リプレイ
柳・凛風
あの筋肉と女の事しか考えて無いような連中を、よくもまぁここまで上手く統制したものネ。
亜人が鍛えて真剣に戦うってならこれはかなりの強敵ヨ?
ここの神様方、随分頑張ったと見えるネ。
その努力に敬意を評して、ワタシも全力で対抗させてもらうとするヨ。
直接本能に訴えようって言うなら、色々策を弄するよりも直球でお肌を見せつつお誘い申し上げるのが良さそうネ。
前に仕立てた水着の内で一番肌が出てるのを選んで着た上で亜人達の前に登場するヨ。
本性を考えたら、アイツらは理由やシチュエーションを気にする連中じゃない気がするネ。
ワタシもそんな妖艶なステキスタイルしてる訳じゃないけれど、連中の繁殖したいって欲求に訴求できるくらいではあると思うのヨ。
上着も脱いで見せれば、訓練や進軍の事なんかより目の前の半裸の女の事で頭がいっぱいになるはず。
もちろん誘惑に抵抗するヤツもいるだろうけど、泥濘の地で移動力を落として女の近くにいる時間を長くすればきっと本能が勝つネ。
どーよ素敵な筋肉のお兄さん方、戦闘なんかよりこっち来ないアルか?
「あの筋肉と女の事しか考えて無いような連中を、よくもまぁここまで上手く統制したものネ」
精悍なる、マッスルゴブリンズ部隊。
その亜人らしからぬ面構えを実際目の当たりにした柳・凛風(酔龍・g04711)は、ふむむ、と感心していた。
狸神こと魔法さまの方が、よっぽど緊張感のない顔をしているくらいだ。
「亜人が鍛えて真剣に戦うってならこれはかなりの強敵ヨ? ここの神様方、随分頑張ったと見えるネ」
ここは阿修羅王の努力に敬意を評して、凛風も全力で以て対抗させてもらうとしよう。
「…………」
「…………」
進軍するマッスルゴブリンズに、私語はない。筋肉語もない。
ただ黙々と、淡々と歩みを進めるだけ。亜人のアイデンティティを押し殺したその姿は、ギャップも相まって、機械的ですらある。
「……んっ?」
ぴた。
最前列を進んでいたマッスルゴブリンが、不意に足を止めた。
突如行く手に現れた凛風を、怪訝そうに見つめて。
「水、着……」
ぽつり。
マッスルゴブリンが呟いた通り、凛風は水着姿だった。
直接亜人の本能に訴えようって言うなら、色々策を弄するよりも直球でお肌を見せつつお誘い申し上げるのが良さそうネ。
そんな考えの元、以前仕立てた水着の内、最も肌の露出度が高いものを選んで、亜人達の前に登場したのである。
いきなり水着美女がこんなところに現れたらおかしいと思うのが、まあまあ普通の感性であろう。
だが、如何に練度を高めようとも、本性は亜人。
凛風の予想というか期待通り、マッスルゴブリンは、なぜ自分達が水着姿の凛風と遭遇したのか、理由はおろか、シチュエーション自体に疑問を抱く様子は見当たらなかった。一切。
「どうしたぽん? 何か問題が発生したぽん?」
後方から、指揮官である魔法さまの問いが飛んでくるが、マッスルゴブリンズの意識と視線は、凛風に釘付け。それどころではない。
正直、凛風としては、さほど妖艶なステキスタイルだという自負があるわけではない。
けれども、マッスルゴブリンズの内なる繁殖欲求へと訴求するには、十分であった。
まだかろうじて自制が利いているものの、明らかに欲望の扉は開きかけている。
それを見て取った凛風は、ふぁさっ、と上着を脱いで見せた。
「!!!!」
凛風の肌を目の当たりにした瞬間、マッスルゴブリンズの理性が飛んだ。
訓練や進軍の事など、いっぺんに吹き飛んだ。目の前の半裸の女の事で、頭がいっぱいだ!
