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リスボン強襲制圧作戦、開始!(作者 砂浦俊一)
#黄金海賊船エルドラード
#リスボン強襲制圧作戦
#リスボン
#ヴァスコ・ダ・ガマ
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●ポルトガル総督『ヴァスコ・ダ・ガマ』の優雅な生活
「ポルトで盗まれた海賊船も遂に撃沈したガマね。海賊島まで逃げられるとは思ってなかったガマが、海賊島に突っ込んで撃沈とかディアボロスもマヌケガマね」
リスボンの総督屋敷にて。
ヴァスコ・ダ・ガマは葡萄酒を飲みつつ、テーブルの上に並べられた美食を堪能していた。
彼の私室は金銀財宝で彩られ、壁際では薄手のドレス姿の美熟女たちが整列していた。
彼女たちの役目はガマの杯に葡萄酒を注ぐ、ガマの口まで料理を運ぶ、ガマの肌が乾かないよう濡らした布で湿らせる、マッサージをする、つまり世話係であり給士係だ。
「ディアボロスといえば、リスボンにもディアボロスが侵入してきた報告があったガマが、その後は音沙汰無しガマね……まあ、防衛部隊には持ち場厳守と命令しているから、釣り出されるような失態はもうないガマよ」
肥えた体を揺らして、ガマが笑う。
「そうそう、もっと皮膚がネットリするように、伸ばすガマよ。ああ~、気持ちいいガマ~」
皮膚を布で湿らせる女性の手つきに、ガマが恍惚の表情となる。
●《戴冠の戦》を見据えて
「攻略旅団から黄金海賊船エルドラードのヨーロッパ拠点である『リスボン』の強襲制圧作戦が提案された。リスボンは既に偵察が行われているため攻略作戦の実行は可能な状態にある。加えて、現在アビスローバー側は南米に戦力を振り向けているので、リスボンはかなり手薄の状態だ」
そこで時先案内人の戌亥・辰巳(人間のデストロイヤー・g03481)は一呼吸置くと、集まったディアボロスたちの顔を見渡し、こう言った。
「これは《戴冠の戦》を見据えた作戦でもある。強襲制圧を成功させ、ヨーロッパのアビスローバー戦力に大打撃を与えて欲しい」
●カニ、カメ、エビ
かつてのリスボン偵察作戦時は、拠点防衛部隊を誘導して潜入を成功させた。
さて、今回はどうだろう?
「拠点防衛の敵は、持ち場から決して離れずに防衛を行うよう厳命されているようだ。さすがに以前と同じ手は通用しない……よって、まずは拠点防衛の敵の撃破が必要だ。防衛部隊を撃破して市内に入り込んだ後は総督邸に向かってくれ。これはリスボンの中央にある最も派手で立派な建物だ。市街の中心に向かえば問題は無い。そうすれば総督邸を守るために敵部隊が迎撃に出てくるだろう。これを市街で撃破し、総督邸への道を切り開くんだ」
ただし市街地が戦場となるので、住民の避難も重要だろう。
アビスローバーが一般人を狙って攻撃することは無いが、戦闘の余波で死傷したり、パニックに陥る危険もある。
被害を抑えるためにもディアボロスによる一般人の誘導が必要だ。
「敵についてはこの資料を確認してくれ」
辰巳が配布した資料によれば、拠点防衛の敵はクラヴィアン、市内突入後に出てくる迎撃部隊がタートルーパー、指揮官がゴールドローバーとなっていた。
「カニ、カメ、エビ。殻や甲羅を持つアビスローバーたちだ。硬そうな外殻があるから防衛部隊に回されたのかもしれんな」
●ガマを倒すためには
「主戦場が南米や太平洋に移ったことで敵の油断を誘うことができた。ここで一気に総督邸への道を切り開いてヴァスコ・ダ・ガマに決戦を挑みたいところだが……奴は決戦を避けて逃亡する可能性がある。逃亡されてもリスボンの制圧は行えるので、まずは今回の作戦を成功させることに集中しよう」
ヴァスコ・ダ・ガマを確実に倒そうとするならば、別の作戦が必要となってくる。
