【吸血ロマノフ王朝奪還戦】③カザン聖堂
このシナリオは【吸血ロマノフ王朝奪還戦】に関連する特別シナリオです。
サンクトペテルブルク及びウクライナの地に集結したジェネラル級ヴァンパイアノーブル及び『鮮血の革命術式』で重要な役割を持つジェネラル級アークデーモンに対して、戦闘を仕掛けます。
また、吸血ロマノフ王朝の排斥力の低下と攻略旅団の提案により、アルタン・ウルクのディヴィジョン『融合世界戦アルタン・ウルク』への逆侵攻も一部可能となっています。
この戦闘によって、敵の戦力を削ることが出来ます。
勝利したシナリオ数に応じて、対応する戦場の敵の数が減少し、戦いを有利に進めることが出来るようになります。
このシナリオの攻撃対象は【皇帝の牙エルヴィン・ケーニッヒ】の軍勢です。
『皇帝の牙エルヴィン・ケーニッヒ』は、サンクトペテルブルク中心部を護る防御拠点である『カザン聖堂』で、ディアボロスを迎え撃つ準備を整えています。
「成功したシナリオ数×5%」だけ、「③皇帝の牙エルヴィン・ケーニッヒ」の敵残存率を低下させます。
【吸血ロマノフ王朝奪還戦】牙営の守護聖堂(作者 坂本ピエロギ)
#吸血ロマノフ王朝
#【吸血ロマノフ王朝奪還戦】③カザン聖堂
#吸血ロマノフ王朝奪還戦
#サンクトペテルブルク
#③皇帝の牙エルヴィン・ケーニッヒ
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#【吸血ロマノフ王朝奪還戦】③カザン聖堂
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#③皇帝の牙エルヴィン・ケーニッヒ
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『聞け、兵士たちよ! 我が祖国、吸血ロマノフ王朝は危機に瀕している!』
断片の王を守るように聳え立つカザン聖堂、その一角にて。
整列するトループス級の大群を前に、一体の吸血貴族が熱弁を振るっていた。
『我らが国土は壟断され、数多の同志が犠牲となった。だが、その全ては此度の戦いで覆る!』
精悍な風貌と淀みない弁舌は、彼が有力なジェネラル級であることを示すものだ。カリスマ溢れる者が纏う特有の空気と、自信に満ちた口調――そこに込めた熱はやがて兵たちにも伝染し、彼らの戦意を奮い立たせていく。
『祖国防衛の要たる、我らに敗北は許されない。今こそ命を捨てて、祖国に尽くすのだ!』
『『おおおおおおおおっ!!』』
果たして、彼――『皇帝の牙エルヴィン・ケーニッヒ』の演説に、配下の兵士たちは大喝采をもって応える。
そこに混じる『ノーブルバトラー』の一団もまた同じ。復讐者への怒りと、そして王への忠誠を胸に、来たる戦いに向けて臨む決意を新たに誓わんと叫ぶ。
ここカザン聖堂は、鮮血の革命術式の中核である『血の上の救世主教会』を守る、いわば盾そのもの。吸血ロマノフ王朝の勝利の為にも、敗北は決して許されないのだから。
『皇帝陛下万歳!』『吸血ロマノフ王朝の為に!』
侵略者たる復讐者から王都サンクトペテルブルクを守る為なら、この命など惜しくは無い。
吸血貴族たちは不動の決意と覚悟を胸に、来たる戦いに向けて戦意を高めていくのだった。
●新宿駅グランドターミナル
「皆、奪還戦のファーストアタックお疲れ様! 今回の目的地は、カザン聖堂だよ!」
集合した復讐者たちに一礼し、リュカ・アルページュ(人間のサウンドソルジャー・g01327)は作戦の説明を開始した。
先の西ポーランド防衛戦の成功で幕を開けた吸血ロマノフ王朝奪還戦の前哨戦は、現在、順調な滑り出しを見せている。
