竜の花嫁にフォンダンショコラを(作者 瀬和璃羽
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#幻想竜域キングアーサー  #湖水地方と竜の花嫁  #湖水地方 

●花嫁の名誉。
「ここは料理は美味しいし、お菓子も沢山……みんな、竜の花嫁に選ばれたからもう大丈夫だよっ!」
 赤髪の少女は泣きそうな顔を見せる村の人や友達に向け笑顔を浮かべる。
 実際に彼女の周りには山のようなお菓子が並び、食べる物に困ることは無さそう。
「でも、花嫁になると命を捧げなければ……」
「大丈夫! ボクが命を捧げれば、村には食べ物が沢山来るんだから……だから、怖くないよ」
 そう育ての母であるシスターに告げる彼女の赤い瞳は、言葉と共に自然に横へと動く。
 ……それは彼女が嘘をついている時の目。
 そう分かってはいても飢饉に襲われた村の人たちにとって、生き残るすべは訪れた栄誉に頼るしかなっかった。

 ……アイリッシュ海の戦いが終わった。
 ディアボロスたちは円卓の騎士である氷のベディヴィア卿を打ち倒し、ついにグレートブリテン島へと辿り着く。
 降り立った地は景勝地として後世でも名を知られている湖水地方。
 周囲の湖沼地帯には『竜の花嫁の湖』と呼ばれる湖が多くあり、集められた花嫁たちが最後を穏やかに過ごすための別荘地が広がっている。

●花嫁が過ごす村。
「この街に侵入出来れば……」
 お気に入りのドーナツショップの何時もの席。
 カフェオレを口にしつつ視た光景を思い出していた時先案内人の月読・栞は方針を決めると新宿駅へと向かう。
 竜の花嫁に接触し情報を入手すると言う作戦をディアボロスたちに依頼するため。

「その街では最後を迎える花嫁を楽しませるため、様々な催し物が行われているそうです」
 例えばお菓子のコンテストであったり武術の大会であったり……栞が言うには付近の街や村から出場者が集まり、人が集まれば商売をする者たちも集まると言うことで街は大変賑わっていると言う。
 大会に出場し好成績を収めれば表彰の席や個人的に呼ばれるなど竜の花嫁と直接接するチャンスがあるかも知れない。
 また街の住民や出入りする人と話せば何か有益な情報が手に入に入るかもとも。
 ただ気を付けて欲しいのは街や周囲には竜騎兵はいないが、ドラゴニアンが上空から監視しているため派手な動きをするのであれば細心の注意を払う必要があると告げる。

「竜の花嫁と言う制度自体が重要な意味を持つようです。それを覆せれば竜の力を削げるかも知れません」
 そう言うと栞は手にしたドーナツを割る……あふれ出したチョコレートがドーナツと言う概念を崩すのであった。

「おっちゃん、串焼き一本!」
「あいよ、銅貨5枚ね」
 銅貨を多めに支払い串焼きを受け取りながら今回の花嫁は何に興味があるか尋ねると、武術と甘い物に興味があると教えてくれた。
「武術は元々、あとは村が飢饉で甘いもんに飢えてたって話だよ」
「なら、出るならどっちかの大会が良さそうだな」
 串焼きを手に街を歩くと大道芸人が火を噴き吟遊詩人が歌い……竜の花嫁が末期を過ごすためと思えぬ程、とても賑やかな街であった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【悲劇感知】
1
「効果LV×1時間」以内に悲劇が発生する場合、発生する場所に、ディアボロスだけに聞こえる悲劇の内容を示唆する悲しみの歌が流れるようになる。
【託されし願い】
3
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【プラチナチケット】
2
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【エイティーン】
1
周囲が、ディアボロスが18歳から「効果LV×6+18」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【修復加速】
2
周囲が、破壊された建造物や物品の修復が容易に行える世界に変わる。修復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」する。
【口福の伝道者】
4
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV3 / 【ダメージアップ】LV7 / 【ガードアップ】LV1 / 【凌駕率アップ】LV3(最大) / 【先行率アップ】LV1 / 【ロストエナジー】LV1

●マスターより

瀬和璃羽
 皆さまこんにちは、瀬和璃羽です。
 ドラゴンからキングアーサーの歴史を奪回する旅路もついにイギリス本島、グレートブリテン島へと辿り着きました。

 今回のシナリオよりイギリス本島の北西部にある湖水地方が舞台になります。
 『竜の花嫁』と呼ばれる女性たちが末期を穏やかな気持ちで迎えるために過ごす街へと潜入、情報を集めて下さい。

 そもそも『竜の花嫁』とはドラゴンの生贄であり、彼女たちが命を捧げることで竜騎兵の『卵』が出現します。
 竜の花嫁になることは非常に名誉な事であり……今回選ばれた花嫁は、それで村を救おうと決意したようです。
 彼女はお姫様……と言うよりは騎士に憧れていたようであり、街では武術の大会が行われているそうです。
 同時に飢饉で飢えている故郷のために、お菓子の大会が平行して開催されております。
 どちらかに参加し優勝、ないし上位に入りこめば花嫁と会うことが叶うでしょう。

 またこの街には様々な人たちが出入りしております。
 様々な屋台を出す商人であったり、大道芸人であったり吟遊詩人であったり……お店も雑貨から飲食まで色々とあるでしょう。
 他にも今回の花嫁が過ごしてきた村の人たちもまだ滞在しているようです。
 竜の花嫁や街の人たちと話し情報を集め、花嫁の心を溶かしましょう。

 それでは皆さまのプレイングを楽しみにしております。
 どうぞよろしくお願い致します。
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このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


相原・相真
生贄…、ほんとクロノヴェーダはどいつもこいつも同じことを…
ともあれ、まずは情報収集からといきましょうか

服装を不自然でない物に合わせて、
おのぼりさんの田舎者として街の中を見て回りつつ[情報収集]

聞いて回るのは竜の花嫁について
命を捧げるって名誉なことなんでしょうけど、やっぱり怖いと思うんです
逃げてしまう人っていないんでしょうか?
あと竜の花嫁はここで過ごした後どこかに行くんですか? 儀式場みたいな場所があるんでしょうか?

あとは大会の形式について
お菓子のコンテストって作ったものを持ち込んでいいのか、
やっぱりその場で作らないといけないのか
料理は勉強中だから、この時代の設備で作れるか自信ないんだなよぁ…


コンスタンツ・トパロウル
やれやれ……どこもかしこも竜の花嫁か
胸くそ悪いったらありゃしない

おっと、お仕事のためにはスマイルスマイル
街に潜入したら、【口福の伝道者】で増やしたあんパンを用意し、出店で売ってみる
勿論、商売が目的じゃない

格安で売って、代わりに花嫁が好きなことや、食べ物の好み等を教えとくれよ
より具体的だったり、花嫁の心に訴えそうな内容なら、もっとサービスするよ!

って、変なサービスじゃないから
例えば、武術でも素手とか剣とか槍もあるし、騎士みたいに正々堂々としてるのか
それとも、ヴァイキングみたいに勇猛なのが好みか

甘いものも、ベリー系の甘酸っぱいのとか、蜂蜜みたいに甘いのがいいとか
その辺、細かく教えてくんないかな?


