漂着冥海機を撃破せよ(エルドラード)

 ミッドウェー海戦に勝利し、冥海機ヤ・ウマトの大地の大半は最終人類史に奪還できました。
 この影響で、太平洋上で作戦活動をしていた冥海機の一部が、黄金海賊船エルドラードのガラパゴス諸島海域に漂着したようです。
 ガラパゴス諸島は、エルドラードの海賊の拠点があり、漂着した冥海機達は、鹵獲され奴隷としてガラパゴス諸島に連れていかれようとしています。

 特別なパラドクストレインで、漂着した冥海機がいる海域に向かい、冥海機及び彼女達と奴隷にしようと襲撃するアビスローバーの海賊を打倒してください。

※25年3月1日:『最終人類史のバレンタインデー2025』により、攻略期限が23日延長されました。

その楽園は、地獄で出来ている(作者 長針
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#黄金海賊船エルドラード  #漂着冥海機を撃破せよ(エルドラード)  #冥海機ヤ・ウマト  #冥海機  #ガラパゴス諸島 


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「みなさん、本日はお集まりいただきありがとうございます、です!」
 一同が到着するや、資料の束を胸に抱えた月白・星がぱたぱたと駆け寄って来て頭を下げる。
「まずは。ミッドウェー海戦での勝利とヤ・ウマト奪還成功をお祝い申し上げます、です!
 これにより、ヤ・ウマトのほぼ全ての地域を最終人類史に奪還することができました。
 ハワイ大本営及び周辺海域、アメリカ沿岸部、その他ディアボロスのみなさんが制圧していなかった海域の幾つかは周辺ディヴィジョンに強奪されたところもありますが、大成功と言っていい戦果だと思います、です!
 星が書類をめくる。
「冥海機の多くはコーサノストラに合流したみたいですが、別のディヴィジョンに漂着した冥海機もいるようです。
 みなさんには、これらの漂着した冥海機を追って、黄金海賊船エルドラードのガラパゴス諸島の海域に向かって欲しいのです。
 ガラパゴス諸島は、《七曜の戦》でヤ・ウマトとエルドラードが争った最前線で、海賊の拠点となっている場所です。
 ここに漂着した冥海機は、その……海賊に乱暴に捕縛され奴隷として連行されているみたいなのです。
 作戦としては、特別なパラドクストレインでガラパゴス諸島海域に乗り込んで、漂着した冥海機および冥海機を捕縛しようとしているアビスローバーの海賊を撃破して、撤退してください、です」

 そこまで言うと、星は姿勢を正し、
「エルドラードの海賊に捕縛された冥海機たちの運命は、おそらく悲惨なものになると思います。ただ、どうするのが正しいのかはわかりませんが、海賊たちの非道は絶対に放っておけません。どうか、よろしくお願いします、です」
 一同に向かってぺこりと一礼した。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【泥濘の地】
2
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【水中適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV3 / 【ガードアップ】LV2 / 【反撃アップ】LV2 / 【ドレイン】LV1 / 【ダブル】LV1

●マスターより

長針
 どうも、いつもお世話になっております、マスターの長針です。
 今回の作戦は、エルドラードに漂着した冥海機およびその捕獲を行う海賊たちの撃破です。
 敗残した冥海機たちはディヴィジョンと超大和を失ったことで心が折れており、ほぼ無抵抗でアビスローパーに捕獲されてしまいます。
 海賊たちの戦力増強を食い止めるためにも、両者をまとめて撃破した方が後顧の憂いはなくなるでしょう。
 以下、各選択肢についての詳細です。

①漂着したトループス級(ガラパゴス諸島)『特殊潜航艇『回天』』
 漂着した烏合の冥海機・トループス級『特殊潜航艇『回天』』たちを撃破する選択肢です。
 冥海機たちは海賊に乱暴に痛めつけられており、ほぼ自失状態となっていますが、ディアボロスに対しては復讐心を燃やして襲いかかってきます。
 手負いで自棄になっている状態なので防御はまるで考えておらず捨て身で攻撃してきます。
 撃破が基本ですが、止めを刺さないことは可能です。ただし、こちらに恭順する気はないので逃がすことはできても救出することはできません。
 海賊たちに捕まれば昼に夜に奴隷として使い潰される運命なので、すぱっと介錯する方が慈悲なような気もします。
 ②の選択肢が完了する前にこの選択肢を開始すると冥海機を捕獲したい海賊たちも戦闘に参加しますが、互いに連携をとることはありません。
 また、③の選択肢が先に完了した場合、この敵は撤退します。

②冥海機を襲うアビスローバー『下っ端鮫・シャークパイレーツ』
 漂着した冥海機を弄ぶ『下っ端鮫・シャークパイレーツ』どもを撃破するシナリオです。
 戦利品を前にヒャッハーしてる状態なので頭もヒャッハーな状態です。つまりアホになっています。奇襲をかければあっという間に総崩れを起こすでしょう。
 能力値は全体的に低く、数だけは多いので取り逃がさないことだけ考えれば問題ありません。
 また、③の選択肢が先に完了した場合、この敵は撤退します。

③アヴァタール級との決戦『『海賊令嬢』カリュブディス』
 アヴァタール級・『海賊令嬢』カリュブディスとのボス戦です。
 このボスを撃破するとシナリオは攻略完了となります。
 このシナリオで登場するカリュブディスは、高いスピードと渦を駆使して一気に相手を畳みかける戦い方を得意としています。
 カリュブディスは初手で大渦を作ってフィールド化し、その後、渦の中から強襲して来るのでそこを念頭に置けば戦いやすくなるでしょう
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


●楽園
「はあー、たまんねえぜ」
「やっぱりやりたい放題できるのが海賊の良いところだよな」
「おい、そっちも味見させてくれよ。こいつ使ってもいいからさ」
 シャークパイレーツたちはいつになく上機嫌だった。
 久々の戦利品ということもあるが、その戦利品を好きにしていいと言われたことが一番大きいだろう。
「オレたち下っ端が奉仕されるなんて滅多にないもんな」
「そうそう、海賊ならやっぱり船と女は自分のものを持ちたいからな」
 正に楽園を謳歌するように、シャークパイレーツたちは和気藹々と今を楽しんでいた。
●地獄
 湿った水音がずっと聞こえる。
 自分の血肉が咀嚼される音か、中が汚される音かももう判らない。
 喉はとうに掠れて呻き声しか出ない。
 次々に自分の内側に異物が入ってくる。貪られる。吐き出される。
 仲間たちは大丈夫だろうか。生きているだろうか。正気だろうか。
 この地獄はいったいいつまで続くのだろうか。
シエルシーシャ・クリスタ
アドリブ・連携は歓迎だよ

……はぁ。溜め息の一つも出ちゃうよね。
別に、こういう光景に今更腰が引けたりするわけじゃないけど。亜人とか魔女とか。
そうだね、流石に少しばかりムカつくかな。
超大和に義理立てするわけじゃないけど、少しね。

