リプレイ
ラキア・ムーン
……あまり悠長にしていれば、敵も協力体制を整え攻め辛くなる
奪還が成った今のタイミングで、一気にハワイまで攻め込む
その為に奪還前から仕込んで来たんだ、このまま攻め切る
奴等の思惑通りにはさせんさ
『あらかわ』『えどがわ』に移動し敵の哨戒部隊を捜索しよう
水中適応を使用して海中からハワイ方面へと移動
たとえディヴィジョンが変わろうとも、やる事は変わらんさ
適度に水中から顔を出し、周囲を捜索
双眼鏡を使用して遠距離も確認
光の反射にも注意し、ハワイ方向を重点的に監視し進んでいこう
水中コンパスを使用し方位を常に確認し、おおよその現在位置は常に予測しながら進んでいこう
なるべく『あらかわ』『えどがわ』から離れ、戦闘に巻き込まれないように注意しておこう
海上で顔を出し見付からなかったら再度潜って水中移動
場所を移動して、索敵を継続して行こう
超大和は娘たちに生きる事を望んでいたが……クロノヴェーダである以上、その願いを叶えさせる訳にはいかない
ハワイも取り戻す、少なくともこれ以上冥海機を生かしてはおけん
アドリブ連携等歓迎
三間・勲
(連携アドリブ歓迎)
ディヴィジョンが消滅してもまだ冥海機はハワイに残っているのですね
≪七曜の戦≫の後、ヤ・ウマトに逃れたフローラリア達の酷い行いをこの目で見ました
クロノヴェーダを放置すればどこかでディヴィジョンの一般人にも累が及ぶはずです
世界全土を奪還する時まで油断はしません!
【水中適応】をお借りして艦から離れ
少しでも広範囲を確認出来るよう、味方と手分けして哨戒します
【パラドクス通信】を用いて味方と情報を共有します
通信の効果範囲から大きく逸れないように味方と足並みを揃えましょう
時折慎重に単眼望遠鏡も用いて、島の影や敵影が無いか確認しながら進みます
案内人さんの予知によると敵も索敵レーダーを使用しているらしいので、レーダーが障害物の影響を受けにくく対象を捕捉しやすい開けた範囲は特に警戒が必要かもしれませんね
ある程度進んだら身体を海底に対し水平となるように体勢を保ち、出来る限り探知を遅らせるように努めてみます
僅かな発見や異変も積極的に味方と共有し、次の動きに対応しやすい状況を作っていきましょう
●戦争の終わらせ方
ハワイ近海を漂う『あらかわ』『えどがわ』。この二隻が大地の強奪に巻き込まれながらも無事であったことは僥倖という他ないだろう。支配者が移り変わったとはいえ、依然として冥海機が潜むハワイを攻略するのにはうってつけの橋頭保である。
「ディヴィジョンが消滅してもまだ冥海機はハワイに残っているのですね。己の敗北まで見据えた一手を打っていたとは、『超大和』恐るべしと言うべきでしょうか……しかし≪七曜の戦≫の後、ヤ・ウマトに逃れたフローラリア達の酷い行いをこの目で見ました」
そんな甲板上へと降り立った三間・勲(漁火・g10186)が思い起こすのは一年半前に勃発したオーストラリアでの世界樹戦争以降について。冥海機に拾われた植物たちが行った所業は悪意がない分、ある意味で性質が悪かった。奇しくも今度は彼女らがその立場に陥ったのは因果応報というべきか。
「それに同じく世界各地へ散った大天使やアークデーモンと言った例もあります。クロノヴェーダを放置すればどこかでディヴィジョンの一般人にも累が及ぶはずです……世界全土を奪還する時まで油断はしません!」
「同感だ……あまり悠長にしていれば、敵も協力体制を整え攻め辛くなる。万が一、史実のフランス染みた真似をされても厄介だ。奪還が成った今のタイミングで、一気にハワイまで攻め込むべきだろう」
勝って兜の緒を締めよと決意を改める少年の言葉に、ラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)もまた同意を示す。断片の王が居なくなったとはいえ、未だに複数体のジェネラル級が生き残っているのだ。時間を与えようものならば防衛のみならず、また大規模な作戦を画策してもおかしくはない。
「その為に奪還前から幾つも布石を仕込んで来たんだ、このまま攻め切る。奴等の思惑通りにはさせんさ……まずは哨戒を密に行い、先に相手を見つけたいところだな。馬鹿正直に海上を往くのも芸がない。取り敢えず海中から索敵を進めよう」
「そうですね。相手の本拠地が分かっているとはいえ海は広いですから、ここは二手に分かれましょうか。何か不審なものを見つけたら、適宜共有しますね?」
敗軍なれども、相手が海戦に長けた手合いであることには変わりなし。海中を進むと告げるラキアに対し、勲は小型通信機を手渡してゆく。二人は拠点艦の位置や通信可能範囲を踏まえつつ手短にお互いの索敵方向を打ち合わせると、うねる海原へと身を躍らせてゆくのであった。
(例えディヴィジョンの支配者がワイズガイに変わろうとも、こちらがやる事は変わらんさ。だが、慣れたと思った時こそ気を引き締めなければ。目印になるランドマークがあるような場所では無いからな。都度コンパスで現在地を確認しておこう)
ハワイは日本と異なり、一月でも平均気温は二十度を超える。それに伴って海も非常に温暖であり、こんな状況でなければバカンスにうってつけだろう。そんな適温とも呼べる海中を進みながら、ラキアは時たま持参した方位磁石へと視線を落とす。
