リプレイ
テクトラム・ギベリオ
ダンジョンと聞いて来たが案内人の言う通り素朴で平和そうな集落だ。
そしてあれがファイアリザード…厳つさの割に敵対心は無いとの事だが。
さて。怪しいのは居住エリアだったか。
【モブオーラ】で周囲に紛れ、静かに【情報収集】をしよう。
遠目に集落を見た通り畑に畜産か。生活水準もそれなりに高く、意外と働き者なのだな。
平和に暮らしているのであれば良い事だ。
ここ以外でリザード達が居る場所は…と、先ほどから良い匂いがする。
食事の準備だろうか?なるほど調理場か。
調理場で働いている者の様子を伺いつつ【モブオーラ】で気配を消しながら会話を聞く。
必要そうであれば、そのまま調理場の者の後をつけてみよう。
アドリブ歓迎
シャムス・ライラ
仲間と情報共有、連携
【地形の利用】【情報収集】で
大まかな地形や会話等からまずは集落の情報を
人目につかない経路で【忍び足】
場所が判明したら、可能なら件の建物も調査
※以上はひたすら潜み、見つからない範囲で行う
後は会話から引き出すしか…
香辛料、調味料等を持ち込み
住民(?)に【モブオーラ】【友達催眠】で商人を装い会話を
「私、旅する商人でして
勿論売る方も物々交換有り
調味料等扱っております
どれも自慢の一品で…
こちらに調理を職業にしている方はおいでですか?」
と営業、調理場に近づく
上手く潜り込めたら
献上用の皿に「客の訪い」で【契約】【召喚】した
極小カメレオン(約2.5cm)をそっと忍ばせ
秘密の出入り口探索を
クラウ・ディークラウ
なんだか平和そうな、雰囲気
ファイアリザードたちも、前向きな感じでお仕事してる、ね
敵対的じゃないなら、普通に話も、できる……?
(屋久島ダンジョンみたく、できれば友好的に進めたい気持ち)
(もし可能なら先に回り込んだり浮遊したりで
件の建物付近だけでも確認し、香りを知ってから行動
改めて、正面から集落へ)
はじめ、まして
近くを通ってたら、立派な畑や畜舎、見えたから……
気になって、寄らせてもらった
(反応もらえるなら作物を褒めたりしつつ少しお話)
なんだかあっち、いい匂い……お料理中?
美味しそうな作物、どんな料理になるのか気になる、かも
見学とか、ダメ?
(見学の形なら聞き取り調査等自然にできないかな、と)
●蜥蜴人の集落にて
第一層の最深部を進むこと暫し、三人の復讐者が辿り着いた集落には牧歌的な眺めが広がっていた。
「ここが火焔山ダンジョンの第二層ですか」
「ああ。案内人の言う通り、素朴で平和そうな場所だな」
シャムス・ライラ(極夜・g04075)の言葉に、テクトラム・ギベリオ(砂漠の少数民族・g01318)が頷いた。
彼らが眺める先、洞窟の天井からは光が降り注ぎ、それを作物が畑のあちこちで浴びている。
畑の向かいに設けられた建物からはニワトリの声が聞こえた。恐らくは畜舎だろう。
「畑に畜産か。生活水準もそれなりに高く、村人も働き者なのだな」
テクトラムは生産エリアを遠目に眺めながら、つぶやく。
広々とした畑や建物のあちこちでは、仕事に勤しむファイアリザード達の姿が見えた。
皆、自分達の作業に忙しいのか、モブオーラを発動したテクトラム達に気づいた様子はない。
「ふむ。平和に暮らしているのであれば良い事だ」
「皆、前向きな感じでお仕事してる、ね」
クラウ・ディークラウ(遮る灰色・g01961)は精を出して働く村人達を眺め、頷いた。
彼ら蜥蜴人の働くエリアの奥に目を向ければ、石造りの建物が並ぶ居住エリアがある。
探索目標である、第三層への秘密通路。その出入口が、あのどこかに隠されているのだ。
「油断せず行きましょう。たとえ平和でも、私達にとっては敵地ですから」
シャムスの言葉に、テクトラムとクラウは首肯を返す。
「よし。まずは居住エリアを探るか」
「ん。賛成」
言葉を交わしながら歩き出した三人は畑の区画を抜けて、居住エリアへ潜入していった。
道の両脇に並ぶ家々。民家と思しき建物は、どこもシンと静まり返っている。
「皆、お仕事に出てるの、かな」
「そのようですね。ここの何処かに、住民の残っている建物が……」
村人の気配を探りながら探索を続けるクラウとシャムス。
と、先を進むテクトラムが、ふいに前方を指さした。
「見てみろ。あの建物ではないか?」
彼が指さした先に見えるのは一軒の家だ。注意深く見ると、その窓からは炊事の煙が漏れていた。
炭の匂いに混じって漂う、ニワトリの脂の香りである。
「この匂い……食事の準備中か。前情報からして、あそこが怪しそうだ」
「調理場のようですね。まずは会話で情報を引き出してみましょうか」
「ん。クラウは、畑の方で、情報を集めてみる、ね」
テクトラムとシャムスは調理場へ、クラウは畑へ。
こうして三人は二手に分かれ、情報収集を開始するのだった。
●潜入
「あの、すみません」
『何だお前? 見ない顔だな……今忙しい、後にしてくれ』
ドアの奥から顔をのぞかせたのは、料理人と思しき蜥蜴人だった。
背後の厨房に動く影は見えず、ニワトリがジリジリと炙られている。少ない人手で切り盛りしているようだ。
「私、旅の商人でして……物々交換有り、調味料等扱っております」
『調味料?』
シャムスの言葉に、ドアを閉めようとした料理人の手が止まる。
『ひょっとして塩もあるか? あれば是非欲しい』
「勿論です。良い品が沢山揃っておりますよ」
シャムスが実物を取り出して広げると、料理人の目の色が変わった。
彼は金貨の山を見るような視線を塩や香辛料に向け、しばし黙考。程なくしてシャムスを信じたようだった。
『こいつは素晴らしい。おい給仕、ちょっと来い!』
そうして現れた別の蜥蜴人を手招きし、料理人はシャムスを振り返る。
『アイツについて行って、中で詳しい話をしてくれ』
「分かりました。お邪魔します」
シャムスは礼の言葉を送ると、テクトラムと視線を交わす。
潜入はうまくいったようだ。後は中に忍び込み、必要な情報を得るのみ。
「お忙しい時にすみませんね。料理人さんはお一人なんですか?」
『ああ。他の奴らは、お怒りを買って喰われ……いや、ちょいと寝込んでてね』
(「……命がけだな、ここの料理人も」)
思わず給仕の漏らした言葉に心中で嘆息しながら、テクトラムはそっと後をついて行った。
●火砕竜の愛するもの
一方その頃、クラウは畑で情報を集めていた。
蜥蜴人の農夫は始めこそ怪訝そうな顔を見せたが、畑の作物を褒められるとすぐに相好を崩した。
『嬉しいねえ。外の人から褒めて貰えるとは』
「ん。立派で、すごく、美味しそうだなって。ところで……」
