リプレイ
天夜・理星
さ…単純なことから始めよう。
区画に入るには誰にも気付かれない、これが重要ね。
人払いをするのもそうだけど、そもそも目に見えなくするのが一番早い。
というわけで静かに光学迷彩で行きましょうね〜。
人払いは味方に任せて、足音を立てずに自然に早業での忍び足。
偵察気分で美術館も観て回れるし、一石二鳥じゃねこれ?
それに気になってたんだよね、ルーブル美術館の…あれ、ルーヴルだっけ?
どっちでもいっか。
後はそうだね、
一般客に警備員との物理的接触も避けよう。何もない空気にぶつかりましたとか、不自然でしょ?
これは偵察気分で周り見てたら十分護れることだよね♪
やっぱ綺麗だな〜ここ…ここもいつか必ず取り戻したいね。
●1
大きな庭園の先にある宮殿のような建物が見えてくる。
世界に誇るフランス最大の美術館は、その建物自体すらも巨大な芸術品であるべきということなのだろう。
まさに絵ハガキを切り抜いたかのような……景観の極致がそこにはあった。
調和のとれた左右対称の景色の中央に自分が立つと、なんだか自分が芸術品の中に取り込まれたかのような錯覚にすら陥る。
思わず感嘆の溜息を漏らすのは天夜・理星(復讐の王・g02264)。
「は~、これがルーブル美術館か……あれ、ルーヴルだっけ? ま、どっちでもいっか」
ややこしい外国語の発音はともかく、いま重要なのは兼ねてより気になっていた世界的美術館に来れたという心躍る感動だ。
「おっと、いけないいけない。遊びに来たんじゃなかったね」
表情を引き締めて気持ちを引き締める。
「さ……単純なことから始めよう」
美術館に入る前に、庭園にある木の影に隠れる理星。
(「 区画に入るには誰にも気付かれない、これが重要ね。人払いをするのもそうだけど、そもそも目に見えなくするのが一番早い」)
理星の姿が揺らめき、景色を透過するように消えてゆく。
(「というわけで、静かに光学迷彩で行きましょうね〜」)
怪盗・理星の潜入作戦、開始である。
●2
絵画の立ち並ぶ『ドゥノン翼の回廊』を歩きながら、美術品を流し見してゆく理星。
ゆっくりと鑑賞できないのがとっても残念。
足音を立てずに自然に早業での忍び足。これが重要なのは分かっているのだが……。
(「うーん、偵察気分で美術館も観て回れるし、一石二鳥じゃねこれ? とか思っていたけど……」)
逆に『お預け』をくらっているような歯痒さがある。
偵察気分で周囲を見渡せば見渡すほど、視界に飛び込んでくるのが『世界的に有名な絵画』なのだ。
(「おっと、危ない危ない」)
ついつい美術品に気を取られてしまい、一般人にぶつかりそうになる。
いま、理星の姿は光学迷彩で隠されているので、相手からすれば「何もない空気にぶつかりました」みたいな不自然極まりない状況になってしまう。
(「やっぱ綺麗だな〜ここ……ここもいつか必ず取り戻したいね」)
いつか何の憂いも無く、この美術館を鑑賞できる日が来ることを夢見ながら、理星は立ち入り禁止区域のあるギャラリーへと足を踏み入れるのだった。
●3
一般人からも警備員からも勘付かれること無く、淫魔絵画の元に辿り着いた理星。
「案外アタシ、怪盗としてもやっていけるかもね☆」
と、理星は置き去りにした警備員たちに小さくウインクするのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
ベアタ・アンシュッツ
芸術品がある美術館なら……水漏れとか大敵だよね
じゃあ、物陰や建物の陰に隠れて、美術館の中庭とかに、見張りとかに見つからないようにこっそり【水源】で川をつくってやろうっと
計略、地形の利用、撹乱、演技に幸運とか活かして、微妙に芸術品に被害が出そうで出ない位に川の流れを調整しつつ、見張りが慌てて対応に付きっきりになるように仕向けたいな
具体的には、土嚢積んで排水してとかしてたら、小一時間位手間取る位で
その後に、
「大変! こんなところに大水が!」
「このままじゃ……芸術品が水浸しになって痛んじゃう!」
とか言って、見張りに伝えて、見張りが漏水対策でてんやわんやの隙に……立ち入り禁止区域に入り込んじゃおう☆
リゼット・ノア
アドリブ・連携歓迎
まずは一般客を装って美術館に入り、立入禁止区域への通路付近を見張って警備員と一般客の様子を確認します。
通路から人目が外れそうなタイミングがあればそのまま侵入しますが。
一般人はいずれいなくなるでしょうから…警備員をどうにかしないとして。
あまり乱暴なことはできませんが、警備員が好みそうな一般人の人を選んで気絶させ、入口から離れた場所に寝かせましょう。
それで警備員の人に美人の人(美男の人?)が〇〇で倒れてると伝えて、持ち場を離れて確認しに行ってもらいましょう。
気絶させる一般人には【現の夢】をかけて夢だったと思っておいてもらいましょう。ごめんなさいね。
●1
通常の美術館10個分以上とも表現されるルーブル美術館は、一日ではとても見きれないような広大な美術館である。
せっかくだから行きすがら色々と美術品を見て回るベアタ・アンシュッツ(天使のハラペコウィザード・g03109)と、リゼット・ノア(Cortège funèbre・g02975)
「うわっ、この絵画ってアレだよね……」
「……ですね」
あまりにも有名すぎてヤバいエネミーに遭遇してしまったかのような感覚。
見るものを圧倒する存在感を放つ、世界一有名なあの絵画。
意味深な微笑みを浮かべたその淑女の絵は、これから潜入作戦に赴く二人を「見てるわよ」と嘲笑っているかのようにも感じられた。
「……ゆっくりと鑑賞できないのが、残念でなりませんね……」
そう呟くリゼット自身も、まるでルーブルに収蔵されている美術品のような、美しい自動人形だったりする。
「たしかに。でも……これだけ広いと、途中で餓死しちゃいそうだね☆」
展示スペースでは飲食禁止です、とかいう絶望的なことを入り口で言われて、なんだか落ち着かない気分のベアタちゃん。
そんなこんなの雑談をしながら、2人は一般客を装って、目的地である立入禁止区域のあるギャラリーへと到着するのだった。
●2
「あ、この場所だね……チラッ」
展示室の入り口から中の様子を窺うベアタ。まるでどこかの家政婦のようなポーズ。
「……それ、逆に怪しいような気がします……」
というわけで、二人は普通に美術品を見に来たかのように装って、警備員と一般客の様子を確認してゆく。
(「……通路から人目が外れそうなタイミングがあれば、そのまま侵入しようと思っていましたが……。さすがに警備員は通路から目を離さないようにしていますね……」)
一般人はいずれいなくなるかもしれないが……。この警備員二人をどうにかしないことには侵入は難しいようだ。
「……仕方ありませんね」
「おっけ~、プランBだね」
他人には聞こえない小声で二人は頷きあう。
「……まずは」
警備員が好みそうな一般人の人を探すリゼット。
ちょうど、この展示スペースを見終わって次の部屋へ行こうとする貴族っぽいマドモアゼルがいらっしゃる。
(「……あまり乱暴なことはできません。ここは、慎重に……」)
スッと自分も次のスペースに移動するフリをしつつ、リゼットは淑女の後ろへ立ちタイミングを見計らう。
「……ごめんなさいね……。どうか一時の、幸せな夢を」
現の夢。美しい歌声で淑女を眠りに誘うリゼット。
カクンと膝から崩れるように寝落ちした淑女を、なんとか受け止めて介抱する。
あとはスーッと息を吸って。
「……誰か! 美しいご婦人が突然お倒られになりました……! だ、誰か、いませんか!? 美しいご婦人が……!」
展示スペースの入り口のすぐ横でそんな声があがれば、当然、美術館職員である警備員としては腰を上げないわけにはいかない。
「私が医務室に案内してきます」
若いほう警備員のが席を立ち、リゼットの元へ駆け寄ってくる。ここで二人とも釣れれば文句なしだったのだが……。
残る警備員1人は、ベアタに期待するしかないようだ。
●3
警備員が二人とも淑女に駆け寄っていかなかったことに対して、ベアタは敵ながら仕事熱心であると心の中で称賛を送る。
(「それじゃ、これでいきますか」)
ちょいちょいっと魔術を発動し、『水源』を発動させるベアタ。
とりあえず、始点は天井の梁にでもしておこう。
さすがに川を出現させたら大事になるので、威力は抑える必要があるか。
ピチョン……ピチョン……。
と、まずは控えめな雨漏りぐらいで調整。
「大変! こんなところに水が!」
「むっ?」
と、警備員のおっさんが立ち上がり不思議そうに天井を見上げる。
彼は仕方がない、と警備員用の帽子を脱ぐと、それを雨漏りバケツの代わりにして対応してきやがる。
(「こいつ……出来る」)
敵を好敵手と認めながら、ベアタは術の威力をアップ。
雨漏りはドバドバと壊れた蛇口のように水を吐き出して、瞬く間に帽子バケツを一杯にしてゆく。
「な、なんだ? ク、クソ!? 一体どこからこんな水が……!! 2階からか……!?」
「このままじゃ……芸術品が水浸しになって痛んじゃう!」
「うッ、ムムムむッ……!!」
苦渋の決断を迫られる警備員。
「ええい、仕方がない! マドモアゼル! この展示スペースは緊急時にて一時閉鎖とします! どうぞお引き取りを!」
「は、はいっ、わかりましたわ、ムッシュ」
計画通り、と思いながらも淑女っぽく振る舞うベアタ。
もう一人の警備員が慌ただしく走り去ってゆくのを確認して、リゼットもサササッと展示スペースへ。
「……上手くいきましたね」
「さあ、今のうち! 見張りが漏水対策でてんやわんやの隙に……立ち入り禁止区域に入り込んじゃおう☆」
二人は作戦成功、とクスッと微笑み。立入禁止区域へと歩を進めてゆくのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【水源】LV1が発生!
