リプレイ
九重・古安
攻略旅団の方針は対決と出たか。今回の作戦提案を出した身としては全力を尽くさねばな。
しかしこの手薄さ、一般人に反抗の意思が無いが故の戦力の手薄さと見るべきか。
……思い起こせば天売島の幸福矯正施設へ潜入したときにも同様に常駐戦力は最小限だったが、施設で見た人々の反応を考えれば無理もないか。
制圧後のことや新選組との向き合い方など思うことは多々あるがまずはこの場を制してから。
この期に及んではいかに迅速に事を進められるかが重要、今は迷うことなく突き進むのみ!
相手に立て直す時間を与えないためにも一気に畳みかけたい。
挨拶代わりに『裂雷の武威』で殴り込みをかけて問答無用で黙らせる。
それと同時に【通信障害】で救援要請を阻害して敵陣の混乱を加速させるぞ。周辺都市からの増援が来るまでは手薄、ならば派手に暴れても構うまい。
連携を許せば厄介な相手だが個としての戦力は並と見た。【通信障害】と轟音で判断力を鈍らせつつ、まとめて蹴散らす!
管理都市制圧のための本命はこの後、討ち漏らしが無いよう迅速かつ確実に仕留めよう。
遠宮・秋
……えっ、新選組?
なんかこれまで戦ってきたやつらと違くない?
性別とかそんなところじゃなくて、雰囲気がさ
【通信障害】で救援要請を止めた上で大門に攻撃を仕掛けるよ
無効化するのは救援要請のみってことだったね
この都市内の通信も止めたら遮断してるのがバレるし妥当なとこか
別に幸福の邪魔が主目的ってわけじゃないけど、そういうことにはなるかもね
この都市の人たちのこととか知んないし恨みもないけど、こっちも戦う理由があんの!
大太刀「白河泡沫分」を手に戦闘
力強い一振りと同時に衝撃波を放つ『獅吼の太刀』で警備するブラックシザーズたちを切り裂くと同時に吹っ飛ばす
他に一緒に戦う復讐者がいれば、同じ方向から攻撃するんじゃなく、左右から分かれて攻撃して一気に仕留めるよ
足を止めずに戦って、あっちの銃弾から狙い撃ちにされないようにし、飛んできた弾は可能な限り刀で防御
何その動き……!?
あー、もう
いつもいっつも、こっちが悪役みたいじゃん
いや、間違いでもないか。ここで暮らしてる人にとっては、攻め込んでるのはあたしたちの方だし
イツカ・ユメ
通信を遮断して、救援を呼べず孤立した都市に乗り込んで一気に制圧する……なんだか、その、わたし達、めっちゃ悪役っぽくない?
まぁ、蝦夷で生活している人達にとっては、幸福を壊す悪で敵なのだろうけれど。
でも、それでも。
誰かに与えられた幸福を受け入れるじゃなくて、蝦夷の人達にも自分達で考えて、自分達の手で幸せな道を選んでほしいのよ。
他のディアボロスさん達がいたらタイミングを合わせて、
【通信障害】が発生したら殴り込むよ!
夢と希望のキラキラのステージで、あなた達全員のハートをぶち抜いちゃうから覚悟してね♪
素早いカニ脚の動きに翻弄されないように気をつけて、
弱っている相手を狙って確実に数を減らしていくね。
頑強そうなクローとスパイクの攻撃は、落ち着いて動きを観察して避けたいけれども……ダメなら気合いと根性で受ける!大丈夫!全然痛くないし!
状況に応じて、臨機応変に周りの人達と連携をとるように心がけるよ。
歌って踊って注目を集めて、皆が攻撃し易い位置に敵をおびき出すね。
今がチャンスだよ!皆、やっちゃえーっ!
「襲撃だ! 敵は――ディアボロス!!」
聞こえる怒号はトループス級新選組『新選組ブラックシザーズ』の物。それらを受け止めつつ、歌唱のパラドクスを紡ぎながら、イツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)は「うひー」と呻き声に似た声を発した。
(「通信を遮断して、救援を呼べず孤立した都市に乗り込んで一気に制圧する……って、なんだか、その、わたし達、めっちゃ悪役っぽくない?」)
悪役っぽいと言うか、改竄世界史暗黒世界蝦夷共和国の住人から充分な悪――テロリストであった。今この場に住人がいれば、幸福を壊す敵役として、石を投げられても可笑しくはない。
(「でも、それでも」)
誰かに与えられた幸福じゃなくて、自分達で考え、自分達の手で幸せな道を選んで欲しい。
独善的かも知れない。押しつけかもしれない。それでも、イツカはそう願うのだ。
「手薄いな」
落雷と衝撃波でブラックシザーズ達を薙ぎ払いながら、九重・古安(巻き戻り路逸れる針・g02347)は唸る。
(「この手薄さは、一般人に反攻の意志が無い故の戦力の手薄さと見るべきか」)
思い起こせば、天売島の幸福矯正施設へ潜入した解きも、常駐戦力は同様に最小限だった。あの時は疑問に感じたが、しかし、今となっては納得感しかない。排斥力が高く、『幸福』の為に復讐者も生まれない。ならば、現状は推して知るべし、と言った処か。
「全力で押し通る……命が惜しくば退け!!」
詠唱と共に再度の落雷を生み出した彼は、破壊の塊たるパラドクスをブラックシザーズ達に叩き付ける。悲鳴が迸り、多脚に包まれた身体が派手に吹き飛んでいった。
「制圧後のこととか、新選組との向き合い方とか、思うことは多々あるが!」
ともあれ、まずはこの場を制してから。
迅速に事を進めるため、迷いは全て置いてきた。
故に。
「とにかく、突き進むのみだ!」
裂帛の気合いを迸らせ、古安は突き進む。
「ってか、なんかこれまで戦ってきたやつらと違くない?」
対し、大太刀、白河泡沫分を振るう遠宮・秋(アブノーマル中学生・g11768)は、自身に群がるトループス級を斬り裂きながら、複雑な表情を浮かべていた。
確かにその容姿は新選組の名に相応しくなく、何処か近未来的だ。萌葱を思わせる色彩は兎も角、このディストピアな警備兵的存在を新選組――想起する存在は新撰組であったが――と呼ぶには、些か抵抗を感じずには居られない。
だが、それでも、敵は敵だ。
「うん。性別は兎も角、雰囲気はやっぱり違うよね」
残留効果【通信障害】を使用しながら呟く台詞は、何処かしみじみとした物だった。
「隊列を組め! 侵入者の好きにさせるな!!」
