断片の王『ジャンヌ・ダルク』&フランス国王『シャルル7世』
~火刑戦旗ラ・ピュセル:リヨン~

「かつては『姿と記憶』を封じていた故、断片の王として直接語らうのは初めてですね。
 他のディアボロスと共に、一度は魔女に勝利を収めたはずの陛下。
 こうして『復讐』され、火刑を待つのは、どのような気分です?」


「聖女と呼ばれ、我々の味方として振る舞っていた時とは、まるで別人だな。
 魔女達との決戦を制した後、我々は貴様もまた邪悪なる存在と見抜き、火刑に処した。
 ……貴様が邪悪な本性を秘めていたのは確かだった。
 だが、火刑に処される流れもまた、貴様の思惑通りだったのだな」


「記憶を封じられた『ジャンヌ』の火刑……それが記憶と姿の封印が解かれる条件でした。
 陛下達ならば、私を怪しんでくれるとも期待しておりました。
『魔女は火刑に処すことで滅ぼせる』という話を疑うことは出来なかったでしょう。
 それまでの魔女は、確かに火刑によって陛下達の前から消えたのですから」


「滅ぼしたはずの者達のほぼ全てが『死体や灰の姿でまだ生きていた』とはな。
 貴様らが人を騙すのにかける情熱には、心から驚かされる。
 だが貴様が最初から敵対していれば、我々は一時の勝利を得る可能性すら無かった。
 なぜ、ああも回りくどい、一歩間違えば無駄に終わる振る舞いを?」


『死』と『復讐心』。それらがもたらす圧倒的な感情の力が必要なのです。
 霧の外を支配する人形皇帝に、そして《七曜の戦》で相見える全ての断片の王に勝つために!
 ……では、そろそろ牢獄へお戻りになる時間です。
 火刑台へ向かう日を、楽しみにお待ちください」


「人形皇帝……? 《七曜の戦》……?
 ジャンヌ・ダルクは、一体何を識っている?
 心あるディアボロスよ、一人でも処刑を生き延び、キマイラウィッチどもを止めてくれ……!」