【吸血ロマノフ王朝奪還戦】④エルミタージュ美術館

 このシナリオは【吸血ロマノフ王朝奪還戦】に関連する特別シナリオです。
 サンクトペテルブルク及びウクライナの地に集結したジェネラル級ヴァンパイアノーブル及び『鮮血の革命術式』で重要な役割を持つジェネラル級アークデーモンに対して、戦闘を仕掛けます。
 また、吸血ロマノフ王朝の排斥力の低下と攻略旅団の提案により、アルタン・ウルクのディヴィジョン『融合世界戦アルタン・ウルク』への逆侵攻も一部可能となっています。

 この戦闘によって、敵の戦力を削ることが出来ます。
 勝利したシナリオ数に応じて、対応する戦場の敵の数が減少し、戦いを有利に進めることが出来るようになります。

 このシナリオの攻撃対象は【『大元帥』アレクサンドル・スヴォーロフ】の軍勢です。
『大元帥』アレクサンドル・スヴォーロフは、エルミタージュ美術館の『冬宮殿』で、軍の最高権力者として、サンクトペテルブルク防衛の総指揮をとっているようです。

「成功したシナリオ数×5%」だけ、「④『大元帥』アレクサンドル・スヴォーロフ」の敵残存率を低下させます。

【吸血ロマノフ王朝奪還戦】不退転の剣たれ(作者 秋月諒
5


#吸血ロマノフ王朝  #【吸血ロマノフ王朝奪還戦】④エルミタージュ美術館  #吸血ロマノフ王朝奪還戦  #サンクトペテルブルク  #④『大元帥』アレクサンドル・スヴォーロフ 


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#吸血ロマノフ王朝
🔒
#【吸血ロマノフ王朝奪還戦】④エルミタージュ美術館
🔒
#吸血ロマノフ王朝奪還戦
🔒
#サンクトペテルブルク
🔒
#④『大元帥』アレクサンドル・スヴォーロフ


0



●戦火は消すに難しく
 軍部の司令塔として整備された『冬宮殿』に、一枚の地図が広げられていた。ロシア全土及びサンクトペテルブルクの地図には、いくつかの駒が置かれていた。
「……」
 戦場とこのロマノフを示す地図を見据え、『大元帥』アレクサンドル・スヴォーロフは顔を上げた。
「ディアボロスのディヴィジョンに攻め入ったマンネルヘイム達は、おそらく全滅したのだろう」
「まだ希望は残っております。なんらかの理由で、連絡が出来ないだけで……」
 言いかけた参謀を大元帥は目で制した。鋭くあった訳では無く——だが、その意味を分からなければこの場で参謀という地位についてはいまい。口を噤み、一礼を以て詫びた参謀に『大元帥』アレクサンドル・スヴォーロフは静かに告げた。
「希望的観測に縋るのは戦とは言えない。生き残っていたならば、望外の幸運と思えば良い。まずは、全滅したという前提で策を練らねばならぬ」
「はっ、申し訳ありません。——……、やはり我々では力不足です。参謀長様を是非……」
 己の不足を詫びた後に、だが、参謀はおずおず進言した。だが、大元帥の視線は変わらない。
「内政が出来るものが軒並み消えた今、奴には内政面を取り仕切ってもらわねば困る」
 参謀の進言に怒号を上げる訳でも、溜息をつくわけでも無い。ただ、静かにこの地を担うヴァンパイアノーブルは言った。
「そうしなければ、戦う前に、サンクトペテルブルクはバラバラになってしまう」
 状況は悪いが、それでも最善を尽くすために大元帥は駒を手に取る。吸血ロマノフ王朝の為に。

●不退転の剣たれ
「お集まり頂き、感謝します。『鮮血の革命術式』の件、既にお聞き及びの方も多いかと。
 最終人類史に現れたジェネラル級ヴァンパイアノーブルを全て倒すことができました。皆様の戦いに感謝を」
 そう告げたのは、セド・ファジュル(人間の風塵魔術師・g03577)であった。
「これにより、時が訪れました」
 吸血ロマノフ王朝のジェネラル級は大きく数を減らし、最終人類史に攻め込んだことで、ディヴィジョンの排斥力も大きく揺らいでいる。「吸血ロマノフ王朝奪還戦についての断層碑文が現れたのです」
 吸血ロマノフ王朝の大地を取り戻す時が来たのだ。
「ヴァンパイアノーブルの主力はサンクトペテルブルクに集結しています。
 勢力を保っている竜血卿ドラキュラの軍勢もウクライナを拠点として、それ以外の地域にの戦力はシベリアに冬将軍がいる状況となります」
 ——だが、シベリアでの排斥力が一気に下がり、奪還戦時にはアルタン・ウルクの侵攻がほぼ確実に発生する。
「シベリアにアルタン・ウルクを招き寄せる事で、ディアボロスに二正面作戦を強いるという作戦なのでしょう」
 現状、ロマノフは多数のジェネラル級を喪った状態ではあるが断片の王たる『吸血皇帝ニコライ2世』は起死回生の策を諦めてはいない。
「容易い戦いとはならないでしょう。追い詰められた者は、強いものです。ですが、我らとて譲る気は無い」
 セドはそう言ってディアボロス達を見た。
「吸血ロマノフ王朝との決着をつけるとしましょう」

