リプレイ
ガーデニア・ラディーチェ
*可能なら個別描写希望
【エイティーン】使用
ネメシス形態の様な18歳の姿
ウェディングドレスに白花の髪飾り
人形のロズリエルはフロックコート、揃いの白花を胸へ
パレードは、ロズと手を取り合って歩いたりワルツを披露したりするの
蘇った貴方とこうして歩く事ができたのなら
もしそうなら。わたしはそれだけで良かった
歩く傍ら、「魔法」でもかけましょうか【植物活性】
花壇のバラの花を満開にさせ、子ども達へ
なぜ、わたしだったの
独りだけ蘇って
なぜ、貴方だったの
貴方は骸のままで
でもきっと、貴方こそが正しい
…死人は蘇らない
新宿島では出会いも経験も沢山あったわ
けど…唯の死体に戻って貴方と眠りたい
それだけ
でも、その為にも
戦わないと
静穏が囁く。ハロウィンパレードという空間に在るのに、ガーデニア・ラディーチェ(クチナシの花護り・g03839)の踏み締める道は、数多の音や行き交いによる地響きを忘れたかのように、静けさを湛えていた。少なくともガーデニアには、そう思えた。
野の美を映した横髪が一房、さらさらと流れれば人形のロズリエルに掬われる。慈しむように彼の指先が髪を撫で、また彼女の肩へ戻した。齢十八の姿となれるのも、新宿島という環境があったから。だからガーデニアは純白のドレスで、ロズリエルとこの日を迎えた。
手を取り合い、未踏の大通りを歩めば拍手喝采で世界が溢れ返る。
フロックコートでしっかり決めた彼と並び立てば、種々の仮装が二人を出迎えた。街中を彩るハロウィン飾りも、南瓜のランタンたちも、この上なく楽しげで。くるりと円を繋ぐように、ロズリエルの歩んだ所を彼女も踏んでいった。
(「こうして、貴方と歩くことができたなら」)
和らげた眦が濡れる。あげた頬がひくつく。
それだけでよかったのにと、叫びたい心持ちもあれど彼女は口にしない。
パレードに集まった子どもたちを驚かせるために、薔薇で道行きを描くのみ。
(「なぜ、わたしだったの」)
問いたい想いを飲み込んで、彼へ身を預けた。
(「なぜ、貴方だったの」)
返らぬ答えを知りながら、もどかしくて、かなしくて、つま先で地面を擦る。
弧を描くように舞えば、その美しさに沿道から幾つもの溜息が漏れるけれど、何ひとつ聞こない。
パレード会場へ晩秋の風が吹き、髪に飾った白花が咲えば、ロズリエルの胸元で白花が唄う。
花が揃って言うものだからガーデニアも、ふ、と息を吐いてロズリエルと重ねた指に、力を篭めた。
「……そうね。貴方こそが正しい」
繋いで、折々ゆるめて、ワルツは続く。
これは、いつか見ていた夢の続き。
一度きりの幕は閉じ、二度と描けぬ色を思い描くだけ。
それでも。また、貴方の隣で眠れる日が来るのなら。
朽ちかけた躯で、朽ちない想い出を胸に。わたしは。
――戦わないと。
大成功🔵🔵🔵
効果1【植物活性】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
坂登・悠日理
惺音g03409と
シンデレラの王子の仮装
レオはガラスの靴を持った従者
おー
レオ一丁前に似合ってるじゃん
って何だその顔
俺も満更でもないだろ?
つか惺音遅…い…
ドレス姿に固まりはっとして
いや、その…似合いすぎてて
吃驚しただけ
(何だこれ
すっごいドキドキしてる)
笑顔に真っ赤になり
そっぽ向き頭を振り
ユキミも可愛いぞ
惺音に魔法掛けてくれたのか?
それじゃあお姫様行きますか
手を取り
いいね
ぱっと笑い
いやこんな風にパレード参加するとは思ってなかったよ
みんな楽しそうだ
これ以上もう
…何も奪われたくないな
少しだけ表情を引き締め
取った手を引き寄せ
折角だし踊る?
踊った事ないけど
楽しそうにステップ踏み
ターンで視線合わせ満面の笑み
森瀧・惺音
ゆぅ君g04140と
シンデレラのドレス姿の仮装
ユキミは魔法使い
ユキミは魔法のつもりで手をくるくる振り
衣装は綺麗、だけど…
私に似合わないような…
…あ、ドレスって割と動き難い
…お待たせ
ゆぅ君、王子様だ…
正装は大人びてる様に感じて
…あれ、固まってる?
まさか、私のあまりの微妙さに…
え…似合って、る?
つい顔がふにゃりと緩み
うん、今日のユキミは魔法使いだし
ええ
参りましょう、王子様
大通りを歩き
私も…前は、他の人達の仮装を眺めるだけだった
と思うし
皆、何を抱えていても、周りの顔に暗さは見えなくて
…うん、楽しそう
手を引かれたら、つい心臓が跳ねるけど
踊る…此処で?
合わせてターンとかしてみる
自然に、ふわと笑みが浮かぶ
やまぬ紙吹雪が、南瓜や花弁を象って辺りに降り続ける。パレードから少し離れているというのに、はらり、ひらりと舞い踊る色彩を浴びて、坂登・悠日理(叡智の眼・g04140)はとある人物を待っていた。
(「時間かかってるなー、惺音」)
待ちぼうけを食うプリンスの姿は、行き交う人々の注目の的だ。かっこいい王子様がいる、と囁く声も聞こえてくるのに、森瀧・惺音(眠れる森の魔女・g03409)を待つのに集中する悠日理の耳へ入りはしない。
そう、彼の耳朶を次に打つのは――。
「お待たせ、ゆぅ君。……わ。王子様だ」
後背へかかった声に、振り向きながら悠日理は唇を尖らせて。
「まんざらでもないだろ俺、つか惺音、随分遅……」
言いかけて途切れた。思考ばかりでなく、呼吸も、瞬きさえ――悠日理の世界は、現れた姿で埋め尽くされる。
そこに佇むは、淡雪纏ったサンドリヨン。澄んだ冬空を宿すドレスに、星の瞬きが鏤められていて。惺音は衆目を集めていた。四辺でざわつきが漂っているというのに、当人は気にも留めていないが。
「ドレスって、動き辛いね。何度か転びそうになっちゃった、ね、ユキミ」
「もきゅぴっ」
灰被りの姫へ魔法をかける術者の仮装をしたユキミが、頷くように体を揺らす。
いつも通りの惺音が、いつもと違う装いをして、いつもと同じ表情を向けて来るものだから、悠日理はいつしか額を押さえ俯いていた。従者役のレオが、そんな彼の傍らで名状しがたい顔になっている。
「……気をつけなよ」
「うん、足元……よく見ておくね」
漸く絞り出した悠日理の一言に、惺音は素直に応えるだけ。
(「……何だ、これ」)
悠日理は目を合わせられず、再び彼女に背を向ける。停止してばかりの思考を、頭から払い落とすのに何故だか必死になる。
しかし彼の挙動は、惺音へ一抹の不安を抱かせた。
(「もしかして……似合ってない? あまりに微妙で、凍りついて……?」)
考えが悪い方へ流れるにつれ、惺音の瞼も重たく閉じていく。
「その……似合いすぎてて、吃驚した」
瞼が閉じきる寸前に届いた一言は、瞬く間に惺音の強張りを解いた。
「あ……そ、っか」
緊張から固くなっていた彼女の身から、途端に気が抜けて、笑みもふにゃりと崩れれば。綺麗だ、プリンセスだ、と繰り返す聴衆の呟きを二人もやっと認識し始めた。みるみるうちに喉が熱くなった悠日理は、ひとつ呼吸で間を置いてから彼女へ手を差し出す。
「それじゃあお姫様、行きますか」
「ええ。参りましょう、王子様」
捧げられた手へ、姫君の手が乗る。
いいね、と笑った王子が触れた温もりをそっと包み込んで、歩き出した。
ディアボロスたちで賑わうパレードの渦中へ。
「こんな風に、パレードとかに参加するとは思ってなかったよ」
まるで外の世界を知った王子かのように悠日理が呟けば、すぐ傍から小さな笑い声が零れる。
「私も……前は、仮装を眺めるだけだった、と思うし……それに」
何気なく見回すと、プリンセスの双眸に映る。
ディアボロスや新宿島の人々の顔、興奮から上気した頬に、手を振る明るさ。そのどれもが。
「「楽しそう」」
二人して同じ音を模り、顔を見合わせて笑う。
おかげで悠日理は、あえかな溜息へ願いとも祈りとも呼べる情を含んでしまう。
もう何も奪われたくないと、燃え立つ色を胸裡に秘めながら、彼は姫の手を引いた。
「折角だし、踊る?」
えっ、と驚くプリンセスの顔を間近に、彼は続ける。
「踊ったことないけど、何とかなるって」
「う、ん。わかった、合わせてみるね」
繁り合う人波と歓声に見守られながら、育まれていくリズムがパレードの音楽に沿う。
導くのは音か、気持ちか、この雰囲気か、二人には判らないけれど。
くるりと踏んだターンで知ったお互いの笑顔だけは、いつまでも胸で躍り続けた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV2が発生!
杏・紅花
ルナちゃん(g00277)と🎃
「お化け」と言えばやっぱり殭屍かなっ!
顔を白く塗って、袖の長い黒い道士服
お札をおでこに貼っていざ出陣!
ちっちゃい子たち中心に、ひとくち月餅配ろうかな
にーはお小姐 お菓子は如何?
