壁を見上げる。
集落をすっぽりと包み込む壁の存在は圧巻であり、視界の悪さを抜きにしてもその全容を掴むことは容易ではない。周囲をぐるっと見て回るだけでもどれだけの時間を浪費するかわからなかった。
「高台に城があるということだったが。なるほど、この気象条件では足元に目が届かないというのも頷ける」
雪原地帯に適した迷彩服を身に着けたノインは、吹雪の中に身を溶け込ませながら氷壁に接近する。
偵察も兼ねてしばし様子をうかがっていたが、ディアボロスの存在が敵に感知されるような予兆は見られなかった。
「困難な道のりを進んできた甲斐があったというものだな。このアドバンテージを最大限に活かしたいものだが、案のある者は」
「良い方法なら、ありますよ」
ノインの問い掛けに答えた奉利・聖(クリーナー/スイーパー・g00243)が手袋を外して前に出る。
硬度を確かめるため、軽く氷壁を叩く。ざらざらとした表面は石のように硬く、触れた先から凍えるような冷たさが伝わってきた。
「強引にぶち破るのも趣がありますが、静かにやった方がいいでしょう。ここは僕に任せてください」
氷壁にぴったりと触れさせた手のひらを中心に、皮膚組織を凍りつかせるほどの冷気が自然エネルギーへと還元されて体内に流れ込む。外部から取り込まれたエネルギーは体内エネルギーと混じり合い、聖の身体能力を著しく向上させた。
「すべからく、跡形もなく」
朽気功。内部から崩壊を招く気功術により雪の結晶が弾け、氷壁に人が無理なく通り抜けられるほど大きな穴が空いた。
氷壁の隙間をくぐり抜けると、雪に覆われた集落の風景が広がる。周囲を囲まれているためか外のような吹雪に悩まされることはなく、降り積もる雪も足首を埋める程度だった。
「あっ、大丈夫ですか!」
集落の様子を探っていた聖が荒い呼吸で座り込む女性の姿を認める。
全員で急いで駆け寄ると、年老いた女性は驚いたような表情を浮かべてディアボロスたちを見つめ返した。
「あんたたち、ここらでは見ない顔だね。まさかこの町の外から?」
「噂を聞き手助けに来た。しばらくは内密にお願いしたい。それと、もし差し支えなければ、集落の状況について教えてもらえないだろうか」
力強く言葉をかけたジズは女性が引いているソリに視線を落とす。
ソリには暖を取るための薪が積み上げられている。腰の曲がった年寄りが運ぶにはあまりにも不釣り合いに思えた。
「このような重労働を……若い者に頼れないのか?」
「みんな自分たちが生きていくだけで精一杯だよ。私の息子も、領主様に……」
領主が就任した際、各家庭の初子となる者が残らず召し上げられた。働き手を一度に失った住民は生活基盤を維持するため、死人以外は病気の老人であっても仕事に駆り出された。
すべてを諦めたように淡々と語る女性に変わって、相真はソリの手綱に手を伸ばす。
「必ず、皆さんの平穏な生活を取り戻してみせます。もう少しだけ、もう少しだけ待っていてください」
固く誓いを立てた相真を手伝い、女性の自宅まで薪を運び入れた。
集落の地理情報を得た一行はエルマーの提案を受け、人がより多く集まる飲食店に足を運んだ。昼を迎えたばかりの店内は満員だったが、賑わいや活気は感じられず一様に沈んだ表情を浮かべていた。
「すまないが、少し話を聞かせてもらえないか」
店主は他所者のエルマーに訝しげな目を向ける。先ほど手を貸した女性の名前を出すと、いくらか警戒が薄れた。
