死に近づく青年(作者 花々実コノネ
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#断頭革命グランダルメ  #断頭台の罪人を救え  #1802年 

 ●
 町の断頭台の上に立つ2人は、実に対照的だった。
 引き出されたおとなしそうな青年は、今にも座り込んでしまいそうな様子で、肩を落としている。
 青年を後ろ手に縛り上げた縄を持っているクロノヴェーダは堂々と胸を張り、周囲に集まった人々を見下ろす。
「この者、弱った人々に近づいてその命を奪い、金品をせしめた罪により、斬首刑に処する」
 処刑人の自動人形からの宣告に、青年は弱弱しく首を振る。
「違う。僕はそんなこと……」
 していない、の言葉は、広場のざわめきにかき消される。
「やっぱりな」
「前々からおかしいと思ってたんだ。あいつ俺たちには話しかけないのに、弱ってる奴ばかり狙って……」
「私が見たおばあさんも、ヨハンに埋められたの……可哀そうに」
 彼の罪を当然のように受け止める人々の声に、ヨハンはがっくりとうなだれた。町の人すべてにそう思われているならば、生を繋ぐ意味もない。
「処刑の執行は本日夕刻とする。異議のあるものはその際に申し述べるが良い」
 異議などあるはずもない。そう確信した様子で、ファニーサイスはヨハンを引きずるように、広場から去って行った。


 ディアボロスの働きにより、バスチーユ監獄で行われていた断頭台での処刑は阻止することができた。だが、断頭革命グランダルメでは今もなお、クロノヴェーダによって多くの人々が、ささいな罪、あるいは冤罪で処刑されている。
「断頭台にかけられようとしているヨハンさんを助けに行ってくれる人はいませんか」
 パラドクストレインの前に立った時先案内人、久住・野乃(六尾のもふ狐・g03512)はディアボロスたちにそう声をかけた。
 事の始まりは、町に巡回処刑人のファニーサイスがやってきたことだ。ファニーサイスが周囲で聞き取りをした際、ヨハンの名前が挙げられた。
 曰く――道端で座り込んでいる人にヨハンが声をかけて、家に連れて行った。その後、その人の姿が見られなくなった。
 墓地の片隅に、ヨハンが死体を埋めていた。そのとき、死体がつけていた指輪を抜き取るところを見た。
 ヨハンが家に連れて行った人はみな、死んでしまっているようだ。
 そんな訴えから、ファニーサイスはヨハンが弱っている人を狙って殺害し、金品を奪っているのだと判断したのだ。
「もちろんヨハンさんは、誰かの命なんて奪っていないです」
 弱っている人を家で介抱し、亡くなってしまったら埋葬し、遺品となりそうなものは遺族が現れたときのために保管した。それだけのこと。
「処刑人であるクロノヴェーダは倒さなくてはなりません。けれど、クロノヴェーダを倒しただけでは、ヨハンさんは犯罪者と思われたままです。なので、できればヨハンさんにかけられた冤罪を晴らして、町の人に受け入れられるようにしてほしいんです」
 ヨハンがこれからも町で暮らしていけるように、と野乃は頼んだ。

 パラドクストレインで向かえば、昼過ぎには町に到着できる。
 ヨハンが処刑されるまでの間に、町の人から話を聞いたり調査を行ったりすることで、彼への疑いを晴らすための何かが見つかるかもしれない。あるいは、町の人に疑問を持たせたりしておくことができれば、冤罪を晴らす助けとなるだろう。
 冤罪を晴らすのにもっとも有効なのは、夕刻にある処刑前の異議申し立てにおいて、ヨハンが罪を犯していないことを堂々と演説することだ。その際、町で得た情報があれば役立つことだろう。
 ヨハンの冤罪を晴らすか、あるいは、物理的に処刑の邪魔をすると、ファニーサイスとの戦闘となる。ファニーサイスは周囲の町や村を巡っては、断頭台での処刑を繰り返しているため、ここで必ず撃破しておきたい。
「あともう1つ……。攻略旅団でも話題にあがっている『革命裁判所』について、情報を得る機会かもです」
 口にすれば殺されてしまうため、革命裁判所について話してくれる人がいないのが現状だが、ディアボロスに生命を救われたヨハンならば、何か知っていることを話してくれるかもしれない、と野乃は言う。

「冤罪で殺されてしまうのも、冤罪で誰かを殺してしまうのも、どちらも悲しいことです。どうか、みなさまの手で悲しい出来事を止めてください」
 よろしくお願いします、と野乃は頭を下げた。


 ファニーサイスが立ち去ったあとも、断頭台の付近ではヨハンの話でもちきりだった。
「なにを考えているかわからない奴だと思ってたが、そんな悪人だったとはなぁ」
「うん……でも……私が足をくじいて困ってたとき、ヨハンは荷車を持ってきて、家まで運んでくれたのよ」
「そりゃあ、危なかったな。もし隙を見せてたら、ゲルデも殺されてたんじゃないか?」
「そう、かしらね」
 ゲルデはどこか納得いかない様子で、断頭台を見やった。
 別のところでは、男性2人が噂話に花を咲かせる。
「この間、ヨハンのとこに誰か礼を言いに来てたって話を聞かなかったか?」
「隣町からだったっけか? ありゃあ何の礼だったんかね? ま、そいつもヨハンが人殺しと知ったら驚くだろうなぁ」
「あはは、そうだろうともよ」
 たわいない話をしながら、人々は広場から散っていくのだった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【悲劇感知】
1
「効果LV×1時間」以内に悲劇が発生する場合、発生する場所に、ディアボロスだけに聞こえる悲劇の内容を示唆する悲しみの歌が流れるようになる。
【現の夢】
1
周囲に眠りを誘う歌声が流れ、通常の生物は全て夢現の状態となり、直近の「効果LV×1時間」までの現実に起きた現実を夢だと思い込む。
【腐食】
1
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【勝利の凱歌】
1
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【友達催眠】
1
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【使い魔使役】
1
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。

