🍁最終人類史の秋祭り2024
今年も秋祭りの季節がやってきました。
最終人類史に奪還し、人々が帰還した多くの地域で、秋祭りを実行しましょう。
奪還した日本の地域に加え、オーストラリアをはじめとした国々でも、地域の住民がディアボロスと一緒に楽しもうと秋祭りを開催してくれているようです。
最終人類史の人々と共に、秋祭りを堪能しましょう。
!🍁秋祭りアイコンフレーム!
このシナリオでプレイングが採用された方(トレインチケット含)は、秋祭りアイコンフレームをゲットできます!
デザインは
こちらをご確認ください。
そろそろお寿司を食べましょう(作者 秋月きり)
#最終人類史(新宿島)
#🍁最終人類史の秋祭り2024
#🍁秋祭り2024
⊕
タグの編集
現在は作者のみ編集可能です。
🔒公式タグは編集できません。
|
🔒
#最終人類史(新宿島)
|
🔒
#🍁最終人類史の秋祭り2024
|
🔒
#🍁秋祭り2024
|
「そろそろ秋祭りの季節ですね」
センチメンタルな表情でそう呟く淑女の姿があった。感傷的な表情とは裏腹に、しかし、その姿は秋祭りの衣装である浴衣に包まれていた。表情と外見のテンションが一致しない彼女の名前は、シルシュ・エヌマエリシュ(ドラゴニアンのガジェッティア・g03182)。復讐者達を事件へと導く時先案内人の一人だった。
「はい。そう言う訳で、秋祭りの季節です。今年は奪還した日本各地だけでなく、オーストラリアなどでも秋祭りが開催されるみたいですね」
正確に言えば、今のオーストラリアの季節は春だが、細かいことはいいんだよ、の精神で振り払う。ともあれ、暑さも和らいできた昨今、浴衣で祭りを楽しむのには最適な季節がやって来たのだ。
「最終人類史の一般人の方々は、皆様と秋祭りを一緒に過ごせることを期待しています。その為、宜しければ秋祭りに参加して楽しんで頂ければ幸いなのです」
復讐者達が共に居てくれると言う事実は、人々に安心感を与え、より強い応援を得られるだろう。
そうした人々の心は、歴史の奪還戦に於ける皆の力ともなる。
――と言う打算的な考えは置いておいても、秋祭りを楽しむのは良いことだ。
歴史侵略者の脅威に晒される昨今、それに立ち向かう復讐者は一般人達の、言わばアイドル的存在である。そんな皆を身近に感じられるイベントは、それだけで人々の気持ちを和らげ、潤してくれるに違いないのだ。
無論、それは復讐者側にも言えた。
「お祭りによってはより楽しい物になるように皆様のお力をお借りしたい、と言うのもあります。詳しくはそれぞれのお祭り情報を確認して下さい」
以上が、時先案内人としての責務なのだろう。シルシュは読み上げるようにその文言を復讐者達へ告げたのだった。
「今回、私が紹介するのは、東京都は墨田区で開催される『秋寿司祭り』ですね」
東京都墨田区は江戸前寿司発祥の地(諸説在り)と言う事もあり、此度、寿司祭りが開催される運びとなったようだ。
因みに秋寿司と銘を打っているが、オーストラリアや中国・欧州奪還地域からの輸入、はたまた《刻逆》以前より保存されていた冷凍物などもネタに持ち寄るそうなので、秋の旬以外も多く出揃いそうだ、と彼女はクスリと笑みを浮かべた。
「本当なら、私のシャリ玉くん7号が火を噴く筈だったのですが……。あ。シャリ玉くん7号というのはですね。業務用寿司ロボットを家庭用に落とし込んだ所謂廉価版なのですけど、それでもプロ顔負けの、口に含んだ瞬間、ふんわりと解け、ネタと一体化する所謂握りと言うよりも結ぶと言う感じの握りを目指し、そして企業努力によって成功した寿司ロボットでして、しかも1時間に1000貫以上の」
凄く早口だった。真顔なのが彼女の本気度合いを語っていた。
其処までを語り終えた後、シルシュはコホンと空咳を打つ。そして、言った。
「とまぁ、その筈でしたが、折角ディアボロスさんに食べて貰えるんなら、あっしらが握りやしょう、と老舗お寿司屋さんの職人さん達が乗り気になっちゃいましてね」
結果、小規模だったはずのお寿司祭りが結構な大規模になり、リーズナブルにお寿司を楽しめるイベントとなったようだ。復讐者様々であった。
「と言う訳で、秋に相応しい鰹、鮭、イクラにサンマ、サバやカワハギ、等々から、マグロや鯛、海老や蟹と言ったオーソドックスなお寿司も楽しむ事が出来ます」
あれ? いま、『も』って言った?
