リプレイ
アリチェ・バローネ
完璧な妹になるためです!このアリチェ、ハロウィンだって完璧にこなしてみせますよー!(マントを翻し)今日だけは自前の翼に感謝してあげましょうか。いつもは邪魔ですけれど。
……それにしても、やっぱり良い所ですね、ここは。古いカチコチのパンなんか食べなくて良くて、明るくて暖かくて……はっ。ダメですダメです、今はお祭りをきちんと遂行することだけ考えなければ!
……むむ、奉仕する側を想定していたのですがいつのまにか……不覚です。(もらったお菓子を抱え、一つ口に放り込み)
(仮装:SD準拠で吸血鬼)
●笑顔の魔法
ディアボロスたちが仮装をして練り歩く、駅から駅を結ぶように用意された地上のパレードルートの沿道では、その姿を見ようとたくさんの一般客が訪れていた。
「完璧な妹になるためです! このアリチェ、ハロウィンだって完璧にこなしてみせますよー!」
ばさり、と吸血鬼のマントを翻して、アリチェ・バローネ(完璧な妹を目指す者・g03852)もそうして通りを練り歩いていた。
理想の『姉様』に巡り合うことが、貧しい生活を送ってきたアリチェにとっての夢であり希望。もちろん理想の姉様にふさわしい妹であろうと努力を惜しまず必死に生きてきたのに。
「今日だけは自前の翼に感謝してあげましょうか……いつもは邪魔ですけれど」
かつての自分にはなかった角や翼。歴史を奪われた結果、種族まで変わってしまったけれど。アリチェはまた、この新宿島でディアボロスとして新たな人生を送りながら、姉様探しと妹修行を続けているのだ。
「……それにしても、やっぱり良い所ですね、ここは」
見渡せば人々の笑顔は明るく、夜になっても照明が辺りを照らしてくれる。沿道に並ぶ屋台からは焼き立てのベビーカステラを買って幸せそうに頬張る人々。
「古いカチコチのパンなんか食べなくて良くて、明るくて暖かくて……」
貧しい暮らしを生きてきたアリチェは、思わずそう呟くが、今はパレードの最中だということを思い出し、頭を大きく振る。
「ダメですダメです、今はお祭りをきちんと遂行することだけ考えなければ!」
きっと完璧な妹はこういう時にもたくさんの人を笑顔にさせるはずだから。
「トリックオアトリート!」
他のディアボロスを真似て、沿道で手を振ってくれた小さな子供へと声をかける。
「吸血鬼のおねえちゃんかっこいー!」
はい、お菓子あげるね、と小さな子供にキャンディを手渡された。
「おねえちゃん、ぼくにも言って!」
「えーと、トリックオアトリート!」
子供はお菓子をもらう方ばかりなので、分け与えるのが逆に楽しかったらしい。お決まりの言葉を引き出すと、男の子もアリチェにチョコを手渡す。
それが呼び水となったように、あっという間にアリチェにお菓子をあげようと長い列が。
気が付けばアリチェの手にはたくさんのお菓子の山。
「……むむ、奉仕する側を想定していたのですが、いつのまにか……不覚です」
たくさんのお菓子の山からチョコを取り出しひとつ放り込めば、優しい甘さが口いっぱいに広がるのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
ニキ・ルンワール
まさか俺が、ハロウィンていう、金持ちのイベントに参加するなんて、思ってなかった。
初めてだし、適当に衣装を頼んだけど…これウサギ…かな。(SD参照:ウサギ)
キラキラした世界。
食べ物に困らない世界。
ちゃんと1人部屋を与えられて。
俺からしたら、何不自由ない、夢の世界。
なのに娯楽が無くて不満なんだな、金持ちって。
ん?魔女の格好の女の子?こっち見てる?
俺…やっぱり格好変かな?