「ばあさんの知り合いか。あの人も気の毒にな。旦那さんをはやくに無くして、女手ひとつで育てた一人息子を取り上げられたんだからな」
夜翼令嬢が領主となってから、集落では住民同士の交流が、特に異性間の関わりが急速に薄れていったと店主はため息交じりに語る。
交流を持てば恋が生まれる。愛する人ができれば子どもが欲しくなる。しかし、初子は召し上げられてしまう。
ならば最初から愛することを諦めてしまおう。集落全体が陰鬱な孤独感に押し潰されそうになっていた。
「だが、そのような状況で子どもを得た夫婦がいると聞いたが」
「キールのところか。初子を諦めれば、って覚悟で望んだみたいだが、まさか双子が産まれて、ひとりを選んで差し出せとはな。すっかり気落ちして夫婦ともども閉じこもっちまったよ」
最後に夫婦の自宅がある場所を尋ね、ディアボロスたちは飲食店を後にした。
夫婦の家に向かう道中、幼い声を聞きつけたノインは、雪掻きを手伝う子どもの姿を遠巻きに眺めた。
夜翼令嬢の支配下に置かれた後にも、集落には何人もの子どもが生まれている。恐らく彼らは、初子を差し出した後の二人目か三人目。それは家族にとって苦渋の決断であったに違いない。
「……たとえどんな選択をしても、ここの人々に罪はないはずだ」
話を聞くだけでも吐き気を催すような所業が、この集落では現実に行われている。
その事実は、歴戦の兵士であるノインの心をもかき乱していた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV2が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
ノイン・クリーガー
[心境]
彼らを慰めることなどできない。
この地獄を終わらせる以外に。
[行動]
双子が生まれた夫婦の家に行き、対話を行う。
「その選択は待て。
どちらを選んでも、訪れるのは後悔だけだ。
そして誰にもこの状況をコントロールすることはできなかった。
だから選んではいけない」
「あの領主もその兵も人ではない。これは言葉通りの意味でだ。
そして我々はそういう奴らを殺せる存在だ。
つまりここへ来たからには、やることは一つ」
「だから選んではいけない」
ジズ・ユルドゥルム
すでに起きたことに対して、私は何もしてやれない
…無力だ。あまりにも
…思い悩んでいる暇はないな。急ぎ一家の元へ向わなければ
私は夫婦が仲間の言葉を信頼できるよう補佐を
熱砂の虫を一匹出現させ、「熱波の支配者」を発動
突然来て何を言うと思うのも無理はない
だが、我々にはこのように特別な力がある
どうか信じてはもらえないだろうか
初子でしかも双子だ。ただでさえ不安だろう
領主達のことまで心配する必要はない
…よければ、子供達の顔を少し見せてもらえるだろうか
ああ、ちっちゃいなぁ
本当に、可愛い…
可能なら、夫婦の家から城に行くまでの間
農耕地で「土壌改良」を発動させておこう
子供が増えるであろうこの村が、食うに困らないように
相原・相真
場所も聞けたし、急いでご夫婦の所へ向かいましょう
たとえ子供を差し出さずに済んでも、
一度『選んでしまった』っていうのはきっと消えない傷になってしまうから
ご夫婦の家に向かい事情を説明
もしもうアンナさんが選んでしまいそうなら、
多少強引にでも入らせてもらって彼女を止めます
突然申し訳ありません
俺たちは貴方がたの強いられている選択を止めに来ました
どうか、話を聞いてくれませんか?