そだっパラドクス使って翅おっきくして飛んじゃお!
ほ~らみんな、お菓子上手にキャッチできるかな~っ
どんくらい歩くのかよく判ってなかったけど…結構遠いね?疲れちゃうから貴女を空にお誘い
ね、ね、ルナちゃん
空飛んでみない?
ルナちゃん抱えて優雅に旋回しながら
あたしの友達、美人でしょ!って自慢げにゴール目指そ
ルナ・カンダチュラ
紅花様(g00365)と🎃
お互いの仮装は当日のお楽しみということで
「お化け」から連想するものと言えば、私は怖い魔女です
お化けの頭領という感じで
大きな帽子とローブを纏い箒を持ちパレードへ
子供達に毒りんごもとい甘いりんご飴を配りましょう
さあさあ子供達、りんごは如何?
帽子から赤い唇をにまり、覗かせて
これは唯の飴ですのに…怖がられてしまいました
――紅花様は、そういえば飛べるのでしたね
羨ましく思いながらも、降ってきた幸運は遠慮なく享受いたします
自身よりも背の低い少女に抱かれていると考えると…少し、照れくさいですけれど
帽子を脱いで、紅花様の分も手を振るなどして沢山アピールしてパレードを完遂します
「紅花様、そちらは……」
「ルナちゃんの衣装……もしかしなくても……」
当日まで楽しみに取っていた衣装のお披露目。互いに真ん丸した眼で見つめ合う形となって。
「殭屍ですね」
「魔女だねっ」
またしても被さった声に、いつしかふたり、笑い出す。
そうして行こうとどちらが言うでもなく、二人分の靴音がパレードの先陣を切った。ディアボロスだ、と歓声が降る。浴びても浴びても途切れることのない行進の先頭で、杏・紅花(金蚕蠱・g00365)とルナ・カンダチュラ(呪毒・g00277)は右へ左へ応えるのに大忙し。
紅花が道士服の長い袖をふりふり揺すれば、ビルの窓から会社員らしき若者たちが、可愛いを連呼して振り返す。ルナが大きな魔法帽を落とさぬよう押さえつつ歩けば、覗き込むように近づく子どもたちの姿があって。
「魔女だ!」
「きれいな魔女さんっ」
怖い魔女を装ったのに、少年少女の瞳は零れんばかりに輝く。
「「トリックオアトリート!!」」
まるで覚えたての言葉を叫んだみたいに、ちょっともどかしい声の連なり。
紅花もルナも、浅い吐息に笑みを含んだ。
「さあさあ子どもたち、りんごは如何? おいしくてあまぁいりんごですよ?」
すぐにルナが、ローブの内からするりと林檎を差し出すと、しなやかな動きに感激の声をあげた子らが飛びつく。赤滴る林檎をくるむ水飴に、かれらの笑顔が映り込むようで。ルナも紅花も、眼前の光景にくすりと笑みを共有した。
しかし魔女たるルナの胸中で燻る悪戯心は、うっそりとした微笑を模る。
「おやおや食べてしまいましたか? おいしい毒リンゴでしたのに」
帽子の陰から覗かせた、真紅の唇が、にまり。
こうして悪い魔女が囁いた瞬間、少年たちはきゃあぁと声を鳴り響かせて走りだす。
「魔女だ逃げろぉ!」
「南瓜にされちゃうー!」
悲鳴に近い甲高さながら、誰が聞いても楽しげな音で駆け回る子たち。
続けて、額のお札をぺろぺろ靡かせながら、紅花も他の幼子たちへ菓子を見せた。
「にーはお小姐、こっちの甘いお菓子も如何?」
「これなぁに?」
「月餅だよ、初めてなら覚えてってね! あ、そだっ」
ぽんと手を叩いた紅花の笑顔が、途端にイタズラめいた色を点す。
ルナも子らも首傾ぐ中、彼女は宙へ舞い上がった。美しい翅を広げて、軽やかに。
「ほ~らみんな見て見て、お菓子上手にキャッチできるかな~っ」
「わぁ、お菓子がふってきたぁ!」
「すごーい、お花みたい!」
紅花がくるり翻すたび、一口サイズの月餅がひらりと子の掌へ。
紅花が身を捻って踊ると、月餅は仮装した子たちの袋やフードへはらり。
花弁の如く降りしきる月餅が、子どもも、それを眺める大人たちの心をも浮き立たせた。
「ルナちゃんっ」
そして、月餅と一緒にルナの元へ下りてきたのは、やさしい空色の瞳。
「ね、ね、空飛んでみない? 新宿島なら飛び放題だよっ」
「わ、私もですか……?」
空への憧憬を察したのかと、ルナがぱちりと瞬けば。
紅花の嫋やかなる腕が、飛ばない魔女を空へ誘う。自分より長身の魔女を、ぎゅっと抱きしめて。
わ、とか、ひゃ、と口にしながら浮遊感からくる緊張を孕んだルナも、殭屍へすぐに身を委ねる。
「見て見てっ、あたしの友だち! 美人でしょ!」
「え、あの、紅花様……」
「ほらほら~! 今のうちに素敵な魔女の姿を拝んどこうねっ」
構わず友だちを自慢して翔け回る紅花に、観衆からも黄色い悲鳴の嵐。
「素敵な魔女さーん、こっち向いて!」
「空で遊ぶ魔女と殭屍だなんて……すばらしい、もっと見せてくれー!」
学生たちからピンポイントで指名され、ルナも紅花もこくりと頷きあう。
顔を隠す魔女の帽子を脱ぎ去ったルナが、思い切り手を振ってみせたら。
眼下で沸き起こる歓声の波動が、二人を更に天高く押し上げんばかりに届いた。驚きも交えて見下ろした先、二人はある少女たちの姿を発見する。自分たちと同じ、魔女と殭屍の仮装をした幼子二人が、紅花とルナを追うように飛ぶ真似をしつつ、走っていたのだ。ずっと一緒に、並んだまま。
だから二人も地上の殭屍と魔女へ、手を振り笑みを贈る。
それを見た少女たちの表情がより眩しく咲き誇るのを、天上の二人はしかと眼にした。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV2が発生!
効果2【反撃アップ】LV2が発生!
フェリシティ・マーノット
ハロウィンや!
張り切って行くで、居候(g03894)!
居候の吸血鬼仮装は俺仕込みや。
良く似合ってるで。
俺は狼男(黒いTシャツ+緑苔色のジャケット
狼耳&尻尾&トゲ付き首輪やの男前路線)
かっこいいやろ。
独特の誉め言葉やな。
まあ良えわ。
まず俺が沿道のちびっこ相手に悪役をやるさかい
お前は正義の味方役で良い感じに助けるんやで。
「狼男やぞー。お菓子を寄越せー」
「ぐあー。やられたー」
ちびっこには怖がらせたお詫びに
俺のお手製「吸血鬼&狼男サブレ」をプレゼントや。
コレ…俺らが食べたら【口福の伝道者】で
増えるんやっけ?(居候の口に押し込む)
増えんくても十分数は用意する。
さあ次はお前が悪役する番やで。
アドリブ歓迎
クレイ・ロックウェル
ハロウィンか。話には聞いている。
カーニバルのようなものだな。
家主(g03901)と共にイベントを盛り上げる為に尽力する。
賑やかなものだな。
用意したのはオマエだが褒められて悪い気はしない。
礼を言う。
オマエも(かわいいと言うべきかかっこいいと言うべきか迷った)
…狼男の雰囲気が良く出ている。
正義の味方だな。
【浮遊】と【飛翔】でマントを翻して登場してみるか。
「そこまでだ!悪党め!」【大声】
「もう大丈夫だ。この通り狼男はしっかり捕まえたからな」
演出上、しっかり抱えてしまった。…距離が近いな。
サブレ…?ぐっ?!
いきなり口に押し込む奴があるか!
