湖水地方と竜の花嫁

 氷のベディヴィア卿を撃破したディアボロスは、グレートブリテン島の湖水地方に上陸する事に成功しました。
 風光明媚な湖水地方は、富裕層の保養地として有名であり、ジェネラル級ドラゴン『氷将竜サグラモール』によって守護されているようです。

 湖水地方には、竜の花嫁の湖と呼ばれる湖が多く存在しており、イギリス各地から集められた『竜の花嫁』達が、最後の時を穏やかに迎える為に滞在する別荘地になっています。

 ドラゴンの生贄である『竜の花嫁』は、命を捧げることで竜鱗兵の『卵』を出現させるのです。
『竜の花嫁』となることは、幻想竜域キングアーサーでは非常に名誉とされており、花嫁の親族はそうして生まれた竜鱗兵を大切に扱うようです。

 別荘地では『竜の花嫁』を楽しませる為に、芸人や料理人などが常に募集されています。
 この芸人や料理人に紛れて『竜の花嫁』と接触して、情報を集めていきましょう。

蒼い湖と白い花(作者 蒼深紅
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#幻想竜域キングアーサー  #湖水地方と竜の花嫁  #湖水地方 


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●隷属の島
 艱難辛苦の末にたどり着いた湖水地方。緯度の高いこの島はとても寒い。沿岸部にある比較的大きな、町と村の間ぐらいの立派な別荘地の囲いの一角に青年が背を預けて立っていた。茶色のクセのある髪と意思の強い瞳は、でも静かに伏せられる。
「どうして、どうしてイザベラなんだ。どうして」
 それはもう数え切れないほどの呟きだった。彼の幼馴染で隣の家に住む一つ年下のイザベラは『竜の花嫁』だった。それは逃れられない運命であり、この上もなく名誉なこととされていた。表向きはイザベラの父母も兄妹も喜んでいる。もちろん、イザベラ本人もだ。でも……それは彼の真実ではない。すぐ近くには薄く氷の張った蒼い湖がある。魚も水草もない、呪いのように綺麗で清んだ命のない湖。それは竜の花嫁達が死ぬための場所だ。
「イザベラ。俺はイザベラを死なせたく……」
 その先は聞こえなかった。

●新宿島
 ウィリアム・グラス(漂泊の吟遊詩人・g03295)はディアボロス達に向かって両腕を広げた。
「アイリッシュ海での戦いで氷のベディヴィアを撃破したっていう輝かしい戦果はもう効いているよね。僕たちディアボロスはとうとうドラゴンの本拠地であるグレートブリテン島に上陸することに成功したんだ。これはとんでもない快挙だよね」
 ウィリアムは少し興奮気味に喋っている。そのことに自分でも気がついたのか、決まり悪そうに咳払いをしてから、表情を引き締めた。
「上陸した場所は景勝地として有名な湖水地方だよ。ここはジェネラル級ドラゴンであり、円卓の騎士でもある『氷将竜サグラモール』の支配下だよ。ここにはね、『竜の花嫁の湖』と別荘があるんだ。つまりは、竜鱗兵を生み出す花嫁の死に場所と、死ぬまでに暮らす場所だよ」
 ウイリアムは暗い目と表情で言う。たとえ、竜の花嫁のために、芸事に優れた者や料理人、針子や職人が集めらていたとしても、死ぬ前の短い時間を慰めるという偽善に他ならない。
「まぁ、でも悪いことばかりじゃないよ。そういう一芸に秀でたものをジャッジするコンテストもあって、目に止まれば竜の花嫁がいる別荘に招かれるだろうし、竜の花嫁と接触できるかもしれないよ。それが何かのヒントになるかも、なんてそこまでは欲張りかな?」
 ようやくウィリアムは表情を和らげる。

「イザベラが最期まで過ごすちょっと大きな別荘地ではコンテストがもうすぐ開催されるよ。彼女は仕立ての仕事をしたかったんだ。だから、最後に着る衣装を作る職人を選びたいようだよ」
 別荘地にはイザベラを知る人たちがたくさん集まっている。彼らに話を聞けばイザベラの情報が得られるかもしれない。彼らのほとんどは皆、イザベラが『竜の花嫁』に選ばれたことは名誉であると信じている。しかし、そう思えない者もたしかにいる。その者と話せたら、もっと情報を得られる可能性がある。
「竜の花嫁と直接会って、話をする機会があればいいんだけどね。イザベラには護衛もいないから、ってそもそもこの場所にイザベラに害を及ぼす人はいないからね。だから、何かきっかけがあって話ができたら、何かが変わるかもしれないよね」
 自分の境遇に疑問を抱かないイザベラや彼女を大事に思う人の心が動く、かもしれない。

「別荘地には人間やドラゴニアンはいるけど、クロノヴェーダの姿はないよ。別荘地の外や空には監視の目があるけど、それをわかっていたら、出来ることはあると思うんだ」
 だから…と、ウィリアムは続ける。
「悲しい未来は変わらないかもしれない。でも、変わるかもしれないから、ちょっと時間を遡ってくれないかな、パラドクストレインで」
 と、笑って言った。

●終わりの地
 別荘地はやけに賑やかだった。元々、お金持ちたちが集まる景勝地だったのだろう。金払いのいい上客を求めて、大道芸人や吟遊詩人、踊り子、絵師、料理人、細工師などが集まっている。今、最大の顧客はドラゴンであり、その指示により『竜の花嫁』のための地となっている。だた一人、花嫁の幼馴染、ジャンを除いて。
「イザベラの好きな花は夏に咲く、白い……なんだっけ。でも、もうイザベラがその花を見ることはないんだ」
 ジャンは別荘地の喧騒に慣れず、でもイザベラから離れられずに止まっているしか出来なかった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【水源】
1
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【神速反応】
2
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【勝利の凱歌】
4
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【モブオーラ】
1
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【植物活性】
1
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【温熱適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、気温摂氏80度までの暑さなら快適に過ごせる世界に変わる。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV3 / 【ダメージアップ】LV1 / 【ガードアップ】LV6 / 【フィニッシュ】LV1 / 【反撃アップ】LV1 / 【ラストリベンジ】LV1

●マスターより

蒼深紅
 蒼深紅です。とうとうグレートブリテン島ですね。円卓の騎士たちやアーサー王に近づきつつありますね。
 今回は竜の花嫁のお話です。情報収集作戦的な感じです。戦闘は特にはありません。生贄になることを疑問に思わないたくさんの人と、疑問に感じる少しの人がいる別荘地が舞台です。出来ないことはありません。創意工夫で情報をゲットしましょう。
52