「オンナ……オンナだッ!!」
「見ろッ、この筋肉ゥ!!」
整列は一瞬で乱された。凛風を囲み、筋肉見せつけタイムが始まる。
堕落はあっという間に広がったので、えらい騒ぎに発展した。
だが、何事にも例外というのはあるもので。
「お、俺はっ、阿修羅王様に認められた男ッ……この程度の誘惑に負けはしない……」
「おや、立派な心掛けのヤツがいるようネ」
気合一発踏み込み、必死に誘惑に耐えるゴブリンの足元を、泥濘に変えてやる。
凛風から離れようにもうまくいかず、魅惑のボディをたっぷり見続ける羽目になった。
「どーよ素敵な筋肉のお兄さん方、戦闘なんかよりこっち来ないアルか?」
「……ッ」
長く欲望に晒されれば、やはり亜人の本能が勝つわけで……。
「……もう我慢できない! 見ろやこのマッスルーッ!」
ぴょーん、と、凛風の元にダイブしてくるのだった。
阿修羅王も悲しむこと請け合いの、本能丸出しの顔つきで。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
柳・凛風
おやま、随分うまく行ったものネ。
これだけ入れ食いだとちょっと嬉しいくらいヨ。
でもまぁアナタ達と遊んであげる時間と趣味はないのよネ。
筋肉言語で相互理解はちょっとご遠慮申し上げるヨ!
さて、相手が何してくるかはよく分かんないけど……この暑苦しいのにはあまり近付きたくないネ。
この分じゃ離れていてもすぐに追い掛けて来てくれそうだし、わざわざ飛び込む必要もなさそうヨ。
接近してくる敵と自分好みの間合いを保ちながら、オーラの剣でぶった斬ってやるネ!
ワタシ達の戦いに距離は関係無いけど、やっぱりこっちのペースに巻き込んでいける距離に持って行くのが良いよネ。
幸い今回、敵は冷静さを欠いてるっぽいヨ。
このまま水着でアイツらの本能をかき乱して、さっきまでの澄ました姿になんて戻す事なくやっつけてやるネ!
コイツら厳しく訓練しても無駄ってトコ、見せてやるヨ!
ポーリーン・フォレット
あらまあ、亜人は相変わらずなのねえ…
分かりやすい性質なのは作戦が立てやすくて助かるけど、若い女の子が立ち向かうのはやっぱり心配になっちゃうのよね!
それにね、汚らわしい亜人たちが気安く触れて良いお肌じゃありませんもの!
こんな時こそおばあちゃんな私の出番だと思うのよ、さ!頑張りましょ♪
アイリーンを背に庇いつつ加勢するわね
敵はすっかり凛風ちゃんにメロメロですから(無理もないわね!)
隙を付いて攻撃できるんじゃないかしら!
さ、暑苦しいゴブリンさんを綺麗に浄化しに行くわよー!
サントリナの花言葉のひとつは「悪を遠ざける」なの。
今の状況にピッタリじゃないかしら?
女の子には指一本触れさせない!そんな願いを込めてアイリーンと一緒に祈るわね。
それにしてもゴブリンさんが何を言っているのかよく聞き取れないわねぇ…
ますます耳が遠くなっちゃったかしら?
ま、それが例え平和的な対話を望む内容だったとしても聞いてあげるつもりも無いんだけどね♪
それにしても亜人はやっぱり亜人よね!
アーディティヤたちに扱いきれるのかしら?
「おやま」
思わず一声。
マッスルゴブリンズの、絵に描いたような堕落。柳・凛風(酔龍・g04711)は、期待以上の戦果に、ちょっぴり驚いていた。
「随分うまく行ったものネ。これだけ入れ食いだとちょっと嬉しいくらいヨ」
「女! 女!」
「筋肉! 筋肉!」
ぐいぐい。
マッスルゴブリン達は、凛風に、これでもかと筋肉を見せつけてくる。
その筋肉ハラスメント……蹂躙の魔手から救い出すべく、ポーリーン・フォレット(エルフのおばあちゃん・g06164)が立ち上がった。
鼻息荒く、本能と筋肉を剥き出しにしたマッスルゴブリンズに、ポーリーンは、困った孫を見るようなまなざしを注ぐ。
「あらまあ、亜人は相変わらずなのねえ……」
「むっ、新たな女子の気配!」
ぶん! 風切り音すら立てて、ゴブリンズがポーリーンの方を振り返る。
「分かりやすい性質なのは作戦が立てやすくて助かるけど、若い女の子が立ち向かうのはやっぱり心配になっちゃうのよね!」
それとなくアイリーンを、そして凛風を背にかばうように、敵陣の前に歩み出すポーリーン。
「それにね、汚らわしい亜人たちが気安く触れて良いお肌じゃありませんもの!」
こんな時こそおばあちゃんな私の出番……ポーリーンは、年の功、落ち着き払った心と、使命感に燃える心、2つを抱いて立ち向かう。
「さ! 頑張りましょ♪」
おちゃめにウインクするポーリーンに、頷く凛風。
しかし、凛風達のいる戦場は、煩悩オーラで高濃度。先ほどまでの秩序に満ちた空気は、ウソのように霧散している。
「ハアハア……オンナ……キンニク……!」
「あいにくとアナタ達と遊んであげる時間と趣味はないのよネ。筋肉言語で相互理解はちょっとご遠慮申し上げるヨ!」
「ノーッ! なら力ずくで筋肉の世界に引きずり込むまで!」
ド直球の拒絶に悲嘆したのも束の間。
ゴブリン達は、持ち前の筋肉的ポジティブで、凛風に襲い掛かった。
化けの皮が剥がれたといっても、亜人は亜人。繁殖欲のみならず、筋肉欲の化身……!
