リプレイ
レディ・フォールン
さぁ、さぁ!最ッ高の舞台、準備は出来ているかしら!
舞台というのは観る他人の心を揺さぶり、震わせ、楽しませるものだけれど…
今この瞬間を楽しむのは私独りだけね!あはは!
…あら!皆様そんなに暗いお顔をして、どうしたのかしら?
どうか笑って!どうしようもないくらいに!私が弱い物いじめをしているように魅えてしまうから!
えぇ、えぇ!その可愛らしい小さな赤い針も甘んじて受け入れましょう!
私の身体や腕に穴が空いて、私の血が貴女達の方へ飛んでしまうかも!【投擲】
…けれど、血祭りの舞台を彩る為には仕方のない事ね!
そうそう、逃げるのならどうぞご勝手に逃げてね!
――逃げられるのなら、ね。あはは。
【アドリブ・流血OK】
●
何処より、同族の悲鳴が聞こえた。
所在なく打ちひしがれるだけだった貴婦人らは、海水を吸ったドレスを引きずり何処へと去らんとす。
その眼前に、一見すると己らと良く似た女がひとり佇んでいる。白い髪、伏し目の赤には光が刺さず奈落色。
反射的に、敵と認識したブラッドメイガスらが、無数の針を射出する。
対する女は――レディ・フォールン(ROEL・g01679)は、舞台の幕が上がるのを待つように集中し微動だにしない。
ふつりふつり、と、赤の上着ごと皮膚が削られ、千切られた横髪の下の頬は赤く深く穿たれ血を流しても、レディは苦痛一つもらさない。
その無数の魔力の針が、突如、蒸散する。
同時に、最前列にいた貴婦人らの首が赤く醜く焼け爛れ、もげた。
――さぁ、さぁ! 最ッ高の舞台の開幕ベルが鳴る!!
「まぁ大変! 開演直後だというのに、貴賓室の皆々様の目玉が煮えてしまってるわ!」
嬉々と艶やかなる嘲笑でもって、主役女優たるレディは最初の台詞を口にした。動き出したとたん色彩を纏い、艶が出る。
「……あら!皆様そんなに暗いお顔をして、どうしたのかしら?」
じりとレディが踏み出せば、女達も同じだけ後ずさる。
しばしそのやりとりを楽しむように、一歩出たり止まったり、そうかと思うと三歩でて脅しつけ、完全に弄んでる。
「こ、こないでくださいませ!」
「まぁなんて愛らしい針、ふふふ……」
敢えて全てを身に受けて、吹き出した血をそのまま投げ放つ。
赤の絵の具を子供がぐちゃぐちゃに風景画になすったような、何もかもがレディの血炎に塗りつぶされた――開幕から地獄絵図。
「どうか笑って! どうしようもないくらいに! 私が弱い物いじめをしているように魅えてしまうから!」
その私がとても映えて美しいのはわかっている――血祭り舞台専門の主演女優、それが私、レディ・フォールンなのだから!
大成功🔵🔵🔵
効果1【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
湯上・雪華
絡み、アドリブ等完全受け入れ
重傷描写大歓迎
先の戦争であんまり活躍できなかったから、ここで
これはボクの八つ当たり、自己満足だから、あらがってよね?
渇望抱く伽藍、参ります
渇望の呪詛に身体を任せて正面から斬りかかろう
うごうのしゅう、くらうはうつろ
はらのたしにならずともきょえいはみたされん
反撃はダンス、呼吸法にて避けてみせよう
そのていど、じぎにひとしい
うばわれるがわ、とくとあじわうがいい
われはうつろ。がらんのうろにそんざいするものなり
たしょうたりともみたされたならばアレにうつわをかえす
ひとのまねをするはふべんなり
リップ・ハップ
連携、アドリブ、流血〇
吐血×
経験者優遇、但し全員経験者て感じ? ししし
確かに情報持って帰られんのは厄介
ここでの情報まで持ち帰られたら数減らしたって質上げられちまう
てことは目指せ全狩りだな
動いた分だけ、攻撃食らって傷口が熱を持つほど、私も身体も調子はアガる
タフさは生まれた時から図抜けてんだ【肉体改造】【忍耐力】
回避だの防御だのは致命傷もらいそな時だけの最低限
そこに使う時間あんなら全部攻撃に回して、片っ端から伯爵で斬り捨ててやんよ
体温が上がり続けりゃ、どっかのラインで蹂躙に変わんだろ。そっからは力任せの力押しだ
今までもそうだったろって? ちげーねー。わはは
精々私の準備運動に付き合うんだな、怪物共
マルファ・ザイツェヴナ
東ポーランドはじいさまと狩りをして過ごした庭のようなもの。
狩る相手が獣から吸血鬼に変わっただけ。なんの問題もありません。
そして何より、ロマノフ朝の中枢であるサンクトペテルブルクは私の故郷……絶対に取り戻してパパとママに再会するんだ!
