【吸血ロマノフ王朝奪還戦】吸血参謀長の憂鬱(作者 柊透胡)
#吸血ロマノフ王朝
#【吸血ロマノフ王朝奪還戦】⑥ダウリーダ宮殿
#吸血ロマノフ王朝奪還戦
#サンクトペテルブルク
#⑥『吸血参謀長』ミハイル・アレクセーエフ
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サンクトペテルブルク、ダウリーダ宮殿――正史に於いて国会議事堂としても利用された、歴史的由緒のある宮殿を拠点としているのは『吸血参謀長』ミハイル・アレクセーエフ。
バタンッ!!
今しも、ミハイル・アレクセーエフの執務室の扉が開くや、大量の書類を抱える文官が小走りに回廊を駆けていく。その慌ただしい様子を、警備担当のトループス級『皇帝官房第三部』のヴァンパイアノーブル達は気の毒そうに見送った。
「最近、参謀長閣下の怒鳴り声も、元気がなくなってきたであります」
「うむ……慣れない仕事で、お疲れなのだろう」
本来、有事に際して軍部の参謀本部を率いる筈の『吸血参謀長』は今、別件で忙殺されている。
それは、吸血ロマノフ王朝の国政全般――広大な領土を滞りなく管理するには、確かに明晰な頭脳と見解を要するだろうが……嗚呼、労多く功少なし。
日々、彼の眼鏡の下の目が血走っていくのを、警備のトループス級達はハラハラと見守って来た。
「ラスプーチン様やココツェフ伯爵がいらっしゃった頃は、嬉々として戦略を練っておられたというのに……おいたわしい」
「……あれで、デニーキン様が意外と役立ってたって事か」
「滅多な事は、言うべきでないであります!」
同僚の呟きを慌てて咎めるも……確かに間違ってはいないのが、何とも切ない。互いに顔を見合わせたトループス級達は、ハァッと重々しい溜息を吐いた。
「『鮮血の革命術式』により西ポーランドに出現した『最終人類史侵攻作戦』の部隊は、見事全滅。最終人類史の一般人に被害を全く出さず、ジェネラル級ヴァンパイアノーブルを尽く撃破出来たのは、本当に素晴らしい事です」
新宿駅グランドターミナル――そのプラットホームに出現したパラドクストレインの1号車の傍らに立ち、篁・弧珀(陽炎う陰陽射手・g03309)は、称えるようにディアボロス達を見回した。
「作戦の失敗により、吸血ロマノフ王朝のジェネラル級は大きく数を減らしました。更に、最終人類史に攻め込んだ事で、ディヴィジョンの排斥力も大きく揺らいでいます」
この影響により、【吸血ロマノフ王朝奪還戦】発生を示す断層碑文が出現した。いよいよ、攻撃するのはディアボロスの番だ。吸血ロマノフ王朝の大地を奪還する絶好の機会となるだろう。
「ヴァンパイアノーブルの主力は、サンクトペテルブルクに集結しています。派閥政治を是としていた吸血ロマノフ王朝ですが、他の勢力と言えば……これまで、戦力を温存して来た竜血卿ドラキュラの軍勢がウクライナを拠点としており、後はシベリアに冬将軍がいる程度です」
尤も、シベリアでの排斥力が一気に低下した結果、奪還戦時にはアルタン・ウルクの侵攻はほぼ確実に発生するだろう。
「シベリアにアルタン・ウルクを招き寄せる事で、ディアボロスに二正面作戦を強いるという作戦なのでしょうね」
これまでの戦いで、多数のジェネラル級を撃破され、吸血ロマノフ王朝は追い詰められた状態であるのは確かだ。
「しかし……断片の王である『吸血皇帝ニコライ2世』は、起死回生の策を諦めていません。私達も油断せず、吸血ロマノフ王朝との決着をつけましょう」
今回のファーストアタックの目標は、サンクトペテルブルクはダウリーダ宮殿――今や吸血ロマノフ王朝の内政を一手に引き受ける、『吸血参謀長』ミハイル・アレクセーエフの拠点だ。
「参謀長が内政を担当するなど、ヴァンパイアノーブルの人材不足は深刻のようですね……戦略から離れているとはいえ、このダウリーダ宮殿も『皇帝防衛陣』の一角です。奪還戦に向けて、戦力は削っておくべきでしょう」
今回は警備担当のトループス級『皇帝官房第三部』の詰所を強襲する。
「正史に於いては国会議事堂ともなった程、広大な宮殿です。警備担当の数も非常に多いので、その一部を削るだけでも立派な戦果となるでしょう」
