始めの一歩は蟲将から(作者 西灰三)
#蛇亀宇宙リグ・ヴェーダ
#リグ・ヴェーダ本国に向かえ
#パキスタン
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荘厳な造りの宮殿内。そこには一体のアーディティヤと、それにかしずく三体の蟲将がいた。アーディティヤの方は毘沙門天、蟲将の方は典韋、猩紅、于吉と言う名だ。いずれもジェネラル級クロノヴェーダではあるが、明らかに上下関係としては毘沙門天の方が上位である。その毘沙門天は先に行われた隣のディヴィジョンでの戦いに遠征に向かった趙雲の結末を検めていた。
「趙雲が死んだか。惜しい漢を無くしたものである」
その毘沙門天の惜別に対し、蟲将達は三者三様の気配を発する。されどここは主の前、情にほだされずに彼らは次の言葉を待つ。
「だが、趙雲が残した芽は確かに芽吹いている。典韋、猩紅、于吉、お前達3体は、趙雲の名を穢す事無く、ディアボロスを迎撃し功績をあげるがよい」
それは蹂躙戦記イスカンダルを滅ぼし攻め上がってくるであろうディアボロスに対する牽制である。それは先陣であり同時に捨て石とも言えた。それでも彼らに断る選択肢はない。蟲将なれど生まれはこの地、武功を上げるまたとない機会でもある。
「この戦いで最も優れたものを、趙雲の後継者に任じよう。励めよ」
「曹操様の無念……晴らす」
「仰せのままに」
「お任せくだされ」
命を受けた彼らは承諾の返事を返し立ち上がる。蛇亀宇宙リグ・ヴェーダと最終人類史との戦いはこうして幕を上げる。
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「いらっしゃい!」
森部・灯(全力全開高気圧バール!・g03325)が集まったディアボロスを前にしてまずは挨拶から始めた。
「ついこないだの蹂躙戦記イスカンダルでの戦いお疲れ様! めっちゃすごかった! そんなすごい勝利と攻略旅団で決まった方針で、新しく蛇亀宇宙リグ・ヴェーダの攻略が開始されたよ!」
当該ディヴィジョンは幾つかの領域を他のディヴィジョンから奪っており、その中には完全敗北したらしき『邪仙郷崑崙』なるディヴィジョンも含まれている。
「もっとも今パラドクストレインが行けるのはパキスタンだけ。パキスタンはリグ・ヴェーダに強奪されてからの時間があんまりなくて、展開してる敵も蟲将とか亜人とかがメインで、リグ・ヴェーダの本丸って感じは全くだね」
インドに向かう方法としては『ミウ・ウル』を奪還して修復後にそれを使って東へ進む方法がある。
「でもちょっとこれだと時間がかかるから、インドに行くためにアフガニスタン方面から入って、ペシャーワル、イスラマバードを超えてカシミール地方を目指す作戦で行こうかなって」
カシミール地方はとにかく最終人類史でも色々あった地域なので、リグ・ヴェーダにとっても何らかの重要な意味を持つ地域と考えられる。
「アフガニスタンのカイバル峠からカシミールに向かう道は、リグ・ヴェーダへの最短距離って言っても過言じゃないけど、その分だけめっちゃ警戒してて蟲将の精鋭部隊が防衛網が引かれてる。これをなんとかくぐり抜けて道を拓いてね」
そしてその道はとにかく厄介なようだ。
「カイバル峠って滅茶苦茶山の中なんだ、つまり敵は隠れ放題で私達が来るのを警戒してる。無警戒だとあっさり奇襲受けて返り討ちみたいなのもありうるから、なるべくこちらも隠れながら索敵してささっと敵を見つけて撃破して欲しいかな。どっちが先に敵を見つけるかがそのまま勝敗に直結する感じ」
中々厄介な状況だがやるだけやるしか無いだろう。
「あ、あとこれは今すぐ直接は関係ないけど、迎撃してくる蟲将には派閥があるみたい」
他のディヴィジョンでも蟲将はそんな事をしているらしい。
「派閥同士で功績を争ってるみたいだから、同じ派閥の敵を沢山倒せば失態を取り返すためにその派閥の長が来るかも。そういう感じで全部の派閥の長を倒せば、この地域の蟲将勢力は瓦解してカシミールへの道を作れるはず。まあそういう事せずにコツコツやるのも当然アリ。なんか考えがあるなら攻略旅団でよろしくね!」
これが新しいディヴィジョンでの初めての戦いとなるディアボロスも多いだろう。
「リグ・ヴェーダは広いから急ぎたくもなるだろうけど、コツコツやる方がちょっと速いかな? でも今後の事を考えて派閥の長を狙うのもいいかも。どっちが良いか考えてみてね。それじゃ頑張ってきてね!」
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とある山中、そこに掘られた横穴。蟲将達は入口をカモフラージュされたここを拠点とし交代しながら、ディアボロス達が通るのを待ち構えている。
