リプレイ
九七式・千八
僕は防衛線構築に全力を注ぐっすね!
【戦闘知識】と【地形の利用】を使って、壁の内側に逆杭を立てたり。
正門通路に身の丈が隠れない程度の高さの障害物を、乙の字型に幾重にも設置し、その通路へ銃火を浴びせられるよう、館の屋上と高層階に銃座、銃眼を設置するっすね!
後は館の正面入り口付近っすけど、そこにも同様に障害物を設置して、屋上や高層階からの撃ち下ろしが出来るように銃眼と銃座を設置っすかね。
時間があれば、館の中にも移動を阻害するための障害物を設置、同様に銃眼と銃座をホールを撃てるように設置するっすね。
要塞化するなら庭の方に星形城塞を建てたいっすけど、そこまでの時間はないっすからねぇ……。
●
九七式・千八(SPIRIT OF CHI-HA・g05092)は、ベルサイユ宮殿の外周を一通り見て回っていた。
「これは……酷い状況っすねぇ」
時空の歪みの影響を受けたベルサイユ宮殿の状況は、千八が漏らした一言に集約されていると言ってもいい。
庭園にあるのは、薙ぎ倒された草花。池や噴水だったものの残骸。宮殿自体の有り様も、目を覆いたい程だ。
『あの』ベルサイユ宮殿が。
至極真っ当に生きてきた千八だからこそ、様々な意味でその光景は驚きだったに違いない。
「まっ、仕方がないっすね。僕は防衛線構築に全力を注がせてもらうっす!」
だが幸い、彼女は前を向く術に長けている。
千八は頭を切り替えると、まずバリケードとして逆杭を壁の内側に立て――。
(「正面通路に身の丈が隠れない程度の障害物を乙の字型に幾重にも重ねるように設置して、通路への侵入者には銃火を浴びせられるようにするべきっすね!」)
ベルサイユ宮殿の敷地に、自衛隊仕込みの戦闘知識から抽出した戦術を組み込んでいく。
無論、ディヴィジョンの排斥力に引っかからないよう精査しながら、だ。
「後は宮殿の正面入り口付近が重要っすかね。通路と同じように障害物を設置できれば、時間を稼げそうっす!」
千八は正面通路、玄関、宮殿内部に至るまで、徹底的にクロノヴェーダの移動を阻害する身の丈程の障害物を並べていく。
「足止めさえできていれば、そこを高所から狙うのも難しくないっすしね」
銃眼から地上を見下ろす千八。
「こんなもんっすかね。要塞化するなら庭の方に星形城塞を建てたいっすけど」
額に薄っすらと浮かんだ汗を拭い、彼女は自作した防衛線を眺めて満足そうな表情を浮かべた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
乾・玄辰
ヴェルサイユ宮の城塞化……不謹慎ながら心躍る作業だね。
さてさて。魔法使いの日曜大工といこうか。
損傷した庭園や回廊をそのまま【迷宮化】で迷路に作り変えてしまおう。
庭園の庭木は生ける迷宮として狼藉者の侵入を阻んでくれるに違いない。
迷路内の進行方向にも一工夫を凝らしたい。
例え迷宮を抜け出そうと、仲間が設置した陣地や迎撃設備が歓迎できるよう
誘導する仕組みにしておけば相乗効果も見込めそうだ。
パラドクストレインの発着場から宮殿への移動経路は周囲を念入りに迷路化しておこう。
勿論、僕達が迷わぬよう正解の道はきちんと用意しておくよ。
本格的な城塞を築くなら、この国が誇るヴォーバン元帥のお知恵を拝借したいものだな。
ツィルニトラ・プリルヴィッツ
王妃様の住居の要塞化…立派な物に仕上げたいわね
威厳や迫力ある佇まいは貴人や権威に必要不可欠ですもの
…うっ
(魔法の竜神と自称し、クロノヴェーダ達に怪訝な顔をされた思い出蘇り)
いいえ、魔法の竜神として奮起のしどころよ…!