ニコライ2世が完成に心血を注いできた『鮮血の革命術式』とは――広大なロシアを制圧するべく、敵のジェネラル級が大挙して攻め込んで来たタイミングで、集結した自軍の戦力を首都ごと敵本拠地に転移。速攻で敵本拠地の制圧及び断片の王を撃破して勝利を収めるという、カウンターを可能とする秘術であったようだ。
「これまで、大領地の解放やモスクワ鉄道会社の運営など、ディアボロスの奮闘により多くの人々が救われてきました。先日の『鮮血の革命術式』完全発動を阻止出来たのは、吸血ロマノフ王朝の人々の『従属』の感情を減らしてきた、皆さんの弛まぬ努力の成果です」
だが、敵は再度の『鮮血の革命術式』の発動を狙っている。
「迅速に決着しなければ、吸血ロマノフ王朝の人々は死に絶え、新宿島も甚大な打撃を受ける事になるでしょう」
先んじての襲撃作戦により、サンクトペテルブルクの一般市民は既に避難している。市内各地の要衝を派手に攻撃したとして、無辜の民を巻き添えにする心配はない。
「喩え不完全であろうと、術式の発動に使われた『血』はあるでしょう。一般人の犠牲を何とも思わないヴァンパイアノーブル達に、ディアボロスの『怒り』を見せてやって下さい」
――ディアボロスの健闘を祈る。
リプレイ
イオナ・ガルバローゼ
ついに来た革命の時
故郷を奪われた怒り、人命を犠牲された怒り
戦う理由は十分です
Friesiaを使用【グロリアス】で敵を打ち体力を回復しながら
一体でも数を減らして行きます
タウリデ宮殿……
建築家スタロフとシェストフが設計したロシア古典主義の傑作ですか
吸血貴族どもの墓にするには勿体ないですが
要塞のような守りに適した作りで無いのがやや幸いですね
ディヴィジョンでは造りが変わっている可能性も想定しつつ
最終人類史準拠の間取りを確認して襲撃の際の参考にします
戦場は広大な宮殿の中、敵が一度に集まらないよう
【通信障害】で敵の連携を邪魔します
宇佐美・アリス
アドリブOK
他の人達とも積極的に連携を取っていくわよ
宮殿ねぇ
戦争以外で訪れたかったわねぇ
戦国の城攻め程でないにせよ、油断せず行きましょう
物陰に伏兵がいる事も注意しつつ、遮蔽物等を意識して進んでいくわよ
必中、即反撃でも不意打ちは気をつけないとね
は~い♪
お姉さんと遊んでくれる良い子は何処かな~?
自分を囮に敵の注目を引き、障害物なんかに隠れてもらってた妖精さん達に攻撃してもらう方向で
妖精小隊突撃〜
他の人達の攻撃で浮足立ってる敵なんかも狙い目よねぇ
敵の攻撃は、死角を出来るだけ作らない様に、念動隔壁のピーターくんと概念障壁、シールドの三枚を上手く配置して受け流すわね
人の技のコピーも良いけど、予想は立てやすいのよねぇ
ドローンは返してもらうわよ
敵増援の規模や味方の疲労や負傷の度合いを見計らって、適当なタイミングで撤退を進言するわね
本番はこれからこれから
サンクトペテルブルクには宮殿が多い。中でも、ダウリーダ宮殿は歴史的由緒のある宮殿のひとつであり、ロシア古典主義建築の傑作とされる。
「設計した建築家は……確か、イワン・スタロフでしたっけ」
「持ち主が変わる度、何度か改装されてるみたいねぇ」
仕掛けるタイミングを計ってか、ジッと宮殿を凝視するイオナ・ガルバローゼ(空染めの一輪・g07485)。その硬い表情と対照的に、宇佐美・アリス(兎に非ず・g01948)は柔和に微笑む。
「戦争以外で訪れたかったわねぇ」
遠目だからこそよく判る、壮大なる対称性。外観はいっそストイックだが、内装は豪壮であるという。
「ディヴィジョンでは、造りが変わっている可能性もありますが」
ダウリーダ宮殿の見取り図を広げ、最終人類史準拠の間取りを確認するイオナ。襲撃ルートを定めていく。
「ヴァンパイアノーブル共の墓にするには勿体ないですが……要塞のような、守りに適した作りで無いのがやや幸いですね」
――遂に、革命の時は来たれり。
(「故郷を奪われた怒り、人命を犠牲された怒り……戦う理由は十分です」)
意気込むイオナの肩の力を抜くように、ポンポンと軽く叩くアリス。
「まあ、天正大戦国の城攻め程ではないにせよ、油断せず行きましょう」
門扉を破り、正面突破は流石に分が悪い。それで東翼の側面から侵入を試みるディアボロス達。
――――!!