今回の奪還戦では、敵の首魁である『吸血皇帝ニコライ2世』が鮮血の革命術式の発動を進めており、これの成功を許せば新宿島は不可逆的かつ大規模な損害を被ることが予測されている。これを防ぐ為にも、儀式の妨害とニコライ2世の撃破を、確実に達成したいところだ。
「今回、皆に向かって貰うカザン聖堂は、『皇帝の牙エルヴィン・ケーニッヒ』が守る敵拠点だよ!」
エルヴィンは皇帝に仕える暗殺者であり、彼が守る聖堂は敵勢力からの侵攻に対して高い防衛能力を有する。
この地に設けられた防衛用建造物型クロノ・オブジェクトは、吸血貴族に与えるダメージを大幅に減らす力を誇っており、今回の奪還戦における要所の一つとなっているのだ。
「そこで皆には聖堂を守る敵を襲撃して、その兵力を削り取って欲しいんだ。敵を減らせば減らす程、奪還戦の戦いは有利に運ぶことが出来るからね!」
今回の作戦目標は、現地に展開する敵を襲撃し、可能な限り数を削ることにある。
聖堂には吸血貴族の軍勢が多数展開している為、ファーストアタックでこれを全滅させることは出来ない。ある程度の敵を撃破した後は無理せず撤退して欲しいと告げ、リュカは説明を終えた。
「窮地からの一発逆転も夢じゃない『鮮血の革命術式』だけど……今まで皆が吸血ロマノフ王朝の人々を助けて来たことで、一度は完全な発動を阻止できていたことが分かっているよ」
大領地の解放やモスクワ鉄道会社の活動などの活動で、一般人が従属の感情を減らしたことは、吸血貴族の行動にも大きな影響を齎していたようだ。
とは言え、状況は未だ予断を許さない。
敵は再度の『鮮血の革命術式』の発動を狙っており、迅速に決着をつけなければ、その被害は甚大なものとなるだろう。
「それを止める為にも、この戦いは負けられない。大変な戦いになりそうだけど――皆、頑張って勝とうね!」
かくして出発の準備を完了し、リュカは復讐者たちを送り出す。
行先はサンクトペテルブルク、カザン聖堂。皇帝の牙エルヴィン一派の吸血貴族たちを退けて、断片の王の盾に今こそ楔を打ち込む為に――。
リプレイ
キーラ・パーヴェルファング
連携OK
皇帝の軍は、逼迫しているわね。自分が抱える暗殺者を、表舞台に立たせるほどに
ディアボロスらしく、私は復讐を選ぶ
あの奥に待つ彼に、失った主に代わって”牙“を届けることが、きっと私の望みなのだわ
【ラーシュガーニャ】で燃え盛る血を撒き、ノーブルバトラーの軍勢を焼いていく
【熱波の支配者】によって周辺の気温を安定させ、副次的にだけれど、ディアボロスが動きやすいようにもしてあげましょう
敵の出す吸血鼠も織り込み済み。だから、延焼する炎を選んだ
ノーブルバトラーとその影ごと燃やして抑え込んだり、大群にもラーシュガーニャの燃える血を振りまいて一網打尽にするよう迎え撃つ
それに、【ロストエナジー】の効果で炎だけでなくその生命力も奪い、追い詰めていくわ
他にも、炎で追い立てれば敵を物陰から炙り出して、別のディアボロスもより倒しやすくなるはず
生まれ育った自分の知るロマノフが失われていくのは、複雑な気分
でもきっと、この歴史は滅ぶべきなのだわ
……踊りましょうケーニッヒ、どちらかの牙が砕けるまで
復讐者が辿り着いたカザン聖堂には、幾重にも成る敵の防衛ラインが敷かれていた。
周囲に張り巡らされた警戒の眼、突破を防ぐ為の堅牢な防止柵は、最後の一兵までこの地を守ると言うエルヴィンの意思を無言のうちに示すかのようだ。難攻不落――そんな表現が似つかわしい戦場の一角で、キーラ・パーヴェルファング(大公の牙・g08440)は戦いの準備を整え始める。
「……皇帝の軍は逼迫しているようね。お抱えの暗殺者を、表舞台に立たせるほどに」