魔破・克也
コンテストの前に情報収集して、出来る限りの成功に導けるように頑張っていくか
さて、俺が収集するべきなのは……少女の村の状況に関して、かね
コンテスト関連の情報は他の人に任せる

飢餓によって、行かざる得なくなっているならそれをどうにか出来ないとどうにもならなさそうだからな
アイテムポケットで食料とか、農作物の元になる物を持ち込んでどっかの倉庫にでも貯め込んでおこう

お腹が空いてそうな村人を探して見つけ、お祝いみたいな感じで食べ物を渡して話を聞こう
飢餓で大変だったって話を聞いたとか、大変だったな、とか
農作物とかそういうのあるなら、取れる所の現状。次の収穫まで全員が食い繋ぐ為の必要な食料の量とか色々とさ


菅原・小梅
◆心情
異国の地では生贄となる者を
豪奢な晩餐と衣装を振舞い
夢見心地の内に命を奪ったと聞きますが
其れにも似た行いですかね

◆行動
花嫁の決意を変えるには
取り巻く状況の詳細を調べ解決する必要がありそうですね
祭りの話を聞いた駆け出しの吟遊詩人と言った
服装で聞いて回るとしましょう(【プラチナチケット】を使用し)

この地でも新たな『竜の花嫁』が生まれると聞きました
僭越ながら詩にして残したいので(楽器を【演奏】で軽く鳴らし)
彼女のことを一番良く知ってそうな方をご存じではありませんか?
(噂好きそうな奥様(おねえさま)達に声を掛けて)

育てられた方がいらっしゃるのですね
その方に詳しくお話をお聞きしたいのですがどちらに?


●竜の花嫁の街。
「生贄……ほんと、クロノヴェーダはどいつもこいつも……」
 苦虫を踏み潰した顔で相原・相真(人間のガジェッティア・g01549)は街の入り口に立つ。
 ここはイギリス本島、湖水地方にあるとある街……だが、ここは本来の名前よりも通称の方が通りが良い。
 『竜の花嫁の街』
 ……竜の花嫁と呼ばれるドラゴンに選ばれた生贄が最後に過ごす街。
 彼女が寂しくないように楽しませるため、街では常にイベントが開催され市が開かれ賑わいで溢れている。
「おじさん、これはなんの料理ですか?」
「これか? カンバーランド・ソーセージって言うんだ、美味いぞ」
 ぐるぐるとらせん状に巻かれたソーセージを差し出され銅貨を取り出そうとする相真はふと思いついたように店主に尋ねる。
「そう言えば竜の花嫁って名誉な事なんでしょうけど……やっぱり怖いと思うんですよね、逃げてしまう人っていたりしないんでしょうか?」
「……さあな、俺は知らんよ。向こうに出し物のテントがあるし、金は要らんからさっさと行きな」
 視線を合わせずにソーセージを押し付け、街の中心に向け指を差す主人に礼を言うと相真は言われた方へと歩き出す。
「流石に露骨過ぎましたかね、次はもっと控えめに……んっ、こちらはコショウが主張していて美味しいですね」
 ハーブが強く効いているイギリス東部のソーセージと違い、コショウの風味が強いカンバーランド・ソーセージに舌鼓を打ちながら街を行くとやがて彼の視界に大きなテントが入り込む。
 まるでサーカスのテントを思わせるそこでは今は闘技大会の予選が行われているらしく、怒号と喧騒が外まで漏れていた。
「おっ、兄ちゃんも出場希望か?」
 入り口付近にたむろしてる筋骨隆々な男たちに声をかけられ、相真はめっそうもないと首を横にブンブンと振る。
 そしてお菓子大会に参加を検討している事を伝えると、予選はここで入れ替わりに行っている事を男たちは笑いながら教えてくれた。
 今日はもう一度予選があるとのことで、時間まで客席で大会を見学する事にした相真は出場規定が書かれた用紙を手にため息を漏らす。
「材料、道具の持ち込みは自由で、お菓子はその場で一品作る……と。……料理は勉強中だし、この時代の設備で作れるか自信ないんだよなぁ」
 ソーセージの最後の一切れをモグモグと口に放り込みつつ、何をどう作ろうか悩む相真なのであった。

 一方、大荷物を抱えたコンスタンツ・トパロウル(生き残りの撃竜騎士・g05674)は出店の隙間に潜り込むと、箱をテーブルにし商売を始める。
「さぁ、東方から伝わったあんパンだよっ! 甘くてほっぺが落ちちゃっても知らないんだよ!?」
 売り物は新宿島から持ち込んだあんパンを【口福の伝道者】で増やした物……街の中では流石に使えないので外で増やすと木箱に詰めて持ち込んでいた。
 遥か東方から伝来した珍しい食べ物と言う触れ込みは街の人たちに好評だったらしく、コンスタンツの出店は長蛇の列が出来ていた。
「そうだ、コンテストに出ようと考えてるんだけど、お客さんたちは花嫁さんの好みとか知らないかな? もし知ってたらサービスするよっ!」
 サービス……その言葉に一部の男性客がゴクリと唾を飲む音が聞こえる。
「ってそこ! 変なサービスじゃないからっ!」
 鼻の下を長くする男たちの口を狙いあんパンを投擲、投げたパンで咥え倒すと観衆から思わず拍手が巻き起こり、ふぅと一息ついたコンスタンツに残る客から花嫁の情報が飛び込んでくる。
 そして夕刻……あんパンの販売は回転も早くリピーターも続出した事により、街に持ち込んだ分すべて完売していた。
「ふう……とりあえずの活動資金は出来たね、情報も集まったし」
 銅貨が詰まった革袋を仕舞いつつ、コンスタンツは今回の成果を振り返る。
 特に花嫁の好みが分かったことが大きい。
 まず武術については女性の騎士が主役の物語などに憧れを持っていたらしく、特に屈強で巨大な相手に細剣で舞うように戦うのを好むようであった。
 そしてお菓子については甘い物ならなんでも好きらしく……ただ農村の出身だからか都会のお菓子はどれも物珍しいという。
「さて、どう攻めようか……」
 コインを一枚、ピィィンと空中へ弾き片手で受けるとそっと掌を開く。
 手の中のコインの向きはと言うと……。

「さて、諜報の基本は目標の周囲から……と」
 賑やかな街を影のように歩く魔破・克也(金欠守護者・g00588)は、通り過ぎる人たちの表情を横目で観察する。
 街角を歩く人々は街の雰囲気そのままに明るく花咲く表情であるが……その中で一人、暗く俯きながら生気のない瞳で歩く女性を見つけた克也は気付かれぬように後をつける。
「……ここか、当たりだと助かるんだが」
 彼女が入ったのは、街の外れにあると言う花嫁の住む屋敷にほど近い宿屋のような建物。
 克也はそのまま裏手に忍び込むと、窓の中から話し声が聞こえてくる。
『あの子、本当は……』
『ダメですよ、名誉なことですし……村のためにも笑顔で送り出してあげないと』
「(……どうやらビンゴらしい)」
 会話の内容を窺っていた克也は、話題が花嫁の事……そして明らかに身内であるような物言いで半ば確信すると一度撤退する。
「(次は自然に接触するのがベターなんだが、さてどうする?)」
 宿が見える角で監視を続けつつ、与し易すそうな相手が出てくるのを監視すると一人の男が宿から出てきた。
 繁華街の方へと足を向ける彼を尾行していくと、そのまま酒場へと男は消えていく。
「(花嫁のおかげで飢えが解決したなら、次は溜まった欲の発散……過去も今も男って奴は変わらないんだよね)」
 自分はそうならないようにと戒めつつ、フードを目深に被り直すと店の中へと侵入する克也……薄暗い店内を見渡すと角の席で男がアルコールを口にしている。
 店員の女性が運んでいた子羊の煮込みをスッと受け取り代わりに銅貨を握らせると、フードを外しながら男の対面に皿を置きつつ腰掛ける。
「……坊主、ここは酒を飲む店だぞ」
「他の食事処が混んでたんだ……おっちゃんも食べるよな? ここの子羊は美味いよね」
 煮込まれた子羊を一口大に切り分け、勝手に皿に取り分けると男の前に差し出す克也。
「子羊なんて、暫くぶりだな……」
 出された料理を無下にするのも悪い気がしたのか、それとも目の前に置かれた誘惑には勝てなかったのか……男はフォークを手に取り羊肉に突き刺す。
「久しぶりって、なんかあったのか?」
 男の空いたグラスに酒を注いであげつつ何気なく聞き出すと、男は酒に酔ったのもあるのか村で飢饉があったことと、竜の花嫁が交渉し村で不足する食料を分けて貰ったと語ってくれた。
「竜の花嫁に選ばれることは名誉なことだし、それだけじゃなく食料まで分けて貰ってるのに悪い気がしてな……」
 次の収穫まで村一つ分の食糧となると莫大な量になる……それを用意するのは流石に難しいかも知れない。
 だが何かの交渉には使えるだろう……心のノートにメモした克也は、酔いつぶれた男の飲み分も含め代金をテーブルに乗せると店を後にするのであった。

