涯に待つは(作者 黒塚婁)
#吸血ロマノフ王朝
#漂着ヴァンパイアノーブル追討、北極海作戦
#融合世界戦アルタン・ウルク
⊕
●選択
「皆さん、改めまして奪還戦お疲れ様でした――そして、攻略旅団の立案より、吸血ロマノフ王朝から他ディヴィジョンに漂着するヴァンパイアノーブルの追討作戦を行うことになりました」
夜嵐・真赭(閃耀・g07223)は、そう切り出した。
吸血ロマノフ王朝でディアボロスが制圧した土地は主要都市などの一部。
よって、最終局面でも奪還戦に参加していないヴァンパイアノーブルがそれなりに存在している。
いわく、大領主が自領の管理のために残したりしていたらしい。
「もっとも、その殆どは融合世界戦アルタン・ウルクに漂着してアルタン・ウルクに食べられてしまったようですが……」
微かに表情を歪めた真赭である。
そのまま生存されても困るが、その末路はあまり想像したくないという複雑な心境だろう。
「運良く生き残り――シベリアの北部に漂着できたヴァンパイアノーブル達は、アルタン・ウルクから逃げて北極海との海岸沿いを東へ移動しているようです」
とはいえ、それらがアルタン・ウルクの牙に掛かるのも時間の問題――ヴァンパイアノーブルを確実に始末してくれる反面、アルタン・ウルクが強化されてしまう。
「ですので、皆さんは融合世界戦アルタン・ウルクのシベリアへ。北極海に向かうヴァンパイアノーブルの追討をお願いします」
そう告げ、彼女は詳細の説明に移る。
融合世界戦アルタン・ウルクのシベリアで逃走中のヴァンパイアノーブルらを捕捉できる地点までは、パラドクストレインで向かえる。
到着次第、ヴァンパイアノーブルを討伐――というのが単純な段取りだが、それらを追っているのはディアボロスだけではない。
そう、アルタン・ウルクの一群もまた、ヴァンパイアノーブルを追跡している。
「なので、アルタン・ウルクの足止めも必要になってきます。敵は、到底倒しきることはできない数ですので、時間稼ぎに徹してください」
真赭は、片や、死地を行くヴァンパイアノーブルですが、と続ける。
「アヴァタール級のヴァンパイアノーブルは、何らかの目的をもって北極圏を目指しているようです」
シベリア東方といえば、空想科学コーサノストラと隣接した地点。
何かしらの干渉が約束されているのかもしれない……。
「容赦なくヴァンパイアノーブルを討つか。敢えて泳がせコーサノストラとの接点を掴むか。どちらにしても、今後の攻略においては意味のある選択です」
真摯な眼差しでディアボロス達を一瞥し、真赭は一拍、言葉を切る。
「ところで、不思議なことに……冬将軍のいるタイミル半島に、ヴァンパイアノーブルの漂着は殆どないそうです」
かの地に漂着しても、絶望的な状況は同じ。
ディアボロスに滅ぼされるか、アルタン・ウルクに滅ぼされるか――もし、そういう意識から漂着しないのなら、シベリア東方には希望があるというのだろうか。
シベリアは、吸血ロマノフ王朝奪還戦の結果、融合世界戦アルタン・ウルクに強奪された地域。
その地にいるアルタン・ウルクは、通常のアルタン・ウルクと蟲将型のアルタン・ウルクの混成軍だという。
「遅滞戦術には必要な情報だと思うので、お伝えしておきますね――皆さんのご武運をお祈りしています!」
最後にディアボロスに微笑みかけて、真赭は説明を終えるのだった。
●東へ
「や、やめなさい!!」
ブラッドメイガスの怯えた声が響く――勝ち気な響きの言葉とは裏腹に、声音には絶望が宿っている。