進む方向と自身の移動速度からおおよその位置情報を割り出しているのだ。加えて、ある程度『あらかわ』『えどがわ』から距離を取る事で、破壊された『しぶや』の二の舞を防がんと注意していた。彼女は頃合いを見計らい、海面へと顔を出す。
(ハワイ方面を重点的に観察したいところだが相手も警戒している以上、逆に見つかってしまっては元も子もない。レンズの反射で感付かれないと良いのだが)
巨大な軍艦でさえ、海上から見つけるのは至難の業。況や、人間大の冥海機はよくよく注意しなければ捕捉も儘なるまい。復讐者は光を発さないよう注意を払いながら、双眼鏡で水平線を見渡してゆく。残念ながら、どうやらこの付近には居なさそうだ。
(超大和は娘たちに生きる事を望んでいたが……クロノヴェーダである以上、その願いを叶えさせる訳にはいかない。各島々のみならず、ハワイも必ず取り戻す。少なくともこれ以上、冥海機を生かしてはおけん)
ラキアは再び海中へと身を沈め、より先へと泳ぎだす。後々の禍根となる要素は確実に断つ。そう決意しながら、引き続き冥海機の目たる哨戒部隊を探し求めるのであった。
そうして仲間が移動と索敵を繰り返している一方、勲もまたゆっくりと静かに海中を進んでいた。不自然な波飛沫や白波を立てぬよう、海面からの距離に注意しつつ泳いでいる。ちらと手元の通信機に視線を向けるが、今のところ反応する気配はない。
(まだ敵部隊は発見できず、と。通信可能な半径から離れてしまう事だけは注意しましょうか。効率的に、けれども逸れないよう足並みを揃えて……そう言えば、事前説明では索敵レーダーを使用しているという話でしたね)
脳裏で案内人からの説明を反芻していた少年は注意事項を思い出すと、より海底に近い深さまで潜ってゆく。これまで散々、海上のみならず水中からの奇襲で煮え湯を飲ませてきたのだ。相手も馬鹿ではない以上、海の中にも監視の目を光らせている可能性は高い。
身を隠せるような岩礁や漂流物がそう都合よく有る訳ではない。だだっ広く開けた海中なぞ、相手にとっては丸裸も同然だろう。故に少しでも発見されぬ為の策である。しかしそも、見つからぬ以上に見つけることが今は重要だ。勲は安全を確保しつついったん浮上すると、仲間と同じように単眼望遠鏡で島影や敵影を求めて周囲を見渡してゆく。
「……周囲に敵影と思しき影は無し。せめて油や航跡などがあれば、そこから航路を割り出せるのですが、そう都合良くはいきませんか。そろそろ一度連絡を取ってみましょうか。重複してしまっても手間ですし、索敵済みの範囲をすり合わせておきたいですね」
洋上哨戒は根気の要る作業だ。航空機でも使えればまだマシかもしれないが、逆に見つかるリスクが高いのでおいそれとは使えまい。勲は通信機を取り出し、仲間と現状についての情報共有を進めてゆく。
移動、索敵、通信。斯くして一連のサイクルを幾度か繰り返した、その果てに。
洋上を進む冥海機の一群を発見したのは、奇しくも両者ともにほぼ同じタイミングであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【水中適応】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
●接敵
――敵艦隊、見ゆ。
誰からともなくその一報は共有され、該当の地域へと静かに、だが迅速に急行してゆく。果たして気付かれぬよう一定の距離を保ちつつ視線を向ければ、洋上を進む一団が視界に映る。陣形としては旗艦である重巡洋艦を中心とした輪陣形。恐らくこれまでの実績を踏まえ、奇襲されることを前提に動いているのかもしれない。
事実、これからそうなるのだから冥海機の懸念も尤もだ。とは言え、それを加味しても先に敵艦隊を捕捉できたのは大きい。先手を取ることが出来れば相手の連携を食い破ることも容易いだろう。
ただ一点、考慮しなければならない点がある。そのまま殲滅するか、対話を試みるか、だ。
敗残の軍とは言え、健在のジェネラル級たちが脅威であることに変わりはない。加えて、その実力が未知数のワイズガイと組んでいる以上、残党と侮る訳にもいかぬだろう。アヴァタール級レベルで核心的な情報が聞きだせる可能性は低いだろうが、断片でも得られれば考察材料にはなる筈だ。
またトループス級を全滅させず、敢えて数体を見逃す事で伝言を持ち帰らせることも可能だろう。確実な反応があるとは限らないものの、誰に向けて何を伝えるかによっては後々何かが起こやもしれぬ。
ともあれ、どう立ち回るにせよ、哨戒を成功させたことで主導権は此方側にある。砲火を交えるか、舌鋒をぶつけるか。その選択は復讐者たちへと委ねられるのであった。
三間・勲
(連携アドリブ歓迎)
現在ハワイにワイズガイが居ないのは超大和との取引の結果でしょうか
それにしても姿が一切確認出来ないというのはちょっと不思議です
有益な情報を得られるか分かりませんが、せっかくなので確認してみましょう
後方に控える船に敵の注意が向かないよう【水中適応】で回り込み
【水面走行】で姿を現しつつ『アストリア』に慎重に接近し対話を試みます
冥海機のみの部隊…コーサノストラのご友人は一緒じゃないのですね
ここに来るまで何度もワイズガイと交戦したので、ハワイは彼等の支配下に置かれているか、外部の手を借りなくてはならないほど大本営が弱っていると思っていたのですが
周辺海域ごと一任されたのなら、貴方達は彼等から相当信頼されているのですね
それともハワイは利用価値が無いと見捨てられてしまったのでしょうか?