「皆様に向かっていただくのは、エルミタージュ美術館の『冬宮殿』となります」
 『大元帥』アレクサンドル・スヴォーロフがいる軍司令部のある地だ。冬宮殿は軍部の司令塔として整備されており、多くの部下が配置されている。
「敵とぶつかるのは、この大広間でしょう。ロマノフ白軍精鋭兵が配備されています」
 これより先に進むには、この大広間を突破する以外に道は無く——だが、この場の目的は、突破には無い。
「敵戦力を削ること。ロマノフ白軍精鋭兵、乃ち大元帥の軍勢を減らすことです」
 敵は多勢な上、大広間内の家財は彼らが戦い易いように配置されている。相手の戦場で戦うのだ、下手に突っこめば狙い撃ちにされるのはこちらだ。
「相手も、此れまでの戦いで、ディアボロスというものを警戒しています。油断は無いでしょう。強敵と分かった上で、向こうも掛かってきます」
 こちらも甘く見ては痛い目を見ることになる。
「無茶はしないよう……とは言いませんが、無謀にはならぬよう。できる限り敵の数を減らした上で、撤退をしてください」
 これはひとつの作戦だ。故に、次の為に命を失わずにあるように。
「退くタイミングを見失うことの無いよう」
 そう告げて、セドはディアボロス達を見た。
「今日まで多くのことがありました。
 大領地の解放やモスクワ鉄道会社の活動をはじめとして、多くの人々を助けて来た皆様の活躍は、吸血ロマノフ王朝の人々の『従属』の感情を減らしてきていたのです」
 だからこそ、完全な『鮮血の革命術式』は一度は防ぐことができた。
「あれは、敵のジェネラル級が広大なロシアの大地制圧の為に退去して攻め込んで来た時点で、集結した自軍の戦力を首都ごと敵本拠地に転移させるという秘術です」
 敵本拠地の制圧及び断片の王を撃破して速攻で勝利するというカウンターを可能とするものであるようだった。
 それが一度失敗した。だが、失敗したからこそ——……。
「吸血皇帝ニコライ2世は再度の『鮮血の革命術式』の発動を狙っています」
 迅速に決着をつけなければ、ディヴィジョンの人々は死に絶え、新宿島も甚大な打撃を受けることになるだろう。
「多くのディアボロスの活躍で市内の一般市民は既に避難しています。今まで以上に派手に破壊してしまって構いません」
 見せるとしましょう、とセドは言った。
「我々の覚悟と矜持を。人々に従属を求めたヴァンパイアノーブル達に」
 では参りましょう、とセドは告げる。その道行きに祝福を込めて。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。

効果2

【ダメージアップ】LV2 / 【ガードアップ】LV2 / 【反撃アップ】LV1

●マスターより

秋月諒
秋月諒です。
どうぞよろしくお願い致します。

このシナリオは【吸血ロマノフ王朝奪還戦】のファーストアタックとなります。当攻撃対象は【『大元帥』アレクサンドル・スヴォーロフ】の軍勢です。

「成功したシナリオ数×5%」だけ、「④『大元帥』アレクサンドル・スヴォーロフ」の敵残存率を低下させます。

▼目的
『大元帥』アレクサンドル・スヴォーロフの軍勢『ロマノフ白軍精鋭兵』の数を出来るだけ減らす

▼敵について
ロマノフ白軍精鋭兵

*ヴァンパイアノーブルは共通して飛行能力を持ちます。

▼戦場について
宮殿の一角 大広間 入り口に近い方で、軍部は遠いようです
(軍部の様子などは分かりません)
テーブルや椅子などが倒されバリケードが設置されています。

▼リプレイについて
大広間で敵に出会ったところから。
広間までの移動は必要ありません

*技能は、パラドクスを越えた効果は発揮しません。
*完結を優先するため、必要数を大きく超えた採用はありません。予めご了承ください。
*パラドクスの説明文章を過大解釈したなんかすごい行動は不採用でお返しする可能性がございます。

どの効果もあれば良い、というよりはどう使うかが重要となってくるかと。
また、戦闘時、負傷判定の場合は負傷の描写があります。血の描写など苦手だよ、という方はご注意ください。

