1793年パリに革命の歌を(作者 凪未宇)
#断頭革命グランダルメ
#1793年、パリ解放作戦
#1793年
#不敗のダブー
#革命淫魔ロベスピエール
⊕
巨大なゴリラ……いや、機械人形が鼻息荒く声を荒げる。
「パリ大学の革命淫魔が、ディアボロスと接触したらしいな」
ナポレオン軍元帥『不敗のダブー』、マリー・アントワネットを必要に狙っていた機械人形だ。
「革命淫魔の戦力は惜しいが、マリー・アントワネットを手中にしたディアボロスと、ロベスピエールを合流させるわけにはいかぬ」
神出鬼没なディアボロスを狙うのは難しいとなれば、進駐させていた軍を、パリ大学に差し向けロベスピエール率いる革命淫魔を処分するしかない。
「プロセイン国境に異変がある今、我らが皇帝陛下の御心を煩わせるわけにはいかぬ」
ナポレオン皇帝の邪魔をさせるわけにはいかないと、ダブーは奮起するのであった。
「パリ大学での交渉、お疲れ様なのです。革命淫魔とは一時的になると思うのだけど協力できそうなのです」
スケッチブックを開き、蒼狐・珠萌(猫狐な天使・g03640)は、ゴリラっぽい機械人形の軍人を描いた。
革命淫魔を率いるロベスピエールの目的は『淫魔の断片の王になる事』らしい。
歴史の奪還を目指すディアボロスとは相いれない関係だが、強力なナポレオン勢力との戦いにおいては、限定的に協力できる可能性が高い……だろう。
これを証明するように、ディアボロスと革命淫魔の接触を知った、ナポレオン軍元帥『不敗のダブー』が、パリ大学の淫魔を処分する為に大軍を動かそうとしているようだ。
「きっとナポレオン軍は、ボク達と革命淫魔が協力するのは、なんとしても阻止したいんだと思うのです」
向かってもらう1793年で、革命淫魔を救援し、パリをナポレオン軍から解放する戦いを行ってほしい。
「皆さんには、急いでパリに向かって欲しいのです。パリをナポレオン軍から解放できれば、1793年の戦いの大きな転機になると思うのです」
1793年のパリに駐屯していた自動人形の軍勢は、パリ大学への攻撃へと動員されたようだ。
更に、ディアボロスを警戒する為、かなりの数のクロノヴェーダが、パリ環状下水道の警備に向かっている為、逆に鉄壁の防衛線であったパリ城壁の守りは弱まっている。
「今だったら、下水道から潜入しなくても、パリ城壁を正面突破できると思うのです。そのままパリ市街に突入できるのです」
パリ市街の市民は、ナポレオン軍による統制でかなり不満を溜めているようだ。更に、革命淫魔たちが、その不満を大きく扇動しているようで、城壁を突破したディアボロス達を見れば英雄として迎えてくれるだろう。
「そこで皆さんには、パリ市民を勇気づける歌などで、一気に革命の機運を高めて欲しいのです」
パリ市民は、ナポレオン軍に支配され、その感情をエネルギー源として利用されている。
しかし、この市民たちが、ナポレオン軍に逆らって革命を行えば、そのエネルギーはナポレオン軍では無く、革命淫魔に流れるようになる。
「皆さんの歌で市民の人達を勇気づけて欲しいのです」
更に効果的な演説を行う事ができれば、この流れを確固たるものにできるはずだ。
「それに僕達が去った後も残るような『人々が思わず歌いたくなる歌』フレーズや歌を考えられれば、人々の心に大きな影響を与える事が出来るかもしれないのです」
攻略旅団の提案で『ディアボロスの音楽隊公演による淫魔勢力の低下と大陸軍への反抗心を人々に与える』というものがあったが、ディアボロスが与える影響は、ディアボロスが去ると排斥力の影響で無くなってしまう為、普通の方法では行う事は出来ないが歌は残すことが出来るかもしれない。
現在のフランス国歌である『ラ・マルセイエーズ』は、フランス革命の原動力の一つになったと言われています。
ディアボロスの影響が消え去っても、歌が残れば、人の心に影響を与える事が出来るかもしれない。
成功すれば、蜂起した市民と共にパリ大学に向かい、進攻している軍勢の指揮官である『『皇帝馬』マレンゴ』を撃破すれば作戦は成功になる。
配下のトループス級については、革命淫魔たちが対応してくれるので、指揮官の撃破に集中して問題ないようだ。
「ロベスピエールは色々と信用できない淫魔なのです。でも、この革命の局面では裏切る事はしないはずなのです。なので、この作戦中は信用して共闘して欲しいのです」
そう言って、珠萌はスケッチブックを閉じた。
劇場のような豪華な大講堂に、革命淫魔が集まっている。
進攻してくるダブー元帥の率いる軍勢に、あるものは怖れ、またあるものは責任を追及するように声を荒げている。
「静まりたまえ、落ち着くのだ、同志達よ。ダブーの軍勢がやってきたのは、我らとディアボロスの関係を危険視したという事。つまり、ダブーは、我らを恐れているのだ!」
