ヴァンパイアノーブル『竜血卿ドラキュラ』
~吸血ロマノフ王朝:ウクライナ~
かつて、派閥争いを容認する姿勢に諫言した我輩に、皇帝陛下は仰られた。
「人類の歴史を考えれば、多数の意見のぶつかり合いは必要なものである」と。
我輩のように派閥争いに加わらず、距離を置く者が出るのも、お考えのうちであったのだろう。
そして今、皇帝陛下は「決戦の後は吸血ロマノフ王朝を継げ」と命ぜられた。
我輩が王となる機を逃さぬと理解されているのだ。
たとえ、それが『シベリア方面の境界の解除』と合わせた時間稼ぎでしかないとしても……。
カラボスを欠き、防衛網の弱体化は否定できぬ。だが幻想たる吸血鬼の長として、退くことはすまい。