効果2

【能力値アップ】LV2 / 【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV2 / 【ガードアップ】LV2 / 【アクティベイト】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【ロストエナジー】LV3

●マスターより

花々実コノネ
 冤罪で断頭台にかけられようとしているヨハンを助けようというシナリオです。
 流れとしては、①→②→④。②の終わりか④の途中に希望者がいれば③、というところでしょうか。
 ①の情報収集はなくても大丈夫ですが、あれば②が楽になるかもしれません。
 ③もなくて大丈夫ですが、聞きたい方がいればぜひ。といっても、ヨハンも詳しく知っているわけではないです。
 ファニーサイスを撃破すれば処刑は行われないので、④だけでも完結は可能です。

 では、プレイング楽しみにお待ちしてます☆
42

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


獅子城・羽鳥
リゼットg02975と分担・連携
ヨハンの周囲とゲルダさん担当

友達催眠と現地民の格好
友好的な《演技》で《情報収集》
常に《臨機応変・幸運・情熱・忍耐力》

各地で冤罪での処刑と救出事件が多発してる状況を話し
「本当に狡猾な悪党だったなら
とっくに逃げて余所で贅沢してる筈だろ」と説得

ヨハンの日頃の暮らし振りや言動行動を聞く
遺品の質入れや売却がなかったか質屋や装飾店等を当たる
保管してる遺品や他を探すなら
周囲に極力注意しながら静かに侵入

ゲルダさんには助けられた際の状況、ヨハンの言動行動、金品を要求されたり失くしたりしなかったか聞く
証言は書面に書き止めてサインを貰うか
直接行く場合は所持武器を見せ
必ず護る事を保証


リゼット・ノア
無実なのはわかっていても、上手く無実であることを明らかにできるかは難しそうですね…?

ヨハンさんの所にお礼を言いに来た人がいた、という噂話を深く追ってみましょう。

・どこの誰だったか?
・何に対してのお礼だったか?
・お礼を言いに来た人は、この街にまだいるのか?
・お礼の手紙など、物証となるものが残っているか?

上記の点について調べます。

調査は

・街での聞き込み(隣町から来た、ということであれば宿泊施設や食事処で聞き込むのが有意義そう)。
・可能であれば家探し(人に見つかりそうなら【現の夢】で誤魔化す)。

を実行します。

もし、お礼を言いに来た人がまだこの街に滞在しているようなら、証言をお願いしましょう。


セリオス・シェリングフォード
呑気な連中だ
自分が同じ立場になる可能性など考えもしないか

罪の無い事を証明するのは難しいが、罪が有ると証明できなければそれを裁く事は許されない
要はヨハンの近辺に犯行を指し示すものが無ければいい

隠れて家探しをしてもそこで得たものの証拠能力は弱い
堂々と探る為に処刑人の側であると見せかけ、処刑の前の事実確認を行うと告げる
家へ案内して貰うという名目で何人かを伴い、そこで逆に彼の無実を印象付ける

それなりに几帳面な男だと有り難いが、遺品を返すつもりならば元の持ち主が分かるよう管理していた筈
手帳か何かに亡くなった人の名前や特徴を記してはいないだろうか
本人が使わない薬等でも介抱していた印象付け程度には使えるか


 どこか楽しそうに噂話をしている町の人々をセリオス・シェリングフォード(虚無の牙は炎と共に受け継がれ・g02806)は冷めた目付きで眺めた。
「呑気な連中だ。自分が同じ立場になる可能性など考えもしないか」
 今回疑いをかけられたのはヨハンだが、こんなことがまかり通ってしまうならば、いつ誰の上に冤罪が降りかかってくるか分からないというのに。
「すべきことは、ヨハンの周辺調査と、出来れば冤罪ではないかという疑いを持たせること……」
 そのために町の人と話してみようと、獅子城・羽鳥(メタリックトルバドゥール・g02965)は、現地の人と同じような服を身に着けてきていた。
「私はヨハンに礼を言いに来ていたという人が気になります」
 町の人がヨハンに抱いている印象を覆す材料と出来るかもしれない。あとは……とリゼット・ノア(Cortège funèbre・g02975)は続ける。
「ヨハンの家に忍び込んで家探しできれば、何か見つかる可能性もありそうです」
「保管している遺品があるかもしれないな」
 羽鳥も同意するが、セリオスはどうかなと難色を示す。
「隠れて家探しをしてもそこで得たものの証拠能力は弱い」
 これが出てきたと何かを見せる、あるいは、何もなかったと話したとして、町の人がそれを信じるだろうか。
「ここは堂々と探るべきだと思う」
 それぞれのする調査を打ち合わせ、3人は町の中へと散っていった。