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


エスト・リンフィールド
街で陽気になれそうな曲を奏でながら、曲の合間に情報収集

広場や酒場なんかで曲を奏でながら、イザベラさんの好きな花なんかの情報を集める

理由を聞かれたら……
「竜の花嫁が好きな花を題材にした曲を贈りたい」

とか言ってみる

夏の白い花……羊草とか、はまゆう
オレンジにオリーブ、ミントなんかも白い花だね

他には、テッポウユリに……エーデルワイスも夏の白い花

もし、好きな花の情報を得られたら、その花に関する思い出の出来事や場所なんかがあるかも……更に聞き込んでみよう

花に関する思い出や、何らかの想いがわかれば……より、心に響く詩ができるから

心に響いたら、もう一度……あの花の思い出を思い出し、生きたい気持ちに火が灯るかも


●湖畔の別荘地
 そこは不思議な地であった。特に交通の要所というわけでもなく、特別な産業があるわけでもない。ただ、綺麗な湖に近く立派で瀟洒な別荘がいくつかあり、そこを中心に栄えていた。
 そして今、そこは『竜の花嫁』が最後のひとときを過ごす場所であった。その時が来れば、彼女はあの湖に身を沈めるのだ。
「変な街、よね」
 エスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)は収まりの悪いポワポワの髪を揺らしながら道の左右を見る。どの店も盛況なのにどこかおかしい。道が交差する場所は小さな広場になっていて、あちらにもこちらにも吟遊詩人や踊り子、軽業などを披露する者達観客を魅了している。
「……だめ、とても、この中に入っていけないよ」
 エストは思わずため息をついた。歌も踊りも大好きだけど、こんな激戦区で歌えないし、踊れない。
「どうかしたのかい、お嬢さん」
 振り返ると、人の良さそうなお爺さんが立っていた。よく日に焼けた顔も手にも深い皺が刻まれている。
「あ、その……」
 知らない人と話しをするのは得意ではない。けれど、エストには為すべきことがあったし、お爺さんは笑顔なのに悲しい目をしている気がした。
「あ、アヤシイ者ではなくて、その、イザベラさんの好きな花は何かなぁって」
「え?」
 お爺さんの表情が少しだけ硬くなる。
「あ、私は吟遊詩人だから、竜の花嫁が好きな花を題材にした曲を贈りたい、かなって」
 エストの口調は少し早い。
「夏の白い花、だったかなぁ」
 お爺さんは遠い目をして言った。もしかしたら、イザベラの近しい人なのだろうか。
「夏の白い花、ですか。オレンジの花、オリーブ、ミントなんかも白いですね」
 エストが指を折って挙げた花の名前にお爺さんの反応は鈍い。
「他には、テッポウユリに……エーデルワイスも」
「本当は青い花が多いんだよ。でも、あの子の家の近くには白い花がよく咲いていた。ヘアベルとかハーベルとか。異国じゃ別の名らしいがね」
 釣鐘みたいな花だとお爺さんは言う。
「小さい頃から親しんだ花なんですね」
 エストが言うとお爺さんはうなずいた。そして、何かぶつぶつ言いながらエストに背を向けて行ってしまう。
「心に響く詩が、出来るかしら。そうしたら……」
 希望を灯す歌を届けられるだろうか、絶望の淵にいる『竜の花嫁』に。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!

ガーデニア・ラディーチェ
どうせ、何をしてもしなくても結局死ぬのでしょう?
それなら、ジャンさんもイザベラさんと逃げれば良いのに
無理矢理にでも攫って
そうすれば、もしかしたら……

死んでからじゃ、遅いのよ
わたしと、ロズ――ロズリエルみたいに


イザベラさんの好きな花の他に服の好みや流行を抑えておくわ
コンテストの訳に役に立つかも

欧州で夏咲きの白花
ぱっと思いつくのは鈴蘭やエーデルワイスだけど
持っている【植物知識】じゃ該当する花が多いわ

出場予定の職人を探して聞き込みを
竜の花嫁が好きな花ならモチーフや装飾品になっているはず

もしミカンの花だったら……とんだ皮肉ね
花嫁の喜びだなんて

名が分からなければ
得た情報を【植物知識】と照らして絞り込みを


●終焉に近づいて
 刹那の狂乱を楽しむように、別荘地は騒がしい雰囲気だった。吟遊詩人たちは無理矢理のように栄光や誇りをテーマにした歌を歌い、勇壮な曲に合わせて踊り子や軽業士がクルクルと舞ってゆく。甘い菓子の香り、香ばしい焼いた肉の匂い、何もかもがごっちゃになってまとまりがない。
「ごちゃごちゃした場所ね」
 ガーデニア・ラディーチェ(クチナシの花護り・g03839)は小さくつぶやいた。1番大きな通りを歩く人はたくさんいて、でもガーデニアと彼女の傍らに立つ『彼』に注意を向ける者はいない。そっけないのに、どこか不快な気持ちを淡く込めたガーデニアの言葉が聞こえているはずなのに、連れ立って歩く人からの反応はない。ガーデニアが道の端に寄って前を見る。道の最奥には最も立派な別荘があって、そこには『竜の花嫁』がいる。
 どうせ何をしても、しなくても、結末は同じ……死。それならどうして何かをしないのだろう、とガーデニアは少しもどかしく思う。逃げればいい、周囲の軋轢からも、死の運命からも全力で行けるところまで逃げればいい。まだイザベラもジャンも生きている。
「死んでからじゃ、遅いのよ」
 ガーデニアの呟きは独り言に近くて、声は誰にも聞かれずに消えてしまう。聞いて欲しい人はそばにいるけれど、もうそばにはいないから。
「おーい、そこの人」
 通り過ぎてきた商店の店員らしい壮年の女の人が追いかけてきた。
「悪いわね、あんたの服に絡んじゃったみたいなんだよ」
 ガーデニアが振り返ると、背中の服に小さな白い花の造花が引っ付いていた。
「きっと、あたしが造花を山盛り持ってたからだね。お詫びにちゃんとこしらえたのを1本あげるよ」
 女の人はぺしゃんこになった造花の代わりに、もっと大きくて綺麗なのを差し出してくる。
「これは、鈴蘭にしては大きいわね。何の花かしら?」
「ここらの人はヘアベルだの、ハーベルだの言うけどね。正式な名前は知らないんだよ。夏を待てないあの子のための花なのさ」
 釣鐘がいくつか連なったような、白い花だ。女の人は先ほどガーデニアが見ていた別荘の方へと視線を向ける。けれど、すぐに女の人はにこやかに笑って元来た道を引き返して、すぐにガーデニアは独りになった。
「そう、イザベラさんが好きな花はカンパニュラなのね」
 夏の野に咲く青ではない白い花をガーデニアは思い浮かべた。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【士気高揚】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!