復讐者の指摘に、シルシュは微苦笑を浮かべる。
「ええっと。実は、『折角の祭りなんだから』って、皆さん、張り切っちゃって、なんか色々変わり種なお寿司も用意されるようなんです」
普段お店では食べないであろう納豆巻きやらも、職人さんの本気度合いが見える逸品が出るようだ。
それだけではない。ハンバーグやら肉寿司、挙げ句に『あるもんは何でも寿司にしちゃおうぜ』ぐらいのノリと勢いの寿司も出るようだ。いくら復讐者達を楽しませようとは言え、やり過ぎではないかと思うが、まあ、皆が楽しめれば良いだろう。多分、きっと。
「あ、お酒とかは成年の方限定です。幾らお祭りだからって、羽目を外し過ぎちゃ駄目ですよ」
人々は復讐者達の行動を見守っている。当然、それらは全て善意から為るものだが、それ故、幻滅させる事態は避けねばならないのだ。
「あ、忘れていました。お祭りのコンセプトは『浴衣姿で楽しむお寿司』だそうなので、浴衣着用は忘れないで下さいね」
復讐者と一般人。皆が一体となって楽しめば、最終人類史に連帯感が生まれる。
それこそが、祭りで得る最大の報酬となるだろう。
「帰還が行われたばかりのヨーロッパでは、秋のフェスタも行われているようなので、興味があれば、そちらも確認して見て下さいね」
日々涼しさが増す昨今。
貴方はどの様に過ごすだろう。
その一役を買えればいいな、と時先案内人は人懐っこい笑みを浮かべていた。
「お寿司美味しいね」
親子連れだろうか。祭り会場の一角に腰を下ろし、舌鼓打つ家族の姿があった。幼い子供は屈託ない笑顔を浮かべ、それを見守る父母は幸せそうに微笑んでいる。
美味しいご飯と楽しく笑う家族の団らん。そしてお祭り。それが揃う今、幸せ以外の何者でもないと人々は語るようであった。
「そう言えば、このお祭り、ディアボロスさんが来るんだよね。どんな人達かなぁ……」
まるで偶像に恋い焦がれる信徒の如き子供の言葉に、父親は笑い、その頭をポンポンと撫でる。
「みんなの為に戦う人達だ。とても素敵な人達に決まっているだろう?」
「会えたら『いつもありがとう』って言うんだよね?」
母親の言葉に、子供はこくりと頷く。
「早く来ないかな。ディアボロスさん……」
次のお寿司を頬張りながら、そして彼らは目を細め、遠くへと視線を送るのであった。
リプレイ
ア・ンデレ
【魔王軍】
「すべてのすしをくらうもの、アンデレちゃんがきた!とりあえずメニューのここからここまでぜんぶ!」
アンデレちゃんは大食で悪食で暴食だ。
アンデレちゃんは全ての寿司を食らうつもりで来た。
とりあえず挨拶がわりにメニューに載っている寿司を全種類注文。
出された寿司は一瞬のうちに消え去る。
一般人はアンデレちゃんが食べたということにすら気づかない速さだ。
「どんどんもってきてよ!」
メニューにある寿司を全て食べたら、闇の時間の始まりだ。
メニューに載っていない変わり種、ゲテモノ、思い付いたものを全て寿司にしてもらう。
綿飴寿司、シュークリーム寿司、ブルーチーズ寿司、くさや寿司、カブトムシ寿司。
食べられるものはなんでも笑顔で食べる。食べられないものも食べる。
「ミルルちゃん、ぜんぜんたべてないじゃん!」
小さなミルルちゃんにいっぱい食べて大きくなってほしい。
ミルルちゃんの口に綿飴寿司やシュークリーム寿司を詰め込んであげる。
甘くて美味しいだろうという善意100%。
ニコニコ笑顔でぎゅうぎゅうと口の中に押し込む。
吉音・久美
【魔王軍】
アドリブ連携歓迎
口調は常に変わるので好きに描写して問題ありません
天使、降臨……(遠くを眺める子供の視線の先で七色の炎を吹き出しながら降臨する)
してお寿司が食べられるらしいですよ皆さん、魔王軍はお財布事情が厳しいのでお安くして頂けると幸いなのです
いや待て、久美ちゃんが自分で作れば人件費が削減できてお安くできるのでは?だが久美ちゃんにお寿司を握ることができるだろうか……できらぁ!
という事でパラドクスの力も借りてレッツ寿司エンジョイ!口福の伝道者を使えばよい?あたたか味がないでござるよそれは
食べ物は無駄にはできないので料理は真剣丁寧に行いまする、伊達にフードフェスティバルの依頼で初登場してはいませんわよ
この日の気温湿度を考えて米を炊き、手のひらから伝わる体温でネタが油っぽくならないよう素早く握る!力は強すぎず弱すぎずシャリがふわっと集まるように!
完成、久美ちゃん特製寿司じゃ!
魔王軍の皆もそこの家族連れの皆さんもお召し上がりどうぞ。お礼なんていらねえぜ、皆の笑顔が報酬さとか言ってみる
吉音・宮美
【魔王軍】
アドリブ連携歓迎
お寿司なんて久しぶりですねえ、すいません季節のもので五貫ほど……ってうわあ!?なんか混沌としてきてる!?
