リプレイ
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
早くに戻ってこれたのはいいが色々と対処しないといけないってのは大変だっての
忠誠心があるタイプもやりづらいが、こう言うタイプもやりづらい
まさかコーサノストラの住民全員がこんな感じとかないよな?...いや、あって欲しくないなぁ
【行動】
まずはパラドクスを発動して爆弾を落とすドローンを制作
これは何かあった時のために付近で待機させておこう
必要なのは残留効果のフライトドローンだ
呼び出したフライトドローンに持ち込んだイミテーションの宝石を見やすい位置に取り付けて飾り付けておく
一般人が届かない高さを見失わない程度の速度でドローンを飛行させ
それに注目が集まったのを見計らい
「おい、あの浮かんでいるやつに宝石がついているぞ!」
「売れば大金が入るに違いねぇ!」
と物陰に潜みながら大声で話し欲を煽れば乗ってくるものもいるだろう
近くで見ないとイミテーションだって分かりにくいからな
そのままドローンを追いかけさせて安全圏まで誘導しよう
必要なら臨機応変に対処する
アラスカ城塞は建設の途上にあった。
基礎工事の段階とあって、まだ特筆すべきものは見当たらないが、完成すればま堅固な拠点となるのだろう。
「早くに戻ってこれたのはいいが、色々と対処しないといけないってのは大変だっての」
潜入作戦で功績を上げた荒田・誠司(雑草・g00115)は早くも同地に舞い戻ることとなった。内部で働く労働者たちは、多重債務者などであるから、あまりガラは良くない。その辺りも変わらずだ。日和見主義というべきか、より得をする方になびく連中だ。
「忠誠心があるタイプもやりづらいが、ああ言うタイプもやりづらい」
ぼやきながら建設現場へと近づいていく。
一度潜入したこともあり、再び入り込むのはさほど難しいことではなかった。
状況も、あの時とは違っているようだが、レジスタンス諜報員である誠司に似合いの任務であることには変わりない。
「まずやっておくべきは……」
誠司は高く積まれた資材の陰に隠れると、真っ先にパラドクスを発動した。
即席製作:無人爆撃機(インスタントメイク・ボムドローン)で爆弾を落とすタイプのドローンを生成したのだ。
だが、それを使うという選択肢は極力、取りたくない。
「何かあった時のためだな」
ここで有用だと思われるのは、残留効果として出現するフライトドローンだった。
「上手く釣れるといいんだが」
誠司は出現したドローンに、持ち込んだ宝石を取り付けてきらびやかに飾り始めた。
実のところそれらの宝石は本物ではない――つまりはイミテーションなのだが、欲に目が眩むような連中にはそれで十分だと誠司は考えていた。何しろ新宿島で手に入るような模造品の中には、一見しただけでは偽物とは思えぬものも多くある。素人には見分けなどつかないだろう。
「よし。あとは、だ」
労働者たちは汗塗れで働き、あまり周りを気にしているような余裕もなかった。ただ自らの労働を恨めしげにこなしているのだ。良くも悪くも、彼らには金を稼がなければならない理由があるのだろう。
身を隠していた誠司は、頃合いを見計らって声を発した。
「おい、あの浮かんでいるやつに宝石がついているぞ!」
どんよりした瞳をしていた労働者たちが、なんだなんだと天井を見上げる。
「売れば大金が入るに違いねぇ!」
その言葉とともに、多く者の瞳にドローンが映り込んだ。きらきらと輝く宝石が取り付けられているそれは、確かに魅力的だ。強制労働をさせられている者たちとっては、垂涎の的だ。
「俺が手に入れてやる!」
「くそっ! 待て、あれは俺のもんだ!」
フライトドローンには、ドローンの1つに簡単な命令が出せるという条件がある。誠司がドローンを操ると、目論見通りに労働者たちはそれを追いかけ始めた。もし贋作を見極めるような目を持つた者がいたら面倒なことになったろうが、ここにいる連中は、幸いそうではないようだった。
「これで時間も稼げるはずだ」
状況が状況だけに少々の騒ぎになったが、幸い、大天使たちのいる区画とこの建設現場は離れている。巡回のワイズガイの姿もまだ、なかった。
それを見計らって、誠司が『仕掛けた』のでもある。
それにしても、
(「まさかコーサノストラの住民全員がこんな感じとかないよな? ……いや、あって欲しくないなぁ」)
労働者たちがドローンを追いかけていくのを物陰から見送りながら、誠司は心の中で溜息をつくのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
シアン・キャンベル
目的:一般人に接触し、貴金属などを渡して交渉する
人間味に溢れた連中だ。面倒だが、嫌いではない
友達催眠で警戒心を薄くする
嗚呼――誰かと思えば、貴様等か。元気だったか。私は、普通だ
貴様等……連中から前金を貰ったと思うが、連中、人心の掌握に長けているらしい。もしかしたら、いや、確実に、仮に完璧に事を進めても、何かしら『此方の不備』を用意して前金のみで済ませようとしてくる可能性が高い。そもそも、前金も雀の涙だった筈だ
故に……貴様等、私の友として、より『良い条件』で此方につかないか? 嗚呼、ケチな事は謂わない
『貴金属』をやろう。我々の邪魔をしなければ問題ない。ああ、しかし、その程度の贈り物で満足する者は少ないだろう。……ディアボロスはいなかった。そう、上の連中に伝えた『良い子』にはより上質な『もの』を報酬として渡そう。ああ、そうだ。私が錬金した『もの』もその中に含めるとしようか。如何だ? 珍しいものは高値で売れるとは思わないか? この国でも滅多に見られない、私の棲んでいる地域特有の代物だ