ハワイに関わったワイズガイへの認識を探るように相手の反応を伺ってみます
いずれにしても超大和が命を賭けて守ったハワイは冥海機にとって重要な拠点のはず
こちらも世界全土の奪還の為に全力で挑ませていただきます
●価値と報酬
先んじて冥海機を捕捉する事に成功した結果、復讐者には二つの選択肢が生まれていた。即ち奇襲を仕掛けるか、或いは対話を試みるか、だ。不意を突いて主導権を握れば、戦闘で優位に立てるだろう。一方、言葉を交えれば未だ謎の多いコーサノストラについての何かしらの手掛かりを得られる可能性もある。
(現在ハワイにワイズガイが居ないのは超大和との取引の結果でしょうか? それにしても姿が一切確認出来ないというのはちょっと不思議です。獲得した領土を半ば放置しているのはやはり気になりますし……)
どちらも魅力的な選択肢であったが、三間・勲(漁火・g10186)の胸中には幾つもの疑問が渦巻いていた。どの歴史改竄者も大なり小なり領土の獲得に腐心しているもの。それをみすみす冥海機に居座らせているのは確かに引っかかる所である。
(ハワイ本島を攻略する過程でまたワイズガイと交戦する可能性も低くはありませんし……どこまで有益な情報を得られるか分かりませんが、せっかくなので確認してみましょう)
結果、勲は今後を見据えて指揮官との対話を選ぶ。彼は橋頭保である『あらかわ』『えどがわ』の所在地を探られぬよう、ぐるりと敵艦隊の側面へ大きく回り込む。そうして慎重に頃合いを見計らうや、徐に浮上。アヴァタール級の付近へと姿を見せた。
「ッ、敵襲! なぜ誰も気付かなかったんだい、これは切腹ものの失態だぞ!?」
「上官殿をお守りしろッ!」
突如として姿を見せた復讐者にトループス級たちは俄かに殺気立ち、指揮官を守るべく反射的に自らを壁としてゆく。だがその一方、重巡洋艦は動ずることなくスッと目を細めながら、手振りで部下を制する。
奇襲する事も出来た筈なのに、少年は敢えてそうしなかったのだと見抜いたのだろう。その意図が分からぬ以上、軽々に手を出すのは危険と判断したのか。少なくとも、そのまま戦闘に雪崩れ込む恐れは無さそうだ。ジリジリと彼我の間合いを見極めつつ、勲は口を開く。
「ふむ、哨戒に出ているのは冥海機のみの部隊……コーサノストラのご友人は一緒じゃないのですね? ここに来るまで何度もワイズガイと交戦したので、既にハワイは彼等の支配下に置かれているか、外部の手を借りなくてはならないほど大本営が弱っていると思っていたのですが」
「我々が残存しているというのにもう別のディヴィジョンへ襲い掛かるとは、随分と手の早い事ですね。生憎と『超大和』様が討たれたとはいえ、依然ジェネラル級の方々は健在……余り侮るようであれば、痛い目を見る事になりますよ?」
半ば挑発交じりに言葉に、しかしてアヴァタール級もまた舌鋒鋭く返して見せる。口ぶりから察するに、まだある程度は纏まった戦力が残っているらしい。なればと、復讐者は慎重に言葉を続けてゆく。
「周辺海域ごと一任されたのなら、貴方達は彼等から相当信頼されているのですね。それともハワイは利用価値が無いと見捨てられてしまったのでしょうか?」
「信頼、ね。彼奴らの信頼するものなど、それこそ金品や取引だけでしょう。先の援軍も飽くまで約定に基づくものです……故にこそ、私たちは改めて戦力という価値を示さねばなりません」
言葉尻に滲むは苦悩の色。軍人らしく忠勤を是とする冥海機と利益が第一優先のワイズガイ。相性は良くなさそうだが、明確な力関係がある以上は従う他ないのだろう。それにある意味、コーサノストラの方針はシンプルだ。
「ディアボロスを撃退し冥海機が有用であると示せれば、ハワイ方面を我らの自治州とする事も可能でしょう。こういうのもアメリカンドリームと言うのでしょうかね」
指揮官の言葉を受け、トループス級たちも士気を上げてゆく。元々ハワイは冥海機の領土である。それを報酬として渡したところでワイズガイの懐は痛まず、寧ろ彼女らの戦意を煽れる分だけプラスと見ているのかもしれない。
(利害による契約関係、と言ったところですか。ややドライにも思えますが、寧ろこういった分かりやすい繋がりの方が厄介かもしれませんね)
ハワイへかける決意、ワイズガイに対する認識。取り急ぎ、その一端を聞き出すことには成功した。勲は会話の内容を脳裏で吟味しつつ、並行して己に向けられる殺意をどう対処すべきかと思考を巡らせてゆくのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【水面走行】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
三間・勲
(連携アドリブ歓迎)
現在冥海機の漂着が確認されているリグ・ヴェーダやエルドラードの事件を考えると、超大和がコーサノストラに冥海機を亡命させる事について「他の改竄世界史よりはよっぽど良い」と言った理由が分かる気がします