眼前に広がる戦場の奥を見澄まして、キーラは淡々と呟いた。
吸血ロマノフ王朝において、サンクトペテルブルクは大きな都として知られる土地だ。いや――正確には、“だった”と言うべきだろう。周囲の建物は悉くが朽ち、そこに一般人の姿は無く、蠢くのは全て吸血貴族の影ばかり。それは往時の都に比べ、あまりに無残な光景である。
「あの奥に待つ彼に、失った主に代わって”牙“を届けることが、きっと私の望みなのだわ」
今こそ、一人の復讐者として王朝の命運に終止符を打つ為に。
キーラの心は熾火のごとき熱を帯びて、吸血貴族たちへと襲い掛かった。
「戦闘準備、完了。……さあ、始めるわ」
襲撃は、疾風の如き速さで開始された。
前方に展開する敵群を狙い定めた次の瞬間、キーラが鋭利な刃で我が身を突き刺す。噴出する赤い血潮はパラドクスの力で灼熱を帯び、ノーブルバトラーの群れに牙を剥いた。
『ぐぉっ……!?』『敵襲! ディアボロスだ!』
キーラの燃え盛る血液によって、戦場はたちまち灼熱の地獄と変した。対する吸血貴族たちは即座に敵襲を悟り、その身を炎で焼き焦がしながらも、懸命に陣形を維持し続ける。エルヴィンの鼓舞を受け、彼らは一体残らず決死の覚悟を固めているようだ。
『行け、吸血鼠!』
「生憎だけれど、お見通しよ」
吸血貴族は鼠たちを武器に反撃を繰り出すが、その程度はキーラとて織り込み済み。
鼠の突撃などものともせず、延焼する炎は勢いを増して、敵群を飲み込む赤い業火は未だ止まらない。
戦場が、血と炎で赤く染まる。
キーラの発動した『ラーシュガーニャ』は、捉えた一切合切を焦土に変える恐るべきパラドクスだ。鼠は言うに及ばず、主たるトループスも一度浴びれば瞬時に灰と化して燃え尽きていく。復讐者の力、そして彼女の体に流れる“血”――その両者が揃って初めて、それは可能な御業だった。
『ぎゃあぁぁぁっ!』『くそ、怯むな!』
一体、二体。炎に包まれた吸血貴族が次々と絶命していく中、辛うじて難を逃れた個体も、キーラの怒りから逃れることは叶わない。戦場に吹き荒れるロストエナジーの残留効果は、彼らの身体から生命力を奪い去り、容赦なく敵の軍勢を追い詰めていく。
「作戦の滑り出しは順調ね。熱波の支配者あるし、後続の仲間も戦いやすくなる筈だわ」
全ては、この作戦を成功に導く為に。
キーラの攻勢は一層激しく、血潮と炎と、そして敵の悲鳴と断末魔で戦場を彩っていった。
程なく、敵の混乱が高まりゆく頃合いを見定めて、キーラは離脱を開始した。
敵軍勢は未だ健在、無茶は禁物だ。ブラッディオーラ『門弟の血』を滾らせ、彼女は最後に一度だけ聖堂を振り返ると、ここにはいない“敵”へと語り掛ける。
「聞こえているかしら、兵たちの断末魔が。そして……見えているかしら、この燃え盛る炎が」
自らが作り出した凄惨な光景を前に、キーラは思う。
もはやここに、自分の知るロマノフは無い。でもきっと、この歴史は滅ぶべきなのだ――と。
「……踊りましょうケーニッヒ、どちらかの牙が砕けるまで」
これは、皇帝の牙たる男への宣戦布告。
雌雄を決する奪還戦の日を待ちながら、キーラは戦場を後にするのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
ファギー・ルヴァン
※アドリブ連携歓迎
まだあの儀式をしようと思ってるなんて…絶対に、そうはさせないんだから。
トレインで現場へ向かい、聖堂の陰から様子を確認
タイミングを見て、コロロに撹乱行動を指示し、その間に【高速詠唱】で準備時間を短縮
サンクトペテルブルクの人々だけじゃない…すべての人に穏やかな春を届けるんです。
恐ろしい儀式なんて必要ありません…覚悟してください!
