リプレイ
ルウェリン・グウィンリウ
アイルランド――僕にはヒベルニアという呼び名の方が馴染み深いけど、酷い有様のようだ。
ゲール人にはブリテンを度々荒らされた怨みはあれど、関係のない者まで奴隷以下の扱いを受けるのは間違っている。
力になろう。
◆
まずは確実に戦力を減らそう。
遠目から敵の動きを観察。
D班らしき部隊が姿を消した隙に、他の巡回している班を狙おう。
物陰等から隙を伺い、他の部隊が近くにいないタイミングに仕掛ける。
石などを投げて別の方向に注意を逸らし、【竜翼翔破】で上空から奇襲。
一体を降下の勢い乗せた斬撃で屠り、他の二体もそのまま仕留めにかかろう。
斧や岩の投擲での反撃が来れば、飛翔して回避を試みるか、盾で受け流して身を守ろう。
何かが入った袋を抱えた特務竜部隊『ジャメヴ』D班がベルファスト市街へと去って行く。
上空からそれを見送ったルウェリン・グウィンリウ(灯火の騎士・g02040)は降下すると、雪を被った梢に身を隠した。眼前にはアイルランドの都、ベルファストを守る城壁が佇んでいる。
知らず、剣を持つ手に力がこもる。彼にとってアイルランド――古称ヒルベニア――とゲール人は因縁の相手だ。故郷のブリテン島を荒らされた怨みは忘れられない。
しかし争いと関係ない者が奴隷以下に虐げられることを見過ごすつもりもなかった。
「力になろう」
悲惨な扱いを受ける人々を解放するために戦う。その決意を独り言ち、改めて剣を握りしめた。
やがて城壁から聞こえた足音に、気配を殺して様子を窺った。
眼下の扉が開き一体の竜鱗兵が現れる。彼はしばらく周囲を見回してから頭上へと声を放った。
「何事もなし。そっちは」
「雪と木しか見えん」
二つ目の声は城壁から上がった。見れば回廊にもう二体がいる。地上に出る扉のある場所では上下に分かれて目視で警備するのだろう。
好機だ。
ルウェリンは回廊の窓に石を投げ込んで上の二体の注意を逸らすと、孤立した下の一体を急襲した。
獲物を狩る鷲の如き一撃に竜鱗兵の反応は間に合わない。回廊の二体が物音に気付いて目を向けた時には、地上の仲間は首を失い、血の滴る剣を手にルウェリンが飛びかかってきていた。
「敵襲だ!」
「遅い」
狙われた竜鱗兵は斧を構えたが一手足りなかった。ドラゴ・アニムスが防御より早く二体目の胴を斬り捨てる。
斬り抜けた勢いで上空へ飛んだルウェリンは軽やかに反転した。三体目を仕留めるべく探すと、その竜鱗兵は被害状況と襲撃者の数を叫びながら回廊を駆けていた。
「なるほど、精鋭部隊か。面倒だな」
すかさず追いついて剣を振るう。背後から貫かれた竜鱗兵は最後に現在地を吠え、動かなくなった。
砦の警鐘が鳴った。物々しい集団の気配が近づいてくる。
ルウェリンは剣と円盾を構え、迫りくる敵を迎え撃った。
大成功🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
立花・束紗
「あの人…ハイランダー?」
先行するディアボロスの騎士を見つけ
便乗して仕掛ける判断を下す束紗
味方が奇襲をかけて、敵の注意が向いた隙に
別方面から【不意打ち】
物陰から狙い撃つ感じで、真熊の杖から【追跡】する【誘導弾】を放ち
力強い詠唱からの【熊送り】
「イ〜オ、マンテェ!」
街の窓、排水溝、地面のあらゆる穴と口が砲口と化しマグマを吹く
炎の中に潜む熊の精霊が竜鱗兵に強烈な一打を浴びせ
そのまま噴流に引き込んで空へ打ち上げる
はじめから【一撃離脱】できる間合いを確保しておき、長居しない
幼くして歴戦の冒険者が身に付けた、ゲリラ戦法
調査目的で来て、戦う羽目になったけど【幸運】に感謝
「だいじょうぶ、わたし、運がいい」
「あの人……ハイランダー?」
城内へ突撃するルウェリンを立花・束紗(ドラゴンに花束を・g05669)が見守っていた。彼女はハイランダーと呼ばれる勇猛な騎士のことを知っていた。
開かれたままの扉を前に考えるうち、妙案が閃いた。先行したあの騎士を陰ながら援護するのだ。物陰に潜んで敵の不意を打ち、隠れる場所を次々に変えれば、それは立派なゲリラ戦法となる。
砦に侵入すると同時に警鐘が鳴った。先を急ぐと臨戦態勢を取るルウェリンの姿が見つかり、彼もまた束紗に気付いた。
敵の足音が近い。
束紗が空き室に身を滑り込ませるのと、通路の先からジャメヴの三体が顔を出すのはほとんど同時だった。襲撃者を発見した竜鱗兵たちが雄叫びを上げて隠れた部屋の前を通り過ぎていく。
「だいじょうぶ、せーふ」
ほっと息を吐いて廊下を見る。三つの背中が無防備にさらけ出されていた。戦闘はルウェリン優位に進んでいるが、その奥から新手の気配が迫ってきている。さすがに挟撃されるのは危険だろう。
真熊の杖をそっと取り出し、隙だらけな竜鱗兵へと先端を向ける。
「もうすぐ仲間が来るぜ。そうすりゃお前もお終いよぉ!」
「イ~オ、マンテェ!」
「は?」
勝ち誇る竜鱗兵の言葉に幼くも力強い詠唱が被さる。背後から聞こえた声の主や詠唱の意味に覚えがなかった彼は唖然として振り返った。
その時、廊下にある扉の鍵穴から突如としてマグマが噴出し、竜鱗兵を飲み込んだ。膨れ上がる溶岩の中で悶える彼の前に、炎に潜む熊の精霊が姿を現す。精霊が強烈な一打で彼をかち上げると、城の天井は衝撃に耐え切れず破れ、マグマの柱を天へと伸ばした。
竜鱗兵は噴流のままに空へ放り出され、やがて燃え尽きた。
戦果を上げた束紗は部屋を抜け出して大きな柱の陰に身を寄せる。残る二体は既にルウェリンが始末していた。
やがて奥から現れた新たな三体の竜鱗兵は、またもや束紗に気付かず、柱の前を通り過ぎる。
「やっぱり、わたし、運がいい」
幸運へと感謝しつつ、こっそりと杖の狙いを定めた。
成功🔵🔵🔴
効果1【動物の友】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
九条・雅
