リプレイ

「こ、こんなのでも指揮によっては強敵に化ける、のね…？　だったら、足止めしなきゃ…一応…もういっそカテドラルまで行かせて公害を垂れ流させてもいい気がするけど、そうもいかないのよね……」
「ああ……まあ性格と戦闘能力は別物だし、上位者が細かく指示を出せば厄介な相手になるのかもしれないしな…」
　レイア・パーガトリー（毒棘の竜騎士・g01200）と嵐柴・暁翔（ニュートラルヒーロー・g00931）は、互いに相手に言うというよりは、自分に言い聞かせるような口調で呟き、TOKYOカテドラルへ増援に向かうトループス級クロノヴェーダ『パリピ団』に向かって……というよりは、彼らが撒き散らす騒音の渦に向かって果敢に突進する。
「嗚呼口惜しや、この身では羽虫の如きパリピを落とすも罷りならぬかーっ！」
　まずレイアが、少し距離を置いた場所でパラドクス「女王の叫び（クイーンズシュリーク）」を発動。女王たる竜のパリピに対する怒りによって、竜の咆哮のような金切り声をあげる。目には目を、歯には歯を、騒音には騒音をという強硬手段は功を奏し、三体のパリピが衝撃波と化した音響に巻き込まれて吹っ飛ぶ。
「パリピーッ！」
　しかし、こいつらはただの変態パリピではない。一応、仮にも、曲がりなりにも、天使でクロノヴェーダである。吹っ飛び際に、担いでいたコンポを、意図的かどうかはよくわからないが、反撃のパラドクス「コンポ爆弾」として投げつける。
「パリピーッ、パリピーッ、ヘイヘイ、パリピーッ、ドッカーン！」
「あーっ！　やかましい！」
　投擲の狙いは甘く、爆発そのもののダメージはなかったが、爆発までに放たれた騒音がやかましく、精神的に疲れる反撃であった。
　そして飛び交う騒音を、少なくとも外見上はものともせずに突撃した暁翔が、パラドクス「天元突破冒険者（ランディ）」を発動させる。
「……俺の太刀に、斬れぬもの無し。……全てを斬れ……雷光烈斬牙…！」
「お、俺の歌を聞いていけぇーっ！！！！」
　一刀両断されたパリピが反撃のパラドクス「俺の歌を聞いていけぇー！！！！」を発動させるが、暁翔は通り魔の如く全速で走り抜け、決然と言い放つ。
「聞かん！」
（「敵の数が多い…彼女たちを召喚するか…でも、仮にも天使を殺らせるのはなあ……」）
　外見の決然さとは裏腹に、実は内心でけっこううにゃうにゃと悩んでいる暁翔であった。








「天使ってみんなパリピなん？　じゃあ逆にいうと世の中のパリピはみんな天使だった……ってこと！？　超発見！　いいノリ乗ってんね！　モニコも混ぜて！」
　無茶苦茶というか、ノリと勢いだけで元気よく言い放ち、黄金・モニコ（ゴールデンアワー・g04649）がトループス級クロノヴェーダ『パリピ団』の中へ躍り込む。そして、別にパリピ光線を浴びたわけでもないのに、何の違和感もなく入り混じって騒ぎまくり踊りまくる。
「モニコも今日からパリピだぜ！　うぇーい！　カテドラルまで進軍じゃーい！」
「イエーッ！　イエーッ！　イエーッ！」
　ノリノリで踊りまくりながらパリピ団とともに進軍するモニコだったが、五分後、いきなりその懐中で目覚まし時計がけたたましくベルを鳴らす。
「いでででで！　この目覚まし時計は、タイマーにセットした時間になると電撃が流れる仕組みなのさ！　電気ショックで目覚めるなんてモニコってば超ワイルド！　さらば友たちよ。お前たちとの日々（※５分）は忘れない……！　油断大敵！　背後から乱れ撃ちじゃー！　くらえ！！」
「ギョエー！　パリピ、イエーッ！」　
　モニコがパラドクス「ZAP! ZAP! ZAP!（ザップ・ザップ・ザップ）」を発動し、周囲のパリピを当たるを幸いスリングショットで撃ちまくる。カラフルでド派手な爆発が生じ、パリピたちは吹っ飛びながら反撃のパラドクス「お前も今日からパリピだろ？」を発動させるが、パリピ光線を浴びてもモニコには（ダメージはしっかり受けているようだが）今更何の変化もない。
　つーか、そんな面倒なことしなくてもこいつら撃てば潰れるだろ、とか、進軍を阻むのに背後から撃ってどーする、とか、ツッコミどころは様々あるが、まあ、本人が楽しそうだからいーか。
　そして、一応同士討ちしないよう配慮したのか、それとも単なる偶然か、モニコが離脱すると同時に、桐生・巧（リア充スレイヤー・g04803）と嵐柴・暁翔（ニュートラルヒーロー・g00931）が『パリピ団』の前に立ちふさがる。
「アルケーだがなんだか知らないでありますが、確実なことはただひとつ！　パ　リ　ピ　即　ち　リ　ア　充　　
　リ　ア　充　死　す　べ　し　慈　悲　は　な　い　　リア充は死ねぇぇぇぇぇい！！！！！」
「合言葉はR（リア充）B（爆発しろ）パリピはリア充、即ち爆破対象。陽キャは黙れ煩い存在するな。顔が態度が全身がうっとおしい。良い陽キャは死んだ陽キャだけだ」
　見事なまでに私怨満載、ある意味語義通りの復讐者と化して、巧は「バヨネットパレード」暁翔は「贋作者（フェイカー）」謹製の爆弾投擲。それぞれ絶大な殺傷力を誇るパラドクスを駆使して、反撃などはものともせず、全力でトループス級クロノヴェーダ、いや、リア充パリピを殲滅する。
　……って、天使って外見は男女あるけど、本質は無性（ちなみに悪魔・堕天使は両性）じゃなかったっけ？　無性のリア充ってありうるのか？　クロノヴェーダは違うのか？　まあ、鬱陶しい陽キャには違いないから、いーけどさ。
　そして、嫉妬に狂ったディアボロスの無茶苦茶な猛攻から、かろうじて逃れた二体のパリピの前に、最後の砦というか、いかなる事態でも真面目に戦闘することを忘れない堅物、瀬島・大輝（怒りし地獄の閻魔・g06270）が立ちふさがる。
　……とはいうものの、見る影もなくボロボロになった敗残パリピ小僧どもに最後のトドメを刺すのは、さすがにあまり気が乗らないらしく、大輝は顔を顰めて溜息をつく。
「……こんな奴らでも、クロノヴェーダはクロノヴェーダ。増援として、文京区の戦局を揺るがすかもしれねェ。きっちりと、シメさせてもらうぜ」
　閻魔の裁きに情状酌量なんてものは無い。まして、天使相手にはな、と、自分に言い聞かせるように唸ると、大輝はあくまで真剣に、パラドクス「焔魔の焼爪（エンマノショウソウ）」を発動させる。
「カテドラルへ行こうとするなら生かしちゃおかねえ。それとも逃げるか？」
「……」
　そう言われても背後ではリア充死すべしな方々が大暴れしてるんですが、と、思ったかどうかは知らないが、
トループス級クロノヴェーダたちは前に向かって突進し、大輝は炎をまとった爪を一閃させる。反撃もできずに二体のトループス級は崩れ倒れ、増援として送られた『パリピ団』は、TOKYOカテドラルに行き着くことなく壊滅した。

最終結果:成功
完成日	2022年03月12日