何気ない世間話を装いながら、クラウは情報を集めていく。
「なんだかあっち、いい匂い……お料理中?」
シャムスらと別れた方角を指さして問うクラウに、農夫はそうだと頷いた。
『調理場のことだな。ドラゴン様にお供えする料理を作っとるんだよ』
「ドラゴン様……ここの作物、好きなの?」
様々な植物が植えられた畑を見やり、クラウは首を傾げた。
畑の作物は実に多様だ。葉野菜、根菜、穀物……旬も産地も異なるものが当然のように育てられている。
ここを治める火砕竜の、食に対する執念が伺えるようだ。
『ああ。特に最近は、肉料理がお気に入りだと聞いたな』
「料理……見てみたい、かも」
目を輝かせるクラウに、農夫は悪戯っぽく笑う。
珍しい客人に、僅かな親切をしたくなったのだろう。
『ちょうど調理場に、食材を運ぶところだったんだ。代わりに頼めるかい?』
「ん。任せて」
『じゃあ頼んだよ。……ああ、ただし。調理場の奥にある装置だけは触っちゃいかんぞ……』
●交渉
『いいか。そこの装置は触っては駄目だぞ』
調理場の奥にある部屋で、給仕はシャムス達にそう告げた。
大きな部屋の奥に、魔法陣がひとつ。その中央には銀色の大盆が載った秤がある。
(「ふむ。あれが出入口……秘密通路への転送装置か」)
テクトラムは給仕と交渉するシャムスの後ろから、改めて部屋全体を見回した。
辺りには魔法陣と装置以外、殆ど何もない。
せいぜい、片隅のテーブルに置かれた、焼きたてのニワトリが一皿くらいだろう。
(「料理を大盆に載せると転送される仕掛けか。秤付きということは、ある程度の量が必要なのだろうな」)
見たところ料理人が料理を終えるには、まだ暫くかかりそうだ。
いざとなれば、モノが揃ったところを強引に突破する手もなくはないが――。
そんなことをテクトラムが考えている傍らで、交渉は順調に進んでいく。
「では、塩一袋のお買い上げでよろしいですか?」
『ああ。ところで、相談なんだが……交換で出せそうな物があまりない』
ばつの悪そうな給仕に、シャムスは「それでしたら」と微笑みで応じる。
「実は長旅で少々疲れていまして、お腹も減っています。空いている厨房があれば貸して頂けませんか?」
『別に構わんが……いいのか、そんなので?』
「では、食材も多少融通して頂きましょうか。それでどうです?」
『よし、手を打とう。厨房は隣の部屋にあるから好きに使ってくれ。……装置は触るなよ、絶対だぞ!』
そうして袋を手に戻っていく給仕を見送ると、シャムスとテクトラムは頷きを交わし合うのだった。
●合流の後
厨房は清潔に保たれていた。
器具も食材も不足している物は特にない。大抵の料理ならここで作れるだろう。
足りないものはパラドクストレインを使えば問題なく運べそうだ。
「さて、準備を進めましょうか」
「ここの火砕竜は美食家だと言う。料理で気を引ければ、奇襲も可能かもしれん」
「ん。好物は、お肉料理みたい」
シャムスの言葉に、テクトラムと、合流したクラウが頷く。
探索は無事成功し、出入口の情報は判明した。
あとは通路をどう突破し、火砕竜をどう倒すか、その方法を決めるのみだ――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【浮遊】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
シャムロック・クローバー
話は聞かせてもらったわ!
わたしにもドラゴンクッキングのお手伝いをさせてちょうだい!
ということで、まずはお料理をするんでしょ? お肉を焼いたり。
いいものを持ってきたのよ……じゃじゃーん!
ハーブとスパイスよ。
わたしが家庭菜園で育てたものもあるの、何たって森の魔女だもん。
オススメは『クミン』かな、カレーなんかにもよく使われるわ。
香りを嗅ぐだけで食欲が湧いてきちゃうの!
美味しいお料理でドラゴンの油断を誘うなら、
味はもちろん、匂いだって大事でしょ?
味や量産はパラドクスの効果があればオッケーだし(あれば、だけど)、
別の方向からも工夫しておきたいもの。
あとはお料理と一緒に竜の元へ運んでもらえばいいのかな。
テクトラム・ギベリオ
よし、上手く秘密の通路が見つかったな。触るなと言われると余計に気になるものだ。
料理はできないが増やす事はできるぞ。先程鶏を焼いていたな?
【友達催眠】で分けてもらえるよう説得しよう。
忙しいところ申し訳ない。どうにも腹が減って完成まで待てないのだ。
勿論君の腕を信じているが、鶏は中まで火が通っていた方が美味い。
味見を兼ね、完成済みの肉料理を分けてくれないか?数口分でいいんだ。
……あの方に喰われたくはないだろう?
分けてもらえたら【口福の伝道者】で増やす。仲間がアレンジや調理できる分も増やそう。
ふぅ。これがドラゴンの最後の晩餐になるのだな。野菜の飾り切りで豪華に飾り付けるか。
アドリブ・連携歓迎
シャムス・ライラ
仲間と情報共有、連携
物凄く美味しそうな料理を作ったら
ドラゴンの元へ行く道が開けるか?
(いざとなったら突破も考えるが)
せっかく調味料を持ってきたし
ソースを複数種類作って【口福の伝道者】で増やす
仲間達の用意した食材はありがたく使用
スパイシー系、ほんのり甘い系等
良い匂いを漂わせ、ファイアリザード達に【友達催眠】
【未来予測】でタイミングもはかりつつ
宜しければソースもお分けしますよ
うっかり多く作ってしまって
どんなに美味しい料理でも「飽きる」とかありますから
これ直前に混ぜないと味が落ちるんです
順番もありますし
宜しければお食事する近くまで参りますよ?
営業大事ですから
と提案し、出入り口の通過交渉
アドリブ等歓迎
クラウ・ディークラウ
じゃあ……クラウはすき焼き、作ってみる
生卵、日本のを持ってきた方が、いい?
ドラゴンが食べるなら、大丈夫……?
(牛肉や醤油等必要なものは運んでくる)
作り方は、ちゃんと調べた、ばっちり
でも、やっぱり不思議……料理に、お砂糖……生卵……
びっくりするけど、でも、美味しい、ね
美食家なら、物珍しさにも反応してくれる、かも
完成したら……強引に行かなきゃな時は、仕方ないけど
交渉しても良かったら、してみる
これ、クラウが外で知った、珍しいお肉料理
とってもいい感じと、思う……どう?
最後の仕上げ(卵)は、秘伝だから
お供えするなら、クラウが自分で行って
食べてもらう直前に、仕上げる感じになる、けど……行っても、いい?
●レッツ・ドラゴンクッキング!