宜しく頼む
「金のためとは言え労働ってのはキツいなァ」
「賭けに負けなけりゃ俺だって……」
アラスカ城塞の建設現場では、今日も今日とて労働者たちが汗水垂らして働いていた。どうやら店などもあるにはあるようだが、望ましい労働環境かと言えば……否だ。強制労働でそこまで高額な金が稼げるわけもない。
何らかの失敗を重ねて、彼らは此処にいるのだろう。
だが、ぶつぶつと文句を口にしながらも彼らは絶望などしていない。
自分たちは本来、自由の身だ。
この期に及んでも、そう思っている。
「人間味に溢れた連中だ。面倒だが、嫌いではない」
文句を言いながらそれでも働くしかないコーサ・ノストラの労働者たちを、シアン・キャンベル(ルログ・g01143)はそう評する。
欲望とは知性の証だ。深く思考を巡らせることができるがゆえに、人間は欲にまみれる。それはまた精神世界の極彩色の彩りとなる。
「接触してみるとしようか」
つかつか建築現場に歩みを進めたシアンを、数名の労働者たちが目に留めた。シアンは底しれぬ宇宙を思わせる漆黒の瞳に、それらの人々を映して、
「嗚呼――誰かと思えば、貴様等か。元気だったか」
「あ、ああ……お前は……いや、調子はどうだい?」
「私は、普通だ」
シアンの声が労働者たちの鼓膜を震わせ、脳に届く。その伝わり方は、通常とは少々異なっていた。
友達催眠。パラドクス効果がもたらした力によって、労働者の警戒心が薄まる。その状況を最大限に利用するようにシアンは言葉を口にした。
「貴様等……連中から前金を貰ったと思うが、連中、人心の掌握に長けているらしい」
顔を見合わせる労働者たち。
彼らが何かを言い出す前に、シアンは言葉を重ねる。
「もしかしたら、いや、確実に、仮に完璧に事を進めても、何かしら『此方の不備』を用意して前金のみで済ませようとしてくる可能性が高い。そもそも、前金も雀の涙だった筈だ」
「……確かに、あんな額じゃあなあ」
「ケチ臭ぇと思ってたんだよな。アイツら俺等を体よく利用するつもりなのか」
さもありなんとばかりにと頷くシアン。
「故に……貴様等、私の友として、より『良い条件』で此方につかないか? 嗚呼、ケチな事は謂わない」
労働者たちは胡乱げな表情をしたが、その反応は期待の裏返しでもある。何を言い出すのだろう――いやもしや耳寄りな話なのでは――?
その欲望を掻き立てるように、妖美な唇が動く。
「『貴金属』をやろう。我々の邪魔をしなければ問題ない。ああ、しかし、その程度の贈り物で満足する者は少ないだろう」
言いながらシアンは掌の上にある、怪しい輝きを放つ貴金属類に視線を落とし――そして労働者たちを視た。
「……ディアボロスはいなかった。そう、上の連中に伝えた『良い子』にはより上質な『もの』を報酬として渡そう。ああ、そうだ。私が錬金した『もの』もその中に含めるとしようか。無論、可能な限り危険が及ばぬように配慮しよう」
言葉はまるで魔術のように労働者たちに伝播する。
「如何だ? 珍しいものは高値で売れるとは思わないか? この国でも滅多に見られない、私の棲んでいる地域特有の代物だ」
「おい、どうする」
「どうするったって」
「ああ、協力者は少数でも構わない。人数が少ないほど、取り分は増えることになる。単純な計算だ」
欲望を煽り立てるシアンの言葉に、遂に労働者の一人が言った。
「……乗った」
「おい、テメエ独り占めしようってんじゃないだろうな」
「シケた前金よりずっといい。俺も乗ったぞ」
欲望が熱病のように伝染していく。
そのさまを見届けると、シアンはただ一言を以て、この『取引』を締めくくった。
「宜しく頼む」
超成功🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
「怪しい者の姿はない、ですか。攻めてきてもおかしくはないのですが……もしや、来ないなどということも……?」
大天使ミズメたちのもとへ、労働者たちが報告に来ていた。
彼らがディアボロスに買収され虚報を口にしていることなど、大天使たちは疑いもしていない。前金を渡したのだから、という思いもあるのだろう。
「もういいです。退がりなさい。何かあればすぐ報告を」
「へ? あの、報酬は」
「まだディアボロスが来ないと決まったわけではありません。貴方たちの役目はまだ終わっていないのですよ」
「……了解」
大天使たちが自分たちを体よく利用しているだけだとの確信を深めたか……やってられねぇとばかりに労働者たちが去っていく。
ドローンを使った誘導なども上手くいき、労働者たちがこれから始まる戦闘に巻き込まれることはないだろう。
「さて、警戒は密にしていましたが、どうしましょうか」
労働者の一群が去ると、大天使たちは会話を交わし始めた。
「監視は続けるとしても、少し緩めても良いかもしれません。常に緊張しているわけにもいきませんからね」
大天使たちの警戒心は、事実、労働者たちからもたらされた虚報により、かなり緩んでいた。
建設資材置場に偽装した陣地では、緊張の緩みからか余計な会話を交わす大天使の姿もちらほら。一応潜んではいるものの、こんなところへ先制攻撃を仕掛けられれば……不意を食った彼女たちの慌てようは、推して知るべしである。
シアン・キャンベル
さて――連中は『上手』に『良い子』を演技(し)てくれた様子
此処に奇襲を仕掛ければ素敵な素敵な宴になること間違いなし