どこか芝居じみた言い回しと身振りで注目を集め、ロベスピエールは演説を続ける。
「この戦いで、我らが行うのは、足止めだけで良い。軍勢と戦うのは、ディアボロスの仕事だよ」
そう眼鏡を押し上げた。
「さすが、ロベスピエール同志。さっそく、ディアボロスを利用するのだな!」
「あの軍勢を前に臆さないのは、そういうことでしたか」
だが、ディアボロスを思い通りに動かすことができるのだろうかと訝しむ声も上がる。
「心配することは無い同志達よ。我に秘策ありだ。交渉してみて確信したが、奴らは、ディアボロス同士の仲間意識が高い。アレを利用すれば、ナポレオンの軍勢とディアボロスをぶつけ合わせる事など造作もない」
眼鏡を光らせ、ロベスピエールは悪い笑みを浮かべる。
「あぁ、あの厄介なクロノ・オブジェクトを動かしてるアレね。確かに、ディアボロスの餌には最適ねぇ」
そう吐息混じりに囁いたのは、メリクールだ。
「そうです、その通り! そして、我らはディアボロスを利用して、パリを開放し、一気に勢力を拡大するのだ!」
まるで既に大団円を迎えたかのように、ロベスピエールは両手を大きく広げた。
「さすがは、ロベスピエール同志」
「ロベスピエール同志こそ、次なる断片の王に相応しい」
「ロベスピエール同志万歳!」
歓声と喝采の中、ロベスピエールは満足そうにお辞儀をするのであった。
リプレイ
月城・木綿紀
「正面突破!」
敵の注目を集めるように走り出す事で敵を引き寄せ、敵が一箇所に集まる直前にパラドクスを発動。敵の背後に回り込んで、複数の敵を纏めて金属糸で縛り上げる。
縛り上げた金属糸の端からラムの高電圧の電撃を伝わせて一気に倒す。
十埼・竜
歌を届ける、最高にラジオ向けな仕事じゃん?
このRadio-DINOに任せてよ。
……さあ、ここを通してもらおうか!
ぼくは耳がいいからさ。
聴こえてるよ、みんなが壁の中に溜め込んだ不満も不安も嘆きも。
ぜーんぶ奴らに絡めて【捕縛】してやろう!
腕を振れなきゃ衝撃波出せないだろ?
ぼくの【時間稼ぎ】、誰かの攻撃に繋がるって信じてるよ。
新堂・亜唯
※アドリブ、絡み歓迎
淫魔との協力戦線……信頼して良いのかどうかは個人的にまーだ分かんねーけど
毒を以て毒を制すって考えはあるだろうしな、ここは頼らせてもらうか
そーゆーわけで……トループス級はある程度任せていいみたいだけど
ここはいったん革命淫魔たちと一緒に対応に当たらせてもらおう
なんでってまだ歌が思いつかないからだ……!!
いやだって、ねぇ
作詞とかしたことないし……
あーこのバネ人形叩いてたらいいフレーズ湧いてくるんじゃねーかな!
【螺月流・勁砲】の気功波であちこ薙ぎ払いながらインスピレーションが湧いてくることを考えよう……
学校の机叩きながらエアドラムやってるようなもんだ
降りてこい感動的なフレーズ……!
●城壁突破
城壁の上に内部にと、まばらに敵の姿が見える。
情報の通り城壁の護りは弱まっている。稼働している帰還人形の数も少なく、確かに狙うなら今であろう。
「正面突破!」
勇んで突撃していくのは月城・木綿紀(月城家三女のメイドトラッパー・g00281)、そのモーラット・コミュ『ラム』だ。
見え過ぎてしまうが故、木綿紀は薄手の目隠しでその視界を覆っているが、周囲の状況は良く見えている。
注目を集め、ヴォルティジュールドールらを呼び寄せる。
「淫魔との協力戦線……信頼して良いのかどうかは個人的にまーだ分かんねーけど。毒を以て毒を制すって考えはあるだろうしな、ここは頼らせてもらうか……」
そんなことを口にしながら、新堂・亜唯(ライトニングハート・g00208)も続く。
「そーゆーわけで……まずは、超えさせて貰おうか!」
城門に近付く、木綿紀と亜唯の姿に、ヴォルティジュールドールらは両腕の刃を煌めかせる。
その後方。少し離れた場所より、十埼・竜(スカイセンサー・g02268)は城壁を見上げる。
「ぼくは耳がいいからさ。聴こえてるよ、みんなが壁の中に溜め込んだ不満も不安も嘆きも……」
聴こえ過ぎてしまうが故、その耳を電波から護るため、異形のヘッドホン〈ノイズイーター〉を常に装着している。
今は、各所で始まった戦闘の音も響いているが、必要であれば解放することも厭わない。
「歌を届ける、最高にラジオ向けな仕事じゃん? このRadio-DINOに任せてよ」
争う音も、壁の向こうから響く様々な声も、全部拾いあげる。ヴォルティジュールドールに向けた特別放送の時間だ。
ノイズイーターを解放し、パラドクス『mo@n child(ムーン・チャイルド)』を発動する。
「──大丈夫、聞こえてるよ。……さあ、ここを通してもらおうか!」
