十二月の新宿に猫たちが嗤う(作者 土師三良
13


#最終人類史(新宿島)  #新宿島のクリスマスパーティ  #クリスマス2021 

●新宿駅グランドターミナルにて
「第一次東京奪還戦はディアボロス側の圧勝という形で終わったな。この結果に新宿島の住人たちは歓喜し、興奮し、感動しているだろう」
 何番線かのホームに集まったディアボロスたち。
 彼らや彼女らの前でインセクティアの精悍な青年が語っていた。
 時先案内人の李・令震である。
「感動だけでなく、感謝もしているようだ。歴史を取り戻すために戦ってくれたおまえたちにな。その感謝を『くりすます・ぱーてぃー』とかいう宴で示そうとしている住人たちもいる」
 そんな住人たちの一部から令震は相談を受け、『くりすます・ぱーてぃー』を企画したのだという。
 そのパーティーで重要な役割を果たすのは――、
「猫だ」
 ――と、令震は言った。
 神託を告げる預言者のごとく厳かに。

「この時代には『ねこかふぇ』と呼ばれる類の店がある。名前から察しがつくだろうと思うが、猫が放し飼いにされた飲食店だ。猫が好きなディアボロスってのも少なくないようだから、その『ねこかふぇ』を宴の場にすることにした。しかし、宴といっても、なにか特別なことをするわけじゃない。店が提供してくれる飲み物を味わいつつ、猫との一時を過ごす……ただ、それだけだ」
『それだけ』であっても、愛猫家にとっては天国も同然である。
 ちなみに件の店にはカフェ・エリアの他に土足厳禁のカーペット・エリアもあり、そこでは温かい電気カーペットに寝転がって猫たちと戯れることもできるという。
「手が硬質化しているので猫に触れられない者もいるだろうが、安心してくれ。毛糸やゴムで作られた厚手の手袋を用意しておく。それを装着すれば、猫を傷つけることなく、頭を撫でたり、喉をかいたり、肉球をぷにぷにしたり、全身をもふもふしたりできるだろう」
 真顔で『ぷにぷに』だの『もふもふ』だのという言葉を口にする令震の姿はなにやら微笑ましいものがある。実際、堪えきらずに笑っているディアボロスもいた。
「もっとも、コツさえ掴めば、手袋など不要だがな。むしろ、硬質化して尖った指先はノミをとる時や被毛を梳かしたりする時に便利だ……いや、便利らしい。そういう話を聞いただけで、実際に試したことはないぜ。俺はべつに猫なんか好きじゃないから。うん、好きじゃないから」
『いや、絶対に好きだろ!』『いまどき、ツンデレかよ』『そういえば、令震の顔ってなんか猫っぽいよね』などと囁き合うディアボロスたち。
 それが聞こえていないのか、あるいは聞こえない振りをしているのか、令震はポーカフェースを維持したまま、大事なことを告げた。
「言うまでもないことが、参加費は無料だ」

●新宿島にて
 雑居ビルの五階にある猫カフェで、店員たちがてんやわんやの大騒ぎを繰り広げていた。
 猫好きなディアボロスたちに快適な時間と空間を提供をするため、開店の準備をしているのだ。
「ホットカーペット、起動確認! 温度ゲージ、60%に固定!」
「全トイレ、チェック完了! 倉庫内の消臭猫砂、ストック充分!」
「伍号爪研ぎ板の消耗値、42000カキカキを突破! 拾号をバックアップに回し、陸号から号までの配置をパターン乙に変更します!」
「レッドアラート! 一部のやんちゃな猫様のテンションが急激に上昇中!」
「第三キャットタワー、大破!」
「厨房ににゃんこ侵入! カリカリの袋が破られました! あぁ!? 袋の破れ目に頭だけ突っ込んでカリカリを貪る姿が可愛すぎるぅ~ん!」
「厨房スタッフ、萌え死にました!」
「臨時店長! 猫ちゃんを落ち着かせるために液状おやつを……いえ、せめてジャーキーの使用許可を!」
 店員に『臨時店長』と呼ばれたのは他ならぬ令震である。
 店の中央に仁王立ちして腕組みをしているその姿は、決戦に臨む司令官を彷彿とさせた。
「いや、許可できない」
 無情に言い切る令震の足下に一匹の子猫が近寄ってきた。
「ジャーキーも液状おやつもお客様のための商品だ。猫じゃらしのみで対処しろ」
 子猫が令震の体をえっちらおっちらと登り始めた。長身の彼をキャットタワーとでも思ったのかもしれない。
 やがて、子猫は令震の頭頂に到達すると、インセクティア特有の触覚を不思議そうに眺め、前足で軽く叩き、甘噛みして……その様子を視界に入れてしまった店員がまた一人萌え死んだ。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
3
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
2
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【照明】
3
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【動物の友】
1
周囲の通常の動物がディアボロスになつき、意志の疎通が可能になる。効果LVが高い程、知能が高まり、友好的になる。
【プラチナチケット】
2
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【モブオーラ】
1
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【スーパーGPS】
1
周囲のディアボロスが見るあらゆる「地図」に、現在位置を表示する機能が追加される。効果LVが高ければ高い程、より詳細な位置を特定できる。
【活性治癒】
2
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【植物活性】
1
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【温熱適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、気温摂氏80度までの暑さなら快適に過ごせる世界に変わる。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【ハウスキーパー】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建物に守護霊を宿らせる。守護霊が宿った建物では、「効果LV日」の間、外部条件に関わらず快適に生活できる。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV2 / 【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV6 / 【ガードアップ】LV2 / 【凌駕率アップ】LV1 / 【フィニッシュ】LV1 / 【反撃アップ】LV4 / 【アクティベイト】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV2 / 【ダブル】LV1

●マスターより

土師三良
 土師三良(はじ・さぶろう)です。よろしくお願いします。

●このシナリオの概要
 猫カフェで猫たちとの一時を過ごすことができます。
 おとなしい猫たちとまったりと過ごすもよし。
 やんちゃな猫たちとドタバタするもよし。
 猫に骨抜きにされてる他のPCをなまぬる~い目で見守るもよし。

●選択肢について
『②クリスマス・クライマックス!』は締めのための選択肢なので(少数採用もしくはサポートで処理します)、基本的には『①新宿島のクリスマス』を選んでください。とくに未処理の『①新宿島のクリスマス』がまだ多く残ってる段階で『②クリスマス・クライマックス!』のプレイングをかけることはお勧めできません。

●猫カフェのメニューについて
 各種ソフトドリンクしかありません。ある程度の持ち込みは可能です(ただし、アルコールを除く)。

●李・令震
『猫なんか好きじゃない』という令震も参加しています。どこか目立たない場所で猫を(無言・無表情で)もふもふしていることでしょう。プレイングで絡みがあれば、登場するかもしれません。

 それでは、皆さんのプレイングをお待ちしております。
85

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


桜・姫恋
絡み・アドリブ歓迎

【ヨアケ】で参加

猫カフェ初めてだけどどんな子に会えるかな?

リオーネは保護猫カフェでお手伝いしてるのね?なら、猫の相手はお得意なのかしら?

ルナのおかげで猫に囲まれて猫に埋もれているが幸せで楽しいのでされるがままになっている

葉月は猫に避けられちゃうの?猫カフェの猫なら大丈夫じゃないのかな?もし全滅したらうちのルナ愛でていいわよ?葉月、ちょっと待っててね(ルナに頼み葉月と仲良くできる猫を連れてきてもらう)この子なら大丈夫よ。

あら?ゼット、ルナはこれでもちゃんと猫よ?

アイネリスはごろごろしてるわね…猫ちゃんGo‼アイネリスに突撃!!
アイネリスが死んだら人鳥に頼むから問題なし!!


リオーネ・クア
【ヨアケ】のみんなと

保護猫カフェの手伝いしていたりするんだけど今日はお客さん
楽しみだなぁ、いろんな子に遊んでもらおうっと
猫の相手が得意かはわからないけど、猫愛には自信あるよ!

わぁ、元気に動いてる子がいっぱい
我関せずって顔している子に遊んでもらいたいなぁ
(体勢をできる限り低くし)ほら、猫じゃらしだよー
おっと、元気な子が先に突撃してきたぞ
よーしよし、元気だね
慣れてるけどゼットさんタワーには敵わないなぁ

猫に避けられる系なんてあるの?(意外そうな顔)
この子人懐っこいしどうかな(抱えて葉月さんに差し出し)
食べ物を使う手もあるよ

令震さんは先日の依頼では犬のこと気にかけてたし動物好きなんだろうな
優しい人だね


高遠・葉月
【ヨアケ】
アレンジ歓迎。

ん。猫は好きよ。ただ猫が怖がって避けられるのよね
人懐っこい猫が居れば良いのだけれど
容易に猫と戯れるリオーネ、ゼットの猫タワーを羨まし気にしつつ、ぺたんと座り視線を合わせて緊張でがちがちになりつつおそるおそる猫に手を伸ばす
リオーネが差し出す猫にごくりと緊張し、ごごごごと背景音が出そうなくらい緊迫感と緊張感をだしつつ手を伸ばす
懐いてくれる猫はめっちゃ可愛がる。それはもううちの子にするーってくらい甘々に。止められたら渋々手放す。今生の別れの様にそれはもう渋々
誰も懐いてくれない自分を中心に過疎スペースが出来たらテーブルにつっぷして姫恋のルナちゃんに慰めてもらおう。ないてない


ゼット・ノアール
「目標捕捉。…どの個体も健康状態良好」
【ヨアケ】で参加

まさかこのような歓待を受けるとは。
素晴らしい文化だと言わざるを得ん。
そもそも動物に好き嫌いはないが…猫を使うとは慧眼だな。

猫に避けられる?
猫は人の機微に聡い。恐れては過敏になるし構い過ぎても嫌がる。
こんな感じだ(己自身がキャットタワーと化す)
なんだ眉立、資料の一環か?(撮られながら)

流石にリオーネは手慣れているな。
最近は『ちゅーる』とかいう物もあるそうだが…どれだ?

ルナは…猫として認識していいものか。いいのか?そうか。
だが猫との絡みは興味あるな。
カーペットになる者も居るし記憶補助グラスで保存しておこう。

※アドリブ大歓迎


アイネリス・レナリィ
【ヨアケ】
アドリブ絡み歓迎

今日の私は猫の下僕……
思う存分蹂躙するがいいわ
鳥好きお兄さんも猫と遊んでなさい
しっしっ

ふふ……葉月さん、座るだけではまだ足りません
猫から構ってもらうにはこう!
私自身がカーペットになることだ

仰向けに寝っ転がってカーペットと同化
眼鏡を死守しつつ踏んでもらいます
ある程度踏んでもらったらゴロゴロ転がってもっと踏んでもらいましょう

仰向けなら他の方の様子もバッチリ
リオーネさんはなんだか手練れの様相……
経験者でしょうか
集まっている猫も多いような

ゼットさんキャットタワーは……微動だにしていないわね
案外動物に好かれやすいのでは?

くくく……来るがいい姫恋さん
私は猫の突撃であっさり死ぬぞ?