竜翼で空から宮殿を●観察
●戦闘知識で防備が必要な箇所を洗い出し
【千変竜体】で両の翼と尻尾を巨大な竜の首に変換
顎をショベル代わりに【怪力無双】で地面を掘り返し、土砂を運搬
それを材料に土塁を築いてゆくわ
…魔法というより土木工事ね
【迷宮化】を使う人の為に迷路の材料の土砂を用意して大まかに形作ろうかしら
残留効果が私達が去って消えても【迷宮化】で整えられた土砂は迷路として残るでしょうし…
●
「星形城塞といえば、この国が誇るヴォーバン元帥か。確かに本格的な城塞を築くなら、彼のお知恵を拝借したいものだけど――」
さすがにそういう訳にもいかないと、乾・玄辰(最後の魔法使い・g01261)は九七式・千八の呟きに、同意交じりの苦笑を浮かべた。
「それにしても、ベルサイユ宮の城塞化……不謹慎ながら心躍る作業だね」
彼は、改めてベルサイユ宮殿を眺める。
損傷の影響もあり、侵入者を阻む機構に薄かったそこには、幾重にも折り重なった障害物が射線も考慮された状態で既に設置されていた。
「曲がりなりにも王妃様の住居なのだから、立派な物に仕上げたいわね」
要塞と言えども、そこは譲れないとツィルニトラ・プリルヴィッツ(自称/捏造 魔法竜神・g02012)が口を開く。
「威厳や迫力ある佇まいは貴人や権威に必要不可欠ですもの」
告げながら、ツィルニトラの脳裏に大仰、名前負け、それら単語と共にクロノヴェーダの怪訝な顔が思い浮かび――。
「……うっ」
彼女は呻いた。
「大丈夫かい?」
支えてくれる玄辰に感謝を伝えながら、ツィルニトラはベルサイユ宮殿を見上げ、誓う。
「魔法の竜神として、必ず王妃様に相応しい要塞を!」
●
翼膜から魔力を噴出させ、ツィルニトラはベルサイユ宮殿を見下ろしていた。
「正面や庭園は玄辰さん達にお任せするとして、私は宮殿の裏手を担当しようかしら」
防備が必要な箇所は、一目で判別がついた。
「魔を司りし竜の名の元に命ず! 移ろい変われ、我が竜体!」
ツィルニトラが魔力を循環させると、瞬時に竜翼と尻尾の姿が変容する。
それは、異形の竜の顎だ。
「掘り返していくわよ!」
持ち前の怪力、強靭さを宿す顎が、まるで巨大なシャベルを彷彿されるが如く地面を掘り返していく。
「これで土塁を築いていくとして……魔法というより土木工事ね。いえ、だからこそ排斥力から逃れられるのだけれど」
魔法の竜神が土木工事。そこはかとなく漂うアンバランスさから今だけは目を逸らし、ツィルニトラはひたすら土を積み上げていった。
やがて、立派な土塁が完成する。
「これだけ土砂があれば、玄辰さんにも使ってもらえそうね! 確か彼は――」
「さてと。ボクは、この損傷した庭園や回廊をそのまま迷路に作り替えてしまおう」
また、ツィルニトラが用立ててくれた土砂もそこに加わり、材料には事欠かない。
「ツィルニトラにも感謝しないとね。きっと、庭園の庭木は生ける迷宮として、狼藉者の侵入を阻んでくれるに違いない」
制服の袖を軽くまくった玄辰は、魔法使いの日曜大工だと、どこか楽しそうに作業に取り掛かる。
「仲間が設置した陣地へと狼藉者を誘導できるよう、迷路内の進行方向を一工夫したい所だね」
徐々に形となっていく迷路を見つめ、都度、玄辰は思案する。
「誘導できれば、相乗効果も見込めそうだ。迷路を突破したかと思えば、迎えるのはまた別の迎撃設備……うん、いい感じだ」
クロノヴェーダの反応を想像しながら、玄辰は迷路の作成に勤しむ。
「宮殿への移動経路は、特に念入りに」
仮に迷路を運よく抜けられても、待っているのはバリケードや障害物、土塁。
「僕達が迷わないよう、正解の道を皆に伝えておかないとね」
――さてさて、ヴォーバン元帥から見て、この城塞はどの程度のものだろうね。
玄辰はそんな事を考えながら、迷宮を見つめた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【迷宮化】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
マリアラーラ・シルヴァ
辞典で調べたら
宮殿のお庭ってすごく広くて噴水もいっぱいでとっても素敵なの
お庭を迷路にしてもらった後に
一番多い植物に【植物活性】して屋根になるくらいモサモサにして
【建造物分解】「拠点構築・植物知識」すれば
アーチやトレリスで組んだ列車が隠れて停まれる場所も作れるし
宮殿より目を引く星のお城もできるかもだよ!
(星形城塞の事らしい)
後は足止めできればいいの?
じゃあ木箱にビー玉入れて迷路に配置して
『全ての宝玉を集めよ』って看板を
上から狙える広場に置いとけば真面目ベーダに効かないかな
土木工事跡をパラドクスでならしたら
空から水が出る所教えてもらってシシオドシ作るの
あちこちカッコンしたらきっとベーダは混乱するよ
●
「わぁ~、迷路すごいの! 土木工事跡も綺麗に整えられてて、宮殿っぽくなってるよ!」
乾・玄辰とツィルニトラ・プリルヴィッツが形を整えたベルサイユ宮殿を見て、マリアラーラ・シルヴァ(コキュバス・g02935)は目を輝かせていた。
「宮殿のお庭って、すごく広くて噴水もいっぱいでとっても素敵で……」
マリアラーラの脳裏に浮かぶ、在りし日の、失われた過去のベルサイユ宮殿の姿。
「その素敵さを、少しでも維持できればいいなって、マリアは思うんだよ」
そして、そのお手伝いができればと、マリアラーラは願っている。
「だからまずは、モサモサにしちゃうの!」
マリアラーラが空を見上げると、そこから小さな星が降り注いだ。
