リプレイ
ハーリス・アルアビド
預言者ザラスシュトラ…一度見えましたが、なんとも掴み難い存在でした。その真意がどこにあるかは不明ですが、今はこの決戦に集中しましょう。
殺戮の神にして秩序の神セクメトよ、お力添えを。恐るべきお力をここに。祈りを捧げ仲間たちへの幸運を願い、この決戦に勝利を。
敵は強固な盾とファランクスによる連携を使います。ならば一点突破でその横腹を食い破りましょう。
より鋭く地を駆けるため両足に【肉体改造】を施し獣の足へと変え、【残像】を生み出す速度で距離を詰めます。
舞い上がる砂塵を【砂使い】でより巧みに操り砂の幕を作り、敵の目を引き付けると同時に仲間の攻撃や罠に誘導します。
いかに優れた陣形を取ろうとも、すべての攻撃に対して十全の対策はとれぬもの。こちらの誘導に気付かれる前に【精神集中】を行い、【神速反応】を用いた速度で突撃してきた敵の横手に回り込んで【セクメトへの嘆願】を叩き込みます。
一部が崩れたならばファランクスを組み直すには時間が掛かります。体勢を立て直す暇を与えず攻めましょう。
大都ペルセポリスを放棄し、蛇亀宇宙リグ・ヴェーダへの亡命を目論むダレイオス3世。
彼に率いられた精鋭部隊の重装歩兵ホプリタイたちは早くも都の門を抜け、その進路を東に取りつつあった。
彼らの目的は、ダレイオス脱出の血路を拓くこと。行く手を阻む者は余さず排除せんと規律正しい陣形で進軍する姿は、精鋭部隊としての連携力と精強さを雄弁に物語る。
しかし今、そんな彼らの行く手に、ひとつの影が立ち塞がった。
影の正体はハーリス・アルアビド(褪せる事を知らない愛・g04026)。ダレイオスを討ち、ペルセポリスを解放するために駆け付けた復讐者である。
「――殺戮の神にして秩序の神セクメトよ、お力添えを。恐るべきお力をここに」
『……ディアボロスか!』『敵だ、排除しろ!』
信奉する神へ祈りを捧げ、研ぎ澄ました敵意を宿した眼で敵群を睨むハーリス。一方、彼と対峙する重装歩兵たちも戦意旺盛に突撃態勢を取り始めた。このまま復讐者を轢き潰し、強引に血路を拓く気なのだろう。それを前にハーリスは隕鉄製の短剣を構え、その切先を向ける。
(「彼らを討てば、ようやくダレイオスの喉元にも刃が届きます。いえ、それだけではない……」)
そこでハーリスの目は、ふいに敵陣の後方へと移る。
視線の先に映るのは、大都の中心に聳える宮殿。そこでは、青翼の預言者が今も復讐者を待っている筈だった。
揺るがぬ決意を胸に、ハーリスは祈りの言葉を紡ぐ。かの者の真意を知るべく、この戦いに勝利をもたらすために。
「セクメトに奉る。仲間たちの幸運と、この決戦の勝利を!」
ハーリスの全身をパラドクスの光が包み、戦場を照らす。それが戦闘開始の合図となった。
開幕と同時にパラドクスを発動したハーリスが、精鋭部隊めがけて疾駆していく。
彼我の距離を縮めながら、狙うは敵の先頭集団。『セクメトへの嘆願』の力で授かった俊足を用いる彼の短剣は、早くも標的とする歩兵たちを捉えていた。
(「敵は強固な盾とファランクスによる連携を使う強敵……一点突破で食い破るべきは、その横腹!」)
残像を伴った機動で敵の眼を惑わしながら、ハーリスが振るう短剣の刃が閃く。
狙うのは、突き進む歩兵たちの僅かに露出した肉体の部分だ。
「いかに優れた陣形を取ろうとも、全ての攻撃に対して十全の対策はとれぬもの……ならば!」
『ぐ……っ!』
斬撃が二体の重装歩兵を捉え、その首筋から赤い血潮を噴出させた。
並のトループス級であれば即死を免れぬ一撃に大地を赤く染め、しかし兵士たちは尚も不動のままである。
ならばと砂使いで砂塵の幕を作り、敵群を誘導できないかと考えたハーリスであったが、パラドクスにあらざる技能に、そこまでの効果は望めない。そして次の瞬間、
『蹂躙開始、突き進め!』
お返しとばかり重装歩兵が発動したのは、密集陣形を組んでの突撃だった。
津波のごとき猛攻に絶え凌ぐハーリス。そして反撃が終了した次の瞬間、彼の前にはすでに隊列を組み直した重装歩兵の陣形が、なおも強固な壁となって立ち塞がっていた。
「隊列を組み直す隙を狙えればと思いましたが……流石は精鋭部隊、一筋縄では行きませんね」
逆説連鎖戦における攻防は、時間にも物理法則にも縛られない――その事実を、ハーリスは静かに噛み締める。
一点突破には及ばなかったが、敵への傷は確かに刻まれた。このまま攻撃を重ねていけば、いずれはダレイオスや預言者への道も開かれるだろう。
願わくば、その時が少しでも早く訪れるように。
新たに駆け付けた仲間たちへ、ハーリスは願いを込めて後を託すのだった。
苦戦🔵🔴🔴🔴
ハニエル・フェニックス
ザラスシュトラ……なんかすっごい気になる人!
しっかり敵対してくる訳でもないし、すごい逃げたいって訳でもなさそう。
いや人じゃ無いんだけど、まぁそこはそれ。
寧ろリグ・ヴェーダと関係深いのってこの人だったりしない?
後は大天使とかにいそうな面構えって言うか……まぁ詳しくない私が考えてても仕方ないか。
でも会ってみたいかも。
とにかくダレイオスってのは倒さなきゃ、あんまり状況を引っ掻き回されても困るからね。
預言者の事は後後!
よーし、じゃあまずはファランクスと戦うよ!
あっちが槍ならこっちも槍で行こう。
それを伸ばしてくるならこっちは飛ばしてやるもんね!
槍自体が伸びるって言っても、その持ち主だって多少は移動とかするはず。
こっちが動いて誘ってあげれば、きっと振り向いてくれるよね。
その辺りに槍を呼び出して不意打ちするよ!
立派で頑丈そうな盾だけど、全身を覆ってる訳じゃない。
足元とかを不意打ちすれば、少しはダメージが通るんじゃないかな?電気は我慢しなきゃだけど、槍の扱いなら私だって負けないんだからね!
ディアナ・レーヴェ
血路を開くための精鋭――しかも重装歩兵、その上で密集陣形まで組むっていうのね?
あぁ、これもう戦車を相手にしてる気分で行った方が良さそうだわ!
(カラっと苦笑。恐れはない、でも適切に警戒はする)
数の多いトループス相手だけど、私はあえて1体ずつ落としていく動き方でいくわ!(【Rat】)
後衛から状況を観察しつつ、まずは仲間と狙いやタイミングを合わせて確実に敵の数を減らしていく。
それでも、陣形としてはきっと瞬く間に補充が入って立て直すんでしょうけど――
でも、流石に機動力ではこちらが勝るわよね?
次第に駆け回っては敵の薄くなった所を探して、仲間とも声掛けしつつその綻びに畳み掛けるように、その見事な陣形をブチ壊していきましょう!
できれば槍を突き出すその隙を、陣形の正面より側面を、上半身より足元を狙いたい。
にしても…預言者、ねぇ
亜人は間違いなく私達の敵。そうだけど――
…大局的に私達が『この戦いの先に何を成すか』そろそろ問われてるのかもしれないわね?
(でも、嫌だな)
(私はずっとこの戦争を続けていたい)
一蝶・信志
敵の攻撃にはロッドと体術で応戦
槍はまだいいけど盾は大きさと質量が厄介ね
パワー系魔法少女(?)対決といこうじゃない
…ッ、ヤダ、この子たち強いわね…!
実力と統率、両方を備えた軍団は怖いわ
しかも決死の覚悟でワタシたちを止めに来てる
ダレイオスを斃すにしてもザラスシュトラに会いに行くにしても
この精鋭部隊を切り崩さなきゃ何もできないわね
統率の取れた集団は内側から崩すのが効果的
これだけ精度の高い軍を翻弄するのは困難だけれど
やってみましょ
一角を崩すことができれば仲間が切り込む隙も生まれるはず
熱愛の契約を使用するために彼らに語り掛けるわ
こんにちは、パピー♡
なんてステキな尻尾かしら
凛々しいお顔もワタシ好み
すぐにでもこの喉に噛みつきたいって、金の瞳が訴えてくるわ
さあ、おねえさんと遊びましょ?
いい子ね、と囁いて同士討ちを誘う
すぐに“元"味方にすり潰されるでしょうけど、一瞬の隙が生まれさえすればいい
アナタたちが主の活路を拓こうとしているように
ワタシも仲間の道を作るわ
※言動は女性的
「魔法少女シンディ」として振舞う
ペルセポリス城壁の外に広がる、一面の荒野。
その地で対峙する復讐者と亜人の精鋭部隊は互いに鎬を削り合い、一層激しく戦いの火花を散らそうとしていた。
「……ッ、ヤダ、この子たち強いわね……!」
救援機動力で駆け付けた一蝶・信志(シンディ・g04443)は、油断なき眼で精鋭部隊を見遣ってそう呟く。
開幕の戦闘で多少の傷を負ったものの、敵の勢いに衰えは見られない。相手が一筋縄ではいかぬ存在であることを、信志は即座に理解した。
「ダレイオスを斃すにしてもザラスシュトラに会いに行くにしても、彼らを切り崩さなきゃ何もできないわね。……これは魔法少女シンディとして、負けられないわ!」
「本当に手強い相手よね。血路を開くための精鋭――しかも重装歩兵、その上で密集陣形まで組むって言うんだもの!」
得物のロッドを構える信志の横で、ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)が苦笑を浮かべた。
覚悟を決めた敵との死闘を幾度となく経験してきたディアナだけに、そうした手合いの厄介さは身に染みて知っている。力強さと強固な守りを備える敵の威容は、彼女から見れば戦車にも等しいものだ。
トループス級とは言え油断禁物、気を抜けば蹴散らされかねない――そう気を引き締めて、ディアナは愛用する『火砲』の砲口を重装歩兵の先頭集団へと突き付ける。
「私は後方から砲撃で援護させて貰うわ。二人とも、よろしく!」
「よろしくー! まずはあのファランクスをやっつけちゃうよ!」
ハニエル・フェニックス(第七の天使・g00897)は弾む声で頷くと、戦場の敵群を見渡した。
彼ら重装歩兵を撃破すれば、待っているのはダレイオス、そしてザラスシュトラとの対面だ。そう思えば、俄然やる気も湧くというものである。ハニエルが第一に気になっているのは預言者の存在であったが、同様の想いを抱く者が少なからずいることを、彼女は場の空気から察知していた。
(「分かる分かる。ザラスシュトラ……すっごい気になるひとだもんね!」)
敵対の意思を示すでもなく、宮殿で戦況を静観するザラスシュトラの意図は、未だ謎に包まれたままだ。
真意を明かさぬ青翼の預言者――そんな亜人への興味を今しばし抑え、ハニエルは改めて眼前の敵に意識を切り替えた。
「ここであれこれ考えてても仕方ないしね。目の前の戦いに集中しよう!」
「そうね。敵に血路を開かせはしない、ダレイオスと一緒に吹っ飛ばしてやるわ」
「魔法少女シンディの華麗な姿、その魂に刻んであげる。覚悟はいい、パピーたち?」
各々が求める場へと向かうためにも、今は戦いに集中する時。
かくして準備を終えた三人は、精鋭部隊との戦闘を開始するのだった。
ロッドを手に先陣を切った信志が、蝶のような身のこなしで突撃していく。
重装歩兵の耳目を引き付けるような華麗な足運びと共に、彼が狙うは敵の先頭集団だ。手負いの個体を優先的に攻撃し、敵の隊列を崩す――それが三人の目標であった。
(「まあ、こっちも傷は受けちゃうでしょうけど……ここは仲間たちを信じて張り切っちゃうわよ!」)
よろしくね、とディアナとハニエルとウインクを送った信志の全身から、眩い光が溢れ出た。
彼が発動するのは『熱愛の契約』――標的への情熱的な言葉で、その魂を束縛する一撃だ。深手を負った重装歩兵の一体に狙いを定め、逆説連鎖戦の力で瞬時に間合いを詰める信志。殺意を露わに身構える歩兵に微笑みを送る彼の口から、魅惑の言葉がパラドクスを帯びて紡がれる。
「こんにちは、パピー♡ なんてステキな尻尾かしら!」
『触るな、貴様……っ!?』
尾に手を伸ばす信志を串刺しにせんと、重装歩兵が槍を握る手に力を籠める。
だがそんな意思とは裏腹に、魂を束縛された彼の体はすでに指一本たりとも動かない。信志が紡ぐ情熱的な言葉はなおも止まらず、重装歩兵の魂を深く浸食していく。
「凛々しいお顔もワタシ好み。すぐにでもこの喉に噛みつきたいって、金の瞳が訴えてくるわ」
『く……来るな……!』
「さあ、おねえさんと遊びましょ? ――いい子ね」
耳元で囁く信志の言葉が、深手を負っていた亜人の魂を砕く。
泡を吹いて絶倒し、そのまま絶命する重装歩兵。心なしか恐怖にひきつっている死に顔を見下ろして、信志の口から溜息がこぼれる。錯乱して同士討ちでも望めれば上々であったが、流石にそこまでは望めなかったようだ。
何にせよ、これで敵の一角は崩れた。信志はひらりと身を躍らせ、後方のディアナへ合図を送る。
「撃破は出来たし結果オーライね。さあ、チャンスよ!」
「任せて! 皆が切り込む隙、この『Rat』で拓いてみせるわ!」
砲撃準備を完了して火砲を構えたディアナは、今こそ好機と、深手を負ったもう一体の重装歩兵を狙い定めた。
相手は強敵、ならばここは自分から進んで隙を作り出すべき――そう判断したディアナの手で、火砲が轟音を響かせる。次の瞬間、パラドクスの力で発射された砲弾が、不可思議な機動を描きながら標的の頭上めがけ降り注いだ。信志の攻撃で綻んだ陣形の僅かな隙間を塞がんと、重装歩兵が晒した刹那の隙を突くように。
「これで、吹っ飛びなさい!」
『――!!』
戦場に木霊する砲弾の炸裂音。
ダメージアップを込めて放ったディアナの一撃は、重装歩兵を木っ端みじんに吹き飛ばし、精鋭部隊の陣形をさらに削り取った。華々しい活躍よりも、敵を一体一体着実に葬る戦いを選んだディアナと信志。その成果を告げるように、亜人たちの頭上から、ハニエルの生成した槍が追撃となって次々と降り注ぐ。
「ようやくとっかかりを掴んだわね。このまま攻めるわよ!」
敵の守りはいまだ健在、本当の勝負はここからだ。
削り、穿ち、押し広げ。復讐者の勇敢なる攻勢が、血路を拓かんとする精鋭部隊をじわりと蝕み始めた。
『ディアボロスを焼き殺せ!』『何としても血路を拓くのだ!』
復讐者たちが巧みな連携攻撃を続ける一方で、重装歩兵も決死の反撃を負けじと繰り出し続けていた。
信志を狙って放たれる、盾の熱線照射。ディアナとハニエルめがけ繰り出される、伸縮自在の長槍による刺突放電攻撃。その圧倒的火力は精鋭の名に恥じないものであり、強大な圧力を帯びて復讐者を退けにかかっていた。ダレイオスを守り、リグ・ヴェーダへ向かう――そんな不退転の決意を胸に、彼らは戦っているのだ。
だが、決意を抱くのは復讐者たちもまた同じ。
「アナタたちが主の活路を拓こうとしているように、ワタシも仲間の道を作るわ!」
信志はロッドと体術を駆使しつつ、頑丈な肉体で敵の熱戦を受け止める。これぞパワー系魔法少女の面目躍如とばかり、しっかりと大地を踏みしめた彼の足は、一歩も後方に下がることは無い。それを可能にしているのは三人の連携と、そしてガードアップの防御力上昇によるものだ。
防御、攻撃、そして命中。それらに上昇をもたらす効果を用意して臨んでいた三人は、精鋭部隊との攻防で浅くない傷を負いつつも、着実に彼らと渡り合う力を付けつつあった。
「たいしたパワーだけど……! このくらいで、私は倒れないわよ!」
「そうそう! ディアボロスの底力、バカにしないでよね!」
ディアナとハニエルもまた、闘志を燃やした双眸で重装歩兵を睨み、威勢よく啖呵を切ってみせる。
ガードアップを始め、自分たちが重ねた残留効果は、これから戦う仲間たちの大きな力となってくれるだろう。亜人には決して持ち得ぬ、次へと託す力。それがダレイオスを討つ一助となることを願いながら、敵の反撃を凌ぎ切ったディアナはなおも火砲の砲撃を敵陣へと見舞い続けた。
「そこ、逃がさないわよ!」
『……っ!』
縦横無尽に戦場を駆けてディアナが放つ砲弾は、放たれるたびに精鋭部隊の隊列へ深々と突き刺さった。
パラドクスの応酬が続く中、傷だらけの体を叱咤して放つ彼女はなおも攻撃を続けていく。この先に待つダレイオス、そしてザラスシュトラと対峙するためにも、ここで退くことなど許されない――そう自分自身を鼓舞しながら。
(「にしても……預言者、ねぇ」)
絶え間ない攻防を繰り返す中、ふとディアナの脳裏に浮かぶのは、ザラスシュトラの存在であった。
亜人たる彼の存在が、復讐者の敵であることは疑いの余地がない。だが同時に、ディアナは考えてしまうのだ。自分たちがこの戦いの先に為すか、そろそろ問われているのかもしれないと。
(「でも、嫌だな。私は……ずっとこの戦争を続けていたい」)
甘い感傷と暗い歓喜の混じった感情を噛み殺し、ディアナは戦場を見遣った。
敵の抵抗はなおも熾烈だ。並のトループス級――否、アヴァタール級ですら蒸発を免れぬであろう火力に曝されながら、その陣形は未だ乱れを見せていない。断片の王イスカンダルに次ぐ実力者のダレイオス、その彼が従える精鋭も並ではないということだろう。
だが、そんな敵の耐久とて無尽蔵ではあり得なかった。
「……見えた! 大事なのはタイミング……今っ!」
敵との攻防を続けるハニエルの眼が捉えた一筋の光。それは、命中アップの効果が幸運にも発動した瞬間だった。
考えるよりも先に手をかざした彼女の頭上、虚空に出現したのは禍々しい空気を帯びた槍だ。かつてハニエルが食らったアークデーモンの得物だったそれの穂先が重装歩兵たちを捉え、パラドクスを帯びて放たれる。
「伸ばしてくるならこっちは飛ばしてやるもんね! くらえっ、アンホーリー・スティング!」
石弓から放たれた矢の如き勢いで槍が発射され、重装歩兵たちを捉えた。
命中アップの光が導いた先は、敵が構えた盾の守りを巧妙に潜り抜け、その肉体へ牙を剥く。深手を負って苦悶の呻きを洩らす精兵たち。そんな彼らに、ハニエルは溢れんばかりの闘志に満ちた声で、叩きつけるように叫ぶ。
「電気は我慢しなきゃだけど、槍の扱いなら私だって負けないんだからね!」
本当の死闘はこれからだと告げる、ハニエルの不敵な微笑み。
ペルセポリス脱出を目論む亜人の意思を断ち切るように、槍の穂先が鎧もろとも重装歩兵たちの心臓を貫いた。
善戦🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【コウモリ変身】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【傀儡】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
凍雲・雪那
いよいよ、ベルセポリスも最終決戦、だね。
……預言者が何を企んでるのか、気がかりではある、が。
それよりもまず、ダレイオスだね。イスカンダルを捨て、尚も蹂躙を為すと?
そうか、そうか。そんなに死にたいか、薄汚い亜人め。
決死隊。所詮トループス級風情と、侮れる相手でもない、だろうね。
しかし、哀れなものだ。お前達の命は、蹂躙戦記の為では無く、一ジェネラル級の、『敗走』の為に消費されるのだから。
そんな事を、挑発めいて言ってみようか。
まあ、奴らがダレイオスに従えられてる以上、意味の無い煽り、だけど。
連携重視、味方の動きに合わせて行こうか。
遠距離からパラドクスを放ち、敵部隊を凍てつく吹雪で呑み込むよ。
手前側の勢いをより強くなるよう調整。突破しようと無理して突出した奴ほど、より冷たく無慈悲な抱擁を受ける、なんてね。
……これで、一手。
【能力値アップ】、少しでも重なってれば、決戦での力に、なる筈。
さあ、もう一歩でお前の首元に辿り着くぞ、ダレイオス。
逃げられると、思うなよ。
アルラトゥ・クリム
やっとダレイオスの喉元に、刃が届く所まで来たね…
亡命なんてさせはしない。
これまでやって来た事のツケ、纏めて払わせてやらないと。
ダレイオスの道を開き護衛する精鋭部隊か…
流石、ちょっとしたアヴァタール並の能力を持ってるね。
その突破力と連携、甘く見ない方が良さそうだ。
可能なら味方と連携して、敵を一体ずつ確実に仕留めていき
敵の連携を僅かでも崩して隙を作り
突破口をこじ開け、少しずつ敵陣を崩していく
自身は伸長する長槍を精神集中して確と観察し、その速度と軌跡を看破
躱しきれぬ分は剣形態ブレードガンで受け流し、可能なら斬り払い
身に届く穂先は防具を差し込んで防御しながら
左手甲のDEを表出させて起動、世界その物に対する侵蝕を開始
敵の因果律をハッキングし改竄する事で『存在』その物を損壊すると共に
物理的肉体を『斬撃』という形で損傷させ
物理因果双方から敵を破壊し滅していく
【能力値アップ】も、少しずつ積み上がってる。
一手ずつ着実に積み重ねていくよ。
アドリブ絡み連携歓迎・使用可能残留効果全使用
音羽・華楠
蹂躙戦記イスカンダル、ペルセポリス方面にはこれまでずっと関われずにいましたが――
……預言者ザラスシュトラのこととか、個人的にも気になる点がありますね……。
微力ながらお手伝いさせて頂きます。
ダレイオス3世脱出の為の血路を開こうとしてるということは、ホプリタイたちの意識は前へ前へと集中していってると予想します。
その分、他の方向への意識は薄くなってるんじゃないかと。
そこを突きましょう――
――《雷幻想・勇魚》!