「本当にディアボロスが来るんで?」
「来るだろ、詳しいことは知らねえが于吉の旦那がそう言ってたんだからそうなんだろうよ。それとも嘘でも言ってると思ってんのか?」
「い、いやそんな事は」
山賊のような雰囲気を醸し出す蟲将達。しかし来ると言えば来るのだろう。それがどれほどの強さかは分からないが、不意を打てればどんな敵でも倒せるはずだ。
「来るなら来るで早く来てくれよ、暇で仕方ねえ」
アヴァタール級は酒を飲んで時間を潰すのだった。
リプレイ
ナティシャ・ナーガ
国はまだまだ遠いですね。
神々は何をしていらっしゃるのでしょうか。
まずは行く手を阻む害虫退治ですね。
早く本土に戻りたいですが、焦りは禁物。確実に道を繋げましょう。
森の中を慎重に進みます。
仲間と協力できるなら十分に距離をとりあい調節して、敵を見落とすような探索範囲の穴が出来ないよう探したいです。
枝や葉っぱを踏んで音を出さないように気を付け、草木に紛れる迷彩柄の外套を羽織ります。
物陰から出る時は、まず耳をすまし近くに敵がいないか慎重に。
1秒先でも正面から敵と遭遇しない未来予測をつかみとり動きます。
敵の接近に足音などで気付けたら、なるべく木々の高い場所に潜み敵の位置を探りましょう。
風を読み、どんな些細な動きも効き洩らさないように努めます。
ここで得た情報を仲間と共有して、敵を挟撃したり急襲しやすい場所が近くに無いか確認しましょう。
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「……国はまだまだ遠いですね」
パラドクストレインから降り、蛇亀宇宙リグ・ヴェーダの辺境である最終人類史で言うところのパキスタン方面に足を踏み入れた、ナティシャ・ナーガ(星詠みの巫女・g11415)は曲がりくねった山の中を行く。
「神々は何をしていらっしゃるのでしょうか」
それに答えるものは少なくともここにはいない。最終人類史にもそれを最早語れる者はおらず、この場所では精々が神の名を騙るアーディティヤがずっと本国に近い所にいるくらいだろう。刻逆以来、随分と信仰の意味が変わってしまった部分はあるかもしれない。
「……まずは行く手を阻む害虫退治ですね」
恐らくかなりの時間がかかることになるだろうが一つ一つ着実に進むしか無いだろう。蟲将達がどこに隠れ、どのように待ち伏せをしているか。その居場所がありうる怪しい場所が見えてきた所で、周囲の風景の色に合わせた外套を被り周囲を警戒する。持ち合わせた【未来予測】ではほんの僅かな先の未来しか見えないが、見えてからその場に伏せて動きを止める事くらいは可能なはずだ。足元の石などを迂闊に蹴り飛ばさないようにじっくりと時間をかけて彼女は歩を進めていく。
(「この辺りには敵は潜んではいないようでしょうか」)
吹き抜ける風に鼻を鳴らすが、特に違和感のあるものはなく、そして星が顔を出す時間に進むのは危険だ。頼るものが自身しかいない中、静かにナティシャは進みながら安全圏を確認し、後続のために道を作るのだった。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【未来予測】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
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「こういうアナログなのは苦手なんだけどなあ……」
手伝って欲しいという声に請われ、パラドクストレインに乗って来たのは作戦が始まったばかりのディヴィジョン、蛇亀宇宙リグ・ヴェーダ、の山の中。コンピュータのコの字も無さそうな土地に来てしまったフェルナンデス・ミカ(アイアン・ブレイン・g03347)は、あれこれ言いながらも頼まれた偵察に勤しむ。
「ええと、敵が隠れているから見つからないようにその場所を探して欲しい、と」
割と普通に難しい調査である。手慣れたディアボロスもいるにはいるが、得意と言う方が少ないだろう。
「まあでもやりますか、人から話しを聞いて、というのじゃないから少しは気が楽だしね」
まずはなるべく目立たないように身を屈めながら周囲を警戒する。そしてゆっくりと歩き始める。
(「道……ぽいのはあるけどあんまり使われてない感じ? じゃあ使った形跡があるのを辿れば近くまで行けるかも」)
そう思いながら慎重に山の中をミカは調査し、他のディアボロスの為に情報を集めるのだった。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!