「は~い♪ お姉さんと遊んでくれる良い子は誰かな~?」
思い切りよく窓ガラスを破り、侵入する。果たして、ガラスの割れる音に駆け付けて来たトループス級『皇帝官房第三部』のヴァンパイアノーブル達を前に、アリスはにこやかに手を振って見せる。
「襲撃! 襲撃であります!」
案の定、アリスの姿に色めき立つトループス級が攻撃する先手を打つ。
「妖精小隊突撃〜。目標は各自お任せで~」
アリスは寧ろ囮だ。窓から次々飛び込んで来た妖精達が戦闘用ドローンを操り突撃する。
「そ、その凶器を証拠物件として押収する!」
奇襲めいた妖精小隊の攻撃に、敵が怯むのも束の間。ドローンを強引に押収したトループス級は、四方からアリスに反撃する。
「残念、人の技をコピーするのも良いけど、予想は立てやすいのよねぇ……っ」
サポート妖精ピーター君(という名の金属板)、概念障壁(「踊り子に手を触れてはいけない」)、更にカフスから防御力場を展開して防御を固めるも――流石に、全てを受け流すには至らない。
「でも、ドローンは返してもらうわよ」
「何を
……!?」
――蘇れ黄金の太陽、冬よ冥土へ去れ。
その実、本命の攻撃は妖精ばかりに非ず。天空から神罰の如く――輝ける稲妻を得物に纏い、イオナはクルリとターンしながら、敵4体を斬り付ける。
――――!!
眩い閃光、激しい雷鳴。触れなば焼き尽くさんと、膨大な電流が迸る。
「く……武器を捨て! 地面に伏せ! 手を頭の上へ!」
感電して身を震わせながらも、宮殿の床を奔る鋼の鎖がイオナを拘束せんと――。
Fire!
「あ、ありがとうございます……」
イオナを狙い鋼鉄の鎖を操っていたトループス級に、パラドクス製『謎のハート』を投げつけるアリス。
「まだ大丈夫そうだけど……適当なタイミングで撤退しないとね」
「それは……心得ています」
【通信障害】を展開して敵が集まって来るのを阻害し、反撃のダメージは【グロリアス】で幾許かとも補うイオナ。全ては、1体でも敵の数を減らし、少しでも長く戦いたいが為だ。
そんな血気盛んを窺わせる表情のイオナに、アリスはおっとりと宥めるように。
「焦らない。本番はこれからこれから」
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【通信障害】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
峰谷・恵
「人材不足?そう、早く残りも片付けないとね」
可能な限り連携を取る。アドリブOK。
物陰に身を隠しながら敵を探し接近、炸裂気功撃で奇襲攻撃をしかけて同時に通信障害の効果を展開して敵の通信を阻害する。
敵の反撃は後方に跳び退きながらLUSTオーラシールドで鎖を防いでダメージはともかく拘束されることだけは逃れる。
その後は通信障害で敵の増援を遅らせているうちにダメージを負っている敵から優先して攻撃を加え数を減らしていく。
接敵した相手を全部片付けられたら敵の死体を物陰に隠して他の敵小集団を探し攻撃しにいく。
HPが残り4割を切る、対応しきれないほど敵増援が押し寄せてくる、敵ジェネラル級の出現のいずれかで撤退する。
「ボクらの復讐を果たす前提条件として、まずクロノヴェーダは全て片付ける。今回はヴァンパイアノーヴルの番というだけだよ」
「無理して数体多く倒した代わりに本番に響いちゃ本末転倒、ここは退くよ」
刈谷・テテ
空気が騒めいている。
志を持ち地道な努力を続けた、数多くのディアボロス達の悲願に
手が届くところまで来たらしい。
この地に縁も所縁もありはしないが、何の因果か抗う力を持っている。
片端で数減らしするのも一興だろう。
気難しい表情は揺らがない。
初見の場で小器用な立ち回りは己には難しい。
奥へ入りこみ過ぎないようにする。
最大限物陰や家具置物など利用し潜む心算はあれど、優先的に他のディアボロス達の
盾代わりに動こうか。
残留効果の【怪力無双】で彼奴等の進路を邪魔するよう、周辺の物を適当に破壊。
忠誠心が高ければ、住処を乱されれば動揺するし怒りも沸くだろう。
多少なりとも混乱を招ければ重畳。
ただし増援の可能性が高いならやめておく。