しかし、大天使も堕ちたものだ。慾望渦巻く此処では、最早、羽根の生えている人に等しい
雛を使う。手頃なミズメの体内に……脳内に……可愛らしい雛を埋め込んでやろう。ああ、勿論、悉くは幻覚だ。幻覚だが……脳を喰い尽くされる感覚は本物だ。脳に痛覚はない? そうだろう。だが、生まれてくる気分の悪さは……まったく、効果的だろう
で、だ。私のパラドクスは『幻覚』だ。パラドクスを喰らっている本人は『わかる』だろうが、実際には何も起きていないように見える筈。勝手に、知らない内に、ひとりの味方が錯乱しているように思えるのだよ。場は混乱するか……或いは……この環境に耐えられなかったと判断するやもしれん
いや、まあ、流石に気付くか? 気付かれたなら此方に誘導を試みる
「ああ、貴様等。随分と顔色が悪い。餓えているのか?」
「可哀想に。可哀想だ。此処の連中は信仰心を知らない故」
「私は私の神を信じている」
嗤笑しよう
「さて――連中は『上手』に『良い子』を演技(し)てくれた様子」
ひたひたと忍び寄るシアン・キャンベル(ルログ・g01143)に大天使たちは気付かない。監視している者が、却って視られているという事実に、彼女たちは気付かない――。
「此処に奇襲を仕掛ければ素敵な素敵な宴になること間違いなし」
まるで獲物を狙う捕食者のようだ。
足音もたてずに近付き、致命的な一撃を与える機を窺う。
その耳に、大天使たちの交わす囁き声が届いていた。
「敵は必ず来る……そう思っていなければなりませんが」
「でなければ、ナハシュバト様に報告のしようもありませんからね……」
言い交わす『大天使』――その落日をシアンは思う。
「……しかし、大天使も堕ちたものだ。慾望渦巻く此処では、最早、羽根の生えている人に等しい」
ジェネラル級大天使である光剣のナハシュバトからして、逃げる算段を整えようとしているのだ。撤退の言い訳をするために、ミズメたちは此処に派遣されている。
そして彼女らは今、その翼さえももがれようとしていた。
シアンはコンテナや積まれた資材に隠れつつ、近づいていく。十分に様子を眺めることができる位置を占めると、パラドクスを解き放った。
「その体内に……可愛らしい雛を埋め込んでやろう」
手を伸ばす。
――孵れ。
思念とともに雛が孵る。
何処で?
体内――すなわちミズメの脳髄の中で。
「ひっ、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ああ、ああぁあああアアアアアアアアアア!」
哀れにも標的となった大天使は、頭を押さえてのたうちまわることとなった。
ぞりぞりと抉り、ぐぢゃりぐぢゃりと咀嚼する『雛』……数百もの未成熟なソレらが大天使の脳内で暴食の限りを尽くし、筆舌に尽くせぬ不快感と苦痛をもたらす。
「ああ、勿論、悉くは幻覚だ。幻覚だが……脳を喰い尽くされる感覚は本物だ。脳に痛覚はない? そうだろう。だが、生まれてくる気分の悪さは……まったく、効果的だろう」
悶え苦しむ大天使を眺めながら、シアンが詠うように言葉を口にする。これが一般人であれば、味方のひとりが前触れもなく錯乱し始めたように見えただろう。或いは緊張状態に耐えられずに発狂したと考えたかも知れない。
「何事!?」
「まさか……ディアボロス
……!?」
「流石に気付くか。矢張りそこまで間抜けではないらしい」
ミズメたちが祈りを光に変え、降り注がせる。だが動揺は、パラドクスの攻撃に負の影響を及ぼすもの。
幾筋もの光芒を浴びながら、シアンは一片の苦痛さえも表しはしない。
もう隠れる必要はなかった。
資材の影から歩み出たシアンが、大天使たちと対峙する。その妖しさと不気味さに、大天使たちは怖気を振るった。
「ああ、貴様等。随分と顔色が悪い。餓えているのか?」
「何を……」
シアンは人智を超えた蟲さながらに、大天使たちをその双瞳に映した。
「ディアボロスめ……!」
「見つけた以上、ここで……!」
ディアボロス急襲の報をジェネラル級に届けたい――それが大天使たちの思いだったろうが、さりとて、シアンに背を向けるわけにはいかない。
雁字搦めだ。
そして飢えている。
「可哀想に。可哀想だ。此処の連中は信仰心を知らない故」
肩を揺する。
くつくつと嗤う。
嘲笑。
「私は私の神を信じている」
大天使たちが絹を裂くような悲鳴を響かせた。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
はあ、あまり目立つことがなくて良かったが次からは気をつけるようにしよう
仲間のおかげで炙り出せたか。本当にありがたい
この機に便乗させてもらうとしようか
【行動】
パラドクス通信で仲間と連絡を取り合い積極的に連携していく
使用できる残留効果は全て使用
まずは隠れたまま蝶の形をした機械を製作し声が聞こえる方へ向かうように遠隔操作
蝶は敵の傍まで行ければ特殊な鱗粉を撒いて電撃に打たれたようなダメージと痺れを齎す
戦闘中に近づく動物なんていないだろうが
気が緩んでいる者ほど何処にでもいる蝶のような虫が近くにいても気にしないだろう
分身してもある程度の範囲を攻撃できるから問題ない
敵からの攻撃は盾のフェイク・プリドゥエンや電光警棒で受けて防ぐ
必要なら臨機応変に対処する
「はあ、あまり目立つことがなくて良かったが……」
労働者たちを安全圏に導いた荒田・誠司(雑草・g00115)は、ひとまず胸をなで下ろす。欲にまみれた人々と言えど、戦いに巻き込むわけにはいかない。