新選組ブラックシザーズ達は言葉と共に、多大な銃弾を吐き出し、古安達へと叩き付けてくる。
己を梳る弾丸はそのままに、古安はそのトループス級新選組に取り付くと、鎚鉾の一撃を、電撃と衝撃波を叩き込み、多脚を始めとしたサイバーな装備ごと、ブラックシザーズ達の身体を討ち滅ぼしていく。
「連携を許せば厄介な相手だが、個としての戦力は並と見た!」
否応に、連携を組む敵はその傾向にある。
吐き捨てる様に言葉を口にした彼は、仲間に伝播する為に咆哮。共に再度、鎚鉾を振るい、ブラックシザーズの一体をぐしゃりと潰していく。
「救援が来るまでに如何に手数を潰せるか、だ!」
「了解! 夢と希望のキラキラのステージで、全員のハートをぶち抜いちゃう! 覚悟してね♪」
多脚の高速移動を制しながら、イツカが叫ぶ。放たれたのは声だけではない。気合いと根性を叫ぶ声はパラドクスの恩恵を経て、ブラックシザーズ達を殴打する戦鎚と化していた。
奇襲。総崩れ。
そんなブラックシザーズ達の様相を見止め、イツカは声を張り上げる。
「今がチャンスだよ! 皆、やっちゃえーっ!」
「やらせるか! 人々の幸福を脅かすテロリストめ!」
対するパラドクスは多脚による痛打。鋼の鋭爪や鋭牙はイツカの魅惑的な衣装を切り裂き、健康的な肌に血の跡を残す。だが、それでも、彼女は止まらない。止める事は出来ないと、更なる声を、歌を発する。
「ああっ。もう。すぐそれだ!」
斬撃と共に、秋が嫌悪を露わにした。
「別に幸福の邪魔が主目的ってわけじゃないけど、そういうことにはなるかもね! この都市の人たちのこととか知んないし恨みもないけど、こっちも戦う理由があんの!」
「戯れ言を! 盗人にも三分の理とでも言うつもりか!」
無数の弾丸と共に放たれる指摘は、立場が変われば、復讐者達が口にしても可笑しくない台詞であった。
秋は表情を歪め、嘆息する。
「あー、もう! いつもいっつも、こっちが悪役みたいじゃん!!」
敵は歴史侵略者。世界を奪ったのは彼奴らで、故に奴らが悪であることは間違いない。
(「いや、間違いでもないか。ここで暮らしてる人にとっては、攻め込んでるのはあたしたちの方だし」)
もしも、彼奴らのエネルギー源が幸福なんて物でなければ、こんな気分には陥らなかった筈だ。
だが、そのお陰で気分は最悪。
断片の王やジェネラル級なら兎も角、眼前のトループス級はその地位の低さ故か、自身等を人々の幸福を守る正義の使徒だと認識しているのだ。それ故に紡がれる言動は、何と言うか滅茶苦茶腹立たしかった。しかも、それを本心だと感じるからこそ、物凄く精神を削られる。その場でうがーっと叫びたくなる苛立ちを誰かと分かち合いたかった。
「とは言え、俺達のやることは変わらない」
殴打を重ねる古安は、きっぱりと断ずる。
自身等が戦う理由は世界の奪還。彼奴らの論理があれど、その目的が変わらないのであれば、如何なる敵も討つだけだ。
「管理都市制圧のための本命はこの後だ!」
迅速かつ確実に。
彼の衝撃波はブラックシザーズ達を砕き、無へと帰していく。
イツカの歌も、そして秋の斬撃もそれに倣い、大門に集うブラックシザーズ達を悉く撃破していく。そして、橋頭堡とばかりに、暗黒都市の入り口を制圧していくのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【通信障害】LV2が発生!
【無鍵空間】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!
【ダブル】LV1が発生!
九重・古安
ここを預かるアヴァタール級新選組……それも何かしら妙な縁を感じる個体が来たか。
貴様らがこのディヴィジョンを守護していることも、人々の『幸福』のために尽力していることも事実だろう。
だが、その幸福が誰のものか……貴様とここで議論を尽くしても埒が明くまい。
故にここは押し通らせてもらう。例え簒奪者の誹りを受けようと、幸福とは自分の手で選ぶものだと信じるが故に。
相手は管理都市一つを預かる指揮官、油断はできんな。
救援要請を【通信障害】で阻止できている以上増援の目は無いと流石に敵も気づく頃合いだろう。
敵はこの場を切り抜けるために決死で斬り込んでくるはず……ならこちらも決死で挑まねばなるまい。
ここは下手に避けるより相手の踏み込みに合わせる形で【時廻の断撃】で正面から迎え撃つ。
イツカ(g02834)をディフェンスしつつ俺が前衛として前に出ることで味方の攻撃のチャンスを作ろう。
そちらは孤軍だが俺には背中を任せられる味方がいる。全力でのぶつかり合いだからこそその差が勝敗を分かつ。
それを卑怯とは、言うまいな!
阪本・竜馬
アドリブ連携歓迎ぜよ!
わしらには日ノ本、ひいては全世界を解放する動機があるんじゃ。幸福を必要としちゅう組織でもそれは変わらんき、覚悟せい!
……それにこの幸福は作られたもんじゃろ。そんな物、真の幸福とは呼ばせやせん!
幸せは己の手で掴み取るもんぜよ!
【陸奥守吉行のような刀】の斬撃と共にパラドクスを使うぜよ!
……ほーう、格闘が出来る新選組がおったとは知らなかったのう。
【竜眼】と【革命の籠手】で防ぎつつこっちも【龍気】を放って対抗じゃ!
攻撃が出来ゆう気配を感じ取ったら接敵、剣戟。連携込みでの勝利を目指すぜよ!
増援?さて、果たして来るかのう……?
(【通信障害】の事は言わないでおく)
全員の力を合わせて討ち取った勝利こそが美しいんじゃ。悪いがおんしの出番はここで終わりぜよ!
イツカ・ユメ
よーし!このまま一気に討ち入りだよ!
ここからはわたしだけじゃなくて、皆と奏でる魂のセッション。
止められるものなら、止めてみなさい!
琴剣を構えて、蝶のように舞って誘って。
蜂のように刺したら、ダッシュで離れて。
周りの皆とリズムを合わせて畳み掛けたり、時にわざとテンポをずらして調子を崩して相手を撹乱ながら攻めるよ!
相手をしっかり観察して、情報収集も忘れずに。
動きの流れや癖等から次の手を読んで、いち早く攻撃や回避に繋げるね。
疲れたのなら、甘く優しい子守唄はいかが?