少し…恥ずかしい。
凄い…キラキラした顔だな。
苦労とか知らない、明るい笑顔。
でも、この子も、きっと奪われたものが、あるんだよな。
生活か、家族か、金か、分からないけれど。
それでも笑顔になれるなら…悪いイベントじゃないのかもしれない。
●夢の世界に輝く笑顔
(「まさか俺が、ハロウィンていう、金持ちのイベントに参加するなんて、思ってなかった」)
沿道でこちらに手を振るおばけの仮装をした少年と目が合ったニキ・ルンワール(デーモンのデストロイヤー・g03710)は、今まさに自分がパレードの中にいるのだと実感する。
ここはニキにとっては眩しいほどのキラキラした世界。
ヨーロッパの貧困街に捨てられていた過去を持つニキは、周りにいた似た境遇の血の繋がらない兄弟姉妹たちと、家族のように身を寄せ合って過ごしていた。
楽な暮らしではなかったけれど、きょうだいたちがいるからこそニキは頑張ってこれたのだ。
けれど。ある時全ては消え失せた。
気がつけばニキは新宿島に流されていた。デーモンという種族になり、新しい世界で戦う力を得て、再び歩き出すことになる。
けれど、こんな風にお祭りと言われても何の仮装をしていいかわからなくて。
(「初めてだし、適当に衣装を頼んだけど……これウサギ……かな?」)
キャスケットから伸びるぴょこんとしたうさぎ耳に、ふわふわ丸い尻尾。
お祭りだからと着るものを新調できる世界にニキはまだ慣れなくて。
部屋だって大人数が押し込まれて雑魚寝するものじゃなくて、一人一人に自分の部屋が与えられて。
(「やっぱり、俺からしたら、何不自由ない、夢の世界」)
これだけあれば十分だと思うのに、娯楽がないと金持ちたちは不満に思うんだなと、ニキはどこか冷めた表情で沿道を見渡す。
ふと沿道からの視線を感じてニキはそちらを見る。魔女の帽子を被って箒を持った少女がこちらをじっと見ている。
改めて自分の格好を見下ろして。変だったろうかと恥ずかしそうにうつむけば、そんなニキへと大きな声が掛けられる。
「ハッピーハロウィン!!」
魔女の少女がにこにこと手を振っていた。その笑顔は心からハロウィンを楽しんでいるもので、同じ年頃のニキへと嬉しさのあまり手を振ってしまったのだろう。
(「凄い……キラキラした顔だな」)
苦労など知らなさそうな明るい笑顔。未来は明るいと信じているような。
でも。ここにいる人々が全員幸せなはずはない。皆、本来あるべきはずの歴史を奪われたのだから。
(「この子も、きっと奪われたものが、あるんだよな」)
それが、生活なのか、家族か、金銭か、わからないけれど。
(「それでも笑顔になれるなら……悪いイベントじゃないのかもしれない」)
誰もがその身に何かしらの想いを抱えて暮らしている。けれど今日だけは笑顔溢れるお祭りに心ときめかせて。
ニキも顔を上げ、魔女姿の少女に手を振り返す。ぱあっと更に明るい笑顔になったのを確認すると、失った弟妹たちの顔を思い出す。
いつか。この先の未来で、失った大切な人たちを取り戻したい。そう強く願うのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【未来予測】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
天夜・理星
偶には仮装せずに休むのも良いよね。
遠目からこうして眺めるのも良いんだよ。
昔はよくこうやって、友達とみんなで遊んだりしたなあ…♪
…って、しみじみ思ってたら、また来るんだよ、頭痛が。
時間の外から、アタシを苛むような。
…っ、あー、まだダメ?
散々あれだけ楽しんどいて、一編も昔の友達の、家族の顔名前一つも思い出せないわけ?
いつまでアタシは、無くしてればいいんだよ…!?