 最後に、菅原・小梅(紅姫・g00596)はと言うと駆け出しの吟遊詩人に姿を変え街へと侵入する。
 そして路地や井戸端で雑談に花を咲かせる奥様をターゲットに若き身を捧げる花嫁の詩を残したいのだが、何か知らないかと持ち掛けていた。
「竜の花嫁かい? ……お嬢ちゃんが歌うにはまだ早い題材だと思うよ」
「そんな、おねえさま……私、竜の花嫁の話を聞いて、少しでも彼女のお話を詩で残したいと思ったんです!」
 【プラチナチケット】の効果もあり、訴えかける小梅の話を親身に聞いてくれる奥様たち。
 そのうちの一人が、それなら花嫁のお屋敷に行って、彼女が好きそうな歌を唄うのはどうかと提案してきた。
「活発な女の子って話だから、例えばお姫様が旅行中に襲われて剣を持って反撃するとか、そんな感じの歌は喜ぶんでないかい?」
「そうそう、元気付けるってことなら、あの厳しそうな修道女さんも通してくれるんじゃないかい」
 奥様たちが盛り上がるなか、小梅は手慣れた笛を一瞬取り出そうとして……これでは歌えないですねと背中のリュートを取り出す。
「ふむふむ……こんな感じでしょうか?」
 そして爪弾き楽しそうに歌う小梅の歌声は路地裏に響き、なんだなんだと野次馬が集まってくる。
 気が付けば目の前には籠が置かれ、そこにはおひねりの銅貨が次々と放り込まれていた。
「なかなか凄いじゃないか、これなら花嫁さんの前でも歌えそうだね!」
 銅貨や銀貨を袋に詰めると、小梅のポケットに押し込んでくる奥様に圧されつつどこにその方はいるのかを訪ねれば、街外れ……いや、入口を手前と言うなら最奥と言う場所を指さし示す。
「花嫁さんは街の奥にあるお屋敷にいるよ、近づけば分かると思うけど……その前に近くの宿屋に村の人たちがいるから、そっちから尋ねるといい」
「特に育ての親の修道女さんが落ち込んでるし、元気付ける歌を披露するってことで歌えば……もっと貰えるかもね!」
 おひねりの入った袋の上をバシバシと叩く奥様にあははと苦笑しつつその場を上手く切り抜けた小梅は、街の奥へと向かう。
 まずは花嫁の育ての親に話を聞こう、上手く行けば竜の花嫁に会えるかも……。
 そう期待する彼女の足取りは軽く羽撃たくようであった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【口福の伝道者】LV2が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV2が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

月城・木綿紀
「花嫁だって!」
『頑張れー』
師匠(身体の中の天使)の応援をもらって武術大会に参加。花嫁に贈る自作の服を持って。
武術大会での戦いは基本的にこちらから仕掛けはせずに、逃げ回るように動き回って相手を翻弄して疲労で隙を見せたところにとどめを刺す(命を取るようなことはしない)


●格闘大会!
「あの子、目隠しなんてして戦えるのか?」
 ソーセージのお代わりを手にしてテントに戻ろうとした相原・相真の耳に、観客たちのどよめき声が聞こえてる。
 群衆を掻き分け前列に出ると、そこには矢先を非殺傷の梵天に交換した矢を弓に番える月城・木綿紀(月城家三女のメイドトラッパー・g00281)の姿が。
「師匠、頑張ります!」
『頑張れ、応援してるぞ!』
 心の中の師匠に声援を貰うと、気配を頼りに相手の攻撃を右に左にと避ける木綿紀。
 それはまるで可憐な少女が巨大な相手を挑発しているかのようでもあり、またその動きを見た実況が達人かもと言う予測で盛り上げたことで会場はヒートアップする。
 声援を受けつつ木綿紀はひたすらに攻撃を避けて、避けて、避けて……相手の疲れを感じると一気に距離を取り弓を構える。
 目隠しをして当てれるのかと会場はどよめき声に包まれ、そして次の瞬間に備え誰もが無口になる。
 静寂に包まれた戦場で静かに発射された一矢は、張った弦の鳴る音と矢羽根が空気を切る風の音と共に相手の心臓を目掛け飛翔し、ポンと紅く染めた梵天が彼の胸に朱色のスタンプを押した。
『やったな木綿紀!』
「ありがとうございます師匠……見え過ぎるから見え過ぎないようにしてるだけ、って言ったら怒りますかね?」
 ふふふっと口元を抑えつつ勝者のコールを受けると、木綿紀は勝者の控室へと通されるのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【修復加速】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

月城・木綿紀
「後何回勝てば花嫁に会えるのかな?」
『運営の人に聞けば良いんじゃないかな? 月城嬢なら目立って興味を持たれていてもおかしくないだろうし』
 師匠の言葉を聞いてとりあえず後何回頑張れば良いのか運営の人に聞いてみる。
試合中は得意なナイフに持ち替えて挑む(命は取らない)


コンスタンツ・トパロウル
女性騎士が主役の物語で、強大な相手に細く優美な剣で舞うように立ち向かう……こいつは難しいオーダーだね
騎士らしい戦いなんて、騎士を廃業してから……とんとやってない

まあ、努力はしよう

太刀を片手に武術大会に参戦
相手は……でっかい斧持ったでっかい奴か

相手の大振りの一撃を冷静に交わし、相手の周りを動き回り撹乱しながら、付け入る隙を見定める
相手の息が上がったり、相手の斧が壁や床に刺さって抜けなくなったりと隙があれば……逃さずに、太刀の峰打ちや、鞘を鳩尾に叩き込んだりして、気絶攻撃、一撃離脱を活かし相手を気絶させたいね

それでも耐えて向かってくるなら……相手の武器を持つ手を太刀の柄頭で打ち据え、武器を奪おうか


アンゼリカ・レンブラント
とりあえず花嫁に会うため武術の大会に参加しようかな
加減できるように剣は置いて、
素手戦闘で勝負するよっ!

それなりに背は伸びてきたけど
小兵な方だと思うから、動いて翻弄――
じゃなく、勿論元気印の私。
真っ向からパワフルに打撃を挑むよっ!
相手の攻撃を手甲でしっかり受け止め、
間合いの内に入りカウンターの拳を叩き込む!