誠司の機転で、労働者たちの身の安全が確保されたのは、揺るがぬ事実だ。
これで心置きなく大天使やワイズガイと戦うことができる。
「さて、行くとしようか」
誠司は大天使が潜むという資材置場へと歩を進めた。もちろん、自らも資材やコンテナの影に隠れて、慎重にスニーキングしながらである。
「ナハシュバト様はああ言っていましたが、ディアボロスが攻撃をかけてくるのは間違いないのでしょうか」
資材置場で監視の任に当たっていた大天使『ミズメ』たちは、心中の疑念を持て余すように会話を交わしていた。労働者を頼りにしてしまったのが仇となって、監視は随分と緩んでいる。少なくとも、歴戦のディアボロスがつけ入ることのできる程度には。
「戦場でお喋りとはな」
誠司は聞き耳を立てると、声のする方角についておおよその見当をつけた。それからトラップメーカーと呼ばれる箱型の罠作成ツールを床に置き、解析能力補助ゴーグルと接続。
その時、悲鳴が響いた。
先行したディアボロスが、大天使たちを恐慌に陥れているらしい。
「仲間に感謝しないとな」
仕掛けるなら、今。
「この機に便乗させてもらうとしようか」
パラドクスの力を込めれば、作製された蝶がひらひらと舞って、誠司のゴーグルに映り込んだ。
模造製作:火花蝶(イミテーションメイク・スパークバタフライ)。
蝶はまるで大天使の声に誘われるように、翅を羽ばたかせ、接近していく。音もなく舞い寄る精巧な蝶に、大天使たちは気付かない。
「ディアボロスが入り込んでいるなんて!」
「労働者たちの報告は嘘だったというのですか
……!?」
狼狽する大天使たち――その体が、ビクリと震えた。
「ア……ガッ……」
「これ、は
……!?」
ただごとではない体の異常が、パラドクスによるものであることを、流石に大天使たちは即座に見破った。だが、その時点でもう致命的な隙を晒している。
――相手はクロノヴェーダだ。戦場に動物なんぞがいたら怪しむだろうが。
精神的動揺をきたしていたことが大きい。
ひらひらと舞っては鱗粉のように特殊な粉を撒き散らす蝶に、大天使たちは気付けなかった。
役目を果たした蝶が自壊していく。
「やはりナハシュバト様の仰るとおりだったのですね……!」
「この状況、報告せねば」
事ここに至っては、隠れてなどいられない。ミズメたちはパラドクスの力を解放して分身し、その力を以て侵入者である誠司を迎撃しようとした。
魔力を込めた光が、大天使の手のひらから迸る。
「遅いんだよ」
それを誠司はフェイク・プリドゥエンで防いだ。危急の際には一人用のジェットボードにもなるという『それ』に、魔力で紡がれた光が逸らされる。
「軽いもんだな。よほど慌ててるらしい」
ろくに狙いも定まらない攻撃で、誠司を仕留められるかといえば――当然、否だ。
再び戦場に蝶が舞い、鱗粉を被った大天使が次々に倒れ、痙攣しながら息絶えていった。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
監視の大天使たちの全滅を確認したあと、ディアボロスたちは施設の奥へと進んでいった。大天使との戦闘も上首尾に終わったことで、施設警備にあたるワイズガイ『レディスターズ』の機先を制することができた形だ。
上手く行かなかった場合、先にレディスターズに捕捉され、不利な状況下で戦わねばならないというパターンも有り得ただろう。
レディスターズは異常を察して動こうとしていたが、それより先にディアボロスが迫る。
「労働者たちの様子がおかしい。多くが持ち場を離れているようだ」
「調査し、警備も強化すべきだろう」
レディスターズが周囲を見回す。
ホールのような場所であるが、建築途中の施設とあって、そこにもまだ資材が積まれていた。レディスターズはその地点から、各区画に繋がる通路を手分けして廻ろうとしているらしい。
どのように攻めるか。
いずれにせよ、主導権は今、ディアボロスの側にある。
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
仲間の計に乗らせてもらおうか
こっちもそう言う戦法はある意味専売特許だ
上手く罠に引っかかってくれるなら万々歳なんだがどうなるかな
【行動】
仲間とはパラドクス通信を使って連絡を取り合い積極的に連携していく
まずはパラドクスを発動させて踏むと動く物を凍らせる水を噴き出す罠を仕掛けておく
仲間の計画に合わせて敵を誘導する
慌てふためく声で演技をしつつ
急行してきたところを狙い罠に嵌める
敵の前方にいる一部が凍結するはずだ
泥濘の地を発動させて更に滑りやすくする
そうすればワイズガイとはいえ
少しは仲間が攻撃する隙も生まれるだろう
敵の攻撃は盾のフェイク・プリドゥエンで受けて防ぐ
真正面から受けると消耗が激しいだろうから出来るなら受け流したり
攻撃を受けたのと同じ方向に跳んで勢いを殺す
必要なら臨機応変に対処する
シアン・キャンベル
ふむ……連中、愉快に踊ってくれると視た。そうだな。折角、有利を取れたのだ。可能なのであれば……一体一体、確実に潰していきたいところ
たとえば、だ。たとえば『空想科学コーサノストラの一般人』に変装する事は出来ないだろうか。先程まで話をしていた連中の『服』を着る事は可能だろうか。もし、可能であれば……
……ああ! 畜生! なんだってこんなことに!
よ、ようやく見つけた! たいへんなんだ!
あの人たちがやられた……油断していたところを一網打尽だ
誰がやったって? それは……
裏切り者だよ! 誰かが賄賂を受け取ってやりやがったんだ!
