裁断の刻限(作者 灰紫黄)
#断頭革命グランダルメ
#ベルサイユ宮殿の断頭台
#1802年
⊕
もはや屍となったベルサイユ宮殿の庭。8月の暑さも忘れるほどの熱気が生まれていた。
その中心には断頭台があった。囚われた男は丈の合わない貴族の服を着ていた。いや、着せられていた。
男の眼には生気はなく、ただうわごとのように、同じ内容を繰り返すだけだ。
「放せ、放してくれ……俺はただの庭師だ。死ぬわけにはいかないんだ、娘がいるんだ……」
「否、貴族の屋敷から出てきたのだ。言い逃れなどできまい!! そうであろう、皆の衆!! この処刑に、異議のある者はいるか!」
市民にそう呼びかけたのは四腕四脚の人形だった。その声に、民衆は答えた。
「「うあああああっ!!」」
「うむ。民の血税を貪る貴族よ、裁きの時だ。やれ」
人形が手を挙げると、また別の人形が縄を切り、刃が降る。
ぽたり、と一滴。
群衆の中で、ひとりだけ、涙を流す少女がいた。
グランドターミナルでディアボロス達を出迎えたのは、育ちのよさそうな少年だった。
「初めまして、ぼくはリュカ。断頭革命グランダルメから流れついた……君達と同じ、ディアボロスだ」
リュカ・アルページュ(人間のサウンドソルジャー・g01327)は口苦そうに、けれどはっきりと今回の事件について話し始めた。
「自動人形はベルサイユ宮殿の庭で、日常的に貴族……貴族らしき人を処刑している。君達にはそれを阻止してほしいんだ」
事件が起きるのは革命後のベルサイユ宮殿の庭だ。貴族に憎しみを持つ市民が囲む中、自動人形が罪なき人を処刑する。おそらくは、それが彼らのエネルギー回収の定石なのだろう。
この処刑を阻止することは、罪なき人を救うだけでなく、クロノヴェーダの強化を阻むことにもつながる。ひいては、ディビジョン攻略の端緒となりうる。
「まずは前日の夜に牢屋に忍び込んで、話しかけてあげて。だいぶ弱っているみたいだから、このままじゃ逃げ切れないかもしれない」
幸い、牢に警備はない。特別な準備はいらない。自動人形を倒し、処刑を止めると伝えよう。あらかじめこちらの存在を知っていれば、当日の救出が潤滑に進むだろう。そして何より、希望を持てるはずだ。
「そして、当日。きっとそれにも意味があるんだろうね。自動人形は処刑のときに『異議はあるか』と叫ぶから、そのタイミングで乗り込もう。そして、自動人形を倒すんだ」
処刑を主導する自動人形のほかに、配下らしき自動人形も10体ほどいるようだ。処刑の人形を倒せば事件は解決だが、配下を先に倒した方が有利に戦えるだろう。
「これはもし、望めば、でいいんだけれど……」
処刑を見物している市民に対して、この処刑の意義を問うよう声をかけてもいいだろう。もし、市民がクロノヴェーダの支配に疑問を持てば、自動人形の処刑の効果を弱められるかもしれない。
「ただ、忘れないで。彼らは悪じゃない。彼らも苦しくて、だからその原因となったとされる貴族を憎んでるんだ」
市民の説得は簡単ではないだろう。彼らの心にと説く言葉があればいいが。
「じゃあ、いってらっしゃい。初陣の人もいるのかな。クロノヴェーダを倒すのも大事だけど、どうか、無事に帰ってきてね」
微笑んで、パラドクストレインに乗り込むディアボロスを見送るリュカ。
ドアが閉まると同時、車体は走り始めた。
裁断の刻限へと。
「おかあさんは、どこへいってしまったの?」
「おかあさんは、遠くへ行ってしまった。でも、ずっとお前を見守っているよ」
幼い私に、父はそう言いました。今までで一番、優しい声でした。
職人気質で、滅多に笑わない父でした。不愛想で、頑固な父でした。
でも、大好きな父でした。
捕まってしまってから毎日泣いて、涙が枯れ果ててなお泣きました。
贅沢は言いません。綺麗な服だって、ご馳走だって、いりません。
どうか、誰か、お父さんを助けてください。
リプレイ
クリスタ・コルトハード
ああ、ああ
幼子の慟哭と願い
どうして助けずにいられましょうか!
