ミウ・ウルの進撃、甘寧決戦

 攻略旅団の作戦により、ジェネラル級蟲将『錦帆賊・甘寧』の居場所を特定する事が出来ました。
 甘寧は黄月英の死後、彼女の策に従い、ミウ・ウル迎撃の準備の為に後方に下がろうとしています。
 このまま、撤退する甘寧をミウ・ウルで追走すれば、甘寧が遠方に逃げる前に決戦を挑む事が可能となります。
 追撃にミウ・ウルを使用する為、防衛作戦も同時に行う必要がありますが、甘寧を撃破できれば、敵方のミウ・ウル迎撃態勢は崩壊します。
 デカン高原をミウ・ウルで高速で移動し、アルナーチャラ山までの距離を縮める作戦が実行可能となるはずです。

錦帆賊・甘寧

呉のために鈴は鳴る(作者 一条もえる
9


#蛇亀宇宙リグ・ヴェーダ  #ミウ・ウルの進撃、甘寧決戦  #ミウ・ウル  #蟲将  #錦帆賊・甘寧 


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●『蛇亀宇宙リグ・ヴェーダ』、ミウ・ウルの進路
「黄月英……ッ!」
 錦帆賊・甘寧は歯噛みしつつ、手にした鉄球を叩きつけた。狙いとなった巨岩がいとも容易く砕け散る。
 集められた配下の呉軍鋭蜂兵、そして呉軍弓奏兵が将の心中を思って、わずかに俯いた。
 しかし向き直った甘寧は大きく息を吐きつつ平静に、配下どもを見渡した。そのうちの数体は、偵騎となってディアボロスの進撃を探ってきた兵である。
「ディアボロスの移動拠点の進撃が、速すぎる。このままでは、黄月英が言った迎撃準備を整える前に追撃を受けるのは、必至だ」
 配下どもが顔を見合わせる。
 しかし甘寧は声を張り上げ、それを押し留めた。
「気にすることはない。そうであれば、やることはひとつ!」
「……こっちから仕掛けるおつもりで?」
 護衛の弓奏兵が、口元に笑みを含みながら問うた。
「そのとおりだ! こちらから打って出て、黄月英たちの仇を討つとしよう」
「それは……なかなか難しいですな」
 鋭蜂兵が二対の腕を組み、唸る。しかし甘寧は、口の端を持ち上げて笑った。
「確かに勝機は薄いが……なに、分の悪い勝負は嫌いじゃない。たとえ負けたとしても、アーディティヤたちが慌てると思えば、気分よく死ねるだろうさ!」
「なるほど、それは確かに」
「ディアボロスどもを、存分に苦しめてやりましょうぞ!」
 士気上がる兵ども。甘寧は満足げに頷き、
「『大戦乱群蟲三国志』の戦いに加われなかったこと、そして黄月英を見殺しにした格好になったのが至極無念でならないが……この戦ばかりは、オレが一番乗りを果たしてやろう!」
「なんの、我らも負けてはおりませんぞ!」
 羽根飾りを背負った兵どもが次々に弓を、槍を天に突き上げる。そのたびに身につけた鈴が鳴った。
「ははは! これだけ勇猛な兵が揃っていれば、呉の再興も容易かろうよ! 誰が一番乗りを果たすか、楽しみだ!」
 甘寧率いる蟲将の師旅が、ミウ・ウルに迫っていた。

●『最終人類史』、新宿島
「見事、黄月英を討ち果たされました。これでミウ・ウルの進撃にも弾みがつくというもの」
 拱手して一同を出迎えた許・伯隼(人間の無双武人・g03617)に誘われ、一同は席についた。
「なにしろ、巧みな策を用いる強敵でありましたからな。早々に討ち果たせねば、さらなる足止めを食うところであったでしょう」
 しかしアラーヴァリー山脈を突破することができても、まだ安心はできない。黄月英と戮力してディアボロスたちに対抗してきたジェネラル級蟲将『錦帆賊・甘寧』が健在なのだ。
「ミウ・ウルはこのまま、アルナーチャラ山を目指して進撃していただきまする。
 しかし、甘寧は後方に退いて迎撃の構えを見せております。攻略旅団の献策により、これを追撃して討つことに決定いたしました。
 敵の備えが整う前に襲うことができれば、アーディティヤどもの思惑は大きく狂うことになるでしょう。そうなれば、デカン高原を走破することも叶いましょう。
 これぞ、まさしく良籌にござる」

 まずはミウ・ウルを用いて進撃を続けねばならない。
「それも全速力で、です。さすれば、甘寧は備えが間に合わぬと考えて乾坤一擲の決戦を挑んで来るに違いありませぬ。
 甘寧の後方にはアーディティヤどもの援けがなく、敵軍には厚みがありませぬ。動かせる兵もそれが限界ということでありましょう」
 敵は二手に分かれてくるにちがいない。すなわち正面からこちらを迎え撃つ甘寧率いる主力と、ミウ・ウル襲撃を試みる別働隊である。
 これを討ち果たし、さらなる先へとミウ・ウルを導くのだ。

「ミウ・ウルがアラーヴァリー山脈の突破に成功した一方で、空中寺院ヴィマナ・アルゴーは山越へと到達しております。蟲将は山越を新たな拠点にすることを試みているようですので、こちらの方面に新たな蟲将が増援に現れることもないでしょう」
 そう分析した伯隼ではあったが。
「しかし、くれぐれもご油断めされるな。敵は死兵にござる」
 伯隼は厳しい表情で、集まったディアボロスたちの顔を見渡した。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【水源】
1
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【隔離眼】
1
ディアボロスが、目視した「効果LV×100kg」までの物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)を安全な異空間に隔離可能になる。解除すると、物品は元の場所に戻る。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【熱波の支配者】
1
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【植物活性】
1
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【水面走行】
1
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【温熱適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、気温摂氏80度までの暑さなら快適に過ごせる世界に変わる。
【パラドクス通信】
2
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。
【アイスクラフト】
1
周囲が、ディアボロスが、一辺が3mの「氷の立方体」を最大「効果LV×3個」まで組み合わせた壁を出現させられる世界に変わる。出現させた氷は通常の氷と同様に溶ける。
【狼変身】
1
周囲が、ディアボロスが狼に変身できる世界に変わる。変身した狼の咆哮は「効果LV×10m」以内の指定した通常の生物を怯えさせ、「効果LV」分の間、行動不能にするが、変身中はパラドクスは使用できない。

効果2

【能力値アップ】LV2 / 【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV7 / 【ガードアップ】LV2 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【ロストエナジー】LV1

●マスターより

一条もえる
 こんにちは、一条です。
 黄月英の撃破、お見事でした。これにより、ミウ・ウルはアラーヴァリー山脈の突破に成功しました。しかし一方、甘寧がその進撃を阻むべく決戦を挑んできます。
 これを撃破できれば、進路を妨害する敵は見当たりません。アーディティヤも守りを固めようとするでしょうが、それが整う前に一気にアルナーチャラ山に近づけるかもしれません。

 敵の行動は大きくふたつ、甘寧率いる主力(選択肢①、②、④)と別働隊(選択肢③)です。これらは同時に進行することができます。ミウ・ウルを襲う敵を迎撃しつつ、主力に攻撃をかけましょう。
 甘寧は自ら先頭に立つように進んできますので、いきなり対話を試みたり戦いを挑んだりすることも可能ではあります(さほど有益な情報は持っていないでしょうが)。が、「一番乗り」してくる甘寧はかなり強敵になりますので、ご注意を。

 では、今回も燃えるプレイングをお待ちしています。
 いつも感想、ありがとうございます。一言でも長文でもとても励みになりますので、よろしければぜひ。
45

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


エイレーネ・エピケフィシア
愛するクロエ様(g08917)と共闘

異邦の地で手を取り合う同胞を討たれた嘆きはもっともですが……
そもそも蟲将こそが、人々に戦乱を強いて数多の悲嘆を生み出しているのです
クロエ様と同じく、わたしも裁きを下すに躊躇いはありません
邪悪を討ち、ミウ・ウルが進むべき道を拓きましょう!