「一体何をしてくるつもりネ」
その引くほどの丸出し本能に、思わず身構える凛風。
バックステップも織り交ぜ、相手から適度の距離を取る。
凛風達の繰り広げる逆説連鎖戦において、距離はあまり関係ないとはいえ、自分のペースで戦えるに越したことはない。
しかし、一番の本音は、
「この暑苦しいのにはあまり近付きたくないネ」
今の亜人どもなら、ほっといても勝手に追いかけてくるだろうと読んだし、実際そうだった。
うごうご烏合の衆。統制の『と』の字も見当たらない。我先にと凛風に襲い掛からんとする姿は、ある意味、亜人の鑑。
「ぬんぬんぬんぬんぬんぬん!!!!!!」
ゴブリンの突進と共に、熱気が凛風に吹き付ける。
「これが筋肉言語……?」
「ンンッ、マッソー!!」
びしぃっ!
大気が震えた。
ゴブリンは、ポーズを決め、筋肉を見せつけたのだ。凛風に。
「……で?」
真紅一閃。
凛風のオーラの剣が、ゴブリンを斬り捨てた。
「はううッ! 同志! 同志ーッ!」
「フッ、これでライバルが1人減ったワケだ」
亜人の筋肉ヒエラルキーは、非情だった。
凛風の誘惑によって、これまでの禁欲的な精神が崩れた反動だろう。敵は、冷静さを著しく欠いている。悪い意味でリミッターが外れている。
だとしても、凛風は手を緩めない。水着姿で躍動し、その魅力を亜人の目に焼き付ける。存分に。
「なんて健康的な姿態……ッ」
「う~ん、イイ」
視線は釘付け。そんな油断を、凛風が見逃すはずがない。
「さっきまでの澄ました姿になんて戻す事なくやっつけてやるネ! コイツら厳しく訓練しても無駄ってトコ、見せてやるヨ!」
「なら俺達の筋肉も見ろッ! それがマッスルコミュニケーションだッ!」
凛風の戦意と、マッスルゴブリンズの本能。
2つがぶつかることによって、火花が、そして汗が散る。
しかし実際は、飛び掛かってくる敵を、凛風が次から次へと斬り倒していくだけだ。
と、いうわけでゴブリンズは、すっかり凛風にメロメロ。手玉に取られた敵群に、ポーリーンがつけ込んだ。
「さ、暑苦しいゴブリンさんを綺麗に浄化しに行くわよー!」
女の子には指一本触れさせない! 強い願いを込めて、アイリーンと一緒に祈るポーリーン。
その思いは届いた。天から、光の花が降り注ぐ。
「ン、これは!」
「俺達の筋肉を、世界が賛美しているというわけだなッ……ギャーッ!」
能天気にポージングを決めるゴブリン達は、花に触れるなり身を焼かれた。
亜人達の邪な心を、煩悩を、舞い散る花が清め、祓っていく。
「サントリナの花言葉のひとつは『悪を遠ざける』なの。今の状況にピッタリじゃないかしら?」
苦悶し、地面をのたうち回る亜人達へ、ポーリーンが語りかける。
「おっ、俺達の一体どこが悪だと!?」
「ただこの筋肉で蹂躙してやりたいだけだっていうのに!」
「えっ? なにかしら?」
ゴブリン達の暑苦しい主張は、ポーリーンの聴覚というか心に一切響かなかった。
「くそっ、言葉が通じないなら、やはり筋肉! 筋肉で全てを伝えてやる!」
業を煮やしたゴブリンが、腕に力をこめると、血管が浮かびあがり、光を放ち始めた。
「これが! オレ達の! 言葉だーッ!」
ポーリーンに襲い掛かるゴブリン。
「ふんぬふんぬふんぬふんぬふんぬふんぬ!!!!!!」
弾けそうなほど躍動する筋肉。凛風によってブレーキを破壊された亜人の本能は、アクセル全開。ポーリーンへその暴走の矛先は向けられた。
だが。
「ひょいっ、と」
しれっとかわすポーリーン&アイリーン。
「さっきから何を言っているのかよく聞き取れないわねぇ……ますます耳が遠くなっちゃったかしら? ま、それが例え平和的な対話を望む内容だったとしても聞いてあげるつもりも無いんだけどね♪」
ずざざーっ、と地面にスライディングを決めるはめになったゴブリンに、ポーリーンは、にっこり笑顔。
ゴブリンを一切寄せ付けず、凛風達の繰り広げる戦いを、後方から眺めていた狸神が一柱。