 親しげに町の人の噂話の輪に加わった羽鳥は、ヨハンの暮らしぶりについて尋ねてみた。
「特に派手とかつましいとかは聞いたことはないなぁ」
「親父が遺した家や財産があるから、暮らしには困ってなさそうだけど……」
 返事があいまいなものばかりだから、羽鳥は今度はずばりと聞いてみる。
「そもそもヨハンってどういう奴なんだ?」
「誰ともあんまし話さないから、何考えてんだがわかんねぇ」
「たまに見かけるけど、挨拶以外したことないのよね。なんだか気味が悪い人だわ」
 町の人々から見たヨハンは、好き嫌いを判断するほど近しくなく、印象が薄いことが得体の知れなさに繋がっているようだ。
「……優しい人よ。私を助けてくれたもの」
 それまで黙りこくっていた女性が小さな声で反論した。
「危ない危ない。殺されなくて良かったな、ゲルデ」
 笑い飛ばされて終わりそうな話題を、羽鳥は掬いあげる。
「その時ヨハンに何か怪しいそぶりはあったのか? 金品を要求されたりしたとか?」
「ないわよ、そんなの」
 気分を害した様子のゲルデに、羽鳥は念押しに尋ねる。
「本当に? 証言できるか?」
「できるわよ!」
 途端にあがる周囲からの冷やかしの声に、ゲルダは黙り込んだ。
「でも本当にいい奴なのかもな。本当に狡猾な悪党だったなら、とっくに逃げて余所で贅沢してる筈だろ」
 羽鳥はすでに買い取り屋に聞きこんで、ヨハンがなにも売りに来ていないことを確かめてあった。遺品を入手するだけで換金しないならば、殺してまで奪ってもただのコレクションにしかならない。
「最近、冤罪で処刑されそうになった人が救出される事件が多発してるらしいし、ヨハンも冤罪をかけられているだけかも知れないぜ」
「そうかもな。でもあいつが弱ってる人を狙って話しかけてるのは確かなんだよなぁ」
 得体が知れない奴だ、と男性は首を振った。

 無実だと分かっていることでも、それを無実だと明らかにするのは難しい。やったことの証拠は集められても、やっていないことを証明できる材料など、どう集めれば良いものか。
 リゼットは、ヨハンに礼を言いに隣町から人が来ていた、という情報について町の人に聞きこんでみた。
 その男性が何度もヨハンに頭を下げる姿や、連れ立って歩いている様子が目撃されているが、それが何に対する礼なのかを知る者は見つけられなかった。
「どこの誰なのでしょうか」
「隣町で人気の仕立て屋さんよ。ヨハンが服でも頼んだのかと思ったけど、忙しいヤンゼンさんがわざわざ来るなんて、只事じゃないわ。私もお願いできないかと思って宿まで訪ねていったけど、今はそんな気分になれない、って断られちゃった」
 少女はむくれる。
「今もその人は宿にいますか?」
「さあ。行ってみたら?」
 少女が教えてくれた宿をリゼットが訪ねると、女将はおやまあと目を見開いた。
「もう発ってしまったよ。ヨハンが捕まるほんのちょっと前に、隣町に帰るんだって言ってね。入れ違いになっちまったのかい?」
 同情的な女将に、リゼットはその客について尋ねてみた。
「仕立て屋のヤンゼンさんだよ。なんでも、お母さんの最期を看取ってくれた恩人に御礼を言いに来たとかでね。ヤンゼンさんの町まであと少しというところまで来て、持病が悪化して亡くなったなんて、お母さんも気の毒なこった」
「恩人というのは……」
「誰なのかは知らないよ。形見の指輪を保管しておいてくれたとかで、その箱ごとヤンゼンさんが大事そうに持ってた」
 しみじみと言ったあと、女将はあっと手を打ち合わせた。
「そう言えばこの町を出る前にアルの店に寄るって言ってたよ」
 すぐさまアルの店へと走ったリゼットは、ちょうど店を出るヤンゼンと会うことができたのだった。

 ヨハンの家の前には多くの人々が集まり、声高に立ち話をしていた。
 家とささやかな庭、裏手には畑。人々の関心はヨハン亡きあとこれを誰が手に入れるのか、にあるようで、彼が無実なのかどうかを気に掛ける声はきかれない。
 このままではなし崩しにヨハンは処刑されてしまう。それを阻止するための要素として、ヨハンの近辺に犯行を差し示すものがないことを、知らしめておきたい。
 セリオスは大またに人々の間を通ってヨハンの家の前に立った。
「これより、処刑の前の事実確認を行う。誰か立会人となる者はいるか」
 セリオスの問いかけに、人々は顔を見合わせた。
 誰だ。この付近では見かけない顔だ。処刑人の従者か。
 そんな会話が漏れ聞こえる。
「この町の者は、処刑人の案内が出来ないと言うのか」
 セリオスが言葉を強めると、慌てた様子で4人ほどが進み出た。その者たちとともに、セリオスはヨハンの家へと入った。
 飾り気のない室内はおおむね片付いている。玄関付近だけ乱れているのは、処刑人に引き出されたときの名残だろう。
「犯行に関連するものを探せ」
 立会人に命じ、セリオスも家の中を探る。
「この箱はなんだ?」
「殺しの記念品かな?」
 名前が書かれた小さな箱に、小物が収められている。中身は装飾品だったり手袋だったり、鍵だったりいろいろだ。
 引き出しの中の書きつけには、箱と同じ名前が書かれており、年齢、髪や目の色、体型などが、几帳面な文字で書き添えられている。うち何名かは線で消され、消されている人の名が書かれた箱はない。
「俺には、彼が遺品を保管しているだけに見えるが」
 セリオスが箱と書きつけを並べてみせると、立会人たちは困惑顔で考え込んだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【現の夢】LV1が発生!
【腐食】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

