リプレイ
フルルズン・イスルーン
見た目が変わりそうな話を聞いて来たのだ。
山脈登坂機能追加? 巨大神像のパーツで。ふむんふむ。
操作方法とかも改修必要そうだねぇ。スイッチとレバーで動いてるし。
んじゃとりあえず既存の機能の邪魔にならない程度の追加案出そうか。
まず爪は必須。山岳の岩肌に食い込むくらいの強度あるやつ。
少なくともスパイク的なものがないと滑落するからねぇ。
巨大神像と自動再生機能も同じなら巨大神像パーツの組み込みは簡単に出来るはずさ。
で、滑車をミル・ウルに取り付ける。
これは新宿島文明のなんだっけ? ロープウェイ?
的なものをイメージした奴だね。別口で金属製ワイヤーロープと楔も用意する。
これで難所に差し掛かったらディアボロスが何本かロープ張ってそれを伝っていくという方法が取れる。
ミル・ウル側に射出機構仕込んで打ち込むでも良いかもね。
修理と代替の用意が楽という点で最終人類史技術で良し。
なお、これは四足歩行が出来ない場合の方策であり、歩けるようになる方がボクとしては楽しいので出来るならそれを推すものである!
跳ねるとかね!
ハーリス・アルアビド
移動機能が破壊されてしまいましたか。ミウ・ウルにはイスカンダル攻略から長らく助けていただいています。
この先も共に行けるのであれば心強いのですが、そのためにはリグ・ヴェーダの地形に合わせた改修が必要になるのですね。
どこまで改修できるかにもよりますが、巨大神像のパーツを使用し登攀に耐えうる形状にできるかもしれません。
ミウ・ウルの手足の関節部位、特に足の指の
可動域をパーツを増やす事で拡大します。人間の足とは理屈が違うかもしれませんが、登攀の際には手足の指に力を入れます。凹凸を確実に捉えつつ、落ちないように体を支えねばなりません。
重心を移動、または安定させるための機構も欲しいですね。登攀など手足に力が必要になる場合に集中的にエネルギーを送るなどできればよいのですが。
内部は人が乗れるようになっていますが、ワイヤーや簡易的な仮設橋を内蔵できれば様々な場面に対応できるはずです。
月下部・小雪
えへへ、ゴンドワナでお世話になっているサフィーナ・ミウの姉妹機のミウ・ウル、です。
無事に取り戻すことができたので、綺麗に修理して、あげましょう!
こ、ここでの改修の記録をいつかサフィーナ・ミウにも適用できればいいなと、思います。
わわっ、ミウ・ウルさんに巨大神像の脚を装着、ですか?
そ、それならいっそのこと北欧神話に出てくるスレイプニールさんみたいに脚をいっぱいにしちゃいましょう!
脚がいっぱいあった方が安定、しそうです。
それ以外にもっと現実的な路線で、ウィンチをいっぱい取り付けてみるのはどう、でしょうか?
急な傾斜でもウィンチさんの力をつかって引っ張れば少しずつ進んでいける気が、します!
自動車用のではなく、工事現場で使うようなとっても大きなのを用意した方がよさそう、でしょうか?
い、いろいろ改修案が出ましたが、最終人類史で積み上げてきた技術力でクロノヴェーダ達の度肝を抜くのが楽しみ、ですね
※アドリブ連携大歓迎
最終人類史新宿島内の何処かの会議室。
その場所は詰め寄せた復讐者達の熱気に染まり、喧々諤々の賑わいを見せていた。
「成る程。移動機能が壊されてしまいましたか」
復讐者達が回収した高速砂上船『ミウ・ウル』の現状報告書を確認し、ハーリス・アルアビド(褪せる事を知らない愛・g04026)はふむ、と頷いた。
「ミウ・ウルにはイスカンダル攻略から長らく助けて頂いています。この先も共に行けるのであれば心強いのですが……」
「その為には山脈登坂機能追加が必要なのだよ!」
そんな熱意溢れる台詞はフルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)から発せられていた。
くわっと喰い付きそうな勢いで復讐者達に詰め寄っているが、それもクラフトへの情熱が成せる業。決して周囲を威嚇している訳では無い。
「えへへ、ゴンドワナでお世話になっているサフィーナ・ミウの姉妹機のミウ・ウル、です。無事に取り戻すことができたので、綺麗に修理して、あげましょう!」
彼女の傍らで、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)が朗らかに笑う。
この改修の記録がいつか、姉であるサフィーナ・ミウにも適用出来れば、と考える彼女もまた、その瞳の奥は気合いが満ち溢れ、燃えさかっていた。
「と、言う訳でだよ」
ばん、と用意されたホワイトボードをフルルズンが叩き、一同の注目を集める。
なお、ホワイトボードの中央部にはミウ・ウル予想図と描かれたスフィンクス型のイラストが鎮座しており、四肢の箇所には赤マジックで「動かしたい!」と殴り書きされている。
そう。
大方の復讐者達にとっても、ミウ・ウルが肉食獣宜しく、四足歩行する姿は浪漫であり、この機にそれが成せるならばやってみたいと、会議室に詰め寄せた復讐者達の殆どが、そんな希望を口にしていたのだ。
故に、フルルズンは叫ぶ。皆の想いを代弁するかのように、心の底から力強く咆哮した。
「ミウ・ウルは四肢を動かす獣の如き姿で復活させる。と言う訳で、ミウ・ウルの改修作業には、最終人類史の科学力の他、巨大神像のパーツを使おうと思うのだよ!」
デデーンとの擬音が上がりそうな提案に、しかし、ハーリスはこくりと静かに首肯する。