アンデレさん駄目ですって!カブトムシ食べるのは子どもの夢壊れますって!久美は寿司を光らせ……てない、普通に作ってる、珍しい……いや勝手に厨房立ってるだけでもだいぶアウトな気もするけど
一応アンデレさんを静止はしますがそれで止まるかはわかりませんし……さすがにちょっと職人さん達が可哀想なので私は普通にお寿司を頼みましょう、今の時期だと戻り鰹、秋刀魚に鮍辺りですかね?あと二つ適当にお願いします
それとせっかくのお祭りですし、飲んじゃいますか!すいません日本酒冷やで一つお願いします!決して隣の惨状から目を逸らしたいとかそういうわけではありませんええ……とりあえずミルルさんが本当に限界そうだったら手助けしましょう
ミルル・ドラゴノーツ
【魔王軍】
アドリブ歓迎
なんじゃ、「しゃり玉くん7号」とは!!!訳のわからぬもの出してくるでない!!……いや、早速もう寿司屋が混沌としてきてるではないか!!わ、我の軍団員がすまぬ……すまぬのじゃ、ちと寿司とやらを食べに来ただけでの……懐事情は怪しいがとりあえず、お勧めでいくつか……。久美殿いつの間に寿司職人になったのじゃ!?アンデレ殿我もう入らぬ!!無理に詰め込むんじゃないのじゃ!?!?
異世界出身の龍のため、生食には慣れてますが、寿司というものは全く知らないミルル。魔王軍の仲間に誘われて来たようです。普段ツッコミ気質の彼女ですが、既に魔王軍の人たちの簡単具合にツッコミ全開なようで……、疲れたけど楽しいひと時を期待してます。
地鉛・要
【魔王軍】アドリブ連携可
回転寿司は偶に行くが、こういう寿司は久しぶりだな……おすすめと変わりモノを10貫くらいもらえるかな?
カブトムシはやめときな。せめて飾り野菜の偽物にしときな……
アンデレちゃんとミルルの戯れは見守る感じで眺めてようかな。
久美の寿司は……まあ、宮美かミルルが頑張って食べるだろうな。姉と四天王だし。
うん、お寿司も美味しいし俺もお酒を飲もう。芋焼酎一杯貰えるか?
ああ、美味しい寿司に美味しいお酒。幸せな事だ……
「すべてのすしをくらうもの、アンデレちゃんがきた! とりあえずメニューのここからここまでぜんぶ!」
最終人類史、新宿島、墨田区。
賑わう祭り会場に、復讐者達の集団が舞い降りた。
先の台詞はア・ンデレ(すごいぞアンデレちゃん・g01601)によるもの。即ち、【魔王軍】の一団であった。
「天使、降臨……」
七色の炎を吹き出しながら、吉音・久美(未来はここから始まる・g09562)もまた、ふわりと降臨する。遠巻きに見守る子ども達に手を振れば、にぱりとした笑顔が返ってくる。復讐者ブランド様々――否、これは久美が魅力的な女子である証左なのだろう。柔らかい笑顔に子ども達が憧憬の視線を示すのが、何よりの証拠だ。多分きっとそう。
因みに、先のアの台詞通り、【魔王軍】の目当ては寿司であった。
久美曰く。
「してお寿司が食べられるらしいですよ皆さん、魔王軍はお財布事情が厳しいのでお安くして頂けると幸いなのです!」
此度の墨田区で開催される『秋寿司祭り』はリーズナブルで美味しい寿司が沢山食べられると言う。
だが、それでも尚、魔王軍の懐事情は厳しい。
ならば――。
(「いや待て、久美ちゃんが自分で作れば人件費が削減できてお安くできるのでは? だが久美ちゃんにお寿司を握ることができるだろうか……」)
「――できらぁ!」
「何故そこでシャリ玉くん7号を使おうと言う発想にならないんですか?!」
肥満体型の中学生男子宜しく叫ぶ久美に、思わず入る突っ込みがあった。
物凄い勢いで飛び込んできた時先案内人、シルシュ・エヌマエリシュ(ドラゴニアンのガジェッティア・g03182)であった。なお、魔王軍とは無関係の一般人である。
「なんじゃ、『しゃり玉くん7号』とは!!! 訳のわからぬもの出してくるでない!!」
そんな叫びをミルル・ドラゴノーツ(魔王軍四天王「知将のミルル」・g08848)は一蹴する。流石は魔王軍の知将であった。判らない物は認めない。そんな風格に溢れていた。
「あ、シャリ玉くん7号と言うのはですね。聞くも涙語るも涙。ええ。味の追求に妥協しない技術者さんの血と汗と涙とその他諸々が溢れ出た寿司ロボットの名前でして、あ、そうですね。そもそも寿司ロボットの歴史を紐解けば――」
「お寿司なんて久しぶりですねえ、すいません季節のもので五貫ほど下さい」
「回転寿司は偶に行くが、こういう寿司は久しぶりだな……おすすめと変わりモノを10貫くらいもらえるかな?」
なんか語り出した時先案内人と巻き込まれたミルルを放置し、吉音・宮美(限界ギリギリ狐娘・g06261)と地鉛・要(微睡む双翼・g00242)はマイペースに屋台へ駆け込む。
続くアも、むしろ屋台を奪おうと言う気概すら見せる久美も腹ごしらえにと、まずは普通の寿司を堪能することにした。
