【第一次東京奪還戦】六本木ヒルズファーストアタック

 このシナリオは【第一次東京奪還戦】に関連する特別シナリオです。
 港区の東京タワーに攻め寄せる隣接区のクロノヴェーダの軍勢に戦闘を仕掛けます。
 この戦闘によって、敵の戦力を削ることが出来ます。
 勝利したシナリオ数に応じて、対応する戦場の敵の数が減少し、戦いを有利に進めることが出来るようになります。

 このシナリオの攻撃対象は、六本木ヒルズ周辺に集結しつつある、渋谷区のアークデーモン、全て見通す者ヴァサゴの軍勢で『狼の悪魔・マルコス』と戦闘を行います。
「成功シナリオ数×5%」だけ、「⑦全て見通す者ヴァサゴ」の敵残存率を低下させます。

【第一次東京奪還戦】群狼、狩猟の命を待ちて(作者 月見月
11


#TOKYOエゼキエル戦争  #【第一次東京奪還戦】六本木ヒルズファーストアタック  #第一次東京奪還戦  #渋谷区  #ヴァサゴ  #ファーストアタック 


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#TOKYOエゼキエル戦争
🔒
#【第一次東京奪還戦】六本木ヒルズファーストアタック
🔒
#第一次東京奪還戦
🔒
#渋谷区
🔒
#ヴァサゴ
🔒
#ファーストアタック


0



●六本木ヒルズ周辺:決戦準備
 高層ビルが犇めく渋谷区が六本木ヒルズ。現代の摩天楼が聳え立つその間に無数の影が蠢いていた。それらは二足歩行こそしているものの、決して人ではない。牙と角の生えた相貌、針金の如き毛に覆われた体躯、手足の爪に背中の羽と尾……それらはトループス級のクロノヴェーダである。狼の悪魔『マルコス』と称されるそれらは、ジッと主たる大悪魔の命を待ち続けていた。
「マダカ……狩ノ時ハマダカ」
「落チ着ケ。命令モ聞ケヌ者ハヴァサゴ様のオ怒リヲ買ウゾ」
 狼らしく上位者の指示に従順であるつつも、獣の本能は戦いの時を今か今かと待ち望んでいる様だ。血気に逸るマルコスを別の個体が宥めすかしている様子もチラホラと見える。その一方、待ちきれぬ一部の者が単独で動き回っている様子も感じられ、六本木ヒルズの周辺は混沌とした様相を呈していた。
「他ノ悪魔ヤ天使ニ先ンジ、必ズヤ東京タワーヘ一番ニ辿リ着クノダ」
 彼らが一様に視線を注ぐのは、天に突き立つ紅の尖塔。即ち、東京タワーだ。最長の座は天の樹に譲ってしまったが、それでもその雄々しさに翳りは無い。この頂を手中に収めた者こそが、港区の次なる支配者となる。
 群狼は己が使える悪魔、『全て見通す者ヴァサゴ』へその栄誉を献上すべく、戦いの時を待ち望み続けるのであった。


「GutenTag、Kamerad? みんな、集まってくれてありがとう。さぁ、いよいよ大一番がやってきたわよ!」
 新宿駅グランドターミナルに集ったディアボロス達を見渡しながら、アーデルハイト・ベールケ(サイボーグの航空突撃兵・g03315)はそう口火を切った。普段以上にテンションが高いが、それも無理ならぬ事。彼女がこれから説明を始めるのは、最終人類史による初の大規模反攻についてなのだ。
「みんなの努力のお陰で、港区の支配者だったハルファスの撃破出来たのはご存知の通り。それにより、港区を最終人類史へ奪還する為の作戦、『第一次東京奪還戦』を実行する事が可能になったの! 今まで手探り状態での活動だったけど、ようやくそれが実を結んだという訳ね!」
 支配者の消失により排斥力が弱まったのか、19日の決戦にて新宿島は東京の改竄世界史と転移し、歴史を取り戻す第一歩を踏み出すことになる。だが当然ながら、港区を奪取せんと狙うのは復讐者だけではない。
「TOKYOエゼキエル戦争はそれぞれの区の支配者が断片の王になろうと相争う群雄割拠……港区と隣接する5区の大天使やアークデーモンたちは、ハルファスの死を察知するや制圧の為の軍勢を集め始めたわ。狙いは港区の象徴である東京タワーよ」
 もしも、この軍勢が戦争当日まで無傷のまま残存して居れば、大きな脅威となるだろう。無論、此方もみすみす手を拱いている理由もない。戦争直前の今を狙って奇襲を仕掛け、敵の戦力を少しでも漸減できれば、当日の戦況を優位に開始する事が出来る筈だ。
「尤も、敵の戦力は膨大よ。全てを殲滅し切るのは困難ね。十分な打撃を与えたと判断し次第、余力を以て撤退するのがベターよ。本番がこの後なんだし、くれぐれも無理はしないこと!」

 とは言え、ここで削れるだけ削る事が出来れば、後々の戦いが楽になる事も事実。初の歴史の奪還戦(ディアボロス・ウォー)でどの様な事態が起こるか分からない以上、予め打てる手は全て行っておきたいところだ。何をどこまで踏み込むか、それらは復讐者の判断に委ねられている。
「上手くいけば、戦争当日に港区侵攻軍を撃破するだけじゃなくて、各区の支配者であるジェネラル級を戦場に引きずり出す事も夢じゃない。その上でもし討ち取れれば、更に状況を好転させることも出来るでしょうね」
 その為にも、まずはこの前哨戦を成功させねばならない。そうして話を締めくくると、アーデルハイトは仲間たちを送り出すのであった。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
3
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【狐変身】
1
周囲が、ディアボロスが狐に変身できる世界に変わる。変身した狐は通常の狐の「効果LV倍」までの重量のものを運べるが、変身中はパラドクスは使用できない。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【隔離眼】
1
ディアボロスが、目視した「効果LV×100kg」までの物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)を安全な異空間に隔離可能になる。解除すると、物品は元の場所に戻る。
【断末魔動画】
1
原型の残った死体の周囲に、死ぬ直前の「効果LV×1分」に死者が見た情景が動画として表示される世界になる。この映像はディアボロスだけに見える。
【壁歩き】
1
周囲が、ディアボロスが平らな壁や天井を地上と変わらない速度で歩行できる世界に変わる。手をつないだ「効果LV×1人」までの対象にも効果を及ぼせる。
【土壌改良】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【建造物分解】
2
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【使い魔使役】
2
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。

効果2

【能力値アップ】LV3 / 【命中アップ】LV3 / 【ダメージアップ】LV4 / 【ガードアップ】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【アヴォイド】LV1 / 【ダブル】LV1 / 【ロストエナジー】LV2

●マスターより

月見月
 どうも皆様、月見月でございます。
 今回の舞台は東京が渋谷区、六本木ヒルズとなります。
 来たる歴史の奪還戦に向け、敵戦力を漸減しましょう。
 それでは以下補足となります。

●シナリオ成功条件
 トループス級の漸減(現時点での殲滅は困難なため、数を減らせれば成功となります)。

●シナリオ開始状況
 戦場は渋谷区が六本木ヒルズ周辺。狼の悪魔『マルコス』が集団を形成し、出陣の時を待っております。獣と言う性質上、建物の中には居たがらず、基本的には屋外で屯している様です。
 幾つかの群れで固まっている他、単独行動を取っている個体も少なくありません。陽動も兼ねた突撃、仲間と連携した集団戦、はぐれた相手を確実に狩るなど、有効と思われる戦術をご自由にお考え下さい。

●採用について
 採用数については各選択肢の必要成功数が基準となります。今回は19日の決戦に間に合わせる必要がある為、出来る限りの採用に努めますが、恐縮ながらプレイング流してしまう場合がある事をご了承頂けますと幸いです。

それではどうぞよろしくお願い致します。
55

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


ツィルニトラ・プリルヴィッツ
陽動を兼ねて先鋒に

彼らの主、『全て見通す者ヴァサゴ』…ヴィジョンに映った中では一番に復讐者を警戒していたわね

彼女の見立てが正しいと証明できなければ勝利なんて夢物語
この前哨戦で私達の力を示すとしましょうか!