おあつらえ向きに、ナポレオン軍への市民の不満の声は大量にある。
「ぜーんぶ奴らに絡めて捕縛してやろう! 腕を振れなきゃ、何も出来ないだろ?」
集まる苦しみの声が、機械人形らに向けられた不満が、幾重にも重なり自由を奪う泥となり、ヴォルティジュールドールにのしかかっていく。
木綿紀に向かって『エペ・デ・エクレール』を仕掛けようするも、ヴォルティジュールドールは、その歯車のあちこちがmo@n childの泥に絡められ動きは鈍っている。
「世界は布、私は糸、魔の針に従い私で彩る」
更にパラドクス『縫跳躍(ソウリープ)』を発動し、〈金属糸〉で絡めながら虚構空間へと跳び、ヴォルティジュールドールの刃を避け。現実に戻ると同時に、ラムの電撃を金属糸伝わせ浴びせた。
その身体を覆う青白い闘気〈一颯〉を拳に、亜唯はヴォルティジュールドールを叩き渋面を作る。
「歌が思いつかねぇ……!! いやだって、作詞とかしたことねーしなぁ……」
泥をパーツごと削ぎ落し、飛んでくるヴォルティジュールドールにパラドクス『螺月流・勁砲』を撃ち出し。おまけのように拳で叩く。
「あー、このバネ人形叩いてたら、いいフレーズ湧いてくるんじゃねーかな!」
バケツをドラムにするようなノリで叩いてみるが、詰まってはいるのだろう良い音ではないが仕方ない。
「エアドラムやってるようなもんだ。降りてこい感動的なフレーズ……! 」
リズムだけでも刻むように、飛び掛かってくるヴォルティジュールドールを勁砲で薙ぎ払いながら、亜唯はどんな音楽を奏でるか思案し続けた。
そうして一同の活躍により、防衛はさらに脆弱となり城壁は突破された。
再びノイズイーターを装着し、竜はパリ市街地へと目を向けた。
ここからが、本番だ。
音楽なのか、それとも演説なのか。
市民を味方に、その心をナポレオン軍から引き剥がし革命の火を付けられるか。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
新堂・亜唯
※アドリブ、絡み歓迎
歌か……あまり自分で歌ったことはないけど、歌を聞くのは好きなんだよな
病弱で動けなかったころ、アイドルの歌に勇気づけられたことがあったっけ
知ってるつもりだ。歌は力だって
そうだな、元気の出る歌が良い
歌うことでどんな逆境にも立ち向かう勇気の湧いてくる歌が良い
革命の歌……
俺としては、一生懸命みんなに歌うだけだけど
伝えたいことは、きちんと籠めたいから
「一人で歩けば一歩の歩み、十人で歩けば十歩の歩み」
とか、かな……。
一人でナポレオンに逆らうことはできないかもしれないけど、人間みんなで力を合わせて立ち向かえば
それだけ平和への道のりは、多く進めるはず。
そういうことを伝えていきたいな。
レイチェル・セレナイト
歌を伝え、残せばいいのですね?
それは、なんともなんとも。吟遊詩人の本懐というものでしょう。
では一曲、お付き合いいただきましょうか
といっても、私がするのは歌を編むことではなく
皆さんの歌を支え、助けてあげること
前に、言われたことがありました
聴く方が、曲でなく目の前のものに夢中になれるのなら
それは一流の演奏ができたあかしだ、って
であれば、私のするべきことは決まっています
歌を届ける方の伴奏を担いましょう
さ、思いきり歌ってくださいな
あなたの歌声が誰もの心に残るよう
あなたの想いが深く、皆の心に響くよう
あなたの伝えたい言葉が強く、皆の心に刻まれるよう
私の音が、全力で支えますから
【アドリブ・連携OKです】
グレイ・ナイトジャー
アドリブ連携◎
●心情
歴史は少し違うけれど、ここは紛れもなく私が生きていた時代。私の生きていた国。
他人事にはちょっと思えないんだよ。
不満があっても行動を起こせなかったのはどうしてだろう。
失敗した時の報復が恐かったのかな?
こんな時代じゃ私もそういうの恐いけど…でもそれで止まってても何も変わらないんだから進むしかないんだよ!!
●行動
がんばって歌うんだよ!
私は只の一兵卒だからどうしても軍歌っぽくなっちゃうけど、受け入れて貰えるかな?
立ち上がれ!恐れてもいい
尊厳の為、拳を掲げ歩きだそう!
自由の為、同胞よ共に進もう!
…こ、こんな感じなんだよ?
●パラドクス
演出に使えるかな?
飛んでリューくん!一条の星の如く!
十埼・竜
きみたちの鬱屈はたっぷり聴かせてもらった。
じゃあ、冷たい泥を晴らしにいこう!
Radio-DINO、特別出張・パリ編!
ハロー、今きみが聴きたい歌はなんだい?
みんなが奏でたメロディを集めて、何度でも、何度でも。
ぼくたちの歌を、きみたちの心に刻もう。
街の隅々、どんな路地にも窓の内側にも、響かせてみせるよ。
……え、ぼくの歌?