受け止めても大丈夫そうなら、
鍛え上げた腹筋でしっかり受けとめ、
グラップルで組み付いて必殺の投げを打ち込むよー

どうだー、これが鍛錬の結果だよ
アピールをしっかりと行い、見ている人に…
竜の花嫁にアピールするような感じに出来るといいかな

さてさて、勝者の控室でお菓子は出るのかな
わっくわくして次の展開にっ


相原・相真
何を作ったものか、色々考えましたけど
とりあえず作り慣れたものということでピザを作ってみます
フルーツをのせればスイーツピザということ問題ないでしょう

パン窯が使えればピザは焼けるはずですしあとはトッピング
この時代砂糖は貴重みたいですし、
その辺を持ち込んでフルーツのコンポートを作ってのせてみます
シナモンとかも持ち込んで使って、
…現代調味料無双って感じになりそうだなこれ

もちろん調味料に頼りきりにならないように、
[情熱]でしっかり気持ちを込めて調理
花嫁さんに近づくためってのは当然にしても、
せっかくならちゃんと美味しいものを出したいですものね


●甘い香りに血潮を添えて。
「うん、こういう時は作り慣れたものを作るに限ります」
 先ほどまで格闘大会が開かれていた巨大なテントでは調理台や簡易式の窯などが置かれ、即席のキッチンが展開されていた。
 参加者の列に並んだエプロン姿の相原・相真(人間のガジェッティア・g01549)はと言うと、用意された食材から小麦粉を取り出すと指定された調理台へと着く。
「パン窯がありますからピザは焼けますね……ピザって何時ごろからピザって言うようになったのでしょうか?」
 両手でしっかりと捏ねたピザ生地を人差し指に乗せ、クルクルと回し伸ばしているが観客から特に反応はない。
 ピザの原型になったのは具材を乗せた平らなパン。そしてパン自体が歴史上もっとも古い食品の一つ……だがここまでは相真の読み通り。
 彼は持ち込んだ袋の封を切ると小鍋に張られた水へと注ぎ、甘く香るシロップを作ると皮を剥いた果実を次々と沈めて煮詰める。
「あんまりやり過ぎると現代調味料無双って感じになりそうですが、まあ存在はしているのでギリギリセーフと言うことで……」
 相真が持ち込んだのは現代では何処にでも売られている上白糖……ただこの時代の砂糖はサトウキビと共にキビ糖がインドから中東などへと伝わり、薬や貴重品として少量が流通している程度。
 砂糖を庶民が料理に使えるようになるのは新大陸の発見による三角貿易の成立やナポレオンがヨーロッパ各地で広めたビート(甜菜糖)の大規模栽培を待たなくてはならず、また気候的にサトウキビの栽培が不可能なイギリスで砂糖を手にする事はまずなかっただろう。
 ちょっとズルいかなと思いつつ、相真は更にシナモンステックを懐から取り出すと香りづけと周囲から見えないように鍋に沈める。
 甘く艶やかに、それでいて独特の香りを持って仕上がった果物のコンポートを切り分けピザ生地の上に飾り付けるとしれっとした顔で審査の列に並び、順番が来ると審査員の前で取り分ける。
「果物の煮物、平パン乗せです」
「……課題はお菓子と伝えた筈では?」
 どうみてもお菓子とは思えない外見に審査員は落胆の声をあげるが……一口食べるとその目が見開く。
「こ、こんな甘い果物の煮物は初めてじゃ!? どうやったんだ……それにこの香りつけ、まさかシナモンか!?」
 シナモンを見抜いた審査員の舌に驚きつつ、相真は果物を煮るのにサッカロン(砂糖)を使いましたとしれっと伝える。
「なるほど、儂もこの界隈では長く生きるがサッカロンで甘く煮れるとは初めて知った……見事、合格じゃ!」
 花嫁に振舞うお菓子作りの栄誉を勝ち取った相真であったが……この直後、コンポートの煮汁を争いひと悶着あったのはまた別のお話である。

「あと何かい勝てば花嫁に会えるのかな?」
 会場は再び闘技場へと模様替えし……甘い香りが残るリングの中央で呟く月城・木綿紀(月城家三女のメイドトラッパー・g00281)に注目の視線が集まる。
『おい、またあの目隠しのねーちゃんが出るぞ……』
『今度は弓じゃなくてナイフみたいだけど、相手になるのか?』
 ヒソヒソと囁かれる期待と不安が混じった声にため息を漏らしていると、身体の中の天使が声をかけてくる。
『花嫁に会えるかは運営の人に聞けば良いんじゃないかな? 一度、それも目隠しで勝ってる月城嬢なら運営も興味を持たれているでしょうし』
 確かに……その言葉に頷いた木綿紀は、近くのスタッフを呼び止める。
 すると本来は前回の戦いで条件をクリアしていたらしいのだが、木綿紀の戦い方がパフォーマンスではないのかと疑う者が居たため急遽もう一戦追加となった……と言う事らしい。
「そう言う事でしたら……」
 仕方ない、と頷くと軽く身体を動かしてから相手を視る。
 相手には悪いが……これで終わらせると開始の声と共に一気に体制を引くし飛び込んだ。
「なっ、見えてないんじゃ……!?」
 慌てて横へと走り、距離を取ろうとする相手へ向け進路を修正する木綿紀。
 二対のナイフを構える彼女からは逃げられないと察したのか、相手は獲物を構えると進路を遮るように大きく横に薙ぎ払う。
 だが……その切っ先を踏み台に宙へと舞った木綿紀は身体を捻り相手の背に密着すると首筋に刃を当てた。
「……続ける?」
 囁かれる少女の声と触れる冷たい感触……見た目に油断していなかったかと言えば否であったが、それ以上の実力差を見せ付けられた相手は武器を落とし戦意を喪失したのである。