「いやまて、早速もう寿司屋が混沌としてきてるではないか!! わ、我の軍団員がすまぬ……すまぬのじゃ、ちと寿司とやらを食べに来ただけでの……」
「それでですね。アーム部分を改良してぎゅっと押し潰す形からふんわり柔らかに……ってミルル様? 聞いています?! ちょっとダイジェストに語りすぎましたね。ええ、ならば更に語らねば為りますまい!!」
確かに混沌としてきた一角から一同は視線を逸らし、そして、思い思いの食事に手を伸ばすのであった。
最初に出てきたのは美しさすら感じる白身の魚であった。口の中でシャリが解ける様は、まさしく一級品。プロフェッショナルの業であった。
「うん。美味い。白身も美味いが、一緒に食べる醤油も美味いな。これは……肝醤油か?」
「へい。カワハギの良いのが入ったので、これはディアボロスの皆さんに食して貰おうと、用意させて頂いたんでさぁ」
包丁を拭い、次の寿司を用意する親父に、要は目を細めながら頷いた。成る程。良い仕事をしてくれるようだ。
「はぁ。寿司も美味いが、酒も美味い。芋焼酎があう……」
キリッと洗練した味が舌を洗い流し、喉の奥から湧き出る酒精が仄かに心地良い。とても良い焼酎であった。流石は老舗が供する屋台。酒もまた一級品であった。
「そうですね! 折角のお祭りですし、飲んじゃいますか! すいません日本酒冷やで一つお願いします!」
「へぇ。お任せ下さい。あと、此方もどうぞ」
返す刀とばりに宮美へ差し出されたのは赤く輝く寿司と、対照的に皮目見える薄朱色の寿司であった。
(「この時期だと戻り鰹、それと秋刀魚でしょうか。……美味しい!」)
さくりと歯応えすら感じる身の厚みはむしろ心地良く、芳香じみた香りは宮美の鼻腔を擽る。まさしく肉とも呼べる風貌の赤身魚は、しかし、皮を炙ると言う一手間で、より洗練された味になっている。美味しかった。
時期的な問題だろうか。近年は大衆魚とは名ばかりに少しずつ高級魚と化してきた秋の風物詩な魚は、しかし、その強すぎない脂こそが今は美味いのだと訴えかけてくるようであった。美味しかった。
「はふぅ。幸せですねぇ」
合わせる日本酒もまた、心地よさに拍車を掛けてくれる。
復讐者故、酒精にやられることは無いが、逆を言えば、適度に酔うことは可能。ふっくらとした米の甘みで舌を潤しながら、程よい酸味の寿司と共に喉を通過。嚥下に至ればもはや、口内が幸福――否、口福で溢れていた。
ちなみにその隣で、アがブラックホール宜しく、大量の寿司を消費していた。一瞬で消えていく寿司の数々に、しかし、魔王軍一同は目を細めて見守るのみだ。
そう。彼ら彼女らは知っている。
本当の混沌は、これからだと言うことを。
「開幕早々酷い目にあったのじゃ。……我も寿司を堪能したく……おや? 久美殿いつの間に寿司職人になったのじゃ!?」
ようやく解放されたのか。
ふらふらと席に着いたミルルを待ち構えていたのは、何故かカウンターの向こうに立つ仲間――久美の姿であった。
よく見れば、高貴な顔立ちをした時先案内人が、カウンターの寿司職人を避難誘導している。遠巻きに復讐者達を見守る人々と、【魔王軍】が居座る屋台との間に薄い皮膜のような何かを感じるのは――ああ、成る程。【平穏結界】か。となんと無しに認識してしまう。この新宿島内で【残留効果】を使えば、全て10レベルになるし、つまり、ここから300m程離れた場所で、誰かが使ったのだろうな、と理解した。
流石は知将。頭の回転は速かった。
(「のっけから、時先案内人と遭遇するのも変と思っていたのじゃが……」)
当初より説明があった。秋祭りに復讐者が参加するのは、一般人との連携を高める事が目的だと。つまり、復讐者達の活動の広報も兼ねている訳だ。
「と言う訳で! ここからは久美ちゃんがパラドクスの力も借りてレッツ寿司エンジョイ!」
ミルルの思考は、しかし、ハイテンションな久美の声によって掻き消される。
そうだ。ともあれ今はこの時を楽しまなければならない。それには何より――。
「え? 口福の伝道者を使えばよい? あたたか味がないでござるよそれは」
「いま『パラドクスの力も借りて』って言ったばかりじゃろう?!!」
今のミルルの仕事は、混沌とかしていく仲間達に突っ込みを入れることだ。
ちなみにそんな事を言いながらも、久美が持ち込んだパラドクス『FINAL久美ちゃんクッキング!!!!』の残留効果1は【口福の伝道者】である。何処まで突っ込めば良いのかと思案する傍から、久美曰く『久美ちゃん特製寿司』が完成していく。
「……さあ、御堪能あれ!」
「むむ。――なんとまあ!」
言われるがままに久美ちゃん特製寿司を口に運んだミルルは、感嘆の声を上げてしまった。