何か策が浮かんだら、攻略旅団で提案した方が良いだろう。
●リスボンの拠点防衛部隊
「こんな仕事は自動人形にやらせればいいカニ」
「お頭が『オレらは自動人形なんか使わなくても立派にやり遂げますよ!』って言いやがったせいカニ。お頭が変な見栄を張ったせいカニ」
拠点防衛の配置につくクラヴィアンたちが、口々に不満を漏らしていた。拠点と言っても、彼らに与えられたのは木造の見張り小屋だ。監視塔代わりの物見やぐらの上では、別のクラヴィアンが欠伸をしている。
「交代の時間が待ち遠しいカニ!」
「交代の連中が来たら、憂さ晴らしに酒場で呑むカニ!」
退屈な仕事の後には、酒場で一杯ひっかける程度の自由は許されていた。でなければ彼らもやっていられまい。
「今日も平和だったカニ。どうせ明日も何も起きないカニよ」
拠点防衛を厳守されたものの、何事もない毎日に防衛部隊は緩み切っていた。
リプレイ
ジェーン・コーネリアス
防衛向きっぽい見た目はしてるけど、中身の方はそうでもないらしい
ま、元々荒っぽい海賊連中だ。海の上の戦いじゃ自動人形に遅れは取らないだろうけど……適材適所がなっちゃいないね
防衛のバリケードなんかに隠れて攻撃されちゃ突破が大変だ
ちゃんと真面目に仕事をしてる時もあるだろうけど、確実にどこかで緩むときはくる
隠れて物見やぐらの様子を伺い、発見されないようにちょっとずつ、物陰に隠れながら忍耐強く進もう
【光学迷彩】で更に見つかる可能性は下げておこうかな
防衛拠点が意味のないくらいまで近づけたら『アンブッシュハント』。
ピストル「Badhbh」でクラヴィアンの目を狙って不意を撃って必殺の一撃を撃とう
その後は小屋からわらわらと出てくるだろうから、出てきたやつが身構える前にもう1匹早撃ちで仕留める
そこからは普通のトループス戦と同じように戦おう
片手のピストルで隙を狙って必殺の一撃を撃ち、もう片方の手に持った「Mórrígan」でタックルを防御する
●見張り小屋のカニたち
エビ、カメ、カニ。
どれも硬そうな見た目の水棲生物、確かに防衛向きのアビスローバーかもしれない。
(……けど、中身の方はそうでもないらしい)
物陰に潜むジェーン・コーネリアス(pirate code・g10814)は、敵防衛拠点の様子を見て、そう思った。
当初は真面目に警戒していたのだろうが、今は見張り小屋の外に海賊の姿はない。何事もない毎日が続いて規律も緩んでしまったのだろう。耳を澄ませば、小屋の中で愚痴をこぼしているクラヴィアンたちの声も聞こえてきそうだ。
1体だけ物見やぐらに立つ『クラヴィアン』がいるが、欠伸をしており警戒感は欠片もない。
(ま、元々荒っぽい海賊連中だ。海の上の戦いじゃ自動人形に遅れは取らないだろうけど……適材適所がなっちゃいないね)
もっともディアボロスにしてみれば、警戒が緩んでいるのは好都合だ。
(真面目に仕事をしてる時もあるだろうけど、確実にどこかで緩む時はくる。暇を持て余しているなら、なおさらね)
ジェーンは物見やぐらの様子を伺いつつ、忍耐強く物陰に隠れて進んでいく。【光学迷彩】で周囲の景色に溶け込んでもいる。こういう時は慎重であるに越したことはない。
近づくほどに、見張り小屋の連中の声も聞こえてくる。
「もうすぐ交代の時間カニ!」
「引継ぎをしたら酒場に直行カニ!」
この先の時間帯は別の海賊が見張り小屋に来るのだろう。
そいつらが来てしまったら元も子もないので、早々に片づける必要がある。
「昨日も一昨日も平和だったカニ。どうせ今日も何も起きないカニよ」
ところがどっこい、それが起こる。
ジェーンは物見やぐらに素早く目を向ける。
物見やぐらのクラヴィアンは凝った筋肉をほぐすように、うんと背伸びをしていた。
この隙を逃さない。