彼女のオトメゴコロは、ベルサイユ宮殿内の萎れた草花に輝きを齎し――。
迷宮の屋根として色とりどりのチューリップが覆い、咲き誇った。
「花盛りだー☆ この調子で、アーチやトレリスを組んじゃうよ! 列車が停まれる場所も隠しちゃお!」
迷宮を覆う草花は、その華やかさで内部に潜む凶悪ささえ隠蔽していまう。
安易に踏み込めば二度と出られず、花の香りの中で永遠に彷徨う羽目となる。
「宮殿より目を引く星のお城もできるかもだよ! ん、ちょっと違う? でも似たようなものだよね、きっと!」
花園に素敵な気分を分けてもらいつつ、マリアラーラは木箱にビー玉を入れて迷路に配置。
「『全ての宝玉を集めよ』って看板も設置すれば完成っと! 真面目ベーダに効かないかな?」
何はともあれ、パラドクストレインからディアボロスが安全に降車できる場所という意味では、これ以上ないものが完成したと、マリアラーラは満足げに微笑んだ。
「シシオドシも作らないとね。あちこちからカッコンしたら――」
警戒しているだろうクロノヴェーダが謎の音に慌てる様が、目に浮かぶようだった。
やがて完成したベルサイユ城塞は、ディアボロスが駆けつける時間を稼ぐにあたって十分な完成度を誇っていた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【植物活性】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
●
「マリー・アントワネットは見つかった!?」
「ダ、ダメよ! こっちにもいなかったわ! もうっ、どこにいるのよ!!」
ベルサイユ宮殿の外――ベルサイユ近郊では、相も変わらず武装淫魔達がマリー王妃の姿を求め、駆けずり回っていた。
「だとしたら……」
「もう残っているのはあそこしかないよね……!」
彼女達の背後に控えるメリザンドの圧もあり、武装淫魔達は必至だ。
やがて武装淫魔の視線は、とある方角。
ベルサイユ宮殿のある方面へと向かっていく事となった。
「あっちの方も探してみようっ!」
「い、急がないとっ! メリザンド様も我慢の限界が近そうだから!」
武装淫魔達が、再び駆け出す。
その後ろを、メリザンドはユルリと着いていきながら――。
「浅慮な淫魔にしては、よく考えたものです。ベルサイユ宮殿ですか。ですが、今あそこは……」
荒れ果てているはずだと、メリザンドは考える。
「マリー・アントワネットは絶対に見つけなければいけません。そのためにはどんなに可能性が低い場所であっても、一つ一つ潰していくべきですね」
九七式・千八
僕は正面玄関を担当するっすね!
ここまで築き上げた障害物、射線管理、絶対にここを通さないっすよ!!
最初は敵の出方を窺ってみるっすね。
こちらは【地形の利用】【戦闘知識】を使って、敵が退けないところまで来たところで、銃眼から【砲撃】【弾幕】【制圧射撃】で圧倒してやるっす!
誘導弾も駆使しして、遅滞戦闘を行うっすよ!
どうしても押し切られそうな場合は、最後の手段、大太刀を抜いて【斬撃】で【突撃】するっす!ロビーまで到達されたらある意味負けだと思って、必死で戦うっすよ!
王妃を守るのは騎士の役目!!……あれ?僕は騎士じゃないっすけど……いいんすかね……?
マリアラーラ・シルヴァ
共闘歓迎
マリアはベーダ達の誘導係するね
まずは『高級食材(グランダルメ)』をバスケットに入れ
郊外のベーダにわざと発見されるの
焦ってるベーダはマリアに事情聴取するよね
そしたら「これはあの人のだから分けてあげないの!」って
宮殿に逃げるよ
するとベーダ達はこう考えるんじゃないかな
・高級食材を欲するのは貴人(マリー)なのでは
・あの子供は泳がせて貴人の所に案内させよう
・再び逃がさないよう逃走経路を潰してから踏み込もう
でもその思考はパラドクスと演技で誘導した筋書き通りなの
だからベーダは報告や増援を思いつかず
捜索隊を全員集合させ
迷宮と正面玄関の二方面に分散させる悪手を打つ事になるよ
マリア上手にお仕事できたカナ?
ツィルニトラ・プリルヴィッツ
迷宮に侵入した敵を担当するわ
内部の構造や道順は把握済みよ(記憶術)
迷宮前の入り口で待機し敵の姿を●観察
中に誘い込みつつ【偽装殻】で自分の姿と声を武装淫魔に変えて変装
あっちに向かう足音が聞こえたわ、付いてきて!
それと無く合流して、味方のふりの●演技で更に奥に誘導
相手が逃げも隠れも出来ない行き止まりで変装解除
翳した手から放つ「魔力弾」で●不意打ち制圧射撃
“出来る”とはいえ、こうした詐術はやっぱり気分は良く無いわね…
だけど、ここを突破される訳にはいかないわ
「得物を構えた接近戦の体勢」の偽装殻を再度展開
気配消去に対し「魔法角」から放つ閃光(光使い)で意表を突き、出鼻を挫かれた相手を魔力弾で仕留めるわ
●
「~~♪」
ベルサイユ近郊で、一人の幼い少女が鼻歌交じりにステップを踏んでいた。
その様子は愛らしく、見るもの全てを誑かす天性の魔性さえ感じさせる。
(「美味しそうなの!」)
小柄な身体を使って彼女……マリアラーラ・シルヴァ(コキュバス・g02935)が抱えるバスケットに入れられているのは、この辺りではなかなかお目に掛れない高級食材であり――。
「待ちなさい!」
と、ふいにマリアラーラの背に声がかけられた。
「マリアに言ったの?」
内心を演技で覆い隠したマリアラーラは、声をかけてきた存在。
(「マリーが見つからなくて、焦ってるみたいだね」)
それが武装淫魔であると知りつつも、何食わぬ表情で振り返り、小首を傾げてみせる。
