リプレイ
ソラス・マルファス
兄貴(g00862)と
互いに妻へ贈る扇子を作るってことで、兄貴を誘って参加しに来たぜ。
まぁ、まだ取り返せちゃいねぇが、せっかくの機会だからな。
布張りの扇子にするぜ。大輪の百合の周りに、コスモスが咲いている柄にしよう。うちのは可愛らしくて煌びやかなのが好きだったんでね。
妻はリリアンって名前でな。兄貴の奥さんと同じ由来だからか、仲も良かったんだ。
贈るまで長くかかるかも知れねぇし、少し丈夫に作っておくか。これでも手先は器用でね。
兄貴は……苦戦中か。
「機械弄りの方がよっぽど難しく思えるがねぇ。似た感覚で何とかならねぇもんかい?」
贈れるまでは……そうさな、お守り代わりに持っておくさ。
ラウム・マルファス
ソラ(g00968)と
「こーいうの、苦手なんだヨ。照れるデショ」
むーって口を尖らせつつ、布扇子を作る材料を用意
小さく白百合の花が一輪だけ描かれたのにしよウ
百合花。妻の名前サ
流石に材料集めてからは、むくれずに扇子作るヨ
とはいえお裁縫とかアイロンとか、あんまりやったこと無いんだけどナ
機械と同じようにかァ
できそうだケド、それなら何か機能つけたいナ
広げてスイッチ押したら自動で仰ぐようにできないカナ
駆動の仕組み付けて、薄型バッテリー貼りつけて重量ギリまで削って……んー、布二枚張って間にフィルムデバイス仕込むカ
今はコレで精一杯
あとでじっくり改良しよウ
アハ、ちょっとだけ渡すのが楽しみになっタ
アリガト、ソラ
「俺はこいつにするぜ。兄貴、決まったか?」
ソラス・マルファス(呪詛大剣・g00968)は、兄を振り返った。
手には、大輪の百合の周りにコスモスが咲く柄の布を持っている。
「うん。ボクはこの布にするヨ」
ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)も、布の山から顔を上げた。
選んだ布には、白百合の花が、小さく一輪だけ描かれている。
「けどボク、こーいうの、苦手なんだヨ。照れるデショ」
席へ布を運びつつ、ラウムはむーっと口を尖らせた。
「それでも一緒に来てくれて、俺は嬉しいぜ?」
「むぅー」
ソラスも、にかっと笑ってラウムの隣の席へ着く。
この企画を見付けてきたのは、ソラスだった。
ラウムは、ソラスに誘われて参加したのである。
「これで材料は揃ったカナ?」
「あぁ、じゃあつくり始めるか。まずは、布を切らないとだな」
大輪の百合と白百合が中心へくるように、それぞれ型紙を置いた。
ペンでかたちをとり、はさみで切る。
「ふぅっ、なんとか切れたヨ」
「こっからが細かい作業になるんだな」
「ボク、お裁縫とかアイロンとか、あんまりやったこと無いんだけどナ」
お手本にと折られた布を手にとり、丹念に観察するラウム。
不安を口にしながらも、自分の布の折り方を頭のなかでシミュレーションしてみた。
「表裏さえ間違わなけりゃ大丈夫だろ」
山折りと谷折りに注意しながら、ソラスは端から布を折りすすめていく。
丁寧に折って、アイロンをあてて、また折って、アイロンをあてて。
手先の器用なソラスには、これくらい朝飯前なのだ。
「今度はこっちから……よし。兄貴は……苦戦中か」
反対側の端まで辿りついたソラスは、ラウムの手許に目を向ける。
慣れない手つきで、中心の花の辺りを折ろうとしていた。
「機械弄りの方がよっぽど難しく思えるがねぇ。似た感覚で何とかならねぇもんかい?」
「機械と同じようにかァ」
ラウムはちょっと、考えてみる。
「できそうだケド、それなら何か機能つけたいナ。広げてスイッチ押したら自動で仰ぐようにできないカナ? 駆動の仕組み付けて、薄型バッテリー貼りつけて重量ギリまで削って……んー、布二枚張って間にフィルムデバイス仕込むカ」
布や骨組みをいろいろな角度から眺めながら、構想を巡らせて。
型紙を裏返すと、設計図を書き始めた。
楽しそうな兄の姿に、弟は一安心。
「さて。俺も自分のをすすめるか」
広げた骨組みのうち真ん中の1本に、布を接着するソラス。
この絵柄は、自身の妻が好きだろうと考えて選んだものだ。
可愛らしくて煌びやかなものを好んだ、愛しいリリアン。
百合の花を意味する《lily》が名前の由来だと、教えてくれた。
「上下はギリギリ、左右は布を余らせるんだな」