じいさまの形見の猟銃で狙撃戦を仕掛けます。雪に身を隠し、息を潜めて引き金を引く。姿なき狙撃手というのは、士気が壊滅しているときほどよく刺さると聞きました。
吸血鬼に恨みはありませんけど、祖国を取り戻すために消えてもらいます……!
●
マルファ・ザイツェヴナ(雪狐・g05449)の鼻を擽る潮風の冷たさに、すっと頭の耳を伏せる。
ロマノフ朝の中枢であるサンクトペテルブルク、故郷。
つまり、祖父と狩りをして過ごしたこの地は謂わば庭。日照時間も影と隠れる植物の選定も全て頭に入っている。
雪原で堪え忍ぶ根気は心身に染みこみきっていて、今回はそれが海原に変わったに過ぎない。
遮光眼鏡ごしの瞳は、仲間と相対する貴婦人らを確りと捉えている。
喧噪。
それをアヴァタール級の娘が部下を宥めようとしているが、全く届いていないようだ。
白の幼き妖狐が眺める光景にて、艶やかな紅いドレスが薔薇のように咲き誇る。
一見すると妙齢の娘でしかない湯上・雪華(悪食も美食への道・g02423)は、わざと両腕を広げ裾を翻し歩く、そうして駆けつけた夜翼令嬢の姿を雑魚どもから覆い隠してしまった。
「先の戦争であんまり活躍できなかったから、ここで」
暴れたりない、これは所謂八つ当たりだ。
「……こ、来ないでくださいませ!」
楚々と笑む雪華からわき出る濃密な殺意に対し怯えが伝染していく。
「あっれぇ? 全員経験者と聞いたけど、これはまた随分とビビり散らかしてる的な?」
黒マスクの上の瞳はからかうように弓曲り。柘榴のように熟れた瞳に合わせたアイシャドウが蠱惑的なリップ・ハップ(Reaper Harper・g00122)は、気さくな足取りで進みでた。
「きゃあッ、あ、あたくしは、くるなっていっておりますのよ?!」
「確かに情報持って帰られんのは厄介。ひとりの握る情報が、1の兵を10にも100にもしちまうし? てことは目指せ全狩り、だな」
リップは誇示するように身の丈超えの大鎌――伯爵をいつの間にやら携えて、わざわざ算段を口にする。
無論、脅しだ。
そして、リップの狙い通りブラッドメイガスは悲鳴をあげて散り散りになりだした。
「待って頂戴、バラけては相手の思う壺ですわ!」
直後、銃声。
恐怖の余り蝙蝠を召喚しようとした奴、ではなくて、大人しくアヴァタール級に従い止まったの額に4発、奪命の気合いを籠めたマルファの弾丸が突き刺さる。
「どこから?!」
「敵がまだいるというの?!」
サプライズアタックに浮き足立つ中、斜め後ろでした足音を、リップと雪華は感知する。
「渇望抱く伽藍、参ります」
白い砂浜に紛れたマルファを隠すように、まずは雪華が砂蹴り貴婦人の群れへと突入した。
うごうのしゅう、くらうはうつろ。
はらのたしにならずともきょえいはみたされん。
殺された理由すら忘れた伽藍洞の雪華は、妖刀にとっては何でも詰め込みやすい格好の器だ。
「……」
妖刀に侵食された手のひらで、射出された血蝙蝠ごと貴婦人の喉を握り潰す。
ぶじりぶじり、と、雪華の腕の方々が食い破られる。漆黒に赤の血が足されても、双眸の琥珀はなんの感情も浮かべない。
一つを喰らったら、次の蝙蝠に向けて手を伸ばし、今度は両手で絡め取っては抱きしめた。
「わはは、先を越されちゃったなぁ」
くぐもるレザーマスクの奥から獰猛な哄笑を響かせて、リップは砂浜を垂直に蹴った。
ひゅるり。
癖のある後ろ髪を靡かせ跳躍するリップはまさに的。
――だがそれがなんだというのだ?
狙い通り、ブラッドメイガスらが翳す手のひらからの棘は、ミニスカートから零れる太ももや長袖から覗く白い手首を傷つける。
棘が突きささり、皮膚がめくれ、わざとらしい程に強い痛みはリップの全身に熱を呼び寄せる。
愛が、滲み出て、滴る。
一つだって取りこぼすものかと己を抱けば、更なる熱がリップを駆け巡る。準備運動は万端だ。
「さて、と……お?」
タァン、と、今度は四発。散弾銃めいたばらまきで、リップを取り囲もうとした女達四人を穿ち退かせる。
「まったく……」
と、雪影に潜むマルファは眼鏡を押し上げ嘆息を漏らした。猟銃をさげ、前方の騒ぎを凝視する。
これではどちらが獣かわかったものではない。ああいや、獲物は獣から吸血鬼に変ったのだったか。
思慮深き射手は、ふと、余計なお世話だったかと脳裏に浮かべる。だが、それは全くの杞憂であった。
血塗れのリップが振り返らぬままでコッソリ後ろ手でサムズアップをして見せてくれた。
マルファはふいっと安堵の息をつくと、雪華が抱き壊して天蓋にパァッと遺骸を放った影を利用して、走る。
(「さんきゅー、これも支援っていう愛でしょ」)
後ろ手サムズアップを戻したリップは、伯爵を横持ちに変えると即座に眼前を薙ぎ払う。人ならざる勢いで跳ね上がる体温は大鎌の切っ先を通じ、触れた敵に蒸散を強いる。
まず二体、更に手元に戻した刃をくるりまわし、逆手持ちで二体を引っかけ叩きつける。
マルファの狙い通り、弾丸は浮き足だったブラッドメイガスに悉く突き刺さる。だが彼女らは見えざる射撃手を探す余裕はない。なにしろ目の前には、雪華とリップというバケモノめいた脅威がいるのだ!