…味は良い。美味い。
次は食わせる前に知らせろ。
アドリブ・連携歓迎
「ハロウィンや!!」
天へと突き上げた両の拳。切り立つ壁の如くぴんと立った狼耳と尻尾。
フェリシティ・マーノット(ラココット・g03901)は正しく、狼男の様相を呈していた。
その体躯を活かしきった吸血鬼姿のクレイ・ロックウェル(アーベントロート・g03894)も、家主につられて会場となった通りを見渡す。
「賑やかなものだな」
「俺も皆も賑やかなんやで今日はっ」
今日は、という口振りがクレイにはやや引っ掛かったものの、話に聞くハロウィンの盛況っぷりに意識が吸われていくばかりだ。ぽん、と肩を叩かれるまでは。
「やっぱ背丈があると違うなあ、良く似合ってるで」
片目を瞑ったフェリシティが所感を述べたから、クレイも一拍だけ考える間を置いたのち。
「……用意したのはオマエだが、褒められて悪い気はしない。礼を言う」
彼なりに素直な感謝を紡ぐ。紡いだはいいがすぐさま、彼は脳裏を過ぎった言葉を傾けようとした。
「オマエも……」
同じく褒め言葉を連ねようとしたのに、躊躇が先走る。ハロウィンに浮き立つ彼女の瞳は輝いていて、そんな彼女が纏う狼男の衣装は、可愛らしくもスマートだ。クレイとしては、どの賛辞を贈るのが正しいか迷うしかなく。
「……狼男の雰囲気が、良く出ている」
「独特の誉め言葉やな」
もどかしげな笑いを含んだフェリシティの眼差しはやがて、居候から沿道へくるりと切り替わる。島中からやってきた人だかりには、子どもたちも多い。かれらもかれらでハロウィンを堪能しようと、手作りの仮装や、親きょうだいの作品らしき衣装で訪れていて。誰もが同じ、パレードを楽しみにしていた。
だからフェリシティは、傍らで佇む黒き吸血鬼を肘でつつく。
「打ち合わせ通り、頼むで」
言うが早いか狼男は、少年少女の集まりへと駆けていった。
「がおー! 狼男やぞー。お菓子を寄越せー」
「きゃぁっ! 狼ぃ!」
「こここっちくんな、あっちいけぇっ」
周りの大人や看板にしがみつく子もいれば、果敢に立ち向かおうとする子もいた。古新聞を丸めた棒切れも、段ボールで作った剣も、かれらにとっては武器だ。周りで微笑ましげに、または面白がって笑う大人たちをよそに、必死な子も少なくない。
殴りつけてくる幼い武器に怯む素振りをしながらも、狼男はお菓子をねだった。
「ふっふっふ、お菓子をくれへんならイタズラしよか~?」
「そこまでだ! 悪党め!」
「ハッ、その声は!」
天から降り注ぐ声に、狼男も子どもたちも喉をさらけ出して見上げる。そこには。
「見ろよヴァンパイアだ!」
「吸血鬼だーっ、かっこいー!」
指差す子らの期待に応え、天を翔けた吸血鬼クレイは、広がるマントを優雅に引き寄せながら、狼男の目前へと着地した。カツンと踵が華麗に鳴るや、マントを摘んだままの腕は、逃げようとした狼男をぐいと抱え込んで。
「ぐあー。や、やられたぁ」
締め上げる仕種にも見える動きで、クレイは狼男の凶行を防いだのだ。
「もう大丈夫だ。この通り、狼男はしっかり捕まえたからな」
そうなれば直後、場を満たすのは拍手と歓声、そして子どもたちの弾む足音。パレードの合間で起きたイベントに、周囲の人々も口笛や褒め言葉で囃す。逃げ惑いかけた子たちも、事情を理解してからは、そろりとフェリシティたちへ近づくのが見えた。
(「……近いな」)
だからクレイは、抱えていた狼男を解放する。
すると途端にフェリシティはちびっこに囲まれて。
「狼男さん、服もおしゃれっ」
「トゲトゲの首輪だー! かっこいい!」
「せやろー?」
フェリシティが踏ん反り返るものだから、横でクレイも微かに眦を緩めた。
そこでふと、自分を見上げる魔女に気づく。
「……どうかしたか?」
何か話があるのだろうかと屈んだ彼の眼前へ、少女から突きつけられたのは――にんにく。
「あくりょーたいさん!」
「ふは、吸血鬼も悪霊なんかあ。ええぞーやっつけてまえー」
サブレを配っていたフェリシティが、すぐさま勇ましい少女を応援し始めた。クレイは怖がるかのように引き下がりながら、少女が押し付けてきたにんにくを有り難く受けとる。
そんなやりとりを眺めて笑っていたフェリシティは、戸惑うクレイへ近寄ると。
「狼男からはこれやるで。ほい」
「っん、ぐ!?」
特製サブレで彼の口を塞いでしまう。
もぐもぐするだけのクレイをよそに、退治できたと喜ぶ魔女とフェリシティは、ハイタッチを交わした。
さくさくと綻ぶ美味しいサブレを味わいつつ、クレイは目を眇めて思い馳せる。
これがハロウィンか、と。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【水面歩行】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
【反撃アップ】がLV3になった!
ウィズ・ホーリーブルーム
昔のことは何も覚えてませんが
でも、不思議とこの雰囲気は心地いい、です
魔女、吸血鬼、狼男……
不思議なものがいっぱいあって
それなのにみんな楽しげで
まるで魔法のようなお祭り、です
となれば魔法使いの端くれとして
僕もがんばろうという気にもなるもの、です
廃棄予定のカボチャを沢山もらってきて
魔法の大釜に放り込んで
煮込んで煮込んで煮込んで煮込めば
魔法使いのパンプキンシチュー
完成です
「シ、シチューはいかが、ですかー?」
「おいしいカボチャのシチューですよー」
「あ、あったまりますよー。ぽかぽかですよー」
声を張るのは苦手だけれど
味には自信あります……です
お客さん、喜んでくれるといいな
【連携、アドリブ歓迎です】
小田桐・左京
痩せこけた人がいるのか、これはいかん。未来に向けて投資だ。
飲める点滴とロールパンを買い…こうだ!
【液体錬成、口福の伝道者、おいしくなあれ、クリーニング】のコンボを使い、これを持ち帰れるようにして売るぞ。
値段は「昼飯代ぐらいで、自由に動き回る悪魔のショボーンぬいぐるみ+俺の気が向けばつけ払い可!」で売り、10面ダイス2個を振ってもらい、一の位のダイスが七なら「新一万円」をプレゼントだ。ディアボロスは「豪華な昼飯代ぐらい」で売るぞ。
あとハロウィンパレードは見物人で混雑するだろうから【フライトドローン】「30分で昼飯代ぐらいの料金+(´・ω・`)付き」で空から見物や散歩も稼げそうならやるか。
リリィ・ピアッシュムーン
ハロウィンのお菓子ならお任せなのよ!
TrickでTreatなのよ!!
黒猫の仮装をしてハロウィンストリートでいつも通り、ダークマターを振る舞う
味はおいしくなあれしたので問題なしなのよ
さぁさぁ食べてみるのよ!
ずずい、とダークマターを差し出して
ある意味ハロウィンのお化けより怖いかも
ウニのようなシュークリーム
でこぼこ真っ黒なクッキー
真っ黒つやつやなキャンディ
タイヤのようなドーナツ
一口食べればその美味しさにびっくりするはず
みんな笑顔になれるのがハロウィンのいいところなのよ
少しでも自分の作ったお菓子が人々の笑顔に繋がればと
見た目は残念でも気持ちはめいっぱい込めて
*語尾は「~のよ」
*アドリブ歓迎
月宮・宵
はろうぃん…?
よく分からないが、行くだけ行ってみるか
知識を増やすのは大切だしな…
橙色の鉱石片を懐に仕舞い
ハロウィン、というものを知るためにストリートへ足を運ぶ
食べ物が多いな
食べ物を振る舞う祭りなのか…?
そこかしこから漂う香りにお腹が鳴る
気になるのは食べ物ばかりということ以外にもう一つ
と、とりっく、お…あ、とりー、と??
何の呪詛なんだとばかりに呟いた言葉はたどたどしく
それでも食べ物片手に雰囲気を楽しむ
亡き親友の瞳の色と同じ橙色に染まる景色を見るのも悪くない
そんな気がして僅かに口の端を上げて微笑んで
*アドリブ歓迎
アーリア・ティスティリア
(サポート)
いつも笑顔の女の子です。スフィンクスのサナキはいつも一緒。元気一杯です。
誰かの為に心を寄せる性格で、誰かの笑顔の為なら何でも頑張ります。
デフォルトの口調が「の、なの」なので、難しければ「です、ます」の方に切り替えて下さって構いません。
可愛い物、美味しい物が大好きです。人懐っこいので、誰とでも仲良くなれます。嬉しいとオーバーな位喜びます。きゃーきゃー言ってます。
ハロウィンでは魔女の格好をしていて、シフォンにはオレンジ色で蝙蝠の模様のタイを付けています。
「サナキ、あのお店面白そうなの!」
「あれ、美味しそう! 食べるの~! うーん、美味しいの!」
懐っこいので誰とでも仲良くなれるので、連携アドリブ歓迎
星虹竜・歌羽
(サポート)
◆口調:人見知り。おずおずゆっくり
わたし、〜さん、丁寧語(です、ます)
◆方針:日常を大事に思う子
一般人の平穏が守られることor今以上被害が広がらない事を目標とする
◆パラドクス:指定した物をどれでも使用
メーラーデーモンを呼んで手伝ってもらうことも多い
◆行動方針
歌による後方支援、補助が基本
必要があればメーラーデーモンと一緒に前衛に出る
◆その他
歌(現代音楽よりはオペラや童謡)を歌うのが好き(得意)で、
戦闘以外でもよく歌ってる
(人を励ましたり、歌で解決できることなら歌う)
とても小食のため、サプリメントや栄養補助のお菓子などを所持している
他のディアボロスに迷惑をかける行為、公序良俗に反する行動はしない
蒼狐・珠萌
(サポート)
*基本(です、ます)口調
*ツインではなくフォーテールです
●ハロウィンプレ
自作したアバターペットのフォティアを肩にのせ髪に隠し、ストリートの屋台や催しを見て回ります
フォティアに話しかける時のみ自由口調
甘いもの珍しいものに目がない
大人っぽく振る舞おうとしてますが、リアクションはおこちゃまな面が多い
ハロウィンのお菓子を配っていたらすっごく欲しくて我慢して貰いに行っちゃいます
パレードは楽しく眺めながら熱心に描いています
描いている時などは平気で見ていられますが、男女共に露出の高い方と話すのは目のやり場に困ってしまいます(直視できません)
誰かに迷惑をかける事や、依頼成功のためでも公序良俗に反する行動はNG
ジズ・ユルドゥルム
託児所に預けられている間に両親が消失し、そのまま施設で暮らす子供らも多いと聞く。
今日はその子らと職員達も見物に来ているようだな。
彼らの明日の活力のため、我らが一肌脱ごうじゃないか。
ゆくぞ、ケレイ!(魔女の仮装でカラスの姿のジンを召喚)ハッピーハロウィン!