≪神護の長槍≫と≪神護の輝盾≫を手に戦います
前に出て注意を惹き付け、襲い来る矢を盾で受け止めながら撃ち合うことで、後ろに立つクロエ様が術を練りやすい状況を整えましょう

槍の穂先を敵に向け『堕落を滅す浄化の刃』を発動
敵が地上で緊密な隊伍を組むなら光線で纏めて貫通し、陣形を広げて宙を舞うなら槍を大きく振るうことで光線による薙ぎ払いを行います
クロエ様のセイレーンによって引き裂かれてなお生きている敵がいれば、優先的に追撃を

敵の技は、矢の弾道や風切り音に合わせて盾を構え防御します
詩の内容から想像を働かせれば、どんな攻撃が来るかの先読みも可能でしょうか

呉の国は、戦乱の時代を生き抜いた人々のもの
あなた達が恣にしてよいものではありませんよ


クロエ・アルニティコス
愛するエイレーネ(g08936)と共に戦います

やれやれ、追撃を受けて恐慌状態に陥ってくれていれば楽だったのですが。
あるいは月英が討たれ、その仇だと視野が狭くなっていても。
戦意は軒昂、しかし見境を失っているわけでもなく……厄介な戦いになりそうですね。
尤も、山越の景色を思い出してみても……蟲将を生かして残す理由など一片もありはしませんが。

エイレーネに前衛を任せ、後方で魔術を詠唱。甘寧の護衛である呉軍弓奏兵へ攻撃を仕掛けます。
【セイレーン・カンパニュラ】を使用し、セイレーンを象った植物の怪物を作り出します。
セイレーンを羽ばたかせ、敵が歌う曲に重ねるように、身を引き裂く鳴き声を響かせ、弓奏兵たちを引き裂かせます。

反撃の一撃は「守護の赤薔薇」の茨の防壁で防御し、大きなダメージを受けないように。

お前たちの国の再興など、そこに住む人間からしてみればたまったものではないでしょう。
アーディティヤはどう言ったか知りませんが、お前たちに渡す土地などありません。
法正の「研究」を思い返し、戦意をまた滾らせましょう


孫・リア
呉の再興ね……響きはいいけど蟲将の呉は二度と御免被りたいわね
あの『甘寧』を名乗るなら大戦乱群蟲三国志で一番乗りできなかった事はさぞ無念だと思うしその執念とかは凄まじいと思うけど……その無念を懐きながらここで散ってもらうわよ!

『天馬』で星星に騎乗して空高くから飛翔して阿黒達のビームでまずは挨拶代わりの奇襲して、そうね、一番乗りした人から撃っていこうかしら?
けど『甘寧』だけには注意、まだ彼と戦う時じゃないからね、焦らないで周りの一番乗りしてる蝶の護衛から倒していきましょう

あぁ……そんな弓矢、私と星星に届くわけないわよ!
けど油断はしないし、『甘寧』と本格的に戦う前に怪我をしたくないからね、槍と偃月刀で弓矢を薙ぎ払い、そのままの勢いで敵もなぎ倒してどんどん倒していくわよ!


【アドリブ共闘歓迎】


「呉の再興ね……」
 無双馬『星星』の鞍上にある孫・リア(勇武と炎を胸に秘めて・g03550)の眉間には、深々と皺が刻まれている。
「響きはいいけど、蟲将の支配する呉は二度と御免被りたいわね」
「リア様」
 エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)が案ずるように見上げ、その手綱に触れた。クロノヴェーダへの怒りはディアボロス全員に共通するものだが、ことが蟲将、それも呉将となると。
「大丈夫、無茶はしないわ!」
 そう言いつつも、『星星』の腹を蹴って一気に駆け出すリア。
「来たなディアボロス! オレの鉄球を一番に馳走してやろう!」
 こちらの姿を認めた錦帆賊・甘寧は、逃げるどころかこちらに向き直ってすでに邀撃の陣を敷いていた。鎖付きの鉄球をブンブンと振り回し、向こうから迫ってくる。腰に吊るした鈴が激しく鳴っている。
「これでは、どちらが追う側なのか……」
 エイレーネが苦笑すると、クロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)も「やれやれ」とばかりに肩をすくめた。
「追撃を受けて恐慌状態に陥ってくれていれば、楽だったのですが」
 あるいは、黄月英が討たれた仇討ちをせんと、他のことが目に入らなくなっているのか。
 しかしクロエは、すぐにかぶりを振る。
「いえ。戦意は軒昂、見境を失っているわけでもなく……厄介な戦いになりそうですね」
「しかし、ここで止まるわけにはいきません。邪悪を討ち、ミウ・ウルが進むべき道を拓きましょう!」
 エイレーネは長槍と盾を構え、リアと並んで駆けていった。
「えぇ」
 クロエは頷きながら足を止め、蟲将に支配されている山越を思った。
「あの景色を思い出してみても……蟲将を生かして残す理由など一片もありはしません」
 懐から、カンパニュラの種を取り出す。
「甘寧様、あいにく一番乗りは譲れませんね!」
「それッ、射掛けろ!」
 ディアボロスの中に飛び込んできそうな勢いの主将を遮るように、呉軍弓奏兵どもは弓を引き絞った。勁矢は弧を描くこともなく真っ直ぐに、リアとエイレーネに襲いかかってくる。
「そんな矢、私と『星星』に届くわけないわよ!」
 リアは速度を緩めもしないまま、右手で振るう偃月刀と左手に構えた槍……すなわち『千紫』と『万紅』で、飛来する矢を次々と叩き落としていった。
「『星星』、『阿黒』! 合体して行くよ!」
 リアの肩に止まっていた鴉はいつの間にか空に舞い上がっており、急降下してきたそれが無双馬とぶつかったかに見えた。すると両者はひとつとなり、白い無双馬は漆黒の翼を得た。翼を広げて飛び上がり、打ち込まれる矢の雨すらも飛び越えていく。
「どこに行った……ッ?」
 飛び上がったリアの姿が、弓奏兵どもの視界から消えた。
 空を見上げて追おうとする敵兵どもだが、盾を構えて矢を弾きつつ迫るエイレーネから視線を逸らすわけにもいかない。
「聖なる光よ、大地を穢す邪悪を灼き清めたまえ!」
 エイレーネが槍を一閃させると、槍の穂先からは金色の光線が放たれた。彼女の内なる魔力が、信仰が生み出す加護によって励起したものである。居並ぶ敵兵が光に薙ぎ倒される。
 そこに上空から、光線が撃ち下ろされた。
「うおッ!」
「ぐわッ!」
 鴉の幻影が放ったものである。それを浴びた弓奏兵どもは悶絶した。その兵にリアと無双馬は飛びかかり、左右の得物で首を斬り飛ばす。その片割れが、最初に矢を放った兵であった。
「せっかく一番乗りしたのに、残念ね!
 ……甘寧! まだあなたと戦うときではなさそうだけど、すぐに行くわ。そこで首を洗って待っていなさい!」
 と、リアは得物を回して構え直し、敵兵どもに囲まれた甘寧を睨みつける。
「手癖も口も悪い小娘どもだな!」
 弓奏兵どもは舌打ちしつつも憎々しげに言ったが、手にしているのは柳琴であろうか……それを爪弾きつつ口からこぼれたのは、なんとも美しい歌声であった。
 しかし同時に、どこか淫蕩な響きを持つ歌である。
「靡靡(ひび)の楽、かしらね……」
 リアが顔をしかめる。殷の紂王が好んだという、いわば亡国の歌である。ならば、弓奏兵ども翅を広げて華麗に舞う様は、北鄙(ほくひ)の舞なのであろう。
 弓奏兵どもは、虎すら素手で撃ち殺したという紂王さながらの膂力で弓弦を引き絞り、放ってきた。
「く……!」
 盾を構えて防ぐエイレーネ。しかし、ただの一矢で体勢を崩されるほどであり、続いて襲いかかられては、とても。
「種子に宿るは我が憂い、芽吹け『セイレーン・カンパニュラ』!」
 その窮地を救う者と言えば、やはり彼女であろうか。
 クロエが投じたカンパニュラの種は、魔力とともに鬱々とした想いを注ぎ込まれて急成長した。その姿はギリシャ神話に姿が見えるセイレーンのごとくであり、絹を引き裂くような金切り声を上げながら飛び回る。
 それは弓奏兵どもの歌を遮り、
「なんてやかましい……ッ!」
 たまらず耳をふさいだ敵兵の身体を、比喩ではなく絹のように引き裂いてしまったのである。
「……残忍だと思いますか? いいえ、法正が行なっていた『研究』を思えば、この程度」
 静かではあるが、怒りを込めてクロエは敵兵どもを睥睨する。
「お前たちの国の再興など、そこに住む人間からしてみれば、たまったものではないでしょう。
 アーディティヤがどう言ったか知りませんが……お前たちに渡す土地など、ありません!」
 エイレーネも法正の悪行を思い出し、顔をしかめている。ふたりにとって故郷である『蹂躙戦記イスカンダル』で、どれほどの人々を苦しめてきたか。
 エイレーネも、声を張り上げた。
「呉の国は、戦乱の時代を生き抜いた人々のもの。あなたたちが恣(ほしいまま)にしてよいものではありませんよ!」
 クロエが投じたカンパニュラの種が、新たな怪物を生み出す。怪物の恐ろしい叫びも、それを背で聞くエイレーネにとっては心強い。
「せめて南越とか夜郎とかなら、まだ納得できるけれど」
 肩をすくめつつ、リアも再び愛馬の胴を蹴った。
 セイレーンの叫びに肩を引き裂かれて膝をついた弓奏兵に狙いをつけ、エイレーネは槍を繰り出した。今度は光は一直線に伸びて、その兵を貫いてとどめを刺す。そればかりか、光線は兵の胸板を貫いて後ろの兵まで打ち倒した。
「怯むな、怯むなよ! ここが死に場所と思えば!」
 兵どもを鼓舞する甘寧。鉄球を振り回しながら前に出てくる。その前に、護衛の兵を倒さなくては……。
 しかし弓奏兵どもも将の声に励まされ、次々と矢を放ってくるのである。甘寧のそれよりは小ぶりであるが、そのたびに背負った羽飾りが揺れ、鈴が鳴る。
 矢の雨を、エイレーネは盾を構え、そしてクロエは『守護の赤薔薇』が生み出す茨の壁で、互いにかばい合うように防ぐ。しかし、次々と放たれる矢のいくつかが、その防ぎを突き抜けて彼女らに突き立った。
「く……ッ!」
 リアの脇腹からも、血が滲んでいる。しかし、その程度で彼女らを怯ませることはできない。
「このままの勢いで、どんどん倒していくわよ!」
 セイレーンの叫びが響きエイレーネの放った光線が敵兵を薙ぎ払う中、リアの駆る無双馬は残った弓奏兵の中に飛び込んで、左右の蹄でその身体を蹴り上げた。偃月刀が袈裟懸けに、そして槍が胸板を貫いた。
「甘寧ッ!」
「おうよ!」
 鉄球が襲い来る。咄嗟に得物を十字に構えて受けたリアであったが、凄まじい衝撃とともに人馬ごと吹き飛ばされた。『星星』はなんとか着地し、倒れることなく体勢を立て直す。
「皆、見事な死に様だった! 今頃は、砂上船を襲った連中も上手くやっただろう!」
 鉄球を手にした甘寧は、黙祷するようにしばし俯いた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【熱波の支配者】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV2が発生!