やめろ、離れろと叫び、何らかの打擲音、必死の抵抗の果てに、おぞましい断末魔、ゴリゴリとむさぼり喰われる生々しい音を背に、ドレスをボロボロにして走るブラッドメイガスは唇を引き結ぶ。
「ああ、こんなところで、怪物に喰われて死ぬなど……」
「敗北の屈辱よりも――恐怖に震え、逃げるしかない屈辱よ!」
アルタン・ウルクはあまりに多い。一体二体ならば、意趣返しも出来ようが……今のヴァンパイアノーブル達は、逃げることしかできぬ。
体力の尽きた仲間が一人二人、アルタン・ウルクの餌食になり、今まで一度も聴いたことのない絶叫を放っても、振り返ることすらできぬ。
「兎角――生き延びるのだ」
彼女達を率いるアヴァタール級ヴァンパイア・ノーブルであるナジェージダ・ドゥーロワが、囁くように告げる。
「東に向かえば、生き延びられる」
ナジェージダの言葉には根拠はない。だが、生き延びたくば己に従え、東に向かうのだ――と何処か忘我と告げる彼女以外に縋れるものはなかった。
「東へ……」
果たして東に何が待つのか、解らぬまま。
アルタン・ウルクに追われ、彼女達は必死に駆けていた。
リプレイ
イオナ・ガルバローゼ
アルタン・ウルクの巣は地形もボロボロで遅滞戦術に利用出来るモノが少なそうですね
しかし、最後の決戦に参加せず
冬将軍がタイミル半島に残る中で自分達だけ亡命し救われようとしている
呆れ果てたヴァンパイアノーブルに一言、言ってやれないのも業腹です
何とかありあわせのもので工夫しますか
【冷気の支配者】を使用し種族「アルタン・ウルク」の移動速度を低下させます
心許ないですがアルタン・ウルクは形態の同じモノはほぼ同じ速度で走る筈
最大射程半径1㎞内で効果範囲を調整すれば内と外で隊列が乱れるでしょう
その隙にヴァンパイア・ノーブルの方へと近づきつつ
移動速度を下げた分の距離を得てから
飛べる蟲将型を先にパラドクスで牽制して行きます
ヴァンパイア・ノーブルは飛べます、高く飛んでは注意を引いてしまいますが
地形に囚われず低く飛ぶ分は彼女らに有益に働くでしょう
まさか復讐者が助けに来たとは思わないでしょうが
取り合えずそこに居て逃走を手助けしている以上は自分達を利用して逃げようと思う筈
言葉より行動で示し、ただ「行け」と促しましょう
マティアス・シュトローマー
ロマノフの広大な領土を思えば、奪還戦に参加出来なかったヴァンパイアノーブルがいた事は想像に難くないけど……彼らの末路がこんな悲惨なものになるとはね
彼らを討つにしろ、泳がせるにしろ、まずはアルタン・ウルクをどうにかしないと
あはは、この嫌な威圧感は相変わらず!
ホラーサーンでの掃討作戦やエカテリンブルクでの背水の陣を思い出すね
仲間とは横陣を組み、突出からの集中砲火を受けないように
足並みを揃えてパラドクスを発動。具現化した氷柱を地面から出現させ、敵を地に縫い留めながらその急所を貫く
可能であれば飛翔出来る蟲将型の迎撃は仲間に任せ、俺は通常型の足止めに専念。地上に視線を固定する事で注意の散漫を防ぎ、突破される事の無いように
合わせて【冷気の支配者】の効果を活用し、敵の移動速度も低下させておきたいね
また、能力値アップの効果で攻守共に戦力を強化
もちろん、蟲将型の機動力が脅威となる場合は狙いの変更も臨機応変に
奇遇だね
彼らに用があるのは俺達もなんだ
――なんて
言葉が通じない以上、実力行使に出るしか無いんだけど!