獅子堂・崇
アドリブ連携歓迎
いよいよリグ・ヴェーダか。最初に遭遇したのは確か、大戦乱群蟲三国志の奪還戦だったか?結構前だな。
七曜の戦でディビジョンが飛んだと聞いたときは驚いたもんだが、侵入さえ出来ればあとはいつも通りだ。しっかり道を繋いでいくとしよう。
使えそうな残留効果は持っていないから大人しく文明の利器に頼るとしよう。
風景に溶け込める迷彩服を着て双眼鏡を手に進む。
隠れられそうな場所が増えてきたらフードを被って身を低くしてから双眼鏡を使って怪しい場所を確認する。レンズの反射を考えると多用はしない方がいいかもしれないな。確認するべき場所を最小限に留めよう。
敵もこっちを探している以上顔は見せるはず。見逃さないようにしないとな。
酒の匂いでもすればすぐにわかるんだが、さすがにこの距離じゃな。
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「ここがリグ・ヴェーダか」
新しいディヴィジョンに降り立った獅子堂・崇(破界拳・g06749)は周囲の状況を軽く見回して確認する。パラドクストレインの停車位置ならばいきなり襲われるということはないはずだ。
「最初に遭遇したのは確か――大戦乱群蟲三国志の奪還戦だったか? ……結構前だな」
七曜の戦の直前の奪還戦である。そこで初めて干戈を交え、しばらくは冥海機ヤ・ウマト辺りで気配を感じつつも、次に直接接触したのは蹂躙戦記イスカンダル奪還戦だ。それを経てやっと足を踏み入れた地である。
「七曜の戦でディヴィジョンが飛んだと聞いた時は驚いたもんだが……侵入さえできればあとはいつも通りだ。しっかり道を繋いでいくとしよう」
新しいディヴィジョンに入ったら概ねまずやるのは道の確保である。ずっと同じ場所にいたのではジェネラル級と出会うのも難しい。というわけでその前段としての作戦を始める。外套を被り双眼鏡を手に、影に日向に移動しては少しずつ進んでいく。
(「敵もこっちを探している以上顔は見せるはず。見逃さないようにしないとな」)
とは言うものの敵とて隠れている以上簡単にはっきりと姿を表してくれるわけでもない。
(「酒の匂いでもすればすぐに分かるんだが……ん?」)
崇は何かに気付き鼻を地面へと近づける、そのままゆっくりと低い姿勢で辿る。
(「……おいおい、マジかよ」)
酒を運んでいる間にこぼしたか、或いは相当臭う酒なのか。いずれにせよこんな山の中にはありえない酒香を彼の鼻は捉えた。
(「犬みたいだがまあ仕方ない、追うぞ」)
酒の臭いを追って彼が見たのは獣道の崖の下。上を通るディアボロスの背後を取るつもりなのか見張りの目が崖上に向けられていた。
(「成程、あそこか」)
種すら割れれば攻め込みやすい場所だ、崇は殴り込みの準備の為に一旦引き返すのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
ナティシャ・ナーガ
敵は獣道の崖の下。上方に向けての警戒、ですか。
蟻さんの割には、ちゃんとお空も見ているんですね。
では、できるだけ低く小さくなって近付きましょう。
上ばかり見ていても、足元が疎かでは無意味ではありませんか。
他の方とタイミングを合わせ、役立てるといいのですが。
ロケット花火のような、音を立て飛んでいく矢の仕掛けを作り、自分たちが仕掛ける方向とは違う方から飛ばしましょう。
敵が気を取られたら意表を付いて攻撃を仕掛けましょう。
腕輪状になっていた弓を展開し、アグニの炎の矢を番える。
空に向かって放った矢は燃え盛る流星となり蟻の兵隊に降り注ぐでしょう。
獅子堂・崇
アドリブ連携歓迎
あんなところに隠れていたとはな。気付けなかったら危なかったかもしれないが、大将が酒飲みなのが災いしたな。
見つけた以上は先手を打たせてもらう。上を見ているなら下から攻めていくか。