「これで花嫁に会える……」
 スタンドへと移動した木綿紀にスタッフがこのあとの予定を説明してくれる。
 それによると三日後の夜に今回の武道、そしてお菓子大会の上位入賞者と竜の花嫁による懇親会が開かれるということだ。
 当日までの宿も運営側で用意してくれると言うとこで、寝食に困ることは無さそうである。
『よかったんじゃないか、木綿紀の外見で野宿は問題だからね』
「師匠、五月蝿い」
 ちょうど説明を終えた係の人は何か失礼があったかとビクッとしつつも一礼し下がっていく。
 怖がらせちゃったかなと思いつつ会場を見ると、既に何戦かが終わり上位入賞を賭けた戦いが始まるところであった。
「騎士らしい戦いなんて、新宿島に流れ着いてから……とんとやってなかったけど、なかなかイケるもんだね」
 刀身を潰した片手剣をピシッと音もなく振り抜き、歓声に応えるコンスタンツ・トパロウル(生き残りの撃竜騎士・g05674)は対戦相手を見てあちゃーと天を仰ぐ。
 ……同じ大会に出てるのだから、ぶつかる可能性はゼロではない。
 だが強い女性に憧れていると言う竜の花嫁の事前情報から組み合わせに便宜を計って貰えると期待したのだが……。
「ぶつかっちゃなら仕方ないよね、真剣勝負でお願いするよっ!」
 対極では入念に柔軟を行い関節の可動域を広げたアンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)が、対戦前の握手を求め中央へとやって来る。
「真剣勝負だけど……パラドクスは無し、ね?」
 こそっと審判に聞こえないように囁くアンゼリカの笑顔に覚悟を決めるかと笑顔を返すと、両者はそれぞれのポジションへと移動する。
 素手格闘のアンゼリカはリングの中央から前よりに……一気に距離を詰めたいという意思の表れだろう。
 対するコンスタンツは片手剣と言うアドバンテージがあるためか、少しでもアンゼリカより距離を取ろうと後ろ目に位置した。
「いっくよーっ!」
 開始の合図を元気印の掛け声でかき消すよう声を上げながら予想通り一気に飛び出すアンゼリカに対し、コンスタンツが進路上に刃を置くように突きを繰り出す。
 ここまではお互い予想の範疇……ここからどう動くかで勝敗が決まると意識を集中しお互いの動き、視線を読み合う。
「これなら……どうだっ!」
 駆けながら地面スレスレまで腰を落としたアンゼリカが左手の手甲でコンスタンツが繰り出した刃の軌道を上にズラす。
 そのまま踏み込んで右手の拳を叩きこんで……と思った瞬間、彼女の目の前にはコンスタンツの靴の裏が視界を埋め尽くすかのように迫って来た。
 慌てて横に飛んだ彼女が居た空間をコンスタンツが踏み抜きながら、間一髪と胸を撫で下ろしていたアンゼリカを挑発する。
「ごめんな、新宿島に来てからちょっと手癖が悪くなってね……!」
「それは手じゃなくて足癖だよっ!」
 主導権を握ったコンスタンツは、今度は自身がアンゼリカを中心に円を描くように動き始める。
 アンゼリカも向けられた切っ先に気を払いつつ、いつでも動けるようにとトントンと軽く跳ねながらコンスタンツから視線を離さない。
「では……まずは動きから殺させて貰うよ!」
 振りかぶった刀身を身体で隠しつつ、騎士独特の踏み込みで一瞬で間合いを詰めるコンスタンツ。
 本来であれば突きを繰り出す場面なのであろうが……幾ら刃先は潰したとは言え騎士の放つ突きではアンゼリカに怪我を負わせてしまう。
 そのため足運びだけは同じで下半身を薙ぎ払う。
 彼女の力、特に筋肉の屈強さは間近で見たこともあり、その脅威はこの場で一番分かっているつもりだ……捕まれたら最後、ならば動けなくしてしまえばいい。
「……そうくると思ってた、コンスタンツは優しいから」
 一瞬前まで彼女の両足があった場所、だが繰り出された刃は空を斬り……代わりに頭上より声が聞こえる。
 見上げれば宙に跳ねたアンゼリカの少し悲しそうな顔が。そしてゆっくりと手を伸ばし落ちてきた彼女は伸びきったコンスタンツの右腕を掴み、そのまま折ろうと……。
「あんたこそ、舐めないで貰おうかっ!」
 腕を完全に極めたと思ったアンゼリカだったが、コンスタンツは彼女ごと舞台を蹴ると地面へ叩き付ける衝撃と肘打ちとを重ねて拘束を無理やり解いた。
「くっ……そんな解き方じゃ、腕が折れちゃうんだよ?」
「真剣勝負、じゃなかったのかな?」
 背と腹に衝撃を受けたアンゼリカと右腕を痛めたコンスタンツはよろよろと起き上がる……だが二人とも楽しそうであり、ここが大会だと言うことも何時しか忘れていた。
「喰らえ、獅子連撃!」
「それは卑怯じゃないかっ!?」
 アンゼリカの正拳突きからの連撃を縦に構えた片手剣で受け止めたコンスタンツはいい加減にしろと肩から彼女の小さな身体に突っ込む。
 しかし彼女はその一撃を全身の筋肉を振るわせ受けると、腹筋を六つに割りながら投げ飛ばそうと力を込めた。
 だが……そこで審判の号令で試合は止められる、時間切れだ。
 気が付けばコンスタンツとアンゼリカの戦いは三十分を遥かに超え一時間に迫ろうかとしていた。
 そんな長時間の戦いを目の前で繰り広げられ他の出場予定者はレベルが違うと辞退続出。二人とも勝者として花嫁との懇親会に招くので勘弁してくれ、と言うことらしい。
「そんなー、最後投げられたのに!」
「……目的、忘れてるよ?」
 膨れるアンゼリカの頭を呆れながらポンポンと叩くコンスタンツ……ともあれ、こうして彼女たちも無事勝ち残ったのである。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エイティーン】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【口福の伝道者】がLV3になった!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!
【凌駕率アップ】がLV3(最大)になった!

菅原・小梅
◆心情
いきなり花嫁さんの下に行っても信用は得られませんからね
先に育てられた修道女さんと会って外堀を埋めましょうか

◆行動
町外れの宿屋は此方でしょうか?
吟遊詩人としての装いで宿の女将に声をかけたら
(【プラチナチケット】を使用)
宿の一角の場所を借りてリュートで一曲【演奏】しようではありませんか
心沈みがちな村人の皆さんを慰撫するのに相応しそうなのは
厳しく辛い冬を乗り越えた後に華咲き誇る春の訪れを祝い
自然と踊り出したくなる妖精の円舞曲が良いですかね

それでも修道女さんの表情は優れないままでしょうから傍により声を掛けて
私の演奏がお気に召さなかったか聞く……体裁を取りつつ
正直な胸の内を訊ねてみましょうか


●響かぬ歌声、潜ませる囁き。
 格闘大会で街がざわついていたころ……ある宿を前にした菅原・小梅(紅姫・g00596)が確かめるように建物を見上げていた。
 街の人たちから聞いた情報が正しければ、ここに竜の花嫁の関係者たちが宿泊しているはず。
「……すまんね、ここは予約客のみなんだ」
 ドアを開いた彼女に宿の女将が素っ気なく声を掛ける……暗に立ち入るな、という警告か。
 だがリュートを掲げつつ【プラチナチケット】のパラドクスを発動させた小梅の姿を改めてみた女将は、そう言えば彼女はこの宿に出入りする吟遊詩人だと思い直す。
「ボーっとしちゃったね、嫌だね私も歳かねぇ……で、今日は歌っていくのかい?」
 ええと頷いた小梅は、食堂兼酒場と言った場所の一角に陣取る。
 視線の先には無言で食事をする人やアルコールをちびちびと啜る人、そして何かに祈るように瞳を閉じた人と全体的に暗い雰囲気である。
「皆様、お元気がない様子……ここは一曲、元気が出るお話を致しましょう」
 その詩は、厳しく辛い冬を乗り越えたあと、花咲き誇る春の訪れを祝う歌。
 だが……リュートの手を止めた小梅を待ち受けていたのは形ばかりの拍手。
「すまねえ……俺は部屋に戻ってる」
 そう言った男はグラスに残ったアルコールを一気に飲み干すと二階へと上がっていく。
「ごめんなさい、あの方は村の畑を管理していた人なのですが……その、作物が実らなかった責任を重く感じておりまして」
 そう申し訳なさそうに声をかけてきたのは歌の最中も祈りを捧げていた修道女。
「(この人が、花嫁の育ての親ですね……さて)」
 小梅は歌が響かなかったことに一瞬しゅんとした表情を浮かべ、すぐに笑顔を張り付けると修道女へと声を掛ける。
「私の歌が皆さんお気に召さなかったご様子……よろしければ、何があったかお伺いしてもよろしいでしょうか?」
 そう問いかける小梅にどうしたものかと一瞬悩むが……【プラチナチケット】の効果は彼女を村の関係者だと思い込ませる。
「実は……」
 よほど思う事があったのだろう……そう話し出した修道女の口は止まらない。
 ただ名誉なことでもあるため直接は言い出せないのだろう、それでも花嫁の少女には生贄になって欲しくないと言う雰囲気は言葉の端々に感じ取れた。
「(さあ、ある程度の信頼は得たようですが……)」
 次はどう動くか、話を聞きながら考えを巡らせる小梅なのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【プラチナチケット】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!