「抱えているそれは誰のもの? 確認させてもらうわよ!」
近付いてくる武装淫魔が、手を伸ばす。
だが、マリアラーラはその手をヒラリと躱すと、
「これはあの人のだから分けてあげないの!」
そう告げ、駆け出した。
「なっ!? 逆らうつもり!!??」
武装淫魔は、泡を喰ったようにその後を追う。その脳裏には、恐らくは複数の疑問が浮かんでいるはずだ。何よりも、武装淫魔が探索してきた中で、初めて出会ったマリー・アントワネットへと続く手掛かりなのかもしれないのだから。
(「この高級食材はマリーのためのものなんじゃないのかな? マリアを泳がせてマリーの所に案内してもらおー。逃走経路を潰すことまでもう考えてるかな? でもね、それって――マリアオンステージ、なんだよ?」)
マリアは、筋書き通りに思考を誘導されているとも知らず追いかけてくる武装淫魔に背を向け、クスクスと笑う。
夢魔のお遊戯会はマリアの行動や言動に説得力をもたせ、混乱する武装淫魔に今も精神を通じてダメージを与えているだろう。
(「……でも、このまま本当にマリーのいるベルサイユ宮殿にベーダ達をつれていくのはダメだよね?」)
クロノヴェーダをわざわざマリー・アントワネットのいる陣地に引き込むのは、さすがにリスクが高すぎる。
だから――。
「千八、ベータ達をつれてきたよ!」
マリアラーラは手を振った。
ベルサイユ宮殿の外で陣地を構築していた九七式・千八(SPIRIT OF CHI-HA・g05092)に向けて。
●
「いい仕事ぶりっすよ、マリアラーラさん!」
雪崩れ込んでくる武装淫魔を出迎えるのは、千八の賞賛と、ランチャーの砲口。
「絶対にここを通さないっすよ!」
とはいえ、千八はその道のプロである。
(「まずは敵の出方を窺ってみるっすね」)
安易な選択肢や相手を侮る事はせず、慎重に事を運ぶ手筈。
「進むよ!」
「押せ押せー!」
対照的に、武装淫魔達は快楽主義者で無鉄砲。
戦術も何もなく、ただ前へと突撃してくるのみだ。
「もう少し……もう少しっすよ!」
千八は武装淫魔の進行に合わせ、後退。
しかしそれは見た目通りに押されているのではなく、むしろ逆。
「引き返せない所まで来ちゃったみたいっすね。ご愁傷様っす。それじゃあこっからは、僕のターンっすね!」
武装淫魔達が千八の知識と地形を利用して構築した陣地に入り込み、もう退けないラインを超えた事を悟ると、一転して千八が攻勢に移る。
「これが、陸自の誘導弾っすよ!! くらぇいっ!!」
一式対戦車誘導弾の砲撃が、地響きを轟かす。
「えっ! ――ぁっ」
呆けた声を上げる武装淫魔達。
空を弾幕が多い、千八の射撃が制圧し、極めつけの誘導弾が武装淫魔を次々と仕留めていく。
「死愛☆」
「おぉっと!?」
弾幕を掻い潜り、世闇に溶けるように気配を消して忍び寄る武装淫魔の一撃を、千八は装甲と地形を利用して最小限に抑えながら――。
「王妃を守るのは騎士の役目!! ……あれ? 僕は騎士じゃないっすけど……いいんすかね……?」
いや、いいはずっす! と自分を納得させながら、千八は派手に誘導弾を炸裂させた。
●
(「――頃合いね。今なら武装淫魔の中に紛れ込めるはずよ!」)
ツィルニトラ・プリルヴィッツ(自称/捏造 魔法竜神・g02012)は、駆け抜けるマリアラーラと一瞬だけ視線を重ねる。
(「ベーダを分散させるよ!」)
(「ええ、任せてちょうだい。あなたも気を付けて!」)
互いの意を汲み、ツィルニトラは武装淫魔の戦力を分断すべく動く。
「あっちに向かう足音が聞こえたわ、付いてきて!」
銃弾と砲弾が入り混じり、混迷を極める戦場に、ツィルニトラの声はよく響いた。
「本当!?」
「本当よ、きっとあの子ならマリー・アントワネットの居所を知っているはずだわ!」
それはただの演技ではなく、パラドクス。捏造竜神魔技・偽装殻。
ツィルニトラを覆う魔力の殻は、彼女を姿のみならず声までも、武装淫魔のものへと偽装させていた。
(「気づかれた様子はなし、ね。このまま逃げも隠れも出来ない行き止まりまで!」)
ツィルニトラは澱みのない足取りで、武装淫魔を誘導する。
周囲は残留効果によって【迷宮化】しており、ツィルニトラは周辺の道順を把握済みだ。
やがて彼女の思惑通り、行き止まりへと辿り着き。
「あ、あの子を見失っちゃったじゃない! メリザンド様に何てご報告するつも――」
ようやく異変に気付き、直情的に喚き出した武装淫魔を、変装を解いたツィルニトラの翳す手から放たれたホーミング魔力弾が撃ち抜いた。
「な、誰よ! あなた!」
「私は魔法の竜神よ」
武装淫魔が反撃に放つ死合いの一撃に対し、ツィルニトラは偽装殻を接近戦に相応しい形へと応用し、展開。
傷を負いつつも応対し、閃光で武装淫魔の目を眩ました隙をついて魔力弾で屠った。
「“出来る”とはいえ、こうした詐術はやっぱり気分は良く無いわね……」
大きく息をつくツィルニトラ。
しかし、武装淫魔にマリー・アントワネットに関しての情報を持ち帰らせる訳にもいかない。
残る武装淫魔の掃討のため、マリアラーラ、千八、ツィルニトラは、追い込みをかけるべく戦いに臨む。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【操作会得】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【エイティーン】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
【アクティベイト】LV1が発生!