【現の夢】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
●2章
立入禁止区域の奥へと足を踏み入れた復讐者たち。
時先案内人から聞いていた経路を走り抜けると、彫像の立ち並ぶ広いホールに辿り着く。
「……あれが、淫魔絵画か」
最奥に飾られた淫靡な絵画。
次はこの絵の中に入るための特定行動……『慰め』を行う必要がある。
立ち並ぶ彫像の影にでも隠れれば、それなりに他の復讐者たちの目を避けて行動することが出来そうだが……。
まあ、問題は『慰め』というフワッとしたお題を、復讐者たちがどうクリアするかにかかっているのだった。
■マスターより
本来、選択肢②は、成功数3でクリアですが、ここでは出来る限りプレイングを採用してゆく方向で考えています。
複数人で併せプレイングをかける際は、お手数ですが【タグ】を付けて頂くようお願い申し上げます。
なお、【タグ】があっても、相互フレンドでない場合(相手様の了承が明確で場合)などでは念のために不採用させて頂きます。
また、この章ではアドリブでプレイングをまとめ書きすることはありません。
予めご了承ください。
テネブレーヌ・ラディーリス
せっかく彫像が立ち並んでいるだから思う存分慰めてあげるわ
サキュバスなら隠す必要ないでしょ
あら逞しい石像ね
その腕で何を包んできたのかしら?
しっかり慰めてあげる
あらあらこんなにカッチンカッチンにしちゃって…
しっかりコスってあげないといけないわ
シュッシュ、シュッシュ、シュッシュ…
ほら、こんなに汚れてたわ いっぱいいっぱいこびりついちゃっている
埃とかね
美術品なんだから手入れはしっかりしなきゃ
柔らかい布で傷つけないように拭いて…
思い出すわ、一時期下女として美術品を磨いていたことを
この調子で他の像もしっかり"慰めて"あげましょ
ついでにパラドクスばら撒いて壊しちゃった場合に修復できるようにしておきましょ
●1
まずは、と淫魔絵画を鑑賞してみるテネブレーヌ・ラディーリス(夜を駈ける変身ヒロイン・g01274)。
描かれているのは互いに絡みつきあう男女の姿。
だが、こうして見ているうちに油絵の絵具がズズズっと蠢いて男同士の絵になったり、女同士の絵に変わったりと変化してゆく。
プレートに書かれた絵画のタイトルは直球で、
「慰め……ねぇ」
意味ありげに唇を舐めるテネブレーヌ。
「まぁ……私もサキュバスなのだし、隠す必要ないでしょ」
テネブレーヌは絵の前から踵を返すと、その豊満な胸と美尻を揺らしながら立ち並ぶ彫像へと向かってゆく。
「せっかくだし、思う存分慰めてあげるわ」
見るものを虜にするその妖艶なる微笑み。
サキュバスの本領が今発揮されようとしていた……!
●2
「あら逞しい人ね……。ねぇ、その腕で何を包んできたのかしら? しっかり慰めてあげる」
ツッと指先で男の上腕二頭筋を撫でるテネブレーヌ。
「あらあらこんなにカッチンカッチンにしちゃって……。しっかりコスってあげないといけないわ」
奥まで汚れの詰まった茎の先を見て、しょうがない子ね、とテネブレーヌは優しく包み込む。
シュッシュ、シュッシュ、シュッシュ……。
「ほら、こんなに汚れてたわ……。いっぱいいっぱいこびりついちゃっている」
男から採取した『汚れ』を指先で弄びながらテネブレーヌは笑う。
テネブレーヌ自身もまた、この激しい運動に玉のような汗を滲ませていた。
咽帰るような女の臭いが漂い、眩暈のするような一時が訪れてゆく。
だが、これぐらいで終わるわけがない……。
まだ満足するほどに達しているわけもなく。テネブレーヌはすぐに二回目を求めてゆく――。
「あら、こっちにも溜まってるじゃない……埃とかね」
キュッキュッと綺麗に彫像を磨いてゆくテネブレーヌ。
「美術品なんだから手入れはしっかりしなきゃ」
不甲斐ない男を叱るように、柔らかい布で彫像を傷つけないように拭いてゆく……。
「思い出すわ、一時期下女として美術品を磨いていたことを。この調子で他の像もしっかり『慰めて』あげましょ」
健全である。
あえてもう一度言おう。KENZENである。
働く喜びに素敵な笑顔を浮かべながら、テネブレーヌは更に彫像磨きを頑張っちゃうのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【修復加速】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
天城・美結
連携アドリブ歓迎。
『慰め』…ってどういうことかな?
落ち込んでる人を励ませばいいのかな?
落ち込んでる人を見つけてこなきゃ駄目なのかな?
あとは、自分で自分を慰める、とか言ってたけど……え?
まさか…って感じで一瞬固まり、思考を否定するように即座に首を振るよ。
いやいやいやいや、そんな馬鹿なことないよね?
ここは仮にも敵地、そんなことして敵が来たら危険じゃん?
これで何かあったら末代までの恥だよ!?
などと生真面目かつ大真面目に悩むよ。
悩んだ末に、周囲の復讐者に意見を求めて、便乗させてもらうという作戦で行くよ。
何なら【地形の利用】とかで利用できそうな物を探してみたりするよ。
●1
無事、立入禁止区域に辿り着いたのは良いものの、問題はここからであった。
「えーと、『慰め』……ってどういうことかな?」
思わず小首を傾げる天城・美結(ワン・ガール・アーミー・g00169)。
もしかしてコレは何かの『なぞなぞ』なのだろうか?
「落ち込んでる人を励ませばいいのかな?
だと、すると……落ち込んでる人を見つけてこなきゃ駄目なのかな?」
周囲を見渡してみる美結。そのへんに居るのは美結と同じく依頼を受けた復讐者たちばかりである。
とりあえず、落ち込んでいる人は見当たらない。これでは早くも八方塞がりである。
彫像の立ち並ぶホールを歩き回りながら、もう少し探してみることにする美結。
「うーん、落ち込んでそうな人、落ち込んでそうな人っと~」
やがて美結が気が付いたのは、他の復讐者たちのソワソワとした空気である。
ふいに目が合うと、向こうから気まずそうに俯くのだ。
「……?」
なぜか顔も赤く見える。正直、意味不明である。
なんだか、ほかの皆はこの絵画の謎が既に解けていて、私だけが気が付いていないのではないかと思えてくる。なによ、それなら教えてくれてもいいじゃん。
グルリとホールを一周してしまい、淫魔絵画の前まで戻ってきた美結。
やはり謎の鍵を握るのはこの絵画か――。
ええい! 誰も教えてくれないなら、この名探偵・天城が真実を自力で見つけ出してやる!
●2
もう一度、情報を整理してみよう。
たしか、時先案内人の子の話では――。
「あとは、自分で自分を慰める、とか言ってたけど……え?」
まさか……って感じで一瞬固まり、思考を否定するように即座に首を振る名探偵。
(「いやいやいやいや、そんな馬鹿なことないよね?」)
(「ここは仮にも敵地、そんなことして敵が来たら危険じゃん?」)
だがしかし、その仮説を認めるならば、先程までの他の復讐者たちとの気まずい空気を説明できる気がした。
(「まてまてまて! ちょっと、まってよ!?」)
顔が真っ赤になってゆくのを止めることが出来ない。
だって――。
目の前の絵画が、この謎の『答え合わせ』をするように形を変えてゆき――。
一人の女性の淑女を描き出して――。
(「……」)
もはや思考すらも絶句してしまう美結。
淑女が恍惚の表情を浮かべながら、脚を大きく広げたこの絵画は……紛れもなく、美結が求めていなかった残酷なる真実の『答え』だった。
つまり……これを……しろと……?
これで何かあったら末代までの恥だよ!?
と、生真面目かつ大真面目に悩んだのち、顔を真っ赤にして絵画の前からダッシュしてしまう美結ちゃんなのであった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
エスト・リンフィールド
慰め……自分を慰めてもいい?
えっと、それって……薄くて高い本とかで、やってるようなことじゃないよね?
ぜ、全年齢だよね?
もしかしたら……「がんばったけど報われなかった自分にご褒美」的な慰めでも、ワンチャンイケるかも?
クリームいっぱいのシュークリーム食べるとか
あ、もし番犬とか迷い犬が寄ってきたら、吠えられて侵入がばれてもいけないから【使い魔使役】で大人しくさせよう
大人しくなったのはいいけど……懐き過ぎてやたらペロペロとかされたら困る
って、シュークリーム落っことして、スカートにクリームこぼれた!
ちょ、こぼれたクリームなめるな……あ、ちょっと
どこを……そこはヤバイって
ダメダメダメ!
ぜ、全年齢だからね?
