リプレイ
音羽・華楠
単身で動いてますから、大部隊に攻撃を仕掛けるのはちょっと怖いですね……。
小規模の別動隊を各個撃破していくことにします。
主軸は《攻性式神結界》。
このパラドクスは攻撃時、敵を結界で隔離しますから。そのまま撃破出来れば、敵の断末魔や戦闘音を外に漏らさずに済むと考えます。
なので、別の部隊が音を聞き付けて救援に来るという事態を、抑制出来るかと。
基本的な戦略は、物陰に身を隠して進みつつ、敵の別動隊を見付けたら奇襲……という形でしょうか。
移動時の物音は、【風使い】で街路樹を鳴らしたり、ゴミなどを転がしたりして、その音に紛れさせようかと。
さあ……私たちディアボロス最初の戦争に向けて、牙を研ぎ澄ましましょう。
大和・恭弥
小部隊を叩く方へ助力するよ。
【光学迷彩】を使い、大軍に発見されないよう出入口へ向かう
(結界術)を使って敵の攻撃は防御しつつ、
良きタイミングで姿を現そう
敵が気づいて攻撃をしてくる前に、「藍雪花染」を抜刀
(殺気)と(呪詛)をもって敵の位置を把握しながら躱し、
(不意打ち)の角度から(斬撃)
空間ごと斬りふせ、的確に抹消していこう。
届かない距離からの攻撃や数には晴彦に協力を仰ぎ、
仲間が危なかったら素早く一撃離脱しながらサポート
出来る限り撃破することが大事だな、頑張るよ。
仲間とは連携OK、アドリブ歓迎
●
首都高1号線、平和島出入り口。
大田区の北側にあり品川区との区境に近いこの場所から、本隊に合流しようと創造のピグマリオン配下の彫像の小部隊が側道を進んでいた。
海にも近いからか、強い風が周囲の背の高い建物の間を吹き抜けてヒューヒューと音が鳴っている。そして、あと少しで目的地に到着する、という所で彫像たちが動きを止めた。
いつの間にか、彫像たちの行く手をさえぎるように道の先に黒い人影が立っていたのだ。
黒のロングコートからのぞく黒いパンツと黒いブーツ。背中まである黒髪を後ろでひとつにまとめている。前髪の間からのぞく黒い瞳は真っ直ぐに彫像たちの方を向いていた。
唐突に目と鼻の先に現れた全身黒づくめの男。
完全に周囲に溶け込んでいたのか、この距離に接近されるまで、彫像たちは男の存在に気づく事ができなかった。
「本隊へ合流させはしない。お前たちにはここで死んでもらう」
漆黒の男——大和・恭弥(追憶のカースブレイド・g04509)の声は冷え冷えとした殺気を含んでいた。
そして、手に持った妖刀『藍雪花染』を鞘から抜き放つ。その刃紋も見事な刀身は、恭弥から何かを貪るように、うっすらと碧い光を放っていた。
同時に互いの間合いを測るように、恭弥はゆっくりと彫像たちへと近づく。彫像たちも恭弥を敵と認めて彼の一挙手一投足に意識を集中させる。
だからだろう。彫像たちは今回も気づかなかった。
周囲の風の音が消えている事に——。
「全員とらえました。もう逃げられません、助けもきませんよ」
音の止んだ空間に少女の凛とした声が響く。その声の通り、知らないうちに彫像たちを取り囲むような結界が張られていた。
さらにその声の主——音羽・華楠(赫雷の妹狐・g02883)が彫像たちの背後に立っている事に彼らが三度目にして気づいた時には、華楠は全ての準備を終えていた。
「式神よ雷を為し轟け——急急如律令!」
刹那、華楠の手から十二天将・六合の神力を宿す陰陽符が宙に舞う。符は空中で稲光へと変わり、結界の中を縦横無尽に走り狂った。
電光が彫像たちを貫く。そして、浮足だった敵に今度は恭弥が仕掛けた。
敵との距離を、間合いを、一足で詰める。
次の瞬間、彫像の目の前から恭弥が消えた。否、瞬時に敵の死角へと入り、流れるように妖刀を振るったのだ。
妖刀の刀身から呪詛が溢れる。それは——。
「死してなお、存在まで滅された者たち。その無念を、哀しみを、絶望を思い知れ」
横一文字に走る碧い剣閃。
空間ごと断ち切ったかのように、音もなく彫像が切断される。
「『虚無剣・花染雪ノ抹消』」
真っ二つになった彫像は、その切断面から空中で塵のように消えていった。
●
「他の部隊に気付かれてはいないみたいですね」
華楠が周囲に気配がない事を確認して、ほっと息をついた。
最初の奇襲が上手くいき、恭弥と華楠は大した抵抗を受ける事なく彫像たちを葬る事に成功していた。
「さて、どうしようか?」
華楠に問いかける恭弥の表情は戦闘中よりはずいぶんと柔らかだ。
「できれば、もう少し他の部隊も叩いておきたいですね。私たちの最初の戦争……ですので」
来るべき戦いに向けて、牙を研ぎ澄ます。
華楠の橙色の瞳の奥には、決意の炎がゆらめいていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【ハウスキーパー】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
奴崎・娑婆蔵
●POW
●大部隊を叩く
でけえ抗争の前哨ってェ所か
手前、姓は奴崎名は娑婆蔵
人呼んで『八ツ裂き娑婆蔵』
全員まとめて八ツ裂きにしてやりまさァ
・『影業』で自転車のフレームを造作し、そこへ風火輪『火車』を前後の車輪として填め込むことで、乗り物を即席で創造し搭乗(臨機応変)
・敵陣の虚を突けとばかり、敵行軍の最先頭目掛け自転車を猛烈に漕ぎ一直線に突貫(勇気+突撃)
・【龍咬斬「奴岐大蛇」】発動
・攻撃範囲をフルに振るい、敵部隊の行軍隊列の外縁をあちこち横殴りに薙ぐように打ち込んで回る
・剣から伸ばす攻撃の八条の軌跡を細密に【オーラ操作】し、より的確に敵群を斬らん
・敵頭数に包囲される危険を見る前にそのまま反転、離脱
アズ・ライト
私は首都高の大部隊を叩く!