な、なあ。アンタら、アタシは報告したんだ
もうちょっと、報酬を……金を、増やしてくれたって……
うわ! もう来た! 何? 見えないって
あっちだよ……あっち!!!
離間の計。場を混乱させる事に成功したなら、他の復讐者も攻撃し易いだろう。……嗚呼、しかし、貴様等。気付くのが早いのではないか。もう少し、私を疑わないでくれたなら嬉しいのだがな
私が復讐者だと暴かれた場合? 派手に立ち回るとしよう
「警戒を密にせよ」
「もし侵入者を発見したら、即座に排除するのだ」
「一度ディアボロスに侵入された以上、油断など出来たものではない」
女性からなるワイズガイ――レディスターズは機械的に変換されたような声で言い合うと、警備を再開した。
「ふむ……連中、愉快に踊ってくれると視た」
レディスターズがいるホールのような場所からは、幾つかの通路が伸びている。そのうちの一本にシアン・キャンベル(ルログ・g01143)は潜み、先程から敵の動向を注視していた。
敵はそれなりの手練れだ。
ここで下手を打てば、折角手にした有利な状況も崩れ去りかねない。
と言って、無為無策に突っ込むだけというのも些か芸がない。
「……さて。上手く事が運ぶかだが」
コンテナの影に姿を隠したシアンはいま、労働者の格好をしていた。
その服は、先ほど取引きした者たちと再び接触して借り受けたものである。労働者の中にも女性はおり、上着などの体に合いそうな服を手に入れることはできた。
もちろん相当の対価を握らせたのは言うまでもない。
少々時を要してしまったが、レディスターズは未だホール周辺の警戒を続けていた。或いは城塞の奥へと入りこまれぬよう、警戒しているのかも知れない。
「……ああ、聞こえるか。こちらは上首尾だ。服も着替えた。作戦通りに事を運ぶとしよう」
シアンは味方がもたらしたパラドクス通信機を口元に当て、小さく声を送った。
「あとは向こうの出方次第というところもあるが、幸運を祈る」
パラドクス通信機から届いたシアンの声に、荒田・誠司(雑草・g00115)はそう応答した。労働者との交渉が済むまでの間、誠司は警備部隊であるレディスターズの動きを探って共有するという重要な役割を果たしていたのだ。
「さて」
誠司もまた廊下に積まれた資材に隠れて、状況の進展を窺う。
それにしても、奇抜な作戦である。敵拠点ならではの搦手であり、ある種の賭けだが……こっちもそう言う戦法はある意味専売特許だと誠司は思う。
シアンと連携して仕掛けるのは、言わば二重の罠だ。
「上手く罠に引っかかってくれるなら万々歳なんだが、どうなるかな」
相手はクロノヴェーダだ。下手にパラドクスを使用してしまうと、それだけで位置が露見するかも知れなかった。
だからこそ、
――仕掛けるタイミングを逃すわけにはいかないな。
好機をものにするためにも、今は息を潜め、シアンの成功を祈るしかない。
「……ああ! 畜生! なんだってこんなことに!」
そう叫びながら大慌てで通路を走ってくる女労働者に、レディスターズは目を留めた。流石に手練れだけあって、銃を構えてのことである。
「……ム?」
「何事だ」
労働者――シアンはレディスターズを見ると、必死に呼吸を整えて、
「よ、ようやく見つけた! たいへんなんだ! あの人たちが殺された……油断していたところを一網打尽だ」
「殺された?」
「ほう、話してみろ」
レディスターズがシアンの頭に銃口を向ける。
警戒しているのは明らかだった。
下手をすれば一転して危機に陥りかねない状況の中、シアンは息を弾ませる演技をしながら説明する。
「……裏切り者が出たんだよ! 誰かが賄賂を受け取って、怪しい奴らに情報を売り渡しやがったんだ!」
裏切り者。賄賂。レディスターズたちが顔を見合わせる。
「裏切り者だと」
「確かに労働者どもの動きは妙だが……」
「やはりディアボロスが……」
レディスターズは不審に思いつつ、決定的な行動には出られないでいた。シアンの言が『嘘の中に真実を混ぜるべし』というよく言われる鉄則に則っていたからでもあろう。
「な、なあ。アンタら、アタシは報告したんだ。もうちょっと、報酬を……金を、増やしてくれたって……」
まさにこのディヴィジョンの労働者が言いそうなことである。
レディスターズは呆れたように首を振って、
「事情聴取は終わっていない。貴様にも不審な点がある。そう、身分し――」
「うわ! もう来た! ほら、あっちだよ……あっち!!!」
流石にそのような古典的なやり方に引っかかるレディスターズではないようだったが、その時、絶妙なタイミングで声が上がった。
「おい、こっちに怪しい奴がいるぞ!」
廊下に潜んでいた誠司が、ここぞと大声を発したのである。それがシアンの後押しとなって、レディスターズが声のした方を向く。
「何事か!」
それだけでなく、シアンと誠司の声を聞きつけて、周辺を警備していた者たちが慌ててかけつけてきた。
――今だ!