説明するのは
「俺たちは領主を倒すためにここに来た事」
「だからその選択はする必要がないという事」
…俺たちが来る前に犠牲になった人も大勢いる
だからせめてこれから出る犠牲は失くしたいんです
どうか、俺たちを信じてください
双子を出産した夫妻の自宅を訪れたディアボロスたちは、玄関に備え付けられたドアノッカーを遠慮がちに鳴らして応対を待った。
ノックを繰り返しても反応は無い。最悪の事態を想定した相原・相真(人間のガジェッティア・g01549)は直に玄関ドアを叩き、夫妻に呼び掛けた。
「突然申し訳ありません! 俺たちは貴方がたの強いられている選択を止めに来ました。どうか、どうか話を聞いてもらえませんか!」
さらに力を強めるために拳を振り上げたところで、乱暴にドアが開かれた。
顔を見せた夫のキールは顔を紅潮させて来客を睨み付ける。家主が無事であることに安堵した相真がほっと溜息をつくと、毒気を抜かれたように咳払いをしてそっぽを向いた。
「誰だか知らないが、帰ってくれ。今日が家族全員で過ごせる最後の時間なんだ」
「その選択を止めに来た」
身を乗り出したノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)が閉じられかけたドアに足を差し入れる。
「どちらを選んでも、残るのは後悔だけだ。だから選んではいけない」
「選ばなきゃ、全員殺される。だから我慢してきたんだ。そうやって俺たちは生きてきたんだ」
「そうだ。誰にもこの状況をコントロールすることはできなかった。これまで村人たちがしてきた選択に罪はない」
相手の落ち着かせるため、ノインは一度相手の言い分を全面的に認めた。
キールの興奮がいくらか収まったころを見計らって、しかし、と言葉を続ける。
「別の選択肢が提示されるとしたら」
「なんだと?」
「あの領主もその兵も、人ではない。これは言葉通りの意味でだ。そして我々は、そういう連中を殺せる存在だ」
ノインの迫力に気圧されたキールが仰け反るように玄関から一歩身を引く。
その隙に相真はドアを押し開き、強引に夫婦の自宅に足を踏み入れた。
「奥さんは、アンナさんは何処に?」
キールの視線を追った相真は、はやる気持ちを抑えて奥の部屋に駆け寄る。
「大変な時に押しかけてしまって申し訳ありません。相原相真といいます。貴方がたに悲痛な選択を迫った領主は必ず俺たちが倒します。だから早まらないでください。どうか、俺たちを信じてください!」
余計な刺激を与えないよう、ドアを叩くことはせず必死の叫びで訴えかける。
粘り強く部屋の前で待っていると、どうぞお入りくださいと室内から返答があった。
アンナは寝間着姿でベッドに横たわっていた。キールに支えられながら上半身を起こしたアンナの頬は、憔悴のあまり痩せこけていた。
「こんな格好でごめんなさい。まだ本調子では無いもので」
傍らには双子の姉妹が寝かされている。二人の子どもを見つめるときにだけ浮かぶ母親の表情から、相真はまだ残酷な選択がなされていないことを察した。
「その選択はもう必要はありません。領主の非道な行いは今日で終わりです」
力強い相真の言葉に対し、アンナは諦めたようにかぶりを振る。
「領主様の逆鱗に触れれば、どれだけの犠牲が出るか。私のわがままのためにそんな」
「わがままなんて、そんなこと絶対にありません!」
それでも、アンナは目を伏せる。
住民たちを蝕む支配は深層意識にまでおよび、抵抗心を芽生えさせることは容易ではなかった。
「突然来て何を、と思うのも無理はない」
仲間の言葉を後押しするため、ジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)は熱砂で形作られた一匹の虫を呼び出す。
高熱を宿す羽虫が飛び回ることによって気温が急上昇する。暖炉で火を起こしてもまだ肌寒さを感じる室内が汗ばむような暑さに包まれたことは、夫妻に確かな戸惑いを与えた。
「我々にはこのように、特別な力がある。どうか信じてはもらえないだろうか」
熱砂の虫が姿を消すと、室内の気温は元に戻る。急激な温度変化に身を震わせたアンナは、それまでとは違った表情を浮かべてジズを見返した。
「……よければ、子どもたちの顔を少し見せてもらえるだろうか」
母親の許可を得て赤子を覗き込む。
生まれたばかりの姉妹はまだ目が開ききっておらず、少しむくんだようなまぶたを重たそうに持ち上げながらジズを見上げている。姉はじいっと、妹は少しだけ瞬きの回数を多くしながら。
「ああ、ちっちゃいなぁ。本当に、可愛い……」
純真無垢な二人の姿に、ジズは自然とほほ笑みを浮かべる。
「名前は、もう決めてあるのか?」
「いいえ。領主様に、召し上げられるものと思っていたので……」
「なるべく早いほうがいいな。この子たちの未来が明るいものになるよう、素晴らしい名前を考えてあげてくれ」
ジズに促された夫妻がそれぞれに娘を抱き上げる。
暖かな温もりに触れた二人は我が子を固く抱き締め、どちらともなく嗚咽を漏らした。
「お願いです。娘たちを、助けてください」
説得に応じた二人は第三の選択肢を、双子をどちらも手放さない道を選んだ。
夫妻の願いを聞き入れたディアボロスたちは悲劇の連鎖を断ち切るため、それぞれの想いを胸に領主の待つ氷の城へと向かった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【託されし願い】LV2が発生!