乾・玄辰
細工は上々、迷宮城塞は役目を立派に果たしているらしい。
ならば仕上げといこうか。
【光学迷彩】で姿を消し、迷宮内の通路を先回りして待ち構える。
自ら拵えた勝手知ったる庭の如きこの迷宮。
【記憶術】で道順は隅々まで脳裏に焼き付けてあるさ。
淫魔共が現れたら【灼光剣・鬼火走り】で撫で斬りにしてやろう。
辻斬りの様な所業かもしれないが、淑女ならぬ狼藉者の始末だ。
まさか無礼とは言うまい?
間合いを詰められたら、他の通路に後退して一度仕切り直す。
迷路を利用して【追跡】しながら再度仕掛け着実に始末しようか。
仲間と挟撃出来るならば、後退のふりをして誘導するよ。
宮殿を訪れるならば、相応の品格と招待状を持って出直したまえ。
●
「迷宮城塞が役目を立派に果たしている所を見たかったのは山々だけど、そっちの活躍を見るにはまだ時期尚早、か」
ベルサイユ宮殿の外。迷彩模様で身を覆う乾・玄辰(最後の魔法使い・g01261)は呟いた。
緊急時ならともかく、あえて今、ベルサイユ宮殿にクロノヴェーダを迎える必要もないだろうと。
(「何より今のベルサイユ宮殿は、排斥力の関係で不安定な面もあるしね。それに――」)
周辺の家屋には既に【迷宮化】が施されている。玄辰が拵えた庭の如き迷宮を、少しぐらいなら模す事もできるだろう。
「仕上げといこうか」
玄辰は、自分達ディアボロスを探索する武装淫魔を先回りして待ち構えた。
「どこに行ったの!」
「男だったわよね?!」
駆け込んでくる複数の武装淫魔の気配。
だが、武装淫魔の運命は既に決している。
何故なら武装淫魔は玄辰の姿を……陽炎を目にしていたからだ。
――剣閃天に冥々 地に冥々。劫火は牙と為り肉喰らい 灼熱は舌と為り骨舐る。北落師門に焔立ちなば 三界六道焼滅せ。
その一条の焔は、彼を追ってきた武装淫魔を出合い頭に焔の剣閃で瞬時に焼き喰らう。
「~~~~~~ッッ!!」
「辻斬りの様な所業かもしれないが、淑女ならぬ狼藉者の始末だ。まさか無礼とは言うまい?」
一方は絶命し、一方は絶叫を上げて悶え狂う武装淫魔。それらへと玄辰が向ける赤い瞳は冷静、淡々としたもの。
「くっ!」
反撃に近接戦闘を仕掛けてくる武装淫魔。
玄辰は、場に適応し、臨機応変に繰り出してくる武装淫魔の攻めを捌き、黒剣『北落師門』に宿る炎帝の焔で始末していく。
「なかなかやるね。でも逃がさないよ。さて、次の狼藉者を誘導するとしようか」
玄辰は、着実に各個撃破を重ねる。
やがて武装淫魔が全滅するまで、そう長い時間はかからなかった。
成功🔵🔵🔴
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
●
ベルサイユ宮殿へと続く通り。
そこではディアボロスと武装淫魔の戦闘が行われ――今まさにその一方である武装淫魔が、ディアボロスによって一蹴されていた。
「……残念です。どうせ死ぬのであれば、私の手で淫魔達に『慈悲』を与えたかったのですが」
その様子を、この件の指揮官たる慈悲深いメリザンドは観察する。
「――ディアボロス、ですか」
マリー・アントワネットを探し求めるメリザンドが、ようやく出会う事のできた異変。
「何かが起こっているのは間違いないのでしょう。とはいえ、この様子ではディアボロスも私を容易に素通りさせてくれるはずもなし」
ならば、どうするか?
「ベルサイユ宮殿へと入る前に、この通りでディアボロスを始末してしまいましょう。マリー・アントワネットの捜索は、ゆっくりとその後でも……遅くはないでしょうから」
奴崎・娑婆蔵
●SPD
目に付いた輩は、撫で斬りにしてやるのが推奨である――
よござんす
得意分野でさァ
そちらさん、どうも腑分けに長けておいでの様子
このしがねえ人斬り風情の業、ちょいと批評してやって下せえよ
手前、姓は奴崎名は娑婆蔵――人呼んで『八ツ裂き娑婆蔵』
八ツ裂きにしてやりまさァ
・呼吸を整え気を集中(呼吸法+精神集中)、己の内臓の配置を脳裏へ精緻に描くことで敵の狙いを逆算する
・動き出しを彼女に先んじられるならば妖刀を抜き斬り付ける、後手に回るようならば鉄鞘を用いまず防御を講じる(臨機応変)
・【黒死斬】にて狙うは敵の腕/脚の腱
・また、敵の内蔵武装の展開や副腕の操作に関わる要衝を見い出しピンポイントで【両断】せん
ブレロー・ヴェール
サーチアンドデストロイがお望みなら丁度良いね、僕も性に合っているというものさ。
建物の中を通って相手に気付かれないように移動、タイミングを見て【建造物分解】と【怪力無双】で壁に穴を開けて奇襲をかけよう。
基本は仲間と連携して人形と体術で攻撃、こちらへの攻撃が手薄になったら氷塊になった蟷螂乙女を投げつけて攻撃、相手の集中を乱すように立ち回って味方を援護するよ。
ベアトリス・リュウフワ
人形風情が、不敬ですわよ。
かの王妃は高潔たる存在。
貴方の謁見など、わたくしが許しません。処刑いたします。
態々、首を狙ってくださるなんて、実に――つまらない。
注意すべきは、その一撃のみ。
ならば、無理に先制を狙うよりも、凛とした歩みを以て待ちましょう。
その攻撃が放たれた瞬間に、己が剣を添え、軌道を逸らします。加えて、洗練された鋭い体捌きで回避行動も忘れずに。(ダンス+残像)
二手目など放たせるものですか。
ひと呼吸のうちに終わらせます。(呼吸法)
次の瞬間には、貴方の懐へ。
さあ、わたくしと踊りましょう――。(ダンス+斬撃)
九七式・千八
さぁ!最後はあのお人形さんすね!吶喊してぶっ倒すっすよ!