素人寿司職人の手習い程度かと思いきや、シャリは適度な弾力で口の中に味を広げてくる。ネタが心地良いまでに冷たいのは、久美が素早く握り上げた為か。しかし、その握りも押しつけるほどに強くも無ければ、即座に崩れると言った弱さもない。まさしくこれは――。
「完璧な寿司、じゃ……」
「てか、ミルル。お前、寿司、食べるの初めてだったんじゃないのか……。あ、美味い」
要の突っ込みを甘んじて受けながら、ミルルは久美ちゃん特製寿司を堪能していく。この一皿に久美の職人芸が全て込められていた。斯くも寿司とは美味しい食べ物なのか、と思い知らされてしまう。
「久美の寿司が光って……いや、光ってないけど光ってる?!」
これは久美の姉である宮美の驚嘆であった。確かに妹の寿司は美味しかった。普通に作っているのが珍しい、とも思うし、それが美味なのはもっと良いとも思う。思うのだが。
(「いや、勝手に厨房立ってるだけでもだいぶアウトな気もするけど」)
アウトだが、まあ、用意された舞台だ。楽しんだ者勝ちなのだろう。きっと。
日本酒の酒精を脳に受けながら、宮美は思考を放棄することにした。問題があれば誰かが飛び込んでくるだろうし、周囲が限界になれば手助けすれば良い。そう思い、寿司とお酒を堪能していく。
つまり――宮美は惨状から目を逸らしたのであった。懸命な判断であった。
「うまうま。うーまーいーぞー」
その傍らでアが出来上がる傍から吸い込む――もとい、食べていくが、まあ、それも幸せな光景だ。
まだ混沌に染まりきらない会場で、ミルルは寿司と共に幸せを噛みしめていた。
――そう。其処までは幸せな光景だったのだ。
「というわけで久美ちゃん。もっとすしをにぎって。えっと、わたあめ、シュークリーム、ブルーチーズ、くさやにかぶとむし!」
アの言葉にぶっと一同が色々吹き出す。
マジか、と誰かが言った。
止めなきゃ、と誰かが言った。
だが、誰も止めるプレイングを書いていなかった。結果、止まらなかった。
「え? この流れでゲテモノ寿司を?!」
何とか紡いだ久美の抵抗も、しかし。
「できないの?」
「……出来らぁ!」
アの言葉に、売り言葉に買い言葉とばかりに反論してしまう。
なお、この後に同じ台詞を二度口走ったりしたが、まあ、おそらく彼女なりに錯乱していたのだろう。多分。
「……この流れでゲテモノ寿司を?」
「カブトムシはやめときな。せめて飾り野菜の偽物にしときな……」
申し訳程度に要の制止が入ったが、しかし、それで止まる一同では無かった。斯くして、【魔王軍】の寿司紀行は混沌の渦へと墜とされていくのであった――。
「ミルルちゃん、ぜんぜんたべてないじゃん!」
「アンデレ殿我もう入らぬ!! 無理に詰め込むんじゃないのじゃ!?!?」
その光景はまさしく魔王軍であった。いや、魔王軍が聞いたら地上を滅ぼしそうな勢いで激怒しそうだったが、しかし、魔王軍と評するしかなかった。つまり、混沌としていた。
ミルルの口に綿飴寿司やシュークリーム寿司を押し込むアと言う光景を、皆は戯れと見守りながら、肴にしている。
まさしく地獄への道は善意で舗装されている、の様な光景であった。和気藹々と地獄は紙一重と感じさせる光景でもあった。
「ま、まあ、カブトムシじゃないからいいのかな……?」
幸い、時先案内人が事前に敷いたであろう【平穏結界】のお陰で、見守る子ども達は異変に気付いていないし、と宮美は現実逃避を続ける。子供の夢が壊れなければそれで良いと、制止は諦めたのだ。むしろ残留効果凄ぇと思いながら、それも肴にすることにした。
「ま、美味しい寿司に美味しいお酒。幸せな事だ……」
感嘆の言葉を零す要に同意し、頷きながら寿司を口に運んでは、日本酒を傾ける。
因みに寿司は先程、別の屋台から時先案内人に配達して貰った。なははと笑いながら羽根だとか髪だとか振り乱しながら、駆ける姿は少しだけ微笑ましかった。ともあれ、アフターケアもバッチリであった。
「おっと。そこの家族連れの皆さんもお召し上がりどうぞ」
混沌とした仲間達を【平穏結界】の中に置いてけぼりにして、久美は周囲の人々へ寿司を振る舞う。その心意気に、人々は目を輝かせ、感謝の言葉を口にした。
「お礼なんていらねえぜ、皆の笑顔が報酬さ」
そんな粋な台詞と共に振りまかれた笑顔は、きっと、一般人達を虜にし、復讐者達を推しにする人々を増やしただろう。
そう。久美達の活動は、一定の成果を得ていた。確かにこの日この時、一般人と復讐者達とで連帯感が生まれた。おそらく、それは間違いなかった。
「……何でじゃ?! 誰か?! あああっ?!」
【平穏結界】の中の惨事さえ目を瞑れば。
そんな【魔王軍】達による賑やかしくも楽しい夜は、ゆるりと更けていくのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV2が発生!