しっかりと折り目を付けながら、最後の1本まで貼り終えたら。
はみ出た布を切り、ほつれたりはがれたりしないように仕上げていく。
「完成だな。兄貴、どうだ?」
「うん、今はコレで精一杯。あとでじっくり改良しよウ」
ラウムの扇子からは、なにやら電子部品が見え隠れ。
ひとまず、この場でできることは済ませたようだ。
「アハ、ちょっとだけ渡すのが楽しみになっタ。アリガト、ソラ」
ソラスに同じく、ラウムも自身の妻である百合花へ。
同じ花の名前が由来のリリアンと百合花は、とても仲がよかった。
勿論、ソラスとラウムの兄弟も仲よし。
4人ともがそれぞれと、とてもよい関係を築いていたのだ。
「こっちこそありがとうな、兄貴」
たたんだ扇子は、紐で縛ったまま一晩置いておくと綺麗にできあがるらしい。
すぐには贈れないから、可能な限り丈夫につくったつもりだ。
(「贈れるまでは……そうさな、お守り代わりに持っておくさ」)
大切に、心を籠めてひと撫でして、扇子用の袋へ入れる。
「片付けもこれでいいカナ? さぁソラ、帰って改造の続きをするヨ」
「あぁ、どんな扇子になるのか楽しみだぜ」
ふたりは、店員に挨拶をして、店をあとにしたのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
平良・明
ひとりになれる時間がほしい、でも行事にも少しくらいは触れていたい
……自分でもなんだか、どうしようもない奴だと思います
誰かに送る予定もありませんが、何か作りましょう
白檀扇子みたいなものが作れたらいいなと、思いつつ
本物の白檀でなくとも、香りつけされた木とか竹とか
そういうもので作っていきます
何を作るかの前に、何を思って作るかが大事と、最近思います
自分の手が加わったものには、どうしても自分の気配が残る
変な事を考えると、それがそのまま出てしまう
自分に変な癖があれば、どうにかしたいものです
素材は店の方に選んで頂いて
しっかり手順を覚え、板と板を紐通し、繋げましょう
何ができるかなぁ……
(「これが最後の1枚ですね」)
店の、いちばん奥の作業机で。
平良・明(時折の旅行者・g03461)は独り、作業に励んでいた。
ひとりになれる時間がほしい。
でも、行事にも少しくらいは触れていたい。
そんなことを考えながら新宿島グランドターミナルへ戻ったときに、この企画を耳にしたのだ。
誰に贈る予定もないが、手を動かすことはきらいじゃない。
(「……自分でもなんだか、どうしようもない奴だと思います」)
黙々と、木製の板の表面を磨いている明。
挑戦しているのは、板の上下を紐で繋ぐつくり方である。
明は入店時、店員に「白檀扇子みたいなものを作りたい」と申し出たのだ。
しかし残念ながら、店に本物の白檀は置かれておらず。
検討の結果、香木を使うことになった。
店員が選んでくれた香木だが、扇子に使うことは想定外。
ゆえにまずは、香木を扇子の部品の大きさや薄さにするところから始まった。
(「何ができるかなぁ……」)
木の板を繋げた扇子なんて、見たことがない。
扇子になるのか、はたまたまったく別のものができあがるのか。
それはそれで楽しみだと、明は思う。
(「何を作るかの前に、何を思って作るかが大事、か……」)
最近、こんなことを考える機会が増えたような気がしていた。
自分の手が加わったものには、どうしても自分の気配が残る。
おかしなことを考えながらつくったものには、考えがそのまま出てしまう。
(「自分に変な癖があれば、どうにかしたいものです」)
なにかをつくるには、つくっているなにかと真剣に向き合わなければならない。
そして、それをつくっている自分と、向き合わなければならない。
どんなものをつくりたいのか。
それをつくることで、どんなことを成し遂げたいのか。
自分の満足のためなのか、誰かになんらかの感情を抱いてほしいのか。
考えれば考えるほど、ものづくりの奥深さを感じる。
(「うん、綺麗に削れた」)
だから目の前のことをひとつひとつこなしていくしかないのだろう。
並べた木材を眺めて、明は微笑みを浮かべる。
上下に穴を開けて、紐で繋いで。
気持ちの籠もった扇子を、完成させたのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!