雷の鯨の式神を招来させます。
雷鯨《勇魚》は、地中を水のように泳げる特性を持ちます。
それを活かし、地面の下を泳がせて、ホプリタイたちの足元や背後に回り込ませてそこから攻撃を仕掛けさせましょう。
予想の通り、彼らの前方以外の方向への警戒が疎かになってるなら、有効な奇襲になるはずです。
混乱も助長出来るでしょうから、他の復讐者の皆さんも攻撃し易くなると思います。
私自身は戦場全体を俯瞰出来る位置取りを心掛けて、敵の動きをしっかりと見極めて適切に《勇魚》を動かせるように意識します。
奮戦する復讐者たちの猛攻は、ダレイオス3世を守る精鋭部隊へ着実に傷を刻み続けていた。
一体、また一体と復讐者のパラドクスが重装歩兵を葬る一方、戦場には残留効果が着々と積み上げられていく。
一つ一つは、小さなものに過ぎないだろう。だが、それらはいずれ確かな結果となって勝利に繋がることを、復讐者たちは誰もが理解していた。
「やっとダレイオスの喉元に、刃が届く所まで来たね……」
そして今。後に続く仲間たちの更なる一助となるべく、アルラトゥ・クリム(現代の魔法使い・g05088)は眼前に広がる戦場の光景を凝視していた。
そこに映るのは、いまだ健在を誇る重装歩兵の隊列だ。幾度にも渡って行われた戦闘によって頭数こそ減りつつあるが、その士気がいまだ健在なのはアルラトゥにも一目で分かる。主君であるダレイオス3世を逃がすため、彼らは文字通り決死の覚悟で臨んでいるのだろう。
「ダレイオス子飼いの精鋭部隊か……これは、甘く見ない方が良さそうだ」
これまで攻撃に参加した復讐者は総勢四名。並のアヴァタール級であれば撃破可能な規模の戦力に曝されながら、いまだ堅牢な守りを維持する敵の練度は相当なものだ。その突破力と連携は、今なお続く熾烈な戦いの景色が雄弁に物語っている。
「けど、亡命なんてさせはしない。これまでやって来たことのツケ、纏めて払わせてやらないと!」
この戦いは復讐者にとって、ペルセポリス攻略の総決算だ。
決して負けられない戦いだけに、アルラトゥの戦意はいつにも増して高い。これより始まる激戦の予感に武者震いを覚え
つつ、隣に立つ音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)もまた頷きで応じる。
「……預言者ザラスシュトラのこととか、個人的にも気になる点がありますし……微力ながらお手伝いさせて頂きます!」
かつてダレイオスが治めていた大都ペルセポリス。間近で目にする都の大きさに圧倒されながら、その中枢たる宮殿に居るであろうザラスシュトラの存在に想いを巡らせる。
最初の邂逅で謎めいた言葉を残し、今はひとり宮殿で戦況を見守る青翼の亜人。その不気味さに、復讐者たちはかの者の真意を図りかねている状況だ。それは、凍雲・雪那(報仇雪恨の皓巫姫・g07783)もまた同じであった。
「いよいよ、ベルセポリスも最終決戦、だね。……預言者が何を企んでるのか、気がかりではある、が――」
そう言って言葉を切ると、雪那の眼は一点へと注がれた。
すなわち、確実に滅殺すべき対象であるダレイオスとその配下たちの軍勢へと。
(「イスカンダルを捨て、尚も蹂躙を為すと? そうか、そうか。そんなに死にたいか、薄汚い亜人め」)
復讐者にとっては等しく排除の対象となるクロノヴェーダだが、その中でも亜人へ雪那が向ける殺意はとりわけ強烈だ。
侮りを排した冷たい瞳に宿すのは、刃のように鋭い殺意のみ。撃破目標である重装歩兵の群れにその視線を投げながら、彼女が紡ぐのは痛烈な挑発の言葉である。
「蹂躙戦記の為では無く、一ジェネラル級の『敗走』の為に、命を消費される、か。哀れなものだ」
『……』
そんな雪那の舌鋒に、重装歩兵の亜人たちは一体たりとも言葉を返さず、黙殺で応じるのみ。
都を放棄してリグ・ヴェーダへ逃げる今、何を言ったところで敗者の弁に過ぎないのは彼らとて承知なのだろう。種族の傾向として知性に乏しい亜人たちだが、ダレイオスの直属ともあって、彼らは比較的ましな部類なのかもしれなかった。
「……まあいいさ、どの道、お前たちは、逃げられない。ボクたちが、殺すからだ」
淡々とした口調でそう告げて、雪那が戦闘態勢を取る。
多少の挑発に効果が無いことは百も承知。これは彼女にとって、自らの意思を示す儀式に近いものだ。
「準備は、整った。始めようか」
「手強い相手でも恐れはしません。お二人とも、宜しくお願いします!」
「よろしく。敵の守りを切り拓いてやろう!」
ペルセポリスを解放するため、自分たちの戦いを次へ託すために。
対峙する重装歩兵の軍勢を撃破すべく、三人は攻撃を開始していった。
開幕と同時、戦場を光の粒子が包み込む。
それは逆説連鎖戦を仕掛けたアルラトゥがパラドクスを発動した証だった。三人の先頭に身を躍らせ、先手必勝とばかり世界の法則を書き換え始めるアルラトゥ。能力値アップで強化を受けた彼女が掲げるのは、左手甲の魔導触媒だ。
「因果律演算、共振開始……今、そこに自分が存在する事が。当たり前の事だと……思わない方が、良い」
ハッキングツール『Dimension Eater』がパラドクスに共鳴し、世界の浸食・干渉を開始。
続けざま、アルラトゥは魔術デバイス『ワイズブレードガン』を長剣形態へ変形させると、手負いとなった最前列の重装歩兵めがけて跳躍。大上段からの斬撃を叩きつける。
『ふん、この程度――!?』
分厚い盾を掲げて斬撃を受け止めたかに思えた、しかし次の刹那――余裕に満ちた敵兵の表情は瞬時に凍り付いた。
いかなる刃も通さない筈の盾が、まるで硝子のように亀裂を生じ、脆くも砕け散ったのだ。いや、盾だけではない。守りを失った彼の肉体にもまた、浴びたはずのない切り傷が刻まれていく。それはパラドクス『Akashic Zamber』が敵の因果に干渉を開始した証であった。
『ぐ、あ……!?』
「レコード把握、特定・改竄完了。……終わりだ」
アルラトゥの言葉を示すように、全身に斬傷を受けた重装歩兵が、物理と因果を断たれた骸と成り果て倒れ伏す。
次の刹那、降り注ぐのは長槍による怒涛の刺突と雷だ。アルラトゥはブレードガンを構えたまま長槍の穂先と切り結び、巧みな剣捌きで直撃を避ける。
いまだ寡勢を誇る敵を相手に、前列で剣戟の火花を散らすアルラトゥ。そこに続けと後方の雪那が敵陣に吹雪を浴びせる中、華楠もまた息を合わせて連携攻撃に動き出す。
「むむ、さすがは精鋭部隊。守りの意識が薄い場所を狙えればと思いましたが……」
彼女の見込みに反して、重装歩兵は四方への警戒を全く怠っていない状態だ。
絡め手での攻略は困難と判断を下した華楠は、方針をすぐさま正攻法へと切り替える。正面から切り結ぶアルラトゥと、上空から吹雪を浴びせる雪那。そんな両者に合わせるように彼女の視線が向いた先は、なおも堅牢な陣形を組み続ける敵の足元――すなわち『地面』であった。
「今こそ我が前に、遥か深淵より浮き上がれ。我は求め訴えたり……」
すぐさま詠唱を開始した華楠の周囲に生じるのは、眩い雷の光。
その只中からゆっくりと姿を現したのは、パラドクス『雷幻想・勇魚』が招来した巨鯨の式神だ。
「呑め、その貪欲なる顎を以って――オン・インダラヤ・ソワカ!!」
詠唱完了と同時、雷を纏った鯨が空中へ巨体を躍らせた。
陰陽木行に属する雷の術で招来した式神にとって、大気は海と同じ。そうして全身に纏う夥しい量の雷を、式神は残らず流し込んだ。重装歩兵の盾が届かない場所、彼らが踏みしめる地面めがけて――!
『ぐ、ぐおぉぉ……っ!』
「逃がしはしません、今です!」
地面を伝う電気を浴びて、重装歩兵たちが悶絶の呻きを洩らす。
雷と熱線が飛び交う中、華楠は好機とばかり式神の巨体を敵の隊列に突撃させながら、威勢よく拳を突き上げた。勢いをじりじりと増していく復讐者の攻勢。なおも盾を構えて防波堤の如く立ちはだかる重装歩兵たち。その隊列を押し込むように、三人は更なる連携攻撃を浴びせ続けていった。
「アルラトゥさん、敵の様子はどうですか?」
「いい感じだね、もう一押しだ……!」
華楠の問いかけに、敵にブレードガンを振るいながらアルラトゥは告げた。
重装歩兵の守りはいまだ鉄壁。だが、そこに生じ始めた綻びを華楠はけして見逃さない。どれほど敵が精強であろうと、耐久力が有限であることは自明の理であり、戦いの流れを変える好機は間違いなく近づきつつある。アルラトゥの後方から戦況を俯瞰する彼女は、その手ごたえを確実に感じ取っていた。
(「仕掛ける時は――今!」)
アルラトゥの斬撃がさらに激しく荒れ狂う中、息を合わせるように、華楠が敵陣めがけて式神をけしかけた。
二人の仲間に続いて敵先頭を狙い定めた雪那が、パラドクスの力で魔術を発動する。凍てつく吹雪で敵群を覆い尽くす、アイスエイジブリザードの一撃だ。ダメージアップで増幅された怒りを秘めた猛吹雪は、手負いとなった重装歩兵たちから瞬く間に体温を奪い去り、死の沼へと引きずり込んでいく。
『う……ぐ……』『ここまで、か……』
「無理して突出した奴ほど、より冷たく無慈悲な抱擁を受ける、なんてね」
一体、また一体と斃れ伏していく重装歩兵を見遣りながら、氷のように冷たい声で雪那は告げた。
亜人たちも復讐者も、これは互いに退く道のない死闘だ。
同時に雪那は知っている。自分が打ったのは勝利のための本当に小さな一手に過ぎない。だが、それはダレイオスという首魁を討つ力に間違いなく変わり得る。そう信じて、彼女は戦場に立っていた。
「――よし。やったぞ」
果たして、雪那の覚悟が実ったように。
華楠の、アルラトゥの、そしてハーリスの、信志の、ディアナの、ハニエルの想いが届いたように。
パラドクスの吹雪は、仲間たちが積み重ねてきた猛攻の最後の一手となって、重装歩兵の隊列に大きな穴を穿っていく。それはまさに、ペルセポリス解放を巡る戦いの勝利に、復讐者が一歩進んだ瞬間であった。
「さあ、もう一歩でお前の首元に辿り着くぞ、ダレイオス。――逃げられると、思うなよ」
軍勢の彼方、未だ見えぬ王に向かって告げる雪那。
かくして三人が託すバトンを受け取って、次なる復讐者が敵陣へ殺到していく。精鋭部隊を蹴散らし、今こそダレイオスの首級を挙げるために。
善戦🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【使い魔使役】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV2が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
エイレーネ・エピケフィシア
愛するクロエ様(g08917)をディフェンスし共闘
ダレイオスが王を見限り、ザラスシュトラも独自の思惑で動き出しましたか
最強格のジェネラル級と不可解な預言者……そして彼らへの道を阻む兵達は敵の最精鋭と見えます
此度も共に困難を乗り越えましょう。クロエ様!
前衛として≪神護の輝盾≫で自身とクロエ様の身を護り、彼女が術を紡ぎやすい状況を作ります
互いにトドメを刺せなかった敵には追撃をかけ、確実に数を減らしましょう
盾を構えた堅守の姿勢を維持しつつ、片手では≪神護の長槍≫を突き出し『光輝迸る浄化の刃』を発動
強い貫通力を備えた破壊光線で前列の敵を穿ち、その背後にいる更に1体までも貫きます
前列から後列に向けて敵群を掘り進むように攻め立てて突撃陣形を攪乱
クロエ様の怪物や仲間達の技が敵陣の内側を蝕む余地を作りましょう
反撃の熱線には、槍先から放つ≪神威の光≫をぶつけての相殺や盾を構えての防御で対処
熱線の切れ目を見計らい、【先行率アップ】を受けて再び攻勢に転じます
長らく繋ぎ続けた戦いです。ここで終わらせはしません!
クロエ・アルニティコス
愛するエイレーネ(g08936)をディフェンスし、共に戦います
忠誠心はともかく、ディアドコイ評議会へと名を連ねるその実力は本物。
セレウコスとの戦いと同じく、厳しいものになるでしょうが……えぇ、あなたの道行きは私が照らします。エイレーネ。
後衛で魔術を詠唱し【タロース・オフリス】を使用。
タロースを象った植物の怪物を作り出します。
エイレーネと標的を合わせ、確実に敵の数を減らすことを意識し戦闘。
敵は退路を開くため、死に物狂いで来るでしょう。
勢いに押されぬように、飲まれぬように。
タロースの拳で敵を焼くとともに殴りつけ、敵の突撃を受け止めるのではなく押し返すつもりで攻撃を仕掛け、エイレーネが陣形を穿っていればそこから更に被害を広げていきます。
【ダメージアップ】で早期の撃破を狙い、数に勝る敵の優位を消し去るように。
足並みを乱すべく敵の前衛へは【泥濘の地】も使用。少しでも陣形を乱れさせます。
反撃の伸びるサリッサと電撃はエイレーネと共に戦い、包囲をされないようにしつつ、伸びる槍を三相の杖で打ち払い防御を。
復讐者と精鋭部隊。対峙する両者が果たすべき勝利は、いずれも極めてシンプルなものであった。
前者は敵将であるダレイオスの退路を断つこと、後者はその将が逃亡する血路を拓くこと。
大都から逃れんとする亜人の退路を断てるか否か――ペルセポリスの地を舞台とする復讐者たちの死闘は、いよいよ佳境を迎えようとしていた。
「ダレイオスが王を見限り、ザラスシュトラも独自の思惑で動き出しましたか……」
エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は戦場の彼方に視線を向け、憂いを帯びた声で呟いた。
精鋭部隊を率いるダレイオスの姿は、ここからは見て取れない。復讐者の出現は既に伝わっているだろうが、そう軽々に前線に出てくる気は無いということだろう。
「最強格のジェネラル級と不可解な預言者……そして彼らへの道を阻む兵たちは敵の最精鋭と見えます」
戦場に視線を戻して呟くエイレーネの言葉が示す通り、重装歩兵で構成された精鋭部隊はいまだ士気を保ったまま、血路を拓かんと奮戦を続けている。
とはいえ、復讐者たちの攻撃に曝され続けたことで、その陣形は着実に崩壊の兆しを見せつつあった。その陣形に今こそ決定的な楔を打ち込むべく、エイレーネは凛とした声で告げる。
「ここで立ち止まる訳には参りません。此度も共に困難を乗り越えましょう。クロエ様!」
「えぇ、あなたの道行きは私が照らします。エイレーネ」
愛する相手の秘めたる決意を感じ取り、クロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)はしっかりと頷きを返した。
対峙する精鋭部隊の撃破は、クロエにとっては既に前提である。彼女の眼はエイレーネと同様、すでにその『先』を見ていた。すなわち、護衛を連れてリグ・ヴェーダへ逃れんとするダレイオス3世との戦いを。
(「ダレイオス……忠誠心はともかく、ディアドコイ評議会へと名を連ねるその実力は本物。セレウコスとの戦いと同じく厳しいものになるでしょうが……」)
激闘の予感と、亜人への憎悪に身を焦がし、クロエは心を鎮めるように拳を握る。
いかなる強敵が相手でも恐れはしない。愛するエイレーネと共に、必ずダレイオスを撃破する――その覚悟を胸に、彼女は戦場に立っているのだから。
求めるのは勝利の二文字のみ。かくして二人は互いへの信頼と愛を胸に、戦いへ身を投じていった。
亡命の血路を切り拓くため、突撃陣形をとって復讐者を圧し潰さんと迫る精鋭部隊。
その最前列めがけ、エイレーネが仕掛けたのは真正面からの堂々たる攻撃であった。
「クロエ様、いざ進みましょう!」
「えぇ。行きましょう、エイレーネ」
『小癪な!』『踏み潰してやる!!』
『神護の輝盾』を構えて先導するエイレーネの前方から、長槍と盾で武装した重装歩兵の集団が迫る。復讐者の度重なる攻撃にもいまだ士気を損なうことなく、その気迫は更に増している様子だ。のしかかる圧を跳ね除けて、エイレーネは堅守の姿勢を維持。『神護の長槍』を突き出し、繰り出すのは『光輝迸る浄化の刃』の一撃であった。
「聖なる光よ、穢れし者どもを清めたまえ!」
内なる魔力が励起すると同時、長槍の穂先が重装歩兵を捉える。
敵の陣形を切り裂くように、エイレーネの構える長槍が一直線に突撃を開始した。刺突と光線の二弾攻撃で敵を葬る必殺のパラドクスは、最前列の一体を串刺しにしてなお止まらず、螺旋状の破壊光線を後列の敵めがけて放つ。先頭の重装歩兵を光の粒子に変えて葬り去ると、反撃で降り注ぐ熱線を受け止めながらエイレーネは叫んだ。
「クロエ様、今です!」
「――種子に宿るは我が憤激、芽吹け『タロース・オフリス』!」
エイレーネの合図に、クロエが阿吽の呼吸でパラドクスを発動する。
蜂蘭の球根に魔力と怒りを注ぎ込み、狙うはエイレーネの破壊光線で負傷した重装歩兵がいる敵陣内側だ。芽吹いた球根は巨人『タロース』を象った怪物に変じ、両腕で間近な敵を無造作につかみ寄せる。その巨体から生じる高熱で、捉われた兵士たちはたちまち肉体を焼き焦がされ始めた。
『ぐっ……あぁ!!』『……が……!』
「効果が薄いせいか、泥濘の地の効き目は今一つの様子ですね……構いません、このまま攻撃あるのみです」
二体の重装歩兵を黒焦げの骸に変えて、巨人はなおも止まらない。
槍を突き出すエイレーネと共に敵陣で暴れる姿は、さながら火の玉のごとく。手にした三相の杖で反撃の槍と撃ち合いを演じながら、クロエは次なる球根に力を注ぎ始めた。
エイレーネとクロエ、二人の攻撃によって敵の陣形はみるみる綻びを見せ始めた。
総勢九名の復讐者による攻撃に幾度も晒されて、重装歩兵に蓄積されたダメージは限界に近付きつつあるようだ。そんな敵を今こそ崩壊に導くため、守護者と魔女の攻撃はいっそう激しさを増していく。
「そこっ!」
エイレーネの長槍による刺突と、そこから発射される破壊光線は、発動の度に重装歩兵に傷を刻んだ。
息を合わせ、生じた間隙にクロエが投擲した球根は灼熱の巨人に変じ、エイレーネが討ち洩らした敵を着実に葬り去っていく。その間にも歩兵が繰り出す反撃は、なおも勢いを保ったまま二人を捉えるが――どれほど傷を負おうと、彼女たちの歩みが止まることはない。
エイレーネとクロエの猛攻は巨石に打ち込む楔にも似て、敵の陣形をこじ開け、崩壊へと導いていく。それは正に、精鋭部隊との戦いの主導権を復讐者たちが掌握した瞬間であった。
「やりましたね、エイレーネ。このまま攻め続け、亜人どもを皆殺しにしましょう」
「ええ、クロエ様。長らく繋ぎ続けた戦いです、ここで終わらせはしません!」
敵の熱線が止むと同時、エイレーネは傷だらけの体を叱咤して、なおも敵陣を撹乱すべく切り込んでいった。
多少の傷など構いはしない。攻めて、攻めて、攻め続け――その先に待つ勝利を掴むため、今はただ戦う時。
かくして、突き破る光槍と、灼熱の巨人は、更なる破壊と殺戮をまき散らし続ける。その先に待つダレイオスとの死闘、そして預言者ザラスシュトラとの邂逅に至る道を切り拓くために。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!
九十九・静梨
※連携アドリブ歓迎
遠目からもわかる強靭な肉体
逃走しているからと揶揄などできませんわね
あれは逃走ではなく別地で新たな蹂躙をする為の前進
ならばこそ、絶対に進ませる訳にはいきませんわね!
まずは決死隊
その役目は果たさないで頂きます!
遠距離からパラドクスを発動
オーラ操作で全身の闘気を複数周囲に闘気弾として高威力に圧縮
拳や蹴りでの強打する連劇で砲撃のように次々発射
着弾すると爆破しその勢いで周囲を吹き飛ばし陣形や戦列を乱し他の味方の攻撃をしやすく撹乱しますわ
【ダメージアップ】で破壊力も上げます
ダレイオスの強靭な肉体を砕くにはパワーを今から溜めませんと
反撃のアスピダテアはまだ周囲に残した闘気弾を熱戦へと強打発射し迎撃することで威力減衰や軌道の逸らしを狙ったり
装備した螺旋砕腕や魔晶刃腕を魔力付与で強化しての防御で急所直撃を回避しますわ
味方と連携し敵に囲まれ過ぎないよう足を止めない動きに留意
決死隊として道を開こうとするその意志と精鋭たる実力は正に見事
しかしその道をわたくし達もまた絶対通す訳にはいきませんわ!