「来ないでくださいまし!」
「ば、ばけもの!」
がむしゃらに打たれる血の棘も蝙蝠も子供がイヤイヤをしている児戯でしかない。まったくもって当たらないのだ。
「わはは、おもしれーな、タイミングピッタリだ」
以後、マルファが弾丸を穿つ、リップが蹂躙する、を延々リピート。
で、だ。
規格外のフィジカル持ちにとっちゃあ、こんなもんはあくまで準備運動に過ぎない。
だが、これから本番って時に目の前の敵が死滅してる、それがリップという乙女の密かな悩みである。
うばわれるがわ、とくとあじわうがいい。
われはうつろ。がらんのうろにそんざいするものなり。
「…………」
まるで夢から覚めたよう。霞みがかっていた雪華の双眸が輝きを取り戻す。
「随分と、減ったね」
――どうりで裡が満ち足りているわけだ。
黒だか赤だかわからぬ両腕は、数多の貴婦人を抱いて撫でて壊して貪った。夢中になって遊んだせいか、ドレスに似合いの赤色で躰中が濡れている。
くらりとした目眩に、雪華は肩を竦めると、直後、片足立ちで海老反り氷上のスケーターめいた美しき避けをしてみせた。
「「そのていど、じぎにひとしい」」
――そう、まだ足りない、か。
雪華は再び妖刀へ身を委ねる。
人の形をしたモノは、疎ましく舞い踊る蝙蝠の群れをすり抜ける度、本性の姿へと変じていく。
「……ヒッ、こないで」
怯えきった女の額へ、ぬるりとした黒手が伸びる。ひたりと冷たいそれに視界を奪われたのが、このブラッドメイガスの最期の記憶だ。
一方的な蹂躙の場を前に、手出しの出来ぬアヴァタール級はオロオロと狼狽えるのみだ。
「令嬢様、逃げましょ……」
背中を見せた一体へ、マルファは引き金を容赦なく引き絞る。
(「吸血鬼に恨みはありませんけど、祖国を取り戻すために消えてもらいます……!」)
力尽き倒れる女を確認後、マルファは再び白の中へと身をくらます。次は一服、スキットルに詰めた蜂蜜ミルクで一息つくつもりだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【温熱適応】LV1が発生!
【熱波の支配者】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV2が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
音羽・華楠
……機械化ドイツ帝国の奪還戦で、実際にラスプーチンと相対して痛感しました。
――あれは本当に化物です。
それでも、いずれはあの怪僧を討つ為に――地道に奴の力を削ぎましょう。
……この場のトループス級たちが、生存すれば再びラスプーチンに尽くすというのなら、殲滅する理由は充分ですよ。
奴の手駒は少ない方が良い……!
《攻性式神結界》でブラッドメイガスたちを捕らえ、撃破していきましょう。
彼女たちの《ブラッドギロチン》は、『呪文と共に放つ血の呪言』が発動の鍵です。
それを《攻性式神結界》を構成する【結界術】で遮断して弱めることで、威力を減退させようという目論見ですね。
呪いを防ぐのは、元から結界の正しい使い方です!
如月・莉緒
うーん…追い討ちかけるの可哀想だなぁとも思うけど…
売られた喧嘩は買わなきゃだし、どうせやるなら徹底的にやらないとね
また喧嘩売られるの嫌だもの
ね?なんて同意を求めるような視線を送りつつ
【月夜の王】を召喚して
さぁ、貴婦人の皆さん方に恥じないようにダンスでも見せようか
と、ダイアウルフの頭を撫でて
連携を意識した戦いはそれこそ、ダンスのように
高貴な矜恃は思い出せた?
どうせなら最後まで貴婦人らしく、ね?