●1
ドーベルマンを使い魔として従えた、民族服のエルフ少女エスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)の姿がある。
「も~、さっきはひどい目にあったよ……」
この立入禁止区域に辿り着くまでに既にてんやわんやの大騒動をしてきたエスト。
まだ美術館に入場する前だったというのに、エストのあまりの挙動不審さにお散歩中だった貴族紳士の番犬が反応してしまい、そのまま思いっきり1キロぐらい犬に追いかけられて……。
ようやく『使い魔使役』を思い出して事無きを得たものの、今度は逆にメッチャ懐き過ぎてエストからどうしても離れてくれないのだ。
潜入作戦に遅れてしまうので、仕方なしにそのまま使い魔として光学迷彩で隠ぺいして連れてしまったのだが……。
「あ、あとで、ちゃんと紳士さんに返さないとな……。や、やば、犬泥棒扱いされたらどうしよう。……詰んでね? ……これ」
とりあえずそのことは考えないようにして、淫魔絵画の前に立つエストだった。
●2
立派な額縁に飾られた淫魔絵画。タイトルは直球に『慰め』だ。
「慰め……。あと、たしか……自分を慰めてもいいだっけ……? えっと、それって……薄くて高い本とかで、やってるようなことじゃないよね?」
そんなわけないよね? と上目遣いで絵をチラ見すると、エストの前で絵が変化してゆく。
「ぜ、全年齢だよね?」
そうであって、と懇願するように声を震わせるエストだったが……。
無慈悲にも描き出されたのは『大勢の男達を従えた妖艶な女性の姿』だった。
わ~……これ、完全に薄い本のアレだよ……。
男共はヨツンヴァイン形態で何かボールみたいの噛みしめながら女王様に踏まれてるよ……。
というか……どっからどう見ても慰めてないよコレ……。
でも、この広い世の中にはそういう業界も在ることを、エストは知識としては識っている。そう、博識であることも罪なのだ。
「……え……っと」
髪先を弄びながら顔を真っ赤に染めて俯くエスト。
犬がハッハッハッと荒い息遣いで心配そうにエストを見上げて首を傾げている。
「あっ……もしかしたら……。『がんばったけど報われなかった自分にご褒美』的な慰めでも、ワンチャンイケるかも?」
最後のチャンスに賭けるように。クリームいっぱいのシュークリーム食べてみるエスト。
「……」
しかしなにもおこらなかった。
絶望に打ちひしがれていると、エストはシュークリームを落っことして、スカートにクリームこぼしてしまう。
「あ……ヤバ」
滲みになったらどうしようと狼狽えていると、ドーベルマンが興奮するように尻尾を振り――。
「どこを……そこはヤバイって……」
エストのスカートにくっついたシュークリームをご褒美だと勘違いして、犬畜生が股に突進してくる。
あとは、紳士諸氏のご想像の通りだ!
「ダメダメダメ! だ、だめだってば~!」
と、エストの悲鳴が響き渡るのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
ベアタ・アンシュッツ
人間には三大欲求ってのがあるんだっけ
慰め……つまりは、いい子にしてた今日の私に対してのご褒美なはず
だって、食欲、油増し増し欲、スイーツ欲が三大欲求だからね!
そういえば、誰かが秘め事がどうとか言ってたかも?
つまりは……秘密にしないといけないこと
そう!
【光学迷彩】で身を隠し、ここでこっそり……いもようかんを食べちゃうのだ!
ばれたらお仕置きで超大変だけど、超がんばって我慢した私への最高の慰めになる
圧倒的ではないか
我が計略は
糖分が脳に沁みわたるぜ……はあ(緩みきった顔
ああ……だめ
身体が勝手に動いちゃう(特に顎とか口が
もう……止まらないの(おいちくて
……やだ
手がべちょべちょ(いもようかん素手で掴んだから
●1
警備員の監視を突破して淫魔絵画の前に辿り着いたベアタ・アンシュッツ(天使のハラペコウィザード・g03109)。
あとはこの絵の中に入るための特定行動を満たさなければならないわけだが……。
この難問を前にして深く考え込むベアタ。
「人間には三大欲求ってのがあるんだっけ。
慰め……つまりは、いい子にしてた今日の私に対してのご褒美なはず。
だって、食欲、油増し増し欲、スイーツ欲が三大欲求だからね!」
あの……それ全部、同じ欲求なのでは……?
あえてここでネタバレすると、彼女に忘れ去られた二つの欲求の一つ、『性欲』のほうに正解の鍵があるのだが……。
ベアタちゃんの脳内イメージジェネレーターは『食欲』で埋め尽くされているので致し方なし。
「いざゆかん! 頑張った自分への最高のご褒美っ! 空腹こそが最高のスパイスなのだー!!」
なにせ入館してからこれまで何も食べていないのだ。彼女にしてはよく我慢したと称賛をおくるべきなのかもしれない。
いもようかんを取り出してパクッと食べるベアタちゃん。
甘く、口の中で解けてゆくその豊潤ある味わい……。
感動の涙を必死にこらえるベアタ・アンシュッツ。そう、まさにこれである……。
さ~て、あとは絵の中に入るだけだね☆ と、頭を絵画に突っ込むと、
「あいたっ」
ドンッと盛大に絵画に頭突きをかましてしまった。
「えっ、開かない? な、なんで?」
そんなバカな……と困惑するベアタ。
「……まだ何か、満たしていない条件があるというの……?」
まさかのどんでん返し、ここで推理は振出しに戻ることになったのだった。
●2
時先案内人や、これまでの復讐者たちの言葉を思い出してみるベアタ。
「そういえば、誰かが秘め事がどうとか言ってたかも?
秘め事……。つまりは……秘密にしないといけない、ということ……?」
きっとこれが、もう一つの鍵なのだろう。ベアタの直感がそう告げていた。
「……ハッ!? そうか……! そうだったのね!」
灰色の脳細胞に染み渡ったいもようかんの糖分が、ベアタの中にたった一つの冴えた閃きを生み出す。
「そう! 光学迷彩で身を隠し、ここでこっそり……いもようかんを食べちゃうのだ!」
ばれたらお仕置きで超大変だけど、超がんばって我慢した私への最高の慰めになる!
慰めと秘め事、二つの条件を満たす解はこれしかない!
「圧倒的ではないか。
我が計略は」
というわけで姿を光学迷彩で隠匿し、隠れていもようかんを食べるベアタ。
「糖分が脳に沁みわたるぜ……はあ」
緩みきったこの顔。
隠れて食べるという背徳が味を引き立てるのだろうか? これが早弁が美味しい理論か。
「ああ……だめ。身体が勝手に動いちゃう(特に顎とか口が)」
火照るからだ。満たされてゆくこころ。
「もう……止まらないの(おいちくて)」
お行儀悪いとは思いながらも、ペロペロと舌先で舐めてしまう。
でも、今は隠れているんだから……いいよね?
「……やだ。手がべちょべちょ(いもようかん素手で掴んだから)」
至高の慰めを堪能したベアタが再び絵画へ進み出る。額縁に靴先をかけてよっこいしょ。
ゴンッと二度目の頭突き。
「~っ!?」
額を押さえながら地団太を踏むベアタちゃんだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
天夜・理星
どうしても独りでいこう、これだけは。
絵画の中に入るためのキーは…慰め、だっけ?
慰め、成る程、慰めるのかー。
……ふーむ。健全に行くか。
ああ、昔の友人たちに誘われたコミケを思い出すなあ…色んな漫画で、色んな言葉が使われて、『慰める』もその一つだったか。
というわけで、自分で自分を慰めよう。
ちょっと前に体調を崩したり、依然記憶も昔の友人も戻らなかったりな自分をさ。
哀れかはともかく、悲しいかどうかはアタシが決める。
よしよし、よく頑張ったねアタシ。
今はこれくらいしかできないけどさ…
これが終わって、ちゃんと事件を解決できたら…
友達の復讐者のみんなにも、よしよししてもらうか…。
●1
警備員たちを華麗にスルーして、彫像の立ち並ぶホールへと辿り着いた天夜・理星(復讐の王・g02264)。
「……この絵画だね」
色彩を蠢かせながら、自ら形を変えてゆく不気味な絵画。これが淫魔絵画に間違いないだろう。
「絵画の中に入るためのキーは……慰め、だっけ?」
口の中でその言葉を転がしてみる理星。
「慰め、成る程、慰めるのかー」
この場合、この言葉がどういう用法で使われるかに寄るだろう。
(「ああ、昔の友人たちに誘われて行った同人誌即売会イベントを思い出すなあ……」)
誘われるままに、軽い物見遊山の気持ちで行ったら、あまりの人混みに飲まれて死にそうになったのはいい思い出。
「すごい混雑だね」と素直な感想を述べたら、今はまだ東京の一部しか解放されていないわけだから、『本物』はこんなものではない、と言われてさらに衝撃を受けたものである。
そこでは色んな漫画で、色んな言葉が使われていて、たしか『受け』だの『攻め』だの『攻守交代』だの……。
それまでは理星も剣士として普通に使っていた用語が、別の意味でも使われていたと知ってしまい、ちょっと使いにくくなってしまったのが最近の悩みだったりするのだが……まあ、それはともかく。
『慰める』もその一つだったか。
いや、相手は淫魔なんだから大体察しはつくけれど――。
「……ふーむ。健全に行くか」
まあとりあえず、試してみないことには始まらない。
「というわけで、自分で自分を慰めよう」
そのためには、まず落ち込む必要があるのかな?