月下部・小雪
み、みなさんが襲ってくる甘寧さんの対応をしてくれているうちにミウ・ウルさんを進めましょう。
こっちにも襲い掛かってくる蟲将さんがいるので油断はできませんっ!

ミウ・ウルさんの操舵室に乗り込んで全速前進、です!
これだけ派手に進んでたら向こうから攻めてくるはずですよね。呉軍鋭蜂兵さん達が襲い掛かってきたらコダマの出番です。
ミウ・ウルさんの頭の天辺に陣取ったコダマが【空母型海戦装装備型モーラット・コミュ】になってコダマ攻撃隊を出撃させます。
ガンガン攻撃して、蜂さんを一匹も近寄らせないで、ください!
不意打ちや忍び足で近寄ってくるのもいるみたいなのでそっちにも要注意ですね。

【パラドクス通信】で一緒に戦う味方にこっちは大丈夫だと伝えましょう。
ミウ・ウルさんの安全が確保出来次第、ボクもそっちのお手伝いにいきます!

※アドリブ連携大歓迎


 錦帆賊・甘寧とそれが率いる呉軍弓奏兵どもが、追撃するディアボロスたちを迎え撃った。いや、むしろ反対にあちらから攻め寄せていると言ってさえよいかもしれない。それだけ、敵は意気軒昂であった。
 そして甘寧は自らの率いる兵団とは別に、ミウ・ウルに対して攻撃をかける部隊を派遣していた。
「み、みなさんが甘寧さんの対応をしてくれているうちに、ミウ・ウルさんを前に進めましょう!」
 操舵室にいて、ミウ・ウルを進行させていた月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)。
 しかし遠方に敵の姿を認めるや、外に飛び出した。
「油断はできませんッ!」
 世界の各所で強敵との戦いが行われている。そのためディアボロスたちも、あちこちに散っている。小雪のそばにも仲間の姿はないが、それでも小雪の強い戦意は、前髪の隙間から見える片目の眼光からうかがえた。
「こいつが、ディアボロスどもの地上船か!」
 呉軍鋭蜂兵どもはその大きさに驚愕したようであったが、
「敵の守りは薄いぞ、ぶち壊せ!」
 と、槍を並べて襲いかかってくる。
「て、敵部隊が見つかり、ましたね。出番です、『コダマ』!」
 呼ばれたモーラット・コミュ『コダマ』は、飛行甲板型の海戦装を負っていた。
「コダマ攻撃隊、発艦始め、です!」
 小雪の声とともに、飛行甲板からは次々と淡い光を放つエネルギーが飛び立っていく。その形状は、艦上爆撃機の形をしていた。
「うおッ!」
「ぐぬッ!」
 敵群に向かって急降下した艦爆から、エネルギーの塊が切り離される。それは敵中で次々と炸裂して、鋭蜂兵の翅を焼き、肢を吹き飛ばした。
「ガンガン攻撃して、蜂さんを1匹も近寄らせないで、ください!」
 その指示に『コダマ』は的確に答え、第二次攻撃隊が発艦していく。
 だが、敵もなすがままにされていたわけではない。
「死ね、小娘ッ!」
 上空に、急に鋭蜂兵の姿が滲み出た。体の色を変え、空に紛れていたのである。
 艦爆が自ら突っ込んで1体を吹き飛ばしたが、もう1体には間に合わない。
 その鋭い突きが、小雪の胸を抉った……かに見えたが、小雪も警戒していたのである。咄嗟に一点集中させた魔力障壁に、その穂先は食い止められた。
 それでも衝撃は凄まじく、小雪の小さな体はころころと転がる。激しく咳き込む小雪。
「だ、大丈夫、です! ミウ・ウルさんの安全が確保でき次第、ボクもお手伝いに行きます!」
 と、小雪は通信機に向かって声を張り上げた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!

夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎

許殿の言う通り、後のない立場が死に物狂いで仕掛ける攻撃は、生半可なものではないだろう
だが、負けられないのは我らも同じ。ミウ・ウルには手出しさせない

<精神集中>で戦意を昂れば、朱殷の闘気が巨大な怒龍を形成
ミウ・ウルを護るように取り巻き、四方へ殺気を放つ
月下部殿に続き、己も黒龍偃月刀を構え、迎撃態勢に

「守りが薄い、か。随分と舐められたものだ」

『呉軍鋭鋒兵』を、その慢心ごと水に流してやろう

吐き出した言葉とともに大量の【水源】を操って鋭鋒兵を巻き込み曝濫を叩きつける
怒りを込めた【ダメージアップ】は翅を捥ぎ、原形留めることを許さぬ

反撃は軌道を冷静に見極め、偃月刀で穂先を捌き、右腕の大籠手で弾く
(『孫権』よりは、遅い)
【ガードアップ】も併用して攻撃をいなせば、再びパラドクスを発動し、鋭鋒兵を墜とす

それにしても、蟲将の辞書にも「仇討ち」という言葉があったとは
もしくは、立場を護るための保身か

いずれにしても、『黄月英』の元へ送り届けてやろう
次はお前だ『甘寧』


「怯むなよ! 甘寧様に無様なところを見せてはならん!」
 呉軍鋭蜂兵どもは同胞を失いつつも、襲いかかってくる。それは退くに退けないからやむを得ず戦っているという形には程遠く、ここにこそ死ぬべき意義があると感じているようであった。
「わ……!」
「まさに死に物狂い、か!」
 小雪に向かって繰り出されようとした槍を、夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)は偃月刀を振るって弾き飛ばした。
「錬晏さん!」
「おのれ、新手か!」
「かまわん、まとめて蹴散らせ!」
「……許殿の言うとおりだな。だが、負けられないのは我らも同じ。ミウ・ウルには手出しさせない!」
 敵群を睥睨し、呼吸を整える錬晏。その戦意は沸々と昂っていき、朱殷の闘気がその身から立ち上る。
「コダマ!」
 小雪のモーラット・コミュが再び艦上爆撃機を発艦させていく。それをチラリと見上げ、錬晏は『黒龍偃月刀』をかまえ直した。
「守りが薄い、か。ずいぶんと舐められたものだ。私も月下部殿も、一騎で数百の兵に勝るぞ。むしろ兵が足りぬと言うべきだな!」
 嘯いた錬晏が偃月刀の石突きで地を打つと、地面は激しく振動した。
「圧し潰す。その慢心ごと、押し流してやろう!」
 突如として吹き出した膨大な水は激流となって敵群へと襲いかかり、凄まじい質量が敵兵の身体を打ち砕いていく。
「おおおおお……ッ!」
「おのれッ!」
 数体の敵が激流を逃れ、飛んだ。強力な毒を帯びてぬらぬらと妖しく光る穂先が、錬晏を襲う。
 しかし、
「……孫権の蜂槍よりは、遅い」
 偃月刀が穂先を弾き、あるいは『黒橡の大籠手』で払う。それでも敵兵は槍を繰り出し、大籠手の上腕に命中した。貫かれぬまでも、その衝撃によろめく錬晏。
 しかし敵の反撃もそこまでであった。再び放たれた激流は天を突かんばかりの勢いで空中の鋭鋒兵どもに襲いかかり、そのすべてを押し流した。
「や、やりました……!」
 パシャパシャと水たまりを踏みながら、小雪が駆け寄ってくる。錬晏は穏やかな笑みを浮かべ、
「あぁ」
 と、頷いた。
「……それにしても、蟲将に『仇討ち』という言葉があったとは」
 あるいはそれは、保身のための物言いかもしれないが。
「いずれにしても、甘寧。次はお前だ。黄月英のもとへ送り届けてやろう」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水源】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!