アドリブ・連携歓迎
●
配下を失った夜翼令嬢は萎れ花。だが、海からあがるブラッドメイガスの群れを見いだし再起を賭けて駆けだした。
「うーん……追い討ちかけるの可哀想だなぁとも思うけど……」
そんな光景に、如月・莉緒(恋愛至上主義・g04388)は自分の翼に似た杖の翼部分をついっとなぞりため息。
「甘い顔をすると、あの化物に塩を送ってしまいますよ」
斯様に奪還戦で対峙したラスプーチンは怖ろしい逸脱者であったと音羽・華楠(赫雷の妹狐・g02883)はすんなりとした指で印を組みながら告げる。
「……この場のトループス級たちが、生存すれば再びラスプーチンに尽くすというのなら、殲滅する理由は充分ですよ」
「それもそっか。売られた喧嘩は買わなきゃだし、どうせやるなら徹底的にやらないとね」
あっさり翻意。いいや、最初から莉緒に手加減するつもりなどなかったのだ。
「また喧嘩売られるの嫌だもの」
可憐さが月を纏い蠱惑を滲ませる。ねぇとしな垂れかかるような視線の先には、唯一無二の彼女に仕える狼王が控えている。
喉元に手を宛がい艶やかな毛並みの頭を撫でれば、狼王は甘えるように僅かに身を寄せた。
「全てに同意します。地道だろうが敵の手駒を削るのは兵法の基本……!」
華楠の指先、潮孕む大気が小さな稲光を散らした刹那、なんと惨いことだろうか、夜翼令嬢を隔てるようにブラッドメイガスらが結界に囚われたではないか!
異変を悟った貴婦人らは半狂乱になって呪言飛ばすも無駄。華楠の式神に良いように張り飛ばされて手も足も出ない。
彼女たちの《ブラッドギロチン》は『呪文と共に放つ血の呪言』が発動の鍵である。つまり対処の最適解はディアボロスが直接攻撃を受けないことなのだ。
勢い、そしてなにより士気を削ぐ、見事な作戦である。
「なッ……なんて卑怯な真似をなさるのかしら!」
「私は私の使える術で全力を尽くしているだけです。あなた方とて圧倒的な力で力なき民を散々にいたぶってきたのでしょう?」
罵声もどこ吹く風で、華楠は粛々と式神を操り敵の身も心も食い荒らしていく。
「許しませんわよ!」
難を逃れたブラッドメイガス数体が、噛みきった手首よりの血で魔方陣を描き出していく。
(「ダンスホールのスポットライト、赤ばかりでは味気がないな」)
そんな莉緒の本音を代弁するように、月明かりの狼は流線の軌跡にて魔方陣全てを壊してしまった。
「自ら飛び込んでくるとはバカな獣め! その呪に触れたが最後、貴様の血はギロチンと……ッ」
しゅるり、と口を塞ぐように絡みついたのは、Ἀφροδίτηに充満する有り余る魔力が形作る鞭だ。
「レディ、そのような下劣な言葉遣いはお控えなさいませ?」
莉緒が砂浜に組み倒したならば、ダイアウルフが背筋に食らいつく。
「う……ぅぅ」
一方、華楠の結界の中では、血の泡を吹いた貴婦人がひとりを残し絶命していた。
「! あの術をとかなくてはなりませんわッ」
「本当に礼儀作法の欠片もないお姉様方だこと。どうせなら最後まで貴婦人らしくと、ダンスにお誘いしたのに……」
“ガッカリだわ”
冷貌の眼差しでそう唇を動かせば、狼は華楠を狙う女の腕を食いちぎった。
「……ありがとうございます。とても良き使い魔を連れてらっしゃるのですね」
「お褒めにあずかり光栄よ」
キッ。
華楠は、最初に4人を捉えた結界を解除し即座にまだ動く3体を封じ込めた。即座に群がる式神に合わせて、ダイアウルフも結界の中へと飛びこんでいく。
透明な四角い壁があるように、赤い飛沫が虚空にてぶつかり平坦に広がってから滴り落ちる。
「あ、置いてかれちゃった、ちょっと寂しいかな」
なんて。
流麗にまだ息のある貴婦人の喉元を後ろ手に打ち据える。あうんの呼吸で息の根を止めるのはダイアウルフの噛みつきだ。
「……うぅう」
砂浜を引っ掻き藻掻く爪先は血のマニキュアで飾ったよう。憤怒の睨みつけを見下ろし莉緒は問いかける。
「高貴な矜恃は思い出せた?」
――恐慌状態で忘れていたものを突きつける皮肉な問いかけ、だが最後の貴婦人は唸りと血しか返せない。
指先から消え失せていく貴婦人を見定めてから、華楠は何も手出しが出来なかった夜翼令嬢へ陽色の双眸を向ける。
「次はそちらの番ですよ。あなたがあの怪僧ラスプーチンに与するというのなら、絶対に生かしてはおけません」
無論、口先だけの命乞いなんぞ、この場のディアボロスは誰ひとりとして聞く気もないわけだが。
「……くぅぅッ」
煮えたぎる怒りを噛みしめたアヴァタール級夜翼令嬢との戦いが、今、幕を開ける。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【ハウスキーパー】LV1が発生!