眉立・人鳥
アドリブ・絡み歓迎
【ヨアケ】

うちでも白猫飼ってるけどよォ
やっぱ可愛いよな、猫は

うわっ……俺の扱い雑過ぎ……?
ちょっといじけながら猫達に慰めて貰いましょ

撫でる時は優しくゆっくり
好みの触り方を見つけてやらねぇとな
手の甲で撫でるのもいいみたいだぜ

しかし、自分がタワーになるやつ多いな……
面白いから撮っとこ
ま、そんなとこだな

ガチガチの葉月ちゃんも、猫と戯れるリオーネクンと猫に埋もれる姫恋も
撮影しつつ、お茶でも飲んでゆっくりするぜ
(頭に猫を乗せつつ)
そして
ゴロゴロして猫まみれになってるアイネは
いつにも増してかわ……かわ……
何してんだァ〜〜!

へいへい、そん時は俺がおぶるなりして帰りますよ。思い切り楽しみな


シャナオウ・ナラシャ
【暁降】

莉緒、猫カフェとは…一体?何それ

俺の国では猫は神聖視されていたんだ
戯れるなんてことは普通の人は出来なかったな
なんせ、ほら(ラフィスを指して)王様の猫様だったからね
いや、普通の猫も居たよ…でもね(近くに居た猫に猫じゃらしを見せて)

他の猫と戯れるラフィスだが相変わらずツンツンしている
尻尾が心なしか揺れているし、目が猫たちを追っている…

そして…一匹の猫に目が行き
ターキッシュ・アンゴラ…
本物は…確かに綺麗な猫だな…(恐る恐る触れる)
毛…柔らか…絡みそうだな…
知ってるかラフィス
お前のイメージってこの猫から来たんだぞ

でも何故かヤキモチをやくラフィスであった

要の言葉には『ふふん、当然!』というように


如月・莉緒
【暁降】

猫カフェとは猫と戯れることが出来る楽園のような場所のことだよ!

マンチカン、足短いー!
ラグドール、ふわふわー!
スコティッシュフォールドの耳ぺしゃも可愛いー!

あちこちの猫に目移りしつつ、目的は大好きなノルウェージャンフォレストキャット!

はぁ…、やっぱ可愛いしカッコイイんだよなぁ…

と触るのも忘れて惚れ惚れと見つめる

そういやシャナオウさんや要さんはどうしてるかな?
シャナオウさんはふわふわの美猫さんに夢中で
あっ、要さん、おやつあげてる!
私からも上げるよー。おいでおいでー♪

来てくれた猫におやつ上げてたらラフィスが拗ねてるのに気付いて

シャナオウさん、ほどほどにしないとラフィスさんが……!

と肩を叩いて


瀬良・要
【暁降】で参加

猫カフェかァ。そういや知ってはいても来たことなかったなァ?
っつーか猫こんな居るんだな?
種類も豊富だし、こりゃ確かに愛猫家にゃ天国だ

もふもふな長毛種もいいけど、短毛種も可愛いんだよな~♪
アメショとかロシアンブルー、シャム猫なんかは有名だよな

んー?どうした遊んでほしいのかァ?
あっ、逃げられた
猫じゃらしとかオモチャが最適なんかね、やっぱ
ツンデレなとこもまたいいんだけどなァ♪

あーそっかおやつも……あげてみるか
って乗るな乗るな! 順番! 順番な!

おう、莉緒も紗那も楽しそうじゃん?
……こいつら可愛いな、可愛いの具現か?
ってラフィス拗ねてんじゃんよ
だーいじょうぶ、ラフィスは最強にカッコいいぜ♪


十六夜・ブルーノ
ちょっと遅れちゃったけど
俺たちも混ぜてもらおう

猫たちとのもふもふタイムは楽しみだし
臨時店長も助けてあげたいしね

猫たちを静かになでなでしながら
待ったりと過ごしたいね
もふもふタイムだ

ドゥーも猫ちゃんと一緒に寝ちゃったりね
可愛い💛

一通りまったりとしたら
一寸賑やかに

少し離れたらら演奏しても大丈夫かな?
余り驚かせないように注意

猫たちの動きに合わせて
即興で曲を奏でよう

きっとドゥーも猫たちと戯れるかな
うんこれも可愛い💛

楽しい時間をありがとう
喪われた歴史を取り戻す決意を新たにしたよ
新宿島の皆と猫たち
スタッフの皆さんと臨時店長へ乾杯!
メリークリスマス!


●ぴーとん
 吾輩は猫である。名はぴーとん。
 本日、吾輩の住居にして勤務地であるこの猫カフェはディアボロスたちの貸し切りとなっている。
 ディアボロスとは異国の言葉で『悪魔』を意味するらしい。そんな名前で呼ばれるからには、さぞかし強面揃いなのだろう……と、思っていたのだが、さにあらず。皆、悪魔には程遠い。
 あちらではしゃいでいる二人が良い例だ。
「わたし、猫カフェに来るのって初めてー!」
「俺は初めてじゃないけど、お客さんの立場で来るのはなんだか新鮮な感じがするな」
 両者ともに翼を有し、片方は角や尻尾まで生やしているが、それらの要素を除けば、頑是なき少女と少年にしか見えない。
 角と尻尾がついた少女はサキュバスの桜・姫恋(苺姫・g03043)、少年のほうはデーモンのリオーネ・クア(ひつじの悪魔・g01176)というらしい。何故に名前を知っているのかって? ふん! 愚問だな。猫はなんでも知っているのだ。恐れよ、人類。貴様らの個人情報は猫社会に筒抜けと知れ。
「そういえば、リオーネは保護猫カフェのお手伝いとかしてるんだっけ。だったら、猫の相手は得意なんじゃない?」
「得意かどうかは判らないけど、猫愛には自信あるよ!」
「わたしも『猫愛』には自信があるけど――」
 と、高遠・葉月(猫・g04390)という金髪の少女が会話に加わった。
「――猫たちのほうに『わたし愛』がないのよね」
「どういうこと?」
 リオーネが問いかけると、葉月は重い溜息をついた。
「わたし、猫に避けられるタイプなのよ」
「えーっ!? 猫に避けられる人なんてこの世に存在するの?」
「……気をつけなさい、リオーネ。そういう悪意なきピュアな発言は時に人を傷つけるのよ。ナチュラルに、かつ容赦なくね」
「ご、ごめん。そんなつもりは……」
 負のオーラをどよーんと発する葉月に平身低頭するリオーネ。嗚呼、人間たちが繰り広げる悲喜劇のなんと愉快なことか。
 葉月たちから少し離れた場所では別の一団がやりとりをしている。そのうちの一人であるシャナオウ・ナラシャ(『-紗那皇-』・g02191)はリターナー。悲喜劇よりも重厚な史劇のほうが似合いそうな銀髪の美丈夫だ。
「猫カフェとは……いったい、なんなんだ?」
「は? 令震の話を聞いてなかったの?」
 物珍しげに四方を見回すシャナオウの横で、金髪のサキュバスの娘――如月・莉緒(恋愛至上主義・g04388)が呆れ顔をした。
「猫と戯れることができる楽園のような場所のことだよ」
「猫と戯れる? それは得難い体験だな」
「うーん。そんなにエガタイかねえ?」
 シャナオウの感想を聞いて首をひねったのは瀬良・要(死は我が踊り手・g00797)。好戦的かつ野性的な顔立ちをした男なのだが、今の表情は莉緒と同じく呆れ顔。浮き世離れしたリターナーの感覚についていけないでいるらしい。
「ああ、得難いとも」
 と、浮き世にリターンして間もないであろう御仁は宣った。
「俺の故郷では猫は神聖視されていたから、戯れるなんてことは普通の人にはできなかったんだ」
 甘いな、シャナオウ。おまえの故郷とやらがどこだか知らんが、この新宿島でも一部の者に猫は神聖視されているのだ。
 ほら、あちらで『一部の者』の典型例が張り切っているぞ。
「今日の私は猫の下僕! 尽くして尽くして尽くしまくってさしあげます!」
 アイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)だ。一見、眼鏡をかけた理知的な若い女……なのだが、猫への信仰心を煮え滾らせているせいで『理知的』の部分がちょっと怪しくなっている。
 彼女の横に立つ長身の男――眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)はまだ理性を保っているようだ。
「客側が尽くすのって、なんか変じゃねえか? まさに主客転倒って感じなんだけど?」
 人鳥のツッコミはもっともなものだったが、アイネリスはそれを『もっとも』だとは思わなかったらしく、鼻で笑った。
「猫カフェに『客』など存在しません。何者であろうと、足を踏み入れた瞬間に猫の下僕と化すのですから。まあ、鳥にしか興味のない人には理解できないでしょうけれどね」
「いや、確かに俺は鳥好きだけど、猫だって嫌いじゃねえよ。うちでも白いやつを一匹飼ってるし……」
「だったら、グダグダ言ってないで、猫に奉仕しなさい。ただし、私の邪魔にならないところでお願いしますね。ほら、しっしっ!」
 野良犬でも追い払うかのようなアイネリスが手を振ると――
「うわっ……俺の扱い、雑すぎ……」
 ――鳥人はがっくりと肩を落とした。
 やはり、人間たちは愉快だな。