 町の広場に射す陽光は、徐々に赤みを帯びてゆく。
 それにつれて、断頭台の落とす影はじりじりと伸びてゆく。
 処刑が執行される刻限まであと少し――。
 そしてついに、ヨハンにかけられた縄を引いて、ファニーサイスが姿を現した。
 もうあきらめてしまったのか、ヨハンは抵抗もせず、とぼとぼとファニーサイスの後ろを歩き……一足一足踏みしめるようにして、断頭台に上がった。
 ファニーサイスはヨハンを前に押し出すと、
「この者ヨハンを、弱った人々に近づいてその命を奪い、金品をせしめた罪により、斬首刑に処するものとする。異議ある者がいれば、今このときに申し出よ」
 断頭台の上から、高らかにそう告げた。
リゼット・ノア
アドリブ・連携歓迎

ヤンゼンさんに会って話ができたなら事情を説明して、裁判で証言をしてもらえないかお願いしておきます。

夕刻の処刑時に異議を申し立てます。
ヨハンさんが、具合の悪い人の手助けをしていたこと、やむなく死んでしまった人を手厚く葬り、遺品を遺族のために集めて保管していたことを話します。(ヤンゼンさんに証言してもらえるなら、話を民衆にしてもらいます)

その上で、ファニーサイスを追求しましょう。

こうしてヨハンさんが人殺しではなく、人助けをしていたことが証明されました。
もちろん、これが全ての事例ではないでしょう。
では、貴方は、ヨハンさんの人殺しの罪を具体的に証を立てて示すことはできますか?


セリオス・シェリングフォード
下準備は十分
次は異議を申し立てる
申し立ての主体は他の者へ譲り、俺は補足するような形で話す

自分に非が無いのなら堂々としていろ、有りもしない罪を認めて命を捨てるつもりか

ヨハンの家を調べさせて貰った
そこでわかった事はふたつ
ヨハンの犯行を裏付けるようなものは何一つ無い事
そしてヨハンは金品をせしめていたのではなく、亡くなった者達の遺品を保管していたという事だ
遺品と共に元の持ち主のものと思われる名前やその特徴が詳細に記された書きつけも見つかっている
中には遺族へ返却された事が確認されたものもある

処刑人が語る罪とは明らかに相反する証拠だ
それでもなお刑に処すると言うのならばその根拠を示してみろ


獅子城・羽鳥
連携・アドリブ歓迎

プラチナチケットと友達催眠、弁護士の格好で《演技・情熱》
証人が来る場合、いつでも護れるよう備える
①の成果に基づき、仲間と連携

我々は被告が本当に罪を犯した可能性も考え
動機を探り改悛を促すべく調査したが
この通り無償の献身の証言、証拠しかなかった

さて、町の諸君の多くは被告の口数の少なさ、人付き合いの悪さから有罪を疑わなかったが
それは他人のみならず己の首を締めるだろう
口数の少なさが気味悪くて処刑に値するなら
諸君の口数の多さや愛想の良さだって煩い、迷惑、人を騙そうとしてる等と言い掛かりをつけられ
同じく罪人に仕立て上げられる可能性も大いにある
それが嫌なら印象だけでの決め付けは止めるべきだ