探索によって所在が判明した、秘密通路への出入口。
その鍵となる料理をどうするか――復讐者達が思案に耽るその時、厨房の扉が勢いよく開け放たれた。
「ふっふっふ、話は聞かせてもらったわ! お手伝いをさせてちょうだい!」
扉の奥から颯爽と現れたのはシャムロック・クローバー(森の魔女(自称)・g00876)。
森の魔女を自称する少女が手にした袋に、シャムス・ライラ(極夜・g04075)は意識を向けた。
袋からは食欲をそそる芳香が微かに漂ってきており、それが少女の切札らしいことを窺わせる。
「歓迎しますシャムロックさん。ところでその袋は? とても良い香りがしますが……」
「ふふふ、いいものを持ってきたのよ……じゃじゃーん!」
よくぞ聞いてくれましたと目を輝かせ、袋から取り出したのはハーブとスパイスだ。
新宿島で揃えた香辛料のみならず、シャムロックが家庭菜園で育てたものも一緒だという。
火砕竜ベスヴィオスの好物だという肉料理と合わせれば、間違いなく効果は覿面だろう。
「美味しいお料理でドラゴンの油断を誘うなら、味はもちろん、匂いだって大事でしょ?」
「そうだな。では、有り難く使わせてもらおう」
そう言ってテクトラム・ギベリオ(砂漠の少数民族・g01318)は、調理の支度を手際よく整え終えた。
彼が作るのはローストチキン。ニワトリをまるごと香ばしく焼き上げる料理で、食材はすべて調理台に揃っている。
「私も準備を始めましょう。蜂蜜に芥子に塩胡椒、花椒に唐辛子に、それから……ふふ、色々作れそうです」
シャムスもまた、用意した調味料を用い、ローストチキンのソースを作り始める。
いっぽう、クラウ・ディークラウ(遮る灰色・g01961)が作るのは和風の肉料理だった。
「ん。すき焼き、作ってみようと、思う」
牛肉や卵をはじめ、必要となる食材はパラドクストレインで運搬を終えてある。
大きめのサイズに切られた焼き豆腐やネギは、ドラゴンが食べることを考えてのもの。そうしてテクトラムらと同じく調理の準備を終えると、クラウはそっと仲間達へ提案を告げた。
通路の出入口を抜ける際の、ファイアリザード達への対応についてだ。
「出来れば、お願いして、通してもらいたい、な」
力ずくでの突破は最終手段にしておきたい――そんなクラウの意見に、三人もまた頷きを返す。
「そうですね。まずは交渉をしてみましょう」
「無用な争いは、避けるに越したことはないからな」
「オッケー。それじゃ、ドラゴンクッキングの始まりよ!」
こうして美味なる供物を作るべく、四人は腕を振るい始めた。
火焔山の竜域ダンジョンを、必ず制圧するために――。
●いざ、口福のひとときを
すき焼き鍋からジュッと立ち昇る香りが、厨房に充満する。
食欲をそそる牛脂の香りである。脂に輝く鍋肌に牛肉を寝かせながら、クラウは俄かに腹の虫が暴れるのを感じた。
「……ん。いい、匂い。……次は、ネギ」
牛肉とネギの芳香が、脂の香りと溶け合っていく。
さっと火が通るのを確かめた後、ジュウジュウと鳴る鍋へ割り下を注げば、あとは具材を入れて煮込むだけ。
焼き豆腐、春菊、白滝にエノキに野菜……甘辛くも蠱惑的な味が芯まで沁みたところへ、濃厚な生卵を塗して食べる一口は、間違いない美味を約束する。
(「料理に、お砂糖……生卵……やっぱり不思議……」)
新宿島を訪れて、初めて食べた時のことを思い出しながら、クラウはふと考える。
美食家という彼の火砕竜も、きっとこの物珍しさに反応してくれるに違いないと。
いっぽうテクトラムとシャムス、そしてシャムロックの作るローストチキンも完成を迎えようとしていた。
「おお……これは良い匂いですね!」
シャムスが窯から取り出したローストチキンから、真白い湯気が立ち昇る。
熱々の香りには、鶏肉に刷り込んだクミンの香りが加わって、否が応でも食欲を誘う。
用意された大皿に載る、ずっしり重い肉塊。それを野菜と果物の飾り切りで彩り、テクトラムはうむうむと頷いた。
「これがドラゴンの最後の晩餐になるのだな。ひとつ豪華に飾り付けてやろう」
「はい注目! ローストチキンの付け合わせが揚がったわよ!」
そこへシャムロックが運んできたのは、出来立てのポテトフライである。
新鮮な生芋を、クミンの香りを移した油でカラッと揚げた、熱々ホクホクのジャガイモだ。
熱々のままでも、シャムスが用意したチキン用ソースと合わせても、最高の一品になってくれるだろう。
「チリソースにハニーマスタード。揚げ大蒜とチリペッパー、花椒はお好みでどうぞ」
「うむ、とても良い出来だ。……さて」
そうしてテクトラムは頷くと、口福の伝道者を発動した。
同時、彼の周囲が理を書き換えられ、『復讐者が口にした料理が百人前に増える』という世界へと変わる。
「増産準備は完了だ。では、いただくか」
「……ん……これは、作戦。そう、大事なお仕事、だから」
出来たばかりのすき焼きを前に、箸を手にしたクラウは思わず生唾をゴクリ。
鍋から立ち昇る肉汁の芳香は、否が応でも食欲を掻き立てずにはいられない。
いっぽうのローストチキンも溶けた脂を纏い、天上の美味を誇るようにキラキラと輝いている。
「素晴らしい。実に美味そうだな」
「本当ですね。あ、ソースもどんどん使って下さい」
「あああ、いい香りだわ……! いただきまーす!」
腹が減っては戦が出来ぬとばかり、テクトラムとシャムス、シャムロックも恭しく一礼。
大皿の上で湯気を立てるニワトリの丸焼きへ、喜び勇んでフォークとナイフを向けるのだった。
●交渉、再び
暫くして。
「ごちそうさま。美味しかったわ……!」
「ええ本当に。ソースと芋も実に素晴らしく……」
「ふむ。ドラゴンの食事には、少々惜しく思える程だな」
「………………ん」
ほうと満足の吐息を漏らしながら、復讐者達は手を合わせた。
綺麗になった骨だけが残る大皿と、豆腐の一欠までも食べ尽くされたすき焼き鍋。
その後ろに設けられた大型の調理台には、口福の伝道者で生み出されたローストチキンとすき焼きが埋め尽くすように並んでいる。無論、シャムスが増やしたソースも一緒だ。
「さて、次はファイアリザードとの交渉か。となれば……おや?」
料理を運ぼうと立ち上がったテクトラムは、ふと転送装置のある隣室から足音を聞き取った。
足音は二つ。恐らくは料理人と給仕だろう。何やら忙しない様子で、復讐者達の厨房へ向かって来る。
『なんだこの匂いは!?』
『すごく美味そうな香りじゃないか!』
どうやら、四人の作った料理の匂いに誘われたらしい。
復讐者達は丁度良かったとばかり、厨房を除いて目を丸くする蜥蜴人達を手招きする。
「少し、いいだろうか? 実は折り入って話がある」
「お二人にはお世話になりましたし、ここのドラゴン様にお礼をしたいと思いまして」
テクトラムとシャムスの言葉を、クラウが頷きながら継ぐ。
「ここの料理、偉いドラゴン様に捧げるって、畑のひとから、聞いたから」
そう言ってクラウはすき焼きをひとつ取ると、ローストチキンと一緒に蜥蜴人達へ差し出した。
「これ、クラウが外で知った、珍しいお肉料理。とってもいい感じと、思う……どう?」
『む、むむむ。確かに美味そうだが……』
それだけでは通す理由にはならないと、首を縦に振らない料理人。
だが、それは最初から想定済みとばかり、クラウはさらに続ける。
「最後の仕上げは、秘伝だから。クラウじゃないと、美味しく、できない」
「私達の料理も同じです。このソース、直前に混ぜないと味が落ちるんです」