「そうですね。何処まで改修出来るかにもよりますが、巨大神像のパーツを使用し登攀に耐えうる形状にするのは必須かと思います」
一方で、驚きを隠せないとばかりに声を上げたのは、小雪であった。
「わわっ、ミウ・ウルさんに巨大神像の脚を装着、ですか?」
より正確に言えば、ミウ・ウルの脚を可動式にする為、巨大神像のパーツを用いる、と言う事になるだろうか。
「もしかしたら小雪嬢の言う通り、四肢全てを換装し直す必要もあるかもしれない。もしかしたら、各々の関節部分を補助・補強するだけで終わっちゃうかもしれない。まあ、コレばっかりはやってみないと判らないだろうね」
「成る程、ですね。あ、そ、そうです。そ、それならいっそのこと北欧神話に出てくるスレイプニールさんみたいに脚をいっぱいにしちゃいましょう! 脚がいっぱいあった方が安定、しそうです」
「ええっと、それは……どうなのでしょう?」
小雪の意見に、ハーリスは小首を傾げた。
多脚方式は確かに安定するだろうが、その分重さが仇となりかねない。
また、複雑な地形に何処まで対応出来るか、と考えれば悩ましくもある。安定性はあれど、大きさ故、小回りが利きづらくなるのも確かなのだ。
「私はミウ・ウルの手足の関節部位、特に足の指の可動域を増やし、拡充することを提案します。……ミウ・ウルは四足獣型ですし、人間の足とは理屈が違うかも知れませんが、我々は登攀の際、指先にまで力を入れます。凹凸を確実に捉え、落ちないように身体を支える為には、指先までの可動が必須かと」
「ふむふむ。そうだね。ボクも鉤爪の存在を提案したいところだ!」
四足歩行が出来る様になるならば、是非とも機能を充実させたい。
ホワイトボードに色々と書き殴っていくフルルズンは、その瞳だけで無く色々と輝いていた。
「少なくともスパイク的な物が無いと滑落するからね! だけども、足の裏に棘棘びっしりとかナンセンス! 機能は良いかもしれないけど、美しくない!! まるで足の裏が硬質化した中年のようだ!!」
「で、ですね! 外見は大事、ですものね!」
同意とばかりに頷く小雪。
それはそれとして、多脚の夢は捨てるつもりは無いと、ホワイトボードのミウ・ウル予想図に幾らかの足を書き足していく。
「あと、現実的な路線で、ウインチを取り付けて見るのは、どうでしょう?」
今のミウ・ウルにはそれらしい箇所がないが、巨大神像のジャンクパーツで改装するならば、拡張性を持たせることも可能な筈。
たとえ登攀が無理な断崖絶壁があったしても、其処を補えるのが現代科学の凄さである。
「そうですね。最終人類史にある車両にも装備している物がありますが、ミウ・ウルにも移動補助の道具があった方が良いでしょう」
ウインチにワイヤーの射出機構のような設備を付与出来れば、その意図も叶えられるだろうと、ハーリスは頷く。
「ボクとしては動滑車の取り付け台座を推すね。いざとなったらディアボロスの力で引っ張り上げられるのは強いかもしれない。でも、やっぱり、四足歩行で歩くミウ・ウルの姿を見たいぞ!」
「で、でしたら、ウインチは工事現場で使うような大きな物を用意した方が……」
「いや、しかし、それだとエネルギーが足りない可能性も。集中的にエネルギーを送る手段も確立しなくては」
白熱し、喧しくすら感じる議論が始まり、そして、しばしの時間経過の後、ばしりとフルルズンが机を叩く。
「よぉし! では、図面を引こうか!!」
まずは移動のために四肢を動かすこと。ただ四肢を動かすだけでは無く、指先や足首含めた関節部全てを見直すこと。そして、いざと言うときに備え、最終人類史の科学力で補助出来るようにすること。
カカッとホワイトボードに殴り書きしたフルルズンに、小雪がおずおずと声を出す。
「あ、あの、多脚は……?」
「収納式とかでいいんじゃないかな!」
「そうですね。今のミウ・ウルに取り付けられるかは不明ですが、そういう装備があっても良いかも知れませんね」
そもそも、クロノ・オブジェクト技術がほぼブラックボックスであり、やってみなければ判らない物でもある。
もしかしたら、適合する巨大神像のジャンクパーツが存在しないかもしれない。もしかしたら、全ての案を叶えるミラクルが生じるかもしれない。
こればかりは、改修作業を進めてみるしか無いのだ。
行き当たりばったりと非難されそうな結論だが、しかし、それが事実なのだから致し方ないと、三者は唸るのみであった。
三人を中心に、結構な時間を掛けて図面を引いた復讐者達は、それでは、と顔を見合わせる。
ここからミウ・ウルの改修の始まりであった。
「ま、まずは、ゴンドワナで集めた巨大神像のパーツを回収、ですね」
これにはゴンドワナのオベリスクが役に立つだろうか。その後、最終人類史で用意した材料や機械と共にパラドクストレインの貨物車両で運び込めば、蛇亀宇宙リグ・ヴェーダ現地での改修作業が可能となる筈だ。
「巨大神像のパーツで補えきれなかった箇所を、最終人類史の科学力で補う……と言う訳ですね」
ハーリスの言葉を一同は首肯する。
「それじゃあ、ミウ・ウル、改修作戦スタートなのだ!」
「み、皆さんで頑張りましょう!」
フルルズンが声を張り上げれば、小雪がえいえいおーと片手を上げる。
そして、遂に改修作戦が始まる。
黄泉還れ、高速砂上船クロノ・オブジェクト『ミウ・ウル』。
そう。不死鳥の様に!
