リプレイ
イツカ・ユメ
これは、わたし達と機械化ドイツ帝国の戦いだ!
他所の連中は割って入ってこないでくれる?
……息を吸って、吐いて。
大丈夫、怖くない。
わたし1人じゃ何も出来ないけれど、わたし達なら、きっと平気だよ!
緊張で固まっていた心と身体を歌で解したなら、【飛翔】で空へ。
他のディアボロスさん達と協力して【臨機応変】に行動しつつ、
死竜の鳴き声をも打ち消すくらいの【大声】で、
【勇気】の出る歌を歌って自分や周囲の皆を鼓舞しながら斬り込むよ!
群れを指揮するリーダーっぽいのがいたら、優先的に倒して相手の統率を乱してみるね。
交戦中も周囲を【観察】し【情報収集】を忘れずに。
何か異変があったら皆に報せて無理せず撤収するね!
ルウェリン・グウィンリウ
腐肉漁りか、ドラゴンども。
だけどこの地は渡さない。本来の歴史に還す為にも。
◆
他の仲間たちの動きや位置を確認。
邪魔にならぬよう、かつ助力や連携の可能な距離を維持しよう。
その上でドラゴンたちが飛行船目掛けて飛んでいくのを注視しつつ、陣形が伸びた瞬間に【竜翼翔破】で強襲。
急降下しながら剣で斬り付け、その首を斬り落としてやる。
鎚と金床――というほど計画的ではないけど、意図せぬ横殴りは効くだろ?
爪や牙の反撃には盾構えて防ぎつつ、囲まれぬ内に即離脱。
追跡して来れば敵の一体が突出してきた隙に反転して再度攻撃を。
挑んでは逃げ、斬り付けては離れと繰り返し、着実に数を減らしていこう。
野本・裕樹
他ディヴィジョンからの侵攻、何とか抑えなくては。
ドイツ側の混乱もあるとはいえ竜の群れは敵を見れば備えらしい備えもせず戦うのですね。
ディアボロスの横槍が入る事も考えていないかもしれません。
この初手はしっかり奇襲を成功させたいです。
空中だと遮る物がありません、[光使い][オーラ操作]で光の屈折率を変え姿を見えにくくしつつ【飛翔】で一気に突っ込みましょう。
上手く[不意打ち]できると良いのですけど。
《雲龍柳》、そちらが竜ならこちらは龍です。
[一撃離脱]で囲まれる事の無いように戦いましょう。
危ない仲間がいるなら[風使い]と[吹き飛ばし]で竜の邪魔をして退路の確保を手伝います。
まずは一手、ここからです。
アシュレイ・ランドル
連携・アドリブ歓迎
おや、この戦場はなんだかややこしいことになっているみたいだね?
相手はドラゴンか……なんだかすごく毒々しい色をしているね。
よし、空中戦、ぶっつけ本番だ。
イメージすることも大事だけど、やっぱり実践で学ぶのが一番だよね!
気合を入れて『怒涛乱舞』!
【エアライド】【飛翔】を使って翔け回るよ!
敵に掴れたら……何とか斬りつけて脱出したいね。
空中に放り出されても【飛翔】で対応できるよね。
●混沌の戦況
西暦1919年4月、機械化ドイツ帝国。
ゾルダートの飛空船が防衛するオランダ方面の空域に、叩きつけるような咆哮が木霊する。
声の主は、幻想竜域キングアーサーの支配者であるドラゴンたち。円卓の騎士『究竟竜ラモラック』が率いる、魂無き操り死竜の群れだ。
『グルルル……』『オオォォォ……』『ガ……カカ……』
意志も魂も失い、動く屍となり果てた下位竜に、保身や恐怖といった感情はもはや存在しない。
究竟竜の雄叫びが命ずるまま、朽ちた翼を広げて飛空船へと殺到していく死竜の群れ――その光景を、野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)は空域の外れから凝視していた。
「ここに来て他ディヴィジョンからの侵攻とは……抑えなくてはいけませんね、何としても」
「うん。……大丈夫、怖くない」
イツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)はそう言って、裕樹に同意を示した。
微かに声を震わす足は、いまだ地上に留まったまま。一度大空へと飛び立てば、あとは戦いに身を投じるしかないことを、復讐者である彼女は知っている。同時に――この戦が自分たちにとって、けして避けられない一戦であることも。