「そうそう。やっぱりほら、ドラゴン様にはいちばん美味しい状態で食べて欲しいじゃない?」
シャムスが畳みかけるように言う横で、シャムロックがうむうむと頷く。
その『ドラゴン様』を自分達が討ちに来ていることは、おくびにも出さぬように。
「まずは食べてみて。それからでも遅くはないわ」
『まあ、そこまで言うなら……』『うむ。食べてみるか』
そうして給仕と料理人は、復讐者の料理を一口頬張った。
間。固まったまま動かない蜥蜴人達を前に、クラウとシャムスが恐る恐る尋ねる。
「どう? ……行っても、いい?」
「まだ熱かったかな。水、飲みますか?」
『言うな。それ以上言わなくていい……』
料理人は、二人の手をガシッと握って、その感激を表すように深く深く頷いた。
『完敗だ。こんな美味い料理は食べたことがない……』
『ああ、ドラゴン様も必ずやお喜びになるだろう。隣の装置を使えば奥に行ける、是非使ってくれ……』
こうして感涙にむせぶ蜥蜴人達に見送られながら、程なくして四人は通路への出入口を突破した。
出来たばかりのローストチキンとすき焼きを、蜥蜴人が用意してくれた配膳の台車にどっさり載せて――。
●通路の奥へ
四人が転送された先には、殺風景な空間が広がっていた。
石造りの宮殿を思わせるホールの奥には小さな扉が設けられ、その奥からは何やら話し声が漏れて来る。
火砕竜の護衛達――竜腕魔術師の一団だろう。シャムスとテクトラムは気配を殺し、そっと聞き耳を立てた。
『……ヴェスヴィオス様は空腹で気が立っておられるようだ』
『本国の同胞達とも連絡がつかないままだ。万一のこともある、ドラゴン様の御身は必ず御守りせねば』
『なに、この部屋を抜けねば火砕竜様の元へは辿り着けんのだ。怪しい奴らが来たら蹴散らしてくれる……』
そうして二人は、すぐに情報を全員で共有した。
竜鱗兵の口ぶりからして、ドラゴンがいるのは彼らが控える詰所のさらに奥なのだろう。
兵士達は警戒心が強く、忠誠心も高いようだ。接触すれば戦闘が始まるのは間違いなかった。
「流石に、あいつらを欺くのは無理そうね……」
「ん。すり抜けたり、目を誤魔化すのも、難しそう」
ここから先、ドラゴンの待つ場所へ至るには、戦って切り抜けるしかない。
復讐者達は頷きを交わし合うと、竜鱗兵の待ち構える部屋へと歩き出すのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【植物活性】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
【現の夢】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【ロストエナジー】LV1が発生!
エルフリーデ・ツファール
※常に煙草吸ってます。
※アドリブ連携、怪我描写歓迎。
ほーん、両腕を竜へと変化させる魔術か。
面白いけど日常的にその腕だと飯食うのも大変そうだなァ。
たまにはこういう魔術で攻めてみるかァ。
『人の身体に竜の腕。お前は本当に人か? 本当はとっくに両腕の竜に身体を乗っ取られてるんじゃねェか?』
と精神を揺さぶって両腕の制御を失わせるぜ。
そうなっちまえばこっちのもんだ。
他の奴が片付けるも良し、私が燃やすも良し、ってな。
反撃に対してはただ見えないだけの風の刃なんざ、手当たり次第に燃やすだけさ。
「どうした? そんなに自分に自身がねェのかい? そんなんじゃ遅かれ早かれ死ぬだけだから、ここで潔く燃え尽きとけよ」
●強襲の紫煙
火焔山第二層の最深部へと続く秘密通路。
火砕竜ヴェスヴィオスの撃破を目指す復讐者達は、竜鱗兵『竜腕魔術師』の一団が守る詰所へと突入した。
先陣を切るエルフリーデ・ツファール(紫煙の魔術師・g00713)は挑発するように紫煙を吐き、開戦の狼煙とする。
「よう、邪魔するぜ」
『人間だと
……?』『本国の者ではないな! 貴様、何者だ!』
侵入を察知した魔術師が両腕をかざし、問答無用とばかり詠唱を開始。
エルフリーデは、竜頭の姿をした両腕が魔法陣を浮かべる光景を眺め、思わず苦笑を浮かべる。
「ほーん、両腕の竜共も魔術を使うのか。日常的にその腕だと飯食うのも大変そうだなァ、面白いけど」
頭数では劣勢ながらもエルフリーデに動じた様子はまるでない。雑魚に構っている時間はないのだ。
紫煙で肺を満たし、パラドクスを発動。行く手を塞ぐ魔術師達に、生成した鬼火を葬送の刃と為す。
「惑え迷えよ魂の火、己が心の内に逡巡せよ――」
詠唱によって生まれ出るのは、ゆらゆらと当て所なく揺蕩う炎。
同時、魔術師達がエルフリーデに突きつけた両腕が、ふいに制御を失い視線を彷徨わせ始めた。
【鬼の迷い火】TeufelIrrlicht――魂揺さぶる炎の揺らめきに、その精神を絡め取られたように。
「人の身体に竜の腕。お前は本当に人か? 本当はとっくに両腕の竜に身体を乗っ取られてるんじゃねェか?」
『戯言を……!』
ギザ歯を覗かせ、悪童めいて笑うエルフリーデ。
そんな彼女の言葉に混乱しながらも、四本の竜腕が呪毒を放ち始めた直後、鬼火が彼らのローブを舐めた。
炎上する魔術師達。揺らめく鬼火の向こう、エルフリーデが心惑わす言葉を重ねる。
「どうした? そんなに自信がねェのかい?」
『く、おのれ……!』
魂を焦がされ、苦し紛れに放つ呪毒の風刃など、脅威には程遠い。
錯乱の中で身も心も消し炭になり果て、崩れ落ちる竜鱗兵達。それを見下ろし、紫煙の魔術師は愉快そうに笑う。
「そんなんじゃ遅かれ早かれ死ぬだけだ、潔く燃え尽きとけよ。……竜鱗兵のローストはいらねェからな!」
カラカラと笑いながら、エルフリーデは詰所の奥へ続く道へと目を向けた。
どうやら火砕竜が居る場所へは、そこそこ距離があるらしい。此方の動きを悟られる前にケリをつけてしまわねば。
「料理が冷めねェうちにな、っと!」
こうしてエルフリーデの襲撃を嚆矢に、復讐者の攻勢は激しさを増していった。
成功🔵🔵🔴
効果1【照明】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
テクトラム・ギベリオ
敵陣地であの様に豪華な腹ごしらえ(?)が出来るとは思わなかった。
必要な事ではあるが嬉しい誤算だったな。
兵士にも食わせてやりたい会心の出来だが、相手はそう思っていないようだ。
あぁ残念だ……ならば存分に技の方を食らわせよう。
構造は不明だが1つの体に目が6つ。
どの様に見えているか分からんが、死角が少ないと思って用心した方がいいだろう。
『フェイント』と『残像』で左右、正面、背面と翻弄しながら攻撃を行い、ここぞと言う場面で【浮遊】と組み合わせて意表を突く動きをしよう。
また高速詠唱の音に『精神集中』し、敵の行動を先読みしながら対応する。
アドリブ連携歓迎
シャムス・ライラ
仲間と連携
情報収取で戦場の事や敵の数、位置等を可能な限り把握
戦闘に有利な位置取りを
未来予測でタイミングを計りつつ
まだ敵に気づかれていないなら
モブオーラと忍び足、地形も利用も駆使して物陰に潜み
そっと「星の銀」で無数の剣を生成
敵が仲間の動きに気を取れれている隙に、一気に貫通撃で攻撃
手強い敵には連撃
仲間と狙いを合わせ、確実に一体ずつ倒していく
敵の攻撃には制圧射撃で剣を飛ばして牽制
一撃離脱とジャンプで間合いを取り、ダメージを最小限に
口が3つあるようだが
流石に全部使うには大食いが過ぎるのではないか?