ジズ・ユルドゥルム
預言者ザラスシュトラ…。一度目の邂逅では、共闘の未来があるか決めるのは私達だと言っていた。
奴はそれを、自分の命を使って問うことを選んだか。
ならば。私も答えを選び、奴に届けなければならないな。
ともかく、今はダレイオスとの戦いに集中しよう
敵は決死の精鋭部隊…。まともに相手をしては集団で狩られかねないな
「炎天の巡・旋」を起動
奴らは亜人にありがちな連携不足も克服しているだろう
まずは最も厄介であろう、敵同士の連携を妨げたい
【先行率アップ】の追い風で先制攻撃を狙いつつ、敵陣へ斧を投擲。
連携を断つべく、敵同士を分断するように炎を巻き起こす。
さらに斧を手元へ戻すと同時、
分断された敵へ即座に斬撃を叩き込み、着実に傷を与えていく。
敵が連携を取り戻す前に、再び炎風で敵陣を搔き乱し、分断を狙い続けよう。
敵の連携を妨害した上で、こちらは仲間との連携を密にし
弱った敵や孤立した敵へ、味方が攻撃を集中できるように声を掛ける
敵の反撃は、完全には防げずとも
斧で槍を打ち払い、刺突後の放電までまともに喰らうのだけは防ぎたい
『ぐ……っ、まだまだ!』『血路を切り拓け! ダレイオス様の道を!』
復讐者の猛攻によって隊列の崩れた精鋭部隊は、なおも戦意を奮い立たせて戦場に立ち続けていた。
主たるダレイオスのために命を賭して戦う彼らだが、九人を数える復讐者の攻撃に晒され続けたことで、さしもの勢いも陰りが見えつつある状況だ。その好機を逃すことなく、九十九・静梨(魔闘筋嬢・g01741)はこれより戦う敵部隊の面々をまじまじと見澄ました。
「遠目からもわかる強靭な肉体……! 逃走しているからと揶揄などできませんわね!」
思わず敵の筋肉に向かいそうになる目線を、慌てて敵群へと向ける静梨。
度重なる戦闘を繰り返したことで、今や彼らの多くは手負いとなっている。状況が復讐者側の優勢であることは、もはや火を見るよりも明らかであった。
敗走する軍勢――と言葉で言えば哀愁を誘うが、かの軍勢の目的は第一に蛇亀宇宙リグ・ヴェーダとの合流だ。そうして望みを果たした暁には、彼らは亜人として再び蹂躙の日々を繰り返すことだろう。それを許す気など、静梨にも、仲間たちにも存在しない。
「逃走ではなく別地で新たな蹂躙をする為の前進……ならばこそ、絶対に進ませる訳にはいきませんわね!」
全身の筋肉を鎧のごとく膨らませ、静梨が戦闘態勢を取った。
その横で息を合わせるように斧を構え、ジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)はペルセポリスの城壁を見遣る。
(「預言者ザラスシュトラ……。一度目の邂逅では、共闘の未来があるか決めるのは私たちだと言っていた」)
城壁に程近い場所に設けられた彼方の幽閉塔に、預言者の気配は最早ない。都の全権を託された彼は、今頃宮殿でジズらを待っているのだろう。ペルセポリス撤退前に復讐者の真価を見定めるべく、己が命を試金石にして。
(「ならば。私も答えを選び、奴に届けなければならないな。ともかく……」)
ジズは無言のまま、塔に向けた視線を前方の敵群へと移す。
今はまず、ダレイオスの軍勢との戦いに集中すべき時だ。追い詰められつつあるとはいえ、敵は決死の精鋭部隊であり、間違っても油断など出来る相手では無い。
「敵は連携に優れるタイプ……陣形こそ崩れたとはいえ、まともに挑めば集団で狩られかねないな」
いまだ抵抗を続ける重装歩兵を前に、ジズが得物の斧を構える。
それを見て取り、静梨が無言で合図を送った。敵の撹乱は引き受ける、存分に暴れてくれ――そう告げる合図であった。
「彼らを逃がす訳にはいきませんわ。ひとつ、派手に暴れるといたしましょう!」
「頼りにさせてもらうよ。……では、始めるか」
戦場を、一陣の風が吹き抜けていく。
それは先行率アップの効果を受けた静梨が、先手を取って攻撃を仕掛けた瞬間であった。
「決死隊。その役目は果たさないで頂きます!」
静梨が繰り出すのは、闘気を駆使した遠距離からの攻撃だ。
手負いとなった重装歩兵を狙う彼女の周囲に、球形の闘気が次々に展開されていく。オーラを圧縮して発射する必殺技、『闘筋技・気力玉千本打』のパラドクスだ。隆々たる筋肉に包まれた手足をもって、闘気弾が砲弾さながら敵群へ次々発射されていく。
「九十九家家訓! 『馳走する時は盛大に』! 我が気力玉、筋肉でもって存分に味わいなさいませ!」
多数の標的を狙える闘気弾の弾幕は、敵を撹乱するにも最適だ。
ダメージアップを秘めた猛攻に曝されて、隊列を乱した重装歩兵が次々に粉砕されていく。静梨は金属バットめいた強度を誇る手足でなおも敵陣に闘気を叩き込みながら、ジズに合図を送った。
「今ですわ。存分に暴れて下さいませ!」
「心得た。このまま敵を一網打尽にしてやろう」
静梨に続くように、一気に敵群へ肉薄するジズ。
闘気弾を浴びて一体また一体と斃れていく重装歩兵の前列を捉えると同時、彼女が発動したのは『炎天の巡・旋』の一撃であった。鷹のジン「ケレイ」を憑依させた斧が食らいつき、荒れ狂う炎風をもって敵を玩具のように大空へと巻き上げ、焼き焦がす。その凄まじい攻勢によって、もはや重装歩兵は連携しての反撃も困難な状況であった。
『ぐあぁ……っ!』『くそ、このままでは……!』
風が荒れ狂うたび、焼き焦がされた重装歩兵たちの断末魔が響く。
最初の戦いで鉄壁を誇った敵の守りは、今や復讐者の猛攻を浴び続けて完全に崩壊している。それでも士気の高い歩兵はその場に踏みとどまり、復讐者を葬り去らんと死に物狂いの反撃を続けていた。もはやペルセポリスにすら退けない彼らにとって、この戦場はまさに死地なのだ。
「静梨、そちらは平気か!?」
「ええ、問題ありませんわ!」
重装歩兵の盾から照射される熱線を螺旋砕腕で防ぎながら、静梨が堂々と笑う。
間を置かず、熱線と入り混じるように飛び交う闘気の弾が、いよいよ勢いを増し始めた。怒涛の如き勢いの攻撃に一体、二体と先頭の歩兵が斃れていく。そうして生じた隊列の綻びめがけ、ジズは手元に戻った斧を振りかざすと、一気に突撃を開始した。
それは、一切合切を掃いて除ける箒のように、敵の部隊を鮮やかに排除していく。
炎風を巻き起こして荒れ狂う斧は、なおも留まることを知らず、ジズの復讐心を帯びて戦場で荒れ狂い続けた。
ペルセポリスの城門に向けてじわじわと進み始める復讐者たち。
今や明白に敵を圧倒しつつある彼らの猛攻は、精鋭部隊との戦いが決着を迎えつつあることを物語るものであった。
「決死隊として道を開こうとするその意志と精鋭たる実力は正に見事。しかし……!」
小勢をかき集め、なおも抵抗を試みる敵兵を前に、静梨は毅然と胸を張ってみせる。自分たちがいる限り、ダレイオスの逃亡は許さないと告げるように。
「わたくしたちもまた、この道を! 絶対譲る訳にはいきませんわ!」
『そうはいくか……! ダレイオス様のために死ね、ディアボロス!』
刻々と勝機が失われゆく中、なおも死に物狂いで得物を構える精鋭部隊。
進むか、死か――残された二つの道を示されて、彼らは進むことを選んだ者たちだ。最後の一体まで抵抗を続ける意思を露わにする重装歩兵たちへ、ジズは静梨と共に更なる攻撃を浴びせていく。
その激闘を物語るように、二人の体は傷だらけ。だが、その程度構いはしない。討つべき敵は、もう手が届くところまで迫りつつあるのだから。
「さあ――後は蹴散らすだけだ。行くぞ、皆!」
ジズの声が鼓舞の響きを帯びて戦場に木霊する。
蹴散らされゆく重装歩兵を飲み込んで、復讐者たちはいよいよ首魁の下に迫ろうとしていた。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【建造物分解】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【先行率アップ】がLV3になった!
旗楽・清政
【翠緑の師弟】
いよいよ、ダレイオスを討ちペルセポリスを解放すると言う、
過日の宣言を果たす刻が来たでござるな。
ザラスシュトラなる者が後を任されたようなれど、
此処を死守するつもりがないならば、眼中になし。
それがしが目指すはただ一つ、ダレイオスの首級ぞ!
ダレイオスがリグ・ヴェーダに降らんとするは、
戦国乱世に生きるそれがしとしては、わからぬでもない。
それ自体を責めるつもりはなけれど、かつての言を虚言にされるわけには行かぬでな。
何としても、此処で討ち果たす!
さて、此度はダレイオス戦に備え、敷いておく残留効果も考えねばならぬ。
なれば、まずエスメラルダに仕掛けさせ、
次いでそれがしが家臣団突撃で畳みかけると致そう。
最後に、嘉内が動くと言う寸法よ。
これで、【ガードアップ】【命中アップ】【ダメージアップ】を
一つずつ敷けるでござるな。
此奴等を全滅させられれば良いが、仕留め残しが出るも想定内。
そうなったらば…それがしらが今一度仕掛ける必要も、なさそうでござるな
(この場に現れた他の復讐者達の姿を確認して)。
エスメラルダ・リベロ
【翠緑の師弟】
(常時軍人モード)
ダレイオスとの決戦とあって、清政殿も随分と気炎を吐いている様だ。
私も、防衛部隊撃破のためにあんな露出の高い格好までしたのだからな。
此処で、最後の詰めを誤るつもりはないよ。
それで、今回はまず私が仕掛けるのだな。
ならば、肥後の火力を存分に…って、
今回使うのはハイメガ・デリシャス・キャノンなのか?
ふむ、ダレイオス戦に備えて敷いておきたい残留効果を優先すると。
わかった。清政殿の判断に従おう。
精鋭部隊だろうが重装歩兵だろうが、邪魔するなら蹴散らすまで。
受けろ! 美味による歓喜により身体に漲りし、気力と活力によるこの一撃!
ダレイオスが逃亡する血路など、拓かせはせんよ!
此処を通りたくば、私達を斃してから進むのだな!
早速、【命中アップ】【ダメージアップ】も駆使して、
直撃とそれによる大ダメージを狙うぞ。
さて、この一撃を受けたならば、流石に奴等も乱れているだろう。
清政殿、畳みかけるのは任せたぞ。
反撃に対しては、【ガードアップ】も頼りにしつつ
緑の大盾と肥後の艤装で受け止めるさ。
旗楽・嘉内
【翠緑の師弟】
ダレイオスとの決戦とあって、御先祖が燃えてるなぁ。
エスメラルダさんもやる気満々だし。
オレも、防衛部隊を誘い出すためにあれこれやったし、
それを有終の美で飾るためにも頑張るかね。
「ツアラトゥストラはかく語りき」なんて本や曲があるくらいだし
ザラスシュトラに話を聞いてみるのは面白そうなんだけど、
さすがに新参のオレが出張ることじゃないな。
御先祖もアウトオブ眼中のようだし、ダレイオスの撃破に専念するか。
で、今回はまずエスメラルダさんが仕掛けて、御先祖が畳みかけてとなると、
オレが緑翠蝗で…じゃなくて、今回はエメラルドの翼なんです?
あれ、単体攻撃だから殲滅効率が悪いと思うんですけど?
はぁ、殲滅効率よりも残留効果を優先すると。
なるほど、オレ達以外の復讐者が来てるなら、多少殲滅効率が落ちても問題ないか。
――了解。なら、トループス級1体には過剰な威力だろうが、エメラルドの翼で攻撃だ。
反撃はないにしても、まだ残ってる奴からの攻撃は来そうだな。
【ガードアップ】とマジックシールド、翠緑天鎧で耐えるぜ。
ダレイオス3世配下の精鋭部隊を、ついに壊滅寸前に追い込んだ復讐者たち。
激戦に次ぐ激戦で敵陣形を崩壊させた今、彼らの優位は決定的なものとなっていた。
だが、戦いの流れが決してなお重装歩兵の抵抗は執拗だ。生存者をかき集め、急ぎ陣形を組み直さんと足掻く様は彼らがいまだ勝利を諦めていないことを物語る。
『戦え、最後の一兵まで!』『ダレイオス様のために!』
不退転の決意で戦う精鋭部隊の姿は、もはや悲壮ささえ感じさせるものだ。
だが、ペルセポリス解放のためにも、彼らを見逃す選択肢などは端から存在しない。かくして、最後の一兵まで殲滅する決意を胸に、戦場に駆け付けた旗楽・清政(知勇兼備の昼行灯・g08816)は誓う。この戦を制し、ペルセポリスの支配者であったダレイオスの喉元に、必ずや刃を突きつけてやると――!
「……いよいよ、過日の宣言を果たす刻が来たでござるな」
開け放たれた大都の門を見澄まして、清政は感慨を込めて呟いた。
ダレイオスの撃破、そしてペルセポリスの解放――かつて同地の作戦で行った宣言を果たす、これは総決算とも言うべき戦いだ。その戦場に立つ彼が、刃のように鋭い視線を向けるのは、精鋭部隊の奥に控える『将』の居所のみ。ペルセポリス制圧の障害となり得ぬ預言者の存在を、清政は元より眼に入れていなかった。
(「凋落の一途を辿るイスカンダルを見限り、リグ・ヴェーダに降る……戦国乱世に生きるそれがしとしては、ダレイオスの行動も分わからぬでもないが……」)
勝てる勢力への鞍替えという行為自体を責める意図は、清政にはない。
だが同時に、彼がかつて口にした、ダレイオスを討つという言を虚言とする訳にはいかないのも事実であった。復讐者として、乱世の武将として、そこは清政にとって絶対に譲れぬ一線である。
「目指すはただ一つ、ダレイオスの首級ぞ! 何としても、此処で討ち果たす!」
そう告げる清政の背後で、彼の弟子たちもまた、志を同じくするように頷いた。
「承知しているとも。此処で、最後の詰めを誤るつもりはないよ」
重装歩兵への攻撃準備を終えて、エスメラルダ・リベロ(蒼海に輝く翠緑・g10981)は決意を宿した声で言った。
彼女の脳裏に蘇るのは、ペルセポリス包囲作戦での一幕だ。防衛部隊を撃破するため、派手な踊り子の恰好までした甲斐があったと、この場に立った今は思う。
「重装歩兵たちに勝利し、次の戦いに繋げねばな。全力で臨ませて貰う!」
そう言って闘志を燃やすエスメラルダの隣には、姉弟子である彼女と、師匠である清政を交互に見つめる旗楽・嘉内(フルアーマーウィザード・g11216)の姿があった。
「御先祖が燃えてるなぁ。エスメラルダさんもやる気満々だし」
他の二人同様、彼もまたペルセポリス包囲作戦に参加した復讐者の一人だ。
縁のある地を巡る戦いを、そしてジェネラル級との決戦という初舞台を、ともに有終の美で飾るために。ここはひとつ、常以上に頑張らなければ――そう思い、気を引き締める。
「じゃあ、行くか。二人とも、よろしく!」
「ああ。亜人の精鋭部隊、残さず殲滅してみせよう」
「良き覚悟だ。ではエスメラルダ、嘉内! いざ参らん!」
清政の声を嚆矢に、二人の弟子たちが動き出す。
ダレイオスを守る精鋭部隊を今こそ撃破するため。そして――その戦果を、勝利の二文字で締めくくるために。
清政、エスメラルダ、そして嘉内。三人の復讐者が、満身創痍の精鋭部隊めがけて疾風の如き勢いで殺到していく。
もはや陣形を完全に崩し集団での攻防もままならぬ敵へ、三人がすべきことは只一つ。すなわち全力を駆使した正面からの正攻法で、最後の一兵まで叩き潰すことであった。
「ダレイオスが逃亡する血路など、拓かせはせんよ! 運が悪かったと思い、観念するのだな!」
戦意を露わに叫び、最初に仕掛けたのはエスメラルダであった。盾に力を注ぎ始めた重装歩兵を狙い定め、彼女が懐より取り出したのは使い慣れた得物にあらず。
それは、大きな一杯の丼――そう、丼であった。
縁からはみ出す分厚く四角い衣、そこに染み込んだ汁と半生の卵は、丼の中身がカツ丼であることを物語る。
およそ殺し合いの場には場違いな代物であるが、エスメラルダは至って大真面目だ。なぜならそれは、彼女のパラドクス『ハイメガ・デリシャス・キャノン』の発動を告げる証なのだから!
「精鋭部隊だろうが重装歩兵だろうが、邪魔するなら蹴散らすまで!」
逆説連鎖戦の開始と同時、時間の流れが極限まで鈍化する。
槍を構えた重装歩兵が亀のごとき歩みで迫る中、エスメラルダは手にした丼の蓋を開けて、カツ丼を豪快にかき込んだ。
分厚い肉、卵と汁が染みた衣、そして熱々の白米。それらが今、余すことなくエネルギーに転換されて、エスメラルダの口から輝く光条となって迸る。
「受けろ! 美味による歓喜により身体に漲りし、気力と活力によるこの一撃! 美ーー味ーーいーーぞーーぉ!!」
白色の光条が、重装歩兵を次々と薙ぎ払う。
一見すればコミカルに見える攻撃だが、ダメージアップを帯びた一撃が誇る威力は極悪の一言だ。さらには、残留効果に積み増したガードアップの力は彼女の守りを一層増して、反撃で降り注ぐ熱線の威力を削ぎ落していく。海戦装の砲撃では無く、あえてこのパラドクスを選んだのも、すべては決戦に向けた布石のためであった。
「清政殿、畳みかけるのは任せたぞ!」
崩壊した陣形に、とどめの如く降り注ぐ猛攻撃。
手負いとなった重装歩兵たちを薙ぎ倒しながら、エスメラルダが後方へ合図を送ると同時――清政と、そこに続いた嘉内が、一気呵成の攻撃を開始していった。
『ぐ、ぐぐっ……!』『我らが、このような所で……!!』
復讐者の攻撃に怯むことなく戦い続けてきた精鋭部隊も、ここに至り状況の詰みを悟らざるを得ない様子であった。
今この瞬間に至るまで耐え抜いた敵の耐久力に舌を巻きながら、戦いの最後を締めくくるべく、清政は戦場に高々と旗印を掲げる。追撃のパラドクスをもって、死闘のだめ押しとするために。
「最後の一撃まで手は抜かぬ。覚悟せよ、クロノヴェーダ!」
清政が掲げる旗印の下、次々に現れたのは戦国武者の幻影。
一騎当千の兵を従えて敵陣に切り込む、『家臣団突撃』を駆使しての猛攻だ。命中アップの導きを勝利への標に見立て、瀕死となった重装歩兵の群れへ清政は突撃していった。
「かかれぇー! 今こそ決着の時よ!!」
その雄叫びはまさに、精鋭部隊の完全なる終焉を告げるもの。
清政を筆頭とする武者集団の突撃は、血路を切り拓かんと最後まで戦った重装歩兵たちの望みを断ち切るように、波濤のごとき勢いで彼らを葬り去っていく。
武者の刀が次々と振り下ろされ、絶命した亜人が一体、二体と大地に転がり始めた。
残る重装歩兵は、もはや片手で数える程度。斬撃と熱線が飛び交うその只中、嘉内は『エメラルドの翼』を広げながら、ひとつの戦いの終わりを目の当たりにしていた。
(「……終わり、だな」)
この戦闘は、間を置かず復讐者の勝利で決着する。
後は、その幕を引くのが清政か、あるいは自分かという違いだけ。背に顕現したエメラルド色の翼を羽ばたかせ、戦場に翡翠色の羽を舞い散らしながら嘉内は告げる。この戦いの勝者を、重装歩兵たちの奥に控えるダレイオスと、そして青翼の預言者へ告げるように。
(「ザラスシュトラか……話を聞いてみるのも面白そうだけど、御先祖もアウトオブ眼中のようだし……」)
今はただ、この戦いを一刻も早く締めくくるのみ。
決意を胸に羽ばたきを終えて、戦場に羽が満ちると同時、抵抗を続けた重装歩兵を清政が切り伏せた。
残る敵は、あと一体。そこへ放つ嘉内のパラドクスが、復讐者と精鋭部隊の死闘を締め括るように、戦場をエメラルド色の光で染め上げる。
その一撃が、とどめ。
「此はクロノヴェーダの闇を祓い、人類の未来を導く希望の翼――その羽ばたきは、何人たりとも逃しはしない!」
降り注ぐ光を浴びて、重装歩兵が跡形もなく消滅する。
そうして後に遺ったのは、物言わぬ骸と成り果てた、精鋭部隊の屍の山であった。
リグ・ヴェーダへの血路が切り拓かれることは最早なく、嘉内は視線を城壁の門へ向ける。もはや宮殿に向かう復讐者を阻む者はなく、残る敵はダレイオスと彼の護衛、そして預言者ザラスシュトラのみだ。
「悩んでいる暇は無いな。行こう!」
「ああ。どれほどの激戦だろうと勝ってみせるさ」
「気を引き締めよ、嘉内、エスメラルダ! 戦いはここからが本番にござる!」
かくして、精鋭部隊との戦いを勝利へ導いた復讐者たちは、次なる戦場へと進んでいく。
退路を塞がれたダレイオスとの最終決戦。そして宮殿で待つザラスシュトラとの邂逅。大都ペルセポリスを巡る戦いは、いよいよ大詰めを迎えようとしていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【防衛ライン】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!
大都ペルセポリスの外周に聳える堅牢な城門。
その一つを抜けた先で、亡命を急ぐダレイオスの下へ届いたのは精鋭部隊の全滅を告げる報せであった。
復讐者との激戦の末に敗北し、血路を拓くことに失敗した重装歩兵たち。最後の一兵まで戦った彼らに対し、ダレイオスは怒りも露わに叫ぶ。
『何をしている、あの役立たずどもが! 足止めも満足に出来んのか!!』
だが、どれだけ罵りの声をあげようと、死んだ精鋭部隊が生き返ることはない。
血路を拓く勢力は最早なく、宮殿のザラスシュトラも動く気配を見せぬ今、彼が追い込まれたのは明白な窮地であった。
そこへ追い打ちをかけるように迫りくる復讐者たちを睨み、ダレイオスが巨大な斧を握りしめる。
『銀楯隊よ、我に続け! ディアボロスどもを皆殺しにするのだ!』
『はっ!』『仰せのままに!』
精鋭部隊が敗れたのなら、己が直々に手を下すのみ。
護衛のトロル兵団を従えて、ペルセポリスの王であった亜人が戦場に鯨波を轟かせた。
同刻。ペルセポリス宮殿、王の間にて。
『……いよいよ、ですね』
城壁の方面から戦の響きが止んだことを感じ取り、ザラスシュトラは閉ざしていた眼を静かに開いた。
ダレイオスの精鋭部隊が撃破された今、復讐者はいつでも宮殿に突入できる状況だ。
ここから先、自分は宮殿を生きて撤退できるか、或いは――その結果はすべて復讐者が選ぶこと。そうして示された全ての結末を、彼は、『預言者ザラスシュトラ』は受け入れるのみであった。
『私は大王が存命である限り、蹂躙戦記イスカンダルを裏切る気はない……さて、彼らは真に理解出来たでしょうか』
かくして預言者は、復讐者たちを待ち続ける。
一つの未来を決める選択が、もうじき彼らの手で示されることを確信しながら――。
エイレーネ・エピケフィシア
槍は持たず、身を護る≪神護の輝盾≫だけを手に玉座の間に入ります
ザラスシュトラよ。我々は事を構える為に訪れたのではありません
ただ、あなたの真意を問うべくして来ました
復讐者と預言者の道が未来で交わるか否かは、今日語る言葉が決めることでしょう
あなたは以前、リグ・ヴェーダが移動する浮遊大陸を武器に戴冠の戦で猛威を振るうと予見していましたね
それに比べて復讐者の拠点は「巨象に踏みつぶさる蟻」だとも
……不服には感じていません。全く以てその通りです
不可解なのは、あなたがリグ・ヴェーダの実力を把握しつつも、彼らを「共に戦う存在」に選ばなかったことです
仮に討つべき敵が、既知で最強の存在――アルタン・ウルクなら、浮遊大陸こそ必勝の策だと言うのに……
現状の有利・不利の関係など些事と言わんばかりに、あなたは敢えて復讐者を選ぼうとしています
……恐らく、一見して奇妙な判断を支えているのは、預言の力が齎した情報なのでしょうね
ならば詳しく聞かせて頂きましょう
【質問】あなたが、復讐者と共に戦ってまで倒したい敵とは何ですか?
ペルセポリスを舞台に始まった、亜人と復讐者の一大決戦。
その戦場を離れた宮殿に、預言者ザラスシュトラはひとり佇んでいた。
大都の脱出を前にして、その青翼は畳まれたままである。何故なら今、彼の前に一人の来訪者が現れたからだ。
「ザラスシュトラよ。我々は事を構える為に訪れたのではありません」
青翼の預言者に、来訪者――エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は告げた。
戦で用いる槍は握らず、持つは神護の輝盾のみ。それは預言者の大都撤退を見逃すという雄弁な意思表示だ。
その上で彼女は言う。互いの道が未来で交わるか否かは、今日語る言葉が決めることでしょうと。その言葉に、預言者も頷きで応じた。
『良いでしょう。お前たちの選択を尊重します』
そうしてエイレーネを見つめ、預言者は穏やかな声で言う。
『私の知る情報をひとつ、撤退と引き換えに明かしましょう。お前の知りたいこと、何でも言ってみなさい』
「分かりました。では――」
預言者の言葉に頷いて、エイレーネは一つの問いを向けた。
「あなたが、我々と共闘してまで倒したい敵とは何ですか?」
『ふむ?』
預言者に先を促され、エイレーネは更に言葉を紡いでいく。
一度目の邂逅で預言者が告げた、蛇亀宇宙リグ・ヴェーダに関する諸々の事柄。それら全てを認めたうえで、彼女はなお解せないものを感じていた。即ち、
「あなたは蛇亀宇宙の実力を把握しつつも、彼らを『共に戦う存在』に選んでいませんね?」
『ええ、その通りです』
「何故ですか? 既知の最強勢力アルタン・ウルクに勝利するなら、彼らと手を組むのが最も効率的な筈です」
『成程……どうやら、互いの認識に齟齬があるようですね。良いでしょう、答えます』
謎めいた微笑みを浮かべ、預言者は口を開いた。
『簡単ですよ。私が、お前たちと共闘して倒したい敵――それが正に、蛇亀宇宙リグ・ヴェーダだからです』
「リグ・ヴェーダが、倒したい敵……? もう少し詳しく話して貰えませんか?」
エイレーネの要求に、預言者は頷きを返した。
『順を追って説明しましょう。まず、このまま時が進めば《戴冠の戦》を制するのは蛇亀宇宙だと私は予測しています』
「それ程に彼らは強大なのですか。アルタン・ウルクよりも?」
『あれらも脅威ではありますが、蛇亀宇宙のそれには到底及びません。既知最強はアルタンではなく蛇亀宇宙――それが私の導いた結論です』
蛇亀宇宙に降ることは、その支配に組み込まれることと同義。彼らに抗う戦力こそ自分の求めるものであり、復讐者との共闘を望む理由だと告げる預言者に、エイレーネは眉を寄せる。
「……わたしたちに、亜人勢力と手を組めと?」
『いえ。お前たちと蹂躙戦記は戦の最終局面に入りつつある。間違っても共闘など不可能でしょう』
「では蹂躙戦記の滅亡後に共闘を? ですが大王が滅べば、あなたは――」
『死ぬでしょう。ですが心配は無用です』
謎めいた言葉に首を傾げるエイレーネに、預言者はゆっくりと言葉を紡いだ。
『“私”は大王が存命である限り、蹂躙戦記を裏切る気は無い。――つまり、そういうことです』
「……!!」
『大王が滅べば“私”は死にます。それを標に導かれる歴史を、この目で見られないのは残念ですが……』
そうして預言者は翼を広げると、会談の幕を下ろすように宙へ浮きあがる。
お前たちの示した『答え』は、確かに見せてもらった――そう告げて空の彼方へ飛び去って行く預言者を、エイレーネはひとり仰ぎ見ていた。
「ザラスシュトラ、あなたは……」
遠からず訪れるであろう預言者の死と、そこから導かれる歴史。
復讐者の選んだ未来がいかなる道に繋がるのか、それを知る者はまだ誰もいない――。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
一蝶・信志
あれはダレイオスの怒号かしら
――ねえ、聞いた?