それでは皆様、御武運を。
74

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


ワシリーサ・ヴォレシア
アレンジ連携歓迎

心情
個人的には油断してくれてた方が助かるんだけど……まあ、仮にもロマノフの誇り、彼の大元帥の名を騙る相手にそう言うの願うのは流石に無茶な話かあ
まあ、其れでも何度も復讐者が攻め込んだ地に陣取っているのなら其れは立派な情報アドバンテージ
多少改装していても完全に別物には出来ない筈だからね
序に言うと戦争に備えて戦場になるエルミタージュ美術館の地形情報をアップデート出来ればなお良しだし

事前にエルミタージュ美術館に潜入した依頼等の資料を確認
その情報を基に大広間に向かう迄の間に美術館の外観や内部から多少なり〇陣形に関する知識や〇戦闘知識を基に情報をアップデートしていく

戦闘の際は味方と連携しつつ〇スヴォーロフの進軍を発動
敵の護りの薄い箇所や敵の配置が少ない所に向かって攻撃し敵が此方を包囲する前に離脱し別方向の護りの薄い箇所に仕掛けるヒットアンドアウェイ戦法で敵のかく乱を狙う

守りの薄い所を狙って少しでも多く長く戦力を削っていかないと、ね

ほら、私はこっちだよ!

蝶の様に舞い、蜂の様に刺す、だよ


●突き進むのは焔たれと
 エルミタージュ美術館の『冬宮殿』の一角、戦場となったその大広間に堅い足音が落ちた。
(「この雰囲気、向こうも、防御態勢はしっかりしている感じね」)
 赤い瞳を細めると、ワシリーサ・ヴォレシア(船好き少女・g09690)は顔を上げた。
(「個人的には油断してくれてた方が助かるんだけど……まあ、仮にもロマノフの誇り、彼の大元帥の名を騙る相手にそう言うの願うのは流石に無茶な話かあ」)
 まあ、其れでも何度も復讐者が攻め込んだ地に陣取っているのなら其れは立派な情報アドバンテージ、とワシリーサは思う。
(「多少改装していても完全に別物には出来ない筈だからね。序に言うと戦争に備えて戦場になるエルミタージュ美術館の地形情報をアップデート出来ればなお良しだし」)
 事前に見たエルミタージュ美術館に潜入依頼等の資料と比べてみるに、幾つか導線を潰されているようだ。
「――来たか、ディアボロス」
 沈み込む思考を、ワシリーサはここで止める。目の前にはバリケード。ロマノフ白軍精鋭兵達の低い声が耳に届く。
「勿論、来たよ」
 確かな威圧と共に響く言葉に少女は笑う。ゆっくりと頷くように、その圧に飲み込まれること無く。再び大地に足をつけ、歩み出すこととなった彼女は戦場を、戦いというものを知っていた。
「取り戻すために」
 カツン、と少女のヒールが宮殿に響く。ダンスは踊らない。この一歩は、踏み込む為。身を跳ばすようにワシリーサは前に――出た。
「スヴォーロフの様に迅速に、態勢を整える時間を与えず攻め立て追い詰める―――っ!」
 カン、と鋭く響く足音と同時に、少女の髪がふわり、と揺れた。踊る白銀と共に姿を見せたのは吸血船イワンワシリー号をモチーフとした海戦装。
「来るか。各自守りを堅めよ! ここは、冬宮殿であるぞ!」
「堅めよ!」
 踏み込めば守りを固めてくることはワシリーサにも分かっていた。だがその踏み込みが早ければ――ロシアの最後の大元帥にして不敗の名将がそうであったように機動性を重視した力を少女が手にしていれば。
(「向かう先の守りだけが、堅くなる」)
 だからこそ、四歩目、踏み込んだ足でワシリーサは身を横に振った。キュ、と広間の床が鳴る。着地の足と共に軽く床に手をついて、そのまま――前に跳んだ。
「な……ッ」
 兵士の間合深く、踏み込んだワシリーサに敵の影が落ちる。持ち上げたほっそりとした手が、砲台に敵を告げる。
「行くよ!」
 それは零距離からの砲撃。吸血船海戦装イワンワシリーは揺らぎ無く眼前の相手を吹き飛ばす。ガウン、と鈍く響いた音と共に炎が舞った。一瞬にして空間を熱した砲撃の中、ワシリーサは床を蹴ってその場を離れる。
(「守りの薄い所を狙って少しでも多く長く戦力を削っていかないと、ね」)
 敵に包囲されることなく、大きく後ろに跳べば刺すような殺意が来る。
「仕留めよ」
 低く放たれた言葉と共に、兵士の足元から血が湧き上がる。波に似たそれは次の瞬間、血の弾丸となってワシリーサに襲い掛かった。
「わ」
 徹底的にこちらを潰す気なんだろう。既に一体、倒した相手を踏み越えるようにして来た相手も動きだす。身を横に振り、ヒュン、と構えた錨で受け止める。弾け飛んだ銃弾が、腕に、足に届く。傷みはある。だが――。
「それだけ」
 無数の銃弾の中を少女は舞う。己が零した血など気にせずに。
「ほら、私はこっちだよ!」
 踏み込む敵の動きを見据え、一撃、紡いだ後だからこそ隙の出来た相手へと――行く。
「蝶の様に舞い、蜂の様に刺す、だよ」
 踏み込む速度に迷いは無く、砲撃は戦火を告げた。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【託されし願い】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!