横穴の広さはわからないが隠れることを前提に掘って作ったのならそこまで広くはないだろう。奴らの武器なら取り回しも悪そうだから俺は近接戦で速攻をかけよう。
仲間の攻撃に合わせて見張りに奇襲を仕掛ける。槍の間合いの内側に入るインファイトで倒してその勢いで横穴に飛び込もう。敵が立て直す前に数を減らさせてもらうぞ。
敵の反撃は横穴で使われると穴は全壁や天井も注意が必要か?それなら音と風の流れを頼りに出てくる位置を予測して防御を試みるか。
俺たちがどれほどの強さなのか、わからないなら試してみるといい。退屈はせずに済むと思うぞ。
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「まだ来ねえのか?」
アヴァタール級蟲将である菅亥が部下のトループス級である黒山賊蟻兵に問うた。部下の方ももう数え切れない程このやり取りをしているので内心はうんざりしているものの、ぐっとこらえてやはりいつものように答える。
「ええ、まだ来てないっす」
「全く、誰が来るって言ったんだよ」
お前だよ、という言葉を飲み込み、用も済んだので戻ろうとした蟻兵。しかしその洞穴の外から明らかに自然音とは言い難い破裂音が響き渡る。
「なんだ? おい、お前立ち確かめてこい。ディアボロスかも知れねえ。俺も後で行く」
「わ、分かりやした!」
「釣れましたか」
音に惹かれて山道の斜面を登っていくトループス級達を見てナティシャ・ナーガ(星詠みの巫女・g11415)は自分の目論見が上手く行ったのを確かめる。音の仕掛けを仕込んだのは彼女の案だ。
「あんなところに隠れていたとはな。気付けなかったら危なかったかもしれないが、大将が酒飲みなのが災いしたな」
その彼らが出てくるカモフラージュされた横穴を見つけたのは獅子堂・崇(破界拳・g06749)だ。いざとなれば中に押し入って戦うというのも考えていたが、流石に相手の領域で戦うのは機先を制してもやや分が悪い。一般人相手ならともかくクロノヴェーダなら長物の武器に扱いに困ることもあるまい。ともかく崖を登っていく蟻兵達の後を追うように2人は近づいていく。
「……誰もいないぞ?」
「誰もいないって事は無いだろう。あんな音、落石とかは有りえないし」
と、蟻兵達が言葉を交わしている最中、突然複数の打撃音が響き渡り蟻兵の一体が吹っ飛んでいく。
「……え?」
その状況が襲撃であると飲み込んだのも束の間、今度は声を発した蟻兵に火の矢が刺さり、そのまま灰へと変える。自身の攻撃で崩れ去る敵を見たナティシャは呟く。
「蟻さんの割にはちゃんとお空も見ていたんですね」
「だがそいつが命取りだ。せっかく来てやったんだから俺たちがどれほどの強さなのか、わからないなら試してみるといい。退屈はせずに済むと思うぞ」
崇が言葉を引き継ぎ、まだ立っている敵に視線を向ける。蟻兵の後ろから現れたディアボロス達はさっくりと2体の敵を撃破し戦いの勢いを一気に自分達に引き寄せた。それに対して蟻兵達は奇襲に対し浮足立つ。
「ディ、ディアボロス! 本当に来た!?」
慌てて武器を構えて戦いの態勢を取る蟻兵達。しかしそれももう遅く、ディアボロスの2人は既に次の攻撃の準備に入っていた。
「上ばかり見て足元が疎かでしたね」
「このままお前達の親分が来る前に片付けさせてもらうぞ」
そしてその言葉の通りナティシャが二の矢を番い、崇が敵の得物の間合いの奥に踏み込む。
「神はその血で大地を染めた 燃え盛るアグニの炎星よ全てを貫け」
「これを受けてみろ!」
「これ以上やらせるんじゃない! 行くぞ!」
蟻兵達は反撃を試みるものの、それ以上の反抗はできずナティシャと崇にあっさりと追い詰められていく。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【影忍び】LV1が発生!