神之蛇・幸人
幼馴染が、ずっと一緒にいた大切な人が、いなくなる
そんなのを喜べる人なんて、いるの? ……おれにはできない。絶対に

夏に咲く白い花。『幸せ』な竜の花嫁
思い浮かんだ花は梔子なんだけど、分布が違う
あとは、寒い場所だし……エーデルワイスとか?

『夏に咲く白い花』の説明で得られる情報がないか〈情報収集〉
花屋さんや、衣装を飾るのに花を使う職人さんはいるかな。探して訊いてみたい
竜の花嫁のために探してるって言えば、協力してもらえるかな?
名前や特徴が分かれば〈植物知識〉で生えてる場所の見当はつくかも

手に入れる手段があるなら、後でジャンさんに渡したいんだ
今は咲いてなくても【植物活性】で成長を早めたら、間に合わないかな


●偽善の街
 この別荘地は『竜の花嫁』が終焉を待つ場所だ。それがわかっていながら、この街は偽りの活気に溢れていた。高価な物が溢れ人が集まる。奇妙な宴はイザベラの死で最高潮となる、はずだ。
「……はぁ」
 知らない吟遊詩人の『竜の花嫁』を誉めそやす歌を聴きながら、神之蛇・幸人(黎明・g00182)小さな息を吐いた。幼馴染が、ずっと一緒にいた大切な人が、いなくなる。そんなのを喜べる人なんて、いるの? ……おれにはできない。絶対に。きっとイザベラの幼馴染のジャンも同じ気持ちだろう。ただ、表立って言えないだけだ。だってここはグレードブリテン島なのだから。
「夏に咲く白い花、かぁ」
 候補は沢山ある。幸人は思い描く。白い花をブーケのようにして束ねて持つ『幸せ』な竜の花嫁の姿。結末が悲劇でも、きっとジャンはその花をイザベラに見せたいはずだ。
「クチナシ、かなって思ったんだけど違うかな。うーん、エーデルワイスとか?」
 花を特定するのには報があまりに少ない。
「きっとジャンは花の名前なんてよく知らない朴念仁なんだろう。そうだ、きっとそうに違いないね」
 小声でぼそぼそとつぶやく。ジャンからの情報が乏しいのなら、他から収集するしかない。とはいえ、どうしようか思っていると閃くものがあった。
「そうだ、そうだね」
 幸人は人とぶつからないように速足で街を歩く。たくさんの店、それらにはきっと『竜の花嫁』の嗜好に沿った物が集まっているはずだ。花屋はなかったけれど、衣装を作る店は何軒もあった。新宿島の時代ならばウィンドウに一押しのドレスが陳列されているんだろうが、ここの店にはそういう見本のようなものはない。
「し、しょうがない!」
 両手の拳をぎゅっと握り、幸人は入りにくそうな店の扉をえいっと押して中に入った。
 別荘地のはずれにジャンは居た。低い石垣にもたれかかってうつむいている。その顔の先に白い花束が差し出された。
「え?」
「ジャンさん、だよね。おれは幸人。これはおれからの差し入れだよ」
 幸人が用意出来たのは造花の花束だった。それでも街では『竜の花嫁』が好きな花だとされている。
「イザベラの好きな花に似てるな」
「そういう触れ込みで、結構高値で取引されているよ」
 もう一度、幸人は花束をジャンに押し付けた。本当は本物の花を渡したかったが、これを花嫁に届けるのは自分ではない、ジャンでなくてはならないと思っていた。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【植物活性】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!

ロイド・テスタメント
★アドリブ、連携歓迎

さて、料理は菓子類も作れるので、祝いの焼き菓子でも差し入れしましょう
そっと、主が作った魔法の織物で焼き菓子を覆っておきます
「失礼致します。花嫁とその家族や親しい皆様に……この菓子を」
フィナンシェとバームクーヘン
フィナンシェは金の延べ棒を模した焼き菓子、クーヘンは繁栄を意味する菓子です
渡したら【平穏結界】でジャンに近付きます
「顔色が優れませんね。花嫁が死ぬ為に嫁ぐのが悲しいのですか?
身振りや表情は周りは気にしませんが、声は小さく……彼女を助ける為に私も手伝いますから。
だから、このしがない執事に独り言を聞かせて下さいませ」
花に話して、風に消える言葉を
誰も聞いていません、ええ誰も


●祝福の家
 その日、コンコンコンという規則正しい音に気がついたメイドが扉を開けると、そこには身なりの整った長身の男性が立っていた。
「失礼致します」
 ロイド・テスタメント(元無へ帰す暗殺者・g00322)はメイドにも丁寧に礼をした。
「花嫁とその家族や親しい皆様に……この菓子を」
 ロイドは両手で持っていた長細い銀色のトレイをメイドに見せる。トレイには複雑綺麗な織物が掛かっていた。
「どうぞ」
 メイドはあっさりとロイドを別荘に招き入れた。応接間ではなく厨房に案内した。主人を持つ者だと互いにわかっているのだろう。
「これは、珍しい菓子ですね」
 メイドはロイドが覆っていた大切な織物を取ると、菓子を食い入るように見た。
「こちらは金の延棒を模した焼き菓子、こちらは繁栄を意味するお菓子です」
 ロイドはフィナンシェとバームクーヘンを簡潔に説明する。もちろん、どちらも全く同じ菓子はまだこの時代には作られていないはずのものだ。
「素晴らしい意味のお菓子ですね。『竜の花嫁』にきっとおすすめ致しましょう」
「主人にもそのように伝えます」
 ロイドとメイドは互いに一礼し、ロイドは別荘を後にする。流石に届け物を運んだ使用人が『竜の花嫁』の私室にお邪魔するのはロイドのマナーに反することだ。それに、彼にはまだ他に為すべき……いや、会いたい人がいた。
 探す手間はほとんどかからず、ロイドは別荘地の外れでジャンを見つけた。相変わらず暗い顔で所在なげにしている。ロイドが近づくと不思議そうに顔をあげた。
「誰だ?」
「顔色が優れませんね。花嫁が死ぬ為に嫁ぐのが悲しいのですか?」
 不躾な言葉にジャンの表情に怒気が混じる。
「おまっ」
 ジャンの言葉はロイドの制止する仕草に止められた。有無を言わさぬ強い力がある。
「身振りや表情は周りは気にしませんが、声は小さく……彼女を助ける為に私も手伝いますから。だから、このしがない執事に独り言を聞かせて下さいませ」
 制止の態度を崩しロイドは胸に手を当てて一礼する。
「た、助けて、助けてくれよ。イザベラが、イザベラが死んしまうんだ。みんな、子供の頃からあいつを知っているのに、見殺しに……でも、俺も、何もできない」
 それは、絞り出すような小さな、花に話し風に消えるような声だった。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【平穏結界】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!