ラジオは歌つくるものじゃあないんだけど……
「怒りを焚べろ、心を燃やせ
灯火を掲げよう この場所はぼくらのものだ」
……なんてね。
●届く歌
沈んだ表情を浮かべるパリ市民達の元へ、どこからともなく音楽が流れてくる。
機械人形達の目から逃げるよう、固く戸を締め、窓を締めていた市民達は、その音色に耳を傾ける。
出し惜しみはしない。最初から、盛り上げていく。
青い鉱石の竪琴を柄部分に組み込んだソードハープ〈天青の奏〉を手に、レイチェル・セレナイト(英雄譚の再紡者・g03419)は音を奏でる。
「では一曲、お付き合いいただきましょうか」
歌を伝え、残す。それは、なんともなんとも。吟遊詩人の本懐というものでしょう。
(「といっても、私がするのは歌を編むことではなく、皆さんの歌を支え、助けてあげること」)
そう弦を弾きだす。
「前に、言われたことがありました。聴く方が、曲でなく目の前のものに夢中になれるのなら、それは一流の演奏ができたあかしだ、って」
周囲の注意を引くように元気づけるように、音は広がっていく。
「であれば、私のするべきことは決まっています。歌を届ける方の伴奏を担いましょう」
「きみたちの鬱屈は、たっぷり聴かせてもらった。じゃあ、冷たい泥を晴らしにいこう!」
音を届けるのはお任せと、十埼・竜(スカイセンサー・g02268)はパラドクス『MUSIC YELL(ミュージック・エール)』の放送を始める。
「Radio-DINO、特別出張・パリ編! ハロー、今きみが聴きたい歌はなんだい?」
戦場に響かせるのは、元気が出る、勇気が湧いてくるような歌。
新堂・亜唯(ライトニングハート・g00208)は、思い出す。
(「病弱で動けなかったころ、アイドルの歌に勇気づけられたことがあったっけ」)
知ってるつもりだ。歌は力だって。あの時、貰った気持を伝えたい。
「歌か……あまり自分で歌ったことはないけど、歌を聞くのは好きなんだよな」
歌うことで、どんな逆境にも立ち向かえる……革命に繋がる歌……。
『一人で歩けば一歩の歩み 十人で歩けば十歩の歩み』
一人でナポレオンに逆らうことはできないかもしれないけど、人間みんなで力を合わせて立ち向かえば、それだけ平和への道のりは、多く進めるはず。
(「俺としては、一生懸命みんなに歌うだけだけど。伝えたいことは、きちんと籠めたいから」)
奏でられる皆のメロディを集め、何度でも、何度でも響かせる。
また一つ、窓が開き耳を傾ける市民が増える。
「ぼくたちの歌を、きみたちの心に刻もう。街の隅々、どんな路地にも窓の内側にも、響かせてみせるよ」
放送の電波にのせて、竜はどんどん音を届けていく。
(「歴史は少し違うけれど、ここは紛れもなく私が生きていた時代。私の生きていた国」)
記憶の中と違う町の雰囲気に戸惑うも、グレイ・ナイトジャー(名もなき砲兵・g00981)は、軽い感傷を感じた。
「他人事には、ちょっと思えないんだよ」
機械人形に支配された街。
「不満があっても行動を起こせなかったのは、どうしてだろう。失敗した時の報復が恐かったのかな?」
力のある者、脅威を感じる相手、従うしかない無力さ。
「こんな時代じゃ、私もそういうの恐いけど……でもそれで止まってても何も変わらないんだから進むしかないんだよ!!」
一兵卒だからどうしても軍歌っぽくなっちゃうけど受け入れて貰えるかなと、不安そうなグレイにレイチェルの音色が応援する。
「さ、思いきり歌ってくださいな。あなたの歌声が誰もの心に残るよう。あなたの想いが深く、皆の心に響くよう」
私は、私に出来ることを。あなたは、あなたに出来ることをと伴奏を奏で続ける。
「あなたの伝えたい言葉が強く、皆の心に刻まれるよう。私の音が、全力で支えますから」
故郷を想い、グレイは歌い出す。
『立ち上がれ! 恐れてもいい。尊厳の為、拳を掲げ歩きだそう!』
がんばって歌う彼女の声に、さらに人々は動き出す。
『自由の為、同胞よ共に進もう!』
そこで、グレイはミニドラゴン『リューくん』に合図を出す。
「飛んでリューくん! 一条の星の如く!」
パラドクス『翼燃えても夢は墜えず(リェズムパクト・ド・ワゾー)』で、リューくんは炎を纏い突き進んでいく。
それは、行く末を照らす灯火のように輝いて。
ディアボロスの音楽は終わりを向かえる。
「え、ぼくの歌? ラジオは歌つくるものじゃあないんだけど……」
ほんの少し逡巡し、竜も歌を紡ぐ。
『怒りを焚べろ、心を燃やせ。灯火を掲げよう。この場所は、ぼくらのものだ』
心動かす音楽に集まって来た人々や、耳を傾ける人々に、次に届けるのは言葉。
竜の放送は切り替わった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【勝利の凱歌】LV3が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV3が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
新堂・亜唯
※アドリブ、絡み歓迎
俺達の歌は、歌に込めた思いは、パリ市民の皆に届いてくれたろうか。
いや……きっと届いてる筈だ。
なら、言葉を届けるのもきっと今だろう。
俺達の言葉は、やがて人々の中から消えてしまうかもしれない。
けれど、さっき届けた歌に、同じ思いが籠っているはずだ。
「貴方達は、ナポレオンに支配される今を赦せますか?」
「赦せないのなら、赦せないと言っていいんだ。同じ思いを持った人々が、赦せないと思っている俺たちがここに居る」
「怒って良いんだ。その怒りは一人の物じゃない」
今こうして、語っている言葉は、薄れてしまうのかもしれないけど
どうか、それだけは忘れないでほしい。
「一人じゃないんだ、皆」
奉利・聖
ふむ、演説
昔取った杵柄…少し『熱』を与えてあげましょうか
貴公らは──家畜ではない
最後に食われるだけの存在ではない
見るがいい、パリの街並みを
貴公らの帰る場所だ
文化だ 結晶だ 隣人と共に紡いだ、貴公らの愛と叡智だ!