【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
魏・鋼
ラスプーチンとやらはどうやら敵の中枢にいる男の様子
であればその者に渡る情報と軍勢は少なければ少ない程良い
本日ここで令嬢殿には討たれていただきましょう
考え冷静になる時間を与えぬよう勢いよく愛馬を走らせ、銀の槍にて打ち掛かります
槍は打ちかかる時は馬の勢いを利用して叩きつけ【粉砕】する様に、突く時は敵の弾丸ごと貫く様に【貫通撃】で攻撃します
戦う中で相手に話しかけます
時に令嬢殿、この軍勢の呆気ない掃討のされ方を見るに、あなた方の主は明確な指示もせずに逃げ帰りましたな
忠誠を尽くすのもそれはそれで結構なことですが、自らの主君に見捨てられたのです
恨み言の一つでも言い残すなら聞きますが何かありますかな?
音羽・華楠
《雷幻想・瞬動》発動――
夜翼令嬢は誘導式の魔力弾を撃ってくるようですが、それは落雷を地上到達までに狙い撃てる精度のものでしょうか?
そうでないなら、雷速の体動を得た今の私にはまず当たりませんよ。
戦場を稲妻の速さで縦横無尽に駆け、砂塵を巻き上げつつそれを【砂使い】で制御。
自分の視界は【完全視界】で確保しつつ、夜翼令嬢が私を見失うように仕向けます。
その隙に【結界術】で構築した結界を足場に、空中に居るはずの夜翼令嬢へ跳躍。
【グラップル】による飛び蹴りでその身を【粉砕】してあげましょう。
冥土の土産に教えます。
あなたの弱点は『遅い』ことですよ。
敵を前に、攻めにも守りにも、状況判断にさえ速さが足りない……!
●
纏めあげねばならぬブラッドメイガスらは、余りに呆気なく殲滅された。
「ああ、ああ……どうしてこんなことになってしまったの……」
そもそもが敵を前にして茫然自失に陥ること自体が、彼女の司令官としての適性のなさを鷹揚に物語っているのだが、本人だけは気づいていない。
「ラスプーチンとやらはどうやら敵の中枢にいる男の様子」
白馬の蹄が砂をかいた。鞍上の堅牢なる鎧に身を固めた魏・鋼(一臂之力・g05688)は、狼狽する小娘を老獪なる双眸に納める。
「であればその者に渡る情報と軍勢は少なければ少ない程良い」
「全て同意します」
符を携える指を胸に押し当てて、音羽・華楠(赫雷の妹狐・g02883)は黒髪を揺らし首肯する。
「――あれは本当に化物です。そこに情報という知識を与えてしまうのは悪手中の悪手」
「どれ。支度を調えるならそうされよ。しばし私が時間稼ぎとしゃれ込もう」
鋼はカナンをはじめ他の仲間にそう声をかけると、おもむろに愛馬を走らせた。
持ち主を現すようにいぶし銀の槍にて夜翼令嬢の薄い胸目掛けて貫きにかかる!
「……きゃあぁ!」
胸の傷より奇襲に焦り顔面蒼白。飛び退いた令嬢は、赤の弾丸をばらまき凌ごえと試みる。
「ふぅん! このような小手先で退けられるとは努々思いなさるな」
回転する銀槍が全てを散らし、鋼は無傷だ。
逃げるだけ駿馬が詰める、槍で打ち据え揺らいだ上半身に突き刺して、鋼は蕩々と語りかける。
「時に令嬢殿、この軍勢の呆気ない掃討のされ方を見るに、あなた方の主は明確な指示もせずに逃げ帰りましたな」
「! 無礼だわ! あなたに崇高なる彼の御方の何がわかるというの!」
砂浜に転がる娘へ、狙い澄ました切っ先で容赦のない突を加え、鋼は更に苛烈なる言葉を弄する。
「忠誠を尽くすのもそれはそれで結構なことですが、自らの主君に見捨てられたのです」
「……そんなこと……あうっ」
わざと最後の一撃は外し、鋼は馬上から顔を近づける。
「恨み言の一つでも言い残すなら聞きますが何かありますかな?」
だが、怒りでつり上がった柳眉がふやけるように砕けてしまった。
鋼が退いた背後、景色は見慣れたものと完全に変じていた。もうもうと砂塵で覆われて何も見えない。何事が起きているのかわからぬ恐怖に背を押され、逃げ腰飛翔で弾丸を放ちだす。
(「落雷を地上到達までに狙い撃てる精度であれば、はじめて対等の相手と認めたのですが」)
陰陽木行に属する雷、今の華楠は妖精の介入を受けまさに疾風迅雷の申し子。
砂塵の向こう側、華楠からは狼狽えて弾丸を連射する夜翼令嬢が曇りなく見えている。下手な鉄砲も数打ちゃ当たるの心持ちである時点で、彼女に計画性も策を講じる知性もないのだと見限れた。
翻弄している時間すら惜しい。
不安定な砂場より雷を最大限発揮できる結界を構築、即座に蹴った。
「……なっ?!」
少女は出し抜けに現れた同じぐらいの齢の娘に目を剥いた。その醜い顔のまま、胸を蹴られて砂塵に堕ちる。だがそれはで済まさない。
「冥土の土産に教えます」
傍らに即座につけて蹴り上げ、
「あなたの弱点は『遅い』ことですよ」
砂を伴い宙にゆらめく吸血鬼の躰を叩き払う。
「あぅっ……わたくしが、遅い……」
阿呆のようにオウム返しの身へ、華楠は体内駆ける雷信号の儘に回し蹴り。
「敵を前に、攻めにも守りにも、状況判断にさえ速さが足りない……!」
――背後のブラッドメイガスの死体がその何よりの証拠だ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【隔離眼】LV1が発生!