撹乱行動を終えたコロロを呼び戻したタイミングでパラドクスを発動
【全力魔法】【火炎使い】【電撃使い】をできるかぎりフル活用し、一気に攻め入れます
反撃は回避せずにそのまま受け止める。吸い尽くせるならやってみなさい…!その間に、焼き尽くします!
ある程度の数を減らしたら、周囲に【パラドクス通信】で知らせ、撤退行動を促します
大丈夫…今はこれだけ削れば、しばらくは安心です。残りの部隊は…決戦の日にすべて焼き尽くしましょう…!
月下部・鐶
我らが国土、祖国に尽くせ、かぁ
自分たちの世界だもん、そりゃそうだよね、守るのが当然ってテンションあがるよね
それなら、あたしたちだってテンションいつも最高なの、分かってるのかな?
もちろん守るよ、我らが新宿島をね!
みんなの頑張りでここまで来たんだから、今さらちゃぶ台返しなんて許すわけないでしょ
いっぱい暴れ回って、そんな舌噛みそうな儀式は台無しにしてやるんだから!
スケッチブックに描いたテンション高い貴族たちに、パラドクスをお見舞いするぞ!
せっかく【パラドクス通信】があるんだから頼りにさせてもらって連絡を密に
攪乱に乗らせてもらってからタイミングを合わせて襲撃をかけるね
敵の動きを【飛翔】である程度の距離をとって、敵の動きを観察しながら情報共有を欠かさずに
できるだけ派手にパラドクスをばら撒いて、襲撃に対応するタイミングを遅らせる!
貴族たちの反撃のダメージには注意して、撤退タイミングはまちがえないようにね
最後に一発派手に竜巻をとばしたら
撤退の合図に合わせて【飛翔】で一気に離脱するね
靫負・四葉
アドリブ・連携歓迎します。
……気合十分という所でしょうが、それはこちらも同じ事。
その儀式、発動に至る前に皇帝の首級をあげてみせましょう。
まずは地形や陣形を観察したいですね。
小規模な警戒・索敵部隊がいればそこから削り落として行けるのですが、そう都合よくは行きませんよね……。
比較的でいいので、手薄な所を探したいです。
可能ならば不意討ちを仕掛けましょう。そのまま敵陣を引っ掻き回しつつ、削っていきたい所です。
吸血鬼はしぶといものらしいですが、ならば魂から攻めるまでのこと。
敵の攻撃が影となれば防ぐのも難しいですが……
浮遊椀に絡ませるか、結界で耐えるのが妥当でしょうか。
高次元攻撃状態で二次元への対処は厳しいです。
ある程度の戦果を得るか、消耗が溜まってきたら退きましょう。
【飛翔】は……残っている敵に狙い打たれそうですし、視線を切ってからがよさそうですね。
幸いにもここは街中、開けた平原ではありませんから、建物をうまく使えば問題ないでしょう。
……早めに撤退を演出し、追って来たところを討つのもありですね?