一角・實生
ロマノフの地を奪還しはしたものの、やるべきことは山積みだ
ヴァンパイア・ノーブル達が逃げる方角にはコーサノストラ……謎多きディヴィジョンが存在している
行動によっては、ロマノフの人々を苦しめた奴らをみすみす逃がすことになるかもしれない
……けれど、今は情報を得たいから
そう自らに言い聞かせる
仲間にも頷き作戦開始
アルタン・ウルクの強さはこの身を以て経験済み
仲間との連携を主に敵を足止めしよう
仲間や自分が突出しないよう、敵の意識がひとりに集中しないよう位置取りを常に意識
仲間とタイミングを合わせてパラドクスを発動しよう
敵へ更なる凍てつく冷気を
【冷気の支配者】で敵の移動速度を落としつつ
【ロストエナジー】でも意識に挿しこむ継続ダメージを与えていく
徽章の障壁を展開し受けるダメージは最小限に抑えて
仲間の隙を埋める立ち回りをするよ
逃げる彼女らとは何らかの接触があったとしても、一瞬目を合わせる程度で干渉はしない
よく分からないが好都合と思わせたいんだ
思考も行動も
泳がせるには最適な態度でいたいね
――目指す東はこの先だ
●葛藤と決断
「ロマノフの地を奪還しはしたものの、やるべきことは山積みだ」
一角・實生(深い潭・g00995)は、アルタン・ウルクに蹂躙された大地に真剣な眼差しを向け、そっと息を吐く。
逃げゆくヴァンパイアノーブル一行の姿を視認したディアボロスは、その満身創痍の姿に、ほろ苦い感情を抱く。
憐憫でもなく、かといって愉快でもない――奇妙な感情だ。
「ロマノフの広大な領土を思えば、奪還戦に参加出来なかったヴァンパイアノーブルがいた事は想像に難くないけど――」
マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)は肩を竦めた。
「……彼らの末路がこんな悲惨なものになるとはね」
因果応報、といっていいのだろうか。
アルタン・ウルクの存在は、相克とは遠うところにありそうで……少なくとも、どんな敵であれ、やつらの糧にさせてはならぬという危機感から、軽口を叩く気にはなれなかった。
「アルタン・ウルクの巣は地形もボロボロで遅滞戦術に利用出来るモノが少なそうですね」
身を屈めて地を眺めていたイオナ・ガルバローゼ(空染めの一輪・g07485)は、すこし眉をひそめてから、立ち上がる。
「しかし、最後の決戦に参加せず、冬将軍がタイミル半島に残る中で自分達だけ亡命し救われようとしているとは……」
――否、そんなこともしらないのかもしれない。
ロマノフは広すぎる。しかし、そうだったとして、イオは思うのだ、最後に種として集い決戦を挑むべきではないのかと……ヴァンパイアノーブルらの行動理念からすれば、正反対の考え方だったとしても。
「ヴァンパイア・ノーブル達が逃げる方角にはコーサノストラ……謎多きディヴィジョンか」
實生が囁く。奪還戦の後は、多く見られた現象だ。生き残ったクロノヴェーダは他のディヴィジョンを頼って亡命する――。
今まで、ディアボロスの手が届く範囲であれば、それを極力阻止してきた。
そういう戦いでも、ディヴィジョンを越境できる機会にできたから――しかし、此度は。
情報のために見逃す……という選択肢が提示されている。
(「行動によっては、ロマノフの人々を苦しめた奴らをみすみす逃がすことになるかもしれない……」)
それは。否、今更、ロマノフの人々にヴァンパイアノーブルは何も出来ないとは理解しつつ、抵抗があるのは確かだ。
「……けれど、今は情報を得たいから」
何より、まだ、どんな選択をするかの結論には早い。毅然と、實生は貌をあげる。
アルタン・ウルク――どんな生き物にも似ていない。どんな生き物も取り込む、そんな怪物との距離を測りながら。
「彼らを討つにしろ、泳がせるにしろ、まずはアルタン・ウルクをどうにかしないとね」
いつも通りの口調で言い、マティアスは仲間達に笑みを向ける。
そうですね、イオは首肯し、赤い瞳を眇めた。
「呆れ果てたヴァンパイアノーブルに一言、言ってやれないのも業腹です――何とかありあわせのもので工夫しますか」
どうするかは――まずは、双方を引き離してから、決める。