(「勇気をもって、前を見て。みんなと一緒に戦うんだ」)
瞑目し、深呼吸をひとつ。恐怖と焦燥、心を蝕む感情を残らず肺へ送り込み、空気と一緒に吐き出した。
――わたし一人の力は小さいけれど。
――わたし達なら、きっと平気だよ。
そうして紡ぐ歌声は、復讐者の心に翼を授け、大空へと飛び立たせていく。
仲間とともに飛翔するイツカ。前方に捉えた死竜の大群を前に、彼女の歌はいっそう高らかに戦場を包む。
「いつか叶う、夢はきっと叶う……大丈夫。痛いのも、怖いのも、全部飛んでいっちゃうから」
『イツカノウタ<dolce arrange>』。その歌声が咆哮をかき消した瞬間――戦いの火蓋は切って落とされた。
飛行船へ向かおうとした死竜たちが、復讐者へと狙いを一斉に切り替える。緩慢な動作で開かれた口が放とうとした嘆き声は、しかしイツカを捉えるよりも一手早く、歌にかき消された。
「これは、わたしたちと機械化ドイツ帝国の戦いだ! 他所の連中は割って入ってこないでくれる?」
『ガガ……』『カァッ!?』
パラドクスの力を帯びた歌声が、死竜を包む。
味方には勇気を、敵には滅びを――歌に秘めたイツカの決意はたとえ耳を塞ごうとも、けして標的を逃さない。
歌声を浴びた二体の死竜は、悶絶するような絶叫を上げると、ふたたび物言わぬ骸となって大空から墜ちていった。同時、裕樹は息を合わせるように飛翔しながら、崩れた隊列をこじ開けんと死竜めがけて襲い掛かる。
「そちらが竜ならこちらは龍。ここです! 龍爪!」
『グ……』
同胞を屠った敵を迎撃せんと爪を巨大化させる死竜。そこへ裕樹が、敵の攻撃を待たずに竜の懐へと潜り込んだ。
それを可能とするのは、『空泳法・雲龍柳』がもたらす変幻自在の軌道だ。「素早い対応」――技の名前に冠された雲龍柳の花言葉そのままに、速度を載せた刀が一閃。死竜の肉体を唐竹割りに両断する。
「まずは一手、ここからです」
次なる敵を探すべく、裕樹は飛翔できる限界高度まで上昇した。
そこから見下ろした先の空域には、ドラゴンとゾルダートが殺し合う凄惨な光景が描き出されている。
飛行船を守る航空兵は必死の抵抗を続けているようだが、死竜の数は圧倒的だ。
「下手をすれば、このドラゴンたちが妖精郷にすべて向かっていた訳ですか……」
「ああ。連中も、いよいよ本腰を入れつつあるのかもな」
雲霞のごとき死竜の大軍を見下ろして呟く裕樹に、ルウェリン・グウィンリウ(灯火の騎士・g02040)が頷きを返した。
裕樹と同じく、急降下からの一撃離脱戦法を選んだ彼は、攻撃すべき標的を上空から探っているのだ。
「まずはこの地を守る為、奴ら死竜を葬る。……さて」
程なくしてルウェリンは、眼下に死竜の一団を認める。ラモラック率いる大集団から分かれ、紫色の触手めいて飛行船へ襲い掛かる集団。その先頭を行くのは、他より一回り大きな死竜だ。
恐らくは集団のリーダー格だろう。それを示すように、イツカの警戒を促す声が届く。
「先頭のおっきい死竜が群れを指揮してるみたいだね。気をつけて!」
「了解だ。――行くぞ」
頷きを返したルウェリンが降下を開始。先頭の死竜めがけ、一直線に攻撃を仕掛けた。
黄金色の竜翼を広げた鋭い急降下は、天から降り注ぐ巨大な槍のごとく。愛用する騎兵剣『ドラコ・アニムス』を振るっての一閃に、死竜は対抗する術を持たない。
「腐肉漁りか、ドラゴンども。だけどこの地は渡さない」
『ガッ――!?』
襲撃を察知し天を仰いだ死竜めがけ、ルウェリンの竜翼翔破が直撃した。
防御を許さぬ一撃に頭蓋を砕かれ墜落していく死竜。同時、裕樹とイツカが、統制を失った一団へ降下していく。リーダーを討たれた死竜は巨爪と嘆きで迎撃を行うも、飛翔を駆使する復讐者には大した脅威にもならない。
反撃を浴びて群れの陣形が乱されていく中、すかさず襲い掛かったのは四人目の復讐者――アシュレイ・ランドル(十星連・拾彩『豪佳剣嵐』・g06991)である。
「あれが敵のドラゴンか……なんだかすごく毒々しい色だね」
パラドクス『怒涛乱舞』で複数本の剣を召喚しながら、アシュレイは胸の高鳴りを感じていた。