レイラ・イグラーナ
私たちの戦いは吸血ロマノフ王朝を滅ぼすためのもの。
吸血ロマノフ王朝を守るための戦いを否定はしません。
ですが、貴方たちが犠牲になった仲間と同志を想うように……私たちも鮮血の革命術式を始めとした悍ましい儀式や醜悪な趣味の犠牲になった人民を忘れることはございません。
背負うものがあるのは、貴方たちだけではございません。
銀の針を手にカザン聖堂に展開する敵に攻撃を仕掛けます。
防衛用建造物型クロノ・オブジェクトが機能しているかは分かりませんが、防衛に長けた相手が布陣していると考えた方が良いでしょう。こちらもそのつもりで仕掛けましょう。
敵の防御や盾にされた聖堂の障害物の隙間を狙い【手製奉仕・陥】。防御の隙間を的確に縫っての投擲でノーブルバトラーを貫きます。
防衛の隙間を縫うにも一人では限界がありますが、私たちは一人で戦っているのではございません。他の復讐者と協力し別々の方向から攻撃、両方を防御するのは困難な状況を作り出して戦力を削ります。
この地は戦争における要。落とさせていただきます。
『ぐううっ、ディアボロスめ……!』『踏み止まれ! ロマノフ王朝の為に戦うのだ!』
復讐者の襲撃で生じた被害に怯む気配も無く、ノーブルバトラーの防衛部隊は尚も奮戦を続けていた。序盤の戦闘で無視出来ない規模の犠牲が出ているにもかかわらず、その戦意は全く衰える様子を見せていない。
「ふむ。やはりと言うべきか、敵は不退転の決意で臨んでいますね」
そんな敵部隊の様子を遠巻きに見澄まし、靫負・四葉(双爪・g09880)は呟きを洩らす。敵の強固な守りも正面からの力押しで圧倒することは難しそうだ。ならばと思い、削り取るのに最適そうな小規模の部隊を探してみても、それらしき敵は見当たらない。
「……完全に守りに徹していますね、これは。一筋縄では行かない気配を感じます」
拠点防衛の意思のもと、上から下まで統一されている――それが、敵軍勢に対する四葉の印象だった。
吸血ロマノフ王朝を守るべく、吸血貴族たちは不退転の決意で臨んでいるのだろう。敵ながら見上げた心意気だとは思うが、かと言って復讐者にも退く選択肢はない。ニコライ2世が行う儀式を阻止する為に、要所であるこの地は確実に戦力を削っておかねばならないのだ。
「儀式が発動に至る前に、皇帝の首級をあげてみせましょう。宜しくお願いします」
「うんうん。もちろん守るよ、我らが新宿島をね!」
四葉の言葉に、月下部・鐶(さいつよのお姉ちゃん・g00960)が頷きを返した。普段は明るい笑顔の絶えない彼女だが、今はその眉を怒りではっきりと寄せている。
自分たちの国土を守る為に戦う――そんな吸血貴族たちの決意に、鐶は身勝手なものを感じずにはいられない。何故なら大事なものを守る為に戦っているのは鐶とて同じだからだ。
(「我らが国土、祖国に尽くせ、かぁ。そりゃそうだよね、守るのが当然ってテンションあがるよね。でも……」)
でも、と鐶は思う。
吸血貴族の儀式発動を許せば、新宿島は確実に惨劇に見舞われる。それは即ち、自分と仲間たちと、そして復讐者を応援してくれる人々の頑張りが無に帰すことと同義。故に彼女は、戦うことを躊躇しない。
「今更、ちゃぶ台返しなんて許すわけないでしょ。皆、頑張ろうね!」
必勝の決意を胸に、準備を終える鐶。
そうして彼女は手元の通信機を取り、別所で準備を進める仲間たちに声を送るのだった。
「こっちは準備OK。いつでも行けるよ!」
「私たちも直に。皆様、宜しくお願い致します」
鐶の連絡に通信機で返事を返すと、レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)はその視線を戦場へ移した。