白水・蛍
アドリブ歓迎
誰かにあげるかはわかりません、が。
お世話になった人を思い浮かべつつ作りましょう。
扇子の紙に魔よけの陰陽師の語句とか書きまして。
邪魔をしない程度に色を和紙でつけたりして。
香も仕込めるならそっと魔よけの香も仕込みます。
爽やかな香りとかの方がいいでしょうかね……
そこまでアイデアが思い浮かぶわけでもないですので……
うんうん唸りながら最終的に何とか作り上げました。という感じです。
どうかご無事でと思わんばかりですわ。
「こんな感じでしょうか」
静かに、白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は筆を置いた。
いま、型紙への下書きが終わったところだ。
これから扇子に書く文字や和紙を貼る位置を、ざっと記している。
「喜んでいただけるでしょうか」
とは、呟いたものの。
渡すか否かは、実はまだ決めかねている。
だが、思い浮かべている人はいるのだ。
お世話になった人への感謝の気持ちを、扇子に託す蛍。
それでも、相手がいるからこその難しさもある。
まずもってどんな文句がよいのかと、うんうん唸りながら考えた。
結果、陰陽師が使う魔よけの語句に決定。
すると次は、その文字を扇子の何処へ、どのくらいの大きさで書くかが問題となる。
(「大きく真ん中に書くのがよいでしょうか。それともさりげなく端へ?」)
店員に紙をもらい、いろいろ試し書きをしてみた。
これを扇子にあてながら、最適解を探す。
(「これ、でしょうか」)
いちばんしっくりしたものを型紙に写したら、装飾へと考えを移す。
邪魔をしない程度に、和紙で色を付けるつもりだ。
「あの、店員さん。和紙を見せていただきたいのですが」
「承知いたしました。ご案内します」
店員について、和紙が収められている棚へ。
蛍は、店員から説明を受けつつ、じっくりと和紙を選ぶ。
あまり厚いと折りたたみにくくなるとのことで、薄手の和紙を。
自身の髪飾りに似た淡い新緑色と、温かみも感じられる桜色を選んだ。
下書きの大きさと形に切り、実際に置いてみる。
(「よさそうですね」)
そうすると蛍は、実際の扇子に語句を書き、和紙を貼った。
更に、そっと魔よけの香を仕込む。
思い浮かべる人には、爽やかな香りが似合うと思う。
「これで完成、でしょうかね……」
たくさん考えて、たくさん試して、なんとかカタチにできた。
(「どうかご無事でと、思わんばかりですわ」)
蛍は最後に、心からの祈りを籠めるのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
天破星・巴
アドリブ大歓迎
贈る:白水・蛍(g01398)呼び方:蛍
偶然通りがかり興味を惹かれて作ることに
ふと扇子が似合いそうな友が思い浮かび友に合わせた扇子を作る
完成したが特に渡す約束している訳でもないしと思い帰ろうとしたら
とうの相手にばったり遭遇
同じ行動をしていて思わず笑みがこぼれる
出会って半年だが仲の良さは積み重ねた年月で決まるものではないようだ
扇子を贈られ:今日という良き日の記念に大事にさせてもらうのじゃ。蛍、良き友を持ててわらわは幸せ者じゃ
蛍の想いが籠った破魔の扇、ご利益がありそうじゃ
贈る扇子:白紙に花鳥風月の文字、花鳥風月になぞらえ桜・三日月型の和紙を貼り付け、鳳凰が書かれ、香り付がされた物
白水・蛍
贈る:天破星・巴(g01709)
呼び方:巴
作った扇子を渡そうかどうか悩んでいる。
特に約束したわけでもないですけど……せっかく作ったので……と。
もやもや悶々と悩んでたところに巴とばったり遭遇。
話をしてお互いに同じ事を考えていた事が判明。
思わずきっと笑ってしまう事でしょう。
だって、お互い同じ事考えてたんですものね。
判明後、作った扇子を交換しましょう。
ありがとうございます。巴。大事にしますね。
巴からの贈り物の扇子:巴の気持ちがこもっておりますのね。本当にありがとうございます。嬉しいです。
……感極まって泣きそうになると思います。
巴に贈る扇子:①の選択肢で作ったもの。魔よけの文字は九字。
「ありがとうございました」
会釈をして、白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は雑貨店を出た。