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【使い魔使役】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
クィト・メリトモナカアイス
ミウ・ウル猫かきモード……!
アーディティヤもきっとこれは予想外。驚いた顔がとても楽しみ。ふっふっふ。
まずは巨大神像のパーツを使う部分の改造。
ミウ・ウルのパーツも巨大神像もとても重い。それはそれは重い。
新宿島にも巨大神像はあるし、職人に相談すればうまいこと持ち上げて運べる、貨物列車に乗せられる重機を用意してもらえるかな……?
【怪力無双】も用意しておこう。
重機と【怪力無双】で両手両脚に関節パーツを組み込んでいく。
次は最終人類史の技術の部分。
ウインチ発射装置……以外にもいろいろとできるといいと思うんよな。
とはいえまずは設計図通りに。動力部からウィンチ射出装置まで接続。ウィンチ射出装置自体は使いやすいよう機体の前方に置こう。
んーむ。巨大神像の研究結果を活かして、使えるところは金のケーブルを使って接続することで効率よくミウのエネルギーを装置に送れないだろうか。
後は可能なら後々必要に応じて他の装備に取り替えられるよう、付け替えがある程度自由にできるといいけど……できそうかな?
ヴォント・クライヴ
●心情
わぁ…!!
これが皆さんの考えたプランですね!
ミウが立ち上がる!
これは浪漫ですよ。
山越え、川越え、荒地超えて……冒険が楽しみですね。
●行動
僕は荷物運び役をやりましょう。
神像やミウのサイズをあらかじめ測っておき、必要分を切り出して運びます。
チョークで切り出す箇所に印をつけて……あとは機械で切断!うりゃ!
運ぶ時は怪力無双で頑張りますね。
どこに何を置くか、置く場所にも目印のシートをひいたりしておきますね。
そう言えば前に、神像のメンテナンス?に何か獣神王朝エジプトの機械を使っていましたね。テスターでしたか。
こちらも運び入れておきましょう。
コードなどの現代機器は繊細なので、砂を被らないよう包んだりケースに入れておきます。
余った神像パーツから、心臓の置き場を作れないかな…コックピットは操縦席の椅子にリサイクルとか…(専門家をチラ見)
休憩はしっかり取ります。
差し入れはフルーツとサンドイッチと紅茶です!皆さんもいかが?
さーて、休んだら仕上げ!
山だけでなく川も渡れるよう機械部品は防水加工しておこうかな
ハーリス・アルアビド
改修計画はまとまりましたね。ミウ・ウルの破壊された移動機能を修理するだけでなくより良いものとなるように、出来る限りのことをしなければなりません。
付け焼き刃の【機械知識】ですが、専門家の方々の説明を聞いて理解することなら役立てるでしょう。
ミウ・ウルに神像のパーツを取り付けることに加え、様々な装置を積み込むとなれば重量も相当のものとなります。
特に荷重がかかるのは手足などの四肢や関節部です。支えるためのパーツの素材そのものの強化は難しいかもしれませんが、内部にワイヤーや複数の滑車を入れるなど追加素材で補強できるでしょうか?
専門家の方々やこういったものに経験のある仲間たちと相談しながら内部機構の強化を行います。【パラドクス通常】を使えば離れた場所での作業でも密に連携がとれるでしょう。
フルルズン・イスルーン
関節部分の機構を組み込むぞー!
巨大神像用の工具を用意し、研究者と共に巨大神像の研究データと持ち出せるパーツを整理。
くっ付けられたとして、問題は操作方法なんだよね。最悪滑り止めの爪だけ増えるかもだ。
ゴーレム改造なら楽なんだけどねぇ。
コフィン・ゴーレム。手術である。
【フライトドローン】行動補助ヨシ!
まずミウ・ウルの四肢を巨大神像用工具で外して、内部構造を巨大神像の四肢と研究データと共に観察。
同時にエネルギーテスターでミウ・ウル操作室のスイッチやレバーの信号伝達チェックして、四肢に操作できる信号が来てるかも見よう。
都合よく操作室で歩行関連のシステムが備わってるなら、巨大神像の関節機構をミウ・ウルの四肢に組み込める。
ボタンで四肢の上げ下げと手足のグーパーできれば難度は高いけど操作可能! QWOP!
まあこれらは希望的観測。
ボクとしては巨大神像のコックピット持ってきてミウ・ウルに増設し、ケーブルを手足に繋いで動かすが確実なんだけど。
パーツと操作方法はセットが基本! 二人羽織りみたいになるかもだけど。
月下部・小雪
お絵描きした図面を元に、さっそくミウ・ウルさんを改修です。
今までに集めておいた巨大神像さんのパーツも有効活用、しましょう!