道理で動きが鈍いと思った
ドラゴンに報告に行ったりせぬよう立ち塞がり
上手く挑発して引付を
アドリブ等歓迎
シャムロック・クローバー
よぉーし、ここからが本当のドラゴンクッキング!
ドラゴンの元へ辿り着くには、竜鱗兵との戦闘は避けられない……
それなら、まずは彼らからお料理してあげるわ!
さて、この状況なら、わたしの場合は変に小細工するより、
正面からどーんとぶつかっていく方がいいかしら。
ということで、ここは得意技の【泥団子投擲】よ。
ナイフみたいに鋭いストレート球をお見舞いしてみせるわ。
むむ。向こうは「見えない風の刃」で攻撃してくるのね。
こちらばかり相手の攻撃が見えないのは腹立たしいわ。
それならわたしも、せめて敵の目を狙って泥団子を投げつけてやろうじゃないの。
さぁ、とっとと前菜を片付けて、ドラゴンというメインディッシュに向かうわよ!
クラウ・ディークラウ
ファイアリザードたちは、悪い人じゃなさそうだった、けど
こっちは……ちゃんと敵、ね
なら、クラウもきっちり、やるべきこと、やる
まっすぐ、このまま――通して、もらう
(雲を漂わせつつ攻撃射程内へと進行
吹雪を受けても足は止めず、前へ)
温かいもの、いっぱい食べたばかり、だから
寒いのも、大丈夫……まだまだ、耐えられる
クラウの雲も、これぐらいの風じゃ、散らない、散らせない
(むしろ吹雪も隠れ蓑にするように雲を広げ続けて
大量に展開できれば、一気に雲を踏み落とし始める【曖昧雲子】)
1歩、2歩、3歩、4歩――
(一撃の重さや正確性より、物量で攻め込む『薙ぎ払い』
牽制攻撃として、味方の行動支援する意味も込めて)
●完全なる勝利を
失われた歴史の日本に伝わる諺に、「腹が減っては戦が出来ぬ」というものがある。
戦に空腹で臨んだところで良い戦果は望めない。転じて、戦には十分な『腹拵え』をしてから臨むべしという勝負事における下準備の重要性を説くものだ。
それを踏まえた上で語るなら――今、竜腕魔術師に襲撃をかけている四名の復讐者は、まさに空腹と対極。すなわち絶好調と呼んで差し支えない状態であった。
「よぉーし、ここからが本当のドラゴンクッキングね! 行くわよ!」
シャムロック・クローバー(森の魔女(自称)・g00876)が、気力を漲らせて言い放つ。
先頭を行く彼女の眼前に立ちふさがるのは、火砕竜ヴェスヴィオスの護衛たる竜腕魔術師の一団だ。
『敵襲だ! 迎撃せよ!』『侵入者を排除しろ、跡形も残すな!』
十体を越える魔術師達が翳す竜の両腕が、シャムロックめがけ一斉に大顎を晒す。
発動するのは魔術『ポイゾナスエア』。呪毒で蝕む不可視の風刃だ。
これだけの数に狙われては、いかに復讐者といえど苦戦不可避――或いはそう考える者もいるかもしれない。だが、
「まずは、あなたからお料理してあげるわ!」
そんな敵を相手にシャムロックが仕掛けたのは、正々堂々の正面突破。
特製の泥団子を投げつける『泥団子投擲』の攻撃は、雁首を並べた竜腕の群れよりも一手早い。
戦闘が不可避なら、下手な小細工など自分には無用――そう告げるような一投がナイフのごとき鋭角の切れ込みで、魔術師の顔面に迫る。
「わたしの魔球を受けてみなさい!」
『ぐわあっ!』
最前列の魔術師が一体、早くも直撃を浴びて絶命。
それを嚆矢に、出鼻を挫かれた竜腕魔術師の一団が一斉にシャムロックへ刃を放とうとした、その刹那であった。
「ずいぶん立派な身体だが、どうやら目は節穴のようだな」
僅かに反応の遅れた二体の魔術師を、テクトラム・ギベリオ(砂漠の少数民族・g01318)の曲刀が捉える。
一人、二人、三人……『紫刃影斬』の残像が包囲を完了するや、魔術師達へ降り注ぐのは無慈悲な斬撃の嵐だ。
『な……っ!?』
魔術師が二体、瞬時に声の方へと竜腕を向けるが、すでにそこは無人。
間合いに入り込まれたが最後、彼らはもうテクトラムの掌の上だ。
残像を生み出す神速で標的を囲みながら、彼の刃はどこまでも正確で容赦なく、敵を追い詰めていく。
(「腹拵えを済ませ、体力気力は共に十分。……負ける気がせんな」)
ドラゴンを討つ事前準備の一環とは言え、あのローストチキンは中々に美味だった。
その出来たるや会心もので、魔術師達にも馳走してやりたい程のものであったが――。
(「まあ、連中はそう思っていないようだな……あぁ残念だ」)
テクトラムは僅かに肩を竦め、心を切り替える。
食う気がないなら仕方ない。詰所の外に置いておいた料理も、長く置いては冷めてしまう。
ここは存分に、技の方を食らわせるとしよう。
『ちっ、ちょこまかと……!』
「どこを見ている」
テクトラムの曲刀が死角から円弧を描き、次々に魔術師の急所を切り裂いた。
全身から血を吹き出し、立て続けに悶絶する魔術師達。だが、彼らとてやられてばかりではない。
二つの竜腕と一つの頭、合計三つの口で織りなす高速多重詠唱が、吹雪となって戦場を吹き荒れる。
『撃て! 撃って撃って撃ちまくれ!』
敵はどうやら、頭数を活かした弾幕攻撃に活路を見出したらしい。
詰所は神殿に似た構造で、戦闘の余波で壊された僅かな机などを除けば、障害物と呼べるのは数本の石柱が精々。
つまり、身を隠す場所は殆どない――少なくとも、魔術師達はそう考えた。
『いいぞ、そのまま押せ! 侵入者どもを凍り付かせてやれ!』
だが、彼らは気づいていなかった。
視界を塗り潰すような白一色の景色、そこに吹雪とは違うものが混じっていることに。
クラウ・ディークラウ(遮る灰色・g01961)の左手が雲と変じ、じわじわと戦場を包み始めていることに。
(「ファイアリザードと違って、こっちは……ちゃんと敵、ね」)
クラウは吹雪を隠れ蓑に、魔晶剣『輝かずの刃』でゆっくりと雲を漂わせ始めた。
場所は魔術師達の頭上。吹き荒れる吹雪を押し切るように、雲はゆっくり領土を広げていく。
多少の寒さは気にもならなかった。戦いの前、クラウの食べた出来立てのすき焼きは、今や彼女の熱い血潮となって戦いを後押ししてくれているのだから。