人々を苦しませる奴らがいるなら放っては置けない。とはいえ。がっちり監視されてるね。仕掛けるにはタイミングを計らないと。
他の復讐者が十分かき回してるようだね。更に引っ掻き回そうかね。
【飛翔】で上空から奇襲して【火炎使い】で焼き払ってやる。敵が混乱しはじめたら【ダッシュ】で敵の陣中を走り回りながら【薙ぎ払い】でとにかく敵を倒していく。【残像】で回避も忘れない。増援がくるようなら【グラップル】で敵の一人を増援の群れに蹴り飛ばして混乱させてやるか。ああ、苦しむ人達を思えばこいつらの行為は絶対許せない。跡形もなく倒してやるさ。
エアハルト・ヴィオレ
少し出遅れましたか。知り合いが先行しているはずですので後に続きましょう。大分先行組がかき回してるはずですが統率された軍ですので油断せずに行きましょうか。
全情報通りD班がいなくなったタイミングを狙います。【情報収集】【観察】【戦闘知識】で敵集団の動きを観察し、【弾幕】【制圧射撃】【連射】で牽制。敵の陣の隙を【看破】したら【ダッシュ】で一気に斬りこみ、【両断】を合わせたレボルシオスラッシュで攻撃。
【残像】で回避はしますが、敵は集団なので、危なくなったら【一撃離脱】でその場を離れ、【光使い】で目くらましした上での【風使い】での攻撃に切り替えます。ええ、打てる手は全て使いますとも。
砦の雪化粧が幾度とない熊送りによって溶けていく。残存する特務竜部隊『ジャメヴ』は立ち昇る火柱を目印として集結しつつあった。
ジャメヴは市街に下りたD班を除き、既に半数の人員を失っている。砦に残った戦力である指令塔本部と、控えに回っていた計三班は総動員で侵入者の排除に動き出していた。
警鐘が設置された鐘楼から本部班である竜鱗兵たちが息せき切って出動する。
その様を上空から捉えた九条・雅(赫焉のパシオン・g03417)は鯉口を切ると、彼ら目掛けて急降下した。
赫焉の刀に纏わせた炎の赤が雪の白に閃く。三体のうち最も後ろを走っていた竜鱗兵に狙いを定め、赤熱する刃でその脚を切り裂いた。
竜鱗兵がどうと倒れる。先行していた二体は振り返り、状況を一目見るやいなや戦闘態勢に移行した。一体が斧を掲げて果敢に突撃してくる。もう一体は床を砕くと、その破片を斧のフルスイングで撃ち出してきた。
「今だよ、エアハルト」
「承知しました、雅」
突進を受け止めた雅が友の名を呼ぶ。それに応じる声がしたかと思うと、床の破片はどこからか飛来した銃弾によって粉々に撃ち落された。
敵を挟み撃つように回り込んでいたエアハルト・ヴィオレ(宵闇のエヴァンジル・g03594)が、射撃を終えた銃の代わりに信念の剣を抜いて戦場に飛び込む。宵闇色の尾を引き、下がっていた竜鱗兵へと斬りかかった。
雅とエアハルトは各々が受け持った竜鱗兵をたちまちのうちに斬り伏せると、最初に倒れた一体に止めを刺した。
「ひとまず仕留めたか。それにしてもさすがだよエアハルト。アンタの読み通りこいつらは鐘楼から出て来たね」
エアハルトの理知的な瞳がきらりと光る。
「先ほど警鐘が鳴りましたからね。孤立した一部隊がここにいるのでは、と思いました。こうも上手く事が運んだのは、雅、率先して切り込んでくれた貴女のお陰ですよ」
称賛しあう二人の瞳には互いへの強い信頼が浮かぶ。刀を鞘に納めた雅は竜鱗兵の死体を一瞥して尋ねた。
「さて、残るはあと何体だい?」
エアハルトが戦況を振り返る。思考時間は一瞬にも満たなかった。
「城内に六、城外に三。統率された軍は厄介です。合流される前に各個撃破するべきでしょう」
会話を切り上げて走り出す。目指すはまたもや空へと噴出し始めた火柱の根元だ。
やがて、先導する雅の耳に戦闘音が届いた。その内容に眉をしかめる。ディアボロスとジャメヴが拮抗しているようだ。続いて音を耳にしたエアハルトも事態を察した。共に足を速めて回廊を曲がる。
そこではルウェリンと束紗が竜鱗兵六体を相手取って激戦を繰り広げていた。三体程度であれば優位に立てるディアボロスも、数が揃って真価を発揮したジャメヴが相手となるとまるで勝手が違った。じりじりと押されつつある。
「合流されていましたか!」
「助太刀するよ!」
言うが早いか雅は臆せず敵陣へと突っ込んだ。我武者羅に、とにかく目の前に立つ敵へ刃を振るい、時には蹴り飛ばしていく。
「馬鹿な、増援だと!?」
優勢に喜色を浮かべていた竜鱗兵が驚愕する。奇襲によってジャメヴは刹那の混乱に陥った。
その隙にエアハルトも切り込む。浮き足立った敵のもとへ一息に駆け寄り、力強い両断の一刀で重傷を与えた。さらに冷静な者が陣を立て直そうとするのを見逃さず、あらゆる手で指示を妨害する。
そして余裕を取り戻したルウェリンと、ゲリラ戦法を再開した束紗も攻勢に加わった。
特務竜部隊の意地にかけて踏ん張るジャメヴだが、一体が倒れるとそれを皮切りに総崩れとなった。次々に数が減っていき、とうとう最後の一体も力尽きる。
戦闘を終えたディアボロスたちが状況を整理しようとするのと、砦の扉が乱暴に開け放たれるのは同時のことだった。
見れば三体の竜鱗兵が血走った目で斧を構えている。所用を終えたD班が市街から帰ってきたのだ。
「俺らの留守にやりやがったな、手前ぇら」
「街の人を苦しめるアンタたちが言えたことか」
「ええ。許せはしません」
竜鱗兵の恨み言を雅が切って捨てる。エアハルトが追随すると、D班は獣性を剥き出しに吠えて襲いかかってきた。
理性を捨てた竜鱗兵など敵ではない。そもそも数ですらこちらが勝っているのだ。
程なくして特務竜部隊『ジャメヴ』が全滅し、騒がしかった砦に静寂が戻る。
その内側の門から出たディアボロスたちは荒れ果てたベルファストの街を見下ろした。沈黙に沈む白い街に、身を刺す寒さが一段と堪えた。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【士気高揚】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ラストリベンジ】LV1が発生!