倒すべき敵が、すぐ目の前に存在する。その事実が復讐者としての心に、否が応でも火をつけるのだ。焦りは禁物――そう言い聞かせ、飛翔の速度をアシュレイは上げる。召喚した剣の切先を、眼前の敵へ突きつけながら。
「はぁっ!」
裂帛の気合が、戦場の空に響く。
アシュレイが繰り出す剣の乱舞は、群れを為す死竜を触れる傍から斬り伏せて、なお勢いは止まらない。
そう、止まる訳にはいかないのだ。この世界で戦う仲間たちのため、そして、奪われた歴史に生きた人々のためにも。舞うように、駆けるように、翔ぶように――アシュレイは縦横無尽に戦場を飛び回り続けた。
「これが実戦……! イメージ訓練とは、やっぱり全然違う!」
負けるイメージが、まるで湧かない。研ぎ澄した精神に導かれる剣捌きは、振るう端から死竜を葬り、あっという間に四体もの竜を戦場から叩き落としていた。
飛翔による襲撃で、統制を乱す死竜の軍勢。それはすなわち、復讐者にとって大暴れの好機と同義である。
「さあ、今がチャンスです。どんどん攻めましょう」
「まかせて。機械化ドイツ帝国を、人類の歴史に取り戻すためにもね!」
裕樹の言葉に頷きを返し、アシュレイはふたたび仲間たちと飛翔を開始する。
この作戦を、必ず成功に導いてみせる――その決意を胸に抱いて。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV3が発生!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
【反撃アップ】LV2が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
平良・明
ラモラック、そんなふうにふらっと訪れる旅人が、一番面倒です
……これは自己紹介のような気が?まあいいや、薙ぎ倒します
相変わらずうるさい死竜です、主に似たのでしょうか
「時重」で引力と斥力を制御して敵に落ちるように飛翔し
飛びぬけ際に、重みを乗せた蹴りを与えていきます
なにやら、沢山いるようなので、一発一発力強く
一撃離脱して囲まれないように立ち回り
引き際はスパッと決めましょう、帰り道の確保も大事です
思えば、空からみるこの土地もいいもので
無くなってしまうとて、忘れないようにしたいものです
鳳・四葉
○心情
・漁夫の利を狙う連中ですか。ドラゴンの癖にみみっちい。所詮は羽根の生えたトカゲ…ですかね。
・戦場に第三者がいるというのは気が散って面倒です。痛い目を見せて、さっさとお帰りいただきましょう。
○戦闘
・空の支配者は竜ではありません。不死鳥こそ空の支配者です。っていうか、死んでいる奴に不死の鳥が負けてたまるものか。
・飛翔を使い空中戦。炎の翼を羽ばたかせて高速移動をしつつ、魔導銃からの炎の誘導弾で攻撃。銃の反動と靴から噴き出した炎による急加速、急制動で攻撃を躱しつつ、的確に相手の上を取っていく。
・上を取ったら【流星降下】を使い、敵のクビ目掛けて急降下しながら魔鳥の炎爪でクビを切り落とす
十野・樞
アドリブ・連携歓迎
効果的な残留効果は有り難く利用
断片の王が討たれた?
誰に、どうやって?
……それを考える事ができねえとは、な
ならば傲慢が、身に過ぎた欲が、
己とその眷属を滅ぼすと思い知れ
……つまり、考え無しの寄り道はいけねえってこった
【飛翔】【空中戦】駆使し迎え撃つ
【結界術】【浄化】で仲間と己に浄化系結界展開し敵攻撃を軽減
【観察】【看破】で効率的・効果的な箇所を確認
そこに向け【連続魔法】で立て続けにパラドクス展開
静謐をもたらす『冬』を呼び
死せる竜の嘆きをその氷雪の下に【浄化】、眠らせる
松中・誠
アドリブ連携歓迎
漁夫ドラゴンをしばきにきた。
……まぁ、思うことがなくはないけれど。
とりあえず、ぶちのめしておくんだぜぃ。
【飛翔】で空を飛びまわりながら、クリスタルビットで相手を攻撃するんだぜぃ。
自分の周囲にビットを回しながら、相手に撃ち込むんだぜぃ。ついでに相手の動きを阻害するように動かすんだぜぃ。
撃ち込んだら随時補充。
…ゾルダートの飛行船にはあまり当てないほうが良いのかな?
