【リグ・ヴェーダ奪還戦】⑦水天
このシナリオは【蛇亀宇宙リグ・ヴェーダ奪還戦】に関連する特別シナリオです。
ディアボロスの活躍により、疑似ディヴィジョンである『蛇亀宇宙リグ・ヴェーダ』を維持するアルナーチャラ山の結界は破られました。
もはや、リグ・ヴェーダ全域を維持する事が出来なくなったシヴァは、残る戦力を最大拠点『須弥山』に集結させ、ディアボロスも他のクロノヴェーダも手の届かない宇宙へ移動させる作戦を行おうとしています。
シヴァが宇宙へ移動すれば、疑似ディヴィジョンは完全に消滅、インド亜大陸を中心とする蛇亀宇宙リグ・ヴェーダの領域は、本来の地球上に戻されるでしょう。
しかし、断片の王を撃破しなければ、この領域を最終人類史に奪還する事はできません。
最終人類史のリグ・ヴェーダのディヴィジョンには20億人の人々が暮らしていました。
彼らを最終人類史に取り戻す為にも、断片の王シヴァの撃破を成し遂げましょう。
この戦闘によって、敵の戦力を削ることが出来ます。
勝利したシナリオ数に応じて、対応する戦場の敵の数が減少し、戦いを有利に進めることが出来るようになります。
このシナリオの攻撃対象は【⑦水天】の軍勢です。
水天は、天候を司る事で、多くの民に善心として信仰されていましたが、自分の手で日照りを起こした上で、民に恵の雨を授けるといった、効率的に信仰を高める手腕にも長けていたようです。
帝釈天の命令で天空寺院で須弥山に駆けつけようとしましたが、攻略旅団の作戦で、合流阻止に動いたディアボロスの襲撃を受ける事となりました。
「成功したシナリオ数×5%」だけ、「⑦水天」の敵残存率を低下させます。
【蛇亀宇宙リグ・ヴェーダ奪還戦】善神レイシズム(作者 音切)
#蛇亀宇宙リグ・ヴェーダ
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「シュリーの生死が不明であると。まさか、そのような事態になっているとは……」
次々と上がってくる報告に。
ジェネラル級アーディティヤ――『水天』は憂いを吐く。
「ディアボロスがアルナーチャラ山に向かっていると聞き、妾に防衛を任せよと言うたのに。汚らわしい虫けら共を使うから、このような事になる」
だが、善神の一柱と言われる柔らかな顔立ちに浮かぶのは、あからさまな嫌悪の色。
「おそらく、シヴァ様は、リグ・ヴェーダの大地をお捨てになるだろう」
黒曜の瞳に、冷たい輝きを灯して。
喉の奥を、くつくつと鳴らして。
「ですが、それで良いのです」
けがれた大地は、一度、浄化しなければならないのだと。
「早く、須弥山に向かい、シヴァ様をお慰めしなくては」
うっとりと呟く。
善神の笑みは美しくも、何処か歪んでいた――。
●
「蛇亀宇宙リグ・ヴェーダ奪還戦を告げる碑文が確認されたよ」
集うディアボロス達を見回して、綴・稀夜(妖狐の魔導忍者・g08573)は説明を始める。
「アルナーチャラ山の結界の謎を解いて、ジェネラル級アーディティヤ『シュリー・マハーデーヴィー』を撃破した事で、蛇亀宇宙リグ・ヴェーダの疑似ディヴィジョンの崩壊が始まってるよ」
断片の王・シヴァであれば、疑似ディヴィジョンを維持する事は可能であったかもしれないが、彼は、ディアボロスによって蚕食された状態のディヴィジョンの放棄を決定し、最大拠点『須弥山』と残るジェネラル級と共に、宇宙に向かう事を決意したようだ。
「シヴァが須弥山と共に宇宙に逃れた場合、リグ・ヴェーダの大地は、地球の元の位置に戻ると予測されてるけど……それじゃあ最終人類史に奪還する事は出来ないからね」
更に言うのならば、宇宙に逃れた須弥山から、一方的な攻撃を仕掛けて来る可能性も高い。
攻略旅団の方針により、ディアボロスが宇宙で活動する為の準備は行ってはいるものの、一定以上の高度になれば、パラドクストレインでの移動も不可能となる事が判明しており、対抗するのは非常に難しくなるだろう。