テラ・ウィンディア
…エルフだけじゃなくて人間までこうして弄ばれてるのか…!
怖いな…だけど…負けるもんか
【飛翔】で飛来するぞ
【精神集中】
竜麟兵の動きと陣形を把握してその隙を狙いやすい部位
攻撃の癖や動作を把握
もうお前達の好きになんてさせないぞ!(立ち向かう小さなエルフ
両手を向けて…星覇重撃破発動
容赦なく薙ぎ払うぞ
対POW
【空中戦・飛翔】
民衆達に安心しろと笑みを浮かべた所で
拷問具の攻撃に対して軽やかに飛んで回避しつつ
【連続魔法・誘導弾・念動力】
火炎弾を乱射して怯ませつつ拷問具を念動力で操り逆に刻むっ
それがお前達が皆に与えた痛みだ!やられる方の苦しみをたっぷりと味わえ!(それはきっと民衆達の想いでもある筈!
テラ・ウィンディア(炎玉の撃竜騎士・g05848)がベルファストの空を行く。
眼下を流れる街並みは悲惨と言うほかない。打ち壊された家屋が雪に沈み、その陰に痩せ細った人々が点々と縮こまっていた。
「人間までこうして弄ばれてるのか……。怖いけど、負けるもんか!」
故郷を滅ぼされたときの恐怖が胸をよぎる。だがそれを勇気と怒りで跳ね返し、エルフの少女は敵を探した。
不意に、凍てつく風切り音に下卑た笑い声が混じる。
「ワルい子見つけたぁ」
「やだっ」
澄ませた耳に届いたのは嗜虐を隠さぬ濁った声、続けて幼い子供の悲鳴。
現場に急行したテラの目に映ったのは、拷問竜鱗兵が小さな女の子に掴みかかろうとする姿だった。
「やめろぉー!」
急加速してその間に割り込み、女の子を抱き上げる。涙の溜まる目をぱちくりとさせる女の子に微笑むと、拷問竜鱗兵から遠ざけて地に下ろした。
周囲には成り行きを見守るしかなかった市民たちがいる。彼らは絶望の眼差しをテラに向けていた。
「なんてことをしてくれたんだ。あの方に逆らうとは……」
「超絶ワルい子発見だぁ!」
背後からどすどすと重い足音が近づいてくる。
テラは女の子を話しかけてきた男に託し、輝く笑みを市民たちに振り撒いた。
「安心してくれ。もうあいつらの好きにさせないからな」
すぐそこに迫った拷問竜鱗兵が拳を振り下ろす。それをテラは軽やかに飛んで回避した。
「食らえっ」
全身を覆う重力波が収束し、揃えた掌から星覇重撃破が放たれる。歪んだ空間が弾けて雪と血を舞い上げた。
拷問竜鱗兵がおぞましい悲鳴を上げる。頭陀袋の奥の眼球がギョロギョロと動き、怒りに赤く染まった。
「打楽器にしてやるよ、エルフゥ!」
反撃に振り上げられた鞭が腕をしたたかに打つ。
テラは走る痛みに耐え重力で鞭を絡め取った。そのまま鞭を操って、拷問竜鱗兵の頬を力強くはたいた。
「それはお前がみんなに与えた痛みだ! やられる方の苦しみをたっぷり味わえ!」
「小さい癖に生意気だよお前ぇ!」
拷問竜鱗兵が打たれた頬を押さえ涙目で叫ぶ。
恐怖の象徴と渡り合うテラの姿に、人々は困惑とかすかな期待を抱き始めていた。
成功🔵🔵🔴
効果1【飛翔】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
九条・雅
拷問兵ね。元々一般人の平穏を護って来た戦闘集団にいたアタシにとって得にぶっ倒さねばならない性質の敵だ。人々を安心させる為に。残さず排除するか。
得物や体躯から攻撃は大振りなはずだね。【残像】で攻撃をかわし、【オーラ操作】でダメージを軽減、精神的な攻撃は【呼吸法】で精神を整える事で耐える。
攻撃を凌いだら【斬撃】【連撃】で鮮やかな明星の一撃の【薙ぎ払い】で醜悪な敵を一掃。敵の群れに「罪なき人を虐げる悪党は消えな!!この人達はアンタたちが好き勝手していい道具ではないんだ!!」と一喝。「さあ、黄泉の国に消えな!!」と【グラップル】で敵を蹴っ飛ばす。
堂々とした振る舞いで住民に希望を示すよ。
静けさの中で戦闘音はよく目立つ。街を徘徊する拷問竜鱗兵や、わずかに気力の残る市民たちはその音を聞きつけて、戦場に集まり始めていた。
たどり着いた拷問竜鱗兵は仲間が追い詰められているのを見て取ると、拷問具を抜いて加勢に入った。テラの戦いを見守っていた市民たちは多勢に無勢だと暗澹たる思いに囚われる。
そこに九条・雅(赫焉のパシオン・g03417)が駆けつけた。
「待ちな!」
過去においても、一般人の平穏を守るため戦闘集団に身を置いていた雅を怒りが焦がす。力なき者に理不尽な痛みを強いる拷問竜鱗兵は必ず排除しなければならない敵だった。
抜き放った刀の輝きが周囲を照らす。その切っ先を突きつけ、一喝した。
「罪なき人を虐げる悪党は消えな。この人たちはアンタたちが好き勝手していい道具ではないんだ!」
言葉が市街に響いた。その内容は人々の味方であることが明らかだ。
拷問竜鱗兵を悪と断じる雅に、市民の視線が注がれる。
一方で当の悪党たちは特に感じ入った様子もなく、嬉しそうに舌なめずりしていた。
「随分活きのイイ薪が来たぞ。今日はパーティーが開けそうだ」
拷問用のナイフが躊躇なく振るわれる。
鈍重な一撃を避けた雅は力強く巨体を蹴飛ばした。
バランスを崩した拷問竜鱗兵が仲間を巻き込んで尻もちをつく。ダメージはないだろうが、転倒する様は滑稽だ。
「さあ、黄泉の国に消えな!」
刀を構え直した雅は起き上がる拷問竜鱗兵に斬りかかった。明星の一撃が鮮やかな弧を描き、醜悪な胴体を深く切り裂く。
苦痛に暴れる腕がナイフをぶんぶんと振り回し、血をまき散らす。
雅は呼吸を整え、一足一刀から踏み込んだ。ナイフも血もかいくぐり、流麗な一閃が拷問竜鱗兵の息の根を止める。
「次に斬られたいのはどいつだい?」
鋭く殺気を放つ雅に誰しもが息を呑んだ。
笑みを失った拷問竜鱗兵が怖気づいたように後ずさる。
どこからか、かすかに「がんばれ」という声が届いた気がした。
大成功🔵🔵🔵
効果1【平穏結界】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
立花・束紗
困ってる人を見かけたら、助けてあげなさい
親代わりの執事から、繰り返し聞かされた言葉
ヒーローらしく戦う…それは、生き別れた兄の役目
自分は、勇者を支える魔法使い
【飛翔】【士気高揚】【勝利の凱歌】を使用
味方の後ろから付いていき【稲迎那】で敵の足止め
離れた間合いで稲魂の笛を吹き鳴らせば
巣穴から顔を出すチンアナゴの如く、クダギツネがにゅっと出て
電光石火の突撃で拷問竜鱗兵に噛みつき感電させる
払い除けようとする敵には、影を噛んで呪縛
(アイルランドの人には、異国の妖精に見える?)