九七式千八、一番槍っすよ!
先ずは強化外骨格をオーバーロード!フルパワーで行くっすよ!
【突撃】【弾幕】【制圧射撃】【砲撃】を有効に使って、鬨の声を上げて吶喊するっす!
接近出来たら、後は【斬撃】を使って接近戦を仕掛けるっす!無理に切り結ぶことはせずに、武装をフルに活用して敵の消耗を狙い、消耗しきったところで銃剣による格闘戦に移行するっす!
シールドが吹っ飛んだり、装甲が吹っ飛んだりしても気にせず、敵の首を取りに行くっすよ!
絶対、ここを通さないっす!!大人しくお帰り下さいっすよ!!
マリアラーラ・シルヴァ
共闘歓迎
手下ベーダの言動から報告相手…指揮官が居るね
未だ姿を見せない「慎重派」でマリア達の様子を隠れて伺ってるの
ならそんな性格を逆手にとって指揮官を見つけてみるね
「戴冠式の続きするよ!」って
遠くの皆に聞こえるように声をかけたあと
大きな十字路の真ん中に陣取るよ
そしてダンスしながらパラドクスで
ふしぎなちからと夢の煌めきを目視できるほどにチャージすれば
儀式に見えると思うの
王妃に関わりそうな戴冠式なんてワード
でも手下は居ないから自分で情報集めるしかない
分かるよ
だから慎重派の貴女はマリアの邪魔も撤退する事もできず
様子見するしかないって
でもいいの?
必死にマリアばかりを見つめてる貴女は
とっても隙だらけだよ?
乾・玄辰
目抜き通りで決着を所望とあらば応じてやろう。
どうやら前衛は充分に足りているらしい。
僕は魔法使いらしく後衛から援護射撃に徹するとしようか。
砲兵は戦場の女神なり、とね。
そういえばコルシカの怪物も砲兵出身だったな。
間近で浴びせられる弾幕は脅威なれど
距離を保った上なら対処の仕様もあるというものだ。
弾幕に【衝撃波】をぶつけ少しでも散らしながら掻い潜り
斬り結ぶ仲間達の援護をするようにタイミングを図り魔弾を放つ。
【貫通撃】と【光使い】を最大限に活かして
【試製・蒼の魔弾】で青き薔薇を撃ち貫き散らしてやる。
不敗のダヴーは部下への度を過ぎた厳しさで有名だったらしいが……
君も不興を買ったら元帥より慈悲を賜るのかね?
ツィルニトラ・プリルヴィッツ
この通りは通行止めよ
これ以上の貴女達の跳梁は看過できないわ
先に進みたいのなら…魔法の竜神がお相手しましょう
(嘘つきには誅罰が必要と言われ)
…じ、実力が足りないのは百も承知
自覚と心構えの話よ!
先の戦闘の負傷に●戦闘知識で施した応急処置…効果は気休め程度だけど誘いには使えるかしら…
負傷を過剰に庇う●演技で臓器狙う攻撃を誘導し狙いを●看破
前衛にてハルバードで防御しながら切り結ぶわ
嘘つきかどうかは兎も角、演じるのは得意みたい…お生憎様ね!
【怪力無双】で振るう槍斧の●強打で吹き飛ばし
次は正真正銘、魔法の竜神の一撃よ!