まぁ、当たったら当たったで別に良いか。
●傲慢なるもの
オランダ上空の戦闘開始から数分。復讐者たちによる襲撃は、操り死竜の混乱をさらに拡大させつつあった。
『グ……オ……』『オォォ……』
間断ない攻撃が、死竜の頭上から降り注ぐ。新たに参戦した復讐者が、飛翔を駆使して猛攻撃を浴びせ続けているのだ。
死竜たちは操り人形めいた動きで迎撃を行うが、飛行速度に勝る復讐者たちにとって、そんな抵抗は脅威に程遠い。お返しとばかり放つ嵐の如きパラドクス攻撃は、死竜たちを次々に地上へ墜落させていく。
「やれやれ。余計な欲なんざ見せるから、こうなる」
復讐者の圧倒的優勢で進む戦場。その光景を見据えながら、十野・樞(division by zero・g03155)は嘆息を漏らした。
死して自我を失った竜の群れは、自分たちの置かれた状況も理解できぬまま、今なお捨て身の猛攻を繰り返している。彼らの主たる存在――ジェネラル級ドラゴンの命じるままに。
「円卓の騎士、究竟竜ラモラックか……妖精郷へ向かう途上で掠奪とは、まったく見上げた騎士精神だぜ」
「ええ。漁夫の利を狙うとは、所詮はトカゲもどきですか」
鳳・四葉(アンラッキー・クローバー・g02129)は死竜の群れを不快そうに眺め、フンと鼻を鳴らす。
実際のところ、彼はとことん不愉快だった。横合いから領土を掠め取る不届きな行為は当然として、あんな趣味の悪い連中が空の支配者を気取る、その一点がとりわけ許し難い。彼にとって、大空を制する資格を持つのはただひとつ。不死の鳥以外には存在しないのだから。
「遠慮は無用ですね。痛い目を見せて、さっさとお帰りいただきましょう」
「おぅ。俺も連中に思うことはあるけれど……とりあえず、ココはぶちのめしておくんだぜぃ」
四葉の言葉に頷きを返し、松中・誠(ヤンキードラゴニアン・g03037)が死竜の一団へ狙いを定める。
復讐者の攻撃を受けたことで、敵の統制はもはや皆無に等しい。数に劣る誠らにとって、今は一体でも多くの敵を葬る絶好の機会だった。この後に始まる大戦のためにも、ここで少しでも敵の戦力を削っておかねばならない。
「先に行くんだぜぃ。樞、明、背中は任せたぜぃ」
「承知だぜ。思いきり暴れてくれ」
「死竜の嘆き声は、いい加減飽き飽きです。可及的速やかに排除しましょうか」
先行して攻撃を開始する誠と四葉。その後方で樞が禁呪を発動するのに合わせ、平良・明(時折の旅行者・g03461)は誠らの後を追いかけるように敵集団めがけて突っ込んでいった。
「前後左右、どこを見ても死竜だらけですね……まあ、索敵の手間が省けたと思えば良いかも知れません」
「違いないぜぃ。さて――光球拡散、だぜぃ!」
冗談めいて肩を竦める明。その前方を行く誠が、接敵した死竜の群れへと攻撃を開始する。
飛翔する先、射程に捉えたのは四体の死竜だった。同時、誠の肉体がまばゆい光を放射し、無数の光球を生成する。光球は大空にぶち撒かれたビー玉のように煌めきながら、『クリスタルビット』の弾丸へと変形。射程内に存在する死竜めがけて、一斉に食らいついた――!