【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
ノイン・クリーガー
[心境]
ここが奴らの城か。
ならばいくら荒らしてもいいな。
これより突入する。
[行動]
発煙弾を投げ入れ、煙幕により【撹乱】を行いながら突入する。
【光学迷彩】を使用しながら煙に身を隠し、【完全視界】で敵を捕捉しながらMk-45/Sによる【制圧射撃】を行う。
撃つたびに移動し、位置を悟られないように立ち回る。
・鮮血色の針は盾になりそうな【地形の利用】を行い凌ぐ。
・コウモリの群れは【弾幕】で撃ち落とす。
・呪文による攻撃は外部補助電脳を起動し、サイコアーマーによる【結界術】で防ぐ。
相原・相真
よかった、何とか二人は止められましたね
あとはクロノヴェーダを倒すのみ
言った以上はきっちりやらないと、ですね
城へ乗り込み戦闘開始
こちらで注意を引けば他の方が戦いやすくなるでしょうから、
正面から敵陣へ踏み込み、魔力を纏った手刀での[斬撃]で攻撃
敵からの攻撃は魔力障壁での防御か[残像・フェイント]で[攪乱]しての回避でしのぎます
もし一般人の使用人の方などいるようなら城から退避するよう声かけ
あとはこちらや敵の攻撃に巻き込まれないよう注意しながら戦闘しましょう
これまで好き放題やってきたんでしょうがそれもここまでです
人の命や心を踏みつけるその悪行、ここで終わらせます!
アドリブ・連携歓迎です
エルマー・クライネルト
二人への声掛けは無事に済んだようだな
彼らが信じてくれた以上、我らも必ず成し遂げるとしよう
……子供が生まれてくる事は祝福されて然るべきだと思う
なのにこの地の人々はそれすら許されていない
ふざけた悪習など領主ともども断ち切るべきだとも
吸血コウモリのオーラは別行動させたオラトリオに[浄化]させて消し飛ばし、自身は[忍び足]で敵集団の意識外へ移動
パラドクスを発動しこの地に宿る怨念を集積
親たちの子供を手放さなければいけなかった無念を
幼子たちの生まれてすぐ命を奪われた怒りを
[呪詛]として放つ
覚えがあるだろう、これは貴様等が生み出した呪いだ
甘んじることなく受け取りたまえよ
高台までの中間地点に到達したところで、相原・相真(人間のガジェッティア・g01549)は眼下に広がる風景に目を向ける。
集落は賑わいとは無縁の静けさを保っており、昼を過ぎたばかりにも関わらず暗く沈み込んでいた。
「言った以上はきっちりやらないと、ですね」
夫妻は希望を選択した。ディアボロスの言葉が抗う勇気を目覚めさせた。
領主を倒し、非道な扱いから解放する。交わした約束を果たすため、相真はそびえ立つクロノヴェーダの居城を真っ直ぐに見据えた。
「ああ。彼らが信じてくれた以上、我らも必ず成し遂げるとしよう」
吉報を受け取ったエルマー・クライネルト(価値の残滓・g00074)も同じ思いを口にする。
祝福されるべき新たな命の誕生が、悪辣な領主によって不幸の種と成り果てている。その事実は内に閉じ込めたエルマーの感情を高ぶらせていた。
「ふざけた悪習など、領主ともども断ち切るべきだとも」
希望の種は、二度と刈り取らせない。想いをひとつにした一行が夜翼令嬢の居城となる氷の城に到達した。
「ここが奴らの城か。目に鮮やかな薄水色はある種の神秘性すら感じさせるが」
光学迷彩で身を隠したノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)が注意深く周囲を観察する。
歴戦のノインにとっては確認作業に過ぎない。ここまで無防備に接近を許した時点で、クロノヴェーダが自らの力を過信していることは明らかだった。
「ならば遠慮は無用だな。存分に荒らし回るとしよう」
正面に移動したノインが分厚い氷で形作られた両開きの扉に手を掛ける。鈍い音を立てて開いたところに、素早く発煙弾を投げ込んだ。
煙に紛れながら一行は氷の城に潜入する。完全視界を得たノインたちはまず見える範囲の間取りを確認した。