奥から駆けてくる増援を見て取った誠司は、ここぞとパラドクスを発動させた。
罠設置:凍水(トラップインストール・フリーズ)――超常の力を解放して廊下に特殊な水を放出する罠を打ち込めば、その上を通過したレディスターズが水を浴びて凍結する。
「やはりディアボロス……!」
「生きては帰さんぞ!」
凍れる体を無理矢理に動かして跳躍し、両腕のアームブレイドを高速回転させるレディスターズ。その斬撃は、しかし誠司に読まれ、対応されることとなった。体が凍ったことで、本来の高速機動が著しく制限されていたのだ。
「直撃はしたくないな……!」
フェイク・プリドゥエンで防げば、ギャリリリリ! とまるで円形カッターが金属を抉るような音を立てて火花が散る。
猛攻を続けようとしたレディスターズたが、その凍った足がバキリと折れた。
「……!?」
「無理しすぎだぜ」
倒れるレディスターズを見下ろした誠司が、その時、狂乱の叫びを聞いた。
「おいお前、どうしたというのだ……!」
「は、反逆者め、裏切り者は皆殺しだ……!」
レディスターズのひとりが、シアンのパラドクスで幻影を見せられていたのだ。
近未来的なスーツを身に纏っていても、精神までは鎧えないらしい。
もちろん精神を苛まれたレディスターズとて、すぐさまビームガンで反撃した。周囲の景色に紛れて射撃を行うカモフラージュアタックは、しかしこの場合、却って狂乱を助長するかのようだった。四方八方にビームガンを乱射し、発狂して倒れていくさまは悪夢的だ。
「ふむ……上手く行ったようだ。単独ではこうはいかなかったろうが」
状況に頭が追いついていないレディスターズを、一人また一人と精神の毒牙にかけていくシアン。多数を巻き込む誠司のパラドクスも存分に威力を発揮し、集まってきたレディスターズは壊滅した。そもそもこの城塞には、そこまで多くのクロノヴェーダが常駐しているわけでもない。
「……嗚呼、しかし、貴様等。こんな失態を演じるとは、張り詰めすぎて視野狭窄にでも陥っていたのではないか」
最後のレディスターズが狂死するのを見下ろしてシアンが言う。
誠司は念のため周囲を警戒し、敵が来ないことを確認した。
「これで全部か。あとはアヴァタール級だけだな」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
【友達催眠】がLV3になった!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!
「侵入を許すとはな……。ディアボロスめ……」
廊下の先にあるホールに、アヴァタール級の姿があった。
名を『クイックスター』――俊敏な動きが特徴のワイズガイである。半ばエネルギー化した肉体を持ち、空中を跳躍しながら攻撃を仕掛けるその戦闘能力は、手練れのディアボロスにとっても間違いなく脅威だ。
「ここを抜けることは許さん。こそこそ入り込んで来ようが、ここで皆殺しにしてしまえば良いことだ!」
言うとクイックスターはエネルギー化した肉体を蒼く輝かせた。
氷渡・秋水
(トレインチケット)

タタミ・ヤスマ
(トレインチケット)
「ディアボロスめ。上手く侵入できたつもりだろうが、ここから先へは進ませんぞ!」
空想科学コーサノストラ――アラスカ城塞内部。
ホールを思わせる広間で、ワイズガイであるクイックスターがディアボロスたちを威圧する。
霊体化した半身を炎のように燃え立たせるその姿は、異様だ。
「あれが、ここを守るワイズガイ、ね」
戦場に降り立ったタタミ・ヤスマ(幼幻竜・g01941)は、異形の敵を見据えて呟くように言った。
クイックスターには脚がなく、独楽のような機構で宙に浮遊している。ワイズガイとの対峙はこれが初めてだが、如何なる相手であっても、クロノヴェーダであることに変わりはない。
であるなれば――討ち果たすのみ。
「それって、こんなところまで入りこまれた奴の台詞かなー?」
同じく戦場に降り立った氷渡・秋水(秋空の陽動人・g05481)は、声と表情で敵を嘲笑う。
「なんだと貴様……!」
クイックスターがエネルギー化した両腕を燃え上がらせるのを見て、秋水はほくそ笑んだ。効いている。
「それじゃ、正々堂々と勝負しようよ!」
秋水はR-44フルオート拳銃の銃口をクイックスターに突きつけて言った。正々堂々? 冗談じゃない。それが本心だが、敵を騙すのには言葉そのものも武器になる。
見たところ目の前のワイズガイは、武闘派かつ直情径行な相手で、
(「つまり脳筋ってやつよね」)
そんな手合いとガチなタイマンなんてまっぴら御免な秋水である。
「クハハハハ! 望むところだ。後で後悔するなよディアボロス!」
「……死んでいって」
言葉とともに、タタミの体からオーラが迸った。肉体とそして魂――秘められし力が熱と光を放ち、幻影を生み出す源となる。肉体をエネルギー化したワイズガイにとっても、それは目を見張るほどのものだった。
「いくら小細工を弄しようと、貴様らに俺は倒せんぞ!」
クイックスターは空中浮遊しながら滑るように距離を詰めてくる。振るうのは霊体化した蒼き爪だ。それをタタミはバックステップで躱していく。
「どうしたどうした、避けるだけか!」
(「……速い、けど、見切れないほどではないわ」)
タタミの考えを嘲笑うかのように、クイックスターは笑い声を発した。
「では、これならどうだ!」
不意に両の爪――エネルギーで出来た二爪が消えた。不可視化。見えざる爪を縦横無尽に振るうゴーストクローインパクトは、タタミ、そして秋水を八つ裂きにしてしまうと思われた。
「避けられるものなら避けてみるがいい!」
言いながら突っ込んでくるクイックスターに、秋水は銃弾を送り込みながら高速移動シューズで距離を取る。空気の噴射音とともに秋水の体が宙に運ばれ、銃弾をものともせずに接近してきたクイックスターの不可視の鉤爪が、秋水の喉をかすめる。
鈎爪の使い方には、一家言ある秋水だ。
(「これと正面からなんてやりあいたくないね」)
「倒れるわけには、いかないわ。敗けるわけにも、ね」
一方のタタミは、見えざる爪を灼光気で防ぎ、致命傷を避けていた。
「フハハハハハ! 逃げてばかりいられると思うなよ!」
敵の高笑いに、苦笑を浮かべる秋水。
クイックスターは秋水が本当に追い詰められていると錯覚したらしい。
実際、秋水の背後にはコンテナがある。
もう後退はできない。
横に跳んだとしても、クイックスターの攻撃を避けきることはできないだろう。
だが秋水には嘲笑うような笑み。
一方のタタミの瞳も、落ち着きを示したまま。
それに疑念を抱いたクイックスターは次の瞬間、思いもかけない方向からの連撃に、うめき声を上げることとなった。
背後から痛打を見舞ったのは、妖精だ。
「これなら、捉えられるわ……!」
タタミのフェアリーコンボが炸裂したのだ。
それだけではない。
「使えるものは何でも使うってね」
クイックスターの背後、そして側面から飛んできた弾丸が霊体化していない部分を穿っていた。
「な、ッ
……!?」
「跳弾にご注意ってやつね。建設資材がゴロゴロしてるし、ここはホールだからさ。結構、狙いやすいってワケ」
バランスをくずしかけたクイックスターに秋水が種明かしをする。もちろん、説明されなくてもクイックスターはそれを理解しただろうが、既に手痛いダメージを負ってしまった今、悔やんでも後の祭りだ。
「削るだけ削ったら、あとは任せましょう……」
妖精との連携攻撃でクイックスターにダメージを与えたタタミは、秋水と目配せして頷き合うと、床を蹴り、大きく距離を取った。
善戦🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【傀儡】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV5になった!