未だ混乱の収まらない敵陣で、ノーブルバトラーたちは懸命に態勢を立て直そうとしている。その様子に油断の色は一切見て取れず、兵の士気の高さに加え、有効な布陣を敷いたエルヴィンの有能さも伺えた。こちらも覚悟を決めて仕掛けねばと、レイラは気を引き締める。
「そろそろ仕掛ける頃合いですね。ファギー様、準備は宜しいですか?」
「ええ、いつでも。全力で、この作戦を成功させましょう」
銀の針を構えるレイラに、ファギー・ルヴァン(明けぬ夜森の魔法つかい・g00880)が頷きを返す。
二人は今、鐶や四葉とは別のポイント――敵の展開するエリアを左右から挟める場所に潜んでいた。鐶や四葉を左翼側とすれば、ファギーとレイラは右翼側だ。発動したパラドクス通信で情報を共有しながら、敵部隊に連携攻撃を仕掛けようと言うのである。
「ファギー様。予定通り、私たちは先攻で仕掛けます。……必ず、勝って帰りましょう」
「そうですね。頑張りましょう……!」
レイラの言葉に頷きを返し、ファギーが敵陣を睨みつける。
その瞳に灯るのは、燃え盛るような激しい怒りであった。レイラともども、かつて儀式の力で最終人類史に侵攻して来たジェネラル級と戦った経験を持つだけに、今も儀式を進めている吸血貴族への怒りは一際強い。
(「……絶対に、そうはさせないんだから」)
無用な争いは好まないが、平和を乱す敵には容赦しない――それがファギーの偽りなき思いであった。
先行した仲間が襲撃を行ってくれたこともあり、今なら敵陣の撹乱も難しくはなさそうだ。彼女はモーラット・コミュの『コロロ』に合図を送ると、荒ぶる心を鎮めるように深呼吸をひとつ。パラドクス通信で生成した通信機を介して、戦場の仲間たちへ作戦開始の連絡を送る。
「……始めます。勝ちましょう、皆さん」
一方その頃、序盤の襲撃で削り取られた陣形を、ノーブルバトラーたちは必死で立て直しにかかっていた。
あちこちを焼いた炎は既に消えているが、周囲に及んだ被害は計り知れない。消し炭になった同胞の屍を退け、再び防衛を再開せんとした、しかし次の刹那――彼らの足元めがけて突っ込んできたコロロが、更なる妨害となって襲い掛かった。見慣れぬコロロを前に、否応なく敵の注意が僅かに逸れる。
『な、なんだこいつは!?』『おい邪魔だ、吹き飛ばせ!』
「――そうはさせません」
コロロが稼いだ猶予は、時間にすれば僅かなもの。しかしそれは、ファギーにとって十分すぎる猶予であった。
先手必勝とばかり高速詠唱を完了すると同時、ファギーはパラドクスを発動。呼び戻したコロロと息を合わせ、電光石火の一撃を叩き込む。躊躇も慈悲も、そこには一切存在しない。
「我が炎よ、我が相棒の雷とともに弾けて拡がれ!」
刹那、コロロの雷とファギーの火炎が、プラズマと化して敵群へと牙を剥いた。
『絆から生まれしは、雷撃の焔』――命中アップに導かれて発動したファギーの奥義魔法は、撹乱を受けた吸血貴族たちへ直撃し、彼らの肉体を跡形も無く消し飛ばしていく。雷と炎が織りなす必殺の一撃を浴びた敵は、断末魔の悲鳴を上げることさえ出来ず、瞬時に一体残らず絶命した。
『くそ、新手か!』『迎撃を急げ!』
「皆さん、今です!」
「お任せ下さい。必ず仕留めて見せましょう」
敵陣の混乱を見て取り、通信機を介して叫ぶファギー。その声に応じたのはレイラだ。
彼女が無造作に投擲する銀の針は、パラドクスの力で次々に軌跡を変えて、防柵の隙間を潜り抜けながら標的の吸血貴族に命中。その身を命ともども穿ち貫いていく。
『ぎゃっ!』『げえっ!』『くそ……! 動ける者は守りに回れ、ディアボロスの突破を許すな!』