蝦夷共和国の管理職は、結構ブラックでハードな雰囲気がするし。
淹れ立てのお茶のように、ふかふかのお布団のように温かく包み込んであげる。
…あなた達のやり方とは違うやり方で、皆が幸せになれる未来を歌うのが、今のわたしの、いつか叶えたい夢。
あなたの夢は、何かしら?
戦闘中は、古安くん(g02347)をディフェンス。
…決死の覚悟で挑む気持ちを邪魔しちゃうかもしれないけれど。
いつもたくさん守ってもらっているから、今は、その背中を守らせてね。
遠宮・秋
あーもう。なんかイライラする
少なくともここはあたしの知ってる北海道じゃない、ここを守るっていうのはあたしたちの知る北海道を奪い続けるってこと
だから間違ってない……はずなんだけど
あ、いいところに来てくれた
このモヤモヤはあんたと一緒にぶっ飛ばす!
大太刀「白河泡沫分」を鞘に収めた状態で戦闘
接近戦をする他の復讐者とタイミングを合わせて接近
大太刀を抜くと同時に切りつける居合い『竜尾の太刀』で長曾祢虎徹を切りつける
どいつもこいつも幸福とか守るとか……うざったい!
大太刀を抜いた一閃の後は隙ができるから、そこを狙った反撃の格闘術は飛び下がって受けるダメージを最小限に
他の復讐者にフォローしてもらえると助かるかな
代わりにあたしも他の復讐者が攻撃を受けそうな時はフォローするから
隙があったら首を……って首から上ないじゃん。しょうがないから胴体を狙っていこう
はー……しんど
こっからまた侵入者め、みたいな目で見られるのかあ
「くっ。ディアボロス!」
噴煙上げる管理都市の大門を見据え、アヴァタール級新選組『長曽祢虎徹』は怒りの声を上げた。
一目で理解した。この大門を守護していたトループス級新選組『新選組ブラックシザーズ』は壊滅した。他ならぬ侵入者――復讐者達の手に寄って。
「人々の幸福を、我らの命を奪いますか、ディアボロス!」
憤怒で身体を震わせながら、彼は駆けていく。
戦う。それが、新選組たる彼の最たる役割であった。
「よーし! このまま一気に討ち入りだよ!」
そして、ブラックシザーズ達を壊滅させたイツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)は喜色に染まった歓声を上げた。
倒すべき敵を倒した。次はその親玉だと逸る彼女は、びしりと遠方を指差す。
「ここからはわたしだけじゃなくて、皆と奏でる魂のセッション。止められるものなら、止めてみなさい!」
指差した先に長曽祢虎徹の姿があったのは何の因果か。
花溢れる琴剣を抜刀した彼女は、挑発紛いの笑顔を浮かべると、銀光の刀身を正眼に構える。
「丁度いいところに来た!」
対して、遠宮・秋(アブノーマル中学生・g11768)の声は苛立ちに染まっていた。怒りに叫び出したい気持ちをそのままに、彼女は納刀した得物、大太刀『白河泡沫分』を構え、敵の姿を睥睨する。
(「あーもう。なんかイライラする」)
怒りの感情が向く先はしかし、目前の敵ではなかった。この改竄世界史そのもの。それがとてつもなく腹立たしいと、秋は吐息を零す。
(「少なくともここはあたしの知ってる北海道じゃない。ここを守るって言うは、あたし達の知る北海道を奪い続けるってこと。だから間違ってない……筈なんだけど」)
腑に落ちない感情が鎌首を擡げ、己に囁いた。
ならば、此処に居る一般人は、排斥すべき存在か、と。
「このモヤモヤはアンタと一緒に吹き飛ばす!!」
完全な八つ当たりだったが、ともあれ、接近する長曽祢虎徹は歴史侵略者で、秋は復讐者だ。彼奴が倒すべき敵なのは当然で、そして、歯舞諸島を制圧する為には、新選組を倒す他、手段はない。それが、世界を奪還する事を決めた復讐者達の意志だ。
「わしらには日ノ本、ひいては全世界を解放する動機があるんじゃ」
前口上と共に、斬鉄剣――曰く、陸奥守吉行のような刀――を引き抜いた阪本・竜馬(世界を洗濯する力を・g11762)は、土佐弁そのままに刀身を長曽祢虎徹へと突き付ける。
「幸福を必要としちゅう組織でもそれは変わらんき、覚悟せい!」
「誰かの幸せのため、誰かが泣くなんて有ってはならない! 幸福は奪わせませんよ、ディアボロス!!」
予想通りの宣言に、秋は苛立ちで表情を歪め、竜馬は唾棄の動作を形成する。そして、イツカは胸を張り、笑顔で思いを叩き付けるのだった。
「あなた達から取り戻してみせるわ。全てを!!」
蝶の様に美麗な肢体が煌めき、彼女は一足飛びに長曽祢虎徹へ肉薄した。
剣戟の音は、イツカの琴剣と長曽祢虎徹の手刀が衝突したそれであった。
流石は歴史侵略者。その身体が何処まで得物かは判らなかったが、少なくとも黒手袋に包まれた腕は、文字通り刀身――鋼の堅牢さを秘めていた。
「この幸福は作られたもんじゃろ。そんな物、真の幸福とは呼ばせやせん! 幸せは己の手で掴み取るもんぜよ!」
そこに注がれるのは、竜馬による一刀であった。竜巻宜しく放たれた斬撃は長曽祢虎徹を捕らえると、その腕を跳ね上げさせた。二撃、三撃と続く斬撃の中、しかし、長曽祢虎徹はそれらを手刀で捌くと、竜馬へと急接近。その肩口に貫手を突き立てる。
それはまるで槍に寄る刺突であった。
防具を切り裂き、肉を貫く一刀を受けた竜馬は、僅かに踏鞴を踏む。
「格闘が出来る新選組がおったとは知らなかったのう」
「侵略者風情が吠えますね!」
吐き捨てるとは正にこのこと。
己が手刀から零れる血肉を振り払った長曽祢虎徹は、返す刀と竜馬に斬撃を繰り出しながら、非難の言葉を発する。
「『俺達の施す幸せ以外は幸せではない』ですか。如何にも侵略者らしい台詞です。それとも……自身の改竄世界史以外の一般人は、人ではないと言うつもりですか?」
敵は自身と同一存在ではない。鬼子や渡来人等、自分達とは違う存在だと定義し、排斥した時代もある。
近未来を謳う改竄世界史暗黒世界蝦夷共和国がそんな時代と一線を画すのは間違いないだろうが、しかし、新選組――いや、新撰組と呼ぶべきか? が背景であるならば、馴染み深い文句でもあろうか、と竜馬は唸ってしまう。