サメ達は戦利品に夢中で哨戒とか見張りとか考えてなさそうだね。
アヴァタール級も下っ端の為に見張りをするわけがないし、奥にでも引っ込んでるのかな。
奇襲するには都合が良いか。

ねえ、お前達。そっちとばかり遊んでていいの?
遊びたい子達はこっちにもいっぱいいるよ?
――さあおいで。今日はここが遊び場だ。
ま、小さいけど。
妖精さんたちは一杯いるから人海戦術相手でも数の勝負には負けないし。
もしかしたら海賊より怖いよ、妖精さんの『遊び』は。

冥海機たちにはちらっと視線を向ける。
相手なら後でしてあげる。
今のお前達には、サメより先に相手をしなきゃならないほどの脅威がない。
サメの処分にはまだ少しかかるから、考えておいて。
その自棄っぱちな死んだ目のまま掛かってくるか。
超大和の娘らしく掛かってくるか。


三間・勲
(連携アドリブ歓迎)

…酷いですね
だけど目は逸らせません
クロノヴェーダが居る限り何処かで惨劇が続いてしまいます
勝者の責任を果たす為、この事件を終わらせましょう

急ぎ冥海機を襲うアビスローバーを発見次第、共に戦う味方と動きを合わせてクラゲ型爆雷を向かわせて爆破によるダメージを与えます
なるべく取りこぼし無く纏めて攻撃出来るように
複数のクラゲを操作して結界術を成し、包囲して味方の妖精さんが攻撃しやすいように誘導します
初撃でこちらのペースに持ち込めれば弱った敵へと順に狙いを切り替えて撃破していきます

多少の怪我は厭わず攻撃に専念し、一刻も早く、且つ着実な殲滅を目指します
最低限、致命傷は避ける為に【ガードアップ】の効果で対処を

冥海機が耳を傾けてくれるかは分かりませんが声は上げましょう
コーサノストラに渡った冥海機は、ハワイを守る為に最後まで軍人として戦い抜くつもりです
貴方達の生存を知れば彼女達は希望を得て更に力を増すかもしれません
…だから、情けはかけません
奴らを片付けたら、全力で貴方達と勝負です!


アンゼリカ・レンブラント
冥海機とアビスローパーは精神性が違うと
援助を求める道はなかったんだよね
分かりたくもなかったけど分かったよ

この激しい怒りは
目の前の海賊に対してのものかな

訳も分からない激情を己の心に感じつつも頭は冷静
統制も取れていない敵をせん滅する
今の私たちには簡単なことだよ

仕掛けるタイミングを共に挑む仲間と合わせ
冥海機を捕縛するのに夢中な海賊達へ奇襲の形で攻める
光剣閃波を叩き込んだら反撃を堪え一撃離脱
ダッシュで敵部隊の反対側から切り込む

敵の太刀筋は読みにくいのかもしれないけど
障壁で太刀筋を問わずしっかり受け、反撃で潰す

絶えず動いて切り込むことで
実際の数よりディアボロスの数が多く錯覚するなど
混乱を与えるよう攻められれば嬉しい

総崩れを起こすであろう海賊たちに攻撃を続け
【泥濘の地】を展開し敵の足を鈍らせる
狙う対象は倒せそうな個体、逃走を狙う個体を優先
1体も逃がしはしない

死ね

海賊たちを倒すと
冥海機は此方に気づき憎悪を向けるだろうか

己の青い瞳で真っ向憎悪を受け止め
さぁ、ディアボロスはここにいます
――来るなら、どうぞ


●楽園/地獄を終わらせる者
 月のない夜。
 探すまでもなくその場所はすぐに判った。
 血と体液の匂い、苦悶の声、下卑た笑い。
 それなりに離れた距離だったが、酸鼻極まる地獄がそこに広がっていることは容易に想像できた。
「冥海機とアビスローパーは精神性が違う、と。援助を求める道はなかったんだよね。分かりたくもなかったけど分かったよ」
 抑揚の少ない、しかし、何かを抑え込んだような声でアンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)が言い放つ。
「ええ……酷いものです。だけど目は逸らせません」
 そう言ったのは三間・勲(漁火・g10186)だ。彼は言葉通り目を逸らさず、敵たちの姿を見据えていた。
「そうだね、流石に少しばかりムカつくかな。別に、こういう光景に今更腰が引けたりするわけじゃないけど。亜人とか魔女とか。溜め息の一つも出ちゃうよね」
 隣に立つシエルシーシャ・クリスタ(水妖の巫・g01847)も眉をひそめながら同意する。似たようなことを何度も見聞きしたとはいえ、目の前の光景は到底許容できるものではなかった。
「クロノヴェーダが居る限り何処かで惨劇が続いてしまいます。勝者の責任を果たす為、この事件を終わらせましょう」
 決意も露わに勲が告げる。
 その言葉にシエルシーシャもアンゼリカも頷き、それぞれ自らの持ち場へと散開した。

●勝者の責任
 散開した他の二人の準備が整ったのを見計らってまず動き出したのは勲だった。
「……仕掛けます」
 ゆらりと宙を浮遊するクラゲが勲の周囲に現れる。
 クラゲたちは音もなくシャークパイレーツどもの元へと忍び寄り、
「なんだこ――」
 一体のシャークパイレーツが気づいて顔を上げた瞬間、閃光と爆音に呑み込まれ、吹き飛んだ。
「え? え?」
 血飛沫と肉片を浴びながらも、シャークパイレーツどもは何が起こったか理解できなかった。
 そこへ再びふわりとクラゲが近づく。二体、三体、四体……と包囲し、狭めるように。そして、
「「「「「ぎゃあああああ!?」」」」
 クラゲが次々に誘爆し、鮫どもを紅蓮の焔が蹂躙した。
 爆発はシャークパイレーツの身体を四散させ、生き残った者たちも容赦なく燃やしていく。
「に、逃げろ!」
「クラゲがヤバい! 絶対に近づくな!」
 一目散に逃げ出すシャークパイレーツ。
 だが、そちらはあえて誘導するために開けた穴だ。本当にヤバいのはむしろ逃げた先の方なのだが鮫どもが知る由はなかった。
「こいつだ! こいつがクラゲを操ってるぞ」
「一気に畳んじまえ!」
 今になってようやく我に返った何匹かが勲に向かって剣を振りかざす。
 しかしお世辞にも統制がとれているとは言えず、勲は避けるのではなくあえて懐へと踏み込んだ。
「へ?」
 虚を突かれたシャークパイレーツが間の抜けた声を上げる。直後、すでに眼前に召喚されたクラゲが発光し、鮫どもの身体をまとめて爆散させた。
 これでこちらにいた敵たちはあらかた片づいた。後は個別に逃げた者どもやこちらに引き返して来る者を各個撃破していけばいい。
「う……あ……」
 呻き声。冥海機・回天だ。視線は茫洋として焦点が定まらず、こちらを認識しているのかさえ判らない。
「コーサノストラに渡った冥海機は、ハワイを守る為に最後まで軍人として戦い抜くつもりです」
 勲が独り言のように告げる。
「……?」
 回天の目に僅かながら感情が浮かぶ。困惑と疑念。なぜ自分にそんなことを話すのか。そう言っているようでもあった。
「貴方達の生存を知れば彼女達は希望を得て更に力を増すかもしれません……だから、情けはかけません」
「貴様たちが超大和さまを滅ぼしたくせに、なぜ今更……!!」
 意図を理解した回天がこちらを睨みつける。
 今度ははっきりと意志が見て取れた。怒りと復讐心だ。
「勝者の責任を果たす為です。確かに僕たちと貴方たちは敵として戦った。貴方たちに戦う意志があるのならば、再び矛を交えることになるでしょう。
 けれど、それは貴方たちが踏みにじられてもいい理由にはなりません。ましてや、横入りした略奪者が好きにしていい理屈など一分たりとてありません。
 だから、まずは奴らです。奴らを片付けたら、そのときは全力で貴方達と勝負です!」
 そう言って勲は駆け出し、再び鮫どもの掃討を再開する。
「……」
 残された回天は俯き、ただ唇を噛みしめるばかりだった。 

