チョコが紡ぐメッセージ(作者 湊ゆうき)
#最終人類史(新宿島)
#新宿島のバレンタイン
#バレンタイン2022
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●Sweet Message
「よし、こんな感じでいいかな?」
バレンタインを前にディアボロスたちが心からイベントを楽しめるようにと準備を進めているジュリオ・ヴェント(人間のレジスタンス諜報員・g03277)は、手にした箱に詰めたチョコレートを前に笑顔を浮かべる。
四角い箱の中には、包装紙に包まれた小ぶりで正方形のチョコたちが並んでいる。そのひとつひとつに違う文字がプリントされていて、チョコのプレゼントとともにメッセージが伝えられるようになっているのだ。
ジュリオが選んだのは『いつもちからをかしてくれてありがとう』という感謝の言葉。箱の空いた部分にハートや花が描かれた包装紙のチョコも添えて華やかにしてみた。
「日本ではバレンタインにチョコを贈るのが定番みたいだし、でも手作りはちょっとハードルが高いって時に、これなら手軽に贈れて、おまけに気持ちを伝えることが出来ていいと思うんだよね」
用意したのは、アルファベットやひらがなが書かれた包み紙のチョコたち。これで贈る人が自由に好きなメッセージを伝えることができる。
「素敵なバレンタインにして、また新宿島を盛り上げるんだ!」
楽しいイベントを心から楽しむことでさらにいい結果が得られるのなら、楽しむ他ないとジュリオは意気込むのだった。
●甘いお菓子に思いを乗せて
「2月14日はバレンタインなんだってね!」
ディアボロスの仲間たちを前に、ジュリオは目を輝かせて言った。こちらに来てからはお菓子なんかも食べることも増えたけれど、チョコレートのような甘いお菓子を食べる機会がほとんどなかった彼にとってそれは夢のようなイベントなのだ。
「あのね、この前のクリスマスはとっても盛り上がったでしょ? ディアボロスも新宿島に住む人もこうしてお祭りを楽しむことで、最終人類史の力が高まって、ディヴィジョンの排斥力っていうのが弱められるんだって」
楽しんで良い結果が得られるなら願ったりだとジュリオは満面の笑みを浮かべる。
「愛を誓う日とも言われてるけど、大切な人に想いを伝えるいい機会だと思うんだ。だから、手軽にできるように準備してみたよ!」
ジュリオが用意したのは、包装紙に包まれた小ぶりな正方形のチョコ。その包み紙にそれぞれアルファベットやひらがなが一文字ずつプリントされている。文字の他に記号やちょっとしたマークや動物の絵が描かれているものもあるようだ。
「みんなの気持ちを文字に託すんだ。こうして箱に入れてもいいし、瓶とか袋に入れてもいいと思うよ」
そうして見本として箱に詰めたチョコを見せる。
「文字を選んで詰めるだけだから難しくはないし、大好きな人に渡すのはもちろん、ちょっとしたお礼に感謝の気持ちを伝えるのにもいいと思うんだ」
新宿島の人たちにみんなから配るのもきっと喜ばれるよね、とジュリオはハロウィンやクリスマスを思い出して言った。
「イベントを盛り上げることで戦いが有利になるのも事実だけど、でもやっぱり心から楽しむことが大事だよね。だから、みんなで一緒にバレンタインを楽しもうね!」
それじゃあ、準備してある場所に案内するね、とジュリオはディアボロスたちへと満面の笑みを浮かべるのだった。
リプレイ
ジェト・ネヘフ
チョコでメッセージを作る……なるほど。いい考え、私もやる
何故バレンタインにチョコなのかは何となく、すまほと『夢』に聞いたので理解はしてる
……まあチョコ美味しいし、わかる
さて、今回は新宿島の皆や友達にあげようと思う
友達にも新宿島の皆にも、いっぱいあげたいから
少な目の文字数で量産したい所
と言うわけでメッセージはこれ
あ、でも文字の色とか変えて、被らない様に
縦3個、横3個で正方形の箱へ
いつも
ありが
とう✿
こういう感じに詰める
お花は別のマークに変えても良き