「異議を申し立てる」
 壇上のファニーサイスへと、セリオス・シェリングフォード(虚無の牙は炎と共に受け継がれ・g02806)は声を挙げた。
「述べたいことがあるのなら、上がってくるが良い。その勇気があるというのならば」
 含みを持たせたファニーサイスの言葉にもひるまず、セリオスと獅子城・羽鳥(メタリックトルバドゥール・g02965)は檀上へと上がった。中央に据え付けられた断頭台はまがまがしく、その傍らではヨハンがどうなるのかとおろおろしている。
「自分に非が無いのなら堂々としていろ、有りもしない罪を認めて命を捨てるつもりか」
 セリオスからの手厳しい注意にヨハンは身を震わせた。
「僕は……誰かを殺したりなんか、していない」
 すがるように見上げるヨハンの視線を受けとめ、羽鳥は頷く。
「我々は被告の無罪を主張する。だがそれはただ闇雲に、彼を信じたのとは違う。我々は被告が本当に罪を犯した可能性も考え、動機を探り改悛を促すべく調査を行った。だが、見つけられたものは被告の無償の献身の証言、証拠のみだった」
「無償の献身とは?」
 心動かされた様子もなくファニーサイスは問う。その表情が笑顔のままなのがいっそ厭わしい。
「あの……私、ヨハンに助けられたことが……」
 群衆の中、ゲルデが思い切って話し出したが、ファニーサイスはそれを遮った。
「証言はすべて檀上で。それ以外はすべて却下とする」
 断頭台のあるところに行くなど考えられない。首を横に振り慌てて皆の中へと戻ろうとするゲルデに、羽鳥は呼びかける。
「ゲルデ。今逃げたら一生ヨハンの死を悔やみながら生きていくことになる。それでいいのか?」
「いいわけないけど、無理」
「必ず護る。ヨハンを殺したくないなら来るんだ」
 羽鳥に促され、ゲルデはもうやだぁと涙目になりながら上がり、断頭台からできるだけ離れたところに立つ。
「私が足をくじいたとき、ヨハンは荷車を持ってきて家まで運んでくれたわ。もちろん何も要求されなかったし、その後その話をすることさえなかった。彼は親切を自然にできる人だと思う」
 ゲルデは自棄のように一息に話した。
「今回の犯行には関係ない」
 証言を切り捨てるファニーサイスに羽鳥は反論した。
「被告の人となりは重要な情報だ」
「では、今回の犯行に関わることに話を戻す。俺は町の人の立ち会いのもとヨハンの家を調べさせて貰った。そこでわかったことはふたつ」
 セリオスは指を1本立ててみせる。
「1。ヨハンの犯行を裏付けるようなものは何ひとつなかった」
 そしてもう1本。
「2。ヨハンは金品をせしめていたのではなく、亡くなった者たちの遺品を保管していたということだ」
 セリオスの証言に、ファニーサイスはくくっと喉を鳴らした。
「それはただ、殺した者たちからせしめた物品を保管していただけではないか。盗賊の家を探したら盗品があるのと同じ。至極当たり前のこと」
「違う。これを見ろ」
 セリオスは小箱と書きつけを突き付けた。
「遺品は小箱に収められていた。それとは別に、元の持ち主のものと思われる名前やその特徴が詳細に記された書きつけもあり、中には、遺族へ返却されたことが確認されたものもある」
 名前の上に二重線が引かれている箇所をセリオスが示すと、ファニーサイスは即座に反論する。
「それが売却ではなく返却であることをどう確認したのか、説明せよ」
「……説明します」
 下から聞こえた声に、ファニーサイスは首を巡らせた。
 断頭台を見上げたリゼット・ノア(Cortège funèbre・g02975)はファニーサイスと視線をあわせたあと、階段を上った。1人ではなく、ヤンゼンを伴って。
 断頭台にあがるのはやはり気分の良いものではないのだろう。ヤンゼンはやや眉を寄せていたが、足取りには迷いがなかった。
「ヨハンさん、なんということに……」
 ヤンゼンはヨハンを痛ましそうに見ると、群衆へと向き直った。
「彼は、私の母を看取り、その遺品を保管してくれていました。――母はもともと病があったのですが、それがひどくなり、死ぬ前に一目と私に会いに来る道中、この町で……隣町まであと少しというところで倒れました。それをヨハンさんが見つけ、家で看病してくれたのです。残念ながら母は回復することなく亡くなりましたが、ヨハンさんのしてくれたことには、感謝するばかりです」
 ありがとうございました、とヤンゼンはヨハンに深々と頭を下げると、カバンから小箱を取り出した。
「これが、ヨハンさんが保管してくれていた母の遺品です。この箱に書かれた母の名が、書きつけで消されている名前と一致したならば、それが遺品が返却された証拠です」
 ヤンゼンが読み上げた名をセリオスは書きつけから探し、それが二重線で消されていることを指さしてみせた。
「処刑人が語る罪とは明らかに相反する証拠だ」
「……これでヨハンさんが人殺しではなく、人助けをしていたことが証明されました。もちろん、これが全ての事例であると証明できたのではありませんが……」
 ファニーサイスへ、そして群衆へとリゼットは問いかける。
「……では、貴方は、ヨハンさんの人殺しの罪を具体的に証を立てて示すことはできますか……?」
 少なくともこちらは1つの事例を証明してみせたのだから、有罪と主張する側も同様に証明しなければならない。
 だが、その問いかけに、イエスと答えられる者はいなかった。
 リゼットはヨハンに手を貸して立ち上がらせると、その縄を黒柄のナイフで断ち切った。
「……ヨハンさんは、具合の悪い人の手助けをしていました。その甲斐なく死んでしまった人は手厚く葬り、遺品は遺族のために集めて保管していた……そのどこに、処刑されるような罪があったというのでしょうね……」
 処刑人に罪人はいないかと尋ねられ、誰かを挙げなければいけない気分になったとしても、無実の人をスケープゴートにするべきではなかった。
「さて、ひとつ忠告させてもらうなら」
 羽鳥は断頭台から人々を見下ろした。ヨハンが無罪であることを理解した町の人々は、ばつが悪そうに視線を逸らしている。
「町の諸君の多くは被告の口数の少なさ、人付き合いの悪さから有罪を疑わなかったが、それは他人のみならず己の首を締めるだろう」
 なぜだかわかるか、と羽鳥は続ける。
「口数の少なさが気味悪くて処刑に値するなら、諸君の口数の多さや愛想の良さだって煩い、迷惑、人を騙そうとしてるなどと言い掛かりをつけられ、同じく罪人に仕立て上げられる可能性も大いにあるとみるべきだからだ」
 明日は我が身。なにもしていない、冤罪だとどれだけ訴えても聞いてもらえず、断頭台に首を乗せられる。その恐怖を、彼らは実際にヨハンに味わわせたのだ。
「それが嫌なら印象だけでの決め付けは止めるべきだ。自分のためにも」
 自らの行いを顧みて町の人々は恥じ入る……が、ファニーサイスは鎌を振り上げた。
「判決は有罪……被告とその弁護人を斬首に処す」
 後ずさりしようとして台から落ちそうになったゲルデが悲鳴をあげた。


 断頭台の上にはディアボロスの他、ヨハン、ゲルデ、ヤンゼン、そしてファニーサイス。下には町の人々。
 ファニーサイスは倒さねばならない。だがどこで、どうやって。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【悲劇感知】LV1が発生!
【使い魔使役】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!

獅子城・羽鳥
連携・アドリブ歓迎

プラチケ+友達催眠+勝利の凱歌で
証人を助けながらの避難を呼び掛ける
剣で鼓舞する様に敵へ斬りかかり
一般人への攻撃は己の身で庇い《忍耐力・情熱》で耐える

ヨハンから《情報収集》して逃すタイミングは《臨機応変》に判断(お任せします)

革命裁判所の事を口にしなくても
こうして危険な目にあってるだろ
俺達はそこを見付けて危険と恐怖をなくしたい
あやふやでも思い当たる事があれば教えてくれ
君より重罪…
大陸軍の邪魔と見做された者はパリへ送られてるんじゃないのか?