そんな意思が統一されるや、ディアボロスは残る距離を一気に詰めた。
大地を唸らせる、アルタン・ウルクの集団は。
シュゴォ、シュゴォォォ……荒々しい息のような、嘶きのようなそれを響かせ、ヴァンパイアノーブルを追っていた。
また一人、その群れに呑み込まれそうなヴァンパイアノーブルがいた。恐慌に陥った、殆ど意味をなさぬ、絶望の呻きを漏らし――しかし仲間も、彼女を助ける余裕はない。
そこへ、
「冬野に香れ、歴史を送る葬送の花よ」
イオナの声が、凜乎と響く。
祈りの言葉が呼ぶのは、雪崩――津波が如く押し寄せる白雪は、氷の棘を密に組み上げた壁。
アルタン・ウルクを押しつぶし、冷気で鈍らせる、そのための一撃。
それらの行動速度を落とすべく周囲一キロの気温も限界まで落とした上で、横っ面に叩きつける。
先陣のアルタン・ウルクが送れれば波状と後ろも遅れ行く。
更に實生は凍結弾を叩き込み、マティアスが仇敵同士の間に割り込む。
その、大小無数の赤い瞳が、ぎょろりと此方を睨み下ろす――通常型は蹄を高らかに鳴らし、蟲将型アルタン・ウルクは槍を手に翅を震わせた。
しかし、マティアスは高らかな笑声をあげた。
「あはは、この嫌な威圧感は相変わらず! ホラーサーンでの掃討作戦やエカテリンブルクでの背水の陣を思い出すね」
でも、だからこそ戦い方も知ってる――不敵に笑って、マティアスは敵へと話しかける。
「奇遇だね。彼らに用があるのは俺達もなんだ」
シュゴォォ――アルタン・ウルクの殺気が膨れ上がるのを感じて、マティアスは、はは、と愉快げに双眸を細めた。
「――なんて、言葉が通じない以上、実力行使に出るしか無いんだけど!」
敵が蹄を振り上げるや、パチンと指を鳴らす。
「掛かったね」
言うや、数多の氷柱が地面から飛びだし、踏み込んだアルタン・ウルクを貫く。
それらは貫かれながらも全身を震わせ、大きく蹄を蹴り出し、触手を激しく振り乱す。
マティアスにイオナはそれらを二方向に分かれて躱し――ヴァンパイアノーブルらの近くに至ったイオナは、肩越しに少し振り返り……すぐ前を向いた。
無論、彼女らとて、ディアボロスが来たとなれば、身構える。助けに来たなどと思うはずがない――しかし。
自分達に攻撃を仕掛けるでもなく、存在を無視するかのように背を向け、アルタン・ウルクと対峙する、驚き、逡巡する。
イオナは彼女らを諭したり励ましたり、逃走を直接促したりは、決してしない――イオナは、あくまでアルタン・ウルクに対峙するのだという姿で、「行け」と伝える。
同じく實生も、厳しい一瞥をひとつくれ、何も言わぬ。
(「よく分からないが好都合と思わせたい――」)
この好機に東へ逃げる、ただその選択をしてくれればいい。
実際、アルタン・ウルクはがむしゃらに踏み込んでくる。通常型の牙が、實生に迫るや、高い跳躍から長柄を振り下ろしてくる蟲将型を寸でで躱す。
すかさず銃を構えて報復すれば、ずるりと崩れたそこへ雪崩が滑り込む。
イオナが一掃することで、一時的に白く均された空間に、身体を傾かせた不格好な姿勢でアルタン・ウルクが踏み込んでくれば、マティアスの仕掛けた氷柱が地面から飛び出す。
徐々に……敵を減らしていけば。
後続のアルタン・ウルクとの距離がかなり開き始める。
そうなれば、ディアボロスやヴァンパイアノーブルの脚ならば逃げ切れるやもしれぬ、という距離が見えてきた。
三人が軽く意識を向ければ、既にヴァンパイアノーブル一行は東へと進み始めたようである。
残る危惧は、蟲将型が飛んで追おうとすることだが。
「飛翔は許しませんよ」
イオナが鋭く言い放ち、蟲将型を優先して攻撃を向ける。
周囲を静謐で包む苛烈な雪崩――翼部分を狙って、實生は撃ち抜き、マティアスは氷柱を下から叩きつけて、阻む。
ヴァンパイアノーブルとの距離が離れてしまえば、アルタン・ウルクも眼前のディアボロスを優先する――はたしてディアボロスも、それらと延々付き合うつもりもない。
のらりくらりと触手を掻い潜りながら、前に突出することなく敵を削って、東へと進路をとる。
追いかけて来るアルタン・ウルクが途切れた瞬間、ディアボロスもまたシベリア東部を目指して転進する――。