●妖精の宴
「ねえ、お前達。そっちとばかり遊んでていいの? 遊びたい子達はこっちにもいっぱいいるよ?」
 シエルシーシャはあえてシャークパイレーツの前に姿を晒し、挑発的に微笑んだ。
「なんだあ? なんでこんなところに女がいるんだ?」
「へへっ、いいじゃねえか。女がいるんだから」
 予想通り、特に疑うこともなく鮫たちは食いついた。
 シャークパイレーツたちは新たな獲物を捕まえるべく、舌なめずりをしながらシエルシーシャを取り囲む。
「遊びたいのは私じゃないさ。でも、いっぱいいるよ。ま、小さいけど――さあおいで。今日はここが遊び場だ」
 シエルシーシャが告げると同時、虚空に『門』が浮かび上がり、ゆっくりと扉が開いていく。
「遊ボ!」
「遊ボ!」
 門の中から飛び出してきたのは小さな人型のシルエットーー妖精だ。
 妖精たちは現れるや瞬く間に地面を埋め尽くし、シャークパイレーツたちの足にまとわりついた。
「な、なんだ、こいつら!? うっとおしい!!」
 不快そうにシャークパイレーツが妖精たちを蹴り払う。妖精たちの小さな身体はそれだけで吹き飛び、何度も地面をバウンドする。
 横たわった妖精たちは動かなくなっていた。
「壊レタ?」
「壊レタ……」
 妖精たちが沈痛そうに顔をうつむける。しかし、
「壊レタ!」
「壊シタ!!」
「壊シテイイ?」
「壊シテイイ!」
 消沈した雰囲気から一転、いきなり楽しげに小躍りし始め、口々に快哉を上げていく。
「な、なんだこいつら……」
「こうなると怖いよ、妖精さんの『遊び』は。もしかしたら海賊よりもね」
「な、なに?」
 シャークパイレーツが疑問符を浮かべるが、シエルシーシャは取り合わなかった。
「遊ボ!」
「遊ンデ!」
 先程までとは比にならない勢いで、妖精たちが猛然とシャークパイレーツに取り付いた。
「ぐあっ!? な、なん――」
 一瞬でシャークパイレーツに無数の妖精たちが群がり、びっしりと隙間なくその身を覆っていく。
「遊ブ!」
「遊べ!」
「遊ボウ!」
 妖精たちが皮を剥ぎ、肉をこね、エラの中に潜る。
「や、やめ……!」
「目が、目が、オレの目、どこだぁ……」
 シャークパイレーツどもが悲鳴を上げ、のたうち回る。
 ある者は目をえぐられ、ある者は舌を削ぎ落とされ、ある者は腹を破られていた。
 だが、それでも妖精たちは遊び続ける。
 いつまでも、いつまでも。楽しげに、それはもう楽しげに。
「な、にが……?」
 妖精たちの宴が続く中、そんな声が聞こえた。
 自失状態で横たわっていた冥海機・回天だ。
「気がついた? 相手なら後でしてあげる。今のお前達には、サメより先に相手をしなきゃならないほどの脅威がない」
「貴様、ディアボロスかっ……!!」
 回天が反射的に敵意を燃え上がらせ、立ち上がろうとする。が、すぐにがくりと崩れ落ちてしまう。見る見るうちに回天の眼に自嘲と自棄が混じり始める。
「サメの処分にはまだ少しかかるから、考えておいて。その自棄っぱちな死んだ目のまま掛かってくるか。超大和の娘らしく掛かってくるか」
「……」
 回天が無言でシエルシーシャを見上げる。
 敵意こそそのままだったが、先程まで浮かんでいた荒んだ感情は引き潮のように引き、鋭く研ぎ澄まされた眼に変わっていた。
「楽シンダ!」
「楽シカッタ!!」
 そうしているうちに遊び相手がいなくなった妖精たちは、満足したかのようにひとしきり飛び跳ね回り、門の中へと還っていったのだった。