エスト・リンフィールド
もう少し情報が欲しいかな
今度は宴会に演奏者の一人として紛れてみる

もしかしたら、お祭りの広場とかで、イザベラさんが好きな白いカンパニュラの造花とか売ってるかも
見つけたら買って、髪飾り代わりに付けて演奏

お祭りやお祝いらしく、演奏を活かし明るく軽快な音楽や気分が盛り上がりそうな音楽を奏でて、場を盛り上げよう
必要なら、歌唱を活かしバックコーラス等も担当

演奏の合間に、ご家族や幼馴染みが声を掛けてきたら、白いカンパニュラの造花が見えるように体を向けて話してみよう

その花を見て、ご家族や幼馴染みがイザベラさんと白いカンパニュラの思い出を思い出して、彼女の心に響くなにかを教えてくれるかも
小さなことでもいいから


「もう少し情報が欲しいかな」
 それが偽らざる心境であった。エスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)は最も大きな別荘の隣、といっても一区画ほど離れた場所にある2番目に大きな別荘の正面にいた。ここは昨日から誰にでも解放されていて、『竜の花嫁』が湖に入水することを祝っていつでも酒や果物、菓子や肉が飲み放題、食べ放題になっている。
「色々とんでもない宴会ね」
 白い花の飾りをわざと目立つように金色のちょっと自由すぎる髪につけ、エストは室内をゆっくりと歌いながら歩く。
「お、いいね。吟遊詩人のおねーさん」
「歌っておくれよ、あの子のために」
 新顔のエストが珍しいのか、あちこちから声がかかる。半分ぐらいは酒が入っているようだが、もう半分はぎこちない笑顔で無理矢理大きな声を出しているように見える。
「お安い御用ですよ。さぁ、みなさんも歌ってください」
 エストはアップテンポの曲をソードハープで奏でる。さらには弾き語りのように歌も歌った。
「可愛いあの子は野辺の花〜〜我ら村の小さな子〜〜」
 即興の歌を音階を選んで歌ってゆく。明るく軽快な曲調に、どこか物悲しく胸に迫る歌詞を添える。そんな歌を3曲も演奏すると、こ綺麗な女性が手招きをした。
「ありがとう。ちょっと休憩」
 喝采に一礼してからエストはその女性の方へ歩み寄った。
「綺麗な花ね。あの子の好きな花だわ」
「これ、造花よ。噴水近くの屋台で売っていたわ」
 エストがそっと髪から外してその女性に花を差し出す。
「あの子の好きな花だから、今、ここではこういう物がたくさん売られているわね」
 女性は悲しげに笑った。笑うことを義務付けられているかのように、無理に笑う。
「あの子はね、私の従姉妹なの。両親が早くに死んで家で一緒に育ったのよ。本当の家族みたいに、ううん……本当の家族だったのに」
 誰かが『竜の花嫁』にならなくてはならなくなった時、イザベラは辞退をしなかった。
「あの子、育ててもらった恩とか感じたんだわ。これじゃ、あたしがあの子を死なせるみたいじゃない」
 女性は俯く。それからエストに白い造花ともう一つ青い造花を手渡した。
「あたしの家族は青い花の方が好きなの。だから、これ、あなたに渡しておくわね」
 女性は強引にエストの手に二つの花、白と青の造花を渡し、そしてそっと離れていった。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【勝利の凱歌】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!

ガーデニア・ラディーチェ
バカじゃないの
「仕方ない」って諦める人間……ああいうの、一番嫌いだわ

ネメシス形態で、ステップや曲に合わせてドライフラワーと竜巻を操って
ロズとの【ダンス】で宴を盛り上げる余興を

ジャンさんに接触できたら
【士気高揚】で何か一つでも成せる【勇気】を彼に
名誉な事だと、最期の別れの挨拶でも
最期を楽しく過ごす為の想い出話でも
あえて話さず、一人静かに彼女を見送る決意でも
死なないで欲しいと、彼女を説得する勇気でも
何でも良いわ。決断するのはあなたよ
何もしないのなら……イザベラさんは、あなたにとってその程度の人間だったって事でしょうし

とりあえず……何もせず何も選べず、突っ立っているのは止めなさい
一番無意味なことよ


 ガーデニア・ラディーチェ(クチナシの花護り・g03839)は実はめちゃめちゃ怒っていたけれど、そんな素振りを少しも見せず、軽やかにステップを踏んで踊っていた。『竜の花嫁』が滞在している別荘の隣、2番目に大きな別荘は誰でも出入りができるよう開放されていて、四六時中歌や踊りが披露され、飲み食いにも制限はない。その別荘の1番大きな板張りの部屋の中央で、ガーデニアは彼女の『最愛の人』と踊っていた。
「……ロズ」
 小さく愛称を呟いてみる。かつて、優しく微笑んでくれたその人は、今は表情を変えない。夏の抜けるような爽やかな空の色をした瞳も変わらないのに……いや、変わらないことが辛いのか。胸の奥がちくりと痛むけれど、それでもこうして手を取って、目を見て、ステップを合わせて、踊るのは苦しいくらい幸せで、同じくらい不幸せなのだと感じてしまう。
「ううん」
 ガーデニアは小さく顔を横に振った。その途端、どこからともなく風が吹き、ドライフラワーが舞散ってゆき、歓声があがる。
「おお、すげぇな」
「綺麗ね」
「どんな手妻なんだろうね」
「魔法だよ、魔法」
 楽しげな人々の中で、一人だけしょんぼりしている青年がいた。彼はそっと2番目に大きな別荘を出ていってしまう。ダンスを止めたガーデニアが人々の落胆のため息を浴びつつもそれを追う。
「どこへ行くの? 仕方ないって諦めて、遠くに逃げるの? 彼女は逃げないのに」
 あえて人の少ない路地で追いつき、ガーデニアはジャンの背に厳しい言葉を投げた。
「え?」
 驚いて振り向いたジャンの顔には生気がなかった。
「これでも食べて。あんな場所にいたのにろくに食べてないんでしょ!」
 ガーデニアは焼き菓子をジャンに差し出した。こんな時代に珍しいフィナンシェにしか見えない菓子だ。栄養は多分、いっぱい詰まってる。
「彼女に合わないの?」
 菓子を齧り出したジャンにガーデニアは言った。本心ではジャンを歯がゆく思っているし、諦める人間は嫌いだと思う。でも、ガーデニアはジャンではなくイザベラを思う。彼女のために何かできる事はないのだろうか。
「短い時間で何をするのか、しないのか。決断するのはあなたよ。でも……何もせず何も選べず、突っ立っているのは止めなさい」
 ガーデニアは赤い薔薇の妖精のような姿っで厳しく言う。
「それは、一番無意味なことよ」
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【水源】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!