戦旗を翻し【赤雷招来】
疾走する悪魔達を槍斧の穂先から迸る雷や周囲に降り注ぐ雷の雨で攻撃

刮目しなさい、悪魔を騙る歴史改竄による侵略者!
魔法の竜神が神罰を下してあげる!
(挑発兼ね偉そうな演技)

間合い詰められば己に雷落とし自己強化
赤雷纏う槍斧や竜尾を鎧う「黒の竜鎧」のメイスで迎撃

…限界ね

戦闘知識で敵勢観察し翼広げ後退
追って来る敵の動向を【パラドクス通信】で味方に伝達
本格的な攻撃の下準備を整えるわ


●開戦告げよ、竜神の雷哮
「彼らの主、『全て見通す者ヴァサゴ』……ヴィジョンに映った中では一番に復讐者を警戒していたわね。流石はジェネラル級、二つ名に偽りなしといった所かしら」
 六本木ヒルズ周辺に犇めく狼の悪魔を一瞥しながら、ツィルニトラ・プリルヴィッツ(自称/捏造 魔法竜神・g02012)は青肌の悪魔について思考を巡らせてゆく。目先の欲に囚われぬスタンスは、復讐者としても警戒に値するものだ。
「とは言え、彼女の見立てが正しいと証明できなければ勝利なんて夢物語、ハルファス討伐がまぐれだったと思われるのも癪だし……この前哨戦で私達の力を示すとしましょうか!」
 だが、関係なかった。まずは滅ぼされたはずの復讐者が未だ健在であると、天使と悪魔に強く知らしめねばなるまい。彼女は愛用の槍斧を掲げるや、その柄に黒竜が描かれし戦旗が翻る。其れは正に反抗の先駆けに他ならないのだ。
「さぁ、行くわよ! 魔を司りし竜の名の元に命ず! 迸れ、赤雷よ!」
 そうして、竜人は規模の大きい群れ目掛けて得物を振るう。瞬間、竜の顎を思わせる稲妻が迸り、群れ為す獣たちを撃ち抜いてゆく。煙を上げて倒れ伏す仲間に一瞬目を剥くマルコスたちだったが、復讐者の姿を見るや俄かに唸り声を立て始めた。
「でぃあぼろすダ、奴ラ仕掛ケテキタゾ!」
「寧ロ好都合ダ。獲物ガ自分カラヤッテ来ルトハナ!」
 現時点で全てを殲滅し切るのが難しいほど、相手の数は圧倒的だ。しかし、ツィルニトラはそれで良いと不敵に笑みを浮かべる。彼女の目的は陽動。敵の耳目を惹きつけられれば、それだけ後続も戦いやすくなるはず。
「刮目しなさい、悪魔を騙る歴史改竄による侵略者! 魔法の竜神が神罰を下してあげる!」
「ホザケ、蛇モドキガッ!」
 一斉に殺到して来る敵群に対し、竜人は戦旗を振り次々と赤き雷光を解き放ってゆく。しかし念願の敵を前に理性を手放したマルコス達の勢いは凄まじく、犠牲を出しながらも少女へと肉薄して来た。
(やっぱり、数が多いわね……!)
 手にした武器や身を覆う黒鎧に赤雷を纏わせ、当たるを幸いに薙ぎ払う。だが、やはり数の差は圧倒的だ。ツィルニトラは自身の周囲へ赤雷を落として間隙を作り出すや、翼を羽搏かせながら後退してゆく。
(……限界ね。でも、初手としては十二分よ)
 一方、後先考えぬ攻勢により敵の陣形が乱れた。竜神はその様子を仲間たちへと共有し、本格的な攻撃の下準備を整えるのであった。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!

白石・明日香
予め発煙弾を複数用意
端から潰していくとするか!
周囲の建物の陰に隠れながら忍び足で接近。敵集団の端っこにいる敵、やや離れている敵、単独で行動している敵を探し出して煙幕弾を投擲して視界を塞ぎ残像で撹乱しながらダッシュで接近。精神集中して相手の挙動を見切って攻撃を躱し間合いに入り込んだら呪詛、早業、捨て身の一撃で纏めて解体し薙ぎ払ってやる!
ある程度倒したら再度煙幕弾を投擲して視界を塞いでいるうちに逃げるとしよう。
ヴァサゴが出てきたら煙幕弾を投擲して視界を塞ぎ周囲の建物を利用して即座に逃げる!
相手にするのはまだ先だからな・・・


●血煙は骸を覆いて
「追エ、でぃあぼろすハ残ラズ皆殺シダ!」
 先陣を切った復讐者によって、マルコスの群れは俄かに色めき立っていた。お預けを喰らっていたところに自ら獲物がやって来たのだ、それも無理はない。彼らは敵を逃すまいと、群れを成して駆けずり回っている。
(目先に獲物に囚われ、周囲の警戒は杜撰極まりない、か。良いだろう。ならば、端から潰していくとするか!)
 そんな相手の様子を、白石・明日香(体亡き者・g02194)は物陰よりそっと窺っていた。幸い、今の相手は隙だらけだ。彼女は気配を消しながら影伝いに移動すると、群れからやや離れた位置に居る個体へ狙いを定める。予め持ち込んでいた発煙弾の先端を擦って着火するや、それを相手の進路上へと投擲。もうもうと立ち込める煙で視界と嗅覚を阻害してゆく。
「ナンダコレハ……小細工ヲ弄シオッテ!」
(こちらの存在に気付かれたくないのも勿論だが、何よりも相手は狼だ。血の匂いにはとりわけ敏感だろうからな、少しでも気取られる危険性は潰しておきたい)
 相手も異変を感じ、姿勢を低くしていつでも攻撃を繰り出せるよう態勢を整える。一方、明日香は煙に紛れ素早く接近しつつ、取り出した双剣の切っ先を何と自らへと突き立てた。刃は使い手の血を吸収し、その鋭さを増す。決して乱心したのではなく、自らの血を纏わせることが一種の術なのだ。この為に、煙を焚いて狼魔の嗅覚を潰したのである。
 そうして彼女は下準備を終えるや、そのまま敵の背後より襲い掛かった。しかし、これも野生の勘なのだろうか。相手は僅かな風の揺らぎを感じ取り、攻撃の直前に後を振り向く。
「チィ、ソコカッ!」
「気付いたか、だがもう遅いッ!」
 突き出された鋭い爪先が復讐者の肌を切り裂くも、傷を負ったのは薄皮一枚のみ。巧みな身のこなしで初撃を凌ぐと、お返しとばかりに双刃が煌めいた。ピタリと動きを止めるマルコス。一拍の間を置いて、その体躯がバラリと崩れ落ちる。
(ヴァサゴが姿を見せる気配は未だ無し……ならば、今の内に出来るだけ討ち取るとしよう。そも、相手にするのはまだ先だからな)
 いま倒した個体の匂いを嗅ぎ付けられても面倒だ。明日香は再び煙幕を焚きつつ、その場から離脱する。いずれ此方の存在は発覚するだろうが、それまで今暫くの猶予はあるだろう。
 斯くして復讐者は可能な限り敵を打ち倒した後、誰にも気付かれる事無く戦場から姿を消すのであった。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【断末魔動画】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!