フッ、今日はよい子の君達にお菓子を配りに来たぞ。たくさん持っていくといい!
そうだ、君、好きな動物はいるか?ふむ、パンダ?
よし、変身だ!(ジンがパンダに変身)
次はゾウか!キリン!コアラ!アザラシ!
ぜぇ、ぜぇ…大丈夫かケレイ…皆、喜んでくれるといいが
皆の親御さん達が戻ってきたら、今日のことを教えてやってくれ。
君達の健やかに成長した姿と一緒にな。
空翔ける吸血鬼が花吹雪を撒けば、狼男が路上でくるりくるりと大道芸を披露する。
イベント当日に相応しい色彩とランタンのまろい輝きで、新宿島の人々にとっての『いつもの日常風景』は様変わりしていた。仮装パレードはもちろん、ハロウィンストリートも例外なく。
「煮えろ沸き立て、魔女の釜」
そして何処からともなく聞こえてくる言の葉は、人々の意識を屋台へ引き付けた。
「元の食材なんであれ、美味しく煮込む魔女の釜」
ウィズ・ホーリーブルーム(箒の魔法使い・g04982)の魔法の釜には、やさしいオレンジ色がなみなみと。零れんばかりの釜から昇る香りは、甘くてまろい南瓜とクリームのもの。少年がじっくり煮込んで、丁寧に煮込んで、コトコト煮込んだ特製パンプキンシチューだ。
(「僕も魔法使いの端くれ。がんばります、です。でも……」)
作ったはいいが、客を呼ぶ方法についてはウィズも迷うところ。
沿道では既に、様々な声が飛び交っている。かなり張り上げないと、呑まれてしまうだろう。
誘惑の香気につられる人の目はあれど、ウィズはちょっとだけ勇気が振り絞れず。
立ち往生していた少年の元へ、きらきらが歩み寄った。
「さっきのお歌、わたしも歌っていい……ですか?」
呼びかけにハッとして顔をあげたウィズは、そこに星の海を見る。
星虹竜・歌羽(星の竜のアリア・g02678)の眼差しが、緊張と期待で煌めきながらウィズを映していた。
「歌、ですか? あっ、えっとあれは呪文みたいなもので……」
縮こまるウィズに、おずおずと歌羽も紡ぐ。
「歌わせてもらえたら……嬉しい、です」
ふんわりした優しさが、花開く。
「今日の日常を、歌で飾りたいのです」
目立つのは得意でないけれど。ハロウィンを楽しむ人たちの力になりたい――そう願うのは歌羽も一緒。
歌羽からの申し出を断る理由など、少年にはなかった。
そうして準備が進む一方、別の屋台でふふんと得意げに胸を反らすのは、リリィ・ピアッシュムーン(天災料理人・g00810)だ。天才……否、天災を欲しいままにする彼女の自信と誇りは、すべて料理の道へと繋がる。
「ハロウィンのお菓子なら、私にお任せなのよ!」
黒猫の装いをしたリリィが本日いかなる料理で旋風を巻き起こすのか。ディアボロスお手製料理の提供がある――そんな触れ込みに期待する者で膨れた通りは、既に人がごった返している。
だからこそ、キラリと閃く小田桐・左京(デーモン合体した武人・g03432)の眼光。
祭という名の稼ぎ時。彼の瞳が輝かない筈があろうか、いや、無い。
(「俺の名が知り渡れば活動もしやすくなるとみた。今こそ好機だ!」)
仮装行列の盛況っぷりを見れば。道路沿いの群集を目にすれば。左京の期待値も上がるだけ。
こうして様々な欲望とイタズラな秋風が漂う街『新宿島』で、ハロウィンは恙無く催される。
●おいしいひととき
はろうぃん。はろうぃん。
まじないのように繰り返して、月宮・宵(妖狐の王墓守護者・g03926)は街中をゆく。案内も聞いたし、そこかしこで空気感も目にしている。しかし実感へ結び付くかと言えば、まだ途上。
(「とはいえ知識を増やすのは大切だしな」)
これも経験。これも学び。だから宵は、はしゃぐ音楽と声で溢れ返った道を進む。
熱を帯びた橙色の鉱石片を、懐に仕舞い直して。
「ん? あれは」
まもなく視界へ飛び込んできたのは、ディアボロスの仲間たちが開いた店の数々。
青翔ける髪をなびかせて、その賑わいへ颯爽と現れたのは蒼狐・珠萌(猫狐な天使・g03640)だ。
(「いいにおいがします……」)
くん、と鼻先を鳴らせば――歌が響く。
煮えろ沸き立て、魔女の釜。
元の食材なんであれ、美味しく煮込む魔女の釜。
歌い手となっているのは、シチューの屋台前にいる歌羽だ。ヤギのナシラにやや身を寄せて歌う、星の子めいた装いの少女は、童謡のように歌い連ねていく。人混みにも澄んで伝う歌羽の声は、いつしか人々の心を招き、南瓜のシチューがあると教えてくれるもので。
「シ、シチューはいかが、ですかー? 魔法使いのパンプキンシチュー、ですよー」
シェフであるウィズが、並んだ人たちへ温もりを手渡していく。
「あ、あったまりますよー。ぽかぽかですよー」
星が瞬く歌羽の声と、精一杯に喉を開いたウィズの声を耳にして、珠萌だけでなく、他のディアボロスたちも屋台を訪れた。
「サナキ、あのお店面白そうなの!」
ぱたぱたと踊る靴音に、弾む息。魔女の仮装をしたアーリア・ティスティリア(微笑みを絶やさぬ少女・g03232)は、スフィンクスと一緒に食べ歩きの旅を楽しむ真っ最中。するとそこへ。
「わたし、歌羽。この子は、ナシラです。あなたは?」
スフィンクスを見やって歌羽が首を傾げたものだから、アーリアはぱぁっと笑顔をより眩しく咲かせて。
「アーリア! こっちはサナキっていうの! よろしくね!」
「もきゅきゅ~っ」
ウィズの横でシチュー作りを応援していたモーラット・コミュのトットも、混ざりたいかのようにひとつ鳴いた。
ナシラとトットにもぺこりと会釈するアーリアとサナキを、周りにいた仲間や一般人も微笑ましげに眺める。そんな中、練り歩いていた宵は屋台越しにウィズへ問う。
「食べ物を振る舞う祭りなのか……?」
心底不思議そうな彼を前に、ええと、とウィズが目線を少しだけ彷徨わせる。
「振る舞ったり、いただいたり、します」
「そうか、なるほど」
妙に真面目な顔で納得した宵へ、少年はそろりとシチューたっぷりの器を寄せた。
「たとえば、こんなふうに……です」
「有り難く頂こう」
受けとった器は、外気の寒さを払うぐらいに温かく、鼻孔をくすぐるにおいも宵の胃を刺激するもので。
くう。祭の喧騒では聞き逃してしまいそうな、小さな腹の虫が鳴る。
コホンとひとつ咳ばらいで誤魔化し、宵はウィズの屋台を去った。あったかいシチューのにおいと一緒に。
その頃屋台の前では、もらったシチューを口へ運ぶアーリアと珠萌の姿があって。
「うーん、美味しいの!」
「おいしい……とってもあったまります」
落ちそうなほっぺたを、アーリアも珠萌も押さえる。
「っ、よかったです」
ウィズの語気に気持ちが宿れば、シチューを手にしたアーリアたちの笑顔も増しに増して。
「あなたは食べなくて良いのですか?」
歌唱に励む少歌羽へ、珠萌が何気なく尋ねるも。
「わたしも、あとで、少し……いただこうかと」
ふふ、と吐息で少女が笑った。この上なく楽しそうに。
●Spooky day
この街には、いろいろな人がいる。だからこそジズ・ユルドゥルム(一つ星・g02140)は、幼き子の集まりを目で追った。迎えを待つ間に歴史が改竄され、親との再会が叶わなくなった子も――ここには多いのだから。
託児所などの職員が、子どもたちを引き連れてパレードの見学に訪れていた。
「ディアボロスーっ!」
「すごぉい、きれいだねえ」
寂しい時間もたくさんあるだろうに。あるからこそ、かれらはハロウィンを楽しみにしていた。
(「彼らの明日の活力のため、一肌脱ごうじゃないか」)
実際にかれらの様子を目の当たりにしたことで、気合いを入れ直すジズの顔色にも熱が射す。
「ゆくぞ、ケレイ!」
掛け声は一瞬。取り出したランプから、もくもくもくと煙りの如く生命体がくゆるのも一瞬だった。
「ハッピーハロウィン!」
「「とりっくおあとりーと!」」
幼子たちの喜ばしい声が重なるや、ふ、とジズは浅い息で笑って。
「今日はよい子の君達にお菓子を配りに来たぞ。さあ、たくさん持っていくといい!」
「本当!?」
「やったあ!」
両手をあげて喜ぶ子も、跳ね上がった子も、おとなしいながらにソワソワする子も。
それぞれのペースでジズとの距離を縮め、集い始める。
しかもいつのまにか、アーリアと珠萌がお菓子をもらう輪に混ざっていて。
「君たちもか」
「ほしいの!」
「ほしいです」
包み隠さない二人へ、ジズは小さく笑ったのち菓子を渡す。
彼女の振る舞いを一通り眺めていた宵は、子どもたちが沿道で奏でた詠唱をいつしか口にしていて。
「と、とりっく、お……あ、とりー、と??」
たどたどしいならがに祭に馴染もうとする彼の挙動は、託児所の職員たちの心をきゅんとさせた。
一方の子どもたちは、知らないの知らないの、とかえって興味津々に宵の顔を覗き込む。
「君も少年少女へのお菓子配り、やってみるか?」
見兼ねたジズが彼を誘うと、当の宵はきょとんとして。
「なに、配る分は用意してある。遠慮はいらないぞ」
「あ、ああ。ではお言葉に甘えて」
まだしっくり来ないが、宵はジズに倣って子どもたちへ菓子を渡していった。
とりっくおあとりーとの呪文を、四方八方から浴びながら。
ここでふとジズは、屈みながら幼子へ尋ねる。
「そうだ、君、好きな動物はいるか?」
「あのねあのね、ぼくどーぶつえんでみたパンダさんがすき」
パンダか、とジズは顎を撫でてすぐにジンを見上げた。
「よし、見せてあげるとしようかケレイ! かれらの夢を」