「うーん……」
これが中々難しい。
ちょっと前に体調を崩したり、依然の記憶も昔の友人も戻らなかったりな自分を思う。
これが哀れかはともかく、悲しいかどうかはアタシが決めることだ。
精神を集中して自分を責め続ける理星。
そして数分後――。
●2
なんだかホントに落ち込んできた……。
理星がしみじみ思うことは、『記憶』とはその人を形づくる根幹なのだということだ。
(「それを失ったアタシは……」)
全ての復讐者たちは『怒り』を戦うための力としている。理星にも記憶を失うキッカケになった『時遡』への怒りが勿論あるのだが――。
過去のことを思い出せない以上、自分の怒りは根幹なるべきものが足りないように思えるのだ……。
(「おまけに、体調管理も出来てないし……」)
がっくりと落ちた理星の肩に聖剣の重みが加わり、思わず手から落としてしまいそうになる。
「……おっと」
危ないところだった。
そう、記憶は失っても……きっと、この剣だけは今のアタシを形作った確かなものだ。
「よしよし、よく頑張ったねアタシ。今はこれくらいしかできないけどさ……」
自分を奮い立たせるように、慰めてゆく理星。
「これが終わって、ちゃんと事件を解決できたら……。
友達の復讐者のみんなにも、よしよししてもらうか……」
この剣と共に得た、仲間との思い出。
今はそれを信じてみようと、理星は頷くのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
渡良瀬・アイ
アドリブ歓迎
慰め……うん、やっぱりそういう意味なのかな……。
でも、ここで躊躇してたら絵画の中に入れないし……ヤるしかない。
流石に一人だと空しいので、ここはマリエルを召喚するね。
さぁ、お仕事の時間だよ♡
……案の定呆れた様子で見られるアタシだけど、何とか事情を説明して作戦実行。
お互い抱き合って、触れ合い、一つになる事で『慰め』合いをしていって条件を満たすよ。
……ちょっと、ヤりすぎちゃったかな……?
●1
彫像の立ち並ぶホールをコツコツと歩く渡良瀬・アイ(アイドル系男の娘プロゲーマー・g01154)の姿がある。
最奥に飾られるのは立派な額縁に飾られた絵画。タイトルは――。
「慰め……うん、やっぱりそういう意味なのかな……」
絵の具を無秩序にかき混ぜたような、混沌としたその絵からは、その答えを窺い知ることが出来ない。
とはいえ、この絵画世界を作り出したのが『淫魔』だということを考えれば、答えを想像することは出来る。
「でも、ここで躊躇してたら絵画の中に入れないし……ヤるしかない」
この絵画はすでに何人も一般人の魂を喰らったクロノ・オブジェクト。ここで破壊しておかなければ更なる被害者が出てしまうのは明白だ。
アイは覚悟を決めて、近くにある彫像の影に身を隠してゆく。
「でも、流石に一人だと空しいね。よーし、ここは……」
アイの目の前に魔法陣が展開がされてゆく。
「さぁ、出ておいでマリエル! お仕事の時間だよ♪」
アイの召喚に応じて現れたのは少女メイド型の大天使「マリエル」。
天使が翼を広げると、舞い散る羽根と共に重機関銃が顕現してゆく。
大天使マリエルはアイを護るように前に立ち、重機関銃を構えながら周囲を油断なく見渡す。
だが――。
「……? ご主人様、敵がいないようですが?」
かくかくしかじかと、簡単に状況を説明するアイ。
「……なるほど、そんな理由で召喚されたのですか。
え~と、私がご夕食の準備中だったことは、ご存知ですよね……?」
……案の定呆れた様子で見つめられるアイ。
それを頼んでいたのも他ならぬアイだったので、ここはテヘッと可愛く笑って誤魔化すしかない。
マリエルは言外に、戦闘じゃないならば、『他の娘』でも良かったのでは? と問うているのだ。
そこには、ご主人様の想いを言葉にして欲しいという、少女のいじらしさが見て取れた。
「でも、アタシは……この絵画のことを聞いて」
一歩進み出るアイ。
「それなら、マリエルちゃんがいいなって、思ったんだよ」
「……そうですか。なら……仕方ありませんね」
誓いあうように、慰め合うように――。
抱き合って、触れ合い、一つになってゆく二人。
●2
絡み合った唾液が、つーっと互いの唇に儚い橋を架ける。
アイは名残を惜しみつつ、唇を舐めると、
「……ちょっと、ヤりすぎちゃったかな……?」
と、彫像にもたれたたりながら火照った表情のまま放心状態にあるマリエルに、微笑むのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【ハウスキーパー】LV1が発生!
効果2【ダブル】がLV2になった!
リゼット・ノア
アドリブ・連携歓迎
…淫魔が「慰める」などと言うとどうせ色事方面のことなんでしょうけど…それは最終手段としておきましょう。
「慰める」に関する行動をいくつかとってみて上手くいくか試してみましょう。
①お酒を飲んで酔ってみる
無聊を慰める、とも言いますし嫌なことがあった時は酔って忘れることもあります。新宿島では未成年の私が飲んでいいのか、はありますが。
②妖精に慰めてもらう
つらいこと(家族が人形に殺されたこと)を呼び出した妖精に話して、妖精に頭をなでてもらう…慰められたことになるでしょうか?
これでだめなら、最後の手段に自慰を…別に恥ずかしくはないのですが、他にやりたそうな人もいそうですね?
●1
世界に誇るフランスのルーブル美術館。
まさに超一級の美術品のみが収蔵を許された美の宝庫。
その立入禁止区域……ルネッサンス期が彫像の立ち並ぶ静かなホールを歩くリゼット・ノア(Cortège funèbre・g02975)の姿がある。
ヴェールで顔の上半分を覆った黒い喪服を着た女性の自動人形を隣に引き連れたリゼット。
その姿はまるで葬列の参加者のような、一種の冷厳な雰囲気を纏っていた。
「……これが淫魔絵画ですね」
ホールの最奥に飾られた絵画を見上げるリゼット。
絵の具をグチャグチャにかき混ぜた様なその絵画は、混沌とした様相ながらも、どこか見るものの原初の欲求を掻き立てるような、不思議な存在感を放っている。
さて、あとはこの絵の中に入るための鍵となる特定行動……『慰め』を行う必要があるのだが……。
「……淫魔が『慰める』などと言うと、どうせ色事方面のことなんでしょうけど……それは最終手段としておきましょう」
小さく吐息をついて他の手段も模索してゆくリゼット。
「無聊を慰める、とも言いますし……嫌なことがあった時は酔って忘れることもあります」
と、まず考え付いたのがお酒だったのだが――。
「……まあ……新宿島では未成年の私が、飲んでいいのか、というのがありますが……」
というわけでこの案も一時保留。
故に試すのは用法として正しい意味での『慰め』。
「Je n’oublierai jamais(私は決して忘れない)」
リゼットがバレエを踊るようにして黒いドレスの裾を翻すと、黒い妖精たちが召喚されてゆく。
死を想起させるこの黒き妖精たちに、忌避感を示す人間は少なくない。
だが、彼女たちが司るのは『死』というよりは『記憶』。故人を悼む人の心から生まれた妖精なのだ。
「……また、聞いてくれるかしら?」
リゼットの問いかけに黒い妖精たちが頷く。
そう、彼女の持つ過去……家族が人形達に皆殺しに遭った『あの日』のことも、妖精たちは寄り添いながら聞いてくれる。
そして語り終えると、いつも最後にリゼットのことを慰めるように……頭を撫でてくれるのだった。
●2
『あの日』の事を話し終えて、リゼットは俯いていた顔を上げる。
傍らに寄り添う自動人形2体と、黒き妖精たちに心の中でお礼を言うと、再びあの惨劇を繰り返さないためにも立ち上がる。
「……扉は、開いたかしら」
もし、これで駄目なら、最後の手段として『自らを慰める行為』を選ぶしかないだろう……。
「……それは、別に恥ずかしくはないのですが。他にやりたそうな人もいそうですね?」
何か、犬を連れて来ていた上級者の人とかもいましたし……。
ともかく。
ものはためしにと絵画に触れてみるリゼット。すると……。
「……!」
トプンとまるで水の中に沈むように、手が絵画の中へと『入った』。
「……開いたようですね」
意を決して、自動人形と共に絵画の中へと身を躍らせてゆくリゼット。
その先に待つ、淫魔を討つために。
大成功🔵🔵🔵
効果1【完全視界】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!
●3章
様々な景色が混ざりゆく、眩暈のするような絵画世界の中を進んでゆく復讐者たち。
絵の具の筆の流れで形作られた大河の上に、黄色い色彩を零したような星空が瞬いている。
「おい、あれを……」
復讐者の一人が指差した方向を見ると、絵の具が渦巻いて夥しい数のキノコ人間を描いてゆく光景が見て取れた。
「フシュー! フシュー!」
互いに興奮するように己の茎をぶつけ合わせ、胞子を放出してゆくキノコ人間ことトループス級『フランク』。
彼らを撃破しないことには、その先に居る淫魔に辿り着けないようだった。
エスト・リンフィールド
シュークリームは半分以上……ワンコが食べちゃった
す、スカートが汚れてるのは、ワンコがおいたしたからであって、私がおいた(意味深)とかしたわけじゃないから
それに上級者でもない……はず
って、あれは……キノコ?
単なるキノコだ
モザイク掛かってるけど、キノコの化け物だ
ナレッジサーチで、奴の弱点を……マッスルで艶々なマイトガイの半裸等身大ポスターとかどうだ
あからさまに、キノコが萎びたら……反撃のチャンス
逆にもっと元気になったら……いろんな嗜好があるからね(遠くをみる目
あ、ワンコがついてきてたら、【使い魔使役】で安全なところに下がって貰う
あとで、ちゃんと飼い主さんに返さないと……って、もうクリームないよ!?
リゼット・ノア
…何とか、無事に入ることができましたね。
周囲の人の様子が何か微妙なのですが、気のせいでしょうか…?