距離を離し【停滞刻】を発動
戦旗を一振りし敵の動作封じ●捕縛
翼広げての追撃で斬り捨てるわ
●
「手下ベーダの言動から報告相手……指揮官が居るね」
武装淫魔を全滅へと導いてなお、マリアラーラ・シルヴァ(コキュバス・g02935)は警戒を続けていた。
(「誰かに観察されていたのをマリアは知ってるよ。慎重派なのかも……」)
小悪魔なマリアラーラは、人に見られる事を意識する。そんな彼女だからこそ、気づけたのだろう。
「戴冠式の続きするよ!」
マリアラーラは大きな声で宣言し、通りの真ん中で変身する。
(「パステル・パラレル・パラダイム、みーんな可愛くなーれ☆」)
途端、彼女の視点から見る世界はファンシーさで溢れ、通りで煌めきを放ちながら踊り出すマリアラーラ。彼女が何をしようとしているのか、ディアボロスを意識する指揮官にとっては気になって仕方がないだろう。
(「戴冠式って聞いて、指揮官ベーダは何を想像してるのかな? 自分の目で見て、調べるしかないよね。実際はそこに何の意味がなかったとしても――」)
どう見られているか、どう感じられているか。演技も交えて、マリアラーラは常に考えてきた。
だから分かるのだ。と、それまで真剣に儀式のふりをしていたマリアラーラの頬が緩み、青い瞳が細まる。
「指揮官ベーダの敵は、マリアだけじゃないんだよ?」
「着剣戦闘用意!! 突撃にぃ……前へ!! 吶喊!! どぉうりゃぁあぁぁぁぁぁぁーっ!!」
九七式・千八(SPIRIT OF CHI-HA・g05092)が鬨の声を上げる。彼女の視線の先には、マリアラーラの様子を観察していた慈悲深いメリザンドの姿。
「見つけたっすよ、お人形さん!」
「もう少し待って頂ければ、こちらからご挨拶に伺ったのですが?」
対するメリザンドも、さすがと言うべきか、目に見える動揺は示さない。
「申し訳ないっすね、我慢できなかったっす! なんたって僕が一番槍っすから!」
千八は言葉でこそ謝罪を述べるが、九七式試製電気動力型装甲強化外骨格が発するエネルギーにしろ、勢いよくメリザンドに白兵戦を仕掛ける様といい、殺意しか感じられない。
脇目も振らず、一直線に銃剣でメリザンドへと襲い掛かる千八。接近時は弾幕を張り、間合いを詰めてからは剣で軽く応戦し、メリザンドを自由にはさせない。
「そちらさん、どうも腑分けに長けておいでの様子。このしがねえ人斬り風情の業、ちょいと批評してやって下せえよ」
千八に続くのは、奴崎・娑婆蔵(月下の剣鬼・g01933)。全身包帯グルグル巻きの姿は一見奇異に見えるが、そこは相手も自動人形。眉根一つ動かさない。
「手前、姓は奴崎名は娑婆蔵――人呼んで『八ツ裂き娑婆蔵』。八ツ裂きにしてやりまさァ」
娑婆蔵が鉄鞘から抜き放ったのは、妖刀トンカラ刀。一閃された刃は、メリザンドの腕や脚の関節部分を正確に斬りつける。
(「……すぐに決着が着くとは僕も思ってないっす。徐々に、徐々にっすね! 格闘戦へ移行するタイミングを見計らうっすよ」)
メリザンドと千八、そして娑婆蔵が戦闘を繰り広げていると。
「マリー・アントワネットの所在はご存知ですか?」
メリザンドがディアボロスに対し、ふいに問いかける。
無論メリザンドとて、答えが返ってくるとは思ってはいないだろう。とりあえず聞いておこうといった感じか。
「人形風情が、不敬ですわよ」
そんなメリザンドに断罪を下すように、ベアトリス・リュウフワ(強欲と傲慢のミルフィーユ・g04591)は冷たい言葉で斬り捨てた。
「かの王妃は高潔たる存在。貴方の謁見など、わたくしが許しません」
謁見どころか、名を口にする事すら烏滸がましいと、ベアトリスは吐き捨てる。
「ベアトリスさんに同感だね。貴女に言えるのは、この通りは通行止めよ、という事だけね。これ以上の跳梁は看過できないわ。聞きたい事があるなら、この先に進みたいのなら……魔法の竜神がお相手しましょう」
頭部から生える角、竜鱗、竜翼を誇示するように、ツィルニトラ・プリルヴィッツ(自称/捏造 魔法竜神・g02012)は黒竜の槍斧を掲げる。
「私が寡聞にして知らないのか、それとも――」
「な、なによその目は! 私の事を嘘つきだとでも言いたげね!? ……じ、実力が足りないのは百も承知。自覚と心構えの話よ!」
ツィルニトラは、メリザンドと数撃、牽制の一撃を交わらわせた。
「っ!」
その際、ツィルニトラは武装淫魔との戦闘で傷を負った部位を過剰に庇った。
メリザンドはその様を見て、一瞬だけ目を光らせる。
だが、メリザンドが何か行動を起こす前に、戦場すぐ横の壁に風穴が開く。その穴から飛び出してきたのは、ブレロー・ヴェール(le vengeur du sang・g05009)。
「お邪魔するよ。ついでといっては何だが、コイツで頭を冷やすといいさ」
「――ッ!?」
ブレローは、氷の塊となった人形をメリザンドへと放り投げる。爆散する氷は、虚を突かれて無防備なメリザンドを凍結させ、貫いた。
「どうやら、騒がしい方々のようですね、ディアボロスというのは」
「そうでもないさ。ただ、相手が人形だからね。なぁ、蟷螂乙女?」
ブレローのオートマタの扱いは乱雑で、憎しみさえ感じられるもの。オートマタとメリザンドが傷つけあう様は、彼女にとってはまったく愉快な光景なのだろう。
「なるほど、ご事情がおありなのですね。罪深い方には、慈悲の前に誅罰が必要でしょうか。そちらの銃剣の方には、慈悲を授けますのでご心配なく」
瞬間、メリザンドが時空を歪め、千八、ブレロー、娑婆蔵の三人へと同時に反撃を行う。
「誅罰とは、笑わせてくれるね」