もくもくもく。煙りのように生命体がくゆる。そして現れたジンは、ハロウィンの新宿島だからこそ、少年少女のために意気揚々と動物を模す。わあっ、と一気に歓声が場を満たした。
「あたし! あたしキリンさん!」
「ぼくゾウがいいな、ぱおーんできる!?」
「はは、順番だ順番。安心してくれ、充分応えられるからな」
急く子らの快活さにどこかホッとしつつ、ジズとケレイはかれらへひとときの夢をもたらすしていく。
今年のハロウィンが、かれらにとって良き想い出となるように。
●人々と
ディアボロスたちが披露してくれた仮装パレードは、あらゆる民を非日常の夢へ誘う。
けれどふらりとやってきた男性は、娘と一緒にパレードを堪能したにもかかわらず、まだ頼りない。
「痩せているではないか、いかんぞ」
飯食え武人(デーモン)と化した左京は、おいしくなる魔法で焼きたての旨さを醸し出したロールパンを、彼へぐいと突きつける。
「食事もまた、未来への投資だ」
「みらい……ですか」
「その通り。腹が減っては商いもできぬ、だ。という訳でどうだろうか」
突飛した話に男性が瞬ぐも、左京の攻勢は留まるところを知らない。
「自由に動き回る悪魔のショボーンぬいぐるみもついて、今だけこのお値段!」
ぽかんと立ち尽くす父子にも、彼はめげない。
「今だけこのお値段!」
強調した。よくよく見れば札には『昼食代』とだけ書かれている。
「しかも! ここにあるダイスを振って一の位のダイスが七なら『新一万円』をプレゼントだ!」
「よくわからないが、楽しそうではあるな」
よくわからないなりに男性も、左京の口上へ耳を傾けて、頬の強張りを緩めた。
それでいいと言わんばかりに頷いた左京は、ピカピカに磨き上げられたダイスを二つ、男性へ差し出して。
「さあ、楽しいひとときに浸ろう」
挑戦めいた眼差しを向ける左京に促され、男性もいよいよダイスを握る。そこへ。
「あーっ! アーリアもコロコロするの!」
「ぬいぐるみも気になりますけど、ここはやっぱりロールパン、ですね」
漫遊中のアーリアや珠萌も揃って顔を出した。二人に連れられる形で訪れた宵の傍には、家族を歴史改竄で失った小中学生も集っていた。各所で宵の振り撒いた「とりっくおあとりーと」の拙さが魔法となったのか、あるいは人柄か。とにかく宵は成り行きで、ディアボロスの仲間や子どもらと共に回ることとなったのだが。
思わず左京は、宵をちらと認める。
「……引率か?」
「いや、そういうわけでは」
ちょっとばかし否定するも、ひとりでふらつくより大分騒がしくなった今の状況を、それはそれで宵も楽しんでいるらしい。
大通りもハロウィン一色に染められ、宵にとってもすっかり意識に馴染んだ光景となった。
(「橙色の景色、か……悪くない」)
ふと亡き親友の瞳を想起して、口の端を仄かにあげる。しっとり、しんみり。そんなにおいにくるまれ、想い出へ意識が傾きつつあった宵は、そこで。
「あっちに南瓜のケーキがあったの!」
アーリアに袖をくいくいと引かれた。えっ、と声をあげて宵が瞬くも。
「綺麗な色で美味しそうだったから、みんなで食べるの。ほらほらっ」
「だが……わ、わかった。引っ張らなくてもついていくから」
沈思する暇も与えないぐらい、アーリアは宵の腕を引く。
「甘いものは素敵ですから。急ぎ食べにいきましょう」
同調した珠萌の両手も、ハロウィンらしい魔女のジュースや、色とりどりのキャンディが詰まった袋で埋まっていた。
宵もちょうど、パイを食べ終えたところだ。次に腹を満たすものを求めて良いタイミングだろうと、彼は興奮気味に先導する二人の姿に、眦を和らげた。
●子どもたちと
ぜぇ、と息を切らしたジズはとうとう項垂れてしまう。
「だ、大丈夫かケレイ……」
精一杯少年少女の期待に応えたケレイも、ジズに似た姿勢をしている。
そして随分時間は経った気がするのに、子どもたちの元気は絶えることを知らない。
「皆の親御さんが戻ってきたら、今日のことを教えてやってくれ」
「! うん!」
「教える、いっぱい話すよっ」
返った反応はなんとも素直で、混じり気ない光に満ちている。ジズにはそう感じられたからこそ、頬を上気させた子らへ綴る。
「君達の健やかに成長した姿と一緒にな」
それはいつか来る日への希望を乗せた、魔法の言葉。
こうして子どもたちの笑顔が弾ける一方、近くの屋台では。
「さあお腹をすかせた皆、TrickでTreatなのよ!!」
高らかに。それはもう高らかにリリィの声がこだました。
所狭しと並ぶ屋台の列に加わった彼女の店は、やはり他とは一味違う目玉商品が陳列されている。
「こっ、これは……!!」
誰かが思わず声をあげれば、俄に騒然となる周囲。
「味はおいしくなあれしたので問題なしなのよ」
「そう、なのか?」
「そうなのよ」
調理人であるリリィがそうと断定するのだから、そうなのだろう。
戸惑う聴衆をよそに、彼女はとびっきりの笑顔を振り撒く。
「さぁさぁ食べてみるのよ!」
ずずずいと差し出される皿の上のダークマター。見かけはダークマターと呼ぶ以外の何物でもない存在だがしかし、新宿島にはパラドクスの効果という頼れる味方がついている。つまり味は保証されている。味は。
「分かってはいても見た目がな……」
人々から本音が漏れるも、それすらハロウィン特有のイタズラな秋風に浚われていった。
あーっ、とそこで大声があがる。
「魔法料理だ! 見て見て、お話に出てくるみたいなやつ!」
「ほんとだぁ、黒猫さんが作ったの?」
無垢なる子どもの団体様が、リリィの店を訪う。
「私が愛情いっぱい込めて作ったのよ!」
「「すごーい!!」」
憧憬の眼差しがリリィへと注がれれば、彼女の口角も上がっていくばかり。
――さあさ、ここにはたくさんの魔法の食べ物があるよ。
ウニのようにトゲトゲしたシュークリーム。驚くなかれ、中まで真っ黒だ。
こっちは、でこぼこの形をしたクッキー。チョコやココア味ではないけど、真っ黒だ。
そしてそして。つやつやなキャンディを口へぽおんと放り込めば、その甘さに涙が止まらない。
タイヤみたいなドーナツだって、やや噛みごたえはあるが甘さ控えめでふっくらしている。
物語に出てくるような、不思議な見た目の料理が並ぶ、黒猫リリィのプチレストラン。
どんな味がするのか確かめたいという人の好奇心をつつき、気付けば大盛況となった。
(「やっぱり、笑顔になれるハロウィンが一番なのよ!」)
満足げなリリィに、屋台へつり下げたジャック・オ・ランタンが笑った気がした。
●息抜き
「素敵な人でいっぱいですね」
十人十色の仮装やパフォーマンスで織り成されるパレードを、珠萌はじっと見つめた。
よし、と何事かひとつ気合いを入れるような素振りを見せて、彼女は付き合ってくれた宵やアーリアへこう話す。
「ボク、パレードを描きにいってきます。またお会いしましょうね!」
言うが早いか、鮮やかな青は雑踏の向こう側へと消えていった。それこそまるで、魔法のように。
そして彼女が溶けたすぐ横の道には――。
「お疲れだ、かなり商売上手だったな」
店を出していた左京の労いが、南瓜シチューの行列を捌いたウィズたちに降る。
ウィズたち同様、左京やリリィも一息入れに来たのだ。
「シチューが美味だった。俺もひっそり並んで頂いていたが」
「えっ、い、いつのまに……ですか」
気付かなかったと驚くウィズに、ふふふと左京は不敵に笑う。
するとリリィがここで、ごそごそと南瓜型バスケットから黒塊を取り出して。
「真っ黒クッキー、新たに用意したのよ! エネルギー補給にどうぞなのよ」
この場にいる皆へ配りはじめた。リリィの気持ちがたっぷり篭ったお菓子は、見た目こそアレでも味はおいしい。疲れた脳や身体によく効く。
こくり、と人見知りから控えめに頷いて、歌羽もクッキーを受けとる。そこへ。
「お疲れ、子どもたちも満喫してくれたみたいだな」
お菓子配りに専念していたジズも、休憩のためやってきた。屋台もパレード見渡せる席へ、疲弊した身体を寄せる。
沈黙が吹き抜けるも、すぐに左京が唇を震わせた。
「……新宿というのは、不思議なところだな」
いつになく神妙な面持ちで、左京は祭の空を仰ぎ見る。
心なし肌がツヤリと瑞々しく見えるのは、商売(かつどう)が上手くいったからだろうか。
賑やかさの渦中で、強張ってばかりいたウィズもいつしか頬を綻ばせていた。
記憶に掠める色が、あるのかどうかも分からないけれど。
(「でも、不思議とこの雰囲気は……心地いい、です」)
胸に覚えたこの心持ちは、ウソでもイタズラでもないはず。
「そうだ」
立ち上がった際、ジズが懐から小さな袋を取り出す。
「私からも、店をやっていた君たちにお菓子をあげよう」
多めに用意しておいたからか、配りきれなかった分をジズはウィズや歌羽、リリィたちへ差し出す。
「……良いハロウィンを!」
琥珀の輝きを滲ませて告げた直後、彼女は再び表の喧騒へと紛れていった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【おいしくなあれ】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
【狐変身】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
【迷宮化】LV1が発生!