マティアス・シュトローマー
ラト(g00020)と

さすが、軍部の本拠地だけあって敵の守りは堅そうだ
だからこそワクワクするね
この守りを崩せたら大元帥様がどう慌てふためくのか

トレイン襲撃や西ポーランドでのお礼もしたいし、派手に楽しく目に物見せてやろうよ、ラト!
……楽しく、とは言ったけど油断はしないさ
向けられた視線の先、チャイコフスキー戦での傷の事だろうと肩を竦めて言外に応える

大広間への侵入と同時に攻撃開始。指銃からパラドクスを込めた弾を放ち、ダメージアップの効果と合わせて貫いた箇所を破壊していく
狙う個体はラトと統一し、彼女より先に動ければ前衛の敵を、後に動くのであれば彼女の撃ち漏らしを狙い、効率良く敵戦力を削りたい
またラトとは死角を補うように背中合わせに立ち、一人突出しないよう声を掛け合おう

無茶と無謀の違いくらいは理解してるつもり!
反撃の一斉砲撃は致命傷になり得るものに絞ってライオットシールドで弾くように受け、被ダメージを軽減
ラトへのディフェンスも抜かりなく
撤退は仲間と足並みを揃えて

またすぐに会おう!
もちろん奪還戦でね


ラト・ラ
マティアス(g00097)と

ヴァンパイアノーブル――
西ポーランドの件を許し難く思うと同時、
個人的に嫌な記憶も蘇る
伏せがちな瞳が見遣るのは、気合い十分な姿勢の――マティアスのちょうど肩のあたり
過去に一度その牙により手負いとなった彼
半ば八つ当たりと呼ばれても構わない
「絶対に許さない」
楽しく、と言いかけた少年の声に被せる形で
心に留められず静かに溢れ出た

いつものように頼もしく先陣を切る、
マティアスの背を追う形で大広間へ
「随分と大層な企みがあるようだけれど
犠牲は最小限に、あなたたち自身で賄ってください」
魔晶剣を手に【祈り】を発動
混乱した個体からマティアスと息を合わせ連撃で狙い倒して行く
彼の効果と併せてこちらは【ガードアップ】付与にて防御力を高め、一瞬の隙も与えぬように
赤い津波は魔晶剣で波を裂き、切り拓いた先で油断している敵を撃って出る

今回に限っては守られてばかりになるものかと心は焦燥するけれど
ここで我を見失い皆の足を引っ張るわけにはいかない
きちんと弁えています
悔しげに唇を噛みつつ足並み揃えた撤退を