一角・實生
「待て」ができない獣は狩られるだけだ
それがクロノヴェーダなら尚更――いや、怒りは呑み込んでおこう

高い建物の屋内に潜み、単独行動をするマルコスを≪パニッシャー≫で狙撃していくよ
地上は勿論、空中や高所も[偵察と観察]の知識を利用し気配を殺しつつ[情報を収集]する
もし見つかってしまったらパラドクスを発動し切り抜けたいな

執拗な纏わりつきには【飛翔】を織り交ぜることで距離を取り迎撃しよう
或いは≪哭戒≫で突き刺せたら

あちこちで聞こえる交戦音や仲間の姿
時にはそれを目指し、建物から建物を飛び渡り戦いを継続して行く

仲間が撤退し始めたら空に信号弾を放ち他の仲間に知らせるよ
ばらばらに退くより皆で同時にした方が良い


アストリッド・ヴァルトシュタイン
自分は後方より、皆々様を援護しつつ敵の動きを【観察】し、癖などの【情報収集】致します。
空を、地を埋め尽くすほどの大群……ヘタに狙わずとも数を撃てば当たるでしょうが。

それでも念を入れて、一匹でも多く落とします。
我が火力、とくとご覧あれ。

持ち込んだ多量の銃火器による飽和攻撃《アナイアレイション》にて、マルコスどもを射落として行きましょう。
あくまで数を減らすのが目的。持ち込んだ銃火器を撃ち尽くしたら、後は深追いせずにささっと撤退いたしましょう。
引き際が肝心でありますからね。

アドリブ・連携など大いに歓迎であります。


●個を穿ち、群を粉砕す
「ム、後ロニ居タ奴ハドウシタ?」
「分カラン。大方、逸レタノダロウ」
 最後尾の仲間は人知れずに狩られていたのだが、敵の大多数はその事に気付いていないらしかった。それよりも復讐者の追跡を優先する狼魔の様子をスコープ越しに眺めつつ、一角・實生(あざよいの鷲・g00995)は構えた狙撃銃の引き金へと指を掛ける。
(『待て』ができない獣は狩られるだけだ。それが狩猟者気取りのクロノヴェーダなら尚更――いや、怒りは呑み込んでおこう)
 彼の姿は六本木ヒルズ周辺のビル群、その屋上にあった。狙撃と言う戦闘スタイル上、視界の広さと隠密性は必須。それらを満たす高層建築物は正にうってつけのスナイプポジションと言えよう。
(出来れば、群れを刺激するのはギリギリまで避けたい。となると、まず狙うべきは単独行動する個体かな)
 實生は迂闊にも一人で動き回るマルコスに狙いを定めるや、トリガーを押し込む。瞬間、破裂音と共に弾丸が解き放たれ、僅かな時差を以て目標の頭部を貫く。恐らく、相手は絶命の瞬間まで何が起こったのか理解できなかっただろう。
(まず、一つ。ビル群のお陰で銃声も反響しているから、こちらの位置は特定できないはず……だけど、そう上手くいかないか)
 初撃は上手くいったものの、仕留めた狼魔を別の個体が見つけてしまうのが見えた。こうなれば相手の警戒度も跳ね上がるというもの。敵襲を告げる遠吠えが六本木ヒルズに響き渡った瞬間、敵の一部が羽を広げて飛び上がり始める。
「攻撃サレテルゾ! ダガ、姿ガ見エナイ! 探セ、探セッ!」
 敵からすれば何もない所でいきなり仲間が死んだのだ。一先ず襲撃者の居場所を探ろうとするのも当然だ。今は地上へ視線を向けているが、このままではいずれ見つかってしまうだろう。万が一を想定して、今の内に移動すべきか。そう思考を巡らせる青年だった、が。
「空を、地を埋め尽くすほどの大群……これならば、ヘタに狙わずとも数を撃てば当たるでしょう。それでも念を入れて、一匹でも多く落とす事を心掛けますが」
 パラドクス通信を通じてそんな声が聞こえたかと思うや、凄まじい爆音が戦場に響き渡る。ハッとそちらへ視線を走らせると、敵群を飲み込み渦巻く爆炎が見えた。射線を辿ってみれば、その先に居たのは軍服に身を包んだ幼き少女。
 アストリッド・ヴァルトシュタイン(Löwenzahn・g04015)は対戦車榴弾の柄を投棄しながら、代わりに突撃小銃の槓桿を引いて薬室へ初弾を送り込む。後方から仲間の動きを観察していた彼女は、狙撃手から捜索の目を逸らすべく囮役を買って出たのだ。
「さぁ……我が火力、とくとご覧あれ」
「オノレ、先ノ攻撃モ貴様ノ仕業カッ!」
 上手い具合に勘違いしながら、マルコスはアストリッド目掛けて殺到してゆく。彼女は弾丸をばら撒き、収束手榴弾を投げ、それでも止め切れぬ時は対戦車ライフルで押し返す。そんな単騎で敵の注意を一手に引き受けてくれる仲間に内心感謝しつつ、實生は引き続き狙撃を継続していった。
 だが、それは薄氷の均衡でもある。抵抗者の火線が途切れれば、或いは狙撃手の位置が露見すれば、容易くこの状況は一変するだろう。故に青年は少しでも長く戦闘を続けるべく、定期的に射撃地点を移動していたのだが……。
「上ダ、びるノ上ニモウ一人居ルゾ!」
「いつかは見つかると思っていたけれど、予想よりも早かったか……! ただ、手が無い訳じゃないッ!」
 弾幕から逃れようと上空へ飛び上がったマルコスの一群が、運悪く實生を発見してしまう。敵を逃さぬよう瞬時に散開し包囲を狙う相手に対し、狙撃手は背の翼を一打ちする。舞い散る羽は光を放ちながら狼魔へ吸い寄せられるや、刃と化して全身を切り裂いてゆく。
「位置が割れた以上、長居は無用だね。頃合いだ、撤退しよう。と、その前に」
 銃剣による刺突でトドメを刺しつつ、彼は空目掛けて信号弾による合図を放つ。それを地上から確認したアストリッドもまた、仲間の意図を汲むと徐々に後退し始めた。
「殲滅ではなく、あくまで数を減らすのが目的。持ち込んだ弾薬もそろそろ心許ないですし、深追いせずにささっと撤退いたしましょう」
 空になった弾倉を外し、新しいマガジンを叩き込む。小銃弾の予備はこれでカンバン、手榴弾や擲弾も既に使い切っている。彼女はしつこく食い下がってくる敵群に舌打ちをしつつ、ならばと最後まで温存していた対戦車榴弾を小脇に構えた。
「生き残ってこその物種、何事も引き際が肝心でありますからね。追いつかれるのも馬鹿らしいでありますし、出来る限り身軽になっておくべきでしょう」
 瞬間、トリガーボタンを押し込んで弾体を発射。それは先頭の個体を打ち据えると同時に起爆し、数体纏めて消し炭へと変えてしまう。これで正真正銘の撃ち尽くしである。そうして少女もまた、仲間と同じように危なげなく後方へと退却してゆくのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【飛翔】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

ルナ・カンダチュラ
シルヴィア様(g01146)と共に

アドリブ等歓迎

頼りにしておりますよ、ひと時の相棒さん
流れ弾に当たらぬように、彼女の手の向く先には行かず注意を払います

私ははぐれマルコスの急所目掛けて針を突き刺し、確実に仕留めることといたします
「毒使い」たる者、一撃で仕留めてみせましょう
くたばらないのなら滅多刺しに
両手で針の如き短剣を持ち「捨て身の一撃」でぐさり
狼の群れの中、私たちの黒い装いはある程度姿が目立たぬ筈
死角から抉りますね

はぐれマルコスは作るもの
シルヴィア様が炙り出してくださるのでしょう?
反撃は嫌なので、直ぐにあなたのお側もとい後ろに隠れますよ

首に、目に、脳に、心臓に
敵の急所を貫き数を減らしましょう


シルヴィア・シュヴァインフルト
カンダチュラ(g00277)と共に
アドリブなど歓迎

ああ、任されて。
で、私は奴らを撹乱すればいい、そうだな?
代わりに、止めは任せるよ。いいね?

銃と爆発物を用いて、まずは奴らを撹乱する。
……そうだ、私はここだ!
私の攻撃につられて奴らがこちらに来てくれるんなら、僥倖だ。

一撃での致命傷は狙わない。それをするのはお前の仕事だろう?カンダチュラ。
私が狙うのは牽制と誘導。
ふん、追い詰めたと思ったか?悪いね、既に我が――我らが術中だ。
――今だ!仕留めてくれ!