三下確定のあのセリフ
自ら格を下げるような言葉を吐くなんて
王の名を借りる資格もないわね
主を見誤った哀れな子豚ちゃんに導きの鞭をあげましょう
先行部隊を撃破できたとはいえ、まだ士気の高い護衛がたくさん残ってる
王城の裡ともなれば地の利は圧倒的にあちらにあるはず
油断せず行かないとね
孤立は特に危険だわ
分断されないように注意して動きましょう
狙い撃ちされそうな味方にも注意ね、なるべく助けに行きたいわ
銀楯隊の咆哮を正面から受け止め、堂々と対峙するわ
出会い頭の一発目は度胸勝負、怖気づいた方が負けだもの
一歩たりとも譲らない
敵の攻撃は鞭や足技で対抗して押し返す
ホントに立派な筋肉だけれど
こっちだって無駄に鍛え上げていないのよ!
味方の攻撃で敵の隊列に隙ができた瞬間を逃さずに
パラドクスを乗せた鞭で追い打ちをかけるわ
おまえたちの鋼の筋肉と戦意、どこまで耐えるか調べてあげる💜
※ネメシス形態
女王様風の装いに変化
言動も普段より高圧・嗜虐的
「ワタシの王はワタシよ」
アルラトゥ・クリム
あーあ、お恥ずかしいったらありゃしない。
奮戦した子飼いの部下に、弔いの一つも言えないなんてね。
もしかして、焦ってるのかい?ディアボロス『ごとき』相手にさ。
とは言え、こっちも余裕綽々って訳じゃ全く無い
充分に強かったからね、さっきの連中
こちらも、全力以上で相対させて貰おうか!
利用可能な残留効果を掻き集めて、戦況に応じて適用しつつ
極力味方と連携して一体ずつ確実に敵を始末し、その防御に穴を穿ち
蟻の一穴に全力を叩き込んで穴を拡大し
敵の陣形を綻びさせていく
白銀の聖鎧と翼を纏い成長した姿(ネメシス)を解放して魔力を増強し
奪還と調律の唄を高らかに歌い上げ
勝利の凱歌で味方を鼓舞しガードアップを発生させると共に
世界その物への侵蝕を再開
敵の因果律を追跡して情報収集を行い在処を看破
伝承知識を参照して調律と改竄を施し歪んだ因果を滅し
敵の肉体その物も武具も防具も、諸共に崩壊させ消失させていく
歪んだ因果も存在も、
白銀の魔法使いが諸共に滅してみせる。
そして何時か皆で、この世界を奪還するんだ…!
アドリブ絡み連携歓迎
凍雲・雪那
役立たずか。明日の陽も拝めぬ、蹂躙戦記にとっての『役立たず』が、良く吼えたものだな。
その叱責、否定はしない。けど、奴等も奮闘はしたよ?
――まあ、殺したが。一切合切、例外無く。
そうだ、上等下等の区別無く、亜人は殺す。鏖殺だ。
今から、貴様の護衛を。そして、その次は……言うまでも、無い。
継続して、連携重視。
一人で突っ込んでどうなるかは、痛い程知ってるからね。文字通り、痛い程。
ということで、引き続き遠距離からパラドクスを。
【氷食輪廻】、大地すら喰らいて亜人を葬れ。
冷気とそれによって生じる氷群で、銀楯隊を分断しながら凍らせる、よ。
合流しようとしたら、その分無駄に氷を壊す。そうすれば体力も消耗するし、冷気にも侵蝕される、ね?
刃も通さず受け止める筋肉も、冷却までは防げないだろう。
凍えて死ね。
さて。
これで貴様の手勢は全滅。
されど、貴様自身と比べれば、それこそ塵同然だろうな。
気を引き締めろ、ボク。
ここからが、これからが。この決戦の、本領と思え。
精鋭部隊を撃破し、ペルセポリスの城門に向けて進む復讐者たち。
すでに彼らの行く手には『トロル兵団』銀楯隊の大部隊が展開しており、ダレイオスを護るように立ちはだかっていた。その奥から轟いて来るのは、空気を震わす雷鳴のごとき怒声である。
『役立たずどもが! 足止めも満足に出来んのか!』
元より激高しやすい気性のダレイオスだが、虎の子の重装歩兵が全滅し、その苛立ちはいよいよ募ったらしい。
そんな怒声の響いて来る方角を一瞥すると、一蝶・信志(シンディ・g04443)は呆れ交じりの吐息を洩らした。
「ダレイオスの怒号かしら――ねえ、聞いた? 三下確定のあのセリフ」
「ほんと、お恥ずかしいったらありゃしない。奮戦した子飼いの部下に、弔いの一つも言えないなんてね」
アルラトゥ・クリム(現代の魔法使い・g05088)は肩をすくめつつ、激高するダレイオスの醜態に眉をひそめる。
信志と同じく、アルラトゥは精鋭部隊と刃を交えた一人だ。かの部隊の勇猛な戦いぶりとその最期を知るだけに、それを侮辱されれば不快な気持ちは否が応でも生じる。たとえそれが、憎むべき亜人たちの死であったとしてもだ。
「もしかして、焦ってるのかな? ディアボロス『ごとき』相手にさ」
「ええ、ええ。自ら格を下げるような言葉を吐くなんて、王の名を借りる資格もないわ」
「……まあ、とは言えこっちも余裕綽々って訳じゃ全く無いけど……ね」
そう言葉を結び、アルラトゥは護衛部隊の排除に意識を集中することにした。
少なくとも先の精鋭部隊にくらべ、目の前の銀楯隊の実力が劣ると予想するほど、復讐者たちは油断を覚えてはいない。それは信志とアルラトゥのみならず、凍雲・雪那(報仇雪恨の皓巫姫・g07783)も同じであった。
「三下か……実力の方もそうだったら、ボクたちとしても、こんなに楽なことは、ないけど……」
銀楯隊の後方から立ち上るダレイオスの闘気は、距離を開けた雪那の眼にも一目瞭然だ。
将としての器はともかく、その戦闘力が侮れる次元にないことは明白。護衛を務めるトロル兵団も、相応の実力者揃いと考えるのが妥当であろう。
だが、そんな強敵を前に怯む復讐者など、この場には一人もいない。
展開する銀楯隊へ、そしてダレイオスへ。戦場のあまねく亜人へ、雪那は殺意に満ちた視線を投げる。
――上等下等の区別無く、亜人は殺す。鏖殺だ。
――今から、貴様の護衛を。そして、その次は……言うまでも、無い。
亜人は、人間を蹂躙することで力を得る。雪那が対峙している敵群とて、むろん例外ではない。
あの亜人共の統治で辛酸をなめた大都の人々の苦しみは想像に余りある。災いの根を、今日この場で余さず断ち切るためにも、敗北することは許されず――復讐者たちは心を一つに銀楯隊との戦いに臨もうとしていた。
「出し惜しみはしない。こちらも、全力以上で相対させて貰おうか!」
高らかな宣言と共に、アルラトゥの体がネメシスへと変貌を遂げる。
曲線を描く大人の肉体に大きな翼、白銀の鎧を纏う彼女の姿は、不可侵の神性を感じさせるもの。
続く信志もネメシスの力を開放し、威圧感を帯びた視線で銀楯隊を睨みつける。
「油断せず行かないとね。主を見誤った哀れな子豚ちゃんに導きの鞭をあげましょう」
山羊革を編み込んだ一本鞭をパチンと鳴らし、信志が挑発を投げた。
銀楯隊には怯懦の心はないらしい。筋骨隆々とした巨躯に相応しい大楯を構えながら、戦意を露わに距離を詰めて来る。
戦場に満ちるは、肌を焼くような熱気。肉壁となって迫る敵を撃破すべく、三人の復讐者は頷きを交わし合った。
「分断されないように注意して動きましょう。サポートは任せて頂戴」
「助かる、よ。互いに連携を取って、いこう」
「さあ、始めようか。二人ともよろしくね!」
大都ペルセポリスを、亜人の支配から解放するために。
信志と雪那、そしてアルラトゥは息を合わせ、迫り来る銀楯隊に立ち向かっていった。
戦いの開始を告げるように、澄んだ音色が響く。
それはアルラトゥの音響装置、マギウスサウンドユニットの旋律だ。魔力を媒介に歌い上げる奪還と調律の唄に、戦場の空気が歪み始める。パラドクスを込めた歌声で彼女が狙うのは、銀楯を構えて迫るトロルの群れ。歴史改竄で生まれた歪な化物を、荘厳な調べが包み始めた。
「亜人ども! この世界に、お前たちの居場所はない!」
そして――最高潮を迎えた歌声が、死闘の火蓋を切る。
浸食の歌は最前列のトロルを捉え、肉体を崩壊させ始めたトロルの口から絶叫が轟いた。
『な、何だこれは……ぎゃあぁぁっ!!』
頑丈な楯を構えたところで、アルラトゥの歌声から逃れる術は無い。
それは歪められた因果を正し、本来の歴史に存在せぬ者を物理的に蚕食する『Ruchette Arkarn』のパラドクスだ。着実に積み上げた残留効果とネメシス形態で強大化した魔力、さらには狙いを絞って放ったアルラトゥの一撃は、敵のガードを突き破り、巨体を跡形もなく消し去っていく。
雪那の吹雪が戦場を席巻する中、追い打ちをかけるように、『エニューオークラッシュ』を発動した信志が敵群に迫る。パラドクスを乗せた鞭を振るい、捉えた敵を粉砕する嵐の如き猛攻だ。解放した力を乗せて繰り出す鞭が、振るわれる度にトロルの肉を裂き、濁った血潮を飛び散らせる。
『ぐっ……!』
「おまえたちの鋼の筋肉と戦意、どこまで耐えるか調べてあげる💜」
アルラトゥの攻撃を嚆矢に、敵の隊列を穿たんと鞭を振るう信志。開いた穴を直ちに埋めて、復讐者を押し返さんと粘るトロル兵団との攻防が、いっそう激しさを増して戦場を席巻し始めた。
『隊列を維持しろ!』『ディアボロスを押し戻せ!』
盾を構え、己が巨体を武器に激突する者。咆哮を轟かせ、砲弾さながら突撃する者。
復讐者たちを襲う怒涛の反撃に、しかし信志は堂々と対峙していた。この戦いは正に序盤であり、自分たちの怯えは後々の戦いにも大きく影響するだろう。
故に、彼は譲らない。完全勝利を掴むため、ここは決して退いてはならない――そのことを知っているからだ。
「ホントに立派な筋肉だけれど……こっちだって無駄に鍛え上げていないのよ!」
復讐者と銀楯隊、両者の攻防は始まったばかり。
いまだ帰趨の見えぬまま、激烈な攻防はなおも続いていく。
アルラトゥの攻撃で幕を開けた戦いは、いまだ一進一退の攻防が続いていた。
ネメシス形態による強化、そして残留効果を駆使する復讐者の攻勢は、まさに怒涛の如き勢いである。
一体、また一体とトロルの屍が転がる中、銀楯隊はいまだ陣形を維持しながら復讐者の攻撃を凌いでいた。その実力は、先の精鋭部隊にも全く劣らない。
『まだまだぁっ!!』『ぬうおおおおおおっ!!』
「いやはや、しぶといね。やはり楽はさせてくれないか……」
「ここが正念場! 乗り切っちゃうわよ!!」
アルラトゥと信志はパラドクスを駆使しながら、なおも勇猛果敢に戦い続ける。
すでに逆説連鎖戦は幾度にも渡って行われているが、刻まれたダメージは精鋭部隊との戦いに比べて軽微であった。
現時点で、ガードアップのレベルは4。いかに銀楯隊のトロルたちが精強とは言え、ダメージを軽減するには十分すぎる数字だ。まして、二人はネメシス形態、そう後れを取ることはない。
「確かにキミたちは強い。けどね――戦うほどに力を増すのが、私たちディアボロスの強さなんだよ!」
『ぐくっ、何たる力……!』『どけディアボロス、道を開けろ!』
一向に崩れない復讐者の攻勢に、負けじと食い下がるトロルたち。アルラトゥの攻撃で負傷した先頭の三体が、突破口を切り拓かんと一気呵成に飛び出していく。
だが――それこそ正に復讐者の望んだ展開であった。
「大地すら喰らいて亜人を葬れ。freeze,crush,erosion,――Glacial Zero」
雪那が放つ冷たい声と共に、銀楯隊を覆い尽くすのは冷気がもたらす氷群だ。
トロルたちの斬撃が怪力を帯びて降り注ぐ最中、雪那の発動した『氷食輪廻』は彼らの巨体にも等しく脅威をもたらす。肉を、骨を、芯まで凍らす冷気の前に、手負いの銀楯隊は苦悶の呻きを洩らしながら、一体、また一体と為す術のないまま斃れ伏していった。
『ぐ、う……』
(「……敵の隊列は、まだ健在。腐っても、ジェネラル級の、護衛か……」)
討ち果たした三体の向こう、いまだ聳える銀楯の壁を見遣り、雪那は気を引き締めるように拳を握った。
彼女を始め、信志とアルラトゥによる攻撃は、敵の隊列を削り取ることに成功している。三人が掴んだ戦果は、続く仲間たちに間違いない有利をもたらすだろう。
次なる決戦に向けて戦意を高めながら、雪那は自身に言い聞かせる。亜人どもを残らず滅ぼす決意を、その胸に秘めて。
「逸るな、ボク。……ここからが、これからが。この決戦の、本領と思え」
「歪んだ因果も存在も、諸共に滅してみせる。そして何時か皆で、この世界を奪還するんだ……!」
アルラトゥもまた、いまだ健在を誇る敵群を前に、堂々と決意を叫んだ。
かくして――白銀の魔法使いの言葉を継ぐように、次なる仲間たちが戦場へと駆け付ける。銀楯隊との戦いを制し、大都ペルセポリスを今こそ人々の手に取り戻すために。
善戦🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【建造物分解】がLV2になった!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
【寒冷適応】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV4になった!
旗楽・清政
【翠緑の師弟】
役立たず共、か。
重装歩兵等が足止めを為せなんだは事実なれど、精鋭らしく奮闘したのもまた事実。
それも貴様の血路を拓くためであると言うに、ようも斯様に評せたものよ。
ダレイオスの将器の底、見切ったり。
では、ダレイオスを討つべくこの護衛共を引き剥がすと致そう。
此度もそれがしらは、残留効果重視で挑むでござる。
【ダメージアップ】はかなり積まれておる故、
【ガードアップ】と【命中アップ】を今少し積み増すと致そう。
それがしは、嘉内、エスメラルダに続いて、
家臣団突撃を発動し、【命中アップ】をさらに積むでござるよ。
嘉内とエスメラルダの攻撃を受けた後ならば、銀盾隊も流石に崩れていよう。
そこをさらに衝いて、彼奴等を殲滅、もしくはそれに近きところまで追い込んでくれよう。
「かかれぇ! かかれぇ! ダレイオスの首級はすぐそこぞ!」
敵の咆哮に負けぬよう【大声】で叫びつつ、積まれておる【命中アップ】と
【ダメージアップ】を頼りに、直撃&大ダメージを狙うでござるよ。
敵の突撃は、【ガードアップ】で耐えると致そうか。
エスメラルダ・リベロ
【翠緑の師弟】
(常時軍人モード)
足止めが出来なかったら、役立たず扱いか。
清政殿や嘉内のように憤慨する気にはならんが、重装歩兵達に同情はするよ。
あんな奴のために命を散らしたとあっては、憐れでさえある。
さて、今回は私は二番手を担当だ。
嘉内が銀楯隊に打ち込んだ楔を、さらに拡げにかかるぞ。
パラドクスは引き続きハイメガ・デリシャス・キャノンで、
【ガードアップ】をもう一段敷いておくと共に、
銀楯隊の戦列を乱してやる。
【命中アップ】と【ダメージアップ】がこれだけ敷かれているからな。
普段よりも強烈な一撃になっているだろうし、トループス級には
到底耐えられるものではないだろう。
敵の攻撃は、狂気的な突撃か。
だが、狂気的と言うならその道筋は読みやすい。
読んだ道筋の前に緑の大盾を置いて突撃の勢いを殺し、
それでも殺しきれなかった分は、肥後の艤装と
オーラフィールド、【ガードアップ】で受け止めて耐え抜くぞ。
さて、私達の攻勢は、まだ終わらんよ。
最後の締めが、残っているのでな。
清政殿、締めくくりは任せたぞ。
旗楽・嘉内
【翠緑の師弟】
思いどおりの結果が出なかったからって役立たず扱いかよ。
御先祖も呆れてるが、オレも同感だね。
まるで、ブラック企業のブラックな上司を見てるようだ。
まぁ、オレ自身はずっと引き籠もってたから実際に見たわけじゃなく、
ネットで聞きかじったに過ぎないんだけど。
それはそれとして、今回は御先祖の指示でオレから仕掛けるぜ。
【ガードアップ】を積み増すために、フルバースト・オン・ウィークネスを発動だ。
相変わらず単体攻撃で殲滅効率は悪いんだが、今回は二人が付け入る隙を作るためでもあるからな。
どいつを倒せばその隙が出来るかまでパラドクスが見せてくれれば楽で良いんだが、
流石にそこまで甘くないだろうし、しっかり自分で選ばないとな。
先頭の奴か、中程にいる奴か、とにかく倒した時に、
奴等が一番乱れることになる奴を狙って攻撃するぜ。
【命中アップ】で直撃を、【ダメージアップ】で大ダメージを狙うぞ。
いくら守りに長けていても、さすがに耐えられないだろ!
敵からの攻撃は、マジックシールドと【ガードアップ】で耐えるぜ。
戦場の熱気はいよいよ激しく、ペルセポリスの地を席巻しつつあった。
いまだ抵抗を続ける銀楯隊だが、その奮闘は復讐者を押し返すには至らない。鋼のような体、堅牢な銀楯の守備――本来脅威となり得た諸々の要素は序盤戦で力を増した復讐者を前に、いまだ戦況の好転を齎せずにいる状況だ。
ゆっくりと、しかし着実に決着へ向かい始める戦の流れ。
それを敏感に感じ取りながら、旗楽・清政(知勇兼備の昼行灯・g08816)は戦場の彼方を見つめていた。
「役立たず共……か。よう言うものよ」
彼が視線を向ける先は、精鋭部隊の全滅に怒声を放ったダレイオスである。
復讐者との戦いで足止めを果たせずに討死した重装歩兵たち。その死に様は清政にとって、まさに精鋭に相応しい奮闘と評するに値するものだ。
たとえ敵と言えど、それを侮辱されることに怒りを覚えない者はいない。
信志やアルラトゥと同じように、清政もまた、ダレイオスへの怒りと軽蔑の心が沸き上がることを確りと自覚していた。
「すべては奴の血路を拓くためであると言うに、ようも斯様に評せたもの。将器の底、見切ったり」
「全くだ。思いどおりの結果が出なかったからって役立たず扱いかよ!」
清政に劣らぬ憤慨を示すのは、弟子の旗楽・嘉内(フルアーマーウィザード・g11216)である。
部下を平然と使い捨て、あまつさえ己が采配の未熟さを棚に上げて激高する――それは最終人類史の出身者である嘉内にとって『ブラック上司』の一言に集約されるものだ。
(「まぁ、オレ自身はずっと引き籠もってたから実際に見たわけじゃないけど……でも!」)
燃えるような怒りの行き場を求めるように、嘉内は己が拳で胸を叩いた。
たとえ時代は異なれど、ああした手合いは許せない。それが亜人というクロノヴェーダなら猶のこと。必ず、この怒りをダレイオスに叩き込んでやろう――そう誓いながら、嘉内は戦意を滾らせる。
「そのためにも、まずは銀楯隊に勝たないとな。あの亜人は絶対に許さねぇ!」
「同感だな。しかし、重装歩兵の連中……あんな奴のために命を散らしたとあっては、いっそ憐れでさえある」
同情の言葉を呟いて、エスメラルダ・リベロ(蒼海に輝く翠緑・g10981)は銀楯隊に視線を向けた。
序盤の戦闘で猛攻に曝された兵士たちはいまだ隊列を維持しているが、その周囲には既に屍となったトロルがあちこちに転がっている。
「あの護衛共は決して弱敵ではない。それを、こうも早々に押し込めたのは――ネメシス形態の猛攻と、そして豊富な残留効果が大きいのだろうな」
「ああ。つまりオレたちの加勢で、戦いは更に有利になるって訳だ!」
精鋭部隊との戦闘よりも、目に見えて早く訪れつつある優勢。
それを更なる不動のものとし、最終決戦に臨む礎とすべく、三人の復讐者は攻撃準備を完了する。
一番槍を務める嘉内は先頭に進み出ると、清政に合図を送り、襲撃の嚆矢となって銀楯隊めがけて疾駆していった。
「行くぜ、トロル共! 旗楽・嘉内のお出ましだ、死にたい奴からかかってこい!」
戦場に展開するダレイオスの護衛部隊。その只中へ、先陣を切って嘉内が突撃を開始する。
隊列を組んで待ち構えるトロルたちが、迫り来る復讐者を察知し身構えた。行く手を阻むように整列するのは、要塞めいた分厚い盾の列である。
『食い止めろ!』『絶対に、奴らを進ませるな!!』
「なかなかに固そうな守りじゃないか。――それだけ、ブチ破り甲斐があるってもんだぜ!」
嘉内は敵集団の先頭を捉えると同時、『フルバースト・オン・ウィークネス』を発動する。
パラドクスを帯びて輝く双眸が看破するのは、先頭集団を構成する手負いの一体だ。連戦によって傷ついた銀の楯を狙い、嘉内の構えた射撃武器が一斉に火を噴いた。
「――視えた! 照準も、OK! この一撃で……仕留めるっ!! ――逝けよやぁ!!」
刹那、トロルを包むのは弾着の土煙と炸裂の爆炎だ。
増幅された怒りを秘めて、絶え間なく繰り出す射撃の嵐。それは敵が構える銀の盾をはじき、さらけ出された全身に雨霰と弾丸を叩き込む。
「終わりだ! いくら守りに長けてても、こいつは耐えられないだろ!」
『ぐっ、ぐおおおおぉぉぉ!!』
断末魔の絶叫をあげたトロル兵が、全身をハチの巣にされて絶命した。
そうして僅かに生じた間隙を狙うように、徒手空拳のエスメラルダが雷の如き速さで突撃する。発動するのは、先の戦場と同じく『ハイメガ・デリシャス・キャノン』のパラドクスだ。逆説連鎖戦の開始と同時、周囲の時間が極限まで鈍化する中、用意された食事は一皿のステーキである。
「では――いただきます」
両手を合わせ、食材への感謝を捧げ、肉にナイフを走らせるエスメラルダ。
ステーキソースを塗した肉は、心地よい歯ごたえと共に口の中でほどけ、溢れんばかりの肉汁を湛えて彼女の脳髄を幸福で満たす。
付け合わせのベイクドポテトまで欠片も残さず平らげ、たちまち視界が歓喜に満ち行く。その只中、エスメラルダが見たのは命中アップが導く直撃の標。そこへ彼女は狙い定めて、感激の咆哮を轟かせる。その口から溢れ出る、青色の輝きを帯びた光条と共に――!