ヴァイスハイト・エーレンフリート
★アドリブ、連携歓迎

衣装を作る、使い込まれた道具を用意して【操作会得】で頑張りましょう
「生地にも拘りたいですね。さぁ、全ての精霊よ、力をお貸し下さい」
【魔術知識】で精霊と語り、力を貸してくれる様にお願いします
【火炎使い】で温め
【風使い】で紡いだり、乾かす
【光使い】で布が美しく輝くように
【氷雪使い】は水や冷す事
「花嫁と言っても普通のドレスでは……うん、そういえば此処には花の精がいましたね」
好きな花がカンパニュラでしたね
「さぁ、今度は道具の皆様の力をお借りします」
派手や華やかさはないが、あの花の様に密かに咲く美しさを思い描きながら作ります
カンパニュラに見立てた髪飾りも、揺れて鳴る様に魔法を込めます


ロイド・テスタメント
★アドリブ、連携歓迎

そういえば、主が参加しているらしいので手伝いに向かいましょう
なるほど、あの真剣な表情なら魔術を使い、作り初めているならサポートを【臨機応変】にしましょう
(ドレスに拘って必要な小物が足りませんね)
自力でも不可能ではありませんが【操作会得】で道具にも力をお借りしましょう
カンパニュラのレースを施したヴェールを編みましょう
手袋も総レース、ブーケは【植物活性】で育てたカンパニュラを
(この弔辞では……)
【神速反応】で手早く時間内に作りましょう
「主。そのドレスに合わせて作りましたので、一緒に提出してください。
少しでも花嫁に気に入られる様に、そして」
少年の想いを伝えやすくする為に


 別荘地の使う人のない小さな貸し屋の一室がヴァイスハイト・エーレンフリート(死を恐れぬ魔術師・g00112)の作業部屋となっていた。
「やはりロイドが探してくれた部屋は使い易いね」
 ヴァイスハイトよりも早めのパラドクストレインを使って現地に到着していた主人思いの執事は、主人がこの別荘地に来る頃には必要かつ充分な入り用な物資、場所を準備し終わっていた。
「ここで手に入らない物は主がお持ちになると思っていましたが……」
 それでもロイド・テスタメント(元無へ帰す暗殺者・g00322)は上等の絹織物や糸を調達し、主人が使い易い場所に配置している。
「それも考えましたよ。新宿島の時代の織物は優秀ですからね。でも、花嫁の肌に馴染みのあるここの布の方が気に入って貰えるかな、って考え他のですよ。さぁ、全ての精霊よ、力をお貸しください」
 ヴァイスハイトの言葉に顕在化した妖精たちが白い布の上を乱舞する。その後、布の上に型紙を置き、縫い代分も入れて写すと、躊躇なく裁断してゆく。ヴァイスハイトの手慣れた作業は流れるようで、少しの淀みもない。現代の感覚では結婚式に着用するような、自然に裾が広がったドレスはトルソーに着せるとさらに素晴らしさが際立ってくる。
「花嫁と言っても普通のドレスでは……これでは、まだ何か足りませんねぇ」
 素晴らしい仕上がりだが、ヴァイスハイトは満足しない。すっかり手も動きも止まってしまったヴァイスハイトの背後からロイドが控えめに声をかけた。
「主、大変恐縮ですが」
「ん?」
 ヴァイスハイトが振り返るとロイドの顔が間近にあった。
「主の道具をお借りしてもよろしいでしょうか?」
「ロイドが使うのなら構いませんよ。好きに使ってください」
 妖精たちの加護を秘めた道具はどれも逸品だが、ロイドならば任せられる。だから、理由も聞く必要はない。
「ありがとうございます」
 静かに一礼したロイドは主人の針のように細いかぎ針を使い、蜘蛛の糸のように細く繊細なレース網用の糸をだぐり、編み始める。
「少し急がないと間に合う気が致しませんね」
 小さくつぶやくとロイドの両手はさらに動きを加速する。糸は糸車に巻き取られるかのように高速で手繰り寄せられ、夜霧のような朝靄のようなヴェールが出来上がってゆく。そのヴェールが半分を過ぎる頃にはヴァイスハイトの止まっていた手も流れるような所作のまま動き出している。
「うん、そういえばここには花の精がいましたね。そして、好きな花が確か、白いカンパニュラ」
 もうヴァイスハイトには思い描く完成形がある。派手さや華やかさはないが、あの花の様に密かに咲く美しさを思い描きながらヘッドドレスを作り上げる。
「流石に主が渾身の力を込めて作った作品ドレスです」
 セッティングされたトルソーに思わずロイドは手を止め、立ち上がり手で触れる。繊細な布を痛めなら同系の糸で手縫いされたドレスは丁寧に縫い代の始末がしてあって、肌に触れる部分の違和感がない。同じ布で作られたカンパニュラの花には魔法が仕込んであるのか、触れると小さな鈴のような音がなる。
「どうかな」
 会心の出来を褒められたい少年のような笑顔でヴァイスハイトは感想を求める。
「大変結構なお仕立て上がりだと思います」
「そうでしょう。私も我ながらよく出来たと思っているのですよ」
 ヴァイスハイトはトルソーから1歩引き、満足げにドレスを見る。
「しかし、小物が少々足りないのではございませんか?」
 ロイドは仕上がったばかりのヴェールをトルソーに掛け、同じくレース編みで出来た手袋を主人に差し出す。それはドレスと同じ色合いの、完全に一緒に身につけることを想定されて作られた品々だ。
「流石ロイドですね。うん、確かにヴェールと手袋があればドレスの格が上がりますからね。それにいい品ですよ」
「お褒めいただき、光栄です。主、そのドレスに合わせて作りましたので、一緒に提出してください」
 神業のような早業で2品を仕上げたロイドは主人に言う。これが彼女の気持ちに何らかの変化をもたらせたらいい。そして、もう一人、彼女を思う青年の心を後押し出来たら。
「そうですね。そうしましょう」
 ヴァイスハイトは静かに笑みを浮かべて言った。
 ドレスのコンテストでは、ヴァイスハイトとロイドのドレスセットは『竜の花嫁』に気に入られ、選ばれた2着の中に入った。イザベラは珍しく口を開いた。
「名前はあるの?」
 と。
「ありません。あなたならなんと名付けますか?」
 ヴァイスハイトが聞くと彼女は首を傾げ、そしてそのまま行ってしまった。
「少し、印象が変わってきましたね、主」
「そうですね」
 コンテストの片付けをしながら、二人はふたりにしか聞こえないような声で言った。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【操作会得】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

エスト・リンフィールド
花嫁に捧げる歌はできそうだけど……衣装か
衣装のデザインやアイデアが出てこなくて、困ってる仲間や仕立て屋さんが居ないかな?