ボクとコダマは多脚部分のパーツを見繕っていきます。
映画で見たネコのバスみたいにぴょんぴょん動ければよかったのですがミウ・ウルさんの大きさだと難しそうです。
でも、収納式にするのであれば、必要な時に展開できればいいのでピンポイントな運用、ですね♪
小回りが不要な場所でのグリップ力を強めるために鉤爪が大きい脚にしましょう!
構造は巨大神像と似ているらしいので、エネルギーの伝達路があれば神像の血管をつないでバイパス、しちゃいます。
次はウィンチの取り付け、ですね。
両肩にそれぞれ取り付けることで負荷を分散させましょう。
先端は岩に突き刺せるような杭状のものと、突起物に引っかけれるような輪っか状のものを切り替えられるようにしておきますね。
新生ミウ・ウルさん。どんな感じになっちゃうのか、とっても楽しみですね。
※アドリブ連携大歓迎
「四肢を動かす。……つ、つまり、ミウ・ウル猫かきモード……!」
クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)が上げた感嘆の声に、ヴォント・クライヴ(ウサギの盗賊・g06449)は是と頷く。
「そうですね。ミウが立ち上がる! これは浪漫ですよ。山越え、川越え、荒地を越えて……冒険が楽しみですね」
「アーディティヤもきっとこれは予想外。驚いた顔がとても楽しみ。ふっふっふ!」
クィトの形成する笑みは、とても愉快だと輝いていた。
とは言え、クロノ・オブジェクト同士が上手く連結し、作用するかは最終人類史の科学力を以ても未踏の領域だ。否、むしろ、科学に軸を置いていた最終人類史だからこそ未踏の領域、と言うべきか。
「因みに、巨大神像のパーツは既に運び込んでおきました」
残留効果【怪力無双】の補助があれど、とても大変な作業だったはずだが、それをおくびにも出さず、ヴォントは胸を張る。
なお、その作業には月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)も手伝ってくれた。お陰でスムーズに終わらせる事が出来た。
「サイズに応じて必要部分は切り出しました。あとは……組み立てるだけです!」
「今までに集めておいた巨大神像さんのパーツ、是非有効活用、しましょう!」
小雪の声に、一同は「おーっ」と鬨の声の如く、片手を掲げた。
「そうなのだよ。ゴーレム改造ならば楽なのだよ」
これは、ゴーレム職人第一人者たるフルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)であった。
因みに彼女の他にゴーレム職人がいるのかどうかは不明だ。後進がいるかも知れない。或いは先達がいるかも知れない。
ともかく、この場でゴーレム職人の名を恣にするのは彼女のみであった。
「つまり、……どういうことでしょう?」
ハーリス・アルアビド(褪せる事を知らない愛・g04026)の問いは至極真っ当な物。
フルルズンは大袈裟にうーむと唸った後、ぴっと人差し指を立てて言葉を口にする。
曰く。
「やってみなければ判らない!」
「そ、それは、そうですけど……」
当然と言えば当然の結論に、額から汗を吹き出しながら、小雪が表情を曇らせる。
「うむ。我等からみてクロノ・オブジェクト技術はまさしくブラックボックス。上手く行くとは思っているが、100%の確証は難しい」
「まさしく『この世には科学で解明出来ないこともある。信じる信じないは貴方次第』と言う奴ですね」
クィトとヴォントの言葉は、皆も知る通りだ。そもそも、ミウ・ウルも巨大神像も今は亡き改竄世界史獣神王朝エジプトを出自としている。当該地域の歴史侵略者――それも、トループス級やアヴァタール級程度では話にならない。ジェネラル級以上を、それも技術者である存在を連れて来ない限り、その解明は不可能に近い。
それでも、であった。
未知の技術力とは言え使える物は使う。それもまた彼ら復讐者の生き様だった。
故に敵から虜獲したミウ・ウルを始めとしたクロノ・オブジェクト兵器達が彼らの戦力となり、彼らを支えている。おそらく、平和になった暁には、その時々の有効利用を考える為、詳細な解析が必要となるだろう。だが、それは現在では無いのだ。
「兎も角、設計図通りにやっていこう」
「うむ。手分けしてやっていくのだ!」
こうして復讐者達は巨大神像のパーツを使い、ミウ・ウルを改修していくのであった。
そして、作業が始まった。
ミウ・ウルの関節部の解体。そこへ巨大神像のパーツをつなぎ合わせ、駆動を確認しながら外見を整えていく。
やることは多量にあり、しかし、作業そのものに従事する復讐者達の数は限られていた。
「巨大神像の関節部位をミウ・ウルの両手両脚に組み込んでいくはいいとして、ウィンチ発射装置以外も、色々と出来たら良いんじゃ無いかな、と思うんよな」
「そうですね。色々仕込んじゃいましょう。僕は心臓の置き場を作りたいです。携帯出来るのは本当に便利と思うんですよね。ほら、スマホでも、携帯バッテリーは必須でしょう?」
クィトが唸ればヴォントが同意し、ですが……と反論のようにハーリスが言葉を口にする。
「しかし、別の項目を増やし過ぎると、強度等に問題が生じるのではないでしょうか? ワイヤーや複数の滑車で補強はしますが、現代科学のパーツが多くなれば多くなる程、クロノヴェーダ達の攻撃に脆くなる、と言われていましたし」
「……むむぅ。それはそうだが」
「ですけど、もう少し、痒いところに手を届かせたい、と言いますか」
それぞれが口を尖らせながら唸り、そんな様子に苦笑を浮かべる。
作業そのものは臨機応変に行うと決めている。所謂現場判断、と言う奴だった。