ネメシスの力が溜まってるので、笛も伸びて
雷光の刃持つ大鎌形態に
隙を見て【不意打ち】【一撃離脱】で鮮やかに
すれ違いざまの一閃を
立花・束紗(ドラゴンに花束を・g05669)の記憶に焼きつくものが二つある。
一つは親代わりの執事から繰り返し繰り返し聞かされた「困ってる人を見かけたら、助けてあげなさい」という言葉。
もう一つは生き別れになった兄の戦う姿。束紗にとってヒーローの役目は兄のものだった。
執事と兄。二人の影響を受けた束紗はいつしか自らの立ち位置を定めたのだ。
(「わたしは、勇者を支える魔法使い」)
地上ではまさに勇者にふさわしい者たちが戦っている。彼らを手助けするのが自分の役目なのだ。
勝利の凱歌を響かせて、束紗が戦場へと舞い降りる。勇気と希望をもたらす歌に市民たちは聴き入った。
テラと雅の活躍によって、この場に集まった拷問竜鱗兵は着実に数を減らしているが、それでもまだ油断はできない。民衆を鼓舞するため、効率よりも見栄えを意識しなければならないこの戦いは、ディアボロスにとって不利なものだ。
数に物を言わせた拷問竜鱗兵が前線の二人を取り囲む。一斉に襲いかかる種々様々な拷問具に市民たちから悲鳴が上がった。
助けるなら、今がその時だ。
「稲の妻、天より下りて実りもたらせ! イナゲイナ!」
稲迎那を詠唱した束紗が稲魂の笛を吹き鳴らす。雅な音色に誘われて、笛の中からクダギツネがにゅっと顔を覗かせた。雷光を纏うクダギツネが呼ばれた理由を探して首を回す。そしてディアボロスを囲む拷問竜鱗兵たちを目に留めると、一目散に飛んでいった。
「あば、あばば」
電光石火の突撃を食らった拷問竜鱗兵が動きを止める。クダギツネに噛みつかれた者は感電するのだ。
一体が痺れたことにより、包囲に綻びが生まれた。テラと雅はその穴から包囲を脱すると、団子状に固まって数の利を活かせなくなった拷問竜鱗兵たちに反撃した。
「オレを動けなくしたのはお前だなぁー! 縛るのはオレの役目だぞ!」
感電から復帰した拷問竜鱗兵が鎖を手に束紗へ挑みかかってくる。
襲いくる巨体を前に束紗はネメシスの力を解放した。稲魂の笛が形を変え、雷光の刃を持つ大鎌となる。
クダギツネが巨体の影を噛む。すると拷問竜鱗兵は束紗の目の前でつんのめった。
「こまってる人を助けるのは、わたしの役目!」
倒れ込む体にタイミングを合わせ、束紗はすれ違いざまに大鎌を振るった。雷鳴が轟き拷問竜鱗兵が動かなくなる。
束紗の想いを聞き、戦い振りを見た市民たちは、勇気を振り絞って歓声を上げた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【傀儡】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
ルウェリン・グウィンリウ
一時は危なかったけど、皆のお陰で何とか突破できた。
けど安心してもいられない。捕まったらしい人を急ぎ救出しよう。
◆
最高速の【飛翔】で肉屋まで急行。
剣で盾を打ち鳴らし、敵を誘き出そう。
アンブロシウス・アウレリアヌスが戦士団の一員、ルウェリン。
名誉ある戦など望めぬ相手だろうが、手を抜きはしない。
竜鱗兵が出て来たら旋回するように飛び回り、数の利を活かせぬように攪乱しながら斬撃を浴びせていこう。
民衆たちには恐怖の象徴であった奴らを翻弄する姿をしっかり眺めさせ、少しでも慰めにして貰おう。
最後は【ランタン・ベアラーズ】の眩き槍の光閃で貫き、トドメを。
これは灯火。文明の光。夜は日の出で終わる定めだ。
その頃、ベルファストに唯一残った肉屋の店先にはルウェリン・グウィンリウ(灯火の騎士・g02040)が立っていた。
ジャメヴに捕まった何者かが肉屋へ連行されたという話を彼は忘れていなかった。
肉屋の中からは鼻唄と鉄がすり合う音が聞こえる。拷問竜鱗兵が拷問を準備しているのだ。
気を引くため剣で盾を打ち鳴らすと、鼻唄が止まった。扉が開いて不機嫌そうな拷問竜鱗兵が顔を出す。
「イイところだったのに。誰だぁお前?」
「アンブロシウス・アウレリアヌスが戦士団の一員、ルウェリン」
「……騎士様?」
朗々たる声を聞きつけて、付近の市民が気力を張ってやって来る。彼らは勇ましい名乗りの意味こそ分からずとも、それが誇りある戦士のものだと分かったのだ。
痛いほどの期待を背負って戦士は決闘の構えを取った。
「名誉ある戦など望めぬ相手だろうが、手を抜きはしない」
一言を引き金に地を蹴った。
翼を広げたルウェリンが天地を我が物に飛び跳ねる。速さについてこれぬ拷問竜鱗兵を翻弄し、四方八方から斬りつけた。
怒りに任せた拷問竜鱗兵の反撃がルウェリンの影を追って虚しく空振った。
民衆が熱い涙をこぼす。突如現れた謎の勇士が恐怖の象徴である拷問竜鱗兵を手玉に取る光景は、かつて夜毎に夢想した物語だった。そんな夢を見ることすら諦めてからどれほど経ったのだろう。
いつしか声援がルウェリンの背を押していた。思いがけず得られた名誉に、口の端がわずかに緩んだ。
