リプレイ
楠井・十佐
【心情】
僕達の日常がこんなに突然失われるなんて、未だに信じられないけど。
でも、被害はまだ広がりそうなんだ。今はとにかく何か行動するしかない。
これ以上、世界を壊させる訳にはいかないんだ。
【行動】
まずは、船まで泳いでいこう。
なるべく体力を消耗しないように水着を調達して、スマートアイ以外の装備は防水性のバッグにしまって背負って泳ぐ。
急いで到着したいけど、焦って消耗しても危険だ。適度な速度で向かっていこう。
可能ならラウムさんのドローンに掴まらせて貰って体力を温存するよ。
スマートアイの望遠暗視機能を使って、船を遠距離から偵察して気付かれない様に接近。
なるべく海上に体を出さない様に隠密行動を心掛ける。
ラウム・マルファス
【連携】
十佐
【心情】
こっちの新宿はこんなことになってたんだネ。あの頃は逃げ回るだけで精一杯で、情報収集も何も出来なかったが……今回はそうはいかないヨ
【行動】
ドローンを水中仕様に換装。1機は持ち手を付けて、十佐に貸し出すヨ
後の事を考えるとボクはあまり濡れたくないネ
メガネの魔法でその辺の土をナノマシンに変換。密集させてボクが入れる箱を作り、スクリューも付けル。簡易水中艇だネ。ナノマシンの一部をガラスに変換させて窓にしよウ
水中に危なそうな瓦礫があったら爆弾で破壊しておこうかナ。陸から流れてくることもあるだろウ。探査船を傷付けないよう気を付けて、目視できたら速度を下げてゆっくり近付くヨ
エクレール・ランフォード
TOKYOよ、ワタシは戻ってきたデース!
お家とかどうなってるか確認したいデスガ
任務しかできないのが辛い所デース
デモ、めげずに頑張りマショウ!
ンー、こういう任務と分かってれば水着買ってたんデスケドネー
【アイテムポケット】に装備とブレザーとかを入れて
シャツとスカートのみ(下着は勿論はいてマース!)になったら
準備運動してー
音を立てないようゆっくり入水デース
泳ぐ時も音を立てないようすぐ潜れるようゆっくりデース
船の後ろに回り込んで行きマース
ある程度近づいたら潜っていきマース
途中の息が続かなくなったら【ポケット】に入れてた空気を拝借デース
しかし、水の中や底はどうなってるんでしょうネー
ちょっと楽しみデース
須藤・霧衣
さて、初陣ですね。とはいえいきなり遠泳やる羽目になるとは思いませんでしたが。
まあ幸いにして、海のある場所で育った身なので遠泳は出来ないことはないです。特に今なら昔よりは運動能力も上がってるでしょうし。
なので今は自分の身体能力をチェックする意味も兼ねて、地力で挑みましょう。荷物は全部ビニール袋に包んで背負って。
服は着たままで問題ないですね、水着になってもいいといえばいいのですが、今後着衣遠泳をする機会もあるでしょうし練習兼ねてといったところでしょう。
サービスカット?なんの話でしょうか。他の人にお任せします。
あとはバレるかどうかは運任せ。【強運の加護】のあらんことを。
月立・ハルト
天使たちの調査の妨害。なるほど、これが原因で新宿島に何かしらの影響があったら困るよね。
……だからといって、まさか泳ぐことになるとは思わなかったけど。
まあ新宿島なんてとんでもないことになってるし、こういった場所で気分転換できるのはありがたいな。
というわけで、船にたどり着くまでまったりと泳ぐことにするよ。念動力を使って自分の泳ぐ方向はある程度間違えないようにするけど。
他の人で泳ぐ人がいたら、騒がない程度に世間話でもしながらその船に近づくことにするか。
……こんなことなら、水着を用意しておくべきだったな。
●
男女に分かれ、別々の車両で『泳ぐ』準備をしていると、窓からさぁっと夏の光が射し込んできて車内に満ちた。いつの間にか車窓の外に海が広がっている。
空を映した鏡のように青々と光を放つ海に、エクレール・ランフォード(悪魔召喚師・g01716)は目を見張った。
「わぁ、本当に海の上に出ましたデスヨ!」
須藤・霧衣(マクガイバー・g00461)も窓に顔を寄せる。
「たしかに海……みたいですね。水平線以外、何も見えない」
霧衣は琵琶湖を思い浮かべた。
滋賀県にある、いや歴史改竄される以前にあった、日本最大の湖は、海のように波も立つし、ほとんどの場所で対岸も見えないくらい広い。
「でも、新宿区は琵琶湖よりずっと小さかったような気がします。なのに水平線しか見えないなんて……」
横むいたエクレールが、にっかりと白い歯を見せて笑う。
「こまけーことはいいんだヨ、の精神デスヨ! 正しい歴史を取り戻していくうちに、きっと理屈がわかるはずデース」
「それもそうですね。いま気にしてもしかたがないことでした」
パラドクストレインは徐々に減速していき、何もない海上で停車した。周りは水平線が丸く見えるほど、遮るものなく見渡せる大海原だ。
とくにアナウンスもなく、いっせいに全車両の右側のドアが開いた。
波が洗う降車口の縁にたって、月立・ハルト(漂白の虚・g03638)が呟く。
「やっぱり水着を持ってくればよかったな」
何もない水平線の上にある空は、海と繋がって一体になっているように見える。海はおおらかに凪ぎ、澄んだ青空よりも少しだけ深みのあるブルーをたたえていた。佇んでいるだけで開放感いっぱいになるシチュエーションだ。
隣で楠井・十佐(人間のデジタルサマナー・g02957)もため息をついた。
「ほんとうに。わかるよ、ハルト君。事前にわかっていたら水着を用意したのにね。リリカさんの説明後、すぐに出発したから買いに走るヒマもなかったし」
「十佐……」
男二人、固く握った拳を胸に当てて、いつ海水浴の依頼が来ても大丈夫なように、戻ったらすぐ水着を買うことを誓った。新宿駅に帰ってきた時に、覚えていればの話だが。
「男二人でなにやってんの?」
「あ、ラウム君。ドローンのパーツ組み換えは終わったのかい?」
「はい、水中用ドローン。これで楽に移動できるヨ」
海を見たラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)の眼鏡が、きらり、と光る。口元に浮かんだ微笑み。早くも研究者としての血が騒ぎ始めたようだ。
「ふうん、ここが西暦2013年の東京新宿区なんだネ。実に興味深い」
「ラウム君、まずはクロノヴェーダ―の計画を阻止するのが先決だよ。ここで調べてみたいと思ったことは、帰ってから攻略旅団のみんなと相談しよう」
「……わかっているヨ。有益な結果を手にするためにも、みんなで調査したほうがいいからネ」
「あ、女子が戻ってきたよ」、とハルト。
二両先で支度を整えていたエクレールと霧衣が、荷物を背負ってやってきた。
「さて、いよいよ初陣ですね。とはいえ、いきなり遠泳をやる羽目になるとは思いませんでしたが」
「みんな思っていることは同じなんだなぁ」
十佐の一言で苦笑の輪が広がる。
「まずは、船まで泳いでいこう」
「その前に準備運動するデスヨ!」
軽く体をほぐしたディアボロスたちが、次々と海に飛び込んでいく。
あるものは競泳選手ばりに空気抵抗のすくないフォームで飛び込んだ。
あるものは温泉につかるように、爪先からそろりと入水する。
目指す調査船は水平線の上に見えないが、このまま真っ直ぐ泳いでいけばいずれ辿りつけるはずだ。
いつの間に発車したのか。
ハルトが振り返ったときには、パラドクストレインは消えていた。
●
プールと違って壁はない。ディアボロスたちはこの海で思う存分、ディアボロスとしての体力を試すことができた。
みんな普段着で、荷物を持って泳いでいるにもかかわらず、余裕をもって泳げている。楽しんでさえいた。覚醒する前なら考えられないことだ。
「一時間ぐらい泳いでいますが、まだまだ頑張れそうです」
「じゃあ、まだドローンは使わなくても大丈夫かい?」
「はい」
むすっとしたラウムの声が、十佐と霧衣の会話に割り込む。
「そのドローンはボクのなんだけどナ」
あとあとのことを考えて水に濡れたくなかったのに、計画が狂ってしまった。しぶしぶ、泳ぐはめになってしまい、ラウムは少々機嫌が悪い。
「漂流物のひとつでも浮いていれば気晴らしもできたのに……」
エクレールが平泳ぎで四人の脇を抜いていく。
「ゴミなんて浮いていないほうが気持ちよく泳げマスヨ。水もしょっぱくないし、この海は最高デスネ!」
ぐんぐんと遠ざかっていく金髪に、おーい、とハルトが声をかける。
「あまりみんなと離れないで……って、いっちゃったよ。まあ、まだ調査船が見えてないから大丈夫だろうけど」
「そういえばそろそろ影ぐらい見えてもおかしくないですよね。十佐さん、何か見えませんか?」
十佐はスマートアイのフレームに触れた。
「……見えた。これの望遠機能を使ってまだ芥子粒ぐらいの大きさだから、少なくとも一時間は泳がないとだめかな」
それだと一時間以上はかかる、と横からラウム。
「じゃあ、少々はめを外して騒いでもクロノヴェーダたちには見つからないね?」
「と思うけど、なにハルト?」
エクレールが戻ってきた。
「みんな遅いデスヨ」
「ちょうどよかった。何かみんなでゲームをしながら泳いでいこうよ」
きっかり二時間後。
海を満喫したディアボロスたちは、誰にも見つかることなく調査船にたどり着き、内部に潜入した。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【操作会得】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
月立・ハルト
さてと、侵入完了だね。
まずは戦闘で船の沈没は防がないといけないか。
っていうか、さっきの海、しょっぱくないし海水じゃないんだな。一体どうなってるんだろう。そもそも海じゃないのか?