「なんという醜態だぽん。阿修羅王様が悲しむからやめてほしいぽん」
ぷるぷる震える魔法さまの嘆きは、戦闘音にあっさりとかき消された。
「亜人はやっぱり亜人よね! アーディティヤたちに扱いきれるのかしら?」
阿修羅王の苦労をしのんで、ポーリーンは頬に手を当て、小首をかしげる。
その足元には、すっかり討伐されたゴブリン達が、大勢転がっていたのだった。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【水面走行】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
クィト・メリトモナカアイス
亜人だなぁ……と我は思いました。まる。
亜人が頭亜人なのは亜人なので仕方なし。
仕方はないけどのーさんきゅー。
浮遊球形ガジェット「モナカ」斬撃型をたくさん呼び出して「斬撃のセイロンキャット」。機体から刃を生やしたモナカ斬撃型の連携攻撃でマッスルゴブリンズを切り裂く。
なんかよくわからんけど……とりあえず接近してきそうだし、こっちは【エアライド】のジャンプも使い、マッスルゴブリンズに近付かれぬよう距離をとって戦おう。
んむ。
なんというかこう……これまで大変だったのは分かった。
それはそれとして。
汝らはイスカンダルで生まれたか、もしくはリグ・ヴェーダで生まれたか。
民を襲い、民の犠牲により生まれ、民を犠牲に次代を生む汝らは、民にとっての害にしかならぬ。
汝らの名は語られず、刻まれず。
ただこの地で滅ぶべし。
というわけで。ゆけー、モナカ斬撃型。きりさけー。
柳・凛風とポーリーン・フォレットの両名に、色々と翻弄されるマッスルゴブリンズ。
何より本能に振り回されている亜人達を、ちまっ、と座ったクィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)が眺めていた。
「亜人だなぁ……と我は思いました。まる」
「はっ、オンナ!」
「筋肉の神は我らを見捨ててはいなかった」
がばっ、と起き上がり、クィトに襲い掛かるゴブリン達。
「亜人が頭亜人なのは亜人なので仕方なし。仕方はないけどのーさんきゅー」
超☆拒絶を喰らったマッスルゴブリンズだが、めげなかった。
「筋肉は不屈なのだ! 見ろやこのマッスル!」
世にも暑苦しい亜人が、クィトに迫る。
だがもちろん、クィトが、連中をお近づきにさせるわけもなく。
一斉に上がる血しぶき。
「なっ、筋力の欠片も感じられないそれはなんだッ!」
ゴブリンを斬り裂いたのは、浮遊球形ガジェット「モナカ」。その斬撃型だった。
機体から生えた刃が、パンプアップした筋肉を、割と容易く裂いていく。それは肉体のみならず、ゴブリン達のプライドもまた同じだ。
「筋肉の鎧がこうも容易く!?」
「この筋肉は飾りではないはずなのに!?」
阿修羅王に受けた薫陶も訓練もどこへやら。
ゴブリン達は、自慢の身体がクィトによって蹂躙されるという情けない結果に、悲嘆していた。
丸出しにされた本能に、崩壊した誇り。もうゴブリン達のメンタルはボロボロであった。
「態勢を立て直すぽん! お前達の力ならディアボロスの1人くらいなんてことないはずだぽん」
指揮官である魔法さまが、ゴブリン達を鼓舞する。
筋肉バ……もとい、通常より筋肉を愛するタイプの亜人とはいえ、阿修羅王から預かった大事な軍勢には変わりない。
が、一度崩れた統制は、そう簡単には戻らない。
もし阿修羅王がこの場にいれば何とかなったかもしれないが、いちアヴァタール級アーディティヤに過ぎない魔法さまでは、叶わぬ望みというもの。
「さあ聞け、俺達の思いッ!」
理性をフルスイングで投げ捨てて、てんでバラバラにクィトに迫るゴブリン達。
「ふんふんふんふんふんふんふんふんふんふんふん(以下略)!」
何をするつもりなのか。
よくわからんが、わからんなりにクィトは、しゅばっ、と距離を取った。その直後。
どーん!