「そんな訳だから、まずはこのファーストアタックでしっかり敵戦力を削っておきたいよね」
だから、今回もお願いね……と。
稀夜は、此度の戦場の説明へと移る。
●
「皆に向かってもらうのは、ジェネラル級アーディティヤ――『水天』の天空寺院だよ」
此度の戦いでは、不時着したヴィナマ・アルゴーのマンディール石を利用して作成した揚陸艦もどきを利用して、天空寺院に乗り込んで戦闘を仕掛ける事になる。
「天空寺院と言っても、寺院内に突入しての戦いになるから屋内戦になるよ。そのつもりで準備してね」
寺院内は戦闘をするのに十分な広さこそあるものの、立ち並ぶ柱等によって野外よりも視界は制限される。
「まぁその辺りの条件は敵も一緒なんだけど……向こうは建物の構造を把握してるからね」
考えなしに動き回った結果、相手に包囲されていた……等と言う事が起きないよう。十分に注意して、立ち回りを考えて欲しい。
「この戦場に現れる水天配下のトループス級『ヤクシニー』は、鬼神みたいな姿をしたアーディティヤだよ」
上位のクロノヴェーダの忠実な配下として振る舞う勇猛な戦士であるという『ヤクシニー』は、ディアボロスを発見すると苛烈な攻撃を仕掛けてくる。
「真っ向勝負が好きで、あんまり連携とか小細工はしてこないタイプみたい」
逆に言えば、それだけ個々の力量に自信があるとも言えるだろう。
そんな彼女たちに、あえて真っ向から挑むのか。
それとも、連携や策を練る事の強みを見せつけるのか。それは、現場に向かうディアボロス次第。
「まぁ、どんな選択をしても皆なら大丈夫って思ってるけど……」
本番は、奪還戦。ファーストアタックは、その前哨戦だから。
「大怪我とかしないように、やることやったら、ちゃんと無事に帰ってきてね?」
そう、言い添えて。
稀夜は、ディアボロス達を送り出すのだった。
リプレイ
リューロボロス・リンドラゴ
ふん。自称水天め。
どうにも都合の良い未来を夢見ておるようだが、そうはならぬということを教えてやろう。
慣れぬ敵地だしの、【エアライド】にて最適な経路を見出すとしよう。
柱が沢山あるのなら、多段ジャンプとの合わせ技でいい感じに使えるかもだしの。
真っ向勝負が好きか、我もよ!
油断も慢心もしておらぬぞ?
真っ向勝負を好むということは、小細工されぬということだからの。
我なぞは下手に小細工するよりも真っ向勝負に乗った方が戦いやすいというものよ!
最も、真っ向勝負であろうとも貴様らの常識を木っ端微塵にするのが龍だがの!
――どこを見ている? 間隙突きしは竜である。
力任せVS力任せ!
されど我が力任せは埒外の機動力よ!
逆説連鎖ゆえに向こうも当ててくるであろうが構わぬ!
中々に良い一撃であったが、勝つのは、竜よ!
【ダメージアップ】の加護で我だけでなく味方火力も底上げよ。
さあ、来い、次はどいつだ!
とはいえ脱出時大変だからの、深入りはせぬよ。
いい具合に削ったら最適な移動経路を辿りつつ撤退よ。
イツカ・ユメ
疑似ディヴィジョンが崩壊しても、この地を完全に取り戻すことは出来ない……なら、しっかりきっちり決着をつけないとね!
いくよ、キット!
いつか、きっと、全てを取り戻す。
そのいつかはきっと『今』だから!
高らかに夢を、希望を、愛を歌って、
不安を掻き消すように、笑顔で勇気を奏でて一気に乗り込むよ!
可能なら他のディアボロスさん達とも協力し、
【未来予測】も併用して囲まれないように気をつけて臨機応変に立ち回るね。
戦場の様子、敵味方の負傷状況をしっかり観察して、弱っている相手から倒して数を減らしていくよ。
…怪我をしている子が近くにいたら、積極的にディフェンスするね。
無理はしないで?命大事に、だよ!
ダンスならわたしも得意だもの。
踊るような斬撃にだって、余裕で華麗なステップを踏んじゃうよ♪
ほらほら、今のところ、ワンテンポ遅かったんじゃない?
相手のリズムが崩れたところを狙って、一撃お見舞いするよ!