【エイティーン】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【リザレクション】LV1が発生!
レディ・フォールン
『どうして私がこんな目に!』
『あの方は空の彼方へ逝ってしまったわ』
『私はいったいどうすれば』
…さて、どれが貴女の台詞かしら♪
お初にお目にかかるわ、夜のレディ!…あら!私の名前と同じね!
怒りを湛えて私達を睨むその表情、舞台と言う事を忘れてしまう程の鬼気迫るお顔はとっても――あたしの引き立て役にピッタリだわ!
さぁ、踊りましょう!ぐっちゃぐちゃになるまでね!!
あら!あたしの血をお望みかしら!良ければどうぞ存分に味見して!たくさん吸って、大きくなって!
血を味わうその舌も、臓物も全部蕩けるぐらい絶品よ!
涙を堪えて!歯を鳴らして!
あたしを見て!
――脇役さん、笑ってみせて?
あはは!
【アドリブ・流血OK】
●
「悔しい、悔しいですわ! どうしてわたくしがこんな惨めな目に!」
見上げれば曇天。
「ラスプーチン様は空の彼方へいってしまった……わたくしは、いったいどうすれば……」
パチパチパチパチパチ!
レディ・フォールン(ROEL・g01679)からの惜しみない拍手喝采。
「貴女素晴らしいわ。全部の台詞を言ってくださるなんて……!」
怒りを湛え睨むその表情も含め、嗚呼、なんておあつらえ向きの脇役!
「くらいなさいませ!」
きぃと眉を吊り上げ、令嬢は即座に指先から茨を射出する。
でも、拍手の音はまだ響いていて、
レディは赤の茨に柔肌を穿たれながらも、相も変わらず蠱惑的な微笑みの儘だ。
「あら、初めましての挨拶もなし? 夜のレディ」
名前がお揃いね、と窄まる瞳が熱を帯びる。
「干からびて死ぬがいいわ!」
「あら! あたしの血をお望みかしら! 良ければどうぞ存分に味見して! たくさん吸って、大きくなって!」
命を奪われているにも関わらず、レディは歓楽の笑みを絶やさない。
刹那、夜翼令嬢に命を注ぐ茨が名状しがたい腐り色に、変じた。
「……ッ、は、あ、あぁッ」
臓物を遡り赤塊がぼたりぼたりと口から落ちた。通り道の舌はグズグズに融け、欠片が胸元のレースを汚す。
レディは茨に指を掛け、夜翼令嬢を至近距離に引き寄せた。
近くで見ればますます「うー」とか「あー」しか言えぬ愚鈍。薄皮一枚の可憐な作りなんぞなんら役目を果たせない、つまり――。
「なんて醜いのかしら。困ったわ、涙を堪える演技を見たかっのだけれども」
肩を竦め裂傷だらけの腕を脇役娘の口元に宛がった。
吸血鬼は、これ以上呑むと命の危険に晒されると必死に首を振って拒絶する。
「わかったわ。じゃあ、脇役さん、笑ってみせて?」
「……、うぅ、こう、かしら……?」
ガチガチと鳴る歯を無理やりに三日月の形にしての命乞い。そこにレディは己の手首を押しつける。
「い、や゛あ゛あ゛ぁ゛ああぁーーー!」
更なる猛毒が喉を伝い落ちた。
夜翼令嬢は奇声をあげた後、四肢を投げ出し倒れ伏す――そして、暗転。
大成功🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
リップ・ハップ
連携アドリブ流血〇
吐血×
準備運動はばっちし
となりゃ当然今からが本番だよなぁ?
私の身体は【神様の特別製】にして【闘争の権化】
これ以上ねーほど恵まれたフィジカルに任せてのごり押しは依然変わらず
積んだ経験が技を、身の熟しを冴えさせる。獲物を狩るための最適を描かせる
向かってくる攻撃を捌くのは最小限。受けに回ればその分勝ちが先送りになるだけ
だから最短最適を以て確実に狩る
間合いに入るまでに私を殺しきれなきゃ、お前の負けだ
空に逃げようが舐めた高さならひと跳びで迫るぜ【ジャンプ】【突撃】
どこまでだって執拗に追いかけ、追い詰める
そして最後にはこの鎌を突き立てるさ
だって私は狩人だ。お前ら怪物を屠るための
湯上・雪華
絡み、アドリブ等完全受け入れ
重傷描写大歓迎
さて、大将首ですね。貴女はまだ強いほうでしょう?