「何だよそれはぁ!」
疲れ果てた目を焼く光に拷問竜鱗兵が手を掲げる。ルウェリンが翳した手には眩い光を放つ投槍が出現していた。
「これは灯火。文明の光。夜は日の出で終わる定めだ」
瞬間、閃光が奔った。降り積もる雪よりも白く、世界の何もかもが光に呑まれる。
発光が収まり人々が視界を取り戻した時には、自分に何が起きたのかも分からぬまま、槍に貫かれて事切れた拷問竜鱗兵の骸が転がっていた。
静まり返る空気の中、ルウェリンは肉屋へと入った。悪趣味な内装を努めて見ずに目的の人物を探す。そして傷だらけで眠る、ジャメヴに捕縛されたらしき青年を発見した。幸い命に別状はないようだった。
活性治癒で癒した青年を連れて外へと戻る。命を諦められていた青年の生還に市民は驚き、これが夢ではないかと疑い、やがて現実だと理解した。
割れんばかりの喝采が静寂の街にこだました。
大成功🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
エアハルト・ヴィオレ
住民のフォローは仲間に任せますか。私は情報集めの方を。
この世界は竜と関りが深い。竜の花嫁の生贄儀式とは物騒ですね。
この世界のアーサー王はどうかは知りませんが、アーサーの父王の姓がペンドラゴンのはずですね。さて、関りがあるかどうか。
ベルファストの皆さんに伝説に詳しい方や老人の方に【プラチナチケット】を使って【情報収集】します。「竜の花嫁」について少しでもいいから知らないか、と聞きます。じっくりと話を聞いて頭に叩き込みますね。
とてつもない伝説を聞き出す訳ですから、思い出したりするのに時間がかかる場合もじっくり待って丁寧な態度で接します。ただでさえ大変な目に会ったばかりですし、穏やかに対応を。
拷問竜鱗兵からベルファストを解放したディアボロスは次に、街の人々に対する支援を始めていた。
夢のような奇跡に花を咲かせて喜ぶ者もいれば、喜び方を思い出せずぎこちない微笑みを浮かべる者もいる。
そんな市民たちを涙ぐんで見守る老婆のもとにエアハルト・ヴィオレ(宵闇のエヴァンジル・g03594)がそっと寄り添った。
「失礼、お隣よろしいでしょうか」
「ええ、ええ。ぜひお座りください」
老婆は吹けば飛ぶような儚い肉体と裏腹に、瞳には褪せぬきらめきを宿していた。エアハルトが世間話に誘うと彼女は喜んで会話に乗った。
老婆は記憶も言葉遣いもはっきりしていた。誰かと会話すること自体が活力となるのか、体力にも問題ないようだった。
しばし歓談したエアハルトはいよいよ本題を切り出した。
「ところでマダム。私はいま『竜の花嫁』について調べものをしているのです。ご存知のことがあれば、少しでもいいのでお教え願えませんか」
ゆっくりとした口調で急かさぬよう心がけて問う。つい先ほどまで大変な境遇にあったのだから、無理を強いてはいけないという想いがエアハルトにあった。
エアハルトの紳士的な気遣いに老婆は少女のようにはにかんだ。彼女は、まだ若い頃に聞いた話ですけれど、と前置きしてから知る限りのことを語った。
「竜の花嫁は、竜に見初められた人がなるものだと聞きます。血筋や地位とは関係なくある日突然、竜によって選ばれるのだと。結婚すると贅沢し放題だとか、普通の赤ちゃんではなく竜の卵を産むことになるとか、そんな噂を聞きました。卵を産んでもいいから贅沢したい、なんてことを言う娘もいましたねぇ」
老婆は遠い目をした。
「でも私たち人間には選ぶ権利どころか拒む権利もないようで、最愛の人と引き離されることになると伝わっています。実際にそういう悲恋があったらしいですね」
しばらく老婆は話の続きを探したが、やがて緩やかに首を振った。どうやらこれで全てのようだ。
話の礼を言ったエアハルトは頭の中で情報を整理した。
(「内容に間違いはなさそうですが、伝聞ですので実態は噂そのままというわけではないでしょう。生贄というキーワードも出ていない。民衆の憶測や願望なども混じっているかもしれません。より実態に近い情報を得るには、イギリス本土へ行くのが早道でしょうね」)
エアハルトはまだ話し足りないという老婆に付き合って、静かなひと時を過ごした。
大成功🔵🔵🔵
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
ルウェリン・グウィンリウ
さあ、もう心配は要らない……のだけど、皆いまにもぶっ倒れそうだね。
ひとまず暖かい食事だ。
◆
住人たちにまだ使える薪や炉が残ってないか確認。
あればそれで火を熾し、自身の携帯食から麦粥や即席のスープ料理を作ろう。
完成したらそれを【グウィズノ・ガランヒル・ハンパー】で百人分に増やし、皆に振る舞うよ。
動ける余裕のある人はそうでない人たちに運んであげて欲しい。
もし足りないなら【口福の伝道者】で更に増やすから、独占や奪い合いは厳禁で頼むね。
一通り行き渡ったら、干し肉とか羊乳チーズとか日持ちする食品も増やしておこう。
今食べる分だけじゃなく、備蓄も必要だろう?