パラドクス、アンブッシュハント。
背伸びをしているそいつの目を狙い、ジェーンはピストル『Badhbh』で不意を狙う必殺の一撃。
「カニィィィ!」
弾丸に片目を潰されたクラヴィアンが、バランスを崩して頭から地面へ落ちていった。
「銃声カニ!」
「何があったカニ!」
突然の銃声に驚いたクラヴィアンたちが、わらわらと小屋の外へ飛び出してきた。
「って、見張り係が頭から地面に突き刺さってるカニ!」
そして物見やぐらの上に立っていたはずの仲間の有様を見て、さらに驚いた。
その驚きのあまり大きく開いた口腔を、ジェーンは狙い撃つ。
再度の銃声、弾丸はクラヴィアンの口腔から頭部に入って暴れ回る。
脳をグシャグシャにされたクラヴィアンは、口から泡ではなく血を吐いて絶命した。
「て、敵はどこにいるカニ!」
「あそこカニ! 景色が人の形に歪んでいるカニ!」
「そうか、ディアボロスお得意のナントカ迷彩カニね!」
クラヴィアンたちは景色の異変に気付き、そこへ猛烈な突撃を仕掛けた。
「光学迷彩ね」
姿を現したジェーンは右手に『Badhbh』、左手にカトラスの『Mórrígan』を持ち、身構える。
「防衛拠点に隠れて攻撃されちゃ面倒だからね。出てきてくれて、むしろ大助かりさ」
左手の『Mórrígan』でクラヴィアンタックルを防ぎ、相手がバランスを崩したところを右手の『Badhbh』の必殺の一撃で仕留める。
囲まれないよう立ち回り、ジェーンは両手の武器で敵群を翻弄する。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
●こういうところ
「もうすぐ仕事終わりで一杯やれたカニ! お邪魔なディアボロスカニ!」
「むしろ好都合カニ! 退屈すぎる仕事だから暴れたくて暴れたくてたまらなかったカニ!」
数体がやられた程度では怯むことなく、クラヴィアンたちはディアボロスへの闘志を燃やす。
こういうところは、やはり、海賊らしい。
「女のディアボロスなら大歓迎カニ!」
「殺す前にそのでっかいおっぱいを鋏でツンツンプニプニしてやるカニ!」
別方面に闘志を燃やす面々もいる。
こういうところも、やはり、海賊らしい。
クローディア・ベネット
はっ、相手が女なら好き放題できるとでも思ってるのかい?
ディヴィジョンの本土から遠く離れた隅っこで腐ってると、脳ミソまで腐るらしいな
そんなに自信があるんだったら……「殺す前」の瞬間が本当に来るか、試してみるといいさ
敵陣に突入した仲間と救援機動力で合流し、防衛網を再構築される前に敵を片付けちまおう
――『野郎ども、一気に雪崩れ込むぞ!』
海賊の霊達を召喚し、《船長のサーベル》と《ピストルセット》の一丁を手に彼らの先頭に立って突撃するよ
まずはピストルの一斉射撃で敵の前衛を削り取り、それからサーベルとカトラスで切り込む
先行した仲間が作ってくれた乱戦状態を利用して暴れまわろうか
海賊達の物量でカニ野郎どもの大群を押しやりつつ、例外的に頭が回りそうな奴やまだ櫓を確保している奴は私が優先的に対処
戦の混乱に紛れて正確な狙いで銃撃を行い、部隊の纏めあげや高台からの支援攻撃をやられる前に始末しよう
敵が横を向いた瞬間、反撃のタックルに対応
《聖遺の護符》の弾き飛ばす力で威力を弱め、大きなダメージを受けないようにしよう
●何も起きないと思ってたのに
クラヴィアンたちの中には、女のディアボロスを辱めてやろうと考える好色な連中もいる。
「はっ、相手が女なら好き放題できるとでも思ってるのかい?」
そんな彼らを真っ向から煽る、威勢の良い声があった。
「ディヴィジョン本土から遠く離れた隅っこで腐ってると、脳ミソまで腐るらしいな。そんなに自信があるんだったら……『殺す前』の瞬間が本当に来るか、試してみるといいさ」