【液体錬成】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV3が発生!
【反撃アップ】がLV5(最大)になった!
ノスリ・アスターゼイン
g01241/実
すっぽり被った狼の着ぐるみ
ふっかふかで
寒空の練り歩きも何のその!
…と思ったけれど、
これじゃあ食えないでしょ!
がおーと狼頭を外して小脇に抱え
香しき品々の許へ
いざ行かん
焼きトウモロコシと
ほっくほくのじゃがバターには
食欲そそる醤油を数滴
お好み焼きには鰹節を躍らせ
焼きそばは紅生姜を大盛で!
たこ焼きの船は何艘にする?
鯛焼きは何十匹釣る?
次々目移りするままに
実の手を引き
屋台から屋台を駆け巡る
食って食って食いまくれど
一向に尽きぬ腹
出店の端まで辿り着いたら
勿論、もう一巡!と踏み出すも
赤ずきんの頬についたソースへ瞬き
指で取ろうと触れた肌は柔らかで
なんだ
あんたも美味そうじゃないの
妖しく光る、狼の牙
七森・実
g01118・ノスリくんと
童話めいた赤ずきんに扮して
いざ出陣よ、食欲の秋の祝祭
お花畑の代わりに現れる屋台たちは
どれも魅惑的で危険な罠
じゅわっと芳醇なバター醤油も
香ばしくジャンクなソース味も
待って、単位がおかしくない???
貪欲過ぎる狼さんに目を丸くしながら、
ついうっかり隣で一緒にもぐもぐと
だってあんまり美味しそうに食べるんだもの
赤ずきんがLサイズになってしまいそう!
食べている時、あなたは少しだけ幸福な顔をするのね
だから、どこまでも、何度だって付き合ってあげる
餓えたその腹が満ちるまで──
ひゃ、
獲物を狙う眼差しに冷や汗だらだら
味がついてないから美味しくないわよう
美しい牙持つ獣の前、赤ずきんは絶対絶命
ハロウィンで賑わう街の中に、一匹の狼と一人の赤ずきんがおりました。
頭の先から爪の先まで、もっふりふかふかの冬毛で覆われた狼は、寒空も秋風も何のその、ひとで溢れる街をゆくのです。声をよく聞くためのお耳を、いっぱい使って。なんでも食べられる大きなお口を――。
「って、これじゃあ何も食えないでしょ!」
すぽん、という小気味よい音と共にノスリ・アスターゼイン(共喰い・g01118)は狼頭を外した。
「ストロー使う?」
ちょっと気を遣った赤ずきん――七森・実(F・g01241)がこてんと首傾ぐも、脱いだからには外気を吸いたい心と、食べるなら満足できるまで味わいたい気持ちが強かった。だからノスリは狼頭を小脇に抱え、浮き立つ実の手を取り、ついていく。
黄色や橙に塗られた道路飾りをぴょんと飛び越え、赤ずきんはずらりと並ぶ屋台行列を指差した。
「いざ出陣よ、食欲の秋の祝祭に」
「ああ、香しき品々の許へ、いざ行かん」
戦か航海にでも出る気勢の二人を、ある種の大いなる戦いが待ち構える。
南瓜燈の輪郭は光で霞み、まろく世界を照らし出すのに、その表情はにやにやと二人を見送るばかり。まるで魔女の術にかかったかのような南瓜たちは、表情豊かなまま「こっちに美味しいものがあるよ」と誘って来る。そんな気がしてならないほど、各店には食欲を刺激するものばかりが並んでいた。
わあ、と赤ずきんの瞳が輝く。ここにお花畑はないけれど――街という彩り、料理という花のにおい、人という温もりが秋風に乗って流れていくから、足取りも心も弾んでやまない。狼も同じ境遇にあった。お腹を空かせた者同士、香ばしさに誘われるのは当然で。
くん、と鼻先を鳴らした赤ずきんと狼が知るのは、もうもうと煙りが上がる屋台から押し出される、熱。
はいよ、と熱の中から伸びてきた店主の腕。こうして手渡された焼きトウモロコシにかぶりつけば、ぷちりと粒が破けてあっつあつの汁が歯を伝う。はふ、と二人して咥内から熱を逃がしつつ顔を見合せれば、なんだか可笑しくて。
「おいしいね」
云いながら琥珀が揺れたら、頷く密色も喉を通った風味に嬉しさを見出だす。
次に二人して求めたのはじゃがバター。芳醇なバターがとろりと芋へ染み、しっとりした肌を艶やかなものへと変えてしまう。こうなっては狼も赤ずきんも、口へ運ばずにいられない。醤油で少しおめかししたりして、並んで食べる二人の頬はいつしか、熱さから朱を刷いていた。
寄ってらっしゃいと手を打ち鳴らす店主の元では、お好み焼きにタコ焼き、ヤキソバなどの粉もんで、泣き止まぬ腹を宥めすかす。
「たこ焼きの船は何艘にする? あ、それと鯛焼きは何十匹釣ろう?」
「待って、単位がおかしくない???」
健啖家の狼が目移りに目移りを連ねるものだから、赤ずきんがブレーキをかけた。心の底からおいしそうに食べ続ける彼だ。眺めているだけで胸は踊る。
冗談ではなく本気で食べるつもりの狼は、しかし――満たされない。尽きぬ食欲が狼の足を動かす。膨れない腹があるのは、どれも美味しかったから。そう考えるや狼は振り向いて。
「もう一巡!」
決定事項かのように踏み出したところで、狼の足が漸く停まる。
次から次へと急いだからか、赤ずきんは自らの頬に残ったソースに気付かずに。瞬いだ狼の指が、赤らんだ頬へ触れる。
「ひゃっ」
少女があげた微かな悲鳴は、人混みに流されていった。
不意に、なんだ、と吐息混じりの囁きが彼女の耳へ届く。
「あんたも美味そうじゃないの」
幸福に浸っていた顔で、狼の牙が妖しく光る。
赤ずきんは慌てて頭巾を引っ張り、額を隠す。額に冷や汗が浮かんでしまったから。
だが獲物を狙う眼差しは、俯く彼女の守備の要をそおっとつまむ。それでも少女は手も足も胴も縮ませて、獣の眼から自身を覆い隠そうとした。
「味なんてついてないから、美味しくないわよう」
もはや今の実は、絶体絶命の赤ずきん。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV3になった!
【プラチナチケット】がLV2になった!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV4になった!
サティニフィア・ネイバーライト
准耶(g01207)と参加
普段のキャスケットをジャックオランタン風に
上着は襤褸と紙一重のイカしたマントに
左頬の痣はフェイスペイントで塗りつぶしておくぜ
あ?いいんだよ、こんなん製造刻印と大差が無ぇんだ
アタシの好きで付けてる訳じゃねぇよ
ホントはアタシらサーヴ側?
まぁ最終人類史がどうたらいうなら一緒に楽しみゃなんとかなんだろ
二人で適当に屋台を冷やかすぜ
いや、カボトッツォ…て
何でも改造すんのジャパニーズの良くない所だと思うんだがな…生ドラッツォまでなら許せるが
つか、苦手なんだよ…南瓜
んー…そうさなぁ
確かに空飛ぶのはアリかもな
空撮じゃない生の様子はこれっぽっちになっちまった世界でも活気溢れる姿だろうさ
無常・准耶
サっちゃん(g00008)と一緒に遊びに来たぜっと。
アレンジ歓迎
格好は黒い軍服に黒いオーバーコート。結構イカすだろ。
サっちゃんも中々に決まってるな、似合ってるぜ。
……ありゃ、それ消すの?
そのままでもイイと思ったんだけどな。
ハロウィンだけあって盛り上がりもすごいな。
屋台にゃ南瓜の菓子も沢山だ。南瓜のパイだの南瓜のケーキだの。
サっちゃんは甘いものは好きかい?
ほら南瓜味のマリトッツォ、カボトッツォだってよ。一つどうだい。
……ありゃまあ苦手なら仕方ない、じゃあこれは俺が食おう。
屋台冷やかしてるだけでも面白いな、随分楽しくやってら。
俺達悪魔なら飛んで上から見下ろすってのもイイ。
サっちゃんは何やりたいよ?