あ、箱も種類があるなら変えてみたい
ドライフラワーも添えておこう
なんだか楽しくなってきた
仕上げは真心と一緒に、おいしくなあれをかけまして
……完成
うん、満足
●チョコレートが見せる夢
街中が甘い香りに包まれるこの時期。2月14日は世界各地で「愛を誓う日」や「恋人たちの日」として祝われているバレンタインデーというお祭りの日。
ここ新宿島においては日本式であるチョコレートを贈るという習慣が定着しているのだという。
「チョコでメッセージを作る……なるほど。いい考え、私もやる」
時先案内人の少年に案内された場所で、包み紙に様々な文字が書かれたチョコを前にジェト・ネヘフ(白昼夢・g01750)はこっくりと頷いた。
そもそも何故バレンタインにチョコなのか。
それは魔術で強化された支給品である愛用の【すまほ】で得られた知識と『夢』に聞いたことからなんとなく理解はしている。
それになにより。
「……まあチョコ美味しいし、わかる」
甘くて口の中でとろけるこのお菓子が万人に愛されるのも納得だ。
そんな贈られて嬉しいチョコにメッセージを込めて。新宿島の皆や友達に渡したいとジェトは考えたのだ。
できればたくさんの人々の手に渡ってほしい。だから添える文字は少なめでも数をたくさん作りたいところ。
文字ごとに分けられたチョコたちの中から、ジェトは目的の文字を見つけて、正方形の箱に詰めていく。
「うん、こんな感じ」
縦3つ、横3つに並べた文字は、『いつもありがとう』。これなら8文字なので、最後に花が描かれた包装紙のチョコを詰めておく。
「箱にもぴったり。たくさん作っていこう」
せっかくならと花の部分は星やハート、動物などに変えたり、箱の色もたくさんあるようなので変えてみる。
「文字の色も変えて、被らないように」
感謝を伝えるメッセージは同じだとしても、アレンジを変えた世界に一つだけのチョコの贈り物をたくさん作っていく。
「うん、ドライフラワーも添えておこう」
少しずつアレンジを変え、どんどん完成していく箱詰めチョコに、ジェトもなんだかわくわく楽しくなってきて。
夢は愛であり、未来であり、想いだと信じているジェトにとって、チョコもまた夢の一つなのかもしれない。
最後の仕上げに真心こめて、おいしくなあれをかけておいて。
「……完成」
出来上がったラッピングされたたくさんのチョコを前に、ジェトは満足げに頷くのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【植物活性】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
トーマス・リー
「勤労感謝のような気がするが、まあいいか」
場所は旅団管轄下の新宿島駅。
自分をリターナーとして蘇生? させた人? に対してチョコを持っていく。まあ今でも色々している割に蘇生させて貰った日以降見たことないけど。
「マリー? ああ、お前の分もあるよ。ほい」
●感謝の形
この時期に人々がバレンタインで盛り上がるのは新宿島でも同じらしい。刻逆によって記憶をはじめ、全てを奪われたトーマス・リー(復讐者【アヴェンジャー】・g00766)にとっても、それは理解できることだった。
日頃の感謝の気持ちを込めてチョコレートを渡すというアイデアに、なるほどと思ったトーマスもそうしてバレンタインに備えてチョコレートを用意したのだ。
「感謝は感謝でも、勤労感謝のような気がするが……まあいいか」
現代地球出身のトーマス――これも記憶がないため本名でないようだが――は、刻逆以降の記憶は朧げで、気が付いた時には、時空鉄道会社メモリーラインの車掌という身分を与えられていたのだった。この身体も以前のものとは違い、リターナーと呼ばれる死から蘇ったもののようだ。そうなれば、おそらく自分を蘇生させた人がいるはずだと、トーマスはその人物に対してチョコを持っていくことに決めた。
「まあ今でも色々している割に、蘇生させて貰った日以降見たことないけど」