先行していたジェーンに加勢するため、救援機動力で合流したクローディア・ベネット(黒き旗に矜持を掲げて・g10852)である。
「女海賊みたいなディアボロスが増えたカニ!」
「お望み通り、殺す前に鋏でツンツンプニプニしてやるカニ~」
好色な連中が鼻息も荒く、クローディアへの突撃態勢を取った。
お楽しみの相手が1人増えただけ、とでも彼らは思っているのだろう。
「誰が1人だって?」
口元に笑みを作るクローディア、カニの群れを前にパラドクスを発動させる。
「――野郎ども、一気に雪崩れ込むぞ!」
それは道半ばで倒れた海賊たちの魂を呼び出し、これを率いて猛然と敵に襲い掛かるパラドクス。
サーベルとピストルを手に、クローディアは先頭に立ってクラヴィアンの群れに突撃していく。
「い、一気に増えたカニよ!」
「まとめて畳んじまえカニ!」
「あれは召喚術カニ! 術者を倒せば全部きれいさっぱり消えるカニ!」
敵の中には少しは頭の回る個体もいるようだ。
ならば優先的に排除する、クローディアはまずそいつを狙って配下の海賊集団とピストルの一斉射撃。
そして無数の弾丸を浴びて倒れたクラヴィアンの死体を飛び越え、彼女は敵群にサーベルで切り込んでいく。
先行していたジェーンが作った乱戦状態は、クローディアと海賊集団が暴れ回るには好都合、物量で押し潰すまでだ。
「あいつらに見せつけてやれ! 私達の恐ろしさをな!」
敵のタックルには《聖遺の護符》の弾き飛ばす力で威力を弱め、逆にサーベルで相手の鋏を落として腹に鉛玉をくれてやる。倒れた敵のトドメは海賊集団に任せ、クローディアは次の敵へ切りかかっていく。
戦力差は完全に逆転した。
クラヴィアンたちは徐々に追い込まれていく。
「こ、このままじゃジリ貧カニ……!」
劣勢に焦った1匹のクラヴィアンが、乱戦の合間を縫って物見やぐらへ駆けた。
「狼煙でお頭に知らせるカニっ」
蟹の鋏と脚で物見やぐらの梯子を上がる姿は、見る者に『意外に器用なカニだ』という印象を与えただろう。
クラヴィアンが人型であるから出来ることだろう。
無論、これをのんびり見物しているクローディアではない。
「高いとこに上がるなんて、ヤシガニの真似かい?」
乱戦の中でも、彼女は正確な狙いで梯子を上がるクラヴィアンの手足を撃ち抜いた。
「カ、カニイイイイ!」
地面へ落下したクラヴィアンへ、さらに海賊集団が追い討ちの銃撃を浴びせる。
残った敵は、もはやディアボロスたちの連携に翻弄される有象無象の集団でしかない。
クローディアとジェーンは弱った敵から仕留めていき……そして。
「どうせ何も起きないと思ってたのに……今日は最悪の日、カニ……」
最後の1匹も倒れ、あたりに散らばるのはカニたちの骸ばかり。
まずは防衛拠点のトループス、撃破完了。
リスボン市街への道は拓かれた。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【未来予測】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
クローディア・ベネット
城門での騒ぎが市街にまで聞こえてりゃいいが、そうじゃなきゃ「逃げろ」と言われても訳が分からないだろうな
リスボンの連中を本気にさせるためだ。ここはちょっとばかし手荒な真似に出ようか
市街に入ったら、物陰や建物の間に身を隠しながら無人の建物をパラドクスで粉砕しよう
これなら城壁に遮られた戦いの音が眼や耳に入らなくても、流石に敵が襲ってきたって分かるだろ
ある程度破壊活動を行ったら、しれっと住民の前に姿を見せるよ
この時【友達催眠】や【プラチナチケット】があるなら使おうか
そして焦った演技をしながら危険を煽り、避難を促す
みんな、まずいぞ!港の封鎖の原因になってる「敵」が街の中にまで入ってきやがった!