それを脅かすのは何者だ?聞かれるまでもない!ナポレオンである!
何ゆえ脅かされる?ナポレオンが強いからか?否、否、否である!
我らを弱者と侮るからだ!顔を上げろ、前を向け!
己が心の臓に問いかけろ!貴公らは侮られるだけの家畜か!
否と叫ぶのならば!親愛なる隣人を見よ!手を取り、心を燃やし、立ち向かえ!
抗え!(ダン!)抗え!(ダン!)抗え!(ダン!)
勝利を我らに!!
はい、こんなもんじゃないですか?
十埼・竜
あ、せんぱ……
(先輩が異様に腰の入ったアジテーション始めてて一歩ヒいた)
(そうだったこのひと、こういうのめちゃめちゃ得意だった…!!)
……“長生き”してると身につくもんなのかなあ……すごーく頼もしいんだけどさ。
じゃあ、その熱を更に煽るのがラジオの仕事だ
ぼくは皆の演説を盛り上げていこう!
「波紋、反響」
さっきのぼくらの歌とみんなの演説が動かした心、抱かせた祈りを、街中に発信して《士気高揚》!
サクラ?いやいやぜーんぶ実録ノンフィクション!
みんな同じ気持ちを抱いたってわかれば、それはきっと団結する勇気になる。
波が波を引き起こせば……さあ、どれだけ大きなうねりになって、返ってくるかな?
●灯火
音楽に誘われ、パリ市民の注目が集まる。
「俺達の歌は、歌に込めた思いは、パリ市民の皆に届いてくれたろうか。いや……きっと届いてる筈だ」
これから何が起こるのかという期待と、不安。
その空気が、新堂・亜唯(ライトニングハート・g00208)の元にも伝わってくる。
(「なら、言葉を届けるのもきっと今だろう」)
「ふむ、演説」
亜唯が逡巡する間に、群衆の前に真っ先に進み出たのは奉利・聖(クリーナー/スイーパー・g00243)である。
「昔取った杵柄……少し『熱』を与えてあげましょうか」
「あ、せんぱ……」
十埼・竜(スカイセンサー・g02268)が、気が付き声を掛けようと……。
「貴公らは──家畜ではない。最後に食われるだけの存在ではない」
不意に始まった聖の演説に、竜は言葉を呑む。
強烈な言葉で一気に人々の注目を集め、言葉を続ける。
「見るがいい、パリの街並みを。貴公らの帰る場所だ。文化だ、結晶だ! 隣人と共に紡いだ、貴公らの愛と叡智だ!!」
歌が人々を勇気づけたとすれば、この演説は鼓舞だ。
「それを脅かすのは何者だ? 聞かれるまでもない! ナポレオンである! 何ゆえ脅かされる? ナポレオンが強いからか? 否、否、否である!」
(「そうだったこのひと、こういうのめちゃめちゃ得意だった
……!!」)
異様に腰の入ったアジテーションに、一歩ヒきながらも竜は感心の眼差しを向けた。
(「……“長生き”してると身につくもんなのかなあ……すごーく頼もしいんだけどさ」)
急に始まると驚いてしまうのは、仕方ない。
「貴方達は、ナポレオンに支配される今を赦せますか?」
遅れて、亜唯もパラドクス『無垢の言葉』を使い、友達催眠を併用しつつ、声をあげていく。
「赦せないのなら、赦せないと言っていいんだ。同じ思いを持った人々が、赦せないと思っている俺たちがここに居る」
頑張って演説をする二人に対して、竜が出来るのはその演説を盛り上げる事。
「じゃあ、その熱を更に煽るのがラジオの仕事だ。盛り上げていこう!」
パラドクス『波紋、反響(ビッグ・スプラッシュ)』が、放たれる。
歌で紡ぎ、演説で動かした心を。抱かせた祈りを。未来への希望を束ねて。
「波紋、反響」
街中へ、竜は発信し士気を高揚させていく。
「サクラ? いやいやぜーんぶ実録ノンフィクション! みんな同じ気持ちを抱いたってわかれば、それはきっと団結する勇気になる」
注目も十分、声も十分届いてる。
前列にいる者達などは、既に熱に浮かされているようだ。
(「波が波を引き起こせば……さあ、どれだけ大きなうねりになって、返ってくるかな?」)
「我らを弱者と侮るからだ! 顔を上げろ、前を向け! 己が心の臓に問いかけろ! 貴公らは侮られるだけの家畜か!」
更に聖は声をあげ、人々を煽っていく。
(「俺達の言葉は、やがて人々の中から消えてしまかもしれない。けれど、さっき届けた歌に、同じ思いが籠っているはずだ」)
変わらなきゃダメだと、亜唯も声を上げていく。
気が付けば、人だかりはかなり大きくなっていた。
「怒って良いんだ。その怒りは一人の物じゃない」
ここで立ち上がった気持、大切なことは忘れないで欲しいと、願いながら。
「一人じゃないんだ、皆」
──ほら、ぼくらの起こした波が返ってきたよ!