さて。ここの絵のルールは『感情を高め合う』ですか。
なら、目の前のキノコたちに、こう宣言しましょう。
みなさん。私は今から貴方たちを甚振ります。
憎しみをもって、苦痛を与えます。
だから、どうか私のことを憎んでください。
あ、もちろん気持ち良くなったり、恐怖を感じてもいいですよ。
さあ、お互いに感情を高め合いましょう。
そしてパラドクスで攻撃します。
強烈な風で空中に打ち上げ、地面に叩きつける。それを死なない程度に何度も繰り返しましょう。
相手が私のことをどう思うかはわかりませんが…私は楽しくなりそうかも?
●1・キノコと遭遇する少し前
景色が混ざり合い、形を変えてゆく絵画世界の中で、討伐対象の淫魔を探し歩く復讐者たちの姿がある。
「……何とか、無事に入ることができましたね」
黒衣の自動人形を2体従えながら呟く少女リゼット・ノア(Cortège funèbre・g02975)。
それにしても――。
「周囲の人の様子が何か微妙なのですが、気のせいでしょうか……?」
顔を赤らめて俯いたり、モジモジと落ち着き無さそうにしている他の仲間たち。
(「ここからは敵の領域……。いつ敵襲があってもおかしくないのですが……」)
どこか気もそぞろな仲間達の替わりに、私がしっかりしなくては、と気を引き締め直すリゼット。
ふと目が合ったのは民族衣装を着た、どこか挙動不審なエルフ少女である。
「あ……どうも。えへへ……。いよいよ淫魔だね。お、お互い、頑張ろうねっ」
リゼットはこの少女には見覚えがあった。あの彫像のホールに犬を連れて来ていた娘で、たしか――。
「…………上級者の人……」
「上級者って何っ!? エ、エストだよ!? 私はエスト・リンフィールド! 出発前にみんなで挨拶したよね!?」
すでに変なイメージが定着しかけていることに眩暈を覚えながら、エスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)は叫ぶのだった。
●2
「だ、だからね? す、スカートが汚れてるのは、このワンコがおいたしたからであって、私がおいた(意味深)とかしたわけじゃないから」
スカートの股の部分をしっとりと濡らしながら、必死に弁明するエスト。
ちなみに例のドーベルマンは立ち入り禁止区域に置いておくわけにも行かなかったので絵画世界にも連れてきている。
というか、エストに懐きまくってて今もぜんっぜん離れてくれない。
「つ、つまりね? あれはシュークリーム事故だったんだよ? だから、その、私は……上級者ではない……はず」
ハズって、なぜそこで自信をなさそうに言い淀むのか。なんだかまるで、満更では無かったような感じになるような。
「……大丈夫、大丈夫です。分ってますから……」
とりあえず頷きを返しておくリゼット。
「ホ、ホント? ホントに分かってくれた?」
と、その時、景色が大きく揺らいで、絵の具がクリーチャーを描き出してゆき、エストは身を強張らせる。
「って、あれは……キノコ?」
単なるキノコだ。モザイク掛かってるけど、キノコの化け物だ。
そして上半身はマッチョで下半身はスネークだ。オイオイ属性が多すぎるよ、少しは絞ろうよ。
「わわっ、て、敵だよ!」
「……分かってます!」
自動人形の繰り糸を操りながら戦闘態勢を取るリゼット、他の復讐者たちもそれぞれの武器を構えてゆく。
●3
戦闘開始と同時に、エストは相棒のワンコを庇うようにサッと前に立つ。
「あとで、ちゃんと飼い主さんに返さないと、だよね」
心優しき少女エスト・リンフィールド。
だがしかし……! 次なる不幸が彼女を襲う!
「ひあっ!!」
背後からペロペロぺロッとお尻を舐められるエスト!
すわ何事か、と振り返れば……尻尾を千切れそうなほど振りながら、ハッハッと荒い息で犬!
「……って、もうクリームないよ!?」
なんやこの駄犬!? 飼い主の苦労が偲ばれる。
「……えと」
リゼットはそんなエストと犬を交互に見やって一言。
「……そういえば、ここの絵のルールは『感情を高め合う』でしたね……」
あ、やっぱり誤解されたままだわコレ。
集中力を乱されたエストの替わりにリゼットが最前線に立つ。
蠢くキノコたちを一瞥し――。宣言してゆく。
「みなさん。私は今から貴方たちを甚振ります。
憎しみをもって、苦痛を与えます。
だから、どうか私のことを憎んでください」
Cisaillement du vent(シザイマー・デュ・ヴァン)。リゼットが舞い踊ると、瘴気が薄く広く周囲に広がってゆく。
瘴気は凶つ風を作り出し、その中で黒い妖精が呪詛を歌いあげてゆく。
「あ、もちろん気持ち良くなったり、恐怖を感じてもいいですよ。
さあ、お互いに感情を高め合いましょう」
リゼットが冷たい微笑みを浮かべると同時に、強烈な風がキノコの群れへと襲い掛かった。
「フシュ!?」
暴風に絡めとられ、空中に打ち上げられ、地面に叩きつけられてゆくキノコ。それが死なない程度に、何度も、何度も繰り返されてゆく――。
「貴方達が私のことをどう思うかはわかりませんが……私は楽しくなりそうかも?」
死の揺り籠と化した乱気流を操作しながら、リゼットはその口元を酷薄に細めるのだった。
●4
「や、やばっ出遅れた……」
なんとか犬を尻から引き剥がしたエスト。杖を構え、乱れた精神を集中させてゆく。
「あなたの弱点は……」
かつて読破した本や、見聞きした伝承の知識等を紐解き、キノコ人間の弱点を推測。
「これだ~!」
バッとエストが杖を掲げると、カッした光の奔流と共に具現化術が発動。
「……!?」
キノコたちが気圧されたように数歩下がる。
エストが具現化したのは『マッスルで艶々なマイトガイの半裸等身大ポスター』。
テッカテカに黒光りした肌と、峡谷のように切れたシックスパック。そして、荒鷲のような僧帽筋……!
「……マ、マッシュ……ル……」
シナシナと萎びてゆくキノコたち。
「い、今だ! ええ~い!」
これを反撃のチャンスとして杖を振り抜くエスト。
「エノキッ!?」
ぼくっとマットを叩くような感触と共に、キノコが胞子を散らして吹き飛んでゆく。
「や、やったっ」
敵を倒して微笑むエスト。だが――。
(「な、何だか、あのポスターを見て、逆にもっと元気になっているキノコもいるような……」)
バッキバキに屹立した奇行種キノコを見て、エストは遠い目をする……。
「……まあ、世の中には……いろんな嗜好があるからね」
「……そうですね」
リゼットもまた、しみじみと頷くのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【修復加速】がLV2になった!
【クリーニング】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
ベアタ・アンシュッツ
でっかいキノコだー!
こんなおっきいの……(一口じゃ)入んないよぉ
でも、なんかおいちくなさそうだし……海産物のかほりがしそうな気がするのは、なんでなんだぜ
とりあえず、サプライズ☆ギフトでキノコを攻撃しよう
……なんか、キノコにべちゃべちゃに崩れたプリンが絡み付いて……更にモザイクだから、何かイケナイものっぽい雰囲気ががが
これじゃ、残ったプリンさんを食べられないじゃないか!
待て待て慌てるな待て
これは淫魔の罠だ!
って、(プリンまみれ)白濁キノコが暴れて組伏せてきた!?
このままじゃあ……絵面的に全年齢を限界突破してしまいそうな気がする
そんなときは、キノコにバケツ被せて距離をとろう
さあ、連続魔法でもう一発
●
グルグルと絵の具が混ざり合い、描き出されたのはキノコの群れ。
「でっかいキノコだー!」
瞳を輝かせながらベアタ・アンシュッツ(天使のハラペコウィザード・g03109)が声をあげる。
「こんなおっきいの……(一口じゃ)入んないよぉ」
艶やかな唇に指を添えながら、溢れ出る涎を必死に抑えるベアタちゃん。傍から見るとセリフがやべぇ。
「マッツタケェエエエッ!!」
まるで柱のようにそそり立つご立派様たちは、互いの茎を打ちつけ合いながら感情を高め合い戦闘能力を強化してゆく。
うーむ、たしかに食べがいはありそうだし、ベアタもキノコは嫌いではない食材なのだが……。
「でも、なんかおいちくなさそうだし……。海産物のかほりがしそうな気がするのは、なんでなんだぜ」
ホント、なんででしょうね……?
ヒントは『淫魔・慰め』。
答えが解った人は心が穢れている証拠なので反省しよう。もし解らなくても親御さんとかに聞くんじゃあないぞ!
「ムキタケェェェエエッッ!」
意味不明の金切り声をあげながら突撃してくるキノコ軍団。
「わわっ、こっち来た」
とりあえず正当防衛として『サプライズ☆ギフト』でキノコを攻撃してゆくベアタ。
召喚されたバケツ入りの巨大プリンが、その超重量で敵を圧し潰してゆく。
クチャッと粘質の音を響かせながら、キノコがぺしゃんこになる。
「……なんか、キノコにべちゃべちゃに崩れたプリンが絡み付いて……更にモザイク持ちだから、何かイケナイものっぽい雰囲気ががが」
もう絵面がヤバいことになっている。パッと見だと大惨事。
「あっ!? これじゃ、残ったプリンさんを食べられないじゃないか!」
意地でも食べものを粗末にしたくないベアタちゃん。
「待て待て慌てるな待て、
これは淫魔の罠だ!」
(「まさかこんな手を使ってくるなんて……! くっなんて卑怯なヤツ……!」)
予想外の精神攻撃に一瞬狼狽えるベアタ。そこに……。
「シメジッ!!」
「――ッ!?」
その隙をついて、(プリンまみれの)白濁キノコがベアタを背後を取り、そのまま組み伏せようとしてくる!