ある程度敵の戦力を削れたら、退路を断たれないうちに撤収するよ。
次は、もっと大舞台で踊りましょうね♪
九重・古安
ディヴィジョンを切り捨てて宇宙へ、か。逃亡にしては随分スケールの大きい話だが、ただ逃げるというわけではあるまい。だからこそここで禍根は断っておかねばな。
力での真っ向勝負ならこちらも自信がある。こちらの得物が戦槌と見れば向こうも乗ってくるだろう。
……が、相手の土俵にわざわざ乗ってやる道理も無し。真正面から相手をすると見せかけて【衝打の繋装】での投擲で一撃お見舞いしてやる。
得物を手放したと見て切り込んでくるなら、鎖を適当な柱にひっかけて不規則な軌道で振り回したり引き戻したりで二重に奇襲をかけさせてもらおう。
敵地でのファーストアタックで深追いは禁物、退却時には【防衛ライン】で柱と柱の間に線を引いて攪乱に使おう。
視界が良くないからこそ予期せぬ増援……特にジェネラル級の襲来には最大限警戒を。
仮にジェネラル級が出てきたら味方の退却を援護するためにあえて一撃引き受けよう。その後は迅速に撤退を。
春の日差しが降り注ぐ。
柔らかな青空に浮かぶのは、巨大な寺院。
その景色は幻想的で、まるで勇壮なお伽噺のワンシーンのようだけれど。
「ここはもう、戦場なんだよね」
ここで、アーディティヤ達の目論見を挫かなければ。
彼らの最大拠点である『須弥山』が、地球から離脱してしまうのだから。
気を引き締めないと……と。
きゅっと両手を握るイツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)に、相棒のモーラット・コミュ――『キット』が、鼻を鳴らして応える。
「ディヴィジョンを切り捨てて宇宙へ、か」
逃亡にしては、随分スケールの大きい話だと。
イツカと並び立つ九重・古安(巻き戻り路逸れる針・g02347)もまた、空中に浮かぶ寺院へと視線を向けて肩を竦めた。
もしもここで、奴らを逃がしてしまえば。
体勢を整え、再びディアボロス達の前に立ちはだかるだろう事は、想像に難くない。だからこそ。
「ここで禍根は断っておかねばな」
静かに。しかし、重みを感じる古安の言葉に頷きながら。
「自称水天も、どうにも都合の良い未来を夢見ておるようだしな」
その夢諸共、クロノヴェーダの目論見など粉々に打ち砕いてくれると。
獲物に狙いを定めるように、翡翠の瞳を鋭く細めて。
リューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)は、小柄な体躯に見合わぬ威厳で。『ふん』と鼻を鳴らす。
「夢かぁ……」
そう言われると、敵の事ながらちょっぴり複雑な気分になって。
イツカの顔には、ほんのり困った笑みが浮かぶ。
天秤の両端のように。
クロノヴェーダの夢は、イツカの夢とは、きっと相容れないもの。
いつか、きっと、全てを取り戻す。
その夢を叶える時、天水の夢は叶わず消えている。
もしかしたら。
天秤の反対側には水天の夢以外にも……イツカにとっても大切な、他の何かが乗っているのかもしれないけれど。
それでも――。
ちらりと見上げた、視線の先。古安の横顔を見つめて。
(「そのいつかはきっと『今』だから!」)
きっと大丈夫だと。胸の内で一つ頷けば。
不安を掻き消し、希望を灯す。
普段通りの元気な笑顔が、イツカの顔に戻る。
「一気に乗り込むよ!」
決着を付ける為に。
この地を完全に取り戻す為に。
「いくよ、キット!」
「もきゅ!」
三人と一体は、水天の待ち受けるは天空寺院へと向けて、その身を躍らせた――。
●
飛び込んだ寺院内。
事前に聞いていた通り、ずらりと柱が並んでいると。部屋の造りを素早く確認しながら。
「そら、お前達の敵がこちらから出向いてやったぞ!」
リューロボロスが、声を張り上げれば。
見るからに戦支度の途中だったのであろう、『ヤクシニー』達の動きが止まる。
「っ、貴様等ディアボロスか!」
「自ら倒されにくるとは殊勝な事だ」
だがそれも、一瞬の事。
すぐさま剣を握り、戦いの姿勢を取りながら。
ヤクシニー達の顔に浮かぶのは、喜びと闘志が入り混じる笑み。
(「真っ向勝負が好きという話に偽り無しか」)
余計な問答はなく。