●烈火のごとく
「へへ、どこにいるのかな?」
「一緒に楽しもうぜ、カワイコちゃん」
 そのシャークパイレーツどもは部隊を離れ、新しい獲物を探し回っていた。
 暗闇の中で群れをなして蠢く姿は、さながら地獄を這い回る虫のようでもあった。
「……」
 植生の中に身を潜めながら、欲望に眼をぎらつかせる海賊たちの様子を観察していたのはアンゼリカだ。
 アンゼリカは、自分の中でいつになく激しい感情が渦巻いていることを理解していた。
「……大丈夫。統制も取れていない敵をせん滅する。今の私たちには簡単なことだよ」
 言って、アンゼリカが鋭く地を蹴った。神速の踏み込みで瞬く間に距離を詰め、鮫どもの元へと肉薄する。
 鮫どもが目を丸くするが、遅い。
「「「へ――?」」」
 瞬間、爆発的な閃光と衝撃波が生まれ、固まっていた鮫どもをまとめて消し飛ばした。
 アンゼリカはそこで足を止めず、更に加速する。
「ぐあっ!?」
「や、やめ――」
 突然の事態に身を竦ませていた鮫を袈裟懸けに斬り捨て、別の一体に対しては回り込んで正面から首を刎ね飛ばす。
「な、なんだ!? 敵襲か!? 何人いる?」 
「わからねえよ! とにかくたくさんーー」
 アンゼリカの巧妙な立ち回りに、シャークパイレーツはどうしようもないほど浮き足立っていた。当然とばかりに、不用意に声を上げたその二体も即座に斬り伏せる。
「に、逃げろ! わわっ!?」
「な、なんだ!?」
 味方の惨状を見て逃走しようとしたシャークパイレーツどもが、次々と足を取られ、よろめく。
 いつの間にか地面が沼地のような泥濘に変わっていたのだ。
「1体も逃がしはしない。死ね」
「く、くそぉっ! うおっ!?」
 破れかぶれになったシャークパイレーツが無茶苦茶に剣を振り回して突撃してくるが、
「……」
「げふあっ!?」
 アンゼリカは障壁で鮫の剣を弾き返し、がら空きになった胴体を容赦なく両断した。
「た、助けてくれえ!」
「なんでそっちから逃げてくるんだ!?」
「こっちはヤバいんだよ!」
「こっちこそヤバいんだよ! どけっ」
 どうやら他の二人から逃れてきた連中もこちらに来たようだ。作戦通りとも知らずに。
 アンゼリカは己の内側から沸き上がる激情が命じるまま、しかし、頭だけは酷く冷静に、鮫どもを効率よく処理するべく剣を振るい続けた。
 いったいどれくらいそうしていただろうか。
 気づけば、動く気配は一つとなっていた。瀕死と言っていい、か細い気配だが逃す気はなかった。
 アンゼリカは気配の元へと一足飛びで接近。剣を振りかざし――止めた。
「貴様、は……」
 満身創痍でうずくまりながらこちらを見上げていたのは、冥海機・回天だった。
「……ディアボロス、か。どうせ、私たちを、殺しに、きたのだろう? やって、みろ。死んでも、貴様らに、食らいついて、やる」
 息も絶え絶えにも関わらず、滾るような感情が回天の眼には宿っていた。それは勝者への憎悪であり、己の主や仲間たちを敗者としてしまったことへの無念だった。
 アンゼリカが剣を構えたまま一度目を閉じ、見開く。
「ええ、ディアボロスはここにいます――来るなら、どうぞ」
 雰囲気が一変し、アンゼリカは今までとは異なる口調で語りかけていた。
 彼女はその青い瞳で冥海機の激情を受け止め続けたのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【操作会得】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!

シエルシーシャ・クリスタ
アドリブ・連携は歓迎だよ

どうやら、戦いになりそうだね。……うん?言い方が悪かったかな。
腐った目のままだったらただの処分だった、と言ってる。それは少し好みじゃなかったってだけ。
日本だと生死の掛かった戦いの前は身を清めて気合いを入れるって聞くけど、それは済ませた?……そう。

お前達の抱いた復讐心。
それは私たちがずっとお前達に持ち続けてきたのと同じだよ。
悔しさも無力感も、怒りも憎しみも。その強さも弱さも付き合い方も全部よく知ってる。
だから、今日勝つのも私たちだ。

鬼神変。
剛力には剛力で対抗しよう。
殴る蹴るはまだ対処しやすい。
抱きついての拘束は数が居るとマズい。優先して振り払おう。
相手の様子次第では隙を見せて誘い込む。復讐に気を取られてたら多分引っ掛かる。
引っ掛からないなら、かなり気を引き締めて行かなきゃね。



哀れむつもりはないし、情けを掛けるつもりもない。
見くだすつもりもなければ、嘲るつもりもない。
私たちだって一度通った道だ。
冥海機に復讐を力にする性質は無くても、何があるか分からない。
敵は倒し切る。


三間・勲
(連携アドリブ歓迎)

冥海機を追い詰めた原因は間違いなく僕達にあります
奪われた歴史をあるべき所に返す為にも、海に戦禍が起こり続ける事を防ぐ為にも、一度戦う事を選んだ以上は全て終わらせるまで止める訳には行きません
貴方達の恨みや憎しみは全て受け止めましょう
その上で僕達は勝って、前へと進みます

パラドクス「スピリットフリート」で戦死者の魂が込められた小型駆逐艦群を〈召喚〉します
横並びの〈陣形〉をとり、接近戦を試みる味方が居れば後衛から援護しましょう
号令を発しつつ次々と砲撃や雷撃で『特殊潜航艇『回天』』を攻撃
味方やこちら目掛けて突撃してくる個体が居れば優先して狙います

駆逐艦の陣形で側面や後方を取らせないように警戒しつつ立ち回り、反撃に対しては「氷盾」で負傷の軽減に努めます
反撃を受ける際は同時に僅かに後退する事で爆破の衝撃の緩和を試みつつ態勢を整え次の行動へ

最後の一体まで残さず毅然と対峙します
せめて賊としてではなく、ヤ・ウマトの戦士として貴方達を沈められるように


アンゼリカ・レンブラント
内心の葛藤を沈めた時には
普段アンゼリカを演じているわたしとして冥海機と相対するだろう

泥濘の地をと思うけれどやめる
彼女達は、けして逃げない
ならば、全身全霊で屠ります

想いと力、真向から叩き込んでください
私達はその上で、勝つ!

星形状のパラドクスを放出し攻撃していきます
攻撃目標は出来るだけ仲間と合わせ
数を減らし手数を奪う
相手がどれだけ弱っていても、いつものセオリー通りに
それが、向かってくる彼女達への礼儀だと思うからです

ディフェンスもPOWで積極的に
これまで103のアヴァタール級、3のクロノス級、19のジェネラル級
そして無数のアヴァタール級
わたしがトドメに関わって命を奪ってきた侵略者です
貴女達の攻撃は、今まで戦った侵略者に比してけして弱くない

貴女達のこと、先に逝った超大和は
誇らしいと讃えるでしょう
父の心を持つ断片の王とは、侵略者としては弱さかもしれませんが
もう少し、語る機会を持ちたかったというのは、勝者の奢りでしょうか

最期の1体まで全力で倒し――いえ
言葉でごまかさない、殺す、侵略者を殺し尽くします


●開戦
 創痍に疲弊、飢餓に衰弱。おおよそ肉体的にはボロボロと言ってもいいだろう。
 だが、眼だけは死んでいない。
「日本だと生死の掛かった戦いの前は身を清めて気合いを入れるって聞くけど、それは済ませた?」
 回天たちの姿を見るなり、シエルシーシャ・クリスタ(水妖の巫・g01847)はそんなことを尋ねていた。
「最低限はな。だとしたら、どうだというのだ?」
 回天のうち一人が答える。
「そう……どうやら、戦いになりそうだと思ってね」
 半ば独り言のようにシエルシーシャ。
「今更だ。私たちとお前たちが出会ったら戦うしかないはずだ」
「うん? 言い方が悪かったかな。腐った目のままだったらただの処分だった、と言ってる。それは少し好みじゃなかったってだけ」
「傲慢だな、ディアボロス……いや、そもそも敗者に選ぶ権利はない、か」
 回天の眼には仇敵に対する憎悪と己に対する無力感が等分に入り交じっていた。
 それはシエルシーシャにとっても馴染み深い感情だった。
「お前達が、いま抱いている感情。恐らく、それは私たちがずっとお前達に持ち続けてきたのと同じだよ。悔しさも無力感も、怒りも憎しみも。その強さも弱さも付き合い方も全部よく知ってる」
 シエルシーシャは一旦そこで言葉を切り、
「だから。今日勝つのも私たちだ」
 力強く告げたのだった。