落ち着いたら仲間の話を聞いてあげて欲しい。
青年を連れて肉屋から出たルウェリン・グウィンリウ(灯火の騎士・g02040)を出迎えた喝采は長くは続かなかった。歓喜を爆発させた民衆が、衰弱した肉体を思い出したかのようにへなへなと崩れ落ちていく。
「皆いまにもぶっ倒れそうだね。ひとまず温かい食事にしよう」
携帯食を取り出したルウェリンが周囲を見回す。温かい料理を作るには火が必要だった。話す気力のある住人に使用可能な薪や炉がないか聞くと、体力のある頃に瓦礫で組んだ形ばかりの炉ならあると言う。薪は欠片も残っていないようだ。
「燃料がないのは参ったな」
「あの、おれ、薪がある場所知ってます」
困ったところに声を挟んだのは肉屋に囚われていた青年だった。なんでも街を囲う砦には薪の保管庫があるらしい。彼はそれを盗み出そうとして、脱走者として捕縛されたということだった。
青年の案内で雅が薪を取りに行く間、ルウェリンは炉の調整をした。放置されて崩れかけていた炉を組み直し、より丈夫に整えた。一仕事終える頃にはちょうど薪が届いた。
料理のため熾した火に民衆から溜め息が漏れる。飢えた狼のような視線を背中に感じながら、ルウェリンは手早く粥とスープを作った。
ぎらつく人々を手で制し、完成した料理にグウィズノ・ガランヒル・ハンパーを使い、ブリテン島に伝わる大籠の伝説を再現してみせた。一人前だった粥とスープが瞬きする間に百人分へと増える不思議な現象に、民衆はもはや深く考えるのをやめたようだった。
「動ける人は自力で動けそうもない人にこの料理を運んでほしい。もし足りないならもっと増やせるから、独占や奪い合いは厳禁で頼むよ」
誰もが素直に頷いた。苦境を共にしたことで街の人々にはある種の絆が芽生えていた。比較的元気な者が率先して弱った人のもとへとスープを届けてゆく。
平和な光景に戦士の眼差しが少年らしく和らぐ。
ルウェリンは炉から離れ、続いて備蓄となる食料を増やす準備に取りかかった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
九条・雅
さて、脅威は去ったが・・・住民は寒さと飢えで震えてるじゃないか。これから寒さが本格的になる。何とかしないとね。
仲間が炊き出しするみたいだから【怪力無双】で薪を運び、瓦礫とかを退けて炉を使用可能にする。
小さい子達にはクッキーとか飴ちゃんを上げて、頑張ったね、と頭を撫でて抱きしめてあげよう。本当に良く耐えた。これからは安心していい。
仲間が増やした食事は住民に行き渡るように運搬を手伝おうか。一気に増やすから、こういう役目も必要だろう。
後、生活に邪魔な瓦礫や倒木があれば退けておこうか。これから建物を立て直すにしても、邪魔なものがあれば大変だし。
九条・雅(赫焉のパシオン・g03417)は薪の在り処を知る青年と共に砦へと戻っていた。雪の上を二人分の足跡が街の外へと続いていく。
「竜鱗兵という脅威は去ったが、寒さはむしろこれからが本格的だ。アンタが薪の保管庫を知っていて助かったよ」
「そんな、礼を言わなくちゃいけないのはおれたちの方です」
砦の外壁側、端の方に設けられた小屋を青年が開く。中には伐採用の斧が立てかけられ、隣には大量の薪が積み上げられていた。おそらくはジャメヴが砦の周りに広がる森から採集していたのだろう。
「斧はまだまだ使えそうだね。持って行こう。この縄も役立ちそうだ」
雅は小屋の中にあった縄で薪を一塊にすると、怪力無双を発揮して丸ごと持ち上げた。逆の手には斧をぶら下げる。そして驚きが一周して口笛を吹く青年を先頭に再び街へと下りた。
街ではルウェリンが炉の調整を終えて待っていた。薪の山を下ろした雅は斧で使いやすい大きさに割っていった。それはすぐ炉にくべられ、温かい料理を作るための火となった。
完成したのは温もりを感じる粥と熱々のスープだった。受け取りに来れない人のために動ける者たちが料理を運んでいく。雅も冷めないうちにと運搬を手伝った。
運搬する最中、足がはたと止まった。目頭に熱いものを感じながら街の一角へふらふらと歩み寄る。倒壊した施設の陰に、たくさんの幼い子供たちが寄り集まって、怯えるように様子を窺っていた。
子供たちは髪も眼もばらばらの色をしていた。一目で親を喪った子たちの寄り合いだと分かった。
「ああ、ああ。アンタたち、本当によく耐えたね。怖いものはなくなった。これからは安心していい」
年長らしき女の子が他の子を守るように出てきたのを見て、雅は思わずその子を抱きしめた。女の子は緊張で身を固くしたが、頭を撫でられるうちに震え始め、やがて嗚咽をこぼした。つられて泣き出す周りの子たちも、雅は一人ずつ抱擁した。
しばらくそうしてから、痩せた子供たちに料理とお菓子が振る舞われた。
「これなに?」
「平たいのはクッキーで、丸いのは飴ちゃんだよ。甘くておいしいお菓子さ」
落ち着いた子供たちは料理をぺろりと平らげると、お菓子に興味津々になった。興味はそれに留まらず、刀や着物など雅に関するあらゆるものに質問が飛んできた。
すっかり懐かれた雅は復興の進む街の中を子供たちと共に歩いていった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
立花・束紗
「羊が大きいと、美しい」
アイルランドといえば羊
場所によっては、人より羊が多い
アイリッシュシチューも、羊のお肉
【動物の友】をレベル2にして
仲良くなった2頭の羊に先導役をお願いして
羊の群れを街に連れてきます
羊の毛を刈る職人さん、解体してお肉にする肉屋さん
羊毛から防寒着を作る職人さんはいないかと
住民に声をかけて、協力を求めます
拷問竜鱗兵のいた肉屋も、本来の姿に戻します
「羊送り、自然の恵みに感謝なの」
なお、束紗が巻いてるタータンサッシュもウールです
完成した料理なら他のディアボロスが【口福の伝道者】で
増やしてくれるでしょう
衣類に関しては、簡単に増やす術がない
新宿島でも影響は大きいと思います
ガリガリと、真熊の杖がしまり雪に文字を刻む。大きく書かれた一文字は『美』という漢字だった。
「羊が大きいと、美しいの。わかる?」