全身の筋肉をコミュニケーションツールに変えた体当たりが、大地をえぐった。
これで狙いが定まっていれば脅威であったが、今のゴブリン達にそれが出来るとはとても思えなかったのでクィトは別に脅威と思わなかった。
きっと、阿修羅王の鍛え方が過酷であったのだろう。それはもう、人格が改造されるレベルで。
「んむ。なんというかこう……これまで大変だったのは分かった。それはそれとして」
なおも暴れ回るマッスルゴブリンズに、クィトはこの場で随一の冷静さを以て、語り掛けた。
「汝らはイスカンダルで生まれたか、もしくはリグ・ヴェーダで生まれたか。民を襲い、民の犠牲により生まれ、民を犠牲に次代を生む汝らは、民にとっての害にしかならぬ」
「何をごちゃごちゃと! ここでは筋肉言語で話せ」
もはや会話は成り立たぬ。
クィトは、頭を軽く振ると、手をかざした。
「汝らの名は語られず、刻まれず。ただこの地で滅ぶべし」
掲げた手を振り下ろす。
「というわけで。ゆけー、モナカ斬撃型。きりさけー」
ガジェット達が乱舞した後には、ゴブリン達が死屍累々、であった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【エアライド】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
ポーリーン・フォレット
さあ、残るはタヌキさんだけね!
それにしても亜人たちの相手は大変だったでしょうねぇ~…
ちょっぴり同情しちゃうわ
相手は可愛らしい姿だけど油断せずにいきましょ
アイリーンも一緒にもうひと踏ん張りよ!
そう言って戦闘態勢に入った…はずなんだけど?
変ね?ここは…私の家?
夫が居て…娘も生きている…
……そうそう、パパとアイリーンが大好きなアップルパイを作るところだったわね!
ママったらボーッとしちゃってたわ!
ごく普通の家族、ごく普通の生活
私にとってはとても幸せな、かけがえのない時間
それなのに、どうして涙が出るのかしら?
…悪いわね、これが夢や幻の類だって知っているのよ
これまで何度も何度も夢に見たんですもの
かれこれ70年以上生きていますからね
ふふっ、魔法さまには若く見えたのかしら?
幸せな幻をありがとう
お礼に私からのパラドクス、受け取って頂戴!
【ダーナブロッサム】で綺麗な薔薇を咲かせましょう
…夢も幻も花も、美しくて儚いわね
アイリーンにも心配かけちゃったかしら?