コンスタンツ・トパロウル
この時代なら、宿屋って言えば大抵……酒場も兼ねてるだろう
仲間が見つけた宿屋に行ってみよう

普通の一見さんだと、お断りされるだろうけど……さっきの大会観てた人が居たら、「一杯おごらせてくれよ!」とか声を掛けてくれるかも

なんか空気が重いけど……この空気に耐えられない人が、雰囲気を変えようと声掛けてくれるかもしれないし

声を掛けられたら、村のことや花嫁の生い立ち、花嫁の好きな色や服の好み、好きな花とか……色々聞いてみよう

なんで聞くのか尋ねられたら、
「今度、花嫁さんにお会いすることになったから、ご無礼が無いようにしたいんでね」
「できれば、覚えめでたくなれれば……更にいい」

と、自然な理由を答えておこうか


●夜の酒場にて。
 大地に夕日も沈み、家々に灯された明かりが漏れる街中をコンスタンツ・トパロウル(生き残りの撃竜騎士・g05674)は歩く
 目的地は先ほどすれ違い情報交換をした魔破・克也から確認した酒場。
「まだ居ると良いんだけどね……」
 騒めきが漏れる扉を押し開くと一気に喧騒と酒気が籠った空気がコンスタンツへと向け津波のように押し流されてくる。
「いらっしゃーい、って格闘大会のヒロインさんじゃないか!」
 店員が彼女の姿を見て思わず声を上げると、客たちの視線が一斉に向けられる。
 実際に見に来た人、人伝で話を聞いた人、噂の尾鰭を肴にしていた人……その種類は様々だが、まずは印象を良くするために片手をあげ少し照れた笑顔で応える。
「(正解だった……みたいだね)」
 店の中心となる特等席に通されると、次々と客たちが訪ねて来ては武勇や大会の様子に感想を尋ねて、そのたびにグラスにジュースが注がれていく。
 中には腕自慢の大男が腕相撲を挑んできて、ドーンと言う音と共に打ち倒したりもした。
 そんな賑やかな店内だが一か所だけ暗い場所がある……明かりではない、雰囲気が、だ。
 出された先をちびちびと飲み、誰も寄せ付けないような雰囲気を放つ男……席は克也から聞いた場所で服装も一致している。
 ……恐らくあの人が花嫁の関係者だろう。
「おじさん、違ったら謝るけど……竜の花嫁の関係者、だよね?」
 男はピクっ、とグラスを傾ていた手を止めるを見ながら慎重に言葉を繋げるコンスタンツ。
「今度、花嫁さんにお会いすることになったから、ご無礼が無いようにしたいんでね……できればどんな人なのかとか好きな物とかを知りたくて」
 男のグラスにアルコールを注ぎながら訪ねる彼女に少し考えると……ぼそぼそと彼は話し出す。
 髪に合わせたのか赤い服が好きだったこと、ひまわりの花が好きだったこと、野山をよく駆け巡って泥だらけになり怒られていたこと……懐かしそうに話し出す。
 そして最後にはなんで彼女が選ばれたのかとコンスタンツが見ている前にも関わらず、彼は泣きながらテーブルに伏すのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【託されし願い】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!

月城・木綿紀
『そういえば月城嬢、どんな服を作ってたんだっけ?』
「マタニティドレス。花嫁さんを見るのはこれからだけど、これなら多少緩い方が良いし」
『そっかー結婚して子供できたら普通の服じゃ苦しいからね……(花嫁という単語に来てたか……やっぱり)』
懇親会で服を見せた上、その場で仕立て直ししている間に師匠が師匠を模したぬいぐるみを介して花嫁とお話しする。
『初めまして。訳あってぬいぐるみの姿をしているんだけどね。月城嬢の師として面倒を見ているんだ』
自分は聞き耳立てながら仕立て直してるけど、弟子の自分について話しながら花嫁の事情とか文化について聞き出してるっぽい。
アドリブ歓迎


●花嫁との出会い。
『そう言えば月城嬢、なにか服を作っていたようだが……』
「うん、マタニティドレス。花嫁さんを見るのはこれからだけど、お腹が大きくなるなら必要だよね」
 控えの間で他の参加者と共に呼ばれるのを待つ月城・木綿紀(月城家三女のメイドトラッパー・g00281)に、彼女の身に宿る内なる天使である師匠が話しかけてくる。
 どうやら手にしたプレゼントの包装が気になるようであった。
『そっかー、結婚して子どもが出来たら普通の服じゃ苦しいからね』
 木綿紀の答えに師匠はふむふむと頷くように返しつつ、内心『(花嫁という単語でそう発想したか……)』と顔が見えないのを良い事に呆れ顔。
 そんなことをしているうちにやがて彼女たちは会場へと招かれ、初めて花嫁と顔を合わす事になる。
「わぁ、目隠しの剣士であり弓も使うと聞いたんだけど、普段から目隠しをしているんだね! ……されているんですね」
 赤いドレスを纏った活発そうな少女が声をあげると……周りの視線を感じたのかバツが悪そうに言い直す。
「失礼だけど、見えてない……訳じゃないんですよね?」
 誰もが思う疑問を素直にぶつける花嫁に周りが慌てる中、木綿紀は丁寧に礼をしながら話し出す。
「初めまして花嫁さま。ご質問ですが、見えてない訳ではなく……見え過ぎるので視界を制限しております」
 そう言って目隠しを取ると、花嫁に閉じた目を開いて見せる木綿紀。
 その吸い込まれるように美しい黒い瞳に、花嫁は自らの赤い瞳を近づけじっくりと見る。
「うん。ボク……じゃなかった、私では見えない何かを見ている瞳、凄く綺麗ですね」
 そう離れると微笑むながら話す花嫁に、師匠の姿を模したぬいぐるみを差し出す。
「すみません、私の師匠なのですが……目隠しを直す間、預かっていて頂けませんか?」
「もちろん、任せるんだよ! ……ではなくて、任せて下さい」
 師匠をぬいぐるみを受け取ると、花嫁は何やら師匠と話し出す……実際に会話できるわけではないので一方的に花嫁が師匠に話すだけなのだが、年相応の子どもらしい姿に周りからも微笑みが漏れる。
 目隠しを終えた木綿紀が花嫁の傍に戻ると、閉じた瞳の先で花嫁がとても楽しそうな笑みを浮かべているのを感じ……釣られてしまったのか、気が付けば自分もまた微笑みを浮かべていた。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!

月城・木綿紀
『帰ったら説教と負荷トレーニングね』
「うん……」
 案内人の話を良く聞いて無かったから師匠に叱られることが確定した。負荷トレーニングは後で頭が痛くなるのが辛い。
とりあえず花嫁さんが師匠のぬいぐるみに一人語りした時の内容は後で師匠に直接聞くとして、思ったより歳が近そうなので今度は自分から直接話を聞けないか試してみる。
訂正も兼ねて。
「私はあくまでトラッパーで魔術師だから剣士じゃ無い」


アンゼリカ・レンブラント
懇親会までに仲間とは情報交換を綿密に
花嫁と会ったならまずは自己紹介
私はアンゼリカ!君の名前は?