手には、いましがた完成した扇子を握りしめている。
(「どうしましょう……」)
できあがってもなお、蛍は迷っていた。
(「特に約束したわけでもありませんし……けどせっかく作ったので……」)
渡したい、けれども私からの贈りものなど迷惑なのではないか。
いっそこのまま、自分で持っていようか。
そんなふうに、もやもや悶々と悩みながら歩いていた。
「蛍?」
うしろから、名前を呼ぶ声。
(「この声、若しかして……」)
足を止めて、ゆっくりと振り返った。
「お、やっぱり蛍じゃった」
「巴……」
蛍は、驚きに目を丸くする。
そこに、天破星・巴(反逆鬼・g01709)がいた。
ずっと巴のことばかり考えていたから、ついに巴の幻を視てしまったのかと。
本当に一瞬、そんな考えがよぎったくらいに。
「実はの、蛍に渡したいものがあるんじゃ」
そう言うと巴は、鞄から和柄の布袋をとり出した。
このカタチやサイズには、蛍も覚えがある。
持ったままにしていた扇子を、咄嗟に鞄へしまう蛍。
「私にいただけるんですか?」
「そうじゃ、もらってくれると嬉しい」
受けとると、蛍は袋から中身を抜き、ゆっくりと開いた。
白紙に、堂々と《花鳥風月》の文字が記されている。
加えて桜と三日月をかたどった和紙が貼られ、大きく描かれた鳳凰。
甘い、仄かな香りも漂う。
「この扇子、若しかしてあの雑貨店で?」
「知っておったか。今朝、あの雑貨店の前を通りがかってのぅ。興味を惹かれて作ることにしたんじゃ」
「そうだったのですね」
「誰に渡すか考えていたら、ふと《扇子が似合いそうな友》が思い浮かんだのじゃ」
「それが……」
「蛍じゃよ」
「っ……」
「特に渡す約束をしている訳でもなかったからのぅ。買いものを済ませて帰ろうとしていたところじゃった。会えてよかったのじゃ」
「巴の気持ちがこもっておりますのね。本当にありがとうございます、巴。嬉しいです。大事にしますね」
思わず、感極まって泣きそうになる蛍。
熱くなる目頭に指をやってから、自身も鞄から布袋を差し出した。
「あの、実は私も、巴に渡したいものがあるんです」
色や柄こそ違えど、つい先程、自分が渡したのと同じカタチのもの。
「なるほど、それで知っておったのじゃな」
「はい。あの、私も渡そうかどうしようか迷っていて……ご迷惑でなければ受けとっていただけませんか」
「迷惑な訳がなかろう」
巴も、受けとった蛍の扇子を開いてみた。
堂々と書かれた《九字》の文字に、新緑色と桜色の和紙が貼られ、爽やかな香りが広がる。
「蛍の想いが籠もった破魔の扇、ご利益がありそうじゃ。今日という良き日の記念に、大事にさせてもらうのじゃ。蛍、良き友を持ててわらわは幸せ者じゃ」
「ありがとうございます。私も幸せです、巴」
今度は笑顔で、蛍も巴に応えた。
「出会って半年じゃが、仲の良さは積み重ねた年月で決まるものではないようじゃの」
「はい。これからもよろしくお願いいたします」
「もちろんじゃ。よろしくの、蛍」
「あの、巴。せっかくですので、チョコレートのお菓子など食べにいきませんか?」
「うむぅ……蛍とならよいかのう」
互いの扇子を手に、巴と蛍は、ふたりで喫茶店へと向かうのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【温熱適応】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
杏・紅花
明サン(g03461)と!
街全体にあまいかおりが満ちてる
足どりかるく街をぶらつけば、和風雑貨屋さん!
かわいいなあ、新宿ってほんとなんでもある
…お?
店をのぞきこんだらあの背中
明サンはっけん!
うしろから声掛けたらびっくりするかな、んふ
…いやまてよ、殴られたら怖いぞ
声はかけずに、鈴を鳴らして、りんりん
気づいてくれるかな
ふふん
ほんふぁが来たよお
ぽんと叩かれるままに扇子受け取って
……えへ。たまたまでも、うれしい
だってたまには気づいてほしいじゃん
チョコレート!犬も歩けば棒に当たるだっけ(ちがう)、街歩きしてよかったあ〜
よ、弱虫じゃないもん、慎重になったって言うの!