●与五郎左
 私の趣味は人間観察。
 本日のゲストであるディアボロスたちは個性派揃いなので、観察のしがいがあるというもの。
「目標、捕捉。補足。補足。補足……」
 と、呪文のように唱えているゼット・ノアール(群青の傭兵・g01952)も観察対象の一人。同時に観察者でもある。隅のほうに立ち、首をカクカクと機械的に動かして各猫を目で捉えているのだ。
『機械的』と言ったが、彼の体の一部は実際に機械化されているらしい。はだけた上衣から覗くのは金属の肌。これがサイボーグというやつか?
「どの個体も健康状態は良好の模様」
「それはなにより」
 ゼットの報告だか独白だかを聞いて、十六夜・ブルーノ(希望の配達人・g03956)が満足そうに頷いた。この少年はサイボーグではないが、見た目の印象の強さはゼットに負けていない。ブズーキなる弦楽器を携えている上に黒いメーラーデーモンを伴っているのだから。
「店員さんに教えてもらったんだけど、ここは動物愛護系のNPOと提携しているんだって。半分以上の猫が保護猫らしいよ」
 と、ブルーノに語りかけたのは、保護猫カフェでボランティアをしているというリオーネだ。
「保護猫たちの中には、刻逆のせいで飼い主と離れ離れになった子も少なくないとか……」
「じゃあ、俺たちがクロノヴェーダから正史と世界を奪い返していけば、その猫たちもいずれは飼い主と再会できるかもしれないってことだな」
 ブルーノはディアボロスとしての決意を新たにした模様。
 しかし、シリアスに決める主人を差し置き――
「めぇー」
 ――黒いメーラーデーモンは暢気な鳴き声をあげて、私のところに迫っている。
「めぇー」
 別のメーラーデーモンも興味津々といった様子で近寄ってきた。こちらはリオーネのサーヴァントだ。
 まあ、何者が干渉してこようと、私は動じたりたりしない。冷静に観察を続……
「めぇー」
「めぇー」
 いや、近い近い近い近い! 近いって! 二匹揃って鼻先でつんつんしてくんな! あと、電磁槍を置け! 危ないから!
 ……いかん、いかん。ほんのちょっぴりパニクッてしまった。そう、ほんのちょっぴり。
「めぇー」
「めぇー」
 二匹のヤギどもに左右から挟まれてサンドイッチ状態になってしまったが、もう動じたりするものか。冷静に観察を続けるぞ。
 新たな観察対象は莉緒だ。
「ふわふわのラグドールもいいし、耳ぺしゃのスコティッシュフォールドも可愛いー! でも、いちばん目を惹いちゃうのは、このノルウェージャンフォレストキャットよね!」
『イッチモン』という名の猫に莉緒は目をつけた。本当に目をつけただけ。手で触れるどころか、近寄ろうともしない。うちはお触り禁止の店ではないだのから、遠慮せずにモフればいいものを。
「めぇー」
「めぇー」
 おまえらはもうちょっと遠慮しろ!
「はぁ……やっぱ、可愛いし、カッコイイんだよなぁ……」
 莉緒は推しのアイドルを眺めるファンのごとき蕩けた表情をして、悩ましげに溜息をついている。
 ちなみに言っておくと、イッチモンは日本生まれの日本育ち。頭に『ノルウェージャン』とつく猫種ではあるが、ノルウェーとは縁も所縁もない。
「めぇー」
「めぇー」
 うるせー、ヤギども。
「これがターキッシュアンゴラか……確かに綺麗な猫だな……」
 おや? シャナオウも莉緒と同じように蕩けているようだ。莉緒と違うのは、相手を撫で回しているという点。
「なんと柔らかい毛だ……」
 シャナオウに愛撫されている猫の名は『マカベエ』。こいつも日本生まれの日本育ち。頭に『ターキッシュ』とつく猫種ではあるが、トルコとは縁も所縁もない。
「知ってるか、ラフィス? おまえのイメージはこの猫から来たんだぞ」
 シャナオウが声をかけた相手は、派手の色の被毛を有したスフィンクス。おそらく、彼のサーヴァアントなのだろう。
 スフィンクスはマカベエをチラリと横目で見た後、そっぽを向いた。その一連の所作からは『は? ターキッシュアンゴラのほうが私をイメージしてるんですけどぉ?』という尊大な意思が感じられる。
 私を挟んでいるフランクなヤギどももこの気位の高さを見習うべきだな。うん。
「zzz……」
「zzz……」
 こいつら、いつの間にか寝息を立てているぞ。
 なんだか、私も眠くってなってきたな。しかし、睡魔に負けるわけには……いかない……観察を……続け……zzzzz……。

●三毛・フジコ
 あたしは世にもレアな雄の三毛猫。でも、心は乙女よ。
 あたしの美しさはディアボロスをも魅了するの。ほら、あっちにいるブルーノって子をごらんなさいな。もうメロメロになってるわ。
「うわー。かわいいな」
 そうでしょうとも。もっと褒めて。
「ドゥーたちと一緒に丸まって寝てる姿がなんとも……」
 ……え? もしかして、メーラーデーモンたちと寝ている与五郎左のほうを見てるの? あたしを見なさいよ! あたしを!
「こっちの猫たちも可愛い」
 今度は別の猫どもをモフモフし始めたー! あたしのことはガン無視!
 ふん! いいわよ、いいわよ。あんな坊やなんか、こっちから願い下げ。もっとオトナの男を狙うわ。そうね……要なんか、どうかしら?
「しっかし、いろんな猫がいるなあ。こりゃあ確かに愛猫家にとっては楽園だ」
 要ってば、多種多様な猫たちに目移りしているみたいね。だけど、こうやってしゃなりしゃなりと優雅に歩いてみせれば、その落ち着きのない視線も釘付けになるはず。しゃなりしゃなり~♪
「莉緒とシャナオウはもふもふな長毛種に夢中になっているけど、短毛種も可愛いよなあ」
 でしょ? でしょ? たとえば、三毛の和猫とかー?
「アメショとか」
 いえ、アメショの他にもいるでしょ。ほら、ここに!
「ロシアンブルーとか」
 いやいやいやいや! そうじゃなくてー!
「あと、シャム猫とかな」
 外国の猫ばっかりやないかーい! おんどりゃ、それでも日本人か! 大和魂はどこにやったんじゃ、こらぁー!
 ……あ、いけない。思わず関西猫弁でキレちゃったわ。
 ちょっと方針を変更したほうがよさそうね。あたしの美しさが理解できない野蛮な男どもなんか放っておいて、同性(精神的な意味でね)に魅力をアピールしましょう。
 では、まずは姫恋に……と、思ったけれど、既に彼女の周りには猫がいっぱい集まっていた。どうやら、猫たちは姫恋に興味を持っているわけじゃなくて、その膝の上にいるらしきなにかに誘い寄せられたみたい(あたしはのいる場所は姫恋の後ろだから、その『なにか』は見えなかった)。
「ありがとね、ルナ」
 と、膝の上の『なにか』に姫恋は声をかけた。
「あなたが同族たちにモテモテなもんだから、私もおこぼれに預かれるわ」
「猫たちをルナの同族と認識していいのか?」
「いいに決まってるでしょ、ゼット。ルナはこれでも歴とした猫よ」
「ふむ。そうか」
 姫恋とゼットとのやりとりに混じって、翼をぱたぱたさせる音が聞こえてくる。ははーん。判ったわ。ルナっていうのは、スフィンクスのことでしょ?
 姫恋は『歴とした猫』とか言ってたけど、あたしに言わせれば、スフィンクスなんて猫の紛い物に過ぎないわ。どれ、その紛い物の姿を拝ませてもらおうかしら。どうせ、翼以外になんの特徴もない貧相な子でしょうけれけどね。姫恋の前に回り込んで、と……。
「にゃん!」
 なんじゃ、こりゃあーっ!? 毛の色がピンク! めっちゃ、ピンク! しかも、声まで可愛い! この店の女王としてのあたしの立場(雄だけど)が危うくなっちゃう~ん!
 ……ってな感じで戦々恐々としていたら、後ろのほうから莉緒とシャナオウの会話が聞こえてきた。
「ラフィスさん、知らない猫が周りにいっぱいいるのに堂々としてるわね」
「然う然う威厳を崩したりしないさ。なんせ、ほら、王様の猫だったからな」
 どうやら、『ラフィス』とかいうのもスフィンクスのようね。どれ、そいつの姿も拝ませてもらいましょうか。王様の猫だかなんだか知らないけど、さすがにピンクより派手ってことはないでしょ。シャナオウの前に回り込んで、と……。
「にゃあ?」
 なんじゃ、こりゃあーっ!? 毛の色が真紅! めっちゃ、真紅! しかも、エジプト座りがものすごく様になってるぅー! あたしの女王の座がぁ! 女王の座がぁーっ!

(暫しの間、店内を走り回る)

 ふぅー……トイレハイのごとく走りまくったら、なんかスッキリしたわ。煩悩が消えて、悟りが開けちゃった感じ。
 もうディアボロスたちの反応なんか気にしないわ。ええ、気にしませんとも。どうせ、あたしのことを構ってくれる奴なんて一人も――
「そこの三毛ちゃーん。こっち、おいでー」
 ――いたぁーっ! 捨てる神あらば拾う神あり!
「三毛ちゃーん」
 その『拾う神』は葉月だった。カーペットのところにぺたんとトンビ座りして、あたしのほうに手を伸ばしてる。猫に慣れていないのか、恐る恐るって感じなんだけど、そこがまた初々しくていいじゃないの。
「三毛ちゃーん」
 でも、その……なんというか……ちょっと怖いわね。じっと見つめられていると、毛が自然に逆立っちゃう。
「三毛ちゃーん」
 いや、『ちょっと』いうレベルじゃないかも。妙な威圧感で以てグイグイ迫ってくるこの雰囲気……漫画だったら、バックに『ゴゴゴゴゴ……』っていう不気味な描き文字が流れてるでしょうね。そして、次のページで『ズギュワァーン!』だの『ドグチャアッ!』だのといったキミョウな擬音とともに惨劇が繰り広げられるんだわ。
「三毛ちゃーん」
 ごめん、葉月! あたし、まだ死にたくないの!

●ぐりぐり君
「また振られちゃった……」
 フジコおじさん(おばさん?)がすたこらさっさと逃げていったもんだから、葉月はしょぼーんとしてる。
 その横で人鳥もしょぼーん状態。アイネリスにつれなくされたのがまだ堪えてるみたい。でも、葉月ほど孤独ではないよね。少なくとも、猫は寄ってきてるんだから。
「こいつ、人懐っこい猫だな。その愛想の良さをアイネにも分けてやってくれよ」
 背中を丸めていじけながらも、人鳥は猫を撫で始めた。優しく、ゆっくり、手の甲とかも使って。
 その様子を羨ましそうに(恨めしそうに?)じっと眺める葉月。かわいそうだから、ちょっと相手をしてあげようか……と、思った矢先、リオーネの楽しそうな声が聞こえてきた。
「元気な子がいっぱいいるね。でも、どうせなら、我関せずって顔している子に遊んでもらいたいなぁ」
 ワレカンセズ? つまり、ボクみたいな猫のことだね!
 リオーネは体を屈めて――
「ほーらほら」
 ――猫じゃらしをゆらゆらと動かし始めた。
 その挑戦、受けて立ってやるぅ!
 リオーネめがけてダッシュ! でも、猫じゃらし本体はあえて無視! 相手の手首を前足でホールドして、猫じゃらしを持ってる拳をかぷかぷ甘噛みしつつ、後ろ足で腕を蹴り蹴り蹴り蹴り蹴りぃーっ! 極・咬・蹴のトリプルアタック! どうだ、参ったか!
 ……って、あれ? リオーネってば、余裕の笑顔を見せてるよ。こんなに激しい攻撃を食らわせたのにぃー。
「おっと、我関せずなタイプより先に元気な子のほうが先に突撃してきたぞ」
 はあ? べつに元気じゃないんですけどぉ? ワレカンセズなんですけどぉ? 再び、蹴り蹴り蹴り蹴り蹴りぃーっ!
「よーしよし、元気だねー」
 だーかーらー、元気じゃないってば! 僕はクールなオトナのオスなんだい!
「さすが、リオーネ。手慣れているな……」
 なんか、ゼットが感心してるし。
「あはっ! この子、かわいいー!」
「ああ、本当に可愛いなあ。可愛いという概念が具現化したとしか思えねえ」
「リオーネのことが気に入ったみたいだね」
 にこにこ笑いながら、姫恋と要とブルーノが覗き込んできた。調子くるっちゃうなー、もう!
 でも、ほのぼのタイムはここまで。
 いきなり空気が一転した。
「あたしもあんな風に戯れたい……」
 と、地の底から響いてくるような声で葉月が呟いたから。まだしょんぼりモードだったんだね。
 さっきまで楽しそうに騒いでた連中も居た堪れない顔をしている。
 で、そんな一同を代表するかのようにゼットがアドバイスした。
「葉月よ。猫は人の機微に聡い。恐れていては過敏になるし、構い過ぎても嫌がる」
「じゃあ、どうすればいいの?」
「虚無の境地となれ。こんな具合に……」
 そう言って、ゼットは……なにもしなかった。その場でじっと立っているだけ。
 だけど、猫たちが次々とゼットのところに集まり、半機械の体をよじ登っていく。
「なるほど、なるほど」
 アイネリスが眼鏡を指先でずいと上げた。
「垂直方向からのアプローチ――つまり、キャットタワーになりきるわけですね。しかし、猫に構ってもらうためには水平方向からのアプローチもまた有効なのですよ。論より証拠。これをご覧ください」
 そう言って、アイネリスは……電気カーペットの上にごーろんとだらしなく転がった。コントみたいな光景だけど、やってる本人は大真面目みたい。
「こうして仰向けに転がり、カーペットと同化すればいいのです」
 コントじみているとはいえ、その作戦は有効だった。ゼット製キャットタワーに群がっていた猫たちの半分ほどがアイネリス製カーペーットのほうに移動したんだから。そして、彼女の上に次々と乗っかったり、寝そべったり、ごろごろ転がったり、体を擦り付けたり……。
「やるわね、アイネリス。だけど――」
 と、姫恋もコントも加わった。
「――眼鏡を踏まれないように顔を死守しているようでは甘い!」
 アイネリスの体は猫に包まれているんだけど、確かに顔の部分だけは猫が一匹も乗ってないね。
「猫ちゃんズ、GO! レンズ越しに見える肉球の尊さを教えてあげなさい!」
 姫恋の叫びに応えて、新たな猫の一団がアイネリスに向かって行った。
 でも、アイネリスはヨユーシャクシャク。
「くくく……猫たちよ、来るがいい。最初に宣言した通り、今日の私はあなたたちの下僕。思う存分、蹂躙すにゃあんむにゃあ……」
 最後のほうの言葉が変な感じになったのは、猫たちが顔に乗って口を塞いじゃったからだよ。
「これ、放っておいて大丈夫かい?」
 苦笑しながら、ブルーノが姫恋に訊いた。
「このままだと、アイネリスが萌え死にしそうなんだけど……」
「問題なし。死んじゃったら、人鳥が面倒みてくれるもんね?」
「へいへい」
 と、めんどうくさそう(でも、ちょっと嬉しそう?)に人鳥が頷いた。
「俺が責任もって連れて帰りますよ。おい、アイネ。おんぶがいいか? お姫様抱っこがいいか? それとも、首根っこを摘まれて、ぶらーんと持ち運ばれるのがいいか?」
「……」
 アイネリスの返事はなかった。
 まだ口が塞がれてたからね。