「美ーーー味ーーーいーーーぞーーーぉ!!!」
余韻となって残るステーキの芳香と共に、敵陣を蹂躙するのはビーム状の光の洪水であった。
命中アップに導かれた猛攻は、瞬く間にトロルたちの先頭集団を飲み込んで、容赦なく葬り去っていく。
負けじと敵が反撃で繰り出す咆哮からの突撃も、怪力に任せた銀楯の殴打も、エスメラルダや嘉内の攻勢を阻むにはとうてい至らない。
「よし、敵の戦列が乱れ始めたな……清政殿、今だ!」
オーラフィールドを展開しながら防御に回ったエスメラルダは、今こそ好機と合図を送る。
かくして――三人の攻勢、その最後を締め括るように。清政は、取り出した旗印を戦場に高々と掲げるのだった。
「家臣団、突撃! 亜人どもを討ち果たせ!」
一筋の光に導かれ、戦国武者を率いた清政が敵陣めがけて切り込んでいく。
アルラトゥらが削り、嘉内が穿ち、エスメラルダがこじ開けた敵の隊列。そのど真ん中へ押し寄せる『家臣団突撃』の猛攻は、まさに雪崩のごとく。先頭を駆ける清政の鯨波は突撃ラッパの響きにも似て、戦場に響き渡った。
「かかれぇ! かかれぇ! ダレイオスの首級はすぐそこぞ!」
『ぐうぅ……いかん、食い止めろ!』
負けじと咆哮を上げて、突撃するトロル兵団。
だが、巨躯を活かした反撃も、もはや清政にとっては脅威とは程遠い。重ねに重ねたガードアップの効果が、彼へのダメージを大きく減少させているのだ。
攻撃に回す余力は未だ健在。清政は幸運にも発動したダブルの効果で時間の流れを加速させ、今こそ仕掛ける好機と更なる追撃で銀楯隊を呑み込んでいく。戦列を立て直す猶予など、一秒たりとも与えない。巨岩めいた巨躯のトロルを前に清政は得物の片鎌槍を握りしめる。『トロル兵団』銀楯隊の隊列を、今こそ突き破るために。
「雑兵の首級は要らぬ! 道を開けよ、トロルども!!」
そして――清政の刺突と幻影武者の斬撃が、波頭の如く亜人たちを押し流し始めた。
護りの陣形が崩れ、トロル兵団の隊列が分かたれる。それは同時に、彼らが決定的な劣勢に追い込まれたことを雄弁に語るもの。
「ダレイオスよ! その首、洗って待っておれ!」
動き出した戦況は、もはや何者にも止め得ない。
勝利に向かって更なる一歩を進めた手応えを胸に、清政の鯨波はいつまでも戦場に響き続けるのであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【防衛ライン】がLV2になった!
【口福の伝道者】がLV2になった!
【平穏結界】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【ガードアップ】がLV6になった!
音羽・華楠
侮ってたつもりは無いんですが――
……なるほど、ディアドコイ評議会の重鎮、その配下。
トループス級でも弱いはずがない、と。
手強いホプリタイたちでした。
なら、ここからはさらに本気になりましょう!
ネメシス形態発動。
狐耳と尻尾が消え、黒髪黒瞳の人間の姿に。
ダレイオス3世の護衛、銀楯隊を片付けます。
刃を通さない筋肉が自慢のようですが、ならばそれを透過し、肉体を内部から焼き尽くす魔術的マイクロ波を浴びせてやりましょう。
――《雷幻想・煉獄》!
身体中の水分を沸騰させて死になさい!!
……すぐ傍に主たるダレイオス3世が居ます。
銀楯隊の戦意は高いでしょうし、簡単に弱まることも無いでしょう。
その状況でこちらの戦意を挫かれては戦線が瓦解しかねません。
予め戦意を高め、いざという時に戦意の低下を最小限に抑える為に、銀楯隊と本格的に戦端を開く前に名乗りを上げて自分を鼓舞します。
「ダレイオス3世に落日を。ペルセポリスに解放を! 『赫雷の荼枳尼天女』音羽華楠――参ります!!」
敵味方の動きを把握して動けるよう位置取りに注意を。
九十九・静梨
役立たず、とは流石に聞き捨てなりませんわね。
少しずつ積み重ねやっと倒しきれたくらいにはトループスとしては十分強敵でその意志も本物でした。
それを役立たずとしてしか見れないなら、程度が知れますわねダレイオス
ネメシスモード発動!
6本腕の筋肉阿修羅となり【能力値アップ】【先行率アップ】と共に突撃
肉弾戦で銀楯隊と応戦しつつ
グラップルでの立ち回りを生かし
格闘の最中、盾の隙間ができたところを狙いすかさずパラドクス発動
足元を爆破する事で一気に肉薄
すかさず拳を怪力強打で六本分打ち込み大爆破!
【命中アップ】でより急所を狙い【ダメージアップ】で威力を上昇
衝撃波で対象だけでなく周囲の敵も吹き飛ばすことで
隊列や体勢を崩し味方の攻撃をしやすくします
反撃の咆哮からの突撃にはこちらも大声を上げて怯まずに迎撃
突撃をグラップルの構えから掴みかかり強化した筋肉で強引に投げて攻撃を逸らしたり
6本腕で攻撃に合わせて強打からの爆破で吹き飛ばし軌道を変えて急所への一撃を回避
【ガードアップ】で肉体硬度も強化し
守りの残留効果も重ねますわ
ハニエル・フェニックス
あーぶなかったー!
皆のお陰で何とかやっつけられたけど……よーし、気合入れ直して行くよ!
と言ったはいいけど、気合入れてもこの敵集団の突撃はちょっと迫力ありすぎー!
声も大きいし流石にちょっとびびっちゃうけど……でも負けないよ、私の光で撃ち抜いちゃうもんね!
仲間がたくさんいるほどやる気を出して来るんなら、なるべく早く数を減らさなきゃ。
こうなったらダメージアップを更に重ねつつ、撃って撃って撃ちまくるしかない!
先手を取れれば尚良しだね!
まぁちょっともったいない気もするかな、せっかく誘導弾なのに向こうには避ける気は無さそうだから。
ともかく突っ込んで来てくれるならこっちも受けて立つだけ。
刃は通さなくたって、私の光の杭はきっと痛いよ。
そりゃあ私だってオーラで身を守ってても痛いけど……ここは我慢比べだね!
通してって言っても無駄だよね。
だからあなた達を貫いてでも私達は行かせて貰うよ、親玉の所まで!
『ぐうう、ディアボロスめ……!』『怯むな! ダレイオス様をお守りせよ!』
戦列の崩壊に巻き込まれた銀楯隊のトロルたちが、焦燥を露わに叫ぶ。
ダレイオスを護衛する彼らは精鋭部隊と同様、この地で討死する覚悟を決めたらしい。自分たちの劣勢が明らかとなった今、その決意は強固さを一層増したようだ。
「あーぶなかったー! 皆のお陰で何とかやっつけられたけど……よーし、気合入れ直して行くよ!」
そんな敵を前にして、ハニエル・フェニックス(第七の天使・g00897)は戦意旺盛に叫ぶ。
胸に抱くのはペルセポリス解放への決意と、罪無き人々を蹂躙して来た亜人への怒りだ。ペルセポリス攻略が最終局面を迎えつつある中、この戦いを勝利で締め括ろうと闘志を滾らせている。
「覚悟しろ、トロル―! おー!」
『ディアボロスを潰せ!!』『『おおおおおおおおおおおおおっ!!』』
「うわわっ! ……ま、負けないよ、私の光で撃ち抜いちゃうもんね!」
銀楯隊の雄叫びに驚いたのも一瞬のこと。ハニエルは敵群を睨みつけた。
復讐者たちの猛攻に陣形を崩されたトロルたちだが、その闘志には些かの陰りもない。背水の陣に追い込まれ、爛々と目を輝かせる彼らの姿に、ハニエルは気を引き締める。
敵はなおも戦意旺盛。だが、その上で勝利するのは自分たちだ。その確信は、ハニエルの中で些かも揺るがない。
「ペルセポリスの亜人は今日ここで片付けちゃうよ! 頑張ろうね、二人とも!」
ハニエルはそう言って、同行の仲間たちに笑顔を送った。
そう、この戦場で戦うのは彼女一人ではない。音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)と、そして九十九・静梨(魔闘筋嬢・g01741)――ネメシス形態を発動した二人が、共に立っているのだ。
「なるほど、ディアドコイ評議会の重鎮、その配下。トループス級でも弱いはずがない、と」
侮ってたつもりは無いんですが、と気を引き締め、華楠は銀楯隊の群れと対峙する。
「ホプリタイたちは手強い敵でした。なら、ここからはさらに本気になりましょう!」
その覚悟を示すようにネメシスとなった華楠の姿は、普段とはまるで別人だ。
妖狐の狐耳と尻尾は消え失せ、金色の髪は漆黒に。敵を見据える瞳の色も夜闇のように黒い。
力を開放し、人間そのものの姿となった華楠。一方の静梨は、そんな華楠と対照的に、完全に人間離れした容姿へ変貌を遂げていた。
「ダレイオスとの決戦も、いよいよ目前ですわね。この戦い、勝ち切って見せますわよ……!」
そう言って力こぶを作る腕は、全部で6本。
青銅のように青い肌と、トロルのそれを優に凌ぐ筋骨隆々たる体躯は、まさに阿修羅そのものだ。
その異形とも言える姿に警戒を露わにするトロルの群れを一瞥し、静梨の赤い瞳は敵群の彼方へ向けられる。今なお後方に控えるダレイオスへと。
「役立たず、とは流石に聞き捨てなりませんわね」
静梨の瞳に灯るのは、精鋭部隊の死を侮辱されたことへの炎のような熱い怒りである。
直に戦った復讐者の一人である彼女は知っている。あの重装歩兵たちはトループスとしては十分強敵であり、その意志も間違いなく本物だった。
「それを役立たずとしてしか見れないなら、程度が知れますわねダレイオス!」
強い憤りを露わに拳を構え、静梨が先頭に進み出る。
銀楯隊を蹴散らして、一刻も早くあのジェネラル級を粉々に粉砕してやるのだ――そんな闘志を全身から沸き立たせた。
そこに続くように、攻撃準備を完了するハニエル。華楠は深呼吸を一つ、敵群を見澄ますと、戦いの火蓋を切るように、凛とした声を戦場に響かせるのであった。
「ダレイオス3世に落日を。ペルセポリスに解放を! 『赫雷の荼枳尼天女』音羽華楠――参ります!!」
華楠の名乗りを合図に、復讐者たちは一斉に銀楯隊へと攻撃を開始していく。
先頭に立って突撃を敢行するのは静梨だ。六本の腕を振りかざし、敵に挑むのは筋肉を活かしての格闘である。
「肉弾戦ならば、わたくしにお任せくださいませ!」
『ディアボロスが来るぞ!』『死なば諸共よ、叩き潰してやれ!』
対する銀楯隊も、それを正面から受けて立つ気のようだ。もはや戦列を立て直す猶予が無いことを悟ったように、咆哮を轟かせると剣と楯を構えながら迎撃態勢を取り始める。
頭数こそ減らしているが、彼らはダレイオスの身を護る精兵。たとえ追い詰められていようと――否、追い詰められているからこそ、命を断ち切る瞬間まで手を抜くことは出来ない。
四肢に力を込めた静梨がトロルたちに狙いを定める。そこに息を合わせ、後方の二人が準備完了の合図を送った。
「こちらは何時でも行けます、静梨さん!」
「撃って撃って撃ちまくってやるもんねー! ごーごー!」
「了解ですわ。では、参りますわよ!」
同時――静梨の全身が、橙色の輝きと共に力を解放する。
「我が筋肉に宿りし闘気、まき起こすはド派手な爆発でしてよ!」
踏みしめた地面が、闘気の爆発で爆ぜる。
逆説連鎖戦の力で瞬時に敵の懐へ肉薄を果たした静梨が、6本腕の拳を強打の嵐に変えて繰り出す。
拳撃と共に放つ闘気で爆発を起こし、敵を粉砕する『闘筋技・闘筋大爆破』のパラドクスだ。ダメージアップを込めた、ネメシス形態の静梨が繰り出す猛連打にトロルたちは瞬く間に防戦に追い込まれ始めた。
『ぬ、ぬぬぬっ……!』
「九十九家家訓! 『やるときは派手にすべし』! ――大爆破!」
だめ押しとばかり、一際派手な殴打が爆発と共にトロルたちを包み込む。
咆哮を上げて突撃する銀楯隊の反撃を凌ぐ中、華楠とハニエルの猛攻が、静梨と息を合わせるように降り注ぐ。
「ハニエルさん、お怪我は!?」
「ふふ、どうということはありませんわ!」
華楠の言葉に、静梨は力強い笑顔で応じてみせた。ネメシスの戦闘力上昇に加え、積み上げられたガードアップの効果は今や『8』。自分を含め、この戦いに参加した復讐者たちが積み上げた想いに力強さを覚えながら、静梨は、二人の仲間と更なる攻撃で銀楯隊を呑み込んでいった。
戦場に断続的に木霊する轟音。
その源である復讐者たちのパラドクスに曝されて、銀楯隊の敗勢は決定的なものとなりつつあった。
『ぬおおおおおおっ!』『負けて……負けてなるものか!』
咆哮を上げ、突撃を試みるトロルたち。だが、その反撃は残留効果に阻まれ、十全な威力を発揮するには至らない。
命中アップやダブルと異なり、ガードアップは十割の確率で発動する。どれほど果敢に攻め立てようとも、戦意や勢いで残留効果を押し切ることは出来ない。
加えて――逆説連鎖戦において必ず発動するのはガードアップのみならず、ダメージアップもまた同じである。
「突っ込んで来てくれるなら、こっちも受けて立つだけだもんね!」
残留効果で怒りを増幅させながら、ハニエルは手負いのトロルたちを狙い定めた。
「刃は通さなくたって、私の光の杭はきっと痛いよ!」
銀楯隊が強敵なのは明白。である以上、劣勢に追い込んだ今こそ徹底的に攻めまくるのみ――そう判断すると、ハニエルは両手を天に掲げ、『エンジェリック・トルピード』を発動した。逃がしはしない。光のオーラで生成された巨大な2本の杭は彼女の怒りを帯びて、トロルたちに直撃する。
『がっ――』『ギャアァ!!』
木霊する断末魔の絶叫。胴体に大穴を穿たれたトロルが2体、屍となって転がった。
隊列が崩れ、連携を綻びさせたトロルの群れを復讐者たちはさらに攻め続ける。ハニエルの光杭が降り注ぐ中、6本腕を駆使した殴打と爆破で暴れ回る静梨。そこに続く華楠は、奮闘空しく亡骸の山を築き上げていく銀楯隊の生き残りを狙い、決め手の一撃を今、解き放とうとしていた。
「……激しい大いなる怒りの姿をされる不動明王よ……!」
全身に受けた傷の痛みを堪え、華楠が力を紡いでいく。
度重なる逆説連鎖戦で体に蓄積されたダメージは決して浅くはないが、この戦いは全力で勝ち切るべきもの。最後の瞬間まで手を抜く気は無い。肩を並べて戦う、静梨とハニエルがそうであるように。
そして――次の瞬間。華楠の発動した『雷幻想・煉獄』が、敵の展開する空間に解き放たれる。
「迷いを打ち砕き給え、障りを除き給え、所願を成就せしめ給え……! 急急如律令!!」
同時、戦場の空間が俄かに熱気を帯び始めた。
華楠が発動したパラドクスは、陰陽術を妖精たちの補助で昇華し、強大なマイクロ波を放射するもの。空気中の水分子と共に体中の水分を沸騰させる力によって、トロルたちの口から迸るのは苦悶の絶叫だ。
『う、うごおぉぉぉぉ!!』『ち、畜生が……!』
死にゆく断末魔が響き渡る中、銀楯隊が一体、また一体と討ち取られていく。
もはや完全に戦列を崩壊させ、トロルの群れは全滅を待つばかり。その先に待つ敵首魁との戦いに気を引き締め、華楠は凛とした声を戦場に響かせる。
「ダレイオスの元まで後少し……今はただ、駆け抜ける時です!」
「うんうん。貫いてでも行かせて貰うよ、親玉の所まで!」
「もう逃げ場はございませんわ! 覚悟なさいませ、ダレイオス!」
華楠に息を合わせ、ハニエルと静梨も高らかに告げる。
決戦の時は今や目前。解放への決意を秘めて、少女たちの鬨の声が戦場に大きく木霊した。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【口福の伝道者】がLV3になった!
【照明】がLV2になった!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV8になった!
【ダメージアップ】がLV5になった!
クロエ・アルニティコス
愛するエイレーネ(g08936)をディフェンスし、共に戦います
あれがダレイオス……!
何やら小物臭い叫びをしています、が。
ならばこそ、人格ではなく力で上に立ったと。そういうことでしょう。
侮りはしません。ディアドコイ評議会の一角、ここで落としましょう。
芍薬の種に魔力を注ぎ【ゴルゴーン・パイオーニアー】を使用。ゴルゴーンを象った植物の怪物を作り出します。
先ほどの精鋭部隊との戦いで残留効果も多く積み重ねました。それらを用い、一度に多くの敵を攻撃するパラドクスで護衛部隊の最前列にいる者たちを攻撃。出足を挫きます。
エイレーネの地からの攻撃とともにゴルゴーンの放つ光で敵を石化させ、二方向からの攻撃で堅牢な敵の陣形を崩しましょう。
反撃の怪力による一撃はこちらもエイレーネと守り合って隙を作らないようにした上で、【ガードアップ】で守りを強化した三相の杖で一撃を受け止めます。
気迫だけは軒昂ですね。
ですが、状況はここまで来ました。
この周辺はこのペルセポリスを除き制圧済み。
今ここで蹂躙されるのは、お前たちです。
エイレーネ・エピケフィシア
愛するクロエ様(g08917)をディフェンスし共闘
無論、油断は禁物です。されど恐れはありません
ミウ・ウルのペルセポリス到着から今日まで、ダレイオスの兵力拡充を妨げ、都からの脱出を防ぐ策を続けてきたのですから
この戦こそ、復讐者の知恵と弛まぬ闘志の結実。勝つべくして勝ちましょう!
自ら盾を担うからこそ、整然と並んだ大盾の脅威は心得ています
故に正面から攻撃を叩きつけ盾を破ろうとするのではなく、『大地の激震』を使用
敵の足下の地面を激しく揺るがし、その振動を足裏から体内に浸透させて骨と肉を粉砕
盾で防ぐのは難しい、防げるとしても下に意識を向けざるを得ない攻撃で、堅固な護りを打ち崩しましょう
一撃で仕留めるには敵が頑健すぎるなら、クロエ様と続けて同じ相手を狙うようにして確実に数を減らします
共に戦う仲間たちの存在、そして愛する者の想いを心に感じて、敵の技に戦意を挫かれぬよう勇気を奮い起こし
突撃の勢いを【泥濘の地】で削ぎつつ≪神護の輝盾≫で防御します
恐怖によって鈍る刃なら、ここまでは届いていないと知りなさい!
蹂躙戦記イスカンダルにおける亜人の一大拠点であった、大都ペルセポリス。
その王であったダレイオス3世を護る軍勢は、今や完膚なきまでに排除され、丸裸で戦場に孤立しようとしていた。
生き残った銀楯隊はなおも抵抗を諦めず、僅かな手勢で復讐者の前に立ちはだかる。
大都の王たるダレイオスを護る精兵は、いまや敗残兵も同然。そして今、そんな銀楯隊に引導を渡すべく、二人の復讐者が戦場に駆け付けた。
「いよいよ、ダレイオスとの決戦も目前……! クロエ様、油断せず参りましょう!」
宮殿より駆け付けたエイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は、愛する女性の下へ合流を果たすと、すぐさま銀楯隊と対峙した。
預言者ザラスシュトラが撤退した今、後顧の憂いは最早ない。トロルの群れへ突き付ける『神護の長槍』の穂先は、彼女が示す明白な殲滅の意思表示だ。
配下を失い、都を失い、今まさに追い詰められつつあるダレイオス3世――それは、ミウ・ウルのペルセポリス到着から始まった長きに渡る大都攻略の結実とも言える光景であった。
「この戦こそ、復讐者の知恵と弛まぬ闘志の結実。勝つべくして勝ちましょう!」
「ええ、侮りはしません。ディアドコイ評議会の一角、ダレイオス……ここで必ず落としましょう」
最後まで詰めを誤らぬよう、残った敵群をまっすぐに見澄ますエイレーネ。
そんな彼女に同意を返し、クロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)は油断なき眼で戦場の光景を見渡した。敵の精鋭部隊はとうに討たれ、護衛のトロル兵団も今や壊滅寸前だ。あのトループスどもを殲滅すれば、いよいよ復讐者の刃はダレイオスの喉元に届くことだろう。
知能が低い亜人種族の例に漏れず、精鋭部隊の敗北を罵るダレイオスの叫びは、何とも小物じみたもの。
とはいえ、そこで敵を侮るような愚はクロエとは無縁である。激戦となることを覚悟し、その上で勝利するのが自分たちであることを、この魔女は疑っていない。
「いよいよ決戦は目前。その為にも、あのトロルどもを皆殺しにしましょう」
「はい。では――参りましょう、クロエ様!」
二人が狙うは、大将首たるダレイオスの首ひとつ。
行く手を阻む銀楯隊を殲滅するべく、エイレーネとクロエは阿吽の呼吸で攻撃を開始していった。
エイレーネと銀楯隊。対峙する両者の構えた盾が、壁の如き圧力を帯びて距離を詰め始める。
トロルの群れはエイレーネの武装を見て、その戦闘スタイルに凡その当たりをつけたらしい。恐らくは自分たちと同じ、巨大な盾をぶつけて圧殺する戦法――それならば体躯と膂力に任せて押し切るのみ、そう判断したようだ。
(「ええ、亜人の知能なら当然の判断でしょう。ですが……」)
エイレーネは神護の輝盾で身体を覆い隠しながら、その視線を地面へと向ける。
そう、彼女の狙いは盾を用いた激突ではないのだ。
戦いにおいて重要なのは、いかに敵を自分の得意な舞台へと引き込むか。エイレーネがあえてトロルの眼前で盾を構えたのも、敵を誘導するためのブラフである。彼女の本命は全く別、すなわち地面からの奇襲であった。
『叩き潰してやる、覚悟しろ!』
秘めたる狙いに気づかず、尚も距離を詰めるトロルたち。
そして、彼らが更なる一歩を踏み出した次の瞬間――エイレーネの長槍が、手中でぐるりと回転する。石突で狙うのは、足元の地面だ。
「大地よ、不敬なる者どもの歩みを拒みたまえ!」
渾身の力で石突を叩きつけ、発動するは『大地の激震』。
轟音と共に生じた衝撃波は円状の波紋となって、トロルの群れを捉える。予想だにせぬ場所から攻撃を受けた銀楯隊は、二本の足を介して浸透する衝撃に体内を破壊され、そのまま玩具のように巨体を吹き飛ばされていった。
『ぐわああぁぁっ!』『ダ、ダレイオス様! 申し訳……ぎゃあぁ!!』
エイレーネの槍が立て続けに衝撃を轟かせる中、トロルたちが全身の骨を砕かれ次々と絶命していく。
もはや全滅目前となった銀楯隊を攻め続けるエイレーネの後方では、冷徹な光を帯びたクロエの瞳が、最後に残る僅かな敵を睨みつけていた。
「気迫だけは軒昂ですね。ですが、状況はここまで来ました」
満身創痍の身体で奮戦する銀楯隊に、クロエの口から幕引きの言葉が投げられる。
重ねに重ねた残留効果で強化した復讐者たちを相手に、トロルたちが勝利する目は最早ない。クロエは掌に収めた芍薬の種に魔力を注ぐと、『ゴルゴーン・パイオーニアー』を発動。処刑人めいた無慈悲な言葉を、銀楯隊に告げた。
「この周辺はこのペルセポリスを除き制圧済み。今ここで蹂躙されるのは、お前たちです」
言い終えると同時、怪物ゴルゴーンの姿を取った植物の頭上で、一輪の花が花開く。
そこから生じた輝きはパラドクスによって一条の光線に変わり、眼下のトロルたちを次々に石へと変えていった。
頭上からは石化光線、足元からはエイレーネの衝撃波。二方から迫る猛攻に銀楯隊は成す術なく討ち取られ、そして――クロエのゴルゴーンが放つ光線が、ついに最後の一体を石化粉砕、絶命せしめる。
「これで……残るはダレイオスとの決戦ですね」
「はい。必ず勝利してみせましょう、クロエ様!」
クロエとエイレーネは頷きを交わし合い、屍となって積み上がる銀楯隊の向こうを見遣る。
その場所、城門を背に立つのは、全ての配下を失い戦場に孤立した大都のかつての王――ダレイオス3世だ。
(「あれが、ペルセポリスを治めたジェネラル級亜人。ですが……いかなる強敵でも、わたしたちは負けません!」)
共に戦う仲間たちの存在、そして愛する者の想いを心に感じながら、エイレーネは戦意を研ぎ澄ます。
幾度にも渡る死闘を制し、ついに辿り着いた大都ペルセポリスの最終決戦。
その勝利を胸に誓い、エイレーネは、クロエは、そして仲間たちは、ダレイオスが待つ最後の戦場へと走り出した。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【植物活性】LV1が発生!