エイレーネ・エピケフィシア
愛するクロエ様(g08917)と共闘

甘寧よ。あなたと黄月英が打ち立てた策は、我らが艦の歩みを大いに鈍らせました
偽神どもが蟲将を捨て駒とみなしても、復讐者は彼らを油断ならぬ敵として記憶に留めるでしょう
故郷の戦に加われなかったことを惜しむならば、永く語り継がれる此度の戦に最期の武勇を刻みなさい!

敵は甘寧一人ですが、あの鎖で繋がれた鉄球は時として予想外の方向から襲い来るもの
クロエ様と背中合わせに構えて死角を補い合うと共に、頭上から振り下ろす一撃や鎖での脚払いにも注意します

攻撃の機会を見出したなら≪神護の長槍≫より『勝利齎す女神の威光』を放出
鉄球を振り回して弾くことは困難な聖光の奔流で甘寧を灼きます
敵に動いて攻撃から逃れる余力がある内は、槍を振るって薙ぎ払うように光を放ち確実な命中を
負傷やクロエ様の技にで生まれた隙を狙える時は、槍を突き付けて一点集中で光を照射
鉄球は≪神護の輝盾≫で受け止めるか、鎖を咄嗟に槍で払って軌道を逸らします

見事な武勇、ですが――それすらも越えて、ミウ・ウルは突き進みます!


月下部・小雪
ミウ・ウルさんの安全は確保、できました。
ボ、ボク達も救援機動力で駆けつけて、甘寧さんとの決着をつけに、いきましょう!

ク、クロノヴェーダにも仲間意識があるのは知っていますが、こんなところで仇討ちされるわけにはいきません。
ミウ・ウルを苦しめていた蟲将さん達をやっつけてボク達はこの先に進みます!

ぐるぐる振り回している鉄球に当たると大変なことになりますが、あれで上方向を攻撃するのは大変そうです。
コダマ、上空からの攻撃でお願い、します!
任せろとコダマがぴょーーーんと天高くダイブ! 電気を纏って【毛玉稲妻落とし】を炸裂させます!
不規則にジグザグな軌道を取るおかげで反撃のタイミングがつかみにくいはずです。

ボクの方に振り回してきても、攻撃される場所は読みやすいはずです。
【ピンポイント魔力障壁】で重点的にガードして致命傷を避けましょう。

あの世からボク達がアーディティヤもばったばったと倒すところでも見て楽しんできて、ください!

※アドリブ連携大歓迎


クロエ・アルニティコス
愛するエイレーネ(g08936)と共に闘います

蟲将との関わりは法正……蜀とばかりでしたが。
さして生態に大きな違いがあるわけではないでしょう。
ならば……呉の再興のため、蟲将の増殖に必要なものも変わらないのでしょう。
お前たちが武を誇ろうと智を誇ろうと、生物として私たちとお前たちは相容れません。
ここでその命脈を断ちます。

敵は残り1人。ですがジェネラル級、それも戦闘が本職の者。確実に勝利するためにも、油断なくいきましょう。
エイレーネと共に死角を補い合うように立ち戦闘。
【三界巡る冥府の火】を使用し、三相の杖に冥府の炎を灯します。
敵に対して距離を取った状態杖から炎を放ち攻撃、鉄球で防がれようと鎖を伝わせ、持ち手の甘寧ごと焼き、確実にその体力を奪っていきます。
敵に隙ができた時やこちらの攻撃で動きが鈍っている時には接近し、炎を灯す杖を叩きつけることで直接甘寧を燃やします。