まずは罪なき人々を助ける準備をしておきましょう
前日に牢に忍び込んで、囚われている人に声をかけます
当人の気力が無くては、逃げるのにも手間取ってしまいますからね
幸いにも警備は居ないみたいですし、念の為目立たないようにはしますが潜入はそれほど大変ではなさそうです
明日、あなたの処刑が行われます
ですが安心してください
自動人形が処刑の是非を問うその時、俺たちが必ず助けに入ります
あなたのため、家族のため、生き延びてください
塵蔵院・六戒
準備不要ってことっすけど
【モブオーラ】と『忍び足』使ってんのは、諜報員の嗜みってことでひとつ
……ま、そういうのに手慣れてる感じ出した方が安心できっかなと
(牢まで来たら、小声で声掛け)
まだ生きてるっすかね? ……ああ、結構ヤバいな
聞いてくれりゃいい、あんま無理に喋らないでおけ、な?
俺はまぁ、あれです、あんたを助けてくれって頼まれた者なんですが
……もう1日だけ、耐えられるか?
明日になりゃ、処刑だ処刑だと叫ぶだけの木偶共が出てくるからな
そこでまとめて潰してやれりゃ、あんたを安全に解放できる
いいか、もう1日だけ気を張ってくれ
会いたい家族なんかもいるだろう、そいつのためにも
諦めることだけは、しないでくれ
末廣・諒太
◆心情・台詞
魔女裁判だとか革命だとかあったとは知ってるけどよ
ここまで残酷になれるもんかね……まあ、深刻に考えるのはよそう
幸いにも、俺達には救けられるだけの力があるんだしな
【狐変身】で小さくなれば、忍び込むのも簡単になるだろ
警備も無いなら猶更だが、一応周囲には気を配っておこう
ちょいと失礼するぜ、大騒ぎすんなよ、しーっ。
死刑囚にしては全然悪人っぽくねぇな。あんたらの事情を聞かせてくれよ。
大丈夫、明日あんたらを絶対に助け出す。
いや、金も欲しいちゃ欲しいけれどよ?
俺も、理不尽に大切な物を奪われるのは大っ嫌いなだけなんだし。
……成功報酬で、なんか適当にくれれば何でもいいぜ。
星のよく見える夜だった。現代に比べると明かりはないに等しく、代わりに透き通った闇に光が瞬いている。
「俺は、俺は……まだ、死ぬわけにはいかないんだ……」
鉄格子をひっかいた両手はぼろぼろで、眠れないほど神経はすり減っていた。その命は風前の灯火というにも弱い。
牢に近づく、ひとつの影。狐に化けた末廣・諒太(海底20コイン・g02599)だ。念のため身を低くして、雑草が生えっぱなしの庭を駆け抜ける。
周りに誰もいないのを確認すると、変身を解除。待機していた仲間に手招きする。
クリスタ・コルトハード(森羅番長・g00039)と塵蔵院・六戒(暗中に這いずれば・g01805)は、夜闇に紛れてするりと庭を横切った。
囚われた男の眼が少し動く。次いで、唇が動くのを、
「しーっ……ちょいと失礼するぜ、大騒ぎすんなよ」
と、諒太が制した。
牢屋にできるだけ近付いて、鉄格子越しに声をかける六戒。
「まだ生きてるっすかね? ……ああ、結構ヤバいな。聞いてくれりゃいい、あんま無理に喋らないでおけ、な?」
小さく男が頷くのを確かめてから、クリスタが言葉を継ぐ。
「明日、あなたの処刑が行われます。ですが、安心してください。自動人形が処刑の是非を問うその時、俺たちが必ず助けに入ります。あなたのため、家族のため、生き延びてください」
男が驚愕に目を見開くのに対し、クリスタはなんでもないことのように微笑んだ。