天使たちがいないか先を確認しながら慎重に進んで、船底の確認へ。
底に穴が空いたら流石にアウトだし、オレの念動力と『復讐の律動』のオーラで船底の強度を強化できないかな?もしくは周囲に存在する物品を使って船底に簡単に穴が開かないように補強してみるよ。
それでも念には念を。【フライトドローン】に沈没した場合研究者たちを救助するように事前に命令しておくよ。
後は……救命ボートも探しておいて、外にセットしておこうか。
楠井・十佐
【心情】
何とか船にたどり着いたか。
見つからない様気を遣うし色々大変だったけど、みんなのお陰で結構楽しかったな。
ここからが本番だ。真剣にいかないと。
【行動】
乗員に気取られない様注意して船に乗り込む。
調査や研究目的の特殊船舶なら、船内放送や緊急時の警報を行える部屋があるんじゃないかな。そこを探そう。
研究員は信者か。なるべく見つからない様に注意しよう。【強運の加護】に期待だ。
鍵等は【操作会得】「ハッキング」「破壊」「念動力」で無理矢理押し通る。
準備が出来たら、聞き耳を立てる等して船内の状況の変化に注意。
仲間が交戦開始して騒ぎが起きたら、警報と船内放送で研究員達に救命ボートへの避難を呼び掛けよう。
エクレール・ランフォード
泳ぐの楽しかったデース
さて、お仕事デース…ええ、真剣に行きましょう
【強運の加護】を用いつつ研究施設まで侵入します
【友達催眠】を使いこちらへの警戒を解かしながら
研究者達にこう言いましょう
天使サマを狙って悪魔が来たと
その瞬間外に待機していた悪魔が打ち合わせ通り
魔法を沖に放ち船を傷つけない程度に揺らし演出を
天使は兎も角、悪魔は船を傷つける事を厭わない
天使の邪魔をしないよう研究成果を避難させようと言いくるめます
皆泳げなさそうな顔をしているし大事なのは私が回収しておくので先に避難してとも
そこまで言えば二度目の揺れがくるので急がせましょう
いなくなったら回収せずに破壊
ええ、悪魔(ディアボロス)の所業ですので
エーリャ・アジーモヴァ
「とりあえず偵察だよー!
初仕事なので要領わからないけど頑張る
[空中戦]か【飛翔】でを飛んで上空から状況確認
溺れる人の発見と救助を最優先して動く
使えそうな浮き輪やロープ等をいくつか探して持っておく
空のペットボトルを蓋して浮きにする等、ありもので工夫して
もし火災や崩落で救命器具が失われそうになってたら守るために動く
船長さんとかスタッフがいたら挨拶して分担や協力を
自分は飛んでボートを引っ張るか、追ってくる敵を戦って足止めすればいいかな?
[一撃離脱]で交戦するよ!
「陸地はこっちだよー! みんながんばって!
飛鳥・遊里
足場をしっかり固める…地味だけど大切なことだよこれ
みんなが安心して大暴れできるように、戦闘中の船の状態維持はしっかりやっておこう
・ハイブリッド・ドール【レグルス】(以下【レグルス】)との分担作業
まず俺は、乗船中の一般人、研究者から船内にある破損するとヤバいものの集積場所と、できれば船内の見取り図の情報を得る
その情報をもとに、【レグルス】には船内の危険個所に即応態勢で待機。場合によっては最大稼働モードで対応に当たってもらう
俺は、マルチツール・ガントレット【ヘパイストス】で、船内の資材を使って脆そうなところを溶接などで補強。特に、脱出経路につながる区画の水密扉は入念に
大丈夫、壊れても全部直すからさ
●
エクレール・ランフォード(悪魔召喚師・g01716)はシャツの裾を絞った。
「泳ぐの楽しかったデース。さて、お仕事デース……ええ、真剣に行きましょう。エブリバディ、足元にご注目。甲板が濡れてマス……あ、これはワタシがシャツを絞る前からデスヨ」
言われて下を見てみれば、自分たちがいる場所だけでなく、ほぼ後部作業甲板の全域が濡れている。
「つまり、いま研究者サンはラボにいるということデース」
ここの床が濡れているということは、海水サンプルあるいは海中調査艇が引き上げられた直後である可能性が高い。調査員たちは船の前方のどこかにあるラボの中で、回収したサンプルの解析をおこなっているのだろう。
なるほどね、と月立・ハルト(漂白の虚・g03638)は濡れた前髪をかきあげた。
「天地たちまでいないなんて、海を泳いでくる敵がいると思っていない証拠だね」
しかし、思いがけず得られたアドバンテージを利用しない手はない。
ラウムと霧衣は、一足先に天使たちを排除すべく船の前方へ向かった。
「さてと、まずは戦闘で船が沈没しないようにしないといけないか。なあ、十佐……十佐?」
楠井・十佐(人間のデジタルサマナー・g02957)はスマートアイに両手をあてて海を見ていた。
「敵の増援か!?」
「違う、ディアボロスだ」
「そういえばオレたちが泳ぎ出してすぐにパラドクストレインが消えていたっけ」
新宿駅からやってきた新たなディアボロスは3人。1人は機械の翼で、残りの2人はフライトドローンに乗ってやってきた。
「なんだかずるいデス……」
「まあ、そういわずに。僕たちが泳いでここまで来たからこその結果だから」
むう、と口を可愛らしく尖らせるエクレールに苦笑いしながら、十佐は新たにやってきた仲間に手を差し出した。
「よく来てくれた」
●
「あ、あの、ボクも天使たちの足止めにいきます。こ、怖いけど。ここにいるモーラットのコダマがボクたちの通信を助けてくれますので、研究員さん達の安全が確保できたら教えてください」
白髪の少女は船の前方へ走っていった。
「君、待って! 名前……っていっちゃったよ」
十佐は少女と一緒に来た2人に顔を向ける。
「あの子の名前、知ってる?」
「小雪さんだよー!」
明るく元気に答えたのは、エーリャ・アジーモヴァ(冬の天使・g01931)。機械の翼で飛んできたのは彼女だ。
メカニックスーツに身を包んだ青年、飛鳥・遊里(リサイクラー・g00512)がつけ加える。
「上の名前は確か、月下部っていってたな。ついでに紹介するよ、隣のこいつはハイブリッド・ドールのレグルス。俺の相棒だ。よろしく」
遊里は十佐と、続いてハルトと握手を交わした。
船の前方がざわつき始めた。
ディアボロスたちは顔を見合わせ頷きあう。
「さて、まずは戦闘で船が沈没するのを防がないといけないか」
「足場をしっかり固める。地味だけど大切なことだよね。みんなが安心して大暴れできるように、戦闘中の船の状態維持はしっかりやっておこう。ハルトくんだっけ? 俺とレグルスも手伝うよ。見ての通り、そういうのは得意だから」
ハルトと遊里は船底に向かうことにした。
十佐は放送施設を目指す。
「調査や研究目的の特殊船舶なら、船内放送や緊急時の警報を行える部屋があるんじゃないかな。探すついでに救命ボートの位置の確認もするよ。見つけたら連絡、と……まだあの子が言っていた効果は出ていないし、どうしよう?」
「ここのディビジョンならスマホが使えるかもしれないよ。電波が届いていればの話だけど」
「なるほど。遊里さん、いいところに気がつきましたね。みんな、スマートフォンは?」
幸いにして現代人に必須の通信アイテム、スマートフォンは残っている全員が所持していた。アンテナは一本しか立っておらず、通信状態はかなり悪いが使えるようだ。
赤外線通信で番号を交換し合う。
「パラドクス通信機器が現れたら切り替えよう。どう考えてもそっちの方が安全で安定している」、とハルト。
了解の声が揃う。
エーリャはイヤホンとスマートフォンをブルートゥースで接続し、耳に入れた。
エクレールも右に習う。
「十佐さんが救命ボートを探してくれるなら、わたしは使えそうな浮き輪やロープ等をいくつか探して持っておくね。あと、空のペットボトルとか」
「空のペットボトルなんか探してどうするデスカ?」
「フタがあれば浮きにできるでしょ? 救命具がないときは、あるもので工夫しないと助けられなくなっちゃうから」
「じゃあ、ワタシはラボを探して研究データを破棄するデスヨ!」
今度はエクレールがどうするの、とエクレールに聞く。
「これで悪魔を召喚シマース」
エクレールはサモンデバイスの上で指を滑らせて、悪魔を召喚した。