「否と叫ぶのならば! 親愛なる隣人を見よ! 手を取り、心を燃やし、立ち向かえ!」
強く足を踏み鳴らし、聖は更に煽っていく。
「抗え!」
呼応するように、人々も足を踏み鳴らす。革命は起こしていいのだ。
「抗え!!」
その人の波と熱は強まり、踏み鳴らす音は、地を揺らす。
「抗え!!!」
最高潮まで煽りあげ、ダンっと音を響かせ、一呼吸。
刹那静まり返った市民の中に、火は灯った。
「勝利を我らに!!」
高らかな聖の宣言に、市民は拳を突き上げ奮起した。
「!!!!!」
歓声と雄叫びとが、響き大きな一つの波となった。
一方、人々に火をつけた聖は、「はい、こんなもんじゃないですか?」と、直ぐに普段通りに戻っていたのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【建物復元】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【ガードアップ】がLV2になった!
【凌駕率アップ】LV1が発生!
新堂・亜唯
※アドリブ、絡み歓迎
言葉を届けることは、十分にできたはずだ。
皆が高らかに天に突きあげていた。支配に抗うように拳を突き上げていた。
その拳を、叩きつけに行くのが、戦える俺たちの本当の役割だろ!
軍馬型のクロノヴェーダ……突進で掻きまわされるのは厄介だな。
だがこっちにも【未来予測】がある。
あまり遠い未来までは見えないだろうが、紙一重で戦場の動きを読むには助かるはずだ。
『皇帝馬』マレンゴの動きを見切り、横っ腹に渾身の拳
俺の【螺月流・抗雷撃】を叩きこんでやる!!
高速で走ってるところ、横っ面叩かれりゃ足にかなりの負担だろ
動きさえ止めりゃ、こっちには仲間がいる!
俺達だって、一人じゃないんだからな!
グレイ・ナイトジャー
アドリブ連携◎
●心情
はわ……すごい演説だったんだよ~
私はそういうの苦手だから出来る人は尊敬するんだよね。
それじゃあ、私は私の出来ることでがんばるんだよ!
●行動
お馬さんが速すぎてとらえられないなら、ぜーんぶ撃てばいいんだよ?
たくさん撃てばいっこぐらい当たるはず!たぶん!
私の砲を11機全て【召喚】して【砲撃】しまくるんだよ!
当たらなくても他の復讐者の行動の一助になればいいかな
牽制や誘導ぐらいはできると思うんだよ!
●パラドクス/イマジナリキャノン
しっかり引き付けて射程に入ったら一斉に撃つんだよ!
歴史は違えど祖国は祖国。好き勝手ばかりさせないんだよ!
砲兵部隊、いくよ!
アン!ドゥ!トヮ!撃てーーーッ!!
月城・木綿紀
『こうゆう敵にはどうするんだっけ?』
「動きが速い敵には……ルートを制限して迎えうつ!」
『正解』
師匠(身体の中の天使)から正解を貰ったのでそのやり方でやってみる。
まずは未来予測で敵の進行方向を把握、進行方向にトラップ生成で見え見えのワイヤーを大量に張る。これらは避けて貰うのが前提で本命はそれ以外の場所に隠された括り罠とネバネバ床。本命の罠で敵の動きが悪くなったところでさらに小物の棒手裏剣で脚の関節を集中的に攻撃したのち、飛び杼で斬りつけながら柄に仕込んだ金属糸で縛り上げる。
●皇帝の馬
パリ市民に点いた革命の声は広がっていく。
圧制に従うのではなく、機械人形の軍政に黙るのではなく、革命淫魔のように剣をとらなくてもいい。
絵筆をとってもいい、愛でもいい、自由を求めて。
大勢の熱量は反旗を翻し、革命淫魔へと力を与えはじめている。
「はわ……すごい演説だったんだよ~。私はそういうの苦手だから出来る人は尊敬するんだよね」
適材適所。それじゃあ、私は私の出来ることでがんばるんだよと、成り行きを見守っていたグレイ・ナイトジャー(名もなき砲兵・g00981)は、周囲の動き出した人々を見つめる。
「言葉を届けることは、十分にできたはずだ。皆が高らかに天に突きあげていた。支配に抗うように拳を突き上げていた」
市民達と同じように、熱に当てられたかのように新堂・亜唯(ライトニングハート・g00208)は、肩を震わせる。
「その拳を、叩きつけに行くのが、戦える俺たちの本当の役割だろ!」
――さぁ、今がその時だ。
パリ大学へと到着すれば、既に勢いづいた革命淫魔たちがトループス級を相手に戦いを繰り広げていた。
相手が機械人形だからまだいいか。色々と目のやり場に困る姿が見られるのは多いのは淫魔ゆえ仕方ない。
大学に向け機械人形の指揮をとっていたマレンゴが、鼻息荒く振り返る。
馬の機械人形とはいえ、皇帝馬の名を持つ相手だ。
その背に皇帝の姿はなくとも、威光を背負っているようなもの。
ディアボロス達の姿に、躊躇なく地を蹴りマレンゴは疾走してくる。
やはり得手は速さと突撃か。
『こうゆう敵にはどうするんだっけ?』
月城・木綿紀(月城家三女のメイドトラッパー・g00281)は内なる天使の問いかけに答える。
(「動きが速い敵には……ルートを制限して迎えうつ!」)
『正解』
しかし、大学前は中々開けている何処にと思案する間に、グレイが進み出る。
榴弾砲〈W『ドゥブルヴェ』〉は、かつて従軍していた時の一つ。