鈴の音に対しては隣で戦う最愛の人であり、最も頼れる戦友のことを想い委縮せぬように。

私たちの生きる世界に、お前たちの居場所はありません。


「お、お待たせしました! ミウ・ウルも、無事です!」
 月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)が駆けつけたとき、すでに戦いは始まっていた。
「うおおッ!」
 錦帆賊・甘寧は雄叫びとともに巨大な鉄球を振り回し、叩きつけた。命中した岩はまるで爆発したように、辺りに礫を撒き散らす。
 凄まじい威力である。これを喰らえば、ただではすまぬ。
 しかしエイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)とクロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)は左右に跳んでそれを避け、それぞれに得物を構えて敵将と対峙した。エイレーネは『神護の長槍』を。そしてクロエは『三相の杖』を。
「お見事でした、小雪様」
「お疲れ様です」
 エイレーネが微笑み、クロエは頷く。
「ち。鋭蜂兵はしくじったか……!」
 小雪の方を振り返り、顔を歪める甘寧。しかし、それを責められはせぬ。責めるとすれば、それを命じた己である。むしろ言うならば、
「見事な一番乗りだったぞ……!」
「甘寧よ」
 エイレーネが槍の穂先を突きつけた。
「あなたと黄月英が打ち立てた策は、我らが艦の歩みを大いに鈍らせました。偽神どもが蟲将を捨て駒とみなしても、わたしたちディアボロスは彼らを油断ならぬ敵であったと、記憶に留めるでしょう」
「お前らに褒められたところで、嬉しくはないな。ただ出遅れたことが、虚しいだけよ!」
「故郷の戦に加われなかったことを惜しむならば、永く語り継がれる此度の戦に、最後の武勇を刻みなさい!」
「残念だな、語り継ぎはせん。呉を再興するための前哨戦に過ぎんからな、これは!」
 鉄球が唸りを上げる。その風音はまるで、嵐が吹きすさぶがごとくである。
 エイレーネの考えに反して、敵の動きは一直線であった。しかしながら、それはあまりに速くあまりに破壊力を持っていた。
「ふんッ!」
 振り回された鉄球が最後は一直線に、エイレーネに叩きつけられる。
「く……ッ!」
 『神護の輝盾』を構えたエイレーネであったが、襲い来る鉄球の破壊力は凄まじかった。その質量と、速度。それが加算されて叩きつけられるのである。受け止めたにも関わらずエイレーネの全身には激痛が走り、狙いをつけていた槍が空を向く。そして身体は吹き飛ばされて、地に打ち付けられた。
「エイレーネ……!」
 クロエが思わず、愛する者の名を叫ぶ。
 いや、それでもよく防いだというべきなのである。並の者であれば全身の骨も肉も粉砕されていたであろうから。
「心配をおかけしました、クロエ様。しかし、大丈夫……!」
 エイレーネは気丈にも立ち上がり、槍を構える。
「さすがはジェネラル級……と言うべきですか」
 クロエの手にした杖が、冥府の炎を燃え上がらせる。
「冥府の女神にして魔術の女神ヘカテーよ、あなたを信じる者に目をかけて頂けるなら、どうかこの杖に神話の灯火を!」
 炎は鉄球の鎖を伝って、甘寧の腕を燃え上がらせていく。
「ぬッ!」
「この炎は、たとえ水をかけたところで……いえ。天、地、海、何処にあろうとも消えることはありません」
「上等だ、焼き尽くせるものなら、やってみろ!」
 しかし甘寧は吠え、するとその腰に吊るされた鈴がやかましく鳴った。同時に翅が擦り合わされ、ふたつの音は折り重なって辺りに響き渡る。
 いいしれぬ恐怖を抱かされる、不快な音である。
 知らぬうちにクロエは顔をしかめていた。蟲将との関わりは法正くらいのものだが、あれが『蹂躙戦記イスカンダル』の地で行っていた「実験」を思い出せば、吐き気がしてきた。
 クロエには囚われ、亜人に敗れた過去がある。もちろんその苦しみはクロノヴェーダへの怒りと変わり克服されたはず……なのである。
 それなのに、この鈴の音は故郷で味わった恐怖と痛みを思い出させるのだ。
「腰が引けてるぜ!」
 その隙を見逃さず、甘寧は襲いかかってきた。すんでのところで身をよじったが、かすめただけでクロエの身体は地に打ち倒された。
「見ておれ、志半ばにして斃れた鋭蜂兵よ、弓奏兵よ。そして呉の将兵たちよ! 俺がその仇を取ってやろう!」
「ク、クロノヴェーダにも仲間意識があるのは知っていますが、こんなところで仇討ちされるわけにはいきません!
 『コダマ』、上空からの攻撃でお願い、します!」
 小雪の声に応じて、モーラット・コミュ『コダマ』が「任せろ!」とばかりに力強く宙に飛んだ。そのもこもことした身体が、なにやら逆だっている。ときおりバチバチと、激しい音さえ立てていた。
「わ、悪い子にはコダマの雷様が落ちてきます!」
「ちッ!」
 甘寧は鉄球を宙に向けたが、『コダマ』はジグザグに飛びつつそれをかいくぐって、急降下してくる。
「ぴかぴかどかん、ですッ!」
「ぐおおッ!」
 『コダマ』の体当たりを喰らう甘寧。帯電した『コダマ』の身体は、雷にも等しい電撃を敵将へと浴びせたのである。
 全身から肉の焼ける異臭を発しつつも、甘寧は未だよろめくこともなく立っている。
「なかなかおもしろい真似をしてくれるが……貴様本体は、どうだ!」
「ひ……!」
 小雪に迫る鉄球。その狙いは、小雪の頭蓋を砕くことである。嫌でも意図を察した小雪は、全身を覆うように展開していた魔力障壁を、一点に集中させた。その甲斐あって直撃を避けることはできた……のだが、その衝撃までは殺しきれず、小さな身体は後ろに向けて吹き飛ばされる。3回転4回転ごろごろと転がったのち、『コダマ』に受け止められる格好でなんとか止まった。
「ふぇ……」
 くらくらとする頭を振る、小雪。
「寝ている暇はないぞ! もっとも、これからずっと眠っていられるだろうが!」
 なおも襲い来る甘寧。
「あいにく、そこまで長寝をするつもりはありませんね。
 アテーナー様! 大神ゼウス様の姫神にして、勝利を齎す女神よ! どうかこの槍に、人々の敵を撃ち破る力をお与えください!」
 エイレーネの敬虔な祈りが、手にした槍に光を灯す。
「さすがは甘寧、見事な武勇です……が」
「お前たちが武を誇ろうと智を誇ろうと、生物として私たちとお前たちは相容れません。ここで、その命脈を断ちます」
 クロエが土埃を払いながら立ち上がった。
「クロエ様」
「えぇ。私も大丈夫」
 エイレーネの腕に触れ、頷くクロエ。いかに鈴の音が響こうが、自分の隣には最も愛する、最も頼みとする戦友がいるのである。気力を奮い立たせ、クロエは再び冥府の炎を灯した。
「私たちの生きる世界に、お前たちの居場所はありません!」
「ほざけ! 俺たちの生きる世界にも、お前たちディアボロスは必要ない!」
 鉄球を振りかぶった甘寧であったが、
「だったらあの世から、ボクたちが蟲将もアーディティヤもばったばったと倒すところでも見て、楽しんできて、くださいッ!」
 小雪は土埃だらけになりながらも立ち上がり、再び『コダマ』をけしかけた。
「ちッ!」
 鉄球でその接近を阻む甘寧。しかしそこに冥府の炎が襲いかかり、敵将はたまらず顔を背けた。全身を炎が這い、背負った羽根が燃え上がる。
「甘寧。あなたを乗り越えて……ミウ・ウルは突き進みます!」
「させるかッ!」
 繰り出された鉄球をエイレーネはまたも盾で受け止めた。その衝撃に吹き飛ばされそうになるが、渾身の力で地を踏みしめて耐えている。その背に、自身を支えるクロエの温もりを感じた。
 ふたりがかりで耐え抜いても、腕の痛みは凄まじい。それでも、
「今度こそ……ッ!」
 槍の穂先は狙いを外してはおらず、撃ち出された光の奔流が敵将を貫いた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【隔離眼】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV2が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!

夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎

ミウ・ウルの安全は確保し、後方の憂いは絶った
先行する二人、月下部殿くため、救援機動力で最速で『甘寧』へ迫ろう

【アイスクラフト】で壁を作り、それを足場に高所から強襲
戦意に呼応した朱殷の闘気が黒龍偃月刀に取り巻き、巨大でより鋭い氷の刃となる
自重を加えることで【ダメージアップ】したパラドクスを伴い、上段からの袈裟懸け切りを叩き込む

反撃には、鎖鉄球を振り回す動作に合わせて後退し、氷の壁を利用して立ち回って超重量の直撃を避ける
岩をも砕く鉄球に対しては完璧な防護壁にはならないが、一瞬の目くらましぐらいにはなるだろう

そして俺達の戦いには、その"一瞬"が重要となる

一瞬で踏み込み近接すれば、パラドクスを付与した横薙ぎの一閃を叩き込み、その胴体に刃を食い込ませる

己の過激な立ち回りで仲間の攻撃との繋ぎとなる

『甘寧』が名乗れば、此方名乗ろう
ディアボロス・錬晏。貴殿らが支配した世界を正し、蟲を根絶やしにするべく蘇った、復讐の兵である


孫・リア
仲間意識に仇討ち……そりゃあるでしょうね……
んー……何か聞こうと思ったけど……まぁそんな事に反応なんてしてくれなさそうだし
……貴殿を倒して『黄月英』やついでに『孫権』達には会わせてあげるわ


勇猛果敢で、召喚した幻影達とはいえ慕わてれるのをみると、それでこそやはり『甘寧』というべきなのか……

けどそんなのは召喚した幻影のように何もかも違うし幻、さぁ何もかも燃やしつくわよ……!
『炎蝶』で兵士もまとめて取り囲むように炎の蝶を召喚して確実に1体1体燃やし尽くす、『甘寧』はそう簡単に燃えてくれないでしょうし炎よりも私の偃月刀と槍での攻撃に反応しそう、だから私ごと囮にして、彼の鉄球を防ぎつつ立ち回って、気がついたら彼の周りをたくさんの炎の蝶で取り囲んでほして『甘寧』を一気に燃やすわよ!

もし彼が『大戦乱群蟲三国志』で生まれて呉のジェネラル級としていたら…………まぁ今更ね、もう『大戦乱群蟲三国志』はないしね

さぁ私達は先に進むわよ

【アドリブ共闘歓迎】


クィト・メリトモナカアイス
ふんむー、確かに。
汝にとっては我らは仇でありそう。
そして群蟲三国志でのあれこれに対し、その時いなかった汝の責を問うのもなんか違う感はある。

汝個人に対して我としては思うところはないけれど。
そもそものところ。
汝ら民の死によって生まれ戦乱に生きる者。
汝らの隆盛は戦禍に在り。
ここは獣神王朝ではないけれど。
汝民を脅かす者。汝の名は語られず、刻まれず。ただここで滅ぶべし。

黄金猫拳打棒を手に「夜天再臨」。
遠距離より黄金猫拳打棒へと神々しい光を集め、敵に対して光の奔流を放つ。光で甘寧を呑み込み滅ぼそう。
近距離で戦う復讐者の攻撃の隙を埋めるように攻撃することで仲間の支援をしつつ、敵に攻撃もあてやすいように。
仲間との連携を重視し、個人で深入りはせぬように。