この先に、何が待つのか……そして、ヴァンパイアノーブルに追いついたら、どうするのか。
實生は、低く囁いた。
「――目指す東はこの先だ」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【冷気の支配者】LV3が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
●選択
「く、追いつかれる……」
「やはりディアボロスは我々を滅ぼすか」
追いかけて来るディアボロス達の姿を見、ブラッドメイガスらは歯がみする。
自分達を見逃す理由はないとは理解しながら、救いの光明を見たのも本当だ。
「ドゥーロワ卿」
ブラッドメイガスが窺うように声を掛けるが、ナジェージダ・ドゥーロワは「東に向かうしかない」と頭をふる。
「そうすれば助けが来るはずなのだ」
「疑ってはおりません――」
ブラッドメイガスは戸惑う。
きっと、ナジェージダ・ドゥーロワの言うことは本当なのだ。今の問題は、その地点に辿り着けるのかどうか。
(「我らが盾となって、ドゥーロワ卿を守ればあるいは……」)
自分達が生き残れなくても、ヴァンパイアノーブルという種が生き残る道。
この窮地において、彼女達は優先順位をそこに置くことにした――。
イオナ・ガルバローゼ
あの忌まわしい食人儀式が繰り返される可能性を考えれば、ヴァンパイアノーブルという種を看過するのは耐え難い事ですが。
しかし、もっと先に目を向ければ情報収集は優先しなくてはなりませんね。
一応【通信障害】でアヴァタール級との通信を遮断します
ヴァンパイアノーブルの動きを調査する為、ドゥーロワだけは元より見逃す予定です。
勿論、貴女達の動き次第で状況は変わるかもしれませんが。
ブラッドメイガス。吸血ロマノフ王朝の仇が相手になります。
【能力値アップ】、【ダメージアップ】を重ねた【Friesia】で戦いましょう。
「ただの臆病者では無いと言うならお答え下さい、貴女達が向かう先、目指すものとは何処なのかを」
北米ディヴィジョンから、クロノオブジェクトで迎えが来る話は聞いて居る
トループス級の彼女達は何も知らされていないかもしれない
自分達に不利な情報となれば話さないでしょうが
でも、トループスであってずっと先に思い描く希望はあるものなのか。
それは誇りある事なのか、それだけ聞いておきたいと思うのでした。
マティアス・シュトローマー
アルタン・ウルクは無事に撒けたようだね
――で。彼らのとる進路は変わらず東、と
情報を得るにあたり、見逃すのはナジェージダのみで十分。残る配下はアルタン・ウルクの強化を阻止する意味でも可能な限り撃破してしまいたい
まるでこの先に“アテ”があるかのような動きなんだよなー
君達は何か知ってるの?
【泥濘の地】の効果でブラッドメイガス達の移動速度を低下させ、逃走を阻止。彼らには飛行能力があるとはいえ、アルタン・ウルクから集中砲火を受け兼ねないこの場面では、目立つ飛翔の使用は避けるはず
そのまま戦闘へと持ち込もう
いずれにせよ、ここで君達と戦うのは確定事項
皇帝を討ち、ロマノフを滅ぼした俺達なら相手にとって不足はないんじゃないかな
パラドクスを発動。毒を含んだ熱砂のトラップを展開し、敵を引き込みながらその表皮を焼いてダメージを与える
反撃として放たれる針は致命傷になり得るものに絞ってライオットシールドで弾き、被ダメージを軽減
ここを耐え切り再び敵を罠にかけよう
君達の忠誠心と俺達の選択は彼女にどんな結末を齎すんだろうね
一角・實生
どうやら敵も覚悟を決めたみたいだ
ブラッドメイガス達にこちらも戦闘態勢へ
ブラッドメイガス達にも何らかの確信めいたものがあるのだろうか
俺はストレートに聞いてしまうからなあ
素直に返事を貰えるとも思えないし
それでもやるとするなら……シュトローマーさんやガルバローゼさんに問いかけは任せ、俺は力による情報の収集を試してみよう
【能力値アップ】を乗せ、更に【ダメージアップ】を上乗せしたパラドクスを発動