イマジナリキャノンで、かつてここで戦ったディアボロス達の幻影を呼び覚ます!
さぁ、行こうぜ先輩達! もうすぐだ。私達は必ず、歴史を奪い返す!
そのために、邪魔な彫像をぶっ壊しにいこう!
弾幕と解体で、お前たち彫像の残骸と瓦礫で首都高を塞いでやる!
全部ぶっ壊すなんて無理だ。でも、これで時間稼ぎにはなるはずだ
引き際はしっかり見極め、囲まれたり、退路を絶たれる前に引く
そのために、弾幕を張り続けて、首都高に煙幕と砂埃を起こす!
相手の視界を邪魔して、味方の撤退支援だ。空中からの狙いも付けづらくしてやろう
撤退の際、邪魔になる瓦礫は隔離眼で撤去!
退路を塞いだんじゃない。隠してたんだよ!
ハインツ・ゼーベック
「多数には多数でいけばよろしい」
そして敵は首都高を移動中。となれば。
「下から崩すのが一番だ」
高架上になっている首都高近くのビルの屋上に陣取り、砲兵火力による蹂躙を発動。首都高左右のビルに砲兵を展開。
首都高の支柱を破壊する砲撃、そして首都高上の敵を砲撃して釘付けにする部隊とにわけ、攻撃。
パラドクスの発動は敵より遠いと威力が下がる。だが発動するのは近く。召喚する場所は遠距離であればどうかな?
相手が攻勢に転じる前に部隊を残して自分は撤退。所詮は召喚で生み出した兵士である。失っても痛くも痒くもない。
●
首都高1号線を北上するピグマリオン・プッティの大部隊。
物言わぬ彫像たちの進軍を、アズ・ライト(悪食・g00065)が迎え撃つ。
大軍を前に周囲にはアズ1人。怯える心を押さえつけて、彼女はいつもの『アズ』を纏った。
「来たな、待ちくたびれたぜ」
敵を前に不敵に笑え——自分に言い聞かせる。
堂々と胸を張り、ピンと背筋を伸ばし、口の端を釣り上げる。
そして、パラドクス『イマジナリキャノン』を発動させた。二車線道路の中央に陣取っていたアズを中心に、車線をふさぐように散っていった戦士たちの幻影が出現する。
「さぁ、行こうぜ。先輩達!」
それは自分に言い聞かせる声でもあった。大軍を前にした恐怖を押さえ込む。幻影の戦士は火砲を手に敵へと向かい合う。
「もうすぐだ。私達は必ず、歴史を奪い返す!」
戦士たちの放った砲弾が、こちらへと飛び込んでくる彫像たちへ炸裂した。
●
「ふむ、始まったか」
ハインツ・ゼーベック(好奇心は猫を殺す・g00405)が眼下で始まった戦いを見下ろす。
彼がいるのは背の高いビルの屋上である。首都高と隣接したその場所は、戦場を一望できて、指揮を取るにはうってつけであった。
「こちらも始めよう。多数には多数でいけばよろしい」
ハインツはすでにパラドクス『砲兵火力による蹂躙(フォイエクラフト)』による砲兵隊を、首都高を挟んだ左右のビルに配置してあった。
正面からのアズのものに加えて、両側面からの合わせて三方向からの砲撃が首都高上の彫像たちに浴びせられていった。
敵の進軍経路が判明しているのだ。自軍に最も有利な戦場に布陣して効果的な打撃を与える。
それは、ハインツにとって当然の思考の帰結であった。
●
彫像たちを襲う間断のない砲撃。巻き起こる爆炎と轟音。正に鉄火場である。その真っ只中へと突貫するチャリンコがあった。
「でけぇ抗争(カチコミ)の前哨戦……あっしにも滾るもんがございやすわな」
全身を包帯で覆われた赤い目の侠客。奴崎・娑婆蔵(月下の剣鬼・g01933)その人である。
ディアボロスの身体能力でペダルを回す娑婆蔵のチャリンコは、尋常でない速さで加速する。
手はハンドルから離れて腰に差した黒い鞘に。シャッとすれる音を立てて妖刀『トンカラ刀』を抜き放つ。
両手で握った刀を横に構える。ペダルをこぐ足は止まらない。顔を真っ正面に戦場へ向けて娑婆蔵は名乗りをあげる。
「手前、姓は奴崎名は娑婆蔵。人呼んで『八ツ裂き娑婆蔵』ともうしやす——」
直後に前方にアズの戦士の放った砲撃が炸裂し、さらに左右からもハインツによる砲撃が乱れ飛んだ。連鎖的に巻き起こった爆炎の中に娑婆蔵のチャリンコは突っ込んでいった。