エントランスの正面には赤い絨毯の敷かれた大階段が設置されている。三階建ての建造物は吹き抜けの構造となっており、天井には大きなシャンデリアが吊り下げられていた。
二階の扉が開かれるのを確認した一行は左右に散開して通路に身を潜める。現れたブラッドメイガスは不快そうに煙幕を手で払い除けながら、手すり越しにエントランスを覗き込んだ。
「(この期に及んでまだ危機感を抱かないとはな。ならば)」
ノインはサイレンサー付きの特殊作戦用狙撃銃、SSG-87を構える。
標的となったブラッドメイガスが気配に気づいて視線を向ける。飛び立つコウモリの合間を掻い潜って、亜音速弾を敵の額に撃ち込んだ。
直撃を受けた貴婦人の身体がぐらりと揺れ、階段を転げ落ちる。物音を聞きつけた別の個体が同室から、さらに一階の奥から、次々と援軍が駆け付けてきた。
敵の動きに呼応するように相真が煙の中から飛び出し、二階から見下ろすブラッドメイガスと視線を合わせる。
「人間……いや、ただの人間ではないな!」
「人の命や心を踏みつけるその悪行、ここで終わらせます!」
全速力で階段を駆け上がった相真は開いた手のひらを肩の上まで持ち上げ、勢いのままに叩き降ろす。
魔力のこもった手刀は鋭利な刃となってブラッドメイガスの肉を裂き、首から血を吹き出させた。
相真に気を取られている隙に、ノインは忍び足で死角に移動する。侵入者を仕留めんと奥の通路から集まる後続の足元に弾丸を撃ち込み、進軍を制した。
「お嬢様の領地に土足で上がり込むとは、無礼な!」
「好き放題に振る舞ってきたのはそちらでしょう。次は貴方がたが報いを受ける番です」
ブラッドメイガスの纏う禍々しいオーラが真紅のコウモリへと姿を変える。
襲い来る群れの中を、相真は一切の恐れを抱かずに飛び込んだ。
「魔装接続、幻光閃撃……!」
階段を飛び降りた勢いのまま手刀を叩き込む。取り囲む無数のコウモリなど物ともしない。相真に決定打を与えられないうちに、ノインの的確な射撃によって次々と撃ち落とされた。
前線が混乱に包まれる中、反対側の通路からエントランスに合流したクロノヴェーダが前触れもなくうめき声を漏らす。
いよいよ貴婦人たちはうずくまって痛みを訴える。騒ぎに乗じで背後に回り込んでいたエルマーは、悶え苦しむクロノヴェーダを冷淡な視線で見下ろした。
「今こそ、己が無念を晴らす時だ」
ブラッドメイガスの身体がうっ血したように赤黒く変色をはじめる。
子どもを手放さなければいけなかった無念が、生まれてすぐ命を奪われた怒りが、エルマーの導きを受けて呪詛となり、自らの仇敵を縛り付けていた。
「覚えがあるだろう。これは貴様等が生み出した呪いだ」
ある貴婦人の手首が裂け、鮮血が流れ出す。傷跡は見る見るうちに全身にまで広がり、足元に凄惨な血溜まりをつくった。
またある個体は腕が不自然にねじれ、ちぎれ落ちた。四肢を奪われた貴婦人は苦しみに喘ぎながら無惨に床を這いずり回る。
「これこそが報い。甘んじることなく受け取りたまえよ」
前後を挟まれたクロノヴェーダの集団は徐々に抵抗する力を失い、ひとり残らず息絶えた。
「あらあら、私の可愛い召使いたちが、みぃんな血まみれね」
静まり返った場内に、乾いた拍手の音が響き渡る。
いつからそこに居たのか。大階段を上りきった三階の降り口に、下ろし立てのドレスに身を包んだ夜翼令嬢が姿を見せていた。
「さて、お客様ならお茶とお菓子でおもてなしするべきなんでしょうけども。まずは何のご用とお聞きするべきかしら?」
エントランスを見下ろす領主は血で血を洗う惨劇を前に、楽しげな笑いを浮かべていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【完全視界】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
【士気高揚】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV4になった!