故に、設計図から多少離れても、何とかなる。修正の範囲内であれば追加作業も可能であった。
そして、個々人の行動や思考が余りにも初期案から離れすぎると、今回のハーリスの様に苦言を呈する者もいるので、横道に逸れすぎると言う事は無い。
「……え、えっと、エネルギー伝達路があれば、神像の血管を繋いでバイパスにしちゃうつもりでしたし、きょ、強度は、巨大神像で補強出来ないでしょうか?」
とは、収納式多脚に精を出していた小雪弁である。
その手があったかと力強く頷く一同。だが。
「まあ、とりあえず、改修計画から大きく逸れる物は、別途対応だろうね」
微苦笑と共に、フルルズンは仲間達へと釘を刺す。
ヴォントの言う携帯型燃料は、今後のミウ・ウルの行動を考えれば、便利になるかもしれない。しかし、生憎、それは今回の改修の範囲外だ。改めて攻略旅団で提案が必要となるだろう。
そして、それは、彼の言い分のみに対する言葉ではない。
「つまり、今回は、拡張性のみを持たせるならばともかく、色々仕込むことは難しい、と」
ハーリスの言葉をフルルズンは首肯。それもそうですね、とハーリスは頷きながら納得の表情を浮かべていた。
「たとえばミウ・ウルの四肢を動かすだって、一つ一つの作業でちゃんと神経伝達が上手く行っているかを確認しながら行っているのだよ。造り上げて『動きませんでした』じゃ、色々申し訳が立たないさ!」
図面から外れれば外れる程、リスクは高まる。何処まで現場判断で何処からが身勝手は行動かと言う線引きは難しいが、その境界線は慎重に引かねばならない、と言うことか。
「ふむむ。確かに、『巨大神像のパーツを仕損したので、新しいのを取りに行く』とか言い出すと、我等、各種方面に怒られかねんよな」
フルルズンの言動は些か慎重に慎重を重ね過ぎているきらいがあったが、対し、理に叶っているとクィトは同意する。
そして、そんな彼女の口にした情景を想像したのか。小雪が涙目で言葉を発した。
「そ、そんなの、辛いです!」
改竄世界史巨獣大陸ゴンドワナの地で、巨大神像のパーツを集め続けた彼女だからこそ知りうる苦労だ。
それをうっかり壊しちゃったからまた何とかして欲しい、と言われれば嘆き哀しみもしよう。
もしかしたら、件の人物を涙と共に睨んでしまうかもしれない。それくらいは許容して欲しいと思うのだ。
「よし。ともあれ、煮詰まる前に休憩にしましょう! 手足を動かすだけで無く、僕達は脳も動かしています!」
唸り頭を抱え始めない一行の空気を変えようと、ヴォントが声を上げた。
ちなみに、彼が差し入れに持ってきたのはフルーツと紅茶とサンドイッチです。気持ちの切り替えと糖分補給は大事だと、力強く主張する。
「そうですね。休憩の後、軽くストレッチ。そこから少し、図面を見直しましょう」
そんな彼の主張に、ハーリスは是と頷く。
根詰め過ぎて重篤な事故を招いてしまえば意味は無い。切り替えは大事だとの言葉には、説得力のみが存在していた。
「ともあれ、千里に道も一歩から。ローマは一日にしてならず。少しずつ進めていくのだよ」
喚んだ【フライトドローン】の上にどかりと座り、フルルズンが言葉を発した。
斯くして作業は進んでいく。
指先に至るまでの稼働をフルルズンが確認すれば、その背後でハーリスが「ふむむ。成る程」と頷きながら補佐していく。
エネルギー伝達用に金のワイヤーの使用を提言したクィトは、同意するとヴォントと共にそれをミウ・ウルの内部へ埋め込んでいく。
大切なのはクロノ・オブジェクト部分のみでは無い。
現代科学部の補修もまた此度の改修工事には必須な項目であった。
ミウ・ウルの両肩にそれぞれのウィンチを取り付け、負荷を分散すると息巻く小雪に、よし来たと、再度ヴォントが彼女と共に駆け巡る。先端を付け替える事で使用範囲を広くしよう、とのクィトの発言に、小雪は親指を立てるが如くの笑顔を見せる。
そう。作業者達は誰も彼もが笑顔だった。
重い荷を運び、複雑な工程をこなし、或いは心労すら抱きかねない精細な作業も行った。
失敗もあった。えいやと行った作業が結果、上手く行った場面もあった。それもまた、クラフト作業の一幕であった。
全ては、彼らの仲間たるミウ・ウルのために行われた行為であった。
「さーて。仕上げに入ります! 山だけでなく、川も渡る必要があるでしょう。もしかしたらクィトさんの言うように、猫かきで改竄世界史の海を渡る可能性もあります! 何故なら、リグ・ヴェーダは未踏破地域の方が多い。何が起きるか判らないのです!」
と言う訳で、機械部には防水処理や防塵処理を施して起きました、と主張するヴォント。現代科学の精密機器は水に弱い。塵芥にも弱い。だが、それを克服するのもまた、現代科学の力であった。
「新生ミウ・ウルさん。どんな感じになっちゃうのか、とっても楽しみですね」
ミウ・ウルの活躍を脳裏に描いたのか。
全ての作業を終えた小雪が呟き、一同はミウ・ウルを見上げる。
物言わぬ高速砂上船型クロノ・オブジェクトの表情はしかし、何処か頼もしく、どこか柔和な感謝を告げているように思えた。
「それでは――エネルギーの充填を行いましょう」
「うむ。それが終着点!」
「それが終わったとき、僕達の手に寄って生まれ変わったミウ・ウルがリグ・ヴェーダの地を闊歩するのだ!」
ミウ・ウルの活躍を心待ちにしているのは小雪のみではない。
静かな声を紡ぐハーリスの表情も、同意と笑うクィトやフルルズンの表情も期待に染まり、輝いていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【操作会得】LV1が発生!