「惨め、だな」
 対峙した回天が呟く。
「復讐の機会すらも勝者に恵んでもらうとは。敗者とは惨めなものだ」
「……」
 三間・勲(漁火・g10186)は反論も肯定もせず、黙って彼女の言葉に耳を傾けていた。
 回天たちは表面上こそ静かだった、心の奥底では溶岩のような重く、激しい感情が渦巻いていることが見て取れた。
 超大和の撃沈とヤ・ウマトの奪還は、奪われた歴史をあるべき所に返す為にも、海に戦禍が起こり続ける事を防ぐ為にも、必要な行為だった。それに、自分たちが冥海機を追い詰めたという側面も間違いなくあった。
 だが、どれだけこちらの理や事情を説いたところで彼女たちは納得できないだろう。
 一度戦う事を選んだ以上は全て終わらせるまで止める訳には行かない。それは相手も同じだ。
 故に、勲は彼女たちが全てを吐露するまで何も言わなかった。
「オマエたちに勝てば、この惨めさからも解放されるのか? いや、問うても仕方ない。ただ今はオマエたちを倒す! 約束通り、全力で戦ってもらうぞ、ディアボロス!」
 押し込めていた感情を解放するように、回天が叫ぶ。血を流すような魂の叫びだ。
「望むところです。貴方達の恨みや憎しみは全て受け止めましょう。その上で僕達は勝って、前へと進みます」
 その叫びを勲は真っ正面から受け止め、自らも嘘偽りのない本心をぶつけたのだった。

「……」
「……」
 アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)と回天たちは一言も発さず、ただ静かに相対していた。
「貴方たちとも、超大和とも、もう少し、語る機会を持ちたかったというのは、勝者の奢りでしょうか?」
 先に口を開いたのはアンゼリカの方だ。
「……ああ、そうだな。それは間違いなく、勝者の奢りだ。同じ台詞を敗者が言っても、恨み言か、泣き言にしか、聞こえないはず。
 少なくとも、私たちが望むのは、対話ではなく、再戦だ」
「そう、ですか」
 頭では判っていたことだが、互いに平行線であることは変わらないようだ。
「だが、再戦の機会があったのは、オマエたちの、奢りのおかげだろう。その点だけは、礼を、言う」
 最後は聞こえるか聞こえないか程の小さな声だった。
「だから、存分に、奢れ、勝者。その奢りごと、打ち砕いてこそ、復讐は、果たされる」
 もはや言葉は要らないと言うかのように、回天が臨戦態勢を取る。
「……解りました。貴方たちの想いと力、真向から叩き込んでください。ーー私達はその上で、勝つ!」
 アンゼリカも彼女たちに応えるため、瞳を閉じて葛藤を胸の奥底に沈める。
 そして再び目を見開き、金色の瞳で回天たちを迎え撃つのだった。

●激戦
 回天たちは真っ直ぐに、真正面からこちらに突っ込んできた。
 アンゼリカはまず地面を泥濘に変えようとしたが、止めた。あれは逃げる相手に使うものだ。
 彼女たちに『逃げ』はない。
「ならば、全身全霊で屠るまで! 最期の1体まで全力で倒し――いえ、殺す。侵略者を殺し尽くしてみせる!」
 自らの誤魔化しを振り払い、アンゼリカが星形のパラドクスを広域にばらまく。
 爆雷のごとく飛来する星々は辺り一帯を瞬く間に衝撃波と猛火で蹂躙する。
「ぐっ……」
 回天たちは爆発に晒されながらも速度を緩めない。
 先陣を切ってこちらに向かってくる回天に対し、真っ向から立ち塞がったのはシエルシーシャだ。
 シエルシーシャは己の中に眠る鬼の血を呼び起こし、巨腕と化した腕を振りかざす。
「行くぞ……!」
 対する回天の腕も倍以上に膨れ上がり、掴みかかってきた
 後続もいる以上、拘束されるのは危険だ。
 だが、シエルシーシャはあえて回天と真正面から組み合った。
「食らえ!」
 足を止めたシエルシーシャに対して、すかさず別の回天が襲いかかる。だが、そう来ることは想定通りだ。
「やはり来たか! 今だ!」
「了解しました! パラドクス・スピリットフリート! 氷盾展開!」
 シエルシーシャの合図に応じ、すかさず勲が戦死者の魂が込められた小型駆逐艦群を召喚。横並びに布陣された駆逐艦群は長城のように氷の盾を展開し、後続の回天を阻止した。
「それが、どうした! 私たちは、冥海機・特殊潜航艇『回天』、己の身を弾丸と化すことにためらいはない……!」
 防盾に阻まれた回天は下がることなく、逆に自らの身体を押しつける。
「そう来ますか! ならば!」
 回天の意図を察知した勲が、即座に艦隊に砲撃を指示。着弾と同じタイミングで回天の身体が発光し、爆発した。
「ぐあっ……ここだ! ここから攻めろ……!」
 爆発はほぼ相殺され、己ももはや動けなくなっていたが、盾の一部を吹き飛ばした回天は声の限りを尽くして同胞たちへと号令をかけたのだった。

●決戦
 アンゼリカは油断なく回天たちの動きを注視していた。
 戦い自体は、こちらの狙い通りに進んでいる。
 勲の艦隊群が砲撃と防盾で相手の陣形を分断し、シエルシーシャが剛力で敵の先陣を押し止め、自分が遊撃として弱った相手を爆撃するという制圧戦のセオリーを徹底させていた。それが、向かってくる彼女達への礼儀でもあるからだ。実際、このままいけば完勝で終わるだろう。
 だが、それでも回天のうちの何人かはこちらの喉元まで迫っている。
 もはやボロボロだったが、速度も戦意も衰えるどころか更に増していた。。
「103のアヴァタール級、3のクロノス級、19のジェネラル級、そして無数のトゥループス級。それが、私達がトドメに関わって命を奪ってきた侵略者の数だよ」
「脅しの、つもりか? そんなもの、我々には、通じない!」
 言葉通り、回天は勢いを緩めることなくこちらに接近する。
「その私達が断言する。貴女達の攻撃は、今まで戦った侵略者に比してけして弱くないと!」
 力強く宣言し、アンゼリカは光り輝く星を放った。
 星は幾筋も光芒を引き、閃光となり回天を呑み込んだ。
「ここまで、か」
 間近で爆発を受けてなお回天は足を止めていなかった。しかし、アンゼリカまで後一歩のところでくずおれ、倒れ伏した。
「……貴女達のことを、先に逝った超大和は誇らしいと讃えるだろう。父の心を持つかの断片の王ならば、きっと」
 もう聞こえてはいないと理解しつつも、アンゼリカは静かにそう告げていた。散っていった回天たちへの手向けとして。