●鮮血を祓う
 轟音と共に砲撃が行く。バリケードの一角を崩し、凡そ宮殿の大広間には不釣り合いな硝煙が舞った。踏み込む仲間の姿を視界にラト・ラ(*☽・g00020)は足を止めた。
「……」
 踊る赤。
 押し黙った彼女の隣、青年が顔を上げた。
「さすが、軍部の本拠地だけあって敵の守りは堅そうだ」
 伏せがちな緑が見遣った先、灰色の瞳は不敵な色を乗せていた。
「だからこそワクワクするね。この守りを崩せたら大元帥様がどう慌てふためくのか」
 視線に気が付いたように、マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)が此方を向いた。悪戯っ子はゆるりと笑みを見せる。
「……」
 その笑みが、血に濡れたことをラトは覚えている。それは、西ポーランドの件を許し難く思うと同時に、ラトの心に蘇ったものだった。
(「……嫌な記憶」)
 胸の奥が、疼く。燠火のような想いの名を、ラトは知っていた。気合い十分な姿勢の、マティアスのちょうど肩のあたり。
(「ヴァンパイアノーブル――」)
 過去に一度、彼はその牙により手負いとなった。
「トレイン襲撃や西ポーランドでのお礼もしたいし、派手に楽しく目に物見せてやろうよ、ラト!」
「絶対に許さない」
 言葉は、心に留められず静かに溢れ出た。半ば八つ当たりと呼ばれても構わないのだから。
「……」
 被さるようにして響いた言の葉に、マティアスは気が付いているのだろう。青年は、軽く肩を竦める。
「……楽しく、とは言ったけど油断はしないさ」
 言外にそう応えた先で――戦場に轟音が響き渡った。バリケードの一角が、崩れたのだ。
「増援だ」
「誰一人、生きて返すな!」
「――」
 サーベルが振り抜かれる。ロマノフ白軍精鋭兵の言葉に、ラトの心臓が冷え込む。爪が食い込むほどに強く手を握れば、兵達の視線を遮るように軽やかな足音が耳についた。
「残念、生きて帰るよ!」
 高らかに告げる声と共にマティアスが前に出た。踏み込みの一歩、大きく入れたのは迎え撃つようにバリケードを越えてきた相手を見たからだ。
「その目に焼き付けて」
 歌うように告げて、着地の足と共に手を持ち上げる。空の手に武器は無く――だからこそ、前衛を担う精鋭兵は踏み込みを選んできた。間合を一気に詰めるように、低く跳んだ相手を視界に――だが青年は笑う。
「見てて」
 持ち上げた手が銃の形を作る。人差し指に淡く灯った光は――パラドクスだ。
「何を言っ……ッ!?」
 次の瞬間、マティアスの指先からパラドクスの力を込めた弾丸が放たれた。一撃、穿つ銃弾は精鋭兵の胴を撃ち抜き、光が爆ぜる。
「な……ッ」
「くそ、なんだこれは……!?」
 それは鮮やかに咲き誇る火花。爆ぜた力は青く色付き花を咲かす。ひらはらと舞い落ちる花弁は火花が担い――だが、その炎は、衝撃は紡ぐ加護と共に深く、突き刺さる。
「っぐ、ぁあ、くそ」
「貴様……!」
 ぐらり、と精鋭兵達が身を揺らす。しとどに零れた鮮血が床を濡らし、その赤が唸る声と共に沸き立つ。
「ここで潰せ、確実に仕留めよ!」
「随分と大層な企みがあるようだけれど」
 その咆吼にラトは告げる。手を組み、祈るように魔晶剣を抱く。
「犠牲は最小限に、あなたたち自身で賄ってください」
 瞬間、零れたのは光であった。僅か伏せられた緑の瞳が光を帯びる。
「Amen,」
 祈りの言葉に修道女は呪詛を乗せる。蹈鞴を踏み、だが、ぐん、と顔を上げてきた相手を見る。
(「然し、わたしはあなたへ祈ることをやめました。唯思うだけでは不十分なのです」)
 この腕で、この身で、その肉を、その骨を、絶つことが――。
「わたしに許された純粋なる復讐なのだから」
 ゆらり、とラトは一歩を踏む。両の手で握った魔晶剣に呪詛が触れていく。鋒は床に落ちた血を払い、あと一歩、踏みこむ彼女の道を開く。カツン、と足音が戦場に響くと同時に、精鋭兵の咆吼が響く。
「ディアボロス!」
「……」
 だん、と荒く来た踏み込みにラトは刃の鋒を上げる。刃は凪ぐように空を滑り、精鋭兵達に――届く。
「っぐ、ぁあああ!」
「くそ……ッその、剣、は」
 深く、ふかく。胴より奥、骨を断つように。両断する刃に、マティアスの銃弾を受けていた精鋭兵達が崩れおちる。構えたサーベルが床に落ち、赤い光に飲み込まれるように消えた兵の向こう、踏み込んでくる兵達に凪いだ傷痕が残る。
「――守護を」
 踏み込み相手を視界に収めながら、ラトは防御の加護を紡ぐ。マティアスが攻撃の加護を紡いだ分、戦場に零し満たした光に、トン、と軽やかな足音が耳に届いた。
「さすが、ラト」
 背を合わせるようにマティアスが背後に立つ。互いの死角を補うように、カツン、と踵をあわせれば顔を見なくても互いの無事は分かる。後は、信があるから。
「マティアス、このまま前を……」
 狙います、と告げる言葉で、己を律するように顔を上げればラトの視界に、鮮血が舞った。
「――」
 踊る赤は床から這い上がる。手を掲げるのは、あの時斬りつけた兵。蹈鞴を踏み、唸りながらも顔を――上げる。
「赤き津波よ、奴を飲み干せ!」
 湧き上がった血を、壁のように立ち上がったその奔流にラトは刃を向けた。ザン、と血の波を裂く。正面、斬り伏せ作り上げた道と共に、防ぎきれなかった波がラトの足に、腕に叩きつけられる。だが、それだけだ。ヴァンパイアノーブルを前に、八つ当たりと呼ばれようとも――足を止める理由は、無い。
 剣戟と銃弾が舞う。精鋭兵達が咆吼と共に鮮血を放つ。湧き上がる波は戦場を浚い、無数の銃弾が一斉にマティアスの前に顕現した。
「ここで、その命奪いきる!」
「――っと」
 鮮血の掃射に、マティアスは身を跳ばすより盾を持ち上げた。致命傷を避けるように、体の中央に置く。衝撃に腕が痺れるのを感じながら、顔を上げる。
「無茶と無謀の違いくらいは理解してるつもり!」
 致命傷さえ避けられれば良い。敵が一斉攻撃で来るのはマティアスも分かっていた。だからこそ、防ぐものも絞る。腕の痛みも、足の痛みも、動けている証拠なのだから。
「さぁ、」
 手を持ち上げる。血濡れの指先に、光が灯る。それは、花火をイメージした素敵な悪戯。夜空を彩る大輪の花。
「行くよ」
「っぐ、ぁあ……ッくそ」
 貫いたその場所から爆ぜた光が花火のように光を零す。鮮やかに咲いた火の花に、二体が崩れ落ちる。
「単純に防ぐな、この弾丸は……!」
「――」
 警戒を告げる精鋭兵へとラトが踏み込んだ。薙ぎ払う魔晶剣が淡く光を帯びる。唇、祈るように乗せられた呪詛が力となって届けば、眼前の相手から血が――沸いた。
「ラト」
「――」
 名を呼ぶ声と共に、踏み込んだ人の姿がラトの目に見えた。一撃、防ぐように盾を構えた彼に心がざわつく。今回に限っては守られてばかりになるものか、とそう思うけれど。
(「ここで我を見失い皆の足を引っ張るわけにはいかない」)
 息を吸う。無事を告げるようにひらひらと手を振ってみせる彼も、自分も手を血に濡らしていた。痛みは熱のようにこの身にあって、でも隠しきれぬ怒りも敵にあった。
「きちんと弁えています」
「……」
 悔しげに唇を噛むひとの隣にマティアスは立ち、機を告げる。再び湧き上がる鮮血に、身を翻した。
「ッチ、待て貴様ら!」
「またすぐに会おう! もちろん奪還戦でね」
 行こう、と傍らの人の名を呼ぶ。二人、足並みを揃えるように戦場を去った。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!