旅団で管轄している新宿島駅にて、その人物を探そうとトーマスは歩き回る。
トーマスの服装は車掌という身分に相応しい鉄道職員の制服。灰色の上下のスーツにネクタイ。襟や袖、車掌帽には黄色のラインが引かれていて、与えられた身分ではあったが、今やすっかりそれを着こなし、様になっている。
「探すといっても、手掛かりがないと難しいか……」
ある程度思いつくところを歩き回ってみたが、目的の人物は見つからなかった。だが、そのうちひょっこり会えるかもしれないし、何より渡そうと思ったそのことこそが、きっと大切なのだ。
そんな彼の背後から、ズボンをスカートに変えたトーマスと同じ制服姿で、もの言いたげに見つめる影があった。
「マリー?」
オラトリオの『マリー』が、ちらちらとトーマスの手にしたチョコに視線を送っている。
「……ああ、お前の分もあるよ。ほい」
視線だけで察したトーマスは、制服の腰に下げているポシェットから、ラッピングされた包みを取り出した。
それを嬉しそうに受け取るマリー。大切そうにもらったチョコを胸に抱きしめる。
自分を支えてくれる存在として、マリーにも感謝しているのは確かなのだから。
「さ、もう少しだけ探してみようか」
そう言って、トーマスはまた駅の中を歩き出したのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
陳・桂菓
光があれば陰もできる。
復興が進んである程度豊かになった新宿島とはいえ、支援の行き届いていない地域、人々というのはある。
私はそういう区画に赴き、用意できるだけのホットチョコレート(ココア)を振る舞おうと思う。なるべく多くの人に行き渡らせたいので、どうしても少量ずつにはなるが。
往々にしてそういう場所は治安があまりよろしくないものだが……まあ、私は復讐者だ。傷一つでも負わせるほどの者なら、むしろ復讐者としてスカウトしたいくらいだ。
仮に順調に人類史を取り戻せたとして、全ての人々が満ち足りるような、平和に暮らせる世界になるかといえば……いや、今は考えまい。
私なりに、できる範囲で人々に温もりを分けよう。
李・令震
(サポート)
●人物
クールな振りして熱血漢。ストイックに見えて大食漢。脳筋ではないが、やや天然気味。なにを食べても美味しいと感じる幸せ舌だが、語彙が乏しいので「うまい」以外の感想は言えない。
●ちょこをつくるとき
意味もなくパラドクスを使い、LV10の各種残留効果も駆使して、派手なアクションを交えて作る。
「巧克力(チョコレート)作りも武道も基本は同じだ。たぶん……」
●ちょこをたべるとき
辛口評論家(?)になる。
「俺は忖度やお世辞は苦手なんだ。たとえ空気が悪くなろうとも、不味いものははっきりと不味いと言わせてもらうぜ」
↓
「うまい」
「うまい!」
「うまい!!」
「どれもうまい!!!」
※煮るな焼くなとご自由に扱ってください
●チョコに温もりを添えて
(「光があれば陰もできる」)
それはどの時代の世界にも通じる自然の理。
復興が進みつつある新宿島を歩きながら、陳・桂菓(如蚩尤・g02534)はそんな思いを胸に抱きながら辺りを見渡す。
帰還した人々が増えれば、いかに残留効果の恩恵で本来の生活水準が保たれている状況といえど、支援が遅れたりまだ行き届いていない地域というのも少なからずあるだろう。そんな場所へと桂菓は出向き、バレンタインらしい炊き出しを行おうと思ったのだ。
「一緒に来てくれて助かった。一人では手が回らないこともあるからな」
「いや、礼には及ばん。こうして市民たちがバレンタインデーを楽しむことができれば、最終人類史の力が高まるというのも、俺たちにとって心強い話だからな」
桂菓の手伝いも兼ねて一緒にやってきた李・令震(飛天大虫・g03313)はクールに頷いて見せた。
街の様子が荒廃しているなどということはないが、以前と違う生活に何かと人々はストレスを抱えているはずだ。殺伐とした空気に、治安が悪くなったりもするだろう。