自動人形に抗う。それが市民達にとってどれほどの意味があるかは分からない。けれど、そのためにこそディアボロスはここにいるのだ。
「死刑囚にしては全然悪人っぽくねぇな。無理じゃなけりゃ、あんたの事情を聞かせてくれよ」
おどけて笑う諒太に、男も少し口元を緩めた。
「……娘が、いるんだ……妻を早くに亡くしてな。だから、楽させてやりたくて、ずっと働いて、働いて……ああ、どうしてこんなことになっちまったんだ。親らしいことを、まだ何もしてやれてないのに」
男の眼に涙が浮かぶ。かぶりを振って、諒太は答えた。
「いや、金は大事だ。間違っちゃいねぇよ。俺だって金は欲しいしな……成功報酬で、なんか適当にくれれば何でもいいぜ。明日は絶対に助ける」
にやりと笑み浮かべる。報酬は本気でもないだろうが、何かもらえたら喜びそうだ。
「いいか、もう1日だけ気を張ってくれ。明日になりゃ、処刑だ処刑だと叫ぶだけの木偶共が出てくるからな。そこでまとめて潰してやれりゃ、あんたを安全に解放できる……会いたい家族なんかもいるんだろう、そいつのためにも諦めることだけは、しないでくれ」
ここで息絶えてしまえば、男のしてきたもことが無駄になってしまう。報いがないなど、六戒には許せなかった。
返事がなく、まさかと思って覗き込むと、男は小さく寝息を立てていた。緊張の糸が切れたのか、あるいはディアボロスの言葉に安心したのか。
「ゆっくりお休みください。明日は忙しくなりますから……俺達もいったんお暇しましょう」
クリスタの言葉に二人も頷き、踵を返す。
瞬く星が、明日は親子を照らすと信じて。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【モブオーラ】LV2が発生!
【狐変身】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV2が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
クリスタ・コルトハード
たとえクロノヴェーダを倒しても、市民がこのままでは、また悲しい事件が起こるでしょう
そうならないためには意識改革が必要ですね
処刑場で、処刑の見物に来た市民たちに対して訴えかけましょう
どなたか、このたび処刑される方のことを知っている方はいらっしゃいますか?
彼はただの庭師です、貴族ではありません
ただ貴族の服を着て、貴族の家からでてきた
ただそれだけで貴族だと断定されて、だれも真実を確かめようとしません
このままでは次に処刑されるのは、きっとあなたたちの誰かです
安易な嘘に逃げないでください、真実から目をそらさないでください
塵蔵院・六戒
あんたら、この処刑を受け入れてんのか?
……ま、そっすね
あいつが悪い、こいつが悪いと決めて
それを排除すんのは……分かりやすいっすよね
(それこそ自分がやって来たことだ
だが、ゆえにこそ、公然と行われる世界は間違っているはずだ、と)
じゃあ、訊きたいんすけど
――今処刑されようとしてる人、誰だ?
名前は知ってんのか?
家族構成は? 普段何やってたやつなんだ?
処刑されるような貴族だって言ってんのに
それさえ分からないなんてこと、ないよな?
なぁ、俺にはあの人の手、職人の手にしか見えねぇんだわ
技術で固まり、苦労が刻まれた……そんな、手だ
あんたらが憎むやつの手ってよ、そういうもんなのか?