場所はコンシェルジュリー、チュイルリー宮など
人名はフーキエ・タンヴィル、ジョセフ・フーシェ(裁判官や判事じゃないけど警察長官)などを挙げてみる


 真っ先に飛び出したのは、獅子城・羽鳥(メタリックトルバドゥール・g02965)だった。ヨハンと証人たちを背にかばい、ファニーサイスとの間に立ちふさがる。
「約束通り、必ず護る。今のうちに避難するんだ」
「あ、ありがと……」
 頷いて走り出したゲルデに続いて、ヤンゼンも檀を駆け下り、群衆の中へと紛れ込む。巻き添えを食らうまいとして、周囲の人々も断頭台から遠ざかる方向へと動き出した。人々が恐怖に囚われてしまわぬようにと、羽鳥は勇気と希望をもたらす勝利の凱歌を響かせる。
 広場からは急速に人々がいなくなってゆく。だが、ずっと拘束されていたヨハンは走ることもままならず、ふらふらとして足元がおぼつかない。羽鳥はヨハンの腕を支え、我が身でかばいながら階段を下りた。
 せめてファニーサイスの目の届かぬところへ、と羽鳥は半ば抱えるようにしてヨハンを誘導する。
「ありがとうございます。どうお礼をすればいいのか……」
「礼なんて……」
 言いかけて、いや、と羽鳥は声をひそめた。幸い周囲には聞かれそうな一般人はいない。
「知りたいことがある」
「僕が知っていることなら!」
 恩人に礼が出来ればと、ヨハンは目を輝かせる。だが、
「革命裁判所のことだ」
 羽鳥がそう言うとヨハンの瞳に恐怖が宿った。
「俺たちは革命裁判所を見つけて、危険と恐怖をなくしたいんだ。あやふやでも思い当たることがあれば教えてくれ」
 避難を続けながら、羽鳥はヨハンに問いかける。
「君より重罪……大陸軍の邪魔と見做された者はパリへ送られてるんじゃないのか? たとえば、コンシェルジュリー、それともチュイルリー宮……」
 思いつく場所を口にしたが、ヨハンは首を振る。
「場所は知りません……」
「では、その頂点にいる者を知らないか。フーキエ・タンヴィル、ジョセフ・フーシェ……思い当たる者はいないか?」
 2人は周囲に目を配りながら、声を潜めてささやきかわす。
「名前は知りませんが、その誰でもないと思います……」
「なぜそう思う?」
 ヨハンの返事が引っかかり、羽鳥は顔をのぞき込むようにして尋ねた。
「この間、看取った方が言っていたんです。あそこを率いているのは『淫魔宰相』を名乗る女性だと」
 ヨハンはあえぐように息を吸い、いっそうひそめた声で答えたのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!

セリオス・シェリングフォード
処刑人としての最低限の体裁も捨てたか
問答無用で殺戮をしたいだけなら初めからそうしろ、その方が手間も省ける
どちらにしても結果は同じだ

鎌が振り下ろされるより前にファニーサイスの足元を腐食させて体勢を崩し、ファイヤーレインで叩き落とす
断頭台までクロノ・オブジェクトということも無いだろう、そうだとしても爆風で吹き飛ばして地に伏せさせるだけだが
いつも断頭台で見下ろしていた自分が、反対に見下ろされるのはどんな気分だ?
このまま首を落としてもいいが俺はお前達ほど悪趣味じゃない
すぐに殺してやるからさっさと立て

ここまでして他の人間を狙いはしないだろうが、避難が完了するまでは周辺の全員をディフェンスする


「処刑人としての最低限の体裁も捨てたか」
 真実がどうあるかに関わらずヨハンを有罪と断じたファニーサイスに、セリオス・シェリングフォード(虚無の牙は炎と共に受け継がれ・g02806)は冷ややかな視線を向けた。
「問答無用で殺戮をしたいだけなら初めからそうしろ」
 それならば、クロノヴェーダを倒してしまえば良いのだから、冤罪を晴らすだなんて面倒がなくてすむ。だが、ただ倒すだけでは被害者が救われない、そんな状況を作り出すものだから手間がかかる。
 と言っても、どちらにしても結果は同じ。クロノヴェーダは撃破するのみだ。
『天の涙は空を裂き大地を焼く。己が無力を悟れ』
 セリオスが唱えると、ファニーサイスの周囲を炎が取り巻いた。全周から炎が迫り、頭上からは剣の切れ味を持つ炎の雨が降る。
「焚刑とは無粋なり。斬首こそが処刑の華である」
 ファニーサイスは手にした鎌を高速で振り回し、その唸りにうっとりと顔を上向けた。そのままカシャカシャと金属製の脚で踊るようにセリオスに寄ると、首元を狙って鎌を振り下ろした。
 だが、その体勢は崩れ、鎌はセリオスの腕を斜めに薙ぎ、足を踏み外したファニーサイスは断頭台から落下する。セリオスに腐食させられていた足元の板が、ファニーサイスの重量をささえられなかったためだ。
「無益なことを」
 この程度落ちたところで、クロノヴェーダにとってはなんでもない。難なく地面に着地したファニーサイスは、セリオスを見上げて嗤った。
「いや、良い眺めだ。いつも断頭台で見下ろしていた自分が、反対に見下ろされるのはどんな気分だ?」
 瞬間、ファニーサイスの周囲の空気が変わった。
 射るように見上げてくるファニーサイスを眺めながら、セリオスは視界の端で逃げてゆく人々を捉える。
 避難完了まで、こちらにファニーサイスの意識を引き付けておくこと。それがセリオスにとって一番の目的だ。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【操作会得】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!