【水面走行】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
施・朱林
私が流れ着く前に中華を叩き出された賊軍が、遠く西方の地で臥薪嘗胆を誓うか
アーディティヤにしてみれば時間稼ぎの捨て石に違いないが、野放しにも出来んな
敵を発見してくれた仲間と共に、崖上に目を奪われている敵を横穴に乗り込んで倒すぞ
【完全視界】で穴の中でも明瞭な視野を保ち、肉薄せずとも敵の姿を視界に捉える
接近戦を仕掛ける仲間の後方から、素早い連続攻撃となるように『明白四達』で攻撃
≪刃圈≫と≪懐刀≫を流れるように次々と投擲し、敵の細い首を絶ち切り、或いは貫く
前衛が多数の敵に取り囲まれないように、既に傷を負った者を優先的に狙って確実に数を減らそう
悪くない布陣だが、裏までは読めなかったようだな
君達の得物は竹槍に似ているがどこか違うな。未知の兵器とは面白い!
一体何の茎だ、もっとよく見せてみろ!(サトウキビをまだ知らない)
敵の気配や槍が空を裂く音に精神を集中し、≪内勁の盾≫で硬化した≪閃耀の双剣≫で切り払って狙いを逸らそう
これで賊将一人が残るのみか
酔いが覚める前に終わらせてやる。素面で死ぬよりは楽しかろう
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「くっ! このままだと全滅しちまう! 親分をさっさと呼ぶんだ!」
ディアボロスの奇襲から命からがら脱出し、アヴァタール級を呼びに行こうとする蟻兵。戦場から離れ崖に急いで飛び降りようとした時、その真向かいから明らかに蟲将ではない姿が上がってくる。
「……私が流れ着く前に中華を叩き出された賊軍が、遠く西方の地で臥薪嘗胆を誓うか」
「こ、こっちにもいやがる!」
それは施・朱林(麗剣閃耀・g11493)。最近最終人類史に漂着したばかりのディアボロスである。
「アーディティヤにしてみれば時間稼ぎの捨て石に違いないが、野放しにも出来んな」
「す、捨て石だと!?」
リング状の武器を構えた朱林がつぶやいた言葉はこの蟻兵にとっては聞き捨てならない言葉であった。即座に周囲に穴が複数開き、蟲将の姿が消える。
「ふむ、どこから襲いかかってくるか……」
「死ねえ!」
彼女の背後から現れた蟻兵が何らかの植物を斜めに切っただけのような槍で突き刺そうとする。しかしそれを武器の内側で引っ掛け下ろし、彼女は不敵に笑う。
「君達の得物は竹槍に似ているがどこか違うな。未知の兵器とは面白い! 一体何の茎だ、もっとよく見せてみろ!」
「余裕見せやがって……!」
このままでは分が悪いとでも思ったのか、蟻兵は一旦穴に戻ろうとする、がそれより早く銀閃が走りその首元を通り過ぎる。
「逃れようと身を隠そうと、天命は誤魔化せん」
朱林が言い切るとともに蟻兵の頭が転がり落ちる。これでこの場のトループス級は全て片付いた。
「これで賊将一人が残るのみか。酔いが覚める前に終わらせてやる。素面で死ぬよりは楽しかろう」
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【完全視界】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
堂堂ヶ島・雲海
(トレインチケット)
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「ちっ! 飲みすぎたか? あいつら上手くやってるといいが……」
管亥が先行している部下達の下へ坂を登って向かう。音の元が何であれ必ずそこには何かあるはずである。もしそれがディアボロスなら手柄を立てるいい機会である。トループス級と言えどそれなりに腕が立つはずだ。
「……にしても何だこの変な音は? 悪酔いしたか?」
「変とはなんや変とは。お休みのお昼を彩るお馴染みの曲やで?」
管亥がその女の声に振り返った瞬間、銀色の何かが飛んで来る。それは過たずその蟲将の顔面にぶち当たるといい音を立てて地面を転がる。彼には知る由もないが、ぶっちゃけ金ダライである。それを蹴飛ばしてゴールを決めたのは堂堂ヶ島・雲海(畏怖堂々・g03001)だ。