……もう一度、しっかり見てくれよ
まるで見えない糸で操られたかのように同じ顔をした市民が、断頭台をぐるりと取り囲む。
囚われた男は体こそ弱っていたが、眼には強い光を宿していた。
希望だ。
処刑を指揮する自動人形、キュライッサードールが四本の手を振り上げて宣言する。
「今こそ血税を貪る貴族に裁きの時ぞ。この処刑に、異議のある者はいるか!」
瞬間、砲撃音が轟き、群衆に紛れていたディアボロス達が躍り出る。
「……っ!?」
虚を突かれ、硬直するキュライッサーを横目に、塵蔵院・六戒(暗中に這いずれば・g01805)は声を上げた。
「あんたら、この処刑を受け入れてんのか? ……ま、そっすね。あいつが悪い、こいつが悪いと決めてそれを排除すんのは……分かりやすいっすよね」
どこか自嘲するような横顔。目立つのは柄でもないが、ここで言わずには、立ち上がらずにはいられなかった。
鮮やかな手つきで男を解放したクリスタ・コルトハード(森羅番長・g00039)が、その横に並ぶ。
「どなたか、このたび処刑される方のことを知っている方はいらっしゃいますか? 彼はただの庭師です、貴族ではありません」
貴族の屋敷で仕事を終え、家族の待つ家に帰ろうとした矢先に起きた悲劇だったのだろう。男の着せられた貴族の服は、誰の眼から見ても丈があっていなかった。
「すまねぇ、少し手を貸してくれ」
六戒は男を支えながら、その手を空にかざす。
「なぁ、俺にはこの人の手、職人の手にしか見えねぇんだわ。技術で固まり、苦労が刻まれた……そんな、手だ。あんたらが憎むやつの手ってよ、そういうもんなのか? ……もう一度、しっかり見てくれよ」
ぼろぼろに傷ついてはいるが、それは確かに職人の手だった。ごつごつして、皺だらけで、働くことしか知らないような手だった。
男は不愛想で、頑固で、なかなかの口下手。口より手を動かす方が得意だったが、それが今は何よりも確かな証明になった。
「このままでは次に処刑されるのは、きっとあなたたちの誰かです。安易な嘘に逃げないでください、真実から目をそらさないでください」
もはや男を疑う者はいなかった。けれど、だからこそ、クリスタは市民達に真実を突き付ける。それが、彼らのために繋がると信じて。
いつの間にか、熱狂は水を打ったように冷めていた。
処刑を妨害された自動人形が、わなわなと動き出す。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
ノエラ・ファレン
感情の機微に疎い私には説得や激励は向かないでしょうからこちらへ
異議を問われたら空に向かって砲を撃って目を引きながら敵の前へ
「貴族が家政の全てを担うわけでもなし、屋敷から出てきただけでは確証とはならないでしょう」
処刑を邪魔したなら罪人として扱われるでしょうし、斬首撃を警戒して砲で斧を防御していきます
一斉砲撃は万が一にも人々に被害や恐怖を与えないように、射線を意識しながら立ち回ります
「異議を唱えたら死刑とは、随分簡単な裁判ですね」
ここからでは人々に訴える効果は薄いのでしょうが…敵に問いかけてみて不利になることでもないでしょうし。
パンセ・ジンジン
ナマクラな竹光の試し打ちには無用のギロチンがちょうどいいじゃろう
両手の刃に力を込めて、技はなくとも真正面から【解体】してくれようぞ!
断頭人形と言うなら首を狙ってくるのは必定しからばなるべく身を低く、この低い体躯をもっともっと沈めて下段からの後の後できっちり受けて流して反撃じゃ
具体的には身を低くすれば打ち下ろししか打てぬ。そこを武器で受け、反らし、流す。今のわしでは無論吹っ飛ぶじゃろうし無傷とはいかんじゃろうて。しかし吹っ飛ばされる時に変形させた羽根を引っ掛ければデク人形は自分の力で八つ裂きじゃ。
全く、回復できる前提とは我がことながらふがいない…。
クリスタ・コルトハード
おやおや、不気味な自動人形ですね
処刑を進めさせるわけにも行きませんし、アヴァタール級との戦闘中に来られても厄介です
倒させていただきましょう
戦闘が始まったら【モブオーラ】によって群衆に紛れて姿を隠し、人波を抜けて背後に回ります
相手の様子を見て、タイミングを測ります
動き出そうとしたところで飛び出し、首の関節目掛けて特注の万年筆を突き立てましょう
拳銃を数発撃ちながら離れて、次の獲物を探します
殺しを人に見せびらかすようなやり方は俺の美学に反します
俺のやり方を見せて差し上げましょう
貴方の感性にあえば真似してみてください
生きていれば、ですが
末廣・諒太
異議があったら止めてくれんだろうな?
まさか死刑を強行するようなならず者じゃないもんな?
……死刑執行したかったら、乱入者の俺達を止めてみやがれ!