オズワルド・ヴァレンティ
ついに吸血ロマノフ王朝とも決着の時か
少しでも奪還戦を有利に進められるよう
前哨戦として此処で敵の数を減らして
勝利への道筋を切り開くとしよう

大広間に設置されたバリケード、
射撃を扱う敵精鋭兵には地の利が有りそうか
戦況全体の把握に務め
戦場を共にする仲間のディアボロス達とも
信を置いて全力で挑むように標的を絞り
敵の残数や動きなどの情報を共有
声掛け等で仲間との連携を図り
孤立と死角を防ぐように動く

我が門よ開け、と中空に魔法陣を展開し
出現させるは砂鉄の左腕と右腕
立ち塞がるようなバリケードに向かい
遠距離からでも拳の一撃と
強大な衝撃波を打ち出して
弾丸による反撃には携えた竜骸剣での応戦や
エアライドも駆使して撹乱するよう立ち回り
手近な個体・体力の低い敵兵から攻撃の手を集中
各個撃破を心掛ける

手数を増やせば反撃手も増えるのは道理ではあるが
なればこそ此方も倒しきる数を増すように
振う砂鉄の両腕を容易く止めるつもりもないと
可能な限り敵の数を減らせれば
頃合いを見ての撤退
余力が残ればなるべく殿を務める