「研究者たちに、天使サマを狙って悪魔が来た、といいマス。何も持たずに慌て逃げ出すこと間違いなしデース」
「いい作戦だね。じゃあ、エクレールとエーリャは途中まで僕と一緒に行動しよう」
「じゃあ、オレは遊里と下へ行くよ。頑張って」
「そっちも頑張ってね」
仲間が天使たちを引きつけてくれている間に、研究者たちの安全を確保し、研究データを破棄しなくてはならない。
●
規則正しいエンジン機関の音が、船底に絶えず響いている。
ハルトは遊里たちとともに、天使たちがいないか先を確認しながら慎重に船底まで降りてきた。暗い倉庫のような場所をイメージしていたのだが、あちらこちらで照明がつけられており、意外と明るい。
「おい、誰だ」
作業着を着た男が、手にバインダーを持って立っていた。船体設備の点検をしていたようだ。
遊里が前に出る。
「まだ逃げてなかったのか」
「え、なんの話――」
「悪魔が襲ってきたんだ。俺は天使から研究データを隠すように言われてここに。それを貸してくれ。隠し場所を決めないと」
「じ、冗談じゃない。おれは逃げる」
男は遊里にバインダーを押しつけると、うしろにいたハルトとレグルスを押しのけて、階段を駆け上がっていった。
「……苦労せず、船体設計図が手に入ったぞ。みんなに写真を送ろう」
「その間にオレは下を見て回るよ。船底の強化に使えそうなものを探してくる」
「ああ、頼む。また後で」
遊里たちと別れたハルトは、まず鉄の板を探した。が、見つからない。
「しかたないか。だけどほかに使えそうなものは……」
研究機材の修理用部品ぐらいはあるはずだ。調査研究を中断していちいち陸に戻るとは思えない。
「あ、あったあった。でもこれだけじゃ、船底全体の補強はできそうにないな。ブルーシートは結構あるのに……戻って遊里に相談してみるか」
見つけたものを念動力で運んでいると、前から遊里たちがやってきた。
「ちょうど良かった。呼びにいこうと思っていたところだ」
遊里は船体設計図を一斉送信したあと、レグルスと一緒に最下層部の図面を精通したといった。
「この船は底を小さく区切っている。一つの区画が浸水しても、そこだけ閉鎖して沈没を防ぐようにしているんだ」
「どうりで、やたらとハッチをまたぐわけだ」
「急いで閉めてまわろう。その防水シートは救命ボートに。簡単な屋根になるし、防寒着にもなる」
「こっちの金属板は……予備のオールをつくるか」
念のため、ハルトはフライトドローンに海に落ちた人を探して乗せるよう命令することにした。
●
剣の翼を畳んだ天使たちが、ドアの向こうを足早に通り過ぎていく。
「行ったか」
「しー。まだ早い、静かにデス」
急に天使たちの動きが慌ただしくなった。まだ戦闘音こそ聞こえてこないが、誰かがワザと天使たちに見つかったのだろう。
強運の加護もあるが、仲間たちがおとりになってくれているおかげで、こちらはまだ見つからずにすんでいる。
「でも、はやく研究者さんたちを避難させないと――!!」
エーリャは耳に響いた着信音に驚いて、小さく跳びあがった。ポケットに手入れてスマートフォンを取り出す。
「あ、船の図面だ」
3人で図面に目を通していく。
「ふむ。やはり、船内放送の設備があるのはブリッジだけか」
「食堂は下の階だよ。ペットボトルより先に、救命ボートを降ろしたほうがいいかも」
「ラボは2階デース。ブリッジの斜め下。ということは、ここで解散デスネ」
十佐はオレンジ色のスマートフォンをしまい、ドアを細く開いた。
廊下に天使たちの姿はない。自分が先に出て安全を確認する。
「大丈夫、出てきていいよ。僕は船長を説得して、避難を呼び掛けてもらう。悪魔の襲撃だ、逃げろってね」
「それは助かるデスヨ。エーリャ、逃げ出した研究員サンたちをお願いするデース」
「任せて。右舷のボートから海に降ろす準備をしていくよ。それが終わったらキッチンに行ってペットボトルを取りに行く」
十佐とエクレールは階段へ、エーリャは廊下を右へ走った。
エーリャが図面に記された場所にきてみると、一段低くなった縁に白いドラム缶のようなものが取りつけられていた。
これを海に落とすと割れて、中からゴム製の救命ボートが膨らみながら出てくるようだ。
ドラム缶の固定具を外しているとき、手すりの内側下に長方形の箱があることに気づいた。
「緊急脱出スライド?」
どうやら海面まで、航空機事故のニュースで見たようなゴムの滑り台で落ちるようだ。
(なかなか考えられてるじゃない。でも、この船って……)
港区などからわざわざ運んできたのか、それとも新宿区の海で新たに作られたか。
考えていると、どーんと左舷で爆発音が響き、船が揺れた。研究者たちだろうか、上がった複数の悲鳴にサイレン音がかぶさる。
同時に、パラドクス通信機が目の前に現れた。あわてて掴む。
「へー、これがパラドクス通信機なんだね」
さっそく試してみたいが後回しだ。いまはやらねばならぬことがある。
避難を促す十佐のアナウンスに負けないように、エーリャは声を張り上げた。
「救命ボートはこっちだよー!」
誰もいないブリッジで十佐はマイクを握りしめていた。
船長はいなかった。航海士も、通信士いない。どうやらこの船は完全な自動運転のようだ。おかげで船内放送の方法がわかるまで時間がかかってしまった。
「只今、『悪魔の手先』と思われる者たちと交戦中。総員、速やかに船外に退避せよ。繰り返す、総員、速やかに船外に退避せよ!」
左にやや傾いたブリッジの小さな窓から、前甲板が見下ろせた。
霧衣がたった一人で鋼鉄の天使と対峙していいる。鋼鉄の天使は、船内ですれ違った天使たちより一回りも二回りも大きい。あれが作戦を指揮するボスに違いない。
(すぐに助けに行くから、それまで頑張って霧衣さん)
十佐は放送を切り上げると、パラドクス通信機のスイッチを入れた。
「こちら十佐。ラウムさん、小雪ちゃん、状況は?」
返事がない。
下からは戦闘音がくぐもって聞こえてくる。通信できるほど余裕がないということか。船内の天使たちがあらかた左舷に集まっているのだから無理もない。
<「こちらエーリャ、研究者さんたちの避難が終わったら左舷に急行して戦うよ!」>
「僕もすぐ行く。2人とも、それまで耐えてくれ」
十佐はブリッジを飛び出した。
「ほんとうデース!」
生来のフレンドリーな性格に加え、召喚した悪魔によってもたらされた友達睡眠の効果によって、エクレールは研究者たちと早々に仲良くなってた。
「ワタシ、見ました。悪魔を。ちょうどあんな――」
笑って話を聞く研究者たちの後を指さしながら、大げさに悲鳴をあげる。
振り返った研究者たちがみたものは、まさしく悪魔だった。
ラボがパニックを起こしかけた瞬間、避難を呼びかける十佐の声が天井のスピーカーから流れだした。
「落ち着ていて、悪魔はワタシが引きつけておくデス。ユーたちは右舷の方へ。悪魔は船を傷つける事を厭わない、沈没する前に急いで救命ボートに乗るデース!」
ラボは2階の中央に位置しており、ほかよりも分厚い壁に囲まれていた。そのためここにいると左舷の戦闘音は聞こない。研究者たちが逃げ出さずに研究を続けていたのは、壁の厚さと天使が守ってくれるという思い込みによる。
だからエクレールは、実際に悪魔を見せることにしたのだ。
研究者たち全員がラボから出ていった。研究資料も採取したサンプルもそのままにして。
「それでは始めるデスカ。ユーも手伝ってください」
コンピュータを壊し、紙資料を次々とシュレッダーにかけていく。採取された海水を入れたガラス容器を床に叩きつけようとしたとき、エクレールは不思議な現象を目撃する。
サンプルを頭の上に持ち上げた瞬間、ふっと軽くなったのだ。
「海水が消えた?」
きっちりと密封されていたガラス容器のなかから、海水が消えていた。
「ワタシ、まだ何もしていないデスヨ」
海水のテレポーテーション……。
ディビジョンの海は謎に満ちている。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】がLV2になった!
【操作会得】がLV2になった!