あっちでじっくり話さない?と
他に人がいない方に誘導し会話を

強い女性に憧れているという彼女に
私のことから話に

日頃の鍛錬について筋肉いいよ!と話し
私も強い騎士に憧れているんだ

でも本当の強さって何かなと最近考えてきたんだ
大事な人を悲しませないこと
無事帰ってぎゅっとしてあげる
それが出来ることかもって

君を良く知る人が、命を捧げることに泣き
育ててくれた人は、生贄になって欲しくないと心で叫ぶ

君の憧れる騎士は、大切な人を悲しませることを
よしとするのかな
どうか、今一度考えて

そして「生きたい」と君が願うなら必ず力になる!


菅原・小梅
◆行動
旅の吟遊詩人として懇親会で彼女に接触し、シスターさん達の思いを伝えしょうか。

こんにちわ、花嫁さん。
私は楽士で旅の途中で此方に立ち寄ったのですが皆さん良い方ばかりですね。
村で畑を管理されてた方は実直で責任感が強い方でしたし
修道女さんはとても優しい方と言うのが話していて伝わってきましたよ。
えぇ…貴女が自分独りで全てを抱え込もうとしていることを止められない苦悩もです。
【平穏結界】を張って大切な言葉をお伝えしましょう。

『君死にたまふことなかれ』

境遇は異なりますが、遠い異国の詩人の言葉です。
誰かを死なす為に育てる人なんて世界の何処にも居ないのですよ。

嘘は駄目ですよ、目が泳ぐと言われませんでしたか?


相原・相真
懇親会に参加する際に事前に花嫁さんについて得た情報を確認
改めて料理を準備してふるまいます

コンテストについて調べていた際に色々聞きました
コンテストの料理、故郷の皆さんのためのものなんですよね?
選んでいただけてすごく光栄なことだと思います

…でも、貴女は本当にそれでいいんですか?
故郷のために自分を犠牲にする、それが貴女の望みですか?

(【口福の伝道者】を使って彼女の前で料理を増やしてみせて)
俺たちにはこういうことができる力があります
貴女が自分を犠牲にせずとも、俺たちは貴女の故郷を救える

だからどうか本当の気持ちを聞かせてください
貴女が生きたいと望むなら、俺たちは貴女を助けてみせます!

アレンジ・連携歓迎


コンスタンツ・トパロウル
花嫁の好みに合わせ、赤いドレスにヒマワリの花束……生花で難しいなら造花でもいいから、用意してお招きに預かろう

「この度は、お招きいただき恐悦至極にございます」
等と、騎士らしい口上と、片膝ついて跪き、花嫁の手の甲に口づけを

本当のドレスコードなら、淑女の礼だろうけど、今日の肩書きは騎士だしね

ところで……本当に、いいのかい?
確かに、騎士は剣を捧げた相手や民を守るためならば、命を落とすことも厭わない

だけど、それは死力を尽くし戦ったうえでの……結果だ

最初から、死ぬ気じゃない
騎士にだって……帰りを待つ人も居る

そんな人を泣かさないのも、騎士の務めじゃないかな

等と、泣いてた男性達の【託されし願い】も込めて話そう


●竜の花嫁に宿る影。
「師匠を預かって頂きありがとうございます。それと一つ訂正、私はあくまでトラッパーで魔術師だから剣士じゃない」
 身支度を終え、竜の花嫁よりぬいぐるみの師匠を返して貰った月城・木綿紀(月城家三女のメイドトラッパー・g00281)は、彼女に伝わっていた自身の情報を訂正する。
「トラッパー……? あの、それじゃあ……」
 花嫁は木綿紀の傍に来ると、他の人に聞こえないようコソコソとこっそりと耳打ちをする。
 耳元で囁かれるくすぐったい声は、少女のちいさなちいさなお願い。
 それは屋敷の内外には人がいる彼女のお部屋から内緒で抜け出してもバレないようにする方法……それまで野山を駆け巡っていた彼女には、豪華な部屋も鳥籠のように狭すぎるのだろう。
「そうですね、部屋の構造がわからないけど……」
 こしょこしょと内緒話は続き、やがて時間が来たのか係の人が花嫁を迎えに来た。
『悪い事教えやがって……あとでトレーニングな』
 小さな背中を見送りながら、彼女の内に宿る師匠が木綿紀に語り掛ける。
 その声に、抜け出して遊ぶ時間が彼女の慰めになればいいねと返す木綿紀であった。

「はじめまして、私はアンゼリカ! 君の名前は?」
 連れられてきた竜の花嫁に元気よく挨拶したのはアンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)……その声に驚きつつ、教えられたのだろうか丁寧に花嫁は答える。
「エレナって強い女性に憧れてるんだよね? 私もそう……だから毎日トレーニングしてるんだ」
 花嫁の手を取り、ドレスの上から腹筋を触らせるアンゼリカ……サービスなのか柔らかくしたお腹を急に硬くし、割れた腹筋で花嫁の指を挟んだりと楽しませる。
「ちょっと移動しようか……」
 そう言うとまるで騎士のように花嫁の手を取りテラスへと移動したアンゼリカは、天上で輝く月を見ながら悲しい顔を見せる。
「……本当の強さ、って何だろうね? 私は最近考えてるんだ。戦場を駆け敵を打ち倒すことより、大事な人を護るために拳を振るい、その人を悲しませないために必ず帰り、そして抱きしめる……それが出来ることが本当の強さじゃないか、って」
「アンゼリカさんは……それがまだ出来ないので悩んでいるのですか?」
 年下のはずなのに自分よりも大人びた表情を見せるアンゼリカに、思わず花嫁は問いかける。
「そうだね……ちゃんと帰って抱きしめてるけど、何時も心配そうな顔をさせちゃってるから」
 ここにはいない誰かを思い出してか遠い目をしていたアンゼリカだったが……花嫁の方を振り返ると真剣な眼差しで彼女に問いかける。
「エレナは……竜の花嫁って強さを手にしたけど、その強さで誰かを泣かせてないって言える? 大切な人を悲しませていないって私に誓える?」
 夜風がテラスを音を立て吹き抜けていくがアンゼリカの視線は揺るがない。
 先に瞳を反らした竜の花嫁は顔を曇らせると背中を向ける。
「……どうしたいか、よく考えて。もし生きたいと願うなら……私が力になる」
 室内へと戻る彼女の背にアンゼリカの声が掛けられる……一瞬歩みを止めたが、再び歩き出す竜の花嫁の姿を彼女は見送るしかなかった。

「外は冷えたでしょう、暖かいお菓子を用意させて頂きました」
 室内へと戻った竜の花嫁に、相原・相真(人間のガジェッティア・g01549)が皿に取り分けた果物のコンポートを乗せたピザを差し出す。
「甘い……」
「果物を煮るのに砂糖……サッカロンを使い、仕上げにシナモンで香りづけをしました」
 そう言う彼の言葉に竜の花嫁は驚きの目を隠せない。
 サッカロンはよく知らないが、シナモンは高級品だと聞いたことがある……それこそシナモンの一枝で一年遊んで暮らせるだけのお金が手に入るぐらいだと。
「そんな高級品、どうやって……」
「いえ、竜の花嫁に献上するならこれぐらいの価値はあります……小耳に挟んだのですが、コンテストの料理は故郷の皆さんのためだとか、選んで頂け尚更光栄に思います」
 にっこりと微笑む相真の姿に、高級品を使わせたことを何やら申し訳なく思う花嫁。
 それを見た彼は周りから壁になるように背を向けると、彼女だけに見えるようピザを一口食べると【口福の伝道者】のパラドクスで反対の手に増やしてみせた。
「こ、これは……!?」
「他の方には内緒ですよ? ……俺たちにはこういう事が出来る力があります。もし食料でお困りなら……」
 その先は花嫁の指で口を塞がれ紡げなかったが、どうやら意思は伝わったらしい。
 その証拠に花嫁がパラドクスのことを誰かに話し、相真を捕まえにくるかと思ったが……彼の滞在中はそう言ったことは起こらなかった。
 危険な賭けではあったが、どうやらリターンは大きかった……そう彼は判断するのであった。