公平な取引には見えませんが、ディヴィジョンを失った以上は仕方無いのでしょうね…
僕達も立ち止まってはいられません
一旦ここでの対話は斬り上げて戦闘態勢に入ります
引き続き【水面走行】を使用してパラドクスでクラゲ型爆雷を呼び出して操作します
トループス級に対して数ではこちらが不利なので、敵の陣形に警戒しつつ次の動きを考えながら戦いましょう
輪形陣が保たれている場合はまずは右または左翼どちらかの『サイキックラブ』を重点的に狙い、爆破攻撃で撃破と同時に陣形を崩す事を試みます
常に敵の配置を確認しつつ攻撃の合間にも移動を繰り返し、包囲や反撃時の集中攻撃を避けるように注意を
更に【ガードアップ】の効果と「氷盾」を用いてビーム砲からのダメージ軽減に努めます
出来る限り長く耐え、着実な敵の撃破を目指します
●速やかに、確実に
(『超大和』の約定による取引……現在冥海機の漂着が確認されているリグ・ヴェーダやエルドラードの事件を考えると、コーサノストラに冥海機を亡命させる事について『他の改竄世界史よりはよっぽど良い』と言った理由が分かる気がします)
アヴァタール級の言葉を吟味しつつ、三間・勲(漁火・g10186)は思考を巡らせてゆく。敗北に伴う無軌道な漂着ではなく、予め退避先を準備しておいた手腕は流石『断片の王』と言えよう。そして、その相手としてコーサノストラを選んだことについてもだ。
自らの娘たちを奴隷扱いするアビスローバー、領土が浮遊しているが故に合流の難しいアーディティヤ、そして守勢では勝てぬと見限った天魔武者。それらと比較すれば、確かにワイズガイはまだ交渉の余地がある。
(公平な取引には見えませんが、『断片の王』亡き冥海機と未だ無傷の空想科学……如何にジェネラル級が健在とは言え、戦力差は歴然。ディヴィジョンを失った以上は仕方無いのでしょうね)
とは言え、働き次第でハワイの自治州化を約束するだけ寛大だ。それに種族的な性質は兎も角、どちらも科学寄りな勢力である。時代的にも近く、共通点が無い訳ではない。
(……だからこそ、僕達も立ち止まってはいられません。何か手を打たれるよりも早くハワイ本島を落とさなくては。どうやら、もうこれ以上の対話は望めそうにないですしね)
勲がチラと周囲を見渡せば、既に哨戒艦隊は臨戦態勢を取っていた。もはや問答は無用と言う事か。対話を行ってしまった手前、奇襲の優位も既に失われている。である以上、まず狙うべきはただ一つ。
「ここはいったん仕切り直すべきでしょう。という訳で、距離を取らせて貰いますッ!」
「そうはさせないよ。さぁ、早々に沈めてあげようかッ。各艦、砲撃開始だ!」
復讐者が自身の周囲へクラゲ型爆雷を呼び出し防波堤にするのと同時に、トループス級たちがイチョウガニ型海戦装に搭載された三連装砲を解き放つ。炸薬と光条がぶつかった瞬間、凄まじい衝撃波と爆煙が周囲一帯を覆ってゆく。
果たして、その中から先に飛び出してきたのは少年だった。至近弾により手傷を負っていたものの、戦闘に支障はなさそうだ。対する冥海機たちは恐らく陣形の維持を優先したのだろう。
(頭数ではこちらの方が不利な上、相手は依然として輪陣形を維持している、と。守りを固めている敵に真正面から挑むのは得策ではありません。まずは左右どちらかを打ち崩すべきですね……!)
思考を巡らせている間にも、黒々とした煙の向こう側からは立て続けに砲撃が飛び出してくる。至近距離で水柱を立てるそれらを掻い潜りながら、勲は敵の側面へと大きく迂回。クラゲ型爆雷を差し向ける事で敵戦力の漸減を狙う。
少なくない数が迎撃されてしまうものの、火力が分散されるだけで十二分。その際の誘爆に加えて、爆発物はただ存在するだけでも相手に圧を掛けるものだ。絶え間なく現れる海月と熱線によるチキンレース。ジリジリとした均衡が先に崩れたのは冥海機側だった。
「しまった、いつの間に……ぐぁあっ!?」
「ッ、抜けた穴を塞ぐ、いや、密集すれば寧ろ被害が拡大するか?」
撃ち漏らした海月に気付いた瞬間、陣形の一角が派手に吹き飛ぶ。撒き散らされる海戦装の残骸を鑑みるに、数体が纏めて沈んだか。難を逃れた個体は体勢を立て直すべきだと考える一方、距離を詰め過ぎれば今のように損害も増えてしまう。戦闘の最中にそうした逡巡が生じる事は、単なるダメージ以上に影響が大きいものだ。
「出来る限り長く耐え、着実な敵の撃破を。急ぎはすれども焦りはせず、です」
そんな己の戦果を確かめながら、勲は言葉通り一手ずつ冥海機たちを追い詰めてゆくのであった。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【水中適応】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
ラキア・ムーン
既存の設備、領土、そして人員も……だろうか?