【命中アップ】がLV3になった!
シアン・キャンベル
嗚呼……残るは一体、強力な相手のみ。油断はしない。いや、油断など出来ない相手だ
奇襲は……最早、不可能か? ならば【パラドクス通信】での連携を絶やさず【泥濘の地】で奴の行動を阻害するとしよう。【フライトドローン】には奴の邪魔をしてもらいたい。蠅のように、だ
待て? 空中跳躍だと? 飛行はしないよな?
……問題点がひとつ。いや、個人的な話にはなるのだが。あの螺旋、少々、眩暈がするのだよ。まったく勘弁してほしいものだ。私は元から酔い易い体質だと謂うのに……。出来る限り喰らいたくはない、が、必要であるならディフェンスも考えておこう
貴様、貴様の体内は『雛』の餌として上出来なのか否か、試しておきたい。もしも上出来なのであれば、今後も、ワイズガイを相手に使えるからな
会話も試みてみようか
もし、乗ってきたら味方が攻撃する隙にもなるだろう
答えの有無も重要だがな
そうだ。貴様、ひとつ訊きたい
このディビジョンには様々な職を持つワイズガイがいるらしいが、
『作家』は存在しているのだな?
……『ホラー作家』だ
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
気づくのが遅れたようで何よりだ
簡単に殺されてやるかよ
ここまで来たんだ。最後まで押し通る!
俺だけで戦っているとか思っていたか?卑怯というなら言えばいい。俺にとっては褒め言葉だ
【行動】
仲間とはパラドクス通信を使い連絡を取り合い積極的に連携する
使える残留効果は全て使用
まずはパラドクスを使いイモ貝型の機械を製作し設置する
機械は敵に向けて歯舌を刺して毒を注入して攻撃するものだ
敵からの攻撃は盾のフェイク・プリドゥエンで受けて防ぐ
敵の攻撃を受けてしまえば動きは封じられるだろうが
俺は囮で本命は設置した機械による攻撃だ
相手は生物に見えないがパラドクスである以上は毒も効くだろう
仲間が攻撃するいい隙になってくれるはずだ
必要なら臨機応変に対処する
「小癪なディアボロスどもめ、この城塞に入り込んだこと、後悔させてやる!」
クイックスターがエネルギー化した腕と爪を燃え上がらせた。
ディアボロスたちを威圧し、隙あらば致命的な一撃を与えようと身構えているのだ。
「嗚呼……残るは一体、強力な相手のみ。油断はしない。いや、油断など出来ない相手だ」
シアン・キャンベル(ルログ・g01143)は決戦の舞台に踏み込むと、ゆらりとした立ち姿のまま、眼前の敵を見据えた。
エネルギー化した半身を持つクイックスター、その異形は空想科学的な趣がある。
俊敏な動きを得意とするこのワイズガイにとって、ホールらしき広間は好都合な戦場なのだろう。
「随分と自信満々のようだが、それにしては気付くのが遅かったな」
共に戦場に踏み入った荒田・誠司(雑草・g00115)が挑発する。
城塞への侵入を許したばかりか配下まで倒され、敵は憤っている。
そうした敵の心理を更に掻き乱してやるのも、有効な手だ。
「フン! 貴様らはどのみちここで皆殺しになるのだ」
「簡単に殺されてやるかよ。ここまで来たんだ。最後まで押し通る!」
誠司の言葉は、敵の注意を逸らすためのものでもあった。既にトラップメーカーとゴーグルの接続は完了している。
(「上手くいくといいんだが」)
(「奇襲できればと思ったが……流石にさせてはくれんか。さて……」)
騒ぎを聞きつけてきたクイックスターは、手ぐすね引いてディアボロスたちを待ち構えていた。いずれにせよ奇策が功を奏する相手でもなさそうだとシアンは即断する。
だが、戦闘力はともかく、ディアボロスへの対応は明らかに後手後手だ。部下を失い、単身、侵入者と対峙せざるを得なくなっているという事実が、それを証明している。それだけディアボロスの手際が鮮やかだった、とも言えよう。
「ムウ、なにか企んでいるな貴様ら。だが俺は手下のようにはいかんぞ」
「なに、騙されてくれるなどとは思っていないし騙そうとも思ってはいない。だが此処は貴様の領域らしい。少々戦いづらくしてやるのもいいだろう」
「ほう、やれるものならやってみるがいい」
言うやいなや、クイックスターはシアンめがけて猛突進を仕掛けてきた。その足元が泥濘に変わる。
「ドローンにも妨害してもらうとしよう。『蝿』のようにな」
行く手を阻むように出現したのはフライトドローンだ。
しかしクイックスターはものともせずに突っ込んでくる。
「床を泥濘に変えたか。だがこんなものでなんとかなると思うなよ!」
滑るように距離を詰めてくるクイックスター。その奇妙な『一本脚』に螺旋状のエネルギーを纏わせると、異形のクロノヴェーダは跳んだ。