●ガタム・タムラ
 俺は一匹猫のアウトサイダー……だった。
 そう、過去形さ。歌舞伎町の野良社会でブイブイ言わせていたんだが、お節介な人間にホゴされちまって、今は猫カフェに居候の身よ。
 とはいえ、猫カフェでの日々もそれなりに刺激的だぜ。おもしれえ客が見られるからな。
「まさか、このような歓待を受けるとはな。猫カフェ……素晴らしい文化だと言わざるを得ん」
 このゼットっていう奴もおもしれえぞ。何匹もの猫に乗っかられたり、しがみつかれたりして、キャットタワーどころか猫の実がなるキャットツリーみたいな有様になっているんだが、それを『歓待』として受け取ってんだ。
 あっちで寝ころがってるアイネリスも――
「ひにぇほひゃんほにゅうほりへひにゃ。へんひゅほひゅのにっひゅうひょーほい……」
 ――猫たちに足蹴にされてるのに大喜びしてやがる。子猫に口の辺りを踏み踏みされているから、なにを言ってるのかよく判らねえけどな。
「『姫恋さんの言う通りでした。レンズ越しの肉球、尊い』とのこと」
「わざわざ通訳しなくていいよ、ゼット」
 カメラでアイネリスの醜態を撮影しているのは人鳥。その頭の上にも一匹の猫が乗っかって、香箱つくってくつろいでる。
「それは資料撮影の一環か?」
「まあ、そんなところかな」
「ふむ。私も記録を保存しておくか」
 ゼットは、猫たちが落ちないようにそろりそろりと手を動かし、記録装置の類らしき眼鏡を装着した。人間ってのは、猫を撮影するのが本当に好きだよなあ。
 なんなら、要の姿も撮ったらどうだ? あれは良い被写体だぜ。おやつを取り出したもんだから――
「こら! 乗るな! 乗るなって! 順番! 順番な!」
 ――猫たちにもみくちゃにされてんだよ。
「あっ? 要さん、おやつ、あげてるー!」
 スライディングせんばかりの勢いで莉緒が要の横に行き、一緒におやつを配り始めた。
「私からもあげるよー。おいで、おいでー」
 タックルせんばかりの勢いで新たな猫どもが二人の前に走っていく。いや、三人か。シャナオウも加わったからな。
「ね? 楽園でしょ?」
 と、微笑みかける莉緒に向かって、シャナオウも微笑みを返した。
「いや、楽園の域を超えているな」
「でも、シャナオウさん。ほどほどにしないと、ラフィスさんが……」
 莉緒が指さした先では、シャナオウのスフィンクスがツンと澄まし顔を決めていた。
「おいおい。拗ねてんじゃねえよ、ラフィス」
 猫たちにおやつをやりつつ、要がスフンフィクスに言った。
「どの猫も可愛いけれど、最強にカッコいいのはおまえだって」
「そう、おまえが一番だよ」
 シャナオウが腕を伸ばし、スフィンクスを撫でた。
 スフィンクスのほうは澄まし顔をキープして『ふふん! 当然!』とばかりに振る舞っているが、尻尾が微かにゆらゆらと揺れてるぜ。
 まあ、人間も猫もサーヴァントも楽しい一時を過ごしているようでなによりだわな……なんてことを思いながら、店内をぐるっと見回してみたら、楽しい一時とは無縁の奴が見えちまった。
 葉月だよ、葉月。休み時間のぼっちさながらにテーブルに突っ伏してやがる。猫たちに相手にされないもんだから、しょげ返ってるんだろうな。
「泣かないで、葉月」
「泣いてないし……」
 姫恋に声をかけられると、葉月は顔を上げた。『泣いてない』とか言ってたくせに目が真っ赤になってるぜ。
「この子なら、葉月と遊んでくれるかもしれないよ。人懐っこいから」
 リオーネがテーブルの上に猫を置いた。
 チビ猫のぐりぐり君だ。
「……」
 無言で手を差し出す葉月。
 すると、ぐりぐり君は一秒も躊躇することなく、その手にじゃれついた。いや、本人は襲いかかったつもりなのかもな。咬んだり蹴ったりしているし。
 しかし、葉月は――
「やーん! かわいい!」
 ――目を細めて喜んでる。物怖じせずに構ってもらえれば、それだけで充分なんだろう。
「あ? この子も葉月も気に入ったみたいよ。さっきから、じっと見てるし」
 と、姫恋が抱え上げたのは……他ならぬこの俺だ。勘弁してくれよ。
「ちょっと人相という猫相が良くないけどね」
 余計なお世話だっつーの。
 ぐりぐり君と同様、俺もテーブルに置かれた。しょうがねえなあ、もう。ちょっとサービスしてやるか。ぐりぐり君がじゃれついている(襲っている?)のとは反対側の手に顔を擦りつけて『撫でてー、撫でてー』って感じで甘えてみたりして。ついでに喉もゴロゴロと鳴らしてやらあ。これで満足か?
「あー、こっちの子もそっちの子も愛おしすぎるー!」
 満足みたいだな。葉月め、また泣きそうになってるぞ。もちろん、今度のそれは感激の涙だけど。
「どっちの子もお持ち帰りして、うちの子にするぅーっ!」
「いや、持ち帰っちゃダメ」
 と、苦笑混じりに窘める姫恋。
 リオーネも苦笑を浮かべて葉月を眺めていたが、なにを思ったのか、部屋の隅のほうへと歩いていった。
 そこにいたのは虫野郎の令震だ。むっつりと黙り込み、険しい顔をして、猫を撫でてやがる。
 その全身から発せられている威圧感というか拒絶感に臆する様子も見せず、リオーネはぺこりと頭を下げた。
「令震さん。今日はどうもありがとう」
「礼には及ばん」
 と、そっけなく答えた後で令震は付け加えた。
「まあ、しかし、楽しんでもらえたようで良かった。正直、俺にはこういう店のなにが面白いのかよく判らないが……」
 ……とか言ってるけど、あの虫野郎はここの常連なんだぜ。会員カードの裏側は来店スタンプで埋め尽くされてるよ。
「礼には及ばないと言われても――」
 ブルーノがリオーネの横に並び、ブズーキとかいう楽器を弾き始めた。
「――お礼をしないわけにはいかないな。令震にも、カフェのスタッフさんたちにも、そして、猫たちにもね」
 お礼代わりの緩やかな音楽が店の中に流れていく。
 眠っていた黒いメーラーデーモンがむくりと起き上がり、その音楽に合わせて踊り出した(もう一匹のほうはまだ与五郎左と一緒に眠ってる)。
 何匹かの猫たち(俺も含む)も音楽に合わせて尻尾を振ったり、体を揺らしたりしている。
「メリークリスマース!」
 音楽にブルーノの声が重なり、何匹かの猫たち(俺も含む)が鳴き声で唱和した。
「にゃーん!」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV1が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【動物の友】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【温熱適応】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV2が発生!
【命中アップ】LV2が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【アクティベイト】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!

姫乃・葵
ねこちゃんがいっぱいと聞いて!
猫カフェっていうの?
わぁーすごいね、てんごくだね…!
ちなみにシロ(スフィンクス)も一緒に入れる?
よかったねシロ、お友達いっぱいだよ!

小さい頃は近所のノラ猫とずっと一緒にいたし
今はシロもいるから猫の扱いなら慣れたもの
猫ちゃんの性格に合わせて遊んであげたり
静かに座ってベッド代わりになってあげたり

基本的には電気かーぺっとのところにいようかな
あったかいと僕まで眠くなりそうだけど
そういえば絵本のもちこみはだいじょうぶ?
ベッド代わりで動けない時は、大人しくそれ読んでようかなって

あ、おやつもあげてみたーい!
おいでおいでー
あ、コラ、これはシロのじゃないよぅ!
シロのはあとでね♪


エリル・ウィスタリア
【君影草】
猫かふぇ?猫ってあのもふもふの毛玉よね?
いく!いきたい!弟も一緒で良いわよね!ね!
大丈夫!あの小さな毛玉に弟がどうこう出来るわけないもの!

可愛い子が一杯。かわいい。触っていいのかしら?
おそるおそる触ってみる。ふわふわ温かい……可愛い。
膝に乗ってきた子を撫でてふわふわ笑っちゃう。
この子たちは守らなくちゃって気になるの。不思議ね。

……え?待って、弟に登らないで!?爪立てないで!?
い、いやぁぁぁ!?離して翠!殲滅するの!この毛玉達は駆逐しなくちゃいけないの!!