じゃ、気をつけて帰ろうか、カンダチュラ。そろそろ、撤退の時間だ。
ああ、そうだね。お前よりは私のほうがきっと頑丈だから。
うん、盾役は任せて貰っていい。


●銃火へ招き、刺し狩りて
「オノレ……ソロソロ一人クライ仕留メネバ、不満ガ溜マル一方ダゾ」
 狙撃と弾幕に翻弄され、マルコス達は苛立たし気に牙を打ち鳴らす。目を血走らせて獲物を探し回る敵群の様子をそっと窺いながら、ルナ・カンダチュラ(呪毒・g00277)は妖艶な微笑を浮かべていた。
「あらあら、怖い狼さんですね。頼りにしておりますよ、ひと時の相棒さん?」
「ああ、任されて……で、だ。私は奴らを撹乱すればいい、そうだな? なら、代わりに止めは任せるよ。いいね?」
 少女の言葉に相槌を打つのは、物々しい武装で身を固めたシルヴィア・シュヴァインフルト(Nachladen・g01146)であった。戦場を睨みながらそう問いかけると、蘇生者は然りと肯定を返す。
「ええ。くれぐれも流れ弾には当たらぬよう、気を付けるようにするわね」
「そうして貰えると有難い。さて、それじゃあこちらもそろそろ始めようか」
 手短に打ち合わせを終えるや否や、シルヴィアは物陰より躊躇なく飛び出してゆく。陽動の役割を果たす為、彼女が取り出したのはパンツァーファウスト。柄のトリガーを押し込んだ瞬間、先端の弾体が射出。そのまま敵陣中央に着弾すると、敵を纏めて吹き飛ばした。
「でぃあぼろすダ! 殺セ、殺セェッ!」
「……そうだ、私はここだ! 犬らしく、精々駆けずり回るが良い!」
 殺到して来る狼魔の群れに対し、シルヴィアは突撃銃や擲弾を駆使しながら渡り合ってゆく。しかし、その目的は殲滅に非ず。自らを使って敵を釣り出しつつ、適度にダメージを与える事が最優先事項である。
(一撃での致命傷は狙わない……それをするのはお前の仕事だろう、カンダチュラ?)
 それは差し詰め、勢子と射手。獣ではなく人間の狩猟法だ。着実に手傷を与えつつ、つかず離れずを維持し続ける。手負いの獣はなんとやら、決して油断する事無く淡々とトリガーを引いてゆく。
(……はぐれマルコスは待つのではなく、自ら作るもの。手筈通り、シルヴィア様が炙り出してくださるのでしょう? なら、私はその時を待つのみ)
 そうして仲間が戦う様を、ルナは常に視界に捉えていた。いざ必要な瞬間に動けるよう、蘇生者はそっと手に得物を携える。それは切っ先も鋭き短刃。妖しき光沢を放つ武器は、言い知れぬ不吉さを孕んでいる様に思えた。
「ガアアアッ! 小賢シイワッ!」
 だが、そうしている間にも状況は目まぐるしく移り変わってゆく。業を煮やした数体が被弾も構わず強引に突破を図ったのだ。もし一瞬でも火線が途切れれば、忽ちにして圧倒的な数に飲み込まれてしまうだろう。
 そんな危機的な状況に際し、しかしてシルヴィアの相貌に浮かぶのは焦燥ではない。
「ふん、追い詰めたと思ったか? 悪いね、既に我が――否、我らが術中だ」
 ――今だ! 仕留めてくれ!
 そう叫んだ瞬間、じわりとマルコスの背後に漆黒が滲む。ハッと思わず振り向いた相手が見たモノは、音もなく死角より襲い掛かったルナの姿であった。
「ええ、どうかお任せを。毒使いたる者、一撃で仕留めてみせましょう」
「ナァ……!? 気配ハ愚カ、匂イスラシナカッタハズ!」
 反射的に反撃を繰り出そうとするも、全ては遅きに失していた。爪牙が蘇生者へ届くよりも早く、彼女の手にする刃が敵の首筋へと突き立てられる。それは肉を裂き骨を断ち、更には刀身内の空洞より滲み出した毒液が血流に乗って全身へと駆け巡ってゆく。宣言通り、少女は自らの一撃を以て敵を絶命させることに成功していた。
「チィィィィッ!」
 それを見た後続の個体は咄嗟に目標を変更。本能に身を任せ、荒れ狂いながら飛び掛かる。その勢いは凄まじく、ルナの初撃を弾き返す、が。
「……一度でくたばらないのならば、何度でも穿ち抉りましょう。首に、目に、脳に、心臓に。貴方の奏でる心音が途絶えるまで、ね?」
 手首を翻すや、立て続けに二撃三撃と続けて刺突が叩き込まれた。短剣の柄を両手で持ち、何度も何度も針の如き切っ先を食い込ませてゆく。斯くして、狼魔は僅か数瞬で無惨な骸と化す。
「エエイ、奴ラヲ生カシテ返スナッ!」
 しかし、それは敵の恐怖を煽る所か火に油を注いでしまったらしい。後方で成り行きを窺っていた群れ本体もまた、雪崩を打って突撃し始めた。それを見たルナはクルリと舞う様に、シルヴィアの背後へと身を隠す。
「あらあら、怒ってしまったようですわね?」
「なら、そろそろ撤退の時間だ。じゃあ、気をつけて帰ろうか、カンダチュラ」
「送り狼と言った様子ですけれど、そう上手くいくのでしょうか」
 悪戯っぽく流し目を送って来る仲間に、機人は銃器を構えながら軽く肩を竦める。
「ああ、そうだね。お前よりは私のほうがきっと頑丈だから……うん、盾役は任せて貰っていいよ」
「ええ。では、エスコートをお願いするとしましょう」
 そうして二人は追撃して来る敵群を危なげなくいなしながら、戦場より後退してゆくのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【建造物分解】がLV2になった!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!

サアシャ・マルガリタ
【まのもの】の仲間と!

狼狩りですね!
サアシャは狐なので下剋上っぽくてちょっと燃えるですー!
張り切っていくですよ、えいえいお!

【サンドストーム】で敵の視界と嗅覚を遮って、敵同士の連携を阻害するです!
玄辰や仲間が各個撃破しやすいように群れが分散するよう仕向けるですよう。
仲間や味方の面々の様子を見て、息を合わせながら展開しましょう!
「おめめもお鼻も、サアシャの砂嵐で掻き乱してあげましょーです。ふふり!」

敵に纏わりつかれたら物陰や狭い道を通りながら極力攻撃を受けないように移動して、仲間が撃破しやすいところに誘い出すです!
引き上げのタイミングは戦況を見ている玄辰に合わせるですよ!

アドリブ・連携歓迎!


乾・玄辰
【まのもの】の悪い仲間と参加。

群狼狩りとは骨が折れそうだね。
しかし歴史を、何より懐かしき東京を奪還する緒戦となれば
この国で産声上げた者の一人として奮戦せねばなるまいよ。

他の参加者達が叩き離散した群れの“はぐれ狼”に目標を絞る。
仲間の頭上を【飛翔】しながらビル群の合間を先行して【偵察】
標的を定めたら地上に合図して狼狩りの開始だ。
サアシャの砂塵で動きの鈍った孤狼を【赫の魔弾】で正確に穿つ。
「生憎と銀の弾丸の持ち合わせは無いが、魔弾ならばお手の物さ」