「貴様らがこのディヴィジョンを守護していることも、人々の『幸福』のために尽力していることも事実だろう」
横合いから放たれたのは嘆息混じりの言葉。そして、長曽祢虎徹の刀頭すら両断しかねない力強い一撃であった。
九重・古安(巻き戻り路逸れる針・g02347)の放つそれを受け止めた長曽祢虎徹は頭を振ると、一歩後退。彼の戦鎚を迎え撃つべく、拳を振るう。
「だが、その幸福が誰のものか……貴様とここで議論を尽くしても埒が明くまい。故にここは押し通らせて貰う」
たとえ簒奪者の誹りを受けようと。
(「幸福とは自分の手で選ぶものだと信じるが故に」)
それは古安の信念であった。
そして、そんな彼を支え、子守歌の旋律――イツカのパラドクスであった。
叩き切る斬撃と全てを震わせる歌声。その双方を受け、長曽祢虎徹の動きは僅かに止まる。如何に常識外な歴史史略者――新選組の一員であれど、歴戦の戦士達が紡ぐ猛攻を防ぎ切る程ではなかった。
刹那、光が舞った。
それは秋による抜刀術――龍の尾を思わせるような跳ね上げの斬撃は、長曽祢虎徹の懐から鋼の武器頭へと到達する。萌葱色の羽織が切り裂かれ、切れ端が歯舞の空へと流れていった。
「どいつもこいつも幸福とか守るとか……うざったい!」
秋の言葉は誰に向けられた物か。
少なくとも長曽祢虎徹は己に向けられたそれと判断。故に、彼女に手刀を叩き込みながら、言葉を発した。
「他者の幸せを願えないなどと――侵略者らしい台詞ですね」
連撃を紡ぐ秋は、それが心よりの非難だと理解してしまう。
理解したところで、どうするつもりもないが、しかし、理解してしまったからこそ、物凄く腹立たしく感じてしまった。
その減らず口を今すぐ叩き切りたい衝動に駆られる。しかし、そもそも長曽祢虎徹には首がない。何処から声が出ているのかと言う疑問は多大にあったが、歴史史略者達に常識を語っても仕方ない。ともあれ、胴体を斬り裂けば言葉は止まるだろうと、秋は更なる斬撃を長曽祢虎徹に叩き込んでいく。
「そうね。貴方の言う幸福と、私達の目指す幸福は違う物。それはそうね」
剣戟の残響の中、イツカは長曽祢虎徹に己がパラドクス――堕落へ誘う子守歌を注ぎ込む。
「淹れ立てのお茶のように、ふかふかのお布団のように温かく包み込んであげる。ブラックな管理職の事は忘れ、夢の中で彷徨いなさい」
人であれば微睡みの様子が見られたかも知れない。
だが、生憎、長曽祢虎徹は武器頭の新選組。効いているのか効いていないのかは判らなかったけれど、それでも、その動きから機敏さを奪っていったのは事実だった。
「あなた達のやり方とは違うやり方で、皆が幸せになれる未来を歌うのが、今のわたしの、いつか叶えたい夢」
あなたの夢は、何かしら?
イツカの問いに返って来た物は、当然と言えば当然な言葉であった。
「私の願いはただ一つ。あなた達の排除です」
「それはそうね」
慇懃無礼に紡がれた台詞に一切の余裕は無く。
それを受け止めたのか、イツカはふふりと微苦笑を浮かべた。
斬撃、殴打、歌声、そして裂帛の気合い。それらが交錯し、戦場を朱の色に染めていく。
新選組の紡ぐ決死の一撃は、それだけで復讐者の命を奪う凶刃だった。だが、それでも――。
「それでも、お前に勝利の目は無い!」
古安は断ずると、更なる剣戟を重ねる。全てを両断する勢いの唐竹割りは長曽祢虎徹の拳を捕らえると、そのまま縦に斬り裂いていった。
「そちらは孤軍だが俺には背中を任せられる味方がいる。全力でのぶつかり合いだからこそ、その差が勝敗を分かつ」
それを卑怯と言うまい?
古安の笑みに、新選組は何を思うか。表情のない顔から、そこに浮かぶ感情を読み取る事は出来なかった。
「増援が来れば……って顔かいの?」
その身体を横薙ぎの暴風が襲い来る。
竜馬の言葉に、そして龍の疾風に、しかし、長曽祢虎徹もまた、それに揺らめくのみではない。風を斬り裂く程の徒手空拳は竜馬の身体を捕らえ、その身体を天高く跳ね上げる。
決死の一撃を受けても尚、しかし、竜馬の声は途切れない。
「全員の力を合わせて討ち取った勝利こそが美しいんじゃ。悪いがおんしの出番はここで終わりぜよ!」
「――ッ!!」
そして、彼の咆哮と共に、更なる旋風が走る。
それは秋の抜刀術、そしてイツカの歌であった。
「永遠に、オヤスミナサイ?」
「――竜尾の太刀!」
砕け、斬り裂かれた拳を盾に構える物の、しかし、それは功を成さない。腕は跳ね上げられ、そして、その萌葱羽織に包まれた身体もまた、横薙ぎに斬り裂かれていく。
「かは――」
零れた吐息は、長曽祢虎徹の零す末期の呻きで、そして、嘆きであった。
「申し訳、ありません。市民の、皆様――」
もしも彼に眼窩が、否、表情が存在していれば血涙すらも零しそうな呻き声であった。
吐血じみた言葉を残し、そのまま長曽祢虎徹は果てていく。悔悟が歯噛みの如く、ぎりりと音を立てた気がした。
「はー……しんど」
そんな最期に向かい、秋は嘆息する。
悟ってしまった。ここに、救いはない。少なくとも、暗黒世界蝦夷共和国を奪還するまで、モヤモヤは晴れないと、強く感じてしまった。
「こっからまた、『侵入者め』みたいな目で見られるのかあ……」
少なくとも長曽祢虎徹を屠った今、彼と共に管理室に詰めていた女性にはその目を向けられるだろう。
嘆息せずに居られない。だが。
「……だが、それでも、我らは進むのみだ」
老成したように紡がれた古安の台詞は、覚悟を決めた戦士のそれであった。
是と頷くイツカや竜馬の表情を捕らえ、秋もまた頷く。
――今はまだ、進むのみ。歩みを止めるわけにいかないことを、彼女自身が強く理解していた。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【エイティーン】LV1が発生!
【無鍵空間】がLV3になった!