「お馬さんが速すぎてとらえられないなら、ぜーんぶ撃てばいいんだよ?」
砲兵の本領発揮と、〈Cassiopeiae『カシオペヤ』〉に、〈Schedar『シェダル』〉と次々と持ちうる榴弾砲を設置し構える。
「たくさん撃てばいっこぐらい当たるはず! たぶん!」
そうして用意された、十一機の砲が火を噴く。
当たらなくとも、弾幕を張り動きの制限誘導するには効果的だ。
〈Caph『カフ』〉と〈Ruchbah『ルクバー』〉の砲撃から逃れるようマレンゴが向きを変えると、目に付くワイヤーが無数に木綿紀によってトラップ生成され張られていた。
だが幾度となく戦場で受けた負傷をも乗り越えたマレンゴは臆することなく、更に疾走する。
美しい芦毛のたてがみを風になびかせ、ワイヤーを引き千切り突き進む。
(「軍馬型のクロノヴェーダ……突進で掻きまわされるのは厄介だな」)
未来予測があると言っても、紙一重であることを亜唯は理解していた。
全てを見切ることは出来なくても、避ける刹那であれば。
更にグレイの砲撃に誘導され、思惑通りの動きになっている。
〈Fulu『フル』〉の砲撃が行く手を阻み、マレンゴは急転回した。
その前に再びワイヤーを見つけ、軽く跳び越えるも今度は違った。
木綿紀のパラドクス『縫合接続(ソウイングコネクション)』による、攻撃がマレンゴを縫い付ける。
スローイングダガー 〈飛び杼〉を針に、柄に仕込まれた〈金属糸〉で縫合するだけ。
パラドクスでしかクロノヴェーダには攻撃は通らないが、それだけ敵にとっても簡単に抗えるものではない。
マレンゴが動きを止めた瞬間を逃さず、グレイの〈Segin『セギン』〉、〈Achird『アキルド』〉、〈Marfik『マルファク』〉、〈Navi『ナヴィ』〉が一斉斉射され、弾幕を張る。
縫合接続を解いた『其の馬は美しい芦毛を誇っていた』かのように、木綿紀の心を捕らえ翻弄する。内なる天使の声も響かない程に。
「歴史は違えど祖国は祖国。好き勝手ばかりさせないんだよ!」
砲撃による煙幕を、グレイの声に向ってマレンゴは颯爽と飛び出した。
しかし、そこには闘気〈一颯〉を青白くスパークさせながら待ち受ける亜唯の姿が。
「もっと輝け!! そして、貫け!!」
無防備に晒されたマレンゴの横っ腹に、渾身のパラドクス『螺月流・抗雷撃』を叩き込む。
これが生きた馬であれば、その足の骨は完全に折れて居たことだろう。
「高速で走ってるところ、横っ面叩かれりゃ足にかなりの負担だろ」
地を削るよう吹っ飛びながらも、立ち上がったマレンゴに向けられるのは、無数の砲口。そしてそれを構える砲兵達の幻影。
グレイのパラドクス『イマジナリキャノン』が既に発動され控えていたのだ。
「砲兵部隊、いくよ! アン! ドゥ! トヮ! 撃てーーーッ!!」
一斉に放たれた砲撃が、再びマレンゴの身体を地に倒し膝を折り。衝撃に耐えきれず、接合部のあちこちで魔力が火花を散らした。
「動きさえ止めりゃ、こっちには仲間がいる!
俺達だって、一人じゃないんだからな!」
天に向けられたマレンゴの鼻先が、屈辱に震え
雄々しく立ち上がる背には居るはずのない英雄の幻影が騎乗し強く手綱を引いた。
両の前脚を高くあげ屈撓させると、マレンゴは戦場を駆けた。
正面からグレイの〈Castula『カストゥラ』〉の砲撃を受けても止まらず、まるで困難を覆すかのように。
事前に警戒していた亜唯も、直撃は避けたものの、キッチリと横腹に蹄の一撃を入れられた。
『其の馬に不可能と言う言葉は無かった』と、消えていく英雄の口元が語っていた。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【建造物分解】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
【修復加速】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
奉利・聖
【聖竜】
……はぁ、魅了
ゴミがどんな魅せ方をしようがゴミでしかないの、お分かりでない?
皆さんも御覧なさい
アレの、どこが、美しいと?
どこが我らの心を揺さぶると?滑稽で笑ってしまいそうですね
【士気高揚】、我らの勝機はここにあり…先陣を切りましょう
今こそ反逆の旗を掲げる時!!
竜さんのそれ、重いでしょう
それが人々の抑圧された感情…その結晶です
やはり醜いゴミでしたね、お似合いに穢れておりますよ
後は簡単…掃除を遂行するだけ
極大貫通──『穿気功』
漆黒の龍骨に貫通の気を宿し、<投擲>
おや、大穴があいてしまいましたねぇ
…さ、終わりましたし、もう安心していいですよ
熱気に大分やられてたでしょう、ゆっくりお休みください
十埼・竜
【聖竜】
(煽っといてなんなんだけど)
(こういう"波"、効くんだよな、ぼくにも)
革命のボルテージは最高潮、【託されし願い】もガンガン来てる
ぼくが止めて先輩がブン殴る、いつものやつで行こっか
…あまり長引くと悪酔いしそうで…
さあ叫べ、ぼくが全部拾ってやる
【士気高揚】でブチ撒けられるみんなの憎悪はどんだけ黒くて重いかなあ!