居るようなら、白いカンパニュラと青いカンパニュラが絡み合うようなデザインや、青と白の布地の切り替えを盛り込んだ衣装のアイデアを話してみよう

花嫁が好きな花と、従姉妹のお姉さん家族が好きな花
両方が絡み合い支え合うイメージ

どちらが欠けても……成り立たない

ん?
衣装ができたら、見映えよく魅せるモデルが要る?

じゃあ……探さないといけないね

わ、私!?

……は、花嫁のとこに行くのに必要なら、やむを得ない
できた衣装を着て、ステージでリズミカルで場を盛り上げるような曲を弾き語りして、盛り上げてみる


神守・楼華
◎アドリブ・連携歓迎です!

【心情】
着付けや皆さんのお手伝いは出来るのですが……
とにかく、手伝えるか聞いて回りますの!

【残像効果】
照明→服を良く見せたり、場を盛り上げる為に
士気高揚→コンテストを盛り上げる為に

【行動】
とりあえず、コンテストの為にモデルさんの待機室を用意するですの
「葛の葉、これをもって伝言をお願いしますの」
葛の葉にメモを持たせて、他のディアボロスの状況を聞きますの
「こちらから着て下さい、あ、髪型はまだ後ですの」
花の香りがする香油で髪を綺麗にしたり、装飾に付けられた様にならない様にしますの
「あとはお任せください!」
脇役として【ダンス】をしたり、【照明】でモデルが目立つようにしますの!


「……衣装かぁ」
 エスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)は少しだけ困っていた。『竜の花嫁』に捧げる歌は出来ると思う。傑作を作れる気がする。でも、衣装はどうしよう。
「困っている仕立て屋さんはいないかな?」
「いらっしゃいますの」
「え?
 エストの心の声はいつしか肉声になってダダ漏れていた。これも常日頃から喉を鍛えている吟遊詩人の職業病か。
「お手伝いを必要としている方がいらっしゃいますの。エストさんはそういう方を探していらっしゃいますの?」
 声を掛けてきたのは神守・楼華(旋律奏でる銀狐巫女・g00430)だった。癖のない漆黒の長い髪が印象的な美少女だ。エストの金色でタンポポの綿毛のような、生まれたてのひよこのようなポワポワの髪とは対照的だ。
「私、先ほどまでコンテストに参加する方々のお手伝いができないかと、1番大きな別荘に行ってみましたの。そうしたら、困っている仕立て屋さんと知り合うことができましたの」
 楼華は柔らかく微笑む。仕立て屋はずっと大きな店で修行していたが、この別荘地のことを聞き、親方に暇をもらって単身やってきたのだ。だが、ずっと見習いだったのでどう段取りしていいのか困っているらしい。
「そういうことなら応援してあげたいわね。こんな誰かに犠牲を強いる結末なんて絶対に許せないけど、その途中で小さな良いことをしたなぁって後から思うのは気持ちが少しだけ楽になるかもしれません。あ、ディアボロスがこんなことを考えていて良いのか、わからないけど……」
 エストの声はどんどん小さくなって、すぐそばで聞いている楼華にも聞き取りにくくなってくる。元々、あまり声を張るのは得意ではないのだ。
「あの、えっと、なんとおっしゃっていらっしゃいますの? ごめんなさい、途中から分からなくて……」
 困ったように小首をかしげる楼華にエストは小さく顔を横に振った。
「ううん、独り言見たいなものよ。じゃあ、早速その仕立て屋さんに引き合わせてくれるかしら?」
「はい、喜んでお引き受けいたしますの。では、こちらにお越しくださいませ」
 さらりと黒髪を背に流し、楼華はエストを先導し別荘地の中心部から端っこの小さくて古い空家へと案内した。そこが数日前から仕立て屋の拠点となっている。スフィンクス『葛の葉』に先導と先ぶれを頼み、二人は色々話しながらその空き家に到着した。
「えー、あんさんがうちの作業を手伝ってくれはるんどすか? なんや、嬉しおすなぁ? あ、うちはマーガレットっていいます」
 ぶんぶんと大きく握手をしたエストの手を振りまわし、マーガレットは喜んだ。
「ほんなら、ちゃっちゃっとドレスを仕上げまひょか?」
 すでにマーガレットは布も道具も用意し、大きなテーブルの上に並べている。
「あ、あのね。私は白いカンパニュラと青いカンパニュラの花が絡み合うような飾りとか、布地は青と白の切り替えを盛り込むのがいいと思う……きっと」
 エストの語尾はちょと震える。未熟かもしれないけれど、本職の仕立て屋に自分のアイデアを口にするのは勇気がいることだ。全否定されたら、今日一日は立ち直れないかもしれない。
「素晴らしいアイデアだと思いますの!」
 マーガレットよりも先にエストの案に賛同したのは楼華だった。頬は少し赤みを帯び、不思議な色の瞳を大きく見開いている。
「先程お聞きしましたけれど、白はイザベラさんがお好きで青は従姉妹の方のお好みですの。お二人の関係を表した素敵なモチーフですの」
 楼華の絶賛を聞き、傍のスフィンクス『葛の葉』も嬉しそうだ。
「えぇねぇ、それでいきまひょ! では、お手伝いをしておくれやす!」
 そこからのマーガレットは凄かった。自分もあれこれテキパキこなしながら、エストと楼華に出来ることを頼んでくる。ほぼ、不眠不休の作業を3日続け、そして青と白を基調としたドレスが出来上がった。
「で、どちらさんが着てくれはりますの?」
 マーガレットが迫る。寝ていない、お肌ボロボロで血走った目でギョロっと値踏みするようにエストと楼華を見る。
「もちろん、エストさんですの。ご出身がこの辺りなのですもの。体型も似ているんですの」
「ええええ! わ。私?」
「それもそうやね。ほな、エストはんで決まり!」
「ええええ!」
「着付けとか、髪のセットとか、照明、なんでもいたしますの。絶対にエストさんを舞台で1番素敵な花嫁にして見せますの。だから、安心して欲しいですの」
 ここぞとばかりに楼華が力説する。もちろん『葛の葉』もサポートする。
「……は、花嫁のとこに行くのに必要なら、やむを得ない」
 決意を固めたエストのパフォーマンスはコンテストで『竜の花嫁』の目を惹き、そして彼女が極めて珍しく、自分の意思で選んだ2着のドレスのうちの1着になった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【勝利の凱歌】がLV3になった!
【照明】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV5になった!
【反撃アップ】LV1が発生!