無常・准耶(軽佻浮薄のアムネジア・g01207)の運ぶ歩に合わせて、オーバーコートがなびき、凛々しいシルエットを街景へ刻む。
「イカすだろ?」
黒衣で進む様は、人々の注目の的でもあった。
一方、サティニフィア・ネイバーライト(スゴ腕情報屋・g00008)は、問いに対する返事を探す。
「パレードにでも立ってそうだな。旗とか持って」
行進の頭をゆく准耶の姿は、容易く想像できた。だからサティニフィアが吐息へ笑みを含むと、当の准耶はそんな相手の衣装を眺める。見慣れたキャスケットは、まるで誰かのイタズラかのようにジャック・オ・ランタンのそれと入れ代わっていて。
それだけではない。
襤褸と紙一重のマントが翻るたび、サティニフィアをより大きく見せる。
「決まってるなサッちゃん、似合ってるぜ」
賛辞を送ったところで、ありゃ、と准耶が瞬く。
「それ消したの?」
それ、と彼が目線で示したのは頬の痣――を塗り潰したフェイスペイント。
「いいんだよ、こんなん製造刻印と大差が無ぇんだ」
へえ、と唸る准耶は顎を撫でつつ、平時の彼女を思い浮かべた。見慣れたものが隠れるのは、もどかしいような、そうでないような。定まらぬ心地こそ抱いたものの、准耶は特に深く考えない。
「そのままでもイイと思ったんだけどな」
ただ一言を残し、口の端で笑みを模った准耶は、コツ、と踵で次なる方向を報せる。
好きで付けてる訳じゃねぇし、と喧騒に紛れて呟いたサティニフィアはもすぐさま、彼が向かおうとした屋台の連なりへ意識を寄せる。
「何があるかねー、屋台」
「ハロウィンなんだから南瓜とかじゃねぇの、やっぱ。というかホントはアタシら、サーヴ側?」
人々を楽しませるよりも、自分たちが堪能することに天秤が傾く二人はしかし、気負いもせず眉をあげた。
「まぁ最終人類史がどうたらいうなら、一緒に楽しみゃなんとかなんだろ」
准耶の出した答に、違いないとサティニフィアも笑いを転がす。
そしてサティニフィアの言葉通り、屋台に並ぶ料理の半数近くが、南瓜を使っていた。
「南瓜、南瓜なあ」
一頻り店を確かめた准耶は、中でも珍しいスイーツを発見して、振り返る。
「そーだサっちゃん、甘いものは好きかい?」
尋ねた先でサティニフィアは、南瓜燈とにらめっこをしていた。
「これ、あんたに似てるぜ。面白いもんだな」
「似てるかあ? 俺もっとシュッとしてると思うんだよね。鼻筋とか眼差しとか」
「で、何だっけ。甘いもの?」
適当に流しながら、サティニフィアが話題を戻す。
そこで漸く、ほら、と准耶が手を差し出した。彼の手の平に置かれていたものを見て、サティニフィアはぱちりと瞬ぐ。じいっと彼女を見上げてくるのは――まろやかなオレンジ色のクリームを頬張りすぎて、口を閉じることも許されずにいるブリオッシュ。
ものいいたげなサティニフィアに、准耶は顎で屋台を示した。
「カボトッツォって言うらしい。一つどうだい」
促す准耶に、サティニフィアは眉根を少し寄せる。
「いや、カボトッツォて。……つか、苦手なんだよ……南瓜」
覆い隠すにも限界があるとふんで、サティニフィアは正直に打ち明けた。
「ありゃまあ苦手なら仕方ない」
ひどく残念がるでもなく、わりかし淡々と紡いだは、ならばと自らカボトッツォへかぶりつく。南瓜クリームの奔流によって、言葉を発するのもままならない彼が、優しい甘さを堪能する一方、サティニフィアは喧騒を見渡していた。
「んま」
思わず口を衝いた准耶の感想に、そんなに旨いのかとサティニフィアもどこか訝しげ。
こうして屋台を冷やかしながらのぶらり旅も悪くないが、准耶のまなこはふと四辺を確かめる。
「人多過ぎるし、いっそ飛んで上から見下ろす?」
ようやくクリームを喉へ流しきった准耶が尋ねると、サティニフィアの目線は天へ昇る秋風を追った。
「んー、そうさなぁ」
彼女の双眸も、くるくると天地を行き交うばかり。
デーモン同士、揃って天を翔けてみるのも面白そうではある。
「……アリかもな。空撮じゃない生の様子を眼下に見渡せるんだろ?」
――それはそれは、活気溢れる姿だろうさ。これっぽっちになっちまった世界で。
サティニフィアがそう連ねたものだから、准耶は己の口角にくっついたクリームを指で拭い、舐め取りながらくつくつと笑った。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV5になった!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!
クレイ・ロックウェル
中井駅まで来たら一旦パレードから抜けて
家主(g03901)と食べ歩きをする。
オマエはてっきり出店側だと思ったが食べ歩きなんだな。
言われてみれば俺はここに来て初めての祭りだ。
色々教えてもらえると助かる。
服装はこのまま(吸血鬼仮装)で良いか?
汚れても良い服装に…そういうものか。
承知した。
摩訶不思議なものばかりだ。ハロウィンだな。
どれも美味い。
魔法にかかるのも悪くないな。
酒はこの身体になってからは飲んでいないが弱くはないはずだ。
乾杯。
…そういえばオマエの仮装についてだが
かっこいいともかわいいとも思う。
良く似合っているぞ。
(酒に弱くはないはずだ。顔が赤いのだとしたら、別の理由だ)
アドリブ・連携歓迎
フェリシティ・マーノット
パレードを抜け出して食べ歩きや。
居候(g03894)も一緒に行くで。
祭りやから普段は店をやってへん人等が
店出してるやろ?
色んなもん食べるチャンスや。
それにお前と会ってから初めての祭りやろ。
色んな思い出作りたいねん。
祭りはおめかしして回るもんやで。
俺も狼男で行くしな。
ダークマターとか点滴は俺も初めてやで。
シチューはあったまるなあ。
何や景色が前よりキラキラして見えるわ。
祭りの魔法かもしれへんね。
お、酒や。居候は飲める方?
せやったら乾杯しよ。ハロウィンに乾杯や。
いきなり何やの。酔うてもうたん?めっちゃ顔赤いで?
ふふ、でもありがとうな。
(キラキラして見えるんはお前と一緒やからやろな)
アドリブ・連携歓迎
華やかな行進曲の中心から抜け出した吸血鬼と狼男は、そこかしこで風に揺れる南瓜燈に誘われ、屋台の列へ寄った。
「食べ歩きなんだな」
てっきり出店側だと思っていたと、クレイ・ロックウェル(アーベントロート・g03894)が素直に告げれば、チッチッチとフェリシティ・マーノット(ラココット・g03901)が人差し指を振る。
「甘いで。甘々やで。普段は店やってへん人も、祭やから出してるやろ? つまり……」
「つまり?」
なんとも真剣な眼差しでフェリシティが紡ぐから、クレイもじっと続きを待つ。
「色んなもん食べるチャンスや」
「色んな……」
何が、あるだろうか。クレイは顎を撫でながら思い起こす。
パレードの最中に見渡しただけでも、数えきれない店が並んでいた。焼きそばやたこ焼きというソースの芳香で胃を刺激するものもあれば、パンプキンシチューや南瓜のタルトなどハロウィンらしさで溢れたものもあった気がする。
「それに、お前と会ってから初めての祭りやろ?」
想い出を増やしていきたいとはにかむフェリシティに、クレイは胸底で沸くくすぐったさを覚えた。
二人で迎えたはじめての祭は、たくさんの南瓜たちに見守られながら時を刻んでいく――。
仲間たちが出した店も三者三様。料理という料理を片端から入手すると意気込んで突撃するフェリシティと、胃袋の限度を知った方がいいと止めに入るクレイの応酬は、ディアボロスだけでなく新宿島の人々の視線をも吸い寄せ、楽しませた。
「摩訶不思議なものばかりだ。初の経験ばかりで、驚いてばかりいるな……」
物語に登場しそうな、見た目だけ禍々しいダークマターのシュークリームをクレイはそろりと頬張る。南瓜のシチューで温まってからのひんやりデザートは妙に刺激的で、身体がそれを欲しているのも分かる。
「俺もこんなん初めてやで。さすがにダークマターとか飲む点滴は、そうそう見かけへんし」
二人で過ごすはじめての祭は、はじめての食べ物に囲われながら過ごすひとときとなっていた。それがなぜか可笑しくて――フェリシティは手元に落としていた目線を持ち上げる。ぱちり。まばたきひとつしてから首を傾ぎ、今度は目許をこすってからハロウィンの光景を確かめた。
そんな家主の仕種を、クレイが不思議そうに見つめる。どうかしたか、と問うより先にフェリシティが口を開いた。
「んー。なんやろ、周りキラキラしてへん?」
「キラキラ……?」
くるくると忙しなく瞳を動かすフェリシティ本人も、事態が把握できていないようだ。
少し考えたあと、彼女は頭上に連なるジャック・オ・ランタンたちと目を合わせた。
「祭の魔法かもしれへんね、ふふ」
小さく笑ったフェリシティの一言で、クレイもいつしか吐息を緩めて。
「魔法か。魔法にかかるのも悪くないな」
もしかしたらと、クレイも彼女の真似をしてみる。ゆっくり瞼を閉ざし、押し上げて。
――ふと、おもう。
けれどかぶりを振って、クレイは屋台で揃えた飲食物の群れから、冷えた瓶を一本掴む。
それに気付いたフェリシティが、身を乗り出す。
「お、居候は飲める方?」
顔を覗き込まれたクレイは、暫し言葉を選ぶように沈黙してから。
「この身体になってからは飲んでいないが……弱くはないはずだ」
「そか。せやったら乾杯しよ」
クレイがボトルを選んだから、フェリシティは滑らかな玻璃が麗しいグラスを二つ選ぶ。
注げばとくとくと小気味よい音を奏でて、ハロウィンカラーの酒が踊り出す。
まもなく掲げたグラスは互いを映し、乾杯の合図で傾けられた。
パレードと屋台巡りで使った体力も、この一杯で癒されるようで。
「……そういえば」
長めの溜めを置いてから、クレイが呟く。
「オマエの仮装についてだが、かっこいいともかわいいとも思う」
「いきなり何やの」
「良く似合っていると……それを伝えておこうと思っただけだ」
思っただけ、と言い訳めいた響きを並べておきながら。喉が熱いとクレイは感じる。
一瞥すればそこには、きらきらと笑うフェリシティの姿が絶対にあるから、尚更。
「酔うてもうたん? ふふ、でも……ありがとな」
そして礼を告げるフェリシティの声色も、彼が見たものと同じ輝きを知っているかのように、ほんのり美酒の香を孕んで、溶けていった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【修復加速】LV1が発生!