濃密な闘争を期待してませんが、その首、いただきます
渇望抱く伽藍、参ります
虚ろを抱き、渇望の呪いを宿す妖刀を扱う
今回は頸を落としたいですからね、一撃の威力重視です
魔弾は弾くか身体強化を維持しつつ避けるかしつつ距離を詰めましょう
これは特別な一太刀、捨て身の一撃で両断してみせます
頸がダメなら腕一本でも構いません、精神を折れたら万々歳ですよ
見捨てられた将ならば最期まで足掻いてくださいよ
如月・莉緒
さて、あなたが夜翼令嬢さんだね
戦いにおいて、連携を取れないのは痛手だよね
まぁ……連携させる隙を与えようとも思わないけど
今度は…貴方の時間だよ?
【高速詠唱】で【幻想花】を
さぁ、あなたが見たい幻はどんなのかな?
あなた一人で私たちを倒してラスプーチンに褒められる?
それとも仲間やラスプーチンが助けに来てくれるとか?
それとももっと違う夢かな
茨には巻き付かれないように【観察】&【看破】
【連続魔法】で【撹乱】させちゃえばもう、他の仲間たちがあなたが生きてること許さないはず
奪われる側ってこんな気持ちなんだよ
…って、もう聞こえてないかな
アドリブ・連携歓迎
●
腸を吐かされるような嗚咽から漸く立ち直り、夜翼令嬢はレースのハンカチで唇を拭った。
「ふうん、まだ心は折れてねぇってわけか。ありがたいねぇ」
こんこんとつま先をコンクリートに打ち付けて、リップ・ハップ(Reaper Harper・g00122)は浜辺へ降り立つ。
「準備運動が無駄にならなくて済むし? 今からが本番だよなぁ?」
つり下げた点滴は柄の根元に移し、戦いで破かないように配慮も万全。ちなみに中身はナイショ。
「さて、大将首ですね。貴女はまだ強いほうでしょう?」
目が覚めるような深紅のドレスを翻し、湯上・雪華(悪食も美食への道・g02423)もさくりと砂を踏む。この青年を前にすると、夜翼令嬢のドレスがみすぼらしい粗末なものに見えてしまう。
「濃密な闘争を期待してませんが、その首、いただきます」
「お、どっちが狩るか勝負だな」
虚々とした中に切なる収奪を望む雪華と、檻から放たれる直前の猛獣リップ――如月・莉緒(恋愛至上主義・g04388)は令嬢に同情を覚える。
「さて、あなたが夜翼令嬢さんだね」
「あなたもわたくしを笑いにいらしたの? 配下へ必死に呼びかけても誰ひとり言うことを聞かなかったわたくしを」
「戦いにおいて、連携を取れないのは痛手だよね」
いじけにつきあうつもりはない。けれど、心安らかに冥府へ送り出したい本音もある。
(「それが叶うかはわからないけれど」)
莉緒は柔らかな蒼天の瞳に意志を籠め、いったんは後方へと退く。
「まぁ……こちらも連携させる隙を与える甘さはないけれど。今度は……貴方の時間だよ?」
「あなた方の死体を手土産にラスプーチン様の元に向かうまで!」
宣言に烈火の怒りを宿し、夜翼令嬢は宙空へと飛翔する。
「わたくしは有象無象の女どもとは違うと思い知らせて差し上げますわ!」
「は! よく言ったな。じゃあ、間合いに入るまでに私を殺しきれなきゃ、お前の負けだ」
無数の赤色乱舞の中へ、リップは迷うことなく身を躍らせる。
赤色の弾丸は移動している。つまり一見場に満ちているように見えて隙間は幾らでもある。
ただし、そんな隙間を見切れるのは、神様の特別製たるリップだからだ。
タフで規格外のフィジカル。更に、この拾いものを主は次々に実戦へと投入し闘争心を研いで定着させた。
「器用な方ですね」
危なげなく無傷で疾走するリップを見て、雪華の笑顔に寄りがちな無表情の口元が窄まる。
あれはあくまで天性の勘と戦いに身を投じ続けた者の偉業であり、おいそれと真似はできない。
「渇望抱く伽藍、参ります」
踏み込んだら即座に、赤い弾丸が雪華の肩を穿った。だが、貪欲な妖刀は器なんぞに構いもせずに只管に砂浜を脚で叩かせる。
先ゆく度に赤が着弾する。
ぼづり、と肉が爆ぜる音が雪華の鼓膜を打った。左の二の腕に三連の穴が開いて潮風が通っていった。
(「両腕を亡くしてしまったら振るえなくなりますよ」)
渇望の呪いを宿す妖刀が少しは気遣ったようで、致命的な弾丸は薙ぎ払い落してくれる。
「ねぇ、私がいること、忘れてなぁい?」
砂時計の砂を鳴らして莉緒が鈴なりの声を響かせた。
熟れた花の香りはまだ匂わせに控え、代わりに花唇を楚々と割る。