【泥濘の地】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV9になった!
【能力値アップ】がLV3になった!
龍統・光明
基本冷静沈着。
行動の際は【残像】【忍び足】を使用
普段は二刀流と蹴術を織り交ぜる戦闘スタイルだが、AS展開時は一転二丁銃と羽形ブラスターを操り戦う
基本回避優先で防御の際は左腕を盾代わりに使う
常にクールである事に努めており、他に迷惑をかけない様に心掛けている
『例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません』
よろしくおねがいします(連携大歓迎・NG:ギャグ・コミカル)
ハーリス・アルアビド
あれがダレイオス…。ここに置いて言葉はいりません。
殺戮をもって秩序もたらす神セクメトよ、この地に平穏を取り戻すため我が身命をお使い下さい。
祈りを捧げ仲間達への幸運を願い、この戦いに勝利を。
敵はダレイオス、恐るべき強敵と言えましょう。より鋭く一秒でも速く地を駆けるため両足に【肉体改造】を施します。真正面から攻めても薙ぎ払われるだけでしょうが、あえて【残像】を生む速度と舞い上がる砂塵を【砂使い】でより巧みに操り砂の幕とし、敵の注意を引きつけます。
【残像】と【忍び足】の緩急で攻撃のタイミングと間合いを的確に悟らせずに隙を突いての攻撃を狙っていると思わせつつ、仲間の攻撃や罠に万全の状態で対処できぬよう誘導します。
あの巨体から繰り出される威力範囲共に強力な攻撃で仲間を巻き込み薙ぎ払われないようタイミングをよく注意した上で【残像】を利用した突撃方向の【フェイント】を入れ、狙いを改めるまでの間に【精神集中】を行い【神速反応】を加えた速度で距離を詰めて【セクメトへの嘆願】を叩き込みます。
フレデリカ・アルハザード
ダレイオス3世…大物ですね
だからこそ、縊り殺す!
泥濘の地で動きを僅かにでも鈍らせ、アイテムポケットから煙幕を取り出し視界を遮りディアボロス側は完全視界で視界を確保
視界のイニシアティブを握りながらパラドクスを発動
戦場一帯に蒼穹を展開
蒼穹の下で風が吹けば莫大な熱量の光熱が放射され、陽光が降り注ぐと同時に膨大な風量の竜巻が真空の刃を大量に撒き散らしながら発生していく
能力値アップ、命中アップ、ダメージアップで精度と威力を上昇させ、真空の刃を大量に撒き散らす竜巻を亜人に叩きつける
先行率アップとダブルで動きと行動そのものを加速させ、相手の岩斧攻撃はガードアップでダメージを殺し、飛翔が回避に使えればそれを活用し岩斧攻撃を回避
パラドクスの光と風でも回避や防御を行い、立ち回っていく
生憎、貴様を蛇亀宇宙には行かさせない
ーー貴様が行くのは、無間地獄だ!
トドメに全身を真空波で切り刻みながら、全身を細切れにした後首を刎ねる
大都の城門前には、復讐者が次々と集結しつつあった。
長きに渡って行われたペルセポリス攻略、その最終決戦――ジェネラル級亜人『ダレイオス3世』との戦いが、始まろうとしているのだ。
戦場の空気は、今や重々しい威圧感に満ちている。
その源である岩山のごとき巨躯の亜人を見澄まして、ハーリス・アルアビド(褪せる事を知らない愛・g04026)は自然と息を吞んだ。
「あれがダレイオス……。ここに於いて言葉はいりません」
ダレイオスの全身から放たれる殺意に、ハーリスは本能的な警戒心を覚えた。
護衛を討たれ、血路を拓く術も失ったジェネラル級亜人。その力は、しかし追い詰められてなお健在であり、間違っても油断など出来る相手では無い。
ここから先は、殺すか殺されるかだ。そしてハーリスを始め、復讐者たちは亜人を殺すために戦場に立っている。である以上、為すべきことは一つであった。戦いの勝利と仲間たちの幸運を願って、ハーリスは祈祷の言葉を紡いでいく。
「殺戮をもって秩序もたらす神セクメトよ、この地に平穏を取り戻すため我が身命をお使い下さい――」
対するダレイオスは、精鋭部隊へ投げた罵声が嘘のように口を閉ざしたまま。
無論、それは彼が勝利を諦めたことを意味するものでは全くない。
彼の巨体に血管めいて走る亀裂からは、赤い光が溶岩めいて不吉な脈動を繰り返している。それは噴火を控えた火山にも似て、彼が抱く復讐者たちへの殺意を雄弁に物語るものだ。
「なるほど。この威圧感……流石はペルセポリスの元支配者と言うべきか」
ざわつく心を鎮め、龍統・光明(千変万化の九頭龍神・g01001)は愛用の二刀を抜き放つ。
彼の全身にまとわりつくプレッシャーは、空気そのものが質量を持ったかのように重々しい。並の人間なら瞬時に闘争心を喪失するであろうそれを前に、光明の心は凪いだ水面のように冷静沈着だ。
激戦は元より承知。その上で勝ってみせるという彼の決意は、些かも揺らぐことは無い。
「最後まで気は抜けない。全力で行かせて貰おう」
「ええ、ダレイオス3世……大物ですね。だからこそ、縊り殺す!」
フレデリカ・アルハザード(正逆の聖女・g08935)もまた、決意を宿した瞳で高らかに告げる。
イスカンダル奪還戦も近いであろう今、ダレイオスは確実に始末せねばならない。蛇亀宇宙への合流を許せば、後の攻略においても間違いなく大きな障害となるだろう。
ペルセポリス開放のため、来たる奪還戦のため。あらゆる意味で、この戦いには負けられないのだ。
フレデリカは大きく深呼吸を一つ。光明とハーリス、共に戦う二人の仲間を見遣り、頷きを送った。
「では――行きましょう、皆さん!」
「心得た。必ず勝利を掴んで見せよう」
「ええ。この後に続く、仲間たちのためにも!」
断片の王を裏切り、都も配下も失ったジェネラル級『ダレイオス3世』。その逃避行に今こそ決着をつけるべく、三人の復讐者は戦いの火蓋を叩き切った。
「ダレイオス3世! その首、貰い受ける!」
先行率アップの力を受けて、一番槍で仕掛けたのはフレデリカであった。
先手を取って発動した泥濘の地に、ダレイオスの巨体がズブリと沈む。同時、周囲を包むのは濃密な煙だ。決戦に備えてフレデリカの持ち込んだ煙幕が、濛々と戦場を満たし始める。
足を阻み、視界を塞ぎ、イニシアティブを握って攻撃――それが彼女の作戦だった。
『……ふん、下らぬ小細工を』
「下らぬかどうか、その身で確かめてみるがいい!」
完全視界で見遣る先で、ダレイオスは未だ動かない。
人間の大人くらいは容易く叩き潰せそうな大斧を構えた亜人へ、フレデリカは即座に『リバースムーン・ホルアクティ』を発動。畳みかけるように攻撃を浴びせていく。
「正逆の月となれ、我が奇跡よ。太陽の神と天空の神が合一し、風と陽光が同一化した蒼穹よ――」
フレデリカの詠唱と同時、パラドクスの力で戦場が蒼穹へと一変、生じた竜巻がダレイオスを捉えた。
竜巻が真空の刃をまき散らし、岩山のごとき巨体を包む。その巨体を切り裂いたとフレデリカが確信した次の瞬間、
『ぬうおおっ!』
「……――っ!!」
大地のオーラを帯びた巨大斧が、咆哮と共に振り下ろされた。
焚いた煙幕、飛翔の回避、パラドクスの光と風での防御――フレデリカが用意した策の一切を、無造作な一振りがいとも容易く一蹴する。
叩きつけるような衝撃。傾く視界。激痛に悲鳴を上げる全身を叱咤して、フレデリカは間一髪で意識を繋ぎとめた。
彼女の身体を守ってくれたのは、最高レベルにまで強化したガードアップであった。もしも強化なしで挑んでいたなら、一体どうなっていたか――肝の冷える思いを押し殺し、ハーリスと光明に警戒を呼び掛ける。
「お二人とも、注意を。……気を抜けば、やられます!」
「そのようですね。分かってはいましたが……ダレイオス、やはり恐るべき強敵です」
ハーリスは『セクメトへの嘆願』を発動すると、間を与えずにダレイオスへと肉薄した。
逆説連鎖戦の力で瞬時に懐へ潜り込み、残像を帯びたフェイントで誘いをかけても、ダレイオスの巨岩めいた体躯は一切動じることは無い。
「小細工は無用ということですか。……ならば!」
命中アップの光が導く先、ダレイオスの胸に牙が振り下ろされた。
パラドクスで授かった鋭牙が頑健な体躯に僅かな傷を刻んだ次の瞬間、励起した岩石によって出現したチャリオットが、ハーリスめがけ迫る。
脇腹を走る灼熱の感触。次いで感じる激痛と共に鮮血の迸る傷口を抑えながら、ハーリスは思わず唇を噛んだ。
牙を突き立てた時に感じた、確かな直撃の手応え。にも関わらず、ダレイオスは未だ悠然としたまま復讐者を相手に暴れ回っている。攻防ともに、重装歩兵や銀盾隊を遥かに凌ぐ力。重く分厚い巨躯から洩れ出る咆哮が、これより始まる死闘の激しさを告げるように、不吉な響きを帯びて轟いた。
それからの攻防は、まさしく熾烈の一言に尽きた。
復讐者のパラドクスが命中するたび、ダレイオスの反撃は、一撃一撃が圧倒的な力を以て三人に傷を刻んだ。
だが、そんな猛攻を前にして、闘志の衰える者は一人もいない。強敵であることなど元より承知、そのうえで勝利するという決意で全員が戦いに臨んでいるのだから。
刃が届いているならば、倒れるまで斬り続けるのみ。ハーリスと光明は視線を交わし合うと、息を合わせて駆けだした。
「ダレイオス、もう一太刀――」
「ああ。浴びせてみせる!」
自分たちの振るう刃が勝利に繋がると信じて、復讐者のパラドクスが次々とダレイオスへと肉薄する。
数度の逆説連鎖戦を経て、二人は全身傷だらけだ。地面を踏みしめるたびに全身を苛む激痛を噛み殺し、全力で疾駆するハーリスと光明。対するダレイオスもまた斧を振りかぶり、それを真正面から迎え撃つ構えである。
『そうまで死にたいなら望み通りにしてやろう、ディアボロスどもめ!』
「貴様が向かう道は、蛇亀宇宙ではない。無間地獄だ!」
刹那、割り込むように響いたフレデリカの声と共に、真空の刃がダレイオスを捉えた。
横合いからの攻撃で生じる僅かな隙。そこへ続けざまに振り下ろされるハーリスの牙。
即座に反撃の力を振るうダレイオスを狙い定めた光明は龍氣を圧縮、双頭の龍を生成していく。仕掛ける好機は、今だ。
「――JOKERの一枚を切ろう。コイツが俺の切り札だ」
『小賢しいわ!!』
振り下ろされる巨斧に刹那先んじて、龍の咆哮が轟いた。
パラドクス『顕現』によって解き放たれた双龍は、光明の復讐心を顕すような重々しい雄叫びを上げると、鋭牙をむいてダレイオスへと喰らいつく。その牙が咀嚼するのは、肉体では無く知識と経験。岩山の如き巨躯が微かに軋み、その口から微かな苦悶の呻きが洩れた。
『ぬ……っ』
(「よし、間違いない。効いている……!」)
巨斧の衝撃で飛びそうになる意識を懸命につなぎ止め、光明は確かな手応えに微笑んだ。
いかに強力な亜人であろうが、目の前の相手は不死身などでは決してない。命を断ち切る瞬間は必ず訪れる。そこへ至る一撃を、自分たちは間違いなく刻んだのだ。
救援機動力で駆け付ける仲間の気配を背後に感じ、光明はその場に膝をつく。
「……後は、任せた……!」
それは光明とフレデリカ、そしてハーリスが血を流して掴んだ戦果。
三人の重ねた想いは力となって戦場に残り、続く復讐者たちへ受け継がれていく。
善戦🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【ガードアップ】がLV10(最大)になった!
旗楽・清政
【翠緑の師弟】
いよいよ、ダレイオス本人との戦闘でござるな。
現状、【ダメージアップ】をもう少し積み増したい状況なれば、
まずはそのために一当てでござる。
これで、後に続く御味方の攻勢も有利になるはず。
この後に今一度仕掛けるつもりなれど、此度の決戦に馳せ参じておる
ディアボロスは多い故、その前に決着が着くやも知れぬ。
まぁ、それならばそれでよし。
「合わせよ、嘉内! ダブル・エメラルド・ストーム!」
此度はそれがしのエメラルド・ストーム・シージと、嘉内のエメラルドの翼とで
【ダメージアップ】を積み増しつつ同時攻撃を狙うでござる。
仮に完全な同時発動にはならずとも、そこはそれ、そう言う気分と言うものにて。
無数のビームカノン、ビームガトリング、嘉内の羽根による【攪乱】を交えながら、
【命中アップ】で直撃を狙い、【ダメージアップ】で大ダメージを与えにかかるでござるよ。
彼奴の反撃に対しては、何よりも【ガードアップ】を頼りにしつつ、
ビームシールド、五枚胴具足、闘気をフルに駆使して守りを固め、
しかと受け止めると致そう。
エスメラルダ・リベロ
【翠緑の師弟】
(常時軍人モード)
あとはダレイオスを討つだけだが、清政殿はまず一当てして
嘉内と共にさらに【ダメージアップ】を積むようだな。
ならば、私自身は【ダメージアップ】は積めないが、二人に付き合うとしよう。
で、男共のこのノリは正直理解できん…が、これだけの数のビームガトリング、
ビームカノン、ビーム砲の羽根が一斉に寄って集るとなれば、
積まれた【命中アップ】や【ダメージアップ】も相まって、
ダレイオスと言えど全く動じないではいられまい。
私は、二人の同時(?)攻撃が終わった直後の隙を狙い、ヴェルデ・フィナーレで畳みかけるぞ。
【命中アップ】で直撃を狙い、【ダメージアップ】で大打撃を与えてやる。
奴からの反撃は、砂と岩の戦象の群れによる蹂躙か。
いくら陸にいるとは言え、戦艦級海戦装の中でも重装型の
『肥後』を纏う私が、容易く蹂躙されてやるわけにはいかんのでな。
まず緑の大盾で防ぎ、それでも止められない分は肥後の艤装とオーラフィールドで受け、
さらに此処まで積み重ねられた【ガードアップ】を頼りに、耐え抜くぞ。
旗楽・嘉内
【翠緑の師弟】
ジェネラル級とやり合うのはこれが初めてだけど、
今は緊張とか不安よりも、ブラック上司な奴への怒りが勝ってる。
二人も一緒なんだし、此処で負けてはいられねえよ。
で、御先祖はどうやら、早めに一当てして
【ダメージアップ】を積み増しておく気らしい。
現状の残留効果を踏まえれば、合わせない理由はないな。
「任せてくれ、御先祖! ダブル・エメラルド・ストーム!」
御先祖のエメラルド・ストーム・シージと、オレのエメラルドの翼の合わせ技だ。
タイミングは完璧に同時にはならないかもしれないが、まぁ、
こう言うのは気分が大事なんで、そうならなかったとしてもそれはそれ。
御先祖の無数のビームカノン、ビームガトリングと、オレからの無数の羽根で
さんざ【攪乱】しながら、【命中アップ】で出来るだけ直撃を狙って、
【ダメージアップ】で大ダメージを与えにかかるぜ。
あ。羽根は、今回は全部ビーム砲として運用だ。
奴の反撃は、まずマジックシールドで受け、威力を殺せなかった分は
翠緑天鎧と【ガードアップ】でダメージを軽減して耐えるぜ。
「あれが、ジェネラル級亜人『ダレイオス3世』……!」
決戦の戦端が開かれたペルセポリスの地。そこへ駆けつけた旗楽・嘉内(フルアーマーウィザード・g11216)は、戦場を覆う空気に息を呑んだ。
見遣る先には、岩山めいて屹立する巨躯の亜人が一体。
その敵――ダレイオス3世が放つ尋常でない殺気こそ、この場を満たす空気の源だった。嘉内ら復讐者の出現を察知し、岩斧がブンと不吉な唸りをあげる。
『ディアボロス。あくまで我を阻む気か!』
「……ああそうだ。お前はここで討つ、ダレイオス!」
腹に力を込めて、嘉内が高らかに宣言する。
初めて対峙するジェネラル級、その全身から漂うのは圧倒的な『力』のオーラだ。今までに嘉内が葬って来た、どの亜人よりも強力な個体。緊張と不安に早鐘を打つ心臓の鼓動を鎮め、取って代わるのは激しい怒りである。
(「配下を平気で使い捨てるブラック上司……ここで確実に息の根を止める!」)
嘉内は弱気な心を瞬時に払拭し、復讐者の眼差しでダレイオスを睨みつけた。
ここで戦うのは自分一人ではない。師匠と姉弟子、信頼する二人と戦い抜く決意を胸に、戦場の土を踏みしめる。
「此処で負けてはいられねえ! 必ず勝つ!」
「その意気や良し。されど血気に逸るは禁物ぞ、嘉内」
刃のように鋭い視線をダレイオスに向けながら、旗楽・清政(知勇兼備の昼行灯・g08816)は言った。
ジェネラル級と対峙した経験を持つ清政は今、戦いの流れを見据えて戦場に立っている。
戦いの趨勢は、いまだ五分と五分。ここから有利を得るために、更なる残留効果を積むことが彼の狙いだ。
(「さすれば、後に続く御味方の攻勢も有利になるはず。さて……」)
ガードアップが最高レベルに達したことで、すでに守りは万全と言って良い。
同じく命中アップもレベルは最高であるが、こちらは十割の発動が保証される効果ではない。ダレイオスの頑健な肉体を削る火力として、ダメージアップを積み上げるべき――そう判断したのである。
「この戦いを以て、ダレイオスを追い詰める一手とする。気を引き締めよ、嘉内!」
「現状を踏まえれば、合わせない理由はないな。心得たぜ、御先祖!」
清政と嘉内、二人の復讐者は阿吽の呼吸で攻撃態勢を整えた。
そんな彼らと共にエスメラルダ・リベロ(蒼海に輝く翠緑・g10981)は海戦装を展開し、援護の準備を終える。こちらは能力値アップで、更なる力の底上げを狙う方針だ。
海戦装の砲塔を向ける先、ダレイオスに刻まれた傷はいまだ浅い。この戦いで自分たちが与えるダメージは、今後の流れを大きく左右するだろう。
(「ダレイオス3世か……容易い相手でないことは明白だな。しかし――」)
しかし、エスメラルダは知っている。戦う相手が強敵であるほど、強力な残留効果は大きな助けとなることを。
目指すは全員の勝利であり、この戦いはいわば勝利の礎。そのためにも、負けることは決して許されないのだ。
「援護は引き受けた。思い切り暴れてこい、二人とも!」
「ああ、任せてくれ! あのブラック岩石野郎、ブチのめしてやる!」
「いざ――覚悟せよ、ダレイオス3世!」
不動たる覚悟を胸に抱いて、三人の死闘は幕を開けるのであった。
要塞めいて立ちはだかるダレイオスめがけ、二つの影が距離を詰める。
影の主は清政と嘉内だ。先行率アップの風を背に受けた二人が逆説連鎖戦を開始すると同時、両者のパラドクスが翡翠色の光を帯びて戦場を照らしていく。
「合わせよ、嘉内!」
「任せてくれ、御先祖!」
エメラルド・ビームを発射するガトリングとカノン砲を展開しながら、清政が呼びかける。
それに応え、背中にエメラルドの翼を顕現させた嘉内は、羽ばたきと共に無数の羽根を散布し始めた。
対するダレイオスは、これを正面から受けると決めたらしい。岩斧を振りかぶり、構えるのはクラスターアックスによる迎撃態勢である。
『下らぬ! 纏めて叩き潰してくれるわ!』
大地のオーラを吸収した岩斧が、馬鹿げた質量を帯びて巨大化していく。
断頭台の刃めいて復讐者を狙う、ダレイオスの斧。嘉内は怒りと勇気を今一度奮い立たせ、清政と視線を交わした。
恐れはしない。自分の放つ一撃は、戦場に残す想いの力は、後に続く仲間たちの力となる。それを思えば、嘉内の心から全ての躊躇は吹き飛んだ。
そして。
「逃がしはせぬ! 吹き荒れよ、翠緑の砲火の嵐――!」
「此はクロノヴェーダの闇を祓い、人類の未来を導く希望の翼――」
二人の復讐者が、今、ダレイオスへと全力を叩きつける。
清政の『エメラルド・ストーム・シージ』。そして嘉内の『エメラルドの翼』。阿吽の呼吸とともに、翡翠の光が濁流と化してダレイオスへと襲い掛かった。
「「ダブル・エメラルド・ストーム!」」
清政の手でダレイオスを包囲する無数の砲が、前後左右から集中砲火を放つ。
かたや頭上から降り注ぐのは、嘉内の羽根が雨霰と放射するビームの光条だ。
二人分のダメージアップを積み増して放つ猛攻は火力をいや増し、戦場を蹂躙する。あまねくエメラルドの光が集中する一点、その中心部に立つダレイオス。その巨躯が、火山の噴火めいた雄叫びを轟かせたのは次の瞬間であった。
『ぬおおおおおおおおおおおおおあっ!!』
咆哮とともに、振り下ろされる岩斧。
闘気を帯びた清政は、それをビームシールドと五枚胴具足で、嘉内はマジックシールドと翠緑天鎧で真正面から受ける。
命中と同時、体の芯まで響く衝撃に歯を食いしばり、二人は辛うじて攻撃を耐え凌いだ。重機くらいなら軽くスクラップに変えるであろう一撃を耐えたのは、肉体を硬化させたガードアップの賜物だろう。わずか数秒間の攻防で全身に張りつく冷や汗を、嘉内はこの時はじめて自覚した。
「はあっ、はあっ……!」
「気をつけよ、嘉内! 奴はまだ生きておる!」
既に身構えた清政の言葉が示す通り、ダレイオスの肉体はいまだ健在であった。
二人のビームを浴びた彼の全身は、ところどころに破砕の跡が見て取れる。だが、未だ致命打には至っていないことは、嘉内の目にも明らかであった。
「くそ、どういう防御力だ……!」
『ディアボロスめ! 我が身体によくも傷を!!』
怒りに燃えるダレイオスが、地響きを立てながら迫る。
阻む者を蹴散らして進む姿は、さながら戦象か重戦車のそれだ。
いまだダメージが残る全身に鞭を打ち、戦闘態勢を取る嘉内。そこへダレイオスが再び斧を振り下ろそうとした、しかし次の刹那であった。
「――そうか。なら、もう少し傷を増やしてやろう」
エスメラルダは重装型戦艦級海戦装『肥後』を展開すると、ビームの斉射を開始した。
四つの試製大口径三連装砲が発射するエメラルド色の光――それは彼女が発動する『ヴェルデ・フィナーレ』の一撃だ。狙いすまして放つ十二本のビームは命中アップに導かれ、ダレイオスの頭上から光の槍めいて降り注ぐ。
「これで、吹き飛べ!!」
『……煩い羽虫めが……!』
直撃を浴びたダレイオスの巨躯が、音を立てて削り取られ始めた。
その口から洩らす悪態に滲むのは、僅かな焦燥。反撃とばかり砂と岩の戦象が大地を揺らして迫る中、エスメラルダは緑の大盾を構えて耐え凌ぐ。
ダレイオスの猛攻は、まともに喰らえば戦闘不能となっても不思議では無い火力だ。
だが、その圧倒的な力はガードアップの前に阻まれ、エスメラルダはなおも健在。清政や嘉内ともども余力を残し、戦場に立っていた。ますます戦意の燃え盛る眼でダレイオスを睨みつけながら、彼女が浮かべるのは不敵な笑みである。
「重装型の『肥後』を纏う私が、容易く蹂躙されてやるわけにはいかんのでな……!」
重装歩兵との戦い、そして銀楯隊との死闘。
度重なる激戦を経て重ね続けた残留効果は、ここに来て大きな恩恵を復讐者たちに齎している。
それは、今この瞬間にエスメラルダたちが積み重ねている効果もまた同じであった。
「戦えば戦うほどに、想いを重ねて強くなる。それが私たちディアボロスだ!」
傷だらけの体で胸を張り、高らかに告げるエスメラルダ。
三人の残した想いもまた、続く仲間へと受け継がれ――そして、ダレイオスを穿つ力として紡がれていく。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【アイテムポケット】がLV3になった!