リゼット・ノア
アドリブ・連携歓迎

街の人々、ヨハンさん、そして異議に協力してくれたゲルデさんとヤンゼンさん。この人たちを危険にさらすわけにはいきません。
避難の誘導は他の方にお願いし、私はファニーサイスを足止めしましょう。

「…貴方もmarionnetteならmarionnettisteに従うものですよ」
口で挑発しつつ、自動人形と妖精で包囲し、操り糸を人形の間に張り巡らせた【結界術】でファニーサイスが他に向かわないようにします。
周囲に被害が及びそうなら人形か自分を盾にしてかばうようにしましょう。

狙いは足止めですが、別に倒してしまっても構わないでしょうから、隙を狙ってパラドクスを放ちます。


キッド・シェルテッド (サポート)
 人間のレジェンドウィザード×ガジェッティア、18歳の男です。
 普段の口調は「男性的(僕、呼び捨て、です、ます、でしょう、ですか?)」

 パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


音葉・遥風 (サポート)
助けを求めてる人がいたら、助けてあげたいよね
大丈夫、きっとなんとかなるよ。たぶんね
フーも大丈夫だって。いこう、日常を取り戻しに――

妖精のフーと共に剣を手に風に乗ってエアライドで空を駆け回る妖精騎士
「風、気持ちいいね」
普段はちょっと抜けてる子。おー、あー、とかの感嘆詞が多い。
「おー、確かに。そうかも」
戦いでもマイペースに斬り込むヒット&アウェイ戦法が得意
「いい風が吹いてる。うん、いってみよー」
困ったことがあったらとりあえず思いつくことをやってみる
「んー、まあやってみよっか」
誰かが困ってたら手伝います
「あー、あんまり得意じゃないかもだけど、手伝うよ」

公序良俗に反する行動はしません


 人々を無事に避難させること。それはリゼット・ノア(Cortège funèbre・g02975)にとっても現在もっとも優先すべき課題だ。
 ヨハンの冤罪を晴らすための情報をくれた町の人々。とりわけ、ファニーサイスへの恐怖もあっただろうに異議を訴えることに協力してくれた、ゲルデとヤンゼン。そしてもちろん冤罪から解放されたヨハンも、護りきらなければならない。
「……貴方もmarionnetteならmarionnettisteに従うものですよ」
 挑発の言葉を口にしながら、リゼットは両の手をファニーサイスへと示す。
 リゼットの両手の指にはめられた指輪は『Marionnette Artistebague』。複数の人形を操る人形遣いの証。そこから伸びるしなやかな金属糸は、自動人形を意のままに操る。
「断じて違う。我は自らの意思で動き、断罪する者である」
「……正しく裁くこともできず処刑を執行するのみの貴方は、断罪者とは言えません。そう、手を離せば有罪無罪に関わらず首を落とす、そこの断頭台と同じです……」
 喪服を身にまとった自動人形『Veuves en deuil』たちと黒い妖精の間に、リゼットは操り糸を張り巡らせる。ファニーサイスを必ずこの場に留めおくとの決意を見せて。

 そこに、エアライドで宙を跳んで音葉・遥風(風は遥か彼方に吹く・g03189)が降り立った。
「おー、佳境に入ってる感じかな」
 助けに来たよと遥風は笑顔を浮かべ、
「フーといっしょにね」
 と虹の輝きを帯びた妖精を振り仰いだ。妖精もそれに応えるように空中でくるりと回ってみせる。
「こちら側は任せてください」
 遥風と同じく、パラドクストレインから駆けつけたキッド・シェルテッド(人間のレジェンドウィザード・g00089)も、ファニーサイスを避難する人々から遠ざけようと、立ち塞がった。一般人への被害を出さないために、ファニーサイスにヨハンや証人たちを追わせてはならない。
『一歩でも動くと、ダメージを受けるよ?』
 キッドが魔法の杖をひと振りすると、パラドクス『地雷原』がファニーサイスの周囲に罠を作り出した。罠にかかるまいとするならば、敵の行動はかなり制限されることになる。
「罪人も罪人を弁護する者もそれに協力する者も誰もかも皆すべて有罪。我の鎌に首を刎ねられよ」
 だがファニーサイスはひるむことなく、罠の仕掛けられた地点へと足を進めた。
 たちまち足下で罠が発動し、ファニーサイスを巻き込んで爆発する。
「我は処刑人。罪人には負けぬ」
 ファニーサイスの脚がガシャリと大きく伸ばされた。鋭く長い爪のような脚が、勢いをつけてキッドに振り下ろされる。
「こちらも負けるわけにはいかないんですよ」
 キッドはすぐに地雷原を設置し直し、ファニーサイスへ立ち向かう。
「あー、敵も簡単に折れてはくれないよね。フーちゃん、私たちも行こう」
 遥風が構えた硝子の剣が、夕日を受けてオレンジ色の光を宿す。
 地を蹴ってジャンプ、そこからもう一度跳ねてファニーサイスのサイドから、遥風は剣を突き入れた。その動きとタイミングをあわせて、虹妖精のフーがファニーサイスを逆から回り込んで攻撃する。
 ファニーサイスは、遥風と虹妖精を切り裂かんと鎌を勢いよく振り回した。
「わー、危ない。フーもあの鎌には気をつけて。――もう一度行くよ」
 遥風は再び宙へと跳ねた。

「どうあっても我を邪魔だてするか」
 鎌をふるいつつ、ファニーサイスは憤る。
「……はい。貴方の行いには、認めるべきところが見当たりませんので……」
 目的は足止めだが、倒すことになんの躊躇も必要ない相手だ。リゼットは胸の前で手を組み合わせた。
 リゼットのパラドクスが生み出すのは、自動人形と黒い妖精によってとり行われる『葬儀』。
 自動人形の鎌は死神のごと。槍には花が飾られて。
 妖精の呪詛と悲鳴が満ち満ちる。
 繰り出される攻撃は、葬儀が進行してゆくように粛々と。
「死ぬのは我でなく罪人であるべきだ」
 ファニーサイスは力をこめて、反撃の鎌を振り回した。未だ己の正義を疑うことなく。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV3になった!
【ガードアップ】がLV2になった!
【命中アップ】LV1が発生!