【友達催眠】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【修復加速】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【アヴォイド】がLV2になった!
ラウム・マルファス
ドローンを換装。なるべく目立たないよう静音と索敵を優先しつつ、フリージングミサイルを使うためにミサイル内に瞬間冷却用の薬品を充填しておくヨ
ドローンを通路に先行させて情報収集しながら進もウ
敵を見つけたらまずは周囲を把握。人が巻き込まれたり、船に損傷が出そうな装置や薬品が近くにないか確認するヨ。大丈夫そうなら誘導弾でフリージングミサイルを撃ち込み、奇襲を仕掛けル。敵の攻撃はフライトドローンを盾にしよウ
敵の攻撃で船体が損傷したら、戦闘中はフリージングミサイルで凍らせて応急処置。戦闘終了後に修理しておこう。ナノマシンを工具に変形し、武器改造でフライトドローンからパーツを取って発明の知識で船体修理するヨ
月下部・小雪
あ、あの、【パラドクス通信】で連絡を取り合って、研究員さん達の安全が確保できたら攻撃開始、です。
うぅぅ、こ、こわいです。で、でも、がんばらなきゃダメです。
で、電撃で攻撃するのでできるだけ電気機器の少ない場所で戦います。
【フライトドローン】を囮にして、誘導できますか?
ちょうどいい感じの場所に誘導できたらモーラットのコダマにお願いして、ソードメイデンの固まっている場所に突撃してもらいます。
ころころとダッシュで転がりながら飛んでくる剣を避けて近づいて、【ワイファイスパーク】でびりびりっと攻撃、です。
●
「進路クリア。霧衣、先に行ってくレ。後から必ず行くかラ」
「わかりました。それではまた」
仲間を先行させると、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)は物陰にうずくまり、ドローンにフリージングミサイルを装着した。もちろん、瞬間冷却用の薬品はミサイルに装填済みだ。
偵察に飛ばしたドローンが、前甲板に立つ鋼鉄の天使を見つけていた。途中、確認していた剣の翼をもつ天使よりもずっと大きい。おそらくこの調査団の責任者だろう。1個体だけだが、かなりの強さであることが予想される。
たった1人で敵のボスを足止めする彼女の負担を減らすためにも、人命救助に奔走するほかの仲間たちのためにも、自分が調査船を警備するすべての天使たちをひきつけ、撃破しなくてはならない。
無茶を承知で買ってでた役だが、さて、どこまでやれるか。
(「よし、準備完了。始めるとしよウ)
ラウムは念には念を入れて、もう一度あたりを見回した。
周囲に危険な装置も薬品も置かれていない。敵を引きつけるならやはりここが一番よさそうだ。テラス通路に人気がないのは、おそらくラボに閉じこもっているからだろう。かばいながら戦う必要がないのはありがたい。
騒ぎを起こす前に、海へ目を向けた。
泳いでくるときはあまり意識しなかったが、海底までの深度はどのぐらいになるのだろう。反射してくる光が少ないために海面は群青から濃い藍に見える。かなり深そうだ。そういえば魚を――。
(おっと、また考えだすところだっタ)
ちょうど天使が角を曲がって出てきた。二体。巡回に当たっているものたちだろう。調査船にはボスである鋼鉄の天使と、剣の翼をもつ十体の天使がいるが……残り八体は船内か。それはマズイ。
ラウムはワザと天使たちの前に姿をさらした。
「やあ、ごきげんよう天使諸君! 大人しく研究データーを渡してもらおうカ」
「何者!?」
相手の誰何に真面目に答えてやる義務はない。
「わからないかい? 『悪魔』の僕だよ」
天使がはっと息を飲む。一体が船内に走り込んでいった。仲間を呼びに行ったらしい。直後、船内が慌ただしく動き始める気配がした。
「やれやれ、見掛け倒しもいいとこころだネ。通信機器のひとつぐらい装備していて欲しいものダ」
「黙れ!」
天使が剣の翼を広げるよりも早く、ラウルがドローンに命じる。
「シュート!!」
ドローンから放たれたミサイルは翼を広げた天使に命中し、爆発とともに分解して冷たい瘴気の渦を起こした。
渦は新たに現れた天使たち2体も巻き込んで、身体にダメージを与えるとともに反撃の気力を奪った。
「おのれ、悪魔の僕(しもべ)め!」
天使たちは翼から剣を分離させ、高速で飛ばしてきた。が、剣の半分は翼に残ったままだ。すべてを分離させる気力がなかったらしい。
飛んできた剣のいくつかはラウルの後へ抜けて、船体に突き刺さった。
「とはいっても、3体分ともなればさすがに……ネ」
全身を切られていた。白衣が滲みだした血で赤く染まっていく。
痛みを隠して立ち上がった。くらり、と目眩がして体が左へ傾く。
いや、船自体がわずに左へ傾いたのだ。
天使たちが左舷に集まってきている。硬質な足音がいくつも近づいてきている。
ピンチに闘志を掻きたてて、ドローンに攻撃を命じようとしたその時、ラウルの足元を毛玉がころころとダッシュで転がりながら天使たちへ向かっていった。
「そこです、コダマ。びりびりっと攻撃、です!」
謎の少女の声と同時に、毛玉の体から青白い稲妻が飛び出し、四方にのびた。まるでエネルギーの魂が、閉じこめられた球の中から思いっきり手足をのばしたかのようだ。
稲妻の先端が天使の体に触れたとたん、夜空に咲く大輪の花火のごとく、激しい音とともに爆発した。白い稲妻の花がいつくも天使たちの体を飾る。
気がつけば、3体とも通路に散らばっていた。
「やりました! この調子で、と言いたいところですが……船の中からドドドってすごい足音が聞こええてくるんですけどぉ。こ、こわい」
謎の少女は床にへたり込むと、戻ってきた毛玉をぎゅっと胸に抱きしめた。白い髪、抜けるように白い肌、赤い瞳が恐怖に潤んでいる。
「ありがとう、助かったヨ。ところで君ハ? 僕はラウル」
「これは失礼しました。小雪とお呼びください。この子はモーラット・コミュのコダマです。エーリャさんと遊里さんと一緒に、時先案内人の依頼書を読んで駆けつけてまいりました。あ、パラドクストレインに乗って、ですけど」
こんな小さな子がディアボロスに。クロノヴェーダに何を奪われ、どんな辛い思いをしたのだろう。
ラウルは、月下部・小雪(デーモンのデジタルサマナー・g00930)の手をとると、優しく立たせてあげた。
また新たな天使が角から姿を現した。
「小雪、戦えるかいイ?」
「うう……っ。怖いけど頑張ります」
コダマも腕の中から飛び出して、小雪を守るように前に出る。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【冷気の支配者】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!