「くっ……!」
滑る粘液、咽かえるような匂い……こちらを押し倒そうと、そそりたつキノコ……。
このままじゃあ……絵面的に全年齢を限界突破してしまいそうな気がする。
「てやっ!」
「エリンギ!?」
空のバケツを召喚して、キノコの頭に被せて隙を作る。なんとか敵の拘束から抜け出し、再び連続魔法で敵を圧し潰してゆくベアタだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
天夜・理星
大丈夫、アタシはまるで少女みたいに人間出来てる、復讐者出来てる♪
怪盗、少女と来たら、次は剣士の気持ちになってみよう!
あれはなんだ、フランクって言うんだね? 成る程。
…そういえば、感情を高め合うといいことあるんだっけ。
加えてあなたたち、怒るみたいに金切り声上げるんでしたっけね…!?
なら激情一つに絞って感情を高め合おう。
何故ならアタシの聖剣が感情でできているからね…!
ああ、煽ってもみよう…そんなにへんてこでいいの? 笑っちゃうなあってさ!
そこに聖剣を解放すれば、激情は高まり合うでしょ?
強まった能力のまま、パラドクスをお見舞いしよう。
で、金切り声は精神集中と情熱で恐慌を凌ぐ!
ほら、もっと怒れよ!
●1・キノコと遭遇する少し前
様々な景色が溶け合う絵画世界を進む天夜・理星(復讐の王・g02264)。
(「大丈夫、アタシはまるで少女みたいに人間出来てる、復讐者出来てる♪」)
先ほどの絵画の前で落ち込んだ気分を奮い立たせるために、自らの気合を入れ直す。
今日はなんだか色々な気分になれる日だ、と小さく苦笑。
(「怪盗、少女と来たら、次は剣士の気持ちになってみよう!」)
きっと剣を振るえば、モヤモヤした迷いも消えるはずだ。
●2
風景がグニャリと歪み、絵の具がトループス級のキノコ人間を描き出してゆく。
「あれはなんだ、フランクって言うんだね? 成る程」
淫魔がこちらの侵入に気が付き、差し向けてきたトループス級のキノコ軍団だ。
かなり悪趣味な見た目だが、そこはまあいい。
「丁度いいね。相手が欲しかったんだ」
理星が鞘から抜き放ったのは禍々しい紅いオーラを放つ『六聖剣・紅/激情』。
全てを喪った理星の感情から誕生した聖剣で、
「……そういえば、感情を高め合うといいことあるんだっけ。
加えてあなたたち、怒るみたいに金切り声上げるんでしたっけね……!?」
数の不利を気にすること無く、悠然と敵の軍勢の前へ一歩二歩と歩いてゆく理星。
「ポ……ポルチーニ……」
そのあまりにも堂々とした様子に、キノコ人間達も思わず慄く。
この存在感……。圧倒的な風格……。
「マ、マッシュルームッ!!」
なけなしの勇気を振り絞り、ステッキを振り上げながら敵が一斉に迫ってくる!
その様子に「そうこなくっちゃ」と理星は歯を剥いて微笑む。
「聖剣解放。激情は此より、焔となれ」
理星の感情が刀身と共鳴し、燃え盛る炎を纏う。
「さあ行くよ、『激情』! 思う存分、この感情を高め合おう!」
振り下ろす炎の一撃が敵の軍勢を両断してゆく。
「エ、エノキィイイ!?」
一瞬にして陣形が瓦解し、キノコ軍団が狼狽えた様子を見せる。
そんな様子が、なんか可笑しくって――。
「……そんなにへんてこでいいの? 笑っちゃうなあってさ!」
お次は大炎渦巻く横薙ぎの一閃。
「――!?」
両断されたのも一瞬、次の瞬間には黒焦げになって消し炭と共に消えてゆくキノコたち。
この全てを焼き尽くす焔こそが、理星の感情、情熱の炎。
「ほら、もっと怒れよ!」
そうじゃないと張り合いがない。
揺らめく陽炎と黒煙を纏う理星。目の前にいる全ての敵を焼き尽くすまで、王の進撃は続くのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!
●4章
トループス級『フランク』を蹴散らし終えて、武器を収める復讐者たち。
キノコ軍団を描き出すのに絵の具を使い過ぎたのか、いつの間にか蠢いていた景色がほぼ固定されていた。
これなら迷うことなく進むことが出来そうである。
やがて見えてきたのはアラビアの宮殿のような建物。
甘い媚薬の芳香が漂う宮殿内。上階を目指して進んでゆくと、裸となった魂たちが絡み合う、退廃的な空間へと辿り着く。そこでは、咽返るような性の匂いが立ち込めていた。
そして、最奥に居る玉座に座りし少女こそが……この絵画世界の主である淫魔『魔女メランコリーヌ』に違いない。
「あ~ら、よくここまで来たわね」
絡み合う魂を見ながら自らの気分を高めていたメランコリーヌが、高揚した頬のまま立ち上がる。
「……ねえ、あなた達もここで一緒に溶け合っていかない?
きっと脳髄が溶けるほどの、これまで感じたことの無いような快楽が味わえるわよ?」
唇を舐めながら、そう言って復讐者たちを懐柔するために微笑むメランコリーヌだった。
テネブレーヌ・ラディーリス
溶かすだけならお断りよ
もうすぐバレンタイン、どうせ溶かすなら冷やして固めて差し上げましょう
随分と厭らしい使い魔ね?
固めて砕いて貴女の墓前にトッピングしてあげましょうか
フリージングミサイルを展開
使い魔に近づいたら自動的に爆発させるようにするわ
どれほど巧妙な触手でも触らなければ吸い取れない
なら近づく前に固めてしまえばよいでしょ
使い魔の次は貴女
トロットロなスイーツが好みならスムージーにしましょうか
●1
復讐者たちを甘い誘惑で誘う魔女メランコリーヌ。
「……なかなか魅力的な提案ね」
対するように進み出たのは彫像を磨いていたときの召使い服を着たテネブレーヌ・ラディーリス(夜を駈ける変身ヒロイン・g01274)。
眩い紫光が彼女を包み込み、テネブレーヌ本来の魅力を前面に押し出したサキュバスの装いへと変身してゆく。
その零れ落ちそうなほどの大きな胸元と豊満な肉体を見て、メランコリーヌは「でしょ?ふふっ」と期待を寄せながら微笑む。
だが――。
「でも、魂を溶かすだけならお断りよ」
甘い言葉と性的魅力で人々を惑わし、堕落させる淫魔のやり口は解っている。
テネブレーヌが笑顔で返したのは、キッパリとした拒絶だった。
「もうすぐバレンタイン、どうせ溶かすなら冷やして固めて差し上げましょう」
彼女のガジェットウェポンが機構を変形させながら、冷気を纏う装置を形成してゆく。
「……ふーん」
興を削がれたとばかりに肩を竦めるメランコリーヌ。その背後に魔法陣が展開し、異界の門からヌルリと触手が這い出して来る。
サキュバスと淫魔。互いの魔力の激突が始まろうとしていた。
●2
メランコリーヌがテネブレーヌを捕らえんと触手を放つ。
「随分と厭らしい使い魔ね?」
吸盤をびっしりと付けた触手は一見タコのように見えたが……数が10本なのでイカなのかもしれない。
とにかく、嵐のように降り注ぐ触手の群れを躱しながら『凍結弾精製装置』を魔晶剣に装着するテネブレーヌ。
「固めて砕いて、貴女の墓前にトッピングしてあげましょうか」
妖艶な微笑みと共にテネブレーヌが剣を振るうと、刃の軌跡にフリージングミサイルが幾本も連なってゆく。
「貫けっ!」
迫り来る触手をギリギリまで惹きつけて、氷弾を一斉発射。
「――ッッ!??」
突き刺さった魔法弾にビクリを身を震わせる触手だったが、その反応も一瞬。
見る見るうちに冷気が触手を凍らせ、固めてゆく。
「どれほど巧妙な触手でも、触らなければ吸い取れない
なら、近づく前に固めてしまえばよいでしょ」
氷結した触手を撫でながら敵を挑発するように微笑むテネブレーヌ。
「使い魔の次は貴女。
トロットロなスイーツが好みならスムージーにしましょうか」
絶対零度の氷界を纏いながら、テネブレーヌは魔晶剣の切っ先をメランコリーヌへと向けるのだった。
成功🔵🔵🔴
効果1【冷気の支配者】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV3になった!
渡良瀬・アイ
アドリブ歓迎
ふふっ、なんて嬉しいお誘いなんでしょ
でもね……おいたが過ぎると、トンでもない事になるかもよ?
そっちが触手でいくなら、こっちも触手でお相手するよ!
目にも止まらぬ早業でパラドクスの触手を召喚、魔女ちゃんを捕縛した所で密着していくよ
下手に攻めると触手が魔女ちゃんに当たるかもしれないから、これでイカちゃんは迂闊に手が出せないはず
さ~て、この状態でじっくりと感情を高め合ってイくね♡
絡みついた触手で魔女ちゃんをジワジワと責めてやったら、最期はアタシが直接一突きにしてやるわ
●1
復讐者たちを懐柔しようと、甘い言葉を囁いてくる魔女メランコリーヌ。
「ふふっ、なんて嬉しいお誘いなんでしょ」
可愛らしいウィンクを返しながら、渡良瀬・アイ(アイドル系男の娘プロゲーマー・g01154)。
美少女からのお誘いなら断るもの失礼だよね☆ と、冗談交じりに微笑むアイであったが――。
「……」
そのすぐ後ろに……ものすごい『圧』を発しておられる無表情のメイド天使さんがいらっしゃいますが、これは大丈夫なのでしょうか?