【現の夢】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【ラストリベンジ】LV2が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
九重・古安
この管理都市の新選組は排除できた。後は都市機能の掌握と……一般人への対処だな。
今後のためにもその場しのぎの誤魔化しや脅しではなく誠実に向き合う他に無いと思う。
武器を収めたうえで、立場の違いから新選組と敵対しているが一般人に危害を加える意図が無いことを目線を合わせて説明しよう。
彼女が落ち着くまで、非難や誹りは甘んじて受けるぞ。
管理のほとんどを一般人が担っているなら一般人向けの運用マニュアルの類があると見た。
パスワードや物理的な鍵で保護されているなら【無鍵空間】で解除しつつ【書物解読】で読み解こう。
特に調べたいのは管理都市で集められたエネルギーの行先だ。
ここまで見てきた新選組の戦力は個々で見れば他のディヴィジョンと比較して特段強いわけではない。
そして莫大な人口をカバーできるほどの頭数も無いというのなら、明らかに生産と消費が釣り合っていない。
膨大なエネルギーはどこに行き、何に使われている……?
一通り情報収集と一般人の退避が終わったのを確認してから救援要請信号の発信を。さぁ、仕上げと行こう。
遠宮・秋
はぁー、気が滅入る……
それでもここで帰るわけにはいかないし、管理都市の中に入り、管理部門に向かうよ
もし残ってたら長曾祢虎徹の羽織は持っていって、リーダー一般人たちに合ったら羽織を渡すよ
この持ち主は、もうここに戻ってくることはないよ
あたしたちにも戦う理由がある。理由を説明しても何を言ってるか分かんないだろうし、どうせ忘れるだろうから、理解して欲しいとは言わないけどさ
一通り他の人も話し終わったら管理端末に案内してもらう
案内しろって言ったって素直に案内はしないだろうけど、その時は刀を突き付け、脅して案内をさせる
どうせこの建物の中にも監視カメラとかあるでしょ
あたしたちがずっとここに居られればいいけど、そうじゃない時のために「脅して無理やり協力させられた」って形は残す
ただし脅すだけで怪我はさせないように
管理端末を【無鍵空間】で解除して救援を送る
前のさ、天売島だっけ? あそこの話を聞いた時はもっと機械的っていうか管理された動物みたいな印象だったんだけどさ
やっぱ人なんだよね、ここに暮らしてるのも
イツカ・ユメ
長曾祢虎徹……蝦夷の地を収めている新選組の人達なら、もっと何か大きな夢を抱いていると思ったいたのに。
夢のように幸福な世界でも、夢を持たないのかしら。夢を、持つ必要がないのかしら。
……っと、今はやるべき事をやらなくちゃね。
リーダー一般人さん達には、堂々と名乗るよ。
大人しくしてくれるのなら手荒な事はしないけど、抵抗するならロープ等で拘束も。
…新選組がいつまでも守ってくれる保証は無い。
わたし達だって、負けることもあるかもしれない。
自分達の幸福を自分達で守れるように、
自分達の本当の幸せについて考えてみてほしい、とだけ伝えるよ。
【無鍵空間】と【操作会得】で管理端末を操作。
…そう言えば、蝦夷の断片の王はまだ判っていないんだっけ?
新選組のトップが断片の王なのかな?
新選組の組織図みたいなものとか、断片の王に繋がりそうな情報を探してみるよ。
一通り終わったら、一般人には【現の夢】を。
ディアボロスに催眠術みたいなものをかけられていたのだと思われれば、彼らが処罰を受けずに済むでしょ?
最後に救援要請信号発信っ!
「はぁー、気が滅入る……」
管理室へ向かう道すがら遠宮・秋(アブノーマル中学生・g11768)が深い溜め息を零す。戦い終わり、次の戦いへ臨む彼女から零れたそれは、当然の様に重いものであった。
(「帰りたいけど、それでもここで帰るわけにはいかないし……」)
管理室を制圧し、周辺地域から新たな新選組を呼ぶという役割がある以上、己の望みばかりを優先できないのだ。
「夢のように幸福な世界でも、夢を持たないのかしら。夢を、持つ必要がないのかしら」
一方で、イツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)は斃した敵、アヴァタール級新選組『長曽祢虎徹』に想いを馳せる。
(「長曽祢虎徹……。蝦夷の地を治めている新選組の人達なら、もっと何か大きな夢を抱いていると思っていたのに」)
彼の語った夢は、『侵入者の排除』と言う即物的な物であった。
まあ、あのタイミングで盛大な夢を語るとも思えないが、ともあれ、大きな夢に向かって邁進しているのならば、その片鱗くらいは口にするだろう。それがなかったと言う事は、彼はそこまで大きな夢を抱いていなかったとも考えられる。
(「人の幸せ、か」)
幸せにすることは幸福エネルギーの入手につながり、故に、新選組は人々を幸せにする。それは分かっている。だからと言って、それを良しとは言えない。
「ともあれ、この管理都市の新選組は排除できた。あとは都市機能の掌握と……」
状況の整理がてらか、九重・古安(巻き戻り路逸れる針・g02347)は無表情でその言葉を続ける。
そして。
「……一般人の対処だな」
管理室に長曽祢虎徹の補佐をしていた一般人の姿があるのは、予知で知る通りだ。
少なくとも彼女をどうにかしなければ、管理室の制圧は不可能だろう。
故に、秋は嘆息し、古安は言葉を詰まらせたのだ。
「まあ、覚悟を決めるさ」
その場凌ぎや誤魔化しを行うつもりはない。誠実に向き合うことが、今後の為になる。そう信じる他無かった。
管理室の制圧は一瞬だった。
如何に管理室を任されようとも、相手は只の一般人。長曽祢虎徹達を制した復讐者達の相手ではなかった。
「こ、殺しなさいよ!」
秋とイツカに押さえられた女性は、そう叫ぶ。
偽りない真摯な様子に、秋は嘆息し、イツカは微苦笑と共に視線を逸らしていた。
「さてと。一応名乗っておくよ。私達はディアボロス。歴史を取り戻す者達だ」
それでも堂々と名乗るのは、イツカの矜持であった。
そして、彼女を放置するのは危険と判断したイツカは、手にしたロープで彼女を縛り上げる。手首、足首を縛り、柱に括り付ければ、取り敢えずは大仰な事は出来ないだろう。
「俺達は立場の違いから、新選組と敵対しているがお前達に危害を加えるつもりはない」
女性から得物――小ぶりなナイフだった――を取り上げた古安は、しゃがみ込み、床に転がる彼女へそう語り掛ける。
非難や誹りは覚悟していたが、しかし、女性が繰り返すのは「殺せ」と言う自傷の言葉ばかり。これは聞くに堪えなかった。
どうしたものか、と頭を抱えてしまう。