ナジェージダを狙うと見せかけ、ブラッドメイガス達の守ろうとする行動を逆手に取る
完全な防御行動をとる前に攻撃を当て陣形を崩そう
死の気配を前に口にする言葉
それらに本音や真実の欠片がないだろうか
……あってもなくても引き金にかける指はそのままに
反撃は徽章による障壁を展開しつつ、移動しながらウェントゥスで吸血コウモリを撃ち落としダメージを軽減
二人と協力し、残る敵を狙いを合わせて倒して行こう
最後のブラッドメイガスを倒した後、ナジェージダが更に移動を続けるようならスコープに捉える
奴の救い――東の終着点を見失わぬように
●涯へ
「アルタン・ウルクは無事に撒けたようだね」
軽やかに、馳せて――マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)は双眸を細める。笑みのように、或いは進路に待つものを見極めるように。
「――で。彼らのとる進路は変わらず東、と」
徹底してるね、と彼が呟けば。
「あの忌まわしい食人儀式が繰り返される可能性を考えれば、ヴァンパイアノーブルという種を看過するのは耐え難い事ですが」
イオナ・ガルバローゼ(空染めの一輪・g07485)は、しかし、もっと先に目を向ければ――と複雑な心中に折り合いをつけんとする。
渡さないのも正解だけれどね、とマティアスは言う。
「見逃すのはナジェージダのみで十分」
「そして、見逃すに釣り合う価値ある情報を得られるかは――俺達の行動次第でもある」
一角・實生(深い潭・g00995)がそっと息を吐いて、薄く笑う。
「なんて……俺が言うまでもなかったかな」
「いいえ」
イオナは静かに頭を振り、マティアスは無邪気に破顔する。
「そこなんだよなぁ――まあ、今は……出迎えに応じようか?」
わざと戯けた言葉に、實生はグラナトゥム――愛銃を胸に抱え込むように構え、確りと首肯する。
「どうやら敵も覚悟を決めたみたいだ」
向けた視線の先、ディアボロスの進路を遮るように、ブラッドメイガスらが居並ぶ。
一瞬の、沈黙の後。
「逃げるのは終わりかい?」
マティアスが問いかければ。
アルタン・ウルクに追われていた結果、ボロボロになったドレスを優雅に翻し、ひとりひとり、毅然と告げる。
「ディアボロス、決着をつけましょう」
「ドゥーロワ卿が無事に辿り着けるための礎として」
「吸血ロマノフ王朝の矜持を刻むため」
周囲に朱と黒の魔力を漂わせ、殺気を放って睨み付けて来る。
それを、柔らかに受け止めて、イオナは囁く。
「ヴァンパイアノーブルの動きを調査する為、ドゥーロワだけは元より見逃す予定です……勿論、貴女達の動き次第で状況は変わるかもしれませんが――」
「いずれにせよ、ここで君達と戦うのは確定事項」
歌うような節を付けて、マティアスが肩を竦めた。そして、ふっと唇に弧を描く。
「皇帝を討ち、ロマノフを滅ぼした俺達なら相手にとって不足はないんじゃないかな」
その声を聴き、イオナは瞑目し――ひと呼吸置くと。
レイピアを構え、開眼し続ける。
「ブラッドメイガス。吸血ロマノフ王朝の仇が相手になります」
とんと靴の爪先が荒れた大地を蹴れば、イオナの握るレイピアがきらり輝く。
「蘇れ黄金の太陽、冬よ冥土へ去れ。」
天を裂く苛烈な稲妻を受け、厳かな光を湛えた刃を、ブラッドメイガスへと振り下ろす。
カッと光が戦場をくらませ、傷だらけの淑女の身体を貫き、朱色の飛沫が舞う。
即座に魔力を鮮血色をした無数の針に変換すると、髪を靡かせ馳せるイオナへ打ち返す。
肌を掠める針に、彼は軽く目を細めたが、苦痛の声は漏らさなかった。
銃を構えた實生は、スコープからメイガスらの表情を見ていた。無論、仕掛けるタイミングを探っていた、のはある。
(「ドゥーロワ卿が無事に辿り着けるための礎……か。ブラッドメイガス達にも何らかの確信めいたものがあるのだろうか」)
脳裏にそんなことが過るのは、仲間の言葉を聴いてのこと。
彼らが知りたいのならば、助力してもいいと思うものの――。
(「俺はストレートに聞いてしまうからなあ、素直に返事を貰えるとも思えないし」)
そんなことを考えていると、マティアスの鮮やかな髪色が視界に入る。
「気付いた時にはもう手遅れ……ってね」