連携・アドリブ歓迎


●活路を開く
 血の波を、光を帯びた刃が切る。爆ぜた赤の向こう、踏み込んだ一人が放った一撃が花火のような光となった。一斉に放たれる弾丸に身を跳ばすより盾を構えれば、ギン、と鈍い音が戦場に響き渡る。
「これ以上踏み込ませるな!」
「撃て、このまま包囲しろ!」
 バリケードの向こうからロマノフ白軍精鋭兵達の声が響く。一体、また一体倒れた兵を乗り越え、飛び越えるようにして踏み込む者と弾丸による援護は沸き立つ鮮血が齎すものだ。
「守りを堅めよ。ここは冬宮殿だということを忘れるな!」
「――あぁ、そうだろう」
 咆吼に似た声に、青年の静かな応えが響いた。瞬間、生まれ出でた風が硝煙を散らす。積み上げられたバリケードに影が落ちた。
「な……ッあれは……!?」
「砂……?」
 零れ落ちるは砂鉄。舞い踊るは砂塵。絢爛豪華な大広間の天井に現れたのは光零す魔方陣。対のそれを展開せしめた主たる青年は、その手を掲げることで術式を完成させる。
「我が門よ開け」
 鋼鉄を示すもの。
 翠の瞳が淡く光を帯びるように見えたのは、魔方陣が零す光が故か。開かれた門よりあふれ出た砂鉄は巨大な腕となり、緩く拳を握った青年を模倣する。
「――これで」
 軽く足を引き、オズワルド・ヴァレンティ(砂塵の彼方へ・g06743)は真っ直ぐに前を見ると――拳を、放った。
「な……ッ動い、ぁああ!?」
 轟音。魔法使いの放つ拳は、砂の両腕も同じだ。砂鉄の右腕と左腕が、バリケードごと精鋭兵を穿った。轟音と共にバリケードの一角が崩れ、傾ぐ兵を飛び越すように真横の精鋭兵が動く。
「正面、三体だ」
 短く仲間に告げるとオズワルドは戦場を見据えた。予想通り、地の利は向こうにありそうだ。一人が倒れれば穴を埋め、薄くなりがちな箇所をバリケードを上手く使って防いでいる。
(「突破はさせない布陣だな。同時に、押し返す気はあるようだが……」)
 殲滅させようという程、強くは踏み込んで来ない。精鋭兵たちは自分の仕事を理解しているのだろう。ここは冬宮殿。これ以上の侵入が許されぬ地。
「これ以上、彼奴らの好きにさせるな!」
 砂鉄の拳の衝撃から、立ち上がった精鋭兵がこちらを向く。足元、零した赤が湧き上がる。
「……」
 何かが来る、とオズワルドは思った。魔術に似た感覚、呪術に近いそれは一瞬にして血の匂いが濃くなり鮮血の弾丸が顕現する。
「放て……!」
「――」
 次の瞬間、無数の弾丸がオズワルドに向かって放たれた。キィン、と高く響く音と共に衝撃が肩を穿つ、は、と吐いた息、掃射に青年は竜骸剣を抜き払った。
「これで」
 ザン、と弾丸を切る。鮮血を払う。赤き血に戻ったそれに目をやるより先に床を蹴った。砂鉄の拳を叩き込んだ先、二人の兵が一気には放った弾丸がオズワルドを追う。腹を、穿つ銃弾に床を蹴った。足を狙った弾丸が空を切る。二度、空を蹴り上げ、そのまま着地より先に手に魔術を手繰る。砂鉄が再び拳を喚ぶ。
「門よ」
 手数を増やせば反撃手も増えるのは道理。理解していたからこそ、次の一撃を繰り出す。倒しきる数を増すように、血濡れの手で杖を握る。
(「ついに吸血ロマノフ王朝とも決着の時か」)
 戦場に砂が舞う。鮮血が湧き上がる。兵士達の咆吼を聞きながら、オズワルドは冷静に砂鉄を操り拳を握る。
「少しでも奪還戦を有利に進められるよう、前哨戦として此処で敵の数を減らして勝利への道筋を切り開くとしよう」
 再び、拳を放つ。打撃と弾丸。砂鉄と鮮血の応酬の中、バリケードが砕ける。
「……ここまでだな」
 一角崩れきった陣は補充もされない。増援の気配がある以上、ここが引き時だ。十分な戦果と共に、オズワルドは大広間を去った。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【エアライド】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!

レイラ・イグラーナ
一度目は水路からの侵入、二度目は剥製に扮して、三度目は凱旋公演に紛れて。
冬宮殿へと足を踏み入れるのはこれで四度目……敵の目を忍んでの潜入であったものが、とうとう冬宮殿のみならずサンクトペテルブルク、ひいては吸血ロマノフ王朝の攻略まで漕ぎ着けることができた。
感慨深い想いはございますが、まだ成し遂げたわけではございません。目の前の敵に集中いたしましょう。

地形はあちらに戦いやすいように配置されているということ。
そうなるとバリケードに使えるようなものは期待薄でしょう。
突出せぬように仲間と共に戦闘。【手製奉仕・舞】で常に動き続け、敵の射撃の的にならないようにしながら針を投擲。撹乱を行うとともに敵の数を減らします。
敵の目が私に集中したら他の方と目立って戦う役を代わり、一人に負担がかからず長く戦い続けられるように。
一度に大きく戦力を削るのではなく、じわじわと長時間かけて敵の戦力を削れるようにします。