なんの前触れもなしに建物が嵐に巻き込まれたみたいに崩れちまうなんて、奴ら、なんて力だ……
私たちもこの場にいたらバラバラにされちまう
ここは海賊の旦那達に任せて逃げるぞ!
あぁ?家に大事な荷物があるって?
取りに行ってくたばったら意味がないだろうが!逃げて無事を祈れ!
皆が逃げたら壊した建物は【建物復元】で直しておこう
ジェーン・コーネリアス
貴族みたいに街を支配してるとはいえ、海賊が街中にいるようなところだしね
海賊が日常に傍にいるんじゃ、ちょっとやそっとじゃ本気で避難はしてくれないだろう
アイアイ、それじゃあ僕は破壊活動に精を出そう
総督邸の方へ逃げられても困るからね、上手く誘導しないとだ
クローディアが街の人間たちに話をしている間もパラドクスで破壊活動
特にクローディアの位置から見て総督邸側で派手に無人の建物の破壊をして、総督邸から離れる方向へ逃げてもらうよ
【避難勧告】も活性化させておこう
危険な場所にブザーが鳴り響き赤い光が明滅する効果だけど、放っておけば戦場になるなら危険な場所だし、そうでなくとも僕らが破壊活動してれば危険だ、きっと効果はあるだろう
建物を破壊し、辺りが静かになったら【建物復元】を使って合流
逃げる声も遠くなったかな
それじゃあそろそろ合流しよう
あっちにもそろそろ動きがある頃だろうしね
●破壊活動に精を出そう
防衛拠点は突破、このまま一気に『ヴァスコ・ダ・ガマ』の総督邸を目指したいところだが、流石に道中の戦闘は避けられないだろう。そうなればリスボンの一般市民に被害が出てしまう恐れもある。
「城門での騒ぎが市街にまで聞こえてりゃいいが、そうじゃなきゃ『逃げろ』と言われても訳が分からないだろうな」
クローディア・ベネット(黒き旗に矜持を掲げて・g10852)は物陰から街の様子を伺う。
見たところ平穏そのもの、行き交う人々の様子に異変は見られない。
「貴族みたいに街を支配してるとはいえ、海賊が街中にいるようなところだしね。海賊が日常に傍にいるんじゃ、ちょっとやそっとじゃ本気で避難はしてくれないだろう」
ジェーン・コーネリアス(pirate code・g10814)の視界に入った酒場では、まだ明るいうちから酒を呑んでいる者たちもいる。もしかしたら『クラヴィアン』たちが仕事の後で一杯やりたかった店かもしれない。
「リスボンの連中を本気にさせるためだ。ここはちょっとばかし手荒な真似に出ようか? 幸い、付近に海賊もいない」
良いアイディアが閃いたらしいクローディアが、ジェーンの目を見て、そう問いかけた。
「手荒な真似ね。ふふっ、海賊らしいじゃないか」
彼女の意図することを察して、ジェーンは微笑みを返す。
こちらがリスボンに侵入したことが敵に気づかれていない今がチャンス、早速2人は動き出す。
物陰や建物の間に身を隠して移動しつつ探すのは、空き家や無人の倉庫、人のいない建造物。
手頃なものを見つけたところで、2人はパラドクスでこれを粉砕する。
「これなら城壁に遮られた戦いの音が目や耳に入らなくても、流石に敵が襲ってきたって分かるだろ」
景気の良いド派手な音を立てて石造りの建物が崩れていく中、彼女たちは二手に分かれ、次の行動に移る。
「何か崩れたみてえな音がしたぞ?」
「酒の呑みすぎ……じゃねえよなあ……?」
突如聞こえてきた騒音に、酒場の酔客たちも怪訝な表情になる。
道を行き交う人々も、足を止めて音の聞こえてきた方角へ不安そうな顔を向けていた。
「みんな、まずいぞ! 港の封鎖の原因になってる『敵』が街の中にまで入ってきやがった!」
そこへ血相を変えた様子を装い、クローディアが駆け込んでいく。
「て、敵だって?」
「そう言ってるだろ! ほら、外を見ろよ!」