……こほん。失礼したわ。
大丈夫、落ち着いた。私、冷静。
猫かわいい。弟に登らないでよぅぅ…。

たのしかった、と、思うの。
ありがとう。翠。


五百雀・翠
【君影草】
あれ、猫カフェ行ったことないのか。
じゃあびっくりするぜ?なにしろ可愛い毛玉達が一杯だ。
って、弟人形持っていくのか?まあ、大丈夫だとは思うが。

猫を前に蕩けてるエリルと何気なく話をしながら、自分も猫じゃらしで子猫と戯れている。
やっぱ猫はいいな。いやされ……あっ。人形にのぼってる。大丈夫じゃねえよなあ。とほほ。
……落ち着けって!猫に罪はないだろうが!
弟も無事!大丈夫!店内で暴れるなって!!落ち着けよ!?

……お前なあ……。ジュースいるか?
あんだけ騒いでまだ猫が寄ってくるのは才能だよなあ……。楽しそうだからいいけど。
ああしてると、ただの女の子、なんだけど。
また今度来ような。次は人形は留守番だ。


儀仗・ささら
【猫神】

友人のエラ、アンジュと一緒に猫カフェへ!
私の目的は、猫ちゃんを触ること。出来ればモフりたい、侍らせたい……もしも可能なら、噂に聞いた猫吸いというやつをやってみたい!
でもそれも叶わぬ夢かも知れない。なぜなら、昔からわんこにゃんこと言った動物に好かれない体質だったから。触った経験も殆どないし。

でも、今日は! 今日ならば! 友人の二人が手伝ってくれる! 数あるにゃんこの中から、きっと私を怖がらない猫ちゃんをうまくおびき出してくれる! はず!

大丈夫、みんなから避けられても泣かないから。
大丈夫、眺めるだけでも楽しいから。
大丈夫、にゃんこがいっぱい周りにいるってだけで、私は元気になれるから。


アンジュ・ローゼンクロイツ
【猫神】
エラお母様とささら様と一緒に猫カフェへ
猫は知ってるけど本物を見たり、触ったりしたことはなくて

これが、本物の…猫…

可愛らしく動く猫に心を弾ませて
そしてエラお母様と一緒に猫さんをあの手この手でささら様の元へと誘導して

えっと、あの…こっちに来て、くれない…?(猫じゃらしフリフリ)
んと…こっちに来たら、おやつ…あげる(猫用おやつをちらちら)

近付いてきてくれた猫さんをゆっくりと抱き上げて、なでなで、ふわふわ、もふもふを堪能しつつ、ささら様の元へ

大丈夫、ささら様…優しい、よ…?

安心させるように声をかけて
ささら様が無事に猫吸い出来るといいな

私も猫さんをお膝に乗せてのんびり、うとうと…

アドリブ歓迎


エラ・パーカー
【猫神】

友達のささらちゃん、娘のアンジュちゃんと

にゃんこがたくさん…!
準備してくれた皆さんに感謝を込めて思わず拝んじゃう

早速突撃しようと思ったら…ささらちゃんがしょんぼり?
なるほど…アンジュちゃんと一緒におやつや猫じゃらしで怖らがなそうな子をおびき寄せるの
ささらちゃんは皆のお友達だよう♪

無事にささらちゃんの猫吸いを見届けたら、いざ…!

はぐはぐおやつ食べてるのをほっこり見つめて撫でちゃう
噛まれる?ひっかかれる?
ご褒美です!

エラの大切な人に似たグレーの毛並みの美人さんとふぉーりんらぶ
一緒にごろんって寝転んでらぶらぶタイム
そのまま寝ちゃうかも?
エラはここから帰りません、起こさないで下さい

アドリブ歓迎


ノナメ・クロス
ねこ……ねこ!
(記憶が消えてから、初めて大きめの声が出た。
無表情ながらも嬉しそうなオーラ)

ねこ、ねこ…
いっぱいごろごろ…ふかふか…
おっきいのも、小さいのも、いる…
どの子も、あったかそう…

でも、急に近付くと、びっくりしちゃう、かも…
ちょっと距離を空けて、来てくれるの、待つよ
お外のねこで、おべんきょ済みなの

お、おやつ?これで、仲良くなれる、かな…?
ねこ、いっぱい来てくれたら、嬉しい…

わ、ねこ…ふわふわ…あったか…
おっきい子は、お腹…ふかふか…
小さい子は、どんどん、のぼってくる…
そんな目で、そんな声で、見ないで…なんだか、ヘンになっちゃう…

ねこ…ねこ……
(夢中なでなで。言葉は最早「ねこ」しか出ない)


山元・橙羽
香りの強い衣類用洗剤や柔軟剤は使ってない、来る前に野良猫を触ってない、タバコなんてそもそも未成年だから吸わない…良し!

猫カフェに入ったら、まずは適当に飲み物を頼みましょう。この時期ならホットがいいかな。
走り回る猫や他の人と遊ぶ猫達をのんびり眺めたり、猫用こたつを覗いてみたり…
呼べば猫の方から寄って来てくれるかな?

…?(何かを思い出しそうになる)
もしかして、記憶を失う前の僕も、こんな風に猫と遊んでいたのでしょうか。


八色・風花
あああ~、猫ちゃん可愛いぃ。赤城さん(g01810)に無理言って着いてきてもらって良かった……寝転がって猫ちゃんと目線を合わせて交流したいです。
普段周りに動物がいないからこういうの嬉しいなあ。赤城さんも楽しんでくれてたら良いんだけ、ど、たかられてる……え、羨ましい何あれ……あの、猫ちゃんのおやつお幾らで買えますか?いやこれもう床と同化した方が良いのでは?そっと猫ちゃんまみれの赤城さんに匍匐で近付いていって仰向けになって転がろう。もう顔を踏まれるの待ちくらいでいきましょう。時間いっぱい楽しみつくします……!
「えへへ、赤城さんどうですか~」でれでれ


赤城・颯馬
八色・風花(g03473)と共に行く

案内しろというのは構わんが、俺とて猫カフェには詳しくは無いぞ?
まあ、日常を謳歌するのも人類史を取り戻す戦いのうちだからな

当然だが猫だらけだな
俺は復讐者、敵を殺す為だけのもの
故に猫を怯えさせたり傷つけぬよう細心の注意を払おう

これが猫の餌か?いくつか貰おうか
……む、開封した途端に囲まれたようだ
こら貴様、俺の体を登るんじゃない
ぬう、動けん……

気付けば全身猫まみれだ
猫カフェとはこうするもので良いのだろうか?
……風花?貴様まで一体なにをしているんだ

こういう時はこれか、猫じゃらしを使えば良いか
そら、こいつを追うがいい

しかし、俺は何をしているんだ
俺は復讐者……のはずだ


シャーリー・ラフォルス
エルフリーデ様(g01663)と一緒!
★アドリブ歓迎

猫カフェ、確か猫がいっぱいいる喫茶店の事でございますね
「エルフィ様、ここが猫カフェでございます。一般の人々が用意されたそうです」
エルフィ様も可愛い、猫も愛らしい、2つが合わされば最高でございます
「エルフィ様。ここに座って、これを持ってにゃんにゃんしてくださいまし」
猫じゃらしとおやつを持たせて座らせます
ペンライトを握りしめ、その時を待つ
「はぁん、エルフィ様、最&高でございますぅ。うへっへっへっ」
涎まみれでペンライトぶんぶん振る
猫がじゃれても気にしない
「Fooo!最高ッ↑」
何とか覚えたスマホで撮る!沢山ッ!
「秘密にしますぅ!」
証拠はあるけどぉ!


エルフリーデ・エーレンフリート
メイド長シャーリー(g05277)と共に参加

★アドリブ歓迎
(普段はお堅い口調ですが、身内と一緒なので女性口調です)

シャーリーに誘われて来てみたけれど…。
平静を保っていられるかしら…(※可愛いもの、とりわけ猫大好き)
え、これを持つの?(猫じゃらしとおやつ持たされ)

か、可愛い…(猫たちに対して)
うう…なでなでしたい…もふりたい…!(うずうず)

(猫にすりすりされて)
あああ…可愛い、可愛い~!
(お堅い雰囲気から一変して一気にデレデレ&シャーリーの様子には気づかず)

(我に返った後)
シャーリー、今日の事は兄さまには絶対内緒よ?いいわね?い・い・わ・ね!?