「とりあえず、これは返しておく」
長曽祢虎徹との戦闘後に回収したのだろうか。手にした萌葱色の羽織を女性の前に置いた秋は、静かにその事実を告げた。
「この持ち主は、もうここに戻ってくることはないよ」
「そんな……虎徹様ッ」
それは、心の底からの慟哭であった。
改竄された世界の彼女は、心の底から長曽祢虎徹達新選組を――歴史侵略者を愛すべき隣人と認識しているのだ。或いは、本当にそういう傑物だったのかも知れない。
だが、それでも、秋にそれを肯定するつもりはなかった。
「あたしたちにも戦う理由がある。理由を説明しても何を言ってるか分かんないだろうし、どうせ忘れるだろうから、理解して欲しいとは言わないけどさ」
「……新選組がいつまでも守ってくれる保証は無い」
冷酷な言葉は、イツカから。
女性に言い聞かせるよう、或いは自分にのみ語り掛けるように、彼女は言葉を紡ぐ。
「わたし達だって、負けることもあるかもしれない」
だから、自分達の幸福を自分達で守れるよう、自分達の幸せについて考えて欲しい。
そう告げた彼女に、女性は唇を歪め、震える声を発する。
「侵略者が、新選組の方々を殺したあなた達が、幸せを押しつけるなんて――」
「……まあ、そう言うだろうな」
ともかく、と古安は頭を振って彼女に問う。これ以上は水掛け論であり、そして、平行線だ。抱く背景が異なる以上、彼女を納得させる事など、出来る筈も無い。――力尽くで屈服させることならば可能だろうが、しかし、それは彼らの望むところではなかった。
「――管理端末は何れだ?」
「言っておくけど、口を割らせる手段なんて幾らでもあるんだからね。逆らうだけ無駄だよ」
威圧的な秋の言葉は、しかし、彼女に向けられた物では無い。
その視線が捕らえているのは、天井に備え付けられた監視カメラだ。今後の彼女を考えると、脅され、無理矢理協力させられた、と言う形は残しておきたい。その配慮の元、秋は彼女を睨み付け、言葉を叩き付けるのだった。
只の一般人に、抗う術などあるはずもない。
女性は唇を噛むと、視線をテーブルへと向ける。正確には、その上に置かれた情報端末であった。
「それが、長曽祢虎徹の使っていた端末、です」
「そう」
それだけ引き出せれば上等と、秋は猿ぐつわを彼女へ噛ませる。叫ばれても、罵倒されても問題無いが、しかし、舌を噛まれるのは避けたい。それだけが今、彼女の望む事であった。
残留効果【無鍵空間】、そして【操作会得】。その二つを以てすれば、情報端末の解除はさほど難しい作業ではなかった。
情報端末を叩く秋とイツカの背後で、古安は各種書類を集め、それぞれを【書物解読】で紐解いていく。
「前のさ、天売島だっけ? あそこの話を聞いた時はもっと機械的っていうか管理された動物みたいな印象だったんだけどさ」
キーボードを叩きながら、秋がぽつりと呟く。
「やっぱ人なんだよね、ここに暮らしてるのも」
「……そりゃ、な」
これまでの改竄世界史も、様々な人間の営みがあった。圧倒的に虐げられる住人が多かったが、しかし、それでも強かに生きる人間は何処にもいた。
――同じくらい、いや、それ以上に、改竄世界史の理を絶対と受け止め、絶望に身を窶していた人間もいたが、まあ、それはそうだろうな、と思ってしまう。人は全てに抗えるほど、強くはないのだから。
「ったく、分かっていたが、流石に『これです』って情報は書かれてないな」
あわよくばエネルギーの流れを追跡したかったが、しかし、書類の類いも、情報端末に残されたログも、古安の望む通りのものは見つからない。
可能な限り攻略旅団に持ち帰るつもりだったが、とは言え、何処まで解析できるかは、最終人類史の技術者次第だろう、と思ってしまう。
「そう言えば、蝦夷の断片の王はまだ判っていないんだっけ?」
イツカも求める情報があったのだろう。
真摯な表情で走査を続けるが、しかし、それらしき単語は出てこない。
「組織図とか有れば良かったんだけど」
「管理都市にわざわざ組織図を置いているかと思うと、うーん……」
至極真っ当な秋の返答に、イツカはそうだよね、と微苦笑する。
とりあえず、それも攻略旅団に期待、と得た情報を全て持ち帰る事を、イツカは決意する。
そして、管理端末の掌握は、小一時間を有さずに完了した。
得るべき物を得たと頷く復讐者達は、そして、最後にと床に転がる女性へ向き直った。
「……貴方は、私達に脅されて、協力した」
秋と同じ事を思うのか。
イツカは彼女にそう語り掛け、そして、残留効果【現の夢】を発動する。
刹那に夢見心地に倒れる彼女は、これまでの事をどう思うだろうか。催眠術のような物、と全員が全員で認識してくれれば、彼女は処罰の対象にならない筈だと思うから、そうなって欲しい。
イツカはそう呟いた後、仲間達へと向き直った。
「それじゃあ、救援要請信号発信っ!」
「ええ」
「さぁ、仕上げと行こう」
残留効果【通信障害】を解除し、情報端末を操作する。
その瞬間、画面が警告音を発し、画面が赤く染まっていく。
何時か、何処かで見た光景をなぞりながら、復讐者達はそっと、管理施設を後にするのであった――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【書物解読】LV1が発生!
【無鍵空間】がLV4になった!
【操作会得】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ラストリベンジ】がLV3になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
常香・クロウエア
ようこそようこそ、皆々様。
遠路はるばるお越しくださいましてありがとうございます。
昼も長くなり暑くなり始めたこのごろ、大急ぎで集まっていただけるなんて大変だったでしょう。
私からのせめてもの感謝の気持ちとして、ここからはこの常香・クロウエアのマジックショーをご覧に入れましょう!
慌てなくとも大丈夫、ゆっくり楽しんでいってくださいね!
アイテム「さりげないバックグラウンドミュージック」をかけながらパラドクス「no Pain no Joker」を発動します。
シルクハットをこつくことで、たくさんのトランプを吹き出させましょう。
さぁトランプたち、観客のところへいってらっしゃいな。
トランプでクロノヴェーダの皆々様を切り刻みます。
ドローンを使って私のタネを明かそうとしていますか?
いやあ、たしかにマジシャンとしてはそれは困ります。
ですが注目されることは悪いことではありません。
なぜなら私のような道化が囮となっている間に仲間の皆さんが隙をついてくださるでしょう。
またお越しくださいね。シーユーネクストステージ。
阪本・竜馬
アドリブ連携歓迎ぜよ!