(第一目標は救出なので、とりあえず目立とう煽ろう)
断頭人形にワイファイスパークを叩き込む
「頼むぜモーラット、目に物見せてやれ!」
戦闘だって場数を踏んでいる訳じゃない、っつーかぶっちゃけ初めてだ
ここの市民たちに訴えたい事は沢山あるが
まずは勝つ事と生き残る事だ、それに全神経を傾けよう
貴族を処刑することで市民を熱狂させ、エネルギーを回収する企ては阻止された。この処刑の正当性を認める者はここにはもういない。
「貴様ら、何者だ!? いや、何者であろうと構わん! 陛下に逆らうものはすべて斬首だ。やれ!!」
勇壮な出で立ちと裏腹に、キュライッサードールは自ら手を下すつもりはないらしく、配下をけしかけてきた。自動人形がわらわらとディアボロスを包囲する。
サンソン式断頭人形。断頭台を背負った、不気味な殺戮者。その刃にかかった命はどれほどのものか。
だが、それもここまでだ。
「貴族が家政の全てを担うわけでもなし、屋敷から出てきただけでは確証とはならないでしょう」
冷静に言い捨てるノエラ・ファレン(人間の陸戦砲兵・g00453)。表情から内心はうかがい知れないが、それ以上に砲身が物を言う。奔る幻影は、人々を守るように自動人形たちに立ちはだかり、
「発射」
ノエラの号令とともに一斉に砲火を放つ。轟音の重奏が人形の一体をばらばらに粉砕した。
瞬間、人形の包囲に穴が開く。
「……っ!」
庭師の男が群衆の中に逃げていく。市民達も、誰も彼を追いはしない。彼はただの職人だと証明されたからだ。
「頼むぜモーラット、目に物見せてやれ!」
末廣・諒太(海底20コイン・g02599)の懐から、白い毛玉が敵前に飛び出した。ディアボロスの半身であるサーヴァントだ。
ディアボロスとしての初めての戦い。敵の攻撃が当たれば当然痛いし、大きな刃が振り下ろされれば、足だってすくむ。この先慣れることができるかも分からない。
でも、ここは譲れない。引けないし、引きたくない。精一杯の勇気がモーラットに伝播したのか、モーラットはぶるぶると震えると、視界を焼くほどの激しい電撃を自動人形に叩きつけた。
「おのれ、何をしているか! 反逆者共を早く潰せ!」
予想外の抵抗に、キュライッサードールが苛立ちを見せた。すでに、このディヴィジョンのディアボロスは敗北し、存在ごとなかったことにされている。向こうにとっても、初めての実戦ということなのかもしれない。
「殺しを人に見せびらかすようなやり方は俺の美学に反します」
自動人形の目の前に現れたクリスタ・コルトハード(森羅番長・g00039)。次の瞬間にはスカートをふわりと翻して、その背後を取っていた。首筋に万年筆をねじ込み、えぐり貫く。ただの万年筆でない。彼女の『仕事』用の逸品だ。首を落とした胴体に挨拶ばかりに数発、弾丸を撃ち込むと次の獲物に狙いをつける。
振り下ろされるのは、ごうっと鈍い一撃。それは斬撃より打撃に近い。
「おっと、こいつは重いのぉ……」
自動人形の断頭斧を受け止め、パンセ・ジンジン(竹光・g00829)は眉を寄せた。
パラドクス同士の戦闘では、局所的に時間が屈折し、攻撃と反撃が同時に発生する。うまく敵の攻撃を受け流せば回復もできるが、そう簡単にはいかない。けれど、何度目かの斬り合いで、それは成った。
「噛みあったの……解体じゃ!」
上段から振り下ろされた断頭斧を、最下段に構えたパンセが受け流す。刹那、背に生えた羽が自動人形を引き裂いた。異形の羽が、血をすする刀のごとく敵の生命力を飲み干す。
「ディアボロス、だと……っ!?」
堂々と構えていたキュライッサードールが初めて動揺した。ディアボロス。本来なら遭遇するはずのない敵であり、亡霊。そして、クロノヴェーダにとって、クロノヴェーダ以外の唯一の脅威。気付いた時には遅い。ディアボロスがパラドクスを放つたび、力が連鎖し、戦闘は加速していく。最初は拮抗していた戦力も時間の経過とともに有利になっていく。
最後の断頭人形が、一斉射によって消し飛んだ。その砲撃は一撃目より鋭く、早い。
「異議を唱えたら死刑とは、随分簡単な裁判ですね」
残ったキュライッサードールに、砲を突き付け、ノエラは冷たく言い放った。
滅びたはずのディアボロスはその怒りによって踏みとどまり、消え去りはしなかった。
この一戦は、奪われた者の、奪った者への逆襲の狼煙。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【隔離眼】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【モブオーラ】がLV3になった!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【フィニッシュ】がLV3(最大)になった!