そのご自慢の毛並みも泥にまみれて汚れちまえ!
魅了の力とその速度を削ぎ落としたら
あとは先輩、お願い
……自分で煽るのはあんまり慣れてないんだよ
喉痛えな
●革命へ
颯爽と駆けたマレンゴは、ここまでのダメージを感じさせない振る舞いで、芦毛の毛並みを人々に見せつける。
英雄が騎乗していなくとも、その白い馬としての自動人形のフォルムに無駄な部分は無く、ナポレオンの威光を代弁するかのように、鼻先を上げ堂々と凛々しく振る舞う。
「……はぁ、魅了」
奉利・聖(クリーナー/スイーパー・g00243)は、あからさまな溜息をついた。
「ゴミがどんな魅せ方をしようがゴミでしかないの、お分かりでない?」
ここまで高まった市民の熱を、冷めさせるわけにはいかない。
「皆さんも御覧なさい。アレの、どこが、美しいと?」
引き続き煽っていく、聖の近くで十埼・竜(スカイセンサー・g02268)は、少し顔色悪く、異形のヘッドホン〈ノイズイーター〉に軽く触れていた。
(「煽っといてなんなんだけど……こういう"波"、効くんだよな、ぼくにも」)
電波酔い。良くも悪くも、大勢が集まり熱が高まれば、それだけ波は大きく激しい。
託されし願いは、どれ程だろうか。自由を願い、自由を掲げ……。
「どこが我らの心を揺さぶると? 滑稽で笑ってしまいそうですね」
あれこそ人形共による征服と、圧制の象徴ではないのかと。
(「革命のボルテージは最高潮、皆の願いもガンガン来てる。ぼくが止めて先輩がブン殴る」)
こちらは、いつでも始められる。聖と竜の視線が、合った。
(「いつものやつで行こっか……あまり長引くと悪酔いしそうで……」)
解っていますよと聖は、視線だけで答え市民を士気高揚させる。
この戦いは、敵を倒しただけでは終わりではない。パリ市民が一斉蜂起し、パリ大学が解放された後、自動人形の勢力に抗える状況を作り出すことも重要。
「我らの勝機はここにあり……先陣を切りましょう。今こそ反逆の旗を掲げる時!!」
高く掲げられた漆黒の棒〈屍龍帝ノ魂〉に、パリ市民はそれぞれの旗がなびいた気がした。
「さあ叫べ、ぼくが全部拾ってやる」
Radio-DINOの時間だ。
パラドクス『mo@n child(ムーン・チャイルド)』は、全て取り零さない。
表に出てこれない小さな革命の火種の声も。
「ブチ撒けられるみんなの憎悪は、どんだけ黒くて重いかなあ! そのご自慢の毛並みも泥にまみれて汚れちまえ!」
市民達の声は響く。
「この街は、私達の物だ!」
「愛を守り抜いてみせる!!」
「人形なんかに支配されたままでいるものか」
「俺達は自由を愛するんだ!!」
「好きなことをやって生きたい!」
「俺達の未来は、俺達の物だ!」
その声に、マレンゴは気圧されたか。はたまた蓄積されたダメージが、球体関節に響いたのだろうか、歩みは絡まり動きは止まる。
小さな波、いや既に波は大きいか。いくつも重なれば、自由を奪う重い泥に。
繋げるだろうか、希望へ。願い続ければ、未来は描けるはずだ。
重い、重い泥が、マレンゴの脚を絡め取り。重く、重く……。
暴れ振り払おうとするのを阻むように、人々の声は高く轟き。マレンゴの全ては、泥に塗り潰されていく。
「竜さんのそれ、重いでしょう。それが人々の抑圧された感情……その結晶です」
僅かにフラ付いた竜が倒れないよう、聖がそっと傍らに立ち支え。
「あとは先輩、お願い」
分かってますよと、短く答え。聖は泥に抗おうとするマレンゴとの距離を、一気に詰める。
「やはり醜いゴミでしたね、お似合いに穢れておりますよ。後は簡単……掃除を遂行するだけです」
パラドクス『穿気功(ブチヌキオソウジモード)』を発動し、屍龍帝ノ魂に貫通の気を宿した気功を施し。
「極大貫通──『穿気功』」
かつて美しさを誇っていた白馬の自動人形に向かって、全力で投げつける。
漆黒は真っ直ぐに。マレンゴの身体を貫き、その何も詰まってない胴に大穴を開く。
「おや、大穴があいてしまいましたねぇ」
これで掃除は終了。屍龍帝ノ魂を回収し、聖は戻っていく。
ナポレオンに絶対的な忠誠を誓う皇帝馬マレンゴの倒れる姿に、パリ市民達は更に沸き立った。
英雄のように湛えられる中、聖は倒れそうになる竜を支え笑顔を見せる。
「さ、終わりましたし、もう安心していいですよ」
「……自分で煽るのはあんまり慣れてないんだ」
「熱気に大分やられてたでしょう、ゆっくりお休みください」
抱えて運びましょうか。そんな聖の囁きが聴こえた気がしたが、堪えられるような状態ではなかった。
もし竜が自分の顔を見れるようであれば、真っ白だと思ったことだろう。
(「喉痛えな」)
背負うでなく、抱えて運ぶという言葉がふと気になったが、祝福するような喝采と、歓声に、どうでもいいやと竜は聖に身を任した。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【未来予測】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV5になった!