死を免れたノーブルバトラーは、怒りを露わに反撃を放って来た。
迫り来る伸縮自在の黒爪。それをレイラは銀の針で巧みに捌き、敵に攻め崩す隙を与えない。
冷静かつ冷徹に針を操り戦うレイラと、怒りを露わに炎雷を繰り出すファギー。応戦すべく次々に集まってる敵を前に、レイラは涼しい顔で告げてみせた。
「一つだけ、教えて差し上げます。私たちは、一人で戦っているのではございません」
果たして、その言葉が示すように。彼女たちを狙う吸血貴族たちの側面、そこから一気呵成に突撃する影が、二つ。
パラドクスの発動準備を終えた、四葉と鐶であった。
先行したキーラが戦場を撹乱し、然る後にファギーとレイラが敵を追撃。
その後、応戦を強いられた敵群の側面から四葉と鐶が攻撃を仕掛け、左右から挟撃する――。
守りに優れる相手と戦うことを前提に立てられた、それが復讐者たちの作戦だ。力を合わせ、心を一つに、勝利を目指し臨んだ作戦――今こそ成功を掴み取るべく、四人の復讐者が一斉にノーブルバトラーの集団へと襲い掛かる。
僅かにガードが開いた敵部隊の側面へ、最初に食らいついたのは四葉だった。
慌てて身構える吸血貴族を狙い定め、発動するは『緑の途絶』。左右に展開した大型浮遊腕『裂天割地』と『四海抱擁』を振り被り、一思いに振り下ろす。
「次元干渉式・緑――起動」
パラドクスの力で四次元を越える空間へと干渉する四葉の斬撃は、肉体と魂の接続を乱す一撃だ。果たして四葉の振るう爪は、捉えたノーブルバトラーの肉体から悉く魂を切断し、彼らの身に傷をつけることなく死に至らしめる。
『――あ……?』
「吸血鬼はしぶといものらしいですが、ならば魂から攻めるまでのこと」
自らの身に起こったことに気づかぬまま、糸の切れた人形のように崩れ落ち、絶命する吸血貴族たち。
次々と手勢を失い敵陣形が崩壊の兆しを見せ始める中、その只中を更なる追い打ちとばかりパラドクスの嵐が牙を剥く。鐶が発動した『作品名【重力】』による、渾身の追撃であった。
「オマエたちなんか、みんな吹き飛ばされちゃえ!」
鐶が開いたスケッチブックには、コミカルなタッチで描かれたハイテンションの吸血貴族たちが描かれている。
その足元に繋がる鎖を白い絵筆でサッと消せば、重力の軛を失った貴族たちは玩具のように次々と宙へ吹き飛ばされた。そこへ襲い掛かるのは、戦場を吹き荒れる竜巻だ。同じ絵から具現化したそれは、鐶の可愛い筆致とは裏腹に極悪な威力を帯びて、宙に舞い上げられた敵を一体残らずパラドクスの奔流で弄ぶ。
「舌噛みそうな儀式は台無しにしてやるんだから! 覚悟しろーっ!」
『う、うぐおおおおおお!!』
鐶の叫びが響き渡る中、竜巻に呑まれた吸血貴族は断末魔の絶叫を上げながら、一体残らず粉砕されていく。
次第に数を減らす敵と、ますます攻勢を強める復讐者たち。
挟撃で仕掛けた鐶と四葉の攻撃はなおも留まるところを知らず、敵軍勢の守りを容赦なく突き崩していった。
復讐者の連携によって、吸血貴族はいよいよ劣勢に追い込まれつつあった。
しかし、並の敵であれば勝負はついたであろう状況に陥ってなお、彼らの戦意は潰えていない。動ける者は持てる死力を振り絞り、鬼気迫る形相を浮かべながら復讐者への抵抗を続けている。
『ロマノフの為に!』『皇帝陛下の為に!』
「吸い尽くせるならやってみなさい……! その間に、焼き尽くします!」
そんな敵を前に、復讐者もまた怯むことは無い。
ファギーは吸血の鎖に身を捕われても攻撃の手を一切緩めぬまま、コロロと、そして仲間たちと共に戦い続ける。大事な帰るべき場所、新宿島。そこを害する者は、何者であろうと許しはしない。サンクトペテルブルクの、そして全ての人々に穏やかな春を届ける為、彼女とコロロが放つ炎雷は一層激しく、敵を焼き尽くしていく。