悪いがここに来たおまんらは倒されるだけじゃき。
急な救援で驚いたが?そうじゃ!わしらが来ちゅうがよ!
曲者?好きに呼ぶとええ。覚悟せいドローン頭!
しっかしドローン頭の新選組は飛ぶから厄介ぜよ。
パラドクスで撃ち落とせたらええんじゃが!
という訳でわしお得意の【陸奥守吉行のような刀】【隠し小型銃】の二刀流じゃ!
爆撃が来ゆう前に破壊すりゃ所詮ただのドローン頭じゃのう!
攻撃は【竜眼】を展開しつつ刀で防げる所は防ぐぜよ。
ふっ、おまんらの攻撃は痛くも痒くも無いわ!(威勢)
【ダメージアップ】も乗せて一気に決めてやるぜよ!
連携攻撃されたら厄介じゃき、こっちも連携して行くかのう!
連携はディアボロスの強みじゃ!
残留効果も【命中アップ】とか、使える奴は全部拾っておくかのう。
ところでおまんら……何故自分達が救援で呼ばれたか、理由は分かっちゅうがよ?
(一応、本物の救援かどうか見極めるぐらいの頭はありそうじゃが……新選組の危機管理能力も測っておくかのう!)
九重・古安
ここで増援部隊を叩いておけば一帯の管理都市の制圧に繋がるはず。
新選組の次の一手を探るためにも確実に殲滅しておかねば。
あの装備からして増援として来たは偵察や支援向けの人員か。
警報を聞いて駆け付けただけあって警戒はしているだろうが、駐留部隊が全滅していて相手が俺たちディアボロスだという情報まではまだ伝わっていないはず。奇襲の利を生かすためにも初撃で出鼻を挫いておきたい。
【通信妨害】で敵側の情報のやり取りや外部への通報を阻害しつつ、増援部隊を待ち伏せる形で『残響の嘆奏』で狙い撃つ。
偵察用のドローンといえど音と衝撃による攻撃なら目視では攻撃の出所を探りにくいはず。
頭上をとって爆撃してくるようなら爆弾ごと撃ち落としてやろう。
一通り片付いた後は周囲に残存戦力がいないことを念入りに確認。
まだ使える端末を持っているか確認し回収しておこう。攻略旅団に持ち帰れば何かしら除法を引き出せるかもしれん。
……ひとまず、この場はこれで片付いたか。だがここはあくまで橋頭保、ここから気を引き締めねばな。
遠宮・秋
はー、むしゃくしゃする
別に間違ってることをしてるつもりはないし、なんかミスしたってわけでもないのにさ
悪いけどあんたたちにはストレス解消に付き合ってもらうから
他の復讐者と一緒に誘き寄せた援軍を迎撃
この管理都市の入り口らへんで待つのが入れ違いにならなそうかな
救援信号で来てるんだし不意打ちもできなさそうだしね。正面戦闘!
大太刀「白河泡沫分」を手に戦うよ
先陣を切って敵部隊の中に飛び込んで鎌鼬と刀で切り裂く『飛鷹の太刀』
クロノヴェーダって飛べる種族と飛べない種族といるんだってね、新選組は個体によって分かれてるって話
こいつは飛べる方かな?
頭部を切り離して支援攻撃を行うドローン監察体に素早く接近して攻撃を繰り返す
他の復讐者とは標的を合わせて、空を飛ぶ敵を素早く減らしてこう
支援するはずだった部隊がいないんじゃ、効果も半減だよ……ねっ!
こっから北海道の本島に攻め込んでいくんだけどさ……この都市もこのままにはしとけないよね
はぁ……どうしよっか
プロペラ音が木霊している。ドローンの回転翼が奏でる音は、トループス級新選組『新選組ドローン監察隊』の急接近を告げる音でもあった。
視界に映る萌葱色の羽織と、ドローンと化した武器頭の一群を見やり、遠宮・秋(アブノーマル中学生・g11768)は深い吐息を零した。
(「はー、むしゃくしゃする」)
此処に至るまでの事を考えれば、当然の心情であった。
嘆息と共に苛立ちを吐き出した彼女は、ドローン監察隊を強く睥睨する。
「悪いけどあんたたちにはストレス解消に付き合ってもらうから」
別に間違ったことをしているつもりはない。何か大きな過ちを犯したわけでも無い。
それでも、こんな気持ちにさせるこの改竄世界史こそが間違っている。
その叫びと共に、彼女は大太刀『白河泡沫分』を抜き放った。
「ようこそようこそ。皆々様」
大仰な口上と共に、常香・クロウエア(忘憂と嘱望のジョーカー・g11778)はドローン監察隊に向け、一礼する。
「遠路はるばるお越しくださいましてありがとうございます。昼も長くなり暑くなり始めたこのごろ、大急ぎで集まっていただけるなんて大変だったでしょう」
新選組の異様な外見から、彼らの内心を測ることは難しい。
人であれば大量の汗を掻きながら駆け付けた、と言う状況であろうか。彼らもまた、おそらく同じ状態であろうと確信した常香は、シルクハットをステッキで叩きながら、言葉を続けた。
「私からのせめてもの感謝の気持ちとして、ここからはこの常香・クロウエアのマジックショーをご覧に入れましょう! 慌てなくとも大丈夫。ゆっくり楽しんでいってくださいね!」
煽動なのか。それとも心からの歓迎なのか。
ともあれ、ドローン監察隊は前者と受け取った様子だった。
うぉぉぉと鬨の声が溢れ、復讐者達の耳朶を打つ。
それを受け止めながら、阪本・竜馬(世界を洗濯する力を・g11762)はにぃっと笑みを浮かべた。
「悪いがここに来たおまんらは倒されるだけじゃき。急な救援で驚いたが? そうじゃ! わしらが来ちゅうがよ!」
救援信号を受け、駆け付けたら復讐者がいた。
その心情を思えば痛快だと笑う彼もまた、刀と小銃を抜き、迎撃の体勢を取る。
「曲者? 好きに呼ぶとええ。覚悟せいドローン頭!」
三者三様の挑発の言葉に、ドローン監察隊の怒号が重なった。
戦いは正に、一触即発であった。
元より、新選組ドローン監察隊を誘き寄せたのは復讐者であり、そして、誘き出された彼らもまた、復讐者を見逃す道理はない。
互いに戦いの回避を望んでいない以上、衝突は必至であった。
剣戟が走り、鋼の音が、破砕の爆裂音が、叩き付けるような水温が周囲に響き渡っていった。
(「ここで増援部隊を叩いておけば一帯の管理都市の制圧に繋がるはず。新選組の次の一手を探るためにも確実に殲滅しておかねば」)
鎚鉾――小型メイスを振るいながら、九重・古安(巻き戻り路逸れる針・g02347)は思考を重ねた。