問いかける立花・束紗(ドラゴンに花束を・g05669)の前には巨大な岩が転がっている。その岩が身じろぎし、メェと鳴いた。岩の正体は羊だった。
ここはベルファストの外、街を囲む森の中だ。人の手から離れ野生化した羊たちは長らくこの森で暮らしていた。
家畜化された羊の毛は際限なく伸びる。刈られなくなって久しい彼らの毛は肥大化し、まるで岩のような固い塊となっていた。
運良く羊の群れを発見した束紗は彼らとの交流を試みていた。
動物の友によって知能が高まった羊のボスは言葉をある程度理解しているようだった。漢字が何かは分からないがとにかく『羊は美しい』と言われたのだと解釈し、嬉しそうに跳ねた。
「近くに寒さで困ってる人の街があるの。群れと一緒についてきてくれる?」
束紗が頼むとボス羊は任せろとでも言うように胸を張った。群れの方を向いた彼が人間には理解できないメッセージを発すると、群れは一斉に立ち上がって彼の後に従った。
「羊送り、自然の恵みに感謝なの」
真熊の杖を進行方向へと指せば群れ全体が忠実に進路を変える。羊飼いになった束紗は体に巻いたウールのタータンサッシュをなびかせて、揚々とベルファストの街へ戻った。
市民は初めひどく驚いたが、束紗が事情を説明すると喜色満面に誰かを呼びに走った。ややあって連れてこられたのは本職の羊飼いだ。
「この子たちのお世話をお願いするの。あとは毛刈り職人さんや防寒着の職人さん。それから……お肉屋さんがいたら、完璧」
最後だけ声を潜めて言う。心なしかボス羊が切なげな眼をしている気がした。
一方の羊飼いは声を弾ませて、今後の予定を立てていた。
「毛刈りと服作りならすぐにでも当てがある。助かるよ。解体は……しばらくやりたがる人が現れないかもね」
青ざめる彼の視線を追うと、拷問竜鱗兵が根城にしていた肉屋があった。肉屋の存在は住人にとって深いトラウマになっているようだった。
「わたしたちなら、綺麗に戻せるの。やる?」
肉屋をあるべき姿に戻すか尋ねると、羊飼いは少し考えてから首を横に振った。
「いや、きっとみんなあの建物は残したくないだろう。あそこには何か別のものを建てるよ」
「じゃあ、羊の像なんていいと思うの」
束紗の提案に羊たちが賛同するように飛び跳ねた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【動物の友】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
ルウェリン・グウィンリウ
食事は行き渡った。寒さも凌ぐ術は得られたようだね。
で、あとは結界を砕くためにも幸福を感じて貰えれば良い、か。
とりあえず肉屋は残したくないようだし、問題なければ機関砲の【建造物分解】で解体。
得られた資源は好きにして貰おう。
そして一飛びして、周辺から手頃な樹木を伐採。
【怪力無双】で運び、剣で形を整えたものを雪の上に立てる。
クリスマスツリー……だっけ?
今からずっと先の未来にはこれを象徴にクリスマスタイドを祝うらしい。
このディヴィジョンでは聖パトリキウスの伝道も無かったことにされているかもだけど、それでも皆の心の拠り所は必要だろう。
まだ少し苦しい日は続くかもだけど――なに、命さえあれば何とでもなるさ。
支援を得てベルファストの人々は生きる術を見出したようだった。取り戻した勇気と体力に、当面の食料と燃料、そして家畜。これらがあればどうにか春まで持ちこたえられるだろう。
あと必要なのは、恐怖や不安を払い、明日を待ち望むための原動力だ。それを人は希望や幸福と呼ぶ。今のベルファストにはそれらが欠けていた。
(「幸福を感じてもらうことは大結界を砕くことにも繋がる。さて、どうしようかな」)
干し肉や羊乳チーズなど日持ちのする食料を増やし終えたルウェリン・グウィンリウ(灯火の騎士・g02040)は、民衆を幸せにする方法を考えながら街を歩いていた。ふと耳に留まったのは、あの肉屋をどう処分するかという会話だった。
詳しく話を聞けばあの肉屋は拷問竜鱗兵を思い出させるためなくしてしまいたいとのことだ。
「よければ僕が解体してしまおうか。得られた資源は好きにして欲しい」
そう提案すると逆に強く懇願され、ルウェリンは【建造物分解】を使うことになった。氷像が砕けて溶けゆくように、分解される肉屋が単なる資源へと形を変えていく。そして恐怖の象徴は跡形もなく消えてしまった。
凄惨な記憶から解き放たれたように喜ぶ民衆を見て、ルウェリンは森へと飛んだ。
「彼らは象徴に怯えていた。なら幸福の象徴があれば、彼らを幸せにできるかもしれない」
手頃な樹木を見繕って伐採し、まとめて抱えて再び街へと戻る。好奇の視線を浴びるなか木を雪に立てて、剣を抜いた。
鮮やかな剣閃が木の輪郭をなぞる。余分な葉や枝が落とされ、剣が鞘に納まったときには、木の全形は美しい円錐へと整えられていた。
あれは何だろうと首を傾げる人々の前でルウェリンが口を開いた。
「これはクリスマスツリー、というらしい。ずっと遠いどこかではこれをクリスマスタイド、この季節の象徴として祝い事をするそうだ」
そう聞いた人々は興味深げに木を見上げた。ある者はその見事な造形に見惚れ、ある者は形状に秘められた意味を見つけようとしていた。
みんなの意識が木に集中したのを見て取り、話を続ける。
「このツリーがあなたたちの心の拠り所になる。まだ少し苦しい日は続くかもしれないけれど――なに、命さえあれば何とでもなるさ」
ルウェリンの言葉を受けて民衆は大切な授かり物を見る目になった。親愛と共に平和な明日への祈りを木に捧げていた。
木の頂点で輝く一番星が、人々の心に希望が灯されたことを告げた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
九条・雅
(子供達と仲良く街にやって来た)
仕上げは街の皆に希望と幸福を感じて貰う、か。そういえばクリスマスが近いから色々持ってきたよ。(【怪力】で色々箱を運ぶ)
クリスマスプレゼントを持ってきた。温かい衣服、素敵なアクセサリー、フライパンなどの食器、おもちゃ。もちろんお菓子もあるよ。幸福にはサプライズが付き物だ。あ、これは個人的な贈り物だ。種芋だ。受け取ってくれるかい?