「耐久性は低いけど数だけはあるこれらを超えやがれ、だぜぃ!」
『ガッ――』『グォ……』
高レベルの飛翔を駆使しての攻撃は、死竜たちに対応する一切の猶予を与えない。そうして光弾を浴びた死竜が一体残らず墜落した直後――更なる新手が、調子に乗るなとばかりに誠へと襲い掛かった。肉体を掴み、そのまま地上へ叩きつけようとする一撃を、しかし四葉は見逃すことなく。『流星降下』の一撃をもって、これを撃墜する。
「空の主が誰なのか、教えてあげましょう」
加速する炎翼が、大空に赤い軌跡を描いた。
推進力の源は、魔導銃が発射する炎式誘導弾の反動と、『Afterburner』の噴出する炎。そうして到達した上空から、四葉は一直線に降下を開始する。真白い炎を身に纏い、炎の力を宿した短刀『魔鳥の炎爪』を武器に、死竜の無防備にさらけ出された首筋めがけて。
「速きこと、流星の如く!」
空の支配者を名乗れるのは、不死鳥という存在ただひとつ。
それを示すように、流星と化した四葉の急降下攻撃の斬撃が、死竜の首を一撃で刎ね飛ばす。
首と泣き別れて落下していく竜の胴体。そこへなおも殺到して来る敵群に、明はやれやれといった風情で肩を竦めた。
「侵入からの領土掠奪とは……旅の恥はかき捨てと言いますが、流石に限度が過ぎるのでは?」
『グルル……!』『グオオォォ……!』
「ふむ、問うだけ無駄でしたね。主に似たのでしょうか」
咆哮を上げんとする二体を狙い定めるや、明の体が死竜の眼前から消失した。
『グッ……!?』
「残念、上です」
声が響いたのは、死竜たちの頭上。そこを明は自由自在に移動しながら告げる。
飛翔とは明らかに異なる、地球の力そのものに逆らうような動き。それは彼の展開する力場が為し得る現象だ。パラドクス『時重』は時空を歪める能力を持ち、そこでは引力と斥力は明の従者となる。
「と、言ってもまあ理解できないでしょうね。知性も魂もない屍には」
ブーツの底に重さを集中させ、明は苦笑した。
死竜はさっさと葬りに限る。ふらりと訪れたこの地の大空を、帰り際に少しだけ満喫するためにも。
「というわけで、お別れです――おもてうら」
ゴウ、という唸りを上げて、明の身体が降下した。
時重の力で放たれた矢の如き蹴りは、飛びぬけ様に竜の頭蓋を立て続けに粉砕し、その機能を永久に喪失させる。
同時、追撃をかけんとした新手の周りを、純白の吹雪が包み込んだ。
「死体にしたって、ちっとばかり反応が遅いぜ。Omnia vanitas ――」
禁呪の力で死竜を包み込みながら、樞は不敵に笑った。
招請されて出現した空間は『冬』そのもの。骨まで凍える冷気と、音も響かぬ沈黙の世界。そこへ囚われた死竜たちに、もう逃げることは叶わない。全身を凍結させながら崩れ落ちていく死竜の向こう、配下の群れを率いるラモラックへ、樞は氷のように冷たい視線を投げる。
(「断片の王が討たれた、か。ああ、その通りだよ。だがな……」)
ドラゴンたちは知らないのだろう。自分達の対峙する相手が、まさにその王を討った存在であることを。
死竜の嘆きを、骸もろとも氷雪の下に葬りながら、樞は敵群の最奥へと目を向けた。そこには今も、死竜を率いる統率者である究竟竜ラモラックが、自分たちの戦いを眺めている筈だった。
(「いずれ払わせてやる。お前たちの傲慢と、身に過ぎた欲の代償をな」)
この地は、必ずや自分たちが取り戻す。クロノヴェーダに渡すものなど一つもない。
不動のごとき決意を胸に、大空での戦闘を続行する樞。戦闘は、いよいよ終盤に向かおうとしていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV7になった!
効果2【グロリアス】がLV3になった!