須藤・霧衣
さて、皆が船のほうに回ってくれてるし、集団にも向かってくれました。
あとは一番デカイやつが他に行かないよう引き付けておくのが私の仕事ですね。
大丈夫、何も一人で倒すわけじゃない。皆が来るまで生き残るだけ、それで十分
アクション映画の拳士だってこういう状況に立ち向かった、私にだって出来る
わざと正面から近づいて、不敵に挑発してあげましょう
かかってこいといわんばかりに手招きをして、ニヤリと笑ってやります
あとは全力で【アヴォイド】し、生き残るだけ
【ストリートストライク】を駆使して、船内の設備雑貨を投げ、引き倒し、隙を見て殴りつけ。少しでも長く有利に相手出来るように
「かかってきなさい、遊んであげます」ってね
●
須藤・霧衣(リクリエイションズ・g00461)は大きく息を吸い込んだ。
吹く風に海の匂いはない。波の音はするが、目を閉じたらここが海の上だと思えないぐらいだ。
(「ほんとうに不思議ですね」)
海であって海ではない海。できの悪いなぞなぞみたいだ。天使でなくても調べたくなる。
(「さあ、頑張りましょう。大丈夫、何も一人で倒すわけじゃない。皆が来るまで生き残るだけ、それで十分」)
気合いをいれるために両頬をてのひらで打った。パチン、と小気味のいい音が前甲板に響く。
ゆっくりと、鋼鉄の天使が振り返った。
「……小汚い悪魔ハエが。失せろ、叩き潰すぞ」
「な、なんですって!?」
アクション映画の拳士よろしく、正々堂々と名乗りを上げて正面からぶつかっていくつもりだった。こちらから挑発して怒らせるはずだったのに、現実は逆に挑発されている。
冷静に。握りしめていた拳を解く。
「叩き潰す? それはこっちの台詞です」
どうやらこの天使――マキナエンゼルは、霧衣を悪魔の手先だと思っているようだ。
別に構わない。正体不明の敵とばれて警戒されるよりも、悪魔の手先だと思われていた方が油断させやすいだろう。
霧衣は顔に不敵な笑みを浮かべた。手のひらを上に向けて指をくい、くいっと曲げる。
「かかってきなさい、遊んであげます」
「ハエの分際で小賢しいわッ」
マキナエンゼルは床を踏み抜くほど強く蹴り、背中のマントをたなびかせながら飛んできた。両手に持つ、赤と青の電光ソードが低く唸る。
「やあっ!」
霧衣は床に這っていた太い巻ロープを高く蹴り上げた。
ばらけて落ちるロープがマキナエンゼルの腕に絡みつくが、敵は気にも留めずに赤光剣を振ろうとする。
スライディングで赤光の刃をかいくぐった。巨体の下を滑り抜けるときにロープの先端を掴み、引っ張った。たるんでいたロープが締まり、マキナエンゼルの腕にしっかり巻きつく。そのまま滑る勢いで更にロープを引くと強い手ごたえがあり、体ががくんと後ろへ引っ張り戻された。
振り返ると、マキナエンゼルが空中で半回転していた。鋼の巨体が背中から船橋にぶつかって、轟音とともも壁がへこむ。
「どうですか、これでも私をハエと侮りますか?」
マキナエンゼルが消えていた。
「どこへ――?!」
左から殺気を帯びた風。
咄嗟に横へ転がるも間に合わず、霧衣は青光剣で左腰を切られてしまった。
「貴様、ただのハエではないな?」
苦戦🔵🔴🔴
楠井・十佐
避難勧告後、戦闘に合流しよう。戦闘音を便りに急いで向かう。
【アルマロス召喚】で大天使アルマロスを呼び出し、神罰の槍を放ち攻撃させる。
船体に被害を与えると沈没の危険がある。敵と自分との射線や位置取りに注意。お互いに、攻撃が外れても船体の配線やパイプ、支柱等の致命的な箇所に被害が及ばない様に。
更に、アルマロスの生み出した盾を「念動力」で操り、自身や仲間、船の重要な箇所を防御させる。
仲間と連携し、攻撃対象を集中させてなるべく早く敵の数を減らしていこう。
ラウム・マルファス
薬品を雑に傷口にかけて止血。
避難も始まったようだし、約束通り駆けつける前にもう一仕事。ソードメイデンの残りを倒さないとネ。後顧の憂いは断っておきたイ。幸い、向こうから集まってくれるようだしネ。
手持ちのドローンを換装して爆弾を積むヨ。指向性にして爆発範囲を狭くしたから、船体に影響は出ないだロウ。
「悪いけど、逃がすわけにはいかないナ」
さっきまでの戦闘で敵の動きは情報収集済みダ。敵の攻撃に合わせて魔導ナイフを飛ばして牽制。カウンターになるようにデモニックボムを当てて仕留めよう。
戦闘が終わったら今度はキチンと止血して、逃げ遅れがいないか気にしながらマキナエンゼルの方に向かうとしよウ。
エーリャ・アジーモヴァ
「敵のほうが強い、のかな…? 堅実に重ねていこう…!
[空中戦][一撃離脱]戦法でダメージをコントロールしていく
敵の射線を船から上空へ逸らすことで船へのダメージも防いでいくよ
他の人と連携
ターゲットが自分なら避けに徹して
自分以外ならよそ見してるスキを狙って攻撃を加えてみよう
ちょいちょい隠れて敵の視線を切るような動きは意識しておく
[投擲]で全然関係ない方向に物音立てて動きを誤認させて敵の意識ひいてみたり
敵のSPD攻撃は避けにくそうだな
壊れた船の瓦礫があれば盾にするか
思い切って水中に飛び込んで、水圧での減速を狙ってみよう
「わたしにだってやれることがあるんだよ!
●
スピーカーから流れる楠井・十佐(人間のデジタルサマナー・g02957)の緊迫した声が、研究者たちに避難を繰り返し呼びかける。
(「始まったようだネ」)
ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)は腰の後に手を回した。天使たちに目を向けたまま、ベルトに刺した管瓶をそっと抜き取る。
パラドクス通信機からも、船体の補強と研究者たちの避難状況を伝える仲間たちの声がクリアに聞こえていた。小雪がつれたモーラット・コミュが、パラドクス通信を強化したからだろう。
どうやら順調に避難できているようだ。このぶんなら、もうじきほかの仲間たちも、ここや霧衣のところに駆けつけてくれるはずだ。
(「それまで持ちこたえなきゃナ」)
自分たちはといえば、天使を3体撃破したのもつかの間、新た4体の天使がやってきていた。
その天使たちは床に散らばる仲間の残骸を見て驚いている。かなり動揺しているようだ。敵の来襲をまったく予測していなかったわけではないだろうが、開戦からこんなにも早く仲間が撃破されるとは思ってもいなかったらしい。
1体の天使が角に姿を消した。後からやってくる天使たちに報告に向かったか、それとも避難を呼びかける十佐を探しに行ったのか。
居残った3体はまだ立ちなおれないでいる。
先制攻撃のチャンスだが、まず傷口をふさいで止血するのが先か――。
ラウムは親指で管瓶のキャップを外すと、深く切れている太ももに傷薬を流しかけた。白衣の裾を裂いて作った布で縛って出血する。他の傷は傷薬をかけるだけにとどめた。
「避難も始まったようだし、約束通り霧衣のところへ駆けつける前にもう一仕事。彼女たちを倒さないとネ。後顧の憂いは断っておきたイ」
「そ、そうですね」
小雪が天使たちを牽制している間に、手早くドローンに爆弾を積んだ。
「さがっテ」
ラウムがドローンを飛ばすと同時に、天使2体が剣を胸でクロスさせて突撃してきた。もう1体は剣を構えて控えている。
こちらを強敵と見て、波状攻撃を仕掛けるつもりか。
「残念だったネ、ボクの方が0,1秒早かったヨ」
やや壁よりに位置を取ったドローンがミサイルを発射した刹那、オレンジ色の光が手すり側を走っていた天使を包み込んだ。
熱と爆風で手すりが歪み、ミサイルに被弾した天使が海に落ちていく。
水音にやや遅れて水柱が上がった。
次の爆発が生じてもう一体の天使が後方へ吹き飛んだ。
煙が海風に流されると、天使は手足がねじ曲がった天使が床に倒れていた。もはや攻撃する余裕を失くしたかのように、弱々しく足掻いている。
「ちょっと火力が強かったかナ。手すりが曲がってしまったネ」
「ラウルさん、もう1体が海へ。海に落ちた仲間を助けにいくみたいです!」
小雪に言われて海へ顔を向けると、翼を広げた天使が海上で旋回しているところだった。こちらへ向かってくる!
船を飛び出したのは仲間を助けるためではなく、海から攻撃するためだったのだ。
まずい。
迎撃しようにも間に合わない。
ラウルはとっさに小雪を庇い、切られる覚悟で両腕をあげて防御姿勢をとった。
「来たれ、アルマロス!!」
叫ぶような声がした直後に、右手側からまばゆく光る槍が一直線に飛んできて、剣を振る天使――ソードメイデンを刺し貫いた。ほぼ同時に光の盾がラウルたちの周りにいくつも浮かび上がり、墜落直前に敵が放った斬撃を防せいだ。
通路前方から十佐が走ってくる。十佐が召喚した純白の翼が眩しい大天使「アルマロス」は、目に見えぬ守護の盾を現世に残して還っていったようだ。
「無事か、ラウル君。小雪さん」
「あ、はい。でもラウルさんが――」
十佐が丁字に差し掛かったとき、ラウルは横から突進してくる影に気づいた。
「十佐、横ッ!」
たたらを踏んで十佐が立ち止まる。
「わっ!?」
ソードメイデンが『何か』に押されて十佐の目前を通り過ぎ、手すりを破ってそのまま海へ落ちた。
敵の背中に体当たりで押していた『何か』も海へ飛び出る。
「わたしにだってやれることがあるんだよ!」
「エーリャ!!」
エーリャ・アジーモヴァ(冬の天使・g01931)は『ラースタチカ』の翼を陽光に煌めかせると、海面に顔を出したソードメイデンに向かって急降下した。
敵は水中で翼を広げて剣を分離さようとするが、その前にエーリャが真上から振り下ろした爆撃槌に叩かれて水没した。
エーリャ は派手にあがった水しぶきをシャワーのように浴びながら、青い空へ向かって急上昇する。
浮かび上がってきたソードメイデンは顔が潰れてなかった。口惜しそうにゆっくりと海に沈んでいく。
「やったね」
空中でVサインを決める エーリャの金髪がキラキラと輝いた。
「これで警備に当たっている天使を7体撃破できたネ」
「じゃあ、あと3体か」
エーリャが船に戻ってきた。
「十佐さん、放送ありがとう。みんな素直に避難してくれたよ。それにしてもイケボだね~」
「ありがとう。エーリャも避難誘導がんばったね。船が沈まなければまた戻ってもらおう。どうやらこの調査船、自動運転されているみたいなんだ」
十佐はブリッジを調べて解かったことを報告した。
「調査を指揮する天使を倒したら、たぶんなんだけど、非常事態を感知して勝手に港へ戻っていくんじゃないかな?」
「フム。手漕ぎのボートで大海原を彷徨うより安全だネ」
エーリャが海へ顔を向けていう。
「文京区じゃなくて、新宿島に流れつくってことはないのかな?」
「途中でディアボロスに覚醒しない限り、ありえない……って、時先案内人のリリカさんがいっていたよ」
新宿島に流れつくことができるのは、ディアボロスだけだ。一般人は海でおぼれて死ぬか、元の○○○○○に流れつくかのどちらかしかない。
「ボクは、普通の人はパラドクストレインに乗れないって、聞いたヨ」
「じゃあ、ラスボスを倒したら、研究者さんたちに船に戻ってもらうってことで決定だね」
金属質の羽音が上から聞こえてきた。
ソードメイデンが2体、どうやら右舷から船の上を飛び越えてやってきたらしい。
「また来た」
「ヤレヤレ……」
「丁度よかった、探す手間が省ける」
機械翼を展開して飛び立ったエーリャを「アルマロス」が放った光の槍が追い抜いて、敵の一体を刺し貫いた。
やや遅れて、ラウルのドローンが放ったミサイルがもう一体に炸裂し、空中にオレンジ色の光球を作り出す。
敵が反撃する前にエーリャが爆撃槌を力いっぱい振り抜いた。
ディアボロスの連続攻撃を受け、爆発で赤く熱した金属片が花が開くように飛び散る。
「たまやー!」
エーリャが拳を蒼天に突きあげる。
破片は海を赤く染めながら落ちて、ジュッという音とともに水蒸気の白い煙をあげた。
調査船の警備にあたっている天使は、これであと一体になった。
「救命ボートを襲うことはないと思うけど、念のために探して倒したほうがいいな」
「あまり捜索かせ長引くようなら、途中で切り上げて甲板に向かオウ。霧衣が心配ダ」
「ほかの人が見つけて倒してたりして。それか、逃げ出しているか」
4人は最後の1体を探しに船内に戻ったのだが……。
捜索開始から数分後、スマートアイで海を見回していた十佐が調査せんから遠ざかっていく小さな影を発見する。
エリーシャの予言は的中し、すでにソードメイデンは調査船を逃げ出したあとだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【フライトドローン】がLV2になった!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV3になった!