全て込みで亡命できるのならば、娘たちの生存を目指した超大和の本意を考えれば最も合理的な考えだろう
まあ最も、他に交渉できる相手も居なかったのもあるだろうがな
水面走行に切り替えてサイキックラブへと接近していこう
《RE》Incarnationを構え、敵との距離を詰める
展開する甲羅装甲の内側まで潜り込み、近接攻撃を仕掛ける
【Call:Flame_Slash】起動
駆けながら槍に炎の魔力を纏わせ槍を振って『薙ぎ払い』
槍の一撃を振るった後、そのまま駆け抜けてヒット&アウェイでダメージを重ねていこう
Emu【E.S】展開
魔力障壁を周囲に展開し、敵の砲撃に備えよう
障壁で防御し、更に槍で受ける
なるべく体に直撃させず、爆風でのダメージに変換し武装制服越しに爆風を受けて態勢を崩されないようにしていこう
そちらも少しでも良い条件での自治を目指しているのは分かる
……が、だからといってハワイを不当に占拠していることの理由にはならん
此処で冥海機戦力は削るさ
アドリブ連携等歓迎
●炎の熱は冷めやらず
「損害報告、どれだけ持っていかれた!?」
「右翼を丸ごとッ! すぐに陣形を再編、上官殿をお守りするんだ!」
先ほどまでの問答とは打って変わって、ハワイ沖の蒼空には濛々と黒煙が立ち昇り、洋上に漏れ出た重油を炎が舐めてゆく。手痛い被害を受けてもなお立ち直りが早いのは、いま粘らねば本当にヤ・ウマトの命脈が潰えてしまうと一兵卒に至るまで理解している証左か。
(既存の設備、領土、そして人員も……だろうか? 着の身着のままではなく全て込みで亡命できるのなら、娘たちの生存を目指した超大和の本意を考えれば最も合理的な考えだろう)
そんなトループス級の様子を海中から窺っていたラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)は、『超大和』と交わした末期の会話を思い起こす。失った領土こそ広大だが、ハワイ本島こそ本来であれば『断片の王』が座す本拠地。ドラゴンにとってのキャメロット城や吸血鬼のサンクトペテルブルクがそっくりそのまま残っていると考えれば、その意義の大きさが分かるというものだ。
(……まあ最も、他に交渉できる相手も居なかったのもあるだろうがな。しかし、最悪の事態における最善であることは間違いない。である以上、速やかな陥落を目指すのみ)
故にこそ時間を与えてはならない。ハワイ鎮守府攻略の嚆矢となるべく、ラキアはトループス級の殲滅へと着手する。彼女は勢いよく海上へと飛び出すや、愛用の突撃槍を構えて一気に距離を詰めてゆく。
「っ、新手か!?」
「各艦、個艦防御を厚くするんだ! これ以上の損耗を許せば、亡き『超大和』様に顔向け出来ないよッ!」
対する冥海機たちは復讐者の攻勢を凌ぐべく、甲殻型装甲を分離展開。自立稼働する移動式の防楯として守りを固めつつ、再び三連装主砲から砲撃を浴びせかけてゆく。
(火力の壁は濃密だが……『断片の王』と比べるべくもない、か)
吹き上がる水柱の隙間を駆け抜けながら、ラキアは徒然とそんなことを思う。決して侮るつもりはないが、冥海機の最上位と相対した際を思えばやはり差を感じてしまうのもむべなるかな。
あの直撃が即戦闘不能に繋がる攻撃と比較してしまえば、まだ十分に対処可能な勢いである。彼女は砲撃を突破するや巧みな体捌きで甲殻型防循の内側へと入り込み、槍を一閃。貫かれた個体は穂先が纏う業火に吞まれ、敢え無く爆散。復讐者はそのまま交錯すると、再び距離を取っていった。
「参ったね……せめて手傷の一つでも負わせなくちゃ、ジェネラル級のお歴々に申し開きが出来ない」
「もちろん、上官殿にもだッ!」
復讐者に対する恨みつらみは無論ある。だがそれとは別に、あの『超大和』すら屠った手練れとの力量差もまたひしひしと感じているのだろう。トループス級たちは自らの保身を半ば放棄。少しでもダメージを与えるべく遮二無二砲撃を叩き込む。
「敗北に甘んじることなく、そちらも少しでも良い条件での自治獲得を目指しているのは分かる……が、だからといってハワイを不当に占拠していることの理由にはならん。逃すことなく、此処で確実に戦力を削ろうか」
当初、何体か見逃して言伝を持ち帰らせるという選択肢も有った。だが、ラキアはそれよりも敵部隊の漸減を優先すると決めていたのだ。魔力障壁を展開して直撃を避けつつ、彼女は一撃、また一撃と攻撃を繰り出し、まるで櫛の歯が欠けるかの如く陣形を削り取ってゆき、そして。
「……『超大和』様の仇を討つと意気込んでこの様とは。やはりげに恐るべきはディアボロス、といったところですね」
数瞬後に広がっていた光景は、宣言通りの全滅。無残なる残骸と化した部下たちを前に、指揮官たるアヴァタール級は緊張感と共に思わずそう呟くのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!