爆炎の中、飛んでくる火の粉に炙られ、娑婆蔵は真っ赤な目を大きく見開く。
「妖刀憑依」
妖刃から包帯のようなものが飛び出し、その姿を蛇のように変化させる。
否、それは蛇ではなく——。
「龍咬斬「奴岐大蛇」(リュー・ウロボロスブレイド)」
八頭の龍。チャリンコが彫像たちの間を走り抜ける。同時に真横に構えた娑婆蔵の妖刀から先分かれた八条の軌跡が戦場を通り抜けた。
「全員まとめて八ツ裂きにしてやりまさァ!」
その一撃は伝説の如く。戦場で荒れ狂う龍が彫像を切り裂き、砕いていった。
●
「火力を集中、蹂躙せよ!」
「手は止めねえぞ! お前たちの残骸と瓦礫でここを塞いでやる!」
ハインツとアズの張り上げた声が砲撃の爆音にかき消される。また一体、一体と破壊される彫像たちの欠片が戦場に積み重ねられていった。
とは言え敵は大軍である。爆発を抜けて飛び出した彫像がアズに身体ごとぶつかっていった。
衝撃でミシリと身体から嫌な音がした。ここまでの激戦で敵から攻撃をくらうのはこれが初めてではない。これまで蓄積されたダメージに、身体が悲鳴をあげるのが分かった。
「まだだ、あと少しでも……」
ふらつきながらもアズは両脚でしっかりと立つ。少しの時間でも長く敵を足止めできれば、他の場所で戦うディアボロスたちの援護になるとアズは考えていた。
「いや、ここは撤退すべきだ。危険を冒す盤面ではない」
感情を抑えた平坦な声で、ハインツがアズに言う。ハインツの見立てでは、このまま敵を壊滅できるかは五分五分。ここまで十分に善戦した結果だが、これ以上を望む必要性もない。
そう言われれば、アズも拒む道理はなかった。
そして、撤退に向けて2人が動こうとした所で——。
「お前達が、ザドキエルが言う新たなディアボロスか」
空からの声。2人の背筋がゾワリと凍えた。
顔を上げたアズが目を見張る。苦虫を噛み潰したようなハインツの顔。
「うそ……なんで?」
「まさか、ジェネラル級が出現とは……」
大田区の支配者『創造のピグマリオン』が2人の視線の先にいた。
●
「ハインツの旦那、アズのお嬢!」
異変に気づいた娑婆蔵もその場に駆けつける。
そんなディアボロスたちの動揺など意にも介さず、創造のピグマリオンは言葉を続ける。
「ディアボロスは、あの決戦で全滅させたはずだったのだがな」
そして周囲を無造作に見渡し、再び3人へと目を向けた。
「何やら不思議な力で、計画の先回りをしているという話だが……、この程度の力ならば、どうという事は無い」
「随分と大上段からおっしゃいますわなァ。ここでお前さんの首をあっしらが取ったら、大金星でござんすよ」
創造のピグマリオンを真っ向から睨みつけ、娑婆蔵が妖刀を構える。たが、創造のピグマリオンはチラリと娑婆蔵を見て、つまらなそうに片手を上げた。
突如として空を覆い尽くす無数の彫像。
それはこれまで3人が撃破した彫像の数倍に匹敵した。
次の瞬間、彫像が3人に襲いかかった。
「こんなの……」
「退くよ。我々にここで犬死は許されない」
「準備はようござんすか、お二人さん。舌を噛まねぇよう注意を」
その場で崩れ落ちそうになるアズをハインツが支える。2人を後ろに乗せて娑婆蔵はチャリンコを必死にこぐ。
殺到する彫像。ハインツは砲兵を盾にする。
「これだけの兵力差では、大した時間稼ぎにもならないか」
「こんな所で、死ぬわけにはッ——!」
立ち直ったアズも砲撃を再開し、弾幕を張る。
道を塞ぐ瓦礫。ハンドルを切ろうとした娑婆蔵を制して、障害物を『隔離眼』で撤去する。
おかげでチャリンコは舗装された首都高を一直線に進む。あっという間に戦場が遠ざかった。
撤退する3人を、彫像たちが追ってくる気配はなかった。
「……」
「支配者自身が出てくるとはね」
無言のアズ。憮然としたハインツ。
「あっしらを舐め腐ったあの態度。次の抗争(カチコミ)で後悔させてやりまさあ」
娑婆蔵の赤い瞳の中に薄昏い炎が揺らめいた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!