【アヴォイド】がLV3になった!
月立・ハルト
信仰を利用して強くなる天使たちだけど、天使に反逆する存在がいつの間にかこの船に乗り込んでたなんて思ってなかっただろうな。
しかもそれがオレたちディアボロスなんてね。
【サイキック・エンハンス】で周囲に存在する椅子や机を強化、雷撃を『オーラ操作』で防御する。
粉々に砕けたとしても、その物質は未だにオレの支配下だ。飛び散った残骸を無数の剣のようにマキナエンゼルに『念動力・弾幕・連射』で撃ち放つ。
【強運の加護】で周囲に被害が発生しないようにしてみよう。
お前に好き勝手暴れてもらっちゃ困るんだ。
それにこの海を調査させる訳にはいかない、この船から退場してもらうよ。
須藤・霧衣
さてさて、散々ハエだ悪魔だと言いたい放題してくれましたね
天使などという思い上がった立場に居ると全てが小虫か敵対存在に見えてしまうのかもしれませんが、認識を改めて貰うとしましょう
虫にも毒を持つものはいるし、鋭い針を持つものもいると
仲間も集まってきたようですし、決めに行きましょう
受けた傷の借りもきっちり返しておかないとですね
ネメシス形態も発動して戦闘力を引き上げ、【マッハアクション】で近接戦闘を仕掛けます。外見は気配以外は余り変わりませんが
他の人はどちらかというと間合いを取るタイプが多いので、その分私が前衛として攻め続けましょう
肉薄してひたすらに打撃を繰り出して、可能な限りその場に敵を縫い付けます
エクレール・ランフォード
お待たせシマシタ!退避と処分終わったデース!
ここから加勢に入りマース!
まだ避難してる人もいるかもデスシ【飛翔】して空を狙わせる
『空中戦』で船を護りマース!
拳銃で牽制・味方の援護をしつつ
敵の攻撃は飛んでいる【フライトドローン】を蹴って加速・方向転換して回避したり
ドローンを【操作会得】で盾にしたり、目くらまししながら隙をうかがい
チャンスが来たら風天の悪魔を召喚
力を貸しなさい、ヴァーユ!
その魔力を籠めた『風使い』必殺の弾丸で攻撃デース!
終わったら船はどうシマスカネー
天使は討ち取った…悪魔です…って感じの落書きしておいたら
もう次に調査しようとは思わなくならないデスカネー
●
傷がうずく。
須藤・霧衣(リクリエイションズ・g00461)は左腰に手をあてて、強く押さえた。どうやら致命傷ではなさそうだ。でなければ出血多量で意識を失っていただろう。それでも、スカートがぐっしょりと血で濡れていた。
「答えろ。貴様、何者だ」
マキナエンゼルがいくら怒鳴ったところでちっとも恐ろしくないが、強敵ではある。腰の傷を庇いながら慎重に、もう少し間合いを取りながら答える。
「あなたたちを滅ぼし、歴史の改竄を正す者――ディアボロスです」
「歴史の改竄? は、面白い。悪魔の戯言、聞いてやろう」
マキナエンゼルが剣を降ろした。余裕しゃくしゃくの態度だ。
「それで、我々がいったい何を変えたというのだ? 後学のために教えてくれ」
まさか、本当に知らないのか。
この世界は元から天使と悪魔がいて、人間を自軍に取り込みながらずっと争っていると思っているのか。
当然、ディアボロスのことなど知る由もない。この期に及んでもまだ、霧衣をザコと侮っているのがその証拠だ。
(「この天使だけが異常なのか、それともこれが天使たちの共通認識なのか……」)
さて、どう動く?
こちらは腰に深手を負っているが、マキナエンゼルは剣を降ろしている。先制のチャンスだ。
腰の傷から手を離し、両脇腹で拳を固める。
「いいでしょう。教えてさしあげます、この拳で!」
「なに」
つま先に力を入れて踵を浮かせた刹那、左舷側で爆発が起こった。船がわずかに揺れる。ラウルが天使たちと交戦を始めたようだ。
爆発音からやや遅れて、研究者たちに避難を呼びかける十佐の声が甲板に響いた。
「ほかに仲間がいたのか!?」
マキナエンゼルが艦橋へ目向けた。ガラス越しに十佐の頭が見えている。先に十佐をやるつもりだ。
マントのような光の翼が、風をはらんで広がる。
甲板から飛び立つ寸前に、右側からカラーコンテナが飛んできてマキナエンゼにぶつかり大破した。
カラーコンテナ中にはガラス容器が複数入っていたらしい。甲板で夏の日差しを受けてきらめくガラス片の上に、バランス崩した巨体が膝をつく。
人の気配を感じて振り向くと、横に月立・ハルト(漂白の虚・g03638)が立っていた。
「今の内に止血して」
横手で霧麻に救急箱を押しつけてくる。カラーコンテナと一緒にラボから持ちだしてきたものだろうか。
ハルトは霧衣を守るように前にでた。
「ハエの分際で、私に膝をつかせたな!」
「これからが本番だよ」
念動力を発して敵のまわりに大量のガラス片を浮かせる。
マキナエンゼルは鬱陶しそうに剣を振って、ガラス片を払おうとするが――。
「無駄だ。それはただのガラス片じゃない」
ハルトは顔の横で指を鳴らした。
「さあ、渦巻け! 敵を切り刻むんだ」
シャリシャリと音をたてて、光をまき散らしながらガラス片が渦を巻き、マキナエンゼルの体を傷つける。
「ぐぁ……」
「お前に好き勝手暴れてもらっちゃ困るんだ。それにこの海を調査させる訳にはいかない、この船から退場してもらうよ」
「生意気なハエめ、そんなことは実際に私を倒してからいえ!」
赤い光剣が稲妻を纏った。
空気を揺るがす轟音がして、渦巻いていたガラス片が一斉に落ちた。
「危ない、ハルトさんっ」
ハルトの胸めがけて一直線に電斬撃が飛ぶ。
撃たれた瞬間、ハルトの体がびくりと震えた。胸を抑えてよろめく。
「うっ……?」
確かに直撃を受けたはずなのに、服の胸のあたりに焼け焦げた跡がついているだけで、血が出ていない。痛みはあるが、それだけだ。
「盾?」
霧衣には見えていた。ハルトの体に電斬撃が届く直前、雷光が盾の形に広がったことに。目に見えない盾が敵の攻撃の威力を削いだのだ。
左舷で続いていた戦闘の音がやんだ。
「これは……誰かのパラドクスが作り出した残留効果だね、きっと」
目に見えぬ形で継続的に仲間から支援が受けられる。クロノヴェーダにはないディアボロスの強みだ。
右舷側からフライトドローンに乗って、エクレール・ランフォード(悪魔召喚師・g01716)が飛んできた。
エクレール はハルトたちの横までやってくるとドローンから飛び降りた。ひらり、と制服のスカートが翻る。
チラみえする寸前に手でスカートをおさえ、甲板にすたっ、と降りたつ。
「お待たせシマシタ! 退避と処分終わったデース! ここから加勢に入りマース!」
止血をおえた霧衣も戦列に加わる。
「さてさて、散々ハエだ悪魔だと言いたい放題してくれましたね。天使などという思い上がった立場に居ると全てが小虫か敵対存在に見えてしまうのかもしれませんが、認識を改めて貰うとしましょう」
霧衣の口上に怒り狂ったマキナエンゼルが、ダンと甲板を蹴って突撃してきた。巨体にモノをいわせて3人まとめて壁で押しつぶすつもりか。
「オゥ……そうは問屋がおろしカツデース!」
エクレールはサモンデバイスを操作して、悪魔を召喚した。
「天と風の悪魔、力を貸すデスよ!」
緑の翼をもつ悪魔が時空を割いて現れ、胸に渦巻く怒りと哀しみを晴らそうとするかのように、両翼を力強く羽ばたかせた。
放たれた一発の銃弾が緑色の追い風に乗って、突っ込んでくるマキナエンゼルを穿つ。
着弾の穴から突風が噴き出し、鋼鉄の体を呑み込んで天へ押し上げた。
「あ、しまったデス。このまま落としたら甲板どころか船の底に穴が開いてしまうかも……カムヒア、フライトドローン! お馬鹿な天使の真下に入って、落下の衝撃を和らげるデース」
フライトドローンが滑るように、マキナエンゼルの頭と甲板の間に入り込む。