(「大丈夫……まだまだ、耐えられる。クラウの雲も、これぐらいの風じゃ、散らない、散らせない」)
そして雲塊が十分に広がると同時、『曖昧雲子』の準備は整った。
雲を足場に、ぴょこぴょこ歩き出すクラウ。天井すれすれから戦場を眺めれば、敵は二手に分かれているのが見えた。
中央で抗戦を続ける者達と、奥で退路確保に動き出した者達。いずれも頭数は四体だ。劣勢を悟り、足止めを残して火砕竜へ敵襲を報せに向かう気なのだろう。だがその状況を前にしても、クラウら復讐者に一切の焦りはない。
(「奥の敵は引き受けます。クラウ殿は中央の方を」)
石柱の陰に身を潜めるシャムス・ライラ(極夜・g04075)が、クラウに合図を送る。
その手が既に、投げナイフの切先で魔術師達を狙い定めているのを見て、クラウもまた頷きを返した。
クラウが先手で支援。然る後に、撤退する敵をシャムスが仕留める。方針は、決まった。
(「きっちり、やるべきこと、やる。まっすぐ、このまま――通して、もらう」)
魔術師達はシャムロックとテクトラムに翻弄され、クラウとシャムスの存在には気づいていない。
仕掛けるのは、今。クラウは眼下の魔術師めがけ、足場の雲を踏み落とし、一気に戦いを終わらせにかかる。
「クラウは、雲。星を遮るもの」
『なっ……う、上から!?』
この戦場でクラウが繰り出す曖昧雲子は、物量を最上とする攻めだった。
1歩、2歩、3歩、4歩。激しい足踏みで降り注ぐ雲塊は、魔術師をその場に縫い留めて、一切の行動を許さない。
その光景を後方から目の当たりにした魔術師達は、自分達の敗北を悟ったか、通路の奥へ撤退しようと踵を返した。
『急ぎ、敵襲をお伝えせねば!』『撤退だ、早くしろ!』
だが無論、それを許すほど復讐者は甘くない。
シャムスは石柱の陰に身をひそめたまま、『星の銀』で生成した投げナイフを静かに構えた。
魔術師達は気づかない。なぜシャムスが今に至るまで、姿を隠し続けていたのか。それは偏に、生じた機を逃さず、着実に彼らを葬るチャンスを伺い続けていたからだ。
(「機は満ちた。……逃がしませんよ」)
精神を研ぎ澄ましたシャムスの五感は、今や断ち切られんとする竜腕魔術師の命脈をはっきりと捉えていた。
いかに魔術師の目が常より多かろうとも、全力で逃走を図るならば、背を向けて走らざるを得ず。
その瞬間をシャムスの刃が捉え損ねることは、万に一つもあり得ない。
「終わりです。――星の加護を」
音無く放たれた無数の刃、その先端が放つ光は不吉な死兆星の輝きにも似て、魔術師の背中へと吸い込まれる。
そして――。
『ぐわっ!』『ぎゃあっ!!』
背中に刃を浴びた竜腕魔術師が次々に、断末魔の叫びを上げて絶命。
間を置かず、クラウの奇襲を受けた魔術師達も、ことごとく雲塊に埋め尽くされて屍となって転がる。
そうして敵の一網打尽を確認したシャムスが仲間達へ送る合図が、制圧を告げる合図となった。
「私達の勝利ですね。お疲れ様です」
「よしっ、これで前菜は片付いたわ。次はメインディッシュに向かうわよ!」
シャムロックの言葉に仲間達は頷きを返す。
残る障害はただひとつ――火砕竜ヴェスヴィオスという名の、特大メインディッシュだけだ。
●到達、最深部
それからの道程は、さしたる障害もなく進んでいった。
詰所の先、第二層の最深部へ続く通路は、石材を組んだ神殿めいた一本道の空間だ。
静寂の空間に運搬車の音をガラガラと響かせながら、復讐者達は奥へ奥へと進んでいく。
「トラップの類はどうだ、シャムス?」
「見当たりません。このまま進んで大丈夫そうですね」
周囲を警戒しながら先頭を進むシャムスが、運搬役のテクトラムを振り返って頷く。
詰所を出てから進んだ距離は既に数百メートル。敵襲や罠には一度も遭遇せず、復讐者達は順調に歩みを進めた。
そうして更に奥、彼らが辿り着いたのは一際広い宮殿のような円形の空間だった。
「なるほど。ここが最深部ですか」
シャムスは周囲の様子を注意深く観察しながら、そう結論付ける。
空間の中央には大きなテーブルが設けられており、周囲には豪華な装飾を施した柱が左右に二本ずつ。
そして――テーブルの奥に見えるのは、閉ざされた一枚の石扉だ。
「……いるわね。あの向こうに」
シャムロックの言葉を裏付けるように、扉の奥からは不気味な音が途切れることなく響いている。
ゴゴゴ――ゴゴゴゴゴ――ゴゴゴゴゴゴゴ――。
復讐者達は察した。地鳴りに似たその響きが、火砕竜の腹の虫が立てる苛立ちの音であると。
(「……ん。まだ、こっちには、気づいて、なさそう」)
『遅い……飯はまだか……!』
閉ざされた扉の隙間から、ドラゴンの唸り声が聞こえる。
どうやら料理が揃うのを、今か今かと待っているらしい。
それを察した復讐者達は互いの視線を交わし合うと、早速メインディッシュの支度に取り掛かるのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【神速反応】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
【浮遊】がLV2になった!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV2になった!
※マスターより
第②章で火砕竜ヴェスヴィオスの好物を準備出来たことにより、成功判定が出易くなっています。
これに伴い、第④章では戦闘前の行動として「料理の美味しさを語り聞かせる」が選択可能です。
上記を選択した場合、PCが当該の行動を終えるまで火砕竜は扉から出て来ません。敵の空腹をあおり、食事を平らげて油断したところへ奇襲をかけることができます(これに成功すると、成功判定が更に出易くなります)。
上記行動を選択しない、または失敗しても不利は生じません。
その場合、食事後の火砕竜へ奇襲をかけるシーンから描写開始となります。
シャムス・ライラ
仲間と情報共有、連携
では、最後の晩餐を供するとしよう
料理を並べて
いざ解説!