「ディ、ディアボロスか? まあ良いやっと網にかかった所だ」
「虫のくせに網にかかった? は、かかったんはお前や」
雲海が足を踏み鳴らすと、まるで壊れること前提の舞台装置のように管亥の足元が崩れ雲海の方へと滑り落ちていく。
「ぼかぁ頼まれて本命が来るまでのつなぎや、それまでちょいとここで遊んでってもらうで」
滑り落ちてきた敵にハリセンの一撃を見舞って雲海は笑った。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
ナティシャ・ナーガ
管亥…?黄巾党の将軍ですか。
あなたの主はどこの誰になるのでしょうね。
詮無いことですが、誰であろうと倒し進むだけです。
あなたの部下はもういませんよ。
弓に番える矢は輝く光の矢。
敵の中心を射抜くよう放ち、蘇利耶の華庭園を発動させる。
あなたがどんなものであろうと、行く手を阻むなら排除するまでです。
本土には私の家族も友も居るはずなのですから、こんなところで止まっていられません。
黄金の蓮華園に包み敵を惑わし精神を蝕みます。
まだ未熟な私の力ですが、貴方を止めることはできるはず。
矛の間合いに入らないよう気をつけながら、反撃を出来る限り後退し軽減します。
ここより先に貴方がたは不要です。
まだまだ本土は遠いですが、必ず辿り着いて見せます。
獅子堂・崇
アドリブ連携歓迎
後は親玉だけか。お前が酒を飲んでいたおかげで先に見つけることができた。そうでなければもっと苦戦していただろう。次は気を付けることだ。もっともお前に次があるのかはわからないけどな。
酒を飲んでいようと強敵には違いない。油断はせずにいこう。
率先して前に出て敵の注意を引き付ける。
狙うのは最大威力の一点突破だ。空高くジャンプして念動力を纏った急降下の飛び蹴りを食らわせる。現れる無数の蝗もろとろ吹き飛ばす。
反撃で襲ってくる群れを打ち落としながら管亥の動きに気を見極める。槍による突撃は両腕に巻いたバンデージを使って打点をそらしてダメージを抑える。
手強い相手だったが、俺たちの勝ちだ。リグ・ヴェーダ本国への道、通させてもらうぞ。
施・朱林
黄巾党とは、後の世で農民を中心に立ち上げられた反乱軍であったか
農民たちの将を名乗る者が蝗の姿をしている……ふん、性質の悪い冗談だな
兵どもに仕事を任せて酒と怠惰を貪っていた辺り、あれは将としては下の下
しかしながら、個の武勇においては侮れぬ相手と見た方がよかろう
先に別方向から穴に入って奇襲していた仲間と共に、敵を挟み撃ちにして有利を得よう
元より試合ではなく戦であるからには、真っ向勝負に拘る道理もない
【平穏結界】を纏いながら穴の入り口より敵の元に向かい、その姿を見つけたなら『絶招・双影連舞』を放つ
分身が敵の死角に現れて《閃耀の双剣》で首を狙い、殺気に応じられたとしても私自身が追撃
二段構えの技にて無傷で逃れるを許さず、そのまま決着をつけるか、或いは仲間が全力の技を叩き込める隙を作ろう
飛び来る蝗は片手の剣で薙ぎ払い、矛はもう一方の剣に《内勁の盾》を張って切っ先を弾いて耐えよう
一時の酔夢に溺れて、一生を失う者は後を絶たないが……クロノヴェーダにもそんな者がいるとはな
身から出た錆と思えば同情はしないが
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「クソ、何だったんだあいつは。あいつらは無事なのか?」
予期せぬ襲撃を受けた管亥は改めて進む。自分の方にディアボロスが来たという事はトループス級にも行っている可能性が高い。ここに来て先に部下だけに確認させにいった事を後悔し始めているが、もう遅い。
「だが……これは手柄を独り占めできるいい機会じゃねえか?」
酔いの回った思考のせいか、自分にとって都合の良い解釈を生み出す。もっともこの後直ぐに思い直すことになるのだが。
「この辺りだったか……?