「恐ろしい儀式なんて必要ありません……覚悟してください!」
『ぐ……ぐおおぉぉぉ!!』
断末魔を遺して吸血貴族が絶命するたび、敵群の数は眼に見えて減っていった。
戦場には原形を失った敵の骸が夥しく転がり、復讐者の作戦目標が達成されつつあることを、四葉は察知する。同時に、敵陣の彼方から迫る敵応援部隊の姿を捉えると、彼女は通信機を手に告げた。
「頃合いです。離脱の準備を」
「了解だよっ! あたしの最後の一発、受けてみろーっ!」
同意を返した鐶の手で、一層激しい竜巻が吸血貴族たちを蹂躙する。
そして――その一撃が、撤退の号砲めいて響き渡ると同時、幕を下ろす一撃を放ったのはレイラであった。
「――私たちの戦いは、吸血ロマノフ王朝を滅ぼすためのもの……」
満身創痍で黒爪をかざすノーブルバトラーたちを真っ直ぐに見据え、レイラは言う。
王朝を守るお前たちの戦いを否定はしない。だが――犠牲になった仲間と同士を想う気持ちは、背負うものがあるのは、復讐者も同じだ。故に自分は吸血貴族と戦うのだと告げる声に、迷いの色は一切ない。
「鮮血の革命術式を始めとした、悍ましい儀式や醜悪な趣味の犠牲になった人民を……私は、忘れることはございません」
指の間に構えた銀の針が、パラドクスの光を帯びて冷たく光る。
ほんの僅かな隙間を狙って放つ『手製奉仕・陥』は、ひとたび放たれれば、鎧も盾も防御陣地も堅牢な砦さえも、一切の守りを為さない必殺の一撃。それが今、彼女の手から決意と共に投げ放たれた。命中アップの光が導く、けして外すことのない直撃の軌跡と共に。
「巡る短剣、聳える板金。眇める蜜蜂が大樹を落とす」
『う……――!!』
放った銀の針は、果たして一切の狙いを過たず、吸血貴族の眉間を穿つ。
そうして絶命した敵の骸を前に、レイラは聖堂の方角へ向き直ると、スカートの裾を摘み上げて淑やかに一礼。本番前の一幕の閉幕を告げるように、皇帝の牙が控えるであろう聖堂の方角に向かって告げた。
「この地は戦争における要。……来たる戦にて、必ずや落とさせていただきます」
程なくして、激戦を制して撤退を開始した復讐者たちは、全員が無事に離脱を終えた。
綿密な意思疎通と連携が奏功し、逃げ遅れた者も、戦闘不能となった者も、一人も出すことは無く。文句なしの大成功という結果を静かに噛み締め、四葉は安堵の吐息を洩らす。
「……お疲れ様でした。これでまた、敵の戦力を削れましたね」
「まだまだ敵は沢山残ってるけど……本番の奪還戦も、これで少しは楽になるかな」
戦闘でスケッチブックが浴びた埃をサッと払い、鐶が呟く。希望を込めて彼方の聖堂を見遣る彼女の眼差しに、レイラとファギーが頷きを以て応じた。
「間違いなく。このまま削り続け、本番では確実に勝利しましょう」
「ええ。残りの部隊は……決戦の日にすべて焼き尽くしましょう……!」
こうしてカザン聖堂を巡る一つの戦いは終わり、情勢は奪還戦に向けていよいよ加速していく。
その先に訪れるのが冷たく厳しい常冬ではなく、暖かな春となることを願いながら、復讐者は最終人類史に帰還を果たすのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
【水面走行】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV3が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!