「待て? 空中跳躍だと?」
片眉を上げるシアン。こうなると泥濘もドローンも役に立たない。
「フハハハハ、喰らうがいい!」
天高く跳んだクイックスターの脚は高エネルギーのドリルと化していた。ぐるぐるぐるぐるぐるぐる――ほんの一瞬のことだが、それを見上げるシアンの目までぐるぐるしていた。
(「これは酔う……酔わずにいられるものではない」)
是非もないと言うべきか、直後の回転突撃をまともに食らったシアンが派手に吹き飛び、広間の壁際に積まれた資材を派手に撒き散らした。
「おい、大丈夫か!?」
「ホウ、味方の心配をしている余裕があるのか? 貴様も血祭りにあげてくれるわ!」
クイックスターは高く飛び上がると、独楽の先端のような脚部に燃え上がる蒼きエネルギーを集中させた。射出されたそれが誠司の動きを阻害し、回避行動を取らせない。
打ち続く回転突撃こそ本命。
螺旋状に渦巻くエネルギーを纏った急降下攻撃はスパイラルエナジーの名のもとに、無視できぬ痛打を与える――!
「避けられないなら、防ぐまでだ!」
フェイク・プリドゥエンを掲げて受けるも、その威力はトループス級の比ではない。ギリリと歯噛みし、煙を上げるほどに靴で床をこすりながら防ぎ切ろうとする誠司。そのまま吹き飛ばされると、背中からコンテナに叩きつけられた。
だが誠司は、口から滴った血を腕で拭い――そして笑う。
「――かかったな」
「なんだと
……!?」
――模造製作:身無貝(イミテーションメイク・コナス)。
攻撃に注力する余り、クイックスターは自らの周囲で牙を剥いた罠に対応できなかった。機械の芋貝が銛のような歯舌を伸ばして四方八方からワイズガイの体を串刺しにする。いや貫いただけではない。
「痺れるだろう? その毒はお前らにだって効くはずだぜ」
「グ、ヌゥ……!」
事実、クイックスターのエネルギー化した爪や肩が、まるで病んだ心臓のように脈動していた。
「スピード自慢なんだろうが、もう元の通りには動けないだろう」
「卑怯な……!」
「そう言いたいなら言えばいい」
ゴーグルに隠れた口元がまた笑みを形作った。
数で強大な敵を圧倒するのがディアボロスだ。
敵が強ければ、それなりの対策を考え、実行に移せばいい。
それを卑怯?
だとすればそれは、
「――俺にとっては褒め言葉だ」
言葉を口にするとともに、誠司は横目で崩れた資材の方を見た。
「それに……俺だけで戦ってるわけでもない」
シアンがゆっくりと立ち上がる。
「まったく勘弁してほしいものだ。私は元から酔い易い体質だと謂うのに……」
「貴様、まだ動けるというのか」
「ありがちな台詞を吐くものだな。確かに危ないところだったかも知れないが、なに、そこまでのものではない。それにまだ訊いておかねばならないこともあるのでな」
敵の沈黙を都合よく取って、シアンは語を継いだ。
「では問おう。このディヴィジョンには様々な職を持つワイズガイがいるらしいが、『作家』は存在しているのだな? ……『ホラー作家』だ」
「フン、答える必要などないな」
「……そうか。ならばこれで終わりにしよう」
短く答えると、シアンの宇宙を映したような黒瞳がいまいちどクイックスターを捉えた。
――孵れ。
ワイズガイの体内に埋め込まれた雛。それは先程、急降下攻撃を受けた際に反撃で埋め込んでいたものか。エネルギーを、頭蓋の中を貪るように食らいつき食い破る無数のそれらに苛まれ、クイックスターは先刻大天使がそうしたように頭を押さえて苦悶する。
「――――
…………!!!!」
そこから先のクイックスターの戦い振りは、まさに狂ってしまったかのようだった。エネルギー化した爪は何かを振り払うように振り回され、独楽さながらに暴れまわる。
「このまま押し切れるな」
「残らず喰らい尽くさせるとしよう。と言っても、あれが体感しているのは幻なのだが」
ワイズガイの絶鳴がホールに響き渡る。
全身に毒を流し込まれ、雛に肉体を食い破られて――それは壮絶な悶死であった。
「満足な答えがなかったのは残念だが、収穫は有った」
「それに侵入から戦いまで、かなり上手くやれたんじゃないか」
周囲に敵の気配がないか探りながら誠司が言うと、シアンの頷きが返ってきた。
ホールに残されたのは、エネルギーの残滓を揺らめかせるクイックスターの亡骸。
二人の活躍で、アラスカ城塞の制圧は大きく成功へと近づいた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】がLV4になった!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV6になった!
【グロリアス】LV1が発生!