宮尾川・ライラ
(トレインチケット)
我孫子・寅吉
(トレインチケット)
●譲れぬもの
「ただでさえ補充もままならぬ兵卒を消耗してしまった以上、どうしておめおめと逃げ帰れましょうか。我々が帰還しなければ、上層部も異変に気付くはず……ならば、後はただ少しでもディアボロスの進行を押し留めるのみです」
配下を全滅させられたアヴァタール級は覚悟を決めたように復讐者たちと相対する。もはや背を向けて逃げ出す余裕などある筈もなし。さりとて単騎では勝ちの目もない以上、一秒でも長く此方の足止めを出来るか否かと言った腹積もりなのだろう。
「断片の王である『超大和』を討ったというのに、冥海機は依然としてハワイの占領を続けている、と。儘ならないものね。ゲリラやパルチザンと考えれば、軍隊らしいと言えばらしいのかもしれないけれど」
「クロノヴェーダでさえなければ、その粘り強さも美徳なんだがなぁ。ケツモチについたワイズガイどもが空気でも入れたら後々面倒だ。つぅ訳で、ここはハワイ本島まで押し通らせてもらうぜ?」
そんな相手の様子を前に、救援に駆け付けた宮尾川・ライラ(蛇姫・g03335)と我孫子・寅吉(新宿の喧嘩師・g03186)もまた戦意を新たにしてゆく。戦争後に他ディヴィジョンに漂着する敵や、半島を維持した『冬将軍』の例も確かにあった。
しかし、本拠地が複数のジェネラル級ごと残るというのはこれまでになく、その脅威度は比べ物にならないだろう。加えて実質的に空想科学コーサノストラの支配下に置かれていることもあり、放置すればどのような変化が生じるのか予想もつかないのだ。
「まぁなに、難しく考える必要はねぇ。仲間は助ける、敵は殴る。それだけだ。わりぃが手加減できるほど器用じゃなくてよぉ。初手から全力でぶっ飛ばすぜ!」
斯くして、まず先につっかけていったのは寅吉である。彼は思い切り海面を蹴り上げ水飛沫を上げながら、重巡洋艦へと一直線に挑みかかってゆく。尤も、むざむざ指を咥えて座視する相手でもなし。アストリアは腰部左右の三連装砲二基を旋回させるや、躊躇なく砲撃を解き放つ。
「そう易々と距離を詰めさせるとお思いですか? この身は敗軍の一兵卒に過ぎませんが、無為無策で事足りると侮れば手痛い目を見ますよッ」
「ッ、と!」
轟音と共に飛翔したそれらは突き進む用心棒の鼻先へと着弾。豪快な水柱を立てると共に衝撃波で男の身体を軋ませてしまう。寅吉は堪らず歩を緩ませてしまい、ぐんと行き足が鈍る。しかし、相手からすればそれは格好の標的だ。すかさず、第二射を叩き込まんとする、が。
「おっと、アタシが居るのを忘れて貰っちゃ困るわよ? 海水に浸すと後でお手入れが大変だけど、こういう使い方も出来るのよ。さぁ、メッタ斬りにしてあげるわ!」
それに一歩先んじてライラが仕掛けた。復讐者の言葉を受けて咄嗟に周囲へと視線を巡らせるアヴァタール級。巻き上げた白波に紛れて死角から攻撃されると考えたのだろう。それは半分当たりで、半分外れだ。
「なに? 側面、いや下ですか!?」
魚雷の如く泡も立てずに海面下より迫る、幾条もの何か。その存在に気付いた瞬間、それらは重巡洋艦目掛けて洋上へと飛び出してゆく。その正体は刃と化したライラの髪の毛。相手の注意が寅吉に引き付けられている隙を突き、密かに回り込ませていたのだ。
咄嗟にアストリアは強引に下方へ向け砲撃を放つものの、無数の髪の毛を纏めて吹き飛ばすなぞ流石に無理な話である。はらはらと金色の煌きを散らしながら、髪刃は冥海機の白詰襟を引き裂いてゆく。
「砲撃直後の今が好機よ、そのまま思いっきり行っちゃって!」
「おうよ、任せろ!」
再装填までの数秒。それだけあれば十分だった。仲間の檄を背に残る距離を一気に詰め切ると、寅吉は鍛えた拳を握り締めてアヴァタール級へと躍り掛かる。だが冥海機も一手凌げれば反撃の目があるのだ。
相手は身体を強引にひねり、砲塔そのものを鈍器と化して用心棒を引き剥がさんと試みてゆく。横腹に鉄塊がめり込んだ事で体勢を崩され、繰り出した拳撃が空を切った――。
「いまだ、辰! かましてやれよ!」
「なに……ッ!?」
瞬間、今まで寅吉の背後に潜んでいた小竜が飛び出す。予想外の存在にアストリアも目を見開くことしか出来ない。そんなアヴァタール級の視界に映ったものは、いっぱいに開かれた顎より迸る電流の嵐だ。
水は電気をよく通す。小学生でも知っている物理現象である。斯くして重巡洋艦は為す術もなく、雷撃の直撃を浴びてしまうのであった。
善戦🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
ラキア・ムーン
……悪いが、先へ進む為にも貴様は倒させて貰う
先へ進み、全てを取り戻す
その先に何があろうとも、それなら納得できる
貴様等の王に告げた決意だ、それに誓って進むのみ
限定解除、形状変換
再誕の槍よ更なる先へ……《RE》Incarnation:Extend、顕現
水面走行を引き続き使用しアストリアとの戦闘行動に以降
戦場に居る仲間の行動は常に気に掛け、此方が近接戦を仕掛ける事で仲間が仕掛ける事に敵の注意が行かないようにしよう
槍を前傾姿勢で構え水面を蹴る
敵との距離を一気に詰めながら攻撃準備
【Call:0_0_0】起動
槍の機能を解放し魔力の槍を展開
駆ける勢いを乗せ、槍を突き出し敵へ魔力の槍を突き立てる
槍先が当たると同時に水平方向に瞬間的に飛翔加速
加速した勢いで更に槍を深くねじ込み穿つ!