 コンテストで『竜の花嫁』から高評価を得た2着のドレスは彼女が滞在する1番大きな別荘に運び込まれた。その日までにどちらを着るのか、花嫁自身が決めるのだそうだ。そして、ドレスの作者やその知人たちならば、いつでも訪ねてきて良いとのことだ。これは『竜の花嫁』と直接会話をするチャンスかもしれない。
 また、彼女の両親は他界していてこの別荘地には歳の近い従姉妹だけが来ている。幼馴染のジャンも離れがたくここに滞在しているが。イザベラを助けたいがどうして良いのかと、悩んでいるようだ。
エスト・リンフィールド
お、お誘いいただきありがとうございみゃひゅ
か、噛んだ……

ドレスの作者さんの知人でモデルということで、花嫁の別荘へ
ご挨拶したら、【勝利の凱歌】を乗せた曲を歌唱、演奏を活かし弾き語り


朝陽は天に昇り
水面に映る青空

風にそよぐカンパニュラ
雪のように白い花

風は水面を駆け抜け

風に踊るカンパニュラ
空のように青い花


思い出の夏の花々
私が着けてるのは造花だけど……もう一度、野に咲く白いカンパニュラ
見たくない?

いや、もう一度なんて言わない
今年も、次の年も、その次の年も

子どもだって生まれて、しわくちゃのおばあちゃんになっても
大事な人達と一緒に、青や白のカンパニュラを見たいと……思わない?

私は……あなたにも、見てほしい!


「そないに言わはるんなら、ひとりでお行きやす」
 ドレス製作者のマーガレットが絶対に行かないというので、エスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)は単身、『竜の花嫁』の招きに応じていた。
「お、お誘いいただきありがとうございみゃひゅ」
 一番大きな別荘の一番大きな部屋に通されたエストはご挨拶で思いっきり噛んだ。正面には人形のように虚ろで儚げな細い女性が、生成りのたっぷりとした布を使った服を着て座っている。
(「か、噛んだ……あの人がイザベラさんだって思ったら」)
 エストが赤面したり、変な汗をかいていてもイザベラはほとんど動かない。手足も、表情も、だ。それでもゆっくりと顔と視線がエストから離れ、部屋に飾られた2着のドレスの方へと移る。
「……素敵な、ドレス。ありがとう」
 イザベラの表情が少しだけ動いた。そこにエストは希望が見えた気がした。イザベラの心は消えてない。強い強制力が働いているとしても、心はまだここにある。
「私は吟遊詩人のエスト。これはあなたに捧げる歌、聞いてね」
 ソードハープを構え直し、エストの指は弦を震わせる。話す時とは全く違う音が響き渡る。
朝陽は天に昇り
水面に映る青空
 
風にそよぐカンパニュラ
雪のように白い花
 
風は水面を駆け抜け
 
風に踊るカンパニュラ
空のように青い花
 
「思い出の夏の花々……私が着けてるのは造花だけど……もう一度、野に咲く白いカンパニュラ、見たくない?」
 歌は突然中断され、エストはイザベラに駆け寄った。行儀よく膝の上に乗った白い両手をギュッと掴む。
「いや、もう一度なんて言わない。今年も、次の年も、その次の年も。子どもだって生まれて、しわくちゃのおばあちゃんになっても、大事な人達と一緒に、青や白のカンパニュラを見たいと……思わない?」
 エストは微かに残るイザベラ本人の魂に届けと歌を歌い、言葉を紡ぐ。
「私は……あなたにも、見てほしい!」
 それは本心だった。エストにとって、イザベラは知らない人に等しい。でも、誰だった誰かの愛しい大事な人なのだ。何か大きな力に虐げられ、犠牲になっていいはずがない。
「綺麗だった。あの夏の、白い花」
 イザベラは夢見るようにそう言うと、エストが身につけているカンパニュラの造花へと手を伸ばした。それだけだったけれど、それでも何かがイザベラの中で変わっていた。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【勝利の凱歌】がLV4になった!
効果2【ガードアップ】がLV6になった!

内方・はじめ
別荘地の、人気のない静かな場所に居ると思われる、ジャンさんを探して【モブオーラ】で近づいて声掛け

「その花束……渡さないの?」
「花束も言葉も、持ってるだけじゃあ……思ってるだけじゃあ、相手には伝わらないわ」

『じゃあ……どうすればいいんだよ!』
とか激昂されたら、

「答えはもう、わかってるんでしょ?」
と言いつつ、ウィスキーの小壜をジャンさんに差し出して

「踏ん切りつかないなら……一杯やって、景気つけていく?」
と後押し

あ、もし未成年だったら、屋台で買った炭酸水でも渡しておくわ
どうせ後悔するなら……やらないよりは、やって後悔する方がいいぞ少年

根拠?
それなりに濃厚な人生を生き抜いた、先人の経験則とでも言う奴よ


 探している人物はすぐに見つかった。この別荘地で辛気臭い顔をしているのはごく限られている。その中でも一番落ち込んでいる様子をみせているのが内方・はじめ(望郷の反逆者・g00276)の探すジャンであった。あいかわらず、ジャンは別荘地を離れることも、中央でお祭り騒ぎに混じることも出来ず、端の方でしょんぼりとしている。
「その花束……渡さないの?」
 はじめはいきなり核心をつくような内容を言った。
「あんたも最近見る他所から来た奴らか?」
 ジャンは不愉快そうに言った。はじめは短く首を縦に振って肯定を表す。
「花束も言葉も、持ってるだけじゃあ……思ってるだけじゃあ、相手には伝わらないわ」
 ジャンの手にあるのは、造花であったがカンパニュラの白い花だった。それがイザベラの好きな花だというのは、この別荘地では最近になって広まり、あちこちで造花が作られ飾られている。ジャンも手に入れたはいいが、そこから行動出来ないでいるのだろう。
「じゃあ……どうすればいいんだよ!」
 造花の花束を大事そうに抱えながらジャンは叫ぶ。
「答えはもう、わかってるんでしょ?」
 口調も表情も少しだけ優しくはじめは言う。そしてコートの内ポケットからウィスキーの小壜を取り出し、ジャンさんに差し出した。透明な硝子の中で琥珀色の液体が揺れている。
「え?」
 ジャンはびっくりしたようだ。
「踏ん切りつかないなら……一杯やって、景気つけていく? あ、酒はイケる口だった?」
 そこで初めてジャンは笑った。笑ってはじめの手を止める。
「酒の勢いで会いに来たなんて、イザベラに怒られるよな。うん、何の力も借りずに行ってくる。言って、この花を渡して……それから話をしてくるよ」
 ジャンははじめの横を通り、イザベラが逗留する大きな別荘へと向かってゆく。
「そうね」
 はじめはあっさりとウィスキーをひっこめ、内ポケットにしまった。
「これは相当にいい酒だが、そこまでいうのならくれてやらない。しっかりと……やらないよりは、やって後悔してくるといいわ」
「それ、背中を押してくれているつもりか? 根拠でもあるのかよ」
 ジャンは先ほどよりもずっと明るい笑顔ではじめへと振り返る。
「根拠?」
 はじめもくるりとジャンに向き直った。
「それなりに濃厚な人生を生き抜いた、先人の経験則とでも言う奴よ」
「先人、か。ともかく、ありがとう」
 ジャンはぺこりと小さく頭をさげ、そして今度こそ足早に歩いて行った。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!