【怪力無双】がLV3になった!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!
【命中アップ】LV1が発生!
【ダブル】がLV2になった!
ヴォント・クライヴ
●心情
ひゃっほい!
なかなか良い形となったのでは?!
あとは無事に動くかどうかですが……きっと動いてくれる気がします!
感ですけど!
最後まで楽しみましょう。
●行動
チャージ開始……前に一休止。
先に大まかにどれくらいエネルギーが必要なのか計算しておきましょう(手帳と電卓を持ち)
エネルギーは心臓か、地獄変からか選べるそうです。今回は……(手帳ぱらぱら)地獄変から直接補給しても良さそうです?
心臓のエネルギーは、サフィーナミウちゃんの加速実験にも使いたいそうですから。
どちらにせよ、エネルギー源はアイテムポケットで安全に運びこみますね。
ではエネルギー補給開始です!
自動修復機能とか見るのも楽しみですね。ここに補給すれば良いのかな……?
無事にエネルギーが充填、補修が完了出来ましたら、早速動かしてみませんか?
僕は外から足や爪が動くところを見てみたいです!(多足は日本アニメのネ●バス的な…?)
上手くいったら拍手ですね!
最初に挑戦する山脈は、東側に行くとあるみたいです。
ですがこの性能ならきっと大丈夫な気がします!
ハーリス・アルアビド
改修は終わりましたね。ミウ・ウルは未知の部分が多く、専門家の想定を外れることもあるでしょう。皆さんの努力が実を結びますように。
鍛冶の神にして創造を司る神プタハよ、我等の頼もしき戦友にお力添えを。
私も次の作業を始めましょう。チャージ前に全体の最終確認と現在の状態を細部まで記録しておきます。チャージを始めてからどのような変化があったかを明確にしておけば改善案も出やすいはずです。
今回の作業で専門家の皆さんの教えを受けて【機械知識】も学ぶことができましたが、チャージは慎重に。心臓部の状態と全身への循環に注視しましょう。
ケーブルの接続部の過熱やケーブル内の断線が起きないかテスターで確認しながら動くミウ・ウルに【飛翔】で併走します。
中に入って操作している方とは【パラドクス通信】を使い内部に異音や異常な振動がないかを確かめましょう。
無事に終わったらミウ・ウルと共に作業を行った皆さんにお礼を。これからもお力を貸して頂けるように。
月下部・小雪
えへへ、後はミウ・ウルさんにエネルギーを充填してあげれば完了、ですね。
お役立ちアイテムの巨大神像の心臓にエネルギーをチャージしてパラドクストレインで持ち込みましょう♪
こ、今月はサフィーナ・ミウの実験や、ヤ・ウマトでの建造にもエネルギーを使うので無駄遣いはできない、ですね。
巨大神像の修復の時のデータも見つつ充填していきましょう!
エネルギーのロスを最小限にするために純金のケーブルももってきましたが……ど、どこに繋げばいいのでしょうか?
ぜ、全身にエネルギーが回りやすいように、胸の真ん中あたりからやってみましょう。
修復の過程も記録に残して……お姉ちゃんのサフィーナ・ミウの実験で有効活用しちゃいますね。
そ、そろそろ充填完了、でしょうか?
改修した部分がきちんと形になってくれるのが一番ですが、ま、まずはきちんと動くように直ってくれるだけでもうれしいです。
無事にミウ・ウルと冒険できるようになるといいですね。
※アドリブ連携大歓迎
フルルズン・イスルーン
たしかなまんぞく。
あとは起動だけ? 他の人がやるなら見てるだけでいいかな。
ボクは作りたいだけなのだ。ちゃんと動くんならそれで良いのさ。
一応【完全視界】使ってチェックだけしようね。フォトニック・ゴーレムくん。
今回やった活動をまとめて動いてる姿スケッチするよー。
【フライトドローン】使って色んな角度から見ようね。
巨大神像程の可動力は望めなくても、山岳踏破出来るならだいぶ大きな意義がある。
パーツを他に流用できるという結果を得られたり、武器や装備の拡張が出来たって事でもあるからね。
もちろん今回のは同じエジプトの似たような構造で作られてたって前提も大きい。オベリスクなんかはまだまだ怪しいのだ。
今はまだ最終人類史の技術を組み込むに留まる。でも将来的には多数のディヴィジョンのクロノオブジェクトを組み合わせてアセンブルだ。
北海道ディヴィジョン辺りは先進的だし、知見が得られるといいけども。
まあ、それもちゃんと動かせればだ。
バキッとかメギョッとか聞こえるかな? どうかな?
クィト・メリトモナカアイス
ふんむふんむ。
んむー、今月の攻略旅団の予定を見ていた。
今月エネルギーを使う可能性があるかもなのはー「千早城改造」「サフィーナ・ミウ走行性能強化」「艦艇建造」……この3つかな?