 立っている回天の数はもう僅かだった。いずれも手負いで、無傷な者は一人もいない。
「……不思議なものだ。捨て身を身上とする我らでも、さすがにこれだけ損耗すれば撤退以外に選択肢はない」
 何度目かの交錯を経て、回天の一人がそう零す。
「なら、どうする? 尻尾を巻いて逃げる?」
 口調こそ挑発的だったが、シエルシーシャの眼には相手を見極めんとする冷徹な意志だけがあった。
「それが、きっと正しいんだろうな。だが、そんな気は全く起きない。自分でもこの感情の正体が判らない。オマエたちなら判るのか?」
 回天の言葉を聞き、シエルシーシャがやはりと確信を抱く。同時に、目の前の相手を絶対に倒さねばならない敵だと再認した。
「ああ、その感情が何なのか私は、私たちはよく知っている。知っているからこそお前たちは絶対に倒す。倒し切る!」
「ならば、我々はオマエたちを倒してこの感情の正体を知って見せる!」
 残っていた回天が一斉に動き出す。
 端から見ればどれだけ悲惨で愚かしく見えても、シエルシーシャは戦い続ける回天たちを侮るつもりはなかった。
 故に、全力を尽くす。
 哀れむことも、情けを掛けることもなく、
 見下すことも、嘲ることもなく、
 ただひたすらに、向かってくる回天の攻撃を受け止め、振り払い、叩き伏せる。そうして何人もの回天を打ち倒した。
 そして、
「……結局、判らずじまい、か」
 辛うじて立っていた回天も力尽き、こと切れる。
「その感情こそ、復讐心だ。私たちは、ずっとそれを抱いて戦ってきた。そして、これからも」
 地に伏した回天たちを背に、シエルシーシャは独りそう誓うのだった。

 接近を試みる回天たちに対し、勲は冷静に駆逐艦群を運用し、対処していた。
 氷盾で相手の攻撃と動きを阻害し、布陣した駆逐艦群を絶えず有機的に動かすことで常に優位なポジションを堅持し続ける。
 そんな勲の戦術に対して回天たちが取った作戦は非常にシンプルだった。
「行くぞ、ディアボロス!」
 正面突破。一人の回天が弾丸となり、氷盾を砕いた。勲は即座に対応し、雷撃を浴びせかける。
 その回天は膝を着いたが、別の回天が駆逐艦にとびかかり、自らを爆発させた。
「っ!」
 勲はあえて最小限の回避行動しかとらなかった。迅速に次の行動に移ることを優先させたのだ。
 なぜなら、彼女たちの作戦が単なる正面突破ではないと直感したからである。
「これが、私たちの、戦い方だ……!!」
 果たして、爆炎の中から現れたのは最後の一人となった回天だった。他の回天たちが捨て石となったのも、この一人を届かせるためだろう。勝機はすでになく、通常では有り得ない戦術だ。
 だが、彼女の眼には微塵も諦めはない。ただ死力を尽くし、この戦いに全霊をかけている。
 ならば、それに応えるのが戦士としての礼儀だ。
「全力で勝負すると言った以上、その言葉を全うして見せます! スピリットフリート、全砲門開放!!」
 駆逐艦群の砲門が全て開き、最後の回天へと照準を合わせた。だが、回天は怯むことなく、むしろ加速さえしてこちらに喰らいつかんと迫り来る。
 回天が発光したのと砲撃が放たれたのはほぼ同時だった。
 爆発と衝撃波が重なり、耳をつんざく轟音が幾重にもこだまする。
 数瞬後、音と光が収まり、一陣の風が駆け抜ける。
 そこには夜の闇と静寂だけが残されていた。
「……せめて良き黄泉路を。ヤ・ウマトの戦士たちよ」
 そう言って勲は、戦いの中で散った回天たちを見送ったのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV2になった!

●逃亡
「ふう……いいお湯でしたわ」
 拠点で日課の湯浴みを終えたカリュプディスは、夜風に当たるためにふらりと外に出る。そこで気づいた。周囲の様子が明らかに違うことに。もっと具体的に言えばパラドクスの気配--戦闘の残滓を肌で感じていた。
 意識を研ぎ澄まし、気配を探る。
 鮫の気配も冥海機の気配も消えていた。それでおおよその状況は把握できた。
「あらあら、やっぱり二足歩行しているだけのお魚さんは肝心な時に役に立ちませんわね。獲物もまるまるダメにしてしまうなんて。海賊の名折れですわ」
 これで今回の戦果はゼロだ。鮫たちへの報酬もゼロになるので収支はトントンだが、労力の分だけくたびれ儲けということになるだろう。
 楽な相手ならば奇襲を仕掛けて捕虜にするところだが、どうにも相手は手強そうだった。
 ただでさえ復讐者たちとの戦いは面倒なのに、旨みも楽しみもないとなると結論は一つしかない。
 戦力的撤退である。
 幸いこういうときのために脱出用のルートは確保している。
 すぐそばの洞窟から裏の入江へと抜ければ復讐者たちも追って来れないはずだ。
三間・勲
(連携アドリブ歓迎)

…今回はヤ・ウマトでの戦いとはまた違った厳しさを感じます
ですがもう一仕事ですね
ここでクロノヴェーダの指揮官をみすみす逃がす訳には行きません
略奪を糧とする者であれば尚更…アビスローバーが敗者のみならず一般人に害を及ぼす前に終わらせなくては

周囲の味方と協力し『『海賊令嬢』カリュブディス』を追います
対象の包囲やお互いの死角をカバーする為に別々の方向から攻めつつ【パラドクス通信】も用いて積極的に連携します
敵の移動を阻害しやすくなるように【泥濘の地】を重ね、効果をより強力にしましょう
相手が逃走するつもりであれば進行方向を読むのは簡単なはず
タイミングを調整しながらパラドクスの土砂流を発生させる事で、味方と挟撃を試みながらダメージを与えていきます

反撃の触手に対して「氷盾」を用いた防御や、迫る触手を「軍刀」で振り払う事で少しでもダメージの軽減に努めます
貴方達にこれ以上、海の平穏も、敗れた者の尊厳も奪わせはしません!


アンゼリカ・レンブラント
命を奪ったクロノヴェーダは一通り覚えているよ
今の冥海機達も、決して忘れない
戦果を誇るとかじゃなくてさ
…忘れちゃいけないって思うんだ

もう大丈夫
私は新宿島のアンゼリカ!
海賊令嬢を倒し事件解決といこうっ

入江へと抜けようとするカリュプディスに迅速に迫り、
パラドクスの光雷剣で斬りかかるっ!
おっと、復讐者から逃げられるなんて甘い甘いっ

相手は大渦を作ってフィールド化してくるんだろう
【パラドクス通信】を駆使し仲間と連絡を徹底
死角を庇い合い、渦の中から強襲してくる敵に
不意を打たれないよう注意を払うよ

そして、迫る渦潮は障壁を全開に耐え凌ぐっ
耐えきったら反撃の痛打を叩き込むね!
大丈夫さ、私達の背には私達を信じ、応援してくれる最終人類史の人達がいる
帰る場所さえ喪った冥海機とは違う
心の支えは私達にあり、それがさらなる力をくれるんだ!