相原・相真
お騒がせしてすみませんね
貴女に二つ、伝言を伝えに来ました
一つ『双子はどちらも渡さない』
そして二つ目『もうこれ以上、誰の命も奪わせない!』
残留効果2は全て使用
【飛翔】を使い敵の元へ移動
そこから[ダッシュ]で接近しての[強打]による攻撃を仕掛けます
敵の攻撃は[残像・フェイント]を活かしての回避か、
魔力障壁を使っての防御で対応
魔力の風は[精神集中・忍耐力]で耐えます
戦闘中必要に応じて【託されし願い】を使用
敵がどれだけ強かろうが恐れてなどいられない
必ず勝つ、俺たちを信じてくれた人たちのために!
敵を倒せたら、きちんと集落の方たちに報告をしておきたいです
ちゃんと伝えて皆さんを安心させてあげたいですから
エルマー・クライネルト
部下の死にも動じないか、クロノヴェーダなど何処の国に行っても変わらんな
鉄屑が田舎貴族に変わっただけだ
圧政を止めろと言っても聞かないのだろう?ならば力ずくで終わらせるだけだ
【託されし願い】を発動し血風を耐える
彼らが受けた仕打ちに比べれば、こんなものはそよ風にも満たない
血風を耐えきったら【神速反応】で一気に距離を詰め、鋼糸で夜翼令嬢を拘束し、操り人形からパラドクス発動
『嘲笑い続けた人間に討たれるとはヴァンパイアノーブルの恥さらしとは思わないかね、貴族なら尊厳を以って死にたまえ』
[呪詛]の言葉で精神を[誘惑]し、希死念慮の増幅を行う
自ら死を選ぶか、我等に討たれるかを選ばせてやろう。私は寛大だからな
「お騒がせしてすみませんね」
真っ先に受け答えた相原・相真(人間のガジェッティア・g01549)は絨毯に転がるブラッドメイガスの死骸を避け、エントランスの中心に移動する。
視線を上げた先で夜翼令嬢と目を合わせる。笑顔を浮かべる領主はドレスの裾を持ち上げ、恭しくあいさつを返した。
「茶と菓子か。部下の命を奪われながら、随分と寛大なことだな」
より厳しい目でクロノヴェーダを見据えるエルマー・クライネルト(価値の残滓・g00074)が挑発的に言葉をかける。
夜翼令嬢は小さく頭を振り、わざとらしく肩を落とした。
「そうね。同じ楽しみを共有する、大切な召使いだったわ」
「何とも虫唾が走る関係性だ」
吐き捨てるように呟いたエルマーが足元に視線を移す。
呪詛を受けたブラッドメイガスの亡骸は他と比べても無惨な姿を晒している。それは奪われた人々が受けた残酷な仕打ちを如実に現していた。
「圧政を止めろと言っても聞かないのだろう?」
「たかだか初子ひとりよ。それだけで平和な暮らしが約束される。慈悲深いことだとは思わない?」
「平和な暮らしなんて、どこにもありませんでした」
黙って二人のやり取りに耳を傾けていた相真が堪らず口を挟む。
「貴女に二つ、伝言を伝えに来ました」
「とても興味深いわ。是非とも腰を落ち着けてお話いただきたいところだけれども」
軽口には答えず相真は階段に足をかける。
「一つは、双子はどちらも渡さないこと。そして二つ目は」
敵を見据えたまま足を止めた相真は、自分の足で見て回った集落の有り様に思いを巡らせる。
「もうこれ以上、誰の命も奪わせない!」