【アヴォイド】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
テクトラム・ギベリオ
王亡きドイツへ一気に隣国の手が伸びてきたな。どこもかしこも領地拡大に略奪か。
まずは眼前のドラゴン。行くぞ毛玉、空中戦だ。
曲刀を手に、サーヴァントの毛玉を喚び【飛翔】しながら共に戦う。
お前好みの頑丈そうな敵だ、思いっきり遊んでこい。
だが無理はするなよ。これは前哨戦…まだ本番は始まってもいないのだ。
着実に、確実にダメージを与えて少しずつでも勢力を削っていこう。
身軽さと体格差を活かして回り込み『斬撃』を見舞う。
精神攻撃には『浄化』の『光(使い)』で心を照らして安定させる。
ここで深追いはしない方が良い。仲間と連携しながら立ち回り撤退する。
アドリブ連携歓迎
一ノ瀬・綾音
完全にやり方が火事場泥棒なんだよなぁ。
あんまりそういうハイエナって綾音ちゃん苦手なんだけど……
むしろ怒りが湧いてくるよ。
飛翔で空へと飛び立ち、相手とはミッドレンジをキープ。
そこから【拡散型星光】を放って次々に相手を撃ち落しにかかるよ。
相手の反撃自体は魔砲の音で遮れればいいけど……もし使えるなら最終人類史から耳栓とか持ってこれるかな。
ある程度継戦して限界が近づいてくるかラモラックが出現したら撤退するよ。
この世界はキングアーサーなんかに渡さない。ましてや、策もなく適当にぶっ放すような将なんかに負ける道理はない。
また今度、それを教えてあげるよ。じっくりとね。
アイネリス・レナリィ
アドリブ絡み歓迎
ドラゴンまで介入して来るのね……望むところよ。
ドイツであろうと妖精郷であろうと、何一つ渡すつもりは無い。
お前達が来るというのなら、その一切を葬ってあげるわ。
【飛翔】し【空中戦】を挑みます
最高速を維持しながら槍刃を投射、【制圧射撃】で牽制しましょう
牽制に本命のパラドクスを織り交ぜ【連続魔法】で飽和攻撃を狙い、間断なく攻撃を仕掛けドラゴン達を片端から撃ち落とす
味方が立ち回り易いよう派手に動くとしましょうか
撤退は味方に合わせて行います
殿につき、隙を突かれないよう制圧射撃でカバーしながら撤退します
アンゼリカ・レンブラント
騎士と呼ぶにはずいぶん獰猛なドラゴンが来るんだね
エアライドを駆使し、空中を飛び
パラドクスでドラゴンを砲撃しよう
仲間の飛翔の残留効果を受けて
飛び回ることが出来れば尚いいかな
竜に狙い撃ちされない位置取りを心がけ
こちらから手痛い一撃を見舞っていこう
仲間と連携し、狙いを合わせる等効果的に動きたいね
相手の攻撃も手痛いと思うけど、
弾き飛ばされる方向に自分で飛ぶ等
衝撃を緩和できるよう工夫し、鍛えた体を合わせ凌ぐ
さぁここからだー!
全力の《天輪輝星》で落としていくよ
十分敵陣に打撃を与えるか、
『究竟竜ラモラック』が出てくるなどあれば
仲間と撤退タイミングを合わせ無理せず退く
究竟竜!お前にも必ず光剣を叩き込むからっ!
●蒼穹の支配者
「ふむ……現時点で七割程度、といったところだな。ドラゴン側の残り総戦力は」
飛翔の力で戦場を俯瞰しながら、テクトラム・ギベリオ(砂漠の少数民族・g01318)は呟いた。
オランダを強奪せんと現れたドラゴンの大群は、復讐者たちが繰り返し行った攻勢により、いまや壊滅と言って良い程度にまで数を減らしている。
それはドラゴンだけではない、彼らが襲撃する飛行船団のゾルダート勢力も同様だ。もうじき始まる大戦で互いが潰し合うことも計算に入れれば、両陣営の損害はさらに拡大することだろう。戦いの流れは、いまや完全に復讐者の側にあった。
「どこもかしこも領地拡大に略奪か。……まあ、どちらの望みも成就させるつもりは無いが」
「本当だよ。特にラモラックとかいう円卓の騎士! 完全にやり方が火事場泥棒だもんねぇ」
モーラット・コミュ『毛玉』を召喚するテクトラムの隣で、一ノ瀬・綾音(綺羅星の如く・g00868)が同意を示す。
その双眸には、この作戦を成功に導くという強い意志が宿っていた。それはそのまま、火事場泥棒めいた振舞いを恥じないドラゴンへの怒りと同義だ。
「ああいうハイエナって綾音ちゃん苦手。許せないよ」
愚かな行動には代償が伴うことを教えてやらねばなるまい――揺るがぬ決意と共に、綾音は魔法の詠唱を開始する。
一方、アイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)もまた、居並ぶ死竜の群れを凝視していた。その瞳に、ドラゴン種族への底知れない怒りを秘めて。
「ドイツであろうと妖精郷であろうと、何ひとつ渡すつもりは無い。来るというのなら、その一切を葬ってあげるわ」
「うん。戦いはここから、全力で落としていくよ!」
アイネリスの言葉に、アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)が首肯した。
自分たちの参加したこの作戦が失敗する可能性は、もはや皆無と言ってよい。そのことを純粋な事実として確信しつつも、アンゼリカらの心に油断が生じることはない。
何故なら、この戦場には――空域を統べる一頭の『騎士』がいると知っているからだ。
「ラモラックが出てきたら、すぐに退こう。無理は禁物だよ!」
「引き際は見誤らず、だよね。任せて!」
アンゼリカの言葉に、綾音は頷きを返した。
そうして四人の先頭に立った彼女は、死竜の群れへ飛翔を開始して――最後の一戦の火蓋を、いま切って落とす。
「さあ――誰ひとり逃がさないからね!」
『グッ……!?』
襲撃を察知した死竜たちが、すぐさま距離を開けようと動く。あの相手は危険だ――死して尚、体に沁みついた本能がそう告げたのかもしれなかった。
だがそれは、所詮無駄な足掻きにすぎない。積み重ねた残留効果によって綾音ら復讐者が可能とする飛翔速度は、実に時速500km。単に『空を飛べる』程度の翼しか持たない死竜たちに、そこから逃れる術などあろう筈もない――!