ロイド・テスタメント
主(g00112)と
★アドリブ、絡み歓迎

「ご招待ありがとうございます。私は装飾を作った者です」
こういう場は慣れているので、花嫁に言葉が届くかは分かりませんが……
「失礼を承知で言わせていただきます。本当に貴女はそれで幸せなのですか?」
周りが祝い、昔からそれが当たり前で、幸福だとは彼女自身が1番理解しているでしょう
「……貴女は1人のただの人間。そして、世界で1人しかいない存在でもあります」
家族にとっても、出会ってきた人々にとっても
「彼にとっては、貴女を半身に近い気持ちでこの宴が……嫌でしょう」
周りが止めようとしても、互いの気持ちを言える時間を貰いましょう
「さぁ、言葉にしなければ何も伝わりません」


ヴァイスハイト・エーレンフリート
ロイド(g00322)と
★アドリブ、絡み歓迎

「ドレスを気に入っていただき、ありがとうございます」
死、私は軍人の家系故に恐れぬのですが……
「1つ、神話を話させて下さい」
カンパニュラ、風鈴草とも呼ばれる意味
「神々が暮らす世界で美しい精霊が金のりんごを守っていました。そこに兵士が金のりんごを盗みます」
カンパニュラを鳴らす
「精霊は鈴を鳴らして助けを求めますが、その兵士に殺されてしまいます。花の女神はその精霊を哀れんでカンパニュラにしたのです」
ただの時間稼ぎですが
「イザベラさん、貴女の手の中にはどのカンパニュラが咲いていますか?」
生花であれ、造花であっても
想いがある花を渡す彼の花であって欲しいです


 その時まで過ごす最後の家、別荘地の1番大きな別荘の1番大きな部屋に彼女はいた。メイドに案内され、ヴァイスハイト・エーレンフリート(死を恐れぬ魔術師・g00112)とロイド・テスタメント(元無へ帰す暗殺者・g00322)はがらんとした部屋に通された。警護も、身の回りの世話をする人もいない。ただ、この地に滅びをもたらすドラゴンを慰撫するためだけに死ぬ定めの『竜の花嫁』イザベラは放置にも近い状態で、ただ座っていた。
 ヴァイスハイトとロイドが入室しても、イザベラは特に反応はなかった。その虚な目はじっと2着のドレスを見つめている。
「ドレスを気に入っていただき、ありがとうございます」
 部屋の中央辺りまで進み出たところでヴァイスハイトは貴人に接するような丁寧に礼をした。
「ご招待ありがとうございます。私は装飾を作った者です」
 ロイドも一歩主人よりも下がった位置で慇懃に礼をする。どちらかといえば、ヴァイスハイトはリラックスした様子であり、ロイドはこういう場には慣れているのか、如才ない様子で立っている。
「素敵。雲を纏っているようだし、花の妖精みたい、です。これを来て湖に行けるなんて、私には、過ぎた素敵な最期」
 虚な目のまま、イザベラは歌うように、詩を紡ぐように語る。口元には微笑みさえ浮かんでいる。
「カンパニュラの神話を知っていますか? あの花が風鈴草とも言われる意味を」
 静かにヴァイスハイトは言った。彼は軍人を多く輩出する家系の出だ。死は生のごく近くに潜んでいることを知っている。けれど。イザベラに目立った反応はないけれど、それでもヴァイスハイトは話続ける。そんな主人をロイドは背後に控え、背筋を伸ばして聴いている。
「神々が暮らす世界で美しい精霊が金のりんごを守っていました。そこに兵士が金のりんごを盗みます」
 ロイドはそっと自分が作った白いカンパニュラの造花をヴァイスハイトへと差し出した。打ち合わせなどしなくても、絶妙なタイミングで花を渡してくれる執事にヴァイスハイトは淡く微笑む。そして、造花をベルのように揺らしながらイザベラへと向き直った。
「精霊は鈴を鳴らして助けを求めますが、その兵士に殺されてしまいます。花の女神はその精霊を哀れんでカンパニュラにしたのです」
 ヴァイスハイトの言葉が途切れると、イザベラが身じろぎをした。そして、視線がゆっくりとドレスからヴァイスハイトとロイドへと向く。
「私も、神にも等しい、ドラゴンによって、生まれ変わる」
 その時、主人の背後にいたロイドが1歩進み出た。
「失礼を承知で言わせていただきます。本当に貴女はそれで幸せなのですか?」
 ロイドの声がイザベラに届く。ヴァイスハイトに向かっていた視線が横にずれて、ロイドを見た。
「幸せ、しあわせ、ですよ。ドラゴンのために生きて死ぬのが、しあ、わ、せ」
 イザベラの言葉はどんどんぎこちなく、なかなか言葉になっていかない。それは、ドラゴンが、そして周囲の人間達が課した彼女への呪縛だ、と、ロイドは思う。幸せだと思わせることでイザベラの思考を封印している。
「……貴女は1人のただの人間。そして、世界で1人しかいない存在でもあります。家族にとっても、出会ってきた人々にとっても」
 ロイドの言葉をイザベラは不思議そうな表情で聴いていた。まるで、生まれて初めて言葉を聞いた子供のように。
「世界で一人?」
「そうです。貴女にも大切な人がいらっしゃいますよね。周りが止めようとしても、互いの気持ちを言える時間を貰いましょう」
「……ジャン」
 懐かしい幼馴染の名をようやくイザベラは口にした。そこに恋心があるのかどうか、ロイドにはわからなかったが。
「イザベラさん、貴女の手の中にはどのカンパニュラが咲いていますか?」
 いつの間にか、ヴァイスハイトの手には白、青、紫、ピンクのカンパニュラの造花があった。生花を模したどの花にも美しさがあり、意味がある。
「さぁ、言葉にしなければ何も伝わりません」
 ロイドに促され、イザベラはヴァイスハイトから花を取った。彼がもつ全ての花を……未来にある全ての可能性を取りこぼすことなく手に入れようとするかのように。
 別荘を出たヴァイスハイトとロイドはパラドクストレインが待つ湖の方へと向かって歩く。薄氷が張った湖は今日も青く美しい。
「彼女は少し変わりましたね、少しかもしれませんが」
 湖よりも綺麗な蒼い瞳をもつヴァイスハイトが言う。
「少しですが、歴史を変えるには十分すぎる少しかもしれません」
 ロイドの言葉にヴァイスハイトは足を止めて振り返った。
「本当に、そうですね」
「はい」
 美しく蒼い湖は生贄を待っているかのようだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【神速反応】がLV2になった!
【温熱適応】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!

最終結果:成功

完成日2022年03月25日