敵の増援などで押し切られそうになったら撤退を。
四度目はこれまでですね。
五度目は……ここを落とす時です。


●不退転の剣たれ
 爆ぜる炎の弾丸と、剣戟の音が戦場に響く。軽やかな足取りと、カツン、と床を踏む二人の攻撃に鮮血の応酬が舞った。
「冬宮殿をこれ以上穢すことなど、許されはしない! ここで片付けろ!」
「――穢す、とは」
 言の葉と共にヒュン、と放たれるものがあった。銀の針がロマノフ白軍精鋭兵の腕に突き刺さる。一拍の後、銃弾へと形を成していた鮮血が――散る。
「随分と好きに仰るようですね」
 カツン、と足音が響く。ふわりとメイド服のスカートが揺れた。丈の長いそれは、軽やかな娘の動きを隠すようにひらりと揺れる。
「いつからそこに……ッ構わん、撃ち抜け!」
 我らは、と精鋭兵が吼える。一度、散った鮮血が急速に湧き上がる。血の渦は娘の眼前で無数の弾丸に変わる。
「白軍精鋭兵だ!」
「――」
 怒号と共に、鮮血の銃弾が来た。むせ返るほどの血の臭いと共に掃射がレイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)を追う。甲高く響く音と共に衝撃が足に来た。鈍く落ちた痛みに――だが、レイラは床を蹴る。
(「話にあったとおり、地形はあちらに戦いやすいように配置されているようですね」)
 ならば、この身で行く速度を上げるだけだ。
「弾む律動、焦がす熱情」
 銀の針を手の中に落とす。既に一度上げた速度を、更に体に馴染ませるように、戦場を駆け回れるようにレイラは紡ぐ。
「揺蕩う瞳が心意を射貫く」
 カン、と鋭く、メイドは床を蹴り、壁に足をつく。くるり、と宙で踊るように身を回せば、背後に生まれた銃弾が空を切った。
「ちょこまかと!」
「決して逃がすな!」
 咆吼と共に、床に散った鮮血が蠢いた。それが再び力を持つより先に、レイラは手首を振るう。ひゅん、と指先に絡めた銀の針が精鋭兵に沈んだ。
「っく、ぁ……ッ」
「くそ、こん、な……ッ」
 ぐらり、と二体、崩れおちれば、その奥からもう一体が来る。此方は傷が浅いか。荒く、口から零れる血を拭った兵士が鮮血を招く。
「その技、暗殺者か」
「答える理由などありましょうか」
 トン、と降り立った娘はそう告げる。肩に、腕に、銃弾によって生まれた傷を持ちながら。熱に似た痛みが、じくじくと残る。だが、それはレイラが此処に――この場所に生きて辿り着いたということを示していた。
(「一度目は水路からの侵入、二度目は剥製に扮して、三度目は凱旋公演に紛れて。冬宮殿へと足を踏み入れるのはこれで四度目……敵の目を忍んでの潜入であったものが」)
 とうとう、とレイラは思う。
(「冬宮殿のみならずサンクトペテルブルク、ひいては吸血ロマノフ王朝の攻略まで漕ぎ着けることができた」)
 この宮殿の奥には、『大元帥』アレクサンドル・スヴォーロフがいる。この戦いは、奪還戦に繋がる。
(「感慨深い想いはございますが、まだ成し遂げたわけではございません」)
 目の前の敵に集中するように、レイラは顔を上げる。射るように鋭く真紅の瞳が敵を見据え――革命家であり、メイドたる娘は行った。
「この技が、少しでも人民の皆様のためになるのでしたら」
 小さく、唇に乗せる。兵士の怒号が娘の言の葉を喰らう。それでも構わなかった。握る銀の針が、ここまで来た事と、自分にこの言葉が届いているのが全て。
「必ず」
「撃ち崩せ!」
 ヒュン、と放たれる銀の針と、鮮血の弾丸が生まれるのは同時であった。
「ぐ、ぁあああ……ッくそ、こんな、私が、ディアボロス、に……ッ」
 ぐらり、と眼前の兵士が崩れおちる。鮮血が床を叩く。レイラの放った銀の針がロマノフ白軍精鋭兵の胸に突き刺さっていた。心臓を穿つ一撃に、だが、すぐにレイラは床を蹴る。離脱の動きは、だが同時に戦場を舞うようだ。
「――」
 娘の動きを追うように、零した血が舞った。は、と落とす息が荒くとも、膝をつくことだけは無いようにレイラは銀の針を強く握る。痛みはある、だが、一度に大きく戦力を削るのではない戦い方を意識することで、長い時間ディアボロス達がこの冬宮殿で戦うことができていた。
「……これは、足音」
 ――だからこそ、敵の増援が来た。慌ただしく聞こえたその音に、レイラは仲間に警告を告げる。
「四度目はこれまでですね」
 逃がすなと響く声を聞きながら、レイラは冬宮殿を、ロマノフという大地を見据えた。
「五度目は……ここを落とす時です」
 鮮血の舞う戦場をディアボロス達は後にする。全てを取り戻す戦い、その決着をつける為に。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【士気高揚】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2024年11月22日