「全力でいっちゃうよ!」
標的をミドルレンジに収めると同時、巨大な円形魔法陣が出現する。
異なる八つの属性、八つの陣を層状に重ね合わせて出来たそれは、まるで巨大な砲身のごとく。発動者たる綾音が展開する『拡散型・究極魔法【星光】』によって、死竜を消滅せしめる号砲となるのだ。
「一掃させてもらうよ! アステル・ディザスター・エンド!」
綾音の発射する砲撃魔法が、死竜の隊列を薙ぎ払う。
扇状に拡散する魔法の光に呑み込まれ、跡形も無く蒸発していく死竜の群れ。綾音は零れた魔力で生成した翼を背負い、更なる獲物を求めて戦場を舞い続ける。砲撃を免れた死竜が四体、綾音から間合いを取るように飛び下がる。だが遅い――その先には、すでに先回りしたテクトラムと毛玉が、攻撃態勢を整えて待っていた。
「さあ毛玉。お前好みの頑丈そうな敵だ、思いっきり遊んでこい!」
可愛らしい鳴き声を合図に、モーラットが死竜たちの眼前へと躍り出た。
小さな体から放射される『幻爪殲輪』の光は、たちまち無数の光輪に変じ、標的めがけて投擲される。
愛嬌溢れるその姿からは想像もつかない、凶悪な威力を秘めた一撃。それを浴びた死竜の肉体は為す術無く輪切りにされ、バラバラの破片となって地上へ落ちていく。
「よくやった。だが無理はするなよ」
死竜を仕留めた毛玉へテクトラムは称賛を惜しまず、しかし同時に戒めの言葉も忘れない。
この作戦はあくまで前哨戦、まだ本番は始まってもいない。耐えつつ削り、落ちることなく墜とす。そうして機械化ドイツ帝国奪還戦での優位を得ることこそ、この作戦の目的なのだ。
「戦況は、大いに順調……といったところですね。そろそろ、仕上げに移りましょうか」
アイネリスは魔法の槍刃を周囲に展開しながら、アンゼリカへ視線を向けた。
二人が眼下に捉えた先には、しぶとく抵抗を続ける死竜の一団がひとつ。すでに数多くの戦力を喪失した群れ、その最後の勢力だ。あれを落とせば今回の作戦目標は達成となるだろう。
「牽制は引き受けます。……思い切り行きましょう」
「うん、任せて! 全力の《天輪輝星》で落としていくよ!」
死竜のはるか頭上から、機先を制したアンゼリカが急襲する。
それを察知した死竜が二体、即座に爪を巨大化させ始めた。だが、死竜たちの爪が攻撃態勢を取るより僅かに早く、無数の槍刃が彼らへ降り注ぐ。連続魔法を発動したアイネリスが放つ、『逆巻く流星』の一撃だ。
「波打ち、追い立てろ」
『グォ!?』『ガオォォン!』
眼前に迫る槍刃を前に、死竜がまず感じたのは戸惑いだった。
この槍刃は、パラドクスを介した攻撃ではない。無意味な攻撃を何故――そんな疑念の直後、死竜の咆哮がふいに止む。
回避したと思った槍刃の数本が、突如として軌跡を変えたのだ。フェイントに気を取られ、僅かに遅れる反応。そこへ飛来する『本命』の一撃がパラドクスに導かれ、竜の心臓を立て続けに穿つ。
『ギッ……!』『グ――』
「お前たちに、この空を飛ぶ資格はないわ。……アンゼリカさん、最後は任せます」
「オッケー! 我が手に集う裁きの光よ。全ての邪悪なる者を、焼き尽くせっ!」
残る三体の死竜めがけて、アンゼリカは『天輪輝星』のパラドクスを発動した。
同時、アンゼリカの心に秘めた勇気の結晶が、小さな星へと姿を変えて空域を眩しく照らす。輝く星々は、死竜の触れた傍から炸裂し、その肉体を消し炭へと変えていく。
「よしっ。これで、目ぼしい敵は倒したかな」