クローディアが指で示した方向で、またも轟音。直後に土煙が舞い上がる。
さらに続けて2つ3つと建造物が崩壊する音が轟いた。
「何の前触れもなしに建物が嵐に巻き込まれたみたいに崩れちまうなんて、奴ら、なんて力だ……」
クローディアの焦る姿、そして自分たちが目の当たりにした光景。
酒場の客たちの酔いはきれいに吹っ飛んだ。
「クローディアが人々を煽って避難を促すのだから、僕は破壊活動に精を出すとしよう」
しれっとリスボンの人々の前に現れたクローディアが危険を煽る中、ジェーンの破壊活動は続いている。
「総督邸の方へ逃げられても困るからね、上手く誘導しないとだ」
破壊するのは、クローディアの位置から見て総督邸側の無人の建物。
これならば人々は総督邸から離れる方向へ逃げることになるだろうから、危険は少ない。
空き家に物置小屋、無人の建造物をジェーンは片っ端から破壊していく。
また彼女は【避難勧告】も活性化させている。
(危険な場所にブザーが鳴り響いて赤い光が明滅するだけのものだけど、放っておけば戦場になるなら危険な場所だ。そうでなくとも僕らが破壊活動をしていれば危険だ、きっと効果はある)
突然の建造物崩壊、そしてあちこちで鳴り響く警告音に明滅する赤い光。
見た者は慌てて逃げ出すことになり、人が逃げれば無人の建物も増えるから、ジェーンが壊す建物に困ることはない。
彼女のカトラスが一閃されるたびに、パラドクスによって石造りの建物でも簡単に崩れ去る。
「私たちもこの場にいたらバラバラにされちまう……ここは海賊の旦那たちに任せて逃げるぞ!」
酒場ではクローディアが客たちへ危険を煽り、避難を促している。
「こ、こうしちゃいられねえ、急いで逃げねえと!」
「俺は皆に知らせに行く!」
彼女の話を聞いていた道端の人々は早くも逃げ出しており、酔いの醒めた客たちも酒場から飛び出ていく。
その一方で、酒場の店主は店の奥で何やらゴソゴソやっていた。
「あんたも早く逃げろ! あぁ? 売上金が大事? 重いモン抱えてくたばったら意味がないだろうが! 逃げて無事を祈れ!」
クローディアに急かされ追い立てられ、その剣幕に慄いた店主は客たちの後を追って逃げていく。
さて、これで酒場も無人になった。
「後で【建物復元】で直す。悪く思わんでくれよ」
クローディアは巨大な鉄球を渾身の膂力で豪快に振り回し、酒場を木っ端みじんに破壊する。
遠くから聞こえてきた建造物の崩壊音が、近場で轟いたとなれば、敵が間近まで来た演出になる。
これに恐れた人々の逃げる足も速くなるだろう。
「こんなところかな」
ジェーンは周囲を見回す。付近に人の姿は全く見えず、視界に入るのは瓦礫の山と、まだ壊していない建物のみ。
人々の逃げる声も遠くなってきた。
「そろそろ合流のタイミングかな。あっちにも動きがある頃だろうしね」
あらかじめ決めていた合流ポイントへ駆けつつ、ジェーンは【建物復元】で壊した建造物を元通りにしていく。
と、その時。
ジェーンの視界に、総督邸のある方角から土煙を上げて駆けてくる集団が入った。
「あのカニども! 何してたカメ!」
「仕事サボって酒でも呑んでたカメか!」
「侵入者は排除するカメ! お頭の手を煩わせる前に片づけるカメよ!」
2本足で地面を踏み鳴らして駆けてくるのは『タートルーパー』の集団だ。
決して速くはない、しかし巨体のカメが集団で駆けてくるのは、まるで押し寄せる津波の如き光景だ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【建物復元】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!