考えても、仕方ないんだろうなあ。
せめて笑顔でいようか。
忘れたことを忘れない、それさえ分かっていれば、後はどうとでもなるんだから。
折角だし、アタシも出店行って何か買うか。
後は、何しよう。もう分かんないや…♫
浅野・紅葉
(サポート)
へぇ、随分と賑わっているな
ハロウィンに賑わう新宿に、少しほっとする
元はただの年相応な大学生
友人たちとチープな仮装を楽しんだ昨年の事を思い出しながら、一客としてハロウィンストリートを覗いて歩く
人と接する態度は丁寧に、コミュニケーション能力も年相応なのでフランクに笑うし、冗談も解する(notぶっきらぼう)
家族想い・仲間想いな好青年
歳の離れた弟妹がいた為、幼い子には無意識に甘くなる
鬼を滅ぼすまでは恋愛絡みはノータッチ、公序良俗に反する行動は一切NG
土産に出来そうなものがあったら二つ買い求める
いつか取り戻す『未来』で弟妹(双子)へ渡す為に
きっと喜んでくれるよな
想像する笑顔に、紅葉自身の顔もついほころぶ
●未来への贈り物
仮装した人々で賑わうパレードコース周辺では、ディアボロスたちの旅団や新宿島の住民が運営する屋台や出店がたくさん出ており、そちらも多くの人々で賑わっていた。
「偶には仮装せずに休むのも良いよね」
パレードの外で、遠目から楽しむ人々を眺めながら、天夜・理星(復讐の王・g02264)は微笑する。
「昔はよくこうやって、友達とみんなで遊んだりしたなあ……♪」
新宿の街は、理星にとって遊びなれた街。仲の良い友人がたくさんいる理星にはその思い出もさぞたくさんあることだろう。
けれど、思い出に浸ろうとした理星へと容赦のない頭痛が襲う。まるで理星が過去を思い出すことを邪魔するように、時間の外から苛むように。
「……っ、あー、まだダメ?」
遊んだという楽しい思い出があることはわかるのに、一緒に遊んだ友達の顔も名前も思い出せないのだ。
あの時。世界とともに理星の記憶も吹き飛んだ。
友ばかりでなく、家族も、そしてその記憶すら失われて。それでも理星は剣を手に取り立ち上がる。失った時間と平和を取り戻すため。
「いつまでアタシは、無くしてればいいんだよ……!?」
あまりの理不尽に怒りがこみ上げる。そのせいでディアボロスとして覚醒したのかもしれないけれど。
それでも、ここにはそんな人たちがたくさんいる。皆が何かを奪われ、失い、そうしてそんな中、こうして束の間のお祭りに笑顔を浮かべて。
考えても仕方ないと、理星はせめて笑顔でいようと口角を上げて。
せっかくだから出店で何か買おうと屋台の方へと歩き出した。
「へぇ、随分と賑わっているな」
パレードルートを練り歩く仮装したディアボロスたちへと、沿道で手を振る人々。旅団の屋台や催しにも人々が笑顔で楽しむ姿を見つけては、浅野・紅葉(鬼狩人・g03177)はほっとした表情を浮かべる。
ディアボロスに盛り上げてほしいという話のあったハロウィンイベント。たくさんのディアボロスが協力してくれたようだが、それでも初めてのイベントにどれだけ盛り上がるか未知数だっただけに紅葉の胸にも安堵が広がる。
クロノヴェーダとの戦いは始まったばかり。戦いに赴く際には、怒りの全てを燃やして戦う紅葉だが、それらは全て幼い子供たちがずっと笑っていられるような明日を作るためだ。
ディアボロスとなる前は、年相応の大学生として過ごしてきた。昨年も友人たちとチープな仮装を楽しんでいたことを懐かしく思い出しながら、屋台を眺めてゆっくりと歩いていく。
そんな中、通りにぽつんと佇んでいる紅葉と同年代の女性の姿が目に入る。手にはたい焼きを持って、屋台巡りを楽しんでいたようだが、なんだか途方に暮れたように立ち尽くしている姿が気になった。
「どうかしたのか?」
問いかけに、理星ははっと我に返ると紅葉を見つめ返す。鬼の角を持つ青年は自分と同じディアボロスに違いない。だからだろう、素直に思っている言葉が零れて。
「せっかくだからハロウィンを楽しもうと思ったんだけど、何をしていいか分かんなくなっちゃって……だって、去年までは友達と一緒だったのに。今はもう、名前すらも思い出せなくて……」
「俺と同じだな」
ちょうど友人たちのことを思い出していた紅葉は去年と全く違う現在に戸惑うのは同じだと肯定して。
「しかし記憶もないのか。それは……辛いことだろうな」
思っていたことを吐き出せたせいか、先ほどよりすっきりした表情の理星は、ううんと首を振った。
「思い出そうとすると頭痛くてたまんないけど……でもね、忘れたことを忘れない、それさえ分かっていれば、後はどうとでもなるって思うから」
「そうだな……未来はこれからだ」
子供たちが笑顔でいられる日々を、失った時間と平和をそれぞれ取り戻すためにも、これからできることはたくさんあるのだから。
「何をしていいかわからないと言っていたが、土産を買うのはどうだ?」
「でも、あげたい家族も友達も……」
「俺も今はまだ。でも、いつか取り戻す未来で、弟妹たちに渡すために……」
「そっか、そういう考えもあるね」
「ああ、きっと喜んでくれる」
それを受け取ったとき喜ぶ双子の弟妹の笑顔を想像し、紅葉の顔も思わずほころんでしまう。
「いいね、よし、じゃあお土産買いにいこ!」
「いいのが見つかるといいな」
いつかきっと訪れる未来で。新宿でハロウィンを楽しんだ思い出とともに。
未来へと思いを馳せた二人は、それぞれの土産を買うため別れると、屋台通りを歩いて行った。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【書物解読】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
一条・侑切
同行者:ヴァルター・インガム(g02717)
ご覧になって下さいインガム様!