戦いを制するのが情報ならば、戦いそのものもまた、情報の宝庫である。
彼奴ら――ドローン監察隊の装備を観察すれば、彼奴らは偵察、或いは支援に特化した存在と思えた。
(「動揺が見えるのは、まだ、この管理都市が『生きている』と信じる為か?」)
斬撃を受けながら、長曽祢虎徹を呼ぶ物がいた。殴打を、銃撃を受けながら都市部の人間を、新選組を案じる物の声が上がる。
それは、復讐者達の情報秘匿が成功した証左であった。
彼奴らは所謂泡食った状態であり、そして、その広がる動揺は思いの外大きかった。
平静を装いながら戦っている事は、古安の目からしても明白であったのだ。
「そろそろ黙る時間だ。……いや、黙らせるとも!」
物理的な殴打まで昇華された音波攻撃を叩き付け、返す刀で更なる一体を殴打する。
その彼の傍らを、鎌鼬が奔り抜けた。
「――飛鷹の太刀!」
秋の一太刀は古安を囲む数体を斬り裂くと、そのまま踏鞴を踏ませ、数歩の後退を刻み込む。
「クロノヴェーダって飛べる種族と飛べない種族がいるんだってね?」
ホバリングするドローン監察隊を睨んだ彼女の言葉は、何処か独白の様に聞こえた。
元より、答えなど期待していないのだろう。ドローンを切り離しながら放たれる多方向攻撃を躱しながら、秋はふむ、と首肯。言葉を続けた。
「新選組は個体によって分かれてるって話なら、あんたらは飛べる方か」
だからこそ救援部隊に選ばれたのだろうけれど。
「支援する筈だった部隊が居ないんじゃ、効果も半減だよ……ねっ!」
「貴様らーっ!」
秋の挑発で、ようやく管理都市の新選組が壊滅状態に陥っていることを認識したのか。
叫びと共に多数のドローンが秋を襲撃。それらを斬撃――所謂鎌鼬現象で叩き落としながら、秋は冷たい視線を新選組へと叩き付ける。
「連携はディアボロスの強みじゃ!」
其処に切り込むのは竜馬の剣術、そして射撃であった。跳弾。衝撃波。そして斬撃波。踊るような攻撃は地に降り立ったドローン監察隊ばかりか、未だ空に浮かび支援する者達まで強襲。破壊の跡を刻んでいった。
「爆撃が来ゆう前に破壊すりゃ所詮ただのドローン頭じゃのう!」
因みに逆説連鎖戦が故、自身の斬撃と共に爆撃が届いているが、それは無視。痩せ我慢にも程があったが、しかし、弱みを見せれば付け込まれる結果となる。或る意味、竜馬の選択は正しかった。
「ところでおまんら……何故自分達が救援で呼ばれたか、理由は分かっちゅうがよ?」
ふと零れた問いかけは、新選組を推し量る物。
だが、そこに答えは無い。
黙殺を決めているのか、情報を渡すことを忌避しているのかは判らない。だが、答えが無いことに竜馬は嘆息。
「だんまりか。つまんない奴らじゃのう」
爆撃と斬撃、衝撃波を取り交わしながらの台詞は何処か空虚に響いていた。
「ワンッ! ツーッ! スリーッ!」
無口な敵兵に代わり、戦場には常香の華やかな声が響いていた。
シルクハットから噴出した大量のトランプは、彼女の思うままに水流を放ち、そして、その水流は細く鋭い刃へと化していく。仲間の斬撃に勝るとも劣らない水流の斬撃は萌葱羽織は元より、機械じみた躯体を易々と斬り裂いていった。
そして、その人好きのする笑顔は、分離し、空を舞うドローン群に向けられる。より正確に言えば、そのドローンが備えるレンズ――カメラであった。
「ドローンを使って私のタネを明かそうとしていますか? いやあ、たしかにマジシャンとしてはそれは困ります」
だが、自分に視線が集まっている。それは悪いことでは無い。手品師としても、扇動者としても、それは望む事なのだ。
(「私のような道化が囮となっている間に、仲間の皆さんが隙をついてくださるでしょう」)
そして、常香の狙いは寸分も違わなかった。
彼女の水撃が新選組を引きつけ、斬り裂く中、秋の斬撃が、竜馬の爆撃が、そして古安の殴打がドローン監察隊を打ち据え、切り刻み、そして破壊していく。
負けじと振るわれるドローン射撃、そして爆撃は、しかし、4人の復讐者の勢いに押され、やがて、その波に呑まれていくのであった――。
「これで終わりぜよ!」
最後の一体を切り捨て、竜馬がふんと鼻を鳴らす。
戦い終われれば、敵兵は壊滅。復讐者側も幾らかの手傷を負ったが、軽微。全身の傷を確認した彼は、満足げな笑みを浮かべた。
「またお越しくださいね。シーユーネクストステージ」
竜馬同様、常香もまた、満足げな笑みと共に大仰な一礼を行う。
最後の最後まで手品師を貫き通した彼女の様子に、竜馬は肯定とばかりの力強い首肯を向けた。
そんな二人とは異なり、憂いを帯びた嘆息を零す者がいた。
「こっから北海道の本島に攻め込んでいくんだけどさ……この都市もこのままにはしとけないよね。はぁ……どうしよっか」
今回は終始、溜め息ばかりだったな、と秋は此度の作戦を思い返す。
戦いは未だ続く。そして、それは今と同じ衝突の繰り返しなのだろう。その示唆は充分に為されており、それが彼女の心に昏く、重くのし掛かっていた。
「……ひとまず、この場はこれで片付いたか。だがここはあくまで橋頭保、ここから気を引き締めねばな」
残存勢力、並びに持ち出せる物を確認していた古安は撤退を促しながら、締めの言葉を口にする。
ともあれ、これからどうなるかは神ぞ知ると言うべきか。後は攻略旅団がどう動くか。それを見守る迄だ。
「じゃあ、引き上げるぜよ!」
竜馬の宣言の元、復讐者達は管理都市を後にする。
暗黒都市は落ちた。だが、それもまた、改竄世界史暗黒世界蝦夷共和国の一幕に過ぎない。長い戦いの序章に向かい、復讐者達はそれぞれの想いを紡いでいった――。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【冷気の支配者】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
【狐変身】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【ガードアップ】LV1が発生!