【命中アップ】LV1が発生!
クリスタ・コルトハード
これで邪魔するものもなくなりましたね
さあ、残すはアヴァタール級のみ
楽しませていただきましょう
キュイラッサードールに対して、正面から攻撃を仕掛けます
四本の腕による銃撃と斬撃、それに四本の脚による突撃……
なるほど、なるほど、大した突破力です
これに正面から対抗してこそのメイドですね!
弾丸はこの身で受けて、剣は素手で捌いて差し上げましょう
目の前まで行けたら、あとは叩き込むだけです
俺の拳は痛いですよ
ふふふ、盛り上がってまいりましたね
いざ戦りましょう、キュイラッサードール
ダンスはお得意ですか?
末廣・諒太
確実に敵を追い詰めているだろうけれど、ここで詰めを誤ったら終いだ
皆と積極的に連携してきちんと止めを刺す為にも、冷静に確実に勝機を探せ
弾幕は護符で、白兵戦は小剣で受けて凌ぐ、【斬撃】はある程度見えるはず
銃剣を見切れれば、小剣から辛酉:粉砕崩撃を放ってカウンター
でもやむを得ない場合は強引に【捨て身の一撃】で【粉砕】しに行く
この程度、首が落ちてなきゃ大した傷じゃねぇだろ
お前が今までどれだけの首を落としてきたかは知らねぇけど、
次に落ちるのはお前の首かもしれないな?
戦闘が終われば一安心、庭師の人は無事そうだな……
……なんか欲しがったのが恥ずかしくなってきたな
まぁ気分も晴れたし、それだけでも十分かな
塵蔵院・六戒
やることはいつも通りっすかね……ただ
まとめて潰してやる、と、吐いた唾を飲む気はねぇ
そのためなら、多少は――
【モブオーラ】、『不意打ち』にゃ持ってこいだ、活用するわ
【狐変身】もいいな、やりたいことにぴったりなんで、これもありがたく
さぁてこちらは無害な狐ですよ……っと
(変身の瞬間に注目されるのも避けてから
ひっそりと『忍び足』で敵に近付く)
んでもってこちらは――害ある狐だ
(エクを解き放ち、影に喰い付かせる【管狐影縛法】
味方が攻め易いタイミングを狙い、支援として)
(反撃は、エクではなくきっちり自分を狙わせて、受ける
エクにはそのまま喰い付かせることを優先)
――はは
随分とまた、柄にもねぇ真似しちまった、な
ノエラ・ファレン
「逆らう者の斬首には失敗したようですが、この場合は執行しなかったあなたも逆らったことになるのでしょうか」
続けて煽り注意を惹いて、不意打ちする人にも目が行かないようにしてみます
攻撃のために走って来るなら好都合です
引き付けて至近距離からの射撃を行います
【冷気の支配者】の低温で動きが鈍る類の相手だと良いのですが
武器での攻撃は避けたり砲で受けたりしてダメージを受けないように、受けるにしてもなるべく被害を小さく相手の動きを止められるように
可能なら脚部を狙い機動力を奪うようにして、他のディアボロスの攻撃補助を試みます
大事な家族というなら、きっと大事なんでしょう
みすみす奪わせはしませんよ
サンソン式断頭人形は全滅。残るはキュライッサードールのみだ。孤立無援の敵に対して、ディアボロスは4人。加えて、残留効果が連鎖し、戦局を有利に導く。囚われた職人を助け、処刑に異を唱えた成果でもある。一歩一歩の歩みが、ディアボロスを勝利へ近付けるのだ。
「逆らう者の斬首には失敗したようですが、この場合は執行しなかったあなたも逆らったことになるのでしょうか」
「……あ、ありえん! 私の忠誠は絶対だ!! ぬ!?」
ノエラ・ファレン(人間の陸戦砲兵・g00453)の挑発に、たまらず怒鳴り返した。ノエラはそれも意に介さず、冷気を帯びたミサイルを発射。数の多い関節が凍り、動くたびにダメージを与える。
走り出したキュライッサードールの視界を遮るように、塵蔵院・六戒(暗中に這いずれば・g01805)が立ち塞がる。
「邪魔だ死ねィっ!!」
敵は4本の脚を駆使した機動力で、四方八方から六戒を攻撃する。六戒は攻撃をもろに受ける。だが、
「ははっ、柄にもねぇ……今だやれエクっ!」