魔力の槍との接続を解除しバックステップ
近接戦間合いは維持しつつ槍を盾のように構えて防御体制
Emu【E.S】展開
魔力障壁と槍で敵の砲撃を受けて防御
可能な限りダメージを抑え、敵にペースを握られないようにしよう
アドリブ連携等歓迎
三間・勲
(連携アドリブ歓迎)
精鋭ぞろいの復讐者の中だと僕はまだまだ力も経験も足りませんが…
地道に戦う事で全体に貢献出来る事はよく分かっているつもりです
この戦いでも最善を尽くして勝利に繋げます
【水面走行】で海上の戦いを続行です
味方と連携を行う際は必要に応じて【パラドクス通信】も活用し
パラドクスによって召喚した魚型の魚雷群で『アストリア』を包囲します
味方より先に攻撃する場合は魚雷群で視界を阻害
正面から一点集中の攻撃を押し込んでダメージを与えつつ味方の攻撃までの〈時間稼ぎ〉を試みます
味方の攻撃の後に続く場合は包囲した魚雷たちに〈情報収集〉させて、損傷している個所を重点的に狙って攻撃を行いましょう
反撃の波動を物理的手段で防ぐのは難しそうですが、波動の発動タイミングを伺い距離を取るなどして少しでもダメージ軽減を試み、態勢を整えて次の動きに備えます
貴方達の超大和や仲間の死を悼む想いも復讐者への恨みも受け止めましょう
それでも僕達は前へ進む事を諦めません!
●その歩み、止まる事はなく
「百聞は一見に如かず、百見は一触に及ばず……ミッドウェーにおける決戦は伝聞でしかありませんでしたが、聞きしに勝るとは正にこの事ですね。しかし、だとしても此処から退く理由になどなりはしません」
たった一度、されど一度。先に仕掛けた復讐者との交戦により、アストリアは彼我の実力差を文字通り体感したのだろう。彼女の白詰襟は無残にも焼け焦げ、刻まれた斬傷からは血とも油ともつかぬ液体が滲んでいる。
だが、それでも重巡洋艦の戦意は揺らがぬ。己自身を洋上に浮かぶ壁と為し、一秒でも長く侵攻の手を遅らせんと決意しているのだろう。そんな冥海機に対し、ラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)は愛槍の切っ先を突きつけゆく。
「種族の命脈を保つ為、挺身は覚悟の上か……悪いが、先へ進む為にも貴様は倒させて貰う。先へ進み、全てを取り戻す。例えその先に何があろうとも、それなら納得できる。これも貴様等の王に告げた決意だ、それに誓って進むのみ」
彼女は『超大和』と相対したのみならず、末期の言葉を交わした復讐者の一人である。故にこそ、ハワイ本島奪還に掛ける気迫も一入なのだろう。傍らに立つ三間・勲(漁火・g10186)もまた、その気持ちは同じだった。
「ミッドウェーにおける決戦はこれまでの作戦で最も過酷な戦いでした。精鋭ぞろいの復讐者の中だと僕はまだまだ力も経験も足りませんが……地道に戦う事で全体に貢献出来る事はよく分かっているつもりです」
数多の仲間と共に連合艦隊を形成し、奥の手であるネメシス形態すらも切って臨んだ一戦。その結果は善戦とすら呼べず、あまつさえ彼とその仲間たち全員が重傷を負った。苦いものが無いと言えば噓になる。だが、そうした積み重ねこそが『断片の王』撃破と言う偉業に繋がった事もまた事実なのだ。
「だからこそ、まずは貴女たち哨戒部隊を打ち破り、ハワイ攻略の先駆けとします!」
「ああ、その通りだ。限定解除、形状変換。再誕の槍よ更なる先へ……《RE》Incarnation:Extend、顕現」
斯くして復讐者たちはこの哨戒戦に決着をつけるべく、臨戦態勢を整えゆく。少年は軍刀を鞘走らせ、女は突撃槍の安全制御を解除。それぞれの全力を示す二人を前に、アヴァタール級もまた腰部三連装砲の砲口を差し向ける。
「『超大和』様を、我らが父を知るというならば是非もありません。亡き王に恥じぬ戦い振りを示すだけです……ッ」
果たして、轟き響く砲声が開戦の火蓋を切った。三連装二基、合計六門の主砲はそれぞれ別の復讐者へと照準を合わせており、大気を引き裂きながら飛翔してゆく。対して、彼らの反応は対照的であった。
「相手は見ての通り砲撃戦が主体。被弾を恐れて距離を取っては話にならん……である以上、活路はただ前へ進む事のみ。さぁ、どちらが先に当てられるか勝負といこう」
ラキアは臆することなく敵目掛けて吶喊。踏み込みの圧に海面が爆発し、ざぁざぁと水飛沫を降り注がせる。穂先に触れたそれらを膨大な熱量で蒸発させながら、ただひたすらに距離を詰めんと試みる。