広い公園にアイテムポケットなども活用して用意してきた調理器具を広げ、桂菓はホットチョコレート作りを始める。
(「このような場所に、ささくれた心の持ち主が現れたとしても……まあ、私は復讐者だ。傷一つでも負わせるほどの者なら、むしろ復讐者としてスカウトしたいくらいだ」)
チョコレートを刻みながらそんなことを考えていた桂菓の隣で、令震もまたチョコレートを刻んでいるのだが、必要以上に派手なアクションを交え、包丁が踊るとチョコが次々刻まれていく。
「巧克力作りも武道も基本は同じだ。たぶん……」
現在の中国では巧克力と書くチョコだが、令震はチョコを齧れば『巧技を以て困難に打ち克つ力』が湧いてくるから納得だと桂菓にも説明していた。
大きな鍋に牛乳を温め、そこに刻んだチョコを溶かせば、あっという間にホットチョコレートの完成だ。カップに注ぎ、マシュマロを添えてみれば素敵なバレンタインの贈り物として喜ばれること間違いなし。
「甘い香りで人々が気づいてくれればいいんだが……あとは、たくさん人が来たら全てに行き渡るかが心配だな」
「それなら問題ない。口福の伝道者の効果を用いれば数の心配はいらない」
「そうか……ディヴィジョンで戦いに明け暮れていると、つい忘れてしまう」
桂菓の思いは杞憂に終わり、ほっと胸を撫でおろす。
「では、俺が味見を兼ねていただこう。だが、言っておくが俺は忖度やお世辞は苦手なんだ。たとえ空気が悪くなろうとも、不味いものははっきりと不味いと言わせてもらうぜ」
ホットチョコレートを手に取った令震が、ゆっくりとカップを傾ける。
「……うまい」
そうしてもう一口。
「うまい!」
そうしてすっかりカップを空にして最後に一言。
「うまい!!」
「それは良かった」
思わず笑いをこらえる桂菓。
辛口評論家ぶった令震だが、何を食べても美味しいと感じる彼にはホットチョコレートもその例に漏れなかったようだ。
そうして口福の伝道者の効果でたくさん用意できたホットチョコレートを、現れた人々に配っていく。
「もらっていいの? ありがとう!」
「いい匂いがしたから来たんだよ」
「あー、仕事の疲れが飛んでいくぜ……」
人々はホットチョコレートを受け取り、それを飲んでは笑顔になって帰っていく。人々が宣伝してくれたのか、その後もホットチョコレートを求める人が後を絶たなかったが、混乱なども起きずたくさんの人にホットチョコレートを配ることが出来た。
ふと、人波が途絶えた時、公園に差す明るい日差しにできた影を見て、桂菓はぽつりと呟いた。
「仮に順調に人類史を取り戻せたとして、全ての人々が満ち足りるような、平和に暮らせる世界になるかといえば……」
ここにいる人々を笑顔にすることは出来た。けれど、見えないところにも不便や不満を抱える人々はいることだろう。その全てに手を差し伸べるというのは、難しいことだとわかっている。言ったものの、それは今考えても仕方ないと桂菓は考えを打ち消すように首を横に振った。
「俺も時先案内人として事件の説明をするが、全ての起こっている事件を案内できるわけじゃない。一人一人にできることは僅かでも、その積み重ねがきっと過去を取り戻すことに繋がっていくはずだ」
「……そうだな。全ての人に同時に手を差し伸べることは出来なくても……私は、私なりに、できる範囲で人々に温もりを分けよう」
少なくとも戦神の末裔と称され、武人として誇りを持って生きてきた桂菓が、戦い以外のことにおいてもこうして人々に笑顔と温もりを与えられているのだから。
「ああ、今は自分たちにできることを一つ一つ、だ」
その日振舞われたホットチョコレートの味を、バレンタインの季節が来るたびに、人々はきっと思い返すだろう。
――自分たちに寄せられた温かい気持ちと共に。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【士気高揚】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!