「ラスプーチンに振り返ってもらいたいんでしょう? 私達を倒して――できるかな?」
「愚弄するのもいい加減になさいませ!!」
血色の瞳が禍々しく見開かれた。止んだ弾丸に入れ替わり射出された茨、その着地点を予想し莉緒は身を躱した。
同時に莉緒の花香が高まり、茨は運が悪かったとでも言いたげに彼方へ逸れる。
「ちぃ、忌々しい……あ、ッ」
更なる茨が放たれることはなかった。
漆黒が胸部を掠め、浅くない傷を穿ったからだ。
リップだ。
紅に輝く髪を靡かせたちまちに手が届く距離に詰めた狩人は、吸血鬼が血弾をばらまき出すのを誘うように見据える。
くるり。
大鎌を巡らせて放った直後の血弾を消し去って。
背後では、雪華が砂浜を蹴る音が勢いを増した。手伝いにはなったようだ。ならば防戦はこれで仕舞い。伯爵の足首を握り跳躍、一瞬で袈裟へと斬り裂いた。
殺虫剤を浴びた虫のようにぽとりと落ちた令嬢の左腕が肩でぱかりと割れている。
「あ、ッあぁぁあああああぅ、わたくしの腕が、いやぁああ……ッ!」
「本ッ当、同じように啼くんだな」
ひとつの台詞の間にも、砂浜に落ちた令嬢を黒鎌の連激が見舞う。
「代わり映えしねえったら」
吸血鬼の悲鳴を子守歌代わりに育ったリップはマスク越しに苦笑い。
奴らは尊大で此方を見くびっている。確かに確かに、通常の身体をした人間が勝てる相手では、ない。
だからこそ、覆された時の絶望は余りに深い――そこに、つけ込むのだ。
「いや、いやいや、いやぁああ!」
高貴さの欠片もない悲鳴でじたばたもがき転がった先は――あかい、いろ。
「…………見捨てられた将ならば最期まで足掻いてくださいよ」
命中し爆ぜた血弾か雪華自身の血か、どちらかもはやわからぬ血塗れ。その上、赤いドレスの彼は口元を三日月に傾けて、倒れた吸血鬼に覆い被さる。
「ねえ?」
とすり。
妖刀が頷くように降り注ぎ、吸血鬼の腕を、突いた。
「やぁ、ぁ」
ヒュウヒュウと恐怖で鳴る喉。
ぴゅるぴゅると溢れる血潮。
「……あぁ、やっぱりとても頑丈なんですね」
力籠め横に薙ごうとしたら、浴びせかけられた血弾が迸る。
だが雪華は逃げもせず、全身の痛みを笑いながら無事だった方の腕を切り飛ばした。
「ぎゃ!」
両腕をもがれた女吸血鬼が不意に身を起こす。いいや、それは正確ではないか、リップに背中を蹴飛ばされ無理矢理立たされたのだ。
「のうのうと寝てんじゃねえよ」
歪曲した黒金が後ろから首に掛かった。
ほぼ同時に、ゆらゆら揺れる妖刀が雪華の手で真向かいから喉元に突きつけられる。
この剣どもがほんの少し動いたら、わたくしは死んでしまう。
「…………らすぷーちん、さま……」
外見相応の幼さで、夜翼令嬢は瞳に貯めた涙を取りこぼした。
戦慄く唇が助けてと囁いたなら――奇蹟が、訪れる。
まず眼前の赤いドレスのディアボロスが膝を折った。
大鎌を振るう狩人の呻き声が心地よい。
奇蹟を謳い王朝に取り入った怪僧が、いま、まさに、ひとりの吸血鬼少女の為に拳を振るう。
「ああ……」
令嬢は両腕を差し伸べてラスプーチンの胸へと飛び込んでい……。
ぶづり。
腕なんて、ない。
あと、頸。
頸は、大鎌に絶たれ、妖刀で潰されて、胴体からもの別れ。
放物線を描く夜翼令嬢の容は、涙に濡れながらも満たされたように無邪気に破顔。
「ああ、幻覚ですか……いきなり動かなくなるものですから」
妖刀から己へと戻った雪華の声に、リップは皮肉に唇を歪めた。
「あーあ、私が討った吸血鬼の中で、一二を争う幸せな死に方だぜ」
「ご不満ですか?」
「いいや、これもチーム戦の妙ってことじゃね?」
命を狩った手応えは確かにあった、であればリップは満足だ。
それは満ち足りた妖刀を撫でる雪華も同じこと。
莉緒は、足下に落ちてきた頸のそばにしゃがむと、手のひらで瞳をとざす。
「奪われる側ってこんな気持ちなんだよ……って、もう聞こえてないかな」
ラスプーチンに救われる夢想が叶う、ただし死と引き替えに。
寄せては返す波は変らずに、血染めの浜辺をさらい清めていくのみ――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【隔離眼】がLV2になった!
【現の夢】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!
【命中アップ】がLV2になった!
【ロストエナジー】がLV3になった!