深追いして群狼戦術に嵌り我々が狩られる愚は避けたい。
成果は程々に、戦況を見て仲間と退路を確保しながら撤退。
追撃の牙を突き立てる餓狼は魔弾で躾けてやる。


●砂塵に紅蓮は瞬きて
「マタシテモ……オノレェ、でぃあぼろすメッ!」
 敵群は未だ戦力の大多数を保持している一方、度重なる戦闘で少なくない数の手勢を失いつつあった。それに伴い統制が緩み、三々五々に散り始める個体も出てきている。そんな相手の様子を、乾・玄辰(最後の魔法使い・g01261)は目を細めて観察してゆく。
「群狼狩りとは、中々に骨が折れそうだね。しかし歴史を、何より懐かしき東京を奪還する緒戦となれば、この国で産声上げた者の一人として奮戦せねばなるまいよ。この戦いが上手くいけば、いずれは他の地域すらも……」
 故郷を奪われた怒り。それはディアボロスをディアボロス足らしめている要素の一つだ。東京の街並み、祖国の風土を思い起こし、青年は戦いに対する決意を新たにしてゆく。そして、それは傍らの友も同じらしかった。
「狼狩りですね! サアシャは狐なので下剋上っぽくてちょっと燃えるですー! 窮鼠猫を噛むならぬ、妖狐狼を狩るなのです! 張り切っていくですよ、えいえいお!」
 ぎゅっと拳を握り締め、サアシャ・マルガリタ(敵はちょっと囓ってみて、ダメそうだったら尻尾を巻く・g05223)は小さく気炎を吐く。快活気な言動は感傷に浸る玄辰と対照的だが、不思議と両者の雰囲気は馴染んているように見える。恐らく、それは決して錯覚の類ではないだろう。
「それじゃあ、玄辰はその間に空から索敵をお願いするです!」
「ああ、任されたよ」
 少女の言葉を背に受けつつ、青年は取り出した箒に跨りビルの間へと飛び上がってゆく。彼は敵の上空を旋回しながら、討つべき標的を選定し始める。このままではすぐさま見つかってしまうだろうが、そうさせないのがサアシャの役目だ。
 彼女は上空を舞う仲間がサッと手を上げるのを確認すると、小さく頷きながら掌を敵の方へ向けて開いた。
「おめめもお鼻も、サアシャの砂嵐で掻き乱してあげましょーです。ふふり!」
 彼女が手首へ魔力を集中させると、そこに嵌められた腕輪の宝玉が輝きを放ちゆく。触媒に籠められしは時に慈雨を、時に熱風を齎す砂塵の烈風。解放された風は砂粒と共にビル群の間を駆け巡るや、褐色のヴェールを生み出し全てを覆い隠していった。
「ナンダ、コンナ街中デ砂嵐ダト!?」
「気ヲ付ケロ、でぃあぼろすノ攻撃ダ!」
 異変に気付いたマルコスたちは咄嗟に身を低くし、素早く周囲へと視線を向ける。だが見渡す限り、視界は全て砂色に染め上げられていた。こうなれば敵の居場所どころか、己の位置すらも覚束ないだろう。
(これなら頭上の玄辰を見つけるどころか、隣の仲間だって分からないのです。ただでさえバラバラな群れがもっと離れ離れになるはずですよ!)
 敵の強みは数と連携、つまり裏を返せば単体の戦闘力はそれほどではない。群れから逸れた獣は速やかに捕食者から獲物へと成り下がるもの。なれば、それを狩るは魔弾の射手が役目である。
(砂嵐はこちらの視界も遮ってしまうけれど、目標の位置は捕捉済み。仮に動かれたとしても、上空からなら影や風の流れで位置を割り出せる……幸い、警戒を優先してその場に留まっている様だね)
 玄辰は予め目星をつけていた個体へ狙いを定めると、跨る箒へと意を籠めた。すると後部より放射される魔力光が勢いを増し、綺羅星が如き光球を形成する。急降下軌道を取る魔法使いに追従するそれらは、術者を通り越して地上目掛けて降り注いでゆく。
「生憎と銀の弾丸の持ち合わせは無いが、魔弾ならばお手の物さ。偽りに歴史を紡ぐもの相手ならば、これでも十分だろう」
 砂塵を吹き散らしながら次々と炸裂する紅蓮の魔弾は、狙い違わず狼魔の命を撃ち抜いていった。青年は己の戦果を確認すると、機首を上げて再び高度を稼ぐ。敵は飛行能力を備えている。接近し過ぎれば、要らぬ反撃を喰らう危険があるだろう。
(深追いして群狼戦術に嵌り、逆に我々が狩られる愚は避けたい。今はまだ前哨戦、程々なところで安全に切り上げたいところだが……っ!)
 次なる敵を探し視線を巡らせる玄辰だったが、ふと視界の端に動く影を捉える。野生の勘か、獣の五感か、それはサアシャ目掛けて一直線に吶喊するマルコスであった。少女も接近を感じ取って後退し始めるも、相手の方が一手早い。
「コソコソト隠レオッテ!」
「見つかってしまったのです……!? でも、問題は無いですよ!」
 彼女も咄嗟に入り組んだ路地へと飛び込むものの、その背に鋭い爪牙が迫る。だが、振り返った表情に浮かぶは焦燥でなく信頼の色。刹那、頭上に一陣の影が差したかと思うや、爆撃が如き魔弾が敵を消し飛ばしていった。
「ふぅ~、助かったですよ!」
「こちらも間に合って良かった。気を取り直して、もうひと踏ん張りするとしようか」
 窮地を脱し、息を吐く二人。斯くして少女と青年はもう幾つか戦果を重ねた後、無理せず戦場から離脱してゆくのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【土壌改良】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!

御森・白露
狩りか、狩りは嫌いではないぞ?
ただし――狩るのが我らで、獲物は貴様らだがな。

【公園】での連携。他の連携やアドリブも歓迎するぞ。

うむ、陽動を兼ねて群れ規模に突っ込むとしようか。
満殿に先駆けて吶喊。対処されることを前提で隙を作る為にパラドクスを撃つぞ。
通るにせよ防がれるにせよ、意識はこちらに向くじゃろう?背後の警戒はあるかもしれぬが、果たして頭上を気にする余裕があるかのう?

反撃はそうじゃな、【使い魔使役】で鳥を使役し空から俯瞰。連携を見極めて被害を可能な限り減らし、【飛翔】で退避じゃ。


桜木・満
【公園】で連携
アドリブ、連携諸々歓迎です

心情:
へぇ、さすがは悪魔、お行儀よく狩りの合図を待ってるってわけだ。
統率された軍勢は厄介だが、――混乱の目もありそうだ。烏合の衆に変えさせてもらうぜ。

行動:
六本木ヒルズのビル上に待機。御森が攻撃を仕掛けたタイミングで、同じ敵の群れを狙って急降下突撃しダイブアンドズームで攻撃。敵の注意が地上の御森へ向かった所へ不意打ちといこう。

敵が野生の本能を開放して暴れだしてくれれば好都合。飛翔を利用して飛び回り、敵の軍勢を引っ掻きまわしながら空中戦、大怪我を負う前に撤退するぞ。
氷の地形や砂嵐もあるならそれも撹乱に利用させてもらおう。


矢木・真輝
【公園】のみんなと、行くよ。
本番は、ここじゃないから。大怪我は、しないように、気を付ける。

(可能ならサアシャの発動に合わせて、)風刃擂塵で、敵の視界、荒らす。
でも、荒らすだけ。これは攻撃じゃない。

僕の、本当の攻撃は、こっち。
白露たちに、続くよ。
『これは、ヒトならざるもの――』
(〈オーラ操作〉で、纏う雰囲気が変化)
『……この片鱗を、味わわせてやる』
俺の出番ってわけだ。存分に暴れさせてもらおうじゃねぇか!
「てめぇらが狼だぁ? 俺らをただの狐だと思うなよ、犬野郎!」
〈呼吸法〉で呼吸を整えつつ、〈貫通撃/両断〉辺りを使って尾で反撃を捌くぜ。

撤退や防御は【狐変身】やら【飛翔】やらを使っていく。


松中・誠
【公園】の仲間と一緒にやるんだぜぃ。
さーて……狼の悪魔?
なるなる…じゃぁ、魔女を呼ぶんだぜぃ。
魔女さん魔女さん、あの辺の狼をカチコチに凍らせてほしいんだぜぃ。
無理?なら足元の一部を凍らせて滑らせてほしいんだぜぃ。
そしたら仲間も攻撃しやすく…なる…かな?
突撃したり突撃したりするのが多いから、俺っちは後ろの方からこそこそっとやるんだぜぃ。ちょうど砂嵐もあるみたいだし。

近寄られたら【壁歩き】や【飛翔】で逃げるんだぜぃ。

連携アドリブ歓迎


ユエト・ミナヅキ
【公園】
アドリブ〇

さて、大きな戦いの前哨戦。
雑魚を蹴散らして道を切り開きますヨ
相手もスピード自慢のみたいですしスピード勝負といきますカ

六六式強襲魔導刀にはカートリッジ[水氷]を装填
氷と冷気を纏わせた【白兎星連舞】の連撃で敵の高速起動に対抗でス
倒せなくても寒さで体の動きを鈍く出来るハズ
自慢のスピードが発揮できなければ他のディアボロスの餌食ですネ
戦闘中は【壁歩き】でビルや建物を利用し立体軌道で相手に肉薄しまス

時折、仲間の様子は確認しましょウ
後衛が狙われるようなら[ディフェンス]もしますヨ


ルミ・アージェント
【公園】
もうすぐ大きな戦いが始まるんだね!今のうちに確実に戦力を削っておきたいな!

仲間の奇襲や撹乱に合わせて、混乱した相手を順番に倒していこうか!
それでも狼の身体能力には警戒が必要かな!
【魂合一閃】でソウルマローダーの呪いの力を使ってこちらの能力も強化しながら戦うよ!
あははっ!狩りをするのはこっちだったね!アナタたちは逃げ惑うただの獲物だよ!