攻撃の機会があれば、【鬼神変】で殴る。ただ殴る。
巻きついてくるだろう鎖の拘束は力任せで解いてみよう。
抜け出せなくても、彼奴等の隙になれば、同行のディアボロスの的になる。
未だ道半ば、戦の端に過ぎない。己の限界まで粘れば他者の妨げ。
引き際も重要、素早くさがるとしよう。
空気が騒めいている――どうやら、既に仕掛けたディアボロスがいるようだ。
(「志を持ち地道な努力を続けた、数多くのディアボロス達の悲願が……漸く実るところまで来たらしい」)
ノンラーの下で、焦茶の双眸を眇める刈谷・テテ(鬼人のおばあ・g11446)。緑のアオザイの裾が、寒風に翻る。
「何か人材不足? って話だけど……それなら、早く残りも片付けないとね」
峰谷・恵(フェロモン強化実験体サキュバス・g01103)の呟きにも、その気難しい表情は揺らがない。
(「サンクトペテルブルク……この地に縁も所縁もありはしないが、何の因果だろうね。あたしは、クロノヴェーダに抗う力を持っている」)
「……戦場の片端で、数減らしするのも一興だろう」
「了解。ボクらの復讐を果たす前提条件として、まずクロノヴェーダは全て片付ける。今回は、ヴァンパイアノーヴルの番というだけだよ」
互いに、顔を見合わせる事もない。だが、迅速にダウリーダ宮殿の東翼、破られた窓ガラスに近付く2人。
「敵はたった2人であります! 参謀長閣下を煩わせる前に排除を!」
今しも、増援に向かおうとしているトループス級『皇帝官房第三部』のヴァンパイアノーブルを――。
破ァッ!!!
窓枠を飛び越え様、恵は炸裂気功撃を叩きつける。振り撒くサキュバスのフェロモンは敵の冷静さを削り、闘気の塊は不規則に跳ね回って敵を撹乱する。
「な……武器を捨て! 地面に伏せ! 手を頭の上へ!」
ディアボロスの奇襲に生真面目そうな表情を歪ませながらも、トループス級も応戦する。
「……っ」
後方は……窓枠と壁に阻まれ飛び退けない。咄嗟に横転して、LUSTオーラシールドを展開する恵。
(「拘束される訳には……っ」)
だが、無数に床を這う鎖は、何処までも伸びる。のたくる鋼が恵の脚を捕えた瞬間――。
ドゴォッ!
流石に、反撃のディフェンスは不可能だ。しかし、こちらから、逆説連鎖戦を仕掛けるのに支障はない。
「生憎と、小器用な立ち回りは難しくてね」
だから、鬼の血によって己の腕を一時的に異形巨大化させ、殴る。ただ殴る。
唯の1体を強かに叩き伏せ、巻き付いて来た鎖の痛みにも耐えて振り解き、テテはジロリとトループス級達を睨め付ける。
「お前さん達は、行かせない」
――――!!
周囲の調度を破壊するにも、鬼人のパラドクスは重宝する。ちなみに、残留効果【怪力無双】の発動には「全力で力仕事」をしなければならず、戦闘時に活かすのは難しい。
「な、何をするでありますか!」
どうやら、『皇帝官房第三部』の面々は生真面目な性分であるらしく、テテの破壊行動は看過できなかった模様。
(「住処を乱されれば動揺するし、怒りも沸くだろうからね」)
だが、ディアボロスはテテだけではない。
「ボクを忘れられちゃ、困るなぁ!」
床の上から、恵が闘気塊を放てば、テテも又、鬼の膂力で殴打する。
「増援の可能性が高いなら……」
「大丈夫、【通信障害】を重ねてる……ボクも攻勢に出たかったんだけどな。先越されちゃったよ」
先陣を切り、宮殿の奥へ斬り込んだディアボロスも、何れ撤退せねばならない。ならば、退路を守り、ついでに敵の数を減らすのが2人の役回りだろう。
「……引き際も、重要」
「まあね……無理してちょっとだけ多く倒しても、本番に響いちゃ本末転倒だよ」
今回の襲撃は未だ道半ば、戦の端に過ぎない。己の限界まで粘って、他者の妨げとなっては――。
「その辺は皆、ちゃんと心得てると思うよ」
恵自身、歴戦であれば、先陣を切ったディアボロス達も又。
果たして――ディアボロス4人がダウリーダ宮殿より撤退したのは、それから程なくしての事である。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【通信障害】がLV2になった!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!