【水源】LV1が発生!
【建物復元】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV2が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
音無・サカハ
アドリブ歓迎
凪ちゃん(g00667)と一緒
寿司デート…うん、これもこれでありだね、悪くないね。
普段は寿司とかあんまり食べてないから、これはこれで新鮮って感じ。
食べたい寿司とか、おすすめの寿司とかある?凪ちゃん。
俺はこういうのあんまり食べていないから…まずは一緒に、ゆっくりで食べよう。
でも俺はーーちょっとだけ邪道ネタに行きたいな...面白そうだしな、邪道ネタたち。ハンバーグ寿司とか、食べたいぜ。
柳谷・凪
音無・サカハ(g10149)と参加
アドリブ歓迎
「お寿司食べ放題とか夢みたいなんだよ。」
鮭にイクラにカワハギ、ノドグロや貝類をいただくんだよ。
「サカハちゃんは好きなネタ何かな?」
「邪道ネタ・・・トロピカル巻き?カリフォルニアロールとかかな?」
何やら賑やかだった大通りを外れ、小脇の道にも屋台は広がっていた。
そんな秋寿司小道とも言うべき道を歩きながら、音無・サカハ(若き流星・g10149)は柳谷・凪(お気楽極楽あーぱー娘・g00667)に問うのだ。
「食べたい寿司とか、おすすめの寿司とかある? 凪ちゃん」
俺はこういうのあんまり食べていないから……まずは一緒に、ゆっくりで食べよう。
そう紡ぐサカハの表情は柔らかく、優しく。
「お寿司食べ放題とか、夢みたいなんだよ」
凪は目を輝かせたまま、その視線は色々な屋台を行ったり来たりしている。
鮭。ピンク色の身が蠱惑的に、官能的に二人を誘ってくれる。
イクラ。軍艦の上に鎮座するそれは、正に宝石のように輝いていた。
凪が目移りするのも仕方ないな、とサカハは笑う。職人の腕に寄る物なのか。それとも、そもそも握り寿司と言う食べ物がそういう物なのか。
何れも是もが美味しそうに自分達を誘惑している。じゅるりと涎を拭う様は、おそらく本気で欲しているが故であった。
「サカハちゃんは好きなネタ何かな?」
白いカワハギの握りも、黒い軍艦の上に聳える肝も、圧倒的な存在感を主張している。
そして、その横に並ぶのどぐろの炙り寿司と来たら! ただでさえ見目麗しい白身魚が、皮目にパリッと灼かれ、香ばしい匂いを漂わせている。とろりと零れ落ちる脂は、きっと舌と口腔を魅了して止まないだろう。
「でも俺は……」
美味しいお寿司も良いけれど。
二人で屋台に並ぶ寿司達を堪能しながら、しかし、サカハはふふりと悪戯っぽい表情を形成した。
「ちょっとだけ邪道ネタに行きたいな」
面白そうだしなとの表情は何処か少年の輝きを帯びていて、しかし、凪は小首を傾げるのみであった。
「邪道ネタ……? トロピカル巻き? カリフォルニアロールとかかな?」
「あ、いや、ハンバーグ寿司とか、食べたいぜ」
回転寿司では定番のメニューも、本場の職人達が本気で作るとどうなるのか。
興味は尽きないと説くサカハに、凪はふむ、と頷いた。
「でもあるのかな……って、あるし」
「普通に並んでいるところに、寿司祭りの恐ろしさを感じるぜ」
人々に、特に復讐者に楽しんで貰えれば、との強い願望を感じた気がした。
凪の呟いたカルフォルニアロールこと、加州巻きもごく当たり前に鎮座していた。裏巻きと呼ばれる手法で握られたそれは、中に挟まれたアボガドや蟹身と相俟って、周囲に輝かんばかりの飛子を纏っている。
そして、サカハ待望のハンバーグ寿司もまた、黄玉を思わせる輝きを纏いながらも、供されていた。上部に塗られたタレもまた、二人の鼻腔を擽り、食欲を掻き立ててくれる。
「こ、こんなの、食べて良いのかな……? 戻って来れなくなっちゃわないかな……?」
要するに老舗の職人が本腰入れて作った照り焼きハンバーグなお寿司なのだ。
絶対美味しいに決まっている。そして、もう、普通のハンバーグに戻れないのでは、と言う恐怖すら感じてしまう。
凪の戦慄をサカハも感じたのだろう。
震える手で出された寿司を掴むと、そのまま口元へ一気にパクり。
「……むっ!」
そこにあったのは圧倒的な旨味だった。さかなへんに旨いと書いて鮨ならば、それは肉の旨味の局地と言うべきだろうか。
しっかりと灼かれたハンバーグはしかし、その一つ一つがサカハの口の中で、濃い味のタレと共に舌を、口内を、そして喉に暴風を巻き起こす。だが、それを同じく解けた銀シャリが包み込み、蹂躙を柔らかな物に変えてくれる。圧倒的な暴と圧倒的な柔。その双方にサカハの味覚は悲鳴を上げていた。
要するに美味かった。
(「いや待てなにこれ。何、お祭りに本気を出してくれてるの? 職人さん?!」)
嚥下すれば、口の中に残るのは圧倒的な多幸感のみ。
屋台に目を向ければ、別の寿司を握る初老の男と目が合う。にやりとした笑みは、喜びにも、職人としての矜持にも染まって見えた。
「美味しかったの? 私も食べたいんだよ!」
ぴょんぴょんと全身を使って主張する凪に、サカハは自身が食した物と同じハンバーグ寿司を提供する。
幸せそうに食する彼女を見ながら、しかし、サカハの意識の半分は、次の寿司へと思いを馳せていた。
「……うう。美味しいんだよ」
「まあ、さっきも言ったけど、ゆっくりじっくり二人で楽しもうぜ」
未だ祭りは始まったばかり。二人の夜も始まったばかりだ。
そんな時間を楽しもうと、二人は共に笑い、同じ寿司を、同じ旨味を堪能するのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【クリーニング】がLV2になった!