「この度はお招きいただき、恐悦至極にございます」
 事前に仲間たちと聞き出した竜の花嫁の好みに沿うように、赤いドレスにヒマワリの花束を手にしたコンスタンツ・トパロウル(生き残りの撃竜騎士・g05674)が彼女の前で片膝を着く。
「……まるでお話に出てきた騎士様みたい。でも鎧ではなくドレスなんですね?」
 何か少し考え事をしているような反応をしながらも、竜の花嫁はコンスタンツに手を差し出す。
 その手を取り甲に口付けし終えると、コンスタンツはクルっと花嫁の前でスカートの裾を翻しながら一回転した。
「騎士……と言っても廃業した身でね、それに騎士も常に鎧を着ている訳ではないよ? ……パーティーに甲冑は重たいからね」
 ウィンクしながらそう告げると、花嫁は口元を抑え笑みを零す……どうやらまずは良い印象を与えれたようだ。
「お聞きしても良いですか? 元は騎士様……と言うことでしたが、あなたは強さとは何だと思いますか? 死ぬことは……怖くないんですか?」
 談笑の途中に突然投げかけられた花嫁からの質問、だが彼女の瞳は興味心といった冗談などではなく真剣そのもの。
「そうだね……死ぬことは怖くないと言ったら噓になるけど、死力を尽くした結果だ……受け入れるしかない」
 だが遠い向こう、失って気が付いたことがある。少し悩んだが……彼女には知る必要があるとコンスタンツは話を続けた。
「騎士にとって護るべきもの……それは国であったり、領地や領民であったり……愛する人であったり。それを護るためなら時には命を棄てるのが騎士なんだ」
「だからコンスタンツさんは騎士を辞めた……?」
 そうだ、あたしは今は騎士じゃない……だから命を捧げる必要はない。自分に納得した彼女は答えを告げる。
「あんたは良い事を言うね……帰りを待つ人のためなら血反吐を吐いてでも必ず生きて帰る、だからあたしはもう騎士じゃない」
「騎士であることより、誰かを泣かさないことを選ぶ……ボクが憧れてたのは……すみません、少し考えたいんだよ……」
 席から立ち上がった竜の花嫁は、ふらふらと悩みつつ会場を歩みだす。
 その後ろ姿を見送りながら、幻想を打ち砕いたことでどう気持ちが転ぶかコンスタンツは見守り続ける。

「こんばんわ、花嫁さん……可愛いお顔に皺が寄ってますよ?」
 リュートを手にした菅原・小梅(紅姫・g00596)が悩み顔の竜の花嫁に話しかける。
「私は旅の楽士で此方に立ち寄ったのですが……皆さん良い方ばかりですね、例えば……」
 そう言うと小梅は彼女の身内しか知らない話を語りだす。
 畑を管理していた男性は実直で責任感が強いこと、修道女はとても優しく……花嫁が抱え込んだことを止められないことに苦悩していること。
「……ボクのこと、調べたの?」
「さぁ……ですが、今の花嫁さんに相応しい詩があります」
 そう言うと小梅は【平穏結界】を張ったうえで、ある詩を伝える。
 それはとある東洋の島国が隣国との戦争となった際、戦地に向かった弟の無事を祈り詠われた詩。
 父を亡くした母は平穏な世界にいるのに心を痛め、残された新妻のことも思えば一人ではないのはわかるはず。
 誰もあなたが死ぬためにその年まで育てたなんて思うはずあるだろうか?
 そして天上の人が本当に御心の深い方であるならば、あなたが死ぬことを名誉とは思うとも思えない……。
 そう詩で告げた小梅に、竜の花嫁は疑問の目を向ける。
「……村のみんなが心配してくれるのは分かってるんだよ。でも、竜の花嫁は名誉だって言われてるよ?」
「それが本当かは……あなた自身が確かめるべきでしょう。私は楽士ですから、今のあなたに相応しい詩を送っただけですよ?」
 そう言うと一礼しその場を去る小梅。
 残された竜の花嫁の胸中には、本当に竜の花嫁となることが正しいのかと疑問の種が植えられた……。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【修復加速】がLV2になった!
【悲劇感知】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
【口福の伝道者】がLV4になった!
【託されし願い】がLV3になった!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV7になった!

最終結果:成功

完成日2022年04月05日

湖水地方と竜の花嫁

 氷のベディヴィア卿を撃破したディアボロスは、グレートブリテン島の湖水地方に上陸する事に成功しました。
 風光明媚な湖水地方は、富裕層の保養地として有名であり、ジェネラル級ドラゴン『氷将竜サグラモール』によって守護されているようです。

 湖水地方には、竜の花嫁の湖と呼ばれる湖が多く存在しており、イギリス各地から集められた『竜の花嫁』達が、最後の時を穏やかに迎える為に滞在する別荘地になっています。

 ドラゴンの生贄である『竜の花嫁』は、命を捧げることで竜鱗兵の『卵』を出現させるのです。
『竜の花嫁』となることは、幻想竜域キングアーサーでは非常に名誉とされており、花嫁の親族はそうして生まれた竜鱗兵を大切に扱うようです。

 別荘地では『竜の花嫁』を楽しませる為に、芸人や料理人などが常に募集されています。
 この芸人や料理人に紛れて『竜の花嫁』と接触して、情報を集めていきましょう。


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#幻想竜域キングアーサー
🔒
#湖水地方と竜の花嫁
🔒
#湖水地方


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選択肢『竜の花嫁との接触』のルール

 コンテストで披露した芸などで、竜の花嫁を楽しませてください。
 竜の花嫁に気に入られれば、竜の花嫁と直接話す栄誉を得る事が出来ます。
 竜の花嫁は、自分が竜の花嫁である事に疑問を感じず、名誉な事であると信じているようですが……。
 竜の花嫁を心配する家族の言葉や、ディアボロスの心からの説得があれば、竜の花嫁となり命を捧げる事に疑問を持たせることが出来るかもしれません。
 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『コンテストへの参加』のルール

 街などで開かれる様々なコンテストに、一般人のふりをして参加します。
 コンテストに参加して、目的の順位を取ったり、参加者と接触する事で、敵クロノヴェーダの拠点に招かれたり、或いは、表彰の場で接触する事ができるようになります。
 コンテストの内容や、コンテストに参加する目的については、オープニングやリプレイの内容を確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『街に潜入して情報を得る』のルール

 街に潜入して必要な情報を得ます。
 情報は必ずしも必要ではありませんが、情報がある事で、後の行動の成功率が大きく上昇する場合があります。
 潜入する街の情報や、必要とする情報の種類、情報を得る為のヒントなどは、オープニング及びリプレイを参照してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『竜の花嫁の家族や恋人との接触』のルール

 ディアボロス達は、竜の花嫁を楽しませる為に雇われて、竜の花嫁の為に催される宴会に参加します。
 この宴会には、竜の花嫁の家族や恋人などの親しい人も参加しています。
 竜の花嫁になる事は名誉である為、多くの家族や恋人は心から祝っているようですが、竜の花嫁となり死んでしまう事を悲しんでいる者もいるようです。
 彼らに接触し、その心の内を聞き出しましょう。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『登場人物(NPC)との会話に専念する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。