獅子城・羽鳥
他のクロノヴェーダをマシと言うつもりは皆無だが
その笑顔で人を処刑しようとは尚更ウザい!
よし、断頭台ごとお前の処刑執行だ

連携・アドリブ歓迎
残留効果活用
自分のパラドクスと敵の攻撃方法の特性を考慮して戦う
可能なら味方を援護
勝利のためある程度のダメージは仕方ないが仲間を不利にする行動はしない

一般人への攻撃はディフェンス
常に《臨機応変・忍耐力・情熱・幸運》活用

一般人の避難が済んだら《一撃離脱・ダッシュ》でのヒット&アウェイに切り替える
パラドクスは出来るだけ顔面を狙って叩き込む
WIZ反撃は偏光グラス装備で備えて、頭部を見ないようにする

こんな冤罪処刑をいつまでも続けさせてたまるか
早く大元をぶっ潰したいぞ


 ヨハンを町の人の家に預けると、獅子城・羽鳥(メタリックトルバドゥール・g02965)は広場へと取って返した。一番避難が遅れていたのはヨハンなので、戻る道筋に一般人の姿はない。
「避難は完了した。あとはそのうざいクロノヴェーダの処刑を執行するだけだ」
 広場に置かれた断頭台周辺で戦うディアボロスに、羽鳥は呼びかける。
「それならそろそろ決着をつけるときだな」
 セリオスは身軽に断頭台から飛び降りた。
 ディアボロスに取り囲まれても、ファニーサイスの戦意は衰えない。
「速やかにそこに首を並べ、裁きを受けよ」
 セリオスの炎に焼き焦がされながらも、鋭い刃のような脚の反撃は鈍らない。
 笑顔のままに、己のゆがんだ正義にのっとって、ファニーサイスはディアボロスに立ち向かい続ける。
 羽鳥は他のクロノヴェーダをましだと思ったことはない。だが、笑顔で意味不明の正義をかざし、無実の者を処刑しようなどというファニーサイスには、これまでにないほどの嫌悪を掻き立てられた。
 ファニーサイスの襞に囲まれた頭部が怪しく光る。
 偏光グラスをかけていても、狂気の笑顔は忌まわしく、羽鳥の精神に揺さぶりをかけてくる。だが、冤罪で処刑されそうになったヨハンの恐怖を思えば、これしき何ほどのこともない。
「冤罪処刑をいつまでも続けさせてたまるか。大元の原因をぶっ潰してやる」
 力を求めた羽鳥の上に、戦乙女らしき幻影が現れた。
『何者かは知らないが、力を借りるぞ』
 幻影の彼女から手渡された光は、巨大な槍へと変化する。それを羽鳥はファニーサイスの顔面めがけて投げつけた。ファニーサイスは身をひねって回避したが、避けきれず槍は右ほおから首を貫き、生命力を吸い上げた。
『私は司祭。私は喪主。私は参列者。あなたの死に祈りを捧げましょう。聖歌を歌いましょう。別れに涙しましょう。だから──』
 リゼットが詠唱するのは葬儀の言葉。
 着々と進む葬儀にあらがいふるった鎌がリゼットを捉え、傷を刻む。
 それがファニーサイスの最期の攻撃となった。

 血に染まらずにすんだ断頭台を、夕日の朱が彩る。
 町の人々とヨハンが平穏に暮らしていけるようにと願いつつ、ディアボロスたちはパラドクストレインで帰還するのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2021年11月14日

断頭台の罪人を救え

【!期限延長により状況が困難になっています!】
 バスチーユ監獄の断頭台の事件を解決した事で、バスチーユ監獄の囚人が処刑される事が無くなりました。
 しかし、断頭台で殺される人々が居なくなったわけではありません。

 断頭革命グランダルメでは、小さな町にも必ず断頭台があり、罪人の処刑が行われているのです。
 断頭革命グランダルメ各地の断頭台で行われる処刑を阻止し、処刑を執り行おうとしているクロノヴェーダを撃破しましょう。


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#断頭革命グランダルメ
🔒
#断頭台の罪人を救え
🔒
#1802年


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選択肢『街に潜入して情報を得る』のルール

 街に潜入して必要な情報を得ます。
 情報は必ずしも必要ではありませんが、情報がある事で、後の行動の成功率が大きく上昇する場合があります。
 潜入する街の情報や、必要とする情報の種類、情報を得る為のヒントなどは、オープニング及びリプレイを参照してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『群衆への演説』のルール

 集まった群衆に演説をする事で、群衆の心を動かします。
 クロノヴェーダとの戦闘には直接影響はありませんが、事件解決後の人々の暮らしや生き方に影響を与えるかもしれません。
 演説を行う場所や状況、聴衆となる群衆たちの精神状態などは、オープニングやリプレイで確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『【攻略旅団】革命裁判所の情報』のルール

 この選択肢は、ディヴィジョン攻略旅団からの依頼によって発生した、【調査・探索】選択肢です。
 革命裁判を元締めである、革命裁判所についての情報を得ようとします。
 革命裁判所の話をしただけで犯罪者として捕縛されるらしく、人々の口はかなり堅いようですが、ディアボロス達に友好的になった住民であれば、情報を教えてくれるかもしれません。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『登場人物(NPC)との会話に専念する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『ファニーサイス』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「メリディアナ・レヴィ」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。