脚に絡みついていたクダギツネのエクが、自動人形の影に牙を突き立てた。影を縛る呪いが本体に返り、その動きを止める。自らを囮に、サーヴァントの攻撃を確実に当てる算段だったようだ。
痛み分けにも思えるが、そうではない。攻撃が通れば残留効果で仲間を支援できるからだ。
動きが鈍った隙に、クリスタ・コルトハード(森羅番長・g00039)が真正面から挑みかかった。
「ふふ、楽しそうですね。俺も混ぜていただけませんか」
キュライッサードールも当然反撃する。弾幕と、斬撃。クリスタは弾幕を突き破り、肉薄すると力任せに殴り続ける。拳が当たるたび、キュライッサードールの胴体がミシミシと悲鳴を上げるた。
「お前が今までどれだけの首を落としてきたかは知らねぇけど……次に落ちるのはお前の首かもしれないな?」
姿勢を崩したキュライッサードールに、末廣・諒太(海底20コイン・g02599)が肉薄する。反撃を恐れぬ、玉砕の覚悟。自分の身を守るより、敵を砕くことを優先する一撃。敵の懐に潜り、さらに一歩。零距離で衝撃波をぶつける。
ディアボロスの猛攻に、キュライッサードールは満身創痍で、動きも精彩を欠く。一方で、ディアボロスも消耗しているが、戦意は衰えない。確実に敵を追い詰めていた。
「盛り上がってまいりましたね。……ダンスはお得意ですか? さぁもっと戦りましょう」
「おのれぇ!」
文字通り足元を見て微笑むクリスタ。4つの脚はもはや異音がするほどダメージを受けていた。優雅な所作とは裏腹に、やはり殴りまくる。メイドにも様々な種類が存在するが、まさにメイド・オブ・オール・ワークといえる殴りっぷりだ。優秀なメイドは力業も得意なのだろう。
ぐらりと半分ひしゃげた影に、エクがまた奔った。
「喜べ、これがお前の報いだ。ないよりずっといい」
突き立てられる牙。ただでさえ鈍った動きがさらに遅く、弱くなる。因果応報、罪なき罰の、当然の帰結。誰も与えぬなら、自分が与えてやるまで。
「大事な家族というなら、きっと大事なんでしょう。みすみす奪わせはしませんよ」
とノエラ。冷凍ミサイルは命中し続け、凍っていない部分の方が少ないくらいだ。
失い続け、乏しくなってしまった感情はもはや情報に近いが、だからこそ守らなくてはいけないと分かる。
「この私が、ディアボロスごときにィっ!」
キュライッサードールは全身から異音を発し、歯車を露出させながら突進を仕掛けてくる。迎え撃つ諒太。これが最後の激突となった。
2振りの剣が諒太の肩に食い込む。それでも、なお踏み込んだ。脚からの衝撃を腰へ、胴へ、肩から肘へと増幅しながら伝え、そして拳から放つ。
「この程度、首が落ちてなきゃ大した傷じゃねぇだろ」
鮮血が飛び散り、同時にキュライッサードールの胴体が吹き飛ぶ。人形の首は空中を二転三転して、ごとりと地面に落ちた。
(「庭師の人は無事そうだな…………なんか欲しがったのが恥ずかしくなってきたな。まぁ気分も晴れたし、それだけでも十分かな」)
見渡せば、周りに人影はない。戦闘が始まると同時に見物の市民も逃げ出したのだろう。庭師の親子も無事に逃げおおせたようだ。
パリの透き通った夜を、月と星が見下ろす。
なんてことない、普通の家に親子がいた。ずっと暗かった家に、今夜は明かりが点っている。お父さんは庭師で、ごつごつの手で娘の頭を撫でる。
ありがとう、見知らぬ誰か。
ありがとう、お父さんを助けてくれて。
今度会えたらちゃんとお礼を言えますように。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【隔離眼】がLV2になった!
【傀儡】LV1が発生!
【冷気の支配者】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【命中アップ】がLV2になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!