っと、衝動に呑まれ過ぎないように抑えていかないとだね!
撤退は他のみんなのタイミングに合わせるよ!その時は深追いしてくる相手の迎撃を担当しようかな!

連携アドリブ歓迎!


ネリリ・ラヴラン
【公園】の皆と行くよ。

大きな戦いの前に、大怪我してはいけないけど、
なにもしないわけにもいかないものね。

建造物の影とかを使って身を隠したまま”夜蝶の悪戯”で揚羽蝶を作り出すよ。
突撃するみんなを追尾させてゆき、倒し切れなかったマルコスさん達にぶつけて起爆するわ。倒せれば一番だけれど、驚かせるだけでも、引く時間は稼げるかな。
見つかるまでは【連続詠唱】と【高速詠唱】で次々蝶を送り出して、場を混乱させていくよ。

怪我する人が多くなってきたら、しばらく爆発はさせないように退路になる位置に飛ばしておくわ。逃げる時になっておって来る子を狙うんだよ。

続きはまた今度だよ、狼さん。飼い主さんにも伝えておいてね。


瀧夜盛・五月姫
【公園】、だよ。
アドリブ、連携、歓迎、だよ。

姫は、【パラドクス通信】で、みんなの状況、そして周りを警戒、【観察】。
自らに襲い来るなら薙刀で【薙ぎ払い】、攻撃には極力、加わらない、よ。

ヴァサゴ接近、察知したら、通信で周知。そして、パラドクス発動。
ヴァサゴの手前に居るトループス級の頭上に、“超弩級戦艦 大和”【召喚】。
鉄塊で、道、塞いで【時間稼ぎ】、だよ。