ごめんなさいね、私は大丈夫よ
「さあ、残るはタヌキさんだけね!」
「ぽんっ!?」
ポーリーン・フォレット(エルフのおばあちゃん・g06164)に視線を注がれた『魔法さま』は、びくっ、と、もふもふボディを震わせた。
ほかならぬポーリーン達や、柳・凛風やクィト・メリトモナカアイスの活躍もあり、マッスルゴブリンズは退治された。魔法さまに、もう頼りになる兵力は存在しないのだ。
……いや、理性が崩壊した時点で、頼りにはならなかったかもしれないが。
「それにしてもあの亜人たちの相手は大変だったでしょうねぇ~……ちょっぴり同情しちゃうわ」
ディアボロスの同情などいらん、とたいていのクロノヴェーダなら突っぱねるところだろうが、魔法さまは、素直にしょんぼりモード。
「わかってくれるぽん? 阿修羅王様も手を焼いておられたから、ゴブリン達が立派になってくれた時は、我がことのように嬉しかったぽん……なのにこんなことに……」
ドウシテ……肩を落とす魔法さま。元々可愛らしい姿なところにこのような憐憫を誘う表情をされては、敵である事も束の間忘れてしまいそう……。
「……あらアブナイところだったわ。油断せずにいきましょ。アイリーンも一緒にもうひと踏ん張りよ!」
こくり。アイリーンのうなずきを確かめて、ポーリーンは、魔法さまに決戦を挑む!
……はずだったのだが。
「変ね? ここは……私の家?」
モヘンジョダロ近郊、それも屋外にいたはずだ。
けれどポーリーンが今いるのは屋内。それも、馴染みのある場所だ。
場所だけではない。ポーリーンに向けられる笑顔もまた、懐かしく。
「夫が居て……娘も生きている……」
どうしたの? 2人からの問いかけるような表情に、ポーリーンは『我に返った』。
「……そうそう、パパとアイリーンが大好きなアップルパイを作るところだったわね! ママったらボーッとしちゃってたわ!」
気を取り直し、クッキングに取り掛かるポーリーン。
ごく普通の家族、ごく普通の生活。
ポーリーンにとっては、とても幸せな、かけがえのない時間。
「……なのに、どうして涙が出るのかしら?」
雫をぬぐい、改めてポーリーンは、家族の笑顔と向き合う。
それから、頭を横に振る。
「……悪いわね、これが夢や幻の類だって知っているのよ」
夫と娘の姿が、ふわりとほどけて虚空に消えた。続けて、家もまた同じように霧散する。
代わりに現れたのは、平穏とは無縁な戦場と、驚く狸の顔だった。
「ぽっ、ぽん! オイラの幻術を簡単に解いたぽん!?」
「これまで何度も何度も夢に見たんですもの。かれこれ70年以上生きていますからね。ふふっ、魔法さまには若く見えたのかしら?」
怒りの片鱗も浮かべず、穏やかに微笑んでみせるポーリーン。
「幸せな幻をありがとう。お礼に私からのパラドクス、受け取って頂戴!」
戦場が、また色を変えた。
【ダーナブロッサム】。美しき薔薇が、花開く。
大輪の花は、その蔓で、魔法さまと猪を絡め取ると、鋭い棘で全身を貫いた。
「いたたたた!! 『綺麗な花には棘がある』とはよく言ったものだぽん。これは幻なんかじゃない痛みだぽん!」
「……夢も幻も花も、美しくて儚いわね」
クワを取り落とし、悶える魔法さまを眺めながら、呟くポーリーン。
「アイリーンにも心配かけちゃったかしら? ごめんなさいね、私は大丈夫よ」
ポーリーンが笑顔を向けると、アイリーンは、安堵したように微笑の気配をまとったのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
柳・凛風
奶奶に小姐、助太刀謝謝ネ。
お陰様で大将首取りに行く前に着替えて一杯飲る時間も出来たヨ。
まぁ後はあの猪が狸背負ってやって来たような敵だけみたいネ。
最初は亜人の非常食かなんかかと思ったけど……ちょっと脱げばたちまち骨抜きだった連中とは違って油断ならなそうな気配ネ、ここは全力で蹴りを入れに行くとするヨ。
さぁ、かかって来るが良いネ。
動物だの幻覚だの、小細工は抜きで行きマショ?
その猪とワタシ、どっちの脚が強いか真っ向勝負ヨ!
ワタシも拳法家の端くれ、そこで嘘吐いたりはしないネ。
ただ昇竜脚は逆立ちして上に蹴り上げるような感じの技。
猪よりもタヌキさん本人の方に当てやすいのヨ。
猪と勝負とか言ったから、その辺はちょっと猪を蹴るかのように誤解を与えたかも知れないネ。
まぁいいのヨ細かい事は!
武器としてはクワって言うのも中々恐ろしいものだけど、そこも気にしないネ。
敵の突進の勢いも利用して蹴飛ばして、天空寺院だかまで送り返してやるヨ!