果たして、フライトドローンがクッション代わりになり、甲板の大破は回避された。
マキナエンゼルはフライトドローンを壊したはずみで空に弾んだ。体を捻りながら裁きの雷撃を投げて反撃する。
「くらえ!」
エクレールは後へ押し倒されたが、またしても不可視の盾が電斬撃の威力を削いでくれたようだ。すぐに立ち上がった。
舳先の近くまで転がっていったマキナエンゼルもまた立ち上がる。
「なかなかタフだね」
「ええ。ですが仲間も集まってきたようですし、そろそろ決めに行きましょう」
こちらに向かって駆けてくる足音があった。その足音に天使たちが立てるような硬質な響きはない。ディアボロスたちだ。
「受けた傷の借り、きっちりお返しします」
霧衣の姿が一瞬だけ陽炎のように揺らぎ、全身から鬼神を思わせるオーラが激しく噴き出した。
見た目の変化こそないが、ネメシス形態になったのだ。
「いざ、参る!」
霧衣は一足飛びでマキナエンゼルの懐に飛び込んだ。
至近距離での格闘技を使う作戦に切り替えて、拳と肘を、目にも止まらぬ速さで立て続けに繰り出す。
あまりのすさまじさに気圧されて、マキナエンゼルは光の翼で姿を隠そうとした。
「そうはさせるか」
「させないデース!」
左側からハルトが動かしすガラス片の壁が、右側から エクレールに命じられたフライトドローンが、鋼の巨体を挟み込む。
霧衣が右の拳を繰り出す。
マキナエンゼルが曲げた両肘を顔の左右にあげて、頭を守る。
霧衣は敵の左腕に拳がヒットする寸前で止めた。ぐん、と体を沈めて、下方から左の拳をアッパーざみに突きあげる。
身長差があるために打撃の威力は半減したが、それでもマキナエンゼルの体を甲板から5センチは浮かせた。
「あ、みんながきてくれたデスヨ!! おーい、こっちデース!」
エクレールが腕を振る。
新たに4人のディアボロスが駆けつけてきた。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【完全視界】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【飛翔】がLV3になった!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【アヴォイド】がLV4になった!
ラウム・マルファス
ソードメイデンを片付けたら急いで甲板に向かおウ。あまり戦力にはならなくとも、支援くらいはできるはずダ。
情報収集で敵と味方の動きを観察し、状況に応じて行動しよウ。
味方が危なそうなら魔導ナイフを飛ばして敵をけん制。敵が姿を隠しているなら、ナノマシンを散開させて敵を探そウ。
光の刃は、船や避難中の船員に当たらないよう全力でふせグ。事象再現で台風の強風を再現して吹き散らすとしよウ。船や味方を巻き込まないように、敵の周り限定、一瞬だけの再現にするヨ。
戦闘後に余裕があったら、なるべく研究資料の回収をしておきたいネ。天使への妨害の為にも、残す資料の改竄もしておこウ。
エーリャ・アジーモヴァ
「天使たちはここできっちり倒しちゃおう!
[空中戦][一撃離脱]でヒットアンドアウェイ
一直線の敵の攻撃は前後じゃなくて上下or左右で避ける
「きっと敵は格上だね! 小賢しく立ち回るよ
等速直線運動と静止は避け
攻撃くらわないように
なるべく上空や海をバックに動いて船に流れ弾当てないようにする
敵も飛ぶみたいだし海上に釣り出せないかな?
そのほうが船は傷つけにくいよね
他の人と連動意識して違う角度から同時攻撃狙う
研究者とか誰かが巻き込まれそうなら戦闘より救助を優先する
楠井・十佐
ごめん、遅くなった。
調査員達の脱出の算段は出来てるけど、無事にこの船で帰れた方が安全だよね。
こいつを倒してみんなで帰ろう。
【飛翔】し、仲間と連携して敵を包囲。逃走を阻止しつつ、多方向からの波状攻撃で追い詰める。
【思弾】を使う。世界を奪ったクロノヴェーダへの怒りで強化した身体能力で立ち回り、拳銃の様に構えた人差し指から光弾を撃ち攻撃。
攻撃が船を傷付けない様に位置取りに注意。エンジェリックボルトは【高速詠唱】【電撃使い】で対抗。電撃の発生と射線を素早く見切り、「Dグローブ」で増幅制御した【念動力】で軌道をねじ曲げ空へと逃がす。船や乗組員に被害を出さない様に。
月下部・小雪
おま、お待たせしました。
うぅ、1体逃げられちゃったけど、残ってるクロノヴェーダはあいつだけ、です。
敵の雷撃がお船に当たったら大変だから【飛翔】して相手より上を取って戦い、ます。
ボ、ボクは【契約召喚】で自身に憑依・封印している殺人を唆すデーモンを呼び出します。
犬耳、悪魔の翼の生えた少女の姿ですが、血まみれのワンピースを着たおどろおどろしい姿、です。
手に持った血まみれのナイフを振るって斬撃の魔法を飛ばして攻撃してくれます。
で、でも、自分の召喚した悪魔だけど、怖くて怖くて仕方ないのでモーラットのコダマを抱きしめてます。
●
「ボクとエーリャはB1とB2を、十佐と小雪は1Fから3F……と、この言い方であっているのかナ」
ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)の疑問に、楠井・十佐(人間のデジタルサマナー・g02957)が答える。
「水平線より上のフロアを索敵してほしいってことだよね?」
「その通リ」
「それって効率悪くない? 下はハルトさんと遊里さんがいるし、天使が降りていったら2人が倒してくれるよ」
エーリャ・アジーモヴァ(冬の天使・g01931)は、上のフロアを4人で探すべきだと主張した。
「そ、そんなことをいったら、上も他にディアボロスさんがいるんですよね?」
コダマを胸に抱いた月下部・小雪(デーモンのデジタルサマナー・g00930)が遠慮がちに指摘する。
「エクレールさんがいるけど、ラボで研究資料の廃棄にかかりっきりだし……」
こうしている間にも、前甲板で霧衣がひとりで戦っている。
ラウルは話をまとめにかかった。
「一通り見て回って、見つからないならそれまデ。探索を打ち切って霧衣を助けに行ク。それでいいかナ。戦意喪失した敵に構っていられないからネ」
ハルトやエクレールたちにも声をかけて、全員で調査団を指揮する天使――この依頼におけるラスボスを倒しに行くことになった。
一階の中央にいた4人は気づいていなかったのだが、二手に分かれる直前に、船底で遊里と別れたハルトが右舷のデッキ通路を走って前甲板へ向かっていた。手にガラス瓶がぎっしり詰まったカラーコンテナを抱え持って。途中でラボに寄ったのだ。
その数分後、こんどは研究資料の破棄を終えたエクレールが前甲板に向かっているのだが、4人とはタイミング悪くすれ違いになっている。
「じゃ、また後でー」
「な、何かありましたらパラドクス通信で連絡してくださいね。ね、コダマ」
小雪の腕の中でモーラット・コミュの『コダマ』が、ちょっぴり得意げに「モキュ」と鳴いた。
ラウルとエーリャは、効率的な捜索の仕方を考えて、真っ直ぐ最下層の船底に向かった。
上の階と比べて照明が暗く感じるのは、通路が狭いからか。天井も低いので閉塞感がある。
階段を降りて細い通路を進むと、ハイブリッド・ドールの『レグルス』と一緒に補強作業をする遊里がいた。パラドクスの残留効果で船底の壁や床を再構築して、通路のハッチを溶接していたようだ。
「天使? いや、ここには来なかった。奥から順に隔壁ハッチを閉ざしてきているから、ここにはいないと断言してもいい」
「動力室のほか、水やその他備品の倉庫だネ。危険な薬品ハ?」
安全な場所に移した、と遊里。