戦いに来たディアボロス達に、すぐさま戦いで応えんとする様は、敵ながら清々しいと。
「真っ向勝負なら、我も望むところよ!」
リューロボロスの顔にもまた、闘志を籠めた笑みが浮かぶ。
小細工されぬというのなら、こちらも小細工は要らない。
むしろ、真っ向勝負に乗った方が戦いやすいとさえ言える。
そこに油断はなく、慢心もなく。
あるのはただ、自信のみ。
純粋に、力と力をぶつけ合えば。より大きな力を持つ者が、勝者となるのが道理なのだから。
「その小さき体で何が出来るか見せてみろ!」
いざ、と。吼える。
ヤクシニーの一番槍が、リューロボロスへと迫る。
振り上げる剣が、鈍器も同然の威力で振り下ろされんとする――刹那。
「よかろう。その身に味わうがいい」
10歳の。敵が『小さき』と表すのもやむないリューロボロス肉体に。
(「我こそは龍。我こそはドラゴン」)
神話に。物語に。
幼子たちの夢に、絶対的な強者として描かれる力が宿る。
同時。戦場へと刻まれるのは【エアライド】の力。
この限られた空間を、逆に利用して。
壁も、天井も。立ち並ぶ柱も。
その全てが、リューロボロスにとっての足場。
「っ、何という」
速さだと。
呟くヤクシニーの言葉さえも、置き去りに。
一足、二足……唯人には最早数えられぬ縦横無尽の跳躍で、敵の視線を振りきれば。
最後に着地するのは、ヤクシニーの足元。
「っ、そこかぁ!」
一拍遅れて。
ヤクシニーの剣が振り下ろされるが。既に遅く。
剣は空を裂き、床を割る。
「――どこを見ている?」
リューロボロスの身は既に高く。ヤクシニーの頭上に位置し。
天井を蹴る。
速さと重力を乗せて振り落とされる、拳は。
「間隙突きしは竜である!」
ドラゴンの巨躯より放たれる『竜の爪』のごとく。ヤクシニーごと寺院の床を抉った。
「さあ、来い、次はどいつだ!」
一番槍同士の戦いを圧倒的な力で制した。リューロボロスの咆哮が、戦場へと響けば。
「いいぞ。次は私だ!」
「否。私が相手をしてやるぞ、ディアボロス!」
熱狂が、ヤクシニー達へ広がってゆく。
熱い視線が、リューロボロスへと集まる中で。
「私たちも居るの、忘れないでね♪」
集中攻撃はさせないと。
リューロボロスへと向く刃の前に、イツカとキッドがひらりと躍り出た。
「私たちの歌とダンスも、楽しんでいって」
「ほぅ、貴様も舞いを嗜むか」
爪先をトントン。床を鳴らし、リズムを刻んで。
キットもぽむぽむと、リズミカルに弾んで見せれば。
舞踏――武闘の誘いに、ヤクシニーの一人が応える。
「我が剣舞に付いて来れるか、ディアボロス」
10拍子、16拍子。
呼吸の暇すらない程に。
変則的かつ高速のリズムで、ヤクシニーの剣が舞う。
唯人の目にはもはや映らぬ、無数に刻まれる斬撃が。
イツカの肌に赤く線を刻み、周囲にも赤色が舞い散り。
「そら。次は首が落ちるぞ!」
勝利を確信し、更に踏み込んでくる敵に。
「お断りだよ」
しかし、イツカも譲らない。
「ダンスなら、わたしも得意だもの」
どんなに複雑なリズムでも、それが舞いであると言うのなら。
即興のセッションだって、こなして見せると。
ヤクシニーが剣を振る都度、キィンと。
高らかに音を奏でるのは、イツカの手に握られたソードハープ ――『smile song』。
イツカの肌に浮かぶ血の珠は、かすり傷に過ぎず。
周囲に舞うのは、赤い花々。
いつか叶う、夢はきっと叶う……。
いつかどこかで聴いた歌を、今日はアップテンポにアレンジして。
敵の舞いを巻き込んで、イツカのリズムに書き換えて。
その為に、私たちは今この瞬間も前に進んでゆくのだと。
今度はイツカの方から、足を踏み出し。ステップを刻む。
もきゅもきゅ。
キットの応援を受けて、更にテンポを上げて。
「くっ」
敵の剣先が、僅かに鈍る。その瞬間。
「ほらほら、今のところ」
ワンテンポ遅かったんじゃない? と。
調子の外れた、その間隙に。smile songの刃が、するりと入り込み。
赤い飛沫を散らせたら。一曲目のピリオドを。
「くくっ、ははは。やるじゃないか、ディアボロス!」
ディアボロス達の猛攻に、ヤクシニー達の笑みも益々深まってゆく。
真っ向勝負を好むヤクシニーに対して。ディアボロス達が選択したのは、真っ向からの対峙。