子供達を回りに集めてクリスマスソングを歌う。幸福は全ての人に行き渡るべきだ。その為にはアタシは何だって出来るよ。
街の広場にはルウェリンの立てたクリスマスツリーがある。市民たちは希望の象徴と化したこの木の周りに集まって、平穏な夜の準備を始めていた。
薄明の空には星々が瞬いている。その下を九条・雅(赫焉のパシオン・g03417)が大きな箱をいくつも担いで歩いてきた。懐いた子供たちが子犬のように付いて回り、雅も穏やかな顔を彼らに向けていた。
ツリーの根元に荷物の箱を次々と下ろす。子供たちは当然のことながら、大人たちも正体不明の箱に興味を惹かれているようだった。
「これなに? なにが入ってるの?」
子供からのお決まりとなった問いに雅はクスリと微笑んだ。
「これはクリスマスプレゼントって言うんだ。アタシたちからの贈り物だよ。開けてごらん」
おずおずとした様子の子供たちだったが、勇気ある年長の子が思い切って箱を開けると、みんなその後に続いた。大人たちも雅の許可をもらうと、童心を露わに箱を手に取った。
中身は色々だった。少女が素敵なアクセサリーに目を輝かせ、男の子が見たこともない不思議なおもちゃに心を奪われる。青年が暖かい衣服に精一杯働けると喜び、老婆がフライパンを初めとした数々の食器に腕を振るおうと意気込む。そして誰もが甘いお菓子に頬を緩ませていた。
「驚いてくれたかい? 幸福にはサプライズが付き物だからね」
感謝の言葉を雨あられと浴びる中、雅はもう一つのプレゼントが入った袋を取り出した。その中身を薪の案内人となった青年に渡す。袋から出てきたのは種芋だった。
「これは個人的な贈り物だ。受け取ってくれるかい?」
「ありがたくいただきます!」
宝物を扱うような丁重さで種芋を受け取る青年に、種芋の保管方法や植え方、収穫時期などを伝えた。その全てを頭に叩き込もうと青年が口頭でそらんじる。間違った箇所があると子供たちから一斉に突っ込みが飛んだ。
身寄りのない子供たちは雅から贈られた芋を育てる気満々のようだった。来年の夏には彼らの作った芋が街の食卓に並ぶことだろう。
「さあ、アンタたち。クリスマスソングを一緒に歌おう。楽しいよ」
雅の呼びかけに子供たちが集まる。歌い始めた雅の声に幼い声が重なり、やがて大人の声も合流した。
(「幸福は全ての人に行き渡るべきだ。その為ならアタシは何だって出来るよ」)
安らかに歌う人々の顔を順々に眺め、雅は誓いと祈りを込めた祝歌を街に響かせ続けた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
エアハルト・ヴィオレ
人々の心に幸福を、ですか。生活環境が整っても人の心が沈んでいればどうにもなりませんし。
クリスマスツリーがありますか。パラドクスレインから持ってきた大量の星や輪の色とりどりのクッキーをツリーに飾ります。
そして愛用のバイオリンでクリスマスソングを奏でます。楽しい音楽は人々を楽しませます。演奏し終わった後、手にするのは薔薇の花。ご婦人に捧げましょう。美しいご婦人に輝かしい未来があらんことを。
今が辛くとも、必ず輝かしい未来が待ってます。住民の皆さんに笑顔が戻る日が来る事を心から祈ってます。
「皆さん、こちらをツリーに飾り付けましょう。手伝っていただけませんか」
胸元に一輪の薔薇を挿したエアハルト・ヴィオレ(宵闇のエヴァンジル・g03594)が広場に声をかけたとき、人々は期待に満ちて彼のもとへと駆け寄った。彼が持ってきたのは星や輪などさまざまな形をした、色とりどりの大量のクッキーだった。
オーナメントクッキーと呼ばれるそれを、エアハルトは一つずつ街の人たちに手渡した。
「今お渡ししたのはツリーに飾るためのクッキーです。もちろん食べることもできます。飾って楽しむも良し、好きな時に食べるも良し、そんなお菓子です」
そう言ってから手本を見せるようにツリーの適当な場所にクッキーを飾る。裸のツリーがたった一点オーナメントを身に着けただけで見違えたように色付いた。
なぜお菓子を木に飾るのか理解できていなかった人々も、その素晴らしさをすぐ理解した。こぞってクッキーを自分の背の高さに合わせて取り付けたり、互いに協力したりディアボロスに手伝ってもらったりして、ツリーを着飾らせていった。
華々しく彩られたツリーにエアハルトが満足そうな笑みを浮かべる。次いでよく手入れされた愛用のバイオリンを取り出し、美しい旋律を奏でた。
何の曲かピンときた子供たちがはしゃぐ。それは先ほど雅と共に歌った祝歌の調べだった。
「音楽には人を楽しませる力があります。さあ皆さん、ご一緒に!」
気高く優美なエアハルトのリードに乗って人々が再び歌い出す。老若男女問わず笑顔になり、中には音楽に合わせて踊る者たちもいた。
弾き終えて一礼するエアハルトに万雷の拍手が降り注ぐ。顔を上げた彼は胸ポケットの薔薇を手に取り、楽しそうに拍手する老婆へと歩み寄る。『竜の花嫁』について語った彼女は不思議そうに小首を傾げた。
「貴女に捧げましょう。美しいご婦人に輝かしい未来があらんことを」
「まぁ!」
エアハルトから捧げられた一輪の薔薇に老婆が瞳を輝かせる。恭しい手つきで薔薇を抱き、満開に顔をほころばせた。
振り向いたエアハルトは吐息をこぼす街の人々に優々と告げた。
「辛いことがあろうとも、必ず輝かしい未来が待っています。皆さんの前途が幸福に満ちていることを心から祈っています」
街を覆っていた負の感情は今やどこにもない。彼らの心には幸福が満ちていた。
やわらかな雪が福音となって天から降る。この日、ベルファストに幸が訪れた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【プラチナチケット】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!