【強運の加護】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
ワシリーサ・ヴォレシア
【奴崎組】
アレンジ歓迎
心情
テンション高め
寿司職人から手ほどきを受け多少技術は収めているので様々な職人達の技を見れるのが楽しみ
浴衣はキャリコ琉金の柄がモチーフで帯が金魚の尾びれ風の浴衣ドレス
全力で寿司を味わい楽しむ
という訳で寿司祭り到着だよ~!
色々な職人さんが様々なタネ握ってくれるなんて寿司を握ったりする身として逃す訳にいかないよね!
職人さんの一挙手一投足見て物にしないとだよ!
とりあえず私の誕生寿司のネギトロにギョク、アオヤギ、アナゴ辺りから行くとして……リゲルさんはどれ頼む?
見た感じネタも良いのばかりの様だし其れこそカワハギの握りの肝醤油とか日本酒に合うって言うし良いかも
生食に不慣れなら芽ネギとか炙り馬肉寿司とかお勧め
後ヨーロッパの人的に生食に親しんだマガキとかも旬で美味しいし魚ならリゲルさんの誕生魚のイシガキダイや誕生寿司のクラゲの軍艦も悪くないかな?
イシダイとイシガキダイは同属の仲間だねーどっちも白身魚が好きならお勧め
後クラゲは結構美味しいからお楽しみに
其れじゃ私も全力で味わうぞー♪
リゲル・アンティキティラ
【奴崎組】
ドレスコードが浴衣って、すごく日本らしいなあ!
深い海色でシンプルに、普段着のような浴衣で楽しもうか
生まれが生まれだ。魚の生食 慣れて、ない
見慣れてはいるし、何が好きなのか自分でも理解していないだけさ!
…つまり大体の寿司ネタを食わず嫌いしてるって事だけど。そこは秘密で…
それでもあるだろう? 寿司食べたいって時が。不思議だよね
というところに丁度寿司と縁のあるワシリーサちゃんが行くというのでついて行く事にしたのが俺!…とこちらの『水筒』
水筒は自由にさせておこう…
俺はそうだなあ 右も左も分からないからね
それでも分かるよ、酒と合うものは美味しいってね!お勧めを頂こうかな 勿論日本酒と一緒に
牡蠣は馴染みがあるよ!この感覚でいけばカワハギと肝醤油なるものも…いけるな!
うん。好みが分かって来た たぶん白身魚が好きだな!
それで イシ…えっ?イシダイとイシガキダイって違うの?名前とか似てるのに
クラゲ…は食べていいやつかい?!
…まあ 食べられるなら食べてみよう…!
滅多にない機会だ、楽しもう!