熱々ローストチキンのジューシーさに
野菜の彩を添え
チリソースでピリッと辛口
ハニーマスタードも甘辛の風味で
スパイシーな香りからして食欲をそそる
ソースに細かく刻んだ薬味を混ぜればシャキシャキとした食感も楽しめるし
その「すきやき」も何とも言えない美味さだな
異国の味、甘くてしょっぱいとはこれ如何に
敵の気を引き
油断を見澄まし
地形の利用、情報収集、忍び足で潜みつつ
物陰等利用して仲間と息を合わせ奇襲攻撃
毒をたぎらせたスコルピオンスティングで貫通撃
敵の攻撃には一撃離脱とジャンプで避け
罪縛りの鎖で敵の捕縛を試みつつ再度連撃
アドリブ等歓迎
シャムロック・クローバー
待たせたわね、火砕竜ヴェスヴィオス!
最期に素晴らしいお料理をいただけること、感謝なさい!
……という心の声を胸に、まずは油断を誘うために煽っていきましょうか。
「今日のお料理は今までで一番よ、きっとドラゴン様もお喜びね!」
「やっぱりわたし達がお料理担当になって正解ね」
「味はもちろん、見た目も香りも最高!」
エプロンの裾とかでパタパタ扇いで、匂いをドラゴンの方へ届けられたら尚良しね。
わたしの<風使い>でもって、いい感じに匂いを誘導してドラゴンの嗅覚を刺激するわよ……!
お料理には最後の隠し味に【魔女のプランターポーション】を一振り。
遅延性の毒で、食べ終わった頃にダメージが入る寸法なの。
クラウ・ディークラウ
せっかくの、料理……まずは、ここから
美味しさ、ばっちり伝える
片や、鶏肉
ジューシーな、焼き上がり……香るスパイスも、お腹を刺激して
野菜やお芋、付け合わせだって、メインにもなる出来
好み次第な各ソースも、元々の味をさらに、引き立ててくれる
片や、牛肉
醤油や砂糖、他ではなかなか見れない味付けに
見てのお楽しみな、秘伝の仕上げ(生卵)
もちろん、珍しさだけじゃなくて、様々な具材の旨味と味わいも、格別
……食べないなら、代わりに食べちゃう、よ?
奇襲:
ごちそうさま、した?
じゃあ――つかまえた
(反撃の熱を受けても加圧続ける、【悲喜雲雲】)
食べたばかりのとこ、ぎゅってするの、ちょっと……うん
ごめん、ね?(でも緩めない)
テクトラム・ギベリオ
図体がでかければ腹の音もでかいな。だが空腹は最高のスパイスとも言う。
ゴホン……想像したまえ。
齧り付く前から絶妙なバランスのスパイスが鼻に抜け、齧ればたちまち口の中に広がる肉の脂…旨味…そしてこんがり焼けた皮の香ばしさ。
付け合わせと食べれば、そうれはもう口福と言うもの。
それが今君の目の前にある。
想像したまえ、それらが空腹の腹に満ちて得る至福の時間を。
これを食さずは真の美食家にあらずだ。
奇襲では【フライトドローン】に乗り、上空から【怪力無双】で曲刀を突き立てる。
これじゃあまるで曲刀が肉切り包丁だな。
貴様の熱で熱せられた刃だ。よく切れるぞ。
アドリブ連携歓迎
●饗餐の時、来たる
『遅い……! 飯はまだか
……!!』
火焔山竜域ダンジョン、第二層の最深部。
第三層への中継地点に設けたねぐらの中で、火砕竜ヴェスヴィオスは不機嫌の極みにあった。
とうに来る筈の食事が、いつまで待てども来ない。美食家を自称するこのアヴァタール級ドラゴンにとって、それは何より逆鱗に触れることなのだ。
『これ以上遅れるなら、料理人から丸焼きにして食ってくれる……!』
怒りの声を響かせる火砕竜の口から、真っ赤な舌のような炎が覗く。
炎はみるみる膨れ上がり、不届き者をローストする予行演習とばかりに周囲を焼き尽くす――かに思われた。
だが、まさにそのタイミングで、
「今日のお料理は今までで一番よ、きっとドラゴン様もお喜びね!」
少女の弾むような声と共に、扉の向こうから漂う肉の焼けた香ばしい匂いが、竜の口を問答無用で閉じさせる。
声の主はシャムロック・クローバー(森の魔女(自称)・g00876)。火砕竜の撃破を目論む復讐者の一人であった。
●鶏肉と牛肉に殺意を添えて
同刻、最深部の大広間。
火砕竜のねぐらから扉一枚を隔てた部屋の大テーブルには、贅を尽くした肉料理が並び始めていた。
熱々のすき焼きとローストチキン――シャムロックら四人の復讐者が腕を振るい、拵えた絶品の品々である。
「やっぱりわたし達がお料理担当になって正解ね。味はもちろん、見た目も香りも最高だわ!」
『……ふん、初めて聞く声だが新入りか。不味い料理だったら、貴様から先に喰ってやるぞ!』
「大丈夫、味は保証つきですもの。すぐ終わるから待ってて下さいね!」
扉の向こうから聞こえる唸り声に物怖じせず、シャムロックは仲間達と淀みない動きで支度を進めていく。
食事の後に待つ本番に備えて、彼女特製の『隠し味』を料理にこっそり加えることも忘れない。
「これでローストチキンの支度は良し! うーん、いい香り!」
「ん。……とても美味しそう」
シャムロックの言葉に頷きを返すのは、クラウ・ディークラウ(遮る灰色・g01961)だ。
彼女が視線を向ける先、卓上にずらりと並んだローストチキンはもうもうと白い湯気を昇らせながら、食べられる時を今か今かと待っている。状況はまさに理想的。クラウはきっちり支度を整え、無言の目配せを仲間達へ送った。
(「ん。準備、できた」)
(「こちらも完了です。では、最後の晩餐の仕上げといきましょうか」)
そうしてシャムス・ライラ(極夜・g04075)がすき焼きを卓に並べ終えると、扉をドンドンと叩く音が響いてきた。
もうこれ以上は一秒たりとも待てない――火砕竜のそんな表情が、四人の脳裏にまざまざと浮かぶ。
『まだか! まだ準備は終わらんのか!!』
「今、配膳が終わった。最後に料理の説明をさせて頂こう」
準備を急かす火砕竜に、テクトラム・ギベリオ(砂漠の少数民族・g01318)は堂々たる口調で告げた。
「先も言った通り、私達の料理は最高のものと自負している。説明を聞いてからの方が楽しめる筈だ」
相手を焦らすように悠々と語りながら、テクトラムはふと卓上を埋め尽くすように並ぶ料理へ目を向ける。
鮮やかな飾り切りの緑に彩られたローストチキンは、ジャガイモの付け合わせ共々、ハーブとスパイスの薫りが食欲をそそる。かたや、すき焼きは肉汁をたっぷり閉じ込めた牛肉が、割り下の沁みた豆腐と野菜を侍らせ、まさに垂涎の一品と呼ぶに相応しい出来栄え。
仕損じる要素はない、そう確信できた。
「おほん。では――」
テクトラムは朗々たる声で、ローストチキンの素晴らしさを語り上げていく。
「想像したまえ。齧り付く前から絶妙なバランスのスパイスが鼻に抜け、齧ればたちまち口の中に広がる肉の脂……旨味……そしてこんがり焼けた皮の香ばしさを」