島全体が面妖な飾りで彩られ…このような催し物は初めてですっ。
私も仮装を致しましたのですが、似合っておりますでしょうか?
ああ、いけない…此処に参列しているのは、一般の方々に楽しんでいただく為でしたね。
…コホン。それでは、参りましょう!
コウモリを模った式神で身を隠し LV10【浮遊】を利用し空へ
ある程度の高さまで昇った後 式神を散開させ姿を現す
目が合った一般人の元までゆっくり降り 誘いをかけ空へ招待
インガム様っ、とりっく・おあ・とりーと?
…ふふっ、お菓子をくださらないと悪戯しますよ。
※アドリブ歓迎。名を呼ぶときは「家名+様」
ヴァルター・インガム
■同行:一条・侑切(g02456)
本当はリア充なイベントなんて柄ではないし(リア充爆発しろ派)、僕自身がマジモンのオバケなので適当に誤魔化すつもりが…
仕事をしに来たんだぞとやんわり釘を刺しつつ、侑切さんに合わせて狼男の仮装。
侑切さんのエスコートをより幻想的に飾るために魔術を展開。
新宿島の【強運の加護】で周囲をキラキラ金色に光らせ、『魔導冷光ビット』で夜空に金色の模様を描いてデコレーション。
溢れんばかりの幸福の降り注がんことを。
喫茶店のお菓子、満月のような南瓜のマフィンをおすそ分け。
くっ。こんなに楽しそうな顔をされて「自分はそういうのしません」とかいう水をさせるやつが居るだろうか。僕の負けだ…。
●煌めきと笑顔を
「ご覧になって下さいインガム様! 島全体が面妖な飾りで彩られ……このような催し物は初めてですっ」
新宿の街がハロウィンカラーに染められ、仮装した人々の楽し気な様子は、いまだかつてない熱を生む。
改竄世界史出身の一条・侑切(妖狐の陰陽師・g02456)は、初めて体験するハロウィンというお祭りに興奮の色を隠せない様子。それもそうだろう。侑切はかつての世界で幼いころから神使として祀られ、世俗から隔絶された静かな生活を送っていたのだから。
「確かに盛り上がってるみたいだな」
侑切の言葉に改めて辺りを見回したヴァルター・インガム(古き嘴のメイガス・g02717)は、仮装する二人に手を振ってくれる一般客の姿にやや驚いた表情を浮かべる。
こんな風にリア充が全力で楽しむイベントは、ヴァルターの柄ではない上に、なんならヴァルター自身がリターナーという、いわばお化けに分類されるであろう身の上であるので、適当に誤魔化しつつやり過ごそうと思ったのだが。
「私も仮装を致しましたのですが、似合っておりますでしょうか?」
普段は陰陽師らしい和風のいでたちの侑切がマントを羽織ったヴァンパイア姿に仮装して嬉しそうにしている。パレードを見つめる住人たちも純粋にこのお祭りを楽しんでいるようだ。
「ああ、似合ってる。でも、ここには仕事をしに来たんだぞ?」
自身も狼男の仮装に扮したヴァルターが、はしゃいだ様子の侑切にやんわりと釘を刺すと、沿道の人々の方へと視線をやる。
「ああ、いけない……此処に参列しているのは、一般の方々に楽しんでいただく為でしたね」
もちろん自分たちが楽しむことで、よりその楽しさが伝播するだろうから一概に悪いことではないけれど。
少々浮かれてしまっていた自分に気づくと、侑切はコホンと咳払いして、考えていた催しを始めることにする。
「それでは、参りましょう!」