敵がトループス級を召喚してきたら細かく光を放ち対処をしつつ、余裕を見つけてチャージ。一気に光を解き放ってトループス級ごと甘寧を呑み込もう。

んむー、これでミウの旅も捗る……はず。


「ぐ、うう……ッ!」
 苦しげに胸を抑える錦帆賊・甘寧。蟲将にとってそれはかろうじて致命傷ではないが、貫かれた胸からはおびただしい体液が流れ出ていた。
 しかし甘寧は、
「兵たちは、もっと苦しかっただろうからなぁ! 奴らは死んだが……奴らと面白おかしく過ごすはずだった呉を再興するまでは、死ねんよ!」
 と、猛然と鉄球を振り回し叩きつけてきた。
「オレは、錦帆賊・甘寧だからよ!」
 氷の壁がその前に立ちはだかった。かと思えば、眩い光が辺りに散らばる。鉄球に砕かれた氷が陽光を受け、輝いたのだ。
「なにッ?」
「名乗りを聞いたからには、こちらも名乗らぬわけにはいくまい。
 我こそはディアボロス・錬晏。貴殿らが支配した世界を正し、蟲を根絶やしにするべく蘇った、復讐の兵である!」
 【アイスクラフト】で氷塊を生み出したのは、夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)であった。それを蹴って空より躍りかかった錬晏の氷の刃が、甘寧へと襲いかかった。
「ぐぬッ!」
 氷は牙となって、甘寧の甲に喰らいついた。
 その袈裟懸けが致命傷に至らなかったのは、甘寧が両手に鎖を握って勢いを殺していたからである。
「雑兵の名前なんぞ、興味はない!」
 甘寧が鉄球を叩きつけてくる。すんでのところで避けつついったん退く錬晏。
「ふんむー、確かに。汝にとって我らは、仇でありそう」
 『黄金猫拳打棒』を握りしめたクィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)が、口をへの字に曲げていた。
「仲間意識に仇討ち……そりゃ、あるでしょうね」
 孫・リア(勇武と炎を胸に秘めて・g03550)は渋面を作ったまま、しかしいささか複雑な面持ちで、敵将を見つめている。
「んむ。そして『大戦乱群蟲三国志』でのあれこれに対し、そのとき生まれてもいなかった汝の責任を問うのも、なんか違う感はある」
「まぁ……そうかもしれないわね」
 微妙な表情のリア。見れば、錬晏も同じような顔をしていた。
 彼らは彼の地に生を受け蟲将と戦ってきた者であり、クィトはそうではない。その辺りの温度差かもしれないが。
「いや。甘寧個人に対して、我として思うところはないというだけのこと。そもそものところ」
 怒りの読めぬ淡々とした表情、そして口ぶりとで敵将を見つめるクィト。
「汝ら、民の死によって生まれ戦乱に生きる者。汝らの隆盛は。戦禍に在り。
 ここは『獣神王朝エジプト』ではないけれど……汝、民を脅かす者。汝の名は語られず、刻まれず。ただここで滅ぶべし」
 クィトが打棒を高々と掲げると、そこには神々しい光が集まっていくではないか。
「獣神王朝はもうないけれど。我が民の守護者であることに変わりはなし。民のために我は戦おう」
 打棒を振り下ろすと、極限まで高まった光は奔流となって甘寧へと襲いかかる。
「う、お……ッ!」
 咄嗟に両腕を交差させた甘寧であったが、光はそれを嘲笑うかのようにその全身を押し包み、圧力となって蟲将を吹き飛ばした。
「く……この程度でオレたちが諦めるとは思うなよ。そうだろう、えぇッ?」
「おーうッ!」
 多くの兵の声が甘寧に応じたかと思ったのは、聞き間違いではない。永く甘寧に付き従ってきた水賊ども……中には先ほどの鋭蜂兵や弓奏兵もいるであろうか、その幻影がどこからか出現したのである。
 放たれた矢が空から襲いかかり、並んだ槍が次々と繰り出される。
「んむ」
 さらに打棒から光を放って応戦したクィトであったが、その肩に防ぎきれなかった1本の矢が突き立った。
「それ、とどめだ!」
 甘寧の声に応じて、幻影どもはさらに襲いかかった。
 しかしその前に、リアが立ちはだかる。
「勇猛果敢にして、兵にも慕われているのを見ると。それでこそやはり、『甘寧』と言うべきなのか……」
 複雑な心境のリアであるが、襲い来るのはしょせんは幻。
「さぁ、何もかも燃やし尽くすわよ……ッ! さぁ来て、紅き蝶々!」
 偃月刀を振るい、繰り出される槍の穂先をまとめて切り飛ばすリア。一方で、その周囲には赤き炎の蝶が召喚され、舞った。
「貴殿を倒して、『黄月英』や、ついでに『孫権』たちに会わせてあげるわ!」
 炎の蝶を引き連れ、突進するリア。
「面白い、かかってこい!」
 身を起こした甘寧は鉄球を振り回しながら、挑戦に応じる。飛んできた鉄球は迂闊に得物では弾けない。リアは身をかがめてそれをやり過ごし、足元を狙って槍を繰り出す。しかし甘寧もさるもの、鎖をそれに巻き付け、リアの動きを封じた。
「なかなかやるようだが、まだまだ……!」
 しかし、リア自身が囮なのである。気がつけば、炎の蝶が甘寧を取り囲んでいた。それは幻影の兵どもを消し去りながら、甘寧へと襲いかかった。
 周瑜、陸遜など、火計をもって名を成した呉将は多い。その系譜を受け継ぐように、リアの炎が襲いかかった。
「んむー……、ここで汝を討てば、ミウ・ウルの旅も捗る……はず」
 腕を上げるのが辛い。それでもクィトはもう片手で打棒を構え、再び充填されたエネルギーを甘寧に向けて放った。
「うおおおッ!」
 炎と光。甘寧の甲がバキバキと歪み、縮む音がした。肉が焼ける異臭も辺りに立ち込める。
 それでも甘寧は、未だ崩れない。幻影の兵どもが慌てて、どこから出現させたものか、手桶に満たした水を甘寧に振りかけた。
 甘寧の火傷はひどく重いものであったが、それでもこの蟲将に退くという選択はない。
「あいつらが地上船の撃破に失敗したというなら、オレが貴様らを蹴散らし、一番乗りしてやろうじゃあないか!」
 さらに幻影の兵を率い、突き進んでくる甘寧。
 リアは幻影の兵どもが放つ矢を、左右の得物を振るって弾き落とした。しかしその隙を突いて、敵将の鉄球が襲いかかる。咄嗟に得物を交差させたリアであったが、その身体は吹き飛ばされて地を転がった。
「くぅッ!」
「とどめだ、喰らえッ!」
「そうは、いくか!」
 膨大な圧力を受けた水は、強固な牙の如き氷へと変ずる。蟲将への殺意は赤い闘気となって溢れ出ており、それが錬晏を包んでいた。
「邪魔をするなら、お前からだ!」
 鉄球が襲いかかるのだが、錬晏の生み出した氷の山が、やはりそれを弾いた。氷の山ごとき、甘寧の一撃の前には脆いものである。しかしその一瞬の目眩ましのうちに、
「噛み砕く!」
 錬晏は懐に飛び込み、甘寧の脇腹に氷の刃を食い込ませていた。
 荒い息を吐きながら立ち上がったリアが、たまらず膝をついた甘寧を見下ろす。
「もし彼が、『大戦乱群蟲三国志』で生まれて呉のジェネラル級として存在していたら……」
 その奪還は、容易ではなかっただろう。しかし、
「まぁ、それも今更ね。もう『大戦乱群蟲三国志』は存在しないしね」
「貴様……ッ!」
 甘寧はディアボロスたちを睨みつけながら、立ち上がった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【アイスクラフト】LV1が発生!
【温熱適応】LV1が発生!
【狼変身】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV4になった!