【光学迷彩】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!
【能力値アップ】がLV4になった!
ハニエル・フェニックス
やっとここまで来た!
結局預言者って人がどうしたいのか、私にはあんまり分かんなかったけど……その分考える事が少なくてすんだのかもね。
後はあなたをやっつけちゃうだけだよ、ダレイオス3世。
私自身はあなたに恨みはないけど、このディビジョンの人が困るなら逃がせない!
まずは天使らしく飛翔かな。
意味があるかは分からない。
でも目立ってこっちに攻撃を引き付けられるかも知れないなら、皆の行動を邪魔させない為に試す価値はある。
それに今回私が使うのは弓。
完全視界に命中アップもあるし、空の良い位置を取れれば当てやすいはず。
相手から丸見えでもメリットはある!
それにしても大きい斧……まだ大きくなるの!?
飛んでてもすごい威圧感があるけど、私にはオーラもここまで積んでもらったガードアップもある。
怖がらずに弓を構えて矢をつがえて、よーく狙って。
あの岩みたいな体を貫けるのかなとか、弱点はあそこなのかなとか……色々考えちゃうけど、雑念は振り払わなきゃ。
私の力をこの矢に込めて。
射抜いて見せるよ、あなたのハート!
凍雲・雪那
滅びゆく都に、真に相応しきは誰か。
少なくとも、貴様の浅い考えは不正解だった訳だが。
……ダレイオス。貴様の名は、この都市によく似合っているな?
氷装纏い灰焔踊るネメシス形態を起動。
【氷雪使い】で氷の杖を巨剣に再構築。より堅く、より鋭く。奴を真っ二つに出来るような、蒼氷の魔剣を、此処に。
最後まで連携を重視。使用可能な効果2は全て重ね掛けしておく。
【飛翔】を用い、ダレイオスへと吶喊を仕掛ける。
敵の巨斧が振り下ろされる、その瞬間に【泥濘の地】を起動。
叩き付ける瞬間に、足元が泥と化せば、踏ん張りもつけられない、でしょ?
そこに、カウンター気味に殺気を叩き付け、意識の空白、隙を強引に捩じ込む。
さあ、さあ、さあ!
貴様の死が、やってきたぞ。
生じた隙に身体を滑り込ませ、一気に至近距離へと。
そして、巨剣を勢いのまま袈裟懸けに振るい、ダレイオスをぶった斬る。
英傑殺しの大斬刀、その身に受けて――死に晒せ。
ディアナ・レーヴェ
この戦争は続くわ。……ずっとずっと、続いていく――
(そんな甘い感傷は、いつだって私を誘ってくる)(…けれど)
――でも、その先の世界に『あなたたち』の居場所はないっ!
(私はあの女の人たちの悲鳴を、これ以上聞いていられない)
…さて、
私は誰とも攻撃タイミングの詳細を詰めきれていない以上、とことん敵の気を惹く&仲間が合わせやすい立ち回りでいきましょうか!
砲撃手の利点とかかなぐり捨てる勢いで堂々姿を表し、
薄く笑って、低く構えて、骨で支えて、予備動作も丸出しで、でも丸出しだけに無視できない大火力をわざと予感させて鬱陶しく騒々しく厭味ったらしく目立ちすぎるほど蠱惑的なほど誘惑するように、ほーら真っ昼間だけど【Polarstern】よ!
こうやって派手に動いては固定の連携相手を持たない誰かにタイミングを合わせて貰って、そうして敵の隙をついて貰えれば幸いね!
反撃?
こういう役回りを選んだ以上は半端に回避とか考えない。
砲撃の余波で貫き抜けたら、あとは地に脚突き刺してでも強引に場に逗まるのみッ!
大都ペルセポリスの空を、亜人の咆哮が揺さぶった。
それはダレイオス3世が放つ、怒りと屈辱の叫びだ。
復讐者たちによる猛攻で傷を負いながら、怪物の意気はなおも軒昂である。どころか、傷を負わされた怒りは復讐者への殺意をいよいよ募らせたようでさえあった。
「滅びゆく都に、真に相応しきは誰か。少なくとも、貴様の浅い考えは不正解だった訳だが――」
そんな敵を前にして、凍雲・雪那(報仇雪恨の皓巫姫・g07783)が投げるのは冷たい視線だ。
預言者ザラスシュトラは大都を去り、ダレイオスの目論見は潰えた。結果として復讐者の足止めという狙いは果たされることなく、雪那たちはこうして戦場に立っている。
誰の目にも明白な簡潔極まりない事実を突きつけ、スノウメイジの少女は叩きつけるように言った。
「ダレイオス。滅びゆく都には、貴様の名こそがお似合いだな?」
『……ザラスシュトラか。奴め、ディアボロスと共倒れで野垂れ死ねばよかったものを……!』
(「預言者が死ねば……か」)
宮殿から去る間際、かの亜人が残したという言葉を思い返し、雪那は眉を寄せる。
断片の王たるイスカンダル大王が滅びれば、“私”も死ぬことだろう――そう紡がれた言葉の真意は、未だ謎に包まれている状況だ。言葉のままに解釈するなら、それが明かされるのは奪還戦で大王を討った後のこととなるが、
「……まあ、いい。ボクは今、貴様を殺しに来ているんだ、ダレイオス!」
その言葉が虚仮脅しでないことを告げるように、雪那は自らの体をネメシスへと変貌させていく。
氷の装いを纏い、灰色の焔が陽炎に歪む。堅く鋭く夥しい殺気を帯びて生成された蒼氷の巨剣は、ダレイオスの岩斧にも引けを取らない迫力だ。
「必ず、奴をここで殺す。……よろしく、皆」
「オッケー! やっとここまで来たんだもんね、頑張っちゃおう!」
雪那とは対照的な明るい声で、ハニエル・フェニックス(第七の天使・g00897)は同意を返した。
預言者ザラスシュトラが謎めいた言を残して去った今、討つべき亜人はダレイオス3世のみ。個人的な因縁こそない相手だが、復讐者として亜人を逃がす選択肢を持たないのは彼女も同じだ。陽気な声と、そこに秘めた断固たる決意をもって、ハニエルは目の前の敵に告げる。
「後はあなたをやっつけちゃうだけだよ、ダレイオス3世!」
『下らぬ! 邪魔する者は全て殺し、我は蛇亀宇宙への道を拓くのみ!』
強大な体躯を震わせ、ダレイオスが吼えた。
並外れた巨躯や尋常ならざる力と同様、この亜人は生存欲求もまた底が無いらしい。
もしも逃がせば、その先には更なる蹂躙と人々の膨大な死が待っている。その未来を断つべく、ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)は火砲を構えながら口を開いた。
「この戦争は続くわ。……ずっとずっと、続いていく。でも――」
復讐者であり戦いに生きるディアナにとって、そうでない世界を想像することは難しい。
このまま永遠にクロノヴェーダとの戦いが終わらなければ――そんな想いを抱くこともある。だが同時に、彼女はひとつ確信していることがあった。即ち、
「――その先の世界に『あなたたち』の居場所はないっ!」
今この場において、それがディアナを動かす最も強き原動力であった。
力を得るため、人々を蹂躙するクロノヴェーダ『亜人』。その種族の中でも圧倒的強者に君臨するジェネラル級の一体を討つべく、ディアナは火砲の砲口を巨躯の亜人へと向ける。
「ダレイオス3世! あなたは、私たちが滅ぼす!」
ここから先に言葉はいらない。ただ力で雌雄を決するのみ。
怒りと殺意を滾らせる復讐者たちの戦闘が、かくして幕を開けた。
「どんどん行くよ! よろしくね、二人とも!」
戦場に声を響かせて、ハニエルは飛翔を発動。弓を構えた態勢で、その体を宙へ浮かせる。
すでに陥落同然のペルセポリスだが、戦場の外に敵が潜んでいる可能性も否定はできない。城壁を超えない高度を保ち、聖なる力を秘めたオーラで銀色の矢を生成していく。
「それにしても、硬そうな体……! 弱点とかあるのかな、あれ……?」
どこを撃っても当たりそうな巨躯に眼を泳がせながら、ハニエルは雑念を振り払った。
度重なる戦闘で、ダレイオスには着実にダメージが刻まれている。人間離れした体の構造である故、負傷の度合いは人型のそれほど明白ではないが、手ごたえは確かに感じ取れていた。
「怖がらずに弓を構えて矢をつがえて、よーく狙って……!」
距離を開けてなお肌を刺すような威圧感が襲う中、静かに弓矢を構えるハニエル。
一方、そんな彼女に合わせるように、地上ではディアナが砲撃準備を完了していた。実際のところ、他の二人とは連携の詳細を詰め切れていないディアナだったが、そこは彼女も歴戦の復讐者である。あえて相手を挑発するように、立つ位置はダレイオスの真正面だ。
薄く笑って、低く構えて、骨で支えて――そうして、至近距離からディアナは火砲の砲口を向ける。
「見惚れてくれるかしら――なんて。……冗談よ?」
ディアナの火砲が、砲撃と共に牙を剥いた。
敵の眼前に躍り出て、最大火力で砲弾を叩き込む『Polarstern』のパラドクス。
その一撃は、まさに復讐者の道標さながら標的の懐へ飛び、炸裂する。積み増しされたダメージアップで火力が増幅した砲弾が頑丈な外皮を吹き飛ばす中、ダレイオスは怒りに震えながら咆哮を轟かせた。
『戦象よ! あの小娘を踏み潰せ!!』
砂岩で具現化された象の群れが、地響きを立てて雪崩のごとく殺到する。
ガードアップで硬化した肉体で防御態勢を取るディアナだが、それでもダメージは殺し切れず、後方へ吹き飛んだ。
「ディアナちゃん、大丈夫!?」
「もっちろん! この程度、何てことないわよ……っ!」
頭上から届くハニエルの声に、サムズアップで応じるディアナ。
実のところ、体中の骨は激痛に悲鳴を上げているが、こんな程度は怪我のうちにも入らない。その覚悟を察したように、ハニエルは銀色の光を次々と発射し始めた。弓に番えて放つオーラの矢『ホーリー・シルバー・エンジェリック・アロー』による猛攻だ。
「私の力をこの矢に込めて。射抜いて見せるよ、あなたのハート!」
狙いをつけて放った矢が命中アップに導かれ、敵の巨躯に突き刺さる。
岩石めいた外皮を繋ぐ僅かな隙間。直撃を受けて走る激痛を物語るように、ダレイオスの口から苦痛の呻きが洩れた。
復讐者とダレイオス、両者の戦いは尚も激しさを増していった。
亜人の怒りは傷を負う度に膨れ上がり、振るう斧は今や嵐の如き勢いである。
「ちょっ……あの岩斧、まだ大きくなるの!?」
『潰れよ、ディアボロス!!』
逆説連鎖戦でハニエルの頭上に瞬間移動したダレイオス。
同時、咆哮とともに振り下ろされる一撃に、ハニエルが驚愕の混じった声を洩らした。
少女の体など容易に叩き潰すであろう巨大な斧が、火山弾めいた質量と速度を帯びて襲い掛かる。残留効果で硬化した体で辛うじて意識を保ちながら、ハニエルはなおも弓を握る手を離さない。
「まだまだ……! この程度で、潰れたりしないわ!」
「そうそう。地に脚突き刺してでも強引に場に逗まるのみッ!」
ハニエルの言葉に頷きを返し、ディアナが火砲を構えながら吼える。
再び大地を踏みしめるダレイオスへ、空と地上から降り注ぐ復讐者たちの猛攻。その攻撃に、かの亜人が見せたのは明白な嘲笑であった。
『下らぬ。多少は使うようだが……その程度で、我を討とうなぞ笑止千万!!』
「ふふ、でしょうね? だって――『私たちに』あなたを討つ気はないもの」
『なに……?』
ディアナの投げた言葉に、ほんの一瞬首をかしげるダレイオス。
そして――彼が復讐者の真意を悟るのに僅かな刹那先んじて、その瞬間は訪れる。
「さあ、今だよ! 叩き込んでやって!」
「私たちの分まで思い切り。頼んだわよ!」
ダレイオスとパラドクスの応酬を続けながら、ハニエルとディアナの攻撃が俄かに勢いを増した。
そうして生じた僅かな、しかし決定的な数秒間の隙。その瞬間を逃さず、渾身の一撃を放つ復讐者が、ひとり。
「英傑殺しの大斬刀、その身に受けて――死に晒せ!」
蒼氷の巨剣を振り被り、パラドクスを発動した雪那であった。
ディアナとハニエル、二人の作り出した隙を『鏖滅弑䨩斬 ‐雷霆殺し‐』の殺気でこじ開け、世界の法則を書き換えて瞬時に肉薄。岩山のごときダレイオスの巨躯めがけ、巨剣の一撃を振り下ろす。
「いざ、天壌無窮の果てまでも――ぶった斬れろォ!!!」
『ぐううううおおおおおおおおっ!!』
袈裟に振るう氷の刃が、ダレイオスを切り裂いた。
衝撃に震える巨躯から洩れる、火山の鳴動にも似た絶叫。それは今までの呻きとは一線を画す、明白な焦燥の滲む声だ。振り下ろされる岩斧を真正面から受け止めて、衝撃を殺し切れずに地面へ叩きつけられる雪那。だが、即座に立ち上がった彼女が顔に浮かべるのは凄絶な笑みであった。
体を動かすたび、全身に激痛が走る。もしかすると骨くらい数本は折れているかもしれない。
だが、それだけだ。その程度だ。
目の前の亜人が、ダレイオスが追い詰められつつある事実を前にした雪那にとって、今は自分の身を案じる時ではない。この敵を一秒でも早く葬り去るべく、全力を以て戦う時なのだ。
「さあ、さあ、さあ! 貴様の死が、やってきたぞ!」
次第に近づく終焉の時。処刑人めいて宣告する雪那の声が、新たな復讐者たちを呼び寄せる――!
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【寒冷適応】がLV2になった!
【友達催眠】がLV2になった!
【水面走行】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV8になった!
九十九・静梨
遂に見えられましたねダレイオス
間近だからこそわかる強靱な肉体と外皮
しかし
此処は譲りません
これ以上貴方には何処も誰も蹂躙させはしません
ネメシス形態継続!
【能力値アップ】で少しでも力を引き上げます
敵の攻撃対処
狙ってくるのは恐らく包囲攻撃
爆破ハンマー『爆鋼』を正面の象に強打し爆破
その反動で上空へと飛び包囲突破
攻撃範囲にまだいる象からの攻撃はハンマーを握っていない腕の拳で迎撃
相手を逆に粉砕する気概の強打で軌道を逸らし【ガードアップ】でダメージを軽減
累積した傷もそろそろ限界
しかし意志と忍耐力で耐えて反撃ですわ!
爆鋼を離し
パラドクスでドリルガントレット『螺旋砕腕』を巨大化
ダレイオスへ突撃
【命中アップ】で少しでも急所への命中確率を増やし強打
固い外皮もこのドリルで塹壕掘りで岩を粉砕するように砕き
残り5本腕の渾身の力でドリルを押し込み
ドリルと拳をダレイオスの体へ突き刺し【ダメージアップ】もいれて殴り抜きますわ!
貴方は王や蹂躙戦記の為の蹂躙ではなく自分の為だけの蹂躙を求めてしまった
それが貴方の綻び
敗因ですわ
アルラトゥ・クリム
さて、漸く追い詰めたよ大将。
ディアボロスが丁重にエスコートしてあげるから、
暴言吐き付けた部下達へ、しっかりお詫びするんだよ。
ネメシスを継続し、先程の戦いで得た力を変換して更に魔力を高め
【能力値アップ】の祝福で自身を更に強化
連携可能な味方と協力して攻撃を行い攻撃の威力効率を高める
左手甲のDEを励起して世界その物へ侵蝕を行い
敵の因果律を情報収集して看破
その因果を改竄して破壊すると同時に物理的肉体へ斬撃を発生させる
【命中アップ】の輝きの導きに従い
可能なら敵の眼や両手足何れかの腱など、味方の支援となる箇所へ斬撃を発生させ
更に【ダメージアップ】の加護を受けて斬撃の威力を増大させる
振り下ろされる岩斧はPDの斬撃を叩き付け、発生する衝撃と因果への干渉によって
岩斧のベクトルを僅かなりとも逸らし
跳躍(ダッシュ&ジャンプ)して斧本体とオーラの直撃は避ける
オーラの飛沫や衝撃などは防具三種を差し込み
更に【ガードアップ】の恩恵を拝受してダメージを抑える
お膳立ては整いつつある。皆、続いてよ!
アドリブ絡み連携歓迎
ダレイオス3世との戦いは、なおも熾烈なままに続いていた。
岩山のごとき堅固な巨体は、復讐者たちの刃で着実に削られつつある状況だ。
一人一人は小さな力に過ぎずとも、合わせることで強くなる。その想いを胸に紡いだ無数のパラドクスは着実なダメージとなって蓄積され、ダレイオスの余裕を奪い始めていた。
『煩い虫どもが……あくまで我を阻む気か……!』
「そういうこと。漸く追い詰めたよ大将」
ダレイオスの剣呑な唸り声に、アルラトゥ・クリム(現代の魔法使い・g05088)は飄々とした口調で言ってのけた。
重々しい巨躯から滲む焦燥の気配は、すでに彼女の目にも明白だ。
比類なき筈の力をどれほど振るっても、ダレイオスの岩斧はいまだ一人の復讐者も殺せていない。包囲を突破することも叶わず、あまつさえ戦いで負う傷は刻々と増えていくばかり。今まで圧倒的強者として君臨してきたであろう彼にとって、それは焦燥だけでなく、大いなる屈辱であるのだろう。
そんなダレイオスへ、アルラトゥは微笑を浮かべて挑発を投げる。
「暴言吐き付けた部下たちへ、しっかりお詫びするんだよ。ディアボロスが丁重にエスコートしてあげるから」
お前が行く先は蛇亀宇宙ではなく地獄だと、言外に宣言するアルラトゥ。
それが紛れもない本気であることは、彼女のネメシス形態と、積み重ねられた残留効果が証明している。
ガードアップ、ダメージアップ、命中アップ、能力値アップ――主たる効果だけでも十分すぎるほど重ねられた強化は、この戦いでアルラトゥと静梨が重ねたものを含め、ダレイオスと渡り合うに足る力を彼女たちに齎していた。
「けど、最後まで油断は禁物だ。気を抜かずに行こう」
「ええ。あの強靱な肉体と外皮……強敵であることは一目瞭然ですわ」
ダレイオスの巨体を間近に見遣り、九十九・静梨(魔闘筋嬢・g01741)が呟く。
アルラトゥと同じくネメシス形態によって強化を果たしている彼女だが、その青い肌を通じて伝わる張り詰めた殺気は、とても窮地の敵が放つものとは思えない。
『我は死なぬ! 生きて蛇亀宇宙に向かい、地の果てまでも蹂躙を続けるのだ!』
ダレイオスの咆哮は、敵意と殺意を煮詰めたマグマのごとき響きであった。この亜人は己の力を頼りに、なおも復讐者を皆殺しにせんと戦う気なのだろう。恐らくは、絶命する最後の瞬間まで。
そんな敵を前に、静梨は握り固めた全ての拳を突き付けると、決意を秘めた声で告げる。
「此処は譲りません。これ以上貴方には、何処も誰も蹂躙させはしません!」
大都の脱出を試み、全てを失ったダレイオス3世。
その道程をここで断ち切るため、静梨とアルラトゥは死闘の火蓋を叩き切った。
先に行われたハニエルらの戦闘から一変し、始まったのは壮絶な肉弾戦であった。
復讐者と亜人、互いのパラドクスが、嵐の如き勢いで戦場を荒れ狂う。先手を取ったアルラトゥは『Akashic Zamber』を発動しながら、因果を綴るアカシックレコードへの干渉を開始し始めた。
「因果律演算、共振開始……!」
逆説連鎖戦で間合いを瞬時に縮めたアルラトゥの左手甲が、励起の光を放つ。
それは彼女のパラドクスが、ダレイオス3世という存在に対し、周囲の世界もろともハッキングを開始した証拠だ。
因果の集積である世界の事象を書き換えるアルラトゥ。次の瞬間、岩の砕ける音と共にダレイオスの右腕が僅かに弾け、何の前触れもなく切傷が生じ始めた。
「流石はジェネラル級、ハッキングもそう簡単じゃないね。でも、まだまだ……っ!」
刹那、大地のオーラで巨大化した斧が、ダレイオスの手で振り下ろされる。
速く、重く、正確で、どこまでも強靭な蹂躙の意思に満ちた一撃であった。
『阻む虫など、潰して進むのみ!』
「……っ!」
極限まで硬化した肉体で守りを固め、岩斧を耐え凌ぐアルラトゥ。大地を揺さぶる地響きと共に叩きつけられた一撃は、ネメシス形態の強化があってなお強烈だ。
五体が動くことを確かめ、折れた骨がないことに安堵し、アルラトゥは尚も因果律へのハッキングを続行する。
体を動かすたびに肉体には激痛が走ったが、戦闘に支障が無ければ問題ない。いま重要なのは、目の前の敵を倒すこと。そして、次に繋ぐ一撃を叩き込むことだ。
「これで……どうだ!」
ダメージアップを秘めた斬撃が、ダレイオスを捉える。
狙ったのは、巨体を支える足だ。身動きを完封するには至らないが、深い斬撃は巨躯のバランスを崩すのに十分なもの。
果たして次の瞬間、
「九十九さん!」
「ええ。勝負の時ですわ!」
丸太のごとき腕で爆破ハンマー『爆鋼』をブンと振るい、静梨が突撃していく。
アルラトゥの攻撃によって体勢を崩したダレイオスへ、致命打の一撃を叩き込むために――!