気を吐きながら攻撃タイミングを戦友と合わせ
波状攻撃となるよう叩き込んでいくよ
弱るのが分かれば、今こそ攻め時だね
全身全霊の《光輝雷神剣》を叩き込み、斬るよっ
私のありったけ、受け取れーっ!


シエルシーシャ・クリスタ
アドリブ・連携は歓迎だよ

……ふう。ああ、疲れた。本当に。
ひとまずは終わった、かな。まだ大物は残ってるけど。

勘は悪くない、脱出ルートもきっちり用意。損切りの判断も早い、か。
逃がすと後々厄介なタイプだね。
元から逃がすつもりはないけど、変に足を掬われないように気を付けなきゃね。
……その判断力があって、サメ共にあそこまで好きにさせてたのは何なんだろうね。
私たちが来るのが予想以上に早かった?

もし可能なら、入り江の方から回り込んで逃げ道を潰し、挟み撃ちを狙いたいかな。
それが難しそうなら別にいいや。
普通に追いかけて、逃げられる前に仕留めよう。
逃走対策には【泥濘の地】も使おうかな。常に使ってるより、相手が抜け出そうとする瞬間を狙う方が調子を崩させやすいかな?

呪詛の『手』はどこまでも忍び寄って縋りつく。
お前は決して逃げられないよ。
例え海に出ても深い底まで沈んでいって。二度と浮かび上がることはない。

反撃には盾を使ってなるべく真正面から喰らわないように受け逸らそう。
逸らしきれずに多少削られても貫通よりはマシ。


●水と油
「冥海機の確保には失敗したのは残念ですわね……まあ、過ぎたことをくよくよしても始まりません。次を考えるとしましょう」
 海賊令嬢カリュブディスは、鼻歌交じりにそんなことを呟きながら脱出路である洞窟を悠然と歩いていた。資材を持ち出すことも想定していたため洞窟内はかなり広い。もっとも、手ぶらで引き上げることになってしまったが。
「勘は悪くない、脱出ルートもきっちり用意。損切りの判断も早い、か。
 ……その判断力があって、サメ共にあそこまで好きにさせてたのは何でなのかな? 後学のために聞いてもいいかい」
 そう言って、入り江に通ずる出口側からカリュブディスの前へと姿を現したのは、シエルシーシャ・クリスタ(水妖の巫・g01847)だ。
「あら、こんなところにまで現れるなんて本当に神出鬼没な方たちですね。鮫さんたちは呼べばすぐに来てくれますから使い勝手はいいんですのよ? それに、誇り高い相手の心をへし折るには、むしろ粗野で下等なほど効率的ですからね。お試しになられます?」
 さほど驚いた様子も見せず、カリュブディスはにっこりと微笑む。対するシエルシーシャも見せつけるように挑発的な笑みを浮かべ、
「へえ、ひょっとして私たちが来るのが予想以上に早かった? まあいいや、律儀に話してくれたおかげでこちらもやりやすくなったから」
「なにをーー」
 言いかけて、カリュブディスがはっと顔を上げる。背後に気配を感じたのだ。
「復讐者から逃げられるなんて甘い甘いっ」
 アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)が洞窟内を迅速に駆け抜け、刹那の間にカリュブディスへと迫る。
「ワタクシの不意を突こうなど……えっ?」
 咄嗟に身構えようとしたカリュブディスだったが、何かに足を取られ、態勢を崩してしまう。
「みすみす逃がすつもりはありませんよ。貴女たちのような略奪を糧とする者であれば尚更です」
 岩陰に身を潜め、機会をうかがっていた三間・勲(漁火・g10186)が、大半が岩石島であるガラパゴス諸島ではほぼ見られない泥濘の地面を出現させたのだ。
 だが、それは単なる予兆にしか過ぎない。
 地鳴り。不吉な唸り声のような音が響くや、突如として岩石と土砂が噴出しカリュブディスへと襲いかかる。
「まずは、一撃っ!」
 更にすでにカリュブディスを間合いの内へと捉えたアンゼリカが剣に雷光を宿し、振りかざしていた。
「くっ……!」
 完全に初動が遅れ、カリュブディスは己の不覚に唇が破けるほど強く歯噛みする。
 果たして、雷光の剣と土石流は狙い過たずカリュブディスの身体を捉えた。

●大渦
「よくも……やってくれましたわね!!」
 攻撃をまともに受けたカリュブディスは、しかし、怒りに満ちた目でディアボロスたちを睨みつける。 
 見れば、カリュブディスの触手は何本か断ち切られており、クラゲの笠の部分も押し潰されてひしゃげていた。
 恐らく軟体部分を犠牲にして本体へのダメージを軽減したのだろう。
「貴方たちに、海の恐ろしさを、海賊の恐ろしさを、とくと味わわせて差し上げますわ!」 
 カリュブディスが叫ぶと同時、その怒りが呼び水となり、激流が溢れ出す。激流はやがて逆巻き、洞窟内を大渦で満たしていくのだった。

●水面下
「貴方の好きにはさせません!」
 荒れ狂う大渦を前にして勲は果敢に立ちはだかり、再度土石流を発生させる。
 洞窟内ということもあって、土砂に堰き止められた流れはあちこちで分断され、威力を減殺させていた。
 それでも大渦は脅威と言えるほどの水量と勢いを保っており、
「頭が高いですわ!」
 激流の中に身を潜めていたカリュブディスが肉薄。至近距離でこちらに銃を突きつけてくる。
「氷盾展開!」
 勲の前に氷の盾が現れると同時、銃口から水流を圧縮した渦弾が放たれ、重い水音と飛沫がまき散らされた。
「ふふふ、どこまで耐えられるかしら?」
 カリュブディスが更に渦弾を連射し、氷の盾へと執拗な攻撃を続ける。
「くっ……!」
 必死の形相で踏み止まる勲。まだあどけなさの残る少年の懸命な表情を眺めながら、カリュブディスの唇が嗜虐的につり上がる。
 実のところ、渦弾は陽動にしか過ぎない。本命は大渦の中に流しておいた触手だ。それがもうじきディアボロスの背後へと到達する。
 攻撃をしのいだと思った矢先、訳も判らぬまま毒に自由を奪われ、絶望と屈辱に顔を歪める。
 正に至高の芸術だ。何度観賞しても飽きることはないだろう。
 その一瞬が、いま訪れる。
 来たる恍惚のときに舌なめずりをしながらカリュブディスはひっそりと触手を這い寄らせ、
「見えてますよ。しっかりとね」
 ふっと息を抜き、勲が軍刀を鋭く抜き放つ。電光石火の速度で閃いた白刃は、間近まで迫っていた触手たちを尽く寸断し、斬り飛ばした。
「バカな……! 確かに死角を狙ったはずだ!」
 カリュブディスが今までの口調もかなぐり捨てて顔を歪ませる。
「ええ、死角でしたよ。僕からは。でも、僕には仲間がいるんです」
 泰然とした物腰で勲が微笑む。カリュブディスは知る由もなかったが、勲達はここに到着した時点で通信回線を開きっぱなしにしており、味方の動向は常に把握していたのだ。
「じゃあ、その仲間ごと鮫のエサにしてやるよ! せいぜいいい声で鳴きな!」
 再びカリュブディスが銃をこちらに向ける。が、勲は引き金が引かれるよりも速く足下から土石流を発生させる。
「そうはいきませんよ。貴方達にこれ以上、海の平穏も、敗れた者の尊厳も奪わせはしません! 何より、一般人に害を及ぼす前に終わらせてみせます!」
 裂帛の気合と共に放たれた土砂と岩石の波濤は、カリュブディスの身体をしたたか打ち据え、宙へと弾き飛ばした。