「作戦完了だね。これで、戦争も少しは有利になるはず――」
そうしてアンゼリカと綾音が、死竜の撃破を確認した刹那である。
空域を舞う復讐者たちの肌が、ぞわりと粟を立てた。
「……! この感じ、まさか……!!」
「皆さん、上空から敵が来ます。……単騎です!」
テクトラムの悪寒を裏付けるように、アイネリスが上空を指して叫ぶ。
その先に映るのは、翼を広げて迫る巨竜の姿。究竟竜ラモラック――死竜を束ねる、円卓の騎士であった。
●蹂躙の究竟竜
砲声のごとき雄叫びが、空域に轟く。
咆哮の主たるジェネラル級ドラゴンの急襲を察知し、すぐさま撤退を開始する復讐者たち。
そんな彼らにラモラックが投げるのは、どこまでも傲慢な宣戦布告の言葉だった。
『健気に頑張るじゃねぇか。命乞いするなら逃がしてやるぜ、雑魚ども?』
「ようやくお出ましだね。でも、今日は相手をする気はないよ」
嘲りも露わに言い放つラモラックへ、綾音は告げる。
「この世界は渡さない。ましてや、策もなく適当にぶっ放す将なんかに負けたりしない!」
『くくっ。笑わせるな! お前等ごとき何度来ようが、この蹂躙飛翔で返り討ちだ!!』
それと同時、ラモラックは己の翼をブンと払った。
邪魔な羽虫を払うかのように放つ無造作な羽ばたきが、たちまち突風へと変じて復讐者へと襲い掛かる。
「……っ!!」
並のジェネラル級をも凌駕する一撃を浴びて、綾音は一切の反撃を許されずに墜落していった。
同時に彼女は、落下する自分の身体を必死に飛翔で制御しながら、ラモラックの戦闘力を分析し続ける。
特殊な能力を持っているようには見えない。ただただ、シンプルに強い。その力の源は、卓越した身体能力――その一点において、究竟竜は比類なく突出している。
『はーっはっはっは! 世界の覇者は幻想竜域キングアーサーを置いて他になし!!』
「究竟竜! お前にも必ず光剣を叩き込むからっ!」
空域離脱に要した時間は、わずか数秒。永遠にも感じられるその間を、アンゼリカは再戦の宣言に用いた。
そうして地上へ着陸すると同時、彼女は仲間のもとへ駆け寄っていく。アイネリスと、テクトラムと、そして――究竟竜の攻撃をもろに浴びた綾音のもとへ。
「大丈夫!?」
「何とか、ね……」
身を案ずるアンゼリカへ、力なく手を振ると、綾音はよろめく足で立ち上がった。
それを見たアイネリスは肩を貸しながら、アンゼリカとテクトラムが護衛する中を離脱していく。
「……恐るべき力でしたね」
「うん。本当に……本当に強かった」
仲間の心情を代弁するかのように呟くアンゼリカに、テクトラムは全くだと頷いた。
「戦闘狂で傲慢なる究竟竜か……倒すべき敵が、新たに増えたな」
そう言ってテクトラムが仰いだ先、戦場となった空域には、悠然と翼を広げるラモラックの姿があった。
戦場を放棄することまでは思い留まったか、あるいは――追撃する価値もないと判断したか。大空を咆哮で満たす究竟竜を綾音は仰ぎながら、ぐっと唇を噛む。
「綾音ちゃんたちは必ず勝つ。絶対に絶対に……!」
勝利の誓いを胸に、大空を仰ぐ綾音。
彼女たちが臨んだオランダ方面の戦いは、今ここに成功で幕を下ろすのだった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【飛翔】がLV10になった!
【照明】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】LV1が発生!