確か艦艇建造はエネルギー200くらいだっけ……?
全部円卓から神像の心臓に移したエネルギーで賄えるかは微妙?
ミウ・ウル修復のエネルギーが謎なのでなんともいえぬ。
とはいえ。新たなジョブの作成みたいな円卓の間のエネルギーを直接使う提案はなし。
神像の神像を使うで良いと思う。
というわけで。
エネルギー充填始めー!
サフィーナ・ミウの改造でも経験が使えるように、特に巨大神像を組み込んだ部分の修復の様子は見ておき、ちゃんと動くかも確認。
エネルギー充填と修復が終わったら実際に動かしてみて修復できてるか確認の時間。すすめー、ミウ・ウル!
んむんむ。また汝と旅ができて我は嬉しい。このまま目指すはー……なんか東の方!ゆくぞー。
高速砂上船型クロノ・オブジェクト『ミウ・ウル』の改修は完了した。
あとは、彼女のエネルギーチャージが完了すれば、改竄世界史蛇亀宇宙リグ・ヴェーダでの運用は可能となるだろう。
その光景を思うだけで、心が馳せると復讐者達は相互に笑う。
「たしかなまんぞく」
今やれることは全てやったと、フルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)は喜びで身を震わせる。作りたいだけ作った。後はちゃんと動けばそれで良い。今、彼女は完成の喜びに包まれていたのだ。
「後は、ミウ・ウルさんにエネルギーを充填してあげれば完了、ですね」
夕陽に輝くミウ・ウルを見上げ、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)もまた、喜びの声を上げる。
エネルギー充填にはどのくらい掛かるだろうか。一日二日では終わらないだろう。もしかしたら、数日、或いは十数日を覚悟する必要があるかも知れない。だが、万全な彼女の姿を思えば、その時間もまた愛しいとすら、思えてくるから不思議だった。
「無事に動くかどうかですが……きっと動いてくれる気がします! 勘ですけど! 最後まで楽しみましょう」
これは、ヴォント・クライヴ(ウサギの盗賊・g06449)の歓声だ。
そう。彼もまた、改修作業完了の喜びに沸く一人。三者三様の喜楽に、ハーリス・アルアビド(褪せる事を知らない愛・g04026)は神に祈り、その努力が実を結ぶことを祈っている。
「……ところで、エネルギーは何処から持ってくるんでしょう?」
円卓の間のエネルギー。或いは地獄変。今や、復讐者達の抱えるエネルギー源は幾多も存在する。
ヴォントの言葉に、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は己がメモ帳をペロリと捲ると、ふんむふんむと、いつもの声を上げた。
「んむー、今月の攻略旅団の予定を見ていた」
彼女のメモを紐解けば、此度、多数の提案で円卓の間のエネルギーを使用することが決まっているようだ。
そのため、ミウ・ウルには『地獄変のエネルギーを神像の心像に充填した』物を使うように、と言う連絡が届いている。
「……神像の神像か」
「心臓ですね」
クィトの薄笑いに、ヴォイドが言葉を添え、その背後でハーリスが是と頷く。
おそらく発音のニュアンスで捉えたのだろう。流石は同郷。格が違った。
「んむー。ともあれ、心臓を用いてエネルギー充填を始めるぞー。いいなー!」
「は、はい! 頑張りましょう!!」
此処で気を抜いて失敗したら、目も当てられない。
小雪の言葉に一同は是と頷き、それぞれの作業へと従じていった。
「試運転はエネルギー充填が終わってから、でしょうか」
それまで、ミウ・ウルが四肢で歩く姿を見ることは叶わないのかぁ、とヴォントは溜め息を零す。
脚、或いは爪を動かす様を見て見たかったが、それは今後のお楽しみ、と言った処か。
「ざ、残念ですけど、で、でも、まずはきちんと動くように直ってくれるだけでも、嬉しいです」
無事、ミウ・ウルと一緒に冒険が出来ればそれで満足、と小雪は微笑する。
「し、心臓との接続も、純金のケーブルを、使っていますし、案外、エネルギー充填は速いかも、ですね」
「そうですね! それでは、拍手はその時まで取っておいて、今は、他に怪しい箇所が無いか、確認しましょう!」
小雪の言葉に、ヴォントもまた、微笑で返す。
ここで愚痴を言っても、エネルギー充填の時間が早まる訳では無い。ならばそれは建設的では無い。のほほんとマイペースを標榜する彼は、とても切り替えの速い男でもあった。
「それに、多脚の勇姿も見られるかも知れませんしね! ほら、日本のアニメのええっと」
「楽しみですよね!」
何を想像したのか口にするよりも速く、彼の言葉を遮った小雪は、そして、手元のレポート用紙に目を落とす。
此度の作業とその結果だろうか。
そこには色々と詳細に書き綴られており、それだけで報告書となりそうな程の文章量であった。
小雪、曰く――。
「お姉ちゃんのサフィーナ・ミウの実験で有効活用しちゃいますね」
とのこと。
きっと、役立ってくれるはず、とヴォントは力強く頷いた。
「両方とも同じ高速砂上船型クロノ・オブジェクトですし、無駄にはなりませんよ」
それはただの願望かもしれない。ただの憶測かもしれない。
だが、如何なる経験もまた、復讐者達に力を貸してくれる。
その確信を以て、ヴォントは是と、先の言葉を断言するのであった。