さあ、今のうちに、撤退、だよ。


●全てを見通す者
(減ったとはいえ、凄い数……これと事前準備無しに、ぶつかったら、きっと大変だった、はず。今の内に、出来る限り減らさなきゃ、ね)
 物陰から敵の様子を窺いつつ、瀧夜盛・五月姫(無自覚な復讐鬼・g00544)はそう胸中で独り言ちる。数度の交戦を経て、敵群の勢いにやや陰りが見えつつあった。とは言え、残存戦力は未だ強大である。だが、数を頼みに出来るのは何も敵ばかりではない。
「視界が封じられていたせいで、群れ同士の連携が、上手く出来ていないみたい。攻めるなら、立て直される前に、仕掛けた方が、良さそうだよ」
「うむ、敵情を視察して貰い助かるぞ……さて、狩りか。生憎と狩りは嫌いではないぞ? ただし――狩るのが我らで、獲物は貴様らだがな」
 少女が把握した情報は、パラドクス通信によって仲間たちへと共有されてゆく。それらを受け取った御森・白露(放浪する転寝狐・g05193)は感謝の言葉を述べつつ、鋭い視線を敵群へと向ける。その傍らには、兎を模したフルフェイスマスクを被った機人と、油断なく戦場へ見つめる妖狐の姿が在った。
「さて、大きな戦いの前哨戦。雑魚を蹴散らして道を切り開きますヨ。相手もスピード自慢のみたいですし、こちらもスピード勝負といきますカ」
「まぁ、とは言え、本番は、ここじゃないから。大怪我は、しないように、気を付けよう。当日動けなくなったら、目も当てられないし、ね?」
 やや胡散臭い口調でそう呟くユエト・ミナヅキ(weißer Hase・g05751)へ、矢木・真輝(風を奏でる放浪者・g04665)は苦笑を浮かべつつ相槌を打つ。この場に集った復讐者は実に八人。全員、名も無き公園での交流を通じ友誼を結んだ仲である。連携と言う点では決して敵に劣るつもりは無い。
 白露は別の場所に散った仲間たちの準備も整ったことを確認するや、すらりと腰に佩いた妖刀を鞘走らせる。
「うむ。それでは手筈通り、陽動を兼ねて群れ規模に突っ込むとしようか。足を止めれば即袋叩き故、くれぐれも遅れぬようにな」
「一応、攪乱するから、本格的に、斬り込むのは、その後で頼むよ?」
「まぁ何かあっても、きっと誰かがフォローしてくれるはずですしネ。精々、派手に動きましょうカ!」
 果たして、三人は軽口を叩き合いながら一塊となって敵中目掛けて吶喊を仕掛けてゆく。無論、相手が接近に気付かぬ道理も無し。復讐者の姿を認めた個体が、遠吠えを以て襲撃者の存在を仲間へ知らせていった。
「新タナでぃあぼろすガ現レタゾ! 今度ハ三匹ダ!」
「ソノ程度など恐ルルニ足ラン! 囲ンデ嬲リ殺セ!」
 幾分か頭数が減ったとはいえマルコス達に怯懦や不安の色は無く、寧ろ再び現れた宿敵を今度こそ全滅させんと牙を剥き出しながら応戦して来る。
(まずは、相手の視界を、荒らす。見た目通り、嗅覚も鋭いだろうけど、風の流れが乱、れれば、匂いも辿り辛くなる、よね)
 本能に身を任せ、四方八方から殺到する光景は正に群狼の狩りと言って良い。だが先ほど仲間が言った通り、自らが獲物になる気など真輝には更々なかった。彼は風の流れを手繰り寄せると、足元より砂埃を巻き上げてゆく。
 流石に戦場全体を覆うほどではないが、三人を中心とした周囲一帯が褐色の靄に包まれ、見通しが急激に悪化していった。こうなれば乱戦は必至だ。真輝は眼を閉じて気配を探るや、手近な個体目掛けて躊躇なく踏み込む。
(でも、これは飽くまで、攪乱であって、攻撃じゃない……僕の、本当の攻撃は、こっち。これは、ヒトならざるモノ、妖の獣。此の身に纏いし魔力の源)
 ――この片鱗を、味わわせてやる。
 そうして瞳が開かれた次の瞬間、妖狐の纏う雰囲気が一変する。彼は荒々しい動きで体を振るうや、刃の如く変じさせた尾の一撃を繰り出す。それは正確に相手を穿ち、呆気なく絶命させていった。
「……つまり、俺の出番ってわけだ。さぁて、存分に暴れさせてもらおうじゃねぇか!」
「まずは一つ、ト。さてさて、ではこちらも始めるとしましょウ」
 砂塵が徐々に薄まり、貫かれた仲間の骸が周囲に晒される。それに増々激昂する敵群に対し、飽くまでユエトは飄々とした態度を崩すことは無い。彼は得物へと手早く箱型の装置を接続。膨大な水と氷の魔力を内包したそれは、瞬く間に刀身へと冷気を纏わせてゆく。
「狼の悪魔を名乗るのであれば、兎の一匹も狩れねば捕食者の名折れですヨ?」
「ガアアアッ!」
 迫る爪、唸る牙、振るわれる尾。獣性剥き出しの猛攻を、ユエトは俊敏な身のこなしにより紙一重で回避し続ける。妖狐の動きが荒々しい肉食獣だとすれば、それはまるで雪原を跳ねる兎のよう。彼は攻撃を凌ぎつつ、お返しとばかりに多重斬撃を叩き込む。
「倒せなくても寒さで体の動きを鈍く出来るハズ。自慢のスピードが発揮できなければ他のディアボロスの餌食ですネ。とは言え流石に数が数ですカ。同じ地平上で戦っていては、早晩ジリ貧でしょうシ……」
 真っ白な霜が斬った箇所を覆ってゆく。寒さで体が悴めば、身動きも取り難くなるだろう。だが、敵は後から後から湧いて出て来るのだ。如何な連撃とて、こちらの攻撃速度が追いつかない。
「そろそろ、『次』の準備が整うはずじゃ。我が一旦押し返す故、その隙に下準備を頼むぞ?」
「すみません、助かりましタ。それでは少し失礼しますネ?」
 そんな仲間と敵の間へ割って入ったのは白露だった。彼は飛び退る仲間を横目に、戦場へと振りまかれた冷たき魔力を束ねると、自らの手にした妖刀へと注ぎ込む。刀身に宿る怨念と混ざり合ったそれは、剣閃をなぞる様に禍々しき呪詛を解放する。
「刃の波濤に溺れ潰えよ。如何に獣の如く地を駆け、鳥の様に天を舞おうとも、波間を泳ぐ術なぞ持つまいて」
 其れは渦呪の刃嵐。幾重にも重なり、絶え間なく押し寄せる冷たき剣撃だ。広範囲に及ぶ攻撃により、僅かながらではあるが狼群からの圧力が僅かに減じていった。
(じゃが、これは飽くまでも隙を作る為のもの。そもそも対処される事が大前提……通るにせよ防がれるにせよ、意識はまず間違いなく我らに向くじゃろう。背後の警戒はあるかもしれぬが、果たして頭上を気にする余裕があるかのう?)
 三人の動きは派手で荒々しいが、その目的は続く仲間が攻撃しやすいように場を整える事だ。そうして彼がチラリと視線を向けた先では、ビルの壁面を駆けるシナトとそれを追うマルコス達の姿が見えた。
「ハハハッ、無様ニ逃ゲ回ル事シカ出来ンカ!」
 周囲のビル群を利用して巧みに立ち回る機人に、数体の狼魔たちが追従してゆく。だが翼による飛行で移動しているせいか、その速度は四足の時よりも遅く見える。見た目通り、特性としては狼としての側面が強い為だろう。
 しかし、空中機動の柔軟性は侮れない。相手は複数体で連携しながら、着実に復讐者を追い込んでゆく。そして必殺の機を狙い、一斉に攻撃を仕掛けんと降下体勢を取り、そして――。
「……へぇ、さすがは悪魔。お行儀よく狩りの合図を待ってたってわけだ。統率された軍勢は厄介だが、我慢のし過ぎも考え物だな。熱中し過ぎて、警戒が疎かになってるぜ?」
「ナァッ……!?」
 彼らよりも更に頭上から影が差した。咄嗟に視線を上げたマルコス達の視界に飛び込んできたのは、純白の軍装。高度的優位を取った桜木・満(桜花剣風・g00771)は太刀を構えるや、切っ先を敵へと向けたまま急降下を敢行する。
 位置エネルギーを速度と勢いに変換した一撃を避ける余裕など、今まさに攻撃を移ろうとしていた狼魔に在ろうはずもなし。相手は咄嗟に反撃を試みるも、抵抗虚しく串刺しにされ、地へと落下していった。
「追い込みと奇襲など、狩りの基本戦術だろう。それを相手も使ってくると考えられないのは、やはり獣止まりという事か……ともあれ、野生の本能を解放して理性を手放しているのは好都合だ。混乱の目もありそうだし、烏合の衆に変えさせてもらうぜ」
 得物を振って血糊を払いながら、満は敵陣へと視線を巡らせてゆく。彼は先の陽動を行った三人とは別行動を取り、予め周囲に乱立するビル群の屋上へと身を潜めていたのである。相手の注意が完全に地上へ向かう頃合いを見計らって出撃。こうして奇襲を成功させたのだ。
「頭上ヲ取ラレタカ、アレハ厄介ダナ……!? シカシ、地上ノ連中モマダ狩リ切レテイナイゾ!」
「構ワヌ! ドチラモ食イ殺シテヤレバ良イノダッ!」
 不意を打たれる形となったマルコス達は俄かに浮足立ってゆく。狼魔たちは強力な群れだが、それも統率する者が居てこそ。瞬時に判断を下せぬならば、獅子も羊に成り下がるというものである。
(逆に言えば、もしジェネラル級が姿を見せれば脅威度は今以上に跳ね上がるという事でもある。ヴァサゴが姿を見せるかは分からないが、削れる内に削っておくべきだろうな)
 予兆で見た限り、渋谷区のアークデーモンは知略に長けるタイプだろう。それが軍勢を率いるなど、強敵単体を相手取る以上に厄介だ。故にそうした状況で戦争当日を迎えぬ為にも、満は迎撃に上がって来る敵を掻い潜りながら反復攻撃を繰り返してゆく。
「……で、相手の注意が上に逸れたら、今度はまた地上から仕掛けるってなぁ。何も同じ手を一回しか使っちゃいけないなんて決まりは無いんだぜぃ」
 そうして意識を向けなければいけない方向が増える程、それ以外に対する警戒が疎かになるというもの。このタイミングまで待機していた松中・誠(ヤンキードラゴニアン・g03037)は今が動くべきだと判断する。
 また、そのすぐ横では目まぐるしく移り変わる戦況にネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)がうっすらと目を細めていた。
「大きな戦いの前に、大怪我してはいけないけど……なにもしないわけにもいかないものね。矢面に立てなくても、出来る事はちゃんとあるよ」
 何事も適材適所。八人もの復讐者が共同して動いているのだ、当然ながら役割分担をして動いた方が効率は良い。つまり、いま二人が果たすべきは地上組に対する支援である。
「砂嵐はもうかなり薄まっちまっているんだぜぃ。なら、それに代わる物が必要になるだろうなぁ……なるなる、相手は狼の悪魔と。じゃぁ、魔女を呼ぶんだぜぃ」
 そうして誠は杖代わりの指輪を撫ぜると、意を念じ魔力を籠めてゆく。すると、虚空へ黒衣を纏った女の姿を浮かび上がる。それは彼がサイレンの魔女と呼ぶ存在だった。