●渦中
「ナイスパス! たたっ斬ってあげるよ!」
 障壁を前面に展開し、水流を押しのけながら渦を突破してきたのはアンゼリカだ。
「くっ……小娘が! 舐めるな!」
 宙に浮いていたカリュブディスは自らに水流をぶつけて強引に態勢を立て直す。更にその水流を渦と合流させ増幅させた。
 障壁と激流が真正面からぶつかり合い、両者は鍔迫り合いのように拮抗する。
「オンボロ冥海機とザコ鮫どもを倒したくらいで調子に乗るんじゃないよ!」
 声にドスを利かせながらカリュブディスがじりじりとにじり寄る。
「……冥海機達は決して弱くなかったよ。少なくとも私達が戦った中では」
 対するアンゼリカも障壁を強化し、押し切られないよう地面を踏みしめた。
「たかだかトゥループス級程度を随分高く買ってるじゃないか! それとも感傷かい? お優しいこった!!」
「命を奪ったクロノヴェーダは一通り覚えているよ。さっきの冥海機達も、決して忘れない。……忘れちゃいけないって思う。ただ、それだけだよ!!」
 嘲弄するカリュブディスに向かってアンゼリカが吼え、水流ごとカリュブディスを斬る勢いで剣を振り抜く。
「チィっ! そんなに連中のことが忘れられないなら同じところに送ってやるよ!」
 渦に阻まれはしたもの、アンゼリカの剣はカリュブディスの肩を切り裂いていた。
 カリュブディスが憤怒に顔を赤く染めるや、周りの水流が呼応するかのように渦を巻き、怒濤となってアンゼリカへと襲いかかる。
「くっ……! 私達は、冥海機とは違う」
「はっ、やっぱり自分たちだけは特別だってか! いいねえ! そういう考えは嫌いじゃないよ」
 押し寄せる激流に対し障壁を展開して耐えるアンゼリカ。そんな彼女を見て、カリュブディスが暗い歓喜をにじませる。
 だが、アンゼリカは略奪者の悪意を弾き返すかのように、決然と顔を上げた。
「私達の背には私達を信じ、応援してくれる最終人類史の人達がいる。だから、帰る場所さえ喪った冥海機とは違う。私達には、帰る場所があるんだ!」
 アンゼリカが手にした大剣に雷光が迸り、見る見る内に光輝が増大し、燦然と煌めく一個の刀身となる。
 まずい、と本能的に危険を察知したカリュブディスは一転身を翻し、渦の中へと逃げ込もうとした。が、
「!?」
 足下を泥濘に取られる感覚。あのディアボロスの小僧には細心の注意を払って僅かな挙動も逃さないようにしていたのに、なぜ?
 疑問に思うが、それが命取りとなる。
「全身全霊の《光輝雷神剣》! 私のありったけ、受け取れーっ!」
 巨大な光の刃は周囲の大渦をも呑み込み、カリュブディスへと叩き込まれた。

●水底
「かはっ……はあ、はあ、よくもディアボロス風情が、私をっ……!」
 光が晴れたとき、斬撃と雷撃によって全身に裂傷と火傷を負ったカリュブディスの姿が露わになった。
「あちらの方ばかり警戒していたようだが、私も使うんだよ。こいつをね」
 言いながら、入り江の方へ抜ける道を塞ぐように立ちはだかったのはシエルシーシャだ。そうやって話している間にもカリュブディスの足下は泥に変わり、深みを増していく。
「小癪な真似ばっかしやがって! 貴様ら、生きてここから帰れると思うなよ!」
 周囲に散らばっていた水が再び集まり始め、巨大な大渦と化してシエルシーシャへと牙を剥く。
「ぐっ……まだそんな力が残ってたとはね。やるじゃないか海賊」
 迫り来る大渦に対してシエルシーシャは瞬時に盾を構えて防いだ。
 しかし、カリュブディスは密かにほくそ笑む。
 詰まるところ、カリュブディスは自分の不利を悟った時点で戦う気はなく、水流に潜んで逃げる算段をつけていたのである。
 もはやディアボロスたちの姿は後方にある。間抜けにも攻撃に備え続け、こちらが逃げ切ったところで悔しがる姿が目に浮かぶようだ。
「出会ってから今の今まで、徹頭徹尾お前の言動には欺きと騙りしかなかったんだ。今更そんな手に引っかかると思うか?」
 ぞくりとするほど冷淡な声だった。
「……ハッ、そんなこと言ってまんまと引っかかってるじゃねえか! 今から追っかけても遅いぜ!」
 まさかと思いつつも激流の速度で遠ざかっていることを思い出し、カリュブディスが快哉を上げる。
「お前は決して逃げられないよ。例え海に出ても深い底まで沈んでいって。二度と浮かび上がることはない」
「はん、負け惜しみかい? せいぜいそこで自分たちの間抜けさを呪ってるといいさ」
「じゃあ、お言葉に甘えて呪わさせてもらうよ。存分にね。出でよ――ナックラヴィー、呪え、縋れ、啜れ」
 シエルシーシャが呟くと同時、あちこちに水溜まりが湧き出し、『門』が開いた。
「なんだ……?」
 水流の中にいるカリュブディスはその変化に気づかない。ただ、周囲の温度が急激に下がったかのような寒気を肌で感じていた。
 そこへ音もなく『手』が忍び寄る。異様に長い腕を持つ『手』が触手のように伸び、枝分かれし、数を増やす。そして、
「……!?」
 水妖が持つ呪いの『手』がカリュブディスの身体を捉えた。捕食対象を貪り尽くす群体生物のように、無数の『手』が次々と海賊に縋りつき、絡め取り、生き血を啜り始める。
 あろうことか水の中で身動きがとれなくなるという未知の経験に、カリュブディスは必死になって抵抗するが、
「ーーーー」
 悲鳴を上げることもできず力尽き、どこまでもどこまでも暗い水底へと沈んでいったのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【泥濘の地】がLV2になった!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV3になった!
【ドレイン】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2025年02月21日