ポーリーン・フォレットの薔薇から、やっとの思いで逃れ出た魔法さま。
「今日は踏んだり蹴ったりだぽん……ととっ!?」
猪に乗り直そうとした魔法さまが、鋭い気配に驚いて、ふたたびずり落ちた。
柳・凛風(酔龍・g04711)が、腕組みして魔法さまを睨んでいた。
その衣装は、しっかり戦装束。表情にも覇気が満ちている。
「奶奶に小姐、助太刀謝謝ネ。お陰様で大将首取りに行く前に着替えて一杯飲る時間も出来たヨ」
ポーリーンやクィト・メリトモナカアイスに感謝を表しつつ、残ったアヴァタール級を、きりりっ、と睨む凛風。
「後はあの猪が狸背負ってやって来たような敵だけみたいネ」
そう、相手は、ようやく再騎乗を果たした魔法さま。
「最初は亜人の非常食かなんかかと思ったけど……」
「今ひどいこと言わなかったかぽん?」
魔法さまのツッコミをさらりと受け流す凛風。その瞳に、慢心の色はない。
「ちょっと脱げばたちまち骨抜きだった連中とは違って油断ならなそうな気配ネ、ここは全力で蹴りを入れに行くとするヨ」
ちょいちょいっ、と手を動かし、凛風が敵を誘う。
「さぁ、かかって来るが良いネ。動物だの幻覚だの、小細工は抜きで行きマショ? その猪とワタシ、どっちの脚が強いか真っ向勝負ヨ!」
亜人軍団崩壊の立役者である凛風の実力は、実証済み。魔法さまも、もちろん本気で応じる構え。
「望むところだぽん……と言いたいところだけれど、ディアボロスの言葉なんて信用ならないぽん」
クロノヴェーダがそれを言うか。
そんな言いぐさだが、凛風は揺るがない。
「ワタシも拳法家の端くれ、そこで嘘吐いたりはしないネ」
「まあなんにせよ、お前を倒す事には変わりないぽん。なら望み通り、オイラ達の連携で往生させてやるぽん」
魔法さまが命じると、猪が地を蹴った。待ってました、といわんばかりの鼻息の荒さ。
マッスルゴブリンズの醜態を、そばで見ていた獣である。「オレ様の方がやれるぜ」という行き場のなかったやる気が、ここにきて噴出したのかもしれない。
そして、魔法さま自身も、クワを掲げる。武器としては中々恐ろしいものだが、凛風もそこは気にしない。これから繰り出す技の豪快さに比べれば些事である。
突進のタイミングを見極め、凛風もまた、動く!
「呑四杯 酔龍昇天!」
「……!!」
倒立の態勢からの蹴撃!
悲鳴が響き、クワが宙を舞う。
凛風の功夫をこめた一撃が、炸裂した。魔法さまに。
「げふっ……く、喰らうのはオイラの方だったぽん……!?」
インパクトの瞬間、白目を剥きながら疑問する魔法さま。
「この昇竜脚は、逆立ちして上に蹴り上げるような感じの技。猪よりもタヌキさん本人の方に当てやすいのヨ」
ただ、『猪と勝負』と言ったから、猪狙いかのような誤解を与えたかも知れない。
「か、神をたばかるとはディアボロス、いい度胸だぽん……!」
「まぁいいのヨ細かい事は! 天空寺院だかまで送り返してやるヨ!」
蹴りきる。
相手の突進の勢いすら利用した凛風の蹴りが、遥か空の高みまで、魔法さまと猪を跳ね飛ばしたのだった。
「おー、良い飛距離が出たようネ」
そして空に煌めく2つの星。狸と猪の、2つ分。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
クィト・メリトモナカアイス
汝は知っているか知らないか。たぶん知っているような気はすることだけど。
トループス級亜人の成長は早く、寿命は短い。
短い生を修行に費やすのが果たして幸福なのかどうか。
それはそれとして本性を顕にしたら民には害だし、獣神王朝エジプトに攻め込んできたのは許さぬからしばき倒すし、汝ももちろんしばき倒すのだけど。ゆくぞー。
黄金猫拳打棒に光を集めて放つ「夜天再臨」。こちらに突っ込んで来る牛馬の群れに対して、全部を狙うのではなく、一点集中の光の奔流で魔法さままで貫き、光で呑み込みダメージを与えていこう。