……!?」
瞬間三方向からパラドクスが管亥に向けて放たれる。それらに対し即座に反撃を行うが、どうも手応えが浅い。
「ふむ、流石にさっきの親玉だけあって、この程度では倒せないか」
「図ったか! 卑怯だぞ!」
初撃で倒しきれなかったのを見定めた獅子堂・崇(破界拳・g06749)に管亥は怒声を浴びせる。それに対し崇は肩を竦めてナティシャ・ナーガ(星詠みの巫女・g11415)と施・朱林(麗剣閃耀・g11493)を見た。
「あれが管亥……? 黄巾党の将軍ですか。その割には……」
「黄巾党とは、後の世で農民を中心に立ち上げられた反乱軍であったか。農民たちの将を名乗る者が蝗の姿をしている……ふん、性質の悪い冗談だな。おまけに悪いのは頭の方も同じようだ」
辛辣な言葉を投げかけるナティシャと朱林、それを聞いて吠える管亥の声がなお大きくなる。
「誰が頭が悪いだって!?」
「お前の頭の話だ。兵どもに仕事を任せて酒と怠惰を貪っていた辺り、将としては下の下だ」
「大体酒飲んで無かったらお前達の隠れ家も見つけるのにも苦労したはずだからな」
ついに崇まで加わりディアボロス達は事実だけを述べていく。それを真正面から受け取る蟲将はそれに対して反論する論理的な言葉は持たない。論理的ではない言葉の持ち合わせならあるが。
「うるせえ、黙れ! お前らの首全部切り落として于吉様の所に届けてやらあ!」
「あ、そちらなのですね。ちょっと覚えておきましょう」
ナティシャがぽろりとこぼした彼の主のことを一応記憶する。それと同時に再度弓を構えて光の矢を番える。
「は! 覚えた所で何になる! そんなもの持ち帰れやしねえのによ!」
「わからないぞ? それに次があるか怪しいのはお前もだろう」
崇も改めて構えを取り次の攻撃の隙をうかがう。言葉を交わしながらでも簡単に攻撃をねじ込むとは中々難しそうだ。
「油断するな。こんなのでも個の武勇に於いては侮れぬ相手と見たほうが良いだろう」
「ああ、分かってる、例え酒を飲んでいようとな。……俺が先に出るぜ」
先鋒となった崇が朱林より敵に近づく。彼は脚に力を入れて飛び上がり、管亥の頭上からその頭を蹴り砕かんと一気に加速する。しかし流石のアヴァタール級、先ほどとは違い。きっちりと反撃の槍を崇に刺しこむ。
「そうそう何度も食らってたまるかよ!」
「そうだな、それくらいの事はこっちもお見通しだ」
「何い!?」
崇を壁にしていたナティシャが敵に届く一矢を放つ。
「統べてはここより生まれ虚空へ還る。梵天導くアーカーシャの輝蓮華に包まれ消えよ」
放たれた矢は蝗のオーラを裂き刺さった管亥を包み込むように強い光を放つ。
「あなたがどんなものであろうと、行く手を阻むなら排除するまでです。本土には私の家族も友も居るはずなのですから、こんなところで止まっていられません」
「こ、こんなもので俺が消えるかよ……!」
しかし、耐える。己の立身出世の道の途中、この程度で倒れぬと意地が管亥を現世に留める。されど。
「それは一酔の夢だ」
自身の分け身と共に動いた朱林の剣が、その未練を肉体ごと断ち切る。
「一時の酔夢に溺れて、一生を失う者は後を絶たないが……クロノヴェーダにもそんな者がいるとはな。身から出た錆と思えば同情はしないが」
「く、くそおおおお!」
抗う力を失った管亥はそのまま光に飲み込まれて消えてしまう。元からここには何もいなかったかのように。
「……ここより先に貴方がたは不要です。まだまだ本土は遠いですが、必ず辿り着いて見せます」
何も無い空間にナティシャは呟き南東方面に目を向ける。そこには彼女の目指す地がある。
「手強い相手だったが、俺たちの勝ちだ。リグ・ヴェーダ本国への道、通させてもらうぞ」
崇もそう口にし、また一歩進む。長い道程だが、確実にディアボロス達は進む。その道を超えることが蛇亀宇宙リグ・ヴェーダを取り返すことにつながっているのだから。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【隔離眼】LV1が発生!
【落下耐性】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!