●ぴーとん
 吾輩は猫である。名はぴーとん。
 ブルーノがブズーキの演奏を終えると、さざ波のように広がっていた猫たちの体の揺れも自然に終息し、まったりゆったりした空気が室内を包み込んだ。
 しかし、三分も経たぬうちにまた騒がしくなった。
 新たなディアボロスたちがどやどやがやがやと入店してきたからだ。
 最初に来た連中も珍妙な面々だったが、この第二陣も負けていない。
 とくに珍妙なのは――
「これが……ねこかふぇ?」
「そう、猫カフェだ」
 ――エリル・ウィスタリア(雪を待つ花・g00912)と五百雀・翠(天つ風・g03977)だな。前半でも言ったが、『なんで名前を知ってるの?』などという愚問は受け付けないぞ。
「ああ! 可愛いもふもふの毛玉がいっぱい!」
「な? 俺の言ったとおりだっただろ?」
 楽しげに語り合うエリルと翠。人間の少女と妖狐の青年という取り合わせは(少なくとも新宿島では)とりたてて珍らしいものではないし、両者ともに美形というのも(これまた新宿島では)特筆すべきことではない。
 にもかかわらず、この二人組が珍妙なのは……実は三人組だからだ。
 三人目は、エリルによく似た少年。だが、人間ではないし、それ以外の種族でもない。
 等身大の人形だ。
 ディアボロスには『人形遣い』なる異能者がいるらしいが、エリルもその類なのだろう。
「しかし、こんな場所にまで弟人形くんを連れてくるとは……」
 翠が人形に目をやった。
「猫に玩具にされるかもしれないぞ」
「大丈夫! あんな小さな毛玉たちに弟がどうこう出来るわけないもの!」
 エリルめ。猫の力を過小評価しているな。吾輩が本気を出せば、そんな人形なんぞ三十秒でバラバラにできるわ! なんなら、実際にやってみせようか?
「……」
 にゃにゃにゃ!? 吾輩の殺気を察したのか、エリルがこちらを無言で睨んできた! いや、睨んだというか、チラ見しただけなのだが、さして鋭い目つきをしたわけでもないのに背筋が凍りつくかのような……まあ、とにかく、人形に手出しするのはやめておこう。べ、べつにビビッたわけじゃないんだからね!
 ちょっとエリルたちから離れて(繰り返すが、ビビッたわけではないぞ)他の奴らを見てみるか。
「今日の私の目標! それは猫ちゃんにさわること!」
 視界に入ってきたのは、だらしない雰囲気を漂わせた少女――儀仗・ささら(薄腕剛打・g03556)だ。
「猫ちゃんをモフりたい! はべらせたい! そして、可能なら……噂に聞いた『猫吸い』という禁断の娯楽を体験してみたーい!」
 うーむ。エリルからは狂気めいたものをそこはかとなく感じたのだが、ささらも別のベクトルでイッっちゃてるような気がしないでもない。
「でも、無理かもねー。だって――」
 ハイテンションから一転、ささらは力なく項垂れた。
「――私ってば、昔から猫ちゃんにも犬ちゃんにも好かれない体質だから。さわった経験もほとんないし……」
 体質じゃなくて気質の問題ではないか? 猫というのは、感情の波がジェットコースターさながらに激しく上下しているタイプの人間が苦手だからな。
「いえ、そんなことはなーい!」
 テンションをいきなりトップギアに戻して、ささらは顔を上げた。やっぱり、ジェットコースター気質だ。
「今日は絶対に上手くいくよ! 一人じゃないんだから! そう、エラとアンジュが手伝ってくれるんだから!」
 ささらの瞳は期待にキラキラと輝いている。そのキラキラが照らしている対象は、彼女と同年代と思わしき女たち――デーモンのエラ・パーカー(紫雲英の恋歌・g03253)と天使のアンジュ・ローゼンクロイツ(迦陵頻伽・g05716)だ。
 もっとも、両者ともにキラキラには気付いていないらしく、夢見るような眼差しでぼーっと猫たちを眺めている。
「ああ、にゃんこがこんなにたくさん……」
 エラは、猫が沢山いる光景に心を奪われているようだ。
 一方、アンジュは猫の存在そのものに魂を抜かれてしまった模様。
「これが猫か……本物を見たのは初めてだなー」
 そんな二人の様子を見ているうちに、ささらの瞳が映し出す期待のキラキラが不安のモヤモヤに変わっていった。
「この二人に頼って大丈夫かな?」
 大丈夫じゃないかもしれんな。
 キラキラといえば、青い翼と髪を有したデーモンの少女――ノナメ・クロス(星の子・g00031)の瞳もぼんやりと輝きを帯びているように見える。ただし、それは物理的な輝きであり、感情を示すものではない。瞳だけでなく、顔の他の部位も感情を表現することを放棄しているようだ。
「ねこ……」
 ノナメはぽつりと呟いた。表情と同様、その声にも感情は込められてない。
「ねこ!」
 いや、込められてる? 顔は無表情のままだが、喜びのオーラめいたものが全身から放射されているように思えるのは気のせいか? たぶん、気のせいではないな。
「いっぱい、ごろごろ……ふかふか……おっきいのも、小さいのも、いる……どの子も……あったかそう……」
 ぶつぶつと唱えるノナメの後方で――
「うむ。いっぱいだな。どこを向いても猫だらけだ」
 ――眼鏡をかけた青年が視線を巡らせて猫たちを見回した。
 室内だというのにマフラーを巻きっぱなし(きっと寒がりなのだろう)のこの青年は赤城・颯馬(赤い風・g01810)。ノナメと同じくデーモンだ。
 寒がりのデーモンには、雑な髪型をした若い女の連れがいた。
「あああ……猫ちゃん、かわいいぃー……」
 八色・風花(城壁の花・g03473)だ。猫たちの姿に萌えすぎて息も絶え絶えになり、今にも崩れ落ちそう……いや、溶けて流れていきそうな有様。人間界では『猫は液体である』という説が流布しているそうだが、吾輩は『猫にあてられた人間は液体になる』という説を提唱したい。
「赤城さんに無理を言ってついてきてもらってよかった……」
「一応、ついてきたが――」
 液体化寸前の風花の腕を取って支えつつ、颯馬はまた猫たちを見回した。
「――俺とて、こういう場所に詳しくはない。さして力にはなれんぞ」
「べつに力は求めていませんよ。ただ一緒に楽しみたいだけです」
「どうやって楽しめばいいのかもよく判らんが……」
 眉間に皺を寄せる颯馬。
 しかし、その皺はすぐに消え去った。
「まあ、やるだけやってみるか。日常を謳歌するのもまた人類史を取り戻す戦いのうちだからな」
 そして、ディアボロスたちは『人類史を取り戻す戦い』とやらを開始した。

●三毛・フジコ
 あたしは世にもレアな雄の三毛猫。でも、心は乙女よ。
 ディアボロスたちの相手をするのに疲れちゃったから(『相手になんかされてなかったじゃん』なんて野暮なツッコミは無視させてもらうわ)、今はキャットタワーのてっぺんで香箱をつくって休憩中なの。
「わぁー! すごいね! てんごくだね!」
 眼下で歓喜と感動の声をあげているのは、黒い猫のぬいぐるみを抱いた姫乃・葵(青の純真・g01627)。女の子みたいな外見の男の子だけど、あたしの同類ってわけじゃないみたい。なんにせよ、『てんごく』という例えは正しいわ。正しすぎるわ。
 だって、ここにはあたしという女神がいるんだから!
 ……雄だけどね。
「よかったね、シロ。お友達いっぱいだよ!」
「にゃあ」
 葵の言葉に応えるように鳴いたのは、彼のサーヴァントのスフィンクスよ。
 それに釣られたのかどうか知らないけど、別のスフィンクスが鳴いた。
「にゃん」
 そっちのスフィンクスの主はエルフリーデ・エーレンフリート(人間の航空突撃兵・g01663)。高家のお嬢様然とした雰囲気を漂わせているけど、身に纏っているのはドレスの類じゃなくて軍装なのよね。
「エルフィ様。ここが猫カフェでございます」
 と、メイド姿のサイボーグ――シャーリー・ラフォルス(軍人メイド長・g05277)がエルフリーデに声をかけた。メイド姿といっても、エルフリーデと同様に軍人っぽい匂いがプンプンするけど。
「ふむ」
 エルフリーデは小さく頷くと、隅っこのほうで団子状になっている何匹かの猫たちに目を向けた。最前線の視察に来た上級士官のごとき厳しい眼差し……のつもりなのかもしれないわ。本人としては。
 でも、顔が思い切り緩んでるのよねー。
「か、かわいい……ううぅ……なでなでしたい……もふもふしたい……もっふもっふ、しったぁぁぁーい!」
「心の声がダダ漏れでございますよ、エルフィ様」
「はうあ!?」
 エルフリーデは口を押さえた。スフィンクスも真似して口吻に前足をあててるわ。
 その様子を見つめるシャーリーの笑顔のなんと幸せそうなことか。
「エルフィ様もかわいい。そして、猫たちも愛らしい。二つが合わされば、最高でございます!」
「あなたも心の声が漏れまくってるわよ、シャーリー」
「今のは心の声ではありません。百パー肉声です」
「少しは自重しなさい!」
 ……こいつら、お嬢様とメイドの皮を被った漫才コンビなんじゃないの?
 そんな騒がしい二人とは対照的なのがインセクティアの山元・橙羽(夕焼け色の蝶・g01308)。ホットレモネードのカップを持って佇む姿は落ち着いたもの。二十歳前後のようだけれど、年のわりに老成しているわね。
「その泰然自若たる構え……さては猫カフェ上級者だね?」
 あたしと同じ感想を抱いたのか、葵が冗談めかした調子でそう言った。
「べつに上級者ってわけじゃありませんよ」
 苦笑してかぶりを振る橙羽。
「ただ、猫たちに嫌われないよう、匂いには気をつけています。香りの強い衣類用洗剤だの柔軟剤だのは使用していませんし、来る前に他の猫をさわったりもしていません。もちろん、タバコなんてもってのほか。そもそも未成年だから吸えませんけどね」
「なるほど。匂いかー」
 と、二人のやりとりを聞いていたささらが顔を下げ、くんくんと鼻を鳴らして自分の体を嗅いだ。
「とくに匂わないけど……もっと徹底して消臭したら、猫ちゃんたちも寄ってきてくれるかな? まあ、べつに寄ってくれなくてもいいけどね。眺めてるだけでも楽しいから……うん、大丈夫、大丈夫。避けられたって泣かない。そう、泣かない……大丈夫……」
 何度も自分に『大丈夫』と言い聞かせてるけど、ぜっんぜん大丈夫じゃないでしょ。しょんぼりしょぼしょぼしてるじゃない。
「匂いを消す必要なんてないわ、ささらちゃん」
 エラがささらの肩をぽんと叩いた。猫たちを前にしてずっと萌え死んでいたけれど、ささらがしょんぼりモードだということにようやく気付いたようね。
「ささらちゃんのために、にゃんこをおびき寄せてあげるから。さあ、やるわよ、アンジュちゃん!」
「うん」
 エラの言葉にアンジュが頷き、周囲をきょろきょろと見回した末……視線をちょっと上げて、あたしのほうを見た。
「あの猫にするね」
 あらあら。あたしを選ぶとは、なかなか目が肥えてるじゃないの。
 でもね、猫カフェというのは人が猫を選ぶ場所じゃない。そう、猫が人を選ぶ場所なのよ。構ってほしかったら、相応の誠意を見せなさいな。
「えっと……あの……こっちに来てくれない?」
 あたしを見上げたまま、アンジュは自信なげに猫じゃらしを動かした。
「ほうら、いらっしゃーい。ささらちゃんはあなたたちのお友達だよう」
 ささらを指し示して、エラも呼びかけてきたけど……ふん! なめられたものね。猫じゃらしや甘い声ごときが『相応の誠意』のうちに入るわけないでしょ。まして、あたしはこの店の女王なのよ(雄だけど)。そう簡単にはなびかないわ。
「んーと……こっちに来てくれたら……」
 アンジュは猫じゃらしを置いて、ポケットに手を入れた。諦めの悪い娘だこと。なにを取り出すつもりか知らないけど、無駄なことはやめておきなさい。
「……おやつ、あげる」
 にゃおーん!