それに加えてヤクシニーには、数の優位もある状況……だが。
(「力での真っ向勝負ならこちらも自信がある」)
ここに集ったディアボロス達は、少数ながらも精鋭。
相手が、手数で勝るというのなら。こちらは力を籠めた巨大な一手で、それを粉砕してやるまでだと。
古安の手に握られたそれ――有り合わせの廃材で組まれた『即席の鎚鉾』は、力を以て相手を殴りつけるための武骨な鈍器。
視線のかち合ったヤクシニーに向かって、腰を落とし。鎚鉾を構えれば。
ヤクシニーもまた剣を構えて、それに応える。
互いの間合いを。呼吸を読み合う膠着は。
両者の間では長く。しかし、実際には一瞬の事。
「我が剣、受けて見よ!」
先に動いたのは、ヤクシニー。
一足飛びに古安へと斬り込む。真正面からの突撃に。
(「……が、相手の土俵にわざわざ乗ってやる道理も無し」)
真っ向勝負とは。ただ向き合って殴り合う事ではないと。
鎚鉾が、古安の手から落ちる。
解き放つパラドクスの力が、伸縮自在の鎖で鎚鉾と古安の手を繋げば。
「そこは既に……」
鎚鉾が床に落ちるよりも、早く。
体を捻り、鎖を手繰り。振り回す。その遠心力を威力へと変えて。
「射程圏内だ!」
鎚鉾が轟と音を立て、ヤクシニーへと飛ぶ。
「がっ、は……」
鳩尾に直撃をくらったヤクシニーの体が、『く』の字に折れ曲がる。
「このまま押し切らせてもらう!」
だが、崩れ伏すヤクシニーの姿を、最後まで見届ける暇も無く。
次に狙うべき相手を定めんと、古安は視線を巡らせた。
「やるな。だが武器を手放して、次はどうする!」
仲間が倒れようとも、ヤクシニー達の闘志は衰えを知らず。
挑発的な笑みで、古安へと斬りかからんとするヤクシニーに。
再び、パラドクスの力を解き放てば。
手繰る鎖が、ジャラリと。太い柱に巻き付くように、弧を描いて。
「後ろ、から……?」
剣先が、古安へ届くより先に。
ブーメランのように戻って来た鎚鉾が、ヤクシニーの背を抉る。
「無策に武器を手放したりするものか」
そう小さく呟く間に。
イツカが戦場に刻んだ【ドレイン】の力が、古安の傷を拭ってゆく。
短期決戦のこの戦いでは、高い効果は期待できないが。それでも。
リューロボロスが刻んだ【ダメージアップ】と、古安の【命中アップ】も合わさり、それぞれが互いに相乗効果を生んで。
ディアボロス達の戦いを、より確実なものとしていた。
●
その勢いは、止まる事を知らず。
対するヤクシニー達もまた、応えて一層熱く吠えれば。
戦いの喧騒は寺院中へと響き――『水天』の元まで届く。
黒曜の瞳は冷たく。柔らかな顔立ちからは、既に表情が失せ。
それが何よりも如実に、水天の内に湧く嫌悪と苛立ちを表していた。
「侵入したディアボロスは、まだ排除できないのか」
「まったく、水天様の耳を煩わせおって」
そのヒリついた空気に耐えかね、ひそひそと言葉を交わす供回りの精鋭たちへ。水天から命が下る。
ただ、一言。
『蹴散らしてこい』――と。
●
「お前達、ディアボロスごときに何時まで手こずっている!」
突如。
怒声と共に、鋭く斬撃がディアボロス達を襲う。
「わ、増援!?」
捌ききれなかった傷の痛みに、『むむ』とイツカが口を結べば。
「水天め。精鋭を送り込んで来たか」
咄嗟に殴り返したリューロボロスの一撃は、剣に阻まれ。
これまで相手をしていたヤクシニーよりも、明らかに格上の相手だと知る。
(「それでも、水天自身は出て来ぬか」)
どうやら自分たちディアボロスは、よほど嫌われているらしいと。
挑発交じりに皮肉を吐けば。
「決着は奪還戦で付けるとしよう」
前哨戦としては、ここが潮時だと。
古安が防衛ラインを引き、撤退を促す。
「だね。次は、もっと大舞台で踊りましょうね♪」
「奪還戦で見える時には、都合の良い夢など叶わぬということを教えてやろう」
その判断に、異を唱える者はなく。
確かな戦果を手に。
ディアボロス達は差別に塗れた善神の寺院より、速やかに離脱するのだった――。
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効果1【エアライド】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!