そんなマリエルにアイは「あはは~……」と誤魔化し笑いをしつつ、改めてメランコリーヌに相対してゆく。
「でもね……おいたが過ぎると、トンでもない事になるかもよ?」
アイがクスッと微笑むと同時、マリエルが重機関銃の掃射を開始してゆくのだった。
●
硝煙と共に奏でられるは火薬の瞬く連弾の調べ。マリエルの容赦のない銃撃がメランコリーヌへと放たれる。
「へ~え、案外やるようね」
自らの周囲に触手を纏わりつかせてこれを防ぐ魔女。ヌルリとした触手の粘膜が、銃弾を滑らせてゆく。
「そっちが触手でいくなら、こっちも触手でお相手するよ!」
マリエルを下がらせて、自らの魔力を目にも止まらぬ早業で解き放ってゆく。
「……んっ☆」
アイの下腹部に刻まれた契約の紋章が燐光を発し、自身の翼の周囲からヌルリとした質感の触手が召喚されてゆく。
敵を捕らえようと繰り広げられる触手の大戦争。攻めっては滑り、受けっては絡み……。
「あら……なかなか、やるじゃないっ!」
「ふふっ、もっと高め合ってイこうよ!」
ニュルっとした熱き攻防が、両者の間で繰り広げられる。
「それ!」
「えいっ☆」
アイの触手が敵を捕らえると同時、敵の触手もまたアイを捕縛する。
「あらら。でも、こういうのはどうかな……!」
先手必勝と敵の秘所を撫でるように触手を操るアイ。
「んっ……あん……クッ……ヤるわね……!」
負けじと股の間から背中にかけてのラインに触手をヌメりつかせるメランコリーヌ。
互いをジワジワと攻める感情を高め合い。
先に天国へと導かれるのはどちらか、というある意味で負けられぬ戦いが繰り広げられてゆくのだった。
成功🔵🔵🔴
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
ベアタ・アンシュッツ
キノコは全部なくなっちゃったね☆
ひとつくらい……味見しておいてもよかったかも?
あ、個人的には脳髄がとろけるよりも、口のなかでとけて消えちゃうお肉の方が嬉しいです
なんかヤバそうなの居るし、クロノヴェーダ☆マッシャーで物理的にとろけさせてしまおう
挽き肉にすれば、たぶん混ざるよね?
敵の攻撃で戦意を失いそうになったら、
「こいつを倒さないと、安心していもようかんを食べられない」
「こいつが健在だと、いつの間にか……いもようかんをキノコにすり替えられるかも」
「つうか、どうせならこんな生キノコとかじゃなくて、トリュフチョコレート用意しとけよ……加熱調理の手間が掛かるだろ」
とか、理不尽な怒りで戦意を高揚させよう
●1
淫魔の提案にベアタ・アンシュッツ(天使のハラペコウィザード・g03109)は「ん~」と頬に指を添えながら考える。
「個人的には脳髄がとろけるよりも、口のなかでとけて消えちゃうお肉の方が嬉しいです」
あくまで食欲第一主義を貫くブレない腹ペコ天使。
その言葉に困ったように魔女メランコリーヌは肩を竦める。
「ん~、絵に描いたお肉なら出せなくもないのだけど……」
「美味しいの?」
「……絵の具味、かな」
OK、交渉決裂である。クロノヴェーダ☆マッシャーを構えて淫魔と相対するベアタ。絵画世界での決戦が始まろうとしていた。
●2
メランコリーヌが魔法の絵筆で豚のような使い魔や触手を次々と描き出してゆく。
どうやら先程のキノコ軍団もこうして召喚されたらしい。
「でも、あなたを護るキノコは全部なくなっちゃったね☆
ひとつくらい……味見しておいてもよかったかも?」
ニッコリと向日葵のような笑顔で挑発をぶち込むベアタちゃん。
「へらず口を……。雑魚を倒したくらいでいい気にならないでよね!」
メランコリーヌの号令で、豚のような使い魔が「ブっひぃいいいん」と鳴きながら突撃してくる。
さて、この『豚のような使い魔』。
豚のような使い魔と言えば聞こえがいいが……詳しく記載するのであれば、つまり豚耳に鼻フックを付けた四つん這いのドMおじさんたち(の魂)である。
「……なんかヤバそうなの居るし」
流石のベアタさんもこれにはドン引き。
まあ彼らも、絵画世界の淫魔に魂を捕らわれた、クッソ哀れな一般人の魂のなれの果てなのかもしれないが……。
その割には、なんだか妙に生き生きとして見えるのは気のせいだろうか。
「とりあえず、悪い奴なのかは判らないけど、成仏させておこう」
「ブッヒィィッ!!」
クロノヴェーダ☆マッシャーでゴリゴリすると、豚が歓喜の悲鳴を上げながら消滅してゆく。なにこれ、新手の精神攻撃?
さらに――。
「ふふっ、そうよ。この絵画世界は……すべて、わたしのもの」
淫魔が魔法で作り出した『煌めく十字花の嵐』によりこちらの高揚や戦意を奪い、脱力させてくるのが厄介だ。
なんとか敵の術に抗いながら、気持ちを強く持つベアタ。
「こいつを倒さないと、安心していもようかんを食べられない……」
そうだ、思い出せ。あの甘美な背徳の味を――。
「こいつが健在だと、いつの間にか……いもようかんをキノコにすり替えられるかも」
おっきなキノコを美味しそうに頬張る姿というのはいかがなものか。
「つうか、どうせならこんな生キノコとかじゃなくて、トリュフチョコレート用意しとけよ……。加熱調理の手間が掛かるだろ!!」
理不尽な怒りで戦意を爆発させるベアタ。
「――ッ!?」
大跳躍からのマッシャー叩きつけがメランコリーヌの脳天へとぶち込まれるのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【土壌改良】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV4になった!
リゼット・ノア
先手を取られましたね。
この雰囲気では、前のように怒りと憎しみを高め合って戦おう、とは言えません。
なら相手の土俵に乗って戦うことにしましょう…か。
パラドクスを使用…私の持つ手札を全て私に集め、混ぜ合わせ一つの力とするパラドクス。
それで自分自身を強化し、魔女を自分ごと、絡み合う魂の中に引きずりこもうとします。
彼女自身が一緒に溶け合っていかない?と誘ったわけですし。そのお誘いに乗るとしましょう。
あとは溶けて絡み合う魂の中で、自分の魂が溶けるのに【忍耐力】で耐えながら、魔女を【誘惑】しつつ纏うオーラをあれに見立てて突いて貫くように攻撃して弱らせて、魂を溶かして自分のものにしようとしてみましょう。
●1
復讐者たちを懐柔するためにニッコリと微笑む魔女メランコリーヌに、リゼット・ノア(Cortège funèbre・g02975)は小さい吐息で応える。
「先手を取られましたね」
この雰囲気では先程のように、怒りと憎しみを高め合って戦おう、とは言いにくい。
「なら、相手の土俵に乗って戦うことにしましょう……か」
キリキリキリ、と繰り糸が絞られ、自動人形が起動されてゆく。
死神のような大鎌を構えた黒い貴婦人と、防御を担う対の貴婦人。二体が舞い踊るようにしてリゼットの前に立つ。
「あらあら、ダンスのお誘いかしら?」
リゼットが懐柔に応じないと見て肩を竦める魔女。
「……一人は皆のため、皆は私のため。幾千幾万の盟友を私に束ね纏めて一と為し、ただ独りの軍と為りて戦場に立つ」
リゼットの言葉と共に黒い妖精たちが追憶の記憶を歌い上げ、正しき歴史と共に消えた兵士達の魂が甦ってくる。
纏うは瘴気、歌うは怨嗟。
それらを集めて自らの中に取り込み、肉体を強化してゆくリゼット。
『Ellim àlagét adlos Nu(エリム・アーラジュ・アドロス・ヌ)』
彼女が持つ全ての手札を自分自身に集め、混ぜ合わせ一つの力とするパラドクス。
「……舞い踊りましょう、存分に」
舞踏会に誘うような優雅な所作を見せるリゼット。
トッ、と踏み込む音。それすらも置き去りにして、リゼットの強化された身体能力が発揮されてゆく。
●2
「――!?」
魔女が驚きに目を見開く。なんとか視認できたのは黒いオーラの残滓のみ。
背中を滑り落ちるゾクリとするような感覚を感じると同時。既に、目の前に黒衣の少女に距離を詰められていたのだ。
「クッ!」
咄嗟に距離を取ろうと平手を振るうメランコリーヌだが……。
「うぐっ……あ!」
手首を掴まれ、恐るべき力で捻り上げられる。
「……どうしたのですか? 一緒に溶け合っていかないかと誘ったのはあなた自身ですよ?」
冷笑を浮かべるリゼットから、黒い靄がたちこめてゆく。
侵食するように、黒き靄がメランコリーヌとリゼットを包み込み、互いの魂を溶かし合ってゆく。
「……そのお誘いに乗るとしましょう」
魂が触れあい、絡み合うと、しとどに濡れた秘所が触れあうような……いや、それを超える快楽が押し寄せてくる。
眩暈のしそうな快楽の中で、自分の魂が溶けるのを必死に忍耐力で耐えるリゼット。
「うッ……く、あぁあっ!」
甘い吐息を上げるメランコリーヌ。その嬌声を誘惑しながら無理矢理に塞いでゆくリゼット。
ああ、たしかに……まるで肉体が枷(かせ)だと感じるほどに――。
魂がじかに触れあうというのは、得難い快楽のようだ。
互いの感じる昂りが直接こころの中に流れ込み、まるで高め合うように加速してゆく。
「……っ」
意志を強く持つリゼット。
リゼットが魔女を誘惑していると同時に、魔女もリゼットの魂を溶かそうとしているのだ。
(「……それなら」)
纏うオーラを思い描くモノへと形成してゆくリゼット。
絡みつく魂の間に楔を撃ち込むように、それでメランコリーヌを突き貫く。
「あぐっ……う、ああぁぁああっ!」
必死に押し留めていたものが堰を切って溢れ出し、メランコリーヌは声を抑えることが出来ない。
リゼットの一撃を受け、メランコリーヌは放心したように瞳を虚ろにするのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
エスト・リンフィールド
結局……最後までワンコきてるね
今度は、邪魔しちゃダメだよ?