言葉とともに飛翔で階段から飛び上がり、一息にクロノヴェーダとの距離を詰める。
ほとんど同じタイミングでエルマーも階段を駆け上がった。
「もはや言葉を交わす価値もない。力ずくで終わらせてくれよう」
「無作法な連中ね。私に楯突いたことを後悔させてあげるわ」
領主のかざした手のひらを中心に魔力の風が吹き荒れる。
向かい風に煽られた二人は前に進むことができず、その場に押し留められた。
「さあ、身体を横たえて楽になりなさい。すべてを忘れて、私の支配に身を委ねるのよ」
吹きつける風の音が言葉となって二人の耳元にささやきかける。甘くすがりつくような声色は激情を和らげ、戦意が急速に冷え込ませた。
「こんな攻撃で、俺たちは忘れない。俺たちを信じてくれた人たちとの約束を!」
猛風に耐える二人は城内に集落の映像を映し出す。
圧政に耐える住民の姿が、赤子を抱く夫妻のほほ笑みが、二人に立ち向かう勇気を取り戻させた。
相真は限界以上に出力を上げた機構腕を振り抜き、風を押し返す。突風にドレスをはためかせる夜翼令嬢の真上に位置取り、高々と拳を振り上げた。
後退する領主の足に鋼糸が巻き付く。躓きかけた夜翼令嬢の見下ろす先で、エルマーは操り人形を前進させた。
「嘲笑い続けた人間から逃げるなど、ヴァンパイアノーブルの恥さらしとは思わないかね。貴族なら尊厳を以って立ち向かいたまえ」
人形から放たれた呪詛の光が夜翼令嬢の心をかき乱す。
それは死への誘い。ほんのわずか、束の間に芽生えた希死念慮の概念。クロノヴェーダには無縁の感情が精神的な不安を煽り、一瞬の判断を鈍らせた。
相真の拳をまともに受けて大階段から落下する。エントランスの床に身体を打ち付けた夜翼令嬢は顔を伏せたまま立ち上がり、いらだちの声を上げた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【託されし願い】がLV3になった!
【腐食】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!
ノイン・クリーガー
[心境]
フザけた奴だ。
強者の余裕かハッタリか、あるいは単なるバカか。
「気遣いは不要。
日頃の礼をしに来ただけだ」
[行動]
・P218で牽制弾を撃ちつつ、【未来予測】と【神速反応】を使い【臨機応変】に戦う。
・鮮血の弾丸は弾道を読んで躱す。
・血の色の風はサイコアーマーによる【結界術】で防ぐ。
・茨は動きを予測してカランビットで切る。
・敵の注意がこちらから外れたら発煙弾で煙幕を張り、【完全視界】を使用。
そして【光学迷彩】と【モブオーラ】で煙に身を隠し、【託されし願い】でキールとアンナの映像を囮にしながら【忍び足】で接近し、カランビットの【不意打ち】で喉を裂き【暗殺】する。
ジズ・ユルドゥルム
この暢気に着飾った吸血鬼のために、この地の人々は…。
…奴を斃したところで何も返っては来ない。
だが、まずは、人々の人生を彼ら自身の手に取り戻させなければ。
不意打ちを狙う仲間が行動しやすいよう、
敵の周囲を砂嵐で取り囲む。
砂嵐を見るのは初めてか?