マティアスは掌を大地に翳すと。泥濘の地が広がり――同時、大地は砂漠のような砂地を重ね、ディアボロスの動きに応じ、前へと躍ったメイガスの足を捕らえる。
毒を含んだ熱砂がざらりと肌を削り、痛みに倒れ伏せば、触れた手をも痛みが蝕む。
「くっ……」
苦痛の吐息を漏らしながら、メイガスはマティアスを睨み付けた。四肢が疵付こうと魔力を針に変えて、報いることはできると。
果たしてマティアスは、鋭利に首や心臓を狙ってくる血の針をライオットシールドで受け止め叩き落とすと、少し意地の悪い笑みを浮かべて「ボスのために必死だね」と囁き、問いかける。
「まるでこの先に“アテ”があるかのような動きなんだよなー君達は何か知ってるの?」
メイガスらは怪訝そうにマティアスを見た――。
「ただの臆病者では無いと言うならお答え下さい、貴女達が向かう先、目指すものとは何処なのかを」
重ね、そう問いかけたイオナにも、同じ視線を向けた、後――メイガスらは、ただ厳しい目つきで、彼らを睨めつけた。
「くだらぬこと――同胞を、私達よりも力のある御方を、信じずどうします」
ふわっと周囲に、鮮血色の針が浮かび上がる。
「なにより、死の覚悟をした我々が……あなた達の敵である私達が……なぜ、あなた達の知りたがることを語るでしょうか!」
嘲るブラッドメイガスに――イオナは静かに問いかける。
「貴女達がずっと先に思い描く希望は、ないのですか?」
誇りある選択なのですか、と。
「理解できぬ者同士、栓のない話」
「誇りある戦いを。ただ貪り喰われるだけではない、誇りある死を選ぶのが私達の希望」
無論、生があるなら、それを望むけれどと、ヴァンパイアノーブルらしい高飛車な笑みを作ると、メイガスらは魔力を更に増幅させた。
ああ、と。敵の覚悟を前に――彼女らが迷っていようと、結論は同じだったけれど――實生は瞬きで応じ……引鉄に力をかけた。
「伝播する痛みを」
空を裂いて駆け抜けた、呪詛を込めた銃弾がメイガスに命中し、その身体を紺青色の電撃が包む――奥歯を噛みしめ耐えたそれが、血色のオーラを蝙蝠に変じて實生に嗾ける。
貌を目掛けて飛んでくる蝙蝠を、彼は軽い跳躍で距離を稼ぎつつ、冷静に抜いた小型拳銃で撃ち落とす。
かろうじて耐えたメイガスを襲うは、レイピアの突牙である。
イオナが雷で輝く刃で、それの胸を貫けば――内側から灼き焦げ、消える。
同胞の絶命を目の当たりに、唇を噛みしめたメイガスが、一歩踏み込めば、マティアスの仕掛けで、ずるりと流砂に滑り込んでいく。
毒と熱と、容赦なく肉を削る痛みに、それは脱出よりも反撃を選んだ。
無数の血針が空を馳せて――敢え無く落ちていく。
マティアスは淡淡と盾でそれを捌く。意地のひとつか、彼の腕に一筋、傷が走るも大したものではない。
比べれば守りをとる気配のないイオナの細い身体には、いくつもの傷が刻まれていったが――それでも、彼の命を危ぶませるほどの傷では無かった。
残されたメイガスは、ディアボロス達に距離を詰められる前にと魔力を更に多くの蝙蝠に変えて、一斉に放つ。
黒群れの目眩ましを、實生は気に止めず――再び、グラナトゥムを構えた儘、微動だにせず――標的を、撃ち抜く。
紺青の雷が蝙蝠を貫き、パルスの尾を靡かせながら――メイガスの頭部へ直撃する。
「……目標、沈黙」
實生は目を伏せる。蝙蝠は煙のように消え失せ、メイガスは前のめりに崩れ落ちた。
「君達の忠誠心と俺達の選択は彼女にどんな結末を齎すんだろうね」
「……」
マティアスの囁きに、イオナはただ目を伏せた。
そして、實生は、迷わず東へ進むナジェージダ・ドゥーロワの背をスコープで捉えながら、呟く。
「奴の救い――」
東の終着点に、何が待つのか。
いや、何が待ち何が起こるのか、ディアボロスはもう知っている――知った上で、どうするのか……。
最後の決断を下す時が、来た。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【通信障害】LV2が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!