【プラチナチケット】がLV3になった!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV7になった!
本郷・夏深
【桜狼会】3人で
団長の若が任侠道をアピールすべく煎餅を配るというので手伝いますけど
煎餅と任侠って繋がる事のない点と点のような気がする
まあ何でもいいか!
適当に吸血鬼の仮装で臨みます
任侠の黒スーツと似てる気がしないでもないので
客寄せの心配は無用。私は性格だけでなく顔も良いのでね
それとサーヴァントのえだまめを解き放っておきます
これで千客万来ですよ!
あ、かぼちゃ煎餅に模様をつけましょう
ジャック・オー・ランタンの顔の形に切った海苔を貼りつけて…
どうですか、この恵まれしカフカの類稀なる技術とセンス!
は?若よりも私の方が圧倒的に優れ過ぎてて泣く子も更に泣くレベルですけど(張り合う)
水波さんのは…うわ、ヤッバ
姫桜・水波
【桜狼会】3人で
弟のちーくんが煎餅屋台をやるので一緒に
お姉ちゃんがしっかりサポートするよっ
せっかくなので可愛い魔女っ子仮装
黒いフレアスカートに魔女の帽子やマントにオレンジ色の花を飾って
可愛いく
子どもたちに笑顔を振りまいて
二人の犬男も黒マントも可愛いよ!
お煎餅はハロウィンぽく可愛いジャックオーランタンとかをアイシングで描く!
(かなり不器用)
ピンクや黄色で可愛…く…?
(なんだかおどろおどろしい絵が出来上がった)
…うん!ハロウィンっぽい!かわいい!(強引に)
でも食べる人が自分で描いてもらうのがいい!
いやむしろそのままのお煎餅がおいしいかもね!
ほら、ちーくんも、夏深も張り合ってないで煎餅焼いてこ!
姫桜・千蒼
【桜狼会】の3人
俺たち桜狼会はいわゆる任侠道を貫く者たちで構成された極道集団だが、
女性や子供たち、そして動物には優しい旅団であるとアピールすべく、
煎餅屋台を出店して子供たちに焼き立ての煎餅を配ろうじゃないか
それが若頭である俺の矜持だ!
黒い狼耳、黒い尻尾そして肉球グローブを履いて、知的クールな狼男の仮装をして煎餅を焼こう
ジャック・オー・ランタン型のかぼちゃ煎餅を焼いて行く
さすが煎餅マスターの俺、子供たちに楽しんでもらえるよう最高のパフォーマンスで煎餅をプレゼントしよう
カフカのやつ、えだまめで子供たちを釣りやがって
だが煎餅のセンスは悪くはない、俺より劣るけど(張り合う)
でも姉貴の煎餅はちょっと…
任侠道。それは、弱きを助け強きを挫く者たちの歩む道。
桜狼会の三名もまた、荊の道たる任侠の世界で生きる者たちであった。
「若、詰まるところやはり今日は」
本郷・夏深(逢魔が夏・g00583)の声が暗がりに響く。
すると若と呼ばれた姫桜・千蒼(煎餅屋・g01746)が、ゆっくり頷いて。
「ああそうだ。ハロウィンとかいう異国からの文化が、このシマを支配しているなら」
「今こそが書き入れ時だね」
連ねた姫桜・水波(天使のカースブレイド・g01704)の声は、静かに交わし会う二人よりもやや大きく響く。誰に聞かれて困るでもない、内密な話。
よし、と膝を叩いた千蒼が立ち上がるや、かれら三人の視界には橙色の輝きが飛び込んでくる。眩しいと感じると同時、世界が開けた。
「見せてやろうじゃねぇか。俺たちの道ってやつをよ!」
宣言と共に千蒼の両の手にあるのは――黒い軍手。
勇ましい掛け声をあげ、彼が一回り大きくなった両手で何を見せるかと言えば。
「さあさ焼きたて煎餅はいかがでしょうか? いかがでしょうねえ」
夏深の声が往来に転がる。あまり喉を開いていないのは、客寄せをするつもりがないからか。
「ふふ、私は性格だけでなく顔も良いのでね。ここで屋台に物憂げに凭かかっているだけで、婦女子の視線を集め、男子からも憧憬の眼差しを浴び、幼子たちからは赤間ってほしいアピールをされてしまうのですよ。そういう訳ですので、えだまめ、お子さん方にじゃれついてくださいね」
「わうっ!」
返事ひとつでえだまめは、行き交う島民の中から犬と遊びたがる子たちを引き連れてきた。
「ほらご覧なさい、これで千客万来ですよ!」
「狡っ」
手焼きで煎餅をひっくり返しながら、千蒼が呟く。
難しげな顔になったからか、途端に水波がガシッと弟の手を掴んだ。
「安心してちーくん、お姉ちゃんがサポートするからね、しっかりとっ」
「姉貴焦げる焦げる」
弟の瞳だけを見つめて云いきった水波には、その弟に裏返してもらうのを待ち続ける煎餅の気持ちも伝わらない。しかしそんな姉の言動に慣れているのか、千蒼は闇に溶けそうな黒い狼耳やしっぽを揺らしつつ、あつあつの煎餅で塔を築いていった。
テッペンまで、あと少し。もう少し。ぞくりと込み上げる興奮と、来たる達成感を想像して千蒼のスピードは更に加速する。
そして、熱気渦巻く屋台ゆえか、煎餅を手渡す水波のスカートのフレアが踊れば、店の前に並んだ行列がざわつく。
「はい、どうぞっ」
「ありがとうおねーちゃん!」
子どもたちからもきらきらと混じり気のないまなこを集め、水波は笑顔と心を振り撒いた。眩しいその笑顔に惹かれた男子学生らが、行列で頬を染めている。そんな来客があればもちろん、水波が接客しない筈もなく。
「次の人には、わたしからこれ! アイシングで描いてみたよ、どうかな?」
期待に満ちた眼差しで、水波は男子学生たちからの返答を待つ。
彼女から直接かぼちゃ煎餅を受け取れて、すでに満悦そうな学生にとって、たとえどんなにアイシングがおどろおどろしくとも、もはや関係のないこと。
「す、す、すごく素敵です!」
「うん! ハロウィンっぽくてかわいいよね!」
「言うまでもなくッ!!」
水波の一声に向こうが大声で応じるという、ちょっと不思議な光景が繰り広げられた。
「姉貴……」
煎餅を焼く弟の、なんとも複雑そうな視線がそれを捉える。
「いやでも姉貴の煎餅はちょっと……」
「ちょっと? ちょっとって何ちーくん?」
ひょいと水波作の煎餅を覗き込んだ夏深も。
「うわ、ヤッバ」
意図せず本心を漏らした。その表情を見れば、どれだけ凄惨な画なのか知れる。
「すみませーん、おせんべくださーい」
「やあお嬢さん、私に会えた喜びを噛み締めつつ煎餅を頬張ると良いですよ」
はたから見ると忙しなくも見える吸血鬼だが、その動作は可憐で、雅やかで、あと多分しなやか。
だからか集まった女性他一部男性の殆どは、屋台前に立つ夏深に心奪われている。
かっこいいー、なんて黄色い悲鳴も聞こえてくる程に。
「どうですか、この恵まれしカフカの類稀なる技術とセンス!」
「すごいです夏深様!」
「いよっ、さっすがディアボロス!」
「賛辞を浴びるのは当然ですよね、あ、お次も煎餅に顔をつけましょう」
ぺたぺたと海苔を切ってつくったジャック・オー・ランタンを煎餅へ貼付けて、売上に貢献する。
同じ頃若頭は、ひたすら煎餅を焼き、裏返し、積み上げては飛び越えさせて客の手へ着地させていた。
千蒼だからこそできる技だろう。
「さすが煎餅マスターの俺」
ちらと他二人の煎餅つくりを認め、千蒼は片頬をもたげた。
「あっちも煎餅のセンスは悪くはない。……俺より劣るけど」
「は?」
聞き捨てならないとばかりに、先ほどより低い声が響く。
「若よりも私の方が圧倒的に優れ過ぎてて泣く子も更に泣くレベルですけど」
「ほら、ちーくんも夏深も、張り合ってないで煎餅焼いてこ! お客さん待っているよ!」
水波が気を逸らすために、軽く両者の肩を叩けば。
「「あっ」」
「あーっ! 俺の塔が……ッ」
千蒼の積み上げた煎餅タワーは、盛大にバランスを崩してしまった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
【飛翔】がLV6になった!
効果2【アヴォイド】がLV2になった!
【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV8になった!