冥途の土産に味わっていくといい。
私の生命を喰らいたいならば喰らわせてやろう。
許容量を超す【呪詛】を混ぜた血を吸っても、茨は伸びるだろうか。
私の血はさぞ不味いだろうな。何せ鮮度は下の下だ。
貴様らに生命が生まれることの何たるかを説くつもりはない。
求めることはただひとつ。
この地の人々の人生から、早々に去れ。
速やかな死をもってな。
夜翼令嬢は半狂乱になって髪を振り乱す。
血溜まりに接触した左半身は配下の流した血で赤く染まっている。頬に触れた指先が赤く濡れていることに気づき、またヒステリックな声を上げた。
「この暢気に着飾った吸血鬼のために、この地の人々は……」
階下で待ち構えていたジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)は、取り乱す夜翼令嬢の姿に割り切れない思いを抱く。
汚れてしまったことが人々の苦しみよりも重要なのか。配下の死よりも耐え難いことなのか。自分だけを愛するヴァンパイアノーブルの本性を前に、怒りを通り越した虚しさすら感じはじめていた。
「ああ、もうつまらないことはまっぴらよ。あなたも、そしてあなたも、残らず殺してあげるわ」
ジズを指差した手が、対面に立つノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)に移動する。
ノインはサイレンサー付きの拳銃、P218を構えることで指名に応えた。
「一皮剥けばこの醜態か。強者ゆえの余裕かと身構えていたが、ただのわがままなガキだな」
「減らず口を。泣いて許しを請うなら今のうちよ」
「気遣いは不要。こちらも見逃すつもりはない」
交渉を決裂させたノインがP218の引き金に指をかける。
放たれた牽制弾はわずかな動作でかわされる。血の色に染まる風が吹き荒れる中、二射目までは観察に務め、続く三発目を敵の右腕にかすめた。
「(感情の昂り、そして二人の攻撃によるダメージ。思いの外、追い詰められているようだな)」
好機と見たノインは焦らず冷静な射撃を続ける。
ついに弾丸が夜翼令嬢の肉に食らいついたところで、魔力にあてられたノインの指先から力が抜ける。朦朧とする中でも拳銃だけは手放さず、しっかりとグリップを握り込んだ。
「ようやく、大人しくなったわね」
とどめを刺さんと、意識を刈り取る風の勢いがより強さを増す。
笑みを見せるクロノヴェーダの視界を、巻き上がる砂嵐が覆い隠した。
「今度はなにっ!?」
「砂嵐を見るのは初めてのようだな。ならば冥途の土産に味わっていくといい」
ジズは自らへと振り返る夜翼令嬢の視界を新たな砂嵐で遮る。
猛り狂う風は中心でひとつになり、天井のシャンデリアを激しく揺らした。
建物全体を揺るがす嵐の中から鮮血色の茨が飛び出す。
絡め取られたジズの腕に棘が突き刺さり、鮮血が流れた。
砂嵐が勢いを失い、全身に傷を負った夜翼令嬢が姿を現す。満身創痍ながらも気取った態度は崩さず、切り刻まれたドレスから神経質に砂を払い除けた。
絡みついた茨は腕を伝って胴体にまで伸びる。流れ出た血液は茨に染み込み、より拘束を強めた。
「私の生命を喰らいたいならば喰らわせてやろう。鮮度は保証できないがな」
「そのやせ我慢がいつまで続くかしら」
勝ち誇った笑みを浮かべるクロノヴェーダに対し、ジズは同じ意味合いの笑みを返した。
「この地の人々の人生から、早々に去れ。速やかな死をもってな」
眉をひそめる夜翼令嬢の背後で煙が立ち昇る。
煙幕に紛れて接近したノインは一切の音を立てずにカランビットを振り抜き、深々と夜翼令嬢の喉を切り裂いた。
「日頃の返礼だ。遠慮なく受け取るがいい」
顔を上げた夜翼令嬢の口内から血が吹き出す。もの言いたげにぱくぱくと口を動かすが、切り裂かれた喉からは空気が漏れ出すばかりだった。
崩れ落ちたクロノヴェーダが血溜まりに沈む。物言わぬ骸となった領主を前にしても、ジズの心が晴れることはなかった。
「悪しき領主に翻弄される人生は終わった。それでも、彼らが本当の平穏を取り戻すには長い時間がかかるだろう」
命を繋ぎ止めた双子が集落にとっての希望となることを祈りながら、ディアボロスたちは氷の城を後にした。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
【土壌改良】がLV2になった!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【ロストエナジー】がLV2になった!