目前まで牛馬が迫ってきたらジャンプからの【エアライド】でもう1回空中ジャンプ。
牛馬の突進を飛び越えて避けつつ、魔法さまを視界にいれたらもう一度、今度は邪魔をするもののない「夜天再臨」。光の奔流で消し飛ばそう。
汝神を騙り偽りの信仰で民を惑わす者。
汝の名は語られず、刻まれず。
ただこの地で滅ぶべし。
クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)が、柳・凛風からの感謝の言葉にこくりとうなずいている間に、『魔法さま』と猪が戻ってきた。吹き飛ばされていたのだ。
「危うくお星様になるところだったぽん……けれどまだ! 昇天するには早いぽん」
くわっ、とクワを構えて戦闘続行を表明する魔法さまに、クィトが説いた。
「汝は知っているか知らないか。たぶん知っているような気はすることだけど。トループス級亜人の成長は早く、寿命は短い。短い生を修行に費やすのが果たして幸福なのかどうか」
「勝利に貢献する事こそ亜人の本分。限られし生ならば、我らアーディティヤに捧げるぽん」
悟ったような表情で、無常と無情を語る魔法さま。所詮は、亜人も捨て駒ということか。
それはそれとして。
「本性を顕にしたら民には害だし、獣神王朝エジプトに攻め込んできたのは許さぬからしばき倒すし、汝ももちろんしばき倒すのだけど。ゆくぞー」
「身の程知らずめ。天罰を食らわせてやるぽん」
かかっ。
クィトと魔法さまの間に、稲妻の幻影が走った。
「さあ行け、我らの敵を蹂躙するのだぽん!!」
魔法さまのクワが、天を衝いた。
法力に導かれ招来したのは、牛馬の群れ。傍目にはわかりづらいが、いずれも個性に満ちた動物達。
いわば、魔法さまの選りすぐり。下手な亜人よりも信頼性の高い戦力といえるかもしれない。
「さあ、ディアボロスを徹底的に耕してやるぽん!」
「モォオォォ」
「ヒッヒーン!」
荒々しくもどこかマイペースな鳴き声とともに、クィトの視界を覆い尽くす牛馬軍団。
迎え撃つは、肉球。黄金猫拳打棒。敵の接近に合わせて、金色なる鈍器へと集う光。その輝きが最高潮に達した時、パラドクスは解き放たれる。
「てやー」
魔法さま達を、燦然光輝の肉球が焼いた。
群れの全てを薙ぎ払うのではなく、あくまで一点集中。最終目標を魔法さまに定めた光の奔流は、進路上の牛馬を呑みこみ、威力を保ったまま魔法さまへと到達。その身を貫いた。
「ぎゃあ! 我が身が不浄なる光に焼かれていくぽん」
神なる一撃をまともに浴びて、白目を剥いて苦悶する魔法さま。
その怒りは、牛馬へと伝わり、クィトへ猛進する。
しかし、クィトは逃れた。跳躍、からの、【エアライド】で再度空中ジャンプ。
平然と繰り出すアクロバティックで、敵の猛進を飛び越え、やり過ごす。
進撃が通り過ぎた後には、草木も残らぬ様相。
破壊の行進から見事脱したクィトは、黄金猫拳打棒を構え直す。狙いは先ほどから変わらぬ。魔法さまただ1人。……1匹? 1柱? ともあれ!
「汝神を騙り偽りの信仰で民を惑わす者。汝の名は語られず、刻まれず。ただこの地で滅ぶべし」
金色の肉球が、終焉をもたらす閃光を放つ。
クィトの裁きが、魔法さまを、今度こそ跡形もなく消し飛ばした。
「お、オイラがこのようなところで……阿修羅王様、色々と申し訳ないですぽん!!」
遺言たる阿修羅王への謝罪もまた、すぐさま風に飲まれ、虚無と化したのであった。
かくして、阿修羅王肝いりの精鋭亜人部隊……その一翼は、撃破された。退路上の戦力低下は、阿修羅王の確実な撃破へとつながることであろう。
何より、自ら鍛えた亜人の晒した醜態は、阿修羅王の怒りを掻き立てるに違いない。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【狼変身】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!