●与五郎左
「にゃおーん!」
 アンジュが差し出したおやつに釣られて、フジコがキャットタワーから飛び降りた。女王を気取ってるくせに(雄だがな)安い奴だ。
「どうぞ、ささら様」
「思う存分、吸っちゃって!」
 おやつを貪るフジコを抱き上げ、ささらへと差し出すアンジュ。その横でにっこりと微笑むエラ。
「二人とも、ありがとー!」
 ささらはフジコを水平に持つと、その体を裏返して腹のところに顔をうずめた。人間たちが『猫吸い』と呼ぶ奇妙な儀式。
 当然のことながら、フジコは抵抗した。丁度、おやつを食べ終わったから……いや、食べている最中でも抵抗したかもな。ウナギのごとく体をくねらせ、四本の足をじたばたじたばたじたばた。
 だが、ささらは動じない。フジコの腹に顔を密着させ、猫特有の体臭をただひたすらに嗅いでる。本人にとっては至福の一時なのだろうが、傍から見てると異常な光景だ。エラは異常とは思っていないらしく、まだにっこりと笑っているがな。
 やがて、フジコは抵抗するのをやめて『もうどうにでもしてー』とばかりに体をぐったりさせた。おやつに釣られた自称『女王』の哀れな末路よ。
 おやつの誘惑に勝てなかった猫は他にも沢山いるのだが、そいつらはフジコのように猫吸いの餌食にはなっていない。逆におやつを差し出した側が蹂躙されている。
 その被蹂躙者は――
「開封した途端に囲まれるとは……こら、貴様! 俺の体を登るんじゃない! ぬう、動けん……」
 ――颯馬だ。電気カーペットに胡座をかいた姿勢ているのだが、その体のあちこちに猫がしがみついている。
「赤城さん、猫まみれじゃないですかー。なんて羨ましい」
 風花が颯馬へと近付いていく。仰向けになって、背中で這いながら。前衛画を思わせるシュールな光景だ。タイトルは『幸福な芋虫と不幸な座像との邂逅』といったところか。
「なにをやってるんだ、風花?」
 猫まみれの状態のまま、風花を見下ろす颯馬。
「いやー、『これ、もう床と同化したほうが良いのでは?』と思いまして」
 仰向けのまま、颯馬を見上げる風花。
 当人の思惑通り、その体の上に猫が次々と乗っていく。やはり、シュールな光景だ。
 風花といい、アイネリスといい、何故に一部の人間は猫にカーペット扱いされることに喜びを見出すのだろう? そんなことを考えつつ、なにげなくテーブル席に目を転じてみると……そこでもシュールな光景が繰り広げられていた。
 席に腰をかけている三人の客――翠、エリル、そして、二人に挟まれた等身大の人形。シュールというよりもホラーかもしれない。
「さっきも言ったけどよ」
 横に座っている人形を翠が親指で指し示した。
「弟人形くんは連れてこなかったほうがよかったんじゃないか?」
「私も言ったはずよ。猫ごときに弟がどうこう出来るわけないってね」
「いやいや、おまえは猫の好奇心と破壊力を甘く見てるって」
 翠よ。甘いのはおまえのほうだ。エリルの心情がまったく理解できていないではないか。
 人間観察の大家である私には手に取るように判るぞ。エリルは『猫ちゃんたちに人形をさわりまくってほしい』と願っているが、あえて本心とは裏腹の言動――所謂『押すなよ押すなよアピール』をしているのだ。
 では、そのアピールに応えてやるか。こうして人形の傍に寄って、と……まずは後ろ足で立ち、ズボンで爪を研ぎまくーる。ガリガリガリっと! そして、衣服に爪を深く立てて、人形の体を登っていこう。エリルはきっと大喜びするぞ。人間の小娘というのは、猫が人形にじゃれついている様が大好きだからな。
「きゃー!」
 ほうら、黄色い声をあげてる。チョロいものだ。
「い、いやぁぁぁ! 弟に登らないで! 爪、立てないでぇーっ!」
 ……にゃ? な、なんだか思ってたのと違う。黄色い声じゃなくて、どす黒い怒号というか……これ、もしかしてヤバいやつ?
「さっさと弟から離れなさい! さもないと、細切れにするわよ!」
 はい、ヤバいやつでした! めっちゃ、ヤバいやつでしたー! きっと、この『細切れ』というのは修辞的な表現じゃなくて、マジの意味、マジの意味ぃ! ここは警告に従っておこう……って、あれ!? 爪が服に引っかかって! 取れない! 取れないー! どうしよう!? えーい、こうやって! 後ろ足で! 踏ん張れば! なんとか!
「爪を立てるだけでは飽きたらず、蹴りつけるなんて……」
 違う違う違う違う違う! ちょ、ちょっと、翠! いえ、翠さん! お願いだから、エリル様を止めてぇー!
「落ち着け、エリル! 店内で暴れるなって! 猫に罪はないだろうが!」
 翠さんの言うとーり! 私に罪はありましぇーん! サービス精神で人形さんにじゃれついただけですにゃー!
「離してよ、翠! 殲滅するの! この毛玉どもは駆逐しなくちゃいけないのぉ!」
 待って待って待って待って! センメツもクチクもしないで! 離れるから! すぐに離れるから! ごめんなさないごめんなさないごめんなさいごめんなさい!
 ふみゃあぁぁぁぁぁーっ!?

●ぐりぐり君
 トイレハイッ! トイレハイッ! ト、イ、レ、ハァーイ! 出すもの出してスッキリしたら、走りたくなってきたぞー!
 そーれ、こっちからそっちへ、どたばたどたばたどたばたー!
 ターンして、こっちからあっちへ、どたばたどたばたどたばたー!
 ……って、あれ? テーブル席のほうの空気が重ぉーくなってる。僕がトイレに行ってる間になにかあったみたい。
「落ち着けってっば!」
 仁王立ちのエリルを翠が必死になだめてる。
「大丈夫、落ち着いた……私、冷静……うん、冷静……」
 ぶつぶつとカタコトで呟きながら、エリルはゆっくりと腰をおろした。
 一点を睨みつけたまま。
 その『一点』にいるのは与五郎左だよ。体を座布団みたいにひらべったくして、耳もピタっと伏せて、ぷるぷる震えてる。たぶん、いけないことをやらかしてエリルに大目玉を食らったんだろうね。
 それにしても、チキンだなー。どこからどう見ても、エリルはジンチクムガイな女の子じゃん。そんなのに怒られたくらいで、ここまでビビりまくるとは。
 よーし、チキンな与五郎左に教えてやろう。クールなオトナのオスの振る舞いってものを。
 エリルに向かって、僕はとことこ歩き出した。与五郎左が『ヤメロ! 殺サレルゾ!』と目顔で伝えてきたけど、知らんぷり。チキンの言うことなんか聞いてらんないよーだ。
 僕が膝に飛び乗ると――
「あら?」
 ――エリルは与五郎左を睨むのをやめて、こっちに手を伸ばしてきた。そして、恐る恐るといった感じで(でも、とても優しい手つきで)撫で撫で撫で撫でー。ほうら、やっぱり、ジンチクムガイ系じゃん。
「ふふっ」
 僕を撫で続けながら、エリルが笑った。
「こうしてると、この子たちは守らなくちゃ……って気になるの。不思議ね」
「さっきまで、その守るべき相手たちを殲滅しようとしてたくせに……」
 翠がなにか物騒ことを言ってるけど、きっと人間流のブラックジョークだろうね。
「しっかし、あんだけ騒いだのにまだ猫が寄ってくるってのは一種の才能だよなあ」
 エリルの『才能』とやらに感心しながら、翠は猫じゃらしを使って他の猫たちと遊び始めた。
「え? これを持てばいいの?」
 と、向こうのほうでもディアボロスが猫じゃらしを手にしている。
 軍人お嬢様のエルフリーデだ。
 彼女に猫じゃらしの使い方をレクチャーしてるのは軍人メイドのシャーリー。
「はい。それを使って、にゃんにゃんしてくださいまし」
 いや、レクチャーとは言えないか。にゃんにゃんって……。
「にゃんにゃんって……」
 エルフリーデも僕と同じリアクション。
 でも、シャーリーのほうは真顔。エルフリーデをじっと見つめて待機している。ちなみにシャーリーもアイテムを持ってるんだけど、それは猫じゃらしじゃなくて、ペンライトだったりする。どういうこと?
「なんだからよく判らないけど……にゃんにゃんすればいいのね」
 戸惑いながらも、エルフリーデは二本の猫じゃらしを頭の上に掲げるようにして、リズミカルに上体を振り始めた。にゃんにゃんにゃーん♪
 すると、周りにいた猫たちが一斉にエルフリーデのところに駆け寄っていった。
「あああああ!」
 猫たちに飛びかかられたり、体をすりすりされたりして、エルフリーデは素っ頓狂な声を出した。でも、悲鳴じゃないよ。喜びの叫び。
「かわいい! かわいい! かわいいぃーん!」
 にへらと笑み崩れて体を揺らし続けながら、『かわいい』を連呼してる。『軍人お嬢様』から『軍人』の部分が抜けちゃったね。
 で、それを見ているシャーリーといえば――
「はぁん!? エルフィ様、サイ&コーでございますぅ! うへっへっへっ!」
 ――涎を流して大喜び。ペンライトをぶんぶん振り回してる。ペンライトの光だけじゃなくて、腕そのものの残像が見えるほどの勢いで。『軍人メイド』から『軍人』も『メイド』も抜けて……てゆーか、『真人間』の要素までもが抜け落ちて、なんかヤバい奴になってない?
 しまいにはペンライトを放り投げて、空いた手でスマホを操作して撮影を始めた。
「Foooo! さいっこぉー!」
 ……なにこれ? 怖い。
 エルフリーデのスフィンクスもドンびきしてる模様。精神的だけじゃなくて、物理的な意味でもね。お尻をもぞもぞさせて後退りしてるんだ。
 一方、大らかに笑いながら、シャーリーたちを眺めてる人もいたりして。
「はははは。楽しそうですね」
 それは橙羽。懐が深いというかマイペースというか……。
「他の方々も楽しんでますか?」
「……うん」
 橙羽の問いかけにノナメが答えた。エルフリーデや颯馬や風花と同じように彼女も猫まみれになってる。
「ねこ……ふわふわでふかふか……思ってたとおり、どの子もあったかい……」
 この店に来た時から、ノナメはずっと無表情。テンションの高さをシャーリーのそれと比べたら、天と地ほどの差があるよ。
 だけど、二人が……いや、二人だけじゃなくて、ここにいるディアボロス全員が感じてる幸せ度数はきっと同じくらいなんだろうな。