……あれ?
ワンコ2匹に増えてる!(仲間の後についてきてたようです)
と、とりあえずアイスエイジブリザードで、寒そうな格好の淫魔を、もっと寒くさせてやる
……あれ?
ワンコが一匹、淫魔の背後からペロペロしてる!?
もう一匹は……まさか(背後に気配を感じたようです)
ちょ、こういうので同じ土俵に立つ必要はないと思うの!
このままじゃ、上級者どころか求道者とかにされちゃう
……ん?
さっきのキノコ戦で、プリンの破片が脚に付いてたみたい
だから、ワンコハッスルしてたのか……だからって、私と淫魔が同じ状況なのは
戦いが終わったら、ワンコ達は飼い主に返しておかないと
●1
「ハア……ハア……」
なんとか復讐者たちから距離を取ったメランコリーヌは荒い吐息を整えながら、乱れた着衣を戻してゆく。
ここが一気攻勢のチャンスかも、とエスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)は杖を構える。
だが、その前に――。
「結局……最後までワンコきてるね。今度は、邪魔しちゃダメだよ?」
「ワン!」
「ワンワン!」
エストの言葉に応じるように一鳴きするドーベルマン。ようやく言うことを聞いてくれたよ~、とホッと胸を撫で下ろすエストだったが――。
「……ん?」
なんか今、鳴き声が複数聞こえたような……?
ははっ、そんなまさかね、と思いながら周囲を見渡すと……。
なんと! そこには元気に駆け回る子犬のドーベルの姿が!
「あれ……?」
ようやくエストに気付いてもらえたことが嬉しい様子で、子犬はその小さな尻尾をブンブンと振っている。
「うわ、うわわわ! ワンコ2匹に増えてる!」
犬泥棒の罪もドンッと2倍! くらりとした眩暈を覚えるエスト。
「そそ、そんなぁ!」
おおおおお、おち、おちつけ、エスト・リンフィールド!
挙動不審さに更なる磨きがかかってゆくエスト! これ以上は職質では済まない!
スーハ―、スーハ―、と深呼吸して、なんとか心を落ち着かせてゆく。
そう、まずは目の前の淫魔を倒して、この絵画世界から生還しないことにはお話にならない。コラそこ、問題を先延ばしただけとか言うな。
「と、とりあえずアイスエイジブリザードで……!」
あの肌面積の多い寒そうな格好の淫魔なら、もっと寒くさせてやるのが有効だと考えてエストは魔術を行使する。
「くっ……術士か」
凍てつく吹雪が魔女を襲う。反撃に魔女も戦意を奪う魔術をエストに放つ。
互いの魔力をぶつけ合わせる白熱の魔術合戦が繰り広げられてゆく――!
と、そこに……。
「ひゃんっ!」
突然、スカートの中から直接パンツを舐められてエストは悲鳴をあげる。
薄布ごしに感じるこのチロチロとした可愛い舌先の感覚は、まぎれもなく――。
「ちょ、ダメだってば……ホントに!」
そう、あの子犬である。
ああ、なんという受け継がれし駄犬の血筋。あの親にしてこの子あり。
集中力を乱されて、魔術合戦の拮抗が崩れてゆく! え、こんなことで大ピンチになるの私!
「ふふっ、勝負あったわね……って、きゃ!?」
と、その時、なぜかメランコリーヌも悲鳴をあげた。エストはすぐにピンとくる。
「もう一匹は……まさか……」
そのまさかである。ドーベル(親)が戦場を大きく迂回し、気が付かれないままに魔女の背後を突いたのだ。
「くっ、まさかこんな手を使ってくるなんて……! やるわね」
ギリッと唇を噛むメランコリーヌ。え、なんか私の策略みたいになっている……。
「ちょ、こういうので同じ土俵に立つ必要はないと思うの!」
このままじゃ、上級者どころか求道者とかにされちゃうような気がして一言物申すエスト。
「はっ、その手には乗らないわよ! こっちが押し負けるじゃない!」
と、魔女も犬を受けいれている。
ああ……そういえば、そんな絵画世界ルールでしたっけ……。
退くに退けないペロペロ地獄の中、この戦いが終わったらワンコ達は飼い主に返しておかないと、エストは心に誓うのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【使い魔使役】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV5になった!
天夜・理星
…あっ。
アタシの本業、王様だったわ。
にしても随分とまあ…
元気が良いのは良いことか。
なるほど。じゃあ溶かそう。
眠るどころじゃなくてさ、こんな甘い匂いの中で、いいことしようって考えるならさ。
善意だけありったけ吸って永眠してくれ♪
このパラドクスはその為にある。
いいことをお望みなんでしょ? じゃあ悪意は要らないよね。
まず捕縛やエネルギー奪取はダッシュで避けよう。だっしゅだけに。
で、接近出来たら感情の波をありったけ流してあなたも善意に塗れて、それでいい気分のまま溶けてくれよ。勿論出力最大で、とどめを刺す心地でさ。
そしたらほら、善意も感情だから。高まり合って、満足でしょ?
ぐっない。いい画になったね。
●1
絵画世界での戦いもいよいよ大詰めだと感じ取る天夜・理星(復讐の王・g02264)。
思えば目まぐるしい1日。ルーブル美術館への潜入から、絵画世界へと次々と移り替わった状況。
(「ええと、怪盗、少女、剣士と来て……」)
「……あっ。アタシの本業、王様だったわ」
己の本分を思い出して理星はクスッと小さく笑う。
(「それなら……この戦いの『幕引き』は王様らしく、っていうのもいいかもね」)
先ほどの戦いの残火を振り払いながら、己の武器である聖剣を収めてゆく理星。
「一体どういうつもりかしら……?」
武器をしまった理星の意図を計りかねるように警戒して身構えるメランコリーヌ。
「ん? ああ、戦うだけが仕事じゃないかなって思って」
「……?」
疑問符を浮かべるメランコリーヌに理星は「まあ、こっちの話」と微笑みで返す。
「にしても随分とまあ……。元気が良いのは良いことか」
使い魔の豚(隠喩)に、ド直球な触手。淫魔と言うのは皆こんな感じなのだろうか?
うーん、と理星がメランコリーヌを見つめていると、その視線を勘違いしたようで。
「……? 剣を収めて私に従うなら、部下にてあげてもいいわ。魂が溶けるほどの快楽を約束してあげる♪」
まだ懐柔を諦めていなかったか、と理星は苦笑で返す。
「なるほど。じゃあ溶かそう。
眠るどころじゃなくてさ、こんな甘い匂いの中で、いいことしようって考えるならさ」
メランコリーヌにダッシュで接近してゆく理星。
剣を収め、敵意は無く、威風堂々とした王者の進撃――。
「くっ」
理星を捕縛するために触手を伸ばすメランコリーヌだったが、
「エネルギー奪取はダッシュで避けよう。だっしゅだけに」
と、余裕を崩さない理星を捉え切ることが出来ない。
悠然と目の前にまで迫ってきた理星に、メランコリーヌは歯を噛む。
いよいよ剣を抜くか、と思ったものの――。
「はい」
と差し出されたのは、ただの握手だった。
「……このっ!」
これを払いのけようと手を振るう魔女だったが、理星と触れ合った瞬間、まるで電流が迸るかのような衝撃が起こった。
「うっ……こ、これは」
理星の中に眠る感情の波“刻源”がメランコリーヌへと流れ込んでくる。
押し寄せる感情の波が、敵の悪意を溶かし、善意を増幅させてゆく――。
「善意だけありったけ吸って永眠してくれ♪
このパラドクスはその為にある。
いいことをお望みなんでしょ? じゃあ悪意は要らないよね」
「……うっ、ぐぬぬ!」
握手を振りほどこうともがきながら、逆に理星を侵食するために快楽エネルギーを流し込んでくる淫魔。
こうなるとあとは感情が強いかの出力勝負だ。
「いいね、お互い出力最大で、とどめを刺す心地でさ」
感情をぶつけ合う理星とメランコリーヌ。
「アタシのありったけを流してあげるから……それでいい気分のまま溶けてくれよ」
「うっ……くっ……あ、あぁぁあ!」
激しく押し合う二つの感情。
「そしたらほら、善意も感情だから。高まり合って、満足でしょ?」
と、敵であるメランコリーヌに微笑む理星。
「……!」
まるで太陽のような、その笑顔に感情を撃ち抜かれて、メランコリーヌはついに膝を落とし……。
「な、なんなのよ……貴女は……。敵同士なのに……バカバカしく、なる……じゃない」
ギュッとはにかむように理星の手を握り返して、ゆっくりと魔女が足元から消失してゆく。
「ぐっない。いい画になったね」
指先まで消える最後の時まで、敵であったメランコリーヌの手を握り、理星は花を手向けるように小さく呟くのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!