「ハルトさんは?」
「途中ですれ違わなかったかい? ここは俺たちで十分だから上がってもらったよ」
まだ作業を続けるという遊里たちを残し、ラウルとエーリャは上の階にあがった。
十佐と小雪は食堂や浴槽、船室を順に見てまわった。医務室で、扉が開いたままにされている薬棚を見つけたが、ほかに異常はなさそうだ。
「だれかが薬箱を持ちだしたみたいですね」
「すくなくとも天使じゃないな。絆創膏を張るクロノヴェーダ―なんて、ちょっと想像できない」
十佐の冗談に小雪が小さく笑う。
最後にラボへ向かった。
「わっ、た、大変ですぅ。床が、ガ、ガラスのかけらと紙きれだらけですよ」
「……また派手にやったな」
ラボには誰も残っていなかった。テーブルの上のパソコンや測定機材の類はことごとく破壊されている。もちろん、エクレールの仕事だ。
調査船が○○○○○の文京区に戻っても、天使たちは何のデーターも得られないだろう。そう何も。
「こんなことをしたのもディアボロスじゃなく、『悪魔』の仕業だしね」
十佐は、召喚した悪魔と一緒に嬉々として機材を壊して回るエクレールを想像し、微笑んだ。
「右のデッキへ出よう。脱出した研究者たちの様子も確認しておきたい」
「はい」
右舷のデッキ通路にでたところで、ラウルとエーリャと合流した。
「大半は救命ボートに乗り込めたみたいだね」、とエーリャ。
「調査船からそう離れていないし、天使を倒し切ったらフライトドローンに乗って追いかけヨウ」
「ラウルさん、なんといま、わたし以外のディアボロスも飛べる世界になっているんだよ。パラドクス残留効果のおかげでね」
残留効果が連なって、現時点では海面から150メートルの高さを時速150キロで飛ぶことができる。フライトドローンも併用すれば、苦労せず研究者たちを後部甲板に運び上げられるだろう。
「そ、それにしても……剣の翼の天使さん、どこにいるのでしょう」
小雪が不安げに、デッキ通路の端へ目を向ける。
「死角から不意打ちされたりしないでしようか」
「その心配はないよ」
みんなの目が、スマートアイの蔓に指を添えて水平線の彼方を見る十佐に集中した。
「とっくに船から逃げだしていたみたいだ。望遠で見ても、もう芥子粒ぐらいになっている」
おそらく、調査船に戻ってくることはないだろう。
「そう言うことなら前甲板に急ぐゾ」
●
4人は右舷デッキ通路を駆け抜けて、前甲板へ出た。すぐに船首近くで戦うハルト、エクレール、そして霧衣の姿を確認する。
霧衣は体の周りの空気を揺らめかせながら、巨大な鋼の天使を拳で打ち据えていた。ハルトとエクレールは、天使の左右に障害物を置いて動きを封じている。
十佐は飛翔した。
「ごめん、遅くなった」
「おま、お待たせしました。うぅ、1体逃げられちゃったけど、残ってるクロノヴェーダはあいつだけ、です」
小雪は片手でコダマを抱きかかえ、もう片方の手でサモンデバイスを起動した。電子音とともに液晶画面が光り、犬の耳と悪魔の翼を生やした血まみれの少女が空中に出現した。青白い手には血まみれのナイフが握られている。
「う、うう……自分で召喚したんだけど、こ、怖い……」
「モキュ~ゥ」
ハルトとエクレールが振り返る。
「みんな、来てくれたデスカ。これでワタシたちの勝ちデース!」
「ああ、有利にはなったな。だが、気をつけろ。こいつ、なかなか強いぞ」
十佐は2人に親指を立ててみせた。
上空でデストロイガントレットをはめた腕に気を集中させ、マキナエンゼルに思弾を撃つチャンスを待つ。
霧衣はマキナエンゼルを釘づけにするので精いっぱいで、振り返る余裕がない。だか、仲間たちが駆けつけて来たのはわかっているようだ。先程から鋼鉄のボディーをうつ拳の音が一段と強く、大きくなっていた。
「フム。間もなく左右の壁が消えそうだネ。ヤツの動きを封じ続けるための支援が必要天…」
戦況を冷静に分析すると、ラウムはナノマシーンでソードメイデンが飛ばした翼の剣を再現した。
白衣の後ろで剣の翼が広がる。
『それがかつて起きた事象だと言うのなら、今ひとたび起こして見せようカ』
横でエーリャも機械翼『ラースタチカ』を展開し、ラウルとともに空へあがった。
「天使たちはここできっちり倒しちゃおう!」
エーリャは口の横に両手をあてて即席のメガフォンを作った。
「霧衣さん、十佐さんとラウルさんが正面から攻撃したら、きつーいパンチを一発見舞ってそいつを突き飛ばしちゃって。船から出たところで、わたしが海に打ち落とすから!」
「ボ、ボクとコダマもフォローします」
「わかりました、お願いします!!」
ハルトとエクレールの攻撃が途切れた途端、マキナエンゼルが後ろへ跳び下がって霧衣との距離をとり、帯電させた赤と青の光剣を交互に振った。
「クソバエどもが、ブンブン煩いわ!!」
空気を叩く雷音が轟いた。剣より放たれた裁きの雷撃が、不可視の盾を砕いてハルトとエクレールを貫く。
「霧衣さん、伏せて!! そいつを『撃ち抜く!』」
十佐が指先から死の黒に輝く思弾を撃ちだした。
ラウルも剣の翼をマキナエンゼルに向けて放つ。
「部下の技で切り刻まれてしまエ」
銀の刃に囲まれて、赤黒い螺旋を描きながら思弾が飛ぶ。
技を放った直後の、無防備な鋼の体にヒットして弾けた。
マキナエンゼルの胸に縁が赤く焼け解けた穴か飽き、その周りを銀の刃が囲む。
「ぬ……ぐっ、この程度……」
マキナエンゼルは赤の光剣で胸に刺さった翼の剣を切り払った。床に落ちる前に空中分解してナノマシーンになり、ラウルのもとに戻る。
「まだやれる!」
青の光剣が振られ、裁きの雷撃が十佐を襲う。
「無駄だ。お前の攻撃は電撃使いの僕に届かない」
十佐の言葉通り、能力によって弱められた雷撃は不可視の盾によって阻まれた。
「な、なに?」
思いもしなかった事態にショックを受けて、マキナエンゼルが棒立ちになる。
「いまダ、霧衣!」
ラウルの言葉に背を押され、霧衣が必殺の拳を繰り出す。
「破っ!!」
「うぉぉぉっ」
空間をたわませる衝撃波とともに鋼鉄の巨体が空に浮き、真後ろへ吹き飛んだ。前甲板の手すりを飛び越え、海へ。
「待ってました! 小雪さん、いくよ!!」
「は、はい!」
空中で光のマントを広げて停止したマキナエンゼルに、血まみれの少女が急接近する。
「悪魔め!!」
血に染まったナイフがサブの頭部の首を切断し、切り落とした。
赤の光剣が振り抜かれ、血まみれの少女のワンピースが雷撃に焼き切られる。腰から上と下に分かれながら落ちていき、海に沈む前に召還された。
「ハハハハ、悪魔ごときが天使に打ち勝てると思ったか!」
「うん、勝てると思ってるよ!」
エーリャはマキナエンゼルの真上に急降下した。重力を乗せて爆撃槌を頭に振り降ろす。
天使の上で爆発の炎が王冠状に広がった。やや遅れて爆発音が生じ、衝撃で波が立つ。
頭を肩にめり込ませながらも、まだ空に留まり続けるマキナエンゼルに向けて、エーリャが再び上空から仕掛ける。
「落ちろー!」
大爆発。マキナエンゼルの体をオレンジ色の二重王冠がくくり抜けていく。直後、天使の真下で蒸気爆発が起こった。
「ちなみにだけど、わたしたちはハエでも悪魔でもないからね!」
白い煙と水しぶきの柱の中を、天使だった金属片が落ちていった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【過去視の道案内】LV1が発生!
【飛翔】がLV4になった!
【エイティーン】LV1が発生!
【友達催眠】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
【アヴォイド】がLV5になった!
【能力値アップ】がLV5になった!