「ドレスコードが浴衣って、凄く日本らしいなぁ!」
これは、ゆるりと大通りを練り歩くリゲル・アンティキティラ(最輝星・g10843)の言葉であった。身に纏った浴衣は深い青紫――即ち、海色のシンプルな出で立ちで、それをごく当たり前な普段着の如く着こなしていた。
「寿司祭り到着だよ~!」
傍らを歩くワシリーサ・ヴォレシア(船好き少女・g09690)のテンションは高い。物凄く高かった。
ちなみに、ワシリーサが纏う浴衣は、尾びれの長い金魚、キャリコ琉金柄であった。帯も尾びれを模しており、浴衣と言うよりもドレスに近い。或いはその合いの子、と言った風であった。
「色々な職人さんが様々なタネ握ってくれるなんて、寿司を握ったりする身として逃す訳にいかないよね!」
職人さんの一挙手一投足見て物にしないとだよ! と意気込む姿はむしろ、微笑ましくも感じる。
そしてそんな彼女の保護者も兼ねて、リゲルは祭り会場へと連れられることにしたのだ。彼曰く。
「生まれが生まれだ。魚の生食は慣れていない」
黄金海賊船エルドラードを出自とする彼は、しかしその実、魚を見慣れていても、食すのは調理済みの物という認識だ。おそらく彼の改竄世界史から新宿島に流れ着かなければ、魚を生食する機会など、本当に漂流した頃合いしか考えられなかっただろう。
だが、とリゲルは言う。
「それでもあるだろう? 寿司食べたいって時が。不思議だよね」
人間には数ヶ月置きにどうしても寿司を食したい欲望に駆られるときがあるのだ。……多分、きっと。
ともあれ、故にリゲルは寿司を求める。食わず嫌いも何の其の。己が欲望にあえて抗わないのも、リゲルの海賊らしい一幕であった。
さて。そして祭り会場。
食事席の一角を陣取ったワシリーサは、リゲルの前に買い込んだ寿司詰めをずらりと並べていった。
ネギトロ軍艦、卵焼きの握り、白が麗しい青柳の握り、そして、煮詰めが芳しい穴子。それら全て、ワシリーサの好物だ。食する前から顔が幸せで弛んでいた。
「リゲルさんのも、はい」
生食に不慣れと言う彼の言葉を慮れば、用意出来たのは芽ネギに炙り馬肉寿司。
酒に合う物というリクエストにも応え、その隣には牡蠣やカワハギのお寿司もちょこんと鎮座していた。
「真牡蠣も旬で美味しいよね。ヨーロッパでも生食に親しんでたと言うし、これならどうかな?」
「牡蠣は馴染みがあるよ!」
喜色に染まった声と共に、リゲルは嬉しそうにパクリと頬張る。そして、口の中に広がる潮の味を堪能した刹那、追うように冷酒をコクり。口の中で転がした後に嚥下すれば、其処ににへらと幸せそうな表情が広がっていた。
「旨い! この感覚で行けば、もしかして……」
次にリゲルが手を伸ばしたのは、カワハギを肝醤油で和えた軍艦巻きである。彩りのためか、それともワシリーサが気を利かせたのか、寿司を支えるそれは黒い海苔では無く、薄く剥かれた胡瓜であった。職人芸を感じる一貫を視線で楽しみ、指で楽しみ、そして、口腔でもまた楽しむ。
「――いけるな!」
「でしょう?」
追い日本酒に感極まった声を上げるリゲル。合わせるようにワシリーサはにこりと笑う。
「カワハギの握りの肝醤油とか日本酒に合うって言うし、リゲルさん好みかなって」
「成る程。判ってきた。俺、多分、白身魚が好きだな!」
淡い味を堪能した後、日本酒で洗い流すのがリゲルの好みなのだろう。楽しげに寿司に手を伸ばしては一献とグラスを傾けるリゲルに、ワシリーサは目を細め、微笑を浮かべる。
「白身魚が好きなら、リゲルさんの誕生魚のイシガキダイや誕生寿司のクラゲの軍艦も悪くないかな?」
「ほうほう。イシ……えっ? イシダイとイシガキダイって違うの? 名前とか似てるのに」
彼の驚嘆に、ふふりと笑うワシリーサ。
「イシダイとイシガキダイは同属の仲間だねー。どっちも白身魚が好きならお勧めだよ」
双方、イシダイ科の魚であるが、イシガキダイはイシダイより美味とされ、大きな魚体は高級魚としても数えられている。もしかしたら祭り会場にあるかも、と提案すれば、だったら、探してみようかと小気味よい言葉が返ってきた。
「後、クラゲは結構美味しいからお楽しみに」
「食べて良い奴なんだ……」
白身魚には慣れてきても、流石にクラゲは違和感を抱くのか。リゲルは刹那に難しい顔で思考を巡らせ、しかし、と首を振る。
彼は海の男らしく気っ風の良い男であった。即ち。
「まあ、食べられるなら食べてみよう!」
滅多に無い機会。楽しまなければ損と、次のお寿司を口に運び、清酒を呷る。
「そうだね。其れじゃ私も全力で味わうぞー♪」
様々な反応を見せるリゲルが面白くて、楽しくて、そしてその挙動が嬉しくて。
そんな彼の様子をも肴にしながら、ワシリーサはネギトロを口に運ぶ。ねっとりとしたマグロの脂は舌を覆い、しゃっきりとしたネギがその甘みを更に引き立ててくれる。『繁盛』の鮨言葉が相応かどうかは判らなかったが、舌に広がるこの味は、とても好きだな、と思ってしまう。
何より、この楽しい時間が、彼女に取っての繁盛な一時なのだ。
「さあ。リゲルさん。もっと、もっとお寿司、楽しもう」
「ああ。任せろ。全力で楽しんでみせるさ。ところで、ワシリーサちゃん。こっちのお寿司はどう思う? 蛸ってあれだろ? こんなのも食べるのかい……?」
「蛸も海老も蟹も、全部美味しいよ。ふふふ。じゃあ、次は……」
寿司を基点とした二人の柔らかな会話は、周囲の賑やかさに負けることなく、弾んでいくのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【水面走行】LV1が発生!
【液体錬成】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【凌駕率アップ】LV1が発生!