まずは一般客に気づかれない様に、侑切はヴァンパイアにちなんだコウモリを模った式神で自身の身を隠すと、新宿島に満ちる効果【浮遊】を活かして空へと飛び立つ。
ある程度、地上から視認できる程度の高さまで上昇すると、身を隠していた式神を散開させ、その姿を現す。
「せっかくだし、より幻想的にってね」
侑切の登場に合わせ、ヴァルターは【強運の加護】の効果で辺りを金色に煌めかせる。まるで星屑を纏ったような演出に地上の一般客が声を上げる。
「わ、空に吸血鬼がいるよ!」
「すごーい、かっこいい!」
さらにヴァルターは小型魔導機械【魔導冷光ビット】で、空に金色の模様を描いて幻想的な風景を演出する。
「溢れんばかりの幸福の降り注がんことを」
歴史を奪われた今を生きるこの新宿島に暮らす全ての人へと、心からの祈りを込めて。
「空中散歩を楽しみませんか?」
ふわりとマントをはためかせ、侑切は目が合った一般客を空へと誘う。手を繋げば、30人までが一緒に空中散歩を楽しめるのだ。
そんな風に吸血鬼と狼男がとびきりの空の散歩を提供すれば、パレードに集まった人々の弾けるような笑顔がさらにハロウィンを盛り上げた。
「インガム様っ、とりっく・おあ・とりーと?」
一仕事終えたあと、侑切がにこにことヴァルターに向けてお決まりのセリフを口にする。
「……ずいぶんこのイベントに馴染んでるじゃないか」
「そうですか? ……ふふっ、お菓子をくださらないと悪戯しますよ」
どんな悪戯にしましょうか、と楽しそうに微笑む侑切に、ヴァルターは心の底から敗北感を感じていた。
「はい、南瓜のマフィン」
「わあ、美味しそうですね」
喫茶店のお菓子、狼男にちなんだ満月のような南瓜のマフィンを差し出した侑切。リア充爆発しろ派としては、自分自身はイベントに乗っかるつもりはなかったのだが。
(「くっ。こんなに楽しそうな顔をされて『自分はそういうのしません』とかいう水をさせるやつが居るだろうか……」)
いや、いない。そう心の中で自問自答するヴァルターだが、侑切はそんな心の内に気づかない様子で、もらった南瓜マフィンを幸せそうに口に運んでいるのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【ハウスキーパー】LV1が発生!
【活性治癒】がLV2になった!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【ドレイン】がLV2になった!
文月・雪人
※合わせ・アドリブ大歓迎!
お気に入りのクロネコの着ぐるみに、シルクハットを被って参加
平安時代生まれの身としては
現代のハロウィンなんて初めて尽くしで興味津々!
ふむふむ、街を練り歩く様子は加茂のお祭りを思い出すよ
平安時代にも先祖の霊を迎えて供養する風習はあったけど
お化けの格好をしてお菓子を貰いに行くなんて
いやはや面白い事を考えたものだね
トリック・オア・トリート!
いや、トリック・アンド・トリート、かな♪
悪戯の代わりにマジックを披露
頭上のハットを手に取って
にゃごにゃごにゃーごと唱えれば
中から出てくるのは沢山のお菓子
行き交う人々と仲間と一緒に
美味しいと楽しいを分け合って、幸せな一時を
ハッピーハロウィン!