平良・明
ほんふぁさん(g00365)と
作ったのはいいものの、どうしましょう
例えば、日頃お世話になっている方
数名思い浮かびはしますがここには居なく
……この鈴の音は?
振り返ればきっといます、あのガキンチョが
今日は妙におとなしい、とか思いつつ腕を突き出し
気がついてほしいなら、声をかけなさい
と、作った扇子で頭をぽんと叩いて
そのまま、この扇子あげます
折角なのでチョコレートは一緒に食べましょう
まんまるい、赤銀紙につつまれたやつ
苺かな、苺っぽい、たぶん苺
……さっき、殴られるかもとか思ってたでしょう、弱虫
「ふんふんふ~んふ~ん♪」
鼻歌まじりに足どり軽く、杏・紅花(金蚕蠱・g00365)はあてもなく街をぶらついていた。
何処へ行っても、何処までも、街は甘い香りに満ちている。
「かわいいなあ、新宿ってほんとなんでもあるんだね」
幸せな気分に浸りながら、ウィンドウショッピングを楽しんでいると。
「……お?」
和風雑貨店の奥に、見慣れた背中を発見した。
「明サンはっけん!」
ぶらぶらしていて知り合いに会うと嬉しくなるのは、何故だろう。
(「うしろから声掛けたらびっくりするかな、んふ……いやまてよ、殴られたら怖いぞ」)
なぁんて算段をしつつ、店内へ。
迎える店員に小声で事情を説明して、そろりと目標の背後へまわった。
(「声はかけずに、鈴を鳴らして、りんりん。気づいてくれるかな」)
赤い紐を持ち、金色の鈴を優しく揺らす紅花。
(「ふふん。ほんふぁが来たよお」)
店内の者達は皆、なにかを察したようで、静かに見守ってくれている。
「……この鈴の音は?」
だから唯一、平良・明(時折の旅行者・g03461)が鈴の音に反応した。
聞き覚えのある音色に、ゆるりと顔をあげる。
りんりん、りんりん、と、うしろから繰り返し鳴る美しい鈴音。
(「振り返ればきっといます、あのガキンチョが。今日は妙におとなしい……」)
椅子を引き、立ちあがって振り向く明。
完成したばかりの扇子で、紅花の頭をぽんと叩いた。
瞬間、ふわっ……と心地よい香りが広がる。
「気がついてほしいなら、声をかけなさい」
「だぁってぇーっ!」
冷静な明と元気な紅花のやりとりは、なんだか微笑ましい。
「この扇子、ほんふぁさんにあげます」
「え、いいの!?」
「はい。作ったはいいものの、差しあげるあてがありませんので。ここでお会いしたのも、なにかの縁でしょう」
頭に乗る扇子へと紅花が手をやると、反対に明は手を離した。
胸の前までおろしてから、扇子を開く。
「……えへ」
「どうしましたか」
にまにましている紅花に、問わずにはいられなかった。
「たまたまでも、うれしい」
「まぁ、ほんふぁさんにも日頃お世話になっていますからね」
「あたしに気づいてくれて、ありがとう」
紅花は首を右に少し傾けて、にっこりとお礼を告げる。
「どういたしまして」
明も、微笑みを返した。
「折角なので、チョコレートは一緒に食べましょう。片付けますから、そこに座って少し待っていてください」
「分かったの!」
独りで作業をしていた机の向かいの席に、紅花が座る。
孤独を求めていたはずなのに、紅花はすんなりと、入り込んできた。
(「いやじゃないな……」)
と、ふと思う。
机上をきれいにしたら、明は鞄から、まんまるい赤銀紙に包まれたチョコレートをとり出した。
「可愛い! これ、チョコレート!?」
「苺かな、苺っぽい、たぶん苺」
「犬も歩けば棒に当たるだっけ、街歩きしてよかったあ〜いっただっきまーす!」
赤銀紙を開いて、はむっとチョコレートを口に入れる。
紅花の表情が、それまで以上に緩んだ。
明もひとつかじって、紅色の中身を確認して、ふたくち。
甘酸っぱい優しさを味わう。
「……さっき、殴られるかもとか思ってたでしょう、弱虫」
「よ、弱虫じゃないもん、慎重になったって言うの!」
「ふふっ、そうですね」
窓から射しこんでくる西日が、とても暖かかった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】LV1が発生!
【口福の伝道者】がLV2になった!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【凌駕率アップ】がLV2になった!