「ダレイオス! その首、頂戴しますわ!」
『笑わせるな、雑兵風情が!!』
爆鋼を手に疾駆する静梨。それを前に、しかしダレイオスは執念を帯びた声で吼えた。
次の刹那、隆起した砂岩が次々と戦象に姿を変えて、静梨を圧し潰さんと迫る。
雄叫びを上げて突進する象の群れは、まさに怒涛の如き勢いだ。だが――それを前に、静梨は疾駆の速度をさらに上げて突っ込んでいく。
ここで退くことは許されない。邪魔するものは蹴散らして、今はただ突き進む時だ!
「道を塞ぐなら容赦しませんわよ! おどきなさい!」
爆鋼を振るい、自由な腕で拳を振るい、静梨が突き進む。
踏まれようと弾かれようと、構いはしない。殴り、爆破し、全身に傷を負ってなお静梨の疾駆は止まらない。
硬化した肉体を鎧に、胸には意志と忍耐力を宿し、そして戦象の猛攻を突き抜けた先、静梨は目標を捉えた。
「捕まえましたわよ――ダレイオスっ!!」
『……!!』
ダレイオスの顔が驚愕に歪む。
その眼が見遣った先、跳躍した静梨の腕が装着するのはドリルガントレット『螺旋砕腕』だ。
爆鋼との換装を終えて、パラドクスで巨大化したそれが、破城槌めいた勢いを乗せた静梨の疾駆とともに、ダレイオスの懐めがけて炸裂する――!
「九十九家家訓! 『武器は大きくあるべし!』 この力で、このドリルで、全てを破壊しますわ!」
刹那、戦場に響くのは大地を揺さぶる衝撃だ。
命中アップの光によって直撃した『鬼筋技・巨大武装大地粉裂』の一撃は、ダレイオスの堅固な外皮を粉砕し、守られた骨肉もろとも搔き乱す。ネメシスとなった静梨が残留効果を込めて、全力で殴り抜く渾身の一撃。土手腹に大穴を穿たれ、ダレイオスの口から激痛と屈辱の絶叫が迸った。
『ぐ、が……があああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
それは紛れもない致命傷であり、戦いの流れを決定づける瞬間であった。
膝をつくことを拒むようにダレイオスの踏みしめる大地が、迸る血潮で真っ赤に染まる。その光景を見澄ました静梨は、傷だらけの体で胸を張り、凛とした声で告げた。
「……貴方は王や蹂躙戦記の為ではなく、自分の為だけの蹂躙を求めてしまった。それが貴方の綻び、敗因ですわ!」
『ぐ、ぐぐ……!』
自身が辿る運命を前に、ダレイオスは呻き声を洩らすのみ。
アルラトゥは静梨と頷きを交わし合うと、続く仲間たちを振り返る。
「さあ舞台は整った。皆、続いてよ!」
蹂躙戦記イスカンダル、大都ペルセポリス。その地を巡る戦いに終止符を打つ時が、今、訪れようとしていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
【友達催眠】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV9になった!
【能力値アップ】がLV5になった!
音羽・華楠
……ペルセポリスの解放まで、残るはダレイオス3世のみですね。
ディアドコイ評議会の重鎮、強敵であることは解り切ってます。
その命脈を絶つまで、気を抜くつもりはありませんよ……!
引き続きネメシス形態。
狐耳と尻尾が消えた黒髪黒瞳の人間の姿を維持。
ダレイオス3世へ放つパラドクスは元から決めてました。
《雷幻想・閃耀》――
……かつて、断片の王イスカンダルにまるで通じなかった私の最強のパラドクスです。
…………ですが!
通じなかったままにしておくつもりはありません!!
いずれ再びイスカンダルと相見えた時、今度こそ奴をこの技で討ち滅ぼす為に――
それを目指して研鑚した成果、ここでダレイオス3世にぶつけます。
如何にディアドコイ評議会の重鎮、この改竄世界史屈指の強者とはいえ、断片の王には劣ります……。
ダレイオス3世に通じなければ、この技でイスカンダルを討つなんて夢のまた夢!
その思いと意地を籠めて、全身全霊の《閃耀》をダレイオス3世に叩き付けましょう!!
向こうの反撃は、それごと吹き飛ばすつもりで《閃耀》に力を注ぎます。
ジズ・ユルドゥルム
預言者は去ったぞ、ダレイオス。目論見は外れたようだな。
貴様には新天地も次なる蹂躙も与えられることはない。
滅びる都と運命を共にし、この地で踏み躙られた魂の慰めとなるがいい。
ネメシス形態に変化。クロノス級マミーの姿をとる。
「守護者の戦斧」を構え、
「不死模倣・獣頭神の守護者」を起動。
奴の肉体は強大だが、それを貫くほどに強力な一撃を持つ仲間もいる。
ならば私は、仲間の攻撃が深く突き刺さるよう
奴に隙を作ることにつとめよう。
大層でかい岩斧だ。並の武器なら蹴散らされるだろうが…
…耐えてくれよ。
奴が振るう巨大な岩斧は、【ガードアップ】を乗せて振り抜いた戦斧で受け止め、一瞬の競り合いに持ち込み
軌道を逸らし直撃だけは避ける
オーラや衝撃波、飛び散る礫で傷を受けるのは承知の上だ。
二撃目が振るわれる前に急接近し、
【命中アップ】が導く光を目がけ、
歴史を改竄する力を、全力を込めて正面から撃ち込む!
奴がひざまずいて無防備になるとは思わない。ほんの一瞬の隙が出来ればいい。
それを見逃す者は、この場に居ない!
「祈れ」!!!
エイレーネ・エピケフィシア
愛するクロエ様(g08917)をディフェンスし共闘
ダレイオスよ、大灯台の光がプトレマイオスの死を伝えた日を思い起こしてご覧なさい
あれからセレウコスとアンティゴノスも斃れ、当初の評議会は一人を残すのみ
そしてこの戦いで、我ら復讐者は最後の王を討ちます!
翼持つ黄金の鎧を纏うネメシスを解放
自身とクロエ様を≪神護の輝盾≫で護りながら戦います
大地と岩石を操る技は、敵の位置と全く別方向から発生し得るもの
クロエ様と協力して広範囲に注意を払い、地面の変容に素早い反応を
クロエ様の攻撃に合わせて、『舞い降りる天空の流星』を発動
先に動く時は、加速の勢いを乗せた盾を叩きつけて敵を城門の壁まで押しやり、冥府の炎からの逃げ道を塞ぎます
後詰になる場合は、炎に包まれた敵にすぐ追い打ちをかけるべく≪神護の長槍≫を手に突撃し、胸を貫き心臓を穿つ決定的一撃を放ちましょう!
戦象は牙を盾で防ぎ、ごく短時間の【飛翔】で背を乗り越えて凌ぎます
平和と自由を望む人々の想いが在る限り、暴君の支配は必ず終わりを告げます
――今こそがその時です!
クロエ・アルニティコス
愛するエイレーネ(g08936)をディフェンスし、共に戦います
少なくとも、私個人にとっては――お前がイスカンダルの下にいようと、リグ・ヴェーダへ行こうと、どうでもいいことです。
お前たちとの戦いが始まってからずっと、私の意志はただ一つ。
お前たちを皆殺しにすること。どこにいようと変わりません。
三相の杖に冥府の火を灯す【三界巡る冥府の火】を使用し戦闘を行います。
常にエイレーネとは傍で戦い、巨大な岩斧や砂と岩の戦象へ協力して対処を。
エイレーネより先に攻撃を仕掛ける場合は遠距離より三相の杖を振るい、冥府の火をダレイオスに対して放ってその身を焼き、後に動く場合はエイレーネが押し込んだダレイオスに対して私も接近、冥府の火を灯す杖でダレイオスを直接打ち据え焼き尽くします。
反撃の大地のオーラにより巨大化した斧の叩き付けに対しては冥府の火を纏う三相の杖を掲げ、その威力を相殺します。
玉座の上には刃が吊るされているものです。
それが振り下ろされる覚悟のない者に、王の資格はありません。
冥府へと墜ちなさい!
ペルセポリスの決戦は、ついに佳境を迎えようとしていた。
度重なる激戦で深手を負ったダレイオスは、復讐者によって十重二十重に包囲されている。
蛇亀宇宙への道は閉ざされ、配下は残らず討ち取られ。今や彼を待つのは、逃れ得ぬ破滅のみであった――。
「預言者は去ったぞ、ダレイオス。目論見は外れたようだな」
追い詰めた暴君を前に、ジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)が告げる。
先んじて戦った静梨やアルラトゥと同様、彼女の肉体はネメシス形態へと変貌を遂げていた。
敵は瀕死だが、最後まで気は抜けない。岩塊から切り出したようなその巨躯は、いまも活火山めいた不吉な輝きを湛え、襲い掛かる隙を虎視眈々と狙っているからだ。
(「いまだ諦める気はないという訳か。だが、それもここで終わらせる」)
守護者の戦斧を構え、ダレイオスと対峙するジズ。
煮えたぎるような憎悪の視線を受け止めて、彼女は静かに口を開いた。
「聞け、ダレイオス。貴様には新天地も次なる蹂躙も与えられることはない」
ジズの紡ぐ声が、神託のように荘厳な気配を帯びて響く。
単なる挑発とは一線を画す、それは神性すら秘めた言霊。そこに込めたのは復讐者である彼女の想いと、ペルセポリスの暴政に虐げられた人々の無念であった。
「亜人の暴君よ。滅びる都と運命を共にし、この地で踏み躙られた魂の慰めとなるがいい」
『戯言を……!! 貴様等ごとき雑兵に……敗れる我ではないわぁぁっ!!』
ダレイオスは魂を震わす雄叫びを上げ、ジズと復讐者たちを睨み据えた。
もはや彼の死に場所は決まった。だが、むざむざ殺される気は毛頭ない。最後の死力を振り絞り、一人でも多くの復讐者を道連れにすることを、この亜人は選んだのだ。
巨躯から噴き出す圧倒的なオーラ。只でさえ並外れた巨躯が一回り、いや二回りは膨れ上がったような錯覚を前にして、音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)は無言で息を呑む。
(「ディアドコイ評議会の重鎮だけあって、やはり只ならぬ気迫です……しかし……」)
しかし、と華楠は思う。
目の前の亜人がいかに強敵であろうとも、その重圧に自分は心から恐怖している訳ではない。
かつて対峙した断片の王イスカンダル――かの王の絶対的なオーラに比べれば、ダレイオスのそれは間違いなく劣る。
(「つまり、彼は私たちで討てる敵だということ。その命脈を絶つまで、気を抜くつもりはありません……!」)
必勝の誓いを胸に、華楠は深呼吸を一つ。精神を戦いに集中させていく。
かつてイスカンダルとの戦いで重傷を負い、新宿島に送り返された思い出。あれから自分も、仲間たちも、復讐者は確実に力を伸ばしてきた。
その刃が通じると、今こそ示してみせよう――ネメシス形態を維持する華楠の瞳が、決意に輝いた。
一方で、復讐者の中には淡々とした態度で戦いに臨む者もいる。クロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)だ。
「やはりジェネラル級ともなれば、しぶとさも並ではありませんね。ですがどう足掻こうと、お前に待つのは死のみです」
口にこそ出さないが、ダレイオスの去就などにクロエは端から興味などない。
そんな彼女がこの戦場に立っている理由は、ただ一つのみであった。それは、
「お前たち亜人を皆殺しにするため。どこにいようと例外なくです」
『狂人が……! そのような夢想が叶うと、本気で――』
「いいえ、夢想ではありません。私たちは、それを現実として叶えてみせます」
嘲りを交えたダレイオスの言葉を、エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)が遮った。
彼女の眼が見据えるのは、常に夢では無く現実だ。
事実、蹂躙戦記イスカンダルの主たる戦を、エイレーネは愛するクロエと共に幾度も潜り抜けて来ている。
彼女たちと、そして多くの復讐者たちが掴んできた勝利。それは蹂躙戦記のディヴィジョンと、断片の王イスカンダルの凋落という『現実』として、厳然とダレイオスの前に存在していた。
「ダレイオスよ、大灯台の光がプトレマイオスの死を伝えた日を思い起こしてご覧なさい」
『……!!』
エイレーネの声に、ダレイオスの顔が歪む。
そこに滲むのは、エイレーネを始めとする復讐者への強烈な憎悪だ。
かつて広大な版図を誇り、隣接するディヴィジョンに侵攻と蹂躙を繰り返した日々。落日を迎えた蹂躙戦記イスカンダルには二度と訪れることの無い、過ぎ去りし栄光――今や敗軍の将に身をやつしたダレイオスにとって、それは何よりも耐え難い屈辱なのだろう。
「あれからセレウコスとアンティゴノスも斃れ、当初の評議会は一人を残すのみ。そしてこの戦いで、我ら復讐者は最後の王を討ちます!」
ダレイオスの言葉を待たず、エイレーネの体がネメシス形態へと変貌を遂げていく。
五体を守る黄金の鎧と、背に広がる翼――それが力を解放した彼女の姿であった。
エイレーネは神護の輝盾を構え、愛するクロエを庇うように立つと、凛とした声で告げる。
「ダレイオス3世! 大都ペルセポリス解放のため、お前の命を貰い受けます!」
『戯言を……! 死ね、ディアボロス!!』
エイレーネ。クロエ。華楠。ジズ。
そしてこの戦いに参加した、全ての復讐者たち。
全員の想いと、そして願いの結実となる戦いが、今ここに幕を開ける。
残留効果を極限に高め、ネメシス形態を発動し、連携を組んでの猛攻撃。
ダレイオスを確実に殺す布石を打ち終えた今、為すべきは全力で戦い抜くことのみだった。
「私が隙を作る。皆、追撃は任せたぞ」
ジズは守護者の戦斧を構えると、先陣を切ってダレイオスに突撃していく。
この戦いで、彼女は自らの役割を決めていた。即ち、自分よりも強力な一撃を持つ仲間が、深くダレイオスに突き刺さるように追撃の起点を作ること。その一点に全神経を集中しながら、守護者の戦斧を振りかぶる。
同時、逆説連鎖戦の開幕を告げるように、パラドクスの輝きが戦場を席巻。ダレイオスの岩斧が大地のオーラを帯びて、瞬く間に巨大化を遂げ始めた。
『そんな玩具で何ができる! 潰れろ、ディアボロス!!』
「並の武器なら蹴散らされるだろうが……耐えてくれよ」
戦斧を構えたジズが、『不死模倣・獣頭神の守護者』を発動する。
パラドクスの力がダレイオスの歴史改竄を開始する中、振り下ろされた岩斧が唸りを挙げてジズを襲った。
並の防御など容易く叩き潰す、クラスターアックスの一撃。圧倒的な膂力で振り下ろされた岩斧を、ジズは戦斧を頼りに受け止めると、間を置かずに競り合いへと持ち込んだ。
「おおおおおおおっ!」
『ぬううああっ!!』
岩斧と戦斧の刃がかち合い、紅蓮の火花を散らす。
切り結ぶ衝撃がジズの全身を伝うたび、体の芯に焼けるような激痛が走った。ネメシス形態と最高レベルのガードアップをもってしても敵の火力は脅威だ。気を抜けば一瞬でやられる――そう確信せざるを得ない程に。
二度目の攻撃を振るわんと、斧を振りかぶるダレイオス。
そんな彼の動きが僅かに鈍ったのは、果たして次の瞬間であった。
「祈れ!!!」
ジズの声が響くと同時、ダレイオスの動きが僅かに動きを止める。
復讐者への殺意に満ちた心に芽生える僅かな異物。それがジズの歴史改竄によって生み出された、エンネアドへの信仰心であることに彼は気づかない。
稼げた時間はほんの刹那に過ぎなかった。強者の傲慢さ、そして蹂躙の本能を以て、ダレイオスは信仰心を跳ね除ける。
だが、そうして再び殺意で心を満たした次の瞬間――彼の眼前には、今まさに戦斧を振り下ろすジズの姿があった。
『……!!!』
「貰ったぞ――受けろ、ダレイオス!」
ジズの戦斧が一閃し、岩塊の如き肉体を切り裂く。
正面から撃ち込んだ渾身の一撃に、ダレイオスの巨躯がぐらりと傾いだ。
それは、ジズが決死の猛攻で切り開いた好機。
果たして絶好の瞬間を逃すことなく、戦場を眩い雷光が包み始める。ジズと息を合わせ、華楠がパラドクスの発動準備を完了した瞬間であった。
「ト ホ カ ミ エ ミ タ メ――汝、至高なる雷の神威を識れ……!!」
こじ開けられたダレイオスのガードを、華楠は更に広げるべく攻撃を仕掛ける。
『雷幻想・閃耀』。それは彼女が誇る最強のパラドクスであった。
かつて断片の王イスカンダルに挑み、通じることの無かった一撃。だが、失敗のまま終わらせる気など華楠にはない。
(「ダレイオスは、この改竄世界史屈指の強者。けれど――!」)
増幅した怒りを雷に変え、生成した重金属粒子に帯電集束させながら華楠はダレイオスを睨みつけた。
敵はディアドコイ評議会の重鎮であり、蹂躙戦記イスカンダル屈指の強者。あの敵に技が通じないようであれば、大王を討つなど夢のまた夢だ。
「――けれど、今なら!」
研鑽を重ね、経験を積んだ今なら。
仲間と共に挑み、残留効果を積み上げた今なら。
目の前の強敵にも、自分の刃は必ず届くはず。大王に通じず終わったこの技で、新たな地平に至れるはず!
「ダレイオス3世! 私の思いと意地、受けて貰います!」
華楠のパラドクスが、大地のオーラを注がれる岩斧に先んじて放たれた。
超高電圧で加速した重金属粒子のビームが、灼熱を帯びてダレイオスに直撃。分厚い胸板が砂山めいて崩れ、穿った大穴から肉の焦げる匂いが立ち込める。
それは、紛れもない致命傷だった。次の刹那、振り下ろされた岩斧を華楠は硬化した肉体で受け止める。
「……っ、この程度……!」
肩に浴びた傷から溢れる血と共に意識が遠のく中、華楠は必死に意識を繋ぎ、二本の足で大地を踏みしめた。
戦闘不能を免れたのは、周到な準備とネメシス形態の強化、そして強固な決意が為せる業だろう。
果たしてその視界に映る景色は、新宿島で目覚めた『あの時』とは違う、紛れもない戦場のそれだ。ダレイオスに深手を負わせ、攻撃に耐えた事実を噛み締めて、華楠は続く仲間たちへ最後の攻撃を託す。
「後は頼みます。クロエさん、エイレーネさん!」
ジズが守りを崩し、華楠が追撃で押し込んで。
そうして訪れた瞬間を逃さず始まったのは、クロエとエイレーネによる怒涛の猛攻撃であった。
「行きますよ、エイレーネ」
「ええ、クロエ様。参りましょう!」
エイレーネは先頭で神護の長槍を構え、一直線にダレイオスへ突撃する。
役割の分担は、すでに二人の間で決まっていた。クロエは愛する英雄を援護すべく『三界巡る冥府の火』を発動、三相の杖に火を灯す。
「女神ヘカテーよ、あなたを信じる者に目をかけて頂けるなら、どうかこの杖に神話の灯火を!」
奉ずる女神への祈りがパラドクスに変換され、杖の先端に炎となって灯された。燃え上がる黒い炎は焼き焦がす対象を選ばない。亜人への憎悪を秘めて放った黒炎が発射され、ダレイオスの巨体へと直撃する。
『ぐ、お、おおおおおおぉぉぉ……!!』
「もはや抵抗は無意味です。お前は灰も残しません」
クロエの炎はたちまちダレイオスの全身へと延焼し、黒煙を上げながら巨体を焦がし始めた。
肉の焦げる不快な臭いが戦場に充満する中、ダレイオスは苦悶の雄叫びを上げて岩斧を振り下ろす。衝撃と共に走る激痛に歯を食いしばって耐えながら、クロエは両手両足に力を込めた。浅い傷ではないが、戦闘に支障はない。
「……腐っても上位ジェネラル級ということですか。しかし――」
しかし、その力がもはや戦況を覆し得ないことを、クロエは既に見抜いていた。
4人の中で唯一ネメシス形態ではないクロエだが、今までの戦いで積み重ねた残留効果の数々は、その不利を補って余りある。全身から絶え間なく走る激痛を、亜人への殺意でシャットアウトし、投げるのはダレイオスへの引導めいた言葉だ。
「玉座の上には刃が吊るされているものです。それが振り下ろされる覚悟のない者に、王の資格はありません」
力と本能の赴くまま、暴虐の統治を繰り返したダレイオス3世。
彼が大都ペルセポリスの君主たる器に無かったことは、目の前の結果からも明白であったのだろう。
終幕はもはや目前だ。長き死闘に終止符を打つべく、クロエは鋭い声で告げる。
「ダレイオス! 冥府へと墜ちなさい!」
それはさながら、傲慢と愚かさの代償として亜人の暴君を切り裂く、ダモクレスの剣のように。
そうしてクロエの黒炎が一層激しく燃え盛った刹那、エイレーネは渾身の力で大地を踏みしめた。
神護の長槍を手に、発動するは『舞い降りる天空の流星』。信仰心を加護に変え、紅蓮の炎を纏い、超加速突撃で標的を穿つ一撃を、彼女は全力で叩きつける。
命中アップが示す標の先、狙うはただ一つ。
ダレイオスの胸を貫き心臓を穿つ、決定的一撃のみ!
「平和と自由を望む人々の想いが在る限り、暴君の支配は必ず終わりを告げます――今こそがその時です!」
『我が、敗れる……? 蛇亀宇宙へも着けず、蹂躙も叶わず、何一つ掴めぬまま……? ――否、認めぬ!!』
あくまで敗北を拒むように、砂岩の戦象をエイレーネへとけしかけるダレイオス。
だが、彼女の突撃は、その程度では止まらない。速度と熱量を込めた超加速は紅蓮の流星にも似て、標的の巨体に全力で激突した。
「この身を燃え盛る流星と化してでも、人々に仇なす者を討ちます!」
『――!!!!』
戦場に、ひときわ大きな轟音が折り重なって木霊する。
それは、神護の長槍が巨躯の心臓を穿つ音。
そして、ダレイオス3世が上げる断末魔の叫びであった。
次の刹那、全ての音がふいに途切れ、亜人の骸が地響きを立てて斃れ伏す。それは圧倒的な力でペルセポリスに君臨したジェネラル級の最期であり、亜人による大都の支配が終わりを告げることを示すもの。
「皆様。この戦い――我らの勝利です!!」
エイレーネが、長槍を天に掲げて叫ぶ。
戦場に復讐者たちの勝鬨が響く中、英雄は傷だらけの体で魔女と抱擁を交わし、勝利の喜びを分かち合うのだった。
かくして、大都ペルセポリスを巡る戦いは勝利で幕が下ろされた。
ダレイオス撃破の吉報を携えて仲間たちと帰途につきながら、華楠とジズは次第に遠ざかっていく大都を振り返る。
「……終わりましたね。ペルセポリスの戦いが」
「ああ。これで人々も、亜人の苛烈な支配から解放されるだろう……」
華楠に頷きを返しながら、ジズはふと視線を城壁の彼方に聳える宮殿へと向けた。
王たるダレイオスは既に亡く、空白の玉座のみが残る場所。そこに居た預言者ザラスシュトラは、謎めいた預言を残して何処かへと去った後だ。
大王が滅べば“私”は死ぬ――。
その言葉の真意に思いを巡らせ、ジズは僅かに眉を寄せた。
(「ザラスシュトラ……奴の狙いは、一体……」)
もうじき始まるであろう、蹂躙戦記イスカンダルを舞台とする歴史の奪還戦。
その時には、預言者の真意を知ることも叶うのだろうか。
未だ答えが出ることのない問いを胸に、ジズは新宿島へと帰還していく。いかなる強敵、いかなる激戦が待とうとも、必ず勝利してみせる――けして揺るがぬその決意を、己が心の内に秘めながら。
🎖️🎖️🎖️🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【土壌改良】LV1が発生!
【罪縛りの鎖】LV2が発生!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV7になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
最終結果:成功 |
| 完成日 | 2024年07月27日 |
| 宿敵 |
『ダレイオス3世』を撃破!
|