「魔女さん魔女さん、あの辺の狼をカチコチに凍らせてほしいんだぜぃ。え、それはちょっと無理?」
 竜人は敵の凍結を願うも、ふるふると魔女は首を横に振ってしまう。どうやらそれは出来ないらしい。竜人は困ったように首を捻るものの、であればと別の頼みを口にする。
「なら、足元の一部を凍らせて滑らせてほしいんだぜぃ。移動を妨害出来れば攻撃しやすく……なる、かな?」
「いや、そこは自身を持って良いと思いますよ? それだったら、私も揚羽蝶を作り出しますね。これで倒せれば一番だけれど、驚かせるだけでも隙は作れるかな」
 それなら可能だと頷く魔女の脇では、ネリリが両手でそっと何かを包み込むような仕草を見せる。重ねられた指が解かれた時、中に居たのは無数の揚羽蝶たち。
 夜蝶たちはふわりと羽を羽搏かせると、音もなく飛び立ちふよふよと戦場に舞い始めてゆく。そうして彼らが気付かれる事無く敵中への侵入に成功すると、まずは魔女が術式を行使し始めた。
「ユエトや白露が冷気を撒いてくれたお陰で、そう難しくはなさそうだぜぃ。地面を上手く踏みしめられなければ、スピードだって活かせないはずだぜぃ」
 魔女の幻影が消えると同時に、凄まじい寒波が周囲一帯へと吹き荒れる。それらはうっすらと地面を霜で覆うと摩擦係数を低下させた。数値的には微々たるものだが、高速で動き回る狼魔にとってその僅かな差は予想以上の違和感と化す。
「ナ、ナンダ! 急ニ足元ガ滑ルゾ……!?」
「クソ、飛ボウニモ頭上ヲ抑エラレテイルトハ!」
 瞬く間につんのめり、体勢を崩る者が続出。少なくない数のマルコス達が玉突き事故を引き起こし、一時的に行動不能となった。空を飛べば回避できるだろうが、上空は未だ満の独壇場だ。不用意に浮かべば自殺行為だと、彼らも理解しているらしい。
 とそんな中、身動きの取れない敵へ揚羽蝶が次々に舞い降りてゆく。その場違いな儚さに、相手も訝しそうに首を傾げる。だが、戦闘の邪魔である事に間違いは無く、息を吹きかけるなり握り潰すなりで夜蝶たちを排除せんと試み――。
「距離良し、数も十分。追い払われちゃう前に……そこだよっ!」
 ようとした瞬間、それらは一斉に起爆。狼魔を同時に纏めて吹き飛ばした。ネリリの生み出した蝶は当然ながら単なる昆虫に非ず。術者の命令によって遠隔起動可能な爆弾だったのだ。移動に若干の時間を要するが、隠密性や射程に優れ、偵察にも代用可能な術式である。
「マサカ、此処マデトハ……イカン、コレ以上ノ損失ヲヴァサゴ様ハ許サヌハズダ」
 流石に相手もこの状況に危機感を覚え始めたのだろう。それまでの遊びが無くなり、一刻も早く復讐者を仕留めんと攻勢を強めて来る。状況としては悪くないが、同時にある懸念も生まれつつあった。
(相手が、盛り返してきた、ね。裏を返せば、それだけ損害を、与えられたって、事だけど……余り、長居し過ぎても、ヴァサゴが出て来る、危険がある、よ)
 戦況を俯瞰する事が出来る立場の五月姫は、仲間たちの戦果が十分なものだと把握できていた。疲労や負傷具合を考慮してもまだ少し粘れるが、彼女が抱くのは別の危機感。流石に此処まで大暴れして、『全てを見通す』と冠するアークデーモンが気付かぬはずが無い。
(その前に、区切りの良いタイミングを見つけないと……ッ!?)
 故に撤退の機を探っていた矢先、視界の端に蠢く影を見つけ顔を強張らせた。そちらへと視線を向ければ、猛然と疾駆する獣の一群が飛び込んで来る。どうやら、仲間たちの目を掻い潜って前線を突破して来たらしい。
 今回は裏方に徹しているとは言え、五月姫とて全く戦えない訳ではない。狼魔を迎撃すべく薙刀を構える少女だったが、その前にすっと割り込む影が在った。
「もうすぐ大きな戦いが始まるんだし、その前段階でケチを付けたくはないからね! 追撃狙いの相手もきっちり倒して、今のうちに確実に戦力を削っておきたいな!」
 それはこの場に集った最後の復讐者、ルミ・アージェント(全力乙女・g01968)。仲間の陽動に合わせようと機を窺っていたのだが、別動隊の動きを察知して急遽フォローへ回ったである。
「狼の身体能力には警戒が必要かな! でも……この場において、アナタは獲物であたしがハンター! 魂ごと全部奪ってあげるよ!」
「ホザケッ! タカガ二人程度、我々ダケデ十分ダ!」
 筋肉を隆起させ、復讐者を仕留めんとするマルコスたち。対して、乙女は手にした得物が発する奪命衝動と呼吸を合わせてゆく。ゆらりと身体を揺らめかせるルミへと、まずは先陣を切る個体が爪牙を繰り出すが――。
「あははっ! 遅いよ!」
 爪先が届く寸前、一刀の元に身体が上下に分割された。後の先を取った大鎌が強引に振り抜かれたのだ。血飛沫を上げて崩れ落ちる相手を踏み越えながら、彼女は嗜虐的な笑みを浮かべる。
「やっぱり、狩りをするのはこっちだったね! アナタたちは逃げ惑うただの獲物だよ!」
 出鼻を挫かれ面食らう獣群を、ルミは目まぐるしい速度で切り刻む。魂の略奪者と言う名を冠する刃にとって、敵対者は何であれ餌に過ぎない。身体機能の引き換えにその飢餓感と同調した乙女は、数の差を物ともせずに敵と渡り合う。
「突出シ過ギダ、勇猛サト蛮勇ヲハキ違エタ馬鹿メ!」
 しかし、相手も馬鹿ではない。敢えて一歩退いて復讐者を群れの中心部まで引き込むや、包囲攻撃を試みる。個々の実力に隔たりがあろうとも、数の力は容易くその差を埋めるだろう。あわや、ルミがそのまま袋叩きにされてしまうのかと思われた、その時。
「させ、ません……!」
 両者の間に割って入った五月姫がその目論見を打ち砕いた。八尺五寸もの大得物は薙ぐ刀という武器名通り、少女の周囲に居たマルコスたちを切り払ってゆく。そうして一瞬の猶予を作り出すと、仲間の手を取って包囲の輪より脱する。
「っと、ごめんごめん! 衝動に呑まれ過ぎないように抑えていかないとだね! 助かったよ!」
「大丈夫、だよ。でも、全体的には、順調に進んでいる、ね。このままなら、もう暫くは、戦えて……いや、まって。これは、まさか!?」
 ほっと一息つく五月姫だったが、その表情が俄かに強張る。サッと視線を頭上へ向けると、森ビルの屋上より何者かが降下して来るのが見えた。ラクダに跨り、水晶球を手にした青い肌の女。それは正しく、予知で見た姿と相違なく。
「『全てを見通す者』ヴァサゴ……!?」
「……よもや、ディアボロスの戦闘力が此処までとは予想外でした」
 ジェネラル級アークデーモンにして渋谷区の支配者。恐らく復讐者たちの力を脅威と認め、自ら対処すべく出張って来たのだろう。その身に纏う威圧感はトループス級の比ではない。だが同時に、現状ならばまだ一太刀浴びせられるだけの余力も残されている。
「本来であれば、速やかに撤退すべきなのだろうが……」
「同時にチャンスでもある。その実力、戦争前に確かめさせて貰おうじゃねぇか!」
である以上、交戦を選ぶのもおかしな話では無かった。満や真輝を筆頭に前衛役が斬り込み、後衛もまた魔術や遠距離攻撃を一斉に叩き込んでゆく。対して、ヴァサゴは手にした水晶球を眼前へと掲げる。
「この水晶でも未来を見通す事はできなくなった。見えるのはごく至近の未来のみ。ですが、それしか見えなくても……」
(……? 水晶に映っているのは、ウチらの姿ですかネ)
 視覚カメラ越しに、ユエトが反射する自分たちの姿を捉える。一見すれば何の変哲もない光景だが、それはまるで早回しの如く不自然に動くと、倒れ伏す復讐者の姿を映し出す。果たして、次の瞬間――。
「……お前達を排除する程度は造作もないのです」
「がはっ!?」
 復讐者たちはほぼ同時に、反撃の戦斧や魔術を受けて吹き飛ばされた。奇しくも、攻撃を受けた彼らの姿は先ほど水晶に映った光景と瓜二つだ。そんな敵対者を見下しながら、ブルルゥゥと駱駝が嘲る様に鼻を鳴らす。
「これは、不味いね。みんな、撤退、だよ。姫が、隙を作るから、その間に……!」
 これ以上の戦闘は危険だと判断するや、五月姫は通信機を通じて仲間たちへ撤退の合図を出す。と同時に、彼女はヴァサゴ目掛けて掌を向ける。すると不意に相手の頭上へと影が差した。何事かと見上げたアークデーモンが見たモノ、其れは全長260メートルを超える巨大な物体。
「……“超弩級戦艦 大和”、だよ。これなら、飛び超えるのも、難しいよ、ね?」
「っ!?」
 咄嗟にヴァサゴが身を引いた瞬間、敵の居た空間を軍艦が落下してゆく。砲すら動かぬ未完成状態だが、大質量そのものが一つの兵器と化してマルコス達へと襲い掛かる。凄まじい衝撃でビル群を揺らしながら、大和は少なくない数の狼魔を押し潰していった。
「しかし奴らめ、将を得て息を吹き返しおったぞ。仲間が潰されているというのに、もう追撃に動き始めておる。こういうのを送り狼と言うんじゃろうか?」
「飛翔があって良かったぜぃ。追いつかれないうちに、さっさと逃げるんだぜぃ!」
 だが鳥の視覚を駆りて敵情を窺う白露には、敵群が復讐者を追撃せんと既に動き始めている姿が見えた。誠の言葉通り、モタモタしていたら追いつかれかねない。
「確かに、あれは中々しつこそうだよ。一応、揚羽蝶も残しておくね?」
「深追いして来る相手はこっちで抑え込んでおくよ! 大丈夫、無理はしないから!」
 ネリリが蝶たちを配置して退路を確保しつつ、ルミが殿を買って出て仲間たちを戦場から逃してゆく。そうして背後より迫る殺気を感じながら、ネリリは小さく呟きを零す。
「続きはまた今度だよ、狼さん。飼い主さんにも伝えておいてね」
 ――次は絶対、負けないから。

 斯くして、六本木ヒルズにおける前哨戦は幕を閉じる。内容的には大成功と言って差し支えないだろう。
しかし同時に、ジェネラル級の強大さもまた復讐者たちの身体へと刻み込まれた。
 彼らはその痛みを【第一次東京奪還戦】にて叩き返すべく、今はただ戦場より速やかに離脱してゆくのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【使い魔使役】LV2が発生!
【飛翔】がLV3になった!
【狐変身】LV1が発生!
【壁歩き】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV3が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【命中アップ】LV3が発生!

最終結果:成功

完成日2021年12月17日