「僕も結構っす!」
ブレローの弱点を狙って鋭い爪が振り抜かれ、千八の装甲を刃が削り飛ばす。
「あっしもご遠慮願いまさァ。撫で斬りにしてやるのは得意分野ですが、腑分けにされて喜ぶ趣味はありんせん」
娑婆蔵は急接近するメリザンドの刃を鉄鞘で防ぐ。
「処刑人を名乗るだけの事はあるようでさァ」
娑婆蔵は自身の内臓の位置を思い描く事で急所を意図的に外しつつも、メリザンドの勢いはさらに増していく。だが娑婆蔵が目の奥に浮かべるのは恐怖とは程遠い、自分とはまた違った『斬る』という行為への興味。
「本当に奇異な方々」
自動人形としては珍しく、感情に似た何かを宿しているらしいメリザンドは、呆れたように呟いた。
千八がさらに踏み込み、満を持して格闘戦を仕掛けると、その隙を潰すようにブレローが再び蟷螂乙女を投げつける。
メリザンドも、ディアボロスの動きに合わせて対応しようとするが。
「乾の名に於いて招雷す。外なる世界、銀の雨烟る彼方に轟く雷霆よ――鳴る神の恐ろしき威声を以て、我が手に甦れ理力の魔弾」
詠唱と共に、乾・玄辰(最後の魔法使い・g01261)の放った蒼き雷弾が、メリザンドに迫る。弐拾壱式詠唱杖『銀牙』から放たれたその雷弾は、空間に歪みすら生じさせながら、メリザンドを撃ち抜いた。
「目抜き通りで決着をお望みとあらば、僕としては応じてやろう、そういう所存だよ」
「後衛ですか、厄介ですね。どのみち処理するのですから、こうして一纏めになってくれるのは有難いですが」
「そう思ってくれたのなら嬉しい限りだね。魔法使いらしく、援護射撃に徹する事で力になれている証だから。砲兵は戦場の女神なり、とね」
砲兵と口にして、玄辰の脳裏に一人の人物が浮かぶ。最も、彼の知るその人物と、改変世界での彼とでは、あまりにもかけ離れているのだが。
●
「戴冠式の続き、そう聞いて気になっちゃったかな? 実はね、マリアも知らないんだよ?」
マリアラーラが、ネタ晴らしと共に夢の力を行使する。
「騙された? もしそうならマリアの勝ちだね!」
ふふんっと腰に両手をついて微笑むマリアラーラ。
だが、今のメリザンドには、彼女へ怒りを露わにする余裕はなさそうで――。
「認めましょう。ディアボロスが、容易に始末できる相手でない事を」
「今更、何を当たり前の事を仰っておりますの。初めから、始末されるのはわたくし達ではなく、人形風情である、あなただと言うのに」
ベアトリスが傲然と振る舞う。
「処刑します」
そんな彼女に苛立ちを覚えたのか、メリザンドは全身に装備した刃をベアトリスへと差し向けた。
「態々、首を狙ってくださるなんて、実に――つまらない」
だが、哀悼の刃がベアトリスに届く事は無く、ベアトリスは自らの直剣を首に添えるだけで軌道をずらし、受け流していた。
そのままベアトリスは、メリザンドの攻撃を最小限に抑え、その場をすり抜けるように回避。それはまるで、瞬間移動でもしたかのように。
「ひと呼吸のうちに終わらせます。わたくしの剣を浴びせられる栄誉、光栄に思いなさいな。さあ、わたくしと踊りましょう――」
逆に堂々とメリザンドの懐へと潜り込んだベアトリスが、無数の斬撃を添えてメリザンドを通り過ぎた。
「…………ア! アアァ!! クッ、まだ、です……!」
斬られたという事実すら置き去りに、メリザンドは間を置いて呻き出す。
「最後の足掻きかな。最後まで付き合うとしよう」
仮に全身を軋ませようとも、メリザンドは止まらない。玄辰は適度に距離を取りながら、魔弾を放つ。
「不敗のダヴーは部下への度を過ぎた厳しさで有名だったらしいが……君も不興を買ったら元帥より慈悲を賜るのかね?」
皮肉を込めて問いかける玄辰。メリザンドは反応を返さないが、その内心は如何程か。
「まぁ今のままでは、僕達が君に慈悲を与える事になりそうだけれどね」
降り注ぐ青きバラの礫に対抗し、衝撃波をぶつけて威力の減衰を狙う。
が、メリザンドも必死だ。貫通する蒼の魔弾と青きバラが衝突し、激しい乱戦を繰り広げる。
「……各個撃破が最適解でしょう。ならば、狙うは……」
メリザンドの視線が、ツィルニトラを付け狙う。
しかしその状況は――。
(「思った通りね。嘘つきかどうかは兎も角、演じるのは得意みたい」)
ツィルニトラの想定通り。
その間も、装甲の破損を気にする事もなく千八が銃剣で格闘戦を挑み、娑婆蔵がメリザンドの四肢を斬り飛ばし、ブレローが蟷螂乙女で状況を援護する。
ツィルニトラはメリザンドの反撃が方々に繰り出される中でも怯まず、狙い通りに負傷を装った箇所に内臓攻撃が繰り出されたのを悟ると、ハルバードで弾いて応戦。
「次は正真正銘、魔法の竜神の一撃よ!」
強打で強引に間合いを生み出し、ハルバードに黒い竜が描かれた戦旗を装着。一振りした旗で疑似的な時間停止にメリザンドを誘い込むと、翼膜から噴出する魔力で突っ込み、強烈な追撃を叩き込んだ。
「お生憎様ね!」
ツィルニトラの見下ろす先で、崩れ落ちるメリザンド。
「僕達の勝利っす!!」
千八の勝鬨と共に、ベルサイユ城塞を巡る攻防は一先ずの終幕を迎え、ディアボロス達は帰還を果たすのであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【冷気の支配者】LV1が発生!
【水面歩行】LV2が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【傀儡】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【ドレイン】がLV2になった!