夏候・錬晏
※アドリブ歓迎
※攻略期限に間に合わなければ不採用で

ミウ・ウルへの襲撃を退け、『甘寧』と相対する
黒龍偃月刀を構え、集中力と緊張感を保ったまま言葉を交わそう

「我こそは一番槍、と血気盛んに攻め立てる意気込みやよし
だが我らの力を見誤ったな。だから多くの部下をなくしたのだ」

挑発ではなく、純粋な意見をもって、いち武人として対等に話そう
何か情報を得るというより、純粋に聞きたいことがあった

「この地で『呉』の再建を目指しているとか。…アーディティヤらにいいように使われ、ろくに報酬も受け取れていないだろうに」

心に浮かぶのは、この地で討ち取った『典韋』の言葉
"山越にいる蟲将達は、自分達が利用されているだけだという事を判っていない"と

目の前の蟲将は、山越の生まれではない。ならば己が利用されていることは分かっているだろう

国の復興という大願。勢いだけではかなわず、頭脳であった『黄月英』ももういない
どこかに勝算があったのだろうか、その心を聞いてみよう


 未だ闘志を衰えさせない錦帆賊・甘寧の目を、夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)は正面から見据えた。『黒龍偃月刀』を握る手のひらが、わずかに汗で湿っている。
「我こそは一番槍、と血気盛んに攻め立てる意気込みや、よし。だが、我らの力を見誤ったな。だから、多くの部下をなくしたのだ」
「なに……!」
 顔色を変えた甘寧であったが、錬晏の口ぶりに蟲将を嘲る色はない。ただ淡々と、思うところを述べているだけであった。
 甘寧もそれに気づいたものか、
「侮ったわけではない。貴様らディアボロスが恐るべき敵だということは、呉を滅ぼし●三国志を滅亡させただけでも十分にわかっている」
 と、意外なほど穏やかに応じた。
「この地で、その『呉』の再興を目指しているとか……アーディティヤにいいように使われ、ろくに報酬も受け取れていないだろうに。
 典韋も言っていた。『山越にいる蟲将たちは、自分たちが利用されているだけだということをわかっていない』と」
「ふん、そのあたりはオレもたいして違いはないな」
 肩をすくめる甘寧。
 それを重々承知のうえで、か。錬晏はわずかに眉を寄せる。
「アーディティヤにこき使われているのは業腹だが、他に手はないというだけのことだ。呉を逃れ『大戦乱群蟲三国志』から逃げ散り、『蹂躙戦記イスカンダル』の崩壊を目の当たりにして、ここ『蛇亀宇宙リグ・ヴェーダ』に流れ着いた蟲将たちがいる。オレは呉を知らぬとはいえ、彷徨うしかなかったトループスどもが後についてきたんだ。そいつらが生きる場所を作ってやらにゃあならないだろう?」
「……国の復興という大願。勢いだけでは、それはかなうまい。頭脳であった黄月英も、もういない。どこに勝算があったのだろうか」
 しかし甘寧は、それこそ嘲るように、
「お前たちディアボロスは、確たる勝算がなければ戦わないのか?」
 と、笑った。押し黙る錬晏。兵法に「算多きは勝ち、算少なきは勝たず」とあるのは事実である。しかし確かに、勝算が立とうが立つまいがディアボロスたちはクロノヴェーダに対する反撃を開始したのである。
 甘寧が、鎖を握る手に力を込めた。
「オレたちに取れる策は、もはやこれしかないからな。退くなど、ありえん! 万に一つの勝機しかなかろうが、突き進んでそれを手にするまでのこと!」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!

リューロボロス・リンドラゴ
ふん。負けたとしても気に食わぬ者達を慌てさせれて気分良く死ねる、か。
嫌いではないよ、そういう考え方は。
だがまあ、つまり、我らからすれば。
貴様を倒せば勝利を得るだけでなく、アーディティヤ達を慌てさせれるということよなああ!
一石二鳥、気持ちよく勝たせてもらうぞ!

鉄球激痛、何するものぞ!
死をも恐れぬ甘寧相手に、怯み躊躇えば押されること必須よなあ!
であらば我らは捨身の一撃……否、死中に活を求めるまでよ!
打ち付けられたとて、止まってはやらぬ、砕かれてもややらぬ。
気絶なぞ、勝ってからすれば良い!
ルゥオオオオオオオオ!
――どこを見ている? 間隙突きしは竜である。
鉄球に飛び込むかのように遡っていく、我が逆落しにて、尾を叩きつけてくれようぞ!
重く、鋭く、速く、強い。
貴様の攻撃はシンプル故に強いものだが。
我らドラゴンもまた然り。
我が重く、大きく、太く、速い尾の一撃は、貴様の鉄球に負ける気なぞさらさら無いわあああ!
強いとはどういうことか、ぶつけ合ってくれようぞ!


伏見・萬
(連係アドリブ歓迎)(味方は苗字呼び)
(スキットルを持ち込み飲酒しながらふらっと現れ、飲酒しながら戦闘。敵と戦い倒す事を『喰う』と表現しがち)

…よォ。そいつは鈴か?賑やかな奴だな
シメて喰っちまえば静かになるかねェ?

周囲の味方と声を掛け合い連携(必要に応じ【パラドクス通信】を借りる)、敵の動きや敵・味方の消耗状況等の情報を共有
味方の隙や死角をできるだけカバーする立ち回りを意識する

【冬獣夏草】使用。自分の身体から植物の蔓を生やし、敵を絡め取り締め上げる
基本は敵に張り付いての近接戦闘。「敵の動きを妨害し、味方の攻撃を通しやすくする」を優先目標とする

敵の攻撃は、呪詛の靄を盾代わりにして受ける他、身体に生やした蔓で召喚された敵を拘束したり、攻撃の軌道を逸らしたり
【ガードアップ】も借り、「できるだけ長く戦場に立ち、攻撃や敵の妨害を続ける」ように意識するが
畳みかければ撃破(戦闘終了)可能と判断したら、防御は棄てて攻撃に集中する

…暗くて冷てェ所に、てめェも沈んでいけよ
そこに、てめェのお仲間もいるだろうさ


エイレーネ・エピケフィシア
愛するクロエ様(g08917)と共闘

容易に討ち滅ぼせる相手ではないことは、元より承知の上です
大地を……その上に生きる都市と人々を取り戻すためならば、何度でも戦火に身を投じましょう!

翼を備えた黄金の鎧を纏うネメシス形態を発現
同時に愛槍は≪オレイカルコスの聖槍≫へと変じます

敵の鉄球は大きく振り回すほどに速度を増し、その威力を高めるもの
ならば、敢えて懐に踏み込むことで、振り抜きの勢いや感覚を乱せるかもしれません
ここからは肉薄した状態をできるだけ維持して戦い、背中の守りはクロエ様に預けます

槍の穂先に光を纏わせて放つ――ように見せてから、鎧の翼を羽搏かせながら高く跳躍
一気に敵との距離を詰め、落下の勢いを乗せた刺突とともに『先陣駆ける女神の聖槍』を放ちましょう
槍の穂先を鎧や甲殻の隙間に潜り込ませ、聖光の激流を体内に直接撃ち込みます
鉄球は≪神護の輝盾≫で受ける他、距離の短さを活かし敵の後ろに回り込む、身を低くして鎖の下を潜る等して直撃の回避を

先駆の戦士よ――望むがまま、偽神どもの恐慌の魁となりなさい!


クロエ・アルニティコス
愛するエイレーネ(g08936)と共に戦います。

アルナーチャラ山は未だ遠く……しかし確実に近付いています。
その道に立ち塞がる敵も、倒し続けここまできました。
長い道も、障害も、私たちにとっては大きな問題ではありません。
お前を越え、ミウの行く先を拓きましょう。

冥府の神衣を纏うネメシス形態へと姿を変え、再び甘寧へと挑みます。
エイレーネの後ろについて戦い、正面から行われる攻撃はエイレーネに任せつつ私は側面や後方から来る攻撃を警戒。
後方より詠唱を行い、【ヘカテー・アコニタム】を使用。トリカブトの種を触媒に甘寧の背後へ冥府の門を開き、そこから伸びる腕で甘寧を掴み、生命力を奪い取ります。それまでに与えたダメージで甘寧が弱っていればそのまま冥府の門の中へと引き摺り込みます。