「二対一で数の利は此方に在ります。それを活かさない手はありませんからね、これも戦場の倣いです。さぁ、行っておいで?」
一方、勲は弧を描くように側面へ回り込むと同時に、無数の魚雷を射出。魚を模したそれらは一つ一つが小さいものの、魚群と化して有機的な軌道を描き出す。通常の魚雷のようにただ一直線に進むのではない。自ら動き回り、隙や脆弱部を見つけ次第に食らいつくのだ。
これにより、アヴァタール級は選択を迫られた。即ち、迫る突撃槍を凌ぐか、魚雷群を吹き飛ばすか。どちらかを対処すれば、残るもう一つに食らいつかれるのは間違いない。アストリアは貴重な数瞬を思案に費やし、決断を下す。
「劣勢下で受けに回ってはそれこそジリ貧というもの。ならば、打って出る他にないでしょう?」
その内容は自らもまた前へ出る事。敢えてラキアとの距離を詰める事で、周囲で機を窺う魚雷群に味方を巻き添えする懸念を抱かせようという魂胆なのだろう。しかし、女からすればこれは好機でもある。
「その意気や良し。再誕の槍の名の下に……我は世界を穿つ者也!」
駆ける勢いに任せ、ラキアは重巡洋艦へと突撃槍を突き立てる。更には激突の寸前、海面を蹴って飛翔。最後の一押しとばかりに加速すると、より深々と穂先をねじ込み穿ち貫く。衝撃だけでも相当なはずだが、驚くべきことにアヴァタール級は踏み止まり、返す刀で砲撃を叩き込む。
「ふ、ふふ……逃がしはしませんよ? せめて一人でも道連れにすれば大戦果でしょう?」
濛々と立ち込める爆煙が二人の姿を覆い隠す。数秒の後でそれらが晴れた時、両者は依然として組み合ったままだった。攻撃後すぐさま飛びのこうとしたラキアに対し、重巡洋艦は自らが焼かれる事も厭わず、そうはさせじと槍の穂先をがっちり掴んでいたのだ。
それと同時に全身から放たれる、猛々しくも物悲しい魔力波動。亡き部下と父を思う奪命の思念に思わず目を剝く復讐者だったが、彼女もまたフッと笑みを浮かべて見せる。
「つくづく、見上げた忠誠心だ。だが、その覚悟があるのは何もそちらだけではないぞ?」
「なに……いや、まさかッ」
訝しげに眉根を顰めるアストリアだったが、海面下を蠢く無数の影を見た瞬間に相手の意図を悟った。ラキアは懐に忍ばせた無線機から、既に仲間へ向け通信を放っていたのだ。
「出来る限りコントロールして見せます! 弱点を探り、自律的に動けるのが彼らの強みですから!」
即ち、『自分に構わず、、このまま魚雷で仕掛けろ』と。それを受け、勲は群れ為す魚たちへと巧みに指示を出してゆく。数こそ多いが一つ一つは小さい故に、爆発の範囲を調整すれば仲間への被害は最小限に抑えられる。
だが、その操作は非常にシビアだ。況や、逼迫した戦況下であればなおさら。しかし、少年はその難しい作業をやってのけた。一つの巨大な群れは幾つもの小集団へと分裂。相手の足元、背面、左右後方からそれぞれ殺到してゆく。
「よもや味方諸共に……勝軍でありながら、ここまで形振り構わないとは!?」
「まだ、本当の意味で冥海機との戦いは終わっていませんから。貴方達の超大和や仲間の死を悼む想いも復讐者への恨みも受け止めましょう。それでも僕達は前へ進む事を諦めません!」
重巡洋艦からすれば先の戦は復讐者にとって『断片の王』すら討ち果たした勝ち戦だ。そして勝ち馬に乗った者ほど、あたら戦で危険を冒すような真似はしないと踏んでいた。冥海機が見誤ったのでは、ひとえにディアボロスの代名詞たる復讐心か。
刹那、アストリアに接触した瞬間、立て続けに魚雷が炸裂。連鎖的に群れ全体が起爆した結果、砲弾を凌ぐほど太く巨大な水柱が立ち昇る。凄まじいほどの水煙がゆっくりと晴れてゆく中、徐々に浮かび上がるのは一つの人影。
「ふむ……なんとか諸共に吹き飛ぶ事態にはならなかったようだ」
「よ、良かったです。万が一を思うと、ぞっとしませんでしたから」
その正体は濡れ鼠となったラキアであった。アヴァタール級は先の一撃で粉々に吹き飛んだのだろう。仲間の無事な姿に、勲も思わずホッと胸を撫で下ろす。
斯くして、哨戒戦は復讐者の勝利となった。しかし、これはまだハワイ本島攻略の初戦に過ぎない。彼らはこの後に待ち受ける戦いに想像を巡らせながら、一先ずは帰投してゆくのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【パラドクス通信】がLV2になった!
効果2【アヴォイド】がLV2になった!
【命中アップ】がLV2になった!