●ガタム・タムラ
 葉月へのサービスを終え、猫用こたつを独り占めならぬ一匹占めして、うとうと微睡んでいたんだが、目が覚めちまったぜ。
 橙羽がこたつ布団をめくりあげて、中を覗き込んできたからだ。
「あ? 起こしてしまいましたか。すいません」
 橙羽は丁寧に謝り、布団を元に戻した。その間、ずっと微笑を浮かべていた。人間ってのは本当におかしな生き物でな。猫の寝顔や寝姿を見ると、心の中がほくほく暖まるらしいんだわ。きっと、橙羽も俺のおかげで暖まったんだろうよ。
 眠気が飛んでちまったんで、俺はこたつの外に出た。
 グイーッと伸びをして、店内を改めて見回してみると……あいかわらず、そこかしこでディアボロスたちが萌え死んでる。どいつもこいつも猫に骨抜きにされやがってよぉ。とても信じられねえよな。こんな甘っちょろい連中がクロノヴェーダと死闘を繰り広げてるなんて……。
「えへへへへ」
『甘っちょろい連中』の一人である風花が笑ってるぜ。仰向けの体の上には沢山の猫が乗ってる。そのうちの何匹は前足で交互に踏み踏みしているんだが、風花にとってはそれも堪らんのだろう。なぜだか知らねえが、人間は猫の踏み踏み攻撃が大好きなんだ。
「赤城さん、どうですかー?」
 と、風花は連れの颯馬に声をかけた。
 しかし、颯馬はなにも聞こえなかったのか――
「……俺はなにをしているんだ?」
 ――と、悲劇の主人公よろしく自分に問いかけてる。
 その面構えを見る限りでは、歴戦の猛者だと思えるな。そう、面構えだけなら。全身を視界に入れると、もういけない。いいように猫たちに弄ばれてる兄ちゃんにしか見えねえわ。
「俺は復讐者……のはずだ」
 アイデンティティー崩壊の危機に直面しながらも、猫じゃらしを揺らす手は止めていない。根がマジメなのかもな。
 マジメな連れをにこにこと見上げていた風花だったが、ちょいと顔の向きを変えて、別のディアボロス――ノナメに話しかけた。
「うわー。私のとこよりも猫濃度が高い。猫の扱いに慣れてるんですか?」
「……うん」
 小さく頷くノナメもまた風花や颯馬と同じく猫に群がられているんだが、確かに猫たちの数は二人よりも多めに見えるな。
「お外のねこで……おべんきょ済みなの」
「僕も慣れてるよ」
 と、話に加わったのは葵。こいつもカーペットのところに寝っ転がって、体の上に猫たちを乗せている。今まで静かだったのは絵本を読んでたからだ。
「小さい頃は近所の野良猫とずっと一緒にいたし、今はシロもいるからね」
 シロってのは、葵の右隣で寝そべってるスフィンクスの名前らしい。ちなみに左側にも寝そべっている猫がいるんだが、それは本物でもスフィンクスでもなくて、ぬいぐるみだ。
「いいなあ」
 風花が羨望の溜息をついた。
「私も普段からもっと猫と触れ合いたいんですけど、周りにいないんですよね。だからこそ、こういうシチュエーションが最高なわけですが……」
「そう、最高よね」
 エラが同意した。言うまでもないかもしれないが、こいつも寝っ転がってんだ。カーペットエリアだけ見たら、座ったり立ったりしている奴よりも横になってる奴のほうが多いというね。なんかもう平和すぎるよな。
「お母様」
 と、アンジュがエラに呼びかけた(『お母様』なんて言ってるが、歳はさして離れてないようだから、本当の親子じゃないんだろうな)。ちなみにこいつは寝っ転がらずに座っている。膝の上に猫をキープしているが。
「なあに、アンジュちゃん?」
「猫ちゃんがはむはむしてますけど……」
 エラの腕は胴体と平行に横たえられているんだが、アンジュが言う通り、その指先に灰色の子猫が噛みついている。
 だが、エラは痛みを感じてないらしい。
「噛まれても引っかかれても構わない! むしろ、これはご褒美!」
 寝転がったまま、エラは腕をあげた。
 遙か高くに昇った指先めがけて、子猫はぴょんぴょんとジャンプ。
「ああ、本当に可愛いわ。毛並みの色も愛しのあの人の髪と同じだし……」
 跳び続ける子猫をうっとり顔で見つめるエラ。
 その光景を橙羽も見つめているが、べつにうっとりはしてない。さっきまでのように微笑を浮かべてもいない。
「うーん」
 ほんの少し眉根を寄せて、首をかしげてる。
「なんだか、こういう光景に見覚えがあるような気が……もしかして、かつての僕もこんな風に猫と遊んでいたのでしょうか?」
 ほほう。その口振りから察するところ、橙羽は昔の記憶を失っているらしい。そいつぁ、色々と難儀だろうな。
「私も昔のことは覚えてない」
 ノナメがそう言ったが、べつに橙羽に話しかけたわけじゃなくて、ただの独り言なのかもしれない。橙羽のほうを見てもいないしな。その視線の先にいるのは茶虎の子猫。ノナメの体にひっしとしがみついてるんだ。
「そんな目で見ないで……なんだか、ヘンになっちゃう……」
 自分をじっと見上げてくる茶虎を見つめ返しているうちにノナメは本当に『ヘン』になっちまったらしく――
「ねこ……ねこ……ねこ……」
 ――と、同じ言葉しか言わなくなった。『猫』と一回唱えるごとに茶虎を一撫で。
 やがて、茶虎はノナメを見つめるのをやめた。しがみついたまま、眠っちまったんだ。

 そんなこんなでお開きの時間となった。
 だが、どいつもこいつも腰が重い。
「エラはここから帰りません!」
 力強い声でエラが言い切った。本当にテコでも動かないつもりらしい。その姿はもう寝っ転がってるなんてレベルじゃねえ。背中をカーペットにピタッと糊付けしたかのように見えるぜ。
「ああ、楽しかった」
 感想を述べてるエリルも席に座ったまんまだ。
 翠のほうはもう立ち上がり――
「はいはい。また今度来ような。ただし、人形は留守番だ」
 ――ぐずる娘をなだめる父親みてえな感じになってる。
「こうしてると、ただの女の子なんだけど……」
 小声で呟き、苦笑する翠。その表情も愛娘を見る父親のそれだ。
 エリルと同様に『ただの女の子』には程遠いエルフリーデもまだ残っているが、猫たちとの名残を惜しんでるわけじゃない(いや、それもあるかもしれないが)。シャーリーに念を押しているんだ。
「いいこと、シャーリー? 私が猫たちを相手にデレデレしていたことは誰にも内緒よ。とくにお兄様にはね!」
「承知しております」
 シャーリーは恭しく頭を下げた。
「絶対、誰にも申しません」
 エルフリーデには見えてないだろうけど、シャーリーの口元はニヤリと歪んでいる。
「そう、誰にも!」
 スマホを握りしめて、シャーリーは繰り返した。そういえば、あのスマホにはエルフリーデのデレっぷりが記録されてるんだっけか。シャーリーにとってはお宝映像だが、エルフリーデにとっては黒歴史だな。
「せっかくだから、帰る前に――」
 寝っ転がっていた葵が体を起こし、ごそごそやり出した。
「――僕も猫たちにおやつもあげようかな」
 マジか!? ありがてえ! ちょうど小腹が空いてきたところだ。
「おいで、おいでー」
 おう! 行くぜ、行くぜー! ……と、走り出そうとしたんだが、先を越されちまった。
 葵のスフィンクスにな。
「あ、こら! これはシロのじゃないよ!」
「にゃあ?」
 きょとんとした顔で鳴いてんじゃねえよ。
 ……まあ、いいか。おやつくらい譲ってやらあ。サーヴァントだって、ディアボロスと同じようにクロノヴェーダどもと戦ってたんだからな。
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【照明】がLV3になった!
【活性治癒】LV2が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
【怪力無双】がLV2になった!
【飛翔】がLV3になった!
【プラチナチケット】LV2が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【ハウスキーパー】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
【ドレイン】LV2が発生!
【凌駕率アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV6になった!
【ガードアップ】がLV2になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!

ロナルド・ハーキュリー (サポート)
『見えたぜ。お前を倒す勝ち筋がよ!』
 ドラゴニアンの撃竜騎士×無双馬、22歳の男です。
 普段の口調は「男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」、偉い人には「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

お祭りごとの際には誰かに作ってもらった「馬耳と馬尻尾」でコスプレする。
微妙に馬の仕草をモノマネする芸をしながら、お祭りのあれこれを偏見なく楽しんでいくぜ。
楽しいのはなんでもOK。どちらかと言うといじられる役。
可愛いものには実は目がなく顔が緩んだりします。


●イッチモン
 ……猫カフェに馬がいる。
 なにを言ってるのか判らないかもしれないが、そのまんまの意味だ。この猫カフェに馬がいるんだよ。
 おっと! 名乗るのを忘れてたな。オイラはイッチモン。誇り高きバイキング猫の血を引くノルウェージャンフォレストキャットさ。この店では長老猫のウェッサーマンに次ぐ古株なんだぜ。
 古株だからして、いろんな客を見てきたが……馬同伴の客を見たのは初めてだ。そう、その馬は客が連れてきたもの。ただの馬じゃなくて、無双馬とかいうサーヴァントらしいが。
 馬の主人はロナルド・ハーキュリー(ドラゴニアンの撃竜騎士・g03319)。見るからに武闘派って感じの人派ドラゴニアンだ。
 他の客は既に帰ったんだが、時先案内人でもあるロナルドは(無双馬と一緒に)店に残り、後片づけを手伝ってくれている。しかし、臨時店長の令震を含む他のスタッフたちはちょっと戸惑っているというか退いてるんだよな。
 なぜなら、ロナルドが時々――
「ひひーん♪」
 ――と、鳴き声をあげるから。『ぶるる!』と鼻ラッパを鳴らすこともある。念のために繰り返しておくが、それをやってるのは無双馬じゃなくてロナルドのほうだからな。
 しかも、言動(って言えるのか?)だけじゃなくて見た目までもが馬っぽい。馬の耳と尻尾を付けてんだ。
「ん?」
 ロナルドならぬ馬ルドは手を休めて皆を見回した。退かれていることにようやく気付いたらしい。
「どうかしたのか?」
「いや、どうかしているのはおまえのほうだ」
 と、令震がすかさずツッコミを入れた。
「なぜ、馬なんぞの物真似をしている?」
「そりゃあ、馬が好きだからさ」
『当然じゃん』みたいな顔をして、馬ルドは速答した。
「あと、東洋には十二支ってのがあると聞いたんだ。それによると来年の来年の来年の来年の来年は馬の年だそうだから、先取りしてみた」
 何年後の話だよ! 鬼が笑いすぎて酸欠死してまうわ!
「なるほど」
 納得するな、令震! さっきみたいにツッコめや!
「にゃー」
 と、令震の代わりに子猫のぐりぐり君がツッコミを入れた。そして、物怖じすることなく馬ルドに近寄り、尻尾にじゃれつき始めた。自前のドラゴン尻尾じゃなくて、人工の馬尻尾のほうだ。
 馬ルドは首を捻って後方のぐりぐり君を見やると――
「ははっ!」
 ――楽しげに笑い、尻尾を揺らしてみせた。こいつも猫好きなのかもな。
「ひひーん♪」
 でも、いちばん好きなのは馬なんだろうな。
 
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV4になった!

最終結果:成功

完成日2022年01月03日

新宿島のクリスマスパーティ

 第一次東京奪還戦に勝利した事で、新宿島の人達は、大きく盛り上がっています。
 そして、クリスマス直前の勝利を讃え、祝う為、盛大なクリスマスパーティを行おうと提案してくれたようです。
 この新宿の人々の心意気に応えようと、時先案内人たちが、様々なクリスマスパーティを企画しているようです。
 様々な趣向をこらしたクリスマスパーティに参加して、素晴らしい聖夜を過ごしてみましょう。

 新宿島の住民達は、時先案内人と共に、ディアボロスを楽しませる為のパーティの準備を手伝ってくれています。
 彼らは自分が楽しむのでは無く、ディアボロスを楽しませる事を希望してくれましたので、彼らの心意気を無駄にしないように、全力で楽しみましょう。

 その上で、新宿島の人達を楽しませる余興をするのも良いかもしれません。

 このシナリオはクリスマスパーティを扱う2章シナリオです。

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#最終人類史(新宿島)
🔒
#新宿島のクリスマスパーティ
🔒
#クリスマス2021


30




選択肢『新宿島のクリスマス』のルール

 新宿島で行われるクリスマスパーティーに参加します。
 時先案内人と新宿島の人々が、ディアボロスへの感謝を込めて、いろいろ準備してくれたようですので、思いっきり楽しみましょう。

 開催されるクリスマスパーティーの内容などは、オープニングの情報を確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『クリスマス・クライマックス!』のルール

 楽しかった新宿島のクリスマスパーティが、クライマックスを迎えます。

 クリスマスパーティを締めくくる挨拶やイベント等を行って、パーティを締めくくりましょう!
 最後に、ディアボロスからパーティの準備をしてくれた新宿島の人々に感謝を込めたイベントなどを行っても良いかもしれませんね。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。
 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、シナリオは成功で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。