鈴の音による畏怖は身に付けた愛する者から贈られた「不朽薔薇の花冠」で守り、振るわれる攻撃は「守護の赤薔薇」の茨の防壁で防御を。

イスカンダルから、お前たちとの戦いは続いてきましたが……一つ、ここで終わりにしましょう。冥府へと墜ちなさい。


「そして負けたとしても、気に食わぬ者どもを慌てさせることになって、気分よく死ねる……か。
 ふん、嫌いではないよ、そういう考え方は」
 リューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)はブンブンと空気を震わせる鉄球の回転を恐れることなく、口の端を持ち上げて笑った。
「だがまぁ、つまり我らからすれば。貴様を倒せば勝利を得るだけでなく、アーディティヤどもを慌てさせられるということよなぁ! 一石二鳥、気持ちよく勝たせてもらうぞ!」
 と、幼い身体からは到底信じられぬ、竜の肉体が持つ力強さで地を蹴った。
「うぬッ!」
 甘寧は鉄球を浴びせてくるが、リューロボロスは右に左にと巧みにかいくぐりつつ、飛び込む隙を窺っている。
 鉄球が唸るたびに、カラカラと軽やかな音も鳴る。
「……よぉ。そいつは鈴か? 賑やかな奴だな」
 ふらりと戦場に現れた伏見・萬(錆びた鉄格子・g07071)が、スキットルを煽る。数滴の雫が散った口元を手の甲で拭った萬は酔眼で敵将を見据えつつ、
「シメて喰っちまえば、静かになるかねェ?」
 と、犬歯を剥いて笑う。
「おぉ、おぉ、存分に喰ろうてやれ!」
 リューロボロスも笑った。
「好き勝手なことをほざく!」
 甘寧が鉄球を叩きつけてきた。しかし萬は、
「喰らって廻れ、喰われて還れ!」
 自らの肉体と生命力を養分として、『冬獣夏草』を芽吹かせたのである。急速に伸びていく蔓が鉄球に繋がれた鎖に絡みつき、捻れていきながら甘寧の手に、腕に、そして全身を締め上げていった。
「ぐぐぐ……!」
 振り払おうとする甘寧だが、締め上げる蔓はその生命力までも奪っていくものか、果たせない。
 そこにリューロボロスが飛び込んで、
「我こそは龍。我こそはドラゴン。我が急襲は不可測と知れ!」
 渾身の力で、『竜の爪』を叩きつけた。爪は蟲将の胸板に食い込み、体液が飛び散る。
 しかし、
「まだまだ……蹴散らせッ!」
 蟲将どもの幻影がまたも出現した。それらは「オオオオッ!」と雄叫びを上げながら槍を構え、突進してくる。鈍い色に光っている槍の穂先が、萬の脇腹をかすめた。
「ちッ!」
 傷口がやけに痛む。どうせ毒でも塗ってあったのだろう。萬はあっさりと敵将の拘束を解き、幻影どもの防ぎに当たった。これを放置しておくわけにもいかない、襲い来る飛矢を、蔓で払った。
「ふん、その程度でオレたちは止められん!」
 甘寧の鉄球がリューロボロスを襲う。それはわずかに肩をかすめただけなのだが、そこに込められた威力は凄まじく、リューロボロスは地に倒された。
「なんの、これしき」
 すぐさま立ち上がるリューロボロス。
「この程度で止められると思われては困るのは、我らとて同じよ!」
「えぇ。容易に討ち滅ぼせる相手でないことは、もとより承知の上です!
 しかし大地を……その上に生きる都市と人々とを取り戻すためならば、何度でも戦火に身を投じましょう!」
 高らかに宣言したエイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は、翼を備えた黄金の鎧を纏っていた。そしてその手にあるのは、愛槍の真なる姿。邪悪を灼き祓う聖なる光を纏うという、『オレイカルコスの聖槍』である。
 もちろん彼女の背中を守るのは、クロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)である。クロエもまた『冥府の神衣』を纏い、美しくも凶暴な、「妖花の魔女」の真なる姿を現していた。
「大丈夫か……と聞くのは、いかにも野暮だが」
 萬が、連戦となるふたりを案じたが。
 クロエは平然とした顔で頷き、
「アルナーチャラ山は未だ遠く……しかし確実に近づいています。その道に立ちはだかる敵も、私たちはことごとく倒し続けてここまで来ました。
 長い道も障害も、私たちにとっては大きな問題ではありません」
 と、懐に手を差し入れた。握られているのは、トリカブトの種子である。
 目を細めて敵将を睨みつけるクロエ。
「お前を越え、ミウ・ウルの行く先を拓いていきましょう」
「おう、やってみろ!」
 甘寧は堂々とそれに応じ、鉄球を振り回す。そのたびに腰の鈴が鳴り響いた。
 顔をしかめるクロエ。
 これは理屈ではない。鈴の音と翅が生み出す音を聞けば、どうしても本能的な恐怖が呼び覚まされてしまうのだ。風は冷たいというのに、クロエの額には汗が滲み出る。
 しかし愛する者を思えばそれに屈するわけにもいかないのであって、そッと『不朽薔薇の花冠』に指先で触れた。神聖な力を宿す枯れない花冠が護ってくれたのだろうか。少しは気持ちが落ち着いた心地もする。
「クロエ様」
「えぇ。種子に宿るは我が復讐、狂い咲け『ヘカテー・アコニタム』!」
 昏い復讐心と握りしめたトリカブトとを触媒にして、クロエは一時的に冥府の神の代行者となった。その権限によって冥府の門を開くと、そこから伸びた無数の腕が甘寧へとしがみついていく。
「くッ、この……ッ!」
 鉄球を叩きつける甘寧。腕は鉄球に砕かれて四散するも、伸びる腕はまだまだある。それに絡みつかれるたびに、甘寧は言いしれぬ疲労感に襲われる。
 その敵将に向け、エイレーネは槍を突きつけた。
「アテーナー様! 大神ゼウス様の姫神にして、戦の先駆けたる女神よ! どうかこの槍に、人々の敵を貫く力をお与えください!」
「むッ!」
 またしても。その槍が放つ光芒を警戒した甘寧が、鉄球を叩きつけてきた。しかしこれみよがしに向けられた穂先は虚、であった。
「やぁッ!」
 銀の翼を羽ばたかせながら、エイレーネは飛ぶ。鉄球を飛び越えて一気に距離を詰めたエイレーネは、落下の勢いも合わせて槍を繰り出した。その穂先が、深々と甘寧の肩に食い込む。
「ぐッ!」
 顔をしかめる甘寧。しかしまだ、終わりではない。
 甘寧の身体から光が漏れる。食い込んだエイレーネの槍が光を放っているのだ。
「先駆の戦士よ……望むがまま、偽神どもの恐慌の魁となりなさい!」
 光の奔流は蟲将の体内で暴れまわり、弾けた。その肩口から、腕が吹き飛ぶ。
「ぐおおおおおおおッ!」
 だというのに。甘寧は残った片腕で鎖を握りしめ、鉄球を振るったのである。
 身を低くしてかいくぐらんとしたエイレーネ。しかし敵将は短く鎖を持ち替え、小さな回転で叩きつけてきた。すんでのところで、盾で受け止めるエイレーネ。
 遠心力を得られなかったぶん、多少は威力が減じたのか。しかしそれでも、盾を持つ手は激しく痺れた……いや、盾を握りしめる手が痛むのは、骨が折れたせいであろう。
「どけぃ!」
「どかねェよ」
 追撃してこようとする甘寧であったが、萬はしつこくその前に立ちはだかって防ぎ続けた。横合いから繰り出される敵兵の槍をつかみ取り、あるいは喰らった敵の身体から作った刃を振るって、放たれた矢を切り払う。
 その気力によって得物を振るい続ける甘寧であったが、満身創痍なのは明らかである。
 萬はその様を見やりながら、鼻を鳴らした。仲間たちにも聞こえるように、声を張り上げる。
「……暗くて冷てェところに、てめェも沈んでいけよ。そこに、てめェのお仲間もいるだろうさ!」
「なにをッ!」
 甘寧の怒声とともに、その幻影の兵どもが襲いかかってきた。しかし飛んでくる矢を防ぐことよりも、蔓を伸ばすことを萬は選択した。矢は肩に突き立つが、蔓もまた甘寧へと絡みついていく。
「おのれッ!」
 苦しげに蔓を引きちぎりながら、萬を睨みつける甘寧。
 そこにリューロボロスが肩の激痛にも関わらず吠え、再び躍りかかった。
「どこを見ている? 間隙突きしは竜である!」
 エイレーネとクロエも、最後の攻撃を仕掛けんと構えた。盾を持つことを諦めたエイレーネはそれを投げ捨てて槍を持ち直し、クロエは手をはたいて塵を払い、新たな種子を握る。
「ルゥオオオオオオオオ!」
 雄叫びを上げ、リューロボロスは飛び込む。叩きつけられた鉄球を飛び越えて。
 しかし。
「図に乗るなッ!」
 敵将は素早く鉄球を引き戻し、横から叩きつけてきたのである。リューロボロスの脇腹にそれは吸い込まれた。
「かは……ッ!」
 肋骨が砕け内臓が傷つき、リューロボロスの口から血が溢れる。
「リューロボロス様!」
 エイレーネの槍が、甘寧の脇腹を抉り、光芒がその肉を吹き飛ばす。よろめく敵将をよそに、エイレーネは思わず振り返った。
 しかしリューロボロスの目は光を失ってはおらず、
「鉄球激痛、なにするものぞ! 死を恐れぬ甘寧を相手に、怯み躊躇えば押されること必須よなぁ!」
 であれば、狙うは捨身の一撃……否、死中に活を求めるまで! 止まってはやらぬ、砕かれてもやらぬ!
 リューロボロスは叩きつけられた鉄球の勢いを乗せ、身体を回転させていた。
「貴様の鉄球に負ける気なぞ、さらさら無いわぁぁぁぁぁぁッ!」
 叩きつけられた竜の尾。それは甘寧の鉄球に勝る威力で、蟲将の甲を粉々に砕いたのである。
「お、お、お、お……!」
 もはや甘寧には、鉄球を持ち上げる力も残されていない。甲を砕かれ、それも果たせぬのだ。
「私にとっては『蹂躙戦記イスカンダル』から、お前たちとの戦いは続いてきましたが……ひとつ、ここで終わりにしましょう。冥府へ、墜ちなさい」
 伸びた腕を振り払う力はすでに蟲将には残されていなかった。断末魔の叫びさえ残さず、甘寧は冥府の門へと引き込まれ、姿を消した。

「……気絶なぞ、勝ってからすればよい」
「無茶しやがって。そういうのは俺に任せやがれ」
 脱力して落下してくるリューロボロスの身体を、萬は苦笑しつつ、存外に優しく受け止めた。
 その視線の先に、デカン高原が広がっていた。

『リューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)は重傷を負った』
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エアライド】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
【水面走行】LV1が発生!
【パラドクス通信】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!
【ドレイン】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2025年12月02日
宿敵 『錦帆賊・甘寧』を撃破!