『……!!』
ごくっ、と重々しい音が、扉の奥から響く。
そこへ続くのはシャムスだ。語りには香辛料の素晴らしさを前面に押し出し、空腹をさらに煽る。
「熱々チキンのジューシーさに野菜の彩を添え、チリソースでピリッと辛口。野菜やお芋、付け合わせだって、メインにもなる出来。一緒に食べれば、まさに口福の極致と言うもの。それが今君の目の前にある」
聞くだけで腹が減りそうな誘惑の言葉を送りながら、シャムスは奇襲準備を整え始めた。
敵の死角となる場所、奇襲に向いた場所……最良のポイントを割り出すその動きに一切の滞りはない。
「ハニーマスタードも甘辛の風味も、どれでも全部お好み次第。元々の味をさらに引き立ててくれる!」
「うむ。想像したまえ、それらが空腹の腹に満ちて得る至福の時間を。これを食さずは真の美食家にあらずだ」
「見てのお楽しみは秘伝の仕上げ。もちろん珍しさだけじゃない、様々な具材の旨味と味わいも、格別!」
『う……ううう、美味そうではないか!』
途切れることのない二人の口上に、火砕竜はいよいよ我慢が出来ない様子だ。
地鳴りめいた腹の虫はさらに高まり、もはや料理のことで頭が一杯――扉を隔ててさえ、そのことが分かる。
(「図体がでかければ腹の音もでかいな。……シャムス、奇襲できそうな場所はあるか?」)
(「テーブルの両脇に、死角になる柱があります。そこに身を隠しましょう」)
無言の合図を交わし合い、奇襲の準備を完了する復讐者達。
そうして最後の仕上げに、クラウはすき焼きの素晴らしさを語り始める。
「こっちの、牛肉料理も、凄く良さそう。醤油や砂糖、他ではなかなか見れない味付け」
『おお! 甘辛さの薫り、実に良い塩梅だ!』
「そうでしょ! ほらほら遠慮しないで!」
シャムロックはエプロンの裾をたくし上げると、扉の隙間へ湯気を送るようにばさばさと扇ぎ始めた。
(「さあヴェスヴィオス! 最期に素晴らしいお料理をいただけること、感謝なさい!」)
言葉と匂いで空腹を煽ってやろう――そんな目論見で操る風使いの気流は、湯気を乗せて扉の奥へと吸い込まれ、
「牛肉料理の『すきやき』も何とも言えない美味さ。異国の味、甘くてしょっぱいとはこれ如何に」
そこへシャムスの語りが加わって、
「……食べないなら、代わりに食べちゃう、よ?」
とどめとばかりクラウが放った一言が、ついに火砕竜の理性を決壊させる。
『むむむむむ! もう我慢できん!』
ガタガタと震える扉。四人が死角に身を隠すと同時、勢いよく開け放たれた扉からヴェスヴィオスが躍り出た。
席に着くなり真っ赤な舌がテーブルの上を薙ぎ払う。ローストチキンを総ざらいし、卵を塗したすき焼きを頬張り、ものの1分もしないうちに料理を完食すると、火砕竜はシュウシュウと満足の息を漏らした。
『うむ食った。実に美味だ、大満足だ! 料理人ども、早く皿を片付けるがいい!』
竜の緊張が解けた、ほんの僅かな隙。それを復讐者達が見逃すはずはなく、
「ご満足頂けて何より。では私達も――」
「ええ。メインディッシュの始まりね!」
嚆矢となって放たれる、シャムスとシャムロックの合図。
四人の奇襲は完璧なタイミングで、火砕竜へと襲い掛かった。
●火砕竜の最期
「ごちそうさま、した? じゃあ――つかまえた」
食事を終えた火砕竜の丸々と膨れた腹を、クラウの『悲喜雲雲』が捉えた。
いかに相手がアヴァタール級とはいえ、油断した敵に渾身の一撃を浴びせることはそう難しいことではない。
一瞬の後、火砕竜は自分が謀られたことに気づいたが、もはやすべては後の祭りだ。
『なっ!? 何者だ、貴様等!?』
「食べたばかりのとこ、ぎゅってするの、ちょっと……うん。ごめん、ね?」
クラウは微かに込み上げる罪悪感を呑み込んで、火砕竜の腹を締め付け始めた。
同時、巻き起こる反撃の砂嵐。慌てて放たれる熱砂を、クラウは何の造作もなく避ける。そこへ続くのは攻撃態勢を完璧に整えたシャムスとシャムロックだ。
「敵も足掻きますね。腐ってもアヴァタール級ですか」
「むむ、薬の効き目が弱かったかしら。まあいいわ、今度こそとどめよ!」
クラウの攻撃で悶絶する火砕竜。その大きく開いた口めがけて、シャムロックは水薬入りの瓶を狙い定める。
魔女のプランターポーション――家庭菜園で育てた野草毒草から生成した取って置きの一撃だ。
「秘伝の調合、試させてあげる!」
猛毒の詰まった薬瓶が、ほれぼれするようなピッチングフォームによって放たれ、放物線を描いて飛ぶ。
瓶はそのまま大口の中へするりと納まり、竜の体を内側から蝕み、熔かし始めた。
『ぐ、ぐええええっ!』
たちまち火がついたように悶え始める火砕竜。その眉間めがけて追撃を放ったのはシャムスだ。
飛来する反撃はもはや体を為さず、シャムスは地熱のムラを見抜いた回避運動で肉薄する。同時、猛毒をたぎらせたスコルピオンスティングの刺突が、火砕竜の頭蓋に深々と突き刺さった。
『――
!!!!』
広間に木霊する絶叫。
首の皮一枚、なおも生にしがみつくドラゴンのしぶとさに舌を巻きながら、シャムスはとどめの合図を飛ばす。
「テクトラム殿、今です!」
「承知した。……やれやれ、これじゃあまるで曲刀が肉切り包丁だな」
広間の熱を帯びた刃が、火砕竜の喉元に突き立てられた。
肉を裂く確かな手応え。柄までずぶりと埋め込んだ曲刀を、テクトラムは一思いに振りぬく。
「――沈め」
断末魔の絶叫が響き、次いで竜の瞳から光が消える。
ぐらりと崩れ落ちる火砕竜な巨体は、地響きを立てて床に斃れ、そのまま二度と起き上がることはなかった。
「よし。撃破完了だな」
「ん。第二層、うまく攻略できた、ね」
テクトラムとクラウは息絶えた火砕竜の向こう、扉の奥に広がる空間を凝視する。
あの先に待っている未知の領域――第三層。そこに居るであろう、まだ見ぬ敵を思い描きながら。
「目前ですね。この地を奪還できる日も」
「ええ、もう少しだわ。みんなお疲れ様、作戦成功よ!」
シャムスとシャムロックの勝利を告げる声が、第二層の最奥部に響く。
火焔山を舞台とする竜域ダンジョン探索は、こうしてひとまずの幕を下ろすのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【植物活性】がLV2になった!
【隔離眼】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV3になった!
【ドレイン】がLV2になった!
【命中アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!