●Trick & Treat
「これがハロウィン……成程、実に興味深いね」
新宿の街を彩るハロウィンカラーの飾り付け。思い思いの仮装を楽しむ人々。
お気に入りのクロネコの着ぐるみに、シルクハットといういでたちの仮装でパレードに参加した文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は、沿道でこちらに手を振る人々の様子を興味深そうに見渡す。
こうして仮装して馴染んではいるが、雪人は平安の世から新宿島に流れ着いた陰陽師。現代のハロウィンなるお祭りはもちろん初めてなので、何かと興味は尽きないのだ。
「ふむふむ、街を練り歩く様子は加茂のお祭りを思い出すよ」
平安時代に行われた祭りでも、こうして行列をなして練り歩く行事はあった。世界は違えども似た部分はあるようだ。
「確か、ハロウィンには死者が家族を訪ねる日でもあるとか」
知識欲旺盛な雪人は、ハロウィンの発祥についても調べていた。
「平安時代にも先祖の霊を迎えて供養する風習はあったけど、お化けの格好をしてお菓子を貰いに行くなんて……いやはや面白い事を考えたものだね」
風習や文化の違いはあるだろうが、平安時代にその発想はさすがにないなと雪人は純粋に感心し、そしてせっかく今この世界にいるのだから、全力でこのお祭りを楽しむことにした。
「トリック・オア・トリート!」
沿道で手を振る一般客へと手を振り返して、雪人はパレードを進む。クロネコの着ぐるみは好評で、特に小さな子供から熱い視線を感じる。ならばこの可愛らしいお客さんに悪戯ではなく笑顔を贈ろう。
「いや、トリック・アンド・トリート、かな♪」
子供たちが集まっている場所で立ち止まると、頭上のシルクハットを手に取ると、呪文を唱える。
「にゃごにゃごにゃーご」
「わ、ほんとにねこみたい!」
子供たちはけらけら笑うが、次の瞬間、雪人がシルクハットに手を入れると、そこからキャンディが現れる。
「はい、どうぞ」
「すごーい!」
そのあとも、雪人が手を入れればシルクハットから続々とお菓子が出てくる出てくる。
「くろねこさんの魔法使いだ!」
手渡されたチョコを受け取った少女がキラキラした瞳で雪人を見上げる。
「探偵事務所もやってるんだけどね……相談があればいつでもどうぞ」
着ぐるみ探偵はそうしてたくさんの人たちと美味しいと楽しいを分け合って。
辺りはとびきりの笑顔と幸せな瞬間で満たされる。
「ハッピーハロウィン!」
楽しそうな声が新宿の街にこだました。
大成功🔵🔵🔵
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
瀧夜盛・五月姫
怨霊に憑かれています。
連携、アドリブ、歓迎ぞ。
娘は寝たのでな、散歩でもせんかの。
しかし、南蛮が考えることはわからん。
ギラギラギラギラ。眩しくてかなわんわ。
ん、なんぞ。お主、何故に吾を呼ぶか。
パイ? ハハ、間に合っておるわ。吾は甘いものなど喰わ……。
まて、袖を引っ張るな。ええい、娘(五月姫)め、歩き難い服を選びよってからに。
わかった、わかったから、喰えばよいのだろ。
甘い、吾には合わん。ハハ、甘すぎるわ。出直せ。
……だが、パイだったか? 娘に買うてやらんかの。吾は喰わんがな!
連れてきてやれれば、娘は喜んだのかもしれんの。
だが、魂2つに魄は1つ。再び会うことは叶わん。
パパにできるのは、これくらいぞ。
真月・真心
(サポート)
ハロウィン仕様です。公序良俗に反しない範囲で、自由にアドリブでご利用ください
●仮装
魔女っぽいローブにお菓子の入ったバスケットを手提げにしています
●行動
パレードもストリートも見物客として楽しみます
故郷を取り戻して家族や友人と再会した時に見せてあげたくて、楽しそうなパーティの様子をスマホで撮影しています
刻逆によって親と離れ離れになってしまった子供達が、少しでも笑顔で楽しい時間を過ごせるようにお菓子を配ったり一緒にディアボロスの皆さんの出し物を見て回ったりもします
(自身も親と離れ離れになった同じ立場で、その気持ちが痛い程わかるので、だからこそ年上のお姉さんとして精一杯張り切っています)
●近くにいても 離れていても
沿道にたくさんの屋台が並ぶハロウィンストリートを、楚々とした和装姿の少女が歩いていた。まるで物語から抜け出たかぐや姫のような艶やかな十二単を纏った乙女――瀧夜盛・五月姫(無自覚な復讐鬼・g00544)は、オレンジや紫といった派手なハロウィンカラーに飾りつけされた新宿の街を眩しそうに見た。