「鍛冶の神にして創造を司る神プタハよ、我等の頼もしき戦友にお力添えを」
先と同じ祈りを唱え、ハーリスはミウ・ウルの方々を確認していく。全体。細部。関節部などのつなぎ合わせの箇所。表皮。そして駆動部分。確認し、記録する箇所は多く、そして、それはエネルギーチャージ中も続く。チャージの最中に変化があれば、その記録は後に生かせると踏んでの行動であった。
「いやぁ、精が出るね」
これは【完全視界】を用いながら、ハーリスと同じく全身の記録を取るフルルズンから零れた言葉であった。
その労いは自身に向けてか。それとも仲間達に向けてか。その双方にも取れる微笑に、ハーリスはこくりと頷いた。
「うむ。我も頑張っているぞ」
クィトもまた、ミウ・ウルの端々を確認しながら、改修作業の完了を確認していく。
特に修復部は本当に繋がっているのかは重要だ。誰も手抜き作業を行ったつもりは無いだろうが、しかし、ついうっかりは何時如何なる場合でも起こりうる。故に、最終確認が必要なのだ。ああ、ダブルチェックの素晴らしさよ。
とは言え、クィトのチェック上、そのような箇所は見受けられなかった。ハーリスやフルルズンに問うても、大丈夫、との太鼓判が返ってきた。
ひとまずは安心して良いだろう。
「――ミウ・ウルの改修作業と山岳踏破は、だいぶ、大きな意義がある」
だいぶと大きなと二重に強調しながら、フルルズンがぽつりと呟いた。
「パーツを他に流用出来るという結果を得られたなら、それは、武器や装備の拡張、拡充に繋がるって事だからね」
これまで、虜獲したクロノ・オブジェクトを流用することが主であった。
そこから組み合わせての改造と言う発展を得たのだ。人の進化や発展を壁の突破と定義するならば、この成功は次なる成功を呼び、更に技術力は向上していくだろう。それは、ゴーレムクラフターと言う技術者であるフルルズンにとっては、望ましきことだ。
「ふむ」
「勿論、今回は同じ獣神王朝エジプト産の似たような構造で作られた、って点も大きい。オベリスクなんかはまだまだ怪しいのだ」
未だ、クロノ・オブジェクト技術はブラックボックス。此度の改修はそもそも、似たり寄ったりの存在の為、改修作業への運用が容易かった。
だが、もしもコレが全く異なるクロノ・オブジェクト同士の融合を求める内容であればどうだっただろうか。
その答えを彼女は有していない。今は、まだ。
「それに、今はまだ、最終人類史の技術をクロノ・オブジェクトに組み込むのに留まる。でも、将来的には多数のディヴィジョンのクロノオブジェクトを組み合わせてアセンブル出来れば、と思う。……ま、全く別体系の技術を纏めるなんて、結構難しいけど、魔改造は得意って奴もぽろぽろ出てくるのが技術の世界だからね」
北海道ディヴィジョン――暗黒世界蝦夷共和国辺りは先進的だし、知見が得られるといいけれどもと呟く彼女の目は、ミウ・ウルの遙か先を見つめるようであった。
「そうですね。もしかしたら、更なる発展があるかも知れませんね」
ハーリスの声は優しく響いていた。
もしかしたらそれは新たな技術革新かもしれない。クロノ・オブジェクトを用いて人々の暮らしが豊かになれば、それはそれで奪還後の未来は幸せな物かもしれない。
或いは、ただの夢物語かも知れない。結局、全てはただの想像の類いに過ぎず、いずれ常識としての正史に還り、消え行く定めなのかもしれない。
それは彼には判らなかった。
彼は誓いの戦士。未来を識る存在では無いのだ。
「んむ。まあ、判らん物を今考えても仕方なかろうよ」
天が崩れ落ちることを心配しても始まらない。杞憂の故事を口にしたクィトは、しかし、と首を振る。フルルズンの想いを否定するつもりも彼女にはさらさら無かった。
「だが、考える事は大事であろう。考え、道を模索せねば、そもそも論として、道を発見する事も叶わぬ。此度、もしも我等が『巨大神像のパーツをミウ・ウルに転化することなど出来る筈も無い』と否定すれば、改修作業は成り立たなかった。それも事実だ」
滑稽無頭な道でも、道があれば繋がる可能性がある。
夢を追い続けるとはそう言う事だ、と神官面した彼女はうむうむ、と頷いていた。
「と言う訳で、エネルギー充填が終わったら、我はミウ・ウルと旅立つぞ。すすめー、ミウ・ウル! このまま目指すはー、なんか東の方! ゆくぞー」
未だエネルギー充填が終わらず、その掛け声は揺らめく陽光の中に消えていく。
だが、それが果たされる時は近いだろう。
「蘇れ、ミウ・ウル。巨悪な敵を討つお手伝いをお願いしますね」
ミウ・ウルの表皮に触れ、ハーリスはぽつりと呟く。
高速砂上船型クロノ・オブジェクト『ミウ・ウル』。
その復活まで、未だ時間があることは事実。だが、その勇姿が遠くない未来に羽ばたく姿を見られることを確信する彼らは、夕焼けの中、その近しい未来へ想いを馳せ、目を細めるのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【託されし願い】LV2が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV3が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!