イオナ・ガルバローゼ
何が来て何が起こるかまで、他での調査で分かったので
自分は相手の傍まで行って迎えが現れるかどうかを確かめようと思います。
迎えが復讐者を認識するのかどうかなど。
細かい所を観察してみましょう。
境界の揺らぐ霧の発生を確認した後に
【通信障害】の範囲にナジェージダ・ドゥーロワを収めつつ
【飛翔】で地上のすれすれを滑るように接近を試みます
相手が此方を認め次第、大声で呼び掛け戦う意思は無い事を伝えます。
「攻撃する意思はありません。貴女の行き先を調査に来ただけです」
そのまま黙って近くに居る事を許すとも思えないですが
そんな状態でも迎えは来るのか、迎えは復讐者を除きクロノヴェーダのみ選別して回収できるのか
それを確かめてみたいと思います
最悪でも自分がドゥーロワの注意を引けば味方の調査もやり易いかもしれません
通信障害がドゥーロワと迎えの連絡の邪魔になる様子ようなら解除しましょう。
●涯の別れ
さて、どうしようか。
東の空を仰ぎ、イオナ・ガルバローゼ(空染めの一輪・g07485)は考える。
(「何が来て何が起こるかまで、他での調査で分かったので……」)
先をゆくアヴァタール級ヴァンパイアノーブル、ナジェージダ・ドゥーロワは。
――いずれ東の空の境界が揺らぎ、霧の向こうから現れる、光り輝く円盤に回収される。
「自分は相手の傍まで行って迎えが現れるかどうかを確かめようと思います」
イオナは、仲間達にそう告げた。
迎えが復讐者を認識するのかどうか。
ナジェージダ・ドゥーロワを視界内に収めた儘、タイミングを見逃さぬよう、空をじっと見つめ――来た、と認識した瞬間、イオナは飛翔しようとして――できなかった。
アルタン・ウルクの姿が、視界の端に見えた。
もし此所で飛べば――如何に高度を下げようとも、奴らに見つかり撃ち落とされるだろう。
(「思っていたより、早いですね……」)
目的を果たすまでには充分な時間は稼げたが、もたもたしていられない。
幸い、それほどの距離があるわけでもない――このまま、地を走る。
長い髪を風に躍らせ、真っ直ぐに目標を目指しつつ、脳内で段取りを確認する。
通信障害を使用しながら、ナジェージダに近づいていく。
やがて、敵は。全速力で距離を詰めて来るイオナに気付き、警戒の姿勢を示した。応戦するか、更に逃走するか、迷うような動きではあった。
イオナは声を張って、ナジェージダに告げる。
「攻撃する意思はありません。貴女の行き先を調査に来ただけです」
「なんだと……」
信用できるか、とその表情には書いてあった。
「どちらでも結構です」
間合いほどの距離になって、イオナは脚をとめた。いきなり真横に貼り付けば、流石に攻撃されるかもしれない。
攻撃の意思はないが、無抵抗に攻撃されたいわけでもない。
ゆっくりと残る距離を詰めながら、イオナは天を仰いだ。
同じく、ナジェージダも空を見る。
光が、注いでいた。
皓皓と二人を染める眩い光……空飛ぶ円盤が、既に遙か上空に出現していた。
(「この状態でも迎えには来るようですね……後は」)
クロノヴェーダのみ選別して回収できるのか、どうか。
同時、通信障害が障害となり得ていないのは確認できている――今、現在、何の問題もなく円盤はナジェージダの場所を捕捉している。
そして、光が落ちる。
傍までやってきながら攻撃を仕掛けぬイオナを、訝しげに見つめた儘……ヴァンパイアノーブルは光に吸い込まれるように上空へと浮かび上がっていく。
「覚えておけ、ディアボロス――我々は滅びぬ」
敵の、その言葉を、イオナは地上に残されたままで聴いた――円盤は明確に、クロノヴェーダとディアボロスを選別した。
空から落ちてきた敵の言葉を、イオナは小さく、否定した。
「いいえ、いずれ……」
クロノヴェーダと雌雄を決する。それがディアボロスの宿命であるならば――。
滅ぼす、などという強い言葉は零せず。
代わりにイオナは、円盤が消えるまで、ただ空を見つめていた――。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!