「しかし、南蛮が考えることはわからん。ギラギラギラギラ。眩しくてかなわんわ」
見た目から想像できない口調なのは、五月姫が怨霊に憑かれているからだ。今人格を乗っ取っているのは彼女の父であり大怨霊。ただ、五月姫自身はそれを知らず記憶も残らないのだ。
もちろん父もいたずらに彼女の身体を乗っ取っているわけではない。恐らく五月姫がディアボロスとして覚醒したのは激しい無念と復讐心を抱く父親由来のもの。凄まじい怨念の籠められた懐刀を受け継いでしまったせいもあるだろう。
その存在を気づかれなくとも、父は陰ながら怨霊として、復讐者となった娘を支えているのだ。
五月姫が寝ている間に、その身体に憑依しては散歩でもしようとハロウィンストリートを歩いていると、屋台から甘い香りが漂ってきたので、ふとそちらへと視線を向ける。
「そこの可愛らしいお嬢さん!」
こちらを呼ぶ声に、五月姫は振り返る。
「ん、なんぞ。お主、何故に吾を呼ぶか」
「焼き立てのパイはいかが? アップルパイに、かぼちゃのパイもあるよ!」
「パイ?」
それが目の前に示されたホール状の菓子だと理解するが、憑依した彼は甘いものを好む性質ではなかった。
「ハハ、間に合っておるわ。吾は甘いものなど喰わ……」
断ろうとしたのに、むんずと着物の袖を掴んで離そうとしない屋台の店員。
「いやいや、一口食べてくれればきっと気に入りますから!」
「ま、まて。袖を引っ張るな。ええい、娘め、歩き難い服を選びよってからに」
仮装をしているせいで動きづらく、仕方なく店員の言葉に従うことにした。
「わかった、わかったから、喰えばよいのだろ」
「はい! あ、そこのお嬢さんもどうぞ!」
一口大の試食用のパンプキンパイを五月姫に手渡した店員は、更に他の客へも声をかける。
「わあ試食できるんですか? ありがとうございます」
居合わせたのは魔女のようなローブ姿に、手にはお菓子がたくさん入ったバスケットを持っている真月・真心(道産子田舎娘・g03219)。
いただきます、とパイを口に運べば、幸せそうに頬を押さえてうっとりしている。
「美味しいですね」
「……甘い。吾には合わん。ハハ、甘すぎるわ。出直せ」
甘いものは食べないと事前に伝えられてはいたが、一口食べるなり尊大に言い放たれた言葉に店員は少し残念そうに肩を落とす。
「そうですか……」
「甘いの得意じゃないなら仕方ないですね。でもとっても美味しいですし、どなたかのお土産にするのはどうですか?」
真心がそっとフォローすると、店員は期待に満ちた目で五月姫を見つめる。
「そうだな……パイだったか? 娘に買うてやらんかの」
もちろん吾は喰わんがな! と付け加えるのも忘れない。
「きっと喜びますね!」
お土産用のパイを受け取った五月姫へと真心がにこにこと声をかける。
真心にも大切な家族がいる。北海道出身の真心は、今年の夏休みに東京旅行に来ていたのだ。両親は笑顔で送り出してくれた。だから、真心だけがあの時新宿にいて――そうして最終人類史の35万人の一人となったのだ。
成り行きでいろいろと話していれば、今真心が接しているのは、五月姫の父親である怨霊なのだとわかって。
「そう、だったんですか」
「娘には存在も知られとらん。かような催しも一緒に連れてきてやれれば喜んだかもしれんがの」
そう願っても、魂2つに魄は1つ。再び相対することは叶わない。
「近くにいるのに、離れ離れなんですね。私も両親と離れ離れです……」
だからこそ、刻逆によって親と離れ離れになってしまった子供達が少しでも笑顔で楽しい時間を過ごせるようにと、真心は仮装してお菓子を配り歩いていたのだ。
「見てください」
真心はスマートフォンの中の写真を五月姫に見せる。
「いつか故郷を取り戻したとき、家族や友達に見せてあげようと思っているんです」
「なるほどの」
「だから……娘さんもそのパイの差し入れ喜ぶと思います」
それが父親からの贈り物だとわからなくても、気持ちはきっと届くはずだから。
「お主も優しい娘であるな。ああ、喜んでくれるといいの」
きっと喜んでくれますと、真心は笑顔で太鼓判を押して。
「パパにできるのは、これくらいぞ」
その表情から娘への想いが垣間見れて、真心もなんだか嬉しくなる。
ディアボロスたちが全力で盛り上げた新宿島初めてのハロウィン。